説明

成膜装置用シート及びその製造方法

【課題】複数種の成膜材料に対しても安定した剥離防止機能を確保することができる成膜装置用シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】上記成膜装置用シートSは、金属製のシート基材1と、複数の突出部21と、凹凸部22とを具備する。シート基材1は、任意の形状に折り曲げ可能である。突出部21は、シート基材1の表面に形成され、その面内に島状に分布する。凹凸部22は、シート基材1の表面及び突出部22の表面に形成される。突出部22は、成膜材料の所定以上の膜応力によって変形可能であり、例えば膜応力の比較的高い酸化物材料等の成膜材料の剥離を抑制する。一方、凹凸部22は、突出部21よりも微細に形成され、成膜材料との高い密着性を確保することで、硬度の比較的高い金属膜等の成膜材料の剥離を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置に組み込まれ成膜材料による成膜装置内の汚染を防止するための成膜装置用シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスパッタリング装置等の成膜装置は、真空チャンバの内壁や各種構成部品への成膜材料の付着による汚染を防止するため、被成膜基材の周囲に防着シートを備えている。このような防着シートは、付着堆積した成膜材料の剥離を防ぐため、表面に凹凸が形成されているものが多い(例えば特許文献1,2参照)。これにより、防着シート表面からの成膜材料の剥離に起因するパーティクルの発生を抑え、安定した成膜品質を確保するようにしている。
【0003】
例えば特許文献1には、アルミニウム系金属母材の表面に、成膜時に付着堆積する成膜材料の剥離応力を分散させる凹凸が形成された防着板の構成が記載されている。また特許文献2には、エンボス加工により複数の凹凸が形成された金属箔からなる汚染防止材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3744964号公報
【特許文献2】特開平3−87357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、成膜用材料には種々の材料が用いられ、その材料に応じて、防着シートへの付着力が異なるため、ひとつの防着シートで複数種の成膜材料に適した剥離防止機能を確保することが困難であった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、複数種の成膜材料に対しても安定した剥離防止機能を確保することができる成膜装置用シート及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る成膜装置用シートは、金属製のシート基材と、複数の突出部と、凹凸部とを具備する。
上記シート基材は、第1の面を有し、任意の形状に折り曲げ可能である。
上記突出部は、上記第1の面に形成され、上記第1の面内に島状に分布する。
上記凹凸部は、上記第1の面及び上記突出部の表面に形成される。
【0008】
また本発明の一形態に係る成膜装置用シートの製造方法は、任意の形状に折り曲げ可能な金属製のシート基材の表面をブラスト処理することで、上記表面に凹凸部を形成することを含む。
上記基材をエンボス加工することで、上記表面に島状に分布する複数の突出部が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る成膜装置用シートを備えた成膜装置を示す概略図である。
【図2】上記シートの斜視図である。
【図3】上記シートの表面の拡大図である。
【図4】上記シートの要部断面図である。
【図5】上記シートの製造方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る成膜装置用シートは、金属製のシート基材と、複数の突出部と、凹凸部とを具備する。
上記シート基材は、第1の面を有し、任意の形状に折り曲げ可能である。
上記突出部は、上記第1の面に形成され、上記第1の面内に島状に分布する。
上記凹凸部は、上記第1の面及び上記突出部の表面に形成される。
【0011】
上記成膜装置用シートは、シート基材の第1の面側が成膜材料の付着面として用いられる。突出部と凹凸部は上記第1の面に形成され、それぞれ第1の面の表面積を大きくすることで、成膜材料との密着性を高める。このうち突出部は、成膜材料の所定以上の膜応力によって変形可能であり、例えば膜応力の比較的高い酸化物材料等の成膜材料の剥離を抑制する。一方、凹凸部は、突出部よりも微細に形成され、成膜材料との高い密着性を確保することで、硬度の比較的高い金属膜等の成膜材料の剥離を抑制する。
以上のように上記成膜装置用シートによれば、複数種の成膜材料に対しても安定した剥離防止機能を得ることができる。
【0012】
シート基材は、任意の形状に折り曲げられることが可能であるため、上記シートを成膜装置内の任意の部位に容易かつ適切に設置することができる。また、上記シートは、既存の防着用部材の表面を被覆するように設置されてもよい。
【0013】
突出部の形成方法は特に限定されない。例えば、上記複数の突出部は、シート基材をエンボス加工することで形成される。
これにより、シート基材の第1の面だけでなく、その反対側の第2の面にも上記突出部と対応する凹部が形成されることになり、変形能の高い突出部を容易に形成することができる。
【0014】
突出部の形状は、円形、矩形等の単純形状に限られず、より複雑な形状であってもよい。個々の突出部は定形である必要はなく、不定形であってもよい。第1の面からの突出部の高さは、対象とする成膜材料に応じて適宜設定可能であり、例えば100〜500μmである。隣接する突出部の間隔も特に限定されず、例えば500〜5000μmである。
【0015】
凹凸部の形成方法も特に限定されない。例えば、上記凹凸部は、上記第1の面をブラスト加工することで形成される。
これにより、シート基材の第1の面及び突出部の表面を所望の表面粗さに調整することができる。凹凸部の形状、深さ、ピッチ等は特に限定されず、対象とする成膜材料に応じて適宜設定することができる。
シート基材の厚みは例えば30μm以上400μm以下である。また、シート基材の厚みを30〜200μmにすることで、ハサミを用いて任意の形状に容易に切り出すことが可能である。
【0016】
また、シート基材を構成する金属材料は特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウム等が挙げられる。中でも、アルミニウム等の低融点材料でシート基材を構成することにより、溶融処理による成膜材料とシート基材との選択分離が容易となり、材料の回収効率を高めることができる。また、例えば金や白金等の貴金属、モリブデンやタンタルなどの希少金属が成膜用金属材料として用いられる場合でも、上記処理により材料の回収、再利用が可能となる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る成膜装置用シートの製造方法は、任意の形状に折り曲げ可能な金属製のシート基材の表面をブラスト処理することで、上記表面に凹凸部を形成することを含む。
上記基材をエンボス加工することで、上記表面に島状に分布する複数の突出部が形成される。
【0018】
上記製造方法によれば、複数種の成膜材料に対して安定した剥離防止機能を有する成膜装置用シートを製造することができる。
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る成膜装置用シート(以下「防着シート」ともいう。)を備えた成膜装置を示す概略図である。成膜装置としては、スパッタリング装置を例に挙げて説明する。
【0021】
[成膜装置の概略構成]
成膜装置10は、チャンバ11と、ステージ12と、ターゲットアセンブリ13とを有する。チャンバ11は、真空ポンプ14に接続されており、内部が所定の減圧雰囲気に排気されることが可能である。ステージ12はチャンバ11の内部に設置され、半導体基板やガラス基板等の被処理基板Wを支持する。ターゲットアセンブリ13は、ステージ12上の基板Wと対向するようにチャンバ11の天板に設置されている。ターゲットアセンブリ13は、成膜材料で形成されたターゲット、当該ターゲットを支持するバッキングプレート等を組み合わせて構成され、装置外に設置された図示しない直流電源、高周波電源等に接続される。
【0022】
成膜装置10は、減圧雰囲気に維持されたチャンバ11の内部にプロセスガスを導入し、ターゲットアセンブリ13に所定電力を印加することで、チャンバ11の内部に上記プロセスガスのプラズマを発生させる。ターゲットはプラズマ中のイオンによりスパッタされ、ターゲット表面から飛び出したスパッタ粒子は基板Wの表面に堆積する。このようにして基板Wへの成膜処理が行われる。
【0023】
一般に、スパッタ粒子は基板表面だけでなくチャンバの内部に飛散し、チャンバ内壁面やステージの周面、ターゲット周囲の構造物にも付着し堆積する。その付着物は、成膜処理の継続により厚みが増加し、最終的には膜応力によって剥離する。付着物の剥離で生じるパーティクルは、成膜処理される基板の表面に異物として付着し、成膜品質を低下させる。このためチャンバ内部には、チャンバ内壁面や各種構造物への成膜材料の付着を防止するための防着部材が設置される。
【0024】
本実施形態の成膜装置10は、図1に示すように、チャンバ11の内壁への成膜材料の付着を防止する第1の防着シートS1と、ステージ12の周囲への成膜材料の付着を防止する第2の防着シートS2と、ターゲットアセンブリ13の周囲への成膜材料の付着を防止する第3の防着シートS3とを有する。これら防着シートS1〜S3は各々、対象領域を被覆するようにチャンバ11の内部に設置される。あるいは、防着シートS1〜S3は、対象領域を被覆する既存の防着部材と組み合わせて使用されてもよく、例えば上記防着部材の表面を被覆するように取り付けられる。
【0025】
防着シートS1〜S3はそれぞれ、表面に付着した成膜材料の剥離を防止するための共通の構成を有している。以下、これらを防着シートSと総称してその構成の詳細を説明する。
【0026】
[防着シートの構成]
図2は、防着シートSの斜視図である。防着シートSは、金属製のシート基材1と、その表面に形成された構造部2とを有する。
【0027】
シート基材1は、ユーザの手指により任意の形状に折り曲げ可能な厚みを有する金属箔あるいは金属シートで形成される。シート基材1の厚みは特に限定されず、例えば30μm以上400μm以下であり、本実施形態では100μmである。したがって防着シートSは、ハサミ等により任意の形状に容易に切り出すことが可能であるとともに、目的とする領域にフィットするように適宜形状を変化させて取り付けることが可能である。
【0028】
シート基材1を構成する金属材料は特に限定されないが、真空での使用に適した材料が選択され、例えばアルミニウムまたはその合金で形成される。これにより、軽量かつ適度な強度を有する防着シートSを構成することができる。なお、シート基材1はアルミニウム系金属で形成される例に限られず、例えばステンレス鋼、鉄、銅等で形成されてもよい。
【0029】
構造部2は、シート基材1の表面に、付着した成膜材料の剥離を防止する特殊な形状を付与する。図3は、構造部2の詳細を示すシート基材1の表面の拡大図である。構造部2は、突出部21と、凹凸部22とを有する。
【0030】
突出部21は、シート基材1の表面にマクロ的な凹凸を形成し、シート基材1の面内に島状に分布するように複数形成される。突出部21は、付着した成膜材料の所定以上の膜応力によって変形可能である。
【0031】
突出部21の形状は、円形、矩形等の単純形状を有してもよいが、図示するように通常の幾何学形状より複雑な形状で形成されてもよい。個々の突出部21は定形である必要はなく、図示するように不定形であってもよい。突出部21の大きさも個々にばらつきがあってもよい。一方、各々の突出部21は、ほぼ同等の高さで形成されている。
【0032】
シート基材1の表面からの突出部21の高さは、対象とする成膜材料に応じて適宜設定可能であり、例えば100μm〜500μm、本実施形態では200μm〜300μmである。隣接する突出部の間隔も特に限定されず、例えば0.5mm〜5mm、本実施形態では2mm〜3mmである。
【0033】
突出部21は、シート基材1の表面に形成されてもよいし、表面及び裏面に形成されてもよい。本実施形態では、突出部21は、シート基材1をエンボス加工することで形成される。これにより、シート基材1の表面だけでなく、その反対側の裏面にも突出部21と対応する凹部が形成される。図4は、その様子を示す防着シートSの要部断面図である。シート基材1の両面に突出部21あるいはこれに対応する凹部が形成されることで、突出部21の変形能が高まり、成膜材料の膜応力を比較的容易に吸収することが可能となる。
【0034】
凹凸部22は、シート基材1の表面および突出部21の表面に形成された微細な凹凸であり、成膜材料との密着性を高める。これにより、硬度の比較的高い成膜材料でもその剥離を防止することが可能である。
【0035】
凹凸部22は、突出部21よりもはるかに微細であり、シート基材1の表面および突出部21の表面に梨地のような粗度を付与する。このような凹凸部22の形成方法としては、例えばブラスト処理が適用可能である。ショット条件を調整することで、対象とする成膜材料の種類に応じて所望の粗度を形成することができる。本実施形態では、凹凸部22の表面粗さは例えばRa0.7〜3μmであり、本実施形態では粒径100メッシュのガラスビーズを用いて表面粗度(Ra2μm)の凹凸部22が形成される。
【0036】
凹凸部22の形成に伴い、シート基材1の裏面側にも凹凸部22に対応する凹凸が形成されてもよい。この場合、ブラスト処理されるシート基材1は、成膜材料を付着させる面とは反対側の面(裏面)であってもよく、このような処理によってもシート基材1の表面側に適宜の凹凸部を形成することができる。
【0037】
以上のように構成される防着シートSは、真空チャンバ11内部の適宜の場所に、防着シートS1〜S3としてそれぞれ設置される。防着シートS1〜S3は、設置された部位への成膜材料の付着を防止する防着部材として使用される。
【0038】
防着シートSは、その平面形状を維持可能な適度な剛性を有する。このため、設置部位において皺が生じたり、湾曲したりすることなく所定の平面度を維持することができ、任意の形状に折り曲げられた際にはその形状を維持できる。このような防着シートSの剛性は、シート基材1の厚みによって付与されてもよいし、突出部21の有する立体構造によって付与されてもよい。
【0039】
[防着シートの製造方法]
図5は、防着シートSの製造方法を説明する概略図である。本実施形態では、ロール・ツー・ロール方式で防着シートSが製造される。
【0040】
シート基材1は長尺の帯状に形成されており、巻出しローラ31から繰り出された後、ブラスト処理工程およびプレス処理工程に搬送される。ブラスト処理工程は、シート基材1の表面にブラストノズル33を配置し、ブラストノズル33から噴射されるブラスト粒子の照射を受けて、凹凸部22が形成される。凹凸部22が形成されたシート基材1は、一対のロール34Aおよび34Bの間に送られてエンボス加工される。一対のロール34A,34Bのうち少なくともひとつのロール表面には、突出部21に対応する形状の凹凸パターンが形成されており、シート基材1の表面へその凹凸部を転写する。以上の各処理によって防着シートSが作製され、作製された防着シートSは巻取り部32に巻き取られる。
【0041】
本実施形態によれば、エンボス加工の前にブラスト処理をシート基材1に対して施すようにしているので、シート基材1の表面に凹凸部22を均等に形成することができる。また、ロール34A,34Bの表面を適度な粗さに加工しておくことで、エンボス加工処理の際に突出部21と同時に凹凸部22をも形成することができる。この場合、ブラスト処理が不要となるため、設備の簡素化することができる。
【0042】
[防着シートの作用]
防着シートSは、構造部2が形成されたシート基材1の一方の面を成膜源に向けて設置される。本実施形態によれば、シート基材1をユーザの手指により容易に任意の形状に折り曲げたり、ハサミ等で容易に任意の形状に切り出したりすることができるため、防着シートSを成膜装置内の任意の部位に容易かつ適切に設置することができる。
【0043】
防着シートSは、必要に応じて、既存の防着用部材の表面を被覆するように設置される。このとき防着シートSは、その周縁部を折り返すことで係止部を形成し、その係止部を介して上記防着用部材に固定されてもよいし、適宜の係止具を用いて上記防着用部材に固定されてもよい。
【0044】
成膜装置10による基板Wへの成膜処理に際して、ターゲットから叩き出された成膜材料は、基板Wの表面だけでなく、防着シートSの表面にも付着、堆積する。防着シートSに付着した成膜材料は、構造部2を被覆するように堆積する。このとき、凹凸部22に起因するシート基材1の粗化面によって、成膜材料は高い密着性をもって防着シートSの表面に付着する。これにより、例えばMo、W、Ti、Cr、Au、Ag、Pt、In等の比較的硬度の高い金属膜を剥離させることなく安定に捕捉することができる。
【0045】
また、構造部2を被覆する成膜材料が、SiOやTiO、CrOといった酸化膜等の膜応力が比較的高い材料の場合、一定以上の膜応力を突出部21の変形により吸収する。これにより付着膜の膜応力が緩和され、付着物の防着シートSからの剥離を防止することができる。したがって、屈折率の異なる複数種の酸化膜を交互に成膜する光学デバイス製造用の成膜装置にも、当該防着シートSを好適に用いることができる。
【0046】
以上のように本実施形態の防着シートSによれば、複数種の成膜材料に対して安定した剥離防止機能を確保することができる。これにより、成膜材料に応じて複数種の防着シートを使い分ける必要がなくなり、作業の簡素化を図ることができる。
【0047】
また、構造部2を突出部21と凹凸部22とを含む多重凹凸構造を有しているため、ひとつの防着シートSで膜応力や硬度が異なる複数種の成膜材料を対象とすることが可能である。
【0048】
さらに本実施形態の防着シートSは、付着物の剥離を長期にわたって安定に防止できるため、パーティクル(微小ダスト)の発生を長期にわたり抑制でき、これにより装置のメンテナンスサイクルを拡張することができる。本発明者の実験によれば、防着シートSを用いることで、SiOやTiOなどの酸化膜を成膜するスパッタリング装置のメンテナンスサイクルを2週間ないしは1ヶ月にまで長期化できることが確認された。
【0049】
さらに本実施形態によれば、比較的低融点であるアルミニウム系金属材料でシート基材1が構成されているため、防着シートSの使用後、溶融処理により成膜材料との選択分離が容易となり、材料の回収効率を高めることができる。また、例えばAuやPt等の貴金属、MoやTaなどの希少金属が成膜用金属材料として用いられる場合でも、上記処理によりこれらの材料の回収、再利用が可能となる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変更が可能である。
【0051】
例えば以上の実施形態では、シート基材1の表面に凹凸部22を形成する方法としてブラスト処理を例に挙げて説明したが、これに代えて他の粗面化技術、例えばプラズマ処理や薬液処理、アルマイト処理等によって上記凹凸部を形成してもよい。
【0052】
また以上の実施形態では、ロール・ツー・ロール方式で防着シートSを製造する方法を説明したが、所定の枚葉サイズに切り出したシート基材1を個々にあるいは所定枚数一括してプレス処理することで、突出部21等の構造部2を形成するようにしてもよい。
【0053】
さらに以上の実施形態では、成膜装置としてスパッタリング装置を例に挙げたが、これに限られず、真空蒸着装置、イオンプレーティング装置、CVD装置等の他の成膜装置にも、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…シート基材
2…構造部
10…成膜装置
21…突出部
22…凹凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有し、任意の形状に折り曲げ可能な金属製のシート基材と、
前記第1の面に形成され、前記第1の面内に島状に分布する複数の突出部と、
前記第1の面及び前記突出部の表面に形成された凹凸部と
を具備する成膜装置用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の成膜装置用シートであって、
前記複数の突出部は、前記シート基材をエンボス加工することで形成される
成膜装置用シート。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の成膜装置用シートであって、
前記凹凸部は、前記第1の面をブラスト加工することで形成される
成膜装置用シート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の成膜装置用シートであって、
前記シート基材は、30μm以上400μm以下の厚みを有する
成膜装置用シート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の成膜装置用シートであって、
前記シート基材は、アルミニウムで形成される
成膜装置用シート。
【請求項6】
任意の形状に折り曲げ可能な金属製のシート基材の表面をブラスト処理することで、前記表面に凹凸部を形成し、
前記基材をエンボス加工することで、前記表面に島状に分布する複数の突出部を形成する
成膜装置用シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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