説明

手摺り装置

【課題】 装置全体の構造が簡単で安全性も高いにもかかわらず、広告や装飾等を表す文字等の内容を容易に変更することが可能なようにする。
【構成】 手摺り装置1は、広告等を表す静止表示媒体を兼ねた手摺り部材10と、手摺り部材の両端部を支持する固定用ブラケット20、20とを備えている。固定用ブラケット20は、ロック機構23が設けられたブラケット本体21と、ブラケット本体21に形成された手摺り部材10を通して交換するための切り欠き213を覆う部材であり且つブラケット本体21に着脱自在に設けられたカバー部22とを有している。ロック機構23については、カバー部22をブラケット本体21に対してロックするとともに専用工具を用いることにより当該ロックを解除可能な構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築物の壁面、階段又はドア等に取り付けて使用される手摺り装置であり、広告や装飾等を行うのに適したものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の手摺り装置の従来例として、把手部分に装飾が施されたドア用ハンドルがある。このドア用ハンドルは、ドアに固定されるハンドル本体と、ハンドル本体に設けられた把手部分とを備えている。把手部分は、樹脂製の透明パイプと、外周面に広告、装飾等が印刷された布や紙を筒状に丸めて作成された装飾体とを有し、透明パイプ内に装飾体が入れられている(例えば特許文献1等がある)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−356053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例による場合、ハンドル本体をドアから取り外して、装飾体を別のものに変更しない限り、広告や装飾等を表す文字、模様、図柄等の内容を容易に変更することができない。また、この問題を解消するために、把手部分をハンドル本体から容易に取り外しできるように設計変更すると、悪戯等を受け易く安全性が低下するという別の問題がある。これらの問題を解消しようとすると、装置全体の構造が複雑となり、コスト高になることは避けられなかった。
【0005】
本発明は上記した背景の下で創作されたものであって、その目的とするところは、装置全体の構造が簡単で安全性も高いにもかかわらず、広告や装飾等を表す文字等の内容を容易に変更することが可能な手摺り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る手摺り装置は、装飾、広告及び/又は案内を表す静止表示媒体を兼ねた手摺り部材と、ロック機構を有し且つ手摺り部材を支持する固定用ブラケットとを備えている。固定用ブラケットは、ロック機構が設けられたブラケット本体と、ブラケット本体に形成された手摺り部材を通して交換するための切り欠き又は開口を覆う部材であり且つブラケット本体に着脱自在又は開閉自在に設けられたカバー部とを有している。特に、ロック機構については、カバー部をブラケット本体に対してロックするとともに専用工具を用いることにより当該ロックが解除可能な構成となっている。
【0007】
この発明による場合、専用工具又はキーを用いない限り、カバー部のブラケット本体に対するロック状態を容易に解除することができず、手摺り部材が確実に固定されることから、悪戯等を受け難く安全性が低下することがない。一方、専用工具等を用いてカバー部のブラケット本体に対するロックを解除して、固定用ブラケットからカバー部を取り外し又はカバー部を開状態にすると、手摺り部材の全部又はその一部を交換することができる。これにより、広告や装飾等を表す文字等の内容を容易に変更することが可能である。装置全体の構造についても簡単であり、低コスト化を図ることも可能となる。
【0008】
上記発明の構成要素の手摺り部材については、透明な外側パイプと、静止表示媒体に係る部材であり且つ外側パイプの内側に挿入可能な芯部材とを有した構成のものを用いることが望ましい。
【0009】
この下位概念の発明による場合、芯部材が外側パイプにより保護されることから、静止表示媒体に係る芯部材の耐久性を高めることが可能になる。
【0010】
上記発明の構成要素の手摺り部材が円柱状体であり、手摺り部材の端部が前記固定用ブラケットに形成された丸穴に挿入して支持される場合、次のようなカバー部を用いることが望ましい。即ち、ブラケット本体に取り付けられた状態又は開状態で手摺り部材の端部に形成された係止溝に係合可能な回り止め防止片を有している。
【0011】
この下位概念の発明による場合、カバー部をブラケット本体に取り付け又は開状態にすると、カバー部側の回り止め防止片が手摺り部材側の係止溝に係合され、手摺り部材が回り止めされる。よって、静止表示媒体の回転上の向きが常に一定となり、組み立てが容易となる。
【0012】
上記発明の構成要素のロック機構については、ブラケット本体に形成された穴に挿入されて回転自在に軸支された操作部材と、操作部材の基端側に直接的又は間接的に連結され且つ先端側がカバー部の内側の係合部材に係合されるロック位置と係合部材から離れるロック解除位置とにかけて回動自在なロック部材とを有し、ロック部材の頭部に前記専用工具又はキーの先端部が挿入される穴が形成された構成のものを使用することが望ましい。
【0013】
この下位概念の発明による場合、ロック機構の構成が簡単であり、全体の低コスト化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る手摺り装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお、特許請求の範囲に記載された発明の構成要件と図面に示された構成部品との間の対応関係が不明なものについては、後記する符号の説明の欄において併せて示すものとする。
【0015】
図1は手摺り装置1の斜視図を示している。ここに例として掲げる手摺り装置1は、公共施設等の壁面、階段又はドア等に広告用手摺りとして取り付けられたものであり、広告等を表す静止表示媒体を兼ねた手摺り部材10と、手摺り部材10の両端部を支持する固定用ブラケット20、20とを備えている。なお、図1中において、広告等の文字、模様又は図柄等については図示省略されている。
【0016】
図2は手摺り部材10の分解斜視図を示している。手摺り部材10は、円柱状体をなしており、透明な透明パイプ11と、静止表示媒体に係る部材であり且つ透明パイプ11の内側に挿入可能なPR用紙管12と、PR用紙管12内に挿入される芯材13とを有している。
【0017】
透明パイプ11については、ポリカーボネイト等の樹脂加工品が使用されている。透明パイプ11の材質は、手摺り装置として要求される強度が必要であるのは当然であるが、それ以外にPR用紙管12の外面に施された広告等を外から視認することができる程度の透明度と、PR用紙管12を保護することができる程度の耐久性を有すれば良い。
【0018】
透明パイプ11の両端部には係止溝111、111(図4参照)が各々形成されている。なお、係止溝111の詳しいことについては後述する。
【0019】
PR用紙管12については、厚手の紙を筒状に折り曲げて作成されたものであって、その外面に文字、模様又は図柄等が印刷されている。但し、図2中においては、PR用紙管12の外面全体に複数の蝶々が印刷された例が示されている。
【0020】
芯材13については、PR用紙管12単独では強度が不足することから設けられたもので、木材製、金属製又は樹脂製等の棒状体又は筒状体が使用されている。
【0021】
図3は固定用ブラケット20の分解斜視図を示している。固定用ブラケット20は、樹脂成型品の組み立てブロックであって、ロック機構23が設けられたブラケット本体21と、ブラケット本体21に形成された切り欠き211を覆う部材であり且つブラケット本体21に着脱自在に設けられたカバー部22とを有している。
【0022】
ブラケット本体21は断面L字状をなしており、ベース部211と、ベース部211の端部に垂直に形成された垂直部212とを有している。ベース部211の中央部には固定用のネジ穴2111(図4参照)が形成されている。垂直部212の面上の上側には、手摺り部材10の端部が挿入される丸穴214が形成されている。垂直部212の面上の下側には、ロック機構23の操作部材231が挿入される穴215が形成されている。垂直部212の内側面の幅方向の両側位置には、断面L字状をなしたガイド216、216(図4参照)が各々形成されている。
【0023】
カバー部22は、断面三角形状に湾曲したカバー本体221と、カバー本体221内の上側に形成された回り止め防止片222と、カバー本体221内の右側に形成された筒状の係合部材223と、カバー本体221内の左右両側に形成された直線状のスライド溝224、224とを有している。
【0024】
即ち、カバー部22をブラケット本体21に対して上から装着するようにすると、ブラケット本体21側のカイド216、216がカバー部22側のスライド溝224、224に挿入され、カバー部22とブラケット本体21とが組み合わされる。
【0025】
ロック機構23は、カバー部22をブラケット本体21に対してロックするとともに図外の専用工具を用いることにより当該ロックが解除可能な構成となっている。
【0026】
ロック機構23は、本実施形態においては、樹脂脂成型品の組み立てブロックであって、ブラケット本体21に形成された穴215に挿入されて回転自在に軸支された筒状の操作部材231と、操作部材231の基端側に直接的に連結され且つ先端側がカバー部22の内側の係合部材223に係合されるロック位置と係合部材223から離れるロック解除位置とにかけて回動自在なLアングル状のロック部材232とを有している。
【0027】
操作部材231の頭部については、ブラケット本体21の垂直部212と略面一であり、上記専用工具の先端部が挿入される穴2311が形成されている(図1参照)。専用工具については操作部材231を回転操作可能な工具が使用されている。なお、操作部材231の基端側の外周面には穴215の縁に噛み合う螺着用のネジが切られているが、図示省略されている。
【0028】
図4は固定用ブラケット20をカバー部22側から見た透視図である。手摺り部材10の端部がブラケット本体21の丸穴214に挿入され支持される。この状態でブラケット本体21とカバー部22とを上記の通りに組み合わせると、カバー部22側の回り止め防止片222が手摺り部材10側の係止溝111に係合され、手摺り部材10の回り止めが防止される。
【0029】
図4中においては、ロック部材232が係合部材223に係合していないロック解除状態を示している。この状態で操作部材231を上記専用工具を用いて約90度回転させると、ロック部材232がカバー部22側の係合部材223に係合され、ロック部材232の弾性力等によりロック状態が維持される。
【0030】
この状態では、カバー部22がブラケット本体21に対してロックされる。ロック解除状態にするには、上記専用工具を用いて、操作部材231を上記とは逆に約90度回転させる。この状態では、ロック部材232がカバー部22側の係合部材223から離れ、カバー部22をブラケット本体21から容易に取り外すことが可能になる。
【0031】
このような手摺り装置1の場合、上記専用工具を用いない限り、カバー部22のブラケット本体21に対するロック状態を容易に解除することができず、手摺り部材10が確実に固定される。一方、上記専用工具を用いてカバー部22のブラケット本体21に対するロックを解除して、ブラケット本体21からカバー部22を取り外すと、手摺り部材10の全体又はPR用紙管12等を抜いて別のものに交換することができる。これにより、広告等を別の内容のものに容易に変更することが可能である。
【0032】
なお、本発明に係る手摺り装置は、広告用手摺りだけの適用に止まらず、装飾用手摺りや案内用手摺りについても同様に適用可能である。手摺り部材については、長尺状のものである限り、その断面形状や材質等が問われず、手摺り部材の面上に直接的に広告、装飾又は案内を示す文字等を入れる形態でもかまわない。また、透明な外側パイプ及び芯部材との二重構造とする形態についても、心部材を中空のものを使用するか中実のものを使用するかは適宜に選定すれば良い。固定用ブラケットについては、手摺り部材を支持する構成である限り、ブラケット本体及びカバー部を含めて、その形状や材質等が問われない。特にカバー部については、ブラケット本体に形成された手摺り部材を交換するための開口を覆う部材とし、これをブラケット本体に開閉自在に設けられる形態としても良い。ロック機構については、カバー部をブラケット本体に対してロックするとともに専用工具又はキーを用いることにより当該ロックが解除可能な構成となっている限り、どのような構成のものを使用しても良い。また、ブラケット本体ではなくカバー部に設ける形態であってもかまわない。専用工具又はキーについては、作業者がこれを用いてロック機構のロック解除するために操作部材を回転等の操作することが可能である限りどのような種類のものを用いても良い。特に専用工具についてはドライバー、六角レンチ等の一般的な工具であってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る手摺り装置の実施形態を説明するための図であって、手摺り装置の斜視図である。
【図2】同手摺り装置の構成要素である手摺り部材の部分分解斜視図である。
【図3】同手摺り装置の構成要素である固定用ブラケットの分解斜視図である。
【図4】同固定用ブラケットのロック機構の動作説明するための図であって、同固定用ブラケットの透視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 手摺り装置
10 手摺り部材
11 透明パイプ(外側パイプ)
111 係止溝
12 PR用紙管(静止表示媒体、芯部材)
13 芯材
20 固定用ブラケット
21 ブラケット本体
214 丸穴
215 穴
22 カバー部
222 回り止め防止片
223 係合部材
23 ロック機構
231 操作部材
232 ロック部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告、装飾及び/又は案内を表す静止表示媒体を兼ねた手摺り部材と、ロック機構を有し且つ手摺り部材を支持する固定用ブラケットとを備え、固定用ブラケットは、ブラケット本体と、ブラケット本体に形成された前記手摺り部材を交換するための切り欠き又は開口を覆う部材であり且つブラケット本体に着脱自在又は開閉自在に設けられたカバー部とを有し、前記ロック機構は、前記カバー部を前記ブラケット本体に対してロックするともに専用工具又はキーを用いることにより当該ロックが解除可能な構成となっていることを特徴とする手摺り装置。
【請求項2】
請求項1記載の手摺り装置において、前記手摺り部材は、透明な外側パイプと、前記静止表示媒体に係る部材であり且つ外側パイプの内側に挿入可能な芯部材とを有したことを特徴とする手摺り装置。
【請求項3】
前記手摺り部材が円柱状体であり、当該手摺り部材の端部が前記固定用ブラケットに形成された丸穴に挿入して支持される請求項1記載の手摺り装置において、前記カバー部は、ブラケット本体に取り付けられた状態又は開状態で手摺り部材の端部に形成された係止溝に係合可能な回り止め防止片を有していることを特徴とする手摺り装置。
【請求項4】
請求項1記載の手摺り装置において、前記ロック機構は、前記ブラケット本体に形成された穴に挿入されて回転自在に軸支された操作部材と、操作部材の基端側に直接的又は間接的に連結され且つ先端側が前記カバー部の内側の係合部材に係合されるロック位置と当該係合部材から離れるロック解除位置とにかけて回動自在なロック部材とを有し、前記操作部材の頭部に前記専用工具又はキーの先端部が挿入される穴が形成されていることを特徴とする手摺り装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate