説明

投写型映像表示装置

【課題】映像を拡大投写させる場所までの運搬労力を低減させると共に、投写型映像表示装置とパーソナルコンピュータとの接続時間を短縮することができる投写型映像表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】床面10に投写されたキーボード映像9のキー配置及びモニター映像8のパターンを認識する認識手段11と、床面10に投写されたキーボード映像9及びモニター映像8上の、床面10に接地している使用者の指15の位置を検出する指位置検出手段11,12,13と、指位置検出手段11,12,13が検出する床面10に接地している使用者の指15の位置に対応する位置の映像情報を判別すると共に、パーソナルコンピュータに7信号を入力する制御手段14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、光源からの光を映像信号に基づき変調して、投写レンズを介して映像を投写するプロジェクタ等の投写型映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の投写型映像表示装置においては、パーソナルコンピュータの映像データを圧縮し、既存のプリンタ用インターフェースを介して映像データを投写型映像表示装置に転送し、投写型映像表示装置により圧縮された映像データを復元してスクリーンに映像を拡大投写する画像表示システムが開示されております(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−21044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような構成であると、投写型映像表示装置とパーソナルコンピュータ及びパーソナルコンピュータから投写型映像表示装置への映像データ送信用のプリンタ用インターフェースが必要となるため、映像を拡大投写させる場所までのパーソナルコンピュータと投写型映像表示装置の運搬が必要となって、労力がかかってしまうと共に、投写型映像表示装置とパーソナルコンピュータとの接続に時間を要するといった問題が発生します。
【0004】
そこで、本願発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、映像を拡大投写させる場所までの運搬労力を低減させると共に、投写型映像表示装置とパーソナルコンピュータとの接続時間を短縮することができる投写型映像表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段は、光源からの光を映像信号に基づき変調し、投写レンズを介して拡大投写された映像を凹面反射鏡により屈曲させて床面に投写する投写型映像表示装置において、パーソナルコンピュータのキーボード及びモニターの映像を床面に投写した際の、床面に投写されたパーソナルコンピュータのキーボード映像のキー配置及びモニター映像のパターンを認識する認識手段と、床面に投写されたパーソナルコンピュータのキーボード映像及びモニター映像上の、床面に接地している使用者の指の位置を検出する指位置検出手段と、指位置検出手段が検出する床面に接地している使用者の指位置に対応する位置の映像情報を判別すると共に、パーソナルコンピュータに信号を入力する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための手段において、前記投写型映像表示装置は、パーソナルコンピュータのキーボードの映像が、モニターの映像とは独立して投写されるように構成されていると共に、キーボードの映像は、その投写方向が可変自在に構成されてもよい。
【0007】
また、上記課題を解決するための手段において、前記投写型映像表示装置は、モニターの映像が壁面に投写されるように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本願発明の請求項1の構成によれば、プロジェクタを設置する位置の近傍にパーソナルコンピュータを設置しなくても、パーソナルコンピュータを操作することができるため、パーソナルコンピュータの運搬労力を低減させることができると共に、プロジェクタ1とパーソナルコンピュータとの接続時間を短縮することができる等の効果を奏する。
【0009】
本願発明の請求項2の構成によれば、キーボード映像をモニター映像に対して任意の位置に投写させることができるため、使用者の使い勝手を向上させることができる等の効果を奏する。
【0010】
本願発明の請求項3の構成によれば、実物のパーソナルコンピュータのようにモニター映像を立てた状態で見ることができるため、モニター映像が見易くなり、使い勝手を向上させることができる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本願発明の第1実施形態を図1乃至図4を参照して詳細に説明する。
【0012】
図2は、本願発明に係る投写型映像表示装置としてのプロジェクタ1の側断面図で、図示しない超高圧水銀ランプ等の光源から出射された光を液晶パネルにて映像信号に基づき変調し、投写レンズ2を介して投写することにより映像を拡大投写する光学エンジン3と、光学エンジン3を収納する筐体4と、筐体4の前面に形成された投写窓5と、光学エンジン3から投写される映像の光路Iを投写窓5を通して床面10に到達させるために光路Iを屈曲させる凹面反射鏡6とを備えている。
【0013】
また、プロジェクタ1は、図1に示すように無線ラン等の接続手段により接続されたパーソナルコンピュータ7からの信号を受信できるようになっており、
パーソナルコンピュータ7から送られてくる映像信号に基づき、パーソナルコンピュータ7のモニター映像8に予めプロジェクタ1に格納されているキーボード映像9を重畳し、投写窓5を通して床面10に投写するようになっている。
【0014】
また、プロジェクタ1には、プロジェクタ1が床面10に投写した映像上の、床面10に接地している使用者の指15の位置を検出する指位置検出手段が備えられている。
【0015】
指位置検出手段は、図3及び図4に示すように、床面10に投写されている映像のパターンを検出するCMOSカメラモジュール11と、投写面の床面10近傍を水平方向にレーザを投射する赤外(不可視)半導体レーザ投影モジュール12と、赤外半導体レーザ投影モジュール12から出射されたレーザ光が、投写面の床面10上の物体によって反射することにより、CMOSカメラモジュール11により検出された際の前記物体の位置を検知するキー入力判定部13とから構成されている。
【0016】
指位置検出手段により、投写面の床面10上の物体の位置が検出されると、制御部14は、キー入力判定部13が検知する位置に対応する映像情報を判別すると共に、パーソナルコンピュータに信号を送信するようになっている。
【0017】
指位置検出手段が検出する、床面10に接地している指15の位置検出方法を具体的に説明すると、CMOSカメラモジュール11により、床面10に投写されているモニター映像8のパターン及びキーボード映像9のキー配置は検出されている。また、赤外半導体レーザ投影モジュール12により、投写面の床面10近傍は水平方向にレーザが投射されており、図3に示すように床面10に投写された映像上に指15を接地させると、赤外半導体レーザ投影モジュール12から投射されたレーザ光は指15で反射してCMOSカメラモジュール11に到達するように構成されている。
【0018】
従って、CMOSカメラモジュール11が検出したレーザ光がどの位置から反射されたものであるかを検知すると共に、既にCMOSカメラモジュール11が検出している床面10に投写されている映像のパターン情報に基づいて、指15が接地している位置の映像情報を判別すると共に、その情報信号を制御部14からパーソナルコンピュータ7に送信することにより、床面10に投写されている映像によってパーソナルコンピュータ7を操作することができるようになっている。
【0019】
そして、キーボード映像9上に指15を接地させることによりパーソナルコンピュータ7にキー入力ができ、モニター映像8上に指15を接地させることによりタッチパネルの感覚でモニター映像8を更新させることができる。
【0020】
また、指15を床面10から浮かした状態では、赤外半導体レーザ投影モジュール12から投射されたレーザ光は指15で反射することなく、このまま直進するためCMOSカメラモジュール11はレーザ光を検出しない。従って、指15を床面10から浮かした状態では指15の位置を検出することができないため、床面10に接地していない指15の位置の誤検出を防止できるようになっている。
【0021】
このようにして、プロジェクタ1を設置する位置の近傍にパーソナルコンピュータ7を設置しなくても、パーソナルコンピュータ7を操作することができるため、パーソナルコンピュータ7の運搬労力を低減させることができると共に、プロジェクタ1とパーソナルコンピュータ7との接続時間を短縮することができる。
(第2実施形態)
図5は本発明の第2実施形態を示している。尚、第1実施形態と同一部品については同一符号を付して説明を省略する。
【0022】
第1実施形態では、プロジェクタ1とパーソナルコンピュータ7とを1対1で接続した構成にしたが、第2実施形態においては、プロジェクター1がホストコンピュータ16に無線ラン等の接続手段により接続されている構成になっている。そして、このホストコンピュータ16には、図示しない複数の使用者の端末機が接続されている。
【0023】
この構成とすることにより、プロジェクタ1を設置する位置の近傍にパーソナルコンピュータ7を設置する必要がないため、パーソナルコンピュータ7の運搬労力を低減させることができると共に、プロジェクタ1とパーソナルコンピュータ7との接続時間を短縮することができる。
【0024】
また、ホストコンピュータ16を共用している複数の使用者が、プロジェクタ1から床面10に投写している映像を介して同一の場所で共有使用することができる。
(第3実施形態)
図6は本発明の第3実施形態を示している。尚、第1実施形態及び第2実施形態と同一部品については同一符号を付して説明を省略する。
【0025】
第1実施形態及び第2実施形態では、プロジェクタ1をパーソナルコンピュータ7やホストコンピュータ16と接続した構成にしたが、第3実施形態においては、パーソナルコンピュータがプロジェクタ1に内蔵されている構成になっている。
【0026】
この構成であれば、プロジェクタ1とパーソナルコンピュータ7やホストコンピュータ16とを無線ラン等で接続する作業が不要になると共に、パーソナルコンピュータの運搬労力を低減させることができる。
【0027】
また、パーソナルコンピュータ7やホストコンピュータ16を設置しなければならなかった場所の空間を有効利用することができる。
【0028】
また、パーソナルコンピュータのモニター映像8及びキーボード映像9を床面10に投写させることにより、パーソナルコンピュータのモニターとキーボードとを廃止することができるため、パーソナルコンピュータをプロジェクタ1に内蔵させた場合でも、プロジェクタ1の小型化を図ることができる。
(第4実施形態)
図7は本発明の第4実施形態を示している。尚、第1実施形態乃至第3実施形態と同一部品については同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
第1実施形態乃至第3実施形態では、一つの光学エンジン3から、パーソナルコンピュータ7のモニター映像8に予めプロジェクタ1に格納されているキーボード映像8を重畳して床面10に投写するように構成したが、第4実施形態では、キーボード映像9aを前記光学エンジン3とは別の、レーザ17等により床面10に投写すると共に、CMOSカメラモジュール11によりモニター映像8とキーボード映像9aの両方の位置及び映像パターンを検出する構成になっている。
【0030】
図7は、第3実施形態のパーソナルコンピュータを内蔵したプロジェクタ1に対して、キーボード画面9aをモニター画面8とは独立して床面10に投写した状態を示している。
【0031】
また、図示していないが、レーザー17の投写方向は可変自在となっている。
【0032】
この構成であれば、キーボード映像9aをモニター映像8に対して任意の位置に投写させることができるため、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0033】
尚、第4本実施形態では、キーボード映像9aをレーザ17により投写したが、この構成に限定されるものではなく、モニター画面8を投写する光学エンジン3とは別にキーボード映像9aを専用に投写する光学エンジンを独立して設けた構成にしてもよい。
【0034】
また、図示しない超高圧水銀ランプ等の光源を共用し、モニター映像投写用とキーボード映像投写用の光学エンジンを分岐させた新たな光学エンジンを設けた構成にしてもよい。
(第5実施形態)
図8は本発明の第5実施形態を示している。尚、第1実施形態乃至第4実施形態と同一部品については同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
第1実施形態乃至第4実施形態では、モニター映像8とキーボード映像9、9aとを共に床面10に投写するように構成したが、第5実施形態では、キーボード映像9bを床面に投写すると共に、モニター映像8aを壁面18に投写する構成になっている。
【0036】
図8は、第3実施形態のパーソナルコンピュータを内蔵したプロジェクタ1に対して、キーボード映像9bを床面に、モニター映像8aを壁面18に投写した状態を示している。この構成であれば、モニター映像8a上の任意の位置にカーソルを位置させることができないため、マウス19を備えたキーボード映像9bとなっている。また、CMOSカメラモジュール11は、キーボード映像9b上の位置情報だけを検出するようになっている。
【0037】
この構成であれば、実物のパーソナルコンピュータのようにモニター映像8aを立てた状態で見ることができるため、モニター映像8aが見易くなり、使い勝手を向上させることができる。
【0038】
尚、第5実施形態では、壁面18に投写したモニター映像8aの位置情報を検出するCMOSカメラモジュール11を備えていないが、壁面18に投写したモニター映像8aの位置情報を検出するCMOSカメラモジュールを別に設けた構成にしてもよい。
【0039】
また、上記第1実施形態乃至第5実施形態では、投写型映像表示装置として液晶パネルを用いたプロジェクタ1を示したが、他の映像光生成系を備える投写型映像表示装置においても本願発明を適用することができる。例えば、DLP(Digital Light Processing;テキサス・インスツルメンツ(TI)社の登録商標)方式のプロジェクタにおいても本願発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本願発明の第1実施形態に係る投写型映像表示装置としてのプロジェクタを設置した状態の斜視図で、床面にモニター映像とキーボード映像を投写した状態を示す。
【図2】同プロジェクタの側断面図で、内部構成を示す。
【図3】同プロジェクタの側断面図で、指位置検出手段の原理を示す。
【図4】同プロジェクタの指位置検出手段の構成を示すブロック図である。
【図5】本願発明の第2実施形態に係る投写型映像表示装置としてのプロジェクタを設置した状態の斜視図で、床面にモニター映像とキーボード映像を投写した状態を示す。
【図6】本願発明の第3実施形態に係る投写型映像表示装置としてのプロジェクタを設置した状態の斜視図で、床面にモニター映像とキーボード映像を投写した状態を示す。
【図7】本願発明の第4実施形態に係る投写型映像表示装置としてのプロジェクタを設置した状態の斜視図で、床面にモニター映像とキーボード映像を投写した状態を示す。
【図8】本願発明の第5実施形態に係る投写型映像表示装置としてのプロジェクタを設置した状態の斜視図で、床面にモニター映像及び壁面にキーボード映像を投写した状態を示す。
【符号の説明】
【0041】
2 投写レンズ
5 投写窓
6 凹面反射鏡
7 パーソナルコンピュータ
8,8a モニター映像
9,9a、9b キーボード映像
10 床面
11 CMOSカメラモジュール(指位置検出手段)
12 赤外半導体レーザ投影モジュール(指位置検出手段)
13 キー入力判定部(指位置検出手段)
14 制御部
15 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を映像信号に基づき変調し、投写レンズを介して拡大投写された映像を凹面反射鏡により屈曲させて床面に投写する投写型映像表示装置において、パーソナルコンピュータのキーボード及びモニターの映像を床面に投写した際の、床面に投写されたパーソナルコンピュータのキーボード映像のキー配置及びモニター映像のパターンを認識する認識手段と、床面に投写されたパーソナルコンピュータのキーボード映像及びモニター映像上の、床面に接地している使用者の指の位置を検出する指位置検出手段と、指位置検出手段が検出する床面に接地している使用者の指位置に対応する位置の映像情報を判別すると共に、パーソナルコンピュータに信号を入力する制御手段とを備えていることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記投写型映像表示装置は、パーソナルコンピュータのキーボードの映像が、モニターの映像とは独立して投写されるように構成されていると共に、キーボードの映像は、その投写方向が可変自在に構成されていることを特徴とする請求項1記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記投写型映像表示装置は、モニターの映像が壁面に投写されるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2の何れか1項に記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−64375(P2009−64375A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233639(P2007−233639)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】