説明

抗ウイルス化合物

C型肝炎ウイルス(“HCV”)の複製を阻害するのに有効な化合物が記載されている。本発明は、前記化合物の製造方法、前記化合物を含む組成物、及びHCV感染を治療するための前記化合物の使用方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(“HCV”)の複製を阻害するのに有効な化合物に関する。本発明は、前記化合物を含む組成物及びHCV感染を治療するための前記化合物の使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
HCVは、フラビウイルス科のヘパシウイルス属に属するRNAウイルスである。HCVは、1つの単一の連続オープンリーディングフレーム中のすべての公知のウイルス特異的タンパク質をコードするプラス鎖RNAゲノムを含む包膜ビリオンを有している。前記オープンリーディングフレームは約3000アミノ酸の1つの大きなポリタンパク質をコードする約9500ヌクレオチドを含む。前記ポリタンパク質はコアタンパク質、被膜タンパク質E1及びE2、膜結合タンパク質p7、並びに非構造タンパク質NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A及びNS5Bを含む。
【0003】
HCV感染は肝硬変や肝細胞癌を含めた進行性肝臓病理を伴う。慢性C型肝炎はペグインターフェロン−アルファとリバビリンの組合せで治療され得る。多くの使用者が副作用を経験し、身体からのウイルスの排除がしばしば不十分であるので、有効性及び耐容性が実質的に制限されたままである。従って、HCV感染を治療するための新しい薬物が要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、式I、II及びIIIを有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩に関する。これらの化合物及び塩はHCVの複製を阻害することができる。
【0005】
本発明は、本発明の化合物または塩を含む組成物にも関する。この組成物は他の治療剤、例えばHCVヘリカーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVプロテアーゼ阻害剤、NS5A阻害剤、CD81阻害剤、シクロフィリン阻害剤または内部リボソーム進入部位(IRES)阻害剤をも含み得る。
【0006】
更に、本発明は、HCV複製を阻害するための本発明の化合物または塩の使用方法に関する。この方法は、HCVウイルスに感染している細胞を本発明の化合物または塩と接触させ、これにより前記細胞中でのHCVウイルスの複製を阻害することを含む。
【0007】
加えて、本発明は、HCV感染を治療するための本発明の化合物または塩、或いは前記化合物を含む組成物の使用方法に関する。この方法は、治療を要する患者に対して本発明の化合物または塩、或いは前記化合物を含む医薬組成物を投与し、これにより前記患者におけるHCVウイルスの血液または組織レベルを低下させることを含む。
【0008】
本発明は、HCV感染の治療用薬剤を製造するための本発明の化合物または塩の使用にも関する。
【0009】
更に、本発明は、本発明の化合物または塩の製造方法に関する。
【0010】
本発明の他の要件、目的及び作用効果は以下の詳細説明で明白である。しかしながら、本発明の好ましい実施形態を示している詳細説明は単なる例示として提示されており、限定的でないと理解すべきである。本発明の範囲内の各種変化及び修飾は詳細説明から当業者に自明であろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、式I
【0012】
【化1】

[式中、
はC−C14カルボシクリルまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、−X−Rで置換されており、前記したC−C14カルボシクリル及び3〜14員ヘテロシクリルは場合により1個以上のRで置換されており;
は結合、−L−、−O−、−S−または−N(R)−から選択され;
は水素、−L、C−C10カルボシクリルまたは5〜10員ヘテロシクリルから選択され、前記したC−C10カルボシクリル及び5〜10員ヘテロシクリルは毎回各々独立して場合により1個以上のRで置換されており;
は結合、−C(RC’)−、−O−、−S−または−N(R)−から選択され;
及びWは各々独立してNまたはC(R)から選択され;
は水素またはRから選択され;
及びRは各々独立して水素またはRから選択され;またはR及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒にC−C10炭素環式または5〜10員ヘテロ環式環を形成し、前記したC−C10炭素環式及び5〜10員ヘテロ環式環は場合により1個以上のRで置換されており;
はC−C14カルボシクリルまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、場合により1個以上のRで置換されており;
は−N(R)C(O)C(R)N(R)−T−R
【0013】
【化2】

または−L−Bであり;
はRであり;
はRC’であり、RはRB’であり;またはR及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている3〜10員ヘテロ環式環を形成し;
は結合;C−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、R(水素を除く)、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている);或いは−N(R)C(O)−または−C(O)N(R)−であり;
BはC−C10炭素環または3〜10員ヘテロ環であり、場合により1個以上のRで置換されており;
Tは独立して毎回結合、−L−、−L−M−LS’−、−L−M−LS’−M’−LS”−(ここで、M及びM’は各々独立して結合、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、−OS(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−S(O)O−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)S(O)−、−N(R)S(O)−、−S(O)N(R)−、−S(O)N(R)−、−C(O)N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(RB’)−、−N(R)SON(RB’)−、−N(R)S(O)N(RB’)−、C−C10炭素環または5〜10員ヘテロ環から選択される)から選択され、Tは毎回独立して場合により1個以上のRで置換されており;
は独立して毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミル、シアノ、−Lまたは−L−Rから選択され;
及びRB’は各々独立して毎回水素;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
及びRC’は各々独立して毎回水素;ハロゲン;ヒドロキシ;メルカプト;アミノ;カルボキシ;ニトロ;ホスフェート;オキソ;チオキソ;ホルミル;シアノ;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−Cカルボシクリル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
、RD’及びRD”は各々独立して毎回水素またはRから選択され;
は独立して毎回C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
、LS’及びLS”は各々独立して毎回結合;或いはC−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
は独立して毎回−O−R、−S−R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)OR、−N(RS’)、−S(O)R、−SO、−C(O)N(RS’)、−N(R)C(O)RS’、−N(R)C(O)N(RS’S”)、−N(R)SOS’、−SON(RS’)、−N(R)SON(RS’S”)、−N(R)S(O)N(RS’S”)、−OS(O)−R、−OS(O)−R、−S(O)OR、−S(O)OR、−OC(O)OR、−N(R)C(O)ORS’、−OC(O)N(RS’)、−N(R)S(O)−RS’、−S(O)N(RS’)、−C(O)N(R)C(O)−RS’、C−C10カルボシクリルまたは3〜10員ヘテロシクリルから選択され、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されており;
、RS’及びRS”は各々独立して毎回水素;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される]
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩に関する。
【0014】
好ましくは、AはC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環(例えば、フェニル、チアゾリル、チエニル、ピロリジニルまたはピペリジニル)から選択され、場合により1個以上のRで置換されている。Aは−X−Rで置換されている。A中の環系はA中の環系と同一でも異なっていてもよい。例えば、A及びAが共にフェニルであっても、Aがフェニルであり、Aがチアゾリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インドリルまたは
【0015】
【化3】

(ここで、XはO、SまたはN(R)である)
である。Z及びTはA上の2個の置換可能な環原子を介してAに結合され得る。A上の2個の隣接するRがこれらが結合している環原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成してもよい。
【0016】
好ましくは、Zは−N(R)−(例えば、−NH−または−N(C−Cアルキル)−)である。
【0017】
好ましくは、R及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されているC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成する。この目的のために適当な5〜6員炭素環またはヘテロ環の非限定例には、
【0018】
【化4】

(ここで、W及びWは独立してNまたはC(R)であり、QはNまたはC(R)であり、R、R及びR11は各々独立して毎回水素またはRから選択される)
が含まれる。適当な5〜6員ヘテロ環の好ましい例には、
【0019】
【化5】

(ここで、R、R10及びR11は各々独立して水素またはRから選択される)
が含まれる。より好ましくは、R及びRはこれらが結合してる炭素原子と一緒に
【0020】
【化6】

[ここで、R、R10及びR11は各々独立して水素;ハロゲン;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−CカルボシクリルまたはC−CカルボシクリルC−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される]
を形成する。非常に好ましくは、RはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル(例えば、C−Cシクロアルキル)またはC−CカルボシクリルC−Cアルキル(例えば、C−CシクロアルキルC−Cアルキル)(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;R10及びR11は水素である。
【0021】
は、非限定的に水素またはC−Cアルキルであり得る。好ましくは、Rは水素である。
【0022】
好ましくは、Xは−CH−、−O−または−S−から選択される。
【0023】
は、非限定的にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環から選択され得、場合により1個以上のRで置換されている。好ましくは、Rはフェニルであり、場合により1個以上のR(例えば、−NHまたは−NH(C−Cアルキル)のような−N(RS’))で置換されている。
【0024】
は、非限定的にC−C10炭素環または5〜10員ヘテロ環から選択され得、場合により1個以上のRで置換されている。好ましくは、AはC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環から選択され、場合により1個以上のRで置換されている。A上の2個の隣接するRはこれらが結合している環原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。適当なAの非限定例には、フェニル、ピラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インデニル、ナフタレニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キナゾリニルまたはフタラジニルが含まれ、これらの各々は場合により1個以上のRで置換されている。非限定例として、A
【0025】
【化7】

(ここで、XはO、SまたはN(R)である)
である。T及びRはA上の2個の置換可能な環原子を介してAに結合し得る。例えば、A
【0026】
【化8】

であり得る。
【0027】
は、−N(R)C(O)C(R)N(R)−T−R(ここで、RはR(例えば、水素)であり、R及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている5〜6員ヘテロ環式環を形成する)
であり得る。R及びRはこれらが結合している原子と一緒に、非限定的に
【0028】
【化9】

(ここで、nは0、1または2であり、mは1または2である)
を形成し得、これらの各々は独立して場合により1個以上のRで置換されている。2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。
【0029】
好ましくは、−T−Rは−C(O)−LS’−R12または−C(O)−LS’−M’−LS”−R12[ここで、R12は(i)水素、(ii)C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)、または(iii)C−C10カルボシクリルまたは3〜10員ヘテロシクリル(これらの各々は独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)である]である。−T−Rは、非限定的に−L−(C−C10カルボシクリル)または−L−(3〜10員ヘテロシクリル)でもあり得、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている。加えて、−T−Rは、非限定的に−L−R、−C(O)−L−R、−C(O)O−L−Rであり得る。
【0030】
好ましくは、R
【0031】
【化10】

(ここで、nは0、1または2であり、mは1または2であり、kは0、1、2、3または4である)
である。2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。R12は、非限定的に−L−N(R)−LTT−R、−L−N(R)C(O)−LTT−Rまたは−L−N(R)C(O)−LTT−R[ここで、L及びLTTは各々独立して(i)結合、または(ii)C−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、C−C10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される]であり得る。好ましくは、R12は−L−N(R)−LTT−R、−L−N(R)C(O)−LTT−Rまたは−L−N(R)C(O)−LTT−R(ここで、L及びLTTは直ぐ上に定義されている通りである)である。R12は、非限定的に−L−R(例えば、−L−O−R、−L−S−Rまたは−L−N(RS’))でもあり得る。加えて、R12は、非限定的に−L−(C−C10カルボシクリル)または−L−(3〜10員ヘテロシクリル)であり得、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている。
【0032】

【0033】
【化11】

(ここで、RはR(例えば、水素)であり、R及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている5〜6員ヘテロ環式環を形成する)
でもあり得る。例えば、R及びRはこれらが結合している原子と一緒に、非限定的に
【0034】
【化12】

(ここで、nは0、1または2であり、mは1または2である)
を形成し得、これらの各々は場合により1個以上のRで置換されている。2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。
【0035】
−T−RD”は、非限定的に−C(O)−LS’−R12または−C(O)−LS’−M’−LS”−R12[ここで、R12は(i)水素、(ii)C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)、または(iii)C−C10カルボシクリルまたは3〜10員ヘテロシクリル(これらの各々は独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)である]であり得る。−T−RD”−は、非限定的に−L−(C−C10カルボシクリル)または−L−(3〜10員ヘテロシクリル)でもあり得、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている。加えて、−T−RD”は、非限定的に−L−R、−C(O)−L−R、−C(O)O−L−Rであり得る。
【0036】
好ましくは、R
【0037】
【化13】

(ここで、nは0、1または2であり、mは1または2であり、kは0、1、2、3または4である)
である。2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。R12は、非限定的に−L−N(R)−LTT−R、−L−N(R)C(O)−LTT−Rまたは−L−N(R)C(O)−LTT−R[ここで、L及びLTTは各々独立して(i)結合、または(ii)C−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、C−C10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される]であり得る。好ましくは、R12は−L−N(R)−LTT−R、−L−N(R)C(O)−LTT−Rまたは−L−N(R)C(O)−LTT−R(ここで、L及びLTTは直ぐ上で定義されている通りである)である。R12は、非限定的に−L−R(例えば、−L−O−R、−L−S−Rまたは−L−N(RS’))でもあり得る。加えて、R12は、非限定的に−L−(C−C10カルボシクリル)または−L−(3〜10員ヘテロシクリル)であり得、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている。
【0038】
更に、Rは、非限定的に−L−B(ここで、BはC−C10炭素環または3〜10員ヘテロ環であり、場合により1個以上のRで置換されている)であり得る。適当なBの非限定例には、
【0039】
【化14】

が含まれ、これらの各々は場合により1個以上のRで置換されている。2個の隣接しているRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。適当なBの好ましい例には、
【0040】
【化15】

(ここで、nは0、1、2、3または4であり、mは0、1、2または3であり、Vは−C(O)−または−S(O)−であり、R12は−R、−ORまたは−N(RS’)であり、2個の隣接するRがこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る)
が含まれる。1例では、R
【0041】
【化16】

(ここで、nは0、1、2、3または4であり、2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る)
である。
【0042】
は、非限定的に
【0043】
【化17】

[ここで、R及びRD’は独立して(i)C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている);(ii)−L−C−C10カルボシクリルまたは−L−(3〜10員ヘテロシクリル)(これらの各々は場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている);または(iii)−L−O−R、−L−S−Rまたは−L−N(RS’)から選択される]
でもあり得る。或いは、R及びRD’が連結して5〜6員ヘテロ環を形成してもよい。
【0044】
Tは、非限定的に次の部分:
【0045】
【化18】

(ここで、kは1または2であり、R及びRは独立して水素またはC−Cアルキルであり、R’及びR”は独立してC−CアルキルまたはC−C10アリールである)
から選択され得る。
【0046】
好ましくは、Tは下表4から選択される
より好ましくは、Tは−L−N(R)−LS’−(例えば、−CH−N(R)−CH−)または−L−C(RT’)−LS’−(例えば、−CH−C(RT’)−CH−)である。RはC−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;またはRはC−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)である。RT’はRであり、好ましくはRT’は水素である。L、LS’、R、R、RB’、R及びRS’は上に定義されている通りである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
1つの実施形態において、Aは−X−Rで置換されており、場合により1個以上のRで置換されている5〜6員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル、チアゾリル、チエニル、ピロリジニルまたはピペリジニル)であり;Aは5〜10員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル、ピラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インデニル、ナフタレニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キナゾリニルまたはフタラジニル)であり、場合により1個以上のRで置換されている。R及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている5〜6員炭素環またはヘテロ環を形成する。好ましくは、Aは5〜6員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル)であり、場合により1個以上のRで置換されており;Aはフェニルであり、場合により1個以上のRで置換されており;Xは−CH−、−O−または−S−であり;Rは場合により1個以上のRで置換されている5〜6員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル)である。
【0048】
別の実施形態において、W及びWはNであり、Zは−N(R)−である。好ましくは、Zは−NH−、−N(C−Cアルキル)−、−N(C−Cアルケニル)−、−N(C−Cアルキニル)−、−N(C−Cハロアルキル)−、−N(C−Cハロアルケニル)−または−N(C−Cハロアルキニル)−から選択される。より好ましくは、Zは−NH−または−N(C−Cアルキル)−から選択される。
【0049】
なお別の実施形態において、R及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒に
【0050】
【化19】

(ここで、R、R10及びR11は各々独立して水素またはRから選択される)
を形成する。好ましくは、W及びWはNであり、Zは−N(R)−(例えば、−NH−または−N(C−Cアルキル)−)であり、Xは−CH−、−O−または−S−である。好ましくは、Rはフェニルであり、場合により1個以上のRで置換されている。好ましくは、Rは水素であり;R、R10及びR11は各々独立して水素;ハロゲン;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−CカルボシクリルまたはC−CカルボシクリルC−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される。非常に好ましくは、R10及びR11は水素であり;RはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル(例えば、C−Cシクロアルキル)またはC−CカルボシクリルC−Cアルキル(例えば、C−CシクロアルキルC−Cアルキル)から選択され、場合によりハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている。
【0051】
更に別の実施形態において、R及びRは各々独立して水素またはRから選択され;Rは場合により1個以上のRで置換されている5〜6員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル)である。
【0052】
更なる実施形態において、R及びRは各々独立して水素またはRから選択され;Aは−X−Rで置換されており、場合により1個以上のRで置換されている5〜6員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル、チアゾリル、チエニル、ピロリジニルまたはピペリジニル)から選択され;Aは5〜10員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル、ピラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インデニル、ナフタレニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キナゾリニルまたはフタラジニル)であり、場合により1個以上のRで置換されている。好ましくは、Aは5〜6員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル)であり、場合により1個以上のRで置換されており;Aはフェニルであり、場合により1個以上のRで置換されており;Xは−CH−、−O−または−S−であり;Rは場合により1個以上のRで置換されている5〜6員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル)である。W及びWはNであり得、Zは−N(R)−、例えば−NH−、−N(C−Cアルキル)−、−N(C−Cアルケニル)−、−N(C−Cアルキニル)−、−N(C−Cハロアルキル)−、−N(C−Cハロアルケニル)−または−N(C−Cハロアルキニル)−であり得る。
【0053】
なお別の実施形態において、
【0054】
【化20】

は、
【0055】
【化21】

(ここで、XはO、SまたはN(R)であり、R13はRである)
である。好ましくは、R13はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)である。好ましくは、XはO、S、NHまたはN(C−Cアルキル)である。
【0056】
本発明は、式IIまたはIII
【0057】
【化22】

[式中、
は独立して結合、−L−、−O−、−S−または−N(R)−から選択され;
は水素、−L、C−C10カルボシクリルまたは5〜10員ヘテロシクリルから選択され、前記したC−C10カルボシクリル及び5〜10員ヘテロシクリルは毎回各々独立して場合により1個以上のRで置換されており;
は結合、−C(RC’)−、−O−、−S−または−N(R)−から選択され;
、W、W及びWは各々独立してNまたはC(R)(ここで、Rは水素またはRから選択される)から選択され;
、R、R11及びR15は各々独立して毎回水素またはRから選択され;
pは0、1、2または3から選択され;
はC−C14カルボシクリルまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、場合により1個以上のRで置換されており;
は−N(R)C(O)C(R)N(R)−T−R
【0058】
【化23】

または−L−Bであり;
はRであり;
はRC’であり、RはRB’であり;またはR及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている3〜10員ヘテロ環式環を形成し;
は結合;C−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、R(水素を除く)、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている);或いは−N(R)C(O)−または−C(O)N(R)−であり;
BはC−C10炭素環または3〜10員ヘテロ環であり、場合により1個以上のRで置換されており;
Tは独立して毎回結合、−L−、−L−M−LS’−、−L−M−LS’−M’−LS”−(ここで、M及びM’は各々独立して結合、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、−OS(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−S(O)O−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)S(O)−、−N(R)S(O)−、−S(O)N(R)−、−S(O)N(R)−、−C(O)N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(RB’)−、−N(R)SON(RB’)−、−N(R)S(O)N(RB’)−、C−C10炭素環または5〜10員ヘテロ環から選択される)から選択され、Tは毎回独立して場合により1個以上のRで置換されており;
は独立して毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミル、シアノ、−Lまたは−L−Rから選択され;
及びRB’は各々独立して毎回水素;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
及びRC’は各々独立して毎回水素;ハロゲン;ヒドロキシ;メルカプト;アミノ;カルボキシ;ニトロ;ホスフェート;オキソ;チオキソ;ホルミル;シアノ;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−Cカルボシクリル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
、RD’及びRD”は各々独立して毎回水素またはRから選択され;
は独立して毎回C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
、LS’及びLS”は各々独立して毎回結合;或いはC−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
は独立して毎回−O−R、−S−R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)OR、−N(RS’)、−S(O)R、−SO、−C(O)N(RS’)、−N(R)C(O)RS’、−N(R)C(O)N(RS’S”)、−N(R)SOS’、−SON(RS’)、−N(R)SON(RS’S”)、−N(R)S(O)N(RS’S”)、−OS(O)−R、−OS(O)−R、−S(O)OR、−S(O)OR、−OC(O)OR、−N(R)C(O)ORS’、−OC(O)N(RS’)、−N(R)S(O)−RS’、−S(O)N(RS’)、−C(O)N(R)C(O)−RS’、C−C10カルボシクリルまたは3〜10員ヘテロシクリルから選択され、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されており;
、RS’及びRS”は各々独立して毎回水素;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される]
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩にも関する。
【0059】
好ましくは、Zは−N(R)−(例えば、−NH−または−N(C−Cアルキル)−)である。
【0060】
好ましくは、Xは−CH−、−O−または−Sである。
【0061】
は、非限定的にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環から選択され得、これらの各々は場合により1個以上のRで置換されている。好ましくは、Rはフェニルであり、場合により1個以上のR(例えば、−NHのような−N(RS’))で置換されている。
【0062】
は、非限定的にC−C10炭素環または5〜10員ヘテロ環から選択され得、場合により1個以上のRで置換されている。好ましくは、AはC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環から選択され、場合により1個以上のRで置換されている。A上の2個の隣接するRはこれらが結合している環原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。適当なAの非限定例には、フェニル、ピラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インデニル、ナフタレニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キナゾリニルまたはフタラジニル(これらの各々は場合により1個以上のRで置換されている)が含まれる。非限定例として、A
【0063】
【化24】

(ここで、XはO、SまたはN(R)である)
である。T及びRがA上の2個の置換可能な環原子を介してAに結合してもよい。例えば、Aは、
【0064】
【化25】

であり得る。
【0065】
は−N(R)C(O)C(R)N(R)−T−R(ここで、RはR(例えば、水素)であり、R及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている5〜6員ヘテロ環式環を形成する)であり得る。例えば、R及びRはこれらが結合している原子と一緒に、非限定的に
【0066】
【化26】

(ここで、nは0、1または2であり、mは1または2である)
を形成し得、これらの各々は独立して場合により1個以上のRで置換されている。2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。
【0067】
好ましくは、−T−Rは−C(O)−LS’−R12または−C(O)−LS’−M’−LS”−R12[ここで、R12は(i)水素、(ii)C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)、または(iii)C−C10カルボシクリルまたは3〜10員ヘテロシクリル(これらの各々は独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)である]である。−T−Rは、非限定的に−L−(C−C10カルボシクリル)または−L−(3〜10員ヘテロシクリル)でもあり得、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている。加えて、−T−Rは、非限定的に−L−R、−C(O)−L−R、−C(O)O−L−Rであり得る。
【0068】
好ましくは、R
【0069】
【化27】

(ここで、nは0、1または2であり、mは1または2であり、kは0、1、2、3または4である)
である。2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。R12は、非限定的に−L−N(R)−LTT−R、−L−N(R)C(O)−LTT−Rまたは−L−N(R)C(O)−LTT−R[ここで、L及びLTTは各々独立して(i)結合、または(ii)C−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、C−C10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される]であり得る。好ましくは、R12は−L−N(R)−LTT−R、−L−N(R)C(O)−LTT−Rまたは−L−N(R)C(O)−LTT−R(ここで、L及びLTTは直ぐ上に定義されている通りである)である。R12は、非限定的に−L−R(例えば、−L−O−R、−L−S−Rまたは−L−N(RS’))であり得る。加えて、R12は、非限定的に−L−(C−C10カルボシクリル)または−L−(3〜10員ヘテロシクリル)であり得、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている。
【0070】

【0071】
【化28】

(ここで、RはR(例えば、水素)であり、R及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている5〜6員ヘテロ環式環を形成する)
でもあり得る。例えば、R及びRはこれらが結合している原子と一緒に、非限定的に
【0072】
【化29】

(ここで、nは0、1または2であり、mは1または2である)
を形成し得、これらの各々は場合により1個以上のRで置換されている。2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。
【0073】
−T−RD”は、非限定的に−C(O)−LS’−R12または−C(O)−LS’−M’−LS”−R12[ここで、R12は(i)水素、(ii)C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)、または(iii)C−C10カルボシクリルまたは3〜10員ヘテロシクリル(これらの各々は独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)である]であり得る。−T−RD”は、非限定的に−L−(C−C10カルボシクリル)または−L−(3〜10員ヘテロシクリル)でもあり得、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている。加えて、−T−RD”は、非限定的に−L−R、−C(O)−L−R、−C(O)O−L−Rであり得る。
【0074】
好ましくは、R
【0075】
【化30】

(ここで、nは0、1または2であり、mは1または2であり、kは0、1、2、3または4である)
である。2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。R12は、非限定的に−L−N(R)−LTT−R、−L−N(R)C(O)−LTT−Rまたは−L−N(R)C(O)−LTT−R[ここで、L及びLTTは各々独立して(i)結合、または(ii)C−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、C−C10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される]であり得る。好ましくは、R12は−L−N(R)−LTT−R、−L−N(R)C(O)−LTT−Rまたは−L−N(R)C(O)−LTT−R(ここで、L及びLTTは直ぐ上に定義されている通りである)である。R12は、非限定的に−L−R(例えば、−L−O−R、−L−S−Rまたは−L−N(RS’))でもあり得る。加えて、R12は、非限定的に−L−(C−C10カルボシクリル)または−L−(3〜10員ヘテロシクリル)であり得、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている。
【0076】
更に、Rは、非限定的に−L−B(ここで、BはC−C10炭素環または3〜10員ヘテロ環であり、場合により1個以上のRで置換されている)であり得る。適当なBの非限定例には、
【0077】
【化31】

が含まれ、これらの各々は場合により1個以上のRで置換されている。2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る。適当なBの好ましい例には、
【0078】
【化32】

(ここで、nは0、1、2、3または4であり、mは0、1、2または3であり、Vは−C(O)−または−S(O)−であり、R12は−R、−ORまたは−N(RS’)である)
が含まれる。1例では、R
【0079】
【化33】

(ここで、nは0、1、2、3または4であり、2個の隣接するRはこれらが結合している原子と一緒にC−C炭素環または5〜6員ヘテロ環を形成し得る)
である。
【0080】
は、非限定的に
【0081】
【化34】

[ここで、R及びRD’は独立して(i)C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている);(ii)−L−C−C10カルボシクリルまたは−L−(3〜10員ヘテロシクリル)(これらの各々は場合によりC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている);または(iii)−L−O−R、−L−S−Rまたは−L−N(RS’)から選択される]
でもあり得る。或いは、R及びRD’を連結して5〜6員ヘテロ環を形成してもよい。
【0082】
Tは、非限定的に次の部分:
【0083】
【化35】

(ここで、kは1または2であり、R及びRは独立して水素またはC−Cアルキルであり、R’及びR”は独立してC−CアルキルまたはC−C10アリールである)
から選択され得る。
【0084】
好ましくは、Tは下表4から選択される。
【0085】
より好ましくは、Tは−L−N(R)−LS’−(例えば、−CH−N(R)−CH−)または−L−C(RT’)−LS’−(例えば、−CH−C(RT’)−CH−)である。RはC−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;またはRはC−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)である。RT’はRであり、好ましくはRT’は水素である。L、LS’、R、R、RB’、R及びRS’は上に定義されている通りである。
【0086】
1つの実施形態において、Aは5〜10員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル、ピラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インデニル、ナフタレニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キナゾリニルまたはフタラジニル)であり、場合により1個以上のRで置換されている。好ましくは、Aは5〜6員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル)であり、場合により1個以上のRで置換されており;Xは−CH−、−O−または−S−から選択され;Rは5〜6員炭素環またはヘテロ環から選択され、場合により1個以上のRで置換されており;Zは−N(R)−(例えば、−NH−または−N(C−Cアルキル)−)である。
【0087】
別の実施形態において、W、W及びWはNであり、WはC(R)であり;Rは水素であり;Rはフェニルであり、場合により1個以上のRで置換されており;R、R11及びRは各々独立して毎回水素;ハロゲン;C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−CカルボシクリルまたはC−CカルボシクリルC−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される。好ましくは、RはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル(例えば、C−Cシクロアルキル)またはC−CカルボシクリルC−Cアルキル(例えば、C−CシクロアルキルC−Cアルキル)(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;R11及びRは水素である。Zは−N(R)−(例えば、−NH−または−N(C−Cアルキル)−)であり得;Xは−CH−、−O−または−S−であり;Aは5〜10員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル、ピラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インデニル、ナフタレニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キナゾリニルまたはフタラジニル)であり得、場合により1個以上のRで置換されている。好ましくは、Aは5〜6員炭素環またはヘテロ環(例えば、フェニル)であり、場合により1個以上のRで置換されている。
【0088】
更に別の実施形態において、
【0089】
【化36】

は、
【0090】
【化37】

(ここで、XはO、SまたはN(R)であり、R13はRである)
である。好ましくは、R13はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキルであり、これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されており;XはO、S、NHまたはN(C−Cアルキル)である。
【0091】
本発明の化合物は塩の形態で使用され得る。具体的化合物に応じて、化合物の塩は、1つ以上の塩の物性、例えば特定条件下での高い医薬安定性、或いは所望の水または油中溶解性のために有利であり得る。幾つかの場合には、化合物の塩は化合物を単離または精製するために有用であり得る。
【0092】
塩を患者に投与しようとする場合、その塩が医薬的に許容され得ることが好ましい。医薬的に許容され得る塩には、酸付加塩、塩基付加塩及びアルカリ金属塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
医薬的に許容され得る酸付加塩は無機または有機酸から製造され得る。適当な無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸が含まれるが、これらに限定されない。適当な有機酸の例には、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、ヘテロシクリル、カルボン酸及びスルホン酸クラスが含まれるが、これらに限定されない。適当な有機酸の具体例には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、グルクロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸、メシル酸塩、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、エンボン酸塩(パモ酸塩)、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸塩、ガラクツロン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、グリコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が含まれる。
【0094】
医薬的に許容され得る塩基付加塩には金属塩及び有機塩が含まれるが、これらに限定されない。適当な金属塩の非限定例には、アルカリ金属(Ia族)塩、アルカリ土類金属(IIa族)塩及び他の医薬的に許容され得る金属塩が含まれる。前記塩は、非限定的にアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムまたは亜鉛から作成され得る。適当な有機塩の非限定例は第3級アミン及び第4級アミン、例えばトロメタミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから作成され得る。塩基性窒素含有基は、ハロゲン化アルキル(例えば、塩化/臭化/ヨウ化メチル、エチル、プロピル、ブチル、デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミル)、ハロゲン化アルアルキル(例えば、臭化ベンジル及びフェネチル)等のような物質を用いて4級化され得る。
【0095】
本発明の化合物または塩は溶媒和物の形態で、例えば水(すなわち、水和物)、或いは有機溶媒(例えば、それぞれメタノラート、エタノラートまたはアセトニトリレートを形成すべくメタノール、エタノールまたはアセトニトリル)との溶媒和物の形態で存在し得る。
【0096】
本発明の化合物または塩はプロドラッグの形態でも使用され得る。幾つかのプロドラッグは本発明の化合物上の酸性基から誘導される脂肪族または芳香族エステルである。他は本発明の化合物上のヒドロキシルまたはアミノ基の脂肪族または芳香族エステルである。ヒドロキシル基のホスフェートプロドラッグが好ましいプロドラッグである。
【0097】
本発明の化合物はキラル中心として公知の非対称的に置換される炭素原子を含み得る。これらの化合物は、非限定的に単一立体異性体(例えば、単一エナンチオマーまたは単一ジアステレオマー)、立体異性体の混合物(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物)またはラセミ混合物として存在し得る。本明細書中で単一立体異性体として同定されている化合物は、実質的に他の立体異性体を含まない(例えば、実質的に他のエナンチオマーまたはジアステレオマーを含まない)形態で存在する化合物を指すと解される。「実質的に含まない」とは、組成物中の化合物の少なくとも80%が記載されている立体異性体であること、好ましくは組成物中の化合物の少なくとも90%が記載されている立体異性体であること、より好ましくは組成物中の化合物の少なくとも95%、96%、97%、98%または99%が記載されている立体異性体であることを意味する。キラル炭素の立体化学が化合物の化学構造中で特定されていない場合、化学構造はキラル中心のいずれかの立体異性体を含む化合物を包含すると意図される。
【0098】
本発明の化合物の個々の立体異性体は当業界で公知の各種方法を用いて製造され得る。これらの方法には、立体特異的合成、ジアステレオマーのクロマトグラフィー分離、エナンチオマーのクロマトグラフィー分割、エナンチオマー混合物中のエナンチオマーのジアステレオマーへの変換後ジアステレオマーのクロマトグラフィー分離及び個々のエナンチオマーの再生、及び酵素分割が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
立体特異的合成は、典型的には適切な光学的に純粋な(エナンチオマー的に純粋な)または実質的に光学的に純粋な材料の使用及びキラル中心での立体化学のラセミ化または反転を生じさせない合成反応を伴う。合成反応から生ずるラセミ混合物を含めた化合物の立体異性体の混合物は、例えば当業者が認識しているクロマトグラフィー技術により分離され得る。エナンチオマーのクロマトグラフィー分割はキラルクロマトグラフィー樹脂を用いて実施され得、前記樹脂の多くは市販されている。非限定例では、ラセミ化合物を溶解させ、キラル固定相を収容しているカラムに充填する。その後、エナンチオマーはHPLCにより分離され得る。
【0100】
エナンチオマーの分割は、混合物中のエナンチオマーをキラル助剤との反応によりジアステレオマーに変換させることによっても実施され得る。生じたジアステレオマーはカラムクロマトグラフィーまたは結晶化/再結晶化により分離され得る。この技術は、分離しようとする化合物がキラル助剤と塩または共有結合を形成するカルボキシル、アミノまたはヒドロキシル基を含有しているときに有用である。適当なキラル助剤の非限定例には、キラル的に純粋なアミノ酸、有機カルボン酸または有機スルホン酸が含まれる。ジアステレオマーをクロマトグラフィーにより分離したら、個々のエナンチオマーを再生し得る。多くの場合、キラル助剤を回収し、再使用し得る。
【0101】
酵素(例えば、エステラーゼ、ホスファターゼまたはリパーゼ)はエナンチオマー混合物中のエナンチオマーの誘導体を分割するために有用であり得る。例えば、分離しようとする化合物中のカルボキシル基のエステル誘導体を混合物中のエナンチオマーの1つのみを選択的に加水分解する酵素で処理し得る。その後、生じたエナンチオマー的に純粋な酸を加水分解されていないエステルから分離し得る。
【0102】
或いは、混合物中のエナンチオマーの塩は、カルボン酸を適当な光学的に純粋な塩基(例えば、アルカロイドまたはフェネチルアミン)で処理した後エナンチオマー的に純粋な塩を沈殿または結晶化/再結晶化することを含めた当業界で公知の方法を用いて作成され得る。ラセミ混合物を含めた立体異性体の混合物を分割/分離するための適当な方法は、ENANTIOMERS,RACEMATES,AND RESOLUTIONS(Jacquesら,1981,John Wiley and Sons,New York,NY)中に見つけることができる。
【0103】
本発明の化合物は1つ以上の不飽和炭素−炭素二重結合を有し得る。他の方法で特定されていない限り、シス(Z)及びトランス(E)異性体のようなすべての二重結合異性体及びその混合物が詳述されている化合物の範囲内に包含されると意図される。加えて、化合物が各種互変異性体で存在する場合、詳述されている化合物は1つの特定の互変異性体に限定されず、むしろすべての互変異性体を包含すると意図される。
【0104】
本発明のある化合物は分離可能な各種の安定な配座異性体で存在し得る。非対称単結合の周りの限定された回転のための、例えば立体障害または環ひずみのためのねじれ非対称により、各種配座異性体を分離し得る。本発明の化合物はこれらの化合物の各配座異性体及びその混合物を含む。
【0105】
本発明のある化合物は両性イオン形態でも存在し得、本発明はこれらの化合物の各両性イオン形態及びその混合物を含む。
【0106】
本発明の化合物は、標準命名法を用いて本明細書中に包括的に記載されている。詳述されている化合物が不斉中心を有している場合、他の方法で特定されていない限り化合物のすべての立体異性体及びその混合物が本発明に包含されると解されるべきである。立体異性体の非限定例には、エナンチオマー、ジアステレオマー及びシス−トランス異性体が含まれる。詳述されている化合物が各種互変異性体で存在する場合、化合物はすべての互変異性体を包含すると意図される。ある化合物は変数(例えば、A、A、Z、T、RまたはR)を含む一般式を用いて本明細書中に記載されている。他の方法で特定されていない限り、前記式中の各変数は他の変数と独立して定義されており、式中に2回以上現れる変数は毎回独立して定義されている。部分が群から「独立して」選択されると記載されているならば、各部分は他と独立して選択される。従って、各部分は他の部分と同一であっても異なっていてもよい。
【0107】
ヒドロカルビル部分中の炭素原子の数は、接頭語「C−C」(ここで、xは部分中の炭素原子の最小数、yは最大数である)により示され得る。よって、例えば「C−Cアルキル」は1〜6個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。更に例示すると、C−Cシクロアルキルは3〜6個の炭素環原子を含有する飽和ヒドロカルビル環を意味する。複数成分置換基に付けられている接頭語はその接頭語の直ぐ後の第1成分に対してのみ当てはまる。例示すると、用語「カルボシクリルアルキル」はカルボシクリルとアルキルの2つの成分を含む。よって、例えば、C−CカルボシクリルC−Cアルキルは、C−Cアルキル基を介して親分子部分に結合しているC−Cカルボシクリルを指す。
【0108】
単語が詳述されている化学構造の2つの他のエレメント間の連結エレメントを指すために使用されている場合、連結エレメントの最左成分は詳述されている構造中の左エレメントに結合している成分である。例示すると、化学構造がA−T−Aであり、Tが−N(R)S(O)−として記載されているならば、化学構造はA−N(R)−S(O)−Aであろう。
【0109】
詳述されている構造中の連結エレメントが結合ならば、詳述されている構造中の左エレメントは詳述されている構造中の右エレメントに直接連結している。例えば、化学構造が−L−M−LS’−(ここで、Mは結合として選択される)として記載されているならば、その化学構造は−L−LS’−であろう。別の例として、化学部分が−L−R(ここで、Lは結合として選択される)として記載されているならば、その化学部分は−Rであろう。
【0110】
化学式を部分を記載するために使用するとき、’(”)は遊離原子価を有する部分の一部を示す。
【0111】
部分が「場合により置換されている」と記載されているならば、その部分は置換されていても未置換でもよい。部分が場合により特定数以下の非水素ラジカルで置換されていると記載されているならば、その部分は未置換でも、或いは特定数以下の非水素ラジカルまたは部分上の最大数以下の置換可能な位置のいずれか小さい方により置換され得る。よって、例えば部分が場合により3個以下の非水素ラジカルで置換されているヘテロ環と記載されているならば、3個未満の置換可能な位置を有するヘテロ環は場合によりヘテロ環が有している置換可能な位置と同じ数以下の非水素ラジカルでしか置換されない。説明すると、(たった1つの置換可能な位置しか有していない)テトラゾリルは場合により1個以下の非水素ラジカルで置換される。更に説明すると、アミノ窒素が場合により2個以下の非水素ラジカルで置換されていると記載されているならば、第1級アミノ窒素は場合により2個以下の非水素ラジカルで置換され、第2級アミノ窒素は場合により1個以下の非水素ラジカルで置換される。
【0112】
用語「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を含む直鎖状または分岐状ヒドロカルビル鎖を意味する。各炭素−炭素二重結合は、アルケニル部分内で二重結合炭素上で置換されている基に対してシスまたはトランス配置のいずれかを有し得る。アルケニル基の非限定例には、エテニル(ビニル)、2−プロペニル、3−プロペニル、1,4−ペンタジエニル、1,4−ブタジエニル、1−ブテニル、2−ブテニル及び3−ブテニルが含まれる。
【0113】
用語「アルケニレン」は、直鎖状でも分岐状でもよく、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する二価不飽和ヒドロカルビル鎖を指す。アルケニレン基の非限定例には、−C(H)=C(H)−、−C(H)=C(H)−CH−、−C(H)=C(H)−CH−CH−、−CH−C(H)=C(H)−CH−、−C(H)=C(H)−CH(CH)−及び−CH−C(H)=C(H)−CH(CHCH)−が含まれる。
【0114】
用語「アルキル」は、直鎖または分岐状飽和ヒドロカルビル鎖を意味する。アルキル基の非限定例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソアミル及びヘキシルが含まれる。
【0115】
用語「アルキレン」は、直鎖状でも分岐状でもよい二価飽和ヒドロカルビル鎖を示す。アルキレンの代表例には、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−及び−CHCH(CH)CH−が含まれるが、これらに限定されない。
【0116】
用語「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を含む直鎖または分岐状ヒドロカルビル鎖を意味する。アルキニルの非限定例には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−プロピニル、デシニル、1−ブチニル、2−ブチニル及び3−ブチニルが含まれる。
【0117】
用語「アルキニレン」は、直鎖状でも分岐状でもよく、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する二価不飽和炭化水素基を指す。代表的アルキニレン基には、例えば−C≡C−、−C≡C−CH−、−C≡C−CH−CH−、−CH−C≡C−CH−、−C≡C−CH(CH)−及び−CH−C≡C−CH(CHCH)−が含まれる。
【0118】
用語「炭素環」、「炭素環式」または「カルボシクリル」は、ヘテロ原子環原子を含有していない飽和(例えば、「シクロアルキル」)、部分飽和(例えば、「シクロアルケニル」または「シクロアルキニル」)、または完全不飽和(例えば、「アリール」)環系を指す。「環原子」または「環員」は1つ以上の環を形成するように一緒に結合している原子である。カルボシクリルは、非限定的に単環、2つの縮合環、或いは架橋またはスピロ環であり得る。置換カルボシクリルはシスまたはトランス配置のいずれかを有し得る。カルボシクリル基の代表例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、オクタヒドロインデニル、シクロヘキセニル、フェニル、ナフチル、インダニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インデニル、イソインデニル、デカリニル及びノルピナニルが含まれるが、これらに限定されない。カルボシクリル基は置換可能な炭素環原子を介して親分子部分に結合してもよい。カルボシクリル基が式I中のA及びAのように二価部分の場合、これは2個の置換可能な環原子を介して残りの分子部分に結合し得る。
【0119】
用語「カルボシクリルアルキル」は、アルキレン基を介して親分子部分に結合しているカルボシクリル基を指す。例えば、C−CカルボシクリルC−Cアルキルは、C−Cアルキレンを介して親分子部分に結合しているC−Cカルボシクリル基を指す。
【0120】
用語「シクロアルケニル」は、ヘテロ原子環員を有していない非芳香族の部分不飽和カルボシクリル部分を指す。シクロアルケニル基の代表例には、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル及びオクタヒドロナフタレニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
用語「シクロアルキル」は、ヘテロ原子環員を含有していない飽和カルボシクリル基を指す。シクロアルキルの非限定例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、デカリニル及びノルピナニルが含まれる。
【0122】
接頭語「ハロ」は、この接頭語が付いている置換基が1個以上の独立して選択されるハロゲンラジカルで置換されていることを示す。例えば、「C−Cハロアルキル」は、1個以上の水素原子が独立して選択されるハロゲンラジカルで置換されているC−Cアルキル置換基を意味する。C−Cハロアルキルの非限定例には、クロロメチル、1−ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル及び1,1,1−トリフルオロエチルが含まれる。置換基が2個以上のハロゲンラジカルで置換されているならば、これらのハロゲンラジカルが(他の方法で言及されていない限り)同一でも異なっていてもよいことを認識すべきである。
【0123】
用語「ヘテロ環」、「ヘテロシクロ」または「ヘテロシクリル」は、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)であり、残りの環原子が炭素、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立してから選択される飽和(例えば、「ヘテロシクロアルキル」)、部分不飽和(例えば、「ヘテロシクロアルケニル」または「ヘテロシクロアルキニル」)、または完全不飽和(例えば、「ヘテロアリール」)環系を指す。ヘテロシクリル基が基中の置換可能な炭素または窒素原子を介して親分子部分に連結されていてもよい。ヘテロシクリル基が式I中のA及びAのように二価部分の場合、これは2個の置換可能な環原子を介して残りの分子部分に結合し得る。
【0124】
ヘテロシクリルは、非限定的に1つの環を含む単環であり得る。単環の非限定例には、フラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリル、イソピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イソイミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ジチオリル、オキサチオリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チオジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサジアゾリル(1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル(「アゾキシミル」としても公知)、1,2,5−オキサジアゾリル(「フラザニル」としても公知)及び1,3,4−オキサジアゾリルを含む)、オキサトリアゾリル(1,2,3,4−オキサトリアゾリル及び1,2,3,5−オキサトリアゾリルを含む)、ジオキサゾリル(1,2,3−ジオキサゾリル、1,2,4−ジオキサゾリル、1,3,2−ジオキサゾリル及び1,3,4−ジオキサゾリルを含む)、オキサチオラニル、ピラニル(1,2−ピラニル及び1,4−ピラニルを含む)、ジヒドロピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、ジアジニル(ピリダジニル(「1,2−ジアジニル」としても公知)、ピリミジニル(「1,3−ジアジニル」としても公知)及びピラジニル(「1,4−ジアジニル」としても公知)を含む)、ピペラジニル、トリアジニル(s−トリアジニル(「1,3,5−トリアジニル」としても公知)、as−トリアジニル(「1,2,4−トリアジニル」としても公知)及びv−トリアジニル(「1,2,3−トリアジニル」としても公知)を含む)、オキサジニル(1,2,3−オキサジニル、1,3,2−オキサジニル、1,3,6−オキサジニル(「ペントオキサゾリル」としても公知)、1,2,6−オキサジニル及び1,4−オキサジニルを含む)、イソオキサジニル(o−イソオキサジニル及びp−イソオキサジニルを含む)、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサチアジニル(1,2,5−オキサチアジニルまたは1,2,6−オキサチアジニルを含む)、オキサジアジニル(1,4,2−オキサジアジニル及び1,3,5,2−オキサジアジニルを含む)、モルホリニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル及びジアゼピニルが含まれる。
【0125】
ヘテロシクリルは、非限定的に2つの縮合環を含む二環、例えばナフチリジニル([1,8]ナフチリジニル及び[1,6]ナフチリジニルを含む)、チアゾルピリミジニル、チエノピリミジニル、ピリミドピリミジニル、ピリドピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、インドリジニル、ピリンジニル、ピラノピロリル、4H−キノリジニル、プリニル、ピリドピリジニル(ピリド[3,4−b]−ピリジニル、ピリド[3,2−b]−ピリジニル及びピリド[4,3−b]−ピリジニルを含む)、ピリドピリミジン及びプテリジニルでもあり得る。縮合環ヘテロ環の他の非限定例には、ベンゾ縮合ヘテロシクリル、例えばインドリル、イソインドリル、インドレニル(「シュードインドリル」としても公知)、イソインダゾリル(「ベンズピラゾリル」としても公知)、ベンザジニル(キノリニル(「1−ベンザジニル」としても公知)及びイソキノリニル(「2−ベンザジニル」としても公知)を含む)、フタラジニル、キノキサリニル、ベンゾジアジニル(シンノリニル(「1,2−ベンゾジアジニル」としても公知)及びキナゾリニル(「1,3−ベンゾジアジニル」としても公知)を含む)、ベンゾピラニル(「クロメニル」及び「イソクロメニル」を含む)、ベンゾチオピラニル(「チオクロメニル」としても公知)、ベンゾオキサゾリル、インドオキサジニル(「ベンゾイソオキサゾリル」としても公知)、アントラニリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾフラニル(「クマロニル」としても公知)、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル(「ベンゾチオフェニル」、「チオナフテニル」及び「ベンゾチオフラニル」としても公知)、イソベンゾチエニル(「イソベンゾチオフェニル」、「イソチオナフテニル」及び「イソベンゾチオフラニル」としても公知)、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジニル(1,3,2−ベンゾオキサジニル、1,4,2−ベンゾオキサジニル、2,3,1−ベンゾオキサジニル及び3,1,4−ベンゾオキサジニルを含む)、ベンゾイソオキサジニル(1,2−ベンゾイソオキサジニル及び1,4−ベンゾイソオキサジニルを含む)及びテトラヒドロイソキノリニルが含まれる。
【0126】
ヘテロシクリルは環員として1個以上の硫黄原子を含み得、幾つかの場合には硫黄原子はSOまたはSOに酸化されている。ヘテロシクリル中の窒素ヘテロ原子は4級化されていてもいなくてもよく、N−オキシドに酸化されていてもいなくてもよい。加えて、窒素ヘテロ原子がN−保護されていてもいなくてもよい。
【0127】
用語「医薬的に許容され得る」は、修飾されている名詞が医薬品として、または医薬品の一部として使用するのに適していることを意味すべく形容詞的に使用される。
【0128】
用語「治療有効量」は、有意義な患者利益(例えば、ウイルス量の低減)を示すのに十分な各活性物質の総量を指す。
【0129】
用語「プロドラッグ」は、化学的または代謝的に切断可能な基を有し、加溶媒分解によりまたは生理学的条件下でインビボで医薬的に活性な本発明の化合物となる本発明の化合物の誘導体を指す。化合物のプロドラッグは、化合物の官能基(例えば、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシ基)の反応により慣用方法で形成され得る。プロドラッグはしばしば哺乳動物において溶解性、組織適合性または遅い放出の利点を与える(Bungard,H.,DESIGN OF PRODRUGS,pp.7−9,21−24,Elsevier,Amsterdam,1985を参照されたい)。プロドラッグには当業者に公知の酸誘導体、例えば親酸性化合物の適当なアルコールとの反応により製造されるエステル、または親酸化合物の適当なアミンとの反応により製造されるアミドが含まれる。プロドラッグの例には、本発明の化合物内のアルコールまたはアミン官能基の酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩または他のアシル化誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0130】
用語「溶媒和物」は、本発明の化合物の1つ以上の有機または無機溶媒分子との物理的会合を指す。この物理的会合にはしばしば水素結合が含まれる。ある場合には、溶媒和物は、例えば1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に取り込まれたときに単離され得る。「溶媒和物」は溶液相及び単離可能溶媒和物の両方を包含する。溶媒和物の例には、水和物、エタノラート及びメタノラートが含まれるが、これらに限定されない。
【0131】
用語「N−保護基」または「N−保護されている」は、アミノ基を望ましくない反応から保護し得る基を指す。慣用されているN−保護基は、Greene and Wuts,PROTECTING GROUPS IN CHEMICAL SYNTHESIS(第3版,John Wiley & Sons,NY(1999)に記載されている。N−保護基の非限定例には、アシル基、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o−ニトロフェノキシアセチル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイルまたは4−ニトロベンゾイル;スルホニル基、例えばベンゼンスルホニルまたはp−トルエンスルホニル;スルフェニル基、例えばフェニルスルフェニル(フェニル−S−)またはトリフェニルメチルスルフェニル(トリチル−S−);スルフィニル基、例えばp−メチルフェニルスルフィニル(p−メチルフェニル−S(O)−)またはt−ブチルスルフィニル(t−Bu−S(O)−);カルバメート形成基、例えばベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル、ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロ−エトキシ−カルボニル、フェノキシカルボニル、4−ニトロ−フェノキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニルまたはフェニルチオカルボニル;アルキル基、例えばベンジル、p−メトキシベンジル、トリフェニルメチルまたはベンジルオキシメチル;p−メトキシフェニル;及びシリル基、例えばトリメチルシリルが含まれる。好ましいN−保護基にはホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、フェニルスルホニル、ベンジル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)及びベンジルオキシカルボニル(Cbz)が含まれる。
【0132】
本発明の化合物は、スキームIに示すように、式IVを有する化合物を式Vを有する化合物にカップリングすることにより製造され得る。スキームI中、A、A、Z、W、W、R、R、R、R及びTは上に定義されている通りである。式IVを有する化合物は米国特許出願公開Nos.20070232627、20070197558及び20070232645並びにWO2008/133753に記載されている方法に従って製造され得、式Vを有する化合物はWO2004014313、WO2004014852、WO2006133326、WO2007070556、WO2007070600、WO2008021927、WO2008021928、WO2008021936、WO2008064218及びWO2008070447に記載されている手順に従って製造され得る。
【0133】
【化38】

【0134】
非限定例として、本発明の化合物は、スキームIIに示すように、式IVを有する化合物を式Vを有する化合物にカップリングすることにより製造され得る。スキームII中、Tは示されているカルボン酸、或いは酸クロリドまたは活性化エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドまたはペンタフルオロフェニルエステル)のような活性化誘導体であり、Tはアミンまたは置換アミンである。アミド結合カップリング試薬(例えば、DCC、EDAC、PyBOP及びHATU)を溶媒(例えば、DMF、DMSO、THFまたはジクロロメタン)中、場合によりアミン塩基(例えば、トリエチルアミンまたはヒューニッヒ塩基)を添加して使用してもよい。
【0135】
【化39】

【0136】
別の非限定例として、本発明の化合物は、スキームIIIに示すように、示されているアミンまたは置換アミンと反応させることにより式IVを有する化合物を式Vを有する化合物にカップリングすることにより製造され得る。スキームIII中、T及びTはカルボン酸、或いは酸クロリドまたは活性化エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドまたはペンタフルオロフェニルエステル)のような活性化誘導体である。アミド結合カップリング試薬(例えば、DCC、EDAC、PyBOP及びHATU)を溶媒(例えば、DMF、DMSO、THFまたはジクロロメタン)中、場合によりアミン塩基(例えば、トリエチルアミンまたはヒューニッヒ塩基)を添加して使用してもよい。カップリングを同時に実施して対称生成物を得ても、または順次実施して非対称生成物を得てもよい。R及びRB’は上に定義されている通りであり、−C(O)N(R)−T’−N(RB’)C(O)−はTである。
【0137】
【化40】

【0138】
なお別の非限定例として、本発明の化合物は、スキームIVに示すように、ヘテロ環式または炭素環式ハライド(スキームIVではヨージドが示されている)またはトリフレート及び遷移金属触媒と反応させることにより式IVを有する化合物を式Vを有する化合物にカップリングすることにより製造され得る。スキームIV中、T及びTは独立して示されているボロン酸またはエステルである。T’はヘテロ環式または炭素環式であり、Rは非限定的に独立して毎回水素またはL(ここで、Lは上に定義されている通りである)から選択され得る。或いは、ボロネートの代わりにアルキルスタンナン(例えば、トリブチルまたはトリメチルスタンナン)を使用し、ハライドまたはトリフレートと類似条件下でカップリングさせてもよい。Pd触媒(例えば、Pd(PPhまたはPd(dppf)Cl)を使用しても、またはPd(II)触媒(例えば、Pd(OAc)またはPd(dba))及び有機リンリガンド(例えば、PPhまたはP(t−Bu))を用いてその場で生成させてよい。反応は、溶媒(例えば、THFまたはDMF)中、塩基(例えば、KCOまたはKPO)を添加して実施され得る。カップリングを同時に実施して対称生成物を得ても、順次実施して非対称生成物を得てもよい。
【0139】
【化41】

【0140】
更に別の非限定例として、本発明の化合物は、スキームVに示すように、Rがトリメチルシリル(TMS)または別の適当な保護基であり得る場合にはアルキンとの反応により、適当な触媒を用いるソノガシラ反応により式IVを有する化合物を式Vを有する化合物にカップリングすることにより製造され得る。スキームV中、T及びTはハライド(ヨージドが示されている)である。Pd触媒(例えば、Pd(PPhまたはPd(dppf)Cl)を使用しても、またはPd(II)触媒(例えば、Pd(OAc)またはPd(dba))及び有機リンリガンド(例えば、PPhまたはP(t−Bu))を用いてその場で生成させてもよい。或いは、Cu(I)触媒(例えば、ヨウ化Cu(I))を使用してもよい。反応は、溶媒(例えば、THFまたはDMF)中、塩基(例えば、KCOまたはKPO)またはアミン塩基(例えば、トリエチルアミンまたはヒューニッヒ塩基)を添加して実施され得る。TMS保護基は、溶媒(例えば、メタノールまたはTHF)中で塩基(例えば、KCO)を用いて除去され得る。Vとの第2のソノガシラ反応は第1のカップリングと類似の条件下で実施され得る。カップリングを同時に実施して対称生成物を得ても、順次実施して非対称生成物を得てもよい。
【0141】
【化42】

【0142】
更なる非限定例として、本発明の化合物は、スキームVIに示すように、式IVを有する化合物を式Vを有する化合物にカップリングすることにより製造され得る。式IV及びVは共にアルデヒドであり、溶媒(例えば、THFまたはエタノール)中、場合により酢酸を添加して適当な還元剤(例えば、NaCNBHまたはNaBH(OAc))を用いて還元アミノ化することによりアミンと反応させると、式VIが形成され得る(ステップ1)。Rは、非限定的にC−Cアルキル(例えば、tert−ブチルまたはイソプロピル)、C−C10炭素環(例えば、フェニル)、または6〜10員ヘテロ環であり得る。或いは、Rは保護基(例えば、ベンジルまたは2,4−ジメトキシベンジル)であり得、この保護基は水素化分解により、または酸(例えば、TFAまたはHCl)で処理することによりVIから除去され得る。或いは、Vはアルキルハライド(例えば、ブロミドが示されている)を含み得、アルデヒドIVをアミンを用いて還元アミノ化(ステップ2)した生成物と反応させてVIを形成してもよい(ステップ3)。ハライドVを用いるアルキル化は、溶媒(例えば、THFまたはDMF)中、塩基(例えば、NaH、NaOH、ヒューニッヒ塩基またはNaHMDS)の存在下で実施され得る。ハライド及びニトロ置換化合物VIを溶媒(例えば、THFまたはDMF)中、塩基(例えば、KCOまたはヒューニッヒ塩基)を用いてアルキル、アリールまたはヘテロアリールアルコール、チオール、フェノールまたはチオフェノールと反応させてもよい。ニトロ基をPdまたはラネーNi触媒を用いる水素化を用いて、またはNHCl、HClまたは酢酸の存在下でFeを用いてアミノ基に還元し、更に米国特許出願公開Nos.20070232627、20070197558及び20070232645並びにWO2008/133753に記載されている方法、並びにWO2004014313、WO2004014852、WO2006133326、WO2007070556、WO2007070600、WO2008021927、WO2008021928、WO2008021936、WO2008064218及びWO2008070447に記載されている方法を用いて化合物Iに官能化させてもよい。Tは−CH−N(R)−CH−または−CH−NH−CH−である。
【0143】
【化43】

【0144】
加えて、式Iを有する化合物は、
【0145】
【化44】

またはその活性化誘導体から直接製造され得る。例えば、本発明の化合物は、スキームVIIに示すように、式VIを有する化合物から製造され得る。式VIを有する化合物はIV及びVをクロロ及びニトロに置換することによりスキームI〜Vを介して製造され得るハライド及びニトロ置換化合物VIを溶媒(例えば、THFまたはDMF)中、塩基(例えば、KCOまたはヒューニッヒ塩基)を用いてアルキル、アリールまたはヘテロアリールアルコール、チオール、フェノールまたはチオフェノールと反応させてもよい。ニトロ基をPdまたはラネーNi触媒を用いる水素化を用いて、またはNHCl、HClまたは酢酸の存在下でFeを用いてアミノ基に還元し、更に米国特許出願公開Nos.20070232627、20070197558及び20070232645並びにWO2008/133753に記載されている方法、並びにWO2004014313、WO2004014852、WO2006133326、WO2007070556、WO2007070600、WO2008021927、WO2008021928、WO2008021936、WO2008064218及びWO2008070447に記載されている方法を用いて化合物Iに官能化させてもよい。
【0146】
【化45】

【0147】
式II及びIIIを有する化合物は、当業者が認識しているように上記スキームに従って同様に製造され得る。
【0148】
本明細書中に記載されている部分(例えば、−NHまたは−OH)が合成方法に適合しないならば、この部分を当該方法で使用される反応条件に対して安定な適当な保護基を用いて保護してもよい。保護基を反応シーケンス中の適当な時点で除去すると、所望の中間体または標的化合物が得られ得る。適当な保護基及び部分を保護または脱保護するための方法は当業界で公知であり、この例は上掲したGreene and Wuts中に見つけることができる。個々の各ステップに対する最適な反応条件及び反応時間は使用する具体的反応物質及び使用する反応物質中に存在する置換基に応じて異なり得る。溶媒、温度及び他の反応条件は本発明に基づいて当業者により容易に選択され得る。
【0149】
上記した実施形態及びスキーム、並びに下記実施例は例示として提示されており、非限定的であると理解されるべきである。本発明の範囲内の各種変化及び修飾は本発明の記載から当業者に自明であろう。
【0150】
実施例1
(S)−4−(4−アミノフェニルチオ)−3−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(4−(2−(1−(2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェニル)ベンズアミド
【0151】
【化46】

実施例1A
4−(4−アミノ−フェニルスルファニル)−3−ニトロ−安息香酸メチルエステル
【0152】
【化47】

4−クロロ−3−ニトロ安息香酸メチルエステル(15.0g,68mmol)、4−アミノチオフェノール(8.8g,68mmol)及びKCO(11.8g,85mmol)をDMF(150mL)中に含む混合物を90℃で1.5時間加熱し、室温まで冷却した後、攪拌しながらHO(450mL)に注いだ、水性混合物を酢酸エチル(400mL)で抽出した。抽出物をHO(3回)及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させて、粗な生成物を橙色結晶として得た。粗な生成物をi−PrO(150mL)中に懸濁し、室温で1時間攪拌した。結晶を濾過により集め、i−PrOで洗浄し、減圧下60℃で3日間乾燥して、精製して、標記化合物を橙色結晶(18.6g,収率90%)として得た。
【0153】
実施例1B
4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−フェニルスルファニル)−3−ニトロ−安息香酸メチルエステル
【0154】
【化48】

実施例1Aからの生成物(18.5g,61mmol)及びジ炭酸ジ−tert−ブチル(26.8g,122mmol)をp−ジオキサン(280mL)中に含む溶液を90℃で3時間加熱した。追加のジ炭酸ジ−tert−ブチル(26.8g,122mmol)を添加し、混合物を90℃で3時間加熱した。第2の追加ジ炭酸ジ−tert−ブチル(13.4g,61mmol)を添加し、混合物を90℃で4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、蒸発させた。残渣をi−PrO(250mL)で希釈し、混合物を室温で1時間攪拌した。生じた結晶を濾過により集め、i−PrOで洗浄し、減圧下60℃で一晩乾燥して、標記化合物を黄色結晶(22.8g,収率93%)として得た。
【0155】
実施例1C
3−アミノ−4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−フェニルスルファニル)−安息香酸メチルエステル
【0156】
【化49】

実施例1Bからの生成物(22.8g,56mmol)、Fe粉(16.4g,282mmol)及びNHCl(15.1g,282mmol)を水性EtOH[EtOH(228mL)及びHO(228mL)から調製]中に含む懸濁液を徐々に還流まで加熱し、2時間穏やかに還流させた。反応混合物を室温まで冷却し、セライトパッドを介して濾過した。濾液を蒸発させた。水性残渣を酢酸エチルとHOに分配し、KCOでpH9の塩基性とした後、セライトパッドを介して濾過した。有機層を分離し、HO及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。油状残渣をi−PrO(200mL)で処理して結晶化し、室温で30分間攪拌した。生じた結晶を濾過により集め、i−PrOで洗浄し、減圧下60℃で一晩乾燥して、標記化合物を無色結晶(13.9g,収率66%)として得た。
【0157】
実施例1D
4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−フェニルスルファニル)−3−(7−イソプロピル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−安息香酸メチルエステル
【0158】
【化50】

N’−(3−シアノ−6−イソプロピル−ピリジン−2−イル)−N,N−ジメチル−ホルムアミジン(2.00g,9.3mmol)及び実施例1Cからの生成物(3.46g,9.3mmol)を酢酸(40mL)中に含む懸濁液をN下120℃で20分間加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物を酢酸エチル(150mL)とHO(200mL)に分配し、次いで攪拌しながらKCOでpH9の塩基性とした。有機層を分離し、10% NaHCO、HO及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させると、薄褐色油状物が生じた。油状残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=5/1)により精製すると、黄色結晶が生じた。冷酢酸エチル(15mL)で洗浄することにより更に精製して、標記化合物を僅かに黄色の結晶(3.27g,収率65%)を得た。
【0159】
実施例1E
4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−フェニルスルファニル)−3−(7−イソプロピル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−安息香酸
【0160】
【化51】

実施例1Dからの生成物(3.25g,6.0mmol)をTHF(32.5mL)中に含む溶液に室温で水性LiOH[LiOH一水和物(1.02g,24mmol)及びHO(10mL)から調製]を一滴ずつ添加した。混合物を室温で26時間攪拌した後、蒸発させた。水性混合物をHO(100mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL)で洗浄した後、5℃で攪拌しながら10% HClで注意深くpH4〜5の酸性とした。生じた固体を濾過により集め、HOで洗浄し、減圧下60℃で一晩乾燥して、標記化合物を薄黄色結晶(3.09g,収率98%)として得た。
【0161】
実施例1F
(S)−2−(2−(4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル)ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチル
【0162】
【化52】

BOC−L−プロリン(0.485g,2.25mmol)及び2−ブロモ−4’−ニトロアセトフェノン(0.500g,2.05mmol)をアセトニトリル(20mL)中に含む溶液に周囲温度でジイソプロピルエチルアミン(0.39mL,2.25mmol)を一滴ずつ添加した。4時間攪拌した後、溶液をブラインに注ぎ、酢酸エチルに抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を濃縮して、粗な物質を得た。これを更に精製することなく使用した(収率100%)。
【0163】
実施例1G
(S)−2−(4−(4−ニトロフェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0164】
【化53】

実施例1Fからの生成物(0.775g,2.05mmol)をトルエン(10mL)中に含む溶液に酢酸アンモニウム(3.16g,41.0mmol)を一度に添加した。混合物を100℃で16時間加熱した。暗赤色溶液をブラインに注ぎ、酢酸エチルに抽出し、濃縮し、ジクロロメタン中0〜30% 酢酸エチルで溶離させるコンビ−フラッシュ12gカラムにより精製して、ワックス状固体(0.545g,74%)を得た。
【0165】
実施例1H
(S)−4−(4−ニトロフェニル)−2−(ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾール
【0166】
【化54】

実施例1Gからの生成物(0.545g,1.52mmol)をジクロロメタン(15mL)中に含む溶液に周囲温度でトリフルオロ酢酸(2.34mL,30.4mmol)を一滴ずつ添加した。溶液を16時間攪拌した後、濃縮し、トルエンと2回共沸させて、橙色ワックス状固体TFA塩(0.367g,65%)を得た。
【0167】
実施例1I
(S)−1−(2−(4−(4−ニトロフェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)−2−フェニルエタノン
【0168】
【化55】

実施例1Hからの生成物(0.18g,0.48mmol)及びHATU(0.202g,0.53mmol)をDMSO(5mL)中に含む溶液にジイソプロピルエチルアミン(0.253mL,1.45mmol)及びフェニル酢酸(0.066mL,0.53mmol)を順次添加した。溶液を16時間攪拌した後、水で希釈し、生成物を濾別し、ジクロロメタン中0〜5% メタノールで溶離させるコンビ−フラッシュ12gカラムにより精製して、固体(0.137g,75%)を得た。
【0169】
実施例1J
(S)−1−(2−(4−(4−アミノフェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)−2−フェニルエタノン
【0170】
【化56】

実施例1Iからの生成物(0.137g,0.36mmol)を水(0.75mL)、メタノール(1.5mL)及びテトラヒドロフラン(1.5mL)の混合物中に含む溶液に鉄(0.102g,1.82mmol)及び塩化アンモニウム(0.030g,0.54mmol)を添加し、生じた混合物を激しく攪拌しながら75℃で1時間加熱した。加温した反応混合物をセライトを介して濾過し、メタノール及びテトラヒドロフランで十分濯いだ。濾液を濃縮し、10% NaHCO溶液と酢酸エチルに分別した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、ワックス状固体を得た。これを更に精製することなく使用した(97%)。
【0171】
実施例1K
(S)−4−(2−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−4−(4−(2−(1−(2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェニルカルバモイル)フェニルチオ)フェニルカルバミン酸tert−ブチル
【0172】
【化57】

実施例1Eからの生成物(0.16g,0.30mmol)及びHATU(0.12g,0.316mmol)をDMSO(5mL)中に含む溶液にジイソプロピルエチルアミン(0.184mL,1.05mmol)及び実施例1Jからの生成物(0.115g、0.33mmol)を順次添加した。溶液を周囲温度で18時間攪拌した後、水で希釈し、粗な生成物を濾別し、ジクロロメタン中0〜10% メタノールで溶離させるコンビ−フラッシュ12gカラムにより精製して、固体(0.092g,36%)を得た。
【0173】
実施例1L
(S)−4−(4−アミノフェニルチオ)−3−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(4−(2−(l−(2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェニル)ベンズアミド
【0174】
【化58】

実施例1Kの生成物(0.092g,0.11mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)中に含む溶液に周囲温度でジオキサン(1mL,4.2mol)中4M HCを添加した。4時間攪拌した後、生成物の固体HCl塩を濾別し、少量のメタノールに取り、NaHCO溶液に添加した。遊離アミンを酢酸エチルに抽出し、濃縮し、ジクロロメタン中0〜10% メタノールで溶離させるコンビ−フラッシュ12gカラムにより精製して、黄色固体(0.035g,43%)を得た。H NMR(400MHz,溶媒)δ ppm 1.36(d,J=7.02Hz,6H)1.89−2.36(m,4H)3.24(dd,J=13.89,6.87Hz,1H)3.50−3.81(m,4H)5.09−5.20(m,1H)6.66(d,J=8.54Hz,2H)6.98−7.10(m,2H)7.12−7.35(m,7H)7.55(d,J=8.54Hz,1H)7.66−7.79(m,5H)7.96(s,1H)8.49(s,1H)8.76(d,J=8.24Hz,1H)。
【0175】
実施例2
4−(4−アミノフェニルチオ)−N−(4−(2−((S)−1−((R)−2−(ジメチルアミノ)−2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェニル)−3−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ベンズアミド
【0176】
【化59】

実施例2A
(R)−2−(ジメチルアミノ)−2−フェニル酢酸
【0177】
【化60】

(R)−2−アミノ−2−フェニル酢酸(1.0g,6.62mmol)及び37% 水性ホルムアルデヒド(3.22mL,39.7mmol)をメタノール(22mL)中に含む溶液を水素雰囲気下炭素担持20% パラジウム(0.35g,0.66mmol)で5時間処理した。窒素をパージした後、溶液を濾過し、濃縮した。残渣を少量のメタノールに取り、エーテルを添加した。生じた固体を濾過し、乾燥して、白色固体を得た。
【0178】
実施例2B
(R)−2−(ジメチルアミノ)−1−((S)−2−(4−(4−ニトロフェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)−2−フェニルエタノン
【0179】
【化61】

実施例1Hの生成物(0.185g,0.49mmol)及び実施例2Bの生成物(0.098g,0.54mmol)を実施例1Iと同様に処理した。
【0180】
実施例2C
(R)−1−((S)−2−(4−(4−アミノフェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)−2−(ジメチルアミノ)−2−フェニルエタノン
【0181】
【化62】

実施例2Bの生成物(0.21g,0.50mmol)を実施例1Jと同様に処理して、ワックス状固体(0.085g,44%)を得た。
【0182】
実施例2D
4−(4−(4−(2−((S)−1−((R)−2−(ジメチルアミノ)−2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェニルカルバモイル)−2−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)フェニルチオ)フェニルカルバミン酸tert−ブチル
【0183】
【化63】

実施例2Cの生成物(0.081g,0.21mmol)及び実施例1Eからの生成物(0.10g,0.188mmol)の溶液を実施例1Kと同様に処理して、固体(0.094g,55%)を得た。
【0184】
実施例2E
4−(4−アミノフェニルチオ)−N−(4−(2−((S)−1−((R)−2−(ジメチルアミノ)−2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェニル)−3−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ベンズアミド
【0185】
【化64】

実施例2Dの生成物(0.094g,0.10mmol)を実施例1Lと同様に処理して、黄色固体(0.016g,19%)を得た。H NMR(400MHz,溶媒)δ ppm 1.36(d,J=6.71Hz,6H)1.80−2.12(m,4H)2.17(s,6H)3.19−3.26(m,1H)3.38(s,1H)3.88(s,1H)4.25(s,1H)5.06(s,1H)6.66(d,J=8.54Hz,2H)7.02(d,J=6.10Hz,1H)7.15(d,J=8.54Hz,2H)7.23−7.50(m,5H)7.55(d,J=7.63Hz,1H)7.62−7.80(m,5H)7.99(s,1H)8.56(s,1H)8.77(d,J=7.02Hz,1H)。
【0186】
実施例3
A−1169629.0
(S)−2−(4−(4−(4−アミノフェニルチオ)−3−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ベンズアミド)フェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボン酸ベンジル
【0187】
【化65】

実施例3A
(S)−2−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボン酸ベンジル
【0188】
【化66】

カルボベンジルオキシ−L−プロリン(0.20g,0.80mmol)及びHATU(0.32g,0.84mmol)をDMSO(6mL)中に含む溶液にジイソプロピルエチルアミン(0.42mL,2.41mmol)及び4−アミノフェニルカルバミン酸tert−ブチル(0.175g,0.82mmol)を順次添加した。溶液を周囲温度で2時間攪拌した後、水で希釈し、固体生成物を濾別し、ジクロロメタン中0〜20% 酢酸エチルで溶離させるコンビ−フラッシュ12gカラムにより精製して、固体(0.245g,70%)を得た。
【0189】
実施例3B
(S)−2−(4−アミノフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボン酸ベンジル
【0190】
【化67】

実施例3Aからの生成物(0.245g、0.56mmol)をジオキサン(5mL)中に含む溶液に4M HCl/ジオキサン(2.8mL,11.2mol)を添加し、混合物を周囲温度で17時間攪拌した。混合物を濃縮し、トルエンと共沸させて、黄褐色固体(0.18g、86%)を得た。
【0191】
実施例3C
(S)−2−(4−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルチオ)−3−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ベンズアミド)フェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボン酸ベンジル
【0192】
【化68】

実施例1Eからの生成物(0.15g,0.28mmol)及び実施例3Bからの生成物(0.134g,0.395mmol)を実施例1Kと同様に処理して、固体(0.155g,64%)を得た。
【0193】
実施例3D
(S)−2−(4−(4−(4−アミノフェニルチオ)−3−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ベンズアミド)フェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボン酸ベンジル
【0194】
【化69】

実施例3Cの生成物(0.094g,0.10mmol)を実施例1Lと同様に処理して、黄色固体(0.045g,33%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 1.34(d,J=6.62Hz,6H)1.81−2.00(m,3H)2.16−2.31(m,1H)3.15−3.27(m,1H)3.41−3.56(m,2H)4.29−4.40(m,1H)4.92−5.14(m,2H)5.59(s,2H)6.64(d,J=8.46Hz,2H)6.87(d,J=8.82Hz,1H)7.15(d,J=8.46Hz,2H)7.18−7.27(m,2H)7.34−7.42(m,2H)7.54(t,J=8.09Hz,2H)7.62−7.72(m,3H)7.78(d,J=7.35Hz,1H)7.95(s,1H)8.59(s,1H)8.89(d,J=7.72Hz,1H)10.01(d,J=5.52Hz,1H)10.14(d,J=5.88Hz,2H)。
【0195】
実施例4
(S)−N−(4−(4−(4−アミノフェニルチオ)−3−(7−イソプロピルピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ベンズアミド)フェニル)ピロリジン−2−カルボキサミド
【0196】
【化70】

実施例3Cの生成物(0.094g,0.10mmol)を実施例1Lと同様に処理して、この生成物を黄色固体(0.014g,12%)として得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 1.34(d,J=6.99Hz,6H)1.58−1.70(m,2H)1.70−1.85(m,1H)1.95−2.12(m,1H)2.88(t,J=6.62Hz,2H)3.13−3.26(m,1H)3.66(dd,J=8.64,5.33Hz,1H)5.59(s,2H)6.63(d,J=8.46Hz,2H)6.86(d,J=8.46Hz,1H)7.14(d,J=8.46Hz,2H)7.63(q,J=8.95Hz,5H)7.77(d,J=9.19Hz,1H)7.94(s,1H)8.58(s,1H)8.88(d,J=6.99Hz,1H)9.90(s,1H)10.13(d,J=10.66Hz,2H)。
【0197】
以下の化合物も本明細書中に記載されている方法に従って製造した:
【0198】
【化71】





式I
【0199】
【化72】

(式中、
【0200】
【化73】

は表1から選択され;−X−Rは表2から選択され;A及びAはそれぞれ表3a及び表3bから選択され;Tは表4から選択される)
を有する以下の化合物も本発明に従って製造され得る。
【0201】
【化74】

も表5から選択され得る。
【0202】
【表1】


【0203】
【表2】

【0204】
【表3】

【0205】
【表4】

【0206】
【表5】

【0207】
【表6】





【0208】
本発明の化合物の阻害活性は当業界で公知の各種アッセイを用いて評価され得る。例えば、細胞培養での化合物の特性決定のために2つの安定なサブゲノムレプリコン細胞株、1つは遺伝子型1a−H77に由来するもの及び他は遺伝子型1b−Con1に由来するものを使用し得る。レプリコン構築物はバイシストロニックなサブゲノムレプリコンであり得る。遺伝子型1aレプリコン構築物はHCVのH77株(1a−H77)に由来するNS3−NS5Bコード領域を含む。このレプリコンはホタルルシフェラーゼレポーター及びネオマシインホスホトランスフェラーゼ(Neo)選択マーカーをも有している。FMDV 2aプロテアーゼにより分離されているこれら2つのコード領域はバイシストロニックなレプリコン構築物の第1シストロン、及び適応変異が付加されているNS3−NS5Bコード領域を含有している第2シストロンからなる。1b−Con1レプリコン構築物は、NS3−NS5Bコード領域が1b−Con1株に由来し、レプリコンが別の適応変異を含有していることを除いて、1b−Con1レプリコンと同一である。レプリコン細胞株は、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、100ml ペニシリン、100mg/ml ストレプトマイシン(Invitrogen)及び200mg/ml G418(Invitrogen)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において維持され得る。
【0209】
本発明の化合物のHCV複製に対する阻害効果は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性を測定することにより調べられ得る。例えば、レプリコン含有細胞を96ウェルプレートにおいて100μlの5% FBS含有DMEM中に5000個の細胞/ウェルの密度で接種し得る。翌日化合物を一連の8半対数希釈で200×ストックを生成するようにジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し得る。次いで、希釈シリーズは更に5% FBS含有培地で100倍希釈し得る。既に100μlの5% FBS含有DMEMを含有している一晩細胞培養プレートに阻害剤を含む培地を添加する。ヒト血漿の存在下で阻害活性を測定するアッセイでは、一晩細胞培養プレートからの培地を40% ヒト血清及び5% FBSを含有するDMEMと置換し得る。細胞を組織培養インキュベータにおいて3日間インキュベートし得、その後RNA抽出のために溶解させる。ルシフェラーゼアッセイの場合には、30μlのPassive Lysisバッファー(Promega)を各ウェルに添加し得、その後プレートを揺らしながら15分間インキュベートして細胞を溶解させる。ルシフェリン溶液(100μl,Promega)を各ウェルに添加し得、ルシフェラーゼ活性はVictor IIルミノメーター(Perkin−Elmer)を用いて調べられ得る。各化合物濃度毎にHCV RNA複製の阻害パーセントを計算し得、IC50及び/またはEC50値は4パラメーターロジスティック式に適合させる非線形回帰及びGraphPad Prism 4ソフトウェアを用いて計算し得る。
【0210】
上記方法を用いて評価したとき、本発明の代表的化合物は、約0.1nM〜約100μMの範囲のIC50値でHCVレプリコン複製を阻害した。IC50は50%阻害濃度を指す。本発明の化合物の細胞毒性も当業界で公知の方法を用いて評価し得る。試験したとき、本発明の代表的化合物のTC50値は多くの場合化合物の対応するIC50値よりも大きかった。TC50は50%毒性濃度を指す。表6にHCVレプリコンを用いて試験したときの実施例1〜28の化合物のIC50値がリストされている。
【0211】
【表7】

【0212】
本発明は、本発明の化合物を含む医薬組成物にも関する。本発明の医薬組成物は、各々が式I、IIまたはIIIから独立して選択される式を有する本発明の化合物を1つ以上含み得る。
【0213】
加えて、本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容され得る塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む医薬組成物に関する。非限定的に、医薬的に許容され得る塩は両性イオン性であっても、医薬的に許容され得る無機または有機の酸または塩基から誘導されてもよい。好ましくは、医薬的に許容され得る塩は過度の毒性、刺激またはアレルギー反応なしで化合物の遊離酸または塩基の生物学的有効性を維持し、適当な利益/リスク比を有し、意図する用途に対して有効であり、生物学的にまたは他の方法で有害でない。
【0214】
更に、本発明は、本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)及び別の治療剤を含む医薬組成物に関する。非限定的例として、これらの他の治療剤は、抗ウイルス剤(例えば、抗HIV剤、抗HBV剤、或いはHCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、IRES阻害剤またはNS5A阻害剤のような他の抗HCV剤)、抗細菌剤、抗真菌剤、免疫調節剤、抗癌または化学療法剤、抗炎症剤、アンチセンスRNA、siRNA、抗体、或いは肝硬変または肝臓炎症の治療剤から選択され得る。これらの他の治療剤の具体例には、リバビリン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、ペグ化インターフェロン−α、ペグ化インターフェロン−ラムダ、リバビリン、ビラミジン、R−5158、ニタゾキサニド、アマンタジン、Debio−025、NIM−811、R7128、R1626、R4048、T−1106、PSI−7851、PF−00868554、ANA−598、IDX184、IDX102、IDX375、GS−9190、VCH−759、VCH−916、MK−3281、BCX−4678、MK−3281、VBY708、ANA598、GL59728、GL60667、BMS−790052、BMS−791325、BMS−650032、GS−9132、ACH−1095、AP−H005、A−831、A−689、AZD2836、テラプレビル、ボセプレビル、ITMN−191、BI−201335、VBY−376、VX−500(Vertex)、PHX−B、ACH−1625、IDX136、IDX316、VX−813(Vertex)、SCH 900518(Schering−Plough)、TMC−435(Tibotec)、ITMN−191(Intermune,Roche)、MK−7009(Merck)、IDX−PI(Novartis)、BI−201335(Boehringer Ingelheim)、R7128(Roche)、PSI−7851(Pharmasset)、MK−3281(Merck)、PF−868554(Pfizer)、IDX−184(Novartis)、IDX−375(Pharmasset)、BILB−1941(Boehringer Ingelheim)、GS−9190(Gilead)、BMS−790052(BMS)、アルブフェロン(Novartis)、リトナビル、別のシトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤またはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0215】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は1つ以上の本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)及び1つ以上の他の抗ウイルス剤を含む。
【0216】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物は1つ以上の本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)及び1つ以上の他の抗HCV剤を含む。例えば、本発明の医薬組成物は、本発明の式I、IIまたはIIIを有する化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)及び(ヌクレオシド及び非ヌクレンシド型のポリメラーゼ阻害剤を含めた)HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、CD81阻害剤、シクロフィリン阻害剤、IRES阻害剤またはNS5A阻害剤から選択される物質を含み得る。
【0217】
更に別の実施形態において、本発明の医薬組成物は1つ以上の本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)及び1つ以上の他の抗ウイルス剤、例えば抗HBV剤、抗HIV剤、或いは抗A型肝炎剤、抗D型肝炎剤、抗E型肝炎剤または抗G型肝炎剤を含む。抗HBV剤の非限定例には、アデフォビル、ラミブジン及びテノフォビルが含まれる。抗HIV剤の非限定例には、リトナビル、ロピナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サクイナビル、アンプレナビル、アタザナビル、チプラナビル、TMC−114、ホサンプレナビル、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、スタブジン、テノフォビル、ザルシタビン、アバカビル、エファビレンツ、ネビラピン、デラビルジン、TMC−125、L−870812、S−1360、エンフビルチド、T−1249、或いは他のHIVプロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼまたは融合阻害剤が含まれる。当業者が認識しているように、本発明の医薬組成物中に他の望ましい抗ウイルス剤を配合してもよい。
【0218】
本発明の医薬組成物は、典型的には医薬的に許容され得る担体または賦形剤を含む。適当な医薬的に許容され得る担体/賦形剤の非限定例には、糖類(例えば、ラクトース、グルコースまたはスクロース)、デンプン類(例えば、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン)、セルロースまたはその誘導体類(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースまたは酢酸セルロース)、油類(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コ−ン油または大豆油)、グリコール類(例えば、プロピレングリコール)、緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウム)、寒天、アルギン酸、トラガカント末、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオ脂、発熱物質非含有水、等張性食塩液、リンガー液、エタノールまたはリン酸緩衝溶液が含まれる。滑沢剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、着香または芳香剤、保存剤または抗酸化剤を本発明の医薬組成物中に配合してもよい。
【0219】
本発明の医薬組成物は、投与ルートに基づいて当業者に公知の方法を用いて製剤化され得る。例えば、滅菌注射剤は、適当な分散または湿潤剤及び懸濁化剤を用いて滅菌の注射可能な水性または油性懸濁液として調製され得る。直腸投与用座剤は、薬物を常温で固体であるが直腸温度で液体であり、よって直腸中で溶融して薬物を放出する適当な非刺激性賦形剤(例えば、カカオ脂またはポリエチレングリコール)と混合することにより調製され得る。経口投与用固体剤形はカプセル剤、錠剤、ピル剤、散剤または顆粒剤であり得る。このような固体剤形では、活性化合物は少なくとも1つの不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプン)と混合され得る。固体剤形は不活性希釈剤に加えて滑沢剤のような他の物質をも含み得る。カプセル剤、錠剤及びピル剤の場合、剤形は緩衝剤をも含み得る。錠剤及びピル剤に更に腸溶性コーティングを作成してもよい。経口投与用液体剤形には、当業界で慣用されている不活性希釈剤を含有している医薬的に許容され得るエマルション剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤またはエリキシル剤が含まれ得る。液体剤形は湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、着香剤または芳香剤をも含み得る。本発明の医薬組成物は、米国特許No.6,703,403に記載されているリポソームの形態でも投与され得る。本発明に適用され得る薬物の製剤化は、例えばHoover,John E.,REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Publishing Co.,Easton,PA:1975)及びLachman,L.編,PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS(Marcel Decker,New York,N.Y.,1980)中に包括的に検討されている。
【0220】
本明細書中に記載されている化合物またはその医薬的に許容され得る塩が本発明の医薬組成物を製造するために使用され得る。
【0221】
更に、本発明は、HCV複製を阻害するための本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)の使用方法に関する。この方法は、HCVウイルスに感染している細胞を有効量の本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)と接触させ、これにより前記細胞におけるHCVウイルスの複製を阻害することを含む。本明細書中で使用されている「阻害する」は、阻害しようとする活性(例えば、ウイルス複製)を有意に低下または無効にすることを意味する。多くの場合、本発明の代表的化合物は(例えば、上記したHCVレプリコンアッセイにおいて)HCVウイルスの複製を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上低下させ得る。
【0222】
本発明の化合物はすべてのHCVサブタイプを阻害し得る。本発明に従うHCVサブタイプの例には、HCV遺伝子型1a、1b、2a、2b、2cまたは3aを含めたHCV遺伝子1、2、3、4、5及び6が含まれるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)がHCV遺伝子型1aの複製を阻害するために使用される。別の実施形態において、本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)がHCV遺伝子型1bの複製を阻害するために使用される。更に別の実施形態において、本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)がHCV遺伝子型1a及び1bの両方の複製を阻害するために使用される。
【0223】
本発明は、HCV感染を治療するための本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)の使用方法に関する。この方法は、典型的には治療有効量の本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)または本発明の化合物を含む医薬組成物をHCV患者に投与し、これにより前記患者の血液または肝臓中のHCVウイルスレベルを低下させることを含む。本明細書中で使用されている用語「治療する」は、障害または状態、或いは当該用語が当てはまる障害または状態の1つ以上の症状の進行の逆転、回復または抑制、或いはこれらの予防を指す。用語「治療」は治療行為を指す。1つの実施形態において、この方法は、治療有効量の2つ以上の本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)または前記化合物を含む医薬組成物をHCV患者に投与し、これにより前記患者の血液または肝臓中のHCVウイルスレベルを低下させることを含む。
【0224】
本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)を単一の活性薬剤として投与しても、または別の所望薬物(例えば、他の抗HCV剤、抗HIV剤、抗HBV剤、抗A型肝炎剤、抗D型肝炎剤、抗E型肝炎剤、抗G型肝炎剤または他の抗ウイルス剤)と組み合わせて投与してもよい。本明細書中に記載されている化合物またはその医薬的に許容され得る塩が本発明の方法において使用され得る。
【0225】
本発明の化合物(或いは、その塩、溶媒和物またはプロドラッグ)は患者に対して1回用量または分割用量で投与され得る。典型的な1日用量は、非限定的に0.1〜200mg/kg体重、例えば0.25〜100mg/kg体重の範囲であり得る。1回投与組成物は前記量または1日用量を構成するその約量を含有し得る。好ましくは、各用量は患者の血液または肝臓中のHCVウイルス量を低減させるのに有効な十分量の本発明の化合物を含有している。単一剤形を生ずるような活性成分または組み合わされる活性成分の量は治療対象の宿主及び投与の具体的モードに応じて変更可能である。特定患者に対する具体的投与レベルは、使用する具体的化合物の活性、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与時間、投与ルート、排泄率、薬物の組合せ及び治療を受ける具体的疾患の重症度を含めた各種要因に依存する。
【0226】
更に、本発明は、HCV感染を治療するための本発明の医薬組成物の使用方法に関する。この方法は、典型的には本発明の医薬組成物をHCV患者に投与し、これにより前記患者の血液または肝臓中のHCVウイルスレベルを低下させることを含む。本明細書中に記載されている医薬組成物が本発明の方法において使用され得る。
【0227】
加えて、本発明は、本発明の化合物または塩のHCV感染の治療用薬剤を作成するための使用に関する。本明細書中に記載されている化合物またはその医薬的に許容され得る塩が本発明の薬剤を作成するために使用され得る。
【0228】
本発明の先の記載は例示及び説明を与えるが、網羅的であるとも本発明を開示されている寸分違わぬものに限定するとも意図されない。修飾及び改変が上記教示にてらして可能であり、また本発明の実施から得ることができる。よって、本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等物により定義されると留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
はC−C14カルボシクリルまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、−X−Rで置換されており、前記したC−C14カルボシクリル及び3〜14員ヘテロシクリルは場合により1個以上のRで置換されており;
は結合、−L−、−O−、−S−または−N(R)−から選択され;
は水素、−L、C−C10カルボシクリルまたは5〜10員ヘテロシクリルから選択され、前記したC−C10カルボシクリル及び5〜10員ヘテロシクリルは毎回各々独立して場合により1個以上のRで置換されており;
は結合、−C(RC’)−、−O−、−S−または−N(R)−から選択され;
及びWは各々独立してNまたはC(R)から選択され;
は水素またはRから選択され;
及びRは各々独立して水素またはRから選択され;またはR及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒にC−C10炭素環式または5〜10員ヘテロ環式環を形成し、前記したC−C10炭素環式及び5〜10員ヘテロ環式環は場合により1個以上のRで置換されており;
はC−C14カルボシクリルまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、場合により1個以上のRで置換されており;
は−N(R)C(O)C(R)N(R)−T−R
【化2】

または−L−Bであり;
はRであり;
はRC’であり、RはRB’であり;またはR及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている3〜10員ヘテロ環式環を形成し;
は結合;C−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、R(水素を除く)、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている);或いは−N(R)C(O)−または−C(O)N(R)−であり;
BはC−C10炭素環または3〜10員ヘテロ環であり、場合により1個以上のRで置換されており;
Tは独立して毎回結合、−L−、−L−M−LS’−、−L−M−LS’−M’−LS”−(ここで、M及びM’は各々独立して結合、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、−OS(O)−、−OS(O)−、−S(O)O−、−S(O)O−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)S(O)−、−N(R)S(O)−、−S(O)N(R)−、−S(O)N(R)−、−C(O)N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(RB’)−、−N(R)SON(RB’)−、−N(R)S(O)N(RB’)−、C−C10炭素環または5〜10員ヘテロ環から選択される)から選択され、Tは毎回独立して場合により1個以上のRで置換されており;
は独立して毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミル、シアノ、−Lまたは−L−Rから選択され;
及びRB’は各々独立して毎回水素;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
及びRC’は各々独立して毎回水素;ハロゲン;ヒドロキシ;メルカプト;アミノ;カルボキシ;ニトロ;ホスフェート;オキソ;チオキソ;ホルミル;シアノ;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−Cカルボシクリル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
、RD’及びRD”は各々独立して毎回水素またはRから選択され;
は独立して毎回C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
、LS’及びLS”は各々独立して毎回結合;或いはC−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択され;
は独立して毎回−O−R、−S−R、−C(O)R、−OC(O)R、−C(O)OR、−N(RS’)、−S(O)R、−SO、−C(O)N(RS’)、−N(R)C(O)RS’、−N(R)C(O)N(RS’S”)、−N(R)SOS’、−SON(RS’)、−N(R)SON(RS’S”)、−N(R)S(O)N(RS’S”)、−OS(O)−R、−OS(O)−R、−S(O)OR、−S(O)OR、−OC(O)OR、−N(R)C(O)ORS’、−OC(O)N(RS’)、−N(R)S(O)−RS’、−S(O)N(RS’)、−C(O)N(R)C(O)−RS’、C−C10カルボシクリルまたは3〜10員ヘテロシクリルから選択され、前記したC−C10カルボシクリル及び3〜10員ヘテロシクリルは各々独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、R(水素を除く)、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されており;
、RS’及びRS”は各々独立して毎回水素;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cカルボシクリル、C−CカルボシクリルC−Cアルキル、3〜6員ヘテロシクリルまたは(3または6員ヘテロシクリル)C−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される]
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項2】
は場合により1個以上のRで置換されているC−Cカルボシクリルまたは5〜6員ヘテロシクリルであり、Aは−X−Rで置換されており;
はC−Cカルボシクリルまたは5〜6員ヘテロシクリルであり、場合により1個以上のRで置換されており;
及びRは各々独立して水素またはRから選択され;またはR及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒にC−C炭素環式または5〜6員ヘテロ環式環を形成し、前記したC−C炭素環式及び5〜6員ヘテロ環式環は場合により1個以上のRで置換されており;
はC−C10カルボシクリルまたは5〜10員ヘテロシクリルであり、場合により1個以上のRで置換されている
請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
はC−Cカルボシクリルまたは5〜6員ヘテロシクリルであり、場合により1個以上のRで置換されている請求項1〜2のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項4】
はフェニルであり、場合により1個以上のRで置換されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項5】
はフェニルであり、場合により1個以上のRで置換されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項6】
はフェニルであり、場合により1個以上のRで置換されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項7】
、A及びRはフェニルであり、各々独立して場合により1個以上のRで置換されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項8】
及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されているC−C炭素環式または5〜6員ヘテロ環式環を形成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項9】
及びWはNであり、Zは−N(R)−である請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項10】
及びWはNであり;
は−N(R)−であり;
は−CH−、−O−または−S−であり;
及びRはこれらが結合している炭素原子と一緒に
【化3】

を形成し;
、R10及びR11は各々独立して水素またはRから選択される
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項11】
はフェニルであり、場合により1個以上のRで置換されており;
はフェニルであり、場合により1個以上のRで置換されており;
は水素であり;
、R10及びR11は各々独立して水素;ハロゲン;或いはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−CカルボシクリルまたはC−CカルボシクリルC−Cアルキル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシ、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)から選択される
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項12】
は−N(R)C(O)C(R)N(R)−T−Rである請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項13】
はRであり、R及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている5〜6員ヘテロ環式環を形成する請求項12に記載の化合物または塩。
【請求項14】
はHであり;
及びRはこれらが結合している原子と一緒に
【化4】

を形成し、これらの各々は独立して場合により1個以上のRで置換されており;
nは0、1または2であり;
mは1または2である
請求項12に記載の化合物または塩。
【請求項15】
−T−Rは−C(O)−LS’−R12または−C(O)−LS’−M’−LS’−R12であり;
12は水素;C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている);或いはC−C10カルボシクリルまたは3〜10員ヘテロシクリル(これらの各々は独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)である
請求項14に記載の化合物または塩。
【請求項16】

【化5】

である請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項17】
はRであり、R及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている5〜6員ヘテロ環式環を形成する請求項16に記載の化合物または塩。
【請求項18】
はHであり;
及びRはこれらが結合している原子と一緒に場合により1個以上のRで置換されている
【化6】

を形成し;
nは0、1または2であり;
mは1または2である
請求項16に記載の化合物または塩。
【請求項19】
−T−RD”−は−C(O)−LS’−R12または−C(O)−LS’−M’−LS”−R12であり;
12は水素;C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル(これらの各々は独立して場合により毎回ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RS’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている);或いはC−C10カルボシクリルまたは3〜10員ヘテロシクリル(これらの各々は独立して場合により毎回C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、ハロゲン、−O−R、−S−R、−N(RB’)、−OC(O)R、−C(O)OR、ニトロ、ホスフェート、オキソ、チオキソ、ホルミルまたはシアノから選択される1個以上の置換基で置換されている)である
請求項18に記載の化合物または塩。
【請求項20】

【化7】

である請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項21】
は−L−Bである請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項22】
BはC−C10炭素環または3〜10員ヘテロ環であり、場合により1個以上のRで置換されている請求項21に記載の化合物または塩。
【請求項23】
Bは
【化8】

であり、場合により1個以上のRで置換されている請求項21に記載の化合物または塩。
【請求項24】
Bは
【化9】

であり;
nは0、1、2、3または4であり;
mは0、1、2または3であり;
Vは−C(O)−または−S(O)−であり;
12は−R、−ORまたは−N(RS’)である
請求項21に記載の化合物または塩。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物または塩を含む医薬組成物。
【請求項26】
HCVウイルスに感染している細胞を請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物または塩と接触させることを含むHCVウイルス複製の阻害方法。
【請求項27】
HCV患者に対して請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物または塩を投与することを含むHCV感染の治療方法。
【請求項28】
本明細書中に記載されているスキームの1つに記載されているステップを含む請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2012−513409(P2012−513409A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542569(P2011−542569)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069177
【国際公開番号】WO2010/075376
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】