説明

抗リンパ腫組成物および方法

【課題】イヌリンパ腫を治療するためのさらなる化学療法の選択肢を提供すること。
【解決手段】本発明は、イヌにおいてリンパ腫を治療する方法であって、そのような治療を必要としているイヌに、治療有効量のイダルビシンまたは薬学的に許容できるその塩を投与することを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヌ癌を治療するためのイダルビシンの使用に関する。特に、本発明は、イヌリンパ腫を治療するためのイダルビシンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イヌの10から25%が生涯の間に癌を発症し、10年以上生存するイヌが癌を発症する可能性は50%である。それにもかかわらず、現在のところイヌ癌を治療するために認可されている薬物はない。
【0003】
イヌのもっとも一般的な癌はリンパ腫である。イヌリンパ腫の化学療法の選択肢には、アントラサイクリン系薬剤ドキソルビシンの承認適応症外使用が包含される。しかしながら、ドキソルビシンは緩徐静注によって投与しなければならないため、ドキソルビシンの使用は一般に獣医の腫瘍医に限定される。この投与は、管外遊出が生じる場合には重度の組織毒性のリスクを伴い、患者がアレルギー反応を起こす場合にはショックのリスクを伴う。ドキソルビシンの用量を制限する副作用は一般に、好中球減少である。ドキソルビシンの慢性的な使用は、心毒性を引き起こす傾向、および薬物耐性の発現によってさらに制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、イヌリンパ腫を治療するためのさらなる化学療法の選択肢が引き続き求められている。好ましくは、そのような選択肢は、投与が非専門家によって実行できるような、より好都合な投与経路を可能にするであろう。耐性を発現する傾向の低い療法は特に有益であり、ドキソルビシンに対してすでに耐性を発現している動物に使用できる療法も同様であろう。好ましい療法の選択肢は、他の化学療法剤との有害な相互作用を持たないものであり、特に好ましい選択肢は、他の薬剤と組み合わせて使用されたとき相乗的な結果をもたらす薬剤であろう。
【0005】
イダルビシン(I)は、ヒトの化学療法における使用が認可されており、静脈内経路および経口経路の両方でヒト患者に投与することのできる、アントラサイクリン系薬剤である。イダルビシンは、ジェネリックとして、およびIdamycin(登録商標)という名称で注射用に入手可能である。経口製剤は、欧州でZavedosという名称で販売されている。イダルビシン(I)は、特に経口投与後に、イダルビシノール(II)に代謝され、これも有効な細胞毒性剤である。
【0006】
【化1】

【0007】
ネコにおけるイダルビシンの効果は簡単に研究されている(Moore等、J.Am.Vet.Med.Assoc.1995、206(10)、1550〜1554)。イヌにおけるイダルビシンの治療的使用または薬物動態に関する報告はない。本出願人等は、イダルビシンがイヌリンパ腫の治療に特に適していることをここに見出した。イダルビシンは、経口によって好都合に投与することができ、経口バイオアベイラビリティは、給餌によって悪影響を受けない。イダルビシンはまた、ドキソルビシンに耐性を発現した腫瘍に対して活性である。
【非特許文献1】Moore等、J.Am.Vet.Med.Assoc.1995、206(10)、1550〜1554
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、イヌにおいてリンパ腫を治療する方法であって、そのような治療を必要としているイヌに、治療有効量のイダルビシンまたは薬学的に許容できるその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0009】
他の態様において、本発明は、イヌにおいてリンパ腫を治療する薬剤を製造するための、イダルビシンまたは薬学的に許容できるその塩の使用を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、イダルビシンまたは薬学的に許容できるその塩、および薬学的に許容できる担体を含む、イヌにおいてリンパ腫を治療するための医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
一般に、本発明は、イヌにおいてリンパ腫を治療するためのイダルビシン(I)の使用に関する。イダルビシンの使用は、現在用いられているプロトコルに等しいかまたは優れている可能性のある治療計画を可能にする。経口投与の可能性は、より好都合であり、安全性の向上を提供することができる。
【0012】
本明細書では、
「治療」という用語は、姑息的治療(疾患進行の阻害)、治癒的治療(寛解の誘発)、および予防的治療(寛解の維持)、ならびに疾患再発の場合には救済治療を包含し、
「イヌ」という用語は、すべての品種および変種の家庭イヌ、ならびに動物学的収集動物または飼育下繁殖プログラムの一部である非家庭種(オオカミおよびキツネなど)を包含する。
【0013】
イダルビシンは、その遊離塩基形態、または薬学的に許容できる塩の形態で用いることができる。本明細書では、「薬学的に許容できる」は、「獣医学的に許容できる」を包含する。イダルビシンの薬学的に許容できる塩は、その酸付加塩を包含する。
【0014】
適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素/リン酸二水素、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩が包含される。
【0015】
特に好ましい塩は、塩酸イダルビシンである。
【0016】
イダルビシンが固体形態で投与されるとき、任意の適切な固体形態の使用が見込まれる。したがって、本発明は、任意の特定の溶媒和または非溶媒和形態にも、任意の特定の多形形態にも限定されない。
【0017】
本発明の目的に適したイダルビシンは、Tecoland Corporation、Nerviano Medical Sciences(イタリア)、Pfizer Cork(アイルランド)、またはTPM Antibioticos S.p.A(イタリア)から入手することができる。あるいは、イダルビシンは、EP337665およびその参考文献に開示の方法に従って調製することができる。本発明の目的に適した塩酸イダルビシンは、Transo−pharmから入手することができる。
【0018】
本発明で用いるイダルビシンは一般に、対象となるイヌへの所望の投与経路に適切な様式で製剤化される。製剤は、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤、例えば当分野でよく知られているものなどを含むことができる。
【0019】
好ましい実施形態において、イダルビシンは経口で投与される。経口投与に適した製剤には、固体および液体製剤が包含される。
【0020】
固体製剤には、錠剤、香味を付けた錠剤、粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ(液体充填ロゼンジを包含する)、咀嚼剤、マルチ粒子およびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜付着性フィルムを包含する)、坐剤(ovule)、スプレー、および液体製剤が包含される。
【0021】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が包含される。そのような製剤は、軟質または硬質カプセルの充填剤として用いることができ、典型的に、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油などと、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤は、例えばサシェから固体を再構成することによっても調製できる。
【0022】
錠剤投与形態の場合、用量に応じて、薬物は投与形態の1重量%から80重量%、より典型的には投与形態の5重量%から60重量%を占めることができる。薬物に加えて、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが包含される。一般に、崩壊剤は、投与形態の1重量%から25重量%、好ましくは5重量%から20重量%を占める。
【0023】
錠剤製剤に凝集性を付与するために、一般に結合剤が用いられる。適切な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが包含される。錠剤はある種の希釈剤を含有することもでき、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、および第二リン酸カルシウム二水和物などである。
【0024】
錠剤はまた、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を場合により含むことができる。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%から5重量%を占めることができ、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%から1重量%を占めることができる。
【0025】
錠剤はまた一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの潤滑剤を含有する。潤滑剤は一般に、錠剤の0.25重量%から10重量%、好ましくは0.5重量%から3重量%を占める。
【0026】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、香味剤、保存剤、および味マスキング剤が包含される。
【0027】
カプセル剤は、例えば硬質または軟質ゼラチンから製造することができる。ゼラチンは、例えば染料(赤色酸化鉄など)、または乳白剤(二酸化チタンなど)と混合することができる。カプセルには、例えば活性剤、ならびに崩壊剤、潤滑剤、および構造マトリクス剤などの賦形剤を含む粉末を充填することができる。
【0028】
カプセル製剤の適切な充填物の例は、塩酸イダルビシン(5重量%)、微結晶性セルロース(93重量%)、およびグリセリルパルミトステアラート(2重量%)からなる粉末である。この混合物1kgは、それぞれ塩酸イダルビシン5mgを含有する10000個のカプセル剤に十分である。
【0029】
別の実施形態において、イダルビシンは、非経口で、すなわち血流に直接、腫瘍(腫瘍内)に直接、または内部器官に投与される。非経口投与に適した手段には、静脈内、動脈内、および膀胱内が包含される。
【0030】
非経口製剤は典型的に、塩、炭水化物、および緩衝剤(好ましくはpH3から9)などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、いくつかの適用例では、滅菌非水性溶液として、または滅菌発熱物質除去水などの適切なビヒクルと共に用いる乾燥形態としてより適切に製剤化することができる。
【0031】
例えば凍結乾燥による、滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準的な製薬技法を用いて容易に達成することができる。
【0032】
イダルビシンは、イヌリンパ腫を治療するために、本発明に従って用いることができる。
【0033】
投与されるイダルビシンの用量は、イヌの大きさ、疾患の進行、および関連する他の任意の要因を考慮して、獣医によって決定されるであろう。典型的に、イダルビシンの用量は、体重15kg未満のイヌに経口で投与されるとき0.4から1.0mg/kg、体重15kg以上のイヌには9から25mg/mであってよい。用量0.5mg、1mg、5mg、10mg、および25mgを提供する単位投与形態(錠剤またはカプセル剤)は、ほとんどの品種のイヌの好都合な治療を可能にする。
【0034】
この用量は、所望の結果が得られるまで、例えば週1回、2週に1回、3週に1回、または月1回など、適切な間隔で繰り返すことができる。イダルビシンは規則正しく(metronomically)投与されることが可能であり、抗血管形成効果を誘発するため、または疾患の進行を制限するために低日用量が投与される。
【0035】
静脈内投与の場合、用量はより低量となり、例えば0.03から3mg/kg、0.05から1.5mg/kg、または0.1から1mg/kgなどである。
【実施例1】
【0036】
クライアント所有のリンパ腫を有するイヌ(体重15kg以上)においてPF−00929868−01(イダルビシン)の最大許容経口用量(MTD)および用量制限毒性(DLT)を求める研究
リンパ腫を罹患しており、体重15kg以上であるイヌ3頭を、用量12.5mg/mの経口イダルビシンの単回治療によって処置した。この用量は3週間の期間、十分に耐容性であった。
【実施例2】
【0037】
イヌリンパ腫生検材料およびリンパ腫細胞系でのリンパ増殖に対するイダルビシンのin vitro評価
イダルビシンおよびドキソルビシンに反応する個々のIC50抗増殖値を比較した。この研究はex vivo由来イヌリンパ腫細胞、および標準的な組織培養技法を用いて多継代にわたって維持された樹立細胞系で行うin vitroアッセイを利用した。結節組織は、MSU Veterinary Clinicでイヌリンパ腫患者から得た。アッセイは、結節組織の受領から24時間以内、または凍結細胞系ストックから第10継代以前に行った。
【0038】
使用した樹立細胞系は、それぞれB細胞およびT細胞起源のイヌリンパ腫細胞系である3132およびCl−1であった。これらの細胞を、5%COの湿式インキュベータで、RPMI完全培地で培養した。
【0039】
材料および方法
抗増殖アッセイ:(1)イヌリンパ腫細胞系。3132およびCl−1は、それぞれB細胞およびT細胞起源のイヌリンパ腫細胞系である。これらの細胞を、5%COの湿式インキュベータにおいて37℃で、10%FBS(3132)または20%FBS(CL−1)を添加したRPMI完全培地(Advanced RPMI 1640、10mM Hepes、2mM Glutamax、100U/mL ペニシリン、100ug/mL ストレプトマイシン、および0.25ug/mL AmphotercinB)で培養した。(2)ex vivoイヌリンパ腫結節組織。悪性リンパ節をMichigan State University(MSU)Veterinary Collegeで獣医スタッフが切除し、輸送培地(10%ウシ胎児血清(FBS)、100U/mL ペニシリン、100ug/mL ストレプトマイシン、および0.25ug/mL AmphotercinB(Invitrogen/Gibco(登録商標)を添加したAdvanced RPMI 1640完全培地)に入れた。結節は、細かく切り刻み、組織ふるいを通すことによって、除去から24時間以内に処理した。細胞懸濁液を200×gで回転し、上清を除去し、細胞ペレットを室温で10分間、NHCl(0.15M)に再懸濁した。細胞懸濁液を遠心によってペレット化し、NHClを除去し、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)で1度洗浄し、その後、増殖培地(Advanced RPMI完全、1% FBS、50nM 2−メルカプトエタノール、100U/mL ペニシリン、100ug/mL ストレプトマイシン、および0.25ug/mL AmphotercinB)に再懸濁した。次いで、細胞懸濁液を100μmナイロンセルストレーナー(BD−Falcon)に通し、血球計を用いてカウントした。細胞を、増殖培地単独、または0.005% Pansorbin(登録商標)(熱不活化ホルマリン固定スタフィロコッカスアウレウス(Staphylococcus Aureus)細胞(SAC)、Calbiochem)および10ng/mL イヌIL−2(R&D Systems)を添加した増殖培地、または125ng/mL コカンナバリンA(Sigma)および125ng/mL リポポリサッカリド(LPS、Calbiochem)を添加した増殖培地で培養した。(3)in vitro抗増殖アッセイ法。上述の培地で培養した細胞を、96ウェルCostarプレート(Corning)に1×10細胞/ウェル(リンパ腫細胞系)または2×10細胞/ウェル(リンパ節細胞)の密度で播種し、5%COの湿式インキュベータにおいて37℃で5日間まで、様々な濃度の試験化合物に曝露した。CellTiter96(登録商標)Aqueous Non−Radioactive Cell Proliferation Assay(Promega)を用い、製造業者の指示書に従って、増殖に対する影響を求めた。一般に、増殖は可溶性テトラゾリウム塩(MTS)および電子結合剤を用いて、間接的に測定した。組織培養培地に可溶であるホルマザン産物へのMTS生物的還元を、SpectramaxプレートリーダーでSoftmax Pro 4.6ソフトウェアを用い(Molecular Devices)、490nMでの吸光度によってモニターした。データはGraphPad Prism 4.00を用い、コントロール%としてグラフで示し、IC50曲線は、シグモイド用量反応による非線形回帰モデルを用いてフィッティングした。(4)データ分析:結節組織の場合、データはPrism4.0(Graphpad Software)によって以下の方法で処理した。生の光学密度値(OD)の平均値を、非刺激、刺激、およびすべての薬物処理に関して算出し(3重)、下式を用いた。
【0040】
【数1】

細胞系の場合:
【0041】
【数2】

【0042】
算出後、各薬物濃度(または標準)に関するこれらの値をグラフで示し、ポイントツーポイント分析によってIC50を算出した。コントロール%値は、IC50値の分析に関して100%を超えることも、0%を下回ることも許容されなかった。各リンパ節および細胞系のIC50値をここに示す。
【0043】
【表1】

【0044】
イダルビシン(IDA)およびドキソルビシンは、イヌリンパ腫結節組織の増殖に用量依存性阻害を生じた。イダルビシンおよびドキソルビシンはまた、イヌリンパ腫細胞系の増殖を阻害した。B細胞またはT細胞系統にかかわらず、すべての結節および細胞系リンパ腫に対して、イダルビシンはドキソルビシンに比べてより強力であり細胞毒性であった。イダルビシンは、化学療法耐性リンパ腫と診断されたイヌから得たすべての結節組織の増殖の阻害において、ドキソルビシンより有効であった。
【0045】
開示した実施形態に関して本発明を上に記載したが、詳細に述べた特定の実験は本発明の例示にすぎないことを当業者は容易に理解するであろう。本発明の精神から逸脱することなく、様々な変更を加えられることが理解されるべきである。したがって、本発明は添付の請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌにおいてリンパ腫を治療する方法であって、そのような治療を必要としているイヌに、治療有効量のイダルビシンまたは薬学的に許容できるその塩を投与することを含む方法。
【請求項2】
イダルビシンが、経口で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
イダルビシンが、薬学的に許容できる塩として投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
イダルビシンが、塩酸塩として投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
リンパ腫が、ドキソルビシン耐性リンパ腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
イヌが、ドキソルビシン誘発性心毒性を呈している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イヌにおいてリンパ腫を治療する薬剤を製造するための、イダルビシンまたは薬学的に許容できるその塩の使用。
【請求項8】
イダルビシンが、経口で投与される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
イダルビシンが、薬学的に許容できる塩として投与される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
イダルビシンが、塩酸塩として投与される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
イダルビシンまたは薬学的に許容できるその塩、および薬学的に許容できる担体を含む、イヌにおいてリンパ腫を治療するための医薬組成物。
【請求項12】
経口投与に適合されている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
イダルビシンが、薬学的に許容できる塩として存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
イダルビシンが、塩酸塩として存在する、請求項13に記載の組成物。

【公開番号】特開2009−108058(P2009−108058A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−271512(P2008−271512)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】