説明

抗接着剤

式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体が記述される。これらの化合物は、薬学的組成物に含めることができ、転移性癌などの癌の治療に、さらに抗接着剤として、使用することができる。本発明の別の一態様は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、治療有効量の組成物を投与することを含む、被験体における癌を治療又は癌の発生を予防する方法を提供する。本発明のこの態様の実施形態は、接着依存性癌及び転移性癌の治療に使用することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
継続出願
本出願は、2009年4月17日に出願された米国仮特許出願第61/170,316号の利益を主張し、この出願は本明細書において参照として援用される。
【0002】
政府の財政的支援
本発明は、the National Cancer Institute (NCI)により授与された助成金番号CA12250の下の政府の援助によりなされた。政府は本発明における一定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0003】
背景
癌の治療及び予防における(ビタミンEコハク酸エステルVESとしても知られる)コハク酸αトコフェロールの治療学的可能性は、多数の最近の研究の焦点になっている。非特許文献1及び非特許文献2を参照されたい。注目すべきことに、VESは、正常細胞に重大な毒性を招くことなく、腫よう細胞増殖をin vitro及びin vivoで抑制する。ますます増加する多数の証拠によれば、VESは、癌細胞増殖、アポトーシス、分化、血管新生及び転移を支配する複数のシグナル伝達経路を混乱させることによってその抗腫よう効果を実現している。この広範な作用は、低毒性と併せて、癌の治療又は予防におけるVESの技術移転的(translational)可能性の基礎をなす。文献で報告された種々の標的機序のうち、癌細胞接着に対するVESの阻害効果は特に注目される。非特許文献3。これは、代謝安定性の高いVES誘導体であるαトコフェリルオキシ酢酸が動物モデルにおいて乳腺腫増殖を抑制し、肺転移を抑制する能力によって明らかである。非特許文献4。
【0004】
かなりの証拠によれば、細胞接着は、生存、浸潤、転移及び薬剤耐性を含めて、癌細胞の様々な態様の悪性形質の発達に極めて重要である。その結果、接着又はその関連経路のターゲティングは、多数の固形及び血液学的悪性腫ようの臨床成績を改善する治療関連戦略である。異なる接着分子に対する多数のヒト化抗体がヒトにおける試験に入っているが、小分子の細胞接着を標的とした薬剤はほとんど存在しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Neuzil et al.,Mol Pharmacol71,1185−99(2007)
【非特許文献2】Wang et al.,Mol Nutr Food Res50,675−85(2006)
【非特許文献3】Crispen et al.,Prostate67,582−90(2007)
【非特許文献4】Hahn et al.,Cancer Res,66,9374−8(2006)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
【化1】

式中、Rは、水素及びメチルから独立に選択され、Rは、4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル基、4,8−ジメチル−ノニル基、ノナ−1−エニル基、ノナニル基、ノナ−8−エニルニトリル基及びノナニルニトリル基からなる群から選択され、nは1から7の整数である。
【0008】
本発明の別の一態様は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、治療有効量の組成物を投与することを含む、被験体における癌を治療又は癌の発生を予防する方法を提供する。式(I)の置換基は上述のように定義される。本発明のこの態様の実施形態は、接着依存性癌(adhesion−dependent cancer)及び転移性癌の治療に使用することができる。
【0009】
本発明の別の一態様は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、治療有効量の薬学的組成物を投与することによって、細胞接着を阻害することを必要とする被験体における細胞接着を阻害する方法を提供する。式(I)の置換基は上述のように定義される。
【0010】
本発明の組成物又は方法の実施形態は、上記化合物の種々のサブセットを含むことができる。例えば、一実施形態においては、Rは、4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル、ノナ−1−エニル及びノナ−8−エニルニトリルからなる群から選択される。別の一実施形態においては、nは1又は2である。更なる実施形態においては、nは1であり、Rは4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル又は4,8−ジメチル−ノニルである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(A)は、抗接着剤を開発するためのVESの構造最適化過程の略図であり、図1(B)は、VES誘導体の一般的合成手順の略図である。
【図2】図2は、VES誘導体による4T1細胞接着の抑制を示す。セクション(A)は、Matrigel被覆表面への4T1細胞の接着に対する、各々5μMのVES及び種々のVES誘導体の効果を示す。柱、平均;棒、SD(n=3)。セクション(B)は、4T1細胞接着の抑制に対するVES、TS1及び化合物1〜3の用量依存的効果を示す。点、平均;棒、SD(n=3)。セクション(C)は、4T1細胞の生存度に対するTS−1及び化合物1〜3の用量依存的阻害効果を示す。4T1細胞は、2%FBS補充RPMI1640培地中で個々の薬剤で24時間処理され、薬物処理後の細胞生存率はMTTアッセイによって決定された。点、平均;棒、SD(n=6)。
【図3】図3は、VES誘導体が、4T1細胞の遊走及びアクチン細胞骨格構造を破壊することを示す。セクション(A)は、4T1細胞遊走に対する50μMのVESと各々5μMのTS−1及び化合物1〜3の効果を示す。細胞運動性は、実験の項に記載のTranswell遊走アッセイによって分析された。柱、平均;棒、SD(n=3)。セクション(B)は、4時間処理後の4T1細胞における膜状仮足形成及びアクチン張線維に対する化合物2及び3の効果の免疫細胞化学的分析を示す。矢印は膜状仮足形成を示す。セクション(C)は、5μM化合物2によるアクチン細胞骨格構造の破壊の積層3D分析を示す。画像は、張線維を失った細胞が丸くなり、表面から分離した(右パネル)のに対して、対照細胞のアクチンフィラメント(左パネル)はそのままであり、細胞体の縁まで延びており、細胞が表面に接着したことを示す。
【図4】図4は、細胞接着の中心成分である局所接着キナーゼ(FAK)の発現に対するVESとTS−1及び化合物1〜3の効果を示す。セクション(A)は、指定濃度の個々の薬剤で1時間処理した4T1細胞を示す。細胞溶解物は、抗FAKモノクローナル抗体を用いて免疫ブロットされた。セクション(B)は、2.5μM化合物2又はDMSOで1時間処理され、固定され、抗FAK抗体で免疫染色された、4T1細胞を示す。細胞周辺における接着接触を表すFAKの明確な点状染色パターンが、ビヒクルで処理された4T1細胞では明らかであるが、化合物2で処理後はもはや検出不可能であった。
【図5】図5は、ノナ−1−エニル基及びノナニル基を含むビタミンEコハク酸エステル誘導体の合成の反応スキームである。
【図6】図6は、ノナ−8−エニルニトリル基及びノナニルニトリル基を含むビタミンEコハク酸エステル誘導体の合成の反応スキームである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、足場としての(ビタミンEコハク酸エステルとしても知られる)コハク酸αトコフェロールの使用に基づいて発生する強力な小分子抗接着剤を提供する。これらの抗接着剤の一つ(化合物2)は、4T1転移性乳癌細胞の接着の阻止においてVESよりも一桁高い効力を示す(IC50、0.6uM対10uM)。証拠によれば、細胞接着及び遊走を阻止するビタミンEコハク酸エステル誘導体の能力は、局所接着キナーゼの破壊に対するその効果に起因し得る。治療学的観点からは、細胞接着の阻害におけるビタミンEコハク酸エステル誘導体の高い効力及び独特の機序は、癌、特に転移性癌の治療に対して技術移転的価値を有し得る。
【0013】
定義
本明細書に記載の用語は、単に実施形態を記述するためのものにすぎず、本発明を全体として限定するものと解釈すべきではない。別段の記載がない限り、「a」、「an」、「the」及び「少なくとも1」は、区別なく使用される。さらに、本発明及び添付の特許請求の範囲の記述で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、その前後の文脈によって否定されない限り、その複数形を含む。
【0014】
「含む」という用語及びその変形は、この用語が本文及び特許請求の範囲に出現する場合、限定的意味を持たない。
【0015】
本明細書では「有機基」という用語は、脂肪族基、環式基、又は脂肪族基と環式基の組合せ(例えば、アルカリール及びアラルキル基)として分類される炭化水素基を意味するのに本発明では使用される。本発明の状況において、ビタミンEコハク酸エステル誘導体に適切な有機基は、ビタミンEコハク酸エステル誘導体の抗接着活性を妨げないものである。本発明の状況において「脂肪族基」という用語は、飽和又は不飽和の線状又は分枝炭化水素基を意味する。この用語は、例えば、アルキル、アルケニル及びアルキニル基を包含するのに使用される。
【0016】
本明細書では「アルキル」、「アルケニル」及び接頭辞「アルク(alk−)」という用語は、直鎖基及び分枝鎖基及び環式基、例えば、シクロアルキル及びシクロアルケニルを含む。別段の記載がない限り、これらの基は、1から20個の炭素原子を含み、アルケニル基は2から20個の炭素原子を含む。一部の実施形態においては、これらの基は、合計で最高10個の炭素原子、最高8個の炭素原子、最高6個の炭素原子、又は最高4個の炭素原子を有する。低級アルキル基は、最高6個の炭素原子を含むものである。アルキル基の例としては、ハロアルキル基及びヒドロキシアルキル基が挙げられる。環式基は、単環式でも多環式でもよく、好ましくは3から10個の環炭素原子を有する。
【0017】
本明細書では「切断型側鎖」という用語は、1個以上のイソプラニル(isopranyl)単位の除去によって短縮されたコハク酸トコフェロール誘導体のフィチル側鎖を指す。かかる切断型側鎖は、1から11個の炭素原子を含むアルキル基である。切断型側鎖の例としては、4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル基、4,8−ジメチル−ノニル基、ノナ−1−エニル基及びノナニル基が挙げられる。
【0018】
別段の記載がない限り、「アルキレン」及び「アルケニレン」は、上で定義された「アルキル」及び「アルケニル」基の二価の形である。「アルキレニル」及び「アルケニレニル」という用語は、それぞれ「アルキレン」及び「アルケニレン」が置換されたときに使用される。例えば、アリールアルキレニル基は、アリール基が付加したアルキレン部分を含む。
【0019】
「ハロアルキル」という用語は、全フッ素置換基を含めて、1個以上のハロゲン原子で置換された基を含む。これは、接頭辞「ハロ−」を含む別の基にも当てはまる。適切なハロアルキル基の例は、クロロメチル、トリフルオロメチルなどである。ハロ部分は、塩素、臭素、フッ素又はヨウ素とすることができる。
【0020】
本明細書では「アリール」という用語は、炭素環式芳香環又は環系を含む。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、フェナントラセニル、フルオレニル及びインデニルが挙げられる。アリール基は、置換されていても、いなくてもよい。
【0021】
別段の記載がない限り「ヘテロ原子」という用語は、原子O、S又はNを指す。
【0022】
本明細書に記載の任意の式又はスキームにおいて基が1回を超えて存在するときには、各基(又は置換基)は、明示してもしなくても、独立に選択される。例えば、式−C(O)−NRの場合、各R基は独立に選択される。
【0023】
本願を通して使用されるある用語の考察及び列挙を単純化する手段として、「基」と「部分」という用語を使用して、置換可能な、又は置換され得る化学種と、そのような置換が不可能な、又はそのように置換することができない化学種とを区別する。すなわち、「基」という用語を使用して化学置換基を記述するときには、記述された化学材料は、非置換基、及び例えば鎖中に、非過酸化物のO、N、S、Si又はF原子を有する基、並びにカルボニル基又は別の従来の置換基を含む。「部分」という用語を使用して化学物質又は置換基を記述する場合、非置換化学材料のみが含まれるものとする。例えば、「アルキル基」という句は、メチル、エチル、プロピル、tert−ブチルなどの純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基だけでなく、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシルなどの当分野で公知の更なる置換基を有するアルキル置換基も含むものとする。したがって、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキルなどを含む。一方、「アルキル部分」という句は、メチル、エチル、プロピル、tert−ブチルなどの純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基のみを含むことに限定される。
【0024】
本発明は、異性体(例えば、ジアステレオマー及び鏡像異性体)、互変異性体、塩、溶媒和化合物、多形体、プロドラッグなどを含めて、その薬学的に許容される形態のいずれかの(中間体を含めた)本明細書に記載の化合物を含む。特に、化合物が光学活性である場合、本発明は、とりわけ、化合物の鏡像異性体の各々、及び鏡像異性体のラセミ混合物を含む。「化合物」という用語は、(時々「塩」は明示されるが)明示してもしなくても、任意又はすべてのかかる形態を含むことを理解すべきである。
【0025】
本明細書では転移性癌は、一器官又は部分から別の非隣接器官又は部分に転移する能力を有する癌である。腫よう細胞が転移するときには、新しい腫ようは二次性腫よう又は転移性腫ようと呼ばれ、その細胞は最初の腫ようの細胞に似ている。これは、例えば、乳癌が肺に転移する場合、二次性腫ようが、異常肺細胞ではなく、異常乳腺細胞でできており、肺癌ではなく転移性乳癌と呼ばれることを意味する。原発腫ようは、検出される必要はないが、「ごく微量」であり得る。
【0026】
本明細書では「薬学的に許容される」とは、化合物又は組成物が、疾患の重症度と治療の必要性の観点から過度に有害な副作用なしに、被験体に投与されて本明細書に記載の治療を果たすのに適切であることを意味する。
【0027】
本明細書では「阻害する」とは、潜在的効果の部分的又は完全な除去を指し、阻害剤は、阻害能力を有する化合物である。
【0028】
ビタミンEコハク酸エステル誘導体
本発明のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、式(I)の化合物を含む。
【0029】
【化2】

式中、Rは、水素及びメチルから独立に選択され、Rは、4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル基、4,8−ジメチル−ノニル基、ノナ−1−エニル基、ノナニル基、ノナ−8−エニルニトリル基及びノナニルニトリル基からなる群から選択され、nは1から7の整数である。追加の実施形態においては、nは1、1若しくは2、又は1〜3、1〜4、1〜5若しくは1〜6の範囲の整数とすることができる。
【0030】
本発明のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、立体化学に関係なく本明細書に示され、命名されている。しかし、本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有する。別段の記載がない限り、すべての鏡像異性、ジアステレオマー及びラセミ体が本発明に含まれる。非対称的に置換された炭素原子を含む本発明の化合物は、光学活性又はラセミ体として単離できることが理解されるであろう。ラセミ体の分割によって、合成によってなど、光学活性な出発材料から光学活性体を調製する方法は当分野で周知である。特定の立体化学又は異性体を明示しない限り、ある構造のすべての鏡像異性、ジアステレオマー、ラセミ体及びすべての幾何異性体が意図される。
【0031】
ビタミンEは[(2R)−2,5,7,8−テトラメチル−2−[(4R,8R)−4,8,12−トリメチルトリデシル]クロマン−6−イル]アセタート、すなわち、示した化合物の2R異性体であり、2R異性体は本発明の一部の実施形態において好ましい場合があることが理解される。したがって、本発明のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、式(II)の化合物も含む。
【0032】
【化3】

式中、種々の置換基は、式(I)と同様に定義される。
【0033】
一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rが水素であり、Rが4,8−ジメチル−ノナ−1−エニルであるように定義される。これらの化合物は、[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸、3−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸、4−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rが水素であり、Rが4,8−ジメチル−ノナ−1−エニルである化合物を以下に示す。
【0034】
【化4】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rが水素であり、Rが4,8−ジメチル−ノニルであるように定義される。これらの化合物は、[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸、3−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸、4−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rが水素であり、Rが4,8−ジメチル−ノニルである化合物を以下に示す。
【0035】
【化5】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rが水素であり、Rがノナ−1−エニルであるように定義される。これらの化合物は、(2−メチル−2−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−酢酸、3−(2−メチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−プロピオン酸、4−(2−メチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−(2−メチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−(2−メチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−(2−メチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−[2−メチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rが水素であり、Rがノナ−1−エニルである化合物を以下に示す。
【0036】
【化6】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rが水素であり、Rがノナニルであるように定義される。これらの化合物は、(2−メチル−2−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−酢酸、3−(2−メチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−プロピオン酸、4−(2−メチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−(2−メチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−(2−メチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−(2−メチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−(2−メチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rが水素であり、Rがノナニルである化合物を以下に示す。
【0037】
【化7】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rが水素であり、Rがノナ−8−エニルニトリルであるように定義される。これらの化合物は、[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸、3−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸、4−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rが水素であり、Rがノナ−8−エニルニトリルである化合物を以下に示す。
【0038】
【化8】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rが水素であり、Rがノニルニトリルであるように定義される。これらの化合物は、[2−(8−シノ−オクチル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸、3−[2−(8−シノ−オクチル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸、4−[2−(8−シノ−オクチル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−[2−(8−シノ−オクチル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−[2−(8−シノ−オクタ−イル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−[2−(8−シノ−オクチル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−[2−(8−シノ−オクチル)−2−メチル−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rが水素であり、Rがノニルニトリルである化合物を以下に示す。
【0039】
【化9】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rがメチルであり、Rが4,8−ジメチル−ノナ−1−エニルであるように定義される。これらの化合物は、[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸、3−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸、4−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rがメチルであり、Rが4,8−ジメチル−ノナ−1−エニルである化合物を以下に示す。
【0040】
【化10】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rがメチルであり、Rが4,8−ジメチル−ノニルであるように定義される。これらの化合物は、[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸、3−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸、4−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rがメチルであり、Rが4,8−ジメチル−ノニルである化合物を以下に示す。
【0041】
【化11】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rがメチルであり、Rがノナ−1−エニルであるように定義される。これらの化合物は、(2,5,7,8−テトラメチル−2−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−酢酸、3−(2,5,7,8−テトラメチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−プロピオン酸、4−(2,5,7,8−テトラメチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−(2,5,7,8−テトラメチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−(2,5,7,8−テトラメチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−(2,5,7,8−テトラメチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−(2,5,7,8−テトラメチル−ノナ−1−エニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rがメチルであり、Rがノナ−1−エニルである化合物を以下に示す。
【0042】
【化12】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rがメチルであり、Rがノナニルであるように定義される。これらの化合物は、(2,5,7,8−テラメチル−2−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−酢酸、3−(2,5,7,8−テトラメチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−プロピオン酸、4−(2,5,7,8−テトラメチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−(2,5,7,8−テトラメチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−(2,5,7,8−テトラメチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−(2,5,7,8−テトラメチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−(2,5,7,8−テトラメチル−ノニル−クロマン−6−イルオキシ)−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rがメチルであり、Rがノナニルである化合物を以下に示す。
【0043】
【化13】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rがメチルであり、Rがノナ−8−エニルニトリルであるように定義される。これらの化合物は、[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸、3−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸、4−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−[2−(8−シノ−オクタ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rがメチルであり、Rがノナ−8−エニルニトリルである化合物を以下に示す。
【0044】
【化14】

別の一実施形態においては、式(I)のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、Rがメチルであり、Rがノニルニトリルであるように定義される。これらの化合物は、[2−(8−シノ−オクチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸、3−[2−(8−シノ−オクチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸、4−[2−(8−シノ−オクチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸、5−[2−(8−シノ−オクチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸、6−[2−(8−シノ−オクタ−イル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘキサン酸、7−[2−(8−シノ−オクチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ヘプタン酸及び8−[2−(8−シノ−オクチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−オクタン酸からなる群から選択される化合物を含む。Rがメチルであり、Rがノニルニトリルである化合物を以下に示す。
【0045】
【化15】

候補薬剤は、動物モデルで試験することができる。典型的には、動物モデルは、癌研究用のものである。動物モデル(例えば、マウス)における種々の癌の研究は、ヒト癌の研究で一般に容認された手法である。例えば、ヒト腫よう細胞が動物に注射されたヌードマウスモデルは、多種多様な癌の研究に有用である一般的モデルとして一般に容認されている(例えば、Polin et al.,Investig.New Drugs,15,p.99−108(1997)参照)。結果は、典型的には、候補薬剤で処置された対照動物と処置されていない対照同腹仔で比較される。トランスジェニック動物モデルも利用可能であり、ヒト疾患用モデルとして一般に容認されている(例えば、Greenberg et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,p.3439−3443(1995)参照)。候補薬剤をこれらの動物モデルに使用して、候補薬剤が、例えば、癌転移、癌細胞運動性、癌細胞侵襲性又はその組合せを含めて、癌に関連する症候の1つ以上を軽減するかどうかを判定することができる。
【0046】
ビタミンEコハク酸エステル誘導体を使用した治療
本発明は、ビタミンEコハク酸エステル誘導体を使用して被験体における癌を治療又は癌の発生を予防する方法を提供する。癌は、異常で過剰な細胞増殖の疾患である。癌は、一般に、ごく一部の細胞が正常な増殖制御を逸脱して、その数を増加させる、複製の環境的傷害又は誤りによって惹起される。損傷又は誤りは、一般に、細胞周期チェックポイント制御をコードするDNA、又は癌抑制遺伝子などの細胞増殖制御の関連態様に影響を及ぼす。この一部の細胞が増殖するにつれ、追加の遺伝的変異体が生成され得る。それが増殖に有利であれば、進化の様式で選択されるであろう。増殖に有利であるが、まだ十分に癌性になっていない細胞は、前癌細胞と称される。癌は、被験体に多数の癌細胞をもたらす。これらの細胞は、腫ようと呼ばれる異常な細胞塊を形成し得る。その細胞は、腫よう細胞と称される。被験体の体内の腫よう細胞の全量は、腫よう量と称される。腫ようは、良性又は悪性であり得る。良性腫ようは、増殖性であるが特定の部位に留まる細胞を含む。一方、悪性腫ようの細胞は、近くの組織に侵入し、それを破壊し、転移と称されるプロセスによって体の別の部位に広がる。
【0047】
癌は、一般に、その原発組織に基づいて命名される。幾つかの主要な癌タイプがある。癌腫は、皮膚、又は内臓の内側若しくは外側を覆う組織で生じる癌である。肉腫は、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、又は他の結合組織若しくは支持組織で生じる癌である。白血病は、骨髄などの造血組織で生じ、多数の異常血球を生成させて血流に進入させる癌である。リンパ腫及び多発性骨髄腫は、免疫系細胞で生じる癌である。
【0048】
本発明のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、種々のタイプの癌及び前癌の治療に使用することができる。例えば、ビタミンEコハク酸エステル誘導体は、接着依存性癌の治療に使用することができる。ビタミンEコハク酸エステル誘導体は、転移性癌の治療に使用することもできる。
【0049】
正常な細胞接着の損失は、発癌の重要な特徴である。接着の破壊は、細胞外基質(ECM)を介した細胞運動性及び細胞の潜在的侵襲性を増大させる。転移は、癌細胞が原発部位に侵入し、そこを出て、続いて別の部位に接着する、正常な接着の改変を特徴とする。しかし、細胞接着は、腫よう細胞生存、組織浸潤、薬剤耐性などの癌の別の態様にも関与する。Schmidmaier et al.,Curr Med Chem15,978−90(2008)を参照されたい。接着依存性癌は、接着が癌病理において重要な役割を果たす癌の形態である。
【0050】
本発明のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、抗接着剤として使用することもできる。本明細書では抗接着剤とは、組織接着全体ではなく、細胞接着を阻害する薬剤を指す。理論に拘泥するものではないが、本発明のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、局所接着キナーゼ(FAK)の分解を誘発することによって細胞接着を阻害すると考えられる。
【0051】
抗接着剤は、癌の治療に使用することができるが、多種多様な他の疾患及び障害、特に細胞接着及び/又は細胞遊走を含む疾患及び障害の治療に使用することもできる。例えば、細胞接着は、炎症部位において血管新生の媒介物質を産生する白血球の浸潤において重要な役割を果たす。抗接着剤を使用して治療することができる疾患及び障害としては、血栓塞栓性障害、炎症、炎症性腸疾患及び他の自己免疫疾患、リウマチ様関節炎、ぜん息、アレルギー、成人呼吸促迫症候群、移植片対宿主病、臓器移植、敗血症ショック、乾せん、湿疹、接触性皮膚炎、骨粗しょう症、骨関節炎、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜症、眼球脈管障害、骨分解、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、並びに創傷治癒が挙げられる。
【0052】
本明細書では治療は、癌に罹患した被験体へのビタミンEコハク酸エステル誘導体の投与(すなわち、非予防的治療)を包含する。治療投与の一実施形態においては、ビタミンEコハク酸エステル誘導体の投与は、癌の除去に有効である。別の一実施形態においては、ビタミンEコハク酸エステル誘導体の投与は、癌の重症度を低下させ、患者を延命させるのに有効である。治療は、少なくとも1つの症候の軽減若しくは抑制及び/又は疾患進行の遅延による、症状の改善を含む。被験体は、好ましくは、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ)、ペット(例えば、イヌ、ネコ)などのほ乳動物である。より好ましくは、被験体はヒトである。
【0053】
本明細書では癌発生の予防は、癌の予防的(すなわち、防止的)処置を包含する。本発明のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、例えば、発癌前に被験体に予防的に投与することができる。予防的投与は、被験体におけるその後の発癌の可能性を低下させ、又はその後に生じる癌の重症度を低下させるのに有効である。
【0054】
ビタミンEコハク酸エステル誘導体の投与及び処方
本発明は、式IのビタミンEコハク酸エステル誘導体を活性成分として含み、活性成分と組み合わせて、薬学的に許容される液体又は固体の担体(単数又は複数)を含む、薬学的組成物も提供する。癌治療に適切である上記ビタミンEコハク酸エステル誘導体のいずれかを本発明の薬学的組成物に含めることができる。
【0055】
ビタミンEコハク酸エステル誘導体は、改変せずに投与することができ、又は薬学的に許容される塩として投与することができる。薬学的に許容される塩とは、ビタミンEコハク酸エステル誘導体の比較的無毒の無機及び有機酸付加塩を指す。これらの塩は、ビタミンEコハク酸エステル誘導体の最終単離及び精製中にin situで調製することができ、又は精製ビタミンEコハク酸エステル誘導体を適切な有機若しくは無機対イオンと別々に反応させ、そうして形成された塩を単離することによって調製することができる。ビタミンEコハク酸エステル誘導体陰イオンと一緒に使用するのに適切な代表的陽イオン性対イオンとしては、アンモニウム、アルギニン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジンなどが挙げられる。(例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(Eds),Wiley(2008)を参照されたい。)
薬学的組成物は、当業者に公知の種々の希釈剤又は賦形剤を含めて、患者への送達用の種々の生理学的に許容される担体の1種類以上と一緒に1種類以上のビタミンEコハク酸エステル誘導体を含む。例えば、非経口投与の場合、等張食塩水が好ましい。局所投与の場合、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの担体を含めたクリーム、又はペプチドの活性を阻止、阻害しない局所クリームで典型的に見られる他の薬剤を使用することができる。他の適切な担体としては、アルコール、リン酸緩衝食塩水、及び他の平衡塩類溶液が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0056】
これらの製剤は、好都合には単位剤形として提供することができ、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。好ましくは、かかる方法は、1種類以上の副成分を構成する担体と活性薬剤を会合させる段階を含む。一般に、製剤は、液状担体、微粉担体又はその両方と活性薬剤を均一かつ十分に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。本発明の方法は、所望の効果を生じるのに有効な量の本発明の組成物を被験体、好ましくはほ乳動物、より好ましくはヒトに投与することを含む。ビタミンEコハク酸エステル誘導体は、単回又は複数回で投与することができる。活性薬剤の有用な投与量は、そのin vitro活性と動物モデルにおけるin vivo活性を比較することによって決定することができる。マウス及び他の動物における有効投与量をヒトに外挿する方法は、当分野で公知である。例えば、米国特許第4,938,949号を参照されたい。
【0057】
本発明の薬剤は、好ましくは、薬学的組成物中に処方され、次いで、本発明の方法に従って、選択された投与経路に適合した種々の形態でヒト患者などの被験体に投与される。製剤としては、経口、直腸、膣、局所、経鼻、眼又は(皮下、筋肉内、腹腔内、腫よう内及び静脈内を含めた)親の投与に適切な製剤が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0058】
経口投与に適切な本発明の製剤は、各々所定量の活性薬剤を粉末若しくは顆粒として含む錠剤、トローチ剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、ウェーハ剤又はカシェ剤などの分離した単位として、ビタミンEコハク酸エステル誘導体を含むリポソームとして、又はシロップ剤、エリキシル剤、乳剤、ひと飲み(draught)などの水系液体若しくは非水系液体の溶液剤若しくは懸濁液剤として、提供することができる。かかる組成物及び調製物は、典型的には、少なくとも約0.1重量%の活性薬剤を含む。ビタミンEコハク酸エステル誘導体(すなわち、活性薬剤)の量は、投与レベルが被験体に所望の結果を生じるのに有効であるようなものである。
【0059】
経鼻噴霧製剤は、防腐剤及び等張化剤と一緒に活性薬剤の精製水溶液を含む。かかる製剤は、好ましくは、鼻粘膜に適合したpH及び等張状態に調節される。直腸又は膣内投与製剤は、カカオ脂、水素化脂肪、水素化脂肪カルボン酸などの適切な担体を含む坐剤として提供することができる。眼科用製剤は、経鼻噴霧剤と類似の方法によって調製される。ただし、pH及び等張性因子は、好ましくは、目のそれに適合するように調節される。局所製剤は、鉱油、石油、ポリヒドロキシアルコール、局所医薬製剤用の別の基剤などの1種類以上の媒体中に溶解又は懸濁された活性薬剤を含む。
【0060】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは以下の1つ以上を含むこともできる:トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチンなどの結合剤、リン酸二カルシウムなどの賦形剤、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及びスクロース、フルクトース、ラクトース、アスパルテームなどの甘味剤、及び天然又は人工香味剤。単位剤形がカプセル剤であるとき、それはさらに植物油、ポリエチレングリコールなどの液状担体を含むことができる。種々の他の材料が、剤皮として、又は固体単位剤形の物理的形態を改変するために、存在することができる。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、シェラック、糖などで被覆することができる。シロップ剤又はエリキシル剤は、甘味剤、メチル又はプロピルパラベンなどの防腐剤、糖の結晶化を遅延させる薬剤、多価アルコール、例えばグリセロール、ソルビトールなどの任意の他の成分の溶解性を増加させる薬剤、色素、及び香味剤の1種類以上を含むことができる。任意の単位剤形の調製に使用される材料は、使用量では実質的に無毒である。活性薬剤は、徐放性調製物及び装置に組み込むことができる。
【0061】
化合物の調製
本発明のビタミンEコハク酸エステル誘導体は、特に本明細書に含まれる記述に照らして、化学分野で周知のものに類似したプロセスを含む合成経路によって合成することができる。出発材料は、Aldrich Chemicals(Milwaukee、Wisconsin、USA)などの商業供給源から一般に入手可能であり、当業者に周知の方法を使用して容易に調製される(例えば、Louis F.Fieser and Mary Fieser,Reagents for Organic Synthesis,v.1−19,Wiley,New York,(1967−1999 ed.);Alan R.Katritsky,Otto Meth−Cohn,Charles W.Rees,Comprehensive Organic Functional Group Transformations,v1−6,Pergamon Press,Oxford,England,(1995);Barry M.Trost and Ian Fleming,Comprehensive Organic Synthesis,v.1−8,Pergamon Press,Oxford,England,(1991);又は(Beilsteinオンラインデータベースによっても利用可能な)補遺を含めたBeilsteins Handbuch der organischen Chemie,4,Aufl.Ed.Springer−Verlag,Berlin,Germanyに一般に記載された方法によって調製される)。
【0062】
当業者は、別の合成経路を使用して本発明の化合物を合成できることを理解するであろう。特定の出発材料及び試薬を反応スキームに示し、以下で考察するが、別の出発材料及び試薬で容易に置換して、種々の誘導体及び/又は反応条件を提供することができる。さらに、下記方法によって調製される化合物の多くは、当業者に周知の従来法を使用して、本開示に照らして、さらに改変することができる。
【0063】
本発明を以下の実施例によって説明する。特定の実施例、材料、量及び手順は、本明細書に記載の本発明の範囲及び精神に従って広義に解釈されるべきであることを理解されたい。
【実施例】
【0064】
(実施例1)
強力な乳癌細胞接着阻害剤を開発する足場としてのコハク酸αトコフェロール
本発明者らは、ビタミンEコハク酸エステル(VES)の抗接着活性を媒介するのに脂肪族側鎖及びセミコハク酸エステルが極めて重要な役割を果たし得ると考えた。フィチル側鎖の関与を評価するために、図1に示すように、疎水性末端からイソプラニル単位を徐々に除去することによって鎖長を短縮して、TS−1及びTS−2を得た。
【0065】
これらの切断型誘導体は、Matrigel被覆表面への4T1転移性乳癌細胞の接着を阻害するのにVESよりもかなり改善された効力を示し、相対効力はTS−1>TS−2>VESであった。さらに、TS−1に二重結合を導入して化合物1を生成することによって側鎖の剛性を高めると、抗接着効力が数倍改善した。これらの知見は、抗接着活性の媒介におけるフィチル側鎖の役割を強調するものである。
【0066】
TS−1及び化合物1の更なる改変は、エーテルで連結されたC−Cカルボン酸でヘミスクシナートを置換して、2系列の化合物(それぞれ4〜6及び7〜9)を生成することによって実施された。その理論的根拠は二つある。一つは、フィチル側鎖のように、カルボキシル基も、標的タンパク質によるリガンド認識に決定的に関与する。第2に、ヘミスクシナートは酵素消化されやすいので、エーテル結合を介したカルボキシル基の付加は、生成した誘導体のin vivo代謝安定性を増大させる。すべてのこれらの誘導体のうち、VESは、(R,R,R)−αトコフェロールから誘導され、他方は、図1Bに示す一般的手順によって、鏡像異性前駆体(S)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルエステルから合成された。しかし、別段の記載がない限り、使用されたすべての側鎖はラセミであった。
【0067】
結果
強力な小分子細胞接着阻害剤を開発するためのVESの薬理学的利用。ステージIVヒト乳腺腫細胞によって共有される特性である、4T1細胞の肺、肝臓、骨及び他の部位に転移する高い傾向のために(Tao,et al.,BMC Cancer8,228(2008)、この研究では、4T1マウス乳房腫よう細胞系を使用して、VES及びその誘導体の抗接着活性を検討した。示したように、VESは、図2Bに示すように、Matrigel被覆表面への4T1細胞接着に対して比較的小さい阻害効果を示した。VESは、10μMにおいて50%の細胞接着を阻害したが、その活性は10から50μMで頭打ちになった。この弱い効力は、代謝的不安定性と併せて、癌治療におけるVESの臨床使用を妨げたと考えられる。
【0068】
VESが細胞接着を阻害する分子標的は不明確なままであるが、本発明者らは、フィチル側鎖及びコハク酸エステル部分がVESの抗接着効力を改善する改変を受けやすいと仮定した。この前提は、図2Aに示すように、アルキル側鎖がそれぞれ1個及び2個のイソプラニル単位だけ短縮されたTS−1及びより少ない程度ではあるがTS−2のかなり改善された効力によって裏付けられた。
【0069】
TS−1の次の主要な最適化は、1)二重結合αtoクロマン環を挿入して側鎖の剛性を高めること、及び2)鎖長の異なるアルコキシカルボキシル基でヘミスクシナート部分を置換して代謝安定性を高めることの2つの戦略によって実施された。これらの改変は、2系列の誘導体、すなわち、系列I(化合物1、2及び4〜6)と系列II(化合物3及び7〜9)をもたらした。これらの誘導体の多くが、図2Aに示すように、T41細胞接着の阻害においてVESよりも有意に改善された活性を示した(P<0.05)。そのうち、図2Bに示すように、化合物2は最高の効力を示し、続いて化合物1であった。それぞれのIC50値は、TS−1の2.5μMに対して、0.6μM及び1.3μMであった。化合物2は、α,β不飽和、切断型側鎖、及びエーテルで連結された酢酸によって識別され、その飽和対応物である化合物3(IC50、2μM)の3倍強力であり、標的タンパク質(単数又は複数)との相互作用におけるアルキル鎖の剛性の重要性が強調された。さらに、2のアルコキシリンカー長の増加は、抗接着効力を低下させた。まとめると、この知見は、腫よう細胞接着に対するこれらのVES誘導体の効果における難解な構造−活性関係(SAR)を示している。
【0070】
さらに、VES誘導体の接着阻止能力を薬剤誘発性細胞死に帰することができない証拠が得られた。細胞接着を阻害する高い効力にも関わらず、これらの最適なVES誘導体は、図2Cに示すように、2%FBS中の4T1細胞生存率の抑制に比較的小さい活性を示し、IC50値は10μMを超えた。
【0071】
VES誘導体による4T1転移性乳腺腫細胞の遊走及び膜状仮足形成の阻害。上記知見に従って、血清によって誘発される4T1細胞遊走を阻害する最適VES誘導体(化合物1〜3及びTS−1)の能力をVESと比べてBoydenチャンバーアッセイによって調べた。図3Aに示すように、5μMの化合物1〜3は、2>1>3の順で細胞遊走の阻害に有効であり、抗接着のそれと一致した。対照的に、5μMのTS−1及び50μMものVESはほとんど効果を示さなかった。
【0072】
VES誘導体によって媒介される腫よう細胞遊走の阻害に対する細胞上の基本原理を解明するために、4T1細胞のアクチン細胞骨格に対する化合物2(5μM)及び3(10μM)の効果を免疫細胞化学によって調べた。曝露4時間後、これらの薬剤は、張線維の急速な溶解、及び4T1細胞の前縁における膜状仮足形成の障害を引き起こした(図3B)。定量分析によれば、4T1細胞を化合物2(5μM)及び3(10μM)で処理すると、F−アクチンの蛍光強度がDMSO対照に対してそれぞれ84%及び70%低下した(P<0.001)。さらに、薬物処理細胞の3D画像化は、図3Cに示すように、張線維損失の結果として、隣接細胞又は培養皿表面からの脱離を示した。さらに、4T1細胞を化合物2又は3で処理すると、小胞体が典型的には位置する核周囲の領域における小胞の蓄積に増加が認められた。小胞体膜の分解は、薬物によって媒介されるアクチン張線維の損失に関連するかもしれない。
【0073】
VES誘導体は局所接着キナーゼ(FAK)分解を標的にする。局所接着及びアクチン張線維の形成の調節におけるFAKの重要な役割を考慮して(McLean et al.,.Nat Rev Cancer5,505−15(2005))、4T1細胞中の局所接着部位に対する化合物2の効果を抗FAK抗体による免疫染色によって評価した。その結果を図4Aに示す。FAK染色は、図3Bに示すように、DMSOで処理された対照細胞において局所接着部位を表す典型的な点状パターンを示したが、化合物2処理は、局所接着部位の損失をもたらし、上記張線維溶解のそれと一致した。注目すべきことに、化合物2によるアクチン張線維及び局所接着の破壊は、神経芽細胞腫細胞においてマンニトールによって誘発されるものを連想させる。Kim et al..J Biol Chem277,27393−400(2002)。マンニトールによって誘発される細胞骨格の変化はFAKの分解が先行するので、4T1細胞におけるFAKタンパク質安定性に対する各々5μMのVES、TS−1並びに化合物1及び3と比較した化合物2の効果をウエスタンブロット法によって調べた。図4Bに示すように、化合物2並びにそれより少ないが1及び3による処理は、FAK分解を誘発し、分子量約90及び80kDaの2個の主要な切断断片を生成した。しかし、この分解は、TS−1及びVESで処理された細胞ではそれほど明白ではなく、又は測定できず、4T1細胞接着を阻止するそれぞれの活性と一致した。
【0074】
考察
細胞接着は、癌細胞の浸潤性表現型の促進におけるその極めて重要な役割を考慮して、有望な治療標的として現れた。Schmidmaier et al.,Curr Med Chem15,978−90(2008)。したがって、この研究は、強力な抗接着剤を開発するためのVESの薬理学的利用に焦点をおいた。SAR分析によれば、その抗接着活性を決定する際にVESのフィチル側鎖とアルコキシカルボキシル末端との高度な構造上の協同性が存在する。試験した種々のVES誘導体のうち、化合物2は、4T1細胞接着(IC50、0.6μM対10μM)及び遊走の阻止においてVESよりも一桁高い効力を示した。さらに、この高い抗接着効力は、4T1細胞における化合物2の細胞傷害性と無関係であった。これら二つの薬理活性の解離は、細胞接着の阻害における化合物2の強力な活性の根底にある独特な様式の機序を示唆している。細胞接着及び遊走を阻止する化合物2の能力は、局所接着の形成並びに膜状仮足及び張線維を含めたアクチン細胞骨格構造をFAK分解の刺激を介して破壊することに対するその効果に起因し得るという証拠が得られた。この作用様式は、マンニトールによって誘発される細胞骨格構造の破壊の、しかしアポトーシスの同時誘導のない、それを連想させる。したがって、腫ようの血管新生及び転移の媒介におけるFAKシグナル伝達の重要性を考慮すると、化合物2がFAK分解を誘発する機序は更なる検討が当然必要である。Mitra et al.,Curr Opin Cell Biol18,516−23(2006)。機構的な観点からは、化合物2は、FAKタンパク質分解又はFAKキナーゼ活性を標的にする他の薬剤とは異なる。Ochel et al.,Mol Genet Metab66,24−30(1999)及びRoberts et al.,Cancer Res68,1935−44(2008)。したがって、それは、FAKシグナル伝達の細胞制御、及び腫よう進行の促進におけるその役割を解明する有用な薬理学的プローブを提供するかも知れない。
【0075】
結論
細胞接着は、腫よう学だけでなく、炎症性腸疾患、自己免疫炎症などの急性及び慢性炎症性疾患においても重要な治療標的である。現在まで、細胞接着のターゲティングにおける治療学的開発の大部分は、モノクローナル抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は低分子干渉(si)RNAを使用したインテグリン−リガンド相互作用の遮断に焦点をおき、小分子薬剤はほとんど開発されていない。その結果、FAK分解を介した細胞接着の阻害における化合物2などのビタミンEコハク酸エステル誘導体の高い効力及び独特の機序は、癌、特に転移性癌の治療と治療上の関連性があるかも知れない。4T1細胞転移を抑制する化合物2の根本的機序及びin vivo試験は、現在進行中である。
【0076】
実験の部
別段の記載がない限り、化学試薬及び有機溶媒をSigma−Aldrich(St.Louis、MO)から購入した。核磁気共鳴スペクトル(H NMR)をBruker DPX300モデル分光計で測定した。化学シフト(δ)をTMSピークに対する百万分率(ppm)で報告した。エレクトロスプレーイオン化質量分析法をMicromass Q−T of II高分解能エレクトロスプレー質量分析計で実施した。すべての試験化合物の純度は、Atlantic Microlab,Inc.(Norcross、GA)によって実施された元素分析によれば95%より高く、計算値の0.4%以内であることが報告された。フラッシュカラムクロマトグラフィーをシリカゲル(230〜400メッシュ)を使用して実施した。VES、TS−1及びTS−2の合成を既報(Shiau et al.,J Biol Chem281,11819−25(2006)のとおりに実施し、2系列の化合物1、2、4〜6及び3、7〜9を図1Bに記載の一般スキームに従って合成した。図1Bは、化合物1の合成を例として示す。
【0077】
コハク酸モノ−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イル]エステル(1)。ステップa.6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルエステル(i、41.9mmol)、t−ブチル−ジメチル−シリルオキシクロリド(62.8mmol)及びイミダゾール(172.2mmol)の100mL DMF溶液を85〜95℃で16時間撹拌し、室温に冷却した。溶液を酢酸エチル200mLで希釈し、直列にHO、1%HCl、飽和NaHCO及びかん水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物6−(t−ブチル−ジメチル−シリルオキシ)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルエステル(ii)を白色固体として99%収率で得た。
【0078】
【化16】

ステップb.−60℃の化合物ii(15g、39.7mmol)の150mL無水ヘキサン撹拌溶液に1M水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)のヘキサン溶液40mLを90分間滴下した。溶液を氷浴中で1時間撹拌し、メタノール100mL、続いてHO75mLを溶液に添加して、反応をクエンチした。混合物を酢酸エチル/ヘキサン(1:2)90mLで3回抽出し、貯留した有機相を脱水し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィーによって精製して、6−(t−ブチル−ジメチル−シリルオキシ)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボアルデヒド(iii)を白色固体として88%収率で得た。
【0079】
【化17】

ステップc.0℃の1−ブロモ−3.7−ジメチルオクタニルホスホニウム(1.05mmol)の20mL無水THF懸濁液に1Mリチウムビス(トリメチシリル)アミドのTHF溶液1.05mLを添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、化合物iii(1mmol)の10mL THF溶液を1時間徐々に添加した。室温で1時間撹拌した後、溶液を濃縮し、酢酸エチル20mLで希釈し、直列にHO及びかん水で洗浄した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、t−ブチル−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ジメチルシラン(iv)を無色オイルとして80%収率で得た。
【0080】
【化18】

ステップd.化合物iv(0.67mmol)の無水THF(10mL)溶液を0℃に冷却し、それに1M TBAF(フッ化テトラブチルアンモニウム)のTHF溶液0.3mLを添加した。0℃で1時間撹拌後、溶液を濃縮し、酢酸エチル(20mL)で希釈し、水及びかん水で洗浄し、乾燥させた。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール(v)を無色シロップとして96%収率で得た。
【0081】
【化19】

ステップe.化合物v(0.58mmol)、無水コハク酸(succinic anhydrate)(1.16mmol)及びピリジン(93μL)の混合物の無水CHCl(15mL)溶液を還流温度で16時間撹拌した。溶液を室温に冷却し、濃縮し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、化合物1を白色固体として88%収率で得た。
【0082】
【化20】

2842(M+Na)の正確なHRMS質量、481.2930amu;(M+Na)の実測質量、481.2947amu。計算分析値(C73.33、H9.23、O17.44)実測、C73.49、H9.46、O17.56。
【0083】
化合物vのエーテル連結アルカンカルボン酸誘導体を調製する一般的手順(ステップf)。化合物v(0.58mmol)とNaH(0.64mmol)の混合物の無水DMF(5mL)溶液を0℃で30分間撹拌し、それにブロモアルカンカルボン酸メチルエステル(1.16mmol)のDMF(1mL)溶液を添加した。室温で16時間撹拌後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水及びかん水で洗浄し、脱水し、濃縮した。粗製残留物を1N NaOHメタノール溶液で3時間処理した。溶液を1N HCl水溶液で中和し、濃縮し、酢酸エチルで希釈し、水及びかん水で洗浄し、脱水し、濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物2及び4〜6を白色固体として70%〜78%収率で得た。
【0084】
[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸(2)。
【0085】
【化21】

2640(M+Na)の正確なHRMS質量、439.2824amu;(M+Na)の実測質量、439.2840amu。計算分析値(C74.96、H9.68、O15.36);実測、C75.13、H9.77、O15.47。
【0086】
3−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸(4)。
【0087】
【化22】

2742(M+Na)の正確なHRMS質量、453.2981amu;(M+Na)の実測質量、453.3013amu。計算分析値(C75.31、H9.83、O14.86);実測、C75.23、H9.87、O14.67。
【0088】
4−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸(5)。
【0089】
【化23】

2844(M+Na)の正確なHRMS質量、467.3138amu;(M+Na)の実測質量、467.3161amu。計算分析値(C75.63、H9.97、O14.39);実測、C75.58、H9.89、O14.33。
【0090】
5−[2−(4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸(6)。
【0091】
【化24】

2946(M+Na)の正確なHRMS質量、481.3294amu;(M+Na)の実測質量、481.3314amu。計算分析値(C75.94、H10.11、O13.95);実測、C75.83、H10.06、O13.92。
【0092】
水素化分解の一般的手順(ステップg)。酢酸エチル中のα,β不飽和酸(化合物2及び4〜6;0.37mmol)、10%Pd/C(20mg)の混合物をH下で56psiで16時間振とうし、ろ過し、濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルカラムによって精製して、化合物3及び7〜9を白色固体として定量収率で得た。
【0093】
[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酢酸(3)。
【0094】
【化25】

2642(M+Na)の正確なHRMS質量、441.2981amu;C2642(M+Na)の実測質量、441.3000amu。計算分析値(C74.60、H10.11、O15.29);実測、C74.46、H10.31、O15.40。
【0095】
3−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−プロピオン酸(7)。
【0096】
【化26】

2744(M+Na)の正確なHRMS質量、455.3138amu;C2744(M+Na)の実測質量、455.3152amu。計算分析値(C74.96、H10.25、O14.79);実測、C74.83、H10.19、O14.67。
【0097】
4−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−酪酸(8)。
【0098】
【化27】

2846(M+Na)の正確なHRMS質量、469.3294amu;C2846(M+Na)の実測質量、469.3321amu。計算分析値(C75.29、H10.38、O14.33);実測、C75.35、H10.30、O14.46。
【0099】
5−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イルオキシ]−ペンタン酸(9)。
【0100】
【化28】

2948(M+Na)の正確なHRMS質量、483.3451amu;C2948(M+Na)の実測質量、483.3472amu。計算分析値(C75.61、H10.50、O13.89);実測、C75.75、H10.66、O13.91。
【0101】
細胞及び細胞培養。4T1転移性乳癌細胞をAmerican Type Culture Collection(Manassas、VA)から購入した。ペニシリン−ストレプトマイシン及び10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI1640培地(Invitrogen、Carlsbad、CA)中で細胞を37℃で5%CO中で培養した。
【0102】
接着アッセイ。96ウェルプレートを12%(v/v)Matrigel(BD Biosciences)で37℃で1時間被覆し、洗浄緩衝剤(0.1%BSA含有RPMI培地)で2回洗浄し、続いて0.5%BSA含有RPMI培地で37℃で60分間ブロックした。4T1細胞をCO恒温器中で指定濃度の個々の誘導体で37℃で60分間処理し、100μl中2×10個の細胞を各ウェルに蒔いた。細胞をMatrigel被覆表面に37℃で30分間接着させ、上記洗浄緩衝剤で軽く洗浄して非接着細胞を除去した。接着細胞を10%ホルマリンで固定し、0.5%クリスタルバイオレットで染色し、2%SDSに溶解させた。570nmにおける吸光度をELISAプレートリーダー(Molecular device、Sunnyvale、CA)で測定した。
【0103】
遊走アッセイ。4T1細胞を5分間トリプシン処理し、洗浄し、0.2%FBS補充RPMI1640培地中に懸濁させた。個々の試験薬剤を指定濃度で含む0.2%FBS補充RPMI培地0.5ml中の5×10個の細胞を、24ウェルプレート中の各Transwellシステム(12mm、ポリカルボナート、12μm細孔、Millipore)の上部チャンバーに添加し(すなわち、挿入物)、CO恒温器中で37℃で30分間インキュベートした。次いで、挿入物を10%FBS補充RPMI1640培地を含む新しいウェルに24時間変えた。各ウェルのすべての細胞を10%ホルマリンで固定し、続いて0.5%クリスタルバイオレットで染色した。遊走細胞を定量化するために、上部チャンバーの底部側に付着した細胞及びウェル底部の細胞を湿った綿棒で拭き、次いでDDW80μlでリンスした。次いで、100%メタノール320μlを添加して、細胞を溶解させた。チャンバーを80%メタノール400μlに入れ、オービタルシェーカー中で30分間インキュベートすることによって、非遊走細胞を数えた。570nmにおける吸光度をELISAプレートリーダーで測定した。各ウェルの細胞遊走割合を以下の式によって計算した。遊走%=100×[(遊走細胞のO.D.)−(バックグラウンドのO.D.)]/{[(遊走細胞のO.D.)−(バックグラウンドのO.D.)]+[(非遊走細胞のO.D.)−(バックグラウンドのO.D.)]}。各処理群の遊走活性は、ビヒクル対照のそれを100%とみなして、その百分率として表される。
【0104】
F−アクチン免疫染色 アクチン細胞骨格構造に対する試験化合物の効果を評価するために、細胞を6ウェルプレート中のカバーガラス上に蒔き、終夜インキュベートし、続いて2%FBS含有RPMI1640培地中で指定濃度の個々の薬剤に4時間曝露した。次いで、細胞を3.7%ホルムアルデヒドで固定し、0.1%Triton X−100及び0.1%BSAを含むPBSで1時間透過処理し、次いでAlexa Fluor488ファロトキシン染色溶液(Molecular Probes,Inc.、Eugene、OR)と一緒に30分間インキュベートした。4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)含有封入剤を使用して、核を対比染色した。免疫細胞化学的に標識された細胞を可視化し、アルゴン及びHeNeレーザーと、適切なフィルター(励起波長は488nm及び543nmであった)と、63×1.4開口数の水浸レンズとを備えたZeiss顕微鏡(LSM510)を使用して画像を取り込んだ。MacBiophotonic ImageJソフトウェア(National Institutes of Health)を使用して対照試料を同じしきい値下の処理試料の各々と比較して蛍光強度差を計算し、未処理対照の蛍光強度の百分率として表した。統計的有意性をスチューデントのt検定によって評価し、P<0.05で有意と見なした。
【0105】
細胞生存率アッセイ。96ウェルプレート中で3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイを6回使用して、細胞生存率を評価した。4T1細胞を10%FBS補充RPMI1640中に6000細胞/ウェルで24時間蒔き、続いて2%FBS補充RPMI1640中の指定濃度の種々の化合物で処理した。対照は、薬物処理細胞におけるそれと同じ濃度のDMSOを受けた。インキュベーション終了後、10%FBS補充RPMI1640中のMTT(0.5mg/ml)を各ウェルに添加し、細胞を37℃で2時間インキュベートした。培地を除去し、還元MTT染料をDMSOに可溶化した(200μl/ウェル)。吸光度を96ウェルプレートリーダーによって570nmで測定した。
【0106】
(実施例2)
追加のビタミンEコハク酸エステル誘導体の合成
実施例Iは、式(I)のR位置に4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル基及び4,8−ジメチル−ノニル基を含むビタミンEコハク酸エステル誘導体の調製を示す。式(I)のR位置にノナ−1−エニル基、ノナニル基、ノナ−8−エニルニトリル基及びノナニルニトリル基を含むビタミンEコハク酸エステル誘導体を調製することもできる。ノナ−1−エニル基、ノナニル基、ノナ−8−エニルニトリル基及びノナニルニトリル基を含むビタミンEコハク酸エステル誘導体を調製するのに使用される出発化合物は異なるが、使用される試薬及び諸条件は、4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル基及び4,8−ジメチル−ノニル基を含むビタミンEコハク酸エステル誘導体の場合に記述したものと本質的に同じである。ノナ−1−エニル基及びノナニル基を含むビタミンEコハク酸エステル誘導体の反応スキームを図5に示す。一方、ノナ−8−エニルニトリル基及びノナニルニトリル基を含むビタミンEコハク酸エステル誘導体の反応スキームを図6に示す。
【0107】
本明細書で引用したすべての特許、特許出願及び刊行物並びに電子的に利用可能な資料の完全な開示を参照により本明細書に援用する。上記詳細な説明及び実施例は、単に理解しやすいように提供したものに過ぎない。それらから無用な限定を解釈すべきではない。本発明は、示し、記述した正確な詳細に限定されず、当業者に明白な変更は、特許請求の範囲によって定義される本発明に含まれる。
【0108】
すべての見出しは、読者の便宜を図ったものであり、特に明示しない限り、見出しに続く文章の意味を限定するのに使用されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
【化29】

式中、Rは、水素及びメチルから独立に選択され、Rは、4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル基、4,8−ジメチル−ノニル基、ノナ−1−エニル基、ノナニル基、ノナ−8−エニルニトリル基及びノナニルニトリル基からなる群から選択され、nは1から7の整数である、化合物。
【請求項2】
が、4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル、ノナ−1−エニル及びノナ−8−エニルニトリルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが1又は2である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が4,8−ジメチル−ノニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がノナ−1−エニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がノナニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がノナ−8−エニルニトリル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がノナニルニトリル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
nが1であり、Rが4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル又は4,8−ジメチル−ノニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
被験体における癌を治療又は癌の発生を予防する方法であって、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、治療有効量の薬学的組成物を投与することを含み、
【化30】

式中、Rは、水素及びメチルから独立に選択され、Rは、4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル基、4,8−ジメチル−ノニル基、ノナ−1−エニル基、ノナニル基、ノナ−8−エニルニトリル基及びノナニルニトリル基からなる群から選択され、nは1から7の整数である、方法。
【請求項12】
前記癌が接着依存性癌である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記癌が転移性癌である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
式(I)の前記化合物が請求項2から10のいずれか一項によって定義される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、治療有効量の薬学的組成物を投与することによって細胞接着を阻害することを必要とする被験体における細胞接着を阻害する方法であって、
【化31】

式中、Rは、水素及びメチルから独立に選択され、Rは、4,8−ジメチル−ノナ−1−エニル基、4,8−ジメチル−ノニル基、ノナ−1−エニル基、ノナニル基、ノナ−8−エニルニトリル基及びノナニルニトリル基からなる群から選択され、nは1から7の整数である、方法。
【請求項16】
式(I)の前記化合物が請求項2から10のいずれか一項によって定義される、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−524070(P2012−524070A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505953(P2012−505953)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/031363
【国際公開番号】WO2010/121111
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511247415)ザ オハイオ ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション (3)
【Fターム(参考)】