説明

投影型静電容量式タッチパネルセンサー及びその製造方法、投影型静電容量式タッチパネルセンサーを備えた表示装置

【課題】前面板上に電極及び配線等を一体的に積層した構造の投影型静電容量式タッチパネルセンサーを、工程の増加及びこれに伴う製造コストの増加を招くことなく実現する。
【解決手段】カバーガラス2の一方面上に、矩形状の表示領域を区画する矩形環状の額縁部3と、X方向に整列する第1の透明電極(図示せず)を接続するジャンパ配線4とが形成されている。額縁部の全体を覆う環状の第1の絶縁膜5と、ジャンパ配線の各々と交差してY方向に延び、ジャンパ配線と部分的に重なる複数の第2の絶縁膜6は、同一材料を用いて同一工程で同時に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの位置入力装置に関し、より特定的には、表示画面に重ねて用いられる部投影型静電容量式タッチパネルセンサー及びその製造方法、投影型静電容量式タッチパネルセンサーを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機や、携帯情報端末、カーナビゲーションシステムを始め、様々な電子機器の操作部にタッチパネルが採用されている。タッチパネルは、液晶パネル等の表示画面上に、指等の接触位置を検出可能な位置入力装置を貼り合わせて構成される。タッチパネルの方式としては、抵抗膜式、静電容量式、光学式、超音波式に大別されるが、それぞれメリット/デメリットがあるため用途に応じて使い分けられている。静電容量式には、更に、表面型と投影型とがある。投影型静電容量式タッチパネルは、X方向及びY方向にグリッド上に配列された複数の電極を備え、マルチタッチが可能であり、現在急速に普及しつつある。
【0003】
投影型のタッチパネルセンサー基板には、フィルムタイプとガラスタイプがある。フィルムタイプには、軽量・割れにくい、というメリットがあるものの、高精細の配線パターンの形成が困難で、配線を覆う額縁部が大きくなり、表示エリアが狭くなるという問題や、表面の平滑性の差により、ガラスタイプより見栄えが悪いという問題がある。スマートフォンやタブレットコンピュータでは、ガラスタイプが採用されることが多く、今後は、ガラスタイプの普及が見込まれる。
【0004】
投影型タッチパネルセンサー基板は、一般的に5層構造、すなわち、金属配線、X方向用及びY方向用の2層の透明電極(ITO)、2層の透明電極間の層間絶縁層、表面の保護層からなる。また、層間絶縁層を有機膜で形成することによってガラス基板の片面に2層の透明電極層を形成した片面構造と、ガラス基板を層間絶縁層としても使用し、2層の透明電極層をガラスの両面に分けて形成した両面構造の2つに大別される。
【0005】
ここで、携帯電話機等のディスプレイには、最表面には前面板(カバーガラス)を設けた構造を採用することが一般的である。このカバーガラスには周辺部の配線等を隠すための額縁部が形成される。この額縁部には、機器のデザインに応じて様々な色や模様を施すことができる。額縁部に色や模様を施す場合、スクリーン印刷で額縁部を形成することが一般的である。ただし、額縁部に色々な色や模様を施すとコストアップに繋がるため、額縁部は黒とするのが主流である。
【0006】
図10は、従来のタッチパネルセンサーの一例を示す断面図である。
【0007】
タッチパネルセンサー71は、基板74と、ジャンパ配線75と、絶縁膜76と、透明電極77と、金属配線78と、保護膜79と、額縁部73を有するカバーガラス72とから構成されている。ジャンパ配線75は、紙面と直交する方向に並べて形成される島状の透明電極(図示せず)を接続するためのものである。図10の左右方向に延びる透明電極77は、ジャンパ配線75と立体交差しており、ジャンパ配線75と透明電極77との層間は、絶縁膜76によって絶縁されている。
【0008】
図10に示したタイプのタッチパネルセンサー71は、別々に形成したセンサー基板及びカバーガラス72を、接着剤80を介して貼り合わせることによって製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−178758号公報
【特許文献2】特開2009−69321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図10に示したタッチパネルセンサー71の構造を採用する場合、カバーガラス72とセンサー基板との貼り合わせの際に両者の間に気泡が混入することがあり、これが歩留まりを低下させる要因となっている。また、現在は図10のようにカバーガラス72とセンサー基板とを別に形成する構成が主流ではあるが、両者を一体化することで、カバーガラスまたはフィルムを一層省略し、コストダウンや表示装置を薄型化を実現したいという要望がある。そこで、カバーガラスとセンサー基板との貼り合わせが不要となるようなタッチパネルセンサーの構造及び製造技術が求められている。
【0011】
図11は、従来のタッチパネルセンサーの他の一例を示す断面図である。
【0012】
図11のタッチパネルセンサー81は、カバーガラス72上に直接タッチパネルセンサーの各構成要素を一体的に形成したものである。具体的には、タッチパネルセンサー81は、カバーガラス72と、カバーガラス上に形成された額縁部83と、カバーガラス72のほぼ全面に形成された絶縁膜84と、ジャンパ配線85と、絶縁膜86と、透明電極87と、金属配線88と、保護膜89とから構成されている。ジャンパ配線85は、紙面と直交する方向に並べて形成される島状の透明電極(図示せず)を接続するためのものである。図11の左右方向に延びる透明電極87は、ジャンパ配線85と立体交差しており、ジャンパ配線85と透明電極87との層間は、絶縁膜86によって絶縁されている。このタッチパネルセンサー81の構造は、上述した片面構造に該当する。
【0013】
額縁部83を黒色とする場合、ネガ型フォトレジストを用いてフォトリソグラフィによって額縁部83を形成する方法と、スクリーン印刷でインキを印刷することによって額縁部83を形成する方法とが考えられる。ネガ型フォトレジストで黒色の額縁部83を形成する場合、カーボンやチタン等顔料を分散させた樹脂が用いられる。この場合、比抵抗値が1×1011以下の低抵抗であること、また、誘電率が10以上と高いことから、センサー基板の形成工程の前に、額縁部83を絶縁性の膜で覆う必要がある。一方、スクリーン印刷によって額縁部83を形成する場合、額縁部83の表面の凹凸が粗いことから、額縁部83上に設けた金属配線88が断線してしまう場合がある。そこで、ネガ型フォトレジストで額縁部83を形成した場合と同様に、額縁部83を絶縁膜84で覆う必要がある。
【0014】
しかしながら、額縁部83を絶縁するための絶縁膜84を設けることによって、図11のタッチパネルセンサー81の層数は図10のタッチパネルセンサー70の層数から1層増加し、製造コストの増加に繋がる。
【0015】
それ故に、本発明は、前面板上に電極及び配線等を一体的に積層した構造の投影型静電容量式タッチパネルセンサーを、工程の増加及びこれに伴う製造コストの増加を招くことなく実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る投影型静電容量式タッチパネルセンサーは、透明な前面板と、前面板の一方面上に遮光性材料によって形成され、矩形状の表示領域を区画する矩形環状の額縁部と、前面板の一方面上の表示領域内に形成され、表示領域の一辺と平行な第1の方向及びこれと直交する第2の方向に行列状に配列される複数のジャンパ配線と、額縁部の全体を覆う環状の第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜と同一材料によって形成され、ジャンパ配線の各々と交差して第2の方向に延び、ジャンパ配線と部分的に重なる複数の第2の絶縁膜と、前面板の一方面上の表示領域内において、第1の方向および第2の方向に行列状に配列され、各々が第1の方向に隣接するジャンパ配線に接続される複数の第1の透明電極と、第1の透明電極の列間を第2の方向に延び、かつ、第2の絶縁膜上でジャンパ配線と交差するように、前面板の一方面上及び第2の絶縁膜上に形成される複数の第2の透明電極と、額縁部上方の第2の絶縁膜上に形成され、第1の透明電極および第2の透明電極に接続される複数の金属配線と、ジャンパ配線と、第1の透明電極と、第2の透明電極と、金属配線とを覆う第3の絶縁膜とを備える。
【0017】
本発明に係る投影型静電容量式タッチパネルセンサーの製造方法は、透明な前面板の一方面上に、遮光性材料を用いて、矩形状の表示領域を区画する矩形環状の額縁部を形成する工程と、前面板の一方面上の表示領域内に、表示領域の一辺と平行な第1の方向及びこれと直交する第2の方向に行列状に配列される複数のジャンパ配線を形成する工程と、額縁部の全体を覆う環状の第1の絶縁膜と、ジャンパ配線の各々と交差して第2の方向に延び、ジャンパ配線と部分的に重なる複数の第2の絶縁膜とを、同一材料を用いて同時に形成する工程と、前面板の一方面上の表示領域内に、第1の方向および第2の方向に行列状に配列され、各々が第1の方向に隣接するジャンパ配線に接続される複数の第1の透明電極を形成する工程と、第1の透明電極の列間を第2の方向に延び、かつ、第2の絶縁膜上でジャンパ配線と交差するように、前面板の一方面上及び第2の絶縁膜上に複数の第2の透明電極を形成する工程と、額縁部上方の第2の絶縁膜上に、第1の透明電極および第2の透明電極に接続される複数の金属配線を形成する工程と、ジャンパ配線と、第1の透明電極と、第2の透明電極と、金属配線とを覆う第3の絶縁膜を形成する工程とを備える。
【発明の効果】
【0018】
工程の増加及びこれに伴う製造コストの増加を招くことなく、前面板上に電極及び配線等を一体的に積層した構造の投影型静電容量式タッチパネルセンサーを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係るタッチパネルセンサーの平面図
【図2】図1に示したII−IIラインに沿う断面図
【図3】図1に示したIII−IIIラインに沿う断面図
【図4】実施形態に係るタッチパネルセンサーの製造工程を示す図
【図5】図4に続く製造工程を示す図
【図6】図5に続く製造工程を示す図
【図7】図6に続く製造工程を示す図
【図8】図7に続く製造工程を示す図
【図9】図8に続く製造工程を示す図
【図10】従来のタッチパネルセンサーの一例を示す断面図
【図11】従来のタッチパネルセンサーの他の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜9を参照しながら実施形態に係る投影型静電容量式タッチパネルセンサー(以下、単に「タッチパネルセンサー」という)の構造及び製造方法を説明する。尚、図1〜9では、図示を簡略化するために、X方向及びY方向のそれぞれに2ラインの透明電極パターンのみが模式的に示されている。実際には、X方向及びY方向に多数の電極ラインが設けられる。
【0021】
図1は、実施形態に係るタッチパネルセンサーの平面図であり、図2は、図1に示したII−IIラインに沿う断面図であり、図3は、図1に示したIII−IIIラインに沿う断面図である。
【0022】
タッチパネルセンサー1は、液晶パネルや有機ELパネル等の表示パネルと組み合わせて用いられる位置入力装置である。タッチパネルセンサー1は、X方向に延びる電極パターン及びY方向に延びる電極パターンを有し、指が接触または近接した電極の静電容量変化を検出することによって、指の座標を特定する。
【0023】
具体的には、タッチパネルセンサー1は、カバーガラス2と、額縁部3と、複数のジャンパ配線4と、第1の絶縁膜5と、複数の第2の絶縁膜6と、複数の第1の透明電極8と、複数の第2の透明電極9と、金属配線11と、第3の絶縁膜7とを備える。
【0024】
カバーガラス72は、タッチパネルセンサーの最表面となる透明な前面板であり、使用者によってタッチされる部材である。本実施形態では、前面板としてカバーガラス2を使用した例を説明するが、ガラスに代えて、透明フィルムを前面板として使用しても良い。
【0025】
額縁部3は、遮光性材料を用いてカバーガラス2の一方面に形成される遮光層であり、中央の窓部分に矩形状の表示領域10を区画し、タッチパネルセンサー1の周縁部に設けられる配線を隠す役割を果たす。額縁部3は、カバーガラス2の周縁部に形成された矩形環状である。額縁部3は、ネガ型フォトレジストまたはインキを用いて形成される。額縁部3は、黒色であることが一般的である。
【0026】
ジャンパ配線4は、電気伝導性と透明性とを有する材料を用いて、表示領域10内のカバーガラス2上に形成されている。ジャンパ配線4は、表示領域10の一辺と平行なX方向及びこれと直交するY方向に間欠的かつ行列状に配列されている。ジャンパ配線4は、X方向の電極パターンを構成する透明電極8を接続するためのものである。ジャンパ配線4は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)によって形成される。
【0027】
第1の絶縁膜5は、額縁部3の全体を覆うように環状に形成されている。額縁部3がネガ型フォトレジストのような比較的抵抗の低い材料で形成される場合、第1の絶縁膜5は、額縁部3を絶縁するために設けられる。また、額縁部3がインキによって印刷される場合、額縁部3表面の凹凸によって金属配線11の損傷を防止するために設けられる。
【0028】
複数の第2の絶縁膜6は、ジャンパ配線4の各々に対応して設けられる。第2の絶縁膜6の各々は、対応するジャンパ配線4と交差してY方向に延びるように形成され、X方向におけるジャンパ配線4の中央部と部分的に重なっている。第2の絶縁膜6は、ジャンパ配線4と透明電極6との間の層間絶縁膜として機能する。ジャンパ配線4と第1の透明電極8とのX方向の接続を可能とするため、第2の絶縁膜6はジャンパ配線4の両端部とは重なっていない。第2の絶縁膜6は、第1の絶縁膜5と同一材料及び同一工程で形成されるが、この点は更に後述する。
【0029】
第1の透明電極8は、Y座標を検出するためのものである。第1の透明電極8は、電気伝導性と透明性とを有する材料を用いて、表示領域10内のカバーガラス2上に形成されている。第1の透明電極8は、X方向及びY方向に間欠的かつ行列状に配列され、X方向に隣接するジャンパ配線4に電気的に接続されている。第1の透明電極8は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)によって形成される。
【0030】
第2の透明電極9は、X座標を検出するためのものである。本実施形態では、第2の透明電極9は、第1の透明電極8と同一材料を用いて、第1の透明電極8と同時に形成される。第2の透明電極9は、Y方向に整列する第1の透明電極8の列間をY方向に延び、図2に示すように、第2の絶縁膜6上でジャンパ配線4と立体交差している。
【0031】
金属配線11は、額縁部3を覆う第1の絶縁膜5上に形成され、カバーガラス2の周縁部に位置する第1の透明電極8及び第2の透明電極9に電気的に接続されている。
【0032】
第3の絶縁膜7は、ジャンパ配線4と、第1の透明電極8と、第2の透明電極9と、金属配線11とを覆うように、カバーガラス2のほぼ全面に形成されている。第3の絶縁膜7は、カバーガラス2上に形成された各構成要素を保護する保護膜として機能する。
【0033】
ここで、本実施形態に係るタッチパネルセンサー1の製造方法を説明する。
【0034】
図4〜9は、実施形態に係るタッチパネルセンサーの製造工程を示す図である。図4〜9において、(a)は断面図であり、(b)は平面図である。また、図4〜9の(b)に示す二点鎖線は、(a)の断面図の切断位置を表す。
【0035】
まず、図4に示すように、遮光性材料を用いて、カバーガラス2の一方面上に矩形環状の額縁部3を形成する。遮光性材料としてネガ型フォトレジストを用いる場合、コーターを用いてカバーガラス2上にフォトレジストを塗布し、プリベークを行う。プリベークによってフォトレジスト中の溶剤を除去した後、額縁部3に対応するマスクパターンが形成されたフォトマスクを用いてプロキシミティー露光を行い、フォトレジストにマスクパターンを転写する。その後、現像処理を行うことによって、額縁部3が形成される。あるいは、遮光性材料としてインキを用いて、スクリーン印刷によってカバーガラス2に額縁部3を積層しても良い。
【0036】
次に、図5に示すように、額縁部3によって区画された表示領域10に、X方向及びY方向に配列される複数のジャンパ配線4を形成する。具体的には、カバーガラス2の全面にスパッタリングによってITO膜を形成した後、形成したITO膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、プリベークを行う。ジャンパ配線4に対応するマスクパターンが形成されたフォトマスクを用いてプロキシミティー露光を行い、フォトレジストにマスクパターンを転写する。現像後、ジャンパ配線となる部分(フォトレジストが残存している部分)以外のITO膜をエッチング除去する。その後、残存したポジレジストを剥離することによって、カバーガラス2上にジャンパ配線4が形成される。
【0037】
次に、図6に示すように、額縁部3の全体を覆う矩形環状の第1の絶縁膜5と、ジャンパ配線4の一部と交差する第2の絶縁膜6とを同時に形成する。具体的には、カバーガラス2の全面に絶縁性樹脂よりなるフォトレジストを塗布し、プリベークを行う。第1の絶縁膜5及び第2の絶縁膜6に対応するマスクパターンが形成されたフォトマスクを用いてプロキシミティー露光を行い、フォトレジストにマスクパターンを転写する。その後、現像処理を行うことによって、第1の絶縁膜5及び第2の絶縁膜6が形成される。
【0038】
次に、図7に示すように、額縁部3の上面を覆う第2の絶縁膜6上に金属配線11を形成する。具体的には、カバーガラス2の全面にスパッタリングによって金属薄膜を形成した後、形成した金属薄膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、プリベークを行う。金属配線11に対応するマスクパターンが形成されたフォトマスクを用いてプロキシミティー露光を行い、フォトレジストにマスクパターンを転写する。現像後、金属配線となる部分(フォトレジストが残存している部分)以外の金属薄膜をエッチング除去する。その後、残存したポジレジストを剥離することによって、第2の絶縁膜6上に金属配線11が形成される。尚、金属配線11は、Mo/Al/Moの積層体、Ag、Ag合金等によって形成できる。
【0039】
次に、図8に示すように、第1の透明電極8及び第2の透明電極9を同時に形成する。具体的には、カバーガラス2の全面にスパッタリングによってITO膜を形成した後、形成したITO膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、プリベークを行う。第1の透明電極8及び第2の透明電極9に対応するマスクパターンが形成されたフォトマスクを用いてプロキシミティー露光を行い、フォトレジストにマスクパターンを転写する。現像後、第1の透明電極8及び第2の透明電極9となる部分(フォトレジストが残存している部分)以外のITO膜をエッチング除去する。その後、残存したポジレジストを剥離することによって、第1の透明電極8及び第2の透明電極9が形成される。
【0040】
そして、図9に示すように、ジャンパ配線4と、第1の透明電極8と、第2の透明電極9と、金属配線11とを覆う第3の絶縁膜7を形成する。具体的には、カバーガラス2の全面に絶縁性樹脂よりなるフォトレジストを塗布し、プリベークを行う。第3の絶縁膜7に対応するマスクパターンが形成されたフォトマスクを用いてプロキシミティー露光を行い、フォトレジストにマスクパターンを転写する。その後、現像処理を行うことによって、第3の絶縁膜7が形成される。
【0041】
このような工程を経ることによって、本実施形態に係るタッチパネルセンサー1が完成する。本実施形態では、図6に示した工程において、額縁部3を覆う第1の絶縁膜5を、ジャンパ配線4と第2の絶縁膜6との層間絶縁膜となる第2の絶縁膜6と同一材料を用いて同時に形成するため、第1の絶縁膜5を形成するための別途の工程を必要としない。したがって、カバーガラス2上に透明電極等を一体的に積層した構造を採用しつつ、製造工程及び製造コストの増加を招くことなく、タッチパネルセンサー1を実現することができる。
【0042】
尚、本実施形態に係るタッチパネルセンサー1は、液晶パネルや有機ELパネル等の表示パネルと組み合わされ、位置入力装置を備えた表示装置として使用される。表示パネルは、複数の画素が行列状に配列された画素領域を有し、入力信号に基づいて、画素領域に画像を構成する。タッチパネルセンサー1は、表示領域10が表示パネルの画素領域に重なるように、表示パネルの前面に配置される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、スマートフォンやタブレットコンピュータ、カーナビゲーションシステム等の電子機器用の位置入力装置として利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 タッチパネルセンサー
2 カバーガラス
3 額縁部
4 ジャンパ配線
5 第1の絶縁膜
6 第2の絶縁膜
7 第3の絶縁膜
8 第1の透明電極
9 第2の透明電極
10 表示領域
11 金属配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影型静電容量式タッチパネルセンサーであって、
透明な前面板と、
前記前面板の一方面上に遮光性材料によって形成され、矩形状の表示領域を区画する矩形環状の額縁部と、
前記前面板の一方面上の前記表示領域内に形成され、前記表示領域の一辺と平行な第1の方向及びこれと直交する第2の方向に行列状に配列される複数のジャンパ配線と、
前記額縁部の全体を覆う環状の第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜と同一材料によって形成され、前記ジャンパ配線の各々と交差して前記第2の方向に延び、前記ジャンパ配線と部分的に重なる複数の第2の絶縁膜と、
前記前面板の一方面上の前記表示領域内において、前記第1の方向および前記第2の方向に行列状に配列され、各々が前記第1の方向に隣接するジャンパ配線に接続される複数の第1の透明電極と、
前記第1の透明電極の列間を前記第2の方向に延び、かつ、前記第2の絶縁膜上で前記ジャンパ配線と交差するように、前記前面板の前記一方面上及び前記第2の絶縁膜上に形成される複数の第2の透明電極と、
前記額縁部上方の前記第2の絶縁膜上に形成され、前記第1の透明電極および前記第2の透明電極に接続される複数の金属配線と、
前記ジャンパ配線と、前記第1の透明電極と、前記第2の透明電極と、前記金属配線とを覆う第3の絶縁膜とを備える、投影型静電容量式タッチパネルセンサー。
【請求項2】
前記額縁部は、ネガ型のフォトレジストによって形成される、請求項1に記載の投影型静電容量式タッチパネルセンサー。
【請求項3】
前記額縁部は、スクリーン印刷用のインキによって形成される、請求項1に記載の投影型静電容量式タッチパネルセンサー。
【請求項4】
表示装置であって、
複数の画素が行列状に配列された画素領域を有し、入力信号に基づいて、前記画素領域に画像を構成する表示パネルと、
前記画素領域を覆うように取り付けられる、請求項1〜3のいずれかに記載の投影型静電容量式タッチパネルセンサーとを備える、表示装置。
【請求項5】
投影型静電容量式タッチパネルセンサーの製造方法であって、
透明な前面板の一方面上に、遮光性材料を用いて、矩形状の表示領域を区画する矩形環状の額縁部を形成する工程と、
前記前面板の一方面上の前記表示領域内に、前記表示領域の一辺と平行な第1の方向及びこれと直交する第2の方向に行列状に配列される複数のジャンパ配線を形成する工程と、
前記額縁部の全体を覆う環状の第1の絶縁膜と、前記ジャンパ配線の各々と交差して前記第2の方向に延び、前記ジャンパ配線と部分的に重なる複数の第2の絶縁膜とを、同一材料を用いて同時に形成する工程と、
前記前面板の一方面上の前記表示領域内に、前記第1の方向および前記第2の方向に行列状に配列され、各々が前記第1の方向に隣接するジャンパ配線に接続される複数の第1の透明電極を形成する工程と、
前記第1の透明電極の列間を前記第2の方向に延び、かつ、前記第2の絶縁膜上で前記ジャンパ配線と交差するように、前記前面板の前記一方面上及び前記第2の絶縁膜上に複数の第2の透明電極を形成する工程と、
前記額縁部上方の前記第2の絶縁膜上に、前記第1の透明電極および前記第2の透明電極に接続される複数の金属配線を形成する工程と、
前記ジャンパ配線と、前記第1の透明電極と、前記第2の透明電極と、前記金属配線とを覆う第3の絶縁膜を形成する工程とを備える、投影型静電容量式タッチパネルセンサーの製造方法。
【請求項6】
前記額縁部を形成する工程において、前記額縁部は、ネガ型のフォトレジストをパターニングすることによって形成される、請求項5に記載の投影型静電容量式タッチパネルセンサーの製造方法。
【請求項7】
前記額縁部を形成する工程において、前記額縁部は、インキをスクリーン印刷することによって形成される、請求項5に記載の投影型静電容量式タッチパネルセンサーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−3915(P2013−3915A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135553(P2011−135553)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】