説明

投射装置及び画像表示装置

【課題】薄型化を図りつつ斜め方向に光を投射することが可能な投射装置及び画像表示装置を提供すること。
【解決手段】本実施形態に係る投射装置1では、液晶ライトバルブ20と、クロスダイクロイックプリズム30の光路上に集光性レンズ11を配置することにより、液晶ライトバルブ20から射出される光の発散角を小さくする。これにより、反射部15の反射面15aに入射する光の面積は小さくなり反射面15aの面積を小さくできるため、装置全体の小型化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射装置及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクターの開発が進み、所定の被投射面(例えば、スクリーン)に対して上下左右方向から斜め方向に画像を投射するプロジェクターが求められている。スクリーンに対して斜め方向に画像を投射する方法としては、投射レンズの光軸を入射する光の中心軸に対して傾斜される構成、偏芯集光レンズを用いて光源から射出された光をスクリーンに向かって曲げる構成(例えば、特許文献1参照。)、図9に示すように、前段レンズ群201の光軸O1を入射する光の中心軸O3と異ならせる構成が考えられる。
【0003】
特許文献1に記載の投射装置は、光源から射出された光を円柱レンズに入射し、円柱レンズから射出された光は集光レンズにより集光される。集光された光は、偏芯集光レンズにより、光源から射出された光の中心軸より上方に集光され、投影レンズによって投影される。このように、偏芯集光レンズを用いて光の中心軸を曲げることにより、投影機全体を傾けたりすることなく斜め方向に画像を投影することを可能としている。
【0004】
次に、図9に示す構成では、前段レンズ群201の光軸O1と後段レンズ群202の光軸O2とを平行にずらし、入射する光の中心軸O3が前段レンズ群201の光軸O1より、例えば、紙面下方に位置するように、前段レンズ群201を配置する。これにより、前段レンズ群201の光軸O1の下側から入射した光は、前段レンズ群201から射出され、後段レンズ群202の光軸O2の上側から入射する。そして、後段レンズ群202を通過した光は、前段レンズ群201に入射したときの中心軸O3よりも上方の被投射面に向かって投射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−327047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、投射レンズを傾斜させた構成、特許文献1に記載の構成、前段レンズ群と後段レンズ群との光軸をずらして配置した構成では、投射レンズを傾斜させた方向、光軸を曲げた方向、前段レンズ群と後段レンズ群との光軸をずらした方向に装置が厚くなる。これにより、装置全体の大型化を招いてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するように、以下の適用例または形態として実現され得る。
【0008】
〔適用例1〕本適用例の投射装置は、光を画像信号に応じて変調する空間光変調素子と、投射レンズとを備えた投射装置において、前記投射レンズは入射した光により中間像を形成する第1光学系と、前記中間像を被投射面に投射する第2光学系と、前記第1光学系と前記第2光学系との間の光路上に配置され、前記第1光学系により射出された光を前記第2光学系に反射させる反射面を前記第1光学系の光軸近傍に有する反射部とを備え、前記第1光学系及び前記第2光学系の一部は切り欠かれているとともに、前記空間光変調素子の中心軸と前記第1光学系の光軸とは異なるように配置され、前記空間光変調素子と前記第1光学系の間の光路に集光手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本適用例に係る投射装置では、入射した光は、第1光学系により中間像が形成されるとともに、反射部に入射する。反射部において、反射された中間像は、第2光学系により被投射面に投射される。
ここで、第1光学系の光軸が、例えば、入射した光の中心軸からずれている。そして、第1光学系により集光され第1光学系の光軸に向かって進行した光は、第1光学系の光軸近傍に反射面を有する反射部により反射されて、第2光学系に入射する。第2光学系を通過した光は、第1光学系の光軸を基準として、第1光学系に入射したときの光の中心軸よりも離れた位置にある被投射面に向かって投射される。このとき、入射した光は反射部の裏面側に進行せずに、第1光学系、反射部、第2光学系を通過する。
したがって、反射部の反射面を第1光学系の光軸近傍に配置することにより、従来の第1光学系及び第2光学系の一部には光が入射しない部分が生じる。この部分を切り欠くことにより、薄型化を図りつつ斜め方向に光を投射することができる。また、空間光変調素子と第1光学系の光路に集光手段を有する構成とすることで空間光変調素子から射出される光の発散角を小さくすることができる。これにより、反射部を小型することができるため投射装置の小型化が可能となる。
【0010】
〔適用例2〕上記適用例に記載の投射装置は、前記集光手段は前記空間光変調素子の中心軸上に配置することが好ましい。
【0011】
本適用例の投射装置は、空間光変調素子の中心軸上に集光手段を配置することにより空間光変調素子から射出された光を効率良く第1光学系に入射させることが可能となる。
【0012】
〔適用例3〕上記適用例に記載の投射装置では、前記集光手段として少なくとも1枚のレンズを用いて構成することが好ましい。
【0013】
本適用例の投射装置は、集光手段として少なくとも1枚のレンズを用いることにより空間光変調素子から射出された光を効率良く第1光学系に入射させることが可能となる。
【0014】
〔適用例4〕上記適用例に記載の投射装置は、前記集光手段が、前記空間光変調素子の変調された光を射出する射出面を凸形状とすることにより形成されることが好ましい。
【0015】
本適用例の投射装置は、空間光変調素子のうち変調された光を射出する射出面を凸形状にすることで集光機能を持たせることにより集光レンズ別体で形成する必要がなくなるため、投射装置を小型かつ簡易な構成にできる。
【0016】
〔適用例5〕上記適用例に記載の投射装置は、前記集光手段が、複数の前記空間光変調素子と色合成プリズムの光が入射する入射面、または光を射出する射出面のうち少なくとも1つの面を凸形状とすることにより形成されることが好ましい。
【0017】
本適用例の投射装置は、合成プリズムの光が入射する入射面、または光を射出する射出面のうち少なくとも1つの面を凸形状とすることで集光機能を持たせることにより集光レンズを不要にでき、投射装置を小型かつ簡易な構成にできる。
【0018】
〔適用例6〕本適用例の画像表示装置では、光を射出する光源と、上記適用例に記載の投射装置を備えたことを特徴とする。
【0019】
本適用例の画像表示装置は、光源より射出された光は空間光変調素子に入射される。そして、空間光変調素子により形成された画像が、投射装置によって投射される。このとき、上述したように、薄型化された投射装置を用いているため、装置全体の薄型化を図りつつ斜め方向に画像を投射することが可能な画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る投射装置の概略構成を示す正面図。
【図2】図1の投射装置の第1光学系の拡大図。
【図3】第2実施形態に係る投射装置の概略構成を示す正面図。
【図4】第2実施形態に係る透過型液晶パネルの断面構成を模式的に表した図。
【図5】第3実施形態に係る投射装置の概略構成を示す正面図。
【図6】第3実施形態に係るクロスダイクロイックプリズムの斜視構成を示す図。
【図7】第3実施形態に係るクロスダイクロイックプリズムの断面構成を示す図。
【図8】第4実施形態に係る画像表示装置の概略構成を示す正面図。
【図9】従来の投射装置の概略構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る投射装置及び画像表示装置の実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の投射装置の全体図であり、図2は、投射装置の第1レンズ群、絞り、反射部の拡大図である。なお、図1及び図2では、入射した光の光路を分かりやすく説明するために、上側光線L1、中心光線L2、下側光線L3の3つのみを示している。
図1に示すように、投射装置1は、例えば、空間光変調素子としての液晶ライトバルブ20から射出された光を、スクリーン(被投射面)40に投射するものである。
この投射装置1は、液晶ライトバルブ20と、集光性レンズ(集光手段)11と、クロスダイクロイックプリズム(色合成プリズム)30と、第1レンズ群(第1光学系)12と、第2レンズ群(第2光学系)13と、絞り14と、反射部15とを備えている。絞り14は、第1レンズ群12と第2レンズ群13との間の光路上に配置されている。
【0023】
液晶ライトバルブ20によって変調された光は、集光性レンズ11の集光作用により集光されてクロスダイクロイックプリズム30に入射する。そして、第1レンズ群12は、入射した光を絞り14の近傍に中間像として形成するものであり、光が入射する側から、平凹レンズ12a、両凸レンズ12b、平凸レンズ12c、両凹レンズ12d、両凸レンズ12e、平凹レンズ12fの順に光路上に配置されている。
第2レンズ群13は、第1レンズ群12により形成された中間像をスクリーン40に投射するものであり、光が入射する側から、凸メニスカスレンズ13a、両凸レンズ13b、平凸レンズ13c、両凹レンズ13d、両凹レンズ13e、凹メニスカスレンズ13f、平凸レンズ13gの順に光路上に配置されている。
また、集光性レンズ(集光手段)11、クロスダイクロイックプリズム30、第1レンズ群12及び第2レンズ群13は、図1の2点鎖線で示す半分が切り欠かれており、第1レンズ群12及び第2レンズ群13に用いられるレンズ12a〜12f及びレンズ13a〜13gは、通常のレンズの大きさの半分となっている。具体的には、反射部15の裏面15b側の第1レンズ群12,第2レンズ群13が切り欠かれているため、反射部15に対して垂直方向の厚みが従来の大きさ(2点鎖線を含む大きさ)に比べて半分に薄くなっている。
なお、第1レンズ群12及び第2レンズ群13を構成するレンズ12a〜12f、13a〜13gの形状、大きさ、配置間隔及び枚数は、これに限るものではなく、要求される特性によって適宜変更させるものである。
【0024】
第1レンズ群12の光軸O1と第2レンズ群13の光軸O2とは一致している。また、第1レンズ群12は、当該第1レンズ群12の光軸O1が入射した光の中心軸O3と異なるように配置されており、具体的には、光の中心軸O3は、第1レンズ群12の光軸O1に比べて紙面上方に位置している。これにより、第1レンズ群12に入射した光は、第1レンズ群12の光軸O1よりも上方を通過する。
【0025】
絞り14は、第1レンズ群12から射出された光の光量を調整するものである。
反射部15は、平面形状であり、第1レンズ群12から射出された光を第2レンズ群13に向かって反射させるものである。この反射部15は、絞り14の近傍、すなわち、第1レンズ群12及び第2レンズ群13との間の光路上の絞り14の内側に配置されており、図2の拡大図に示すように、反射部15の反射面15a上に第1レンズ群12の光軸O1が位置するように配置されている。
【0026】
次に、以上の構成からなる本実施形態の投射装置1を用いて、スクリーン40に光を投射する方法について説明する。
液晶ライトバルブ20によって変調された光は、集光性レンズ11の集光作用により集光されてクロスダイクロイックプリズム30に入射する。クロスダイクロイックプリズム30から射出された光は、第1レンズ群12のレンズ12a〜12fの光軸O1より上方を通過し、第1レンズ群12の光軸O1に向かって集光される。そして、絞り14近傍に中間像を形成し、絞り14により光量が調節され、反射部15において反射された中間像は、第2レンズ群13に入射する。第2レンズ群13のレンズ13a〜13gを通過した光は、第1レンズ群12に入射したときの中心軸O3よりも上方のスクリーン40に向かって投射される。
【0027】
本実施形態に係る投射装置1では、液晶ライトバルブ20と、クロスダイクロイックプリズム30の光路上に集光性レンズ11を配置することにより、液晶ライトバルブ20から射出される光の発散角を小さくする。これにより、反射部15の反射面15aに入射する光の面積は小さくなり反射面15aの面積を小さくできるため、装置全体の小型化が可能となる。なお、集光性レンズ11は少なくとも1枚のレンズを用いて構成されている。
【0028】
また、反射部15の反射面15aが第1レンズ群12の光軸O1よりも光の中心軸O3側に配置される場合、第1レンズ群12から射出された光の下側光線L3が反射部15あるいは絞り14に蹴られるおそれがあり、光利用効率が低下する。また、反射部15の反射面15aが第1レンズ群12の光軸O1よりも光の中心軸O3と離間する側に配置される場合、第1レンズ群12から射出された光の下側光線L3が反射部15に入射されなくなるおそれがあり、光利用効率が低下する。
そこで、本実施形態に係る投射装置1では、反射部15は、当該反射部15の反射面15a上に第1レンズ群12の光軸O1が位置するように配置されているため、光利用効率を向上させつつ、装置全体を薄型にすることが可能となる。
【0029】
さらに、絞り14を備えているため、第1レンズ群12から射出された光の光量を調節することが可能となる。また、絞り14の近傍に反射部15を配置することで、第1レンズ群12から射出された光を効率良く第2レンズ群13に反射させることが可能となる。
また、反射部15の反射面15aの形状が簡易な平面形状であるため、反射部15の作製が容易であるため、低コスト化を図ることが可能となる。
【0030】
なお、絞りは必ずしも備えていなくても良い。また、第1レンズ群12及び第2レンズ群13は、従来のレンズの半分が切り欠かれたものを用いたが、これに限らず、第1レンズ群12及び第2レンズ群13の光軸O1,O2よりも光が入射しない側の第1レンズ群12及び第2レンズ群13の一部が切り欠かれているものを用いることが可能である。
また、反射面15a上に第1レンズ群12の光軸O1が位置するように、反射部15を配置したがこれに限るものではなく、第1レンズ群12の光軸O1近傍に反射面15aが位置するように反射部15を配置しても良い。すなわち、第1レンズ群12及び第2レンズ群13の性能、入射する光のビーム径により、反射面15aが、第1レンズ群12の光軸O1より上方、あるいは、下方に位置するにように、反射部15を配置することが可能となる。但し、この場合も、上側光線L1及び下側光線L3が入射可能な範囲で反射部15を配置すれば良い。すなわち、上側光線L1及び下側光線L3の一部が反射部15に入射されないと、投射装置1を画像表示装置に用いた場合、光利用効率が低下するとともに輝度ムラが発生してしまう。なお、反射部15を下方に配置する場合、反射部15の大きさを大きくすれば、上側光線L1及び下側光線L3をすべて反射部15に入射させることはできるが、反射部15が大型になり、投射装置1の薄型化の効果を低減させてしまう。
【0031】
また、反射部15の反射面15aは平面形状のものを用いたが、これに限らず、凸面形状、あるいは、凹面形状のものを用いることも可能である。この構成では、反射部15が、レンズ機能を有するとともに入射した光を反射させることが可能となる。したがって、反射部15が第1レンズ群12及び第2レンズ群13を構成する複数のレンズ12a〜12f,13a〜13gの一部のレンズ機能を担うことができるため、第1レンズ群12及び第2レンズ群13を構成するレンズの枚数を減らすことが可能となる。これにより、装置全体の小型化を図ることが可能となる。さらに、反射部15が凸面形状、あるいは、凹面形状である場合、反射部15を収差補正に用いることができるため、投射装置1を例えば画像表示装置に用いた場合、鮮明な画像をスクリーン40に投射することが可能となる。
さらに、第1レンズ群12に入射したときの中心軸O3よりも上方のスクリーン40に向かって光を投射する構成について説明したが、中心軸O3よりも下方のスクリーン40に向かって投射する構成は、第1レンズ群12の光軸O1を対称軸に第1レンズ群12、第2レンズ群13、絞り14、反射部15を配置すればよい。また、中心軸O3よりも右方、左方のスクリーン40に向かって光を投射する構成の場合は、第1レンズ群12の光軸O1を中心に第1レンズ群12、第2レンズ群13、絞り14、反射部15を90°回転させた配置にすれば良い。
【0032】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る投射装置2の概略構成を示す。本実施形態に係る投射装置2は、透過型液晶パネル50の光射出側に凸面部501を有することを特徴とする。上記第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0033】
凸面部501は、透過型液晶パネル50のうち変調された光を射出する射出面に形成されている。凸面部501は、二次元方向について曲率をなす凸形状であって、光を集光させる集光作用をもつ。凸面部501は、集光手段として機能する。つまり、集光手段が、空間光変調素子の変調された光を射出する射出面を凸形状とすることにより形成されている。
【0034】
図4は、透過型液晶パネル50の断面構成を模式的に表したものである。透過型液晶パネル50は、透明部材からなる入射側基板50a及び射出側基板50hを有する。入射側基板50aは、透過型液晶パネル50のうち、変調させる光が入射する側に設けられている。射出側基板50hは、透過型液晶パネル50のうち、変調された光を射出する側に設けられている。液晶層50eは、入射側基板50a及び射出側基板50hにより封止されている。入射側基板50a及び液晶層50eの間には、透明電極50b及び配向膜50cが設けられている。射出側基板50h及び液晶層50eの間には、透明電極50g及び配向膜50fが設けられている。スペーサー50dは、入射側基板50a及び射出側基板50hの間に、液晶層50eを設けるための均一なスペースを確保する。
【0035】
凸面部501は、射出側基板50hのうち、液晶層50eで変調された光を射出する側の表面に形成されている。なお、凸面部501は、球面形状、非球面形状のいずれであっても良い。
【0036】
凸面部501は、例えば、板状部材の表面を研磨することにより形成される。透過型液晶パネル50は、予め凸面部501を形成した射出側基板50hを他の構成要素と組み合わせることにより形成される。投射装置2は、透過型液晶パネル50に形成された凸面部501を有する構成とすることで、集光レンズを不要にでき、小型かつ簡易な構成にできる。
【0037】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態に係る投射装置3の概略構成を示す。本実施形態に係る投射装置3は、クロスダイクロイックプリズム70の光入射面、光出射面の少なくとも1つの面に凸面部を有することを特徴とする。上記第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0038】
図6は、クロスダイクロイックプリズム70の斜視構成を示す。クロスダイクロイックプリズム70は、第1入射面703から入射したR光、第2入射面704から入射したG光、第3入射面705から入射したB光を合成して射出面706から射出させる。クロスダイクロイックプリズム70は、透明部材からなる4つのプリズムを貼り合わせて構成されている。
【0039】
第1ダイクロイック膜701及び第2ダイクロイック膜702は、プリズム同士の間に設けられている。第1ダイクロイック膜701及び第2ダイクロイック膜702は、互いに略直交するように配置されている。第1ダイクロイック膜701は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜702は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。第1ダイクロイック膜701及び第2ダイクロイック膜702は、例えば誘電体多層膜である。
【0040】
第1入射面703は、クロスダイクロイックプリズム70のうち、液晶ライトバルブ20から射出されたR光が入射する入射面である。第2入射面704は、クロスダイクロイックプリズム70のうち、液晶ライトバルブ20から射出されたG光が入射する入射面である。第3入射面705は、クロスダイクロイックプリズム70のうち、液晶ライトバルブ20から射出されたB光が入射する入射面である。射出面706は、合成された各色光を射出する。第1入射面703、第2入射面704、第3入射面705、射出面706は、いずれも、凸面部が形成されている。
【0041】
凸面部は、クロスダイクロイックプリズム70の各入射面703,704,705及び射出面706のいずれかの面に形成されている。凸面部は、二次元方向について曲率をなす凸形状であって、光を集光させる集光作用をもつ。凸面部は、集光手段として機能する。つまり、集光手段が、複数の空間光変調素子である液晶ライトバルブ20と色合成プリズムであるクロスダイクロイックプリズム70の光が入射する入射面703,704,705、または光を射出する射出面706のうち少なくとも1つの面を凸形状とすることにより形成されている。
【0042】
凸面部は、例えば、プリズムの表面を研磨することにより形成される。クロスダイクロイックプリズム70は、凸面部が形成された4つのプリズムを組み合わせることにより形成される。なお、凸面部は、球面形状、非球面形状のいずれであっても良い。
【0043】
図7は、クロスダイクロイックプリズム70の断面構成を示す。第1入射面703から入射したR光は、第1ダイクロイック膜701で反射することで光路が折り曲げられるとともに、第2ダイクロイック膜702を透過することにより、射出面706の方向へ進行する。第2入射面704から入射したG光は、第1ダイクロイック膜701及び第2ダイクロイック膜702を透過することにより、射出面706の方向へ進行する。第3入射面705から入射したB光は、第2ダイクロイック膜702で反射することにより光路が折り曲げられるとともに、第1ダイクロイック膜701を透過することにより、射出面706の方向へ進行する。第1ダイクロイック膜701及び第2ダイクロイック膜702を用いて合成された各色光は、射出面706から射出する。
【0044】
R光は、第1入射面703に形成された凸面部、及び射出面706に形成された凸面部の集光作用により集光され、第1レンズ群12へ入射する。G光は、第2入射面704に形成された凸面部、及び射出面706に形成された凸面部の集光作用により集光され、第1レンズ群12へ入射する。B光は、第3入射面705に形成された凸面部、及び射出面706に形成された凸面部の集光作用により集光され、第1レンズ群12へ入射する。
【0045】
入射面703,704,705および射出面706に設けられた凸面部を用いて集光させた各色光を第1レンズ群12へ入射させることできる。これにより集光レンズを不要にでき、小型かつ簡易な構成にできる。
【0046】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について図8を参照して説明する。
本実施形態では、上記第1実施形態の投射装置1を備える画像表示装置としてのプロジェクターについて説明する。図8は本実施形態のプロジェクター(画像表示装置)100の概略構成図である。
【0047】
本実施形態のプロジェクター(画像表示装置)100は、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ射出する赤色レーザー光源装置101R、緑色レーザー光源装置101G、青色レーザー光源装置101Bを備えている。
プロジェクター100は、レーザー光源装置101R,101G,101Bから射出された各色光をそれぞれ変調する透過型液晶ライトバルブ(空間光変調素子)20R,20G,20Bと、透過型液晶ライトバルブ20R,20G,20Bから射出された光を合成して投射レンズ107に導くクロスダイクロイックプリズム(色合成手段)30と、透過型液晶ライトバルブ20R,20G,20Bによって形成された像を拡大してスクリーン40に投射する投射レンズ(投射手段)107と、を備えている。
【0048】
さらに、プロジェクター100は、レーザー光源装置101R,101G,101Bから射出されたレーザー光の照度分布を均一化させるための均一化光学系102R,102G,102Bを備えており、照度分布が均一化された光によって透過型液晶ライトバルブ20R,20G,20Bを照明している。本実施形態では、均一化光学系102R,102G、102Bは、例えばホログラム102aとフィールドレンズ102bによって構成されている。
【0049】
各透過型液晶ライトバルブ20R,20G,20Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム30に入射する。そして、合成された光は投射光学系である投射レンズ107によりスクリーン40上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0050】
本実施形態のプロジェクター100においては、上記第1実施形態の投射装置1が用いられているので、小型化を図りつつ斜め方向に画像を投射することが可能なプロジェクターを提供することができる。
【0051】
また、第1実施形態の投射装置1を用いたプロジェクター100を例に挙げて説明したが、第2実施形態の投射装置2、第3実施形態の投射装置3を用いたプロジェクターであっても良い。
【0052】
プロジェクター100は、空間光変調素子として透過型液晶パネルを用いる場合に限られない。空間光変調素子としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いても良い。プロジェクター100は、色光ごとに空間光変調素子を備える構成に限られない。プロジェクター100は、一つの空間光変調素子により二つ又は三つ以上の色光を変調する構成としても良い。プロジェクター100は、光源部101としてレーザー光源装置を用いる場合に限られず、レーザー光源装置以外の発光ダイオード(LED)、スーパールミネッセンスダイオード(SLD)等の固体光源、超高圧水銀ランプ等のランプを用いる構成としても良い。プロジェクター100は、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出する光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクターであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明に係る投射装置は、プロジェクターに用いる場合に適している。
【符号の説明】
【0054】
O1…第1光学系の光軸、O2…第2光学系の光軸、O3…光の中心軸、1,2,3…投射装置、11…集光性レンズ、12…第1レンズ群(第1光学系)、13…第2レンズ群(第2光学系)、14…絞り、15…反射部、15a…反射面、20…空間光変調素子としての液晶ライトバルブ、20R…赤光用透過型液晶パネル、20G…緑光用透過型液晶パネル、20B…青光用透過型液晶パネル、50…透過型液晶パネル、50a…入射側基板、50b,50g…透明電極、50c,50f…配向膜、50d…スペーサー、50e…液晶層、50h…射出側基板、30,70…色合成プリズム、701…第1ダイクロイック膜、702…第2ダイクロイック膜、703…第1入射面、704…第2入射面、705…第3入射面、706…射出面、40…スクリーン、100…プロジェクター(画像表示装置)L1…上側光線、L2…中心光線、L3…下側光線、101R…赤色レーザー光源装置、101G…緑色レーザー光源装置、101B…青色レーザー光源装置、102R…赤光用均一化光学系,102G…緑光用均一化光学系,102B…青光用均一化光学系,107…投射レンズ、201…前段レンズ群、202…後段レンズ群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を画像信号に応じて変調する空間光変調素子と、投射レンズとを備えた投射装置において、
前記投射レンズは、入射した光により中間像を形成する第1光学系と、前記中間像を被投射面に投射する第2光学系と、前記第1光学系と前記第2光学系との間の光路上に配置され、前記第1光学系により射出された光を前記第2光学系に反射させる反射面を前記第1光学系の光軸近傍に有する反射部とを備え、
前記第1光学系及び前記第2光学系の一部は切り欠かれているとともに、前記空間光変調素子の中心軸と前記第1光学系の光軸とは異なるように配置され、
前記空間光変調素子と前記第1光学系の間の光路に集光手段を備えたことを特徴とする投射装置。
【請求項2】
前記集光手段は前記空間光変調素子の中心軸上に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の投射装置。
【請求項3】
前記集光手段は、少なくとも1枚のレンズを用いて構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の投射装置。
【請求項4】
前記集光手段が、前記空間光変調素子の変調された光を射出する射出面を凸形状とすることにより形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の投射装置。
【請求項5】
前記集光手段が、複数の前記空間光変調素子と色合成プリズムの光が入射する入射面、または光を射出する射出面のうち少なくとも1つの面を凸形状とすることにより形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の投射装置。
【請求項6】
光を射出する光源と、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の投射装置を備えたことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−191133(P2010−191133A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34896(P2009−34896)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】