説明

手持ち式動力作業機

【課題】把持部を握っている手を握り替えることなく把持部の回転操作を行うことができる手持ち式動力作業機を提供すること。
【解決手段】駆動部を備えた本体部100と、本体部100に設けられ駆動部によって駆動する作業部120と、本体部100に対して回転可能に設けられる把持部201とを備えた手持ち式動力作業機1であって、把持部201は、少なくとも本体部100に対する回転が規制される規制状態と該規制状態が解除され回転が可能となる解除状態とに切換可能な規制部250と、規制部250における規制状態と解除状態との切換操作を行う切換操作部240とを有し、切換操作部240は、少なくとも把持部201の回転方向の一方側と他方側とにそれぞれ配置されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が把持部を把持して作業を行う手持ち式動力作業機に関し、特に本体に対して把持部が回転する手持ち式動力作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン等の駆動部が内蔵された本体部の前側に、該駆動部によって駆動する例えばブレード等の作業部が設けられた手持ち式動力作業機がある。このような手持ち式動力作業機には、使用者によって把持され作業部の操作が行われるメインハンドルと、メインハンドルの補助的役割として本体部を支えるためのサブハンドルとが設けられ、メインハンドルが本体部に対して回転可能となっているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、ハンドルが、本体から延出した軸部に回転可能に取付けられ、回転を規制する係止機構とこの係止機構の解除を行う係止解除レバーをハンドルに設け、スロットルレバーのスイングを規制したときには係止機構の作動を許容とするとともにスロットルレバーのスイングを許容したときには係止機構の作動を規制するストッパ部材をハンドルに且つスロットルレバーから離間させた位置に設けた動力作業機が開示されている。
【0004】
このような係止機構を備えた動力作業機によれば、確かに、ハンドル回転操作中はスロットルの操作を行うことができず、スロットルレバー操作中はハンドル回転操作を行うことができないため、誤操作を未然に防ぐことができるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−176822号公報(請求項1、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている動力作業機は、係止機構の操作を行う係止解除レバーがハンドルの下端側の一箇所のみに設けられているため、例えば作業を中断してハンドルを回転させるときに、ハンドルから一旦手を離してから解除レバーを操作しなくてはならず、操作性が必ずしも良くなかった。
【0007】
本発明は、上記のような問題を一例として、把持部を握っている手を握り替えることなく把持部の回転操作を行うことができる手持ち式動力作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、本発明による手持ち式動力作業機は、駆動部を備えた本体部と、該本体部に設けられ前記駆動部によって駆動する作業部と、前記本体部に対して回転可能に設けられる把持部とを備えた手持ち式動力作業機であって、前記把持部は、少なくとも前記本体部に対する回転が規制される規制状態と該規制状態が解除され回転が可能となる解除状態とに切換可能な規制部と、該規制部における前記規制状態と前記解除状態との切換操作を行う切換操作部とを有し、該切換操作部は、少なくとも前記把持部の回転方向の一方側と他方側とにそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0009】
把持部の回転方向の一方側と他方側とにそれぞれ切換操作部を配置することによって、把持部が様々な回転位置で規制状態にあっても、いずれか一方の切換操作部を操作できるので、把持部を持ち替えることなく操作することができる。また、右手で把持部を把持していても、左手で把持部を把持していても、いずれの場合でも持ち手を替えることなく、切換操作部の操作を行うことができる。
【0010】
また、前記切換操作部は付勢部材によって付勢されており、該付勢部材は前記把持部の回転方向の一方側と他方側とにそれぞれ配置される前記切換操作部のいずれからも略等距離の位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
把持部の回転方向の一方側と他方側とのいずれの切換操作部を押圧しても同等な力で切換操作が行えるため、使用者が把持部を右手で把持したときと、左手で把持したときとのどちらの場合でも違和感なく同じように操作することができ、作業性が向上する。
【0012】
また、前記切換操作部は、前記把持部を把持する手によって押圧される力点部を有し、前記把持部に対して摺動可能に設けられ、この摺動する方向と前記力点部に対する力の作用方向とが平行であることを特徴とする。
【0013】
切換操作部に設けられた力点部は、切換操作部の摺動方向と同一方向に向けて力を加え易いように構成されているため、力点部に加えられた力が効率的に切換操作部の摺動に利用される。これにより、より小さな力で切換操作部を摺動することができる。
【0014】
また、前記把持部は対向する開口部を有する一対のケース構成部を組み合わせたケース体からなり、該ケース体には複数の部品が収容され、前記複数の部品が一方のケース構成部に収納されてから他方のケース構成部が組み合わされていることを特徴とする。
【0015】
一対のケース構成部の双方に対して部品を組み付けてからケース体として組み合わせる場合には、部品によって組み付けの対象となるケース構成部が異なり作業が繁雑となるが、ケース体の部品を予め一方のケース構成部に収容又は組み付けておくことによって、組立作業を効率的に行うことができる。
【0016】
また、前記把持部は、前記駆動部の出力を操作するためのスロットルレバーを備え、前記切換操作部は、前記把持部における前記スロットルレバーが操作可能な位置を把持しながら操作できる位置に配置されていることを特徴とする。
【0017】
例えば、スロットルレバーを操作して作業を行った後、一旦作業を中断して、切換操作部を操作して把持部を回転させ、再度スロットルレバーを操作して作業を行うような場合でも、把持部を把持したままの状態でこれらの一連の動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、把持部を握っている手を握り替えることなく把持部の回転操作を行うことができる手持ち式動力作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態であるヘッジトリマの斜視図である。
【図2】(a)本発明の一実施の形態であるヘッジトリマにおけるメインハンドルの平面図である。(b)同右側面図である。
【図3】図2(a)におけるA−A断面図である。
【図4】図2(b)におけるB−B断面図である。
【図5】作業時におけるメインハンドルの断面図である。
【図6】解除状態におけるメインハンドルの断面図である。
【図7】図6におけるC−C断面図である。
【図8】メインハンドルにおいて右ケースを外した状態の右側面図(一部断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。なお、本発明は把持部が本体に対して回転する機構を備えた手持ち式動力作業機に対して広く適用することができるものであるが、ここでは、本発明をヘッジトリマに適用した場合の一例について説明する。
【0021】
図1は本発明による手持ち式動力作業機の一実施の形態であるヘッジトリマの斜視図である。この図1に示す通り、ヘッジトリマ1は駆動部等が収容されたハウジング110等によって構成される本体部100と、該本体部100の前方(使用者と反対側)に向かって延在する作業部120と、本体部100の後部に設けられる第1の把持部に相当するメインハンドル200と、本体部100の前側に設けられる第2の把持部に相当するサブハンドル160とからなる。
【0022】
図示例による本体部100は、駆動部がエンジンであり、外観上はハウジング110からスタータハンドル103、燃料タンク105、エアクリーナカバー107、マフラをカバーするマフラカバー109等が露出している。ハウジング110の底面にはギヤケース(図示省略)が固定され、該ギヤケース内には、エンジンの動力を作業部120(ブレード)に伝動する伝動機構(図示省略)が収容される。伝動機構については周知技術であるため詳細は省略するが、例えば、エンジンの動力を受けて回転するギヤに偏心カムを設けて、回転運動をブレードの往復運動に変換するものである。なお、駆動部としてエンジンを例示したが、駆動部はエンジン、モータ等を広く含む概念であり、作業部の駆動に用いられるものである。
【0023】
作業部120は、例えば2枚の櫛刃状に形成されたブレード121,122が上下に重なって構成され、各ブレード121,122はギヤケース内の伝動機構に接続されており、これによってそれぞれ前後に往復運動を行うことができる。ブレード121,122は左右に略水平に刃が突出した状態で配置されるため、使用者が本体部100を水平に構えた場合には、作業の進行方向は水平方向となる。
【0024】
サブハンドル160は、一般的には使用者の利き手ではないほうの手によって把持されるもので、メインハンドル200の補助としてヘッジトリマ1を支持等するためのものである。このサブハンドル160は、把持部が略C字状(略逆U字状)の形状であり、上部が左右方向に延在した横グリップ161からなり、該横グリップ161の両端部にはそれぞれ下側に湾曲しながら下方に延在する縦グリップ165,165が設けられる。該縦グリップ165,165の下端はそれぞれ内側に湾曲して本体部110の前端側の下部に固設される。
【0025】
メインハンドル200は、一般的に使用者の利き手によって把持されるもので、全体形状として使用者の掌が挿入可能な内周をもつリング形状を呈し、本体部100の後端側(使用者側)に配置される。この場合、図1に示すように、側面視においてリング形状となるように配置される。なお、メインハンドル200は、本体部100に対して前後方向を回転軸として回転可能に設けられるが、作業時には回転が規制されるように規制部250が設けられている。以下、特に断りのない限り、便宜上、作業部120側を前側、メインハンドル200側を後側とし、前側に向かって左右を定義するものとして、さらに詳しく説明する。
【0026】
図2は、メインハンドル200部分の拡大図であり、(a)が平面図、(b)が側面図となっている。側面視リング形状のメインハンドル200において、使用者は上部側の把持部201を把持するように設定されており、この把持部201に対して滑り止めと防振とを兼ねたラバー202が貼着されている。把持部201において、下部側(メインハンドル200の内周側)にはエンジン始動後にエンジンの出力を調整するためのスロットルレバー220が、上部側の前部にはエンジンを停止させるためのストップスイッチ230が、上部側であってストップスイッチ230の後方にはスロットルレバー220の安全装置であるロックレバー210が、それぞれ配置される。そして、把持部201には、把持部201が様々な回転位置で規制状態にあっても、把持部201を持ち替えることなく操作することができるように、前端部側の左右両側に対してメインハンドル200の回転規制を解除するための切換操作部240(雄型部材240L,雌型部材240R)が設けられている。これにより、例えば作業者が左右いずれの手で把持部201を把持しているときでも、把持したままの状態で握り替えることなく親指で簡便に操作が行える。
【0027】
メインハンドル200は、垂直面を開口として対向する右ケース205Rと左ケース205L(総称するときは「ケース205」とする)とからなり、これら右ケース205Rと左ケース205Lとの開口同士を合わせることで、中空状に形成される。
【0028】
図3に示されるように、スロットルレバー220は、前端側の上部及び下部にそれぞれ凸状の第1規制部221と第2規制部223とが形成され、後部側は使用者が指を掛けて押圧操作するためのレバー部224となっている。このようなスロットルレバー220は、前端側の下端部に設けられた回転軸225を中心として所定範囲において回転可能に枢支されており、メインハンドル200から下方側に突出した状態と、メインハンドル200内に収容した状態と、これらの間の任意の中間状態とをとることができる。スロットルレバー220とエンジンとはスロットルワイヤ229によって接続されており、スロットルレバー220の状態に応じてエンジンの出力を制御することができる。なお、スロットルワイヤ229は、左ケース205Lに収容された状態で後部を通って本体部に接続される。
【0029】
ロックレバー210は、前端側の下部にスロットルレバー220の第1規制部221に対応した凹状の規制凹部211が形成され、後部側が押圧部215となっている。このようなロックレバー210は、前後方向における規制凹部211と押圧部215との間に設けられた回転軸213を中心として所定範囲において回転可能に枢支されており、メインハンドル200から上方側に突出した状態と、メインハンドル200内に収容した状態とをとることができる。ロックレバー210が押圧されず、メインハンドル200から上方側に突出した状態のときは、ロックレバー210の前部に形成された規制凹部211にスロットルレバー220の前部に形成された第1規制部221が係合されるため、スロットルレバー220を操作しようとしてもスロットルレバー220がメインハンドル200内に収容されることがない。
【0030】
なお、スロットルレバー220の回転軸225には付勢部材としての捩りコイルバネ227が嵌装されており、この捩りコイルバネ227の一端がスロットルレバー220の内側下面に、他端がロックレバー210の内側上面にそれぞれ当接している。これにより、スロットルレバー220は下方側に、ロックレバー210は上方側にそれぞれ付勢される。
【0031】
図4に示すように、切換操作部240は、図面上、把持部201の左側に突出した押圧片241Lが形成された雄型部材240Lと、右側に突出した押圧片241Rが形成された雌型部材240Rとからなる。雌型部材240R及び雄型部材240Lは、それぞれ右ケース205Rに設けられた係止孔206R及び左ケース205Lに設けられた206Lに部分的に挿入される。そして、ケース205内において雌型部材240Rに設けられた凹部245Rと雄型部材240Lに設けられた凸部245Lとが嵌合し、ネジ等の締結部材243によって締結されることによってケース205を挟持するようにして支持される。ここで、係止孔206L,206Rは凸部245L及び凹部245Rの外径より上下方向に広く形成されているため、切換操作部240はケースに対して係止孔206R,206Lの上下方向の幅と凹部245R及び凸部245Lの外径との差分の範囲で摺動自在となる。なお、押圧片241L,241Rは、切換操作部240を操作する際に作業者が力を加える力点部として機能するものであり、切換操作部240の摺動方向と直交する方向に平行な面状に形成されている。よって、押圧片241L,241Rに加えられた力の作用方向(押圧方向)と切換操作部240の摺動方向とが平行となるため、加えられた力が一方向(図2(a)において白抜き矢印によって示される摺動方向)に作用し易く、より小さな力で切換操作部を摺動させることができる。また、押圧片241L,241Rは、前方に向かって上方に傾く把持部201の傾きに沿って前方側がやや高くなるように傾斜している。これにより、把持部201の傾斜と押圧片241L,241Rの傾斜とが略一致し、使用者が把持する際に押圧片241L,241Rを操作し易くなっている。
【0032】
このような切換操作部240の凸部245L及び凹部245Rは、規制部250の上端側に設けられた嵌合孔251に嵌合されており、この規制部250は切換操作に連動して切換操作部240の摺動方向に移動自在となっている。規制部250は上端側に嵌合孔251を有し、切換操作部240の摺動方向に延びる中間部253とこの中間部253の下端において本体部100側に折曲し突出する係止片255とからなる。嵌合孔251は側面視において略円形状を呈する円筒体252の中心に設けられている。この円筒体251は、スロットルレバー220が押圧されていない状態においては第2規制部223と接触することはないが(図6参照)、スロットルレバー220が押圧されている状態においては円筒体251の下側に第2規制部が移動するため、円筒体251が下方に移動しようとすると第2規制部材に当接することになる(図5参照)。これにより、円筒体251(規制部250)は、下方に移動することが規制される。
【0033】
また、中間部253は、切換操作部240の摺動方向の上側に付勢する付勢部材としてのコイルスプリング254が内部に収容された筒状体となっている。この筒状体は左ケース205Lと右ケース205Rとの中心に配置されるため、左ケース205Lに支持された雄型部材240Lの押圧片241Lと右ケース205Rに支持された雌型部材240Rの押圧片241Rとのいずれからも等距離の位置に配置されることになり、左右いずれの押圧片241を押圧しても同等な力で切換操作が行えるようになっている。これにより、使用者が把持部201を右手で把持したときと、左手で把持したときとのどちらの場合でも把持部を離すことなく、切換操作部240を同じように違和感なく操作することができる
【0034】
メインハンドル200の前側下端部は前方に突出した略円筒状の凸状部208となっている。一方、本体部100のハウジング110の後側下端部は凸状部に対応した凹状部108となっている。そして、凸状部208は若干のクリアランスをもって凹状部108に嵌合されることによって、メインハンドル200はハウジング110に対して回転可能に支持される。
【0035】
なお、図7に示すように、凸状部208の上部には切欠208aが形成されており、規制部250の係止片255が出入自在となっている。また、凹状部108の内周面には、所定角度ごとに前後方向に延びる溝状の規制溝106が形成されており、係止片255が嵌合可能となっている。図示例では、凹状部108の上半分に対して45度ごとに5条の規制溝106a,106b,106c,106d,106eが形成されている。
【0036】
図3に示すように、切換操作部240の押圧片241を押圧していない状態では、コイルスプリング254の付勢力によって切換操作部240が上部側に付勢されている。この場合、規制部250もこれに連動しており、摺動方向の上部側に位置している。このとき、係止片255は規制溝106に係合しているため、メインハンドル200が本体部100に対して回転することができない規制状態となる。一方、図6に示すように、コイルスプリング254の付勢力に逆らって切換操作部240が下部側に押圧されると、規制部250もこれに連動して下部側に移動する。このとき、係止片255は規制溝106より下側に位置し係合が解除されるため、メインハンドル200が本体部100に対して回転することができる解除状態となる。解除状態においては、メインハンドル200を本体部100に対して所望の規制溝106a乃至106eの位置まで回転させてから、押圧片241の押圧をやめれば、規制部が上方に移動するとともに係止片255がいずれかの規制溝106に係合するため、再び規制状態となり、メインハンドル200が本体部に対して固定される。
【0037】
このような切換操作部240による規制状態と解除状態との切換は、スロットルレバー220が操作されていない状態(レバー部224がケース205から突出している状態:非作業時)においては、規制部250の円筒体251がスロットルレバー220の第2規制部223と接触することがなく、規制部250が上下方向に移動可能であるため、その操作を行うことができる。
【0038】
一方、図5のように、スロットルレバー220が操作されている状態(レバー部224がケース205内に収容されている状態:作業時)においては、規制部250の円筒体251の下部がスロットルレバー220の第2規制部223と当接するため、規制部250の下方への移動が規制され、その操作を行うことができない。このように、作業部が動作している状態(作業時)では、切換操作部240の切換操作を行うことができず、本体部に対するメインハンドルの回転が規制されるが、作業部が動作していない状態(非作業時)では、切換操作部240の切換操作が可能となり、本体部に対するメインハンドルの回転が許容される。
【0039】
なお、図8に示すように、メインハンドル200を組み立てる際に、右ケース205Rと左ケース205Lとを組み合わせるにあたって、ロックレバー210、スロットルレバー220、スロットルワイヤ229、ストップスイッチ230、規制部250等の各部品は左ケース205Lに収容又は組み付けられてから、この左ケース205Lに対して右ケース205Rが嵌合される。このとき、ストップスイッチ230のコード230aは規制部250の近傍を通って本体部に接続されるものであるが、規制部の動作に干渉しないように、規制部とコード230aの間に遮断板209が設けられている。なお、切換操作部240(雄型部材240L、雌型部材240R)は右ケース205Rと左ケース205Lを組み合わせた後に外側から取り付けられるものであり、予め左ケース205Lに組み付けられるものではない。このように、ケース205内の部品を予め一方のケース(左ケース205L)に収容又は組み付けておくことによって、組立作業を効率的に行うことができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、駆動部がエンジンである例を示したが、これに限定されるものではなく、モータ等の駆動手段であっても構わない。
【0041】
メインハンドルが側面視においてリング形状である例を示したが、これに限定されない。メインハンドルは使用者によって把持される把持部が形成された構成で、本体部に対して回転可能に設けられていれば良く、例えば円筒の杆状であっても構わない。
【0042】
また、規制部(係止片)に対する規制溝が45度毎に5条設けられている例を示したが、これに限定されない。例えば30度毎に7条設けても良いし、90度毎に3条設けても良く、適用される動力作業機の特徴に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 手持ち式動力作業機
100 本体部
120 作業部
201 把持部
240 切換操作部
250 規制部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を備えた本体部と、該本体部に設けられ前記駆動部によって駆動する作業部と、前記本体部に対して回転可能に設けられる把持部とを備えた手持ち式動力作業機であって、
前記把持部は、少なくとも前記本体部に対する回転が規制される規制状態と該規制状態が解除され回転が可能となる解除状態とに切換可能な規制部と、
該規制部における前記規制状態と前記解除状態との切換操作を行う切換操作部とを有し、
該切換操作部は、少なくとも前記把持部の回転方向の一方側と他方側とにそれぞれ配置されていることを特徴とする手持ち式動力作業機。
【請求項2】
前記切換操作部は付勢部材によって付勢されており、該付勢部材は前記把持部の回転方向の一方側と他方側とにそれぞれ配置される前記切換操作部のいずれからも略等距離の位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の手持ち式動力作業機。
【請求項3】
前記切換操作部は、
前記把持部を把持する手によって押圧される力点部を有し、
前記把持部に対して摺動可能に設けられ、
この摺動する方向と前記力点部に対する力の作用方向とが平行であることを特徴とする請求項1又は2記載の手持ち式動力作業機。
【請求項4】
前記把持部は対向する開口部を有する一対のケース構成部を組み合わせたケース体からなり、該ケース体には複数の部品が収容され、前記複数の部品が一方のケース構成部に収納されてから他方のケース構成部が組み合わされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の手持ち式動力作業機。
【請求項5】
前記把持部は、前記駆動部の出力を操作するためのスロットルレバーを備え、
前記切換操作部は、前記把持部における前記スロットルレバーが操作可能な位置を把持しながら操作できる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の手持ち式動力作業機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−44882(P2012−44882A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187594(P2010−187594)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】