説明

手摺り構築用継手および手摺り

【課題】屋内や屋外に設置される手摺り、特に言えば管状の手すり材を使用した手摺りの構築に好適な継手と、同継手を使用して構築した手摺りを提供する。
【解決手段】管状手すり材2の外径と同径で同一形状の継手基部3から、管状手すり材2の中空部2aを密接に外嵌めする連結用筒部4が1個突き出され、継手基部3と連結用筒部4との境界は垂直な段部5に形成され、継手基部3から、内側面6aが管状手すり材2の外面へ外接して同方向へ突き出された固定板6が片持ち板として形成され、この固定板6に固定用孔7が設けられ、連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2は、固定板6の固定用孔7を利用する固定具8で固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として屋内や屋外に設置される手摺り、特に言えば管状の手すり材を使用する手摺りの構築に好適な各種形態、機能の継手と、前記継手を使用して構築した手摺りの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
最近では屋内の廊下や階段又は、屋外の玄関へのアプローチ等に沿って、例えば図1に例示したような手摺りを設置して高齢者や要介護者の歩行に供することが広く行われている。図1の手摺りを設置するに際しては、図中にイ〜ニで指示したように、手摺りの構築用として、支柱1と手すり材2との連結を基本として、手すり材同士も直線的な連結や、傾斜状態の連結、方向転換の連結などに多種多様な継手が必要とされ、既に従来から種々な形態、機能を備えた継手が提案され実用に供されている。
【0003】
例えば下記の特許文献1には、建物屋上の周縁部やベランダの周縁部に設置される手摺りの構築に供される中空構造の手摺り用支柱を、その基礎コンクリート中へ埋設した支柱アンカーの上に被せ、ビス止めにより固定する継手構造が開示されている。この継手の場合、手摺り用支柱と支柱アンカーの双方に、ぴったり整合する対応位置に予めネジ孔を設けておき、支柱アンカーの上に被せた手摺り用支柱の外部から前記ネジ孔へビスをねじ込み接合する構造とされている。
しかし、この種の継手を使用する場合には、接合する双方の部材の対応位置へ、予めネジ孔を設けておく必要があり、その孔明け加工やねじ切り加工に手間がかかる。また、前記ネジ孔へビスをねじ込み接合した場合には、必ずビス頭が外部へ露出して、意匠的外観を損なう上に、前記露出したビス頭へ利用者の身体や各種物品がぶつかって傷つく懸念が問題点として指摘されている。
【0004】
次に、下記の特許文献2の図3に記載された手摺り材の連結構造は、手すり材の端面部へ当てがった円板形状の連結部材を、同端面に向かってネジ止めし固定する。前記円板形状の連結部材は、その外周縁部が手すり材の外径面よりも少しせり出す大きさの外径で形成され、しかも同外周縁部分には、直交4方向に放射状に突き出る細い連結部と、この連結部を中心として円周方向へ笠のように延びた弾発部とが形成されている。前記構成とした円板形状の連結部材は、手すり材と一体的に、継手部材の連結用空所内へ無理矢理押し込む。かくすることにより、円板形状の連結部材の外周部分に形成した前記笠形状の弾発部の弾発作用により手すり材は継手と一体的な連結を達成する構成と説明されている。
この連結構造の場合は、その外観に止めネジが現れず、勿論、ネジ頭も露出しない構成と認められる。しかし、手摺り材の外径と、これを連結用空所内へ嵌めて連結する継手部材の外径との間には肉厚相当の経違いが段差を形成するから、手すり材に沿って掴まり歩きをする利用者にとっては、前記段差の存在が掴まり歩きの障害となり、利用感を大きく損なうという問題点が認められる。
【0005】
次に、下記の特許文献3に開示された連結装置は、中実又は中空の手すり材などを連結するもので、継手と手すり材の連結部に段差を生じない構成と認められる。しかし、やはり外観に止めネジが露出する構成であるし、なによりも連結装置を構成する部品点数が多いから、その管理が面倒である上に、連結作業に多くの手数を要し、コスト高になるものと認められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11ー270092号公報
【特許文献2】特開2005ー126899号公報
【特許文献3】実用新案登録第3080637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1に例示したように、手摺りの構築には多種多様な形態と機能の継手イ〜ニが必要である。しかも高齢者や要介護者が掴まり歩く際に安心してもたれかかれる強度と剛性及び安定性を有する手摺りを構築できる継手であることが望まれる。しかも継手の外径と手すり材の外径とが等しく、手すり材に沿って滑らせる利用者の手や身体が突き当たるような段差を発生せず、手触り感が良く、また、部品点数が少なく、ネジ止め等の固定具を利用する固定用孔の孔明け加工も簡単で、利用者の身体や衣服等が当たる場所に止めネジの頭部が露出しない構成で、意匠的外観にも優れる構造であること等々が望まれる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、手摺りの構築に必要な形態と機能を備えた継手を提供することであり、高齢者や要介護者が掴まり歩く上で安心してもたれかかれる強度及び安定性を有する手摺りを構築できる継手を提供することである。
本発明の次の目的は、継手の外径と手すり材の外径とが等しくて、両者の境界に利用者の手や身体が突き当たるような段差を発生せず、手触り感が良く、また、構成部品の点数が少なく、ネジ止め等の固定具を利用する固定用孔の孔明け加工も簡単で、固定具の頭部が目線に露出せず、使い勝手と使い心地の良い手摺りを構築できる継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明に係る手摺り構築用の継手は、
管状手すり材2の外径と同径で同一形状の継手基部3から、管状手すり材2の中空部2aを密接に外嵌めする連結用筒部4が少なくとも1個突き出され、継手基部3と連結用筒部4との境界は管状手すり材2の先端部が突き当たる垂直な段部5に形成されており、
前記継手基部3から、内側面6aが前記連結用筒部4へ密接に嵌めた管状手すり材2の外面へ外接して連結用筒部4と同方向へ突き出された固定板6が、同管状手すり材2を固定するに足る肉厚と一定幅を有する片持ち板として形成され、この固定板6に、前記連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具8で固定するための固定用孔7が設けられており、
連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2は、前記固定板6の固定用孔7を利用する固定具8で固定して連結されることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した手摺り構築用の継手において、
継手基部3の一側端部から水平方向に連結用筒部4が1個突き出され、固定板6も継手基部3の同じ端部から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に1個突き出され、この固定板6には連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具8で固定するための固定用孔7が少なくとも1個設けられており、
前記継手基部3の反対側端部には、垂直下向き方向に支柱1の連結部9が突き出されており、
前記支柱連結部9を支柱1の上端と連結し、前記連結用筒部4へ管状手すり材2を水平方向に外嵌めし、前記固定板6の固定用孔7を利用する固定具8で固定して連結する構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した手摺り構築用の継手において、
継手基部3の両端からそれぞれ2個の連結用筒部4、4が突き出され、固定板6も継手基部3から前記連結用筒部4に沿って同方向に突き出され、各固定板6に前記連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具8で固定するための固定用孔7が少なくとも1個ずつ設けられており、
前記2個の連結用筒部4へはそれぞれ管状手すり材2が外嵌めされ、前記固定板6の固定用孔7を利用する固定具8で固定して連結する構成であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載した発明は、請求項1に記載した手摺り構築用の継手において、
継手基部3から2個の連結用筒部4、4が直線状配置に突き出され、固定板6も継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に突き出され、各固定板6に、前記連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具8で固定するための固定用孔7が少なくとも1個ずつ設けられ、更に継手基部3の下面部にヒンジ片10が下向きに突き出されており、
一方、垂直下向きの配置とされた支柱連結部9の上端にヒンジ片11が上向きに形成され、このヒンジ片11と前記継手基部3の下面部のヒンジ片10とをピン12で連結したヒンジ機構により継手基部3が支柱連結部9へ傾動自在に連結されており、
前記2個の連結用筒部4、4へそれぞれ管状手すり材2が直線状配置に連結され、前記支柱連結部9が支柱1の上端と連結される構成であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載した発明は、請求項1にと記載した手摺り構築用の継手において、
継手基部3の一側端部から1個の連結用筒部4が突き出され、固定板6も継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に突き出され、固定板6には連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具8で固定するための固定用孔7が少なくとも1個設けられ、更に継手基部3の反対側端部にはヒンジ片10’又は10”が突き出された構成であり、
前記構成の2個の継手基部3、3が、各々のヒンジ片10’と10”を重ね合わせピン12で連結したヒンジ機構で傾動自在に連結されており、
前記2個の連結用筒部4、4へそれぞれ管状手すり材2が外嵌めされ、前記固定板6の固定用孔7を利用する固定具8で固定して連結する構成であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載した発明は、請求項1に記載した手摺り構築用の継手において、
継手基部3の一側端部から1個の連結用筒部4が突き出され、固定板6も継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に突き出され、同固定板6には連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具8で固定するための固定用孔7が少なくとも1個設けられ、更に当該継手基部3の反対側端部にはヒンジ形成用の球状体15が突き出されており、
一方、垂直下向きの配置とされた支柱連結部9の上端には、前記継手基部3のヒンジ形成用の球状体15を回動可能に嵌め込む球形凹面16を複数個異なる方向に設けたヒンジ用基部17が設けられており、
前記ヒンジ用基部17の球形凹面16へ前記継手基部3のヒンジ形成用球状体15を回動可能に連結したヒンジ機構により継手基部3と支柱連結部9とが自在に連結されており、
支柱連結部9が支柱1の上端部と連結され、各継手基部3の各連結用筒部4へ管状手すり材2の端部が連結されることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載した発明は、請求項1〜6のいずれか一に記載した手摺り構築用の継手において、
継手基部3の連結用筒部4に沿って同方向に突き出された固定板6の内側面6aは、管状手すり材2の外径面とほぼ相似な湾曲面形状とされ、同固定板6は管状手すり材2の外径の下半分以下の幅寸法を有する片持ち板として形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、請求項1〜7のいずれか一に記載した手摺り構築用の継手において、
継手基部3の連結用筒部4は、その外径面に沿って同方向に突き出された固定板6と対面する部分が、固定板6の幅寸法と近似する幅寸法で切除された切り欠き部40を有する筒状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載した発明に係る手摺りは、
上記請求項1〜8に記載した手摺り構築用の継手を使用し組み合わせて支柱1と管状手すり材2、及び管状手すり材2、2同士を連結して構築される手摺りであって、
各手摺り構築用継手はいずれも、その固定板6の位置を、地面側に向けて下向きの配置とした構成に統一して構築されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜8に記載した発明に係る手摺り構築用の継手は、管状手すり材2の外径と同径で同一形状の継手基部3から、管状手すり材2の中空部2aを密接に外嵌めする連結用筒部4が少なくとも1個突き出されており、継手基部3と連結用筒部4との境界は管状手すり材2の先端部が突き当たる垂直な段部5に形成されているので、前記連結用筒部4へ外嵌めして連結した管状手すり材2は、垂直な段部5へ突き当たって1本の目地線を形成する程度で、継手基部3とは同形、同大のスマートに連続する連結構造を呈する。よって、この管状手すり材2へ掴まり歩きをする利用者の手や身体の滑りを止める段差の無い、スマートな意匠の手摺りを構築できる。また、どこまでも滑らかな手触りと感触の良い使い心地を与える手摺りを構築でき、利用者に好感度の手摺りを提供できる。
次に、連結用筒部4へ外嵌めして連結した管状手すり材2は、同じ継手基部3から突き出され管状手すり材2の外面へ外接して挟む固定板6の拘束作用と、及び同固定板6の固定用孔7を利用する固定ネジ8又はリベット等の固定具による固定作用とで必要十分に強固な連結が達成され、手摺りの使用上に必要十分な強度と剛性および安定性を確保した構築を達成できる。
【0018】
しかも本発明の手摺り構築用の継手は、基本的に管状手すり材2の外径と同径で同一形状の継手基部3から、管状手すり材2の中空部2aを密接に外嵌めする連結用筒部4が突き出され、更に同じ継手基部3から前記連結用筒部4に沿って同方向に突き出された固定板6と、及び固定ネジ8又はリベット等の固定具とでシンプルに構成され、部品点数が少ない。その上、前記固定具を除くと、例えばアルミニュームのダイキャスト製品、或いは合成樹脂の射出成形品として量産化することに適し、安価に提供できる。とりわけ固定板6の固定用孔7も、ダイキャスト時又は射出成形時に一気に成形加工でき、孔明け用ドリルの先端の位置決めが難しい円形断面の継手基部3や管状手すり材2へ孔明け加工する面倒さ、難しさに比較すると、加工手間と加工費用を格別に節減することができる。例えば固定ネジ8としてセルフタップネジを使用し管状手すり材2の固定を行う場合、固定板6の固定用孔7へ固定ネジ8を通し、同固定用孔7をガイド孔にして直接管状手すり材2へ安定状態と姿勢でねじ込めるから、固定作業を簡易迅速に行える。
また、本発明の手摺り構築用の継手は、請求項1に記載した発明を基本的構成として、その形状、機能を変形、応用した、請求項2〜8に記載した各種形態、機能の継手を多様に用意でき、手摺りの構築に必要とされる形態、機能の継手を種々提供して、手摺りの構築に寄与できる。
【0019】
更に、請求項9に記載した発明に係る手摺りは、上記請求項1〜8に記載した各種の継手を使用して構築するので、構築した手摺りの見た目の意匠性は、連結用筒部4へ外嵌めして連結した管状手すり材2は垂直な段部5へ突き当たって1本の目地線を形成する程度の同形、同大でスマートに連続し段差を生じない連結構造を呈するので、シンプルでスマートな美観を与える。その上、各継手の固定板6はいずれも連結用筒部4の下面に沿って同方向に突き出され、更に具体的には地面側を向く配置で使用されるので、固定板6は人々の目線からは隠れる存在となり、また、この固定板6の固定用孔7を利用した固定具の存在も同様に人の目線からは隠れた存在となるので、一層シンプルでスマートな意匠的美感の手摺りを構築できる。そして、固定ネジ8やリベット等による固定具の頭部が、手摺りの利用者の身体や衣服が引っ掛かる心配のない安全な手摺りを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の継手を使用して構築された手摺りの一例を示した立面図である。
【図2】a、bは図1に円(イ)で指示した継手の実施例を示した斜視図と垂直断面図である。
【図3】a〜dは図1に円(ロ)で指示した継手の実施例を示した上面側斜視図と下面側斜視図、および側面図と断面図である。
【図4】a〜cは図1に円(ロ)で指示した継手であるが、曲がり継手の実施例を示した上面側斜視図と下面側斜視図、および側面図である。
【図5】a〜dは図1に円(ハ)で指示した自在継手の実施例を傾き姿勢で示した断面図と水平姿勢の正面図、および側面図と底面図である。
【図6】a〜cは図1に円(ニ)で指示した自在継手の実施例を示した断面図と右側面図、および平面図である。
【図7】a〜dは図1に円(ハ)で指示した自在継手の異なる実施例を示したもので、右側の継手基部を下方へ傾けた正面図と左側面図、および右側の継手基部を背面方向へ傾けた平面図、並びに左右の継手基部を水平姿勢で示した底面図である。
【図8】a〜dは本発明による継手の固定具による固定手段についての異なる応用例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による手摺り構築用の継手は、管状手すり材2の外径と同径で同一形状の継手基部3から、管状手すり材2の中空部2aを密接に外嵌めする連結用筒部4が少なくとも1個突き出され、継手基部3と連結用筒部4との境界は管状手すり材2の先端部が突き当たる垂直な段部5に形成されている。
前記継手基部3からは、内側面6aが前記連結筒用部4へ密接に嵌めた管状手すり材2の外面へ外接する固定板6が、連結用筒部4と同方向へ突き出されている。固定板6は、管状手すり材2を固定するに足る肉厚と一定幅を有する片持ち板として形成され、この固定板6に前記連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具で固定するための固定用孔7が少なくとも1個設けられている。
したがって、連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2は、前記固定板6の固定用孔7を利用する固定ネジ8やリベット等の固定具で固定して連結の目的が達成される。
継手基部3および連結用筒部4の横断面形状は、通例円形であるが、これに限らない。楕円形状や角管形状、多角形管形状などでも全く同様に実施できる。
管状手すり材2は、金属管、合成樹脂管、又は鋼管の外周面に合成樹脂を被覆接着した樹脂被覆接着鋼管などのいずれでもよい。また、基本的には全長にわたり中空の管状材であることを前提にするが、場合によっては本発明による継手の連結用筒部4へ密接に外嵌めする部分だけを管状体に構成した中実の棒状材でも全く同様に実施することができる。
【0022】
本発明による手摺り構築用の継手は、請求項2に記載した発明のように、継手基部3の一側端部から水平方向に連結用筒部4が1個突き出され、固定板6も継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に1個突き出され、この固定板6に連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具で固定するための固定用孔7が少なくとも1個設けられ、そして、前記継手基部3の反対側端部には、垂直下向き方向に支柱1への連結部9が突き出されたL型(又はエルボ型)の構成としても実施される。
即ち、前記支柱への連結部9を支柱1の上端と連結し、前記連結用筒部4へ管状手すり材2を水平方向に外嵌めし、前記固定板6の固定用孔7を利用する固定具で固定して連結する構成で実施することが出来る。
因みに、前記支柱連結部9の構成は、支柱1を外嵌めする短柱形状、或いは支柱1を内嵌めする中空のソケット形状などで実施される。また、支柱連結部9を支柱1の上端へ連結した上で、如何なる固定手段を採用するかは、外嵌め形式か内嵌め形式かにより、公知、周知の固定手段を適宜に選択して実施する。
【0023】
また、請求項3に記載した発明のように、継手基部3の両端からそれぞれ2個の連結用筒部4、4が突き出され、固定板6も継手基部3から前記の各連結用筒部4の下面に沿って同方向に突き出され、各固定板6に前記連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具で固定するための固定用孔7を少なくとも1個ずつ設けて、前記の各連結用筒部4へそれぞれ管状手すり材2を外嵌めし、各固定板6の固定用孔7を利用する固定具で固定して連結の目的を達する構成で実施することができる。
【0024】
更に請求項4に記載した発明のように、継手基部3から2個の連結用筒部4、4が直線状配置に突き出され、固定板6も継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に2個突き出され、各固定板6には前記連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具で固定するための固定用孔7が少なくとも1個ずつ設けられ、さらに継手基部3の下面部にヒンジ片10が下向きに突き出された構成とし、
一方、垂直下向きの配置とされた支柱連結部9の上端にもヒンジ片11が上向きに形成され、このヒンジ片11と前記継手基部3の下面部のヒンジ片10とをピン12で連結したヒンジ機構により継手基部3が支柱連結部9へ傾動自在に連結し、
前記2個の連結用筒部4、4へそれぞれ管状手すり材2を直線状配置に2本連結し、前記支柱連結部9を支柱1の上端と連結する構成で実施することが出来る。
【0025】
また、請求項5に記載した発明のように、継手基部3の一側端部に1個の連結用筒部4が突き出され、固定板6も継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に1個突き出され、固定板6には連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具で固定するための固定用孔7が少なくとも1個設けられ、更に継手基部3の反対側端部にはヒンジ片10又は10’が突き出された構成とし、
前記構成の2個の継手基部3、3は各々のヒンジ片10と10’を重ね合わせピン12で連結したヒンジ機構で傾動自在に連結し、前記2個の連結用筒部4、4へそれぞれ管状手すり材2を連結する構成でも実施される。
【0026】
請求項6に記載した発明のように、1個の継手基部3の一側端部から1個の連結用筒部4が突き出され、固定板6も継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に1個突き出され、同固定板6には連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具で固定するための固定用孔7が少なくとも1個設けられ、この継手基部3の反対側端部にはヒンジ形成用の球状体15が突き出された構成とし、
一方、垂直下向きの配置とされた支柱連結部9の上端には、前記継手基部3のヒンジ形成用の球状体15を回動可能に嵌め込む球形凹面16を複数個異なる方向に設けたヒンジ用基部17が設けられ、
前記ヒンジ用基部17の球形凹面16へ前記継手基部3のヒンジ形成用球状体15を回動可能に連結して継手基部3と支柱連結部9を自在に連結した継手が構成され、
支柱連結部9を支柱1の上端部と連結し、各連結用筒部4へ管状手すり材2の端部を連結する構成でも実施される。
【0027】
なお、本発明による手摺り構築用の継手は、連結用筒部4に沿って同方向に突き出された固定板6の内側面は、管状手すり材2の外径面とほぼ相似な湾曲面形状とし、また、この固定板6は、管状手すり材2の外径の下半分以下の幅寸法を有する片持ち板として形成されている。
また、連結用筒部4は、その外径面に沿って同方向に突き出された固定板6と対面する部分を、固定板6の幅寸法と近似する幅寸法で切除した切り欠き部40を有する筒状に形成して実施することもできる。
【0028】
勿論、請求項9に記載した発明のように、上記請求項1〜8に記載した手摺り構築用の各種、多様な機能の継手を使用し組み合わせて管状手すり材2同士を連結し、或いは管状手すり材2と支柱1とを連結して手摺りを構築することができる。その場合に、各手摺り構築用継手における固定板6の位置は、いずれも地面側に向けて下向きの配置に統一した構成で実施することができる。
【実施例1】
【0029】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
先ず図2は、図1中に円(イ)で指示した手摺り構築用継手の実施例であって、更に具体的に言えば、請求項1、2記載の発明に係る実施例を示している。
図示した継手は、垂直な支柱1と水平方向に配置する管状手すり材2の一端部とを連結する所謂エルボ型継手の実施例を示したもので、管状手すり材2の外径と同径で同一形状で約90°L型に湾曲させた管状の継手基部3が中心をなす。前記継手基部3の上方側の水平横向の端部からは、管状手すり材2の中空部2aを密接に外嵌めすることができる外径の連結用筒部4が1個突き出されており、継手基部3と連結用筒部4との境界部は管状手すり材2の先端部が密接に突き当たる垂直な段部5に形成されている。
【0030】
また、継手基部3の同じ上方側の水平横向の端部からは、内側面6aが前記連結用筒部4へ密接に外嵌めした管状手すり材2の外径面へ外接して挟む固定板6が、同連結用筒部4の下面に沿って同方向へ同じ長さに1個突き出されている。この固定板6には、図2bに示したとおり、連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定する固定ネジ又はリベットの如き固定具(図8a〜dを参照)を適用する固定用孔7が2個(但し、2個の限りではない。)、適度な間隔をあけて設けられている。固定用孔7は、固定具である固定ネジ又はリベットを通し得る内径の所謂通孔として設けられている。この固定板6は、連結用筒部4へ密接に外嵌めした管状手すり材2を挟んで固定する作用に必要十分な強度と剛性を発揮する肉厚と幅寸法を有する片持ち板として形成されている。
因みに、本実施例の継手に適用される管状手すり材2の外径は、一例として32mm〜42mm程度の大きさで、その内径は約30mmないし40mm程度である。そのため連結用筒部4の外径は30mm又は40mmよりも嵌め合い公差分だけ小径とされ、突き出し長さは40mm程度に製作される。なお、中空構造とされた継手基部3と連結用筒部4は一体的な中空構造に製作されるが、連結用筒部4の内径は、管状手すり材2の支持および固定に必要な強度および剛性を満たす大きさに設計される。図2bに示した連結用筒部4は、その先端から根本の継手基部3に向かって漸次肉厚が太る円錐形状に形成されている。かくすると使用材料量の節減と、ダイカスト成形時又は射出成形時に中空部を形成する中子の抜き勾配を確保する上で好ましいからである。この点は以下に説明する各実施例に共通する事項であるから、以下の各実施例の説明では、格別の必要がない限り繰り返し説明することは省くことを申し添える。
【0031】
更に、上記固定板6に関する構成について説明を続ける。図2aおよび図3cを参照して明かなように、連結用筒部4の下面に沿って同方向に突き出された固定板6は、その内側面6aが連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2の外径面へほぼぴったり外接するように、連結用筒部4の外径面とほぼ相似な円弧凹面形状に形成されている。しかも管状手すり材2を連結用筒部4との間に挟んで固定する作用に必要十分な強度、剛性を発揮する肉厚と幅寸法Wを有する片持ち板として構成されることは上述した。因みに図2bに示した固定板6の肉厚は、上記した管状手すり材2の寸法仕様を前提にして約3mm程度の均等厚さに形成されている。しかし、先端から根本の継手基部3に向かって厚肉となる形状に形成することも好ましい。
また、構築した手摺りの使い勝手の良さ、及び見た目の意匠性の良さを確保するために、固定板6の幅寸法Wは、管状手すり材2の外径の下半分より以下の幅寸法、好ましくは周囲の人々の目線から隠れ、且つ当該手摺りに掴まり歩きをする利用者の手の握りになるべく邪魔とならない存在とするため、円弧角にして約60°相当の幅寸法を有する片持ち板として形成することが好ましい。但し、一定の幅寸法の限りではなく、固定板6の幅寸法が先端から根本の継手基部3に向かって漸次広幅となる形状で形成することも好ましい(以上、請求項7の発明)。
【0032】
次に、図2aで明かなように、図示例の連結用筒部4は、完全な閉断面(円形)ではなく、具体的にはこの連結用筒部4の下面に沿って同方向に突き出された上記固定板6と対面する部分を、固定板6の上記幅寸法と近似する幅寸法で切除した形状の切り欠き部40を有する筒状に形成されている。その技術的意義は、連結用筒部4を前記切り欠き部40を有する筒状に形成しても、管状手すり材2の支持、固定の作用および能力にさしたる悪影響を生じないし、逆に切り欠き部40を有する筒状に形成した方が管状手すり材2の外嵌め作業が楽なこと、そして、ダイカスト成形時又は射出成形時における金型の中子構造が単純化されて好都合で、更に使用材料量を節減できる、等々の利点が得られるからである。なお、前記の構成も、以下に説明する各実施例に共通する事項であるが、以下の各実施例の説明では、格別の必要がない限り繰り返し説明することは省くことを申し添えておく(以上、請求項8に係る発明)。
【0033】
次に、上記継手基部3において連結用筒部4が突き出された端部とは反対側の端部には、支柱1への連結部9が垂直下向き方向に、本実施例の場合には図2bに示したように支柱1を内嵌めする中空のソケット構造に突き出されている。この連結部9の中空部内径が支柱1に対して嵌め合い公差分だけ大きい構成とされている。この支柱連結部9の外周面には、同連結部9および上記連結用筒部4の中心線を共通に含む平面内の位置であって、上記した固定板6と一連に繋がる内隅の位置に、同様な肉厚の突条部91が一体的に成形されている。そして、この突条部91にも、図2aの場合には固定ネジ又はリベット等の固定具を適用する固定用孔91、91が2個(但し、2個の限りではない。)設けられている。
つまり、図2bに示したように中空のソケット構造に形成した支柱連結部9へ、支柱1の上端部を内嵌めした段階で、突条部90の2個の固定用孔91、91へそれぞれ、固定ネジ又はリベットの如き固定具を通し、支柱1へ固定処理することにより、当該継手を支柱1の上端へ強固に取り付け固定することができる。もっとも、支柱連結部9の構造は、図示した中空構造のソケット型ではなく、逆に中空構造の支柱の中空部内へ嵌め込む短柱構造に形成して実施することも出来る。その場合には支柱の方に固定用孔を設けることになるであろう。
【0034】
なお、図2に示した実施例のように、支柱連結部9の外周面に形成した突条部90と、連結用筒部4の下面に沿って同方向に突き出された固定板6とは、当該継手の内隅部に一連に繋がったL字形の外梁(又はブラケット)に等しい存在になるから、連結用筒部4へ嵌めた管状手すり2へ加えられる鉛直方向の負荷に対して抵抗力が大きい構成となり好都合である。この構成事項も、以下に説明する各実施例に共通することであるが、以下の各実施例の説明では、格別の必要がない限り繰り返し説明することは省くことを申し添える。
【実施例2】
【0035】
次に、図3は、図1中に(ロ)と指示した手摺り構築用継手の実施例であり、更に具体的に言えば、請求項1、3記載の発明に係る実施例を示している。
図3に示した継手は、管状手すり材2を2本直線状配置に連結するもので、継手基部3の左右両端から180°対称な配置で2個の連結用筒部4、4が直線状に突き出され、固定板6も継手基部3から前記の各連結用筒部4、4の下面に沿って同方向に180°対称な配置で2個突き出されている。図3bに示したように、左右2つの固定板6、6は、一連に繋がって一枚板構造に形成されている。
本実施例の場合も、各固定板6、6には、連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定する固定用ネジ又はリベットの如き固定具が利用する固定用孔7が2個ずつ設けられている。本実施例の場合も、各連結用筒部4は完全な閉断面(円形)ではなく、各連結用筒部4の下面に沿って同方向に突き出された固定板6と対面する部分が、固定板6の上記幅寸法と近似する幅寸法と形状で切除された切り欠き部40を有する筒状に形成されている。
本実施例の継手を使用すると、左右2個の連結用筒部4、4へそれぞれ管状手すり材2が直線状配置に2本連結される。各連結用筒部4、4へ外嵌めした管状手すり材2は、固定板6、6の固定用孔7を利用する固定用ネジ又はリベットの如き固定具により強固に固定して連結目的が達成され、手摺りの構築に寄与する。
【0036】
図4a〜cに示す継手は、上記図3と同様に、図1中に(ロ)と指示した手摺り構築用継手であり、2本の管状手すり材2、2を連結するもので、構成の基本は共通するが、2本の管状手すり材2、2を直角2方向に連結する構成のもので、いうなれば水平なL型継手の実施例を示しており、請求項1、3記載の発明に係る実施例に相当する。
本実施例の継手は、中空構造の継手基部3が水平面上で約90°湾曲され、その両端から2個の連結用筒部4、4が約90°異なる向きに突き出されている。固定板6も継手基部3から前記の各連結用筒部4、4の下面に沿って同方向に2個突き出されている。図4bに示したように、左右2つの固定板6、6は約90°屈曲して一連に繋がった一枚板構造に形成されており、2方向の固定板6、6にそれぞれ固定用孔7、7が2個ずつ設けられている。
従って、本実施例の継手を使用すると、左右2個の連結用筒部4、4へそれぞれ、2本の管状手すり材2、2が水平方向に約90°向きを変えた配置に連結される。それぞれの管状手すり材2、2は、連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定板6、6の固定用孔7を利用する固定具によ固定して連結の目的を達し、手摺りの構築に寄与する。
【実施例3】
【0037】
図5a〜dは、図1中に円(ハ)で指示した手摺り構築用の傾動自在継手を示したもので、更に具体的に言えば、請求項1、4記載の発明に係る実施例を示している。
図示した継手は、継手基部3の左右両端から180°対称な配置で2個の連結用筒部4、4が直線状に突き出され、固定板6も継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に180°対称な配置で2個突き出され、各固定板6には前記連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定用ネジ又はリベット等の固定具で固定するための固定用孔7が、図5に見るとおり2個ずつ設けられている。更に、継手基部3の下面部には、図5cによれば2枚のヒンジ片10、10が若干の間隔をあけて平行な配置で下向きに突き出されている。
一方、垂直下向きの配置とされた中空のソケット構造をなす支柱連結部9の上端には、上記継手基部3のヒンジ片10、10の間隔部へ差し込まれる厚さの一枚のヒンジ片11が上向きに形成されている。このヒンジ片11を前記継手基部3の下面部のヒンジ片10、10と重ね合わせ、両者の回転中心部のピン孔へピン12を挿してヒンジ機構がが構成され、継手基部3が支柱連結部9の上に傾動可能に連結されている。
【0038】
この自在継手の場合は、継手基部3が、垂直下向きの支柱連結部9の上で、回転角にして約90°の回転(又は傾動)が可能にヒンジ機構で自在に連結した構成とされている。
したがって、この自在継手を使用すると、前記支柱連結部9を支柱1の上端と連結し固定具で固定しても、継手基部3の左右両側の連結用筒部4、4へ直線状配置に連結した2本の管状手すり材2、2は、手摺りの設計図にしたがい、図1に示した床と平行な水平姿勢に、或いは階段の傾斜に平行な連結を自在に実現でき、もって多様な手摺りの構築を可能にする。
【実施例4】
【0039】
次に、図6a〜cは、図1中に円(ニ)で指示した手摺り構築用の傾動自在継手を示したもので、更に具体的に言えば、請求項1、5記載の発明に係る実施例を示している。
図示した傾動自在継手は、図6a、c中の右側に位置する1個の継手基部3の右側端部に1個の連結用筒部4が突き出され、固定板6も前記継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に1個突き出され、同固定板6には連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定する固定用ネジ又はリベット等の固定具を使用するための固定用孔7が、図6aの場合は2個設けられている。また、同継手基部3の反対側の左端部には、図6cに見るとおり中央部位に1個のヒンジ片10’が突き出されている。
一方、図a、c中の左側に位置するもう1個の継手基部3には、その左側端部に1個の連結用筒部4が突き出され、固定板6も前記継手基部3から前記連結用筒部4の下面に沿って同方向に1個突き出され、同固定板6には連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定する固定具を使用するための固定用孔7が、図6aの場合は2個設けられている。この継手基部3の反対側の右端部には、上記右側の継手基部3の中央部位に突き出された1個のヒンジ片10’の両側面を挟む配置で2個のヒンジ片10”、10”が平行な配置に突き出されている。
そして、上記構成とした左右2個の継手基部3、3は、各々のヒンジ片10’と10”を重ね合わせ、その回転中心部のピン孔へピン12を挿して連結した構成のヒンジ機構で傾動自在に連結されている。
【0040】
したがって、左右2個の連結用筒部4、4へそれぞれ2本の管状手すり材2を外嵌めし、各固定板6の固定用孔7を利用する固定具で固定することにより、前記2本の管状手すり材2、2は、回転角にしておよそ90°の回動又は傾動が自在な連結が行われ、図1中に円(ニ)で示した、支柱1、1の中間部位における手すり材2の方向変換の必要に応じた傾動自在な連結を達成でき、もって変化に富んだ手摺りの構築を可能にする。
もっともヒンジ機構を構成する左右2個の継手基部3、3のヒンジ片10’と10”の形状、構造を図示例のものに限定する意味ではない。
【実施例5】
【0041】
次に、図7a〜dは、図1中に円(ハ)で指示した場所に好適に使用される手摺り構築用継手の異なる実施例を示したもので、更に具体的に言えば、請求項1、6記載の発明に係る実施例である。
因みに上記図5a〜dに示した傾動自在継手も、図1中に円(ハ)で指示した場所に使用される手摺り構築用継手であるが、同継手は、左右2本の管状手すり2、2を直線状配置に連結する構成であり、2本の管状手すり2、2が直線状配置のまま垂直面内で上下方向に傾動自在な構成とされている。しかし、本実施例の自在継手は、以下に説明するとおり、支柱1へ固定した位置を中心として、左右2個又は最大4個の継手基部3およびこれらの連結用筒部4へ連結した管状手すり材2はそれぞれ、独自に(個別に)水平ないし垂直方向へ言わば3次元的に傾動(又は旋回)自在に構成されている。
即ち、図7に示した継手における左右2個の継手基部3、3は共通する構成で、その一側端部から1個の連結用筒部4が突き出され、固定板6も前記連結用筒部の下面に沿って同方向に1個突き出され、同固定板6には連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定する固定具を適用するための固定用孔7が、図示例では2個ずつ設けられている。そして、当該継手基部3の反対側端部には、ヒンジ形成用の球状体15が各1個ずつ突き出されている。
一方、垂直下向きの配置とされた中空のソケット構造である支柱連結部9の上端部には、やや細径の首部18の上に、前記継手基部3の一側に突き出されたヒンジ形成用の球状体15を回動可能に嵌め込める球形凹面16が、図7cの場合には共通な水平面上の直交4方向に4個設けたヒンジ用基部17が、方形のブロック形状として設けられている。そして、左右2個の継手基部3、3のヒンジ形成用球状体15が、それぞれ前記ヒンジ用基部17の左右に対称な配置で設けられた2個の球形凹面16内へそれぞれ回動可能に嵌め込まれてなる傾動自在なヒンジ機構で一連に連結されている。なお、前記ヒンジ用基部17において、継手基部3のヒンジ形成用球状体15を連結しない球形凹面16の開口部は、球形の一部をなす形状のキャップ19で塞がれている。
【0042】
したがって、上記継手の支柱連結部9を支柱1の上端部へ連結し固定具で固定した上で、左右2個の継手基部3、3の連結用筒部4へそれぞれ管状手すり材2の一端部を外嵌めし、固定用孔7を利用する固定具で固定した連結を行うと、各管状手すり材2は、図7a、c中の右側の継手基部3及び管状手すり材2で例示したとおり、管状手すり材2は、支柱上部のヒンジ用基部17の右側面を中心に上下左右方向へ、言わば旋回角90°の範囲で3次元的に傾動ないし旋回させることが出来る。
従って、図1に示すような手摺りの構築に際し、支柱1へ固定した支柱連結部9のヒンジ用基部17を基点として、管状手すり材2を自在に必要な方向へ回転乃至傾動させて、手摺りの設計図に応じた連結態様を容易に実現でき、変化に富んだ、又は設置場所の要請に応じた手摺りの構築を容易に自在に可能とする。
【実施例6】
【0043】
次に、図8a〜dは、上記請求項1〜6のいずれかに記載した手摺り構築用継手において、連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定具で固定して連結の目的を達成するに際し、固定板6の固定用孔7を利用する固定用ネジ又はリベット等の固定具で、連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2を固定する構成、手段の異なる実施例を示している。また、図8a〜dは、固定具としてセルフタップ型の固定用ネジ8を使用した実施例を示しているが、この限りではなく、リベットを使用した場合でもほぼ同様な実施態様を呈することを念のため申し添える。
なお、図8a〜dに横断面形状として示した各実施例に共通する構成の要点は、請求項1、7に記載したとおり、 連結用筒部4に沿って同方向に突き出された固定板6の内側面6aは、管状手すり材2の外径面へ外接するように、管状手すり材2の外径面とほぼ相似な円弧形状とされ、しかも管状手すり材2を支持するに足る肉厚と幅寸法を有する片持ち板として形成されている。
そして、同固定板6に設けた固定用孔7を利用する固定具として、セルフタップ型の固定用ネジ8を使用しているため、固定用孔7は、固定用ネジ8を通過させることが可能で、しかも管状手すり材2へねじ込作業の際には固定用孔7の孔壁が固定用ネジ8の外径面を回転可能に進退させるガイド孔として機能する孔径の貫通孔として形成されている。もっとも固定具としてリベットを使用する場合でも、前記構成の固定用孔で十分に用が足りることになる。但し、孔壁にねじ切りをしたネジ孔を固定用孔7として設ける構成を排除する意味ではない。
【0044】
先ず図8aの実施例から説明を進める。図8aは、本発明のもっとも標準的な実施例を示したもので、連結用筒部4には固定板6と対面する部分が、固定板6の幅寸法と近似する幅寸法で切除された切り欠き部40が形成されている。この連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2は、固定板6の断面中央部に設けた固定用孔7を通じて管状手すり材2の中心に向かってねじ込んだ固定用ネジ8を、管状手すり材2の管壁へもねじ込んで貫通させ、固定用ネジ8の先端は前記切り欠き部40を通じて連結用筒部4の中空部内へ進入した構成とされている。
次に図8bに示した実施例は、固定板6の幅寸法が図8aの約2倍近くまで広く形成され、その中央部を線対称とする左右両側に2個の固定用孔7、7を円心方向に向かって設け、連結用筒部4へ外嵌めした管状手すり材2は、左右2個の固定用孔7、7を通じて管状手すり材2の管壁へねじ込んだ固定用ネジ8をそれぞれ、管状手すり材2の管壁を貫通させ、切り欠き部40を通じて連結用筒部4の中空部内へ進入させた構成で強固に固定して目的を達成している。
【0045】
次に、図8cに示す実施例は、基本的構成が図8aと共通するが、連結用筒部4が切り欠き部を有さず、完全な閉断面の円形である。そのため固定板6の固定用孔7を通じて管状手すり材2の管壁へねじ込んだ固定用ネジ8は、更に連結用筒部4の筒壁へもねじ込み貫通させて、連結用筒部4の中空部内へ進入させ強固に固定して連結の目的を達成している。
図8dに示す実施例は、上記図8cに示す実施例に近似した構成であるが、連結用筒部4の円形断面のうち固定板6と対面する部分を、固定板6の固定用孔7を通じて管状手すり材2の管壁へねじ込み貫通させた固定用ネジ8の先端に対し、正に直角な平面部41として形成し、もって固定用ネジ8を平面部41へねじ込み作業が楽な構成とされている。
【0046】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、もとより本発明は、図示した実施例に限定されるものではない。所謂当業者が必要に応じて行う設計変更その他の変形・応用の範囲などを含む発明であることを念のため言及しておく。
【符号の説明】
【0047】
1 支柱
2 管状手すり材
3 継手基部
4 連結用筒部
5 段部
6 固定板
7 固定用孔
8 固定用ネジ(固定具)
9 支柱連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状手すり材の外径と同径で同一形状である継手基部から、管状手すり材の中空部を密接に外嵌めする連結用筒部が少なくとも1個突き出されており、継手基部と連結用筒部との境界は管状手すり材の先端部が突き当たる垂直な段部に形成されており、
前記継手基部から、内側面が前記連結用筒部へ密接に外嵌めした管状手すり材の外径面へ外接する配置で連結用筒部と同方向へ突き出された固定板が、同管状手すり材を固定するに足る肉厚と一定幅を有する片持ち板として形成されており、この固定板に、前記連結用筒部へ外嵌めした管状手すり材を固定具で固定するための固定用孔が少なくとも1個設けられており、
連結用筒部へ外嵌めした管状手すり材は、前記固定板の固定用孔を利用する固定具で固定して連結されることを特徴とする、手摺り構築用の継手。
【請求項2】
継手基部の一側端部から水平方向に連結用筒部が1個突き出され、固定板も継手基部の同じ端部から前記連結用筒部の下面に沿って同方向に1個突き出され、この固定板に、連結用筒部へ外嵌めした管状手すり材を固定具で固定するための固定用孔が少なくとも1個設けられており、
前記継手基部の反対側端部には、垂直下向き方向に支柱の連結部が突き出されており、
前記支柱連結部を支柱の上端と連結し、前記連結用筒部へ管状手すり材を水平方向に外嵌めし、前記固定板の固定用孔を利用する固定具で固定して連結する構成であることを特徴とする、請求項1に記載した手摺り構築用の継手。
【請求項3】
継手基部の両端からそれぞれ2個の連結用筒部が突き出され、固定板も継手基部から前記連結用筒部の下面に沿って同方向に突き出され、各固定板に、連結用筒部へ外嵌めした管状手すり材を固定具で固定するための固定用孔が少なくとも1個ずつ設けられており、
前記2個の連結用筒部へそれぞれ管状手すり材が外嵌めされ、前記固定板の固定用孔を利用する固定具で固定して連結する構成であることを特徴とする、請求項1に記載した手摺り構築用の継手。
【請求項4】
継手基部の両端からそれぞれ2個の連結用筒部が直線状に突き出され、固定板も継手基部から前記連結用筒部の下面に沿って同方向に突き出され、各固定板に、前記連結用筒部へ外嵌めした管状手すり材を固定具で固定するためのの固定用孔が少なくとも1個ずつ設けられ、更に各継手基部の下面部にヒンジ片が下向きに突き出されており、
一方、垂直下向きの配置とされた支柱連結部の上端にヒンジ片が上向きに形成され、このヒンジ片を前記継手基部の下面部のヒンジ片とをピンで連結したヒンジ機構により継手基部が支柱連結部へ傾動自在に連結されており、
前記2個の連結用筒部へそれぞれ管状手すり材が直線状配置に連結され、前記支柱連結部が支柱の上端と連結される構成であることを特徴とする、請求項1に記載した手摺り構築用の継手。
【請求項5】
継手基部の一側端部から1個の連結用筒部が突き出され、固定板も継手基部から前記連結用筒部の下面に沿って同方向に突き出され、固定板には連結用筒部へ外嵌めした管状手すり材を固定具で固定するためのの固定用孔が少なくとも1個設けられ、更に各継手基部の反対側端部にはヒンジ片が突き出された構成であり、
前記2個の継手基部が、各々のヒンジ片を重ね合わせピンで連結したヒンジ機構で傾動自在に連結されており、
前記2個の連結用筒部へそれぞれ管状手すり材が外嵌めされ、前記固定板の固定用孔を利用する固定具で固定して連結する構成であることを特徴とする、請求項1に記載した手摺り構築用の継手。
【請求項6】
継手基部の一側端部から1個の連結用筒部が突き出され、固定板も継手基部から前記連結用筒部の下面に沿って同方向に1個突き出され、同固定板には連結用筒部へ外嵌めした管状手すり材を固定具で固定するための固定用孔が少なくとも1個設けられ、更に当該継手基部の反対側端部にはヒンジ形成用の球状体が突き出されており、
一方、垂直下向きの配置とされた支柱連結部の上端には、前記継手基部のヒンジ形成用球状体を回動可能に嵌め込む球形凹面を複数個異なる方向に設けたヒンジ用基部が設けられており、
前記ヒンジ用基部の球形凹面へ前記継手基部のヒンジ形成用球状体を回動可能に連結したヒンジ機構により継手基部と支柱連結部とが自在に連結されており、
前記支柱連結部が支柱の上端部と連結され、各継手基部の連結用筒部へ管状手すり材の端部が連結されことを特徴とする、請求項1に記載した手摺り構築用の継手。
【請求項7】
継手基部の連結用筒部に沿って同方向に突き出された固定板の内側面は、管状手すり材の外径面とほぼ相似な湾曲面形状とされ、同固定板は管状手すり材の外径の下半分以下の幅寸法を有する片持ち板として形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載した手摺り構築用の継手。
【請求項8】
継手基部の連結用筒部は、その外径面に沿って同方向に突き出された固定板と対面する部分が、固定板の幅寸法と近似する幅寸法で切除された切り欠き部を有する筒状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載した手摺り構築用の継手。
【請求項9】
上記請求項1〜8に記載した手摺り構築用の継手を使用し組み合わせて支柱1と管状手すり材2、及び管状手すり材2、2同士を連結して構築される手摺りであって、
各手摺り構築用継手はいずれも、その固定板6の位置を、地面側に向けて下向きの配置とした構成に統一して構築されていることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−127380(P2011−127380A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288655(P2009−288655)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000245830)矢崎化工株式会社 (47)
【Fターム(参考)】