説明

抗フケヘアコンディショニング組成物

カチオン界面活性剤、トリグリセリド油および抗フケ剤を含むヘアコンディショニング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗フケ剤を含むヘアコンディショニング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フケ治療用の有効組成物が必要とされている。この問題を解決する1つの方法は、抗フケ剤を毛髪および/または頭皮により良く付着させる組成物を調製することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、抗フケ剤の優れた付着が得られるコンディショニング製剤を配合することができるという驚くべき発見に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、カチオン界面活性剤、トリグリセリド油および抗フケ剤を含むヘアコンディショニング組成物を提供する。
【0005】
本発明は、上記した通りの組成物を頭皮に適用することによりフケを軽減する方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
抗フケ剤
本発明の組成物は抗フケ剤を含む。好ましい抗フケ剤として、ジンクピリチオン、オクトピロックス、クリムバゾールおよびケトコナゾールが挙げられる。
【0007】
好ましくは、抗フケ剤は前記組成物中に溶解している。抗フケ剤は、したがって、本発明の組成物中に25℃で溶解できるのが好ましい。最も好ましくは、抗フケ剤はクリムバゾール(1−イミダゾリル−1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチルブタン−2−オン)である。
【0008】
抗フケ剤は、単一の抗フケ化合物であってよくまたは異なる抗フケ化合物の混合物でもよい。
【0009】
好ましくは、抗フケ剤は組成物中に0.1重量%から5重量%、より好ましくは0.1重量%から2重量%の量で存在する。
【0010】
トリグリセリド油
本発明のヘアコンディショニング組成物は、トリグリセリド油を含み、好ましい油として、アボカド油、オリーブ油、コーン油、菜種油、ゴマ油、小麦胚芽油、ヒマシ油、亜麻仁油、ひまわり油、綿実油、大豆油、落花生油およびこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのはひまわり油である。
【0011】
トリグリセリド油の濃度は、好ましくは組成物全体の0.1重量%から10重量%、より好ましくは0.5重量%から5重量%、最も好ましくは1重量%から3重量%である。
【0012】
抗フケ剤とひまわり油との重量比は、好ましくは1:4から4:1、より好ましくは1:3から2:1、最も好ましくは1:1から1:3である。
【0013】
カチオン界面活性剤
本発明による組成物は、化粧上許容でき、毛髪に対して局所適用が適切である1種または複数のカチオン界面活性剤を含む。
【0014】
本発明の組成物における使用に適切なカチオン界面活性剤は、前記組成物に溶解すると正に荷電するアミノまたは四級アンモニウムの親水性部分を含有する。
【0015】
適切な四級アンモニウムカチオン界面活性剤は、下記一般式(I)
[N(R)(R)(R)(R)](X) (I)
(式中、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、(a)炭素原子が1個から22個の脂肪族基、または(b)炭素原子を最高22まで有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基もしくはアルキルアリール基から選択され、Xは、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩およびアルキル硫酸塩のラジカルから選択されるものなどの塩形成アニオンである。)
に対応する。
【0016】
前記脂肪族基は、炭素原子および水素原子に加えて、エーテル結合およびアミノ基などの他の基を含有してよい。より長鎖の脂肪族基、例えば炭素が約12個以上の脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0017】
一般式(I)のカチオン界面活性剤の適切な一群において、RおよびRはそれぞれ独立して、RとRの両方に少なくとも1つのエステル結合を含むC16からC22のヒドロカルビル鎖から選択され、RおよびRはそれぞれ独立して、CHおよびCHCHOHから選択される。
【0018】
一般式(I)のカチオン界面活性剤の別の適切な一群において、RおよびRはそれぞれ独立して、C16からC22の飽和鎖または不飽和鎖から選択され、好ましくは飽和鎖であり、RおよびRはそれぞれ独立して、CHおよびCHCHOHから選択され、好ましくはCHである。
【0019】
一般式(I)のカチオン界面活性剤の好ましい一群において、Rは、C16からC22のアルキル鎖であり、R、R、およびRはそれぞれ独立して、CHおよびCHCHOHから選択され、好ましくはCHである。
【0020】
一般式(I)の適切な四級アンモニウムカチオン界面活性剤の具体例は、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(BTAC)、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化タロートリメチルアンモニウム、塩化ココトリメチルアンモニウム、塩化ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウム、塩化PEG−2オレイルアンモニウムおよびこれらの塩であり、前記塩化物はハロゲン、(例えば臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩またはアルキル硫酸塩に置き換えられる。特に好ましいのは、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(BTAC)である。
【0021】
前述の物質のいずれかの混合物も適切であり得る。
【0022】
第1級、第2級、および第3級の脂肪アミンの塩も、本発明における使用のための適切なカチオン界面活性剤である。こうしたアミンのアルキル基は、約12個から約22個の炭素原子を有するのが好ましく、置換または非置換であってよい。これらのアミンは通常、カチオン種を得るために、酸との組合せで使用する。
【0023】
アミンの好ましい一群は、下記一般式(II)
−C(O)−N(H)−R−N(R)(R) (II)
(式中、Rは、12個から22個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖であり、Rは、1個から4個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、RおよびRは独立して、1個から4個の炭素原子を有するアルキル基である。)
に対応する。
【0024】
一般式(II)の適切な物質の具体例は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミンおよびジエチルアミノエチルステアラミドである。
【0025】
ジメチルステアラミン、ジメチルソイアミン、ソイアミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N−タロープロパンジアミン、(エチレンオキシド5モルで)エトキシ化したステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミンおよびアラキジルベヘニルアミンも有用である。
【0026】
特に好ましいのはステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0027】
前述の物質のいずれかの混合物も適切であり得る。
【0028】
カチオン種を得るために使用される酸は、遊離アミン窒素を中和させるのに十分な酸強度の任意の有機酸または鉱酸であってよい。こうした酸として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、グリコール酸、およびプロピオン酸、またはこれらの組合せが挙げられる。一般に、十分な量の酸を添加してアミドアミン化合物を中和させ、前記組成物の最終pHを約2.5から約6の範囲内、好ましくは約3から約5のpH範囲に調整する。プロトン化できるアミン基と酸由来のHとのモル比は、好ましくは約1:0.3から1:1.2、より好ましくは約1:0.5から約1:1.1である。
【0029】
上記カチオン界面活性剤のいずれかの混合物も適切であり得る。
【0030】
本発明の組成物において、カチオン界面活性剤の濃度は、前記組成物の全重量に対し、カチオン界面活性剤全重量が好ましくは0.1%から10%、より好ましくは0.2%から5%、最も好ましくは0.25%から4%の範囲である。
【0031】
カチオン界面活性剤と抗フケ剤との重量比は、4:1から1:4、好ましくは1:2から2:1の比である場合が好ましい。
【0032】
脂肪性物質
本発明の組成物は脂肪性物質を含むことができる。脂肪性物質はカチオン界面活性剤および水性担体と一緒になって、種々のヘアコンディショニング属性をもたらすのに適切なラメラゲル相を形成する。
【0033】
「脂肪性物質」により一般式R−Xを有する化合物を意味し、ここにおいて、Rは脂肪族炭素鎖であり、Xは官能基(例えばアルコール、酸、または誘導体)である。
【0034】
Rは、8個から30個の炭素原子、より好ましくは16個から22個の炭素原子を含む完全飽和脂肪族炭素鎖であるのが好ましい。
【0035】
Xはアルコール基であるのが好ましい。
【0036】
最も好ましくは、前記脂肪性物質は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびこれらの混合物から選択される。
【0037】
本発明のコンディショナーにおける脂肪性物質の濃度は、前記組成物の全重量に対して脂肪性物質全重量が0.01%から15%、好ましくは0.1%から10%、より好ましくは0.1%から5%の範囲が適切である。
【0038】
カチオン界面活性剤と脂肪性物質との重量比は、10:1から1:10、好ましくは4:1から1:8、より好ましくは1:1から1:7であるのが適切である。
【0039】
水性担体
本発明のコンディショニング組成物は、水性担体を含むのが好ましい。
【0040】
適切な水性担体は、水ならびに低級アルキルアルコールおよび多価アルコールの水溶液である。
【0041】
適切な低級アルキルアルコールの例は、1個から6個の炭素を有する一価アルコールであり、好ましくはエタノールおよびイソプロパノールである。
【0042】
適切な多価アルコールの例は、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、およびプロパンジオールである。
【0043】
好ましくは、水性担体は実質的に水である。
【0044】
一般に、本発明による組成物は、前記組成物の全重量に対して少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも65重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の水を含む。
【0045】
さらなる調整剤
本発明の組成物は、乾湿調整効果を最適化するためにさらなる調整剤を含むことができる。
【0046】
特に好ましいさらなる調整剤は、シリコーンエマルジョンである。
【0047】
適切なシリコーンエマルジョンとして、ポリジオルガノシロキサン、特にCTFA名称がジメチコンであるポリジメチルシロキサン、CTFA名称がジメチコノールであるヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン、およびCTFA名称がアモジメチコンであるアミノ官能性ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンから形成されるものが挙げられる。
【0048】
上記シリコーンエマルジョンのいずれかの混合物も使用してよい。
【0049】
シリコーンは一般に、本発明の組成物中に前記組成物の全重量に対してシリコーン全重量が0.05%から10%、好ましくは0.05%から5%、より好ましくは0.5%から2%の濃度で存在する。
【0050】
他の場合により使用される成分
本発明による組成物は、化粧上適切な他の成分を好ましくは2重量%以下の濃度で組み込むこともできる。適切な成分として、防腐剤、着色剤、キレート剤、抗酸化剤、芳香剤、カチオン性コンディショニングポリマー、整髪成分、日焼け止め、タンパク質および加水分解されたタンパク質が挙げられる。
【0051】
使用
本発明の組成物は、濡れた毛髪、通常、シャンプーした後に水で濯いだ毛髪に適用することによって使用することができる。
【0052】
一般に、前記組成物を毛髪に適用し、次いで毛髪全体に行き渡らせる。好ましくは、次いで、前記組成物を毛髪に浸透させるため、水で毛髪から洗い落とす前に約1分から3分の間放置する。
【0053】
これより本発明を、下記実施例を参照することによってさらに説明する。実施例において、全ての百分率は、別段の指定がない限り全重量に基づいた重量による。本発明に従った実施例は数字で表し、比較例は文字で表す。
【実施例】
【0054】
下記表1に示す成分を有するヘアコンディショニング組成物を調製した。
【0055】
【表1】

【0056】
前記組成物を、以下の通りに皮膚上に付着させたクリムバゾールの濃度に関して評価した。
【0057】
生成物処理
生成物処理の前に、人工皮膚をプラスチックシリンダー上に素早く置いた。試験シャンプーを撹拌し、直径の大きい撹拌棒を使用して30秒間、1:3の稀釈比で人工皮膚上にこすりつけた。シャンプー液を、次いで人工皮膚から除去し、続いて蒸留水で十分濯ぎ、残留界面活性剤を全て除去した。シャンプーから人工皮膚上に付着したクリムバゾールを、次いでエタノールにより抽出した。エタノール溶液を、次いで0.45umフィルターを通してろ過し、不純物を全て除去した。HPLCを使用し、試料を分析した。
【0058】
評価の結果を下記で表2に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
このように、本発明に従った実施例は、比較例より多くのクリムバゾールが皮膚上に付着した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン界面活性剤、トリグリセリド油および抗フケ剤を含むヘアコンディショニング組成物。
【請求項2】
トリグリセリド油が、アボカド油、オリーブ油、コーン油、菜種油、ゴマ油、小麦胚芽油、ヒマシ油、亜麻仁油、ひまわり油、綿実油、大豆油、落花生油、ティーツリー油、ホホバ油およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項3】
トリグリセリド油がひまわり油である、請求項2に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項4】
抗フケ剤がクリムバゾールである、請求項1から3のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項5】
抗フケ剤とひまわり油との比が1:3から2:1である、請求項1から4のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項6】
脂肪アルコールをさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の組成物を頭皮に適用することによりフケを軽減させる方法。

【公表番号】特表2009−542594(P2009−542594A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517242(P2009−517242)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056643
【国際公開番号】WO2008/003677
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】