説明

手押し電動ハンディカートの部品配置構造

【課題】より効果的に使用者の負担を低減でき、使い勝手のよい手押し電動ハンディカートの部品配置構造を提供する。
【解決手段】車体フレーム2と、車体フレーム2の左右にそれぞれ回転自在に設けられた車輪3と、車体フレーム2に設けられ、左右の車輪3をそれぞれ独立駆動させる減速機付電動モータ8と、車体フレーム2の車輪3に対応する位置から上方へ向かって延出する操舵桿4とを備え、操舵桿4の上端部に、この上端部から進行方向後方に向かって延出するハンドル部5を配置すると共に、操舵桿4の下方で、かつ操舵桿4の前方に、減速機付電動モータ8に給電を行うためのコントローラボックス17を配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手押し電動ハンディカートの部品配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷物等を運搬するためのハンディカートの車輪を、電動機を用いて駆動し、人力をアシストする電動推進式ハンディカート(手押し電動ハンディカート)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電動推進式ハンディカートは、第1および第2の車輪を有する本体と、本体に揺動自在に取り付けられた略棒状の操舵桿とを備えている。本体は、筐体と、この筐体の内部に配置された直流電源、および制御装置とを備えている。
【0003】
また、操舵桿は、操舵桿本体部と、この操舵桿本体部の一端に設けられた操舵桿グリップとを備えている。操舵桿グリップは、操舵桿本体部から筐体が配置されている進行方向前方に向かって延出するように形成されている。
そして、使用者は、電動推進式ハンディカートを前方に配置した状態で操舵桿グリップを把持し、操舵桿本体部をやや手前に押し倒して車輪を駆動させる。これにより、電動推進式ハンディカートが進行方向前方に向かって走行するので、使用者の荷物等の運搬作業が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】発明協会公開技報公技番号2009−501759号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の従来技術にあっては、直流電源、制御装置、および操舵桿グリップが全て操舵桿本体部よりも進行方向前方に配置されているので、電動推進式ハンディカート全体の重心が操舵桿よりも著しく前方に位置した状態になっている。
ここで、使用者が操舵桿グリップを把持して操舵桿本体部を手前に押し倒すとき、車輪の車軸を中心にして手前に押し倒すことになる。このとき、電動推進式ハンディカート全体の重心が著しく前方に位置していると、この分操舵桿本体部を手前に押し倒す作業負担が大きくなる。このため、使用者の負担を低減しにくく、使い勝手のよい電動推進式ハンディカートとはなり難いという課題がある。
【0006】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、より効果的に使用者の負担を低減でき、使い勝手のよい手押し電動ハンディカートの部品配置構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車体フレームと、前記車体フレームの左右にそれぞれ少なくとも1つずつ回転自在に設けられた車輪と、前記車体フレームに設けられ、左右の前記車輪をそれぞれ独立駆動させる複数の電動アクチュエータと、前記車体フレームの前記車輪に対応する位置から上方へ向かって延出する操舵桿とを備えた手押し電動ハンディカートの部品配置構造であって、前記操舵桿の上端部に、この上端部から進行方向後方に向かって延出するハンドル部を配置すると共に、前記操舵桿の下方で、かつ前記操舵桿の前方に、前記電動アクチュエータに給電を行うための給電装置を配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記車体フレームは、前記操舵桿の下方から進行方向前方に向かって延出する前出フレームを有し、この前出フレームの前端に、段差を乗り上げるための乗り上げ補助装置を設けると共に、前記前出フレームに、前記給電装置を取り付けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載した発明は、前記乗り上げ補助装置は、少なくとも1つの補助輪からなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明は、前記車体フレームは、前記操舵桿の下部から下方に向かって二又状に分岐して延出する二又フレームを有していることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載した発明は、前記車体フレームは、前記二又フレームの下端から下方に向かって延出された後、上方に向かって折り返すように延出されたU字フレームを有し、このU字フレームの端部に、前記前出フレームが接続されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載した発明は、前記U字フレームの内周側に、前記電動アクチュエータを配置したことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載した発明は、前記操舵桿は、中空パイプにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操舵桿を挟んで進行方向前方に給電装置が配置される一方、進行方向後方にハンドル部が配置されるので、従来よりも車輪の車軸近傍に重心を設定することができる。このため、操舵桿を傾倒させる負担を低減でき、使い勝手のよい手押し電動ハンディカートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態における手押し電動ハンディカートの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における手押し電動ハンディカートの正面図である。
【図3】本発明の実施形態における手押し電動ハンディカートの背面図である。
【図4】本発明の実施形態における手押し電動ハンディカートの側面図である。
【図5】本発明の実施形態における手押し電動ハンディカートの上面図である。
【図6】本発明の実施形態における手押し電動ハンディカートの底面図である。
【図7】図6のA−A線に沿う断面図である。
【図8】本発明の実施形態におけるハンドル部の内部構造を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態におけるハンドル部の内部構造の斜視図であって、起歪体を取り外した状態を示す。
【図10】本発明の実施形態における手押し電動ハンディカートの乗り上げ方法についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(手押し電動ハンディカート)
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、手押し電動ハンディカートの斜視図、図2は、手押し電動ハンディカートの正面図、図3は、手押し電動ハンディカートの背面図、図4は、手押し電動ハンディカートの側面図、図5は、手押し電動ハンディカートの上面図、図6は、手押し電動ハンディカートの底面図、図7は、図6のA−A線に沿う断面図である。なお、以下の説明において、説明を簡単にするために、使用者の進行方向前方を単に前方、進行方向後方を単に後方、進行方向を向いて右側を単に右側、進行方向を向いて左側を単に左側、鉛直方向上側を単に上側、地面側を単に下側などとして説明する場合がある。
【0017】
図1〜図6に示すように、手押し電動ハンディカート1は、使用者Uが押して使用するタイプの手押し電動ハンディカートであって、車体フレーム2と、車体フレーム2の後方側の左右に設けられた一対の車輪3と、車体フレーム2の後方から上方に向かって延出する棒状の操舵桿4と、操舵桿4の上端に設けられたハンドル部5とを備え、ハンドル部5を使用者Uが把持するようになっている。
【0018】
(車体フレーム)
車体フレーム2は中空状のパイプにより形成されたものであって、操舵桿4の下部から下方に向かって二又状に分岐して延出する二又フレーム6を有している。二又フレーム6の間には、スペースKが形成される(図3参照)。
また、各二又フレーム6の先端には、それぞれ上方に向かって折り返すようにU字状に形成されたU字フレーム7が連設されている。各U字フレーム7は、上下方向に延出する一対の直線フレーム10a,10bと、これら直線フレーム10a,10bの下端同士を連設する円弧フレーム11とにより構成されている。
【0019】
また、一対の直線フレーム10a,10bには、両者に跨るステー61が設けられ、ここに、それぞれ減速機付電動モータ8が取り付けられている。すなわち、各減速機付電動モータ8は、U字フレーム7の内周側に配置された状態になっている。また、減速機付電動モータ8は、円弧フレーム11との間に隙間Sが形成されるように配置されている。
【0020】
減速機付電動モータ8は、モータケース12内に、不図示のモータ部と、例えばハイポサイクロイド減速機構等からなる減速機構を収納したものである。そして、モータ部の出力は、減速機構に伝達された後、減速機構の出力軸9から出力される。出力軸9は、モータケース12に設けられている不図示の軸受部を介し、左右方向外側に向かって突出している。ここで、不図示の軸受部は、例えば一対のアンギュラ玉軸受けを背面組み合わせしてなる。
また、出力軸9の先端には車輪3が取り付けられており、出力軸9が車輪3の車軸として機能するようになっている。さらに、モータケース12の下部には、水抜き孔13が形成されており、モータケース12内に侵入した雨水が速やかに排水される。
【0021】
U字フレーム7の一対の直線フレーム10a,10bのうち、前方側に位置している直線フレーム10bの先端には、直線フレーム10bと略直交する方向に沿って、かつ前方に向かってそれぞれ一対の前出フレーム14が延出されている。この前出フレーム14とU字フレーム7との接続部には、円弧部15が形成されており、前出フレーム14とU字フレーム7とが滑らかに連設されている。
【0022】
前出フレーム14には左右にブラケット16が複数固定されており、これらブラケット16にコントローラボックス17が取り付けられている。コントローラボックス17には、減速機付電動モータ8に給電を行うためのバッテリ18、減速機付電動モータ8の駆動制御を行うための制御基板58、手押し電動ハンディカート1の傾きを検出するジャイロセンサ59などが収納されている。
【0023】
コントローラボックス17の後面17aには、バッテリ18や制御基板58と減速機付電動モータ8と電気的に接続するためのコネクタ19a、および制御基板58とハンドル部5とを電気的に接続するためのコネクタ19bが設けられている。これらコネクタ19a,19bには、それぞれハーネス20a,20bの一端が接続されている。そして、ハーネス20aの他端は、減速機付電動モータ8に接続されている一方、ハーネス20bの他端は、ハンドル部5に接続されている。
【0024】
また、コントローラボックス17の後面17aには、バッテリ18に外部電力を供給し、バッテリ18の充電を行うための充電用コネクタ21が設けられている。さらに、コントローラボックス17は、この上面17bが前出フレーム14と面一になるように配置されており、上面17b上に荷物Nが載置できるようになっている。すなわち、コントローラボックス17上の空間は、荷物Nを載置するための荷室Hとしての役割を有する。
【0025】
ここで、図4に詳示するように、前出フレーム14は、U字フレーム7を介して二又フレーム6に接続された状態になっているので、荷室Hを大きく確保することができる。すなわち、例えば、前出フレーム14と二又フレーム6とを直接接続しようとした場合、この接続部分の強度を確保するために、図4に2点鎖線で示すように、大きく弧状部Xを形成する必要がある。
【0026】
このように、弧状部Xが形成されてしまうと、荷室Hの手前下部(図4における右下部)のスペースが減少し、荷物Nを前方にずらして載置しなければならなくなる。このため、U字フレーム7を設ける場合と比較して、荷室Hに配置可能な荷物Nの大きさが制限されてしまう。よって、前出フレーム14と二又フレーム6とをU字フレーム7を介して接続することにより、荷室Hを大きく確保することができる。
【0027】
前出フレーム14の前端には、乗り上げ補助装置22が設けられている。乗り上げ補助装置22は、手押し電動ハンディカート1が走行路上の段差を乗り上げる際に使用するものである(使用方法についての詳細は後述する)。
また、乗り上げ補助装置22は、使用者Uが手押し電動ハンディカート1から手を離した状態で、この手押し電動ハンディカート1の操舵桿4が鉛直方向に沿った姿勢のスタンド状態(図4の状態)を安定維持する役割も有している。
【0028】
乗り上げ補助装置22は、前出フレーム14の前端に連設されている補助フレーム23と、補助フレーム23に設けられた1つの補助輪24とにより構成されている。補助フレーム23は、一対の前出フレーム14の前端から、それぞれ前出フレーム14と略直交する方向に沿って、かつ下方に向かって延出する一対の脚フレーム25a,25bと、これら脚フレーム25a,25bの先端に跨るように設けられ、水平方向に沿って延在している連結フレーム26とが互いに円弧部27を介して滑らかに連設されたものである。そして、連結フレーム26の長手方向略中央に、補助輪24が設けられている。
ここで、手押し電動ハンディカート1は、補助輪24、および車輪3が接地している状態で、前出フレーム14が略水平方向に沿うように、かつ操舵桿4が略垂直方向に沿うように構成されている。
【0029】
(操舵桿)
操舵桿4は、中空状の基部パイプ71と、基部パイプ71内に挿入され、この基部パイプ71に対してスライド自在に設けられた中空状の上部パイプ72とを有している。そして、基部パイプ71の下部に、二又フレーム6の上端が接続されている。また、基部パイプ71には、籠取付用ブラケット29が取り付けられている。
【0030】
この籠取付用ブラケット29は、荷室Hに不図示の籠をセットするためのものであって、基部パイプ71に対してスライド自在になっている。これにより、籠取付用ブラケット29の取付位置の高さを調整でき、さまざまな大きさの籠を手押し電動ハンディカート1に取り付けることができる。
なお、籠取付用ブラケット29は、不図示の籠をセットするために用いる他、コントローラボックス17の上面17bに直接載置された荷物Nを固定するための紐等を引っ掛けるフックとして利用することも可能である。
【0031】
また、基部パイプ71の上端には、テーパ雄ネジ部31が刻設されており、このテーパ雄ネジ部31に調整用ナット32が螺合されている。さらに、テーパ雄ネジ部31には、周方向に等間隔に複数のスリット33が形成されており、調整用ナット32を締めこむとテーパ雄ネジ部31の内径が縮径変形するようになっている。これによって、基部パイプ71に対する上部パイプ72の位置を任意の位置に調整した後、この上部パイプ72を固定することができ、操舵桿4全体の長さを調整できる。
なお、テーパ雄ネジ部31と上部パイプ72との間に、例えばゴム製のカラーを介在させることが望ましい。このカラーが上部パイプ72の滑り止めとして機能し、より確実に上部パイプ72を固定することが可能になる。
【0032】
また、基部パイプ71、および上部パイプ72の内部には、コントローラボックス17のコネクタ19bに一端が接続されているハーネス20bが挿通されている。ハーネス20bは、基部パイプ71の下端から長手方向略中央に至る間に、螺旋状に配索された螺旋配索部30を有している。
この螺旋配索部30により、上部パイプ72の進退移動による操舵桿4の長さの変化を吸収し、ハーネス20bに無理な引張応力や圧縮応力がかかるのを阻止できる。このように構成された操舵桿4における上部パイプ72の上端に、ハンドル部5が取り付けられている。
【0033】
(ハンドル部)
図8は、ハンドル部の内部構造を示す斜視図である。図9は、ハンドル部の内部構造であって、起歪体を取り外した状態の斜視図である。
図8、図9に示すように、ハンドル部5は、操舵桿4から後方に向かって屈曲延出するようにL字状に形成された筐体35を有している。筐体35は、樹脂により右側(図8、図9における紙面手前側)に開口部35aを有する箱状に形成されており、この開口部35aを閉塞するように不図示のカバーが取り付けられるようになっている。
また、筐体35は、操舵桿4の上部パイプ72の上方に配置されているブラケット収納部36とブラケット収納部36の上端に一体成形され、後方(図8、図9における左方)に向かって延出された把持部37とにより構成されている。
【0034】
ブラケット収納部36の下端には、上部パイプ72よりも大きく開口された開口部36aが形成されている。また、ブラケット収納部36には、上部パイプ72の上端に固定されているブラケット38、イグニッションスイッチ40、モード切替スイッチ41、トグルスイッチ42、およびスイッチレバー44が収納されている。
ブラケット38は、上部パイプ72の上端に設けられたコネクタ39を避けるように、上部パイプ72に外嵌可能に形成されている。
【0035】
コネクタ39は、操舵桿4内に配索されているハーネス20bの他端と、イグニッションスイッチ40、モード切替スイッチ41、トグルスイッチ42、および後述の歪みゲージ55とを電気的に接続するためのものである。
モード切替スイッチ41は、手押し電動ハンディカート1の走行モードを切り替えるためのスイッチである。走行モードとしては、例えば、車輪3を常時一定速度で駆動させる「常時駆動モード」や、操舵桿4の傾きに基づいて使用者Uの歩行速度を算出し、この歩行速度に応じて車輪3の回転速度を可変させる「通常モード」や、使用者Uの歩行速度が「通常モード」を使用する使用者Uよりも比較的遅い場合に使用する「低速モード」等などが挙げられる。
【0036】
モード切替スイッチ41の切り替え信号は、コネクタ39、およびハーネス20bを介してコントローラボックス17に収納されている制御基板58に出力されるようになっている。これにより、減速機付電動モータ8の駆動制御が行われる。
スイッチレバー44は、手押し電動ハンディカート1を起動させるためのものであって、筐体35の把持部37の下方から延出するように設けられている。そして、使用者Uがスイッチレバー44を押し上げるとトグルスイッチ42がオンするようになっている。トグルスイッチ42のオン信号は、コントローラボックス17に収納されている制御基板58に出力され、減速機付電動モータ8の駆動制御が行われる。
【0037】
図9に詳示するように、上部パイプ72の上端に固定されているブラケット38の上端には、ベースプレート45がボルト・ナット46によって締結固定されている。ベースプレート45は、筐体35の把持部37に沿うように前後方向(図8、図9における左右方向)に長く帯状に形成されたベース本体45aを有している。ベースプレート45は、ハンドル部5の骨格として機能していると共に、起歪体47を取り付けるためのプレートとして機能している。
ベース本体45aは、把持部37に形成されているベースプレート収納部37aに収納されている。ベース本体45aには、前端側に起歪体47を固定するための2つの固定ピン48が突設されていると共に、後端側に起歪体47の変位を規制するストッパ49が突設されている。
【0038】
起歪体47は、筐体35の把持部37に沿って前後方向(図8、図9における左右方向)に長く形成され、ロバーバル機構を構成している。すなわち、起歪体47は、上部はり51と、下部はり52と、これらはり51,52の前端を跨るように一体形成された固定部53と、はり51,52の後端を跨るように一体成形された可動部54とを有している。これにより、起歪体47は、ほぼ上下方向に変形可能、つまり、操舵桿4の軸方向に沿って変形可能になっている。
【0039】
各はり51,52には、それぞれ両端側に薄肉部51a,52aが形成されており、上部はり51の上面における薄肉部51aに対応する位置と、下部はり52の下面における薄肉部52aに対応する位置にそれぞれ歪みゲージ55が貼付されている。歪みゲージ55は、起歪体47の歪み変形を検出するためのものであって、歪みゲージ55によって検出された信号は、コネクタ39、およびハーネス20bを介してコントローラボックス17に収納されている制御基板58に出力される。
【0040】
起歪体47の固定部53は平板状に形成されたものであって、ベースプレート45から突設された2つの固定ピン48に対応する位置に、これら固定ピン48を挿通可能な2つの挿通孔53aが形成されている。これら挿通孔53aに固定ピン48を挿通することにより、ベースプレート45に起歪体47が固定される。
一方、可動部54は円柱状に形成されており、左右両側に2方取り部54aが形成されている。また、可動部54には、2方取り部54aを貫通するように案内ピン56が設けられている。案内ピン56は、可動部54の2方取り部54aから突出した状態になっている。
【0041】
ここで、筐体35の把持部37には、ベースプレート収納部37aの後端に起歪体47の可動部54を収納可能な可動部収納部37bが形成されている。この可動部収納部37bに可動部54が収納されることにより、起歪体47に筐体35が支持される。
筐体35は、起歪体47の可動部54に支持されている一方、筐体35のブラケット収納部36には、下端に開口部36aが形成されている。このため、使用者Uは、把持部37を把持した状態で、ブラケット収納部36の開口部36aと操舵桿4の上部パイプ72との間に生じるガタ分だけ筐体35を上下方向に傾倒させたり、筐体35を右回りや左回りに捻ったりすることができる。このとき、起歪体47に生じる歪みが、歪みゲージ55によって検出される。
【0042】
ここで、ベースプレート45のストッパ49は、起歪体47の各はり51,52の後部に形成されている薄肉部51a,52a間に突設されている。これにより、筐体35が所定以上に上下方向に傾倒し、起歪体47に所定以上の歪み応力がかかるのを防止できる。
また、筐体35の可動部収納部37bには、起歪体47の可動部54から突出している案内ピン56に対応する位置に、この案内ピン56を受け入れ可能な溝57が形成されている。この溝57は、僅かに上下方向に長く形成されており、案内ピン56に対する筐体35の右回り方向や左回りの方向の変位を吸収できるようになっている。すなわち、溝57によって、筐体35の右回りや左回りの捻り動作による起歪体47の捩れ変形を防止できる。
【0043】
(手押し電動ハンディカートの動作)
次に、手押し電動ハンディカート1の動作について説明する。
まず、手押し電動ハンディカート1を使用するにあたって、使用者Uは、操舵桿4よりも後方に立つ(図1参照)。手押し電動ハンディカート1には、乗り上げ補助装置22が設けられているので、使用者Uが手押し電動ハンディカート1から手を離した状態であってもスタンド状態(図4の状態)が安定維持される。
【0044】
その後、使用者Uは、ハンドル部5のイグニッションスイッチ40をオンし、ハンドル部5の把持部37を把持する。そして、ハンドル部5をやや手前に引き、操舵桿4をやや手前に押し倒す。すると、補助輪24が車輪3の出力軸(車軸)9を中心にして地面から浮き上がる方向に変位する(このような姿勢を、以下、走行姿勢という)。
【0045】
ここで、車体フレーム2にコントローラボックス17が配置されているので、手押し電動ハンディカート1の下部側の重心は、操舵桿4よりも前方に位置している。一方、ハンドル部5は、操舵桿4から後方に向かって屈曲延出するようにL字状に形成された筐体35内に各部品が設けられているので、手押し電動ハンディカート1の上部側の重心は、操舵桿4よりも後方に位置している。
このように、手押し電動ハンディカート1は、下部側の重心と上部側の重心とが互いに操舵桿4を挟んで反対側に位置した状態になっている。このため、手押し電動ハンディカート1全体の重心は、操舵桿4よりも著しく前方に位置しておらず、使用者Uが容易に操舵桿4を手前に押し倒し、容易に補助輪24を地面から浮き上がらせることができる。
【0046】
(直進走行)
手押し電動ハンディカート1が走行姿勢を採り、直進走行させる場合、ハンドル部5の把持部37を強く握り締め、スイッチレバー44を押し上げると、トグルスイッチ42がオンする。トグルスイッチ42のオン信号は、コントローラボックス17に収納されている制御基板58に出力され、2つの減速機付電動モータ8を手押し電動ハンディカート1が前進するように駆動させる。
【0047】
ここで、手押し電動ハンディカート1の走行速度が使用者Uの歩行速度よりも速くなると、手押し電動ハンディカート1が使用者Uから離れる方向に走行していくことになる。すると、ハンドル部5が引っ張られて手前に向かって傾倒し、ハンドル部5内に設けられている起歪体47の可動部54が、固定部53よりも手前に向かって、つまり、上方に向かって歪み変形する。
一方、手押し電動ハンディカート1の走行速度が使用者Uの歩行速度よりも遅くなると、手押し電動ハンディカート1が使用者U側に向かってくることになる。すると、ハンドル部5が操舵桿4側に向かって押圧されて傾倒し、ハンドル部5内に設けられている起歪体47の可動部54が、固定部53よりも奥に向かって、つまり、下方に向かって歪み変形する。
【0048】
また、このとき筐体35内に収納されているベースプレート45がハンドル部5の骨格として機能しているので、筐体35が過度に変形してしまうのが防止される。すなわち、筐体35を樹脂により形成すると、ハンドル部5にかかる荷重によって筐体35が変形しようとするが、ベースプレート45のベース本体45aが筐体35の把持部37に沿うように、前後方向に長く形成されているので、把持部37とベースプレート45とが接触し、筐体35の変形が抑制される。
さらに、ベース本体45aが前後方向に長く形成されているので、この分ベース本体45aと把持部37との接触面積が増大し、筐体35に局所的に応力がかかるのを防止できる。
【0049】
起歪体47の歪み変形は、起歪体47の薄肉部51a,51bに設けられている歪みゲージ55によって検出される。そして、歪みゲージ55による検出信号がコントローラボックス17の制御基板58に出力される。
ここで、手押し電動ハンディカート1の走行モードを、使用者Uの歩行速度に応じて車輪3の回転速度を可変させる「通常モード」や「低速モード」に設定している場合、歪みゲージ55による検出信号に基づいて、減速機付電動モータ8の駆動制御が行われる。
【0050】
すなわち、手押し電動ハンディカート1の走行速度が使用者Uの歩行速度よりも速くなると、制御基板58から減速機付電動モータ8を減速させる信号が出力される。一方、手押し電動ハンディカート1の走行速度が使用者Uの歩行速度よりも遅くなると、制御基板58から減速機付電動モータ8を増速させる信号が出力される。このため、使用者Uと手押し電動ハンディカート1の車輪3との間の距離が常に所望の距離に維持される。
【0051】
また、使用者Uが立ち止まるなどして、使用者Uと手押し電動ハンディカート1の車輪3との間の距離が急激に長くなると、この分手押し電動ハンディカート1が手前側に倒れこむと共に、使用者Uの姿勢が前のめりになる。このような場合、手押し電動ハンディカート1の傾き姿勢がコントローラボックス17に設けられているジャイロセンサ59によって検出される。そして、ジャイロセンサ59による検出信号が制御基板58に出力される。制御基板58は、手押し電動ハンディカート1の傾き量が所定値以上になると、減速機付電動モータ8を停止させる信号を出力し、減速機付電動モータ8を停止させる。
【0052】
さらに、手押し電動ハンディカート1を停止させる場合、ハンドル部5の把持部37の握りを弱くするとスイッチレバー44が下がり、トグルスイッチ42がオフになる。トグルスイッチ42のオフ信号は、制御基板58に出力され、2つの減速機付電動モータ8が停止する。
手押し電動ハンディカート1を停止させた状態にあっては、減速機付電動モータ8のセルフロック機能がブレーキとして機能する。このため、外力(人力)によって手押し電動ハンディカート1が動いてしまうことを防止できるので、手押し電動ハンディカート1を使用者Uの杖として機能させることもできる。
【0053】
(旋回走行)
次に、手押し電動ハンディカート1が走行姿勢を採り、旋回走行させる場合について説明する。
手押し電動ハンディカート1を右旋回させるときは、ハンドル部5の把持部37を把持した状態で、使用者Uが手押し電動ハンディカート1を旋回させたい方向に向かって傾ける。すると、この傾きがコントローラボックス17に設けられているジャイロセンサ59によって検出される。そして、ジャイロセンサ59による検出信号が制御基板58に出力され、左右の減速機付電動モータ8が各々駆動制御される。
【0054】
より具体的には、例えば、手押し電動ハンディカート1を右方に向かって傾けた場合、右側に配置された減速機付電動モータ8の回転速度よりも左側に配置された減速機付電動モータ8の回転速度が速くなる。これにより、手押し電動ハンディカート1が右旋回する。
一方、手押し電動ハンディカート1を左方に向かって傾けた場合、左側に配置された減速機付電動モータ8の回転速度よりも右側に配置された減速機付電動モータ8の回転速度が速くなる。これにより、手押し電動ハンディカート1が左旋回する。
【0055】
ここで、左右の減速機付電動モータ8の回転速度差は、ジャイロセンサ59によって検出される手押し電動ハンディカート1の傾き量に基づいて決定される。すなわち、手押し電動ハンディカート1の傾き量が大きいほど左右の減速機付電動モータ8の回転速度差が大きくなり、手押し電動ハンディカート1が急旋回する。
そして、ジャイロセンサ59によって手押し電動ハンディカート1の左右方向への傾きが検出されない場合、左右の減速機付電動モータ8の回転速度差がなくなり、手押し電動ハンディカート1が直進走行する。
【0056】
(段差乗り上げ方法)
次に、図10に基づいて、歩行路上に段差がある場合の手押し電動ハンディカート1の乗り上げ方法について説明する。
図10は、手押し電動ハンディカートの乗り上げ方法についての説明図である。
同図に示すように、走行路上に段差Dがある場合、この段差Dの段差面Dmに乗り上げ補助装置22の補助輪24を接地させるべく、手押し電動ハンディカート1を手前に押し倒す(図10における矢印Y1参照)。
このとき、手押し電動ハンディカート1全体の重心は、操舵桿4よりも著しく前方に位置しておらず、使用者Uが容易に操舵桿4を手前に押し倒し、容易に補助輪24を段差面Dmに接地させることができる。
【0057】
続いて、段差面Dmに補助輪24を接地させた状態で、手押し電動ハンディカート1の姿勢を起こす(図10における矢印Y2参照)。すると、補助輪24を中心にして手押し電動ハンディカート1が持ち上がる(図10における2点鎖線参照)。
そして、この姿勢のまま手押し電動ハンディカート1を前方に向かって押出すと、手押し電動ハンディカート1が段差Dを乗り上げ、乗り上げ作業が完了する。
【0058】
(効果)
したがって、上述の実施形態によれば、操舵桿4よりも前方に延出する車体フレーム2の前出フレーム14に、バッテリ18等が収納されているコントローラボックス17を配置する一方、操舵桿4から後方に向かって延出するようにハンドル部5を配置したので、手押し電動ハンディカート1全体の重心を従来よりも車輪3の車軸(出力軸9)近傍に設定することができる。このため、操舵桿4を傾倒させる負担を低減でき、使い勝手のよい手押し電動ハンディカート1を提供できる。
【0059】
また、前出フレーム14の前端に乗り上げ補助装置22を設けたので、使用者Uが手押し電動ハンディカート1から手を離した状態でスタンド状態を維持することができる。さらに、歩行路に段差Dがある場合、段差面Dmに補助輪24を接地させて手押し電動ハンディカート1を持ち上げることで、手押し電動ハンディカート1が容易に段差Dを乗り上げることができる。
【0060】
ここで、例えば、手押し電動ハンディカート1に乗り上げ補助装置22が設けられていない場合、操舵桿4と前出フレーム14とを把持して手押し電動ハンディカート1全体を持ち上げるなどの作業が必要となり、使用者Uへの負担が大きくなってしまう。このため、乗り上げ補助装置22を設けることにより、さらに使い勝手のよい手押し電動ハンディカート1を提供できる。
【0061】
そして、乗り上げ補助装置22として補助輪24を用いることにより、手押し電動ハンディカート1が段差Dを乗り上げた後、スムーズに手押し電動ハンディカート1を前方に押出すことができる。
また、車体フレーム2は、操舵桿4の下部から下方に向かって二又状に分岐して延出する二又フレーム6を有しているので、二又フレーム6の間にスペースKが形成され、使用者Uの足元の歩行スペースを大きく確保することができる。このため、使用者Uに対する歩行性を向上させることができる。
【0062】
さらに、二又フレーム6の先端にU字フレーム7を介して前出フレーム14を連設することにより、コントローラボックス17上の荷室Hを大きく確保することができる。
そして、U字フレーム7の内周側に減速機付電動モータ8を配置することにより、U字フレーム7に減速機付電動モータ8を保護する機能を持たせることができる。このため、減速機付電動モータ8に直接障害物が接触するのを抑制でき、減速機付電動モータ8の損傷を防止できる。
【0063】
また、U字フレーム7に減速機付電動モータ8を分、手押し電動ハンディカート1の車幅を狭めることができる。
さらに、減速機付電動モータ8は、U字フレーム7を構成する一対の直線フレーム10a,10bに跨るステー61に取り付けられている。このため、減速機付電動モータ8を固定するためのステー61に剛性を高め易く、結果的に車体フレーム2の軽量化を図ることができる。
【0064】
すなわち、例えば、図4に2点鎖線で示すように、前出フレーム14と二又フレーム6とを弧状部Xを介して連結した場合、この弧状部Xの下部に減速機付電動モータ8を固定するためのブラケット(不図示)を設ける必要がある。このような場合、ブラケットは、弧状部Xに片持ち支持されることになるので、ブラケットの剛性を高めにくい。このため、剛性を高めるべく、ブラケットを肉厚に形成しなければならなくなり、本実施形態と比較して車体フレーム2の重量が増大するおそれがある。よって、本実施形態のようにU字フレーム7にステー61を設けることにより、車体フレーム2の軽量化を図ることができる。
【0065】
また、操舵桿4を、基部パイプ71と、この基部パイプ71に対してスライド自在に設けられた上部パイプ72とにより構成し、テーパ雄ネジ部31と調整用ナット32とにより、操舵桿4の長さを調整可能としている。このため、ハンドル部5の高さを使用者Uの身長に対応させて容易に調整することでき、さらに使い勝手のよい手押し電動ハンディカート1を提供することが可能になる。
さらに、操舵桿4を中空状のパイプ71,72により構成することにより、操舵桿4内にハーネス20bを配索させることができ、美観性を向上させることができると共に、ハーネス20bを各パイプ71,72により保護することができる。また、操舵桿4の軽量化、高剛性化を図ることが可能になる。
【0066】
また、ハンドル部5にロバーバル機構を構成する起歪体47を設け、この起歪体47の歪み変形に基づいて、手押し電動ハンディカート1の走行制御を行うようになっている。起歪体47は、操舵桿4の軸方向に沿う方向に変形するので、モーメントなどの操舵桿4の軸方向の力以外の荷重の影響を受けづらい。このため、起歪体47の薄肉部51a,52aとストッパ49との間のクリアランスC(図8参照)を適切に設定することにより、通常の操作に不要な荷重を筐体35からストッパ49を介して操舵桿4に伝達させることができる。よって、起歪体47に無理な荷重がかかるのを防止でき、起歪体47や歪みゲージ55の延命化を図ることが可能になる。
【0067】
さらに、操舵桿4の上部パイプ72の上端に、ブラケット38を介してベースプレート45を固定し、さらに、このベースプレート45の前部に突設された固定ピン48を介して起歪体47の前端を固定している。すなわち、操舵桿4に起歪体47の前端を固定した状態にしている。このため、ハンドル部5の外観をシンプルにすることができ、手押し電動ハンディカート1の美観性を向上させることができる。
【0068】
そして、起歪体47の変位を規制するストッパ49を起歪体47の左右方向側面に設けたので、ストッパ49を起歪体47の上下方向に設ける場合と比較して起歪体47、およびストッパ49の占有スペースを省スペースにすることができる。このため、これら起歪体47、およびストッパ49を筐体35の把持部37内に収めることができ、ハンドル部5の小型化を図ることが可能になる。
【0069】
また、筐体35内に収納されているベースプレート45がハンドル部5の骨格として機能しているので、筐体35の変形時のストッパ49と筐体35の把持部37との接触面積を大きく設定することができる。このため、筐体35にベースプレート45が接触した際の筐体35にかかる面圧を低減でき、筐体35の損傷を防止できる。また、筐体35にかかる面圧を低減できるので、筐体35を軽量化のために樹脂成形することが可能になる。
【0070】
さらに、筐体35の可動部収納部37bに、起歪体47の可動部54から突出している案内ピン56を受け入れ可能な溝57を形成し、この溝57を上下方向に長く形成している。そして、案内ピン56に対する筐体35の右回り方向や左回りの方向の変位を吸収できるようにしている。このため、筐体35の右回りや左回りの捻り動作による起歪体47の捩れ変形を防止できる。
【0071】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、起歪体47の薄肉部51a,52aに対応する位置に歪みゲージ55を貼付し、この歪みゲージ55によって起歪体47の歪み変形を検出することにより、手押し電動ハンディカート1の走行制御を行う場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、歪みゲージ55に代わって起歪体47の歪み変形を検出可能なセンサを用いてもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、車体フレーム2の前出フレーム14の前端に設けられた乗り上げ補助装置22を、補助フレーム23と1つの補助輪24とにより構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、補助輪24に代わって摺動摩擦係数の小さい樹脂プレートなどを用いてもよい。また、補助輪24の個数は1つに限られるものではなく、複数設けてもよい。補助輪24を複数設けることにより、段差乗り上げ時にさらに手押し電動ハンディカート1を安定させることができ、より使い勝手のよい手押し電動ハンディカート1を提供することが可能になる。
【0073】
さらに、上述の実施形態では、コントローラボックス17の上面17bを前出フレーム14と面一になるように配置し、上面17b上に荷物Nを載置できるように構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、左右の前出フレーム14を跨るプレートを設け、このプレートの上面に荷物Nを載置するように構成する一方、プレートの下面にコントローラボックス17を配置するように構成してもよい。このようにすることで、コントローラボックス17の荷物Nを載置することによって受ける衝撃を回避できる。
【0074】
そして、上述の実施形態では、操舵桿4の前方に配置されたコントローラボックス17内に、バッテリ18、制御基板58、ジャイロセンサ59などが収納されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、コントローラボックス17内に少なくともバッテリ18が収納されていればよい。すなわち、少なくとも操舵桿4の前方には、バッテリ18が配置されていればよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、車体フレーム2の左右に車輪3を1つずつ設け、これら車輪3にそれぞれ減速機付電動モータ8を連結した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、車体フレーム2の左右に、それぞれ減速機付電動モータ8に連結された車輪3が少なくとも1つずつ設けられていればよい。すなわち、例えば、車体フレーム2の左右に、それぞれ従動輪として減速機付電動モータ8に連結されていない複数の車輪3を設けてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 手押し電動ハンディカート
2 車体フレーム
3 車輪
4 操舵桿
5 ハンドル部
6 二又フレーム
7 U字フレーム
8 減速機付電動モータ(電動アクチュエータ)
14 前出フレーム
17 コントローラボックス(給電装置)
18 バッテリ(給電装置)
22 乗り上げ補助装置
23 補助フレーム
24 補助輪
27 基部パイプ(中空パイプ)
28 上部パイプ(中空パイプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームの左右にそれぞれ少なくとも1つずつ回転自在に設けられた車輪と、
前記車体フレームに設けられ、左右の前記車輪をそれぞれ独立駆動させる複数の電動アクチュエータと、
前記車体フレームの前記車輪に対応する位置から上方へ向かって延出する操舵桿とを備えた手押し電動ハンディカートの部品配置構造であって、
前記操舵桿の上端部に、この上端部から進行方向後方に向かって延出するハンドル部を配置すると共に、前記操舵桿の下方で、かつ前記操舵桿の前方に、前記電動アクチュエータに給電を行うための給電装置を配置したことを特徴とする手押し電動ハンディカートの部品配置構造。
【請求項2】
前記車体フレームは、前記操舵桿の下方から進行方向前方に向かって延出する前出フレームを有し、
この前出フレームの前端に、段差を乗り上げるための乗り上げ補助装置を設けると共に、前記前出フレームに、前記給電装置を取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の手押し電動ハンディカートの部品配置構造。
【請求項3】
前記乗り上げ補助装置は、少なくとも1つの補助輪からなることを特徴とする請求項2に記載の手押し電動ハンディカートの部品配置構造。
【請求項4】
前記車体フレームは、前記操舵桿の下部から下方に向かって二又状に分岐して延出する二又フレームを有していることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の手押し電動ハンディカートの部品配置構造。
【請求項5】
前記車体フレームは、前記二又フレームの下端から下方に向かって延出された後、上方に向かって折り返すように延出されたU字フレームを有し、
このU字フレームの端部に、前記前出フレームが接続されていることを特徴とする請求項4に記載の手押し電動ハンディカートの部品配置構造。
【請求項6】
前記U字フレームの内周側に、前記電動アクチュエータを配置したことを特徴とする請求項5に記載の手押し電動ハンディカートの部品配置構造。
【請求項7】
前記操舵桿は、中空パイプにより形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の手押し電動ハンディカートの部品配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−66784(P2012−66784A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215463(P2010−215463)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 〔発行者名〕 財団法人 保健福祉広報協会 〔刊行物名〕 2010年度版 福祉機器ガイドブック 〔発行年月日〕 2010年09月10日
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】