説明

扉装置及び扉装置における換気・密閉の切替方法

【課題】換気経路を持ちながら、必要に応じて遮音性や気密性を付与することが可能な扉装置において、換気が可能な設定での換気性能を十分に確保できるとともに、プライバシー保護性能も高い扉装置を提供する。
【解決手段】扉装置(A1)は、出入り口に設けられている枠部材(1)と、枠部材(1)に水平方向に開閉回動可能に取り付けられている扉部材(5)と、枠部材(1)のうち扉部材(5)を停止させる側に上下方向に設けられており、扉部材(5)の回動を止めることができる戸当たり部材(2)と、扉部材(5)と枠部材(1)及び戸当たり部材(2)の間に通気空間(a1)を形成する位置に扉部材(5)を停止させる換気位置停止穴(3)と、扉部材(5)と戸当たり部材(2)との間で気密性を保つことができる位置に扉部材(5)を停止させる密閉位置停止穴(4)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉装置及び扉装置における換気・密閉の切替方法に関するものである。更に詳しくは、換気経路を持ちながら、必要に応じて遮音性や気密性を付与することが可能な扉装置において、換気が可能な設定での換気性能を十分に確保できるとともに、プライバシー保護性能も高い扉装置及び扉装置における換気・密閉の切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
扉は本来、扉を設けた室の内部の遮蔽を目的とするものであり、扉内外の気密性を重視した扉装置も多く施工されていた。しかし、平成15年の建築基準改正で、扉の取り付け部分での常時換気が義務化されたことにより、遮音対策をはじめとするプライバシー保護対策が講じる必要が生じてきた。
【0003】
このようなプライバシー保護対策として、扉の下端に上下動可能な密閉部材を設け、密閉部材を必要に応じて下降させることにより、扉の下端と床面の間の隙間を塞いで、扉内外の気密性を付与して遮音性能を高めた扉装置が提案されている(一例として、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−57364
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の「24時間換気用遮音扉」には、次のような課題があった。
すなわち、密閉部材及びそれを操作する関連部品が必要なため、部品の点数が多く、構造も複雑になっていた。このため、故障しやすくコスト高になる課題があった。
また、扉内外の換気(通気)は、扉の幅方向の扉下端と床面の隙間を利用して行い、扉の短辺側を利用する構造のため、隙間の上下幅を考慮すれば、開口面積を大きく取ることは難しいので、十分な換気性能が得にくい。
【0005】
さらには、換気可能な設定で扉の下に開いている隙間は素通しなので、内部の気配が外部からもよくわかる。つまり、見ようと思えばその隙間から内部を覗くことができるという、プライバシー保護の観点からは望ましくない構造的な問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、換気経路を持ちながら、必要に応じて遮音性や気密性を付与することが可能な扉装置において、構造をより簡単にすると共に、換気が可能な設定での換気性能を十分に確保できるとともに、プライバシー保護性能も高い扉装置及び扉装置における換気・密閉の切替方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
第1の発明は、
開口の一方の側に垂直な回転軸を有し、扉を水平方向に回動することによって開口の他方の側に通気空間を形成して停止する第1の停止位置から該通気空間を閉塞して停止する第2の停止位置へ移動するようにした、
扉装置における換気・密閉の切替方法である。
【0008】
第2の発明は、
開口の一方の側に垂直な回転軸を有し、扉部材と枠部材との間で通気空間を形成して扉部材を停止する第1の停止位置と、前記扉部材と枠部材との間で形成された通気空間を閉塞した状態で扉部材を停止する第2の停止位置とを有し、第1の停止位置から第2の停止位置への移動は、扉部材を水平方向に回動することによって行うようにした、
扉装置における換気・密閉の切替方法である。
【0009】
第3の発明は、
扉部材と、枠部材及び戸当たり部材の間に通気空間を形成する位置に扉部材を停止させた状態から扉部材を動かし、枠部材のうち扉部材を停止させる側に上下方向に設けられており、扉部材の回動を止めることができる戸当たり部材に直接または間接的に接触させて、戸当たり部材との間で気密性を保つことができる位置に扉部材を停止させる、
扉装置における換気・密閉の切替方法である。
【0010】
第4の発明は、
開口の一方の側に垂直な回転軸を有して扉を水平方向に回動できるよう設けてあり、該扉を開口の他方の側に通気空間を形成して停止する第1の停止位置と、該通気空間を閉塞して停止する第2の停止位置と、を有する、
扉装置である。
【0011】
第5の発明は、
開口の一方の側に垂直な回転軸を有して扉部材を水平方向に回動できるように設けてあり、扉部材と枠部材との間で通気空間を形成して扉部材を停止する第1の停止位置と、前記扉部材と枠部材との間で形成された通気空間を閉塞した状態で扉部材を停止する第2の停止位置と、を有する、
扉装置である。
【0012】
第6の発明は、
出入り口に設けられている枠部材と、
枠部材に水平方向に開閉回動可能に取り付けられている扉部材と、
枠部材のうち扉部材を停止させる側に上下方向に設けられており、扉部材の回動を止めることができる戸当たり部材と、
扉部材と、枠部材及び戸当たり部材の間に通気空間を形成する位置に扉部材を停止させる換気位置停止手段と、
扉部材と戸当たり部材との間で気密性を保つことができる位置に扉部材を停止させる密閉位置停止手段と、
を備えている扉装置である。
【0013】
第7の発明は、
扉部材を換気位置から密閉位置へ動かすことができる切替操作手段を備えている、
第6の発明の扉装置である。
【0014】
第8の発明は、
扉のノブまたはハンドルのボルトまたはラッチを係止して扉を停止する係止具であって、
開口の一方の側に垂直な回転軸を有して水平方向に回動できるよう設けてある扉を開口の他方の側に通気空間を形成して停止させる第1の停止部と、該通気空間を閉塞して停止させる第2の停止部を有する、
扉のノブまたはハンドルのボルトまたはラッチの係止具である。
【0015】
(作用)
本発明に係る扉装置の作用を説明する。なお、ここでは本発明の各構成要件のそれぞれに、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与し説明するが、この符号の付与は、あくまで説明の理解を容易にするためであって各構成要件の上記各部への限定を意味するものではない。
【0016】
扉装置の扉部材(5)を開いた状態から閉じる方向へ回動させ、換気位置停止手段(3)により換気位置に停止させると、扉部材(5)と、枠部材(1)及び戸当たり部材(2)の間に通気空間(通気経路)(a1)が形成される。この状態では、扉部材(5)を挟んで内側と外側(例えば室内と室外)で通気が可能であり、相互の換気を行うことができる。しかも、通気空間(a1)が形成されるのは、扉部材(5)の長辺側であるため、従来のように短辺側に形成するものと比較して開口部を大きくすることができ、換気が可能な設定での換気性能を十分に確保できる。また、従来のような昇降する密閉部材などは使用しないので、構造が簡単である。
【0017】
また、この換気を行うことができる状態では、扉部材(5)の回動を止めることができる戸当たり部材(2)が邪魔になり、扉部材(5)外部側からは通気空間(a1)を通して扉部材(5)内部側を見通すことができない。これにより、プライバシー保護性能も高い。なお、扉部材(5)の上下端部(扉部材の短辺側)と床面、天井面の間の隙間(S1,S2)は、扉部材(5)が密閉位置に停止しているときに通気がほとんど行われないように狭く形成されているか、または隙間がほとんど形成されていないのはいうまでもない。
【0018】
そして、扉部材(5)の内部側と外部側を密閉する場合には、前記のように枠部材(1)及び戸当たり部材(2)との間に通気空間(a1)を形成する位置に扉部材(5)を停止させた状態から扉部材(5)を手動または切替操作手段を操作することにより動かし、扉部材(5)の後面側を戸当たり部材(2)に直接またはパッキンなどを介在させて間接的に接触させて密閉位置停止手段(4)によって扉部材(5)の回動を停止させる。これにより、通気空間(a1)は塞がれて、扉部材(5)と戸当たり部材(2)との間で気密性を保つことができ、扉部材(5)の内部側と外部側は密閉される。
【発明の効果】
【0019】
(a)扉部材と、枠部材及び戸当たり部材の間に通気空間が形成された状態では、扉部材を挟んで内側と外側で通気が可能であり、相互の換気を行うことができる。しかも、通気空間が形成されるのは、扉部材の長辺側であるため、従来のように短辺側に形成するものと比較して開口部を大きくすることができ、換気が可能な設定での換気性能を十分に確保できる。また、従来のような昇降する密閉部材などは使用しないので、構造が簡単である。
【0020】
(b)換気を行うことができる状態では、扉部材の回動を止めることができる戸当たり部材が邪魔になり、扉部材外部側からは通気空間を通して扉部材内部側を見通すことができない。これにより、プライバシー保護性能も高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を図に示した実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明に係る扉装置の第1実施形態を示す斜視説明図、
図2は図1に示す扉装置の枠部材側の構造を示す説明図、
図3は図1に示す扉装置の扉部材の換気停止位置と密閉停止位置を示す説明図、
図4は図3におけるP1部分拡大図である。
【0023】
扉装置A1は、枠部材1、枠部材1に設けられている戸当たり部材2、枠部材1に設けられている換気位置停止穴3と密閉位置停止穴4及び枠部材1に設けられている扉部材5を備えている。
【0024】
枠部材1は、出入口(符号省略)を形成する両側面100、101(図3参照)、床面102、天井面103のうち両側面100、101と天井面103に固着して門形に形成されている。枠部材1は所要の奥行き幅を有し、奥行き方向の中間部の内面には、戸当たり部材2が固着され、枠部材1と同じく門形に形成されている。
【0025】
また、戸当たり部材2の前面(図2において左側の面)には、戸当たり部材2の内縁部に沿うように全長にわたりパッキン21が固着されている。パッキン21は、気密性とクッション性(緩衝性)を有する材料(例えば合成樹脂、ゴムなど)で形成されている。なお、戸当たり部材2とパッキン21は、平面視で奥行き方向へやや傾斜(図3において左上がり)するように設けられており、後述する扉部材5が密閉位置にあるときの扉部材5の後面とパッキン21の密着度を高めるようにしている(図7に示した扉装置A2の戸当たり部材2とパッキン21も同様)。
【0026】
枠部材1の一方の側部(扉部材5をヒンジ52で取り付ける側とは反対側の扉部材5を停止させる側:図3において左側)の上下方向のほぼ中間部には、板状で四角形の係止具11が固着されている。係止具11のやや奥側寄り(図2において右側寄り)には、後述する扉部材5のラッチボルト6が係止可能な換気位置停止穴3と密閉位置停止穴4が奥行き方向に並設されている。換気位置停止穴3と密閉位置停止穴4は、それぞれ横断面形状でコ字状の穴であり、境界部には隔壁34が設けられている。
【0027】
枠部材1には、扉部材5が、幅方向の一端側を枠部材1の他方の側部にヒンジ52によって取り付けられている。扉部材5は、ヒンジ52の軸(符号省略)を中心に水平方向に開閉回動が可能である。扉部材5の上下端部(扉部材5の短辺側)と床面102、天井面103の間の隙間s1、s2は、扉部材5が密閉位置に停止しているときに通気がほとんど行われないように、例えば数mm程度に狭く形成されている。なお、扉部材5の下部に、扉部材5を閉じたとき(密閉位置にあるとき)に自動的に前記下側の隙間s1を塞ぐように下降する閉塞部材(エアタイトともいう:図示省略)を設けてもよい。
【0028】
扉部材5の幅方向の一方の端面(図3において左側の端面)には、前記換気位置停止穴3と密閉位置停止穴4に対応する高さにフェイス板51とラッチボルト6が設けられている。フェイス板51とラッチボルト6は、扉部材5内部に収められているラッチアッセンブリ(ラッチ装置:図示省略)を構成するものである。なお、ラッチボルト6は、内蔵されたバネによって突出方向へ付勢されている。
【0029】
扉部材5の内面側にはサムターン61とハンドル62が設けられている。ハンドル62は、ラッチボルト6の出入り操作を行うことができるものである。サムターン61は、ラッチボルト6が出た状態(突出した状態)でハンドル62をロックすることができるものである。ラッチボルト6は、前記換気位置停止穴3と密閉位置停止穴4のそれぞれに段階的に係止させることができる。なお、戸当たり部材2には、扉部材5を戸当たり部材2側から扉部材5が開く方向へ付勢してラッチボルト6を換気位置停止穴3と密閉位置停止穴4の内壁に当てて静止させるためのスプリングバー(図示省略)を備えている。
【0030】
(作用)
図1ないし図4を参照して扉装置A1の作用を説明する。
扉装置A1の扉部材5を開いた状態から閉じる方向へ回動させ、扉部材5のラッチボルト6を換気位置停止穴3に係止させる(図3、図4参照)。この状態では、扉部材5の前後面は、枠部材1の前端面と平行になっており、図4に示すように扉部材5の先端と枠部材1及びと当たり部材2との間には通気空間(通気経路)a1が形成される。
なお、扉部材5の前後面は、枠部材1の前端面と必ずしも平行にする必要はなく、例えば気密停止位置の扉角度を浅くするため、通気停止位置をやや斜めにすることもできる。これについては、後述する扉部材5aの場合も同様である。
【0031】
これにより、扉部材5を挟んで室内(図3において上側)と室外(図3において下側)で通気が可能であり、相互の換気を行うことができる。しかも、通気空間a1が形成されるのは、扉部材5の縦方向の長辺側であるため、横方向の短辺側に形成するものと比較して通気空間a1の開口部(開口面積)を大きく取ることができ、換気が可能な設定での換気性能を十分に確保できる。
【0032】
また、この換気を行うことができる状態では、扉部材5の回動を止めることができる戸当たり部材2が邪魔になり、扉部材5の外部側からは通気空間a1を通して扉部材5の内部側を見通すことができない。これにより、プライバシー保護性能も高い。
【0033】
扉部材5の内部側と外部側を密閉する場合には、前記のように枠部材1及び戸当たり部材2との間に通気空間a1を形成する位置に扉部材5を停止させた状態から扉部材5を手動で操作することにより動かし、扉部材5の後面側(室内側の面)を戸当たり部材2のパッキン21に接触させ、ラッチボルト6を密閉位置停止穴4に係止させて扉部材5の回動を停止させる。この状態では必要に応じてサムターン61を操作してラッチボルト6をロックすることができる。
【0034】
これにより、通気空間a1は塞がれて、扉部材5と戸当たり部材2のパッキン21との間で気密性を保つことができ、扉部材5の内部側と外部側は密閉される。なお、扉部材5の下端部と床面102との間の隙間S1及び扉部材5の上端部と天井面103との間の隙間S2は、前記したように通気がほとんど行われないように狭く形成されているので、実質的に密閉度に支障は生じない。
【実施例2】
【0035】
図5は本発明に係る扉装置の第2実施形態を示す斜視説明図、
図6は図5に示す扉装置の枠部材側の構造を示す説明図、
図7は図5に示す扉装置の扉部材の換気停止位置と密閉停止位置を示す説明図、
図8は図7におけるP2部分拡大図である。
なお、本実施の形態では、図において前記扉装置A1の各部と同等箇所には同一符号を付して示し、構造について重複する説明は基本的に省略する。
【0036】
扉装置A2は、枠部材1、枠部材1に設けられている戸当たり部材2、枠部材1に設けられている換気位置停止穴3aと密閉位置停止穴4a及び枠部材1に設けられている扉部材5aを備えている。
【0037】
枠部材1の一方の側部に設けられた係止具11aの奥行き方向の中間部下段には、後述する扉部材5aのラッチボルト6aが係止可能な換気位置停止穴3aが設けられている。また、換気位置停止穴3aより奥側で上段(図5、図6に示すように換気位置停止穴3aと密閉位置停止穴4aは高さが重複する部分がない)には、扉部材5aのロックボルト7が係止可能な密閉位置停止穴4aが設けられている。換気位置停止穴3aと密閉位置停止穴4aは、それぞれ横断面形状でコ字状の穴である。
【0038】
換気位置停止穴3aには、奥壁寄りに軸方向を縦にしてローラ30が設けられている。ローラ30は、ラッチボルト6aの曲面部60を案内してラッチボルト6aの進退動を助けるものである(図8(a)参照)。なお、ローラ30は必ずしも設ける必要はない。
また、密閉位置停止穴4aの前壁寄りには、軸方向を縦にしてローラ40が設けられている。ローラ40は、ロックボルト7の曲面部70を案内してロックボルト7を突出させるときの動きを助けるものである(図8(b)参照)。
【0039】
扉部材5aの幅方向の一方の端面(図7において左側の端面)には、前記換気位置停止穴3aに対応する高さにラッチボルト6aが設けられ、密閉位置停止穴4aに対応する高さにロックボルト7が設けられている。フェイス板51とラッチボルト6a及びロックボルト7は、扉部材5a内部に収められているラッチアッセンブリ(図示省略)を構成するものである。
【0040】
扉部材5aの内面側にはサムターン71とハンドル63が設けられている。ハンドル63は、ラッチボルト6aの出入り操作を行うことができるものである。サムターン71は、ラッチボルト6aを突出した状態(図5に示す状態)から収容された状態となるよう操作することができるものである。なお、ラッチボルト6aは、前記換気位置停止穴3aに係止させることができ、ロックボルト7は密閉位置停止穴4aに係止させることができる。なお、サムターン71とロックボルト7は、切替操作手段を構成している。
【0041】
(作用)
図5ないし図8を参照して扉装置A2の作用を説明する。
扉装置A2の扉部材5aを開いた状態から閉じる方向へ回動させ、扉部材5aのラッチボルト6aを換気位置停止穴3aに係止させる(図7、図8(a)参照)。なお、ロックボルト7はあらかじめサムターン71を操作してフェイス板51から突出しないように内部に収容されている。この状態では、扉部材5aの前後面は、枠部材1の前端面と平行になっており、図8(a)に示すように扉部材5aの先端と枠部材1及び戸当たり部材2との間には通気空間(通気経路)a2が形成される。
【0042】
これにより、扉部材5aを挟んで室内(図7において上側)と室外(図7において下側)で通気が可能であり、相互の換気を行うことができる。しかも、通気空間a2が形成されるのは、扉部材5aの縦方向の長辺側であるため、横方向の短辺側に形成するものと比較して通気空間a2の開口部(開口面積)を大きく取ることができ、換気が可能な設定での換気性能を十分に確保できる。また、プライバシー保護性能も高い点も前記扉装置A1と同様である。
【0043】
扉部材5aの内部側と外部側を密閉する場合には、前記のように枠部材1及び戸当たり部材2との間に通気空間a2を形成する位置に扉部材5aを停止させた状態から扉部材5aのサムターン71を操作してロックボルト7をフェース板51から突出させる。このとき、ロックボルト7は、曲面部70をローラ40に押し付けながら突出するので、その反力で扉部材5aは戸当たり部材2側へ動く。扉部材5aの後面側(室内側の面)は、戸当たり部材2のパッキン21に接触し、ロックボルト7は密閉位置停止穴4aに係止されてロック状態となる。また、ラッチボルト6aは、曲面部60をローラ30にガイドされ、その反力で所要の位置まで内部に収容される。
【0044】
これにより、通気空間a2は塞がれて、扉部材5aと戸当たり部材2のパッキン21との間で気密性を保つことができ、扉部材5aの内部側と外部側は密閉される。なお、扉部材5aの下端部と床面102との間の隙間S1及び扉部材5aの上端部と天井面103との間の隙間S2は、通気がほとんど行われないように狭く形成されているので、実質的に密閉度に支障は生じないのは前記扉装置A1と同様である。
【0045】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る扉装置の第1実施形態を示す斜視説明図。
【図2】図1に示す扉装置の枠部材側の構造を示す説明図。
【図3】図1に示す扉装置の扉部材の換気停止位置と密閉停止位置を示す説明図。
【図4】図3におけるP1部分拡大図。
【図5】本発明に係る扉装置の第2実施形態を示す斜視説明図。
【図6】図5に示す扉装置の枠部材側の構造を示す説明図。
【図7】図5に示す扉装置の扉部材の換気停止位置と密閉停止位置を示す説明図。
【図8】図7におけるP2部分拡大図。
【符号の説明】
【0047】
A1 扉装置
1 枠部材
11 係止具
2 戸当たり部材
21 パッキン
3 換気位置停止穴
30 ローラ
34 隔壁
4 密閉位置停止穴
40 ローラ
5 扉部材
51 フェイス板
52 ヒンジ
6 ラッチボルト
60 曲面部
61 サムターン
62 ハンドル
100、101 側面
102 床面
103 天井面
A2 扉装置
11a 係止具
3a 換気位置停止穴
4a 密閉位置停止穴
5a 扉部材
6a ラッチボルト
63 ハンドル
7 ロックボルト
70 曲面部
71 サムターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口の一方の側に垂直な回転軸を有し、扉を水平方向に回動することによって開口の他方の側に通気空間を形成して停止する第1の停止位置(3)から該通気空間を閉塞して停止する第2の停止位置(4)へ移動するようにした、
扉装置における換気・密閉の切替方法。
【請求項2】
開口の一方の側に垂直な回転軸を有し、扉部材(5)と枠部材(1)との間で通気空間を形成して扉部材(5)を停止する第1の停止位置(3)と、前記扉部材(5)と枠部材(1)との間で形成された通気空間を閉塞した状態で扉部材(5)を停止する第2の停止位置(4)とを有し、第1の停止位置(3)から第2の停止位置(4)への移動は、扉部材(5)を水平方向に回動することによって行うようにした、
扉装置における換気・密閉の切替方法。
【請求項3】
扉部材(5)と、枠部材(1)及び戸当たり部材(2)の間に通気空間(a1)を形成する位置に扉部材(5)を停止させた状態から扉部材(5)を動かし、枠部材(1)のうち扉部材(5)を停止させる側に上下方向に設けられており、扉部材(5)の回動を止めることができる戸当たり部材(2)に直接または間接的に接触させて、戸当たり部材(2)との間で気密性を保つことができる位置に扉部材(5)を停止させる、
扉装置における換気・密閉の切替方法。
【請求項4】
開口の一方の側に垂直な回転軸を有して扉を水平方向に回動できるよう設けてあり、該扉を開口の他方の側に通気空間を形成して停止する第1の停止位置と、該通気空間を閉塞して停止する第2の停止位置と、を有する、
扉装置。
【請求項5】
開口の一方の側に垂直な回転軸を有して扉部材(5)を水平方向に回動できるように設けてあり、扉部材(5)と枠部材(1)との間で通気空間を形成して扉部材(5)を停止する第1の停止位置と、前記扉部材(5)と枠部材(1)との間で形成された通気空間を閉塞した状態で扉部材(5)を停止する第2の停止位置と、を有する、
扉装置。
【請求項6】
出入り口に設けられている枠部材(1)と、
枠部材(1)に水平方向に開閉回動可能に取り付けられている扉部材(5)と、
枠部材(1)のうち扉部材(5)を停止させる側に上下方向に設けられており、扉部材(5)の回動を止めることができる戸当たり部材(2)と、
扉部材(5)と、枠部材(1)及び戸当たり部材(2)の間に通気空間(a1)を形成する位置に扉部材(5)を停止させる換気位置停止手段(3,6)と、
扉部材(5)と戸当たり部材(2)との間で気密性を保つことができる位置に扉部材(5)を停止させる密閉位置停止手段(4,6)と、
を備えている扉装置。
【請求項7】
扉部材(5a)を換気位置から密閉位置へ動かすことができる切替操作手段(7,71)を備えている、
請求項6の扉装置。
【請求項8】
扉のノブまたはハンドルのボルトまたはラッチを係止して扉を停止する係止具(11)であって、
開口の一方の側に垂直な回転軸を有して水平方向に回動できるよう設けてある扉を開口の他方の側に通気空間を形成して停止させる第1の停止部(3)と、該通気空間を閉塞して停止させる第2の停止部(4)を有する、
扉のノブまたはハンドルのボルトまたはラッチの係止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−285898(P2008−285898A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131961(P2007−131961)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(593159637)株式会社オークマ (14)
【Fターム(参考)】