説明

成形機洗浄用樹脂組成物および洗浄方法

【課題】 成形機に残留しやすい樹脂に対し、後樹脂への置換および異物除去を簡単におこなうことが可能で、少量の洗浄剤の使用でもパージ・洗浄効果が高く、洗浄温度において成形機内表面への付着を抑制し、洗浄剤自体を容易に成形機から排出することでスピーディに後樹脂への置換を迅速に行うことが可能である洗浄用樹脂組成物の提供。
【解決手段】 (A)オレフィン系熱可塑性樹脂20〜99重量%および(B)不飽和基含有カルボン酸誘導体変性オレフィン系樹脂1〜80重量%の混合物100重量部に対して、(C)粘度平均分子量1万〜150万のポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレングリコール0.1〜100重量部、(D)炭素数8〜20のアルキル基を有する硫酸塩、またはスルホン酸塩であるアニオン型界面活性剤および/または炭素数6〜22の脂肪酸の金属塩を0.1〜10重量部含有する成形機洗浄用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機洗浄用樹脂組成物、ならびに残留しやすい樹脂、または異物をパージまたは洗浄除去し、後樹脂へ迅速に置換するために使用する方法に関する。さらに詳しくは成形時にブツの発生を防止したり、ブツが発生したときに少量使用することでブツの発生を少なくすることが可能であり、洗浄中の洗浄剤自身の排出時、後材への置換性が非常に優れ、コンタミの少ない成形機用洗浄用樹脂組成物、およびそれを用いた成形機の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂等の汎用熱可塑性樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー等の熱可塑性エラストマー及びPET、PBT、PC等の汎用エンジニアリングプラスチックは、その特徴を活かして多くの分野に使用されている。これら樹脂は、成形性にも優れ、さまざまな用途に用いられている。これらの樹脂を交換する場合、樹脂の置換に時間がかかったり、また置換用に多量の樹脂が必要である、さらには樹脂の置換が長時間に渡り、次の樹脂にコンタミとして残留するなど、コスト、時間が浪費されるという問題があった。特に、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー等の熱可塑性エラストマーでは、スクリューへの付着が著しく、パージ用の樹脂が多量に必要とされているのが現状であり、少量の使用で簡単に後樹脂への置換する方法が望まれている。
また、これらの付着しやすい樹脂は、成形機の中に蓄積・滞留し、それらがブツの原因になったりする。これらブツが一度生成すると、押出機を停止させて、原因となるものを取り除いたり、溶剤で成形機を洗浄する必要があるが、これらの洗浄には多大な工数を要し、いずれの方法でも生産性の低下をきたしていた。
そのため成形機の洗浄には研磨剤を含む熱可塑性樹脂を溶融して、シリンダあるいはスクリューに付着した異物を除去する方法(特許文献1)、界面活性剤と無機化合物を含む樹脂を溶融してシリンダあるいはスクリューに付着した異物を除去する方法(特許文献2,3)、無機質充填剤と発泡剤を含む樹脂からなる洗浄用樹脂組成物(特許文献4)などが知られている。
すなわち従来の洗浄方法はグラスファイバーやアルミナなどを高粘度で樹脂に練りこんだものを使用して、成形機表面を機械的に掻き取る方法が主であった。
これらの方法では付着した樹脂を機械的に擦り取るため、成形機内の状況が均一でないと異物防止効果が悪く、さらに洗浄剤自体が高粘度のため、洗浄後に成形機中に残留し易く、また成形機を痛めることもあった。
さらに熱可塑性樹脂と発泡剤からなる洗浄材料も公知であり、例えば樹脂成形機加熱塔内用洗浄材料(特許文献5)では、洗浄すべき樹脂と適当な相溶性をもつ熱可塑性樹脂が残留物に付着したり、押出すことで洗浄されるものと考えられている。また洗浄剤(特許文献6)では樹脂の溶融性を調整することで洗浄効果が上がると記載されている。さらに特定の熱可塑性樹脂と水からなる成形機洗浄剤(特許文献7、8)も公知であるが、これらの方法では洗浄される樹脂の種類によって熱可塑性樹脂の種類や溶融性を変えないと洗浄効果があがらないという問題があり、特に押出シート成形のように極微量の異物または前使用の樹脂成分が残っていても異物およびコンタミがはっきりと分かってしまうような場合には多量の洗浄剤を使用する必要があり、洗浄効果を上げるために溶融粘度の低い熱可塑性樹脂ベースを使用すると樹脂が成形機内に残りやすく、残った樹脂がコンタミとしてブツの原因になってしまうという問題がある。
特に研磨剤を含む樹脂や高粘度樹脂では不可能であったシート成形時での使用が可能であり、PET樹脂などのエンジニアリングプラスチックの押出成形用にも少量の使用で簡単に工数がかからずにブツの発生を防止したり、発生したブツの原因となる異物を取り除く方法が望まれていた。
【特許文献1】特開平9−225963号公報
【特許文献2】第2795451号公報
【特許文献3】第2774922号公報
【特許文献4】特開平5−69446号公報
【特許文献5】第3050774号公報
【特許文献6】特開平10−81898号公報
【特許文献7】第2501218号公報
【特許文献8】第2676549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、成形機に残留しやすい樹脂に対し、後樹脂への置換および異物除去を簡単におこなうことが可能で、少量の洗浄剤の使用でもパージ・洗浄効果が高く、また洗浄温度において成形機内表面への付着を抑制し、洗浄剤自体を容易に成形機から排出することでスピーディに後樹脂への置換を迅速に行うことが可能である洗浄用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、かかる問題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、
(1) (A)オレフィン系熱可塑性樹脂20〜99重量%および(B)不飽和基含有カルボン酸誘導体変性オレフィン系樹脂1〜80重量%の混合物100重量部に対して、(C)粘度平均分子量1万〜150万のポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレングリコール0.1〜100重量部、(D)炭素数8〜20のアルキル基を有する硫酸塩、またはスルホン酸塩であるアニオン型界面活性剤(硫酸塩、またはスルホン酸塩がK,Na,NH4 から選ばれたもの)および/または炭素数6〜22の脂肪酸の金属塩(金属塩がK,Na,Ca,Mg,Znから選ばれたもの)を0.1〜10重量部含有することを特徴とする成形機洗浄用樹脂組成物。
(2) (A)オレフィン系熱可塑性樹脂が、メルトフローレート0.01〜60g/10分(190℃、2.16kg荷重)であることを特徴とする(1)記載の成形機洗浄用樹脂組成物。
(3) (A)オレフィン系熱可塑性樹脂が、ポリエチレンであることを特徴とする(1)又は(2)記載の成形機洗浄用樹脂組成物。
(4) (1)ないし(3)記載の樹脂組成物を成形機に供給してなる成形機の洗浄方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明における成形機用の洗浄剤樹脂組成物は、成形機に残留しやすい樹脂に対し、後樹脂への置換および異物除去を簡単におこなうことが可能で、少量の洗浄剤の使用でもパージ・洗浄効果が高く、また洗浄温度において成形機内表面への付着を抑制し、洗浄剤自体を容易に成形機から排出することでスピーディに後樹脂への置換を迅速に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明における(A)オレフィン系熱可塑性樹脂とは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂が代表的に挙げられるが、特に洗浄効果が優れている点で各種ポリエチレンが好ましい。 これらポリオレフィン系熱可塑性樹脂については、メルトフローレートが0.01〜60g/10分(190℃、2.16kg荷重)、より好ましくはメルトフローレートが0.05〜10g/10分(190℃、2.16kg荷重)である高粘度の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0007】
本発明における(B)不飽和基含有カルボン酸誘導体変性オレフィン系樹脂(以下、変性オレフィン系樹脂と記す。)としては、エチレン、プロピレン、またはα、β−不飽和オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸誘導体またはカルボン酸ビニルから成る共重合体樹脂または、エチレン、プロピレン、またはα、β−不飽和オレフィンから成るオレフィン系(共)重合体に対し、α、β−不飽和カルボン酸誘導体またはカルボン酸ビニルをグラフト反応せしめることにより得られるグラフト共重合体樹脂である。
ここで、α、β−不飽和オレフィンとは、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。
またα、β−不飽和カルボン酸誘導体としては、α、β−不飽和カルボン酸、α、β−不飽和カルボン酸無水物、α、β−不飽和カルボン酸エステル、またはα、β−不飽和カルボン酸アミドが挙げられ、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アニコット酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、アクリル酸ジメチルアミド、アクリル酸ジエチルアミド、メタクリル酸ジメチルアミド、メタクリル酸ジエチルアミド等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
カルボン酸ビニルとしては、具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
また、α、β−不飽和カルボン酸誘導体またはカルボン酸ビニルの使用割合は、エチレン、プロピレン、またはα、β−不飽和オレフィンの合計100重量部またはこれらのオレフィン系(共)重合体100重量部に対して、0.01〜60重量部の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜30重量部である。
特に、変性オレフィン系樹脂のグラフト重合による製造法には何ら制限はないが、例えばオレフィン系(共)重合体、α、β−不飽和カルボン酸誘導体および少量の有機過酸化物をヘンシェルミキサーなどを用いて混合した混合物を単軸または2軸の押出機に供給し、180〜250℃の温度で溶融混練する方法、オレフィン系(共)重合体を適当な溶剤に溶解し、これにα、β−不飽和カルボン酸誘導体および有機過酸化物を添加して溶液状態でグラフト反応せしめる方法などが挙げられる。
【0008】
本発明にて使用される(C)ポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレングリコールとしてはポリエチレンオキシド、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)、ポリ(1,3−プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック又はランダム共重合体及びエチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロック又はランダム共重合体等が用いられる。中でもポリエチレンオキシドが特に好ましい。またポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレングリコールの使用量は、(A)オレフィン系熱可塑性樹脂100重量部に対し0.1〜100重量部、好ましくは1〜70重量部が用いられる。ポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレングリコールが0.1重量部未満の場合は本発明の目的である樹脂の異物防止効果が得られない。また、100重量部を越える場合、ポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレングリコールが高吸水率のために、安全性、作業性の面で問題が生じる。また、ポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレングリコールの重量平均分子量は1万〜150万である事が必要である。重量平均分子量が1万未満の場合、溶融粘度が著しく低下し、押出成形機内に樹脂が滞留し、また、重量平均分子量が150万を越えると、熱によるゲル化を起こし、何れの場合も本発明の目的である樹脂の異物防止効果が得られない。
【0009】
本発明にて使用される(D)炭素数8〜20のアルキル基を有する硫酸塩、またはスルホン酸塩であるアニオン型界面活性剤(硫酸塩、またはスルホン酸塩がK、Na、NH4から選ばれたもの)では、硫酸塩としては、代表的にはオクチル硫酸ナトリウム、エチルヘキシル硫酸ナトリウム、ウンデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウム、ドデシル硫酸アンモニウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸アンモニウム等を例示することができる。また、スルホン酸塩としては、オクチルスルホン酸ナトリウム、エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム、ウンデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、オクタデシルスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等を例示することができる。前記のアニオン型界面活性剤は、硫酸塩、またはスルホン酸塩を単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。また、炭素数6〜22の脂肪酸の金属塩としては、代表的にカプロン酸マグネシウム、カプリル酸マグネシウム、カプリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、パルチミン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、べへニン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム等が挙げられ、単独または2種以上を混合して用いることができる。前記アニオン型界面活性剤および/または脂肪酸の金属塩(D)の使用量は、前記熱可塑性樹脂100重量部当たり、0.1〜10重量部である。(D)成分が0.1重量部未満の場合、異物防止効果が低くなる。また10重量部を越えた場合、押出機内、成形機内を汚染し、異物防止効果が低くなるため好ましくない。
【0010】
本発明の洗浄用樹脂組成物の製造方法には特に制限はないが、(A)オレフィン系熱可塑性樹脂、(B)変性オレフィン系樹脂、(C)ポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレングリコール、(D)アルキル基を有する硫酸塩、またはスルホン酸塩であるアニオン型界面活性剤及び脂肪酸の金属塩を単軸押出機、二軸押出機の如き混練機で溶融混合するような方法で製造される。また、本発明においては必要に応じて発泡剤を使用してもよく、その際発泡剤は混練時に同時に添加して溶融混合しても良く、後から発泡剤を吸収、吸着させたり、液体や粉体であれば塗したりする方法で組成物とすることができる。
なお、このような発泡剤としては、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、ジメチルエーテル等の炭化水素化合物、エチレンジクロリド、メチレンクロリド、クロロテトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トリヒドラジドトリアジン、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルアジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ニトロウレア、ヒドラゾジカルボンアミドなどのヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジ化化合物、ニトロソ化合物、トリアゾール化合物、ニトロ化合物、ヒドラゾ化合物等またはこれら2種以上の有機化合物系(複合)発泡剤が挙げられる。また無機系発泡剤としては例えば水、空気、窒素等の物理的に発泡する化合物や炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硼水素化ナトリウム、アジ化カルシウムなどが用いられる。
【0011】
なお、本発明の異物洗浄用樹脂組成物は押出成形機、射出成形機等、公知の成形機に使用することができる。
また、本発明の好ましい実施態様の一つとして、本発明の洗浄用樹脂組成物を成形機に供給することにより後樹脂への置換、成形機の異物を洗浄もしくは異物を防止する方法において、少量の洗浄剤の使用でもパージ・洗浄効果が高く、また洗浄温度において成形機内表面への付着を抑制し、洗浄剤自体を容易に成形機から排出することでスピーディに後樹脂への置換を迅速に行うことができるものである。
【0012】
〔実施例〕
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0013】
〔オレフィン系熱可塑性樹脂〕
A−1:直鎖状低密度ポリエチレン 三井化学(株)製エボリューSP3010
A−2:直鎖状低密度ポリエチレン 三井化学(株)製ウルトゼックス2023L
A−3:低密度ポリエチレン 三井化学(株)製ミラソン102
A−4:高密度ポリエチレン 三井化学(株)ハイゼックス7000F
【0014】
〔不飽和基含有カルボン酸誘導体変性オレフィン系樹脂〕
B−1:エチレン・アクリル酸エチル共重合体 三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックス−EEA A−710
B−2:エチレン・メタクリル酸共重合体 三井デュポンポリケミカル(株)製ニュクレル AN4214C
B−3:エチレン・酢酸ビニル共重合体 三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックス EV280
B−4:無水マレイン酸変性ポリプロピレン 三洋化成工業(株)ユーメックス1010
B−5:無水マレイン酸変性エチレン・1−ブテン共重合体 三井化学(株)タフマー MA8510
【0015】
〔ポリアルキレンオキシドグリコール〕
C−1:ポリエチレンオキサイド 明成化学(株)製アルコックスR−1000
【0016】
〔アニオン型界面活性剤または脂肪酸の金属塩〕
D−1:アルキルスルホン酸ナトリウム 三洋化成(株)製ケミスタット3033
D−2:アルキル硫酸ナトリウム 関東化学(株)製
【0017】
〔洗浄剤用樹脂組成物の製造〕
オレフィン系熱可塑性樹脂A−1〜4、不飽和基含有カルボン酸誘導体変性オレフィン系樹脂B−1〜5とポリエチレンオキサイドC−1、アニオン型界面活性剤D−1〜2、ステアリン酸マグネシウム、有機系発泡剤(アゾジカルボンアミド:大塚化学(株)製「ユニフォームAZ−H」)を表1の組成で押出して、洗浄用樹脂組成物E−1〜10およびe−1〜5を得た。
【0018】
[実施例1]
黒色に着色した前材(エチレン・酢酸ビニル共重合体 三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックスEV170)を150t射出成形機(日本製鋼所製J-150EP)でシリンダー温度220℃、背圧を充分に上げて、スクリューを前進させた状態で、溶融押出して成形機内に充填し、その後、上記の洗浄剤樹脂組成物E−1を押出し、完全に置換わるのに必要な洗浄剤量を測定した。その量を表1に示した。
また、置換し終わったのを確認後、背圧を弱めてスクリューをバックさせて、射出により、シリンダー内の樹脂を一挙に排出し、排出された射出物の色相を確認した。その変色の有無につき表1に示した。
【0019】
[実施例2〜10]
洗浄剤樹脂組成物E−1に変えて、E−2〜10を使用した以外は実施例1と同様に実施した。
【0020】
[比較例1〜5]
洗浄剤樹脂組成物E−1に変えて、e−1〜5を使用した以外は実施例1と同様に実施した。
【0021】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0022】
以上の結果からも明らかなように、本発明の洗浄用樹脂組成物は成形機に対して優れた樹脂のパージおよび異物洗浄効果を有し、少量の使用で後樹脂への置換が可能であり、その工業的な価値は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オレフィン系熱可塑性樹脂20〜99重量%および(B)不飽和基含有カルボン酸誘導体変性オレフィン系樹脂1〜80重量%の混合物100重量部に対して、(C)粘度平均分子量1万〜150万のポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレングリコール0.1〜100重量部、(D)炭素数8〜20のアルキル基を有する硫酸塩、またはスルホン酸塩であるアニオン型界面活性剤(硫酸塩、またはスルホン酸塩がK,Na,NH4 から選ばれたもの)および/または炭素数6〜22の脂肪酸の金属塩(金属塩がK,Na,Ca,Mg,Znから選ばれたもの)を0.1〜10重量部含有することを特徴とする成形機洗浄用樹脂組成物。
【請求項2】
(A)オレフィン系熱可塑性樹脂が、メルトフローレート0.01〜60g/10分(190℃、2.16kg荷重)であることを特徴とする請求項1記載の成形機洗浄用樹脂組成物。
【請求項3】
(A)オレフィン系熱可塑性樹脂が、ポリエチレンであることを特徴とする請求項1又は2記載の成形機洗浄用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3記載の樹脂組成物を成形機に供給してなる成形機の洗浄方法。

【公開番号】特開2007−21765(P2007−21765A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−203115(P2005−203115)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(399034220)日本エイアンドエル株式会社 (186)
【Fターム(参考)】