説明

手摺

【課題】手摺2の上面に手をついたときに体重を支えやすく、しかも、しっかりとつかまりやすく、さらには手摺2から手を離さずに歩き続けることができる。
【解決手段】複数の支柱1の上端に支持された手摺2であって、略平板状の上面部7と、上面部7の両側から垂下形成された側面部8と、上記側面部8の下端を連結する下面部9とを有し、上記上面部7の少なくとも一方の側部から外側に上部突条部12を突出させて大人の手のひらと同じ程度の幅とするとともに、上記上部突条部12と上記側面部8との間に指掛け可能な凹部を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の支柱の上端に支持された手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の内部の廊下、集合住宅の外廊下や階段、あるいは玄関から敷地の門までの間などに手摺を設置するときは、複数の支柱を立て、これらの支柱の上端に取付金具を介して手摺を支持させている。
【0003】
ところで、従来の手摺は、特許文献1に示されるように、略円筒状に形成されていた。これは手摺が古くから丸棒であったことに由来するものと思われる。
【0004】
ところが、このような丸棒状の手摺は、階段を下りるときなどのように手でつかまった状態で体重をかけると、その負荷は手のひらの一部に集中し、痛く感じるとともに、手摺の下面も丸いので、階段を上がるときなど、指先に引っかかりにくいためにしっかりとつかまりにくい。また、手摺の下面には間隔をおいて取付金具が固定されているので、手摺につかまったまま歩くと、指が取付金具に直接に当たり、痛い思いをすることがあり、取付金具にぶつからないように注意しながら歩かなければならない。
【0005】
そこで、特許文献2のように、全体がやや扁平な断面形状の手摺が提案されている。この手摺の上面はほぼ平らに形成されているので、手でつかまった状態で体重をかけた場合、その負荷は手摺上面に均一に分散されるので、痛く感じにくいという特長がある。
【特許文献1】特開平6−313351号公報
【特許文献2】特開2006−200292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の手摺によってもなお、階段を上がるときなど、しっかりとつかまりにくい、手摺につかまったまま歩くと、指が取付金具にぶつかるおそれがある等の問題は解決されないままである。
【0007】
本発明は上記問題点を解消し、特に手摺の上面に手をついたときに体重を支えやすいとともに、指をかけて確実につかまることができ、さらには手摺から手を離さずに歩き続けることができる手摺を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、複数の支柱の上端に支持された手摺であって、略平板状の上面部と、上面部の両側から垂下形成された側面部と、上記側面部の下端を連結する下面部とを有し、上記上面部の少なくとも一方の側部から外側に上部突条部を突出させて大人の手のひらと同じ程度の幅とするとともに、上記上部突条部と上記側面部との間に指掛け可能な凹部を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、端部にはエンドキャップが取付けられるとともに、このエンドキャップには、上記上部突条部に連続的に設けられる突部を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1において、上記側面部の下部から外側に下部突条部を突出形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3において、端部にはエンドキャップが取付けられるとともに、このエンドキャップには、上記上部及び下部突条部に連続的に設けられる突部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、手摺は、略平板状の上面部と、上面部の両側から垂下形成された側面部と、上記側面部の下端を連結する下面部とを有し、上記上面部の少なくとも一方の側部から外側に上部突条部を突出させて大人の手のひらと同じ程度の幅としたから、上面部と上部突条部とに手をついて体重をかけたとき、手のひらには負荷が均一にかかるので、痛く感じにくい。
【0013】
また、全体の断面形状は小さくても上面部の側部に上部突条部を延長形成するだけで幅広の上面部分を形成することができる。
【0014】
さらに、上面部の少なくとも一方の側部から外側に上部突条部を突出形成し、この上部突条部と上記側面部との間に指掛け可能な凹部を形成したので、指先を突条部に引っかけやすい。この突条部は手摺の全長に沿って連続形成されるので、取付金具を気にせずにしっかりとつかまって身体を安全に確保しながら手摺から手を離さずに歩き続けることができる。さらに、小さい子供や老人などのように、あまり手が大きくなくても十分に突条部に手をかけて歩くことができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、手摺の端部に取付けられたエンドキャップには、上記上部突条部に連続的に設けられる突部が形成されているので、手摺の端部まで手をかけることができ、便利である。また、手摺の側面全周に突条部と突部とが連続形成されるので、デザイン性に優れた手摺を市場に提供することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、側面部の下部から外側に下部突条部を突出形成しているから、手のひらの大きい大人などは側面部の下部にある突条部の方が手をかけやすい。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、請求項2に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明に係る手摺の正面図であり、図2は図1のX−X線上の拡大断面図である。この手摺は、複数の支柱1の上端に設けられ、支柱1はアルミニウムの押出型材からなる中空部材で、上端には取付金具3が設けられ、この取付金具3を介して手摺2が支持されている。
【0019】
取付金具3は図3に示されるように、第1の取付金具3aと第1の取付金具3aに回動可能に取付けられた第2の取付金具3bとによって構成され、第1の取付金具3aは支柱1の上端に載置され、取付ビス4を第1の取付金具3aの台座部5から支柱1の長手方向に形成されたビスホール(図示せず)に螺合させることにより固定されている。また、第2の取付金具3bは、略T字形に形成され、上部両端は手摺2の下部にビス止め固定され、中央部の下端は第1の取付金具3aの上部に回動可能に取付けられている。第1の取付金具3aと第2の取付金具3bとは回動可能に連結されているので、傾斜地に立てた支柱1の上に手摺2を斜めに配設することもできる。
【0020】
次に、手摺2もアルミニウムの押出型材からなる中空部材で、略平板状の上面部7と、上面部7の両側から垂下形成された側面部8と、上記側面部8の下端を連結する下面部9とから全体的に扁平な略角筒状に形成されている。
【0021】
上面部7は、中央部が高く両側が低くなるように緩やかに湾曲した平板状に形成されている。
【0022】
側面部8は垂直の板状に形成されている。
【0023】
下面部9の両側部には中央部にかけて低く傾斜する傾斜部10が形成され、中央の下方に開口する溝部11に連続形成されている、
次に、上面部7の両側部から外側に上部突条部12と下部突条部13とが突出形成され、上部突条部12と側面部8との間には指掛け可能な凹部が形成されている。下部突条部13は下面部9の延長上に形成されているが、下面部9よりも高い位置に形成してもよい。
【0024】
上面部7の両外側から外側上部突条部12を突出形成することにより、手摺の上面部分は大人の手のひらと同じ程度の幅、つまり約60〜75mmに形成されている。
【0025】
上記構成により、手摺2の側面は、上部突条部12と下部突条部13とによって凹溝状に形成されている。
【0026】
下面部9の溝部11の溝壁には突部14が形成され、溝底部分にビス受け15が配置されている。そして、図2に示すように、取付ブロック15aに貫通させた固定ビス16を第2の取付金具3bの下からビス受け15にねじ込むことによって、第2の取付金具3bを手摺2に固定している。
【0027】
なお、上部突条部12と下部突条部13は両側面部8に形成されている必要はない。片側にだけ形成する構成であってもよい。
【0028】
次に、図4〜図6に示されるように、手摺2の端部には合成樹脂製のエンドキャップ17が取付けられている。エンドキャップ17には、手摺2の中空部の端部を覆う覆い部18と、覆い部18の内側に形成されて手摺2の中空部に差し込まれる係合片19と、覆い部18の外側に形成された上部突部20と下部突部21とが形成されている。上部突部20と下部突部21とは、上記上下の突条部12、13に対応するように形成されている。なお、係合片19のうち中央部の係合片19aは手摺2の下面部9に設けられた溝部11の溝底に対応するように形成されている。
【0029】
エンドキャップ17は、係合片19を手摺2の端部から内部に嵌め込み、溝部11の下から挿通したビス22をエンドキャップ17の中央部の係合片19aに螺合することにより固定されている。エンドキャップ17が固定されたとき、エンドキャップ17の上部突部20と下部突部21とは、手摺2の上下の突条部12、13と連続するように構成されている。
【0030】
上述の構成によれば、手摺2は、上面部7と、上面部7の両側から垂下形成された側面部8と、側面部8の下端を連結する下面部9とから構成され、上面部7は略平板状で大人の手のひらと同じ程度の幅を有しているから、上面部7に手をついて体重をかけると、手のひらには負荷が均一にかかるので、上面が丸いものに比べて痛く感じにくい。
【0031】
また、手摺2の全体の断面形状は小さくても上面部7の側部に上部突条部12を延長形成するだけで幅広の上面部分を形成することができる。
【0032】
また、手摺2の外側面に沿って上部突条部12が突出形成されているので、小さい子供や老人などのように、あまり手が大きくなくても、上部突条部12に手を掛ければよく指先を突条部に引っかけやすい。この上部突条部12は手摺2の全長に沿って連続形成されているので、取付金具3を気にせずにしっかりとつかまって身体を安全に確保しながら手摺2から手を離さずに歩き続けることができる。
【0033】
さらに、手のひらが大きい大人などは側面部8の下部突条部13に手を掛ければよい。このように、手が大きい小さいにかかわらず、手をかけやすい方の突条部を選択して身体を確保しながら歩くことができる。
【0034】
また、手摺2の端部に設けられるエンドキャップ17には、上記上下の突条部12、13にそれぞれ連続的に設けられる上下の突部20、21を形成したので、手摺2の端部まで手をかけることができ、便利である。
【0035】
なお、手摺2の形状は上述の例に限定されない。例えば、図7(a)のように、上部突条部12を肉厚にして強度を上げてもよく、あるいは同図(b)のように、手摺2の上面部7に合成樹脂製のカバー23を被せ、カバー23の両側端部を上部突条部12の下部係止溝24に係止させる構成としてもよい。また、側面部8の外側に嵌合溝25を形成し、この嵌合溝25に、化粧板材26を嵌め込んで手摺の意匠性を高めるようにしてもよい。
【0036】
また、突条部は上部の突条部のみでもよい。突条部を上部の突条部のみに設ける場合は、エンドキャップの突部もこれに対応するように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る手摺の正面図
【図2】図1のX−X線上の拡大断面図
【図3】上記手摺の取付金具部分の拡大図
【図4】上記手摺の端部の拡大図
【図5】上記手摺の端部の側面の拡大図
【図6】キャップの背面図
【図7】(a)(b)は手摺の他の形態の端面図
【符号の説明】
【0038】
2 手摺
7 上面部
8 側面部
12 上部突条部
13 下部突条部
17 エンドキャップ
20 上部突部
21 下部突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支柱の上端に支持された手摺であって、略平板状の上面部と、上面部の両側から垂下形成された側面部と、上記側面部の下端を連結する下面部とを有し、上記上面部の少なくとも一方の側部から外側に上部突条部を突出させて大人の手のひらと同じ程度の幅とするとともに、上記上部突条部と上記側面部との間に指掛け可能な凹部を形成したことを特徴とする手摺。
【請求項2】
端部にはエンドキャップが取付けられるとともに、このエンドキャップには、上記上部突条部に連続的に設けられる突部を形成したことを特徴とする、請求項1に記載の手摺。
【請求項3】
上記側面部の下部から外側に下部突条部を突出形成したことを特徴とする、請求項1に記載の手摺。
【請求項4】
端部にはエンドキャップが取付けられるとともに、このエンドキャップには、上記上部及び下部突条部に連続的に設けられる突部を形成したことを特徴とする、請求項3に記載の手摺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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