説明

抗インテグリン免疫コンジュゲート、方法および使用

【化1】


本発明は細胞毒性化合物を有する抗インテグリン特異性抗体のコンジュゲート、その合成、選択、および細胞増殖、細胞移動または炎症により媒介される癌治療またはその他の疾患への使用のためのかかるコンジュゲートの使用に関し、そしてその病状には脈管新生または新組織の新脈管新生が含まれる。さらに本発明は、治療が、化学療法、外科または放射線治療を含みそれらに限定はされない1種もしくはそれ以上の他の治療モダリティーと組合せたコンジュゲートの使用を含んでなる、かかる疾患の組合せ治療に関する。好ましいコンジュゲートは、ジスルフィド結合により抗体に連結されたメイタンシノイド化合物を含み、そして好ましくは化学療法剤は、デオキソルビシン、タキサン、カンプトテシン、ポドフィロトキシン、ヌクレオシド類似体またはピリミジン類似体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍特異性抗体と細胞毒性化合物とのコンジュゲートに関する。好ましいコンジュゲートは、ジスルフィド結合により抗インテグリン抗体に連結されたメイタンシノイド化合物を含む。
【背景技術】
【0002】
腫瘍への標的送達により薬剤の局所濃度を上昇させるために、腫瘍随伴抗原に対するモノクローナル抗体(Mab)に薬剤をコンジュゲーションさせることによるかかる抗新生物薬剤の効力を改善する多数の試みがある。反対に、腫瘍細胞を実際に破壊する抗体の能力は、受容体に結合するリガンドを遮断、または受容体(ErbB1およびErbB2)への信号伝達を遮断することにより増殖刺激、例えば増殖因子EGFおよびHer−2を遮断するように指向される抗体、またはエフェクター機能を誘発するもの(ADCCまたはCDC)に限定される。従って、Mabの特異性を代謝毒の殺傷能力と組み合わせる製品が探索されている。前者の例は、ドキソルビシン(doxorubicin)コンジュゲーションMab BR96(非特許文献1)および抗増殖因子抗体またはフラグメントに融合されたプソイドモナス外毒素(非特許文献2)である。
【0003】
それらの試みは、予知されなかった限界、例えば細胞あたりの外部結合部位の数と比較して相対的に高いトキシンの細胞内濃度への要求に遭遇した。癌細胞表面上の腫瘍随伴抗原の数が10分子/細胞であると推定されるとすると、それらのコンジュゲーション物内に効果的に使用できる細胞毒性剤は、標的癌細胞に対して10−10〜10−11MのIC50値を有しなければならない(非特許文献3)。第二に、該剤は、標的に結合すると開放されて細胞を浸透しなければならないか、または全構築物が細胞内に輸送されてトキシンを切断するかもしくはそこで活性化されなければならないのいずれかである。
【0004】
それらの欠点の幾つかは、取り込まれる抗体にコンジュゲーションされる高い効力の薬剤を用いることおよび細胞内条件下で高い不安定性を有する化学結合を用いて大なり小なり解決できる。チャリら(非特許文献4、非特許文献5、特許文献1)は、抗体がジスルフィド連結を介してメイタンシノイド(maytansinoid)に連結される抗体コンジュゲートを開発した。
【0005】
メイタンシノイドは、植物由来の抗真菌および抗腫瘍薬剤である。メイテヌス・オヴァツス(Maytenus ovatus)およびメイテヌス・ブカナニ(Maytenus buchananii)のエタノール抽出物から3種のアンサ・マクロライド(ansa macrolide)の単離は、最初S.M.Kupchanらにより報告されそしてμg/kg程度の投与量範囲でネズミモデル内でそれらの抗白血病効果の実証を伴った特許文献2の主題となった。しかし、メイタンシノイドは、中枢および末梢神経障害、および副作用:特に悪心、嘔吐、下痢、肝臓検査値の上昇およびまれではあるが衰弱および無気力の双方を起こす、容認できない毒性を有する。従って、受容できる分解半減期を有するメイタンシン(maytansine)−抗体コンジュゲートを形成する適合する化学プロセスと同時に正しい標的部分を見いだすことが、ある時期では研究の目標であった。
【0006】
遊離メイタンシノイドの高い細胞毒性とは対照的に、抗体コンジュゲートは、抗原陽性細胞と比較して抗原陰性細胞に対して数桁低い毒性を有する。ジスルフィド結合による連結は、それらの結合が細胞内グルタチオンにより標的細胞内部で容易に切断されて高度に毒性の遊離薬剤を放出するという利点を有する。この方法は、腫瘍随伴抗原に対する抗体
に適用され、例えばC242−DM1コンジュゲート(非特許文献5)およびHuN901−DM1(非特許文献6)である。しかし、それらのコンジュゲートの適用はそれぞれの標的抗原の限定された発現のために制約される。
【0007】
従って、さらに高度に発現される腫瘍随伴抗原を標的とする抗原、そして場合により、悪性の増殖および転移段階の間に高度に発現される抗原を使用することにより、最も毒性が高い細胞に対してトキシンの天然濃度をもたらしてこの方法を改善する必要がある。
【0008】
抗インテグリンモノクローナル抗体
かなりの証拠が、進行性の腫瘍増殖が、脈管新生、すなわち新しい血管の形成に依存し、それが腫瘍に養分と酸素を供給し、老廃物を取去り、そして離れた部位への腫瘍細胞の転移のための導管として作用することを示している(非特許文献7)。最近の研究は、脈管新生プロセスにおけるインテグリンの役割をさらに決定した。脈管新生の間に、活性化された内皮細胞の表面上に発現された多数のインテグリンが、種々のECMタンパク質との重要な接着性相互作用を調節して、明確な生物学的イベント、例えば細胞移動、増殖および分化を調節する。特定すると、緊密に関連するがしかし異なるインテグリンであるαVβ3およびαVβ5が、脈管新生プロセス内で独立した経路を媒介することが示された。αVβ3に対して生成した抗体は、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)誘導脈管新生を遮断し、一方αVβ5に特異性の抗体は血管内皮増殖因子(VEGF)誘導脈管新生を阻害する(非特許文献8、非特許文献9)。従って、インテグリンそして特にはインテグリンを含むアルファVサブユニットは、脈管新生を含む疾患、例えば眼の疾患および新生物性疾患、組織リモデリング、例えば再狭窄、およびある種の細胞タイプ、特には上皮および偏平上皮細胞癌腫を含む疾患に対する合理的な治療標的である。
【0009】
抗体薬剤コンジュゲート
高度な細胞毒性を有するメイタンシンとの細胞結合剤のコンジュゲートは、記載されている(特許文献1、特許文献3、非特許文献4)。タンパク質アミン基との反応のためのある種の試薬または反応物、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)が、薬剤−タンパク質コンジュゲートの形成に使用するために開発された。このタイプの試薬は、一般にカールソンら(非特許文献10、および特許文献4)に記載されている。Mabおよびその他のタンパク質へのメイタンシンコンジュゲーションのためのニトロ−ピリジルリンカー試薬は、特許文献5に記載されている。
【0010】
上記に引用したプロセス中で、細胞結合剤は、二官能薬剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDS)を用いて修飾されて活性ジスルフィド部分を導入する。チオール含有細胞毒性薬剤との反応は、その中で細胞結合剤、例えばモノクローナル抗体と薬剤がジスルフィド結合を介して連結されるコンジュゲートをもたらす。C−3ヒドロキシル位置は、活性の損失なく修飾できることが見いだされ、実際に一部のエステルは増強された細胞死滅活性を増強したことが見いだされた(非特許文献11、総説)。特許文献1および特許文献3は、N−メチル−N−(3−メチルジチオプロパノイル)−L−アラニンの活性化メイタンソル(maytansol)エステルの使用を特定して教示している。この反応由来でジスルフィド結合の誘導切断の際に遊離されるメイタンソイド部分は、DM1〔N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキシプロピル)−メイタンシン、CAS登録番号139504−50−0〕と名付けられた。従って、DM1のメチルジチオール化形を用いて調製されるすべてのコンジュゲートは、コンジュゲートの薬剤側のジスルフィド結合に隣接する非置換メチレン炭素を保持する(図1)。
【0011】
ジスルフィド連結の生体内安定性を上昇するために、立体障害ジスルフィド結合をもたらすことが重要であり、それは以前に記載されている(非特許文献12)。この目的は、
ジスルフィド結合に隣接する炭素原子上に1個もしくは2個のメチル置換を有する架橋剤を使用するか、またはスルフヒドリルもしくはジスルフィド置換に隣接するアルファ−炭素原子上に少なくとも1個の置換基を有する活性化薬剤を用いて達成できる。
【特許文献1】米国特許第5,208,020号
【特許文献2】米国特許第3,896,111号
【特許文献3】米国特許第5,416,064号
【特許文献4】米国特許第4,149,003号
【特許文献5】国際特許出願公開(WO)第2004/016801号
【非特許文献1】Braslawsky,et al.Cancer Immunol Immunother 33:367−374,1991
【非特許文献2】Kreitment,et al.Internat.J.Immunopharm.14(3):465−72(1992)
【非特許文献3】Chari,R.V.J.Adv.Drug.DeliveryRev.1998,31,89−104
【非特許文献4】Chari,et al.Cancer Res.52:127−131,1992
【非特許文献5】Liu、et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618−8623,1996
【非特許文献6】Chari et al.,2000
【非特許文献7】Gastl et al.,Oncol.54:177−184
【非特許文献8】Eliceiri,et al.,J.Clin.Invest.103:1227−1230(1999)
【非特許文献9】Friedlander et al.,Science 270:1500−1502(1995)
【非特許文献10】Carlson et al.,Biochem.J.173:723(1978)
【非特許文献11】Cassady,et al.,Chem.Pharm.Bull 52(1):1−26,2004
【非特許文献12】Thorpe et al.Cancer Research 47:5924−31,1987
【発明の開示】
【0012】
標的送達の問題は現在明確に認識されているが、抗体特異性および親和性、コンジュゲーション化学、およびトキシンの適切な組合せを発見することは予見できない。抗体がメイタンシノイドの細胞死滅性投与量を送達するために十分な数で細胞表面抗原に向けられ、そしてそのコンジュゲートが、対象者に投与された場合に治療的に有効な放出速度をもたらすような適切な化学的および生物学的安定性を有する、新規の抗体メイタンシンコンジュゲートを提供することが本発明の目的である。
【0013】
発明の要旨
抗体がメイタンシノイドの細胞毒性投与量を送達するために十分な数で細胞表面抗原に向けられそして抗体が標的抗原を結合した後に細胞により取り込まれることが知られている、新規の抗体メイタンシンコンジュゲートを提供するのが本発明の目的である。特定の態様では、コンジュゲートは、対象者に投与される場合に、治療的に有効な放出速度をもたらすように隣接メチレン炭素の置換を介して操作されたジスルフィド結合を含んでなる。特定の態様では、本発明は、10−9Mまたはそれ以下のIC50を有する細胞毒性剤にコンジュゲーションしたヒトアルファVインテグリンサブユニットに結合する抗体を含んでなる抗体−薬剤コンジュゲートに関し、ここで抗体−薬剤コンジュゲートはアルファVインテグリンを発現する癌細胞系列に対して細胞毒性もしくは細胞分裂抑制効果を与える。この態様では、本発明の抗体は、ヘテロ二量体インテグリン受容体の少なくとも一種のアルファVサブユニット、例えばアルファVベータ1、アルファVベータ3、アルファVベータ5、アルファVベータ6、アルファVベータ8ヘテロ二量体インテグリンタンパク質またはそれらのフラグメントに特異性である。好ましいコンジュゲートは、抗体にジスルフィド連結により連結されたメイタンシノイド化合物を含みそして抗体がビトロネクチン(vitronectin)およびフィブローゲン(fibrogen)を結合できる。
【0014】
一つの局面では、本発明の抗体コンジュゲートは、式
〔C−L〕−A I
〔式中、AはヒトアルファVインテグリンサブユニット特異性抗体であって、ここで該抗体は該アルファVサブユニットを発現する細胞により取り込まれることができ;Cは、10−9Mまたはそれ未満のIC50を有する細胞毒性剤であり;そしてLは、抗体および細胞毒素を結合しそしてさらに細胞内環境の成分により切断可能な結合を含んでなる連結基であり;そしてmは抗体に連結された細胞毒分子の平均数を表しそして1〜10、特には3〜4の整数である〕により表される。細胞毒は、メイタンシノイド、カリケアミシン(calicheamicin)、エポチロン(epothilone)、ディスコデルモリド(discodermolide)、エロイトロビン(eleuthrobin)、ドラスタチン(dolastatin)、クリプトフィシン(cryptophycin)、カンプトテシン(camptothecin)、リゾキシン(rhizoxin)(CAS登録番号第90996546号)、またはタキサン(taxan)誘導体および10−9Mまたはそれ未満の癌細胞増殖に対する半極大阻害(IC50またはGI50)を示すその他の化合物からなる群から選択されてもよい。
【0015】
本発明の第一の目的のある局面において、抗アルファVインテグリン抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、ヘテロ二量体ヒトインテグリン受容体のアルファVサブユニットへの結合に関して、モノクローナル抗体CNTO95と競合する抗体を含んでなる分子を含むいずれかのタンパク質またはペプチドを含んでなる。一つの態様では、抗体は、CNTO95と呼ばれる抗体から誘導された重鎖もしくは軽鎖またはそれらのリガンド結合部分の相補性決定領域(CDR)の少なくとも1部分を、CDRと一緒に抗体内に組込みができる重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク超域またはそれらのいずれかの部分と組み合わせて含んでなる。本明細書中に記載の抗体CNTO95は、ヒト免疫グロブリンの発現のための遺伝子を含むトランスジェニックマウスの免疫化から誘導されたヒト抗アルファV抗体である。従って、一つの態様では、本発明は、CNTO95抗体から誘導された少なくとも1個のCDR領域または可変領域を含む抗体を目指す。好ましい態様では、抗体はCNTO95である。
【0016】
本発明の局面では、抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、細胞内環境の成分によりリンカーLへ細胞毒Cを連結する結合の切断の際に放出されるメイタンシノールエステルを含んでなる。一つの態様では、メイタンシノイドはアシル化アミノ酸を用いてC−3、C−14、C−15、またはC−20でエステル化され、ここでアシル基は保護されたスルフヒドリル基を有し、ここで保護されたスルフヒドリル基に隣接するアシル基の炭素原子は、1個もしくは2個の置換基を有し、該置換基は、CH、C、炭素原子1〜10を有する線状アルキルもしくはアルケニル、炭素原子3〜10を有する分枝状もしくは環状アルキルまたはアルケニル、フェニル、置換フェニル、または複素環状芳香族、複素環状アルキル基、またはHであり;そしてここで、アシル基は、カルボニル官能性と硫黄原子との間に少なくとも炭素原子2個の線状鎖長を有する。好ましい態様では、メイタンシノイドは3−メイタンシノールエステルであり、そしてアシル化アミノ酸基は保護されたスルフヒドリル基に隣接する炭素原子上に0、1または2個のメチル基を有する。好ましい態様では、エステル化されたメイタンシノールは、N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン(DM1、CAS登録番号139504−50−0)、N2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM3)、およびN2’−デアセチル−N2’−(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM4)から選択される。
【0017】
異常な増殖により起きそして脈管新生を特徴とするヒト増殖疾患の処置に有用な抗インテグリン抗体メイタンシノイドコンジュゲーション化合物を提供することが本発明の第二の目的である。特に好ましい態様では、本発明の化合物は、乳腺、結腸、直腸、肺臓、前立腺、腎臓、肝臓、脾臓、食道、胃、子宮内、卵巣、頸部、または骨を含む癌を処置する方法に使用される、本発明の化合物は、単独または他の薬剤と複合して、初期癌の予防もしくは治療または転移疾患の予防もしくは治療に使用されてもよい。
【0018】
本発明の第二の目的の別の方法は、癌治療の方法において、抗インテグリン抗体メイタンシノイドコンジュゲーション化合物と化学療法剤の組合せ使用に関する。好ましいコンジュゲートは、ジスルフィド連結により抗体に連結されたメイタンシノイド化合物を含み、そして好ましい化学療法剤はドキソルビシン、タキサン、カンプトテシン、ポドフィロトキシン、ヌクレオシド類似体、またはピリミジン類似体である。
【0019】
本発明の第三の目的では、抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、抗体を、二特異性化学リンカー試薬、例えばN−スクシンイミジル−(2−ピリジルチオ)アルカノアートと反応させ、次いで予備活性化したメイタンシノイドと反応させ、それによりジスルフィド交換が起きて抗体とメイタンシノイドとの間に立体障害ジスルフィド連結が生成するプロセスで調製される。
【0020】
本発明の別の局面では、抗体−メイタンシノイドコンジュゲートはメイタンシノールエステルを用いて調製されここでアシル部分は保護されたスルフヒドリル基を有する。一つの態様では、メイタンシノイドはアシル化アミノ酸を用いてC−3、C−14、C−15、またはC−20でエステル化され、ここでアシル基は保護されたスルフヒドリル基を有し、ここで保護されたスルフヒドリル基に隣接するアシル基の炭素原子は1個もしくは2個の置換基を有し、該置換基は、CH、C、炭素原子1〜10を有する線状アルキルもしくはアルケニル、炭素原子3〜10を有する分枝状もしくは環状アルキルまたはアルケニル、フェニル、置換フェニル、または複素環状アリール部分、複素環状アルキル部分、またはHから選択され;そしてここで、アシル基は、カルボニル官能性と硫黄原子との間に少なくとも炭素原子2個の線状鎖長を有する。好ましい態様では、メイタンシノイドは3−メイタンシノールエステルであり、そしてアシル化アミノ酸基は保護されたスルフヒドリルに隣接する炭素原子上に0、1または2個のメチル基を有する。好ましい態様では、エステル化されたメイタンシノールは、N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン(DM1、CAS登録番号139504−50−0)、N2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM3)、およびN2’−デアセチル−N2’−(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM4)から選択される。
【0021】
本発明の別の態様では、抗アルファVインテグリン抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、反応性エステルを有するメイタンシノイドと化学的にあらかじめ活性化していない抗インテグリン抗体との反応の本質的に単一工程で調製される。メイタンシノイドの反応性エステルは、N−スクシンイミジル、N−スルホスクシンイミジル、N−フタルイミジル、N−スルホフタルイミジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルまたは3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステルであってもよい。
【0022】
発明の詳細な説明
1.定義
本発明をさらに容易に理解できるように、一部の用語を先ず定義する。その他の定義は、詳細な説明の間に記述される。
【0023】
「アルファVインテグリン」、「アルファVサブユニットインテグリン」および「アルファVサブユニット含有インテグリン」の用語は、本明細書中では交換可能に使用されて、機能性インテグリンヘテロ二量体のアルファV膜貫通糖タンパク質サブユニットを意味しそしてすべてのアルファVの変種、イソ型および種同族体を含む。従って、本発明の抗体は、一定の場合には、他のヒト以外の種由来のアルファV、またはヒトアルファVに構造的に関連する他のタンパク質(例えばヒトアルファV同族体)と交差反応してもよい。別の場合には、抗体は、ヒトアルファVに完全に特異性でありそして交差反応性の種もしくは他のタイプを示さなくてもよい。
【0024】
本明細書中に使用される場合に、「抗体」は、全抗体およびそのいずれかの抗原結合フラグメントまたはその一本鎖を含む。従って、抗体は免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含んでなる分子を含むいずれのタンパク質またはペプチドをも含み、例えば、それらに限定はされないが、重鎖もしくは軽鎖またはそれらのリガンド結合部分の少なくとも1種の相補性決定領域(CDR)、重鎖または軽鎖可変部分、重鎖または軽鎖定常部分、フレームウェアーク(FR)領域、またはそのいずれかの部分、または結合タンパク質の少なくとも一部分、であり、それらは本発明の抗体内に組み込むことができる。抗体は、ネズミ、ヒト、ヒト化、またはキメラであってもよい。
【0025】
「抗原結合フラグメント」またはその部分は、一本鎖抗体およびそれらのフラグメントを含む。機能性フラグメントは、哺乳動物アルファ−Vサブユニットに結合する抗原結合フラグメントを含む。抗体の用語「抗体結合部分」内に包含される結合フラグメントの例は、(i)Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCHから成る一価フラグメント、ドメイン;(ii)F(ab’)フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2個のFabフラグメントを含んでなる二価フラグメント;(iii)VHおよCHからなるFdフラグメント、ドメイン;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(v)VHおよびVLドメインが単一ポリペプチド鎖上に発現されるが、しかし同じ鎖上の2個のドメインの間を対とするためには短すぎるリンカーを用い、それによりドメインに他の鎖の相補性ドメインと対形成を強制しそして2個の抗原結合部位を創成するdAbフラグメント;および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。さらに、Fvフラグメントの2個のドメイン、VLおよびVHは別々の遺伝子によりコードされるが、それらは、組換え方法を用いて、VLおよびVH領域対が一価分子を形成するように対となる単一タンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として知られる)としての作製されることをそれらに可能とさせる合成リンカーにより結合できる。かかる一本鎖抗体は、抗体の「抗原結合タンパク質」の用語内に包含されるとも意図する。それらの抗体フラグメントは、当該技術分野の熟練者には公知の技術を用いいて得られ、そしてフラグメントは不変の抗体として同様の様式で実用のためにスクリーニングされる。かかるフラグメントは、酵素切断、合成または組換え技術により製造でき、それらは当該技術分野の熟練者に公知であるかおよび/または本明細書中に記載されるものである。
【0026】
「エピトープ」の用語は、抗体に特異的に結合できるタンパク質決定因子を意味する。エピトープは、通常は分子の化学的活性表面基群、例えばアミノ酸または糖側鎖からなりそして通常は特異的な三次元構造特性、ならびに特異的荷電特性を有する。立体配座的非立体配座的エピトープは、変性溶剤の存在で前者への結合は失われるがしかし後者へは失われない点で区別される。「本体の立体配座的エピトープ」または「本来のタンパク質エピトープ」の用語は、本明細書中では相互に交換可能に使用され、そしてインテグリン分
子の線状配列の異なる部分由来のアミノ酸が三次元空間内で近接して一緒となる場合に起きる、インテグリン分子の立体配座的折り返しからもたらされるタンパク質エピトープを含む。かかる立体配座性エピトープは、細胞膜の細胞外側に分布する。
【0027】
本明細書中で使用される場合の「ヒト抗体」の用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列から誘導もしくはそれに密に一致する可変および定常領域を有する抗体を含むと意図する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基を含んでもよい(例えばイン・ビトロの無作為もしくは部位指定変異発生によりまたはイン・ビボの体細胞変異により導入された変異)。従って本明細書中で使用される場合に、「ヒト抗体」の用語は、タンパク質の本質的な各部位(例えばCDR、フレームワーク、C、Cドメイン(例えばC1、C2、C3)、ヒンジ(V、V))が本質的にヒト生殖系列抗体に類似である抗体を指す。ヒト抗体は、それらのアミノ酸配列類似性に基づいて分類に類別され、例えば、http://people.cryst.bbk.ac.uk/〜ubcg07s/参照。従って、配列類似性サーチを用いて、類似の線状配列を有する抗体は、「ヒト化抗体」を創成するための鋳型として選択できる。
【0028】
「ヒト化」(リシェーピング(Reshaping)またはCDRグラフティングとも呼ばれる)は、異種起源(通常はげっ歯類)からのモノクローナル抗体(mAb)の免疫原性を低下させるためおよびエフェクター機能(ADCC、補体活性化、C1q結合)を改善するために、今や良く確立された技術である。操作されるmAbは分子生物学の技術を用いて操作されるが、しかし、げっ歯類動物相補性決定領域(CDR)のヒトフレームワーク内への単純CDR移植は、しばしば当初のmAbの結合親和性および/または特異性の損失をもたらす。抗体をヒト化するために、ヒト化抗体の設計は例えばCDRの残基中の同種アミノ酸置換、およびげっ歯類動物mAbからヒトフレームワーク領域内への残基の逆置換(逆変異)などの変化を含む。位置は構造解析のための配列比較によりまたは可変領域の三次元構造の相補性モデルの解析により識別もしくは同定できる。親和性成熟のプロセスは、選択した位置においてアミノ酸を変化させるためにファージライブラリーを最も最近では使用する。同様に、多数の方法が、げっ歯類動物CDRを中にグラフトするために最も適するヒトフレームワークを選定するために使用されている。抗体構造のための公知パラメーターのデータの組が増加し、それらの技術の洗練および精巧化が進んでいる。種々の異なるヒトmAbからのそれぞれの軽鎖もしくは重鎖可変領域内のフレームワーク領域の単独抗体もしくはフラグメントからコンセンサスもしくは生殖系列配列が使用できる。ヒト化のための別の方法は、ヒトmAb内に見いだされる最も普通の残基を用いてげっ歯類動物配列の表面残基のみを変性するものであり、リサーフェシング(resurfacing)またはベニアリング(veneering)と呼ばれている。既知のヒトIg配列は、例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi;www.ncbi.nih.gov/igblast;www.atcc.org/phage/hdb.html;www.kabatdatabase.com/top.html;www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;www.appliedbiosystems.com;www.biodesign.com;antibody.bath.ac.uk;http://www.unizh.ch/〜antibody/;www.cryst.bbk.ac.uk/〜ubcg07s;Kabat et al.,Sequences
of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)(いずれも引用することにより本明細書に編入される)に開示されている。
【0029】
「キメラ抗体」は、一つの種からの区分されたドメイン、通常は可変ドメイン、および他の種からの残部を保持する抗体であり、例えばマウスヒトキメラである。
【0030】
本明細書中に使用される場合に、「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」の用語は、単一分子組成物の抗体分子の調製物を指す。一つの態様では、ヒトモノクローナル抗体は、トランスジェニック非ヒト動物、例えばヒト重鎖導入遺伝子を含んでなるゲノムを有するトランスジェニックマウスから得られたB細胞と、不死化細胞に融合した軽鎖導入遺伝子とを含むハイブリドーマにより産生される。しかし、一般的に、抗体をコードする配列をクローンしそして宿主細胞または産生細胞系列内に挿入する。
【0031】
本明細書中に使用される場合に、「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)の用語は、その中に組換え発現ベクターが導入された細胞を指すことを意図する。かかる用語は、特定の主題の細胞のみならずかかる細胞の子孫も指すことを意図すると理解されるべきである。変異または環境の影響のいずれかにより後続の世代に一定の変性が起きることがあるので、かかる子孫は、実際には親細胞と同一ではないが、しかし本明細書中に使用される用語「宿主」の範囲内には含まれる。組換え宿主細胞は、例えば、CHO系列またはマウス骨髄腫SP/0誘導細胞系列を含む。
【0032】
本明細書中に使用される場合に、「組換えヒト抗体」の用語は、組換え手段により調製、発現、創成または単離されたすべてのヒトまたはヒト化抗体、例えば(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子のためのトランスジェニックもしくはトランスクロモソーマル(transchromosomal)である動物(例えばマウス)から単離された抗体またはそれから調製されたハイブリドーマ、(b)抗体を発現するために形質転換された宿主細胞、例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換え、組合せヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、および(d)他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含み、いずれかその他の手段により調製、発現、創成または単離された抗体、を含む。
【0033】
本明細書中に使用される場合に、「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を本質的に含まない抗体を指すと意図する(例えば、アルファVに特異的に結合する単離された抗体は、アルファV以外の抗原に特異的に結合する抗体を本質的に含まない)。しかし、ヒトアルファVのエピトープ、イソ型または変種に特異的に結合する単離された抗体は、他の関連抗原、例えば他の種(例えばアルファV種同族体)からのものに交差反応性を有する。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を本質的に含まなくてもよい。
【0034】
本明細書中に使用される場合に、「特異性結合」は、所定の抗原に結合する抗体を指す。典型的には、抗体は、10−7M、またはそれ未満の解離定数(K)で結合し、そして所定の抗原に対して、所定の抗原もしくは緊密に関連する抗原以外の非特異性抗原(例えばBSA、カゼイン)に結合する場合のそのKより少なくとも半分以下であるKで結合する。
【0035】
本明細書中に使用される場合に、「イソ型」は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる抗体の分類(例えばIgMまたはIgG1)を指す。
【0036】
略字
Abs 抗体、ポリクローナルまたはモノクローナル
aV インテグリンサブユニットアルファV
b3 インテグリンサブユニットベータ3
bFGF 塩基性繊維芽細胞増殖因子
HUVEC ヒト臍静脈内皮
IFN インターフェロン
Ig 免疫グロブリン
IgG 免疫グロブリンG
Mab モノクローナル抗体
NPB =N−スクシンイミジル−5−ニトロ−(2−ピリジルジチオ)ブチラートSMCC =スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−
カルボキシラート
SMNP =N−スクシンイミジル−4−メチル−4−(5−ニトロ−2−ピリジルジ
チオ)ペンタノアート
SMPT =4−スクシンイミジルオキシカルボニル−(2−ピリジルジチオ)
トルエン
SPDB =N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ブチラート
SPDP =N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート
SPP =N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノアート
SP =N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジル)
SS =スルホスクシンイミジル
SSNPP =スルホスクシンイミジル−N−スクシンイミジル−4−(5−ニトロ−2
−ピリジルジチオ)ペンタノアート
VEGF =脈管内皮増殖因子
【0037】
2.組成物
A.本発明の抗体コンジュゲート
本発明の抗体コンジュゲートは、式
〔C−L〕−A I
〔式中、AはヒトアルファVインテグリンサブユニット特異性抗体であって、ここで該抗体は該アルファVサブユニットを発現する細胞により取り込まれることができ;Cは、10−9Mまたはそれ未満のIC50を有する細胞毒性剤であり;そしてLは、抗体および細胞毒に結合しそしてさらに細胞内環境の成分により切断可能な結合を含んでなる連結基であり;そしてmは抗体に連結された細胞毒分子の平均数を表しそして1〜5、特には3〜4の整数である〕により表される。細胞毒は、メイタンシノイド、カリケアミシン、エポチロン、ディスコデルモリド、エロイトロビン、ドラスタチン、クリプトフィシン、カンプトテシン、リゾキシン(CAS登録番号第90996546号)、またはタキサン誘導体および10−9Mまたはそれ未満の癌細胞増殖に対する半極大阻害(IC50またはGI50)を示すその他の化合物からなる群から選択されてもよい。
【0038】
細胞内切断可能結合を含んでなるリンカーは、酸不安定性連結、例えばシス−アコニチル連結、エステル、酸感受性ヒドラゾン連結、リソソーム分解性ペプチド連結、ヒドロラーゼ切断性リンカー、ペプチダーゼまたはプロテアーゼ特異性リンカー、およびジスルフィド(スルフヒドリル)リンカーを含む(Dyba,M.,et al.,2004,Curr.Pharm.Design 10:2311−2334、総説参照)。例えば循環系内で支配的な条件と比較して細胞内条件下ではさらに迅速または選択的な切断が可能なので、リンカーはコンジュゲートの全体的薬力学にさらなる特異性および安全性を与える。ジスルフィド連結は、細胞コンパートメント内の好ましい還元電位ならびに誘導可能なレドックス酵素活性化により特に好まれる(Saito,G.et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.2003 55:199−215)。本発明の一つの態様では、結合は、抗体分子内、例えばシステイン残基の側鎖内に存在する硫黄原子と、毒性化合物内に存在する他の硫黄原子との間にある。別の態様では、連結部分は、1個もしくはそれ以上の原子もしくは化学基から成る。
【0039】
生物学的分子、例えば組換えタンパク質の化学化合物への化学的連結における別の主要な考慮事項は、誘導化の化学が、これまで未知の生物学的性質を有するであろう新規の分子実体を生成するであろうし、多くの場合に生成することである。従って、生理学的切断
の産物が生物学的活性を有する意図する誘導体を生成するように設計されるべきであることは理解されなければならない。図1に図示しそして記載したDM1、DM3、DM4およびその他を含む本発明のメイタンシノイドは、生物学的活性を保持する。
【0040】
本発明の抗−アルファVインテグリン抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、抗−アルファV抗体を、抗体の生物学的活性の著しい低下を招かないでメイタンシノイド分子に化学的に連結して調製され、そして、生理学的条件下に放出された場合にはその細胞毒性ポテンシャルを保持するメイタンシノイドをもたらす。適合するメイタンシノイドの例は、メイタンシノールのエステルおよびメイタンシノール類似体であって、それは修飾された芳香族環を有するものおよびC−19、C−20、もしくはC−14、もしくはC−15、もしくはC−4,5デオキシに修飾を有するものを含み、それらに限定はされない。好ましくはメイタンシノールC−3エステルである。特に好ましいメイタンシノイドは、メイタンシノール(N2’−デアセチル−メイスタンシン)のN−メチル−アラニンエステルの誘導体である。特に好ましいコンジュゲートは、還元により切断された場合に遊離チオールを持つ相当するメイタンシノイドを遊離するジスルフィド連結を含んでなる。好ましいタイプのチオール含有メイタンシノイドは、図1に記載されている:N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン(DM1、CAS登録番号139504−50−0)、N2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM3)およびN2’−デアセチル−N2’−(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM4)。
【0041】
本発明の抗体分子と毒性化合物とのコンジュゲートは、現在公知であるかまたは今後開発されるいずれかの技術を用いて形成できる。例えば、細胞毒化合物は、遊離アミノ酸を生成するように変性でき次いで酸不安定性リンカー、または光不安定性リンカーを介して抗体分子に連結される。毒性化合物はペプチドと縮合でき、次いで抗体分子に連結されてペクチダーゼ不安定性リンカーを生成する。毒性化合物は、第一級ヒドロキシル基を生成するように処理でき、それはスクシニル化されてそして抗体分子に連結されて、遊離薬剤を遊離するために細胞内エステラーゼにより切断できるコンジュゲートを生成する。
【0042】
抗体Aと細胞毒Cとの間にジスルフィド連結を創成するために、好ましくは、毒性化合物は遊離または保護されたチオール基を創成するように処理され、次いで1個もしくは多数のジスルフィドもしくはチオール含有毒性化合物をジスルフィド結合を介して抗体分子に共有結合で連結すると好都合である。ジスルフィド結合は、抗体の遊離チオールを用いて直接形成される必要はなく、ジスルフィド交換のための部位を導入するために抗体内のいずれかの反応性基の誘導体化により、例えば抗体内の遊離アミン基に二官能性リンカーをカプリングさせて形成できる。例えば、抗体分子は、架橋試薬、例えばN−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロパノアート(SPDP)、4−スクシンイミジル−オキシカルボニル−a−メチル a−(2−ピリジルジチオ)−トルエン(SMPT)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)−ブチレート(SDPB)、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−ペンタノアート(SPP)、N−スクシンイミジル−5−(2−ピリジルジチオ)ペンタノアート、2−イミノチオーラン(IT)、または無水アセチルコハク酸を用いて公知の方法により変性できる。
【0043】
本発明の抗アルファVインテグリン抗体−細胞毒コンジュゲートは、このように式IIで表され、ここで、メイタンシノールはC−3でエステル化され、そして抗体は抗アルファVインテグリンサブユニット抗体であり;R、R、XおよびXは、独立してH、Me、C、炭素原子1〜10個を有する線状アルキルもしくはアルケニル、炭素原子3〜10個を有する分枝状または環状アルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換フェニル、または複素環状アリール部分、または複素シクロアルキル部分であり;nは1〜5であり;pは1〜5であり;そしてmは1〜10である。
【0044】
【化1】

【0045】
好ましい態様では、リンカー部分は、SPPから誘導された4−チオペンタノアートまたは4−チオペンタノアートである。遊離または保護されたチオール基を含む抗体分子がこのようにして誘導され、次いでジスルフィド−またはチオール−含有毒性化合物と反応されてコンジュゲートを生成する。コンジュゲートはHPLCによりまたはゲル濾過により精製できる。
【0046】
B.本発明の抗アルファ−Vサブユニット抗体
アルファVを結合することに加えて、上記のもののようなヒト抗体またはそれらの抗原結合性フラグメントもしくはそれらの部分は、本発明の抗体のその他の機能性性質のそれらの維持のために選択されてもよく、例えば下記である。
【0047】
1)ヒトアルファVを発現する生細胞に結合;
2)基質タンパク質への生細胞の結合を防止;
3)10−8Mまたはそれ未満のK(例えば10−9Mもしくは10−10Mまたは
それ未満)でのヒトアルファVへの結合;
4)カルシウム非依存性のアルファVへの結合の表示;
5)アルファV上の独自エピトープへの結合またはアルファVに結合する抗体の独自相
補性基への帰属;
6)イン・ビボもしくはイン・ビトロでの脈管新生の阻害;
7)イン・ビボでの腫瘍実質の低下もしくは腫瘍増殖の防止。
【0048】
本発明の別の態様では、本発明のヒト抗アルファV抗体、CNTO95の構造的特徴は、本発明の抗体の少なくとも1種の機能的性質、例えばアルファVへの結合を保持する構造的に関連したヒト抗アルファV抗体を創成するために使用される。さらに特定すると、CNTO95の1個もしくはそれ以上のCDR領域は、公知のヒトフレームワーク領域およびCDRと組換え的に組み合わされて、本発明の追加の組換え操作されたヒト抗アルファV抗体を創成できる。
【0049】
好ましい態様では、本明細書中に記載の抗アルファV抗体コンジュゲート中に使用するための抗体は、ヒト免疫グロブリンを発現するための遺伝子を含むトランスジェニックマウスの免疫化から誘導されたヒト抗アルファV抗体である。抗体の調製は、国際特許出願公開(WO)02/12501号および米国特許公開第2003/040044号(双方ともに引用することにより本明細書に編入される)中に詳細に記載されている。抗体は、「CNTO95」(国際特許出願公開(WO)02/12501号および米国特許公開第2003/040044号参照)と命名された抗体から誘導された重鎖もしくは軽鎖またはそのリガンド結合部分の相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部分を含んでなる分子を含むいずれかのタンパク質もしくはペプチドを、抗体内に組み込むことができる重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、またはそれらのいずれかの部分と組み合わせて含む。
【0050】
好ましくは、上記の操作された抗体のCDR1、2および/または3は、本明細書中に開示したトランスジェニックマウスの免疫化により生成されたCNTO95、Gen0101、CNTO95、C371Aと命名された完全ヒトMabのものと正確に同様のアミノ酸配列を含んでなる。しかし、通常の熟練者は、CNTO95の正確なCDR配列からのいくらかの逸脱(例えば同類置換)は可能であり。それでもアルファVを効率的に結合する抗体の能力を保持することを認めるであろう。特定の態様では、抗体または抗原結合フラグメントは、相当するCDR1、2および/または3(例えば配列番号1、2および/または3)のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の重鎖CDR(すなわちCDR1,CDR2および/またはCDR3)の少なくとも一部分を含んでなる抗原結合領域を有することができる。別の特定の態様では、抗体または抗原結合部分または変種は、CNTO95の軽鎖の相当するCDR1,2および/または3(例えば配列番号4、5および/または6)のアミノ酸配列を有する少なくとも1個の軽鎖CDR(すなわちCDR1,CDR2および/またはCDR3)の少なくとも一部分を含んでなる抗原結合領域を有することができる。好ましい態様では、抗体または抗原結合フラグメントの3個の重鎖CDRおよび3個の軽鎖CDRは、mAb CNTO95の相当するCDRのアミノ酸配列を有する。従って、別の態様では、操作された抗体は、CNTO95の1種もしくはそれ以上のCDRと90%、95%、98%、または99.5%一致する1種もしくはそれ以上のCDRから成ってもよい。本発明の抗アルファ−Vサブユニット抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6の少なくとも1個の連続アミノ酸の5個ないし全てから選択される少なくとも1個の部分、配列または組合せを含むことができるが、それらに限定はされない。抗アルファ−Vサブユニット抗体は、配列番号7、8の少なくとも1個の連続アミノ酸の70〜100%のポリペプチドを場合によりさらに含んでなることができる。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号8の配列と比較でき、または重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列番号7と比較できる。
【0051】
本明細書中で考察しそして特許請求したように、配列番号1〜8中に記載の配列は、「同類配列修飾(conservative sequence modification)」すなわち、ヌクレオチド配列によりコードされるかまたはアミノ酸配列を含有する抗体の結合特性を著しくは影響もしくは改変しないアミノ酸配列修飾を含む。かかる同類配列修飾は、アミノ酸置換、付加および欠失を含む。修飾は、当該技術分野では公知の標準技術、例えば部位指定変異誘発およびPCR媒介変位誘発により、配列番号1〜8内にまたはそれらをコードする核酸に導入される。同類アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものを含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。それらのファミリーは、塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分枝側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。従って、ヒト抗アルファV抗体内の予期された非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置換される。
【0052】
本発明の少なくとも1種の抗体は、少なくとも1種のアルファVサブユニットタンパク
質、サブユニット、フラグメント、部分またはそれらのいずれかの組合せに特異的な少なくとも1種の指定されたエピトープで結合する。少なくとも1種のエピトープは、該タンパク質の少なくとも一部分を含んでなる少なくとも1個の抗体結合領域を含んでなることができ、そのエピトープは、好ましくは、該タンパク質の少なくとも1種の細胞外、可溶性、親水性、外部または細胞質部分を含んでなる。少なくとも1種の指定されたエピトープは、配列番号9の連続アミノ酸の少なくともアミノ酸1〜3個の少なくとも1個のアミノ酸配列から全指定部分までのいずれかの組合せを含んでなることができる。
【0053】
以前に記述したように、本発明は、本明細書中に記載のアミノ酸配列と本質的に同一である配列内のアミノ酸を含んでなる抗体、抗原結合フラグメント、免疫グロブリン鎖およびCDRにも関する。好ましくは、かかる抗体または抗体結合フラグメントおよびかかる鎖もしくはCDRを含んでなる抗体は、高い親和性をもってヒトアルファVサブユニットを結合できる(例えば約10−9M未満またはそれに等しいK)。本明細書中に記載の配列と本質的に同一であるアミノ酸配列は、同類アミノ酸置換、ならびにアミノ酸欠失および/または挿入を含んでなる配列を含む。
【0054】
機能のために必須である本発明の抗アルファ−Vサブユニット抗体内のアミノ酸は、部位指定変異誘発またはアラニン走査変異誘発のような、当該技術分野では公知の方法により同定できる(例えば、Ausubel,上記文献、第8、15章;Cunningham and Wells,Science 244:1081−1085(1989))。後者の方法は、分子内のすべての残基に単一アラニン変異を導入する。次いで、得られた変異分子は、生物学的活性、例えば、それらに限定はされないが、少なくとも1種のアルファ−Vサブユニット中和活性について試験される。抗体結合に重要な部位は、構造解析、例えば晶出、核磁気共鳴または光親和性標識によっても同定できる(Smith,et al.,J.Mol.Biol.224:899−904(1992)およびde Vos,et al.,Science 255:306−312(1992))。
【0055】
3.コンジュゲートの調製方法
本発明による化合物DM1、DM3およびDM4および関連する活性化メイタンシノイド(図1)の調製に使用される出発物質メイタンシノールは、天然起源から単離された天然C−3エステルであるメイタンシンから還元切断により調製できる(Kupchen
et al.,J.Amer.Chem.Soc.97:5294(1975)。−40℃のテトラヒドロフラン中の試薬、水素化トリメトキシアルミニウムリチウムは、この工程に特に有用である。他の天然のメイタンシノイドエステルも、ノカルジア(Nocardia)属(米国特許(US)第4,151,042号)またはアクチノシンネマ(Actinosynnema)種が属する微生物を培養して有利に調製されてもよく、それらは培養浴内でメイタンシノール、メイタンシンまたはC−3メイタンシノールエステル、例えばメイタンシノールプロピオナートを生成するように操作されそしてさらに精製するために培養浴から化合物を抽出する。抗体メイタンシノイドコンジュゲートを作るために当該技術分野では公知の多数の連結基があり、それには、例えばジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、光不安定基、ペプチダーゼ不安定ペプチドリンカー、または酸に不安定もしくはエステラーゼ切断可能なエステルが含まれる。
【0056】
米国特許(US)第5,208,020号で教示されるように、例えばN−メチル−N−〔3−(メチルジチオ)−1−オキソプロピル〕−L−アラニンを含む、メチルジチオ基またはその他の保護されたチオ基を含むカルボン酸を用いる、メイタンシノールまたは類似体のエステル化は、相当するジスルフィド含有メイタンシノイドを生成する。D−およびL−アシル側鎖を含む2種のジアステレオマー生成物がもたらされる場合には、ジアステレオマー性メイタンシノイドエステルは、当該技術分野では公知の方法により容易に分離されそしてあまり望ましくないD−アラニル類似異性体産物を還元してメイタンシノ
イドを回収し、それは国際特許出願公開(WO)03096782号に教示されている。ジチオトレイトールを用いるジスルフィドの還元性切断は、相当するチオール含有メイタンシノイドを与え、それはジスルフィドまたはチオエーテル連結を介して細胞結合剤に容易に連結される。チオール−メイタンシノイドは、水−アセトニトリルの勾配を用いて溶離する逆相モードでのC18カラムを用いるHPLCにより精製できる。
【0057】
二機能性カップリング試薬。コンジュゲートの成分を共有結合でカップリングするために二官能性薬剤を使用して、少なくとも一つがタンパク質またはポリペプチドを含んでなる2種の物質のコンジュゲートの調製において、コンジュゲーションした分子中のアミノ基が通常はコンジュゲーション反応に利用されることは公知である。二官能性タンパク質カップリング剤は、N−スクシンイミジル−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート、イミノチオラン(IT)、例えばジメチルアジピミダート.HClのようなイミドエステルの二官能性誘導体、活性エステル、例えばジスクシンイミジルスベラート、アルデヒド、例えばグルタルアルデヒド、ビス−アジド化合物、例えばビス(p−アキシドベンゾイル)ヘキサンジアミン、ビス−ジアゾニウム誘導体、例えばビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えばトリレン 2,6−ジイソシアナート)、およびビス活性フッ素化合物、例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を含む。SPDPは、なかでもこの目的に最も頻繁に使用される試薬であり、そして多数の他のN−スクシンイミジル−(2−ピリジルジチオ)−、N−スクシンイミジル−(5−ニトロ−2−ピリジルジチオ)−またはN−スクシンイミジル−(4−ピリジルジチオ)−短鎖アルカン酸が有用であると証明されている。図2は、通常使用される二官能性リンカーおよびそれらの頭文字を示す。
【0058】
チオール化メイタンシノイドへの活性化抗体のコンジュゲーション。以前に記載された方法に従うCNTO95−メイタンシノイドコンジュゲートの調製は、(Chari et al.,Cancer Res.52:127−131,1992および米国特許(US)第5,208,020号)に記載されそして図3の概要が図示されている。この手順において、抗体は、リンカーと抗体の比率5〜10:1の範囲内で二官能性リンカーを用いて変性されて、抗体アミノ酸側鎖上にジチオピリジル基を導入する。活性化された抗体をG25ゲル濾過クロマトグラフィーにより残留リンカーから分離する。精製後のリンカー−抗体比は、5〜10:1未満でありそして典型的には3〜5:1でありそして252nmおよび280nmでの吸収により測定される。活性化されたチオール−メイタンシノイドは、測定されたリンカーのものにモル過剰で加えられる。コンジュゲーションの後、混合物を再度G25サイズ排除クロマトグラフィーにより精製してバルク製品を得る。
【0059】
別の方法では、抗インテグリン抗体メイタンシノイドコンジュゲートは、反応性エステルを有するメイタンシノイドを、あらかじめ化学的に活性化されていない抗インテグリン抗体と反応させる、本質的に1工程で調製される。メイタンシノイドの官能性エステルは、N−スクシンイミジル、N−スルホスクシンイミジル、N−フタルイミジル、N−スルホフタルイミジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、3−スルホニル−4−ニトロフェニル、または3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステルであってもよい。本方法は、国際特許出願公開(WO)200209883号中に記載され、その内容は引用することにより本明細書に編入される。
【0060】
4.本発明のコンジュゲートを用いる方法
本発明の抗体は、癌またはその1種もしくはそれ以上の症状の防止、処置、管理または改善のために、それを必要とする対象者に投与されてもよい。本発明の抗体は、1種もしくはそれ以上の他の治療剤、好ましくは癌の防止、管理または処置のために有用な治療剤(以下に表示する予防剤または治療剤を含み、それらに限定はされない)と組み合わせて、癌またはその1種もしくはそれ以上の症状の防止、処置、管理もしくは改善のためにそれを必要とする対象者に投与されてもよい。特定の態様では、本発明は、癌またはその1種もしくはそれ以上の症状を防止、処置、管理または改善する方法を提供し、該方法は、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートを含んでなる調剤の予防的もしくは治療的に有効な量の投与量をそれを必要とする対象者に投与することを含んでなる。別の態様では、本発明は、癌または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、処置または改善する方法を提供し、該方法は、予防的または治療的に有効な1種もしくはそれ以上の治療(例えば外科、放射線治療、または抗アルファV抗体コンジュゲート以外の治療剤量の投与)と一緒に、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防的もしくは治療的に有効な量の投与量をそれを必要とする対象者に投与することを含んでなる。本発明の抗体コンジュゲートは、第一、第二、第三、また第四段癌処置として使用されてもよい。本発明は、対象者内の癌の1種もしくはそれ以上の症状を処置もしくは改善するための方法を提供する。さらに、本発明は、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートを投与して処置されそして疾患活性がなくなった患者内の癌の再発を防止するための方法を提供する。
【0061】
本発明により包含される方法により処置できる癌は、新生物、腫瘍、転移、または非制御性細胞増殖を特徴とするどのような疾患または障害も含むが、それらに限定はされない。癌は一次または転移癌であってもよい。癌にかかった細胞は、アルファVサブユニットインテグリンを発現してもしなくてもよい。好ましい態様では、本発明の方法に従って管理、処置または改善される癌は、インテグリンアルファVサブユニットを発現し、そして患者の身体内の他の部位または器官に転移したかまたは転移の可能性を有する癌である。本発明により包含される方法により処置できる癌の特定の例は、それらに限定はされないが、頭、頸、眼、口、咽喉、食道、顎、骨、肺臓、結腸、直腸、胃、前立腺、胸、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、および脳の癌を含む。それ以外の癌は、それらに限定はされないが、下記を含む:白血病、例えば、それらに限定はされないが、急性白血病、急性リンパ球白血病、急性骨髄細胞白血病、例えば骨髄芽球細胞性、前骨髄芽球細胞性、骨髄単球性、単球性、赤白血病性白血病および骨髄異形成症候群、慢性白血病、例えば、それらに限定はされないが、慢性骨髄細胞性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、毛様細胞性白血病;真性赤血球増加症;リンパ腫、例えば、それらに限定はされないが、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫;骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、プラズマ細胞白血病、孤立性プラズマ細胞腫および髄外プラズマ細胞腫;ヴァルデンシュトレームマクログロブリン血症;骨癌および結合組織肉腫、例えば骨肉腫、骨髄骨疾患、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、変形性骨炎、悪性巨細胞腫瘍、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、柔組織肉腫、血管肉腫(ヘマンジオサルコーマ)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫;脳腫瘍、例えばそれらに限定はされないが、神経膠腫、星状膠細胞腫、非神経膠腫、聴覚神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、一次脳リンパ腫;腺癌および腺管内癌を含む乳癌、および乳頭癌;クロム親和性細胞腫および副腎癌を含む副腎癌;甲状腺癌;膵臓癌;下垂体癌;眼黒色腫、脈絡膜黒色腫、毛様体黒色腫、おおび網膜芽細胞腫に限定されない眼癌;膣癌;外陰部癌;頸管癌;子宮内膜癌および子宮肉腫に限定されない子宮癌;卵巣癌;食道およびその他の頭部および頸部癌、例えばそれらに限定はされないが、偏平上皮癌、腺癌、粘表皮癌、腺偏平上皮癌、肉腫、黒色腫、プラズマ細胞腫、疣贅癌;および燕麦細胞(小細胞)癌;胃癌;結腸癌;直腸癌;肝臓癌、例えば肝細胞癌および肝芽細胞癌、胆嚢癌;胆管癌;肺癌、例えば非小細胞肺癌、偏平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌腫および小細胞癌;精巣癌、絨毛癌(卵黄嚢癌)、前立腺癌;陰茎癌;偏平上皮細胞癌に限定されない口腔癌;基底癌(basal cancer);唾液腺癌;腎臓細胞癌およびその他の腎臓癌;および移行上皮細胞癌に限定されない膀胱癌(かかる疾患の総説は、DeVita,V.T.,Hellman,S.,& Rosenberg,S.A.Cancer:Priciples and practice of oncology.Philadelphia:J.B.Lippincott Company;第6版、2001参照)。前癌症状も本発明の方法および組成物により処置できる。かかる癌は、濾胞性リンパ腫、p53変異を伴う癌、胸部、前立腺および卵巣のホルモン依存性腫瘍、および前癌性潰瘍、例えば家族性腺腫性ポリポーシス、および骨髄異形成症候群を含みそれらに限定はされない。
【0062】
好ましい態様では、本発明の方法に従って防止、管理、処置または改善される癌は、前立腺癌、乳癌、骨癌、黒色腫、肺癌および卵巣癌から選択される。別の態様では、本発明の方法に従って防止、管理、処置または改善される癌は、骨に転移したかまたはするであろう腫瘍(非限定の例は、骨に転移したかまたは可能性を有する前立腺、乳癌および肺癌である)、肺臓に転移しまたはするであろう腫瘍、脳に転移しまたはするであろう腫瘍、および対象者のその他の器官または組織に転移しまたはするであろう腫瘍を含み、それらに限定はされない転移性腫瘍から選択される。
【0063】
抗癌治療
癌またはその1種もしくはそれ以上の症状の防止、処置、管理または改善に有用であるとして知られているかまたは使用されたかあるいは現在使用されているいずれの薬剤または治療剤(例えば化学治療、放射線治療、ホルモン治療、および/または生物学的治療または免疫治療)も、本明細書中に記載の本発明に従って本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートと組み合わせて使用できる。治療剤または予防剤は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、核酸分子、小分子、擬似剤、合成薬剤、無機分子、および有機分子を含み、それらに限定はされない。かかる薬剤(すなわち抗癌剤)の類の例は、細胞毒、脈管新生阻害剤、および苦痛からの開放をもたらすためまたは免疫調節剤および1種もしくはそれ以上の薬剤の不利な作用を相殺するために使用される薬剤(例えばグルココルチコイドのカルシウム過剰を低下するために使用されるビスホスホネート)を含み、それらに限定はされない。
【0064】
生物学的免疫調節剤は、下記を含む:抗T細胞受容体抗体、例えば抗CD−3抗体(例えばヌビオン(Nuvion,Protein Design Labs)、OKT3(Johnson & Johnson))、または抗CD20抗体リツキサン(Rituxan,IDEC))、抗CD52抗体(例えばCAMPATH 1H(Ilec))、抗CD11a抗体(例えばキサネリム(Xanelim,Genentech));抗サイトカインまたは抗サイトカイン受容体抗体およびアンタゴニスト、例えば抗IL−2抗体(ゼナパクス(Zenapax,Protein Design Labs))、抗IL−6受容体抗体(例えばMRA(Chugai))、および抗IL−12抗体(CNTO1275(Centocor))、抗TNFアルファ抗体(レミカデ(Remicade,Centocor))またはTNF受容体アンタゴニスト(エンブレル(Enbrel,Immunex))、抗IL−6抗体(BE8(Diaclone)およびCNTO328(Centocor))、および腫瘍随伴抗原に免疫特異的に結合する抗体(例えばトラスツジマブ(trastuzimab,Genentech))。
【0065】
脈管新生阻害剤(すなわち抗脈管新生剤)は、アンギオスタチン(angiostatin)(プラスミノーゲンフラグメント);脈管新生性アンチトロンビンIII;アンギオザイム(angiozyme)を含みそれらに限定はされない。ビスホスホネートは、アレンドロネート(alendronate)、クロドロネート(clodronate)、エチドロネート(etidronate)、イバンドロネート(ibandronate)、パミドロネート(pamidronate)、リセドロネート(risedronate)、チルドロネート(tiludronate)、およびゾレドロネート(zoledronate)を含みそれらに限定はされない。
【0066】
本発明の方法に従って使用できる抗癌剤の特定の例は、下記を含みそれらに限定はされない:5−フルオロウラシル、アシビシン(acivicin)、アルデスロイキン(a
ldesleukin)、アルトレタミン(altretamine)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アムサクリン(amsacrine)、アナストロゾール(anastrozole)、アントラマイシン(anthramycin)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、アザシチジン(azacitidine)、アゼテパ(azetepa)、アゾトマイシン(azotomycin)、バチィマスタート(batimastat)、ビカルタミド(bicalutamide)、硫酸ブレオマイシン(bleomycin)、ブレキナル(brequinar)ナトリウム、ブロピリミン(bropirimine)、ブスルファン(busulfan)、カルボプラチン(carboplatin)、カルムスチン(carmustin)、塩酸カルビシン(carbicin)、カルゼレシン(carzelesin)、セデフィンゴル(cedefingol)、クロラムブシル(chlorambucil)、シロレマイシン(cirolemycin)、シスプラチン(cisplatin)、クラドリビン(cladribine)、メシル酸クリスナトル(crisnatol)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、シタラビン(cytarabine)、ダカルバジン(dacarbazine)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、塩酸ダウノルビシン(daunorubicin)、デシタビン(decitabine)、デキソルマプラチン(dexormaplatin)、デザグアニン(dezaguanine)、メシル酸デザグアニン、ジアジコン(diaziquone)、ドセタキセル(docetaxel)、ドキソルビシン(doxorubicine)、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン(droloxifene)、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone)、ズアゾマイシン(duazomycin)、エダトレキセート(edatrexate)、塩酸エフロミチン(eflomithine)、エンロプラチン(enloplatin)、エンプロメート(enpromate)、エピプロピジン(epipropidine)、塩酸エピルビシン(epirubicin)、エルブロゾール(erbulozole)、塩酸エソルビシン(esorubicin)、エストラムスチン(estramustine)、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール(etanidazole)、エトポシド(etoposide)、リン酸エトポシド、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチニド(fenretinide)、フロクスリジン(floxuridine)、リン酸フルダラビン(fludarabine)、フルオロウラシル(fluorouracil)、フルロシタビン(flurocitabine)、フォスキドン(fosquidone)、フォストリーシン(fostriecin)ナトリウム、ゲムシタビン(gemcitabine)、塩酸ゲムシタビン、ヒロソキシウレア(hydroxyurea)、塩酸イダルビシン(idarubicine)、イフォスファミド(ifosfamide)、イルモフォシン(ilmofosine)、インターロイキンII(組換えインターロイキンII、すなわちrIL2を含む)、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−m、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ−Ia、インターフェロンガンマ−Ib、イプロプラチン(iproplatin)、塩酸イリノテカン(irinotecan)、酢酸ランレオチド(lanreotide)、レトロゾール(letrozole)、酢酸ロイプロリド(leuprolide)、塩酸リアロゾール(liarozole)、ロメトレキソール(lometrexol)ナトリウム、ロムスチン(lomustine)、塩酸ロソキサントロン(losoxantron)、マソプロコル(masoprocol)、塩酸メクロレタミン(mechloretamine)、酢酸メゲストロール(megestrol)、酢酸メレンゲストロール(melengestrol)、メルファラン(melphalan)、メノガリル(menogaril)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、メトトレキセート(methotrexate)、メトトレキセートナトリウム、メトプリン(metoprine)、メツレデパ(meturedepa)、マイトマイシン(mitomycin)、ミトスペル(mitosper)、ミトタン(mitotane)、塩酸ミトキサトロン(mitoxantrone)、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノコダゾール(nocodazole)、オルマプラチン(ormaplatin)、パクリタキセル(paclitaxel)、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、プロフロマイシン(profromycin)、プレドニムスチン(prednimustine)、塩酸プロカルバジン(procarbazine)、プロマイシン(puromycin)、ログレチミド(rogletimide)、塩酸サフィンゴル(safingol)、セムスチン(semustine)、シムトラゼン(simtrazene)、スパルフォセート(sparfosate)ナトリウム、スパルソマイシン(sparsomycin)、スピロムスチン(spiromustine)、スピロプラチン(spiroplatin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン(streptozocin)、スロフェヌル(sulofenur)、タリソマイシン(talisomycin)、テガフル(tegafur)、塩酸テロキサントロン(teloxantrone)、テモポルフィン(temoporfin)、テニポシド(teniposide)、テロキシロン(teroxirone)、テストラクトン(testolactone)、チアミプリン(tiamiprine)、チオグアニン(thioguanine)、チオテパ(thiotepa)、チアゾフリン(tiazofurin)、チラパザミン(tirapazamine)、トポテカン(topotecan)、トリメトレキセート(trimetrexate)、グルクロン酸トリメトレキセート、トリプトレリン(triptorelin)、ウラシル・マスタード、ウレデパ(uredepa)、バプレオチド(vapreotide)、ベルテポルフィン(verteporfin)、硫酸ビンブラスチン(vinblastin)、硫酸ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン(vinepidine)、硫酸ビングリシネート(vinglycinate)、硫酸ビンロイロシン(vinleurosine)、酒石酸ビノレルビン(vinorelbine)、硫酸ビノロシジン(vinorosidine)、硫酸ビンゾリジン(vinzolidine)、ボロゾール(volozole)、ゼニプラチン(zeniplatin)、ジノスタチン(zinostatin)、塩酸ゾルビシン(zorubicin)。
【0067】
本発明は、癌細胞を破壊するX線、ガンマ線およびその他の放射線源の使用を含んでなる放射線治療と組み合わせた本発明の抗体の投与も包含する。好ましい態様では、放射線治療は、放射線が遠隔線源から放射される外部線源または遠隔治療法として施与される。別の好ましい態様では、放射線処置は、放射線源が癌細胞または腫瘍塊に接近した身体の内部に配置される内部治療または近接照射療法として施与される。
【0068】
特定の態様では、乳癌の患者は、ドキソルビシン、エピルビシン、ドキソルビシンとシクロホスファミドの組合せ(AC)、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよび5−フルオロウラシルの組合せ(CAP)、シクロホスファミド、エピルビシン、および5−フルオロウラシルの組合せ(CEF)、またはその他の薬剤、例えばヘルセプチン(Herceptin)、タモキシフェン(tamoxifen)、パクリタキセル(paclitaxel)またはタキソテレ(Taxotere)を含み、それらに限定はされない乳癌治療に有用な1種もしくはそれ以上の他の薬剤の予防的もしくは治療的に有効な量の投与と組み合わせた、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防的もしくは治療的に有効な量を投与される。
【0069】
特定の態様では、前立腺癌の患者は、外部照射放射線治療;放射性元素、すなわちレニウム、パラジウム、またはイリジウムの間質埋め込み;ロイプロリドまたはその他のLHRHアゴニスト;非ステロイド性抗アンドロゲン剤(フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide))、ステロイド性抗アンドロゲン剤(酢酸シプロテロン(cyproterone))、ロイプロリドとフルタミドとの組合せ、エストロゲン、例えばDES、エチニル エストラジオール(estradiol);低投与量のプレドニゾン(prednisone)、または主観的な症状の改善およびPSAレベルの低下を生むと報告されているその他の化学治療方式を含み、それらに限定はされない前立腺癌治療に有用な1種もしくはそれ以上の他の薬剤の予防的もしくは治療的に有効な量の投与と組み合わせた、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防的もしくは治療的に有効な量を投与される。
【0070】
特定の態様では、卵巣癌の患者は、腹腔内放射線治療、例えば32P治療;全腹部および骨盤放射線治療、シスプラチン、パクリタクセル(タクソール(Taxol))またはドセタクセル(タキソテル)およびシスプラチンまたはカルボプラチンの組合せ、シクロホスファミドとシスプラチンの組合せ、シクロホスファミドとカルボプラチンの組合せ、5−FUとロイコボリンの組合せ、エトポシド、リポソマル ドキソルビシン、ゲムシタビン、イフォスファミド、ヘキサメチルメラミン(HMM)、またはトポテカンを含み、それらに限定はされない卵巣癌治療に有用な1種もしくはそれ以上の薬剤の予防的もしくは治療的に有効な量と組み合わせた、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防的もしくは治療的に有効な量を投与される。
【0071】
特定の態様では、骨への腫瘍転移を有する患者は、潜在的な悪性の処置に使用される薬剤または治療、例えば骨に転移した前立腺もしくは乳癌に対するホモン(homone)阻害剤、金属の骨親和性放射性元素(ストロンチウム−89およびサマリウム−153)を用いる放射線治療もしくは化学放射線治療、およびビスホスホネート(例えばパルミドロネートまたはアレンドロネート)を含み、それらに限定はされない骨転移腫瘍治療に有用な1種もしくはそれ以上の薬剤の予防的もしくは治療的に有効な量と組み合わせた、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防的もしくは治療的に有効な量を投与される。
【0072】
癌治療およびそれらの投与、投与の経路および推奨される使用量は、当該技術分野では公知でありそしてPhysician’s Desk Reference(第57版、2003)、現在ではインターネットを介して、PDR(R)Electronic Library,Thomson Micromedex,Greenwood Village,Colorado(2004年版)から講読予約により入手できるような文献に記載されている。
【0073】
炎症性障害処置
本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートは、炎症性障害または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、管理、処置または改善するためにそれを必要とする対象者に投与されてもよい。本発明の抗体は、1種もしくはそれ以上の治療、好ましくは炎症性障害または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、管理、処置または改善するためにそれを必要とする対象者に炎症性障害(本明細書の以下に表示する予防もしくは治療薬剤を含み、それらに限定はされない)を防止、管理、処置または改善するために有用な治療と組合せて投与されてもよい。
【0074】
本発明により包含される方法により処置できる炎症性障害は、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性障害、敗血症ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、骨関節炎、脊椎関節症、(例えば乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、ライター症候群(反応性関節炎)、炎症性骨溶解、ウイルソン病および慢性ウイルスおよび細菌感染に起因する慢性炎症を含み、それらに限定はされない。さらに、自己免疫障害が炎症性症状と合併する。
【0075】
抗炎症治療
本発明は、炎症性障害または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、管理、処置また
は改善する方法を提供し、該方法は、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートおよび1種もしくはそれ以上の治療剤(例えばアルファVインテグリンに免疫特異的に結合する抗体または抗体フラグメント以外の予防または治療薬剤)をそれを必要とする対象者に投与することを含んでなる。炎症性障害または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、管理、処置または改善するために有用であることが知られているかまたは使用されていたかもしくは現在使用されているいずれの薬剤または治療も、本明細書中に記載される本発明に従って本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートと組み合わせて使用できる。かかる薬剤の例は、免疫調節剤、抗脈管新生剤、抗炎症剤およびTNFアルファアンタゴニストを含み、それらに限定はされない。
【0076】
炎症性障害を有する対象者に本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートと組み合わせて投与できる炎症調節剤の特定の例は、メトトレキセート、レフルノミド、シクロホスファミド、シトキサン、ヌラン、シクロスポリンA、ミノシクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えばFK506(タクロリムス(tacrolimus))、メチルプレドニゾロン(MP)、コルチコステロイド、ステロイド、マイコフェノレート・モフェチル、ラパマイシン(シロリムス)、レフルナミド、抗T細胞受容体抗体(例えばオルトコロン(Orthocolone)OKT3(Johnson & Johnson))、ヌビオン(Nuvion)(Protein Design Labs)、または抗CD20抗体(リツキサン(Rituxan、IDEC))、抗CD52抗体(例えばCAMPATH
1H(Ilex))、抗IL−2受容体抗体(例えばゼナパクス(Zenapax,Protein Design Labs))、抗IL−6(CNTO328、Centocor)または抗IL−6受容体抗体(MRA、Chugai)、および抗IL−12抗体(CNTO1275、Centocor)、抗−IFN抗体、抗−TNF抗体、抗−IL−1抗体およびIL−1アルファ/ベータアンタゴニストを含む。
【0077】
炎症性障害を有する対象者に本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートと組み合わせて投与できるTNFアルファアンタゴニストの例は、TNFアルファの機能、活性および/または発現を遮断、低減、阻害もしくは中和するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、抗体(およびその抗原結合性フラグメント)、例えばTNFアルファに免疫特異的に結合する抗体、核酸分子(例えばアンチセンス分子または三重らせん)、有機分子、無機分子、および小分子を含む。TNFアルファアンタゴニストの例は下記を含む:インフリキシマブ(infliximab)(REMICADE、Centocor)、D2E7(HUMARA;Abbott Laboratories/Knoll Pharmaceuticals Co.,Mt.Olive,N.J.)、CPD571、これはHUMICADEおよびCDP−870としても知られる(双方共にCelltech/Pharmacia,Slough,U.K.)、TNF−R1(Amgen)、エタネルセプト(etanercept)(ENBREL;Immunex)、および受容体のTNFRスーパーファミリーのその他のメンバーの阻害剤。本発明により包含されるその他のTNFアンタゴニストは、TNFアルファ産生を遮断しそして抗p−38MAPK剤として知られるIL−10を含むが、それらに限定はされない。
【0078】
炎症性障害を有する対象者に本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートと組み合わせて投与できる抗炎症剤の非限定の例は、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、ステロイド抗炎症剤、ベータ−アゴニスト、抗コリン作動剤、およびメチルキサンチンを含む。NSAIDの例は、イブプロフェン(ibuprofen)、セレコキシブ(celecoxib、CELEBREX)、ジクロフェナク(diclofenac、VOLTAREN)、エトドラク(etodolac、IODINE)、フェノプロフェン(fenoprofen、NALFON)、インドメタシン(indomethacin、INDOCIN)、ケトララク(ketoralac、TORADOL)、オキサプロジン(oxaprozin、DAYPRO)、ナブメントン(Nabumentone、RELAFEN)、スリンダク(sulindac、CLINORIL)、トルメンチン(tolmentine,TOLECTIN)、ロフェコキシブ(rofecoxib,VIOXX)、ナプロキセン(naproxen,ALEVE、NAPROSYN)、ケトプロフェン(ketoprofen、ACTRON)、およびナブメトン(nabumetone、RELAFEN)を含み、それらに限定はされない。かかるNSAIDは、シクロオキシゲナーゼ酵素(例えばCOX−1および/またはCOX−2)を阻害して機能する。ステロイド抗炎症剤の例は、グルココルチコイド、デキサメタゾン(dexamethasone、DECADRON)、コルチゾン(cortisone)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、プレドニゾン(prednisone,DELTASONE)、プレドニゾロン(prednisolone)、およびトリアムシノロン(triamcinolone)を含み、それらに限定はされない。
【0079】
特定の態様では、骨関節炎を有する患者は、鎮痛剤、例えばアセトアミノフェン、フェナセチン;およびトラマドール(tramadol)、NSAID、例えばアスピリン、ジフルニサル、ジクロフェナク、エトドラク、フェナメーツ、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メチルサリチレート、ネブメトン、ナプロキシン、オキサプラジン、フェニルブタゾン、ピロキシダム、スリンダク、およびトルメチン;シクロオキシゲナーゼ(Cox)−2−特異性阻害剤(CSI)例えばセレコキシブおよびロフェノキシブ;例えばグルココルチコイドもしくは生物薬剤のデポー製剤の関節内または関節周辺注入、およびヒアルロン酸の関節内注入を含み、それらに限定はされない骨関節炎の防止、処置、管理または改善のために有用な他の薬剤または治療と組み合わせた本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防もしくは治療的に有効な量を投与される。本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートは、骨関節炎罹患関節の灌注、関節負荷の低減;罹患した関節への熱または冷却の適用;カプサイシンクリーム;身体運動よびその他の身体的治療、および関節交換治療を含み、それらに限定はされない、骨関節炎の防止、処置、管理および改善における他の非薬剤学的手段と組み合わせて使用もできる。
【0080】
特定の態様では、リウマチ性関節炎を有する患者は、骨関節炎で考察したようなNSAID、鎮痛剤、およびCSIを含む、リウマチ性関節炎の防止、処置、管理および改善に有用な他の薬剤または治療と組み合わせて、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防もしくは治療的に有効な量を投与される。さらに、他の治療も、本発明の抗アルファV抗体の投与と同時、事前または事後に使用してもよく、例えば、高投与量のグルココルチコイドを用いる月毎のパルス、または関節内へのグルココルチコイド;メトトレキセート、金化合物(例えばオーラノフィン(Auranofin))、D−ペニシラミン、抗マラリア剤(例えばクロロキン(chloroquine))、およびスルファサラジン(sulfasalazine)を含む疾患変性抗リウマチ薬(DMARD);TNFα中和剤、例えばエタネルセプトおよびインフリキシマブ;アザチオプリン、レフルノミド、シクロスポリン、およびシクロホスファミドに限定はされない免疫抑制剤および細胞毒剤;および外科的介入、例えば関節形成、全関節交換、再建腕手術、開放もしくは関節鏡滑膜切除、および手首の初期腱鞘切除;外的介入、例えば各種の矯正および補助器具、およびその他の身体的治療;および食事サプリメント、例えばオメガ−3脂肪酸(例えばエイコサペンタエン酸)の摂取の増加である。
【0081】
特定の態様では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者は、短期および長期作用性ベータアドレナリン作動薬、例えばアルブテロール(albuterol)、ピルブテロール(pirbuterol)、テルブタリン(terbutaline)、およびメタプロテレノール(metaproterenol);経口持続放出性アルブテロールおよび吸入サルメテロール(salmeterol)を含みそれらに限定はされない気管支拡張剤;抗コリン作動剤、例えば臭化イプラトロピウム(ipratropium bromide)、およびテオフィリン(theophylline)およびその誘導体;グルココルチコイド;酸素;肺移植;肺気量低減手術;気管内管挿入、換気支援;毎年のインフルエンザワクチン接種および肺炎球菌ワクチン接種;身体運動;および禁煙を含みそれらに限定はされないCOPDの防止、処置、管理および改善に有用な他の薬剤または治療と組み合わせて、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防もしくは治療的に有効な量を投与される。
【0082】
特定の態様では、肺線維症の患者は、酸素;コルチコステロイド;細胞毒性薬剤(シクロホスファミドまたはアザチオプリン(azathioprine));気管支拡張剤(短期および長期作用性ベータアドレナリン作動剤、抗コリン作動剤、およびテオフィリンおよびその誘導体);および抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)およびドキシラミン(doxylamine))を含みそれらに限定はされない肺線維症治療のために有用な1種もしくはそれ以上の他の薬剤の有効量と組み合わせて、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防または治療的に有効な量を投与される。
【0083】
特定の態様では、喘息の患者は、アドレナリン作動性刺激剤(その例は、カテコールアミン、例えばエピネフリン(epinephrine)、イソプロテレノール(isoproterenol)、およびイソエタリン(isoetharine)を含み、それらに限定はされない)、レソルシノール、例えばメタプロテレノール(metaproterenol)、テルブタリン(terbutaline)、およびフェノテロール(fenoterol);およびサリゲニン、例えばサルブタモール;テオフィリンおよびその種々の塩を含むメチルキサンチン;硫酸アトロピン、メチル硝酸アコピン、および臭化イプラトロピウムを含む抗コリン作動剤;グルココルチコイド;肥満細胞安定化剤クロモリン(cromolyn)ナトリウムおよびネドクロミル(nedocromil)ナトリウム;ロイコトリエン変性剤ジロイトン(Zileuton)、ザフィルルカスト(zafirlukast)およびモンテルカスト(montelukast);メトトレキセートを含む免疫抑制剤;およびアセチルシステインを含みそれらに限定はされない喘息治療のために有用な1種もしくはそれ以上の他の薬剤の有効量と組み合わせて、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防または治療的に有効な量を投与される。
【0084】
特定の態様では、アレルギーを有する患者は、クロモリン;抗ヒスタミン剤;交感神経作用剤(アルファアドレナリンおよびベータアドレナリン作動薬の双方);テオフィリンおよびその誘導体;グルココルチコイド;およびアレルゲン注入を用いる免疫減感作処置を含みそれらに限定はされないアレルギー治療のために有用な1種もしくはそれ以上の他の薬剤の有効量と組み合わせて、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防または治療的に有効な量を投与される。
【0085】
自己免疫障害処置
本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートは、自己免疫障害または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、管理、処置または改善するためにそれを必要とする対象者に投与されてもよい。本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートは、自己免疫障害または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、管理、処置または改善するためにそれを必要とする対象者に、1種もしくはそれ以上の他の治療、好ましくは自己免疫障害を防止、管理または処置するために有用な治療(本明細書の以下に表示する予防または治療薬剤を含み、それらに限定はされない)と組み合わせて投与されてもよい。特定の態様では、本発明は、自己免疫障害または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、管理、処置または改善するための方法を提供し、該方法は、本発明の液体調剤の予防または治療的に有効な量の投与量をそれを必要とする対象者に投与することを含んでなる。別の態様では、本発明は、自己免疫障害または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、管理、処置または改善するための
方法を提供し、該方法は、本発明の液体調剤の予防または治療的に有効な量の投与量およびアルファVインテグリンに免疫特異的に結合する抗体または抗体フラグメント以外の1種もしくはそれ以上の治療(例えば予防または治療薬剤)の予防または治療的に有効な量の投与量を、それを必要とする対象者に投与することを含んでなる。
【0086】
本発明は、自己免疫障害のための慣用の治療に抵抗性の対象者内で、該自己免疫障害またはその1種もしくはそれ以上の症状を管理、処置または改善するための方法を提供し、該方法は、本発明の抗体の予防または治療的に有効な量の投与量を該対象者に投与することを含んでなる。本発明は、自己免疫障害のための現在の単一薬剤治療に抵抗性の対象者内に、該自己免疫障害またはその1種もしくはそれ以上の症状を管理、処置または改善するための方法も提供し、該方法は、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防または治療的に有効な量の投与量およびアルファVインテグリンに免疫特異的に結合する抗体または抗体フラグメント以外の1種もしくはそれ以上の治療(例えば予防または治療薬剤)の予防または治療的に有効な量の投与量を、該対象者に投与することを含んでなる。本発明は、他の治療には抵抗性でありこれ以上該治療を継続できないことが証明された患者に対する何れか他の治療と組み合わせて、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートを投与することによる、自己免疫障害または1種もしくはそれ以上のその症状を管理、処置または改善するための方法も提供する。本発明は、他の治療が、処置される対象者に対して毒性が高すぎる、すなわち受容できないかまたは耐えられない副作用が証明されたか、または証明されるであろう自己免疫障害の管理または処置に対する代替方法も提供する。
【0087】
具体的には、本発明は、患者が他の治療に抵抗性である自己免疫障害の管理または処置のための代替方法を提供する。さらに、本発明は、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの投与により処置されておりそして疾患活性がなくなった患者おける自己免疫障害の再発を防止する方法を提供する。
【0088】
自己免疫障害において、戦うべき外来物質がなくそして身体の正常な防御免疫系が誤って自己攻撃して自己の組織に損傷を起こした場合に、免疫系は免疫反応の引き金を引く。種々の様式で身体に影響する多数の異なる自己免疫障害がある。例えば、脳は、個体内で多発性硬化症に冒され、内蔵は個体内でクローン病に冒され、種々の関節の滑膜、骨および軟骨は個体内でリウマチ性関節炎に冒される。自己免疫障害が進行すると、身体組織の1個もしくはそれ以上のタイプの破壊、該器官または組織の血管新生に伴うであろう器官の異常な増大、または器官機能の変化がもたらされるであろう。自己免疫障害は、一つだけの器官または組織タイプを冒すこともありまたは複数の器官および組織を冒すこともある。自己免疫障害により一般的に冒される器官および組織は、赤血球、血管、結合組織、分泌腺(例えば甲状腺または膵臓)、筋肉、関節、および皮膚を含む。本発明の方法により処置できる自己免疫障害の例は、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗燐脂質症候群、自己免疫アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎おおび精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水泡性天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄多発性神経障害、チャーグ−ストラウス症候群、瘢痕類天疱瘡、CREST症候群、寒冷性凝集素疾患、クローン病、円板状紅斑症、本態性複合性寒冷グロブリン血症、線維筋痛−線維筋炎、糸球体腎炎、グレーヴズ病、ギラン−バレー、ハシモト甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑(ITP)、IgA神経症、若年性関節炎、偏平舌癬、エリテマトーデス、メニエール病、複合結合組織疾患、多発性硬化症、1型または免疫媒介真性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性動脈周囲炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ性関節炎、類肉腫症、強皮症、シェーグレン症候群、強直人間症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、例えば疱疹上皮膚脈管炎、白斑、およびヴェーゲナー肉芽腫症を含み、それらに限定はされない。
【0089】
自己免疫治療およびそれらの投与、投与経路および推奨される使用量は、当該技術分野では公知でありそしてPysician’s Desk Reference(第56版、2002および第57版、2003)のような文献に記載されている。
【0090】
本発明は、自己免疫障害または1種もしくはそれ以上のその症状を防止、管理、処置または改善する方法を提供し、該方法は、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートおよびアルファVインテグリンに免疫特異的に結合する抗体または抗体フラグメント以外の1種もしくはそれ以上の治療剤(例えば予防または治療的薬剤)をそれを必要とする対象者に投与することを含んでなる。自己免疫障害または1種もしくはそれ以上のその症状の防止、管理、処置または改善のために有用として知られているか、または使用されているかもしくは現在使用されているいずれの薬剤または治療も、本明細書中に記載の本発明に従って本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートと組み合わせて使用できる。かかる薬剤の例は、免疫調節剤、抗炎症剤およびTNFアルファアンタゴニストを含み、それらに限定はされない。自己免疫障害の防止、管理、処置または改善のために本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートと組み合わせて使用できる免疫調節剤、抗炎症剤およびTNFアルファアンタゴニストの例は、本明細書の上記に開示されている。
【0091】
特定の態様では、多発性硬化症(MS)を有する患者は、IFNベータ1b(Betaseron)およびIFN−アルファ2a(Avonex);酢酸グラチラマー(glatiramer、Copaxone);ミトキサントロン(mitoxantrone);メトトレキセート;シクロホスファミド;静脈内免疫グロブリン;グルココルチコイド;メチルプレドニゾロン;2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン(cladribine));バクロフェン(baclofen)(経口または埋め込みカテーテルを介する鞘内);塩酸シクロエンザプリン(cycloenzaprine);クロナゼパム(clonazepam);塩酸クロニジン(clonidine);カルバマゼピン(carbamazepine);ガバペンチン(gabapentin);アミトリプチリン(amitriptyline);プリミドン(primidone);オンダンセトロン(ondansetron);イソニアジド(isoniazid);オキシブチニン(oxybutynin);トルテロジン(tolterodine);プロパンテリン(propantheline);ベタネコル(bethanecol);塩酸テラゾシン(terazosin);クエン酸シルデナフィル(sildenafil);アマンタジン(amantadine);ペモリン(pemoline);高投与量ビタミン;オロチン酸カルシウム;ガンシクロビル(gancyclovir);抗生物質;および血漿交換を含みそれらに限定はされないMSの防止、処置、管理および改善に有用なその他の薬剤または治療と組み合わせて本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防または治療的に有効な量を投与される。
【0092】
特定の態様では、乾癬を有する患者は、局所用ステロイド含有製剤;タール(Estar、Psorigel、Fototarクリーム);局所用ビタミンD類似体、例えばカルシポトリエン(calcipotriene)軟膏;ソラレン(psoralen)を用いるかまたは用いない紫外光;メトトレキセート;シクロスポリン;スルファサラジン;および合成レチノイドを含む乾癬の防止、処置、管理および改善に有用な他の薬剤または治療と組み合わせて、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防または治療的に有効な量を投与される。
【0093】
特定の態様では、クローン病を有する患者は、下痢止め剤(ロペラミド(loperamide)、アトロピンを伴うジフェノキシレート、コレスチラミン(cholesty
lamineまたはコレスチポル(colestipol));痙攣止め(プロパンテリン(propantheline)、ジシクロミン(dicyclomine)、またはヒオシアミン(hyoscyamine));5−アミノサリチル酸剤(スルファサラジン、メサラミン(mesalamine)(Asacol)およびその徐放形態(Pentasa));コルチコステロイド;リウマチ性疾患に有用な免疫調節薬剤−アザチオプリン(azathioprine)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、シクロスポリン、およびメトトレキセート;抗生物質;エンテラセプトおよびインフリキシマブを含むTNF阻害剤;タクロリムス(tacrolimus)、ミコフェノレート・モフェティル(mycophenolate mofetil)、およびサリドマイドを含む免疫抑制剤;栄養治療;成分栄養食を含む経腸治療(例えばVivonexを4週間);および全非経口栄養を含み、それらに限定はされないクローン病の防止、処置、管理および改善に有用な他の薬剤または治療と組み合わせて、本発明の抗アルファV抗体コンジュゲートの予防または治療的に有効な量を投与される。
【0094】
特定の態様では、エリトマトーデスを有する患者は、抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキンを含み、それらに限定はされない);グルココルチコイド(例えば低投与量、高投与量、または高投与量の静脈内パルス投与が使用できる);シクロホスファミド、クロラムブシル、およびアザンチオプリン、メトトレキセートおよびミコフェノレート・モフェティルを含む免疫抑制性および免疫調節性薬剤;アンドロゲン系ステロイド(ダナゾールを含み、それに限定はされない);および抗凝集剤(ワルファリンを含み、それに限定はされない)を含み、それらに限定はされないエリトマトーデスの防止、処置、管理および改善に有用な他の薬剤または治療と組み合わせて、本発明の抗アルファV抗体の予防または治療的に有効な量を投与される。
【0095】
非悪性または免疫学的に関連する細胞増殖性疾患
本発明のコンジュゲートは、非悪性増殖性疾患および特には脈管新生を含むものの処置にも有用である。脈管新生は、増殖および転移する腫瘍の能力、網膜症を含むめ眼の障害、および乾癬およびカポシ肉腫を含む皮膚疾患に加えて多数の病理学的病状に関与する因子であることが知られている。かかる非腫瘍原性の脈管新生に依存する疾患の代表的な例は、角膜血管新生、肥厚性瘢痕およびケロイド、増殖性糖尿病網膜症、リウマチ性関節炎、動静脈奇形(上記で考察)、アテローム動脈硬化プラークおよび虚血性心疾患、遅延創傷治癒、血友病関節、癒着不能骨折、オスラー−ウエーバー症候群、乾癬、尋常性天疱瘡、ベーチェット症候群、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、月経過多(上記で考察)、および脈管接着を含む。
【0096】
4.薬剤調剤
本発明は、抗アルファVメイタンシノイドコンジュゲートの安定な調剤を提供し、それは好ましくはリン酸塩緩衝塩水または混合塩水溶液、ならびに保存剤を含む保存性溶液および調剤ならびに医薬または獣医薬使用に適する多用途保存調剤であって、製薬学的に許容できる調剤中に少なくとも1種の抗アルファVメイタンシノイドコンジュゲートを含んでなる。
【0097】
好ましい保存剤は、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサル、またはそれらの混合物から選択できるものを含む。
【0098】
本明細書中に記載の安定もしくは保存された調剤または溶液のいずれかの中の少なくとも1種の抗アルファVメイタンシノイドコンジュゲートは、皮下もしくは腹腔内注入;経皮、肺臓、粘膜経由、移植、浸透ポンプ、カートリッジ、ミクロポンプ、またはその他の
熟練者に認められそして当該技術分野では公知の手段を含む各種の送達方法を介して本発明に従って患者に投与できる。
【0099】
4.薬剤調剤
CNTO95−メイタンシノイドを投与する好ましい方法において、薬剤物質は輸液バッグを装着してあらかじめ設備したカテーテルから静脈経由で与えられる。CNTO95−メルタンシンは、ImmunoGen,Inc.(Cambridge,MA)により20ml単回使用バイアル中で供給される。それぞれのバイアルは、精製水、USP中にリン酸二水素一カリウム(0.57mg/ml)、リン酸二水素一ナトリウム二水和物(0.20mg/ml)、リン酸水素二ナトリウム(0.555mg/ml)、および塩化ナトリウム(8.16mg/ml)を本質的に含んでなる緩衝液(pH6.5±0.5)内に0.05〜約2.0mg/mlの濃度でタンパク質を含む。薬剤製品は、点滴注入の際に低タンパク質結合性5−μフイルターを通して輸液バッグ内に投与容積を2回前濾過し、そして調製から8時間以内にインライン0.22μmフィルターを通して患者に投与される。輸液の後、静脈管を液体でフラッシュして完全な薬剤投与量の送達を確実にする。
【0100】
静脈法で与えられるMab−メイタンシノイドコンジュゲートを用いたヒト患者内での以前の経験に基づいて、22〜295mg/Mの範囲の投与量を3週毎に与えることができる(J.Clin.Oncol.21:211−222,2003)。
【0101】
6.調製製品
本発明は、抗アルファVメイタンシノイドコンジュゲート、容器および容器上または添付されるラベルもしくはパッケージ挿入物を含んでなる、上記の障害の処置に有用な物質を含む調製製品を含む。調製製品は、好ましくは少なくとも1種の抗アルファVメイタンシノイドコンジュゲートの溶液と処方された緩衝液および/または保存剤を場合により水性希釈液中で含んでなる少なくとも1個のバイアルを含み、その際、該パッケージング材料はかかる溶液がある期間は保存できることを示したラベルを含んでなる。本発明は、パッケージング材料、冷凍乾燥した少なくとも1種の抗アルファVメイタンシノイドコンジュゲートを含んでなる第一バイアル、および処方された緩衝液または保存剤の水性希釈剤を含んでなる第二バイアルを含んでなる調製製品を含んでなってもよく、その際、該パッケージング材料は、少なくとも1種の抗アルファVメイタンシノイドコンジュゲートを水性希釈剤中で溶液を形成するように再構成する方法を医師または患者に指示するラベルを含んでなる。
【0102】
適合する容器は、例えばビン、バイアル、シリンジなどを含む。容器は各種の材料、例えばガラスまたはプラスチックから形成されてもよい。容器は、滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば容器は静脈内溶液バッグまたは皮下注射針により穿刺できる栓を有するバイアルであってもよい)。
【0103】
組成物内の少なくとも1種の活性薬剤は、抗アルファV抗体−メイタンシノイドコンジュゲートである。ラベルまたはパッケージング挿入物は、組成物が選択された病状、例えば癌を処置するために使用されることを指示する。その中のパッケージング挿入物は、抗体または組成物が、特定の疾患または診断のために本明細書中に記載した介護の標準で処置して、反応しないかまたは反応が良くない癌を処置するために使用されることを指示してもよい。別の態様では、パッケージング挿入物は、抗体−メイタンシノイドコンジュゲートまたは組成物が、転移癌、前立腺癌、乳癌、または結腸直腸癌を処置するためにも使用できると指示してもよい。
【0104】
本発明を一般的な用語で記載したが、本発明の態様は下記の実施例でさらに開示される

【実施例1】
【0105】
モノクローナル抗体CNTO95の製造および特性
抗アルファVインテグリン抗体CNTO95の製造は、国際特許出願公開(WO)02/12501号および米国特許公開第2003/040044号中に詳細に記載されており、双方共に引用することにより本明細書に編入される。特定すると、ヒトMab CNTO95は、ヒト胎盤から精製されたαβインテグリンを用いて(CBA/JxC57/BL6/J、GenPharm International)F2ハイブリッドマウスを免疫化して生成された。抗体は、ヒト可変およびIgG1カッパ定常領域から成っている。CNTO95の製造方法および望ましい特性は、以前に国際特許出願公開(WO)02/12501号およびTrikha,et al.,2004,Int.J.Cancer 110(3):326−335に記載されている。
【0106】
GenPharm Internationalからのトランスジェニックマウスは、ヒト免疫グロブリンは発現するがしかしマウスIgMまたはIgκを発現しないものを使用した。それらのマウスは、V(D)J結合、重鎖クラス交換および体細胞変異を受けてヒト配列免疫グロブリンのある範囲を生成するヒト配列導入遺伝子を含む(Taylor
et al.,International Immunology 6:579−591(1993))。軽鎖導入遺伝子は、生殖細胞系列ヒトVκ領域のほぼ半分を含む酵母人工染色体クローンから一部が誘導される。数種のVH遺伝子の他に、重鎖(HC)挿入遺伝子はヒトμおよびひとγ1(Lonberg et al..Nature 368:856−859(1994))および/またはγ3定常領域の双方をコードする。HC012遺伝子型の系列から誘導されたマウスが免疫化および融合プロセスに用いられて、本発明のコンジュゲートの調製に使用される抗アルファVモノクローナル抗体を生成した。
【0107】
αVβ3インテグリンを発現するヒト胎盤(肉ひき器を用いて破壊)またはM21ヒト黒色腫細胞を、記載(WO0212501)のようにして緩衝塩水中でOTG(オクチルチオグルコシド、Pierce)を用いて抽出した。それらの調製物を等量の完全フロイントアジュバントを用いて乳化しそして15〜17週齢の外科的に去勢した雄マウス(GenPharm,Foster City,CA)を1日目および14日目に、そして28日、48日および56日に不完全フロイント中で免疫化するために使用した。3日後、脾臓細胞をマウスから採取すると、固相EIAフォーマットを用いてアルファVベータ3に対して1:1280の力価を示した。融合は、ネズミ骨髄腫細胞(SP2/0)と生存脾臓細胞との1:1比で行った。ハイブリドーマ上清をEIAマイクロプレートアッセイまたはEIAキャプチュアアッセイを用いてスクリーニングしそして選択した抗体産生系列を増幅しそして所望の性質に関して再試験した。
【0108】
ELISA分析は、2種のハイブリドーマ、C371A(Mab CNTO95とも呼ばれる)およびC372Aからの精製抗体が、濃度依存性の様式でアルファVベータ3を結合することを確認した。50%結合が、C372AおよびCNTO95についてそれぞれ0.07および0.7μg/mLで達成された。同じアッセイで、抗アルファIIベータ3抗体、c7E3 IgGは、0.07μg/mLで50%極大結合を示した。
【0109】
CNTO95競合結合(または相補化)の独特の特異性を確認するために、下記のネズミ抗体を用いてアッセイを行った:m7E3 IgG、抗アルファVベータ3(クローンLM609,Chemicon)、抗アルファVベータ5(クローンP1F6,Gibco)、抗ベータ3(Chemicon,AMAC)、または抗アルファV(クローンVNR139,Gibco)抗体。それらの結果は、CNTO95が、試験した他の抗体によ
り共有されないでエピトープを結合することを示した。
【0110】
精製インテグリンの結合親和性値は、125−I CNTO95を用いて種々の細胞系列で発現される受容体への結合で比較した。A375S2およびM2細胞はαβおよびαβの双方を発現する。HT−29細胞はαβ5を発現する。比較のために、インテグリンを結合できる他のMabを使用した。Kdは抗体の複数のロットの複数の反復を使用して、それぞれの場合に飽和結合曲線から算出した。αβ3被覆プレートでは、CNTO95平均Kは2.1±1.33x10−10Mであり;そして平均アブシキシマブ(abciximab)Kは2.5±1.46x10−10Mであった。αβに対するCNTO95平均Kは2.5±1.04x10−11Mであった。アブシキシマブはαβ被覆プレートに対して結合も投与量反応も示さなかった。
【0111】
図4に示すように、CNTO95を用いる投与は、ヌードマウス中のヒト黒色腫瘍の増殖を阻害した。26日目にCNTO95は、対照処置動物からの腫瘍と比較して約80%の腫瘍増殖を阻害した。このモデルで、CNTO95は、それがマウスインテグリンを結合しないので、宿主脈管新生血管と相互作用しなかったが、それは、ヒト腫瘍発現インテグリン単独の遮断が、抗脈管新生効果とは独立してマウス内で腫瘍増殖を阻害できることを示唆する。
【0112】
ラット研究では、6〜7週齢の雌ヌードラットをHarlanから購入した、ラット20匹を脇腹領域にA375.S2細胞(3x10)を用いて皮下接種した(1日目)。4日目に、ラットを無作為の2群に割り当てた。一つの群はCNTO95(10mg/kg、PBS中)を静脈内注射され、他の群はイソ型一致対照IgG(10mg/kg)を受けた。投与はその後46日目まで毎週連続した(全体で6回投与)。腫瘍は、カリパスを用いて毎週2回測定しそして腫瘍体積は、式:(長さx幅)/2から算出した。体重も毎週記録した。
【0113】
ラットにおいて、CNTO95は、ラット脈管新生インテグリンおよびヒト腫瘍細胞発現インテグリンの双方を遮断できる。10mg/kgでCNTO95を用いて腫瘍を有するヌードラットの毎週の処理は、イソ型一致ヒトIgG対照MAbと比較して腫瘍増殖を低下させた(図5)。46日目に、対照処理ヌードラットと比較してCNTO95を用いる処理は最終腫瘍サイズに著しい低下をもたらした(p=0.0007)。
【0114】
要約すると、CNTO95は、完全にヒトMabであり、それは独特の特異性、結合活性および活性をもってインテグリンのアルファVファミリーのメンバーを結合し、そのことはそれがイン・ビトロおよびイン・ビボでインテグリン受容体アルファVベータ3およびアルファVベータ5の生物学的作用を中和することを示す複数の機能アッセイにより証明された。CNTO95は、イン・ビトロで腫瘍および内皮細胞の双方の接着、移動、増殖および浸透を阻害し、そして複数のアルファVインテグリン受容体の結合および遮断は、単一インテグリン単独の遮断よりさらに有効であることを示した。さらに、CNTO95は脈管新生および腫瘍増殖をイン・ビボで阻害した。ヒト黒色腫の増殖は、マウスモデルにおける腫瘍細胞インテグリンの遮断によりまたはラットモデルにおける腫瘍細胞および宿主脈管新生インテグリンの複合遮断により著しく低下され、抗腫瘍効力の複数細胞標的を目標とする見込みがある重要性を強調した。
【0115】
イン・ビトロモデルの結果は、CNTO95が強力な抗脈管新生性を有し、内皮細胞接着、増殖、異動および毛細管発生を阻害することを示した。さらに、CNTO95は、ラットMatrigelモデルにおいてbFGFおよびM21黒色腫細胞の両者により、および霊長類動物脈管新生モデルにおいてbFGFにより刺激される脈管新生を遮断した。CNTO95は、げっ歯類動物モデル、およびカニクイザルにおける新規の非ヒト霊長類モデルの双方で強力な抗脈管新生作用を示した。
【0116】
脈管新生内皮上のインテグリンの遮断に加え、腫瘍細胞自体に対するインテグリン機能を阻害する能力が、腫瘍の増殖を低下する。多数のアルファVインテグリンが腫瘍細胞生物学において重要な役割を有すると示唆されている。CNTO95が宿主インテグリンと交差反応しないマウス異種移植モデルにおいて、CNTO95を用いる処理は、v3/5陽性黒色腫瘍の増殖を著しく阻害した。
【0117】
CNTO95の最も重要な特徴の一つは、その完全にヒト的な性質である。それは完全にヒトなので、CNTO95は、患者内に免疫反応を起こしにくいであろう。さらに、CNTO95は、アルファVベータ3およびアルファVベータ5のみならず、他のアルファVインテグリン、例えばアルファVベータ6およびアルファVベータ1を結合できるので、それは複数のインテグリン媒介イベントを阻害する可能性がある。
【実施例2】
【0118】
CNTO95メイタンシンコンジュゲートの調製
チオール化メイタンシンの抗体コンジュゲートが、記載の二官能性リンカーを用いて出発するさらなる生物学的試験のための調製された。
【0119】
CNTO95抗体は、コンジュゲーションのためにCentocorにより提供された。CNTO95は、全部で約20mg/ml(260mg)提供された。抗体は緩衝液A(50mM KPi、50mM NaCl、2mM EDTA pH6.5)中で透析され、次いで95%緩衝液A、5%ETOH内で8mg/mlとされた。抗体は、薬剤コンジュゲーションのためのリンカーを導入するためにSPPの6.5倍モル過剰を用いて変性され、CNTO95−SS−Pyを形成した(ここでS−Pyは、2−メルカプトピリジンである)。残基SPPをG25ゲル濾過クロマトグラフィーにより除去した。リンカーとAbの比率は、4.7と測定された。Ab−SS−Pyコンジュゲートは、97%緩衝液A、3%ジメチルアセトアミド中の3.2/mlの抗体濃度を用いて、リンカーに対してDM1(MW=737.5g/mole)の1.7倍モル過剰を用いて変性された。コンジュゲーションの後、緩衝液としてPBS pH6.5を用いてG25上でコンジュゲートを再クロマトグラフィー処理した。得られたコンジュゲートは、CNTO95のモルあたりにDM1の3.2モルを含んでいた:〔Ab〕=2.59mg/ml、〔DM1〕=38.3μg/ml。計算は、濾過した物質の252および280nmにおける吸光度読みに基づきそして吸光係数:280nmでAb=224,000M−1cm−1、280nmでDM1=5700M−1cm−1、252nmでAb=82,880M−1cm−1、252nmでDM1=26,790M−1cm−1を用いた。
【0120】
生成物は、非還元性SDS−PAGE、SEC HPLCにより、そしてELISAによるアルファVベータ3およびアルファVベータ5タンパク質への結合親和性により分析した。PAGEにより、生成物は、主として160kDa周辺のバンドでありそしてそれより薄くより低分子量バンドも見えた。SEC HPLC分析により、モノマーを溶離するコンジュゲートの画分(18.8’)は96%でありそしてコンジュゲートの約4%はより高い分子量種として溶離された(16.2’)。結合親和性は、吸光度と濃度のグラフを描いて算出され、それはCNTO95に対して3.0 e−11Mの見かけK、アルファVベータ5上のコンジュゲートに対して3.5 e−11MのKを与えた。双方の種は、アルファVベータ3に対して約3.0 e−9の見かけKを与えた。
【0121】
CNTO95−SPP−DM1およびDM4にコンジュゲーションされたCNTO95コンジュゲートの他のバッチおよび同様にコンジュゲーションされた非ヒト抗原F105を標的とする無関係抗体は、図2に示した二官能性リンカーを用いて図3に説明したと類
似の様式で調製された。それらの調製物の特性を以下に記載する。
【0122】
CNTO95−SPP−DM1(CNTO364)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM1にSPPリンカーを用いてコンジュゲーションされた:270.6mgCNTO95をDM1 3.7mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート98mlは、pH6.5でPBS中、2.74mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM1濃度は、吸光度により37.6μg/mLと決定された。従って、CNTO95のモルあたりのDM1の比は2.98である(DM1 1μgは、コンジュゲーションCNTO95抗体の68.9μgに相当する)。HPLCにより、調製物は0.59%遊離薬剤を伴うモノマー96.3%であった。
【0123】
CNTO95−SPP−DM1(CNTO364)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM1にSPPリンカーを用いてコンジュゲーションされた:104mgCNTO95をDM1 1.82mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート26mlは、pH6.5でPBS中、コンジュゲーションしたCNTO95−SPP−DM1抗体の3.65mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM1濃度は、吸光度により70.07μg/mLと決定された。従って、調製物はCNTO95モルあたりにDM1の3.80モルの比を含む(DM1 1μgは、コンジュゲーションCNTO95抗体の57.2μgに相当する)。HPLCにより、調製物は1.61%遊離薬剤を伴うモノマー93.4%であった。
【0124】
CNTO95−SPP−DM1(CNTO364)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM1にSPPリンカーを用いてコンジュゲーションされた:228mgCNTO95をDM1 4.13mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート102mlは、pH6.5でPBS抗体中、コンジュゲーションしたCNTO95−SPP−DM1抗体の2.24mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM1濃度は、吸光度により40.53μg/mLと決定された。従って、調製物はCNTO95モルあたりにDM1の3.93モルの比を含む(DM1 1μgは、コンジュゲーションCNTO95抗体の55.3μgに相当する)。HPLCにより、調製物は1.00%遊離薬剤を伴うモノマー94.7%であった。
【0125】
CNTO95−SSNPB−DM4(CNTO365)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM4にSSNPBリンカーを用いてコンジュゲーションされた:121mgCNTO95をDM4 2.18mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート34mlは、pH6.5でPBS中、3.25mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM4濃度は、吸光度により64.11μg/mLと決定された。従って、抗体モルあたりのDM4の比は3.57である(DM4 1μgは、コンジュゲーションCNTO95抗体の55.6μgに相当する)。HPLCにより、調製物は3.23%遊離薬剤を伴うモノマー95.4%であった。
【0126】
CNTO95−SSNPP−DM4(CNTO366)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM4にSSNPPリンカーを用いてコンジュゲーションされた:101mgCNTO95をDM4 1.45mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート30mlは、pH6.5でPBS中、3.07mg/mL抗体で2℃〜8℃で保管した。DM4濃度は、吸光度により48.39μg/mLと決定された。従って、調製物はCNTO95モルあたりにDM4の2.95モルを有する(DM4 1μgは、コンジュゲーションCNTO95抗体の69.5μgに相当する)。HPLCにより、調製物は1.18%遊離薬剤を伴うモノマー85.9%であった。
【0127】
CNTO95−SPDB−DM4(CNTO365)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM4にSPDBリンカーを用いてコンジュゲーションされた:228.5mgCNTO95をDM4 4.37mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート104.5mlは、pH6.5でPBS中、コンジュゲーションされたCNTO95−SPDB−DM4抗体の2.19mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM4濃度は、吸光度により41.84μg/mLと決定された。従って、調製物はCNTO95モルあたりにDM4の3.92モルを有する(DM4 1μgは、コンジュゲーションCNTO95抗体の52.3μgに相当する)。HPLCにより、調製物は0.55%遊離薬剤を伴うモノマー93.6%であった。
【0128】
CNTO95−SPDB−DM4(CNTO365)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM4にSPDBリンカーを用いてコンジュゲーションされた:309mgCNTO95をDM4 5.4mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート130.7mlは、pH6.5でPBS中、コンジュゲーションされたCNTO95−SPDB−DM4抗体の2.36mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM4濃度は、吸光度により41.2μg/mLと決定された。従って、調製物はCNTO95モルあたりにDM4の3.57モルを有する(DM4 1μgは、コンジュゲーションCNTO95抗体の57.5μgに相当する)。HPLCにより、調製物は0.40%遊離薬剤を伴うモノマー93.8%であった。
【0129】
CNTO95−SPP−DM1(CNTO364)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM1にSPPリンカーを用いてコンジュゲーションされた:270.6mgCNTO95をDM1 3.7mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲートは、pH6.5でPBS中、2.74mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM1濃度は、吸光度により37.6μg/mLと決定された。従って、調製物はNTO95モルあたりにDM1 2.98の比率で含有する(DM1 1μgは、コンジュゲーションCNTO95抗体の68.9μgに相当する)。HPLCにより、調製物は0.59%遊離薬剤を伴うモノマー96.3%であった。
【0130】
CNTO95−SPP−DM1(CNTO364)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM1にSPPリンカーを用いてコンジュゲーションされた:245mgF105をDM1 4.28mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート91.5mlは、pH6.5でPBS中、コンジュゲーションされたF105−SPP−DM1抗体の2.68mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM1濃度は、吸光度により46.76μg/mLと決定された。従って、調製物はF105モルあたりにDM1 3.79モルの比率で含有する(DM1 1μgは、コンジュゲーションF105抗体の57.3μgに相当する)。HPLCにより、調製物は2.44%遊離薬剤を伴うモノマー90.3%であった。
【0131】
CNTO95−SPP−DM4(CNTO366)の調製。モノクローナル抗体CNTO95は、下記のようにしてメイタンシノイドDM4にSPPリンカーを用いてコンジュゲーションされた:76.7mgCNTO95をDM4 1.10mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート35mlは、pH6.5でPBS中、コンジュゲーションされたCNTO95−SPP−DM4抗体の2.19mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM4濃度は、吸光度により31.5μg/mLと決定された。従って、調製物はNTO95モルあたりにDM4 2.96モルの比率で含有する(DM4 1μgは、コンジュゲーションCNTO95抗体の69.4μgに相当する)。HPLCにより、調製物は1.14%遊離薬剤を伴うモノマー97.3%であった。
【0132】
F105−SSNPB−DM4の調製。モノクローナル抗体F105は、下記のように
してメイタンシノイドDM4にSSNPBリンカーを用いてコンジュゲーションされた:106mgF105をDM4 1.84mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート25mlは、pH6.5でPBS中、3.85mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM4濃度は、吸光度により73.45μg/mLと決定された。従って、抗体モルあたりのDM4の比は3.57である(DM4 1μgは、コンジュゲーションF105抗体の57.5μgに相当する)。HPLCにより、調製物は1.92%遊離薬剤を伴うモノマー85.1%であった。
【0133】
F105−SSNPB−DM4の調製。モノクローナル抗体F105は、下記のようにしてメイタンシノイドDM4にSSNPBリンカーを用いてコンジュゲーションされた:106mgF105をDM4 1.84mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート30mlは、pH6.5でPBS中、3.46mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM4濃度は、吸光度により57.93μg/mLと決定された。従って、抗体モルあたりのDM4の比は3.32である(DM4 1μgは、コンジュゲーションF105抗体の65.4μgに相当する)。HPLCにより、調製物は1.85%遊離薬剤を伴うモノマー88.8%であった。
【0134】
F105−SSNPP−DM4の調製。モノクローナル抗体F105は、下記のようにしてメイタンシノイドDM4にSSNPPリンカーを用いてコンジュゲーションされた:105mgF105をDM4 1.76mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート28mlは、pH6.5でPBS中、3.41mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM4濃度は、吸光度により62.87μg/mLと決定された。従って、調製物はF105のモルあたりにDM4の3.45モルを含む(DM4 1μgは、コンジュゲーションF105抗体の59.4μgに相当する)。HPLCにより、調製物は3.75%遊離薬剤を伴うモノマー85.9%であった。
【0135】
F105−SPDB−DM4の調製。モノクローナル抗体F105は、下記のようにしてメイタンシノイドDM4にSPDBリンカーを用いてコンジュゲーションされた:230.5mgF105をDM4 4.12mgにコンジュゲーションし、得られたコンジュゲート104.5mlは、pH6.5でPBS中、2.21mg/mLで2℃〜8℃で保管した。DM4濃度は、吸光度により39.41μg/mLと決定された。従って、調製物はF105のモルあたりにDM4の3.66モルを含む(DM4 1μgは、コンジュゲーションF105抗体の56.0μgに相当する)。HPLCにより、調製物は0.65%遊離薬剤を伴うモノマー89.2%であった。
【0136】
要約して、下記の種がさらなる分析のために合成された(表6)。
【0137】
【表1】

【実施例3】
【0138】
腫瘍細胞へ結合するCNTO95メイタンシンコンジュゲート
生きている細胞へ結合するCNTO95−メイタンシノイドコンジュゲートの能力および親和性を試験した。
【0139】
物質および方法。CNTO95、Centocorロット番号95−VF30A03−1、PBS中20mg/ml;CNTO364(CNTO95−SPP−DM1)、ImmunoGenロット番号1806−164、DM1の37.6mg/ml、コンジュゲーション抗体の2.74mg/ml、エンドトキシンレベル<0.1EU/mg;CNTO365(CNTO95−SPDB−DM4)、ImmunoGenロット番号2020−78、DM4の41.2mg/ml、コンジュゲーション抗体の2.36mg/ml、エンドトキシンレベル<0.1EU/mg;CNTO366(CNTO95−SPP−DM4)、ImmunoGenロット番号2020−48、DM4の31.5mg/ml、コンジュゲーション抗体の2.19mg/ml、エンドトキシンレベル<0.1EU/mg。
【0140】
細胞:HT29ヒト結腸癌腫およびA549ヒト肺癌腫細胞はATCC由来でありそして10%ウシ胎児血清(FBS)を補足したアルファMEM中に維持した。A2780ヒト卵巣癌腫細胞はNational Cancer Instituteから入手した。A2780細胞は、10%FBSを含むRPMI 1640培地内で培養した。細胞を採
取し、リンスし、血清を含まないDMEM中に懸濁し、そして逐次系列的に希釈したCNTO95、CNTO364、CNTO365およびCNTO366およびFITC標識抗ヒト抗体(10mg/ml)を用いて氷上で60分間系統的にインキュベーションした。一次抗体が存在しないかまたはイソ型一致抗体を用いる一次抗体の置換を対照として使用した。細胞は直ちにFACS ScanIIフローサイトメーター(Becton Dickson,Mountain View,CA)を用いて分析した。データは、非線型回帰を用いるGraphPad Prismソフトウエアを用いて分析して50%極大結合における濃度を決定した(表7)。有効結合定数は、大部分の場合に2倍未満の変化であった。
【0141】
【表2】

【実施例4】
【0142】
腫瘍細胞へのCNTO95メイタンシンコンジュゲートの細胞毒性
時間経過に対する腫瘍細胞を死滅させるCNTO95メイタンシノイドコンジュゲートの能力をイン・ビトロで試験した。
【0143】
CNTO364(CNTO95−SPP−DM1)、ImmunoGenロット番号1806−164、DM1の37.6mg/ml、コンジュゲーション抗体の2.74mg/ml、エンドトキシンレベル<0.1EU/mg;CNTO365(CNTO95−SPDB−DM4)、ImmunoGenロット番号2020−78、DM4の41.2mg/ml、コンジュゲーション抗体の2.36mg/ml、エンドトキシンレベル<0.1EU/mg;CNTO366(CNTO95−SPP−DM4)、ImmunoGenロット番号2020−48、DM4の31.5mg/ml、コンジュゲーション抗体の2.19mg/ml、エンドトキシンレベル<0.1EU/mg。
【0144】
ヒトHT29ヒト結腸癌腫およびヒト非小細胞肺癌腫細胞A549(ATCC)を5%COの存在下、37℃で10%PBSを補足したαMEM中で培養した。細胞を培地内の白色96ウエル組織培養プレート(5000細胞/ウエル)内に接種しそして16時間インキュベーションした。免疫コンジュゲートの系列的希釈液をそれぞれ適当なウエルに加えた(0〜20μg/ml)。組織培養プレートを37℃で96時間インキュベーションした。ATPLIteアッセイを製造者の指示に従って行った。データは非線型回帰を用いるGraphPad Prismソフトウエアを用いて分析して(表8)発光度により測定した半極大細胞数での濃度を決定した。
【0145】
【表3】

【実施例5】
【0146】
ヒト黒色腫誘導腫瘍を有するラットのCNTO95−DM1処置
進行した皮下A372.S2ヒト黒色腫細胞に対して、CNTO95と比較したCNTO364の効力を研究した。
【0147】
CNTO95−DM1は、ImmunoGen Inc.により調製されたロット番号1716−74B、ストック濃度:2.59mg/mlであった。CNTO95−DM1の5mg/kgは、DM1の74μg/kgに相当する。CNTO95はCentocorロット番号5380−027、ストック濃度=20mg/mlからであった。ヒトIgG−DM1:ChromPureヒトIgGは、Jackson ImmunoResearch Laboratoriesからであった。ヒトIgG−DM1は、ImmunoGen Inc.により調製されたロット番号1762−50、ストック濃度:2.8mg/mlであった。コンジュゲートの5mg/kgは、DM1の76μg/kgに相当する。メイタンシン:PBS中、pH6.5でImmunoGen Inc.ロット番号1710−121、ストック濃度=16.38mg/ml。メイタンシンのストック溶液は、PBSを用いて15および17.5μg/mlに希釈された。PBS:ImmunoGen、pH6.5。A375.S2ヒト黒色腫細胞は、ATCCから購入しそしてサブパッセージしそしてCentocor Cell Biology Servicesに冷凍アリコートとして保管した。
【0148】
9週齢の無胸腺症ヌードラットをA375.S2ヒト黒色腫細胞を用いて皮下に接種した。14日目に、平均腫瘍体積が250〜300mmに達し、動物を9/10匹に無作為群分けをし、そして処置を開始した。CNTO95−DM1および適当な対照化合物を静脈内に注入した(最初の週は一日おきに3回注入、次いで11、14、16、21および28日目に2週間にわたって週1回の割合で行った。腫瘍の大きさおよび体重を記録した。図6は、ヌードマウスにおけるヒト黒色腫の時間経過に対する腫瘍体積の変化を示す。腫瘍体積は、平均±標準偏差(n=9または10)で表される。矢印は静脈内薬剤注入を示す。星印の非反応の動物は、腫瘍体積が1500mmを越えたので屠殺した。すべての動物は、35日目に屠殺した。腫瘍体積は、平均±標準偏差(n=9または10)で表された。矢印は静脈内薬剤注入を示す。5mg/kgのCNTO95−DM1は、腫瘍増殖を遮断しそして平均腫瘍体積を低下したが、10mg/kgのCNTO95は本実験ではどのような作用も示さなかった。
【0149】
ラットの第二の実験で、平均腫瘍体積は14日目に250mmに達した。動物は無作為に群分けされそして第一投与は、14日目に静脈内に投与された。引き続く注入は、同じ週の16日目および18日目に与えられ次いでその後23日目および31日目に毎週一回を与えられた。すべての動物は35日目に屠殺された。CNTO95DM1 5mg/kgは、雌無胸腺ラット内でA375.S2ヒト黒色腫異種移植の完全な症状退行を起こした(図7)。PBSを含む対照化合物、遊離CNTO95、無関連抗体DM1共役体、
遊離メイタンシン、および遊離CNTO95プラス遊離メイタンシンはどのような著しい作用も示さなかった。
【実施例6】
【0150】
ヒト結腸癌腫−誘導腫瘍を有するラットのCNTO95−DM1処置
進行した皮下HT29ヒト結腸癌腫に対してCNTO95と比較したCNTO364の効力を研究した。
【0151】
CNTO364、ImmunoGenロット番号1806−50、タンパク質濃度2.53mg/ml、DM1濃度41.8mg/ml、CNTO95に対するDM1の比率;CNTO95モルあたりにDM1の3.6モル。PBSまたは抗体F105−DM1を対照F015−DM1として使用した;ImmunoGenロット番号1806−44、タンパク質濃度2.2mg/ml、DM1濃度38.3mg/ml、F105に対するDM1の比率;F105モルあたりにDM1の3.8モル。すべての試験物は、内毒素汚染について試験されそしてLAL値は1.0EU/mg未満であった。avb3、avb5、およびavb6インテグリンを発現するHT29ヒト結腸癌腫細胞系統は、Centocorの細胞バンクから入手した。この細胞系統は、マイコプラズマおよび細菌病原を含まないことが決定された。細胞は5%COの存在下、37℃で10%FEB、1%ピルビン酸、および1%MEM非必須アミノ酸を補足されたaMEM中で培養された。
【0152】
Harlan Laboratories(Indianapolis,IN)から入手した70匹の雌無胸腺症ラットを本研究に使用した。ラットは、後側部領域(背面側、尾部から最終肋骨に向かって約0.5インチ、そして背骨から0.5インチ)に5x10HT29細胞皮下(25x10細胞/mlの0.2ml)を注入された。すべてのラットは、触知できる腫瘍の外見について毎日(作業日)監視された。動物は、それぞれ動物9匹を含む7群にそれぞれの腫瘍体積に応じて層別した(表9)すべての群の平均出発腫瘍体積は250〜260mmであった。
【0153】
【表4】

【0154】
群分けの日(0日目)に、動物の体重計測しそして対照抗体F105−DM1を25mg/kgまたはCNTO364を3、6、10、15または25mg/kgで静脈内に注入した。すべての供試および対照物は、1ml/100g(体重)の体積で与えられた。3、6および10mg/mlのCNTO364群は、q7dx5スケジュールで静脈内投与された。15mg/kgのCNTO364は7、14および35日目に投与された。25mg/kgのCNTO364および25mg/kgのF105−DM1は、7日目および14日目に投与された。後者の2群は、著しい体重減少(0日目から10%以上)のために施設のIACUCガイドラインに従って安楽死された(図8)。
【0155】
腫瘍体積測定は週に2回記録された。腫瘍は、カリパスを用いて二つの寸法(長さx幅)をmmで測定した。腫瘍体積(mm)は、式V=(長さx幅x幅)/2を用いて算出された。統計的処理は、不対(unpaired)t検定を用いてGraphPad Prismソフトウエアを用いて行った。
【0156】
CNTO364は、投与量依存性の様式で確立された結腸腫瘍の増殖を阻害した(図9)。q7dx5投与スケジュールの10mg/kgのCNTO364は、動物9匹中で3匹の完全腫瘍退行および2匹の部分退行をもたらした(図10)。7、14および35日目の15mg/kgのCNTO364を用いる処置は、9匹の腫瘍負荷動物中で4匹の完全退行および4匹の部分退行をもたらした。PBS対照群は、腫瘍細胞移植の35日後に終結した(5000mmを越える平均腫瘍体積)。その時点で、10mg/kgおよび15mg/kgでのCNTO364処置群とPBS対照との間の腫瘍体積の差異は、両側不対t検定を用いて<0.0001のP値であった。
【0157】
25mg/kgのCNTO364および25mg/kgのF105−DM1の両方の連続注入は毒性でありそして許容できない体重低下をもたらした(図8)。しかし、25mg/kgのCNTO364の単独注入は、4000mmを越える平均腫瘍体積を持った進行したHT29ヒト結腸癌腫を完全に退行させた(図示せず)。
【実施例7】
【0158】
ヒト肺臓癌腫誘導の腫瘍を有するラットのCNTO95−DM1処置
本研究は、A549ヒト肺臓癌腫を有する雌無胸腺症ラット中でのCNTO95−DM1コンジュゲートの生体内効力を評価するために行った。CNTO95は、Centocor(Malvern,PA)により調製されそしてDM1のコンジュゲートはImmunoGen(Cambridge,MA)により行われた。CNTO364(CNTO95−SPP−DM1)は、実施例1の記載と同様である。
【0159】
ヒト肺臓癌腫細胞系統A549(ATCC)は、10%FBSを含むMEMアルファ中で培養されそして細胞は無胸腺症ラット中に皮下移植のために血清を含まないαMEM中で調製された。雌無胸腺症ラット(6週齢、Harlan Laboratory,Indianapolis,IN)の背側面領域(背面側、尾部から最終肋骨に向かって約0.5インチ、そして背骨から0.5インチ)の背側面領域に5x10細胞(25x10細胞の0.2ml)を皮下に移植した。平均腫瘍体積が250mmに達すると、動物を同じ平均腫瘍体積で投与群に層分けし(表10)そして腫瘍細胞注入の後17日目および29日目に静脈内投与した。
【0160】
【表5】

【0161】
腫瘍体積測定は、週に2回記録された。腫瘍は、mmで二方向の寸法(長さおよび幅)を電子式Vernierカリパスを用いて測定された。腫瘍体積(mm)は、式V=(長さX幅X幅)/2を用いて算出された。腫瘍体積は平均±標準偏差(n=6)として表した。それらの結果を時間に対してプロット(図12)し、ここで矢印は静脈内薬剤注入の時間を示す。耐性の指標として体重を用ると(図11)、本研究に使用したCNTO364投与スケジュールが動物により良く耐えられ、最初の投与の後に当初体重から一時的に3%の体重減少があったことも示す。
【0162】
Bonferroni検定を用いる分散の一要因解析(ANOVA)は、95%信頼区間を用いてGraphPad Prism4ソフトウエア(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を用いて行った。図12に関して:群1、PBS;群2、15mg/kgのF105−DM1;群3、15mg/kgのCNTO364;群4、15mg/kgのCNTO95単独;群5、15mg/kgのCNTO95および260mg/kgのメイタンシン;群6、260mg/kgのメイタンシン単独。P値は、複数比較のためのBonferroni検定を用いる分散の一要因解析(ANOVA)により決定した。P<0.05、CNTO364対F105−DM1、CNTO95プラスメイタンシンまたはメイタンシン単独;**P<0.01、CNTO364対CNTO95単独、***P<0.001、CNTO364対PBS。
【0163】
体積が大きいCNTO95へのDM1のコンジュゲーションは、生体内のDM1の半減期を延長することによりDM1の薬物動力学的性質を変化させるであろう。この可能性を排除するために、無関係の抗体F105−DM1免疫コンジュゲートを本研究内に入れて、CNTO95−DM1コンジュゲートの活性がCNTO95依存性であるかどうかを決定した。CNTO95は、抗脈管新生性および抗腫瘍性化合物でありそしてDM1は細胞毒薬剤なので、抗腫瘍活性が遊離CNTO95および遊離DM1の単純な加法的作用による可能性がある。従って、遊離CNTO95、遊離CNTO95プラス遊離メイタンシン、および遊離メイタンシン投与群を対照として入れた。図13に示すように、15mg/kgのCNTO364は、qx12dx2投与スケジュールで6匹の腫瘍A549肺臓腫瘍異種移植から6匹を外した。F105−DM1群中の1匹およびCNTO95プラスメイタンシン群中の2匹での完全腫瘍消去が観察された。それらの結果は、A549肺臓腫瘍退行におけるCNTO95−DM1免疫コンジュゲート、CNTO364の優越性を示す。この投与方式でCNTO364を用いて処置された動物は、一時的皮膚毒性および体重減少を示したが、激しい毒性の明白な兆候は示さなかった。
【実施例8】
【0164】
ヒト結腸癌腫瘍モデルにおけるコンジュゲート構造の比較
免疫無防備状態ラット中の皮下移植HT29ヒト結腸腫瘍−誘導細胞を用いる進行した腫瘍モデルは、CNTO95の免疫コンジュゲート調製に用いられた種々の連結の耐性および効力を検討するために選択された。
【0165】
CNTO95−SPP−DM1(CNTO364)、CNTO95−SSNPB−DM4(CNTO365)、CNTO95−SSNPP−DM4(CNTO366)およびそれらのMab F105相当物は、ImmunoGen(Cambridge,MA)により調製された。100匹の雌無胸腺症ラット(4〜6週齢)はHarlan Laboratoriesから入手した。
【0166】
ヒトHT29(ATCC)を5%COの存在下、37℃で10%FBSを補足したαMEM中で培養した。細胞は、接種のために血清を含まないαMEM中で25,000,000細胞/mlの濃度で用意した。雌無胸腺症ラットは、背側面領域(背面側、尾部から最終肋骨に向かって約0.5インチ、そして背骨から0.5インチ)に5x10HT29細胞を皮下(25x10細胞の0.2ml)接種した。すべてのラットは、腫瘍の外観を週に2回監視された。動物は、約250mmの各群の平均腫瘍体積に基づいて、群あたりに6匹の13群に層分けした。群分けの日(7日目)に、各群は、表11に示したその最初の投与を受けた。免疫コンジュゲートの投与量は、各コンジュゲート内のDM1またはDM4の含有量に基づいて算出された。LおよびHはDM1またはDM4のそれぞれ175および350μg/kgを表す。すべての試験薬剤は、1ml/100gm(体重)の体積で与えられた。7日目のみ一回投与を受けた群11を除き、すべての他の群は、7日目および21日目に投与された。腫瘍体積の変化が、効力の指標として使用され(図14AおよびB)そして体重の変化(図15AおよびB)は耐性を監視するために使用された。すべての測定は、群平均±標準偏差(n=6)で表された。
【0167】
【表6】

【0168】
DM4の350μg/kgをCNTO365およびF105−SSNPB−DM4と共に注入された動物は、図14Bに示すように最初の投与の後、当初体重の10%以上を減少した。従って、一回の注入の後にこれらの2群への投与を止めた。10%を越える体重減少は一時的でありそして動物は処置減少から10日以内に回復した。残りの群は7日目および21日目の両日に投与されそして、動物が10%以上体重減少した高投与量CNTO364群を除いて、著しい体重減少は観察されなかった。著しい体重減少は、この投与スケジュールでは、CNTO364を用いる他の実験では見られなかった。図14Bに示すように、高投与量のCNTO365の一回注入で、動物6匹の中で4匹に確立されたヒトHT29結腸癌腫の完全な退行を起こした。高投与量(DM1の350μg/kg)のCNTO364および低投与量(DM4の175μg/kg)のCNTO365も、形成されていた結腸腫瘍を退行(それぞれの群中の動物6匹の内2匹)またはHT29腫瘍の増殖の著しい阻害があった。しかし、CNTO364低投与量(DM1の175μg/kg)および両方の投与量のCNTO366は、腫瘍の大きさに何ら有意な影響を示さなかった。これらの結果は、この腫瘍異種移植モデルにおいて、q14dx2スケジュールで静脈内投与されたCNTO364およびCNTO366よりも、CNTO365がより良い効力および効果を有するとを示唆する。
【0169】
本発明は上記の説明および実施例内に特定して記載されたとは異なる方法でも実施できることは明らかである。
【0170】
本発明の多数の変性および変化が上記の教示を参照すれが可能であり、従って添付の請求範囲の内となる。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】好ましい種;記載のDM1、DM3およびDM4に対するチオール化メイタンシン・アミドの化学構造を示す。
【図2】本発明の好ましい二官能性リンカー試薬の化学構造およびそれらの化学的頭文字を示す。
【図3】本発明の抗体−メイタンシノイドコンジュゲートを調製する合成方法の概略を示す。
【図4】ヌードマウスにおけるヒト黒色腫の時間経過に対する体積変化およびCNTO95投与の効果を示すグラフである。マウスは、A375.S2細胞(3x10)を用いて皮下に接種され、そしてCNTO95または対照を用いる投与は、3日後に開始された。マウスはCNTO95またはビヒクルを用いて週に3回、10mg/kg、腹腔内で処置された。それぞれのデータ点は、10匹の腫瘍を有する動物からの平均腫瘍体積である(±標準偏差)。26日目の対照処置動物と比較して、週に3回投与されたCNTO95は、腫瘍の増殖を著しく阻害した(P=0.0005)。
【図5】ヌードラットにおけるヒト黒色腫腫瘍の時間経過に対する体積変化およびCNTO95投与の効果を示すグラフである。ラットは、A375.S2細胞(3x10)を用いて皮下に接種され、そしてCNTO95または対照を用いる治療は、3日後に開始された。ラットはCNTO95またはビヒクルを用いて週に1回、10mg/kgの静脈内処置された。それぞれのデータ点は、9匹の腫瘍を有する動物からの平均腫瘍体積である(±標準偏差)。
【図6】ヌードマウスにおける時間経過に対するA375.S2ヒト黒色腫腫瘍の増殖を示すグラフである。腫瘍体積は、平均±標準偏差(n=9または10)で表された。矢印は静脈内薬剤注入の日を示す。星印は、腫瘍体積が1500mmを越えたので1匹の非反応動物が屠殺されたことを示す。
【図7】無胸腺症ヌードラットにおけるヒトA375.S2黒色腫細胞の増殖を示すグラフである。平均腫瘍体積が250mmに達した14日目に、動物を無作為に群分けしそして第一回投与量を投与した。すべての動物は35日目に屠殺された。腫瘍体積は、平均±標準偏差(n=9または10)で表された。矢印は静脈内薬剤投与の日を示す。
【図8】腫瘍移植の7日後に注入され、そして再度7日ごとに5回、3、6、または10mg/kgCNTO364、7および14日に25mg/kgCNTO364、またはF105−DM1、および7、14および35日に15mg/kgCNTO364を注入された腫瘍を有するマウスにおける時間経過に対する全体重変化を示すグラフである。
【図9】図8と同じ動物における時間経過に対する腫瘍体積の変化を示すグラフである。
【図10】図8に記載した群内のすべての動物に対する個別腫瘍体積を示すグラフである
【図11】皮下ヒトA549ヒト肺臓癌腫瘍を有しそして15mg/kgのCNTO364を用いるかまたは対照処置で処置されたヌードラットの時間経過に対する平均体重±標準偏差(n=6)のグラフである。矢印は静脈内薬剤注入の時点を示す。
【図12】雌無胸腺症ラットにおけるヒトA549ヒト肺臓癌腫瘍の増殖を示すグラフである。CNTO364処置(15mg/kg)は、雌無胸腺症ラット内の確立されたヒトA549ヒト肺臓癌腫瘍を退行させる。
【図13】15mg/kgのCNTO364または対照物質で処置された雌無胸腺症ラットにけるヒトA549ヒト肺臓癌腫瘍の増殖の研究の終了時における個別腫瘍重量を示す分散図である。水平線は、各研究群の中間値を示す。
【図14A−B】HT29ヒト結腸腫瘍細胞を有しそしてCNTO364(CNTO95−SPP−DM1)、CNTO365(CNTO95−SSNPB−DM4)、およびCNTO366(CNTO95−SSNPP−DM4)を用いて処置されたラットにおける時間経過に対する平均腫瘍体積の変化を示すグラフである。A.同じプロセスおよび試薬を用いて7日目および21日目に10mg/kgを注入されたPBS対照およびチオール化メイタンシンとコンジュゲーションされた無関係の抗体F105。B.7および21日目20mg/kgを上記のようにして注入されたPBS対照およびコンジュゲーションされた抗体、7日目に単回注入を受けたCNTO365群を除く。
【図15A−B】図14記載のHT29腫瘍を有するラットにおける体重の平均変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10−9Mまたはそれ未満のIC50を有する細胞毒性剤にコンジュゲーションされたヘテロ二量体ヒトインテグリン受容体のアルファ−Vサブユニットに結合する抗体を含んでなり、ここで抗体−薬剤コンジュゲートがアルファVインテグリンを発現する癌細胞系列に細胞毒性または細胞分裂抑性作用を及ぼす、抗体−薬剤コンジュゲート。
【請求項2】
式:
〔C−L〕−A I
〔式中、AはヒトアルファVインテグリンサブユニット特異性抗体であって、ここで該抗体は該アルファVサブユニットを発現する細胞により取り込まれることができ;Cは、10−9Mまたはそれ未満のIC50を有する細胞毒性剤であり;Lは、抗体および細胞毒素を結合しそしてさらに細胞内環境の成分により切断可能な結合を含んでなる連結基であり;そしてmは抗体に連結された細胞毒分子の平均数を表しそして1〜10の整数である〕
の抗体コンジュゲート。
【請求項3】
抗体が、ヒトアルファVインテグリンへの結合に関して、モノクローナル抗体CNTO95またはそのフラグメントと競合する、請求項1の抗体−薬剤コンジュゲート。
【請求項4】
抗体分子がモノクローナル抗体CNTO95または配列番号1〜6に示されるようなCNTO95の相補性決定領域(CDR)または示された少なくとも1個のCDRの保存的置換の少なくとも1個を有する組換え抗体である、請求項1に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項5】
モノクローナル抗体が、ヒトアルファVベータ3インテグリンを発現する生細胞に結合するMAb CNTO95と競合する、請求項3に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項6】
抗体分子がアミノ酸配列の配列番号9内の一つのエピトープに特異的である、請求項1に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項7】
抗体がヒト、ヒト化、またはキメラ抗体である、請求項1に記載の抗体−薬剤コンジュゲート。
【請求項8】
該切断可能な化学結合が、ジスルフィド結合、チオエーテル、エステル、ペプチド結合またはアミドからなる群から選択される、請求項2に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項9】
該切断可能化学結合がジスルフィド結合である、請求項2に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項10】
細胞毒性剤が、メイタンシノイド、カリケアミシン、エポチロン、ディスコデルモリド、エロイトロビン、ドラスタチン、クリプトフィシン、カンプトテシン、リゾキシン(CAS登録番号第90996546号)、またはタキサン誘導体および10−9Mまたはそれ未満の癌細胞増殖に対する半極大阻害(IC50またはGI50)を示すその他の化合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項11】
細胞毒性剤がメイタンシノイドである、請求項10に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項12】
メイタンシノイドが、アセチル基が保護されたスルフヒドリル基を有するアシル化アミノ酸を用いてC−3、C−14、C−15、またはC−20でエステル化され、ここで保
護されたスルフヒドリル基に隣接するアシル基の炭素原子が1個または2個の置換基を有し、該置換基がCH、C、炭素原子1〜10個を有する線状アルキルもしくはアルケニル、炭素原子3〜10個を有する分枝状もしくは環状アルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換フェニル、複素環状アリール部分、複素環状シクロアルキル部分、またはHから選択されており;そしてここでアシル基はカルボニル官能性と硫黄原子との間に少なくとも2個の炭素原子の線状鎖長さを有する、請求項11に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項13】
メイタンシノイドがN2’−デアセチル−メイタンシンのチオール化誘導体である。請求項11に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項14】
2’−デアセチル−メイタンシンの誘導体が、式:−S−CHCH−CO−、−S−CHCHCHCH−CO−、−S−CH(CH)CHCH−CO−、または−S−C(CHCHCH−CO−基の一部分を介して抗体分子に連結されている、請求項13に記載の抗体コンジュゲート。
【請求項15】
抗体分子に連結している細胞毒性残基の平均数が3と4の間である、請求項2のコンジュゲート。
【請求項16】

【化1】

〔式中、抗体はヒトアルファVインテグリンサブユニット特異性抗体であり、ここで該抗体は該アルファVサブユニットを発現する細胞により取り込まれることができ;ここでメイタンシノールはC−3においてエステル化され;R、R、XおよびXは独立してH、Me、C、炭素原子1〜10個を有する線状アルキルもしくはアルケニル、炭素原子3〜10個を有する分枝状もしくは環状アルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換フェニル、または複素環状アリール部分、または複素環状シクロアルキル部分;nは1〜5であり:pは1〜5であり;そしてmは1〜10である〕の抗体コンジュゲート;およびそれらの製薬学的に許容できる塩およびエステル。
【請求項17】
n=2、RおよびR2が共にメチルであり、Zが水素でありそしてpが3である、請求項16の抗体コンジュゲート。
【請求項18】
工程:(a)ヒトアルファVサブユニットインテグリンに特異的である抗体分子内に1個もしくはそれ以上の遊離または保護されたチオール基を導入し:(b)工程(a)の抗体分子と10−9Mまたはそれ未満のEC50を有して細胞に毒性の化合物を反応させ、該化合物は1個もしくはそれ以上のジスルフィドまたはチオール基を有し;そして(c)得られたコンジュゲートを回収する、を含んでなる、請求項1に記載のコンジュゲートの製造方法。
【請求項19】
毒性化合物がメイタンシノイドである、請求項18の方法。
【請求項20】
(2−ピリジル)−3−ジチオプロパン酸 N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDP)、(2−ピリジル)−4−ジチオペンタン酸 N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPP)、または(2−ピリジル)−4−ジチオ酪酸 N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDB)が、抗体分子内に遊離または保護チオール基を導入するために使用される、請求項18または19の方法。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか一項に記載のコンジュゲートおよび製薬学的に許容できる担体、希釈剤、または賦形剤を含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項22】
癌の処置のための製薬学的組成物を製造するための請求項1〜17のいずれか一項に記載のコンジュゲートを用いる方法。
【請求項23】
請求項1〜17のいずれか一項に記載のコンジュゲートの治療的に有効な量を患者に投与することを含んでなり、ここで癌が、乳腺癌、肺腺癌、膵腺癌、結腸腺癌、腎細胞癌、または胃腺癌である、処置を必要とする患者内の癌の処置の方法。
【請求項24】
癌が、頭部および頸部偏平上皮細胞癌、食道偏平上皮細胞癌、肺偏平上皮細胞癌、皮膚偏平上皮細胞癌、または、頸部偏平上皮細胞癌、である、請求項23に記載の癌の処置の方法。
【請求項25】
請求項1〜17のいずれか一項に記載のコンジュゲートの治療的に有効な量を患者に投与する事を含んでなる、癌の転移拡大の処置または防止のための、請求項1〜17のいずれか一項に記載のコンジュゲートの使用方法。
【請求項26】
ヒトアルファVベータ3インテグリンを発現する生細胞に結合するCNTO95を防止する請求項1〜17のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体コンジュゲートを、該哺乳動物中で該癌細胞の増殖を阻害するために有効な量で該哺乳動物に投与することを含んでなる、阻害を必要とする該哺乳動物細胞内の癌細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項27】
抗体コンジュゲートが静脈内に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
抗体コンジュゲートが0.05mg/kg〜12.0mg/kg(体重)の量で投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
哺乳動物がヒト患者である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
ヒトアルファVベータ3インテグリンを発現する生細胞に結合するCNTO95を防止する、請求項1〜17のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体コンジュゲートを、脈管新生を阻害するために有効な量で、脈管新生依存性疾患に罹患した哺乳動物に投与することを含んでなる、阻害を必要とする哺乳動物内で脈管新生を阻害する方法であって、ここで該脈管新生依存性疾患が、癌転移、血管腫、血管線維腫、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、脈管新生緑内障、脈管新生により誘発される角膜疾患、退行性黄斑、黄斑変性、翼状片、網膜変性、後水晶体線維増殖症、顆粒性結膜炎、乾癬、毛細管拡張症、化膿性肉芽腫、脂漏性皮膚炎、アクネおよび関節炎から成る群から選択される方法。
【請求項31】
ヒトアルファVベータ3インテグリンを発現する生細胞に結合するCNTO95を防止する、請求項1〜17のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体コンジュゲートを、リウマチ性関節炎、黄斑変性、乾癬、糖尿病網膜症からなる群から選択される炎症性疾患の
1種もしくはそれ以上の症状を改善するために有効な量で、改善を必要とする哺乳動物内に投与することを含んでなる、改善を必要とする哺乳動物内で炎症性疾患を改善する方法。
【請求項32】
該モノクローナル抗体が乾癬、静脈潰瘍、アクネ、酒さ、イボ、失神、血管腫、およびリンパ管新生からなる群から選択される脈管新生性皮膚障害を処置する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
該モノクローナル抗体が角膜または網膜脈管新生を含む障害を処置する、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
抗体が第二の治療または予防的薬剤またはモダリティーと組み合わせて投与される、請求項21〜33のいずれかの方法。
【請求項35】
請求項1〜17のいずれかのコンジュゲート組成物および容器を含んでなり、そしてさらに、組成物がアルファVサブユニットインテグリンを発現する細胞を特徴とする疾患を処置するために使用できることを示したパッケージ挿入物またはラベルを含んでなる、製品。
【請求項36】
組成物が癌を処置するために使用できることをパッケージ挿入物が示す、請求項35に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【公表番号】特表2008−523062(P2008−523062A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545515(P2007−545515)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/043250
【国際公開番号】WO2006/062779
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(503054122)セントカー・インコーポレーテツド (74)
【Fターム(参考)】