説明

手持ち式電気ブレンダーのワンド形装着体

【構成】回転可能な駆動シャフト(23)を有する細長い管状ハウジング(22)からなるハンドブレンダー用ワンド形器具(20)である。この器具(20)の一端でシャフト(23)が手持ち式ドライバーユニットからの回転駆動を強め、そして他端に食材調理加工ヘッドを設ける。調理加工ヘッドは、シャフト(23)に取り付けられ、かつ少なくとも3枚のブレード(32a、32b、32c)を有するブレード部材(26)からなる。ブレード部材は、ルーフ(36)を形成した管状側壁(30)を備えた調理加工ヘッドハウジング(27)内で回転する。調理加工ヘッドハウジング(27)は管状シャフトハウジング(22)に接合し、そして他端において開口する。側壁(30)の内面(38)に設けた突出部(40)がブレード(32a、32b、32c)の先端に対向する。各突出部(40)がここを通り過ぎて流動する食材に対して断崖形状体になる。本発明の一部の実施態様では、側壁(30)を城塞形状体(44、46)として構成し、突出部(40)を側壁(30)の非城塞形状体領域のみに形成する。好ましい実施態様では、シャフトハウジング(22)についてはステンレス鋼などの金属で構成し、ヘッドハウジング(27)についてはプラスチック材質で構成し、突出部(40)および城塞形状体(44、46)を成型法によって簡単に形成できるようにする。プラスチックハウジング(27)のルーフ部材(36)および/またはステンレス鋼部分(22)およびプラスチック部材(27)との接合部を覆うようにステンレス鋼ドーム(50)を設けて外観を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に“ハンドブレンダー”と呼ばれている手持ち式電気ブレンダーのワンド形装着体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ハンドブレンダーは多用途器具であり、例えば泡立て、かき混ぜ(ブレンド)や切り刻みなどの各種の調理加工を行う各種の装着体および/または付属体を支持かつ駆動できる調理加工装置である。一般的に、これら装着体や付属体(以下これらを便宜上全体として“器具”と呼ぶことにする)の場合、電気モーターを収めたやや管状の本体部分に選択的に着脱でき、この本体部分は使用者の手で簡単に支えることができる形状で構成されている。上記器具の場合、一般的に、管状かつ細長く、即ちワンド形(wand−like)である。この表現は実際に、これら器具を記述するためによく使われている。これら器具を選択して使用する場合、本体に端部を接して取り付け、電気モーターの駆動シャフトの軸線にそって手で延ばして使用する。各器具は、本体部から離れたその端部に、ブレードやその他の装置を含む調理加工ヘッドが設けられ、ブレード(やその他の装置)を電気モーターによって回転駆動したときに、切断、切り刻み、粉砕やその他の調理加工方法で食材を加工する。
【0003】
選択した所定の器具のブレードまたはその他の装置を駆動する駆動速度は、目的の機能に依存する。したがって、一部のブレードやその他の装置がフルモーター速度(例えば、およそ15,000rpm程度)で駆動される一方で、残りのブレードや装置はより低い速度で動作するため、ギヤ作用が必要である。より低い速度の動作が必要なのは、例えば、一部の機能を行うために追加的な動作トルクを与えるためであり、および/または調理加工が過剰になる恐れを抑えるためである。
【0004】
ギヤ作用を与える場合、器具のシャフトにギヤを利用することは本質的ではないが、好ましい。これは、器具の使用時に、正確なギヤ作用を確保できるからである。あるいは、モーターハウジングにギヤを設け、選択した器具に対応するギヤ作用を選択する手動手段を併用してもよく、あるいは管状モーターハウジングと全体として管状器具との間に、同軸的に独立したギヤボックスを設けることも可能である。
【0005】
ハンドブレンダーは既に確立され、有用な多用途器具であり、少なくとも有名メーカーによって製造されたハンドブレンダーは、厳格な安全条件を満足し、使用者が高速で回転するブレードに手を触れることによって怪我をする恐れはない。ところが、従来の器具を使用した場合に以下の問題が生じる。
(a)ある種の調理加工を行うためには、かなりの電力レベルが必要である。
(b)調理加工動作中に、加工食材がはね出す恐れや、飛び出す恐れがある。
(c)強い渦流が発生し、食材が調理加工されている容器上にブレンダーが吸引され落下する傾向がある。
(d)食材のブレードやその他の装置による調理加工の効率が悪いため、調理が不完全になり、また長引く恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記問題の一部または全体に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ハンドブレンダー用ワンド形器具において、回転駆動シャフトを含む細長いハウジングからなり、一端において上記シャフトがモーターで駆動される駆動口に連結され、かつ他端に食材調理加工ヘッドを有する器具であり、上記調理加工ヘッドが上記シャフトに連結され、かつ上記駆動シャフトから離れた端部において開口しているハウジング内で回転できるように取り付けられたブレードを備えた部材からなり、このブレードを備えた部材が少なくとも3つのブレードを備え、各ブレードが先端をもち、そして上記ハウジング内において回転時にそれぞれ異なる切断経路にそって動作し、上記ハウジングの内面に、上記ブレードの先端に対向する複数の離間突出部を形成し、そして各突出部が、食材に対して相対運動する断崖形状体(bluff body)になるように構成したワンド形器具を提供するものである。
【0008】
断崖形状突出部(即ち、流動物に対して急勾配の非流線形面を与える突出部)を設けると、層流を撹乱し乱流を生成することによって、器具の使用時にハウジング内に発生しやすい渦流の強度を大幅に弱めるため有利である。このように構成しなければ、渦流が十分強力なため、器具が吸引され食材成分に落下し、器具の使用を困難にするだけでなく、ブレンド動作の効率も低下する。
【0009】
なお、渦流のかなりの減少は断崖形状突出部によるものであるが、これは乱流が発生し、ブレンド中の食材成分が、渦流が形成している領域に繰り返し移動するからと考えられる。
【0010】
本発明の好ましい実施態様では、ブレードを備えた部材を3枚のブレード(以下3枚ブレードと呼ぶ)で構成し、そして特に好ましい実施態様では、各ブレードを回転方向に凸形状に構成する。このようなブレード構成は、ブレンドすべき食材成分中にブレードを通すために必要なトルクを減らすことができるため有利である。
【0011】
さらに3枚構成の場合、3枚のブレードのうち一つを使用時にほぼ水平になるようにし、そして他の2枚のブレードを異なる角度で、例えば水平からそれぞれ10度および20度の角度で上向けに設定するのが好ましい。このように構成すると、必要な駆動トルクがさらに減少し、3枚ブレードと食材成分との相互作用の効率がさらに高くなる。
【0012】
調理加工ヘッドのほぼ円筒形のハウジングには、例えば、上記駆動シャフトを取り囲み、かつこの駆動シャフトから延びるルーフ部材を形成する。また本発明のさらに好ましい実施態様では、調理加工ヘッドの円筒形ハウジングに、上部においてこのルーフに取り付けられ、かつ下端部において開口している管状側壁を設ける。この側壁の開口端部については特に城塞形状(castellated)に構成して、特に食材成分がブレンド状態にある容器の床に隣接して器具を設定するときに、食材成分が出入りする一連の通路を形成する。
【0013】
必ずしも必要ないが、ハウジングの非城塞形状部内にのみ断崖形状突出部を設けるのが好ましい。即ち、これら突出部はハウジングのルーフ付近から下方に延びるが、城塞形状体の上部より下に延びないようにするのが好ましい。
【0014】
また全体としては、突出部および城塞形状体の両者を側壁の周囲に対称的に分布配置するのが好ましい。なお、突出部の角度位置と城塞形状体の角度位置との間には直接的な相関関係を設定する必要はないが、一つの好ましい実施態様では、12個の突出部および6個の城塞スロットを利用し、一つの突出部を各城塞スロットと間に介在する各ランドの中心に、あるいは中心付近に設ける。
【0015】
城塞形状体については、側壁内の下向きに開口するスロットとして形成するのが好ましく、また(必ずしも必要ないが)、すべて同じ幅に設定するのが好ましい。通常、これらスロットは比較的浅く、側壁の高さ全体に対して3分の1かそれ未満程度の距離、側壁にそって延長するものである。一つの実施例では、6個のスロットを利用し、内径が60mmの管状ないし環状側壁の周囲に等角度で分布配置し、各スロットについては駆動シャフト軸線においておよそ30度の角度をなすように構成する。またこの実施例では、スロット間のランドも駆動シャフト軸線において同じ角度をなすが、好ましい場合には、他の角度関係も利用可能である。
【0016】
前記実施例では、突出部は側壁の内面から内向きに2.5mm延長し、そして最大ブレード直径については、水平ブレードに対してブレード先端/突出部間隔が1mmになるように設定している。なお、水平面(horizontal plane)から曲がっているブレードの場合、水平ブレードと公称上の長さが同じである限り、突出部からわずかに異なる間隔で離間している。
【0017】
必要な場合には、特に器具ハウジングの全体寸法を大幅に変更する場合には、上記以外のブレード先端/突出部間隔も利用可能である。一つの実施例では、直径がかなり大きいハウジングに15.5mmのブレード先端/突出部間隔を利用する。
【0018】
本発明の一部の好適な実施態様では、上記側壁にそって測定した場合に突出部がいずれも高さが同じであるが、他の実施態様では、所定の設計に従って、あるいは擬似ランダムに突出部の高さを変更することができる。
【0019】
本発明のほとんどの実施態様では、突出部はいずれも側壁から同様な距離内向きに延長するが、この限りではなく、好適な場合には、異なる厚みの突出部を利用することができる。なお、個々の厚みがどうであれ、すべての突出部が高さ全体にわたって実質的に一定の厚みをもつのが好ましい。
【0020】
全体としては、突出部と城塞形状体は角度対称的(symmetrical arrangements)に構成するのが好ましい。これ以外の構成では、発生する力のバランスが悪くなる結果、器具の動作が不安定になり、望ましくない。
【0021】
調理加工ヘッドの比較的複雑な内面を製造するために、調理加工ヘッドをプラスチック材質で形成し、突出部および城塞形状体を成型法によって形成できるようにするのが好ましい。なお、ワンドの細長い管状シャフトについては、ステンレス鋼で形成することが好ましい。このような場合には、プラスチック調理加工ヘッドの上部を覆う円錐台形のステンレス鋼ドームを形成すると見た目がよくなる。なお、ドームの内径部をシャフトに取り付け、そしてドームの外径部については、調理加工ヘッドの外周にシールする。
【0022】
また、本発明は以上説明してきたいかなる種類のワンド形器具を利用するハンドブレンダーをも含むものである。
【0023】
本発明の明確な理解を目的として、また本発明の容易な具体化のために、以下例示のみを目的として、添付図面を参照して本発明の一実施態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1(a)】本発明一実施例のワンド形器具を連結することができる、電気モーター内蔵式ハンドブレンダーの代表的な本体部分を示す側面図である。
【図1(b)】本発明のワンド形器具を連結することができる、電気モーター内蔵式ハンドブレンダーの代表的な本体部分を示す下面平面図である。
【図2】本発明の一実施態様に従って構成した器具の動作ヘッドを示す下面平面図である。
【図3】図2に示す種類の器具を示す部分横断面図である。
【図4】ステンレス鋼シャフトおよびプラスチック調理加工ヘッドを形成し、かつ外観を良くするためにこのシャフトと調理加工ヘッドとの間の領域を覆うステンレス鋼ドームを備えた器具を示す本発明一実施例の部分横断面図である。
【0025】
図1(a)および図1(b)について説明すると、ハンドブレンダーの本体部分10は、全体として管状ケーシング12で構成する。このケーシング12内に、ケーシング12の軸線方向に設けられたインライン式出力シャフト14を駆動する電気モーター(図示省略)を軸線方向に内蔵する。そしてケーシング12の主リード線16を電気モーターに接続するとともに、適宜選択される電源に接続して使用時に電気モーターを起動する。
【0026】
ケーシング12には、本実施態様ではボタン18によって例示される少なくとも一つの制御スイッチを設ける。この制御スイッチを使用者が使用して、電気モーターをオン・オフ制御し、そして場合に応じて、モーター回転速度の変更および/またはモーターのパルス式または連続運転を行う。なお、外観設計、ハンドブレンダーの機能範囲および/またはハンドブレンダーの設定価格などのファクターに応じて異なる制御素子を利用でき、また制御素子数を変更することができる。
【0027】
本体部分には、任意タイプの、例えばバヨネット固定やスナップ嵌めなどのラッチ作用機構(図示省略)を設け、使用時モーター出力シャフトにワンド形器具を一時的に連結している間、これらを安全にラッチ固定しておく。
【0028】
次に図2および図3について説明する。本発明の一実施態様に従って構成したワンド形器具20は細長い管22で構成し、そして軸線方向に駆動シャフト23を挿入する。この駆動シャフト23は管内に配設した25などのベアリング内で回転できる。この駆動シャフト23は一端でハンドブレンダーの本体部分(例えば図1aおよび図1bの10など)に連結し、本体部分のモーター駆動シャフト14に係合する。このために、管22および本体部分10にバヨネット固定やスナップ嵌めなどの適宜選択される連結作用をもつ連動素子を設ける。このように構成すると、器具20を取り付けた状態でハンドブレンダーを使用したときに、器具の駆動シャフト23が出力シャフト14に駆動係合した状態で、ワンド形器具20を本体部分に一時的に取り付けることができる。
【0029】
器具20の管22は、本体部分10から離れている端部24において管状ヘッドキャビティー28が形成され、そして管状の城塞形側壁30を利用した、端部が開口しているハウジング27内に設けられたブレード部材26を有する。なお、これらについては後で詳しく説明する。
【0030】
ヘッドキャビティー28を構成するハウジング27がほぼ円筒形のハウジングまたはシュラウドになり、この内部でブレード部材26が回転する。即ち、ハウジング27は、駆動シャフト23を収めた管22から離れた位置にある端部で開口する。
【0031】
本実施例の場合、ブレード部材26は3枚のブレード32a、32b、32cからなり、各ブレードは回転方向(図2および図3では時計方向)に凸の曲線に一致する。このようなブレード構成は、ブレンドすべき食材成分中におけるブレード動作を行うために必要なトルクを小さくするさいに有利に作用する。本発明の実施態様では、ブレード32は異なる角度に設定しているため、回転すると、ブレンドすべき食材成分内を異なる切断経路で動作する。即ち、本実施例では、使用時にブレード32aをほぼ水平に設定する。(換言すれば、ブレード32aは、ブレード部材26に対して34で接続される駆動シャフト23の軸線に対してほぼ垂直に延長する)。一方ブレード32bおよび32cについては、ブレード32aに対して上向きに(換言すれば、ヘッドキャビティー28のルーフ36に向かって)それぞれ10度および20度の角度で設定する。必要に応じて、上記の10度および20度以外のブレード角度も使用することができる。
【0032】
ヘッドキャビティー28の横方向範囲との境界になる管(環)状側壁30の内面38には、ブレード32の先端に対向して、符号40で示す内向き突出部を形成する。突出部40の形状については、ブレード32a、32b、32cの動作の結果として流動する食材成分に対して断崖形状体(bluff−body)相互作用が発生するように設定する。こうすると、発生する傾向がある層流を撹乱し、代わりに乱流パターンを生み出し、器具20の使用時にさもなければヘッドキャビティー28内に発生する傾向のある渦流の強度を大幅に小さくすることが可能になる。また、この乱流パターンが十分強力なため、器具が食材成分に下向きに強力に吸引され、特に食材成分がブレンド状態にある容器(図示省略)の底部に向かって強力に吸引される。突出部40の断崖形状体の作用によって生み出される乱流によって、ブレンド状態にある食材成分が、渦流が確立されようとしている領域に繰り返し流れ込む。
【0033】
既に説明したように、ほぼ円筒形の調理加工ヘッドキャビティー28になるハウジング27には、管22から外側に延長するルーフ36を形成する。
【0034】
既に明らかなように、特に食材成分がブレンド状態にある容器の底部に隣接して器具20を装着した場合には、管状側壁30の城塞形状が、とりわけ、食材成分が出入りする一連の経路を与えることになる。
【0035】
本実施例では、12個の突出部40を使用し、これらはいずれも厚みおよび高さがほぼ同じであり、ヘッドキャビティー28を構成するハウジング27の上部部分の周囲に等角度で設けられている。一方本実施例では、城塞形状体を6個使用し、それぞれを矩形断面のスロット44で構成する。これらスロットについては、ランド領域(land areas)46を挟んで側壁30の周囲に対称的に配置する。
【0036】
管状側壁30の開口端部の城塞形状体のスロット部分44は、すべてが同じ幅で、比較的浅く、またその開口縁部からルーフ36まで側壁30の高さ全体の3分の1かそれ未満の長さ側壁30にそって上向きに延長しているのが好ましい。本実施例では、例えば内径が60mmの側壁30の周囲に等しい角度で6つのスロット部分44を設け、各スロット部分が駆動シャフト軸線においてほぼ30度の角度をなすように設定する。城塞スロット部分44間のランド46は、本実施例では、接続部34を通る駆動シャフト軸線において同じ角度をなすように設定するが、好ましい場合には、他の角度関係を利用してもよい。突出部40と城塞スロット44との角度を特定する必要はないが、角度対称性を確保しておくことが好ましい。具体的な実施例では、突出部40を各城塞スロット部分44および各介在ランド46の中心にアライメントさせておく。
【0037】
本実施例では、城塞形状体44、46が占めるヘッドキャビティー28の領域内まで突出部40は延長しない。すなわち、側壁30が連続している部分のみに設ける。なお、本発明の他の実施例では、突出部の少なくとも一部を側壁30の城塞領域内まで延長する。
【0038】
本実施例では、突出部40それぞれは側壁30の内面38から2.5mmだけ内向きに延長し、そしてブレード部材26の寸法については、ブレード32aに対して1mmの突出間隔で好ましいブレード先端を構成できるように選択する。既に説明したように、この間隔はブレード32bおよび32cに関しては幾分大きく設定する。なお、これら寸法関係に臨界的な意味はなく、他の寸法でも有用な性能を確保できる。60mmを大きく超えるハウジング直径の場合、例えば、器具のために使用するハウジング直径の場合、小さめのフライパンと同じサイズであればよく、ブレード先端に対する突出部間隔としては最大15.5mmに設定できる。
【0039】
本発明の範囲から逸脱しなくても、以上の具体的実施例で説明したパラメーターについては種々変更可能である。特に、上記実施態様の場合、6個の城塞スロットおよび12個の内側突出部を使用しているが、スロット数と突出部数との間には直接的な関係はなく、また突出部に対するスロットの位置についても直接的関係はない。
【0040】
例えば、許容できる性能を確保した本発明の別な実施例では、突出部を16個使用している。さらに、好ましい場合には、任意の数の城塞スロットを使用することができ、また調理加工ヘッドの全体の直径を変更した場合には、異なる個数の城塞スロットおよび/または突出部を使用することが好ましいことはいうまでもない。
【0041】
さらに、突出部40などの場合、すべて同じ高さである必要はなく、また側壁から内向きに同じ量だけ延長している必要もない。加えて、ブレードに対向する面についても形状は異なっていてもよいが、各突出部は高さ全体を通して内向きにほぼ一定して延長しているのが好ましい。また、角度対称性を利用するのが好ましい。これ以外の角度構成の場合、力のバランスが悪くなり、器具の動作が不安定になるからである。
【0042】
ヘッドキャビティー28を構成するハウジング27の比較的複雑な内面を簡単に製造できるようにするためには、このハウジングをプラスチック材質で構成し、突出部40および城塞形状体44,46を成型法によって形成するのが好ましく、またステンレス鋼からワンド20の細長い管状シャフト22を形成するのが好ましい。このように形成を行うと、図4に示すように、円錐台形に近い形のステンレス鋼ドーム50がルーフ36の上に被さり、プラスチックハウジング27の上部分および/またはステンレス鋼構成部22とプラスチック構成部27との接合部を形成するため、外観がきれいになる。この実施例では、符号52で示すように、ドーム50の上部分(内径)をシャフト22に溶接する。この溶接継ぎ手部分を研磨すれば、シャフト22とドーム50との接合を平滑化処理することができる。また、符号54で示すように、ドーム50の最下端(外径)をハウジング27のルーフ36の外周にシールする。このように構成すると、少なくとも一部の実施態様では、プラスチックハウジングを単にステンレス鋼シャフトに取り付ける場合よりも綺麗な外観を実現できると考えられる。他の実施態様では、側壁30の一部または全体を包み込むように、ドーム50を下向きに延長する。またさらに別な実施態様では、ルーフ36の上部に、その外周のちょうど内側において短い直立円形壁を設ける。この場合、ドーム50の形状については、この短い壁の外側を取り囲んでこれをシールし、かつルーフ36の上部がプラスチックハウジング27の外壁30に並んでいる外面に当接するように設定すればよい。
【0043】
本発明の実施態様では、符号56で示すように、複数の適宜選択される直立リブを形成してドーム50を支持できるようにプラスチックハウジング27を成型する。なお、ドームは機能上美観のみを目的としているため、比較的薄い材質で構成する。符号56の直立リブに、半径方向ショルダー部分58を設ける。これらは、管状シャフトハウジング22の開口端部60に対するプラスチックハウジング27の位置を決定するために使用する。なお、プラスチックハウジング27については、管状金属シャフトハウジング22に対して任意の方法で設ければよく、またこれら両部材は圧嵌めおよび/または連結またはスナップ嵌めおよび/または接着などの任意の方法で相互固定すればよい。
【0044】
本発明は、以上説明してきたワンド形器具を利用するハンドブレンダーを包含するものでもある。
【符号の説明】
【0045】
10:ハンドブレンダー本体部分
12:管状ケーシング
14:出力シャフト
16:主リード線
20:ワンド形器具
22:細長い管状シャフトハウジング
23:回転駆動シャフト
26:ブレード部材
27:ハウジング
28:ヘッドキャビティー
30:側壁(管状ないし環状側壁)
32a、32b、32c:ブレード
38:ハウジング内面
40:突出部
44:城塞形状体のスロット部分
46:城塞形状体のランド領域
50:ドーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドブレンダー用ワンド形器具(20)であって、回転可能な駆動シャフト(23)を収めた細長いハウジング(22)からなり、一端において前記シャフトがモーターで駆動される駆動口に連結され、かつ他端に食材調理加工ヘッドを有する器具であり、前記調理加工ヘッドが前記シャフト(23)に連結され、かつルーフ部材(36)および対向開口端部を備えたハウジング(27)内で回転できるように取り付けられたブレードを備えた部材(26)からなり、このブレードを備えた部材(26)が少なくとも3つのブレード(32a、32b、32c)を備え、各ブレードが先端をもち、そして前記ハウジング内において回転時にそれぞれ異なる切断経路にそって動作し、前記ハウジングの内面(38)に、前記ブレード(32a、32b、32c)の先端に対向する突出部(40)を形成し、そして各突出部(40)が、食材に対して相対運動する断崖形状体になるように構成したことを特徴とするワンド形器具。
【請求項2】
前記のブレードを備えた部材(26)が、3枚のブレード(32a、32b、32c)からなる請求項1に記載のワンド形器具。
【請求項3】
前記各ブレード(32a、32b、32c)が、回転方向に凸の曲線に一致する請求項2に記載のワンド形器具。
【請求項4】
使用時に、前記ブレードのうち一枚(32a)をほぼ水平に設け、そして残りの2枚(32b、32c)をそれぞれ上向きに10度および20度の角度で設ける請求項2または3に記載のワンド形器具。
【請求項5】
前記調理加工ヘッドのほぼ円筒形のハウジング(27)に、前記ルーフ部材(36)から前記対向開口端部まで延長する側壁(30)を形成し、そしてこの側壁(30)の開口端部を城塞形状体(44、46)化した請求項1〜4のいずれか1項に記載のワンド形器具。
【請求項6】
前記突出部(40)を前記側壁(30)の非城塞形状体領域にのみ形成した請求項5に記載のワンド形器具。
【請求項7】
前記側壁(30)の内面(38)の周囲に前記城塞形状体(44、46)を対称的に分布配置した請求項5または6に記載のワンド形器具。
【請求項8】
前記城塞形状体が前記側壁(30)のスロット(44)およびこれらスロット間のランド(46)からなり、これらスロット(44)がいずれもほぼ同じ幅である請求項5〜7のいずれか1項に記載のワンド形器具。
【請求項9】
前記スロット(44)が比較的浅く、前記側壁(30)の高さ全体の3分の1かそれ未満の距離、前記側壁に(30)にそって上向きに延長する請求項8に記載のワンド形器具。
【請求項10】
内径がほぼ60mmの側壁(30)の周囲に均等に6個の城塞スロット(44)を設け、各スロット(44)が駆動シャフト(23)の軸線においてほぼ30度の角度をなす請求項9に記載のワンド形器具。
【請求項11】
スロット(44)間のランド(46)がすべて駆動シャフト(23)の軸線において同じ角度をなす請求項10に記載のワンド形器具。
【請求項12】
突出部(40)それぞれが、前記側壁(30)の内面(38)から内向きにほぼ同じ距離だけ延長する請求項10または11に記載のワンド形器具。
【請求項13】
前記距離がほぼ2.5mmで、ブレード先端/突出部間隔がおよそ1mmになるようにブレード直径を設定する請求項12に記載のワンド形器具。
【請求項14】
管状金属シャフトハウジング(22)を備え、そしてハウジング(27)をプラスチック材質で形成し、突出部(40)および城塞形状体(44、46)を成型法によって形成できるようにした請求項1〜13のいずれか1項に記載のワンド形器具。
【請求項15】
管状シャフト(22)をステンレス鋼から形成し、そしてステンレス鋼ドーム(50)をプラスチックハウジング(27)のルーフ部材(36)および/またはステンレス鋼(22)とプラスチック構成部材(27)との間の接合部に被せた請求項14に記載のワンド形器具。
【請求項16】
前記ドーム(50)の上部(内径)を管状シャフト(22)に溶接し、溶接部を磨いてシャフト(22)とドーム(50)との間の接合部を平滑化した請求項15に記載のワンド形器具。
【請求項17】
前記ドーム(50)の最下端(外径)を前記ハウジング(27)の前記ルーフ(36)の外周にシールした請求項15または16に記載のワンド形器具。
【請求項18】
少なくとも前記ハウジング(27)の前記ルーフ部材(36)から延長する側壁(30)部分を包み込むように前記ドーム(50)を構成した請求項15または16に記載のワンド形器具。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のワンド形器具を利用するハンドブレンダー。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−524585(P2012−524585A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506557(P2012−506557)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000765
【国際公開番号】WO2010/122285
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(508160129)ケンウッド リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Kenwood Limited
【住所又は居所原語表記】New Lane,Havant,Hampshire,PO9 2NH England
【Fターム(参考)】