説明

成形型を形成する方法及び前記成形型を使用して物品を形成する方法

加工用成形型を形成する方法であって、チャンバ内の電極の近くに基材を配置する工程であって、該基材(610)が、少なくとも第1の構造化表面(620)を有する、工程と、該電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、液体シリコーン分子の蒸気を該プラズマに導入する工程と、剥離層(630)を堆積させる工程であって、該剥離層(630)が、シリコーン含有ポリマーを含み、該剥離層(630)が、該加工用成形型を形成するように、該基材の該第1の構造化表面の少なくとも一部上に堆積される、工程と、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形型を形成及び利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形型及び成形プロセスは、幅広く使用及び研究されている。機械ツール産業は、多種多様な詳細かつ有用なパターンを有する成形型を作ることができる。最近まで、成形型は、一般に金属から作製されていた。金属成形型を顧客の仕様に機械加工することは、非常に時間の掛かるプロセスであり得る。必要とされる時間が非常に長いことから、産業界において、ポリマー成形型の研究が行われるようになった。ポリマー成形型は、製造するのは非常に速いが、耐久性が低い、離型特性が悪い、及び成形型から成形物品への材料の付着という欠点を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、より優れた耐久性及び離型特性を有し、成形型からの材料の付着がない又は最小限であるポリマー成形型が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
少なくとも第1の構造化表面を有する基材をチャンバ内の電極上に配置する工程と、電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、液体シリコーンの蒸気をプラズマに導入する工程と、シリコーン含有ポリマーを含む剥離層を堆積させる工程であって、剥離層を基材の第1の構造化表面の少なくとも一部分上に堆積し、加工用成形型を形成する、工程と、を含む方法が本明細書に開示される。
【0005】
また、少なくとも第1の構造化表面を有する未処理の加工用成形型をチャンバ内の電極の近くに配置する工程であって、電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、液体シリコーンの蒸気をプラズマに導入する工程と、シリコーン含有ポリマーを含む剥離層を堆積させる工程であって、剥離層を未処理の加工用成形型の第1の構造化表面の少なくとも一部分上に堆積し、加工用成形型を形成する工程と、加工用成形型の第1の構造化表面の反転である成形物品を形成するために、第3世代の前躯体を加工用成形型の第1の表面の少なくとも一部分と接触させる工程と、を含む、成形物品を形成する方法が開示される。
【0006】
また、少なくとも第1の構造化表面を有する未処理の加工用成形型をチャンバ内の電極の近くに配置する工程であって、電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、液体シリコーンの蒸気をプラズマに導入する工程と、シリコーン含有ポリマーを含む剥離層を堆積させる工程であって、剥離層を未処理の加工用成形型の第1の構造化表面の少なくとも一部分上に堆積し、加工用成形型を形成する工程と、加工用成形型を含む連続ツールを形成する工程と、加工用成形型の第1の構造化表面の反転である成形物品を形成するために、第3世代の前躯体を加工用成形型の第1の表面の少なくとも一部分と連続して接触させる工程と、を含む、成形物品を連続して形成する方法が開示される。
【0007】
また、本明細書に開示及び例証される方法を使用して作製される物品も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面と共に以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本開示をより完全に理解することができる。
【0009】
図は正確な縮尺であるとは限らない。図で用いられる同様の番号は同様の構成部品を指す。しかしながら、所定の図中の構成要素を指す数字の使用は、同じ数字を付けられた別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【図1】本明細書に開示される方法の一実施形態。
【図2a】マスター成形型と、加工用成形型と、成形物品との間の関係を図式的に示す。
【図2b】マスター成形型と、加工用成形型と、成形物品との間の関係を図式的に示す。
【図3】本明細書に開示される方法の一実施形態。
【図4a】マスター成形型から加工用成形型を作製する工程を図式的に示す。
【図4b】マスター成形型から加工用成形型を作製する工程を図式的に示す。
【図5】例示的な加工用成形型。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次の記述において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、幾つかの特定の実施形態を例として示す。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0011】
本発明で使用する全ての科学用語及び専門用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書にて提供される定義は、本明細書でしばしば使用されるある種の用語の理解を促進しようとするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0012】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される形状、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメーターは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0013】
端点による数値範囲の詳述には、その範囲内に組み入れられる全ての数が包含され(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)並びにその範囲内のあらゆる範囲が包含される。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、飽和炭化水素である、アルカンのラジカルである一価の基を指す。アルキルは、直鎖、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであることができ、典型的には、1〜20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アルキル基は、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、及びエチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。また、「アルキル」という用語は、置換基及び非置換基の両方を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、式−−ORの一価の基を指し、ここで、Rは、アルキル基である。
【0017】
加工用成形型を形成する方法が本明細書に開示される。一実施形態では、加工用成形型を形成する方法は、基材の少なくとも一部分上に剥離層を堆積させる工程を含む。一般に、基材上に剥離層を堆積させるために、化学蒸着プロセスを利用することができる。一実施形態では、基材上に剥離層を堆積させるために、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)、遠隔プラズマ増強化学蒸着(RPECVD)、又はイオン増強プラズマ化学堆積(IEPCD)を利用することができる。一般に、PECVDプロセスは、剥離層を最終的に堆積する反応気体で充填された2つの電極間にある空間を持つ、2つの電極間での交流(AC)又は直流(DC)放電を使用して、プラズマを形成する。PECVDを実施するために一般に利用される、いかなるシステムも、本明細書において利用することができる。
【0018】
一例示的なPECVDシステムは、反応チャンバとも称されるチャンバを含む。一実施形態では、チャンバは、真空にすることができ、チャンバの少なくとも一部分にわたってプラズマを発生させるための手段を有することができ、プラズマを発生する条件を維持することができる。つまり、チャンバは、圧力、1つ以上の気体の流量、電源電極に供給される電力、電界の強度、プラズマ含有反応種の製剤、イオン衝撃の強度、及び反応種から剥離層を堆積させる速度を含むが、これらに限定されない、様々な条件を制御できるようにする環境を提供することができる。
【0019】
一実施形態では、チャンバは、アルミニウムで作製することができ、アルミニウムは、低スパッタ収率を有し、したがって、一般に、非常にわずかな汚染がチャンバの表面から生じる。しかしながら、また、銅、ガラス、又はステンレススチール等の他の適した材料もチャンバに使用され得る。チャンバは、いずれかの適した体積を有することができる。一実施形態では、チャンバは、約85リットル(3フィート)の体積を有することができる。チャンバは、一般に利用される、いずれの種類の構成をも有することができる。また、一例示的なPECVDシステムは、電源電極及び接地電極を含む。2つの電極は、対称であっても非対称であってもよい。一実施形態では、電極の一方又は両方は、例えば、水によって冷却されてもよい。本明細書に開示される方法を使用して基材をコーティングするために、修正することができる、又は利用することができる、一例示的な市販されるシステムには、プラズマサーモ(Plasmatherm)PE 3032(プラズマサーモ社(Plasmatherm, Inc.)、フロリダ州セントピーターズバーグ(St. Petersburg))が挙げられる。別の方法としては、本明細書に開示される方法を使用して基材をコーティングするために、2007年2月21日に出願された、名称が「有機発光ダイオードデバイスのための防湿コーティング(MOISTURE BARRIER COATINGS FOR ORGANIC LIGHT EMITTING DIODE DEVICES)」の米国特許公報第20080196664号(開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に記載されるシステムを利用することができる。
【0020】
本明細書に開示される例示的な一方法を、図1に図式的に示す。方法は、工程110、電極の近くに基材を配置する工程と、工程120、電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、工程130、液体シリコーンの蒸気をプラズマに導入する工程と、工程140、基材の少なくとも一部分上に剥離層を堆積させる工程とを含む。当業者は、本明細書を一読することによって、他の工程(本明細書に開示される幾つか、本明細書に開示されない幾つか、又は両方)は、図1に開示される工程の前、後、それと同時、又はその間(又はこれらのいずれかの組み合わせ)に実施することができることを理解するであろう。
【0021】
図1の工程110に示されるように、コーティングされる基材は、電極の近くに配置される。当業者は、本明細書を一読することによって、基材を電極の近くに配置することは、基材を電極上に電極と接触させて、又は電極の周辺に配置することも含むことを理解するであろう。基材の電極との接触は、必ずしも必要ではなく、電極と接触する場合は、それを維持する必要はない。細長い物品の場合、所望により、基材は、チャンバを通して連続して引っ張られてもよい。一実施形態では、コーティングされる基材は、電源電極又は接地電極上に配置することができる。一実施形態では、コーティングされる基材は、電源電極上に配置される。システムが非対称の電極(電源電極全体に大きなイオンシースが現れるように、電源電極の領域が接地電極より小さい)を有する一実施形態では、基材のイオン衝撃を生じさせるために、基材は、電源電極に位置することができる。イオン衝撃は、堆積される剥離層を稠密化し、それによって、剥離層の硬度及び耐久性を改善することができる。
【0022】
コーティングすることが望ましい、いかなる基材も、本明細書に開示される方法に利用することができる。一実施形態では、基材は、ポリマーである。基材として使用されるポリマー材料は、熱硬化性ポリマー材料又は熱可撓性ポリマー材料のいずれかであってよい。熱硬化性ポリマー材料は、一般に、化学変化及び材料の硬度の増加をもたらす、架橋反応が起こったものである。一般に、熱硬化性ポリマー材料は、不溶解性、不溶性であり、加熱されても流れにくく、冷却されてもそれらの元の化学状態に戻らない。熱硬化性ポリマー材料は、熱硬化性ポリマー材料、架橋可能な材料を含む材料の前躯体から形成することができる。架橋可能な材料は、架橋させるだけで熱硬化性ポリマー材料を形成することができる。また、熱硬化性ポリマー材料の前躯体は、重合可能である。重合可能な材料は、重合及び架橋させて、熱硬化性ポリマー材料を形成する必要がある。熱可撓性ポリマー材料は、一般に、熱が印加されると物理変化が起こるものである、すなわち、材料は、結合すると流れ、冷却するとその初期の非流動状態に戻る。基材として利用することができる、又は基材を形成するために利用することができる具体的な材料は、以下により完全に例示される。
【0023】
一般に、本明細書に開示される方法に利用され、本明細書に開示される方法を使用して形成される基材は、加工用成形型として機能することができる。本明細書で使用される場合、マスター成形型、又は第1世代の成形型は、加工用成形型(以下に記載される)を作製するために利用することができる。また、加工用成形型は、本明細書において、第2世代の成形型、又は第1世代の成形型であるマスター成形型の複製とも称され得る。加工用成形型は、成形物品を作製するために使用することができる。また、成形物品は、第3世代の成形型、第2世代の成形型の複製、又は加工用成形型の複製とも称され得る。
【0024】
本明細書で利用される基材は、一般に、少なくとも1つの構造化表面を有する。少なくとも1つの構造化表面は、一般に、成形物品に望まれるパターン又はパターンの一部分の反転であるパターンを有することができる。少なくとも1つの構造化表面を構成する特徴は、概して、例えば、ナノメートルからセンチメートルの寸法を有することができる。一実施形態では、少なくとも1つの構造化表面を構成する特徴は、概して、ナノメートルからマイクロメートルの寸法を有することができる。
【0025】
一実施形態では、加工用成形型の特徴は、概して、約5ナノメートル(nm)〜約1ミリメートルの寸法を有することができる。一実施形態では、加工用成形型の特徴は、概して、約5ナノメートル〜約500マイクロメートルの寸法を有することができる。一実施形態では、加工用成形型の特徴は、概して、約100ナノメートル〜約500マイクロメートルの寸法を有することができる。一実施形態では、加工用成形型の特徴は、概して、約50ナノメートル〜約200マイクロメートルの寸法を有することができる。一実施形態では、加工用成形型の特徴は、概して、約100ナノメートル〜約200マイクロメートルの寸法を有することができる。
【0026】
一実施形態では、加工用成形型は、概して、約10未満のアスペクト比(高さ対幅の比)を有することができる特徴を有することができる。一実施形態では、加工用成形型は、概して、約5未満のアスペクト比を有することができる特徴を有することができる。一実施形態では、加工用成形型は、概して、約3未満のアスペクト比を有することができる特徴を有することができる。一実施形態では、加工用成形型は、概して、約2未満のアスペクト比を有することができる特徴を有することができる。
【0027】
加工用成形型は、当業者に一般に既知の方法及び技術を使用して形成することができる。かかる一方法は、マスター成形型又は第1世代の成形型の使用を含む。マスター成形型は、一般に、加工用成形型の反転である、又は成形物品に形成されることが望まれるパターン若しくはパターンの一部分と同一の構造化表面を有することができる。マスター成形型と、加工用成形型と、成形物品との間の関係は、図2a及び図2bに図示される。図2aに見られるように、マスター成形型210及び関連する加工用成形型220は、互いの反転であるパターンを有する。より具体的に、マスター成形型210は、突出部215を有し、加工用成形型220は、対応する凹部225を有する。当業者は、マスター成形型が、反対に凹部を有することができ、加工用成形型が、対応する突出部を有することができることを理解するであろう。図2bは、加工用成形型220と成形物品230との間の関係を図示する。図2bに見られるように、加工用成形型220は、凹部225を有し、成形物品230は、対応する突出部235を有する。当業者は、加工用成形型が、反対に突出部を有し、成形物品が、凹部を有することができることを理解するであろう。また、マスター成形型210と成形物品230(図2a及び図2b)を比較することによって、マスター成形型210が、成形物品230と実質的に同一のパターンを有することも明らかである。
【0028】
マスター成形型は、当業者に一般に既知の方法及び技術を使用して形成することができる。かかる一方法は、マスター成形型を作り出すために、初期に、構造化アレイ等の構造を基材上に形成する工程を含む。構造化アレイ内の構造は、当業者に既知のコンピュータ支援設計及び製造(CAD/CAM)ソフトウェアを使用して設計及び配設され得る。いったんパターンが設計されると、これを、例えば、二光子等の多光子暴露プロセス、化学又は機械エッチング、レーザー切断、フォトリソグラフィ、ステレオリソグラフィ、マイクロ機械加工、刻み付け、切断、折筋付け、彫り込み、ダイヤモンド旋盤等の一般的に利用される技術を使用する、数々のプロセスのいずれかによって、適した材料内に作り出すことができる。様々な寸法、幾何学的構成、表面輪郭、又はこれらの組み合わせの構造を有するパターンを柔軟かつ制御可能に提供することができる限り、いかなるプロセス又はプロセスの組み合わせも使用され得る。
【0029】
パターンは、概して限定されず、例えば、突出構造、凹型構造、連続及び不連続の溝、並びにこれらの組み合わせを含み得る。構造によって形成されるパターンは、規則的であっても不規則であってもよく、これらのパターン内の個々の構造は、1つ以上の形状、角度、寸法、又はこれらの組み合わせにおいて同一であっても異なってもよい。
【0030】
マスター成形型を作製するために使用される材料は、多種多様であってよい。場合によっては、構造を正確に作り出すことをできるようにするのに十分に剛性で、平らかつ安定した、いずれの材料も使用することができる。広くは、使用される材料は、かかる構造を正確に形成及び転写できるものである。適した基材材料には、金属類、シリコン、ガラス類、石英、セラミック材料、又はポリマー材料が挙げられるが、これらに限定されない。マスター成形型がポリマー材料から形成される一実施形態では、ポリマー材料を形成するために、第1世代の前躯体が使用され得る。
【0031】
マスター成形型を製作する別の例示的な方法は、全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2007年5月17日に出願された、名称「抽出構造を用いた導光体を作製するためのプロセス及びそれによって生成される導光体(PROCESS FOR MAKING LIGHT GUIDES WITH EXTRACTION STRUCTURES AND LIGHT GUIDES PRODUCED THEREBY)」の同一出願人によるPCT国際公開第WO2007137102号に見ることができる。
【0032】
いったんマスター成形型が形成されると、次いでこれを、加工用成形型を形成するために使用することができる。マスター成形型から加工用成形型を作るために一般的に利用される方法を、本明細書で利用することができる。使用される特定の方法は、少なくとも一部分において、加工用成形型が作製される材料に依存し得る。加工用成形型がポリマーである一実施形態では、マスター成形型から加工用成形型を形成する例示的な一方法は、第2世代の前躯体をマスター成形型の少なくとも一部分と接触させる工程を含む。一般に、第2世代の前躯体をマスター成形型の少なくとも一部分と接触させる工程は、マスター成形型上のパターンの少なくとも一部分を被覆する、充填する、又はその両方を行うように機能することができる。次いで第2世代の前躯体は、加工用成形型を形成するために、例えば、引き剥がすことによってマスター成形型から取り外すことができる。加工用成形型は、マスター成形型上のパターンの少なくとも一部分の反転画像を有する。加工用成形型は、自立型、可撓性、又はその両方であってよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0033】
本明細書で使用される場合、可撓性加工用成形型は、マスター成形型の平坦な表面に対して測定して、少なくとも約30°の角度(別の実施形態では、少なくとも約45〜70°の角度)で、亀裂、変形、又はその中に複製された構造化パターンの変化等の大幅な損傷なく、マスター成形型から引き剥がすことによって取り外すことができる、加工用成形型を指すことができる。また、例えば、剛性基材が加工用成形型に取り付けられる場合、加工用成形型は、マスター成形型から平行に取り外すことができることに留意されたい。加工用成形型は、例えば、加工用成形型をその周辺の周囲で持ち上げる、又はその1つの先端を引き上げて剥がすことによって、マスター成形型から取り外されてもよい。引き剥がし速度は、第2世代の前躯体、マスター成形型の材料(一実施形態では、第1世代の前躯体から形成される)、マスター成形型内の構造の密度、並びに他の要因によって、大きく異なり得る。一般に、マスター成形型内の構造の密度が高い程、加工用成形型は、ゆっくりとマスター成形型から取り外されるべきである。
【0034】
一実施形態では、第2世代の前躯体は、熱硬化性ポリマー材料を形成する。熱硬化性ポリマー材料は、また、本明細書において、加工用成形型の文脈で第2世代の前躯体とも称され得る、熱硬化性ポリマー材料の前躯体から形成することができる。第2世代の前躯体は、架橋可能な材料を含むことができる。架橋可能な材料は、重合させることができ、そのため、それらは、熱硬化性ポリマー材料を形成するように、架橋させる(すなわち、硬化させる)だけでよいか、又は架橋可能な材料は、重合可能であってよく、そのため、それらは、熱硬化性ポリマー材料を形成するように、重合及び架橋させる必要があるか、又は第2世代の前躯体は、架橋可能な材料及び重合可能な材料の両方を含むことができる。
【0035】
一実施形態では、熱硬化性ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)は、約35℃以上であってよい。一実施形態では、熱硬化性ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)は、約45℃以上であってよい。一実施形態では、熱硬化性ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)、約50℃以上であってよい。一実施形態では、熱硬化性ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)は、約55℃以上であってよい。
【0036】
例示的な第2世代の前躯体には、エポキシ類、メラミン類、アクリレート類、アルキド樹脂類、ポリウレタン前躯体、エポキシアクリレート類、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。また、例示的な第2世代の前躯体は、熱可撓性ポリイミド類(すなわち、熱可撓性ポリイミド類は、熱硬化性ポリイミド類を形成するために、架橋させることができる)を含む。一実施形態では、熱硬化性ポリマー材料は、重合可能な材料、例えば、アクリレート基、エポキシ基、ウレタン基、又はこれらの幾つかの組み合わせを含むモノマーから得ることができる。一実施形態では、熱硬化性ポリマー材料は、超分岐アクリレート類、ウレタンアクリレート類、又はこれらの組み合わせを含むモノマーから得ることができる。
【0037】
一実施形態では、第2世代の前躯体は、マスター成形型と接触することができる粘度を有する。一実施形態では、マスター成形型と効率的に接触することができない粘度を有する第2世代の前躯体は、粘度が望ましく変化する温度で、マスター成形型に接触させることができる。例えば、マスター成形型と容易に接触するには高すぎる粘度を有する第2世代の前躯体は、粘度が低減し、より効果的に接触できるようになる上昇温度で接触させることができる。
【0038】
例示的な熱可撓性材料には、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート類、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
また、加工用成形型は、例えば、金属、ガラス、セラミック、又は半導体であってよい。当業者は、本明細書を一読することによって、かかる材料を使用して加工用成形型を作製する方法を認識するであろう。使用することができる適した金属材料には、銅、アルミニウム、白金、ステンレススチール、金、ニッケル、チタン、鉄、金属類のいずれかの合金類、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。金属は、例えば、加工用成形型を形成するためにマスター成形型に押し付けられる、シート形態にすることができる。適したセラミック、ガラス、又は半導体加工用成形型は、例えば、様々な無機材料を含む強化可能な組成物を、マスター成形型と接触させて定置することによって調製することができる。強化可能な組成物は、加工用成形型を形成するために、マスター成形型と接触している間に強化することができる。強化材料の形成は、多くの場合、強化可能な組成物への熱の印加、及びそれからの水等の液体の除去を含む。つまり、加工用成形型は、マスター成形型と隣接して配置される間に、強化可能な組成物を乾燥させることによって形成することができる。
【0040】
加工用成形型を形成するために使用される第2世代の前躯体は、所望により、マスター成形型に適用される前又は後のいずれかで、脱気されてもよく、適用後、材料は、いずれかの適した技術によって、例えば、重合される、架橋される、乾燥される、又はこれらのいずれかの組み合わせが行われてもよい。例えば、一実施形態では、第2世代の前躯体は、光化学又は熱プロセスによって硬化されてもよい。一実施形態では、第2世代の前躯体は、紫外(UV)放射線等の放射線源によって硬化され得る。例えば、一実施形態では、第2世代の前躯体は、材料を室温(又はそれが適用された温度)からより高い温度に加熱する熱源によって硬化又は乾燥され得る。一実施形態では、より高い温度とは、マスター成形型に損傷を与えない温度である。
【0041】
一実施形態では、加工用成形型は、マスター成形型からの構造が正確に複製される自立フィルムを形成するのに十分な厚さを有することができる。自立フィルムは、例えば、裏材からのいかなる追加の支持なく、それに形成される特徴を保持するフィルムである。したがって加工用成形型は、マスター成形型内のパターンの少なくとも一部分の逆の画像である第2のパターンを含む(例えば、マスター成形型が図2aに見られるような突出構造のアレイを含む場合、加工用成形型は、図2aに見られるような対応する凹部又は窪みのアレイを有する)。一実施形態では、加工用成形型は、厚さが約2mm〜1cmの自立フィルムであってよい。一実施形態では、加工用成形型は、約2mm〜約8mmの厚さを有することができる。一実施形態では、加工用成形型は、約2mm〜約3mmの厚さを有することができる。
【0042】
また、本明細書に開示される方法は、基材の少なくとも一部分上に剥離層を堆積させる工程も含む。基材上に剥離層を堆積させる工程は、一般に、シリコーン含有ポリマーを含む剥離層を、PECVDを使用して堆積させる工程を含む。一般に、PECVDプロセス又はシステムは、プラズマを形成し、そのプラズマからプラズマを収容するチャンバ内の表面上に、剥離層を堆積させる。プラズマ内の種は、加工用成形型の表面上で反応する。プラズマ堆積は、プラズマ内の種が、共有結合を介して、加工用成形型の表面に不規則に付着されるようにする。堆積される剥離層は、通常、露呈される全加工用成形型の上全体に完全な層を構成するが、露呈される加工用成形型全体の上に完全な層未満の層を構成する場合もある。剥離層は、通常、堆積される材料から形成される、シリコーン含有ポリマー材料等のポリマー材料を含む。
【0043】
基材又は加工用成形型上に剥離層を堆積させる工程は、工程120、電極に電力を供給してプラズマを形成する工程によって実施される。電極に電力を供給してプラズマを形成する工程は、例えば、電極に電源を供給し、電源を作動させてプラズマを形成することによって実施することができる。一般に、電極に電力を供給してプラズマを形成する工程は、本明細書に開示される方法中のいかなる時点でも実施することができる。一実施形態では、電極に電力を供給する工程は、基材が電極の近くに配置される前、及び液体シリコーンの蒸気をプラズマに導入する前に実施することができる。つまり、プラズマを形成する工程は、基材を導入する前、液体シリコーンの蒸気をプラズマに導入する前、又は両方で実施することができる。一実施形態では、電極に電力を供給する工程は、液体シリコーンの蒸気をプラズマに導入する工程の前に、又はそれと同時に実施することができる。一実施形態では、電力は、加工用成形型を下塗りするために、剥離層が堆積され始める、液体シリコーンの蒸気の導入の前に、アルゴン又は酸素等の非剥離層堆積気体の存在下で最初に印加される。かかる一連の工程は、剥離層の加工用成形型への接着、及び剥離層の全体的な耐久性の改善をもたらすことができる。
【0044】
上述されるように、本明細書に開示される方法は、PECVDシステムを実施することができる。PECVDシステムは、電源を含むか、又は電源に取り付けられるように構成される。電極に供給される電力は、AC源であってもDC源であってもよい。一実施形態では、電源は、例えば、RF源である。チャンバに導入される剥離層形成気体を含有するプラズマは、電力を供給することによって発生され、持続される。
【0045】
一実施形態では、電力は、約0.001〜100MHzの範囲の周波数で動作するRF発振器によって、少なくとも1つの電極に供給することができる。一実施形態では、RF電源は、約0.01〜50MHzの範囲の周波数で電力を供給する。一実施形態では、RF電源は、約13.56MHz又はそのいずれかの整数(例えば、1、2、又は3)倍の周波数で電力を供給する。RF電源は、13.56MHzのオシレータのようなRF発振器であり得る。一実施形態では、RF発振器等の電源は、約10W〜5000Wの電力レベルで動作させることができる。
【0046】
コーティングされる基材又は加工用成形型は、チャンバ内に配置されるか、又はそれを通過してもよい。幾つかの実施形態では、複数個の加工用成形型は、同時に、又は連続してプラズマに暴露されてもよい。一実施形態では、コーティングされる加工用成形型は、コーティングを妨害する汚染物質を除去するために、前洗浄されてもよいが、必ずしもそうする必要はない。有用な前洗浄方法は、酸素プラズマへの暴露である。この前洗浄のために、反応器内の圧力は、約1.3Pa(10ミリトール)〜27Pa(200ミリトール)に維持されてよい。プラズマは、約500ワット(W)〜3000WのRF電力レベルで発生される。例えば、アルゴン、空気、窒素、水素、若しくはアンモニア、又はこれらの混合物等の他の気体が前洗浄に使用されてもよい。
【0047】
一実施形態では、剥離層は、少なくとも1つの電極に供給される電力をパルス化することによって堆積させることができる。一般に、パルス堆積は、RF発振器がオン及びオフにサイクルされるプロセスを指す。いずれかの適したデューティーサイクルを使用することができる。一実施形態では、プラズマ堆積は、RF発振器の90%のデューティーサイクルを用いて実施することができ、90%は、RF発振器がオンとなる時間を指す。パルス周波数は、約1Hz〜約100Hzで変化されてもよい。一実施形態では、パルス周波数は、約10Hzである。パルスプラズマ堆積は、剥離層のプラズマ堆積中に生じ得る(常にではないが)粒子形成を減少させる、又は排除するように機能すること、剥離層の圧縮力を低減すること、又はこの組み合わせが可能である。
【0048】
また、本明細書に開示される方法は、液体シリコーンの蒸気をプラズマに導入する工程、図1の工程130を含む。一般に、液体シリコーン分子は、プラズマに導入するために気化される前に、チャンバに導入することができる。チャンバ内で、気化した液体シリコーン分子は、アルゴン又はヘリウム等の不活性気体から発生されるプラズマの一部となる。上述されるように、本明細書で利用することができるPECVDシステムは、一般に、チャンバ、接地電極、及び電源電極を含む。チャンバは、一般に、気体がチャンバに制御可能に導入されるように構成される。一般に、基材のコーティング中に存在し、基材上に堆積する気体及び液体(又は気化液体)は、本明細書において、剥離層形成気体と称される。
【0049】
一実施形態では、チャンバは、空気及びいかなる不純物も除去するために、材料を導入する前に所望の程度まで真空にすることができるが、必ずしもそうする必要はない。これは、チャンバに接続されるポンプスタックに置くことができる、真空ポンプによって達成され得る。チャンバの圧力を変化させるために、不活性気体(アルゴン等)がチャンバに導入されてもよい。いったんチャンバが真空にされると、注入管を介して材料をチャンバに入れることができる。
【0050】
液体シリコーン分子は、既知の液体移動技術を使用して液体を導入することによって、チャンバに導入することができる。一実施形態では、液体シリコーン分子は、単にチャンバ内に置くことができ、一実施形態では、液体シリコーン分子は、液体ポンプシステムを介してチャンバに送り込むことができる。いずれの有用な手段によっても、液体シリコーン分子をチャンバに供給することができる。一実施形態では、液体シリコーン分子は、電源に電気的に接続されるグラファイト又は炭素布上に置くことができ、したがってファラデーケージによってプラズマから遮蔽されている状態で、チャンバ内で気化することができる(炭素布に電流を流して炭素布を加熱することによって)。一実施形態では、液体シリコーン分子を気化するために、炭素加熱布に、最大で数アンペア(A)の電流を印加することができる。2.54cm(1インチ)幅の炭素布を利用する一実施形態では、1〜2アンペアの電流、例えば1.7Aの電流を維持することができる。
【0051】
一実施形態では、液体シリコーン分子は、シリコンを含む分子であり、大気条件で液体であり、気化することができ、重合することができる。
【0052】
一実施形態では、液体シリコーン分子は、少なくとも1つのシリコン原子を含む、反復モノマー単位の主鎖を有する。一実施形態では、液体シリコーン分子は、式I:
【0053】
【化1】

【0054】
であり、
式中、Rは独立して、H、OH、アルキル、アリール、又はアルコキシであり、Xは、H、アルキル、−Si(R、−Si(R−Yであるか、又はX及びYは共に単結合を形成するかし、Yは、H、−OH、Cl、F、Br、I、−NH、アリール、−OSi(Rであるか、又はX並びにYは共に単結合を形成するかし、かつnは、3〜13,000の整数である。X及びYが共に単結合を形成する一実施形態では、分子は、実際には環状である。
【0055】
上述されるように、nは、3〜13,000の整数であってよい。一実施形態では、nは、3〜3000の整数である。一実施形態では、nは、3〜2000の整数である。一実施形態では、nは、3〜1000の整数である。一実施形態では、nは、3〜500、3〜100、5〜100、又は10〜100の整数である。
【0056】
一般に、本明細書で使用することができる液体シリコーン分子の分子量(Mn)は、約100〜約1,000,000の範囲であってよい。一実施形態では、本明細書で使用することができる液体シリコーン分子の分子量(Mn)は、約200〜300,000の範囲であってよい。一実施形態では、本明細書で使用することができる液体シリコーン分子の分子量(Mn)は、約200〜100,000の範囲であってよい。一実施形態では、本明細書で使用することができる液体シリコーン分子の分子量(Mn)は、約500〜10,000の範囲であってよい。
【0057】
一実施形態では、液体シリコーン分子は、式II:
【0058】
【化2】

【0059】
であり、
式中、Rは独立して、H、OH、アルキル、アリール、又はアルコキシであり、かつnは、1〜13,000の整数である。一般に、式IIの化合物は、一般的に、「シリコーンオイル」と称される。液体シリコーンオリゴマーが式IIである一実施形態では、nは、3〜3000の整数であってよい。式IIは、式Iの一部である。
【0060】
一実施形態では、液体シリコーンオリゴマーは、式III:
【0061】
【化3】

【0062】
であり、
式中、nは、3〜3000の整数である。式IIIの一例示的な化合物には、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。一般的に利用されるポリジメチルシロキサンは、一般に、約1〜約100の分子量を有する。式IIIは、式I及び式IIの一部である。
【0063】
また、液体シリコーン分子と組み合わせて、二次反応物がチャンバに添加されてもよい。一実施形態では、二次反応物は、液体シリコーン分子と実質的に同時に、又は液体シリコーン分子とは異なる時点でチャンバに添加することができる。一実施形態では、二次反応物は、液体シリコーン分子の前又は液体シリコーン分子の後にチャンバに添加することができる。
【0064】
一実施形態では、二次反応物は、気体である。気体二次反応物は、少なくとも一部分において、反応器の寸法、電極の表面積、処理される物品の多孔性、剥離層の所望の厚さ、及び他の要因に依存し得る、所望の流量でチャンバに添加することができる。流量は、一般に、コーティングを実施するのに適した圧力、典型的に0.13Pa〜130Pa(0.001トール〜1.0トール)を確立するのに十分であるように選択することができる。45cm×45cm×7.5cmの内部寸法を有する正方形の反応器では、流量は、典型的に、約50〜約250立法センチメートル毎分(SCCM)である。コーティングの圧力及び温度(典型的に0.13〜133Pa(0.001〜1.0トール)(本明細書に記載される全ての圧力は、絶対圧力である)、並びに50℃未満の温度では、剥離層形成気体は、一般に、いかなる重合もない、それらの原形のままである。
【0065】
一実施形態では、気体二次反応物は、シリコン含有気体、酸素、又はアルカン若しくはアルケン等の炭化水素を含むことができる。液体シリコーン分子と組み合わせて、異なる、及び様々な量のかかる構成要素を利用することができる。二次反応物の量は、それによって形成される剥離層の特性に影響を与える可能性がある。
【0066】
一実施形態では、気体二次反応物として酸素が利用される。二次反応物として酸素を利用することは、フィルムの有利な特性に寄与し得る。一実施形態では、二次反応物として酸素ガスを含むことによって、より高い表面エネルギーを有するフィルムを供給することができる。一般に、二次反応物としてOを含むことによって、フィルムの表面張力を高める(液体シリコーンオリゴマーのみからのフィルムと比較して)ことができる。一般に、Oは、フィルムの表面上に、表面張力を高めるヒドロキシル基を形成することによって、表面張力を高めるように機能することができる。より高い表面エネルギーを有するフィルムは、第3世代の前躯体による加工用成形型表面の濡れを向上するため、有利であり得る。成形型表面のより優れた濡れは、一般に、より忠実な成形物品を提供することができる。
【0067】
一実施形態では、二次反応物は、シリコン含有気体である。シリコン含有気体の添加は、剥離層に含まれるシリコーン含有ポリマーの架橋度を向上するように機能することができる。また、シリコン含有気体は、剥離層の表面張力を高めるように機能することもできる。一実施形態では、二次反応物は、式:Si(Rを有するシリコン含有気体であり、式中、Rは独立して、H、アルキル、又はアルコキシであり、Rは独立して、H、アルキル、アルコキシ、又は−OSi(R、又は−Si(Rである。一実施形態では、単一シリコン含有気体内の全てのR置換基は、同一であり、一実施形態では、単一シリコン含有気体内の少なくとも1つのR置換基は、異なる。一実施形態では、R及びRは、同一であり、一実施形態では、R及びRは、異なる。一実施形態では、シリコン含有気体は、テトラメチルシラン(「TMS」とも称される)、Si(CH、テトラオルトシリケート(「TEOS」とも称される)、Si(OCHCH、ヘキサメチルジシロキサン、Si(CH−O−Si(CH、ヘキサメチルジシラン(CHSi−Si(CH、シラン、SiH、又はこれらの組み合わせである。一実施形態では、シリコン含有気体は、テトラメチルシラン、Si(CHである。
【0068】
一実施形態では、液体シリコーン分子と組み合わせて、炭化水素化合物を使用することができる。一実施形態では、炭化水素化合物は、コーティング条件で気体である、アルカン又はアルケン化合物であってよい。一実施形態では、気体としてチャンバに導入することができる、いずれかの気体アルカン又はアルケンを利用することができる。一実施形態では、炭化水素化合物は、C低級アルカン又はアルケン化合物である。添加することができる例示的なアルカン及びアルケン化合物には、ブタン、プロパン、ペンタン、ペンテン、ペンタジエン、ブタン、ブタジエン、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。炭化水素化合物の添加は、加工用成形型上にダイヤモンド状炭素(DLC)特性を有する剥離層を提供するために利用することができるが、必ずしもそうする必要はない。添加される場合、シリコン含有気体対アルカン化合物の体積百分率が約10%対約90%となる量の炭化水素化合物を添加することができる。
【0069】
基材、又はより具体的に加工用成形型上に形成される剥離層は、一般に、シリコーン含有ポリマーを含む。一実施形態では、また、フィルムは、他の構成要素も含むことができる。一実施形態では、また、チャンバに導入される他の構成要素(気体二次反応物等)、液体シリコーン分子(又は気体二次反応物)の分解生成物、又はこれらの組み合わせも剥離層に含むことができる。
【0070】
一実施形態では、剥離層は加工用成形型の表面の少なくとも一部分上で、概して、実質的に均一なコーティング厚さを有する。実質的に均一な厚さを有する剥離層は、より均一な成形物品をもたらすことができる。一般に、剥離層がより厚くなる程、それらは、剥離層自体の圧縮によって影響を受ける可能性がある。厚すぎる剥離層上の圧縮力は、加工用成形型を長期間使用した後、成形物品にしわをもたらす可能性がある。一実施形態では、成形物品のしわの寄った表面は、有利な特性を提供し得、例えば、利得ディフューザーは、かかる不規則な部分構造から利益を得る可能性がある。より薄い剥離層は、一般に、より厚い剥離層ほど利益を提供しない。例えば、剥離層の厚さが減少すると、剥離層によってもたらされる耐久性は、最小化される可能性がある。
【0071】
一実施形態では、剥離層は、加工用成形型の構造化表面の少なくとも一部分上に形成される。一実施形態では、剥離層は、加工用成形型の実質的に全表面上に形成される。一般に、加工用成形型の表面のより大きな被覆範囲は、剥離層からのより優れた利点をもたらす。
【0072】
剥離層の厚さは、計算、測定、又は両方によって推定することができる。一般に、剥離層の厚さは、少なくとも一部分において、剥離層の堆積速度に依存する。堆積速度は、平らなシリコン(Si)ウエファーを対照試料として使用して、断定することができる。平らなSiウエファー上の厚さは、次いで、例えば、薄膜白色光干渉法を使用して断定することができる。いったんSiウエファー上の剥離層の厚さが断定されると、パターン形成された基材上の剥離層の厚さは、パターン形状を熟考することによって断定することができる。加工用成形型が、不規則又は複雑な構造を有する一実施形態では、パターン形成された表面上の剥離層の厚さを計算することは、困難であり得る。かかる場合のSiウエファー上の剥離層の厚さは、パターン形成された表面上の剥離層の厚さの有効な推定値を提供することができる。
【0073】
一実施形態では、剥離層は、概して、約1nm〜約1000nmの厚さである。一実施形態では、剥離層は、概して、約5nm〜約300nmの厚さである。一実施形態では、剥離層は、概して、約5nm〜約100nmの厚さである。一実施形態では、剥離層は、概して、約5nm〜約50nmの厚さである。剥離層の厚さは、少なくとも一部分において、電極に供給される電力、チャンバに導入される剥離層形成気体の量、加工用成形型がプラズマに暴露される時間、並びに他の要因によって制御することができる。一般に、堆積時間は、多くの場合、剥離層の厚さに線形的に相関する。当業者は、本明細書を一読することによって、制御されるパラメーター、及び所望の剥離層厚さを得るために、どのようにそれらを制御するかを理解するであろう。
【0074】
このような別の例示的な方法は、少なくとも第1の構造化表面を有する基材をチャンバ内の電極の近く(例えば、上)に配置する工程であって、電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、チャンバ内で液体シリコーン分子を気化する工程と、シリコーン含有ポリマーを含む剥離層を堆積させる工程であって、剥離層を基材の第1の構造化表面の少なくとも一部分上に堆積し、加工用成形型を形成する工程と、を含む。別の例示的な方法は、少なくとも第1の構造化表面を有する未処理の加工用成形型をチャンバ内の電極の近く(例えば、上)に配置する工程であって、電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、チャンバ内で液体シリコーンモノマーを気化する工程と、シリコーン含有ポリマーを含む剥離層を堆積させる工程であって、剥離層を基材の第1の構造化表面の少なくとも一部分上に堆積し、加工用成形型を形成する工程と、加工用成形型の第1の構造化表面の反転である成形物品を形成するために、第3世代の前躯体を加工用成形型の第1の表面の少なくとも一部分と接触させる工程と、を含む、成形物品を形成する方法を含む。
【0075】
また、本明細書に開示される方法は、連続して行うことができる。連続すると記載される手段は、概して、接触させるプロセスが、実質的に連続(これは、成形物品を作製するために使用される、接触させる工程中に、プロセスが停止しないことを意味する)し得る、又は段階的に連続(接触させる工程中、前、又は後に、一時停止が存在してよい)し得ることを意味する。一実施形態では、実質的に連続的な方法が利用される。
【0076】
段階的に連続するプロセスの例には、射出成形、樹脂トランスファー成形、圧縮成形等が挙げられる。実質的に連続するプロセスの例には、ロール・ツー・ロールプロセスが挙げられる。実質的に連続するプロセスでは、連続ツールを形成するために、加工用成形型が利用され得る。連続ツールの一例には、ロール・ツー・ロールプロセスを使用して、キャリアフィルム上に成形物品を作り出すために、回転ドラム上に取り付けられた加工用成形型が挙げられる。また、加工用成形型は、(例えば)回転ドラム上に配置される前に、例えば、寸法又は形状に切断することによって所望されるように変形されてもよい。
【0077】
一例示的な本明細書に開示される方法は、図3に開示される方法を含む。かかる方法は、工程410、電極の近くに加工用成形型を配置する工程と、工程420、電極に電力を供給してプラズマを形成する工程と、工程430、液体シリコーン分子を気化する工程と、工程440、加工用成形型上に剥離層を堆積させる工程と、工程450、加工用成形型を含むツールを形成する工程と、工程460、第3世代の前躯体を加工用成形型と接触させる工程と、更に成形物品が形成される場合に、工程470、成形物品を加工用成形型から取り外す工程と、工程460を再び実施する工程と、更に成形物品が作製されない場合に、方法を完了する工程と、を含む。
【0078】
本明細書に記載される方法を使用して形成される加工用成形型は、成形物品を作り出すために利用することができる。また、本明細書に記載される加工用成形型を使用して形成される成形物品は、本明細書において複製と称することができる。成形物品を形成する方法は、成形物品を形成するために、第3世代の前躯体、一実施形態ではポリマー前躯体を加工用成形型の第1の表面の少なくとも一部分と接触させる工程を含む。
【0079】
一般に、本明細書に記載されるように、加工用成形型を使用して成形物品を形成するために使用することができる、いかなる材料も、加工用成形型の少なくとも一部分と接触させることができる。一実施形態では、第3世代の前躯体は、加工用成形型と接触させることができ、かつ強化される、又は強化することができる材料であってよい。一実施形態では、第3世代の前躯体は、コーティングされる、広がる、又は加工用成形型と接触させることができる粘度を有し、成形物品を形成するために、続いて強化される、又は強化することができる材料であってよい。一実施形態では、第3世代の前躯体は、加工用成形型と接触させることができ、かつ強化される、又は強化することができる材料であってよい。一実施形態では、第3世代の前躯体は、コーティングされる、広がる、又は加工用成形型を接触させることができる粘度を有し、成形物品を形成するために、続いて強化される、又は強化することができる材料であってよい。一実施形態では、接触される材料、又は第3世代の前躯体は、重合可能な材料、重合材料、又は両方を含むことができる。第3世代の前躯体は、熱硬化性ポリマー材料、重合及び架橋材料を形成するもの、又は重合されるが架橋されない熱可撓性材料を形成するものであってよい。
【0080】
第3世代の前躯体は、一般に利用されるいずれかの方法で、加工用成形型と接触させることができる。一実施形態では、第3世代の前躯体を、加工用成形型の少なくとも一部分上に堆積させることができる。図4aは、かかる工程を図示する。図4aに見られるように、第3世代の前躯体540は、加工用成形型520の少なくとも一部分上に適用される。いったん第3世代の前躯体540が加工用成形型520から取り外されると、図4aの矢印によって示されるように、第3世代の前躯体は、成形物品550を形成する。
【0081】
一実施形態では、第3世代の前躯体を、裏材の少なくとも一部分上に堆積させることができ、第3世代の前躯体及び加工用成形型を互いに接触させることができる。図4bは、かかる工程を図示する。図4bに見られるように、第3世代の前躯体540は、裏材530の少なくとも一部分に適用される。上に第3世代の前躯体540が置かれた裏材530は、図4bの2つの矢印によって示されるように、及び図4bの第2の枠に示されるように、次いで加工用成形型520と接触させることができる。加工用成形型520は、図4bの1つの矢印によって示されるように、裏材530上に置かれた成形物品550を作り出すために、次いで第3世代の前躯体540から引き剥がされる。裏材530は、成形物品550と接触したまま(図4bに示される)であってよく、又はそれから分離(図中に示さず)することができる。
【0082】
本明細書で利用されるポリマー前躯体(例えば、第1世代の前躯体、第2世代の前躯体、又は第3世代の前躯体)は、ポリマー又はモノマーを含むことができる。一実施形態では、第3世代の前躯体は、重合材料を含むことができる。一実施形態では、第3世代の前躯体は、重合可能な材料、例えばモノマー又はオリゴマーを含むことができる。一実施形態では、第3世代の前躯体は、重合材料及び重合可能な材料の組み合わせを含むことができる。第3世代の前躯体がモノマーを含む一実施形態では、第3世代の前躯体は、加工用成形型と接触した時点で重合させることができる。第3世代の前躯体がポリマーのみを含む一実施形態では、第3世代の前躯体は、加工用成形型と接触した時点で重合される必要はない(しかし、熱硬化性ポリマー材料の前躯体の場合、架橋される必要がある)。第3世代の前躯体は、架橋可能であってもよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0083】
利用することができる第3世代の前躯体の具体的な種類は、少なくとも一部分において、作製される最終成形物品に依存する場合がある。第3世代の前躯体は、重合材料、重合可能な材料、又は両方の材料を含むことができる。成形物品は重合のみを行うことができてもよく(熱可撓性成形物品)、又は重合及び架橋させることができてもよい。(熱硬化性成形物品)。利用することができる例示的な第3世代の前躯体には、ポリカーボネート類、ウレタンアクリレート類及びポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート類、ポリスチレン、シリコーンポリマー類、ポリオレフィン類、ポリイミド類、及び熱可撓性ウレタン類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
一実施形態では、前躯体が第3世代の加工用成形型と接触される前に、それに他の構成要素を添加することができる。一般に、第3世代の前躯体の1つ以上の特性を修正し、加工用成形型からの成形物品の形成を向上するために、第3世代の前躯体にかかる任意の構成要素を添加することができる。かかる任意の構成要素の一例には、加工用成形型上での第3世代の前躯体の濡れを改善することができる材料が挙げられるが、これに限定されない。濡れを改善するために利用することができる一例示的な材料には、第3世代の前躯体の表面張力を低減させることができる材料が挙げられる。例示的な材料には、シリコーン含有アクリレートモノマー(第3世代の前躯体の約0.3〜5重量%の量で)、及び例えば、フッ素含有界面活性剤(例えばFC4430(3M社(3M Co.)、ミネソタ州セントポール(St. Paul))等の界面活性剤(第3世代の前躯体の約0.1〜1重量%、及び一実施形態では、第3世代の前躯体の約0.6重量%未満の量で)が挙げられる。
【0085】
本明細書に記載される方法を使用して作製される典型的な物品には、例えば、光管理フィルムのための柱状構造、マイクロ流体デバイス、センサー、リング共振器、経皮薬物送達のための極微針、蛾眼反射防止表面、及び研磨物品が挙げられる。一実施形態では、本明細書に開示される方法は、導光体等の光学材料を製造するために利用することができる。例えば、ミクロ構造を含む導光体は、ポリカーボネート類、ウレタンアクリレート類及びポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート類、ポリスチレン、シリコーンポリマー類、ポリオレフィン類、及び熱可撓性ウレタン類を含む、多種多様な材料から製作することができる。一実施形態では、ポリアクリレート類及びポリカーボネート類等の光学的に好適な高屈折率材料を利用することができる。例示的な導光体は、背面照明ディスプレイ(例えば、光源、光ゲートデバイス(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))、及び導光体を含む)、及びキーパッド(例えば、光源、少なくとも一部分が光を透過する感圧性スイッチのアレイ、及び導光体を備える)において特に有用であり得る。また、導光体は、小型バッテリーによって電力が供給される発光ダイオード(LED)で照明される超小型若しくは小型ディスプレイ又はキーパッドデバイス用の、点から面、又は線から面までの背面導光体としても有用である場合がある。適したディスプレイデバイスには、携帯電話、ポケットベル(登録商標)、個人用デジタル補助装置、時計、腕時計、電卓、ラップトップコンピュータ、車両向けディスプレイ等のためのカラー又はモノクロLCDデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。その他のディスプレイデバイスには、ラップトップコンピュータディスプレイ又はデスクトップフラットパネルディスプレイ等のフラットパネルディスプレイが挙げられる。適した背面照明キーパッドデバイスには、携帯電話、ポケットベル(登録商標)、個人用デジタル補助装置、電卓、車両用ディスプレイ等のためのキーパッドが挙げられる。
【0086】
図5は、本明細書に開示される方法を使用して形成することができる、一例示的な加工用成形型を図示する。図5に見られる加工用成形型600は、成形型基材610と、その上に形成された構造化表面620とを含む。この例示的な加工用成形型は、2つの別個の部分である成形型基材610及び構造化表面620を含むが、当業者は、本明細書を一読することによって、構造化表面を基材材料内に形成することができることを理解するであろう。また、例示的な加工用成形型600は、構造化表面620上に置かれた剥離層630も含む。剥離層630のない基材610及び構造化表面620は、未処理の加工用成形型の一実施例である。
【0087】
一実施形態では、加工用成形型上に堆積される剥離層は、加工用成形型又は加工用成形型を使用して形成される成形物品に、1つ以上の有利な特性を提供するように機能することができる。一実施形態では、剥離層は、例えば、所望の剥離特性、向上した耐久性、高忠実度を有する成形物品を作り出す能力、及び加工用成形型又は剥離層材料の顕著な付着なく成形物品を作り出す能力を有する、加工用成形型を提供することができる。
【0088】
一実施形態では、加工用成形型上に堆積される剥離層は、成形物品を形成するために接触される材料(例えば、第3世代の前躯体)からの望ましい剥離特性を有する加工用成形型を提供するように機能することができる。剥離及び抗接着は、全体を通して、概して交換可能に使用される。一般に、成形物品からの優れた剥離特性を有する加工用成形型が望ましい。優れた剥離特性を有する加工用成形型は、一般に、低引き剥がし力を有する。引き剥がし力測定値は、当業者が既知であるように測定することができる。引き剥がし力を測定する例示的な一方法には、IMASS社(IMASS, Inc.)(マサチューセッツ州アコード(Accord))から市販される、モデルSP−2000等のスリップ/引き剥がし試験機の使用が挙げられる。モデルSP−2000スリップ/引き剥がし試験機を使用して実施することができる引き剥し試験測定をめぐる具体的なパラメーターには、180°の引き剥し角度及び30.5cm/分(12インチ/分)の引き剥がし速度を含む。
【0089】
一実施形態では、加工用成形型は、約118g/cm(300グラム/インチ)未満の加工用成形型と成形物品との間の引き剥がし力を有する。一実施形態では、加工用成形型は、約39g/cm(100グラム/インチ)未満の加工用成形型と成形物品との間の引き剥がし力を有する。一実施形態では、加工用成形型は、約20g/cm(50グラム/インチ)未満の加工用成形型と成形物品との間の引き剥がし力を有する。一実施形態では、加工用成形型は、約12g/cm(30グラム/インチ)未満の加工用成形型と成形物品との間の引き剥がし力を有する。一実施形態では、加工用成形型は、約4g/cm(10グラム/インチ)未満の加工用成形型と成形物品との間の引き剥がし力を有する。
【0090】
一実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して形成される加工用成形型は、経時的に大幅に低下しない、加工用成形型と成形物品との間の剥離特性を有する。例えば、加工用成形型は、経時的に増加しない加工用成形型と成形物品との間の接着を望ましく有することができる。これは、加工用成形型の耐久性の指標であってよい。一実施形態では、加工用成形型と成形物品との間の引き剥がし力は、複数の成形物品を成形した後に、50%を超えて増加しない。一実施形態では、加工用成形型と成形物品との間の引き剥がし力は、複数の成形物品を成形した後に、20%を超えて増加しない。一実施形態では、加工用成形型と成形物品との間の引き剥がし力は、複数の成形物品を成形した後に、10%を超えて増加しない。一実施形態では、複数の成形物品の形成は、少なくとも10個の成形物品の形成を指す。
【0091】
一実施形態では、剥離層は、向上した耐久性を有する加工用成形型を提供する。加工用成形型の耐久性は、成形物品を形成し、使用しても望ましい特性を維持するように機能する、加工用成形型の能力を指す。加工用成形型の耐久性は、成形物品を形成するための加工用成形型の全ての使用において有利である場合があるが、加工用成形型を連続的な方法に使用する場合に特に有利である場合がある。本明細書の方法を使用して形成される加工用成形型の耐久性を評価する例示的な一方法には、老化実験が挙げられる。老化実験は、概して、加工用成形型の使用の影響を加速する。かかる加速された使用をシミュレートする一方法は、長期間にわたり、加工用成形型を上昇温度にさらすことである。例えば、加工用成形型を、約55℃〜70℃の温度に約8時間〜約24時間さらしてもよい。いったん加工用成形型がかかる条件にさらされると、加工用成形型を使用して再び成形物品が形成されてよく(すなわち、加工用成形型を第3世代の前躯体と接触させ、第3世代の前躯体を硬化する)、又は加工用成形型の耐久性を評価するために、加工用成形型に更なる引き剥がし試験が実施されてよい。老化をシミュレートするために、このサイクル(オーブン内の時間及び成形物品の形成)を、複数回繰り返すことができる。
【0092】
また、加工用成形型の耐久性は、リアルタイムで監視することができ、例えば、加工用成形型から生成される成形物品の数、加工用成形型から生成される成形物品のフィート数(連続的な方法において)、加工用成形型が行った回転の数(ロール上で加工用成形型を利用する連続的な方法において)、又はこれらの幾つかの組み合わせを監視することができる。加工用成形型は、加工用成形型が、特定の量の成形物品を生成した後に、依然として成形物品を形成するために効率的に利用することができる(例えば、成形物品から剥離することができる)、疲労の明らかな徴候(亀裂、しわ、又は成形物品への付着等)を示さない、又はこれらの幾つかの組み合わせである場合、特定の量の成形物品(例えば、生成される成形物品の長さ又は加工用成形型の回転数)に対して耐久性があるといえる。
【0093】
一実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して形成される加工用成形型は、連続的な方法で、少なくとも約300回転(例えば、加工用成形型が回転ツールの一部分として使用される際)利用することができる。一実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して形成される加工用成形型は、連続的な方法で、少なくとも約1500回転(例えば、加工用成形型が回転ツールの一部分として使用される際)利用することができる。一実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して形成される加工用成形型は、少なくとも約3000回転(例えば、加工用成形型が回転ツールの一部分として使用される際)利用することができる。
【0094】
一実施形態では、本明細書に開示される加工用成形型は、高忠実度の成形物品を作り出す能力を提供する。一般に、高忠実度の成形物品は、それらが形成された加工用成形型を非常に正確に表現したものである。物品を成形する目的が、加工用成形型の精密な複製を作り出すことであるため、高忠実度の成形物品は、有利である。一般に、高忠実度は、成形される第3世代の前躯体の加工用成形型の表面を濡らす能力に影響される。第3世代の前躯体が表面をより濡らすことができると、成形物品の欠陥につながり得る気泡又は空洞が存在する可能性がより少なくなる。成形物品の忠実度に影響する可能性のある要因には、第3世代の前躯体の粘度、第3世代の前躯体による加工用成形型の濡れ、毛管力、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。毛管力は、加工用成形型内の特徴の寸法が小さくなるにつれて、一実施形態では、加工用成形型の特徴が数十ナノメートルに近づくにつれて、より重要となる可能性がある。第3世代の前躯体による加工用成形型の濡れの悪さは、常にではないが、粗面を有する成形物品をもたらす場合がある。
【0095】
一実施形態では、本明細書に開示される加工用成形型は、加工用成形型又は加工用成形型上に堆積された剥離層から成形物品自体への材料の付着が最小である、測定可能な付着がない、又は付着がない成形物品の作出をもたらす。加工用成形型又は加工用成形型上に堆積される剥離層を構成する材料の付着は、概して、成形物品を形成する際の不利点であると見なされる。付着した材料は、成形物品に対して実施し得る更なる処理を妨害する恐れがあるか、成形物品に欠陥を生じる恐れがあるか、成形物品の関連特性に悪影響を及ぼす恐れがあるか、加工用成形型の耐久性を最小化する恐れがあるか、又はこれらの組み合わせの恐れがある。
【0096】
一実施形態では、また、本明細書に開示される加工用成形型は、加工用成形型とその上に堆積される剥離層との間の良好な固着を有する。これは、加工用成形型の耐久性を向上及び/又は維持するため、加工用成形型からの付着を最小限にするため、又はこれらの組み合わせのために重要である場合がある。広くは、高エネルギープラズマ状態を使用して層を生成する蒸着プロセスは、基材とその上に堆積される層との間の強力な接着をもたらす。
【0097】
一実施形態では、本明細書に開示され、形成される加工用成形型は、紫外(UV)線に暴露される際にさえ、有利な安定性を有する。一実施形態では、本明細書に開示されるように形成される加工用成形型は、加工用成形型が、紫外線に暴露されても概して安定であるため、第3世代の前躯体が紫外線を使用して硬化されるプロセスに使用することができる。加工用成形型の耐久性が、UV硬化型成形材料を使用することによって悪影響を受けないため、多くのプロセスに有利である可能性がある。
【0098】
一実施形態では、また、加工用成形型上に形成される剥離層は、第3世代の前躯体が加工用成形型自体に到達するのを阻止する、又は最小限するための障壁も提供することができる。加工用成形型に到達する第3世代の前躯体の量を最小限にすることで、加工用成形型の耐久性を向上することができるため、これは、有利である可能性がある。一実施形態では、加工用成形型上に形成される剥離層は、加工用成形型上に形成される境界層よりも優れた障壁特性を提供することができる。また、剥離層は、形成される境界層よりも優れた成形型との接着を有する可能性が高く、それによって、更なる利点を提供する。
【実施例】
【0099】
材料及び方法:
特に言及されない限り、全ての化学物質は、アルドリッチ(Aldrich)から入手され、更に精製することなく使用された。
【0100】
数々の実施例(特定の実施例に言及される)は、上に様々な剥離層を形成するための加工用成形型として、3M(登録商標)ビキュイティ(Vikuiti)(商標)輝度上昇フィルムII(Brightness Enhancement Film II)(BEF−II90/24)を利用した。BEF−II90/24は、角度が90°のプリズム、24マイクロメートルピッチを有する。本明細書において使用された特定のビキュイティ(Vikuiti)(商標)輝度上昇フィルムII(Brightness Enhancement Film II)(本明細書において、「BEF」と称される)は、51マイクロメートル(2ミル)のポリエチレンテレフタレート(PET)裏材を有した。
【0101】
本明細書に特に指示がない限り、液体シリコーン分子は、ファラデーケージを用いてプラズマから遮蔽されている状態で、チャンバ内の電極に電気的に接続されたチャンバの両側のカーボンリボン上に置かれた。一実施形態では、約1.7Aの電流が利用され、これは、概して、液体シリコーン分子を約350℃に加熱した。実施例に利用された液体シリコーン分子は、DMS−T11シリコーンオイル(ゲレスト社(Gelest, Inc.)、ペンシルバニア州モーリスビル(Morrisville))であり、本明細書において、単に「DMS」と称される。
【0102】
プラズマコーティングは、開示が参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20080196664号に記載される、社内構成プラズマチャンバを使用して実施された。コーティング厚さは、基準基材として、平らなシリコンウエファーを用い、オーシャンオプティクス(Ocean Optics)のUSB−2000機器を使用して(光の干渉を介して)測定された。BEF上のフィルムの平面厚さは、測定値であり、したがって、フィルムの厚さ(BEFの構造を考慮した)は、平面厚さ/√2として計算することができる。
【0103】
数々の実施例(特定の実施例に言及される)は、ポリマー物品を形成するために加工用成形型上に置かれた材料として、「樹脂1」を利用した。樹脂1は、1%のイルガキュア(IRGACURE)(登録商標)819光開始剤(チバスペシャリティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)、スイス国バーゼル(Basel))を有する、比率が3:1(重量%)のフォトマー(PHOTOMER)(登録商標)6210脂肪族ウレタンジアクリレート(コグニス社(Cognis Corp.)、ペンシルバニア州アンブラー(Ambler))及びSR238 1,6ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)(サートマー社(Sartomer Company, Inc.)、ペンシルバニア州エクストン(Exton))であった。
【0104】
数々の実施例(特定の実施例に言及される)は、下塗りしたPETフィルムを利用した。本明細書に言及される下塗りしたPETフィルムは、51マイクロメートル(2ミル)ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであり、デュポン(DuPont)(デュポン(DuPont)、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))からPET#618として入手可能である。
【0105】
加工用成形型が利用され、樹脂(第2世代の前躯体)を加工用成形型に塗布し、樹脂でコーティングされた加工用成形型を下塗りしたPETフィルム(上述されるような)で被覆し、樹脂を広げ、いかなる気泡も除去するために、次いで下塗りしたPETフィルムに圧力を印加することによって、成形物品が形成された。樹脂は、次いで、フュージョンUVシステムズ社(Fusion UV Systems, Inc.)のUV硬化システム(フュージョンUVシステムズ社(Fusion UV Systems, Inc.)、メリーランド州ゲイサーズバーグ(Gaithersburg))を使用して硬化された(別途注記がある場合を除く)。水素(H)又は重水素(D)バルブは、600Wで利用され、ウェブ速度は、6メートル/分(20フィート/分)(fpm)に設定された。
【0106】
次の手順によって老化がシミュレートされた。加工用成形型の一体型構造、樹脂及び下塗りしたPETフィルムは、約55℃〜70℃に設定されたオーブンに、一定時間、例えば8〜24時間置かれた。次いで樹脂は、UV硬化され(上述されるように)、成形物品は、加工用成形型から引き剥がされた。これらの工程(一体型構造をオーブンに置く工程、UV硬化する工程、及び成形物品を取り外す工程)を1回実施することを、1サイクルと称する。全老化時間は、単一加工用成形型を含む一体型構造がオーブン内に存在した総時間を指し、これは複数の同様のオーブン時間によって達成される必要はなく、複数の異なるオーブン時間によって達成することができた。
【0107】
成形物品及び加工用成形型の品質を断定するために、走査電子顕微鏡(SEM)及び光学顕微鏡が常に使用された。
【0108】
(実施例1)
BEFフィルム(約13×18cm(5×7インチ))は、気体アルゴンを用いて、250立法センチメートル/分(SCCM)の流量、3.3Pa(25ミリトール)の圧力、及び1000ワットのRF電力で20秒間下塗りされた。上述されるように、DMS(2mL)は、アルゴンプラズマに気化され、プラズマは、約30秒間維持された。剥離層の厚さは、約200nmであると上述されるように断定された。いったんコーティングされると、加工用成形型は、エタノールで洗浄され(表面上に存在するいかなる残留シリコーンオイルも除去するために)、圧縮空気で乾燥され、次いでテフロン(登録商標)テープ(3M#5490)を使用してAlプレート上に取り付けられた。成形物品を形成するために、0.6%の3M(商標)ノベック(Novec)(商標)FC4430フッ素系界面活性剤と共に樹脂1が使用された。成形物品を形成する際の容易な剥離、及び成形物品の優れた忠実度が観測された。
【0109】
(実施例2〜5)
実施例2の加工用成形型は、BEFフィルムであり、実施例3の加工用成形型は、ポリイミド加工用成形型であった。ポリイミド加工用成形型は、構造化ポリイミドであり、これは、127マイクロメートル(5ミル)ポリイミドHフィルム(デュポン(DuPont)、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))を使用して、反転である円錐のパターンを有するように、エキシマーレーザー切断によって切断された。円錐は、約60°の角度、約40マイクロメートルの直径、及び約35マイクロメートルの高さを有した。成形型は、気体アルゴンを用いて、250立法センチメートル/分(SCCM)の流量、3.3Pa(25ミリトール)の圧力、及び600ワットのRF電力で10秒間下塗りされた。上述されるように、DMS(2mL)は、気化され、流量が200SCCMの酸素が、プラズマに導入され、剥離層は、約30秒間コーティングされた。チャンバ内の圧力は、7.3Pa(55ミリトール)であり、RF電力は、600ワットに設定された。剥離層の厚さは、約200nmであると上述されるように断定された。
【0110】
いったんコーティングされると、加工用成形型は、最初にエタノールで洗浄され(表面上に存在するいかなる残留シリコーンオイルも除去するために)、圧縮空気で乾燥され、次いでテフロン(登録商標)テープ(3M#5490)を使用してAlプレート上に取り付けられた。樹脂1は、加工用成形型の上に置かれ、成形物品は、上述されるように形成された。UV硬化後、PETフィルム上の成形物品は、加工用成形型から引き剥がされた。両方の試料は、加工用成形型からの容易な剥離を示した。また、少なくとも200時間の老化後、両方の試料で、良好な剥離、優れた耐久性、及び優れた複製忠実度が観測された。
【0111】
実施例4(BEF加工用成形型)及び実施例5(ポリイミド加工用成形型)は、酸素の流量が100SCCMに変更されたことを除き、同一の方法で実施された。少なくとも200時間の老化後、両方の成形型で、良好な剥離、優れた耐久性、及び優れた複製忠実度(樹脂1を用いた)が観測された。
【0112】
(実施例6及び7)
BEF加工用成形型(実施例6)及びポリイミド加工用成形型(実施例7)(両方とも約13×18cm(5×7インチ))は、2つの層状コーティングを形成するために、DMS−T11及びテトラメチルシラン(TMS)を使用して、次の条件下でプラズマコーティングされた。成形型は、気体アルゴンを用いて、250立法センチメートル/分(SCCM)の流量、3.3Pa(25ミリトール)の圧力、及び600ワットのRF電力で10秒間下塗りされた。第1の層は、約130SCCMのTMSの流量で、2mLのDMSを上述されるように気化し、約30秒間コーティングすることによって形成された。第2の層は、テトラメチルシラン(TMS)を130SCCMの流量で、600ワットで10秒間導入することによって形成された。シリコーン/TMS層の厚さは、約200nmであり、TMS最上層の厚さは、約30nmであった。
【0113】
樹脂1は、加工用成形型の最上に置かれ、成形物品は、上述されるように形成された。少なくとも200時間の老化の後、良好な剥離、優れた耐久性、及び優れた複製忠実度が観測された。
【0114】
(実施例8)
加工用成形型を形成するために、直径が約100マイクロメートル、及び高さが約25マイクロメートルの六角形に密集した凸状構造を有するニッケル(Ni)マスター成形型が利用された。樹脂1は、127マイクロメートル(5ミル)PET裏材に塗布され、Niマスター成形型に対してUV硬化された。Ni成形型から引き剥がした後、加工用成形型が形成された。加工用成形型は、直径が約100マイクロメートル、及び高さが約25マイクロメートルの六角形に密集した凸状構造を有した。
【0115】
13×15cm(5×6インチ)の加工用成形型(上述されるような)は、実施例5に使用されたものと同一の条件を使用して、プラズマコーティングされた。いったんコーティングされると、加工用成形型は、エタノールで洗浄され(表面上に存在するいかなる残留シリコーンオイルも除去するために)、圧縮空気で乾燥された。
【0116】
加工用成形型は、3M(登録商標)#8403テープを使用して、直径が30.5cm(12インチ)のCr仕上げ金属ロールに取り付けられた。金属ロールは、温度55℃に予熱された。複製に樹脂1が利用され、下塗りしたPETフィルム(デュポン(DuPont)#618)が裏材として使用された。ウェブ速度は、12メートル/分(40フィート/分)から24メートル/分(80フィート/分)に変更された。合計4755メートル(15,600フィート)を走らせた(〜5,000回転)。使用された加工用成形型は、いったんイソプロパノールアルコール(IPA)を用いて洗浄されると、依然として優れた状態であった。本加工用成形型を使用する際、高耐久性及び容易な剥離(モノマーの良好な濡れを伴って)が観測された。
【0117】
5000回転後、成形型は、X線光電子分光(XPS又はESCA)分析で断定して、表面上に18%のSi(及び0.9%のSn)を示した。表面は、最初、表面上に35%のSi(及び0%のSn)を示した(いかなる成形物品も形成される前)。914メートル(3000フィート)、2743メートル(9000フィート)、3658メートル(12,000フィート)、及び4755メートル(15,600フィート)で取り出した成形物品の試料上では、XPSによってSiは検出されなかった(Siの検出限界:<0.5原子%)。
【0118】
(実施例9)
本実施例では、加工用成形型として、BEFフィルム(90度のプリズム角度、及び24マイクロメートルピッチ)と類似するダイヤモンド旋削(DT)パターンを有する5×5cm(2×2インチ)のCuクーポンが利用された。加工用成形型は、気体アルゴンを用いて、250立法センチメートル/分(SCCM)の流量、3.3Pa(25ミリトール)の圧力、及び1000ワットのRF電力で10秒間下塗りされた。上述されるように、DMS(2mL)は、気化され、流量が100SCCMの酸素が、プラズマに導入され、剥離層は、約30秒間コーティングされた。いったんコーティングされると、加工用成形型は、エタノールで洗浄され(表面上に存在するいかなる残留シリコーンオイルも除去するために)、圧縮空気で乾燥された。
【0119】
樹脂1は、加工用成形型の最上に置かれ、成形物品は、上述されるように形成された。UV硬化後、PETフィルム(成形物品が付着した)は、容易に引き剥がされた。成形物品は、SEMでも明らかなように、高忠実度を示した。
【0120】
加工用成形型は、老化され、上述されるように、成形物品を形成するために使用された。加工用成形型は、少なくとも合計200時間の老化後、良好な剥離を示した。
【0121】
したがって、成形型を形成する方法及び前記成形型を使用して物品を形成する方法の実施形態が開示される。本開示が、開示されたもの以外の実施形態で実施され得ることは、当業者には理解されよう。開示された実施形態は、図示の目的のために示され、制限のために示されてはおらず、本開示は以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工用成形型を形成する方法であって、
少なくとも第1の構造化表面を有する基材を、チャンバ内の電極の近くに配置する工程と、
前記電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、
液体シリコーン分子の蒸気を前記プラズマに導入する工程と、
シリコーン含有ポリマーを含む剥離層を堆積させる工程であって、前記剥離層を前記基材の前記第1の構造化表面の少なくとも一部分上に堆積し、前記加工用成形型を形成する、工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記基材がポリマー、金属、ガラス、セラミック、又は半導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材がポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液体シリコーン分子が、式I:
【化1】

であり、
式中、Raは独立して、H、−OH、アルキル、アリール、又はアルコキシであり、
Xは、H、アルキル、−Si(Ra)3、−Si(Ra)2−Yであるか、又はX並びにYが共に単結合を形成するかし、
Yは、H、−OH、Cl、F、Br、I、−NH2、アリール−OSi(Ra)3であるか、又はX並びにYが共に単結合を形成するかし、かつ
nは3〜13000の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記液体シリコーン分子が、式II:
【化2】

であり、
式中、Raは独立して、H、−OH、アルキル、アリール、又はアルコキシであり、かつ
nは1〜13000の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記液体シリコーン分子が、式III:
【化3】

であり、
式中、nは3〜13000の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記液体シリコーン蒸気が導入される前に、又は実質的に同時に、二次反応物を前記チャンバに導入する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記二次反応物が、酸素ガス、Si(Ra)3Rbを含み、Raは独立して、H、アルキル、又はアルコキシであり、かつRbは独立して、H、アルキル、アルコキシ、−OSi(Ra)3若しくは−Si(Ra)3であり、Raは上記の通りか、若しくはこれらの組み合わせである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記二次反応物が、酸素ガス又は1〜5個の炭素原子を有する炭化水素を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
成形物品を形成する方法であって、
少なくとも第1の構造化表面を有する未処理の加工用成形型を、チャンバ内の電極の近くに配置する工程と、
前記電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、
液体シリコーン分子の蒸気を前記プラズマに導入する工程と、
シリコーン含有ポリマーを含む剥離層を堆積させる工程であって、前記剥離層を前記基材の前記第1の構造化表面の少なくとも一部分上に堆積して、前記加工用成形型を形成する、工程と、
第3世代の前駆体を前記加工用成形型の前記第1の表面の少なくとも一部分と接触させて、前記加工用成形型の前記第1の構造化表面の反転である成形物品を形成する工程と、を含む方法。
【請求項11】
前記第3世代の前駆体がモノマー類を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第3世代の前駆体が界面活性剤を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記モノマー類を重合及び架橋させて、前記成形物品を形成する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第3世代の前駆体を前記加工用成形型の少なくとも前記第1の構造化表面上に堆積させる工程が、連続して実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記加工用成形型を備える連続ツールを形成する工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第3世代の前駆体を前記加工用成形型の少なくとも前記第1の構造化表面上に堆積させる工程が、連続して実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
成形物品を連続して形成する方法であって、
少なくとも第1の構造化表面を有する未処理の加工用成形型を、チャンバ内の電極の近くに配置する工程と、
前記電極に電力を供給してプラズマを発生させる工程と、
液体シリコーン分子の蒸気を前記プラズマに導入する工程と、
シリコーン含有ポリマーを含む剥離層を堆積させる工程であって、前記剥離層を前記基材の前記第1の構造化表面の少なくとも一部分上に堆積して、前記加工用成形型を形成する、工程と、
前記加工用成形型を備える連続ツールを形成する工程と、
第3世代の前駆体を前記加工用成形型の前記第1の表面の少なくとも一部分と連続して接触させて、前記加工用成形型の前記第1の構造化表面の反転である成形物品を形成する工程と、を含む方法。
【請求項18】
前記液体シリコーン分子が、式I:
【化4】

であり、
式中、Raは独立して、H、−OH、アルキル、アリール、又はアルコキシであり、
Xは、H、アルキル、−Si(Ra)3、−Si(Ra)2−Yであるか、又はX並びにYが共に単結合を形成するかし、
Yは、H、−OH、Cl、F、Br、I、−NH2、アリール−OSi(Ra)3であるか、又はX並びにYが共に単結合を形成するかし、かつ
nは3〜13000の整数である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第3世代の前駆体を連続して硬化する工程を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記連続ツールがドラムに取り付けられた前記加工用成形型を備える、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−537868(P2010−537868A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524186(P2010−524186)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/075412
【国際公開番号】WO2009/033029
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】