房状織物
本発明は、光に対して実質的に透過的な主裏当て層10と、該主裏当て層の第1の側に房を形成する糸40と、上記主裏当て層における該第1の側とは反対の第2の側に設けられる接着層30と、上記主裏当て層の第2の側に面する位置に配設された光源50、80及び該光源用の導体装置60とを有する房状織物100に関するものである。上記接着層、光源及び導体装置は、上記光源からの光が上記主裏当て層に到達し得るように構成される。該房状織物100は、絨毯であり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、房状織物に係り、特には主裏当て層と、該主裏当て層の第1の側に房を形成する糸と、上記主裏当て層における該第1の側とは反対の第2の側に設けられる接着層と、光源とを有する房状織物に関する。
【背景技術】
【0002】
房状織物は、典型的には、一次裏当てに、使用時に使用者に面する側に房を形成する糸を設けることにより作製される。房状織物の例は、絨毯、掛け布及び室内装飾布を含む。本説明を通して、絨毯が、本発明を説明するために房状織物の一例として掲げられる。絨毯の関連で説明される本発明の利点の殆どが、掛け布及び室内装飾布等の他のタイプの房状織物にも当てはまることが理解されよう。
【0003】
絨毯は、通常、房を形成する糸を設けた主裏当て層と、第2裏当て層と、主裏当て層と第2裏当て層との間に設けられた接着層とを有している。上記糸は主裏当て層を貫通し、人が歩くことができるパイル面から突出する房を形成する。反対側の面には縫い目が存在する。縫い目側に存在する上記接着層は、該縫い目を主裏当て層に接着して、上記房を定位置に維持すると共に該主裏当て層と第2裏当て層とを接着する。
【0004】
本説明で使用されるように、"第2裏当て層"なる用語は、当該絨毯のパイル面とは反対の面を形成する裏当て層を含む。このような層は、通常は"二次裏当て層"と称され、市販されている。これらの"二次裏当て層"は、絨毯の裏当てに好適であると共に、絨毯工場で使用される絨毯製造方法に良く適合するという利点を有している。しかしながら、第2裏当て層は二次裏当て層に限定されるものではなく、第2裏当て層の上記接着層から遠い方に向く側には更なる層が存在し得ることに注意すべきである。
【0005】
多くの用途において、絨毯は多数の試験を合格する必要がある。絨毯は、なかでも、外見保持(appearance retention)、光に対する色あせ、洗濯及び色落ち(cleaning and crocking)、房の結合度、剥離強度及び静電特性に関して試験することができる。外見保持試験は、六脚体ドラム、ヴェッターマンドラム又は四脚体ドラムを用いて実行することができる。これらの試験においては、脚をモデル化した複数の突起を持つボールが絨毯のパイル面上を転動し、次いで外見が評価される。外見保持試験法の例は、ISO TR 10361及びISO/CD 12950及び六脚体ドラム試験器ガイドラインのASTM D-5252に記載されている。主裏当て層からの第2裏当て層の剥離強度の試験は、ASTM D-3936に記載された試験に従って実行することができる。裏当て層構造体に対する縫い目の接着の強度の試験は、ASTM D-1355であろう。絨毯の第2裏当て層は、空気の透過性に関しても試験される必要があるであろう。接着剤(binder)の硬化の間において、蒸発された接着剤は裏当てから逃れることができなければならない。第2裏当て層の通気性は、ASTM D-737に従って試験することができる。
【0006】
国際特許出願公開第WO2006/057531号は、車両用の発光マットを開示している。該発光マットは、防音、温もり及び衝撃吸収の目的で多数の絨毛で覆われると共に一部に開口を持つ絨毯部分と、該絨毯部分の上記開口の形状に対応する装飾パターンを有すると共に該絨毯部分を支持する透明装飾板と、上記開口及び装飾パターンの形状に対応する形状の凹部を有し、上記透明装飾板を支持する支持板と、該支持板の上記凹部内に取り付けられるのを可能にするような寸法を持つ透明光放出板と、該透明光放出板の縁に沿って形成された複数の挿入溝内に各々配設された複数のLEDと、これら発光ダイオードに電力を供給する電源ユニットと、上記絨毯部分、透明装飾板及び支持板を結合する結合部とを有する。
【0007】
このような構成において、上記絨毛は、上記絨毯部分の開口における上記光放出板の上の部分には存在しない。この絨毛のない開口部分は、防音、温もり及び衝撃吸収特性は有していない。この結果、上記光放出部分は寸法に制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改善された房状織物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、
− 光に対して実質的に透過的な主裏当て層と、
− 前記主裏当て層の第1の側に房を形成する糸と、
− 前記主裏当て層における前記第1の側とは反対の第2の側に設けられる接着層と、
− 前記主裏当て層の前記第2の側に面する位置に配設される光源及び該光源用の導体装置と、
を有し、前記接着層、前記光源及び前記導体装置が、前記光源からの光が前記主裏当て層に到達し得るように配置される房状織物を提供する本発明により達成される。
【0010】
光に対して実質的に透過的なエレメントとは、例えば当該エレメントに当たる光の少なくとも一部が透過し得るようなエレメントを指す。斯かるエレメントは透光性材料により部分的に若しくは完全に形成することができるか、又は該エレメントは光が貫通することができる開口を有することができる。
【0011】
本発明は、当該織物の房を形成する糸が、該織物が人の目には不透明に見えるかも知れないが、光を透過させるのに十分な開口を有する構造体を形成するという理解に基づいている。外見的理由により、上記房は主裏当て層が見えないように設けられるが、光は依然として該房構造体を介して貫通することができる。光に対して透過的な主裏当て層の下に光源を配置する結果、該光源からの光は当該房状表面から放出される。
【0012】
このような房状織物は、光放出部分の寸法が余り制限されないという利点を有している。
【0013】
房を定位置に保持する前記接着層は、主裏当て層の下で、前記光源及び導体装置を定位置に保持するために使用することもできる。上記光源は、主裏当て層の第2の側と上記接着層との間に配置することができる。該光源を配置することが可能な開口(又は複数の開口)を、上記接着層における主裏当て層に面する表面に設けることができる。
【0014】
本発明の好ましい実施例によれば、上記接着層は、上記光源から主裏当て層への光の透過を可能にするために、光に対して少なくとも部分的に透過的とする。このことは、上記光源及び導体装置が、上記接着層における主裏当て層から遠くに面する側に、即ち該接着層の表面に配置されるのを可能にする。この場合、上記光源及び導体装置は、追加の接着手段により位置的に固定することができる。上記光源は、該接着層に完全に封入することもできる。他の例として、上記光源は上記接着層の下に、該光源と該接着層との間に空間を設けて配置することもできる。
【0015】
本発明の他の実施例によれば、当該房状織物は、上記接着層における上記主裏当て層から遠い方に向く側に第2裏当て層を更に有し、
− 上記主裏当て層、上記接着層及び上記第2裏当て層は実質的に同一の表面積を有し、
− 上記接着層は光に対して実質的に透過的であり、
− 前記光源、前記導体装置及び上記第2裏当て層は、該光源からの光が上記接着層に到達することを可能にするように構成される。
【0016】
上記第2裏当て層がない場合、当該織物は一層可撓的となる。このことは、掛け布及び室内装飾布にとり好ましいであろう。一方、この実施例におけるような当該房状織物への上記第2裏当て層の追加は、該織物の強度を向上させる。これは、絨毯にとり好ましいであろう。掛け布及び室内装飾布と比較して、絨毯は、一層の強度及び厚さを有することの固有の利点を有し、これにより上記光源が一層良好に保護される。加えて、前記絨毯の製造方法は、当該絨毯構造体の内部への光源の容易な組み込みを可能にする。
【0017】
上記光源は、1以上のLEDとすることができる。上述した構造によれば、前記第2裏当て層内に、下に又は上に斯かるLEDをどの様に分布させるかには制限がない。前記従来技術のマットとは異なり、上記LEDは第2裏当て層の実質的に全領域にわたり配置することができる。上記従来技術のマットにおけるようなLED上の開口がないことは、本発明による絨毯を、光の放出が常に必要とされるとは限らない場所での使用に一層適したものとさせる。また、主裏当て層をLED上の部分で切除するための工程が必要とされないので、当該絨毯の製造が簡単になる。更に、主裏当て層は、例えば足又は椅子の脚により生じ得る損傷からの当該LEDの保護にも貢献する。
【0018】
本発明の他の実施例によれば、上記LED及び導体装置は第2裏当て層に組み込まれ、その場合において、該第2裏当て層はLEDから接着層への光の透過を可能にするために光に対して少なくとも部分的に透過的とするか、又は上記LED及び導体装置は第2裏当て層における上記接着層に面する表面上に設けられる。上記LED、導体装置及び第2裏当て層の斯かる2つの構成態様は、上記LEDからの光が上記接着層に到達し、更に当該絨毯のパイル面まで透過されることを保証する。この方法の利点は、LEDが当該絨毯の積層された構造体内で保護されることである。これらLEDは、例えば電子回路を損傷し又は斯かる電子回路の周囲の防水シールを損傷しかねない例えば擦過又は衝撃等から保護される。上記パイル面側では、これらLEDは房を備える一次裏当てにより保護される一方、反対側では、これらLEDは第2裏当て層により保護される。裏側の保護は、当該絨毯の設置の間に特に重要である。
【0019】
本発明の他の実施例によれば、上記主裏当て層は実質的に透光性である。本説明で使用される場合、"透光性"なる用語は、可視光の波長の全て又は一部が、散乱を伴って又は伴わずに、当該材料を通過し得ることを意味する。このことは、上記LEDから放出された光の輝度の当該主裏当て層による低下が減少されるという利点を有している。例えば、光の輝度の5%より多く、又は10%より多く、又は30%より多くが透過される。
【0020】
本発明の他の実施例によれば、上記主裏当て層は上記房により覆われる開口(apertures)を有する。これら開口が人の目によっては見えないような構成においては、当該絨毯は上記LEDがオフ状態の場合、通常の絨毯として使用することができる。斯かる開口は、放出された光の輝度を増加させる。上記主裏当て層に対する材料の選択自由度が高くなる。何故なら、該主裏当て層の材料が透光性でなければならないという制限が存在しないからである。
【0021】
本発明の他の実施例によれば、上記主裏当て層及び第2裏当て層のうちの少なくとも一方が、ポリプロピレン、ナイロン又はジュートを有する。これらの材料は、相対的に安価であるという利点を有する。透光性の構造体をポリプロピレン又はナイロンで製造することは容易である。また、これらの材料が既存の房状絨毯において通常に使用されているという事実は、本発明による絨毯を製造するのを容易にさせる。これらの裏当て層が実質的に上記材料からなることができることに注意すべきである。
【0022】
本発明の他の実施例によれば、前記接着層はラテックスを有する。該ラテックスは、透光性ラテックスとすることができる。当該接着層が実質的にラテックスからなることができることに注意すべきである。該ラテックスは、スチレン、ブタジェン及び酸性ビニルモノマ(acidic vinyl monomer)のターポリマに基づくものとすることができる。当該接着層が実質的に透光性ラテックスからなると共に実質的に光散乱粒子を有さない場合、前記LEDからの光は当該絨毯から効率的に出射することができる。このように、好ましくは、当該接着層には光散乱性充填物は使用されず、該接着層は透光性とする。
【0023】
本発明の他の実施例によれば、当該接着層はアクリル(acrylics)を有する。該アクリルは透光性のアクリルとすることができる。当該接着層は実質的にアクリルからなることができることに注意すべきである。アクリルの一例は、ポリアクリレート・エステルである。アクリルの利点は硬度、可撓性及びUVに対する耐性である。アクリルは熱に対しても高耐性であり、このことは、該アクリルを、相対的に大量の熱を発生するLEDとの組み合わせで使用するための特に好適な材料にさせる。ラテックス及びアクリルを、組み合わせで使用することもできる。
【0024】
本発明の他の実施例によれば、前記主裏当て層、第2裏当て層及び接着層のうちの少なくとも1つは、充填物とも称される光散乱粒子を有する。充填物は、当該絨毯のコストを低減させながら、同時に接着剤も増量させるという利点を有している。該充填物は光を散乱させるので、この結果、当該絨毯からの光が元々の発光点よりも大きな領域から発するように見えるようになる。これは、均一な光の放出が望まれる場合に有利である。斯かる光散乱粒子は、炭酸カルシウムとすることができる。炭酸カルシウムの利点は、相対的に安価であることである。炭酸カルシウムは、方解石又は白墨の形態であり得る。当該光散乱粒子は、陶土充填物等の高陵石(kaolinite)とすることもできる。典型的には、当該充填物は、例えば600g/l等の量で使用されるが、本発明の多くの実施例の場合、光の透過度を増加させるために大幅に少ない量が使用されることが好ましい。
【0025】
本発明の他の実施例によれば、当該接着層は導電性粒子を有する。斯かる導電性粒子は当該絨毯に静電気防止特性を付与する。該導電性粒子は、例えば、カーボンブラック、ギ酸カリウム(HCOOK)、酸化錫、インジウム錫酸化物又は銀であり得る。
【0026】
本発明の他の実施例によれば、当該接着層は酸化防止剤(anti-oxidants)を有する。該酸化防止剤は、当該接着層を一層耐熱的にさせる。このことは、LEDが相当量の熱を発生することができるので有利である。また、酸化防止剤のないラテックスは一層速く経年劣化し、或る時間の後黄色になる。
【0027】
本発明の他の実施例によれば、前記第2裏当て層は、少なくとも76.2m3/分/m2の通気性を有する。該第2裏当て層の通気性は、ASTM D-737に従い0.5インチ(1.27cm)水柱に等しい圧力差で決定することができる。許容可能な値は250ft3/分/ft2(76.2m3/分/m2)であるが、より好ましい値は350〜800ft3/分/ft2(106.7〜243.8m3/分/m2)の範囲内である。僅か80ft3/分/ft2(24.4m3/分/m2)の通気性しか持たない第2裏当て層は、高い接着剤硬化速度に対しては不十分であると考えられる。
【0028】
本発明の他の実施例によれば、前記第2裏当て層は空気通過用の開口(apertures)を有する。前記接着層に使用された蒸発された接着剤は、当該絨毯の硬化の間に該開口を通過する。この実施例によれば、第2裏当て層の通気性が十分に高くなることが保証される。
【0029】
本発明の他の実施例によれば、当該絨毯は前記主裏当て層と第2裏当て層との間に少なくとも44.6kg/mの剥離強度を有する。
【0030】
本発明の他の実施例によれば、前記導体装置及び前記LEDと該導体装置との間の接続部は防水包囲体内に埋め込まれる。この構成は、当該絨毯の電気的安全性が、該絨毯が濡れていても保証されることを確かなものとする。
【0031】
本発明の他の実施例によれば、前記LEDは、直列に接続されたLEDの群を有し、これら群が並列に接続された回路を形成するように接続される。この構成は、構造が単純で、製造するのが容易であるという利点を有している。上記導体装置は、例えばプラスチック等のシート上で事前に製造することができ、その後、該導体装置は第2裏当て層上に設けるか又は該第2裏当て層内に組み込まれる。
【0032】
本発明の他の実施例によれば、上記導体装置は、互いに電気的に絶縁された、導電ワイヤの2つの格子を有する。
【0033】
本発明の他の実施例によれば、前記LEDの各々は保護カバーにより覆われる。該保護カバーはシリコーンゴムから形成することができる。これは、当該絨毯の電気的安全性を保証するのみならず、該絨毯が前述した外見保持試験において一層良好な性能を発揮することを保証する。この試験の間において、上記LEDは当該絨毯上を転動する球の衝撃に対して一層良好に保護される。
【0034】
本発明の他の実施例によれば、上記LED及び回路装置は、斯かるLEDの少なくとも一部が(好ましくは相当の部分が、より好ましくは全てが)、該絨毯が寸法を減少された場合にも動作し得るように構成される。これは、前記第2裏当て層が、前記接着層から遠い方の側から順番に、第1電気絶縁層、第1導電層、第2電気絶縁層、第2導電層及び第3電気絶縁層を有するような絨毯により達成することができ、その場合において、前記LEDの各々は、上記第1及び第2導電層に各々接続された第1及び第2コネクタを有する。上記第1及び第2導電層は、前記導体装置として作用する。当該絨毯が別個のLEDの間の領域で切断された場合、残りのLEDは依然として電源に接続されたままとなり、結果として、これらLEDは依然としてオン及びオフすることができる。このことは、当該絨毯が切断される寸法又は形状の制限を大幅に低減させる。
【0035】
また、LEDを電源に対して並列に接続することが可能な絨毯は、上述した切断の高い自由度を達成することができる。LEDが電源に対して並列に接続された実施例において、当該絨毯のうちのLEDの幾つかを有する部分が切除された場合、残りの部分におけるLEDは依然として上記電源に接続されており、動作可能なままとなる。
【0036】
本発明の他の実施例によれば、少なくとも前記第2導電層及び第3電気絶縁層は実質的に透光性である。
【0037】
本発明の他の実施例によれば、前記第1及び第2導電層は、実質的に、導電性粒子が埋め込まれた材料からなる。該導電性粒子は斯かる層に導電性を付与するので、上記材料自体は電気的に絶縁なものとすることができる。上記導電性粒子は、例えば、酸化錫、インジウム錫酸化物又は銀等とすることができる。
【0038】
本発明の他の実施例によれば、第1及び第2導電層の上記材料は、実質的に、透光性ゴムからなる。
【0039】
本発明の他の実施例によれば、上記導電性粒子は光散乱性である。この実施例では、上記導電性粒子も光散乱特性を有するので、均一な光出力を得るために、当該絨毯には付加的な光散乱粒子は必要とされない。
【0040】
本発明の他の実施例によれば、当該絨毯は、前記第2裏当て層における前記接着層から遠い方の側に接着された第3裏当て層を更に有する。
【0041】
本発明の他の実施例によれば、前記LEDは赤色-緑色-青色(RGB)LEDである。例えば、当該複数のLEDの一部は赤色LEDであり、他の部分は緑色LEDであり、更に他の部分は青色LEDである。RGB LEDの使用は、当該絨毯の色が変化されるのを可能にするので、有利である。例えば、白色の房がRGB LEDとの組み合わせで使用された場合、当該絨毯の色を如何なる所望の色にも変化させることが可能である。例えば、上記RGB LEDを緑色に設定することにより、当該絨毯の房は緑色に見えるであろう。
【0042】
本発明の他の実施例によれば、前記光源は、前記第2裏当て層における前記接着層から遠い方の側に配置された発光シートを有する。該発光シートは第2裏当て層に第2接着層により接着することができる。該発光シートは、第2裏当て層に接着テープにより接着することもできる。この場合、当該発光シートと第2裏当て層との間の上記第2接着層は必要でなくなる。また、当該発光シートは第2裏当て層の下に両者の間に間隔を置いて配置することもできる。この構成は、例えば、当該発光シートの一部(例えば縁部)のみを第2裏当て層に接着することにより実現することができる。
【0043】
本発明の他の実施例によれば、上記発光シートはエレクトロルミネッセントパネル、LEDパネル又はOLEDパネルを有する。エレクトロルミネッセントパネル、LEDパネル又はOLEDパネルの利点は、これらを可撓性で且つ薄くすることができ、これにより、これらを本発明で使用するのに一層適したものとすることができることにある。該発光シートは、白熱及び蛍光照明等の他の光源を有することもできる。
【0044】
本発明の他の実施例によれば、当該房状織物は、前記発光シートにおける第2裏当て層から遠い方の側に配置された反射層を更に有する。該反射層は、上記発光シートからの光を前記パイル面に向けて、当該房状織物から放出される光の輝度を増加させることができる。
【0045】
また、本発明は、上述した実施例の何れかに記載されたように構造化された第2裏当て層も提供する。
【0046】
また、本発明は、上述した実施例の何れかに記載されたような絨毯と、前記LEDの制御回路と、該制御回路に供給される信号を制御する照明コントローラとを有する照明システムを提供する。
【0047】
また、本発明は光源と該光源のための導体装置とを有する絨毯を製造する方法であって、
光に対して実質的に透過的であると共に房を形成する糸を備える主裏当て層と、該主裏当て層と実質的に同一の表面積を持つ第2裏当て層とを、光に対して実質的に透過的であると共に上記主裏当て層及び第2裏当て層と実質的に同一の表面積を持つ接着層により接着するステップ、
を有し、前記光源、前記導体装置及び前記第2裏当て層が、前記光源からの光が前記接着層に到達するのを可能にするように構成される方法を提供する。上記光源は、1以上のLEDとすることができる。他の例として、該光源は、上記第2裏当て層の上記接着層から遠い方の側に配置された発光シートを有することもできる。
【0048】
本発明の好ましい実施例によれば、上記接着するステップは、
− 第1接着副層を、前記主裏当て層の前記房から遠い方の側に塗布するサブステップと、
− 前記第1接着副層を乾燥させるサブステップと、
− 乾燥された前記第1接着副層に第2接着副層を塗布するサブステップと、
− 前記第2裏当て層を前記第2接着副層に被着させるサブステップと、
を有する。
【0049】
当該絨毯を製造する間において、上記接着層は2つのステップで塗布することができる。先ず、前記房を定位置に固定するために、接着材料の予備被膜が前記主裏当て層の縫い目側に塗布される。該予備被膜が乾燥した後、該乾燥された予備被膜層上に第2接着層が塗布されるが、該第2接着層は前記第2裏当て層を主裏当て層に接着するために使用される。上記予備被膜接着層及び第2接着層は、異なるタイプのラテックスから形成することができる。例えば、異なる量の炭酸カルシウム粒子を添加することができる。
【0050】
また、本発明は絨毯の第2裏当て層を製造する方法であって、
− 透光性ゴムから実質的になる第1電気絶縁層を設けるステップと、
− 該透光性ゴムの第1電気絶縁層の上に、硬化されていない透光性導電性ゴムの第1層を塗布するステップと、
− 前記硬化されていない透光性導電性ゴムの第1層内に、光源を浸没させるステップと、
− 前記硬化されていない透光性導電性ゴムの第1層を硬化させて、第1導電層を形成するステップと、
− 前記第1導電層上に第2電気絶縁透光層を設けるステップと、
− 該電気絶縁透光層上に、硬化されていない透光性導電性ゴムの第2層を塗布するステップと、
− 前記硬化されていない透光性導電性ゴムの第2層を硬化させて、第2導電層を形成するステップと、
− 該第2導電層上に、第3電気絶縁透光層を設けるステップと、
を有する方法を提供する。
【0051】
好ましい実施例によれば、上記光源は複数のLEDである。この実施例において、上記光源を浸没させるステップは、前記硬化されていない透光性導電性ゴムの第1層内に、各々が第1電極及び第2電極を持つLEDを、第1電極が上記ゴム内に少なくとも部分的に浸没されるように浸没させるステップとすべきである。
【0052】
一実施例によれば、当該織物は、自動車の内装(例えば、床、屋根、サイドライン等)の部品を覆う自動車用織物として使用される。自動車は、上記光源に電力を供給するのが容易であり、表面がしばしば金属的であって、これが上記光源の効果的な冷却を可能にするという利点を有している。
【0053】
本発明は、請求項に記載されたフィーチャの全ての可能な組み合わせに関する物であることに注意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明による絨毯の一実施例の断面図を概念的に示す。
【図2a】図2aは、本発明による絨毯の他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図2b】図2bは、本発明による絨毯の更に他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図3】図3は、本発明による絨毯の他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図4】図4は、本発明による第2裏当て層のためのLED及び導体装置の電気的構成を概念的に示す。
【図5】図5は、本発明による第2裏当て層の一実施例の斜視図を概念的に示す。
【図6】図6は、本発明による第2裏当て層の他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図7】図7は、本発明による第2裏当て層の他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図8】図8は、本発明による絨毯の一実施例の断面図を概念的に示す。
【図9a】図9aは、透光性ゴムを使用した本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示す。
【図9b】図9bは、透光性ゴムを使用した本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示す。
【図9c】図9cは、透光性ゴムを使用した本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示す。
【図9d】図9dは、透光性ゴムを使用した本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示す。
【図10a】図10aは、従来の絨毯の光学特性の実験結果を示す。
【図10b】図10bは、本発明による絨毯の光学特性の実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の前記及び他の態様は、図面から明らかであり、図面を参照して解説されるであろう。尚、各実施例において、対応する構成要素に対しては、可能な限り同一の符号が使用されている。
【0056】
本発明を説明するために、本発明による房状織物の一例として絨毯が例示されている。また、本説明は他のタイプの房状織物に対しても当てはまることに注意されたい。
【0057】
図1を参照すると、本発明による絨毯100の一実施例の断面図が示されている。該絨毯100は、主裏当て層10、第2裏当て層20、及び主裏当て層10と第2裏当て層20との間の接着層30を有している。糸により形成される房40が、主裏当て層10上に設けられると共に、該主裏当て層により定位置に保持される。第2裏当て層20には、LED50及び導体装置60が組み込まれている。LED50及び導体装置60は、図4を参照して説明されるように、第2裏当て層20上に設けることもできることに注意されたい。
【0058】
LED50は、第2裏当て層20の実質的に全領域にわたり分散される。好ましくは、各LED50の間の距離は1〜20cmとし、より好ましくは5〜15cmとする。主裏当て層10、第2裏当て層20及び接着層30は、実質的に同一の表面積を有している。主裏当て層10及び接着層30は、光に対して実質的に透過的である。LED50及び導体装置60が第2裏当て層20に組み込まれた本実施例では、LED50から接着層30への光の透過を可能にするために、第2裏当て層20は光に対して少なくとも部分的に透過性である。層10、20及び30の光透過性は、これら層10、20及び30が実施的に透光性であるか、又は層10、20及び30が光の透過のために開口(apertures)を有していることにより実現することができる。主裏当て層10に斯かる開口が存在する場合、これら開口は房40により覆われるので、これら開口は人の目には見えないであろう。主裏当て層10及び第2裏当て層20は、実質的に、ポリプロピレン、ナイロン又はジュートからなることができる。接着層30は、実質的に、例えばラテックスからなることができる。
【0059】
LED50がオンされると、これらLED50からの光は、第2裏当て層20、接着層30及び主裏当て層10を経て進む(これら層の光透過的特性により)。次いで、該光は房40の間の間隙を通過し、当該絨毯の外側に放出されるであろう。使用される房40の密度及びタイプが、絨毯10から放出される光の量及び/又は分布を制御することができる。LED50がオフされると、房40のみが見え、絨毯100は通常の絨毯と異なって見えることはないであろう。
【0060】
第2裏当て層20は、ActionBac(登録商標)なる名称で知られているもののような、二次裏当て層用の既存の製品に基づくものとすることができる。これは、スリットフィルムと紡ぎオレフィン糸との絡み織りから作製された裏当てである。これは、インチ当たり(2.54センチ当たり)16本の縦糸及びインチ当たり(2.54センチ当たり)5本のピック(pick)での絡み織りの、ポリプロピレン縦糸テープ及びポリプロピレン多繊維ピックによるヤード平方当たり2.1オンス(平方メートル当たり0.71グラム)の布を有する。このような裏当て層は、絨毯に、良好な剥離強度による寸法的安定性を付与する。また、この裏当て層は、製造の間において高い(robust)硬化速度に良く適した開放性も有している。0.5インチ水柱に等しい圧力差でのASTM D-737により決定される、この裏当ての通気性は、約750ft3/分/ft2(229m3/分/m2)を超え、これは高い接着剤硬化速度に対して十分である。より高いカウント(18x13)の絡み織り構造を持つ他の斯様な製品は、約720ft3/分/ft2(219m3/分/m2)より高い平均通気性を有する。これも、効率的な硬化速度に適している。好ましくは、第2裏当て層20は接着層30に使用される材料に対して高い接着適合性を有し、これにより、当該絨毯100がASTM D-3936に記載された試験等の剥離試験を合格するようにする。該剥離耐性付与特性は、好ましくは、該裏当てが、前記基準絨毯に積層された場合に少なくとも2.5ポンド/インチ(44.6kg/m)の剥離強度を有するようなものとする。しかしながら、好ましい値は、3〜4ポンド/インチ(53.6〜71.4kg/m)より大きく、より好ましくは少なくとも5.5ポンド/インチ(98.2kg/m)、更に好ましくは少なくとも6ポンド/インチ(107.1kg/m)である。
【0061】
如何なる他の既存の第2裏当て材料も、本発明で使用される第2裏当ての基として使用することができることに注意されたい。他の例は、ニードルフェルト裏当て、ゴム裏当て、PVC裏当て、ポリウレタン裏当て、ビニル裏当て、クッション裏当て及びナイロン裏当て等である。ニードルフェルト裏当ての繊維は、結合させるために針で刺される。第2裏当てにはクッション又は詰め物を組み込むことができることにも注意されたい。第2裏当て材料の他の例は、ビチューメンである。この材料は、例えば絨毯タイルにおける、又は自動車マットにおけるような、とりわけ頑丈な絨毯が必要とされる場合に使用される。幾つかの実施例(例えば、図2aにおけるような)において、ビチューメンは接着剤としても使用することができる。
【0062】
図2a及び2bを参照すると、本発明による絨毯100の他の2つの実施例の断面が示されている。この実施例は、図1の実施例では存在した第2裏当て層20がないことを除いて、図1に示した実施例と類似している。図2aにおいて、LED50は主裏当て層10上に直に設けられている。LED50及び導体装置60は接着層30内に埋め込まれている。図2bにおいて、LED50及び導体装置60は、接着層30の表面に設けられている。
【0063】
図3を参照すると、本発明による絨毯100の他の実施例の断面が示されている。この実施例は、光散乱粒子70が接着層30に埋め込まれていることを除き、図1に示した実施例と類似している。光散乱粒子70は、例えば炭酸カルシウムとすることができる。炭酸カルシウムを使用することは、相対的に安価であるという利点を有している。接着層30は、光散乱粒子70に加えて又は該光散乱粒子の代わりに、導電性粒子を有することができる。導電性粒子は、当該絨毯の帯電(静電気)防止特性を改善する。斯かる導電性粒子は、例えばカーボンブラック、ギ酸カリウム(HCOOK)、酸化錫、インジウム錫酸化物又は銀とすることができる。斯かる導電性粒子の大きさは、光散乱特性を有するように選択することができることに注意されたい。更に、上述した粒子に加えて又は斯かる粒子の代わりに、上記接着層は酸化防止剤を有することができる。該酸化防止剤は、上記接着層を一層耐熱的にさせる。
【0064】
上記主裏当て層10及び第2裏当て層20が光散乱粒子70を有することもできることに注意されたい。
【0065】
図4は、本発明による第2裏当て層20のためのLED及び導体装置の電気的構成を概念的に示す。
【0066】
この実施例において、LED50は直列に接続されたLED50の複数の群を有する回路を形成するように接続され、これら群は並列に接続されている。この実施例の利点は、構成が簡単であって、製造が容易であることである。導体装置60は、例えばプラスチックのシート上に予め製造することができ、その後、該導体装置は第2裏当て層の材料内に埋め込まれる。
【0067】
図5は、本発明による第2裏当て層20の一実施例の斜視図を概念的に示す。この実施例において、LED50及び導体装置60は第2裏当て層20上に設けられている。第2裏当て層20は自身の表面に凹部を有することもでき、これら凹部内にLED50が取り付けられる。導体装置60は導電ワイヤの2つの格子61、62を有し、これらは互いに電気的に絶縁されている。当該絨毯100がLED50の間の位置で切断された場合、LED50は依然として電源に接続されたままであり、その結果、LED50は依然としてオン及びオフすることができる。この構成は、当該絨毯100が切断される寸法又は形状の制限を大幅に低減する。
【0068】
この実施例においては、LED50の各々の上に保護カバー80が配置されている。保護カバー80は、実質的にシリコーンゴムからなることができる。当該LED50のうちの1つは、斯かる保護カバーなしで示されている。第2裏当て層20は、通気のために開口(apertures)を有することができる。接着層30のために使用された蒸発した接着剤は、当該絨毯100の硬化の間に、斯かる開口を通過する。このことは、第2裏当て層20の通気性が十分に高いことを保証する。これらの開口は、低い通気性の第2裏当て層20を使用することができるという点で、第2裏当て層20のための材料の選択の一層高い自由度を可能にする。
【0069】
導体装置60は3以上の格子で作製することもできることに注意されたい。例えば、4つの格子が使用された場合、RGB LEDの色を制御することができる。
【0070】
図6は、本発明による第2裏当て層20の他の実施例の断面を概念的に示す。当該絨毯100が自身のパイル面から光を放出するように、ここでは、LED50は側面発光ダイオード(side emitting LED)又は適合された電極コネクタを備える通常のLEDとすることができる。
【0071】
この実施例において、第2裏当て層20は、前記接着層から遠い方の側から順に、第1電気絶縁層21、第1導電層22、第2電気絶縁層23、第2導電層24及び第3電気絶縁層25を有する。該第2裏当て層20には、LED50が埋め込まれる。これらLED50の各々は、第1及び第2導電層22及び24に各々接続された第1及び第2コネクタ51及び52を有している。全LED50に接続するために、単一の電源が必要である。設置者は該絨毯を如何なる寸法にも切断することができ、LEDシステムは依然として同様に動作する。この多層構造は、LEDが損傷及び水に対して良好に保護されるという利点を有している。
【0072】
この実施例において、層21〜25は透光性とすることができる。電気絶縁層21、23及び25は、透光性ゴムから形成することができる。導電層22及び24は、導電性粒子を有する透光性ゴムとすることができる。
【0073】
図7は、本発明による第2裏当て層20の他の実施例の断面を概念的に示す。この実施例において、LED50からの光は、好ましい光出力方向に対して垂直な水平方向に放出される。当該絨毯のパイル面の方向に光を放出させるために、導電層22及び24には光散乱粒子70が埋め込まれる。これら光散乱粒子70はLED50からの光を散乱させ、該光は当該第2裏当て層の外部に放出される。導電層22及び24に導電性を付与する前記導電性粒子を、光散乱目的で使用することができることに注意されたい。言い換えると、斯かる導電性粒子の大きさは、光散乱粒子70として作用するようにも適合させることができる。光を接着層30に面する側の方向に再指向させるために、層21の下に反射層を設けることができる。
【0074】
図8は、本発明による絨毯100の一実施例の断面を概念的に示す。この実施例は、光源が個別のLEDの代わりに発光シート90であることを除き、図1に示した実施例と類似している。該発光シートは、エレクトロルミネッセントパネル、複数のLEDを有するLEDパネル又はOLEDパネルとすることができる。LEDパネルは、可撓性PCB上に取り付けられた一連のLEDとすることができ、斯かるPCB上には当該LEDパネルが所望の長さで切断されるのを可能にするような電子回路が配設される。導体装置60は、明瞭化のために図示されていない。
【0075】
この発光パネル90は、第2裏当て層20の前記接着層から遠い方の側に、第2接着層91により接着される。第2裏当て層20及び第2接着層91は、発光パネル90から主裏当て層10と第2裏当て層20との間の接着層30への光の透過を可能にするために、当該光に対して少なくとも部分的に透過的とすることができる。これは、少なくとも部分的に透光性の第2裏当て層20及び第2接着層91の使用により達成することができる。このような第2裏当て層20は、該第2裏当て層20に、光を透過させるのに十分なほど大きいが、自身の表面を主裏当て層10及び接着層30と同様に維持するほど十分に小さい開口(apertures)を設けることにより得ることができる。第2接着層91は、主裏当て層10と第2裏当て層20との間の接着層30と同様の態様で、少なくとも部分的に透光性にさせることができる。この目的のためには、炭酸カルシウム等の光散乱粒子を有さない透光性ラテックスを使用することができる。当該絨毯100は、発光パネル90の第2裏当て層20から遠い方の側に配置された反射層(図示略)を更に有することができる。
【0076】
図9a〜dは、透光性ゴムを使用して本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示している。
【0077】
図9aに示すように、先ず、未硬化透光性導電性ゴムの層22aが、硬化された電気的に絶縁な透光性ゴムの層21上に塗布される。層21上に塗布された上記層22aが液状である間に、該ゴムにLED50が浸没される。該浸没は、LED50の電極51が当該ゴム内に少なくとも部分的に浸没されるようになされる。次いで、ゴム層22aは、例えば加硫処理又はゴムを硬化させる何らかの他の適切な手段により硬化され、透光性導電層22を形成する。
【0078】
導電層22が形成された後、図9bに示されるように、電気的に絶縁な透光性ゴムの層23が該層22の上に被着される。この層23の厚さは、電極51が完全に浸没される一方、電極52は少なくとも部分的に露出されているようなものとする。層23は液状で塗布され、その後硬化されるようにすることもできるが、層22に接着される事前整形されたシートを使用することも可能である。
【0079】
次いで、図9cに図示されるように、未硬化透光性導電性ゴムの他の層24aが上記電気絶縁層23上に塗布される。次いで、該ゴムは硬化され、導電層24を形成する。上記未硬化ゴムの量は、電極52の少なくとも一部が、該ゴムの硬化により形成される導電層24内に浸没されるようなものとする。
【0080】
次いで、図9dに示されるように、外側に電圧が存在せず且つ当該デバイスを安全に扱うことができるように該デバイスを密封すべく、電気的に絶縁な透光性ゴムの他の層25が被着される。
【0081】
上述した製造例では、未硬化ゴムが使用される。しかしながら、事前整形され硬化されたシートを使用することもできることに注意されたい。
【0082】
この方法の利点は、LEDがワイヤにより接続される必要がないので、製造性が改善されることにある。
【0083】
図10a及びbは、従来の絨毯及び本発明による絨毯の光学特性の実験結果を示す。図10aは、主裏当て層、第2裏当て層(Action Bak(登録商標)なる名称で販売されている)及び接着層からなる従来の絨毯の反射度、透過度及び吸収度を示す。該測定値は、光透過度は200nm〜800nmの波長範囲にわたり1%より低く、吸収度は、背面反射器を備えても光の1%未満しか透過されないほど高いことを示している。これは、従来の接着層は過度に多くの量の炭酸カルシウム粒子を有し、これが該接着層を不透明にさせるという事実から生じる。
【0084】
本発明による房状織物によれば、前記接着層及び第2裏当て層のための材料は、これら層が光を透過させるように選択される。本発明による絨毯の透過度及び反射度の実験結果が、図10bに従来の絨毯と比較して示されている。該図において、1R、2R、1T及び2Tは、各々、従来の絨毯の反射度、本発明による絨毯の反射度、従来の絨毯の透過度及び本発明による絨毯の透過度を示している。本発明による該絨毯は、炭酸カルシウム粒子を含まない透明ラテックスから形成された接着層と、開口(apertures)を有する第2裏当て層(例えばAction Bak(登録商標))とを有する。550nmにおいて、透過度は従来の絨毯では0.2%より低いのと比較して、本発明による絨毯においては11%に増加した。反射度は550nmにおいて32%から37%に増加した。背面反射器を備えれば、全光透過度を更に増加させることができることに注意されたい。また、光源を当該絨毯構造に組み込めば(例えば、図2a参照)、光透過度を更に増加させることができる。
【0085】
上述した例示的実施例の種々の変形は、当業者にとり明らかであろう。例えば、裏当て層の数は、2又は3に限定されるものでない。
【0086】
尚、請求項において、括弧内の如何なる符号も当該請求項を限定するものと見なしてはならない。また、"有する"なる動詞及びその活用形は、請求項に記載されたもの以外の構成要素又はステップの存在を排除するものではない。また、単数形の構成要素は、複数の斯様な構成要素の存在を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、房状織物に係り、特には主裏当て層と、該主裏当て層の第1の側に房を形成する糸と、上記主裏当て層における該第1の側とは反対の第2の側に設けられる接着層と、光源とを有する房状織物に関する。
【背景技術】
【0002】
房状織物は、典型的には、一次裏当てに、使用時に使用者に面する側に房を形成する糸を設けることにより作製される。房状織物の例は、絨毯、掛け布及び室内装飾布を含む。本説明を通して、絨毯が、本発明を説明するために房状織物の一例として掲げられる。絨毯の関連で説明される本発明の利点の殆どが、掛け布及び室内装飾布等の他のタイプの房状織物にも当てはまることが理解されよう。
【0003】
絨毯は、通常、房を形成する糸を設けた主裏当て層と、第2裏当て層と、主裏当て層と第2裏当て層との間に設けられた接着層とを有している。上記糸は主裏当て層を貫通し、人が歩くことができるパイル面から突出する房を形成する。反対側の面には縫い目が存在する。縫い目側に存在する上記接着層は、該縫い目を主裏当て層に接着して、上記房を定位置に維持すると共に該主裏当て層と第2裏当て層とを接着する。
【0004】
本説明で使用されるように、"第2裏当て層"なる用語は、当該絨毯のパイル面とは反対の面を形成する裏当て層を含む。このような層は、通常は"二次裏当て層"と称され、市販されている。これらの"二次裏当て層"は、絨毯の裏当てに好適であると共に、絨毯工場で使用される絨毯製造方法に良く適合するという利点を有している。しかしながら、第2裏当て層は二次裏当て層に限定されるものではなく、第2裏当て層の上記接着層から遠い方に向く側には更なる層が存在し得ることに注意すべきである。
【0005】
多くの用途において、絨毯は多数の試験を合格する必要がある。絨毯は、なかでも、外見保持(appearance retention)、光に対する色あせ、洗濯及び色落ち(cleaning and crocking)、房の結合度、剥離強度及び静電特性に関して試験することができる。外見保持試験は、六脚体ドラム、ヴェッターマンドラム又は四脚体ドラムを用いて実行することができる。これらの試験においては、脚をモデル化した複数の突起を持つボールが絨毯のパイル面上を転動し、次いで外見が評価される。外見保持試験法の例は、ISO TR 10361及びISO/CD 12950及び六脚体ドラム試験器ガイドラインのASTM D-5252に記載されている。主裏当て層からの第2裏当て層の剥離強度の試験は、ASTM D-3936に記載された試験に従って実行することができる。裏当て層構造体に対する縫い目の接着の強度の試験は、ASTM D-1355であろう。絨毯の第2裏当て層は、空気の透過性に関しても試験される必要があるであろう。接着剤(binder)の硬化の間において、蒸発された接着剤は裏当てから逃れることができなければならない。第2裏当て層の通気性は、ASTM D-737に従って試験することができる。
【0006】
国際特許出願公開第WO2006/057531号は、車両用の発光マットを開示している。該発光マットは、防音、温もり及び衝撃吸収の目的で多数の絨毛で覆われると共に一部に開口を持つ絨毯部分と、該絨毯部分の上記開口の形状に対応する装飾パターンを有すると共に該絨毯部分を支持する透明装飾板と、上記開口及び装飾パターンの形状に対応する形状の凹部を有し、上記透明装飾板を支持する支持板と、該支持板の上記凹部内に取り付けられるのを可能にするような寸法を持つ透明光放出板と、該透明光放出板の縁に沿って形成された複数の挿入溝内に各々配設された複数のLEDと、これら発光ダイオードに電力を供給する電源ユニットと、上記絨毯部分、透明装飾板及び支持板を結合する結合部とを有する。
【0007】
このような構成において、上記絨毛は、上記絨毯部分の開口における上記光放出板の上の部分には存在しない。この絨毛のない開口部分は、防音、温もり及び衝撃吸収特性は有していない。この結果、上記光放出部分は寸法に制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改善された房状織物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、
− 光に対して実質的に透過的な主裏当て層と、
− 前記主裏当て層の第1の側に房を形成する糸と、
− 前記主裏当て層における前記第1の側とは反対の第2の側に設けられる接着層と、
− 前記主裏当て層の前記第2の側に面する位置に配設される光源及び該光源用の導体装置と、
を有し、前記接着層、前記光源及び前記導体装置が、前記光源からの光が前記主裏当て層に到達し得るように配置される房状織物を提供する本発明により達成される。
【0010】
光に対して実質的に透過的なエレメントとは、例えば当該エレメントに当たる光の少なくとも一部が透過し得るようなエレメントを指す。斯かるエレメントは透光性材料により部分的に若しくは完全に形成することができるか、又は該エレメントは光が貫通することができる開口を有することができる。
【0011】
本発明は、当該織物の房を形成する糸が、該織物が人の目には不透明に見えるかも知れないが、光を透過させるのに十分な開口を有する構造体を形成するという理解に基づいている。外見的理由により、上記房は主裏当て層が見えないように設けられるが、光は依然として該房構造体を介して貫通することができる。光に対して透過的な主裏当て層の下に光源を配置する結果、該光源からの光は当該房状表面から放出される。
【0012】
このような房状織物は、光放出部分の寸法が余り制限されないという利点を有している。
【0013】
房を定位置に保持する前記接着層は、主裏当て層の下で、前記光源及び導体装置を定位置に保持するために使用することもできる。上記光源は、主裏当て層の第2の側と上記接着層との間に配置することができる。該光源を配置することが可能な開口(又は複数の開口)を、上記接着層における主裏当て層に面する表面に設けることができる。
【0014】
本発明の好ましい実施例によれば、上記接着層は、上記光源から主裏当て層への光の透過を可能にするために、光に対して少なくとも部分的に透過的とする。このことは、上記光源及び導体装置が、上記接着層における主裏当て層から遠くに面する側に、即ち該接着層の表面に配置されるのを可能にする。この場合、上記光源及び導体装置は、追加の接着手段により位置的に固定することができる。上記光源は、該接着層に完全に封入することもできる。他の例として、上記光源は上記接着層の下に、該光源と該接着層との間に空間を設けて配置することもできる。
【0015】
本発明の他の実施例によれば、当該房状織物は、上記接着層における上記主裏当て層から遠い方に向く側に第2裏当て層を更に有し、
− 上記主裏当て層、上記接着層及び上記第2裏当て層は実質的に同一の表面積を有し、
− 上記接着層は光に対して実質的に透過的であり、
− 前記光源、前記導体装置及び上記第2裏当て層は、該光源からの光が上記接着層に到達することを可能にするように構成される。
【0016】
上記第2裏当て層がない場合、当該織物は一層可撓的となる。このことは、掛け布及び室内装飾布にとり好ましいであろう。一方、この実施例におけるような当該房状織物への上記第2裏当て層の追加は、該織物の強度を向上させる。これは、絨毯にとり好ましいであろう。掛け布及び室内装飾布と比較して、絨毯は、一層の強度及び厚さを有することの固有の利点を有し、これにより上記光源が一層良好に保護される。加えて、前記絨毯の製造方法は、当該絨毯構造体の内部への光源の容易な組み込みを可能にする。
【0017】
上記光源は、1以上のLEDとすることができる。上述した構造によれば、前記第2裏当て層内に、下に又は上に斯かるLEDをどの様に分布させるかには制限がない。前記従来技術のマットとは異なり、上記LEDは第2裏当て層の実質的に全領域にわたり配置することができる。上記従来技術のマットにおけるようなLED上の開口がないことは、本発明による絨毯を、光の放出が常に必要とされるとは限らない場所での使用に一層適したものとさせる。また、主裏当て層をLED上の部分で切除するための工程が必要とされないので、当該絨毯の製造が簡単になる。更に、主裏当て層は、例えば足又は椅子の脚により生じ得る損傷からの当該LEDの保護にも貢献する。
【0018】
本発明の他の実施例によれば、上記LED及び導体装置は第2裏当て層に組み込まれ、その場合において、該第2裏当て層はLEDから接着層への光の透過を可能にするために光に対して少なくとも部分的に透過的とするか、又は上記LED及び導体装置は第2裏当て層における上記接着層に面する表面上に設けられる。上記LED、導体装置及び第2裏当て層の斯かる2つの構成態様は、上記LEDからの光が上記接着層に到達し、更に当該絨毯のパイル面まで透過されることを保証する。この方法の利点は、LEDが当該絨毯の積層された構造体内で保護されることである。これらLEDは、例えば電子回路を損傷し又は斯かる電子回路の周囲の防水シールを損傷しかねない例えば擦過又は衝撃等から保護される。上記パイル面側では、これらLEDは房を備える一次裏当てにより保護される一方、反対側では、これらLEDは第2裏当て層により保護される。裏側の保護は、当該絨毯の設置の間に特に重要である。
【0019】
本発明の他の実施例によれば、上記主裏当て層は実質的に透光性である。本説明で使用される場合、"透光性"なる用語は、可視光の波長の全て又は一部が、散乱を伴って又は伴わずに、当該材料を通過し得ることを意味する。このことは、上記LEDから放出された光の輝度の当該主裏当て層による低下が減少されるという利点を有している。例えば、光の輝度の5%より多く、又は10%より多く、又は30%より多くが透過される。
【0020】
本発明の他の実施例によれば、上記主裏当て層は上記房により覆われる開口(apertures)を有する。これら開口が人の目によっては見えないような構成においては、当該絨毯は上記LEDがオフ状態の場合、通常の絨毯として使用することができる。斯かる開口は、放出された光の輝度を増加させる。上記主裏当て層に対する材料の選択自由度が高くなる。何故なら、該主裏当て層の材料が透光性でなければならないという制限が存在しないからである。
【0021】
本発明の他の実施例によれば、上記主裏当て層及び第2裏当て層のうちの少なくとも一方が、ポリプロピレン、ナイロン又はジュートを有する。これらの材料は、相対的に安価であるという利点を有する。透光性の構造体をポリプロピレン又はナイロンで製造することは容易である。また、これらの材料が既存の房状絨毯において通常に使用されているという事実は、本発明による絨毯を製造するのを容易にさせる。これらの裏当て層が実質的に上記材料からなることができることに注意すべきである。
【0022】
本発明の他の実施例によれば、前記接着層はラテックスを有する。該ラテックスは、透光性ラテックスとすることができる。当該接着層が実質的にラテックスからなることができることに注意すべきである。該ラテックスは、スチレン、ブタジェン及び酸性ビニルモノマ(acidic vinyl monomer)のターポリマに基づくものとすることができる。当該接着層が実質的に透光性ラテックスからなると共に実質的に光散乱粒子を有さない場合、前記LEDからの光は当該絨毯から効率的に出射することができる。このように、好ましくは、当該接着層には光散乱性充填物は使用されず、該接着層は透光性とする。
【0023】
本発明の他の実施例によれば、当該接着層はアクリル(acrylics)を有する。該アクリルは透光性のアクリルとすることができる。当該接着層は実質的にアクリルからなることができることに注意すべきである。アクリルの一例は、ポリアクリレート・エステルである。アクリルの利点は硬度、可撓性及びUVに対する耐性である。アクリルは熱に対しても高耐性であり、このことは、該アクリルを、相対的に大量の熱を発生するLEDとの組み合わせで使用するための特に好適な材料にさせる。ラテックス及びアクリルを、組み合わせで使用することもできる。
【0024】
本発明の他の実施例によれば、前記主裏当て層、第2裏当て層及び接着層のうちの少なくとも1つは、充填物とも称される光散乱粒子を有する。充填物は、当該絨毯のコストを低減させながら、同時に接着剤も増量させるという利点を有している。該充填物は光を散乱させるので、この結果、当該絨毯からの光が元々の発光点よりも大きな領域から発するように見えるようになる。これは、均一な光の放出が望まれる場合に有利である。斯かる光散乱粒子は、炭酸カルシウムとすることができる。炭酸カルシウムの利点は、相対的に安価であることである。炭酸カルシウムは、方解石又は白墨の形態であり得る。当該光散乱粒子は、陶土充填物等の高陵石(kaolinite)とすることもできる。典型的には、当該充填物は、例えば600g/l等の量で使用されるが、本発明の多くの実施例の場合、光の透過度を増加させるために大幅に少ない量が使用されることが好ましい。
【0025】
本発明の他の実施例によれば、当該接着層は導電性粒子を有する。斯かる導電性粒子は当該絨毯に静電気防止特性を付与する。該導電性粒子は、例えば、カーボンブラック、ギ酸カリウム(HCOOK)、酸化錫、インジウム錫酸化物又は銀であり得る。
【0026】
本発明の他の実施例によれば、当該接着層は酸化防止剤(anti-oxidants)を有する。該酸化防止剤は、当該接着層を一層耐熱的にさせる。このことは、LEDが相当量の熱を発生することができるので有利である。また、酸化防止剤のないラテックスは一層速く経年劣化し、或る時間の後黄色になる。
【0027】
本発明の他の実施例によれば、前記第2裏当て層は、少なくとも76.2m3/分/m2の通気性を有する。該第2裏当て層の通気性は、ASTM D-737に従い0.5インチ(1.27cm)水柱に等しい圧力差で決定することができる。許容可能な値は250ft3/分/ft2(76.2m3/分/m2)であるが、より好ましい値は350〜800ft3/分/ft2(106.7〜243.8m3/分/m2)の範囲内である。僅か80ft3/分/ft2(24.4m3/分/m2)の通気性しか持たない第2裏当て層は、高い接着剤硬化速度に対しては不十分であると考えられる。
【0028】
本発明の他の実施例によれば、前記第2裏当て層は空気通過用の開口(apertures)を有する。前記接着層に使用された蒸発された接着剤は、当該絨毯の硬化の間に該開口を通過する。この実施例によれば、第2裏当て層の通気性が十分に高くなることが保証される。
【0029】
本発明の他の実施例によれば、当該絨毯は前記主裏当て層と第2裏当て層との間に少なくとも44.6kg/mの剥離強度を有する。
【0030】
本発明の他の実施例によれば、前記導体装置及び前記LEDと該導体装置との間の接続部は防水包囲体内に埋め込まれる。この構成は、当該絨毯の電気的安全性が、該絨毯が濡れていても保証されることを確かなものとする。
【0031】
本発明の他の実施例によれば、前記LEDは、直列に接続されたLEDの群を有し、これら群が並列に接続された回路を形成するように接続される。この構成は、構造が単純で、製造するのが容易であるという利点を有している。上記導体装置は、例えばプラスチック等のシート上で事前に製造することができ、その後、該導体装置は第2裏当て層上に設けるか又は該第2裏当て層内に組み込まれる。
【0032】
本発明の他の実施例によれば、上記導体装置は、互いに電気的に絶縁された、導電ワイヤの2つの格子を有する。
【0033】
本発明の他の実施例によれば、前記LEDの各々は保護カバーにより覆われる。該保護カバーはシリコーンゴムから形成することができる。これは、当該絨毯の電気的安全性を保証するのみならず、該絨毯が前述した外見保持試験において一層良好な性能を発揮することを保証する。この試験の間において、上記LEDは当該絨毯上を転動する球の衝撃に対して一層良好に保護される。
【0034】
本発明の他の実施例によれば、上記LED及び回路装置は、斯かるLEDの少なくとも一部が(好ましくは相当の部分が、より好ましくは全てが)、該絨毯が寸法を減少された場合にも動作し得るように構成される。これは、前記第2裏当て層が、前記接着層から遠い方の側から順番に、第1電気絶縁層、第1導電層、第2電気絶縁層、第2導電層及び第3電気絶縁層を有するような絨毯により達成することができ、その場合において、前記LEDの各々は、上記第1及び第2導電層に各々接続された第1及び第2コネクタを有する。上記第1及び第2導電層は、前記導体装置として作用する。当該絨毯が別個のLEDの間の領域で切断された場合、残りのLEDは依然として電源に接続されたままとなり、結果として、これらLEDは依然としてオン及びオフすることができる。このことは、当該絨毯が切断される寸法又は形状の制限を大幅に低減させる。
【0035】
また、LEDを電源に対して並列に接続することが可能な絨毯は、上述した切断の高い自由度を達成することができる。LEDが電源に対して並列に接続された実施例において、当該絨毯のうちのLEDの幾つかを有する部分が切除された場合、残りの部分におけるLEDは依然として上記電源に接続されており、動作可能なままとなる。
【0036】
本発明の他の実施例によれば、少なくとも前記第2導電層及び第3電気絶縁層は実質的に透光性である。
【0037】
本発明の他の実施例によれば、前記第1及び第2導電層は、実質的に、導電性粒子が埋め込まれた材料からなる。該導電性粒子は斯かる層に導電性を付与するので、上記材料自体は電気的に絶縁なものとすることができる。上記導電性粒子は、例えば、酸化錫、インジウム錫酸化物又は銀等とすることができる。
【0038】
本発明の他の実施例によれば、第1及び第2導電層の上記材料は、実質的に、透光性ゴムからなる。
【0039】
本発明の他の実施例によれば、上記導電性粒子は光散乱性である。この実施例では、上記導電性粒子も光散乱特性を有するので、均一な光出力を得るために、当該絨毯には付加的な光散乱粒子は必要とされない。
【0040】
本発明の他の実施例によれば、当該絨毯は、前記第2裏当て層における前記接着層から遠い方の側に接着された第3裏当て層を更に有する。
【0041】
本発明の他の実施例によれば、前記LEDは赤色-緑色-青色(RGB)LEDである。例えば、当該複数のLEDの一部は赤色LEDであり、他の部分は緑色LEDであり、更に他の部分は青色LEDである。RGB LEDの使用は、当該絨毯の色が変化されるのを可能にするので、有利である。例えば、白色の房がRGB LEDとの組み合わせで使用された場合、当該絨毯の色を如何なる所望の色にも変化させることが可能である。例えば、上記RGB LEDを緑色に設定することにより、当該絨毯の房は緑色に見えるであろう。
【0042】
本発明の他の実施例によれば、前記光源は、前記第2裏当て層における前記接着層から遠い方の側に配置された発光シートを有する。該発光シートは第2裏当て層に第2接着層により接着することができる。該発光シートは、第2裏当て層に接着テープにより接着することもできる。この場合、当該発光シートと第2裏当て層との間の上記第2接着層は必要でなくなる。また、当該発光シートは第2裏当て層の下に両者の間に間隔を置いて配置することもできる。この構成は、例えば、当該発光シートの一部(例えば縁部)のみを第2裏当て層に接着することにより実現することができる。
【0043】
本発明の他の実施例によれば、上記発光シートはエレクトロルミネッセントパネル、LEDパネル又はOLEDパネルを有する。エレクトロルミネッセントパネル、LEDパネル又はOLEDパネルの利点は、これらを可撓性で且つ薄くすることができ、これにより、これらを本発明で使用するのに一層適したものとすることができることにある。該発光シートは、白熱及び蛍光照明等の他の光源を有することもできる。
【0044】
本発明の他の実施例によれば、当該房状織物は、前記発光シートにおける第2裏当て層から遠い方の側に配置された反射層を更に有する。該反射層は、上記発光シートからの光を前記パイル面に向けて、当該房状織物から放出される光の輝度を増加させることができる。
【0045】
また、本発明は、上述した実施例の何れかに記載されたように構造化された第2裏当て層も提供する。
【0046】
また、本発明は、上述した実施例の何れかに記載されたような絨毯と、前記LEDの制御回路と、該制御回路に供給される信号を制御する照明コントローラとを有する照明システムを提供する。
【0047】
また、本発明は光源と該光源のための導体装置とを有する絨毯を製造する方法であって、
光に対して実質的に透過的であると共に房を形成する糸を備える主裏当て層と、該主裏当て層と実質的に同一の表面積を持つ第2裏当て層とを、光に対して実質的に透過的であると共に上記主裏当て層及び第2裏当て層と実質的に同一の表面積を持つ接着層により接着するステップ、
を有し、前記光源、前記導体装置及び前記第2裏当て層が、前記光源からの光が前記接着層に到達するのを可能にするように構成される方法を提供する。上記光源は、1以上のLEDとすることができる。他の例として、該光源は、上記第2裏当て層の上記接着層から遠い方の側に配置された発光シートを有することもできる。
【0048】
本発明の好ましい実施例によれば、上記接着するステップは、
− 第1接着副層を、前記主裏当て層の前記房から遠い方の側に塗布するサブステップと、
− 前記第1接着副層を乾燥させるサブステップと、
− 乾燥された前記第1接着副層に第2接着副層を塗布するサブステップと、
− 前記第2裏当て層を前記第2接着副層に被着させるサブステップと、
を有する。
【0049】
当該絨毯を製造する間において、上記接着層は2つのステップで塗布することができる。先ず、前記房を定位置に固定するために、接着材料の予備被膜が前記主裏当て層の縫い目側に塗布される。該予備被膜が乾燥した後、該乾燥された予備被膜層上に第2接着層が塗布されるが、該第2接着層は前記第2裏当て層を主裏当て層に接着するために使用される。上記予備被膜接着層及び第2接着層は、異なるタイプのラテックスから形成することができる。例えば、異なる量の炭酸カルシウム粒子を添加することができる。
【0050】
また、本発明は絨毯の第2裏当て層を製造する方法であって、
− 透光性ゴムから実質的になる第1電気絶縁層を設けるステップと、
− 該透光性ゴムの第1電気絶縁層の上に、硬化されていない透光性導電性ゴムの第1層を塗布するステップと、
− 前記硬化されていない透光性導電性ゴムの第1層内に、光源を浸没させるステップと、
− 前記硬化されていない透光性導電性ゴムの第1層を硬化させて、第1導電層を形成するステップと、
− 前記第1導電層上に第2電気絶縁透光層を設けるステップと、
− 該電気絶縁透光層上に、硬化されていない透光性導電性ゴムの第2層を塗布するステップと、
− 前記硬化されていない透光性導電性ゴムの第2層を硬化させて、第2導電層を形成するステップと、
− 該第2導電層上に、第3電気絶縁透光層を設けるステップと、
を有する方法を提供する。
【0051】
好ましい実施例によれば、上記光源は複数のLEDである。この実施例において、上記光源を浸没させるステップは、前記硬化されていない透光性導電性ゴムの第1層内に、各々が第1電極及び第2電極を持つLEDを、第1電極が上記ゴム内に少なくとも部分的に浸没されるように浸没させるステップとすべきである。
【0052】
一実施例によれば、当該織物は、自動車の内装(例えば、床、屋根、サイドライン等)の部品を覆う自動車用織物として使用される。自動車は、上記光源に電力を供給するのが容易であり、表面がしばしば金属的であって、これが上記光源の効果的な冷却を可能にするという利点を有している。
【0053】
本発明は、請求項に記載されたフィーチャの全ての可能な組み合わせに関する物であることに注意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明による絨毯の一実施例の断面図を概念的に示す。
【図2a】図2aは、本発明による絨毯の他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図2b】図2bは、本発明による絨毯の更に他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図3】図3は、本発明による絨毯の他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図4】図4は、本発明による第2裏当て層のためのLED及び導体装置の電気的構成を概念的に示す。
【図5】図5は、本発明による第2裏当て層の一実施例の斜視図を概念的に示す。
【図6】図6は、本発明による第2裏当て層の他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図7】図7は、本発明による第2裏当て層の他の実施例の断面図を概念的に示す。
【図8】図8は、本発明による絨毯の一実施例の断面図を概念的に示す。
【図9a】図9aは、透光性ゴムを使用した本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示す。
【図9b】図9bは、透光性ゴムを使用した本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示す。
【図9c】図9cは、透光性ゴムを使用した本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示す。
【図9d】図9dは、透光性ゴムを使用した本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示す。
【図10a】図10aは、従来の絨毯の光学特性の実験結果を示す。
【図10b】図10bは、本発明による絨毯の光学特性の実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の前記及び他の態様は、図面から明らかであり、図面を参照して解説されるであろう。尚、各実施例において、対応する構成要素に対しては、可能な限り同一の符号が使用されている。
【0056】
本発明を説明するために、本発明による房状織物の一例として絨毯が例示されている。また、本説明は他のタイプの房状織物に対しても当てはまることに注意されたい。
【0057】
図1を参照すると、本発明による絨毯100の一実施例の断面図が示されている。該絨毯100は、主裏当て層10、第2裏当て層20、及び主裏当て層10と第2裏当て層20との間の接着層30を有している。糸により形成される房40が、主裏当て層10上に設けられると共に、該主裏当て層により定位置に保持される。第2裏当て層20には、LED50及び導体装置60が組み込まれている。LED50及び導体装置60は、図4を参照して説明されるように、第2裏当て層20上に設けることもできることに注意されたい。
【0058】
LED50は、第2裏当て層20の実質的に全領域にわたり分散される。好ましくは、各LED50の間の距離は1〜20cmとし、より好ましくは5〜15cmとする。主裏当て層10、第2裏当て層20及び接着層30は、実質的に同一の表面積を有している。主裏当て層10及び接着層30は、光に対して実質的に透過的である。LED50及び導体装置60が第2裏当て層20に組み込まれた本実施例では、LED50から接着層30への光の透過を可能にするために、第2裏当て層20は光に対して少なくとも部分的に透過性である。層10、20及び30の光透過性は、これら層10、20及び30が実施的に透光性であるか、又は層10、20及び30が光の透過のために開口(apertures)を有していることにより実現することができる。主裏当て層10に斯かる開口が存在する場合、これら開口は房40により覆われるので、これら開口は人の目には見えないであろう。主裏当て層10及び第2裏当て層20は、実質的に、ポリプロピレン、ナイロン又はジュートからなることができる。接着層30は、実質的に、例えばラテックスからなることができる。
【0059】
LED50がオンされると、これらLED50からの光は、第2裏当て層20、接着層30及び主裏当て層10を経て進む(これら層の光透過的特性により)。次いで、該光は房40の間の間隙を通過し、当該絨毯の外側に放出されるであろう。使用される房40の密度及びタイプが、絨毯10から放出される光の量及び/又は分布を制御することができる。LED50がオフされると、房40のみが見え、絨毯100は通常の絨毯と異なって見えることはないであろう。
【0060】
第2裏当て層20は、ActionBac(登録商標)なる名称で知られているもののような、二次裏当て層用の既存の製品に基づくものとすることができる。これは、スリットフィルムと紡ぎオレフィン糸との絡み織りから作製された裏当てである。これは、インチ当たり(2.54センチ当たり)16本の縦糸及びインチ当たり(2.54センチ当たり)5本のピック(pick)での絡み織りの、ポリプロピレン縦糸テープ及びポリプロピレン多繊維ピックによるヤード平方当たり2.1オンス(平方メートル当たり0.71グラム)の布を有する。このような裏当て層は、絨毯に、良好な剥離強度による寸法的安定性を付与する。また、この裏当て層は、製造の間において高い(robust)硬化速度に良く適した開放性も有している。0.5インチ水柱に等しい圧力差でのASTM D-737により決定される、この裏当ての通気性は、約750ft3/分/ft2(229m3/分/m2)を超え、これは高い接着剤硬化速度に対して十分である。より高いカウント(18x13)の絡み織り構造を持つ他の斯様な製品は、約720ft3/分/ft2(219m3/分/m2)より高い平均通気性を有する。これも、効率的な硬化速度に適している。好ましくは、第2裏当て層20は接着層30に使用される材料に対して高い接着適合性を有し、これにより、当該絨毯100がASTM D-3936に記載された試験等の剥離試験を合格するようにする。該剥離耐性付与特性は、好ましくは、該裏当てが、前記基準絨毯に積層された場合に少なくとも2.5ポンド/インチ(44.6kg/m)の剥離強度を有するようなものとする。しかしながら、好ましい値は、3〜4ポンド/インチ(53.6〜71.4kg/m)より大きく、より好ましくは少なくとも5.5ポンド/インチ(98.2kg/m)、更に好ましくは少なくとも6ポンド/インチ(107.1kg/m)である。
【0061】
如何なる他の既存の第2裏当て材料も、本発明で使用される第2裏当ての基として使用することができることに注意されたい。他の例は、ニードルフェルト裏当て、ゴム裏当て、PVC裏当て、ポリウレタン裏当て、ビニル裏当て、クッション裏当て及びナイロン裏当て等である。ニードルフェルト裏当ての繊維は、結合させるために針で刺される。第2裏当てにはクッション又は詰め物を組み込むことができることにも注意されたい。第2裏当て材料の他の例は、ビチューメンである。この材料は、例えば絨毯タイルにおける、又は自動車マットにおけるような、とりわけ頑丈な絨毯が必要とされる場合に使用される。幾つかの実施例(例えば、図2aにおけるような)において、ビチューメンは接着剤としても使用することができる。
【0062】
図2a及び2bを参照すると、本発明による絨毯100の他の2つの実施例の断面が示されている。この実施例は、図1の実施例では存在した第2裏当て層20がないことを除いて、図1に示した実施例と類似している。図2aにおいて、LED50は主裏当て層10上に直に設けられている。LED50及び導体装置60は接着層30内に埋め込まれている。図2bにおいて、LED50及び導体装置60は、接着層30の表面に設けられている。
【0063】
図3を参照すると、本発明による絨毯100の他の実施例の断面が示されている。この実施例は、光散乱粒子70が接着層30に埋め込まれていることを除き、図1に示した実施例と類似している。光散乱粒子70は、例えば炭酸カルシウムとすることができる。炭酸カルシウムを使用することは、相対的に安価であるという利点を有している。接着層30は、光散乱粒子70に加えて又は該光散乱粒子の代わりに、導電性粒子を有することができる。導電性粒子は、当該絨毯の帯電(静電気)防止特性を改善する。斯かる導電性粒子は、例えばカーボンブラック、ギ酸カリウム(HCOOK)、酸化錫、インジウム錫酸化物又は銀とすることができる。斯かる導電性粒子の大きさは、光散乱特性を有するように選択することができることに注意されたい。更に、上述した粒子に加えて又は斯かる粒子の代わりに、上記接着層は酸化防止剤を有することができる。該酸化防止剤は、上記接着層を一層耐熱的にさせる。
【0064】
上記主裏当て層10及び第2裏当て層20が光散乱粒子70を有することもできることに注意されたい。
【0065】
図4は、本発明による第2裏当て層20のためのLED及び導体装置の電気的構成を概念的に示す。
【0066】
この実施例において、LED50は直列に接続されたLED50の複数の群を有する回路を形成するように接続され、これら群は並列に接続されている。この実施例の利点は、構成が簡単であって、製造が容易であることである。導体装置60は、例えばプラスチックのシート上に予め製造することができ、その後、該導体装置は第2裏当て層の材料内に埋め込まれる。
【0067】
図5は、本発明による第2裏当て層20の一実施例の斜視図を概念的に示す。この実施例において、LED50及び導体装置60は第2裏当て層20上に設けられている。第2裏当て層20は自身の表面に凹部を有することもでき、これら凹部内にLED50が取り付けられる。導体装置60は導電ワイヤの2つの格子61、62を有し、これらは互いに電気的に絶縁されている。当該絨毯100がLED50の間の位置で切断された場合、LED50は依然として電源に接続されたままであり、その結果、LED50は依然としてオン及びオフすることができる。この構成は、当該絨毯100が切断される寸法又は形状の制限を大幅に低減する。
【0068】
この実施例においては、LED50の各々の上に保護カバー80が配置されている。保護カバー80は、実質的にシリコーンゴムからなることができる。当該LED50のうちの1つは、斯かる保護カバーなしで示されている。第2裏当て層20は、通気のために開口(apertures)を有することができる。接着層30のために使用された蒸発した接着剤は、当該絨毯100の硬化の間に、斯かる開口を通過する。このことは、第2裏当て層20の通気性が十分に高いことを保証する。これらの開口は、低い通気性の第2裏当て層20を使用することができるという点で、第2裏当て層20のための材料の選択の一層高い自由度を可能にする。
【0069】
導体装置60は3以上の格子で作製することもできることに注意されたい。例えば、4つの格子が使用された場合、RGB LEDの色を制御することができる。
【0070】
図6は、本発明による第2裏当て層20の他の実施例の断面を概念的に示す。当該絨毯100が自身のパイル面から光を放出するように、ここでは、LED50は側面発光ダイオード(side emitting LED)又は適合された電極コネクタを備える通常のLEDとすることができる。
【0071】
この実施例において、第2裏当て層20は、前記接着層から遠い方の側から順に、第1電気絶縁層21、第1導電層22、第2電気絶縁層23、第2導電層24及び第3電気絶縁層25を有する。該第2裏当て層20には、LED50が埋め込まれる。これらLED50の各々は、第1及び第2導電層22及び24に各々接続された第1及び第2コネクタ51及び52を有している。全LED50に接続するために、単一の電源が必要である。設置者は該絨毯を如何なる寸法にも切断することができ、LEDシステムは依然として同様に動作する。この多層構造は、LEDが損傷及び水に対して良好に保護されるという利点を有している。
【0072】
この実施例において、層21〜25は透光性とすることができる。電気絶縁層21、23及び25は、透光性ゴムから形成することができる。導電層22及び24は、導電性粒子を有する透光性ゴムとすることができる。
【0073】
図7は、本発明による第2裏当て層20の他の実施例の断面を概念的に示す。この実施例において、LED50からの光は、好ましい光出力方向に対して垂直な水平方向に放出される。当該絨毯のパイル面の方向に光を放出させるために、導電層22及び24には光散乱粒子70が埋め込まれる。これら光散乱粒子70はLED50からの光を散乱させ、該光は当該第2裏当て層の外部に放出される。導電層22及び24に導電性を付与する前記導電性粒子を、光散乱目的で使用することができることに注意されたい。言い換えると、斯かる導電性粒子の大きさは、光散乱粒子70として作用するようにも適合させることができる。光を接着層30に面する側の方向に再指向させるために、層21の下に反射層を設けることができる。
【0074】
図8は、本発明による絨毯100の一実施例の断面を概念的に示す。この実施例は、光源が個別のLEDの代わりに発光シート90であることを除き、図1に示した実施例と類似している。該発光シートは、エレクトロルミネッセントパネル、複数のLEDを有するLEDパネル又はOLEDパネルとすることができる。LEDパネルは、可撓性PCB上に取り付けられた一連のLEDとすることができ、斯かるPCB上には当該LEDパネルが所望の長さで切断されるのを可能にするような電子回路が配設される。導体装置60は、明瞭化のために図示されていない。
【0075】
この発光パネル90は、第2裏当て層20の前記接着層から遠い方の側に、第2接着層91により接着される。第2裏当て層20及び第2接着層91は、発光パネル90から主裏当て層10と第2裏当て層20との間の接着層30への光の透過を可能にするために、当該光に対して少なくとも部分的に透過的とすることができる。これは、少なくとも部分的に透光性の第2裏当て層20及び第2接着層91の使用により達成することができる。このような第2裏当て層20は、該第2裏当て層20に、光を透過させるのに十分なほど大きいが、自身の表面を主裏当て層10及び接着層30と同様に維持するほど十分に小さい開口(apertures)を設けることにより得ることができる。第2接着層91は、主裏当て層10と第2裏当て層20との間の接着層30と同様の態様で、少なくとも部分的に透光性にさせることができる。この目的のためには、炭酸カルシウム等の光散乱粒子を有さない透光性ラテックスを使用することができる。当該絨毯100は、発光パネル90の第2裏当て層20から遠い方の側に配置された反射層(図示略)を更に有することができる。
【0076】
図9a〜dは、透光性ゴムを使用して本発明による第2裏当て層を製造する例示的方法を概念的に示している。
【0077】
図9aに示すように、先ず、未硬化透光性導電性ゴムの層22aが、硬化された電気的に絶縁な透光性ゴムの層21上に塗布される。層21上に塗布された上記層22aが液状である間に、該ゴムにLED50が浸没される。該浸没は、LED50の電極51が当該ゴム内に少なくとも部分的に浸没されるようになされる。次いで、ゴム層22aは、例えば加硫処理又はゴムを硬化させる何らかの他の適切な手段により硬化され、透光性導電層22を形成する。
【0078】
導電層22が形成された後、図9bに示されるように、電気的に絶縁な透光性ゴムの層23が該層22の上に被着される。この層23の厚さは、電極51が完全に浸没される一方、電極52は少なくとも部分的に露出されているようなものとする。層23は液状で塗布され、その後硬化されるようにすることもできるが、層22に接着される事前整形されたシートを使用することも可能である。
【0079】
次いで、図9cに図示されるように、未硬化透光性導電性ゴムの他の層24aが上記電気絶縁層23上に塗布される。次いで、該ゴムは硬化され、導電層24を形成する。上記未硬化ゴムの量は、電極52の少なくとも一部が、該ゴムの硬化により形成される導電層24内に浸没されるようなものとする。
【0080】
次いで、図9dに示されるように、外側に電圧が存在せず且つ当該デバイスを安全に扱うことができるように該デバイスを密封すべく、電気的に絶縁な透光性ゴムの他の層25が被着される。
【0081】
上述した製造例では、未硬化ゴムが使用される。しかしながら、事前整形され硬化されたシートを使用することもできることに注意されたい。
【0082】
この方法の利点は、LEDがワイヤにより接続される必要がないので、製造性が改善されることにある。
【0083】
図10a及びbは、従来の絨毯及び本発明による絨毯の光学特性の実験結果を示す。図10aは、主裏当て層、第2裏当て層(Action Bak(登録商標)なる名称で販売されている)及び接着層からなる従来の絨毯の反射度、透過度及び吸収度を示す。該測定値は、光透過度は200nm〜800nmの波長範囲にわたり1%より低く、吸収度は、背面反射器を備えても光の1%未満しか透過されないほど高いことを示している。これは、従来の接着層は過度に多くの量の炭酸カルシウム粒子を有し、これが該接着層を不透明にさせるという事実から生じる。
【0084】
本発明による房状織物によれば、前記接着層及び第2裏当て層のための材料は、これら層が光を透過させるように選択される。本発明による絨毯の透過度及び反射度の実験結果が、図10bに従来の絨毯と比較して示されている。該図において、1R、2R、1T及び2Tは、各々、従来の絨毯の反射度、本発明による絨毯の反射度、従来の絨毯の透過度及び本発明による絨毯の透過度を示している。本発明による該絨毯は、炭酸カルシウム粒子を含まない透明ラテックスから形成された接着層と、開口(apertures)を有する第2裏当て層(例えばAction Bak(登録商標))とを有する。550nmにおいて、透過度は従来の絨毯では0.2%より低いのと比較して、本発明による絨毯においては11%に増加した。反射度は550nmにおいて32%から37%に増加した。背面反射器を備えれば、全光透過度を更に増加させることができることに注意されたい。また、光源を当該絨毯構造に組み込めば(例えば、図2a参照)、光透過度を更に増加させることができる。
【0085】
上述した例示的実施例の種々の変形は、当業者にとり明らかであろう。例えば、裏当て層の数は、2又は3に限定されるものでない。
【0086】
尚、請求項において、括弧内の如何なる符号も当該請求項を限定するものと見なしてはならない。また、"有する"なる動詞及びその活用形は、請求項に記載されたもの以外の構成要素又はステップの存在を排除するものではない。また、単数形の構成要素は、複数の斯様な構成要素の存在を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光に対して実質的に透過性の主裏当て層と、
前記主裏当て層の第1の側に房を形成する糸と、
前記主裏当て層の前記第1の側とは反対の第2の側に設けられる接着層と、
前記主裏当て層の前記第2の側に面する位置に配置される光源及び該光源用の導体装置と、
を有し、前記接着層、前記光源及び前記導体装置が、前記光源からの光が前記主裏当て層に到達するのを可能にするように構成される房状織物。
【請求項2】
前記光源の光の前記主裏当て層への透過を可能にするために、前記接着層が少なくとも部分的に透過性である請求項1に記載の房状織物。
【請求項3】
前記接着層がラテックス及びアクリルの少なくとも一方を有する請求項1又は請求項2に記載の房状織物。
【請求項4】
前記接着層が透光性である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の房状織物。
【請求項5】
前記接着層の前記主裏当て層から遠い方の側に設けられた第2裏当て層を更に有し、
− 前記主裏当て層、前記接着層及び前記第2裏当て層が実質的に同一の表面積を有し、
− 前記接着層及び前記主裏当て層が光に対して実質的に透過性であり、
− 前記光源、前記導体装置及び前記第2裏当て層が、前記光源の光が前記接着層に到達するのを可能にするように構成される、
請求項1ないし4の何れか一項に記載の房状織物。
【請求項6】
前記光源及び前記導体装置が前記第2裏当て層に組み込まれ、前記光源の光の前記接着層への透過を可能にするために該第2裏当て層が光に対して少なくとも部分的に透過性であるか、又は
前記光源及び前記導体装置が前記第2裏当て層の前記接着層に面する表面に設けられる、
請求項5に記載の房状織物。
【請求項7】
前記光源が1以上のLEDである請求項1ないし6の何れか一項に記載の房状織物。
【請求項8】
前記LED及び前記導体装置が、当該房状織物が寸法を減少された場合、これらLEDの少なくとも相当の部分が動作可能であるように構成された請求項6又は請求項7に記載の房状織物。
【請求項9】
前記LEDが赤-緑-青LEDである請求項6、請求項7又は請求項8に記載の房状織物。
【請求項10】
前記光源が、前記第2裏当て層の前記接着層から遠い方の側に配置された発光シートを有している請求項1ないし5の何れか一項に記載の房状織物。
【請求項11】
前記発光シートがエレクトロルミネッセントパネル、LEDパネル又はOLEDパネルを有する請求項10に記載の房状織物。
【請求項12】
前記発光シートの前記第2裏当て層から遠い方の側に配置された反射層を更に有する請求項10又は請求項11に記載の房状織物。
【請求項13】
当該房状織物が絨毯である請求項1ないし12の何れか一項に記載の房状織物。
【請求項14】
請求項5又は請求項6に記載されたように構成される第2裏当て層。
【請求項15】
光源と該光源用の導体装置とを有する絨毯を製造する方法であって、
− 光に対して実質的に透過性であり、房を形成する糸が設けられた主裏当て層と、該主裏当て層と実質的に同一の表面積を持つ第2裏当て層とを、光に対して実質的に透過性であり、前記主裏当て層及び前記第2裏当て層と実質的に同一の表面積を持つ接着層により接着するステップ、
を有し、前記光源、前記導体装置及び前記第2裏当て層が、前記光源の光が前記接着層に到達するのを可能にするように構成される方法。
【請求項1】
光に対して実質的に透過性の主裏当て層と、
前記主裏当て層の第1の側に房を形成する糸と、
前記主裏当て層の前記第1の側とは反対の第2の側に設けられる接着層と、
前記主裏当て層の前記第2の側に面する位置に配置される光源及び該光源用の導体装置と、
を有し、前記接着層、前記光源及び前記導体装置が、前記光源からの光が前記主裏当て層に到達するのを可能にするように構成される房状織物。
【請求項2】
前記光源の光の前記主裏当て層への透過を可能にするために、前記接着層が少なくとも部分的に透過性である請求項1に記載の房状織物。
【請求項3】
前記接着層がラテックス及びアクリルの少なくとも一方を有する請求項1又は請求項2に記載の房状織物。
【請求項4】
前記接着層が透光性である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の房状織物。
【請求項5】
前記接着層の前記主裏当て層から遠い方の側に設けられた第2裏当て層を更に有し、
− 前記主裏当て層、前記接着層及び前記第2裏当て層が実質的に同一の表面積を有し、
− 前記接着層及び前記主裏当て層が光に対して実質的に透過性であり、
− 前記光源、前記導体装置及び前記第2裏当て層が、前記光源の光が前記接着層に到達するのを可能にするように構成される、
請求項1ないし4の何れか一項に記載の房状織物。
【請求項6】
前記光源及び前記導体装置が前記第2裏当て層に組み込まれ、前記光源の光の前記接着層への透過を可能にするために該第2裏当て層が光に対して少なくとも部分的に透過性であるか、又は
前記光源及び前記導体装置が前記第2裏当て層の前記接着層に面する表面に設けられる、
請求項5に記載の房状織物。
【請求項7】
前記光源が1以上のLEDである請求項1ないし6の何れか一項に記載の房状織物。
【請求項8】
前記LED及び前記導体装置が、当該房状織物が寸法を減少された場合、これらLEDの少なくとも相当の部分が動作可能であるように構成された請求項6又は請求項7に記載の房状織物。
【請求項9】
前記LEDが赤-緑-青LEDである請求項6、請求項7又は請求項8に記載の房状織物。
【請求項10】
前記光源が、前記第2裏当て層の前記接着層から遠い方の側に配置された発光シートを有している請求項1ないし5の何れか一項に記載の房状織物。
【請求項11】
前記発光シートがエレクトロルミネッセントパネル、LEDパネル又はOLEDパネルを有する請求項10に記載の房状織物。
【請求項12】
前記発光シートの前記第2裏当て層から遠い方の側に配置された反射層を更に有する請求項10又は請求項11に記載の房状織物。
【請求項13】
当該房状織物が絨毯である請求項1ないし12の何れか一項に記載の房状織物。
【請求項14】
請求項5又は請求項6に記載されたように構成される第2裏当て層。
【請求項15】
光源と該光源用の導体装置とを有する絨毯を製造する方法であって、
− 光に対して実質的に透過性であり、房を形成する糸が設けられた主裏当て層と、該主裏当て層と実質的に同一の表面積を持つ第2裏当て層とを、光に対して実質的に透過性であり、前記主裏当て層及び前記第2裏当て層と実質的に同一の表面積を持つ接着層により接着するステップ、
を有し、前記光源、前記導体装置及び前記第2裏当て層が、前記光源の光が前記接着層に到達するのを可能にするように構成される方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【公表番号】特表2011−511169(P2011−511169A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534573(P2010−534573)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054776
【国際公開番号】WO2009/066215
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054776
【国際公開番号】WO2009/066215
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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