説明

成形品取出し機における吸着圧制御方法

【課題】成形品が正常に吸着された後においては、負圧手段の稼働時間を短くしてエアーの消費量及び消費電力を低減する。また、成形品が正常に吸着された後においては、吸着圧が必要以上に高くなるのを回避して成形品に吸着痕が形成されるのを防止する。
【解決手段】負圧(真空)手段と吸着パッドの負圧流路に設けられた吸着圧検知手段により検出される吸着パッドによる実吸着圧が、予め設定された吸着検知圧に達した際に、吸着パッドに成形品が吸着保持されたと判断する。検出される実吸着圧が、予め吸着検知圧より低い値に設定された吸着閾値圧に達した際に、負圧手段の駆動を停止制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品取出し機において成形品を吸着保持して所定個所に取出すチャックに設けられる吸着パッドの吸着圧制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1に示す成形品取出し機を提案した。該成形品取出し機は、電気ケーブルを介して接続され、チャックの移動位置を設定する各種入力手段及び入力された移動位置を表示する表示手段を備えた操作ボックスにあって、該成型品取出機には、負圧を発生する負圧発生装置、負圧発生装置と吸着パッドとを接続する吸着系、負圧発生装置による負圧を可変調整する負圧調整部材、吸着系の実吸着圧を検出して電気信号を出力する吸着圧検出器を設けると共に操作ボックスには、吸着パッドによる成型品の吸着圧を設定する吸着圧設定手段、吸着圧検出器からの電気信号に基づいて吸着系の実吸着圧を表示する吸着圧表示手段、吸着パッドによる成型品の吸着良否を判別するための不良吸着圧を設定する不良吸着圧設定手段、吸着パッドによる成型品の吸着時に実吸着圧が不良吸着圧以下の場合に警告する警告手段及び吸着圧設定手段により設定された吸着圧に基づいて負圧調整部材を制御して実吸着圧を所望の吸着圧に可変制御すると共に成型品吸着時の実吸着圧が不良吸着圧以下の時に警告手段を作動制御する制御手段により構成される。
【0003】
該成形品取出し機の制御手段は、吸着パッドの実吸着圧が、予め設定された吸着検知圧に達したか否かに基づいて成形品の吸着状態を判別しているが、成形品が正常に吸着された後においても、真空発生装置の駆動を継続して真空(負圧)吸引状態を継続している。このため、真空発生装置の稼働時間が長くなってエアーの消費量及び消費電力が増大して成形コストが高コスト化する問題を有している。なお、圧縮空気の通過に伴って負圧を発生させる形式の負圧発生装置にあっても、負圧を発生させるには、圧縮空気を発生させるためのブロア装置の運転を継続する必要があり、エアー消費量及び消費電力の増大が避けられなかった。
【0004】
また、成形品が正常に吸着された後においても、真空発生状態が継続して吸着圧が高くなる結果、成形品に吸着痕が形成されて不良品化する恐れがある。これにより成形品の不良化率が高くなって成形コストが増大する問題を有している。
【特許文献1】特許第3897286公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、成形品の正常に吸着後においても、真空吸引状態を継続しなければならず、真空発生装置の稼働時間が長くなってエアーの消費量及び消費電力が増大して成形コストが高コスト化する点にある。また、成形品が正常に吸着された後においても、真空発生状態が継続されることにより吸着圧が高くなって成形品に吸着痕が形成され、成形品の不良化率が高くなる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、樹脂成形機から成形品を吸着パッドにより吸着保持して所定の開放位置に取出す成形品取出し機において、負圧(真空)手段と吸着パッドの負圧流路に設けられた吸着圧検知手段により検出される吸着パッドによる実吸着圧が、予め設定された吸着検知圧に達した際に、吸着パッドに成形品が吸着保持されたと判断すると共に、検出される実吸着圧が、予め吸着検知圧より低い値に設定された吸着閾値圧に達した際に、負圧手段の駆動を停止制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、成形品が正常に吸着された後においては、負圧手段の稼働時間を短くしてエアーの消費量及び消費電力を低減することができる。また、成形品が正常に吸着された後においては、吸着圧が必要以上に高くなるのを回避して成形品に吸着痕が形成されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、負圧(真空)手段と吸着パッドの負圧流路に設けられた吸着圧検知手段により検出される吸着パッドによる実吸着圧が、予め設定された吸着検知圧に達した際に、吸着パッドに成形品が吸着保持されたと判断すると共に検出される実吸着圧が、予め吸着検知圧より低い値に設定された吸着閾値圧に達した際に、負圧手段の駆動を停止制御することを最良の形態とする。
【実施例】
【0009】
以下に実施形態を示す図に従って本発明を説明する。
先ず、本発明が適用される成形品取出し機の概略に付いて説明すると、図1に示すように成形品取出し機1の本体フレーム3は、該成形品取出し機1が取付けられる樹脂成形機(図示せず)の中心軸線と直交する方向へ延び、該本体フレーム3上には、走行体5がその長手方向へ往復移動するように支持されている。該走行体5において上記中心軸線方向に延びるように設けられた前後フレーム9には、前後走行体11がその長手方向へ往復移動するように支持される。そして前後走行体11には、上下方向へ軸線を有した上下ユニット13が設けられている。該上下ユニット13の下部には、チャック15が設けられ、上記上下ユニット13の駆動に伴って上下方向へ所定のストロークで昇降される。上記チャック15には、シリコンゴム等の弾性材により形成された吸着パッド17が成形品の吸着個所に相対するように取付けられ、各吸着パッド17には、負圧回路19が接続される。
【0010】
図2に示すように、吸着パッド17の負圧回路19は、例えばエアーブロー装置等の圧縮空気発生装置21、該圧縮空気発生装置21の前段側(吸着パッド17側)に接続され、圧縮空気が通過する際にベルヌーイの法則に基づいて負圧を発生させる負圧発生装置23、該負圧発生装置23の前段側に接続され、例えばダイヤフラムやピエゾ素子、バイモルフ素子の圧電素子等からなる歪ゲージにより構成される吸着圧検知器25、圧縮空気発生装置21の前段側に分岐接続され、後述する負圧破壊するために噴射される圧縮空気の圧力を調整する噴射空気圧調整器27、該噴射空気圧調整器27の前段側と吸着パッド17及び吸着圧検知器25の間に分岐接続され、電磁ソレノイド等から構成される噴射空気開閉弁29により構成される。上記部材の内、負圧発生装置23、吸着圧検知器25、噴射空気圧調整器27、噴射空気開閉弁29は、上記した走行体5上に搭載される。
【0011】
図3に示すように、負圧回路19の制御手段31は、樹脂成形機の操作側または半操作側の床面に設置され、成形品取出し機1を駆動制御する各種制御ユニット(図示せず)が収容された制御ボックス33に着脱可能に取付けられる操作ペンダント35に収容される。該操作ペンダント35は、主にチャック15の移動位置を設定したり、吸着圧を設定したりするモードに切換える各種モード切換キー35a、設定キー35b及び入力キー35cと設定された各種データを確認する液晶タッチパネルからなる表示部材35dが設けられている。
【0012】
尚、上記した各種モード切換キー35a、設定キー35b及び入力キー35cは、物理的な部材の他に、表示部材35dに表示されるキー又は釦の画像をタッチ操作することにより所定動作させる形式であってもよい。
【0013】
図4に示すように、制御手段31のCPU37は、プログラム記憶手段39及び作業記憶手段41を有し、プログラム記憶手段39には、吸着制御プログラム、吸着圧表示プログラム、吸着検知圧設定プログラム、吸着閾値圧設定プログラム等の各種プログラムデータが記憶されている。また、作業記憶手段41は、検出される実吸着圧を所定のサンプリングタイム毎に順次記憶するシフトレジスタ等の実吸着圧記憶領域41a、予め設定される吸着検知圧を記憶する吸着検知圧記憶領域41b、予め設定される吸着閾値圧を記憶する吸着閾値圧記憶領域41c等を有している。実吸着圧記憶領域41aには、吸着パッド17による成形品の吸着時における実際の吸着圧データが記憶される。吸着検知圧記憶領域41bには、後述する吸着検知圧設定モード時に設定され、吸着パッド17が成形品を吸着保持したと判定するための吸着検知圧データが記憶される。吸着閾値圧記憶領域41cには、後述する吸着閾値圧設定モード時に設定され、吸着パッド17による成形品の吸着保持時に圧縮空気発生装置21をOFF制御するための吸着閾値圧データが記憶される。
【0014】
また、CPU37には、入出力手段43を介して上記した圧縮空気発生装置21及び吸着圧検知器25が接続されている。該入出力手段43は、圧縮空気発生装置21をON−OFF制御する際にCPU37から出力される制御信号をD/A変換したり、吸着検知器25から出力される電気信号をA/D変換したりする。
【0015】
CPU37には、表示部材35dが表示制御手段45を介して接続される。CPU37は、例えばモード切換キー35aにより吸着圧設定モードに切換えられた際に、吸着圧設定プログラムに基づいて表示部材35dに図5に示す画像を表示させる。該画像中には、設定された吸着検知圧を数値表示する吸着検知圧表示ウィンドウ47a、設定された吸着閾値圧を数値表示する吸着閾値圧表示ウィンドウ47b、稼働中の実吸着圧を数値表示する実吸着圧表示ウィンドウ47c、テンキー設定釦47d、プラス釦47e、マイナス釦47f及び設定された吸着検知圧及び吸着閾値圧と稼働中の実吸着圧を関連してグラフ画像表示するグラフ表示ウィンドウ47gが配列される。なお、グラフ表示ウィンドウ47gに表示される実吸着圧は、吸着圧の変化に基づいて変位する針画像として表示される。
【0016】
次に、成形品の吸着制御方法を説明する。
先ず、作業者は、成形品の形状や重量等に基づいて吸着検知圧及び吸着閾値圧をそれぞれ設定する。この吸着検知圧は、吸着パッド17による成形品の吸着時に実吸着圧が所定値に達した際に、成形品を吸着保持したと判断するための吸着圧で、例えば負圧発生装置25の最大負圧が−70KPsの場合、例えば−40KPsに設定される。また、吸着閾値圧は、圧縮空気発生装置21を停止制御する際の吸着圧で、吸着検知圧が上記−40KPsの場合には、上記吸着検知圧より低い値の、例えば−60KPsに設定される。
【0017】
尚、上記操作により設定される吸着検知圧及び吸着閾値圧は、常に吸着検知圧が吸着閾値圧より高いことが条件で、反対の吸着圧が設定された際には、CPU37は、設定値の入力を禁止すると共にエラーメッセージを表示する等の設定禁止処理を実行する。
【0018】
上記吸着検知圧及び吸着閾値圧の設定は、以下のように行う。
操作ペンダント35のモード切換キー35aの操作により吸気圧設定モードに切換えると、CPU37は、表示部材35dに図5に示す画像を表示させる。そして吸着検知圧を設定するには、該画像中の吸着検知圧表示ウィンドウ47aがタッチ操作されると、CPU37は、吸着検知圧設定プログラムに基づいてタッチ操作されるプラス釦47e、マイナス釦47fまたはテンキー設定釦47dのタッチ操作により表示されるテンキー(図示せず)のタッチ操作により設定された所望の吸着検知圧を吸着検知圧記憶領域41bに記憶させると共に吸着検知圧表示ウィンドウ47aに、設定された吸着検知圧を表示させる。また、CPU37は、グラフ表示ウィンドウ47gに、吸着検知圧記憶領域41bに記憶された吸着検知圧データをグラフ表示させる。
【0019】
吸着閾値圧を設定するには、吸気圧設定モード時に図5に示す画像中の吸着閾値圧表示ウィンドウ47bがタッチ操作されると、CPU37は、吸着閾値圧設定プログラムに基づいてタッチ操作されるプラス釦47e、マイナス釦47fまたはテンキー設定釦47dのタッチ操作により表示されるテンキーのタッチ操作により設定された所望の吸着閾値圧を吸着閾値圧記憶領域41cに記憶させると共に吸着閾値圧表示ウィンドウ47bに、設定された吸着閾値圧を表示させる。また、CPU37は、グラフ表示ウィンドウ47gに、吸着閾値圧記憶領域41cに記憶された吸着閾値圧データを上記吸着検知圧データと色違いでグラフ表示させる。(図6参照)
【0020】
次に、吸着圧制御方法を説明する。
図7及び8に示すように、樹脂成形機により成形された成形品を成形品取出し機1により取出す際に、ステップ71により、走行体5、前後走行体11及び上下ユニット13をそれぞれ移動制御してチャック15を、樹脂成形機における金型内に保持された成形品に近接した状態で相対させる。このとき、圧縮空気発生装置21が駆動状態で、負圧発生装置23は、供給される圧縮空気により負圧形成されている。従って、吸着パッド17は、接続された負圧回路19により外気を吸引している。
【0021】
次に、ステップ73により、前後走行体11の前進移動に伴って吸着パッド17の先端が成形品に当接される。これにより吸着パッド17の開口部が閉鎖されて負圧状態になり、成形品を吸着させる。そしてステップ75により、吸着パッド17に至る流路の負圧を予め設定されたサンプリングタイム毎に吸着圧検知器25により検出し、吸着圧に応じた電気信号の信号レベルに対応してA/D変換された実吸着圧データを実吸着圧記憶領域41aに順次記憶し、実吸着圧記憶領域41aに記憶された実吸着圧データに基づいて実吸着圧表示ウィンドウ47cに数値表示させると共にグラフ表示ウィンドウ47gに変位する針画像として表示させる。
【0022】
次に、ステップ77により、吸着パッド17による成形品の吸着の進展に伴って吸着圧検出器25により検出される実吸着圧が吸着検知圧記憶領域41bに記憶された吸着検知圧に達したか否かを判定し、該ステップ77がYES(図9参照)のとき、ステップ79により、成形品取出し機1の制御ユニットに駆動指示信号を出力して、例えば前後走行体11を後退移動させて吸着パッド17に吸着保持された成形品を金型内から抜き出す所定の取出し動作を行わせる。反対に、該ステップ77がNOのとき、ステップ77に戻る。
【0023】
上記した吸着パッド17による成形品の吸着保持時においては、圧縮空気発生装置21の駆動が継続されることにより吸着パッド17による成形品の吸着圧が徐々に低くなる。このため、次にステップ81により、吸着圧検知器25により検出される実吸着圧が吸着閾値圧記憶領域41cに記憶された吸着閾値圧に達したか否かを判定し、該ステップ81がYES(図10参照)のとき、ステップ83により、圧縮空気発生装置21にOFF制御信号を出力して駆動を停止させる。反対に、ステップ81がNOのとき、ステップ81に戻る。
【0024】
圧縮空気発生装置21の駆動が停止されると、負圧形成が中断されるため、吸着パッド17による成形品の実吸着圧が徐々に高くなる。このため、次にステップ85により、吸着圧検知器25により検出される実吸着圧が吸着閾値圧記憶領域41cに記憶された吸着閾値圧より、予めプログラムされた所定圧、例えば10KPs高くなったか否かを判定し、該ステップ85がYES(図11参照)のとき、ステップ87により、圧縮空気発生装置21にON制御信号を出力して再駆動させる。これにより再駆動される圧縮空気発生装置21により負圧形成が再開されることにより吸着パッド17による成形品の実吸着圧が、実吸着圧記憶領域41aに記憶された吸着検知圧以上になるのを規制して吸着保持状態を維持させる。反対に、上記ステップ85がNOのとき、ステップ85に戻る。
【0025】
次に、ステップ89により、実吸着圧が吸着閾値圧に達したか否かを判定し、該ステップ89がYESのとき、ステップ91により、圧縮空気発生装置21をOFF制御した後に、ステップ93によりチャック15が所定の開放位置へ移動したか否かを判定する。なお、上記ステップ89がNOのときには、ステップ87に戻る。また、上記ステップ93がNOのとき、ステップ89に戻る。上記動作の繰り返しにより成形品の吸着保持時には、実吸着圧が吸着検知圧と吸着閾値圧の間、従って吸着閾値圧以下になるのを回避し、圧縮空気発生装置21の稼働時間を低減すると共に成形品が過度に吸着されて吸着痕が形成されるのを防止する。
【0026】
次に、ステップ93がYESのとき、ステップ95により、圧縮空気発生装置21が駆動しているん否かを判定し、該ステップ95がYESのとき、ステップ97により、噴射空気開閉弁29に開信号を出力して吸着パッド17から圧縮空気を噴射させて吸着パッド17の負圧を強制的に破壊し、成形品の吸着保持を解除させる。反対に、ステップ95がNOのときには、ステップ99により、圧縮空気発生装置21をON制御してステップ97に移る。
【0027】
本実施例は、吸着パッド17による成形品の吸着保持時においては、実吸着圧が吸着検知圧と吸着閾値圧の間になるように圧縮空気発生装置21を駆動制御することにより圧縮空気発生装置21の稼働時間を低減して圧縮空気の消費量を低減すると共に成形品が、吸着閾圧以上の過度の吸着圧で吸着されることによる吸着痕の発生を防止することができる。
【0028】
上記説明は、負圧発生装置内において圧縮空気を通過させる際に負圧を発生させるとして説明したが、負圧発生装置を使用せずに真空ポンプ等の真空発生装置を使用して成形品を負圧吸引する方法であってもよい。この場合にあっては、成形品の吸着保持時に、実吸着圧が吸着検知圧と吸着閾値圧の間になるように真空発生装置をON−OFF制御すればよい。
【0029】
上記説明は、成形品の吸着保持時に、真空発生装置のOFF制御後にON制御するタイミングをプログラムに依然する方法としたが、ON制御する吸着閾値圧に付いても、OFF制御する吸着閾値圧と同様に、任意に設定する方法であってもよい。即ち、図12に示すように、吸着圧設定モード時に、表示部材35dに表示される画像中に閾値圧設定釦121を表示する。なお、該画像においては、図5に示す吸着閾値圧表示ウィンドウ47bの表示を省略する。
【0030】
そして閾値圧設定釦121がタッチ操作されると、図13に示す吸着閾値圧設定画像中に、吸着OFF閾値圧表示ウィンドウ123a及び吸着ON閾値圧表示ウィンドウ123bをそれぞれ表示させる。吸着パッド17による成形品の吸着保持に伴って実吸着圧が吸着検知圧を超えて高くなった際に、圧縮空気発生装置21をOFF制御するための吸着OFF閾値圧を設定するには、吸着OFF閾値圧表示ウィンドウ123aをタッチ操作した後に、上記と同様にして吸着圧を設定する。
【0031】
一方、圧縮空気発生装置21がOFF制御されて負圧発生が規制されると、時間の経過に伴って実吸着圧が高くなり、吸着パッド17による成形品の吸着が解除される恐れがある。このため、実吸着圧が吸着OFF閾値圧が高くなった際に、圧縮空気発生装置21をON制御して負圧を発生させる必要がある。吸着ON閾値圧は、圧縮空気発生装置21をON制御する際の吸着圧で、吸着検知圧より低く、かつ吸着OFF閾値圧より高い値で任意に設定される。吸着ON閾値圧を設定するには、吸着ON閾値圧表示ウィンドウ123bをタッチ操作した後に、上記と同様にして吸着圧を設定する。
【0032】
尚、図12及び13に示す表示部材35dにおいて、実施例と同一の部材に付いては、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】成形品取出し機の概略を示す斜視図である。
【図2】吸着パッドの負圧回路を示す説明図である。
【図3】操作ペンダントの概略を示す斜視図である。
【図4】制御概略を示す電気的ブロック図である。
【図5】吸着圧設定前の画像を示す説明図である。
【図6】吸着圧設定後の画像を示す説明図である。
【図7】吸着圧制御フローの一部を示すフローチャートである。
【図8】吸着圧制御フローの一部を示すフローチャートである。
【図9】実吸着圧が吸着検知圧に達した状態の画像を示す説明図である。
【図10】実吸着圧が吸着閾値圧に達した状態の画像を示す説明図である。
【図11】実吸着圧が吸着閾値圧より高くなった際の画像を示す説明図である。
【図12】吸着圧設定モード時の変更画像を示す説明図である。
【図13】吸着閾値圧の設定画像を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 成形品取出し機
3 本体フレーム
5 走行体
9 前後フレーム
11 前後走行体
13 上下ユニット
15 チャック
17 吸着パッド
19 負圧回路
21 圧縮空気発生装置
23 負圧発生装置
25 吸着圧検知器
27 噴射空気圧調整器
29 噴射空気開閉弁
31 制御手段
33 制御ボックス
35 操作ペンダント
35a モード切換キー
35b 設定キー
35c 入力キー
35d 表示部材
37 CPU
39 プログラム記憶手段
41 作業記憶手段
41a 実吸着圧記憶領域
41b 吸着検知圧記憶領域
41c 吸着閾値圧記憶領域
43 入出力手段
45 表示制御手段
47a 吸着検知圧表示ウィンドウ
47b 吸着閾値圧表示ウィンドウ
47c 実吸着圧表示ウィンドウ
47d テンキー設定釦
47e プラス釦
47f マイナス釦
47g グラフ表示ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形機から成形品を吸着パッドにより吸着保持して所定の開放位置に取出す成形品取出し機において、
負圧(真空)手段と吸着パッドの負圧流路に設けられた吸着圧検知手段により検出される吸着パッドによる実吸着圧が、予め設定された吸着検知圧に達した際に、吸着パッドに成形品が吸着保持されたと判断すると共に、
検出される実吸着圧が、予め吸着検知圧より低い値に設定された吸着閾値圧に達した際に、負圧手段の駆動を停止制御する、
ことを特徴とする吸着圧制御方法。
【請求項2】
請求項1において、負圧手段を真空ポンプとした成形品取出し機における吸着圧制御方法。
【請求項3】
請求項1において、負圧手段は、圧縮空気発生手段と、圧縮空気の通過に伴って負圧形成する負圧発生手段からなる成形品取出し機における吸着圧制御方法。
【請求項4】
請求項1において、負圧手段の駆動停止後に検出される実吸着圧が、吸着検知圧より低く、かつ吸着閾値圧より高い所定の吸着圧に達した際に、負圧手段を再駆動する成形品取出し機における吸着圧制御方法。
【請求項5】
請求項4において、負圧手段を再駆動する所定の吸着閾値圧は、プログラムにおいて規定された値とした成形品取出し機における吸着圧制御方法。
【請求項6】
請求項4において、負圧手段を再駆動する所定の吸着閾値圧は、任意に設定される値とした成形品取出し機における吸着圧制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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