説明

手のひら認証用撮像装置

【課題】手のひらを撮像して、手のひら認証に使用する手のひら認証用撮像装置に関し、利用者の手のひらを撮像範囲に的確に誘導する。
【解決手段】手のひらを撮像する非接触センサーユニット(18)の一方の側に、非接触センサーユニット(18)で撮像される手の手首を支持する前面ガイド(14)を設けた。前面ガイド(14)により、手のひら認証のために撮像する際に、手のひらを、自然とセンサーユニット(18)の撮像範囲に誘導することができ、手首を支持するため、手のひらを的確にセンサーユニット(18)の撮像範囲に位置させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人認証のため人間の体の一部である手のひらを撮像するための手のひら認証用撮像装置に関し、特に、不慣れな人でも、容易に、手のひらの特徴を抽出できるように、手のひらを撮像するための手のひら認証用撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の体には、指紋、網膜、顔面、血管など個人を区別できる部分が、多数存在する。近年のバイオメトリックス技術の進展に伴い、このような人間の体の一部の特徴を認識して、個人認証する装置が種々提供されている。この内、手のひらの血管、掌紋は、比較的大量の個人特徴データを得られるため、個人認証の信頼性に適している。
【0003】
特に、血管(静脈)の模様は、胎児の時から生涯変わらず、万人不同と言われおり、個人認証に適している。図20乃至図23は、従来の手のひら認証技術の説明図である。図20に示すように、登録又は認証時に、利用者は、撮像装置100に手110のひらを近づける。撮像装置100は、近赤外線を発光し、手110のひらに当てる。撮像装置100は、手110のひらから跳ね返った近赤外線を、センサーで受信する。
【0004】
図21に示すように、静脈112に流れる赤血球の中のヘモグロビンは、酸素を失っている。このヘモグロビン(還元ヘモグロビン)は、760ナノメートル付近の近赤外線を吸収する。このため、手のひらに近赤外線を当てると、静脈がある部分だけ反射が少なく、反射した近赤外線の強弱で、静脈の位置を認識できる。
【0005】
図22及び図23に示すように、利用者は、先ず、自身の手のひらの静脈画像データを、図20の撮像装置100を利用して、サーバやカードに登録する。次に、個人認証するには、利用者は、自身の手のひらの静脈画像データを、図20の撮像装置100を利用して、読み取らせる。
【0006】
利用者のIDで引き出された静脈登録画像と、読み取られた静脈照合画像との静脈の模様を照合し、個人認証する。例えば、図22のような登録画像と照合画像との静脈模様の照合では、本人と認証する。一方、図23のような登録画像と照合画像との静脈模様の照合では、本人と認証しない(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−062826号公報(図2乃至図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この手のひら認証技術では、非接触で、利用者に抵抗感なく、撮像できるが、画像の登録や照合時には、画像の位置、大きさ、傾きが問題となる。即ち、手のひらを撮像装置にかざす姿勢、撮像装置と手のひらとの距離、位置、傾き、大きさが異なると、登録画像と照合画像とが、同一の手のひらでも大きく異なり、正確な照合が困難となる。
【0008】
前述の従来技術でも、誤判定の要因となるため、画像処理機能やセンサーを設けて、手のひらを撮像装置の撮像範囲に誘導する方法が提案されているが、この誘導方法は、慣れた利用者では、有効であるが、不慣れな利用者でも利用できる装置を対象とする場合には、特に、初回の登録時や、比較的この装置の知識が少ない場合には、利用者にとって、便宜が良くない。
【0009】
このため、いつでも、どこでも、だれにでもというユビキタス装置への適用に障害が生じる。しかも、操作に時間がかかれば、利用者及び装置メーカーの両方にとって、普及の阻害となる。
【0010】
従って、本発明の目的は、手のひら認証のための撮像する際に、手のひらを、自然と撮像装置の撮像範囲に的確に誘導するための手のひら認証用撮像装置を提供することにある。
【0011】
又、本発明の他の目的は、利用者の抵抗感なく、手のひらを、自然と撮像装置の撮像範囲に的確に誘導するための手のひら認証用撮像装置を提供することにある。
【0012】
更に、本発明の更に他の目的は、手のひらを、撮像装置の撮像範囲に的確に誘導し、読み取り率を向上するための手のひら認証用撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的の達成のため、本発明は、手のひらから認証用パターンを撮像するための手のひら認証用撮像装置において、前記手のひらに対し光を発射し、且つ反射光を受光して、前記手のひらを撮像する非接触センサーユニットと、前記非接触センサーユニットの一方の側に設けられ、前記非接触センサーユニットで撮像される手の手首を支持する前面ガイドとを有する。
【0014】
又、本発明では、好ましくは、前記前面ガイドは、前記手首を支持し、前記手のひらが前記非接触センサーユニットの撮像範囲に位置するように、前記非接触センサーユニットからの位置に設けられた。
【0015】
又、本発明では、好ましくは、前記前面ガイドは、前記手首を支持し、前記手のひらが前記非接触センサーユニットの読み取り範囲に位置するように、前記非接触センサーユニットからの高さを有する。
【0016】
又、本発明では、好ましくは、前記前面ガイドは、前記手首を支持する部分に、前記手首に沿った形状部分を有する。
【0017】
又、本発明では、好ましくは、前記前面ガイドは、前記手首を支持する部分に、前記手首と面接触するカーブ部を有する。
【0018】
又、本発明では、好ましくは、前記非接触センサーユニットの他方の側に設けられ、前記手の指を支持する背面ガイドを更に有する。
【0019】
又、本発明では、好ましくは、前記背面ガイドは、前記手の指を支持し、前記手のひらが前記非接触センサーユニットの撮像範囲に位置するように、前記非接触センサーユニットからの位置に設けられた。
【0020】
又、本発明では、好ましくは、前記背面ガイドは、前記手の指を支持し、前記手のひらが前記非接触センサーユニットの読み取り範囲に位置するように、前記非接触センサーユニットからの高さを有する。
【0021】
又、本発明では、好ましくは、前記前面ガイドは、直立部と水平部とを有するほぼL字形状のガイドであり、前記水平部で、前記手首を支持する。
【0022】
又、本発明では、好ましくは、前記前面ガイドは、透明又はほぼ透明部材で構成された。
【0023】
又、本発明では、好ましくは、前記非接触センサーユニットは、前記手のひらに近赤外光を照射し、前記手のひらからの反射光を受光して、前記手のひらの静脈パターンを検出するセンサーユニットで構成された。
【0024】
又、本発明では、好ましくは、前記非接触センサーユニットは、前記手のひらに近赤外光を照射する発光素子と、前記手のひらからの反射光を受光する受光素子とを有し、前記発光素子と前記受光素子の性能から前記読み取り範囲を決定するセンサーユニットで構成された。
【0025】
又、本発明では、好ましくは、前記背面ガイドは、透明又はほぼ透明部材で構成された。
【0026】
又、本発明では、好ましくは、前記背面ガイドの色を変化するため、選択的に駆動される発光素子を更に有する。
【0027】
又、本発明では、好ましくは、前記背面ガイドが、軸を中心に回転可能に構成された。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、手のひらを撮像する非接触センサーユニットの一方の側に、非接触センサーユニットで撮像される手の手首を支持する前面ガイドを設けたので、手のひら認証のために撮像する際に、手のひらを、自然とセンサーユニットの撮像範囲に誘導することができる。又、手首を支持するため、手のひらを的確にセンサーユニットの撮像範囲に位置させることができる。このため、利用者にとって、面倒でなく、時間もかからずに、手のひら認証の撮像ができ、且つ手のひら認証時間も削減でき、かかる手のひら認証装置の普及に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、手のひら認証システム、手のひら認証用撮像装置、他の実施の形態の順で説明する。
【0030】
[手のひら認証システム]
図1は、本発明の一実施の形態の手のひら認証システムの構成図、図2は、図1の手のひら認証用撮像装置の外観図である。
【0031】
図1は、手のひら認証システムとして、金融機関における個人認証システムを例に示す。金融機関の窓口2には、本発明の対象とする手のひら撮像装置1と、業務店端末(例えば、パーソナルコンピュータ)3とが設けられている。来店した利用者は、手のひら撮像装置(以下、撮像装置という)1に手をかざす。撮像装置1は、手のひらを読み取り、その静脈模様は、静脈データとして、端末3側に登録される。
【0032】
この静脈データは、端末3に接続されるデータベースサーバ4又は利用者の手持ちの個人カード(例えば、ICカード)5に記録される。利用者が、金融機関の窓口7において、引出し取引等の金融取引を行うには、窓口7に設けられた撮像装置1に手をかざす。撮像装置1は、手のひらを読み取り、その静脈模様は、静脈データとして、窓口端末8により、データベースサーバ4に登録された静脈データと照合され、本人確認される。
【0033】
又、利用者が、金融機関のATM(自動現金入出金装置)6を利用して、引出し取引等の金融取引を行うには、ATM67に設けられた撮像装置1に手をかざす。撮像装置1は、手のひらを読み取り、その静脈模様は、静脈データとして、ATM6で、利用者の所持したICカード5、又はデータベースサーバ4に登録された静脈データと照合され、本人確認される。
【0034】
図2は、図1の手のひら撮像装置1の外観図である。図2に示すように、本体10は、ほぼ中央に、センサーユニット18を搭載する。センサーユニット18の前部(利用者側)には、前面ガイド14と読み取り確認ランプ12とが、後部には、背面ガイド16が設けられている。
【0035】
前面ガイド14と背面ガイド16は、透明又はほぼ透明の合成樹脂の板で構成される。後述するように、前面ガイド14は、前面にある手を誘導する役目と、手首を支持する役目を果す。一方、背面ガイド16は、手の指を支持する役目を果す。従って、センサーユニット18の上方で、前面ガイド14は、手首を、背面ガイド16は、手の指をガイドするように、利用者に誘導し、且つこれらを支持する。
【0036】
このため、センサーユニット18の上方で、手のひらの姿勢、即ち、位置、傾き、大きさ(高さ)を、揃え、且つ撮像範囲に誘導することができる。
【0037】
[手のひら認証用撮像装置]
次に、図2で説明した手のひら認証用撮像装置1を、説明する。図3は、図2の撮像装置の断面図、図4は、図3の背面ガイド16の斜視図、図5は、図3の前面ガイド14の斜視図、図6は、図5の前面ガイド14の断面図、図7は、図3のセンサーユニット18の構成図、図8は、撮像装置1の撮像範囲とガイド14、16の関係図、図9は、前面ガイド14の動作説明図である。
【0038】
図3に示すように、本体10は、ほぼ中央に、図7にて後述するセンサーユニット18を搭載する。センサーユニット18の前部(利用者側)には、図5及び図6にて後述する前面ガイド14と読み取り確認ランプ12とが、後部には、図4にて後述する背面ガイド16が設けられている。背面ガイド16の下部に、LED等の発光素子20が設けられる。
【0039】
図4に示すように、背面ガイド16は、透明又はほぼ透明の合成樹脂の方形板で構成され、上部は、平らで、下部に、一対の挿入用ブロック16−1、16−2を備える。これにより、図3に示したように、背面ガイド16は、本体10に挿入され、ブロック16−1、16−2で、位置決めされる。
【0040】
又、図5及び図6に示すように、前面ガイド14も、透明又はほぼ透明の合成樹脂の板で構成される。前面ガイド14は、前面にある手を誘導する役目と、手首を支持する役目を果すため、その断面形状は、垂直のボデイと、上部に、手首を支える水平部14−1とを有する。この水平部14−1の中央には、凹み部14−2が、連続して形成されており、より手首を位置決めし易くしている。
【0041】
一方、図7に示すように、センサーユニット18は、中央に、赤外センサー(CMOSセンサー)18−1と、集光レンズ18−2とが設けられ、この周囲に、複数の近赤外線発光素子(LED)18−4が設けられる。例えば、周囲4ケ所に、近赤外線発光素子18−4が設けられ、近赤外線を上方に発光する。
【0042】
更に、距離センサー18−3が設けられ、センサーユニット18上方の対象物(手のひら)との距離を測定し、センサーユニット18上方に対象物があるか、対象物との距離が適正かの判断に供する。又、センサーユニット18の上面には、可視光をカットする赤外線フィルター(図示せず)が設けられている。
【0043】
このセンサーユニット18は、センサー18−1、集光レンズ18−2、近赤外線発光領域との関係で、読み取り可能領域が規制され、図7では、センサーユニット18の高さBから高さAの範囲である。
【0044】
このため、前面ガイド14と、背面ガイド16の位置及び高さは、図7に示すように、両ガイド14、16で支持される手のひらが、読み取り領域に位置するように、設定される。図7では、読み取り可能領域の下限Bと、上限Aとの中間の高さを持つように、両ガイド14、16の高さ、位置を設定する。このようにすると、読み取りマージンが大きくなる。
【0045】
一方、図8に示すように、センサーユニット18の撮像範囲V(縦、横)は、手のひらを含むように、設定する必要があり、このため、センサーユニット18と、前面ガイド14、背面ガイド16との距離、即ち、位置関係が決定される。
【0046】
又、前面ガイド14は、図5及び図6で示したように、L字形状をなす、手首支持部14−1を有する。この手首支持部14−1の形状は、図9に示すように、手50の手首52の形状に合わせたカーブを形成するように、連続した凹み部14−2を有する。即ち、手首を支持するため、面を形成し、且つこの面を手首の形状に合わせたカーブを持たせる。これにより、手首の位置、傾きを規制でき、手のひらを撮像範囲に的確に誘導、規制できる。
【0047】
次に、図3乃至図7の構成の撮像装置の動作を、図10乃至図16により、説明する。図10に示すように、手50が、ジャンケンのパーの形をしている時に、手のひら54は、最大面積であり、且つ平らであるから、手のひら54を撮像範囲Vで撮像すると、正確な静脈パターンが得られ、登録、照合に有効である。
【0048】
従って、図11に示すように、前面ガイド14が、センサーユニット18の上方で、手首52を支持することにより、センサーユニット18の上方での手のひらの位置と傾き、及び高さは、センサーユニット18の撮像範囲に対し的確となるように、利用者の手を誘導及び支持できる。
【0049】
又、背面ガイド16は、手の指をガイドするように、利用者に誘導し、且つこれらを支持するため、図10に示すように、手の指が開いた最適な状態を形成するのに役立つ。
【0050】
一方、図12に示すように、前面ガイド14の手首支持部14−1に、手首52を乗せない状態では、センサーユニット18の撮像範囲Vに、手のひらの一部しか入らない。
【0051】
又、図13に示すように、前面ガイド14の手首支持部14−1に、手首52を充分乗せない状態で、背面ガイド16にも充分手の指を乗せない状態では、手の指56の一部がガイドされず、センサーユニット18との高さが的確にならない。同様に、図14に示すように、前面ガイド14の手首支持部14−1に、手首52を充分乗せない状態で、背面ガイド16にも充分手の指を乗せない状態では、手の指56の一部を上げてしまう場合があり、センサーユニット18との高さが的確にならない。
【0052】
このように、前面ガイド14は、前面にある手を誘導する役目と、手首を支持する役目を果し、手のひらを円滑に撮像範囲に誘導できる。又、背面ガイド16は、前面ガイド14を補助し、手のひらの位置を撮像範囲に規制する。
【0053】
更に、前面ガイド14に、手首誘導カーブ14−2を設けない場合には、図15及び図16に示すように、センサーユニット18と手のひらとを、水平状態に誘導することができない。このため、前面ガイド14に、手首誘導カーブ14−2を設けることは、この非水平を防止するのに有効である。
【0054】
前述の実施の形態では、背面ガイド16に、発光素子20を設けている。この発光素子の利用の形態を、図17の引き落とし処理フロー図により説明する。
【0055】
(S10)図1に示した窓口7での引き落とし業務において、テラーは、利用者から通帳や伝票(取引額等を記載したもの)を受け、窓口端末8で、伝票を読み取る(OCR)。
【0056】
(S12)窓口端末8で、引き落とし金額を表示する。
【0057】
(S14)撮像装置1の背面ガイド16の発光素子(ランプ)20をオンにし、利用者に、撮像可能を表示する。
【0058】
(S16)利用者が、撮像装置1の両ガイド14、16に手を乗せ、手のひらが、センサーユニット18の読み取り範囲に位置すると、撮像を開始し、発光素子20をオフする。
【0059】
(S20)前述の図1で説明したように、撮像装置1は、手のひらを読み取り、その静脈模様は、静脈データとして、窓口端末8を介し、データベースサーバ4に登録された静脈データと照合され、本人確認される。
【0060】
(S22)静脈データを利用した本人確認がOKであれば、確認ランプ12がOK(例えば、グリーン色の発光)を表示し、以降、取引処理に以降する。一方、静脈データを利用した本人確認がNGであれば、確認ランプ12がNG(例えば、レッド色の発光)を表示し、再読取りのため、ステップS14に戻る。
【0061】
このようにして、背面ガイド16を利用して、利用者に操作をガイドすることができる。
【0062】
[他の実施の形態]
図18は、本発明の他の実施の形態の構成図であり、図1のATM6に、撮像装置1を設けた変形例である。ATM6は、その前面に、カード挿入/排出口6−4と、通帳挿入/排出口6−5と、紙幣挿入/放出口6−3と、硬貨挿入/放出口6−2と、操作及び表示のための顧客操作パネル6−1とを有する。
【0063】
この例では、撮像装置1は、顧客操作パネル6−1の横に設けられる。この場合に、背面ガイド16が、紙幣挿入/放出口6−3とオーバーラップする場合には、紙幣の挿入/取り出しがやりにくくなる。
【0064】
このため、背面ガイド16aは、軸を中心に、センサーユニット18側に倒れる構造とし、利用者が撮像装置1を利用する際に、自動的に又は利用者の手動操作により、背面ガイド16aを立ち上げ、図2の状態で、撮像する。本人確認終了後は、同様に、背面ガイド16aを、センサーユニット18側に、自動的に、又は利用者の手動操作で倒す。これにより、背面ガイド16が、紙幣挿入/放出口6−3とオーバーラップして、紙幣の取り出し、挿入の阻害となることを防止できる。
【0065】
図19は、本発明の他の実施の形態の撮像装置の斜視図である。図19において、図2乃至図7で示したものと同一のものは、同一の記号で示してある。この例では、背面ガイド16が設けられていない。即ち、本体10の前部に、図7にて説明したセンサーユニット18を搭載する。センサーユニット18の前部(利用者側)には、前面ガイド14が設けられている。
【0066】
又、図5及び図6に示したように、前面ガイド14は、透明又はほぼ透明の合成樹脂の板で構成される。前面ガイド14は、前面にある手を誘導する役目と、手首を支持する役目を果すため、その断面形状は、垂直のボデイと、上部に、手首を支える水平部14−1とを有する。この水平部14−1の中央には、凹み部14−2が、連続して形成されており、より手首を位置決めし易くしている。
【0067】
更に、本体10のセンサーユニット18の後部には、平坦部22が設けられている。この平坦部22は、テンキー等の操作機構を搭載する。
【0068】
このようにしても、前面ガイド14の作用効果は、前述の実施の形態と同様であり、前面にある手を誘導する役目と、手首を支持、位置決めする役目を果す。
【0069】
前述の実施の形態では、手のひら認証を、手のひらの静脈パターン認証で説明したが、手の掌紋等他の手のひらの特徴を認証に利用するものにも、適用でき、又、金融業務で説明したが、個人認証を必要とする他の業務にも適用できる。
【0070】
更に、前面ガイド14も、倒れる構造等他の収容型であっても良い。センサーユニットも、近赤外線センサーユニットに限らず、他のセンサーユニットも適用できる。しかも、背面ガイド16の発光素子20を設けているが、設けない構成でも良い。
【0071】
以上、本発明を実施の形態により説明したが、本発明の趣旨の範囲内において、本発明は、種々の変形が可能であり、本発明の範囲からこれらを排除するものではない。
【0072】
(付記1)手のひらから認証用パターンを撮像するための手のひら認証用撮像装置において、前記手のひらに対し光を発射し、且つ反射光を受光して、前記手のひらを撮像する非接触センサーユニットと、前記非接触センサーユニットの一方の側に設けられ、前記非接触センサーユニットで撮像される手の手首を支持する前面ガイドとを有することを特徴とする手のひら認証用撮像装置。
【0073】
(付記2)前記前面ガイドは、前記手首を支持し、前記手のひらが前記非接触センサーユニットの撮像範囲に位置するように、前記非接触センサーユニットからの位置に設けられたことを特徴とする付記1の手のひら認証用撮像装置。
【0074】
(付記3)前記前面ガイドは、前記手首を支持し、前記手のひらが前記非接触センサーユニットの読み取り範囲に位置するように、前記非接触センサーユニットからの高さを有することを特徴とする付記1の手のひら認証用撮像装置。
【0075】
(付記4)前記前面ガイドは、前記手首を支持する部分に、前記手首に沿った形状部分を有することを特徴とする付記1の手のひら認証用撮像装置。
【0076】
(付記5)前記前面ガイドは、前記手首を支持する部分に、前記手首と面接触するカーブ部を有することを特徴とする付記4の手のひら認証用撮像装置。
【0077】
(付記6)前記非接触センサーユニットの他方の側に設けられ、前記手の指を支持する背面ガイドを更に有することを特徴とする付記1の手のひら認証用撮像装置。
【0078】
(付記7)前記背面ガイドは、前記手の指を支持し、前記手のひらが前記非接触センサーユニットの撮像範囲に位置するように、前記非接触センサーユニットからの位置に設けられたことを特徴とする付記6の手のひら認証用撮像装置。
【0079】
(付記8)前記背面ガイドは、前記手の指を支持し、前記手のひらが前記非接触センサーユニットの読み取り範囲に位置するように、前記非接触センサーユニットからの高さを有することを特徴とする付記6の手のひら認証用撮像装置。
【0080】
(付記9)前記前面ガイドは、直立部と水平部とを有するほぼL字形状のガイドであり、前記水平部で、前記手首を支持することを特徴とする付記1の手のひら認証用撮像装置。
【0081】
(付記10)前記前面ガイドは、透明又はほぼ透明部材で構成されたことを特徴とする付記1の手のひら認証用撮像装置。
【0082】
(付記11)前記非接触センサーユニットは、前記手のひらに近赤外光を照射し、前記手のひらからの反射光を受光して、前記手のひらの静脈パターンを検出するセンサーユニットで構成されたことを特徴とする付記1の手のひら認証用撮像装置。
【0083】
(付記12)前記非接触センサーユニットは、前記手のひらに近赤外光を照射する発光素子と、前記手のひらからの反射光を受光する受光素子とを有し、前記発光素子と前記受光素子の性能から前記読み取り範囲を決定するセンサーユニットで構成されたことを特徴とする付記1の手のひら認証用撮像装置。
【0084】
(付記13)前記背面ガイドは、透明又はほぼ透明部材で構成されたことを特徴とする付記6の手のひら認証用撮像装置。
【0085】
(付記14)前記背面ガイドの色を変化するため、選択的に駆動される発光素子を更に有することを特徴とする付記13の手のひら認証用撮像装置。
【0086】
(付記15)前記背面ガイドが、軸を中心に回転可能に構成されたことを特徴とする付記6の手のひら認証用撮像装置。
【産業上の利用可能性】
【0087】
手のひらを撮像する非接触センサーユニットの一方の側に、非接触センサーユニットで撮像される手の手首を支持する前面ガイドを設けたので、手のひらを、自然とセンサーユニットの撮像範囲に誘導することができ、且つ手首を支持するため、手のひらを的確にセンサーユニットの撮像範囲に位置させることができる。このため、利用者にとって、面倒でなく、時間もかからずに、手のひら認証の撮像ができ、且つ手のひら認証時間も削減でき、かかる手のひら認証装置の普及に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施の形態の手のひら認証用撮像装置を利用した個人認証システムの構成図である。
【図2】図1の手のひら認証用撮像装置の斜視図である。
【図3】図2の手のひら認証用撮像装置の断面図である。
【図4】図3の撮像装置の背面ガイドの斜視図である。
【図5】図3の撮像装置の前面ガイドの斜視図である。
【図6】図3の撮像装置の前面ガイドの断面図である。
【図7】図3の撮像装置のセンサーユニットの構成図である。
【図8】図3の撮像装置の撮像領域とガイドとの関係図である。
【図9】図3の撮像装置の前面ガイドの動作説明図である。
【図10】図3の撮像装置のための撮像範囲の説明図である。
【図11】図3の撮像装置のガイドの動作説明図である。
【図12】図3の撮像装置の前面ガイドによる誘導動作の説明図である。
【図13】図3の撮像装置の前面ガイドと背面ガイドによる誘導動作説明図である。
【図14】図3の撮像装置の前面ガイドと背面ガイドによる他の誘導動作説明図である。
【図15】図3の撮像装置の前面ガイドの手首保持動作説明図である。
【図16】図3の撮像装置の前面ガイドの他の手首保持動作説明図である。
【図17】図1のシステムにおける個人認証処理フロー図である。
【図18】本発明の他の実施の形態の撮像装置の構成図である。
【図19】本発明の他の実施の形態の撮像装置の構成図である。
【図20】従来の手のひら撮像装置の説明図である。
【図21】従来の手のひら撮像装置の原理説明図である。
【図22】従来の手のひら認証技術の説明図である。
【図23】従来の手のひら認証技術の他の説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1 手のひら認証用撮像装置
10 撮像装置本体
12 認証インヂケータ
14 前面ガイド
14−1 手首指示部
14−2 凹み部
16 背面ガイド
18 センサーユニット
18−1 センサー
18−2 集光レンズ
18−3 距離センサー
18−4 赤外線発光素子
20 背面ガイド用発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手のひらから認証用パターンを撮像するための手のひら認証用撮像装置において、
前記手のひらに対し光を発射し、且つ反射光を受光して、前記手のひらを撮像する非接触センサーユニットと、
前記非接触センサーユニットの一方の側に設けられ、前記非接触センサーユニットで撮像される手の手首を支持する前面ガイドとを有する
ことを特徴とする手のひら認証用撮像装置。
【請求項2】
前記前面ガイドは、前記手首を支持し、前記手のひらが前記非接触センサーユニットの撮像範囲に位置するように、前記非接触センサーユニットからの位置に設けられた
ことを特徴とする請求項1の手のひら認証用撮像装置。
【請求項3】
前記前面ガイドは、前記手首を支持する部分に、前記手首に沿った形状部分を有する
ことを特徴とする請求項1の手のひら認証用撮像装置。
【請求項4】
前記前面ガイドは、前記手首を支持する部分に、前記手首と面接触するカーブ部を有する
ことを特徴とする請求項4の手のひら認証用撮像装置。
【請求項5】
前記非接触センサーユニットの他方の側に設けられ、前記手の指を支持する背面ガイドを更に有する
ことを特徴とする請求項1の手のひら認証用撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2006−11988(P2006−11988A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190438(P2004−190438)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】