説明

抗炎症剤及び抗酸化剤

【課題】長時間に亘り効果が維持される安全な抗炎症剤及び抗酸化剤を提供する。
【解決手段】(1)シデロフォアを有効成分とする抗炎症剤。この抗炎症剤は、特に経口投与する場合の消化管の炎症の予防又は治療に有効である。シデロフォアとしては、代表的にはデフェリフェリクリシンが挙げられる。デフェリフェリクリシンは清酒成分として人類が古くから摂取してきた安全な物質である。(2) シデロフォアを有効成分とする抗酸化剤。シデロフォアの抗酸化作用には、キレート作用以外のメカニズムが関与していると考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性食品や医薬品の有効成分として用いられる抗炎症剤、特に消化管の炎症の予防又は治療剤に関する。また、本発明は、飲食品、化粧品、医薬品、試薬などに添加される抗酸化剤に関する。さらに本発明は、飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬からなる群より選ばれる物質又は組成物の酸化を抑制する方法、及び酸化が抑制されたこれらの物質又は組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性酸素は、喫煙、飲酒、激しいスポーツ、紫外線照射、加齢、ストレス、脂肪分の多い食品の摂取、細菌感染などの種々の原因で体内に発生する。体内で発生した活性酸素は不安定であり、正常な細胞から電子を奪って自身が安定化するとともに、細胞を破壊する。また、直接DNAに損傷を与えることもある。このため、老化、ガン、生活習慣病の原因となる。
スーパーオキサイドやヒドロキシラジカルのような活性酸素の生成には、遷移金属イオンが関与していることが知られている。中でも、鉄イオンは環境中や生体内に比較的多く存在することから、活性酸素生成に与える影響が大きい。2価鉄イオンは、例えば、過酸化水素と反応して3価鉄イオンに酸化されるとともにヒドロキシラジカルを生じる。この3価鉄は生体内で還元されて2価鉄に戻る。このようにして、鉄イオンは連続的にラジカルを発生する。
【0003】
ここで、特許文献1には、デスフェリオキサミンのような3価鉄イオンキレーターがラジカル消去能を有し、ラジカルによる細胞の障害を低減させることが記載されている。しかし、従来公知の鉄イオンキレーターによる抗酸化活性は、活性酸素を生成する鉄イオンのキレート化作用によるものであることから、環境中に存在する鉄イオンをキレートすると抗酸化活性が無くなってしまう。このため、抗酸化活性が弱く、また長時間に亘り抗酸化活性が維持されない。特に、消化管内には鉄イオンが多く存在するため、鉄イオンキレーターを食品に添加して摂取したり、医薬品として経口投与したりすると、キレート化能が速やかに失われて、抗酸化活性が持続しない。また、従来の鉄イオンキレーターは、ヒトが摂取できる程度の十分な安全性が確立されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Biochemical Pharmacology, Vol.55,1327-1332,1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、長時間に亘り効果が維持される安全な抗炎症剤及び抗酸化剤を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明者は研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) 消化管に炎症を有するラットやマウスに、デフェリフェリクリシンを経口投与すると、消化管の炎症が抑制される。
(ii) デフェリフェリクリシンは、in vitroで活性酸素の消去作用を有する。また、フェリクリシンも活性酸素消去作用を有することから、デフェリフェリクリシンの抗酸化作用には、3価鉄イオンのキレート作用だけでなくその他の作用も寄与していると考えられる。
本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下の抗炎症剤、抗酸化剤などを提供する。
【0007】
項1. シデロフォア及び/又はその鉄錯体を含む抗炎症剤。
項2. シデロフォアがフェリクローム類である項1に記載の抗炎症剤。
項3. フェリクローム類がデフェリフェリクリシンである項2に記載の抗炎症剤。
項4. 炎症が消化管の炎症である項1〜3のいずれかに記載の抗炎症剤。
項5. 消化管の炎症が大腸炎である項4に記載の抗炎症剤。
項6. 経口投与用である項1〜5のいずれかに記載の抗炎症剤。
項7. シデロフォア及び/又はその鉄錯体を含む抗酸化剤。
項8. シデロフォアがフェリクローム類である項7に記載の抗酸化剤。
項9. フェリクローム類がデフェリフェリクリシンである項8に記載の抗酸化剤。
項10. シデロフォア及び/又はその鉄錯体を飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬からなる群より選ばれる物質に添加する工程を含む、酸化が抑制された物質の製造方法。
項11. シデロフォア及びその鉄錯体を飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬からなる群より選ばれる物質に添加する工程を含む、物質の酸化抑制方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シデロフォアがヒドロキシラジカルやスーパーオキサイドを消去する抗酸化活性を有し、また炎症(中でも消化管の炎症)を効果的に予防及び改善することが見出された。
詳述すれば、シデロフォアの抗酸化活性は、鉄イオンをキレートした後も残る。この点で、シデロフォアは従来の抗酸化剤とは異なるメカニズムで酸化を抑制していると考えられる。
【0009】
シデロフォアの抗酸化活性は鉄イオンをキレートした後も残ることから、シデロフォアは、飲食品や医薬品としてヒトが摂取する場合に、消化管に存在する鉄イオンによって抗酸化活性及び抗炎症活性が阻害されない。従って、経口投与することができ、消化管の炎症の予防又は治療剤や、消化管内の抗酸化剤として有効である。また、鉄は消化管を始めとする生体内に多く存在するが、シデロフォアは鉄イオンをキレートした後も抗炎症及び抗酸化活性を有することから、シデロフォアを含む本発明の抗炎症剤及び抗酸化剤は、投与量当たりの効果が高く、かつ長期に亘り抗炎症活性及び抗酸化活性が維持される。
【0010】
また、水を含む環境中にはほとんどの場合鉄が存在する。この点、シデロフォアは、飲食品、医薬品、化粧品、種々の試薬などに添加する場合に、その中に混在する鉄イオンによって抗酸化活性が阻害されず、含有量当たりの抗酸化活性が高く、抗酸化活性が長期にわたり維持されるものとなる。従って、長期保存や遠方への輸送も可能である。
さらに、シデロフォアの中でもデフェリフェリクリシンは、清酒やもろみの成分として人類が古くから摂取してきたものであり、他の抗炎症剤や抗酸化剤にはない高い安全性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】Dfcyの過酸化脂質生成抑制作用を示す図である。
【図2】Dfcyの過酸化脂質生成抑制作用を既知の抗酸化剤と比較した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)抗炎症剤
本発明の抗炎症剤は、シデロフォア及び/又はその鉄錯体を含み、特にこれを有効成分として含む。中でも、シデロフォアを含むものであることが好ましい。炎症の部位及び種類は特に限定されない。本発明の抗炎症剤は、特に消化管の炎症の予防又は治療に有効である。消化管の炎症としては、虚血性腸炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、薬剤性大腸炎、放射線大腸炎、劇症大腸炎のような腸の炎症;びらん性胃炎、出血性胃炎、ストレス胃炎、NSAID胃炎、アルコール性胃炎、ピロリ胃炎、悪性貧血胃炎、感染性胃炎、肉芽種性胃炎、好酸球性胃炎、リンパ球性胃炎のような胃炎;感染性食道炎、薬剤性食道炎、腐食性食道炎、びらん性食道炎のような食道炎などが挙げられる。中でも、腸炎の予防又は治療に有効であり、潰瘍性大腸炎、クローン病のような炎症性腸疾患の予防又は治療により有効である。摂取された本発明の抗炎症剤は、食道及び胃を通って腸管に入り、また長い腸管内を移動する。本発明の抗炎症剤は、消化管内に存在する鉄イオンをキレートした後にも抗炎症効果を維持することから、腸管の炎症を有効に抑制することができる。また、中性領域のpHを有する腸管内で本発明の抗炎症剤は分解され難い。
予防とは発症を回避または抑制することをいう。また治療には完治の他に改善も含まれる。
【0013】
シデロフォア
シデロフォアは、3価鉄イオンをキレート化できる化合物をいう。本発明においてシデロフォアの鉄錯体は3価鉄イオンをキレート化した錯体である。
シデロフォアの由来は特に限定されず、どのような生物に由来するものであってもよい。多くの微生物は、外界の鉄濃度が低いときに必須成分である鉄を効率的に取り込むためにシデロフォアを生産する。微生物は容易に増殖させることができるため、微生物を用いることによりシデロフォアを容易に大量生産することができる。この点で微生物に由来するシデロフォアが好ましい。さらに、シデロフォア合成酵素群をコードする遺伝子の組換えによりシデロフォアを多量に生産する宿主を容易に作製できる点でも、微生物に由来するシデロフォアが好ましい。
【0014】
微生物由来のシデロフォアの種類は特に限定されない。例えば、エンテロバクチン、ビブリオバクチン、アグロバクチン、アングイバクチンのようなカテコール類;コプロゲン、フェリクローム類、フェリオキサミン、N,N’,N’’―トリアセチルフザリニンCのようなヒドロキサメート類;及びリゾフェリンのようなポリカルボキシレート類などが挙げられる。
特に、鉄キレート力の点で、ヒドロキサメート類(ヒドロキサム酸を含むシデロフォア)が好ましい。その中でも安定性の点で、環状であるフェリクローム類がより好ましい。
【0015】
フェリクローム類は、3個のヒドロキサム酸を含む環状ペプチド化合物の総称であり、下記一般式(1)で表される化合物を含む。
【化1】

(式中、R1は水素原子、又はヒドロキシメチル基を示し;Rは水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基を示し;R、R、Rは、同一又は異なって、メチル基、N−(トランス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基、N−(シス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基、又はN−(トランス−4−カルボキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基を示す。)
一般式(1)の化合物の中では、フェリクローム、ジグリシルフェリクローム、デフェリフェリクリシン、フェリクロームC、フェリクロシン、アスペルクロームD1、アスペルクロームB1、フェリルビン、フェリロジン、フェリクロームA、デス(ジセリルグリシル)フェリロジン(フェリロジンにおいて=Ser−Ser−Gly−を除いた化合物)が好ましく、デフェリフェリクリシンが最も好ましい。
【0016】
これらの化合物の一般式(1)における官能基であるR〜Rを以下の表1にまとめて示す。
【表1】

これらのフェリクローム類は、アスペルギルス(Aspergillus)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、ウスティラゴ(Ustilago)属などの真菌により生産される。アスペルギルス属糸状菌であるアスペルギルス・オリゼは、清酒、味噌、醤油などの生産において使用されてきたため、ヒトは古くからフェリクローム類を摂取してきた。従って、フェリクロームは、その安全性が歴史的に確認されている点で好ましい。麹菌が生産するフェリクローム類の中でもデフェリフェリクリシンは、アスペルギルス・オリゼが比較的多量に生産するため、生産性がよい点で好ましい。
【0017】
本発明において、シデロフォアは、天然型シデロフォアの他、3価鉄のキレート作用を有する天然型シデロフォアの誘導体も使用できる。天然型シデロフォアの誘導体としては、アセチル化、ニトロ化したものや、アミノ酸の一部が置換されたもの等が挙げられる。
シデロフォアは、生物から回収することにより製造できる。生物を鉄制限下で生育させると、鉄を含まないデフェリ体(シデロフォア)が生成される。生物から回収されたシデロフォアは粗標品のままであってもよく、精製されたものであってもよい。
シデロフォアの精製は、公知の精製方法、例えばイオン交換、疎水、ゲル濾過、アフィニティのような各種クロマトグラフィー等により行えばよい。例えば、糸状菌からシデロフォアを回収する場合は、液体培養して上清中に生産されたものを回収してもよく、固体培養して固体培養物から水又は緩衝液を用いて抽出した抽出液から回収してもよい。いずれにしても本発明の抗炎症剤には、例えば生物由来の夾雑物が含まれる場合がある。
またシデロフォアは、市販品を購入することもできる。また、これらのシデロフォアの混合物であってもよい。
【0018】
デフェリフェリクリシン
デフェリフェリクリシンは、麹造り(固体培養)においてアスペルギルス・オリゼが多量に生産することが知られているフェリクローム類の1種である。アスペルギルス・オリゼが生産するフェリクローム類の殆どがデフェリフェリクリシンである。デフェリフェリクリシンは3価鉄イオンをキレートしてフェリクリシンになる。
【0019】
デフェリフェリクリシンは、例えば以下の方法でアスペルギルス・オリゼから回収することができる。即ち、アスペルギルス・オリゼを培養する培地として、例えばポテトデキストロース培地(ニッスイ社)またはCzapek−Dox最少培地(2%グルコース(又はスターチ)、0.3%NaNO、0.2%KCl、0.1%KHPO、0.05%MgSO、pH6.0)等を使用できる。培地は、固体培地でも液体培地でもよいが、デフェリフェリクリシンを回収し易い点で、液体培地を使用することが好ましい。また、米麹のような固体培地も、そこからデフェリフェリクリシンを回収、精製することなく、そのまま食品などに添加できる点で好ましい。
【0020】
培養温度は、アスペルギルス・オリゼの生育可能温度範囲であればよく、例えば25〜42℃程度が挙げられる。培養時間は、その他の条件によって異なるが、通常2〜7日間程度とすればよい。
培養終了後、菌体を濾過後、培養液からデフェリフェリクリシンを回収する。さらに、この培養上清を、公知のタンパク質精製方法、例えばイオン交換、疎水、ゲル濾過、アフィニティなどの各種クロマトグラフィーに供することにより精製デフェリフェリクリシンが得られる。
【0021】
製造方法
<医薬組成物>
本発明の抗炎症剤は、シデロフォア及び/又はその鉄錯体と薬学的に許容される添加剤や溶剤とを混合して適当な製剤にすることにより医薬製剤(医薬組成物)として製造することができる。
製剤形態は、特に限定されず、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の経口投与剤(内服剤);注射剤、点滴剤、外用剤、座剤等の非経口投与剤などの各種製剤形態を挙げることができる。シデロフォアが分解され難い点で、経口投与剤が非経口投与剤に比べて好ましい。特に、消化管の炎症の予防又は治療に用いられるものである場合は、経口投与剤とすればよい。
【0022】
固形の内服剤に添加される公知の添加剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、付湿剤等が挙げられる。賦形剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の各種の糖類、バレイショデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン等の各種デンプン類、結晶セルロース等の各種セルロース類、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の各種無機塩類等が挙げられる。結合剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、結晶セルロース、プルラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。崩壊剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。潤沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などが挙げられる。付湿剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、大豆リン脂質、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
【0023】
また液体の内服剤には例えば蒸留水、エタノールなどの溶剤が使用される。また、液体の内服剤に添加される公知の添加剤としては、アラビアゴム、カンテン、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロースのような懸濁化剤;ポリソルベート80、アラビアゴムのような乳化剤;単シロップ、ハチミツ、白糖、酒石酸のような矯味剤;サリチル酸メチル、ウイキョウ油、オレンジ油、メントールのような芳香剤;安息香酸、安息香酸ナトリウムのような保存剤;クエン酸、炭酸水素のような緩衝剤などが挙げられる。
【0024】
製剤中のシデロフォア及び/又はその鉄錯体の含有量は、シデロフォアの種類、投与経路、投与対象又は患者の年齢、体重、症状等によって異なり一概に規定できないが、1日投与量が通常500〜1000mg程度になる量とすればよい。
また、製剤中のシデロフォア及び/又はその鉄錯体の含有量は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤のような内服用固形製剤の場合は5〜30重量%程度であればよく、シロップ剤のような内服用液体製剤の場合は0.2〜1重量%程度であればよく、注射剤、点滴剤の場合は0.4〜2重量%程度であればよく、外用剤の場合は1〜10重量%程度であればよく、座剤の場合は2〜20重量%程度であればよい。上記の含有量の範囲であれば、炎症抑制効果が十分に得られるとともに、副作用が現れることがない。なお、点滴剤は、例えば肝臓のような、消化管以外の組織の炎症の抑制に有効である。
シデロフォア及びその鉄錯体は高温(例えば120℃程度)高圧(例えば200kPa程度)処理によっても変性しない又は変性し難いことから、医薬組成物の成分として用いる場合に、加熱加圧滅菌できるという利点を有する。
【0025】
<飲食品用添加剤>
本発明の抗炎症剤は、飲食品に添加する添加剤とすることができる。
<飲食品組成物>
また、本発明の抗炎症剤は、上記例示した薬学的に許容される添加剤や溶剤と混合して、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤などの形態にして、機能性の飲食品組成物にすることができる。
このような機能性飲食品組成物中のシデロフォア及び/又はその鉄錯体の含有量は、シデロフォアの種類や摂取対象の年齢、体重、状態等によって異なり一概に規定できないが、シデロフォアに換算した1日摂取量が通常100〜500mg程度になる量とすればよい。
【0026】
また、組成物中のシデロフォア及び/又はその鉄錯体の含有量は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤のような固形製剤の場合は10〜30重量%程度であればよく、シロップ剤のような液体製剤の場合は0.2〜1重量%程度であればよい。上記の含有量の範囲であれば、炎症抑制効果が十分に得られるとともに、副作用が現れることがない。
【0027】
また、本発明の抗炎症剤は、シデロフォア及び/又はその鉄錯体を飲食品に添加して食品組成物として製造することもできる。シデロフォア及び/又はその鉄錯体は従来清酒に含まれている成分であり、食品の風味を損ねるような味や匂いを有さない。従って、食品の種類は特に限定されない。例えば、飴、ガム、ケーキ、パイ、クッキー、クラッカー、ゼリー、チョコレート、プディング、アイスクリーム、ポテトチップス、羊羹、煎餅、饅頭、中華饅頭のような菓子;酒類、茶類、コーヒー類、ドリンク剤(スポーツドリンク類、清涼飲料水など)、スープ、乳飲料のような飲料;ヨーグルト、バター、チーズのような乳製品;ハム、ソーセージ、蒲鉾、竹輪のような練り物;ソース、ドレッシング、マヨネーズ、醤油、味噌、酢、味醂、トマト加工品(ケチャップ、トマトペースト、トマトピューレ)、カレールウ、酒粕、顆粒だしのような調味料;ふりかけ、漬物、佃煮、塩昆布のような常備惣菜類;惣菜;麺、米飯、粥のような主食類などが挙げられる。中でも、飲料が好ましく、スポーツドリンク類、清涼飲料水のようなドリンク剤がより好ましい。
【0028】
シデロフォア及び/又はその鉄錯体は、高い水溶性を有しているため、飲料に好適に添加できる。シデロフォア及び/又はその鉄錯体は低pH条件下でも高い水溶性を示すため、液状酸性食品の添加剤としても好適に使用できる。また、前述したように高温高圧処理に耐えるため、シデロフォア及び/又はその鉄錯体を添加した飲食品の加熱加圧滅菌を行えるとともに、レトルト処理のような特殊な製造工程を経ることもできる。さらにシデロフォア及び/又はその鉄錯体は、従来麹を用いた食品に含まれていることから、その安全性が歴史的に確認されている点でも、食品添加物として好適である。
【0029】
このように、通常の飲食品にシデロフォア及び/又はその鉄錯体を添加する場合は、飲食品組成物中のシデロフォア及び/又はその鉄錯体の含有量は、シデロフォアの種類、投与対象の年齢、体重、状態等によって異なり一概に規定できないが、1日摂取量が、100〜500mg程度になる量とすればよい。また、食品中のシデロフォア及び/又はその鉄錯体の濃度は、食品の種類などによって異なるが、固体状又はゲル状食品の場合は1〜300mg/g程度が好ましく、1〜100mg/g程度がより好ましく、2〜50mg/g程度がさらにより好ましく、2〜25mg/g程度がさらにより好ましい。ヨーグルトのような半固体状食品も、飲むものではなく食する上で流動性が必要とされない点で固体状食品に含まれる。液状又は流動状食品の場合は、0.1〜20mg/ml程度が好ましく、0.2〜10mg/ml程度がより好ましく、0.2〜5mg/ml程度がさらに好ましい。食品の形態によって異なるが、一般的な固形状食品の1回の摂取量は10〜50g程度であり、液体形状の食品の1回摂取量は50ml〜500ml程度であることから、上記の含有量の範囲であれば、1日1回から数回の摂取により十分な炎症の予防又は改善などの効果が得られるとともに、副作用が現れる恐れがない。
【0030】
本発明の飲食品組成物には、飲食品組成物の調製に当たり慣用されている各種添加剤を添加配合することができる。添加剤としては、例えば、安定化剤、pH調整剤、糖類、甘味料、香料、各種ビタミン類、ミネラル類、抗酸化剤、賦形剤、可溶化剤、結合剤、滑沢剤、懸濁剤、湿潤剤、皮膜形成物質、矯味剤、矯臭剤、着色料、保存剤等を例示することができる。
【0031】
(II)抗酸化剤
本発明の抗酸化剤は、シデロフォア及び/又はその鉄錯体を含み、特にこれを有効成分として含む。中でも、シデロフォアを含むものであることが好ましい。本発明の抗酸化剤は、スーパーオキサイドやヒドロキシラジカルのような活性酸素種を消去する作用を有することから、老化、発ガン、生活習慣病などを予防したり、進行を抑制したりすることができる。本発明の抗酸化剤は、特に消化管内での活性酸素種の消去作用に優れる。
従って、本発明の抗酸化剤は、シデロフォア及び/又はその鉄錯体を含む医薬製剤として製造することもでき、シデロフォア及び/又はその鉄錯体を含む機能性飲食品組成物として製造することもでき、シデロフォア及び/又はその鉄錯体を含む通常の飲食品組成物として製造することもできる。このときのシデロフォア及び/又はその鉄錯体の使用量やその他の成分の種類などは抗炎症剤の項目で説明した通りである。
【0032】
(III)酸化抑制方法
また、本発明の抗酸化剤は、飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬などの物質又は組成物に添加されてそれらの成分の酸化を抑制する添加剤であってもよい。添加量は、添加される飲食品などの成分の種類によって異なるが、例えば、酸化を抑制しようとする物質又は組成物に対して、0.02〜0.2重量%程度、好ましくは0.04〜0.1重量%程度とすればよい。
即ち、本発明は、飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬などの物質又は組成物にシデロフォアを添加することにより、これらの物質又は組成物の酸化を抑制する方法、及び飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬などの物質又は組成物にシデロフォアを添加することにより、酸化が抑制された物質又は組成物を製造する方法を提供する。
【0033】
(IV)炎症の予防又は治療方法
シデロフォア及び/又はその鉄錯体を炎症(特に消化管の炎症)を起こしている人や、炎症の予兆のある人に投与することにより、炎症を予防、改善、又は治療することができる。投与経路及び投与量は、抗炎症剤の項目で説明した通りである。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例及び試験例を示してより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<デフェリフェリクリシンの調製>
米麹を水で抽出した抽出液(デフェリフェリクリシン含有)を、限外濾過膜を用いて分子量5000以上のタンパク質などの高分子を除去し、濾液を疎水カラムクロマトグラフィー(アンバーライト・オルガノ株式会社製)により濃縮した。フェリクリシンは430nmに極大吸収を示す性質が知られているため(Agr.Biol.Chem.,Vol.31,No.12,p1482)、上記の手法で調製された溶液と、その溶液に塩化第二鉄溶液を加えたものとをHPLC分析し、鉄を添加した場合にのみ430nmの吸収を示す物質の大半がフェリクリシンであったことから、上記操作でデフェリフェリクリシンが濃縮されていることを確認した。さらに、上記濃縮液を凍結乾燥処理することで60%(w/w)デフェリフェリクリシン含有粉末を得た。
【0035】
<フェリクリシンの調製>
米麹を水で抽出した抽出液(デフェリフェリクリシン含有)に、デフェリフェリクリシンと等モルの塩化第二鉄を加えてフェリクリシン溶液を作製した後、デフェリフェリクリシンの調整方法と同様の方法でフェリクリシン濃縮溶液を得た。調製された溶液をHPLC分析し、430nmの吸収を示す物質の大半がフェリクリシンであることを確認した。さらに、上記濃縮液を凍結乾燥処理することで60%(w/w)フェリクリシン含有粉末を得た。
【0036】
以下の実施例において、Dfcyはデフェリフェリクリシンを表し、Fcyはフェリクリシンを表す。
【実施例1】
【0037】
デフェリフェリクリシンのラット小腸虚血再灌流障害に対する効果
活性酸素が関与するとされる、虚血再灌流により惹起されるラット小腸粘膜障害モデルに対するDfcyの抗炎症作用について検討した。
Wistar系雄性ラットを18時間絶食した後、ウレタン麻酔下に正中開腹し、腹腔動脈根部を結紮し、同時に血管クリップで上腸間膜動脈の血流を遮断し、30分後クリップを取り除き、再灌流を行った。これにより、腸管虚血再灌流障害が惹起された。
【0038】
また、Dfcy水溶液、及びFcy水溶液は蒸留水で調製後、クリップで上腸間膜動脈の血流を遮断することにより腸管虚血を惹起する3時間前に経口投与した。Dfcy投与量は、10,30,100,300 mg/kgとし、Fcy投与量は100 mg/kgとした。虚血再灌流障害を与えなかった正常群、及び虚血再灌流障害を有するがDfcyもFcyも投与しないコントロール群には同量の蒸留水を投与した。再灌流60分後、大動脈より脱血屠殺し、小腸を摘出後、以下の項目について検討した。1群6匹のラットを使用した。
【0039】
傷害の程度を評価するため、小腸腔内漏出ヘモグロビン(Hb)量及び漏出蛋白量を測定した。また、小腸粘膜の脂質過酸化の指標として、粘膜内チオバルビツール酸(TBA)反応物質を測定した。好中球集積の指標として小腸粘膜内ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定した。また胃粘膜内の炎症性サイトカインとしてCINC-1をELISA法にて測定した。
【0040】
<小腸腔内漏出ヘモグロビン量及び漏出蛋白量の測定方法>
小腸腔内漏出ヘモグロビンおよび蛋白質量は定法により測定し、腸1cmあたりの漏出mgで評価した。
<粘膜内チオバルビツール酸反応物質量の測定方法>
腸粘膜内のチオバルビツール酸(TBARS)反応物質量、つまり脂質の過酸化指数はOhkawaらの方法(Ohkawa H, Ohnishi N, Yagi K. Assay for lipid peroxides for animal tissues by thiobarbituric acid reaction. Anal Biochem 1979; 95: 351-358)に従って測定した。すなわち、小腸を縦に切開し腸粘膜は二枚のスライドグラスを用いて掻き取った。粘膜組織は30mmolの塩化カリウムを含有する10mmol/Lのカリウム−リン酸緩衝液(pH 7.8)とともにホモジナイズした。粘膜ホモジネート中のTBARS量は1,1,3,3-テトラメトキシプロパンを標準物質として湿重量あたりのマロンジアルデヒドのnmol量で表した。
【0041】
<小腸粘膜内ミエロペルオキシダーゼ活性の測定方法>
小腸粘膜内ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性、つまり多形核白血球の蓄積指数はGrishamらの方法(Grisham MB, Hernandez LA, Granger DN. Xanthine oxidase and neutrophil infiltration in intestinal ischemia. Am J Phystol 1986; 251: G567-G574)を改変して測定した。すなわち2mlの粘膜ホモジネートを20,000g、15分、4℃で遠心分離し不溶性画分を回収した。沈殿は5g/Lのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを含む、等量の0.05mol/Lカリウム−リン酸緩衝液(pH 5.4)で再ホモジネートした。MPO活性は3,3’,5,5’-テトラメチルベンザイジンの過酸化水素依存的な酸化を測定することによって評価した。1酵素単位は25℃において655nmの吸光度を1分間に1上昇させるMPOの量として定義した。
【0042】
<CINC-1量の測定方法>
腸粘膜ホモジネート中の好中球活性化因子CINC-1量はELISAキット(株式会社 免疫生物研究所、群馬)を用い、説明書に従って測定した。各ウェルの490nmにおける吸光度はマイクロプレートリーダー(MPR-A4i;東ソー株式会社、東京)を用いて測定した。
【0043】
結果を以下の表2及び表3に示す。
【表2】

【表3】

【0044】
表2から分かるように、上腸間膜動脈の30分間虚血60分間再灌流により、小腸腔内漏出ヘモグロビン量及び漏出蛋白質量は顕著に増加し、虚血再灌流による小腸粘膜障害が認められた。また、Dfcyは濃度依存的に漏出ヘモグロビン量及び漏出蛋白質量の増加を抑制し、100mg/kg投与群及び300mg/kg投与群でコントロール群との間に増加の抑制について有意差が認められた。一方、Fcyの100mg/kg投与群はコントロール群に比べると、漏出ヘモグロビン量及び漏出蛋白質量がやや少なかったが、両群間に有意差は認められなかった。
また表3から分かるように、上腸間膜動脈の30分間虚血60分間再灌流により、粘膜内TBA反応物質、粘膜内MPO活性、及びCINC-1量は、対照群に比較し顕著な増加を示した。さらに、Dfcy投与によりTBA反応物質量、MPO活性、及びCINC-1の増加は抑制された。100mg/kg投与群及び300mg/kg投与群でコントロール群との間に増加の抑制について有意差が認められた。
表2及び表3より、Dfcyは、好中球浸潤、脂質過酸化の抑制、炎症性サイトカイン誘導抑制などの炎症作用により、小腸における虚血再灌流惹起性粘膜傷害を抑制することが分かる。
【実施例2】
【0045】
マウスデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)大腸炎におけるDfcyの効果
慢性炎症性腸疾患モデルの一つであるマウスDSS大腸炎モデルを用い、Dfcyの効果について検討した。
7週齢BALB/cマウス(雄)に対して分子量5000のDSSの8重量%水溶液を7日間自由摂取させることにより大腸炎を誘発させた。DfcyはDSS投与と同時に経口投与を始め、100mg/kg/dayの量を7日間連続して経口投与した。DSS投与しない正常マウスにはDSS水溶液に代えて蒸留水を自由摂取させた。また、DSS投与したがDfcyを投与しないコントロールマウスには8重量%DSS水溶液を自由摂取させたが、Dfcyは投与しなかった。各群10匹のマウスを用いた。
【0046】
大腸炎の程度を示す指標として大腸の長さを測定した。結果を以下の表4に示す。
【表4】

DSS投与によりマウス大腸は有意に短くなった。さらに、100mg/kg/dayのDfcy投与により腸管短縮の有意な改善が認められた。また、DSS惹起性大腸炎の臨床評価であるDAI(Disease activity index)を、体重変化、血便、下痢の程度により決定し、経時的に以下の表5に示した。
【表5】

【0047】
DSS投与7日目に、Dfcy100mg/kg/day投与により、DAIの上昇が有意に抑えられた。
また、DSS惹起性大腸炎の診断の指標の一つである体重の測定結果を以下の表6に示す。体重は、DSS投与日の体重を1とした場合の相対値で示した。
【表6】

【0048】
DSS投与7日目に体重は有意に減少したが、Dfcy100mg/kg/day投与により、体重の減少は有意に抑えられた。
以上より、Dfcyの100mg/kg/dayの経口投与により、DSS惹起性大腸炎を予防又は改善できることが分かる。
【実施例3】
【0049】
Dfcy及びFcyの抗酸化能の評価
以下の各試験において、活性酸素発生量をESR(電子スピン共鳴)装置を用いて測定した。ESR測定条件(装置ESR-JES-TE200:日本電子製)は、以下の通りである。
共鳴周波数:9.43GHz
出力:4.0mW
磁場変調:100kHz
観測磁場:338.5±5mT
測定時間:1分間
変調幅:0.1mT
増幅率:100(ヒドロキシラジカル消去能測定時)
160(スーパーオキサイド消去能測定時)
応答時間:0.1秒間
【0050】
(3-1)ヒドロキシラジカル(・OH)消去能
(i)→(v)の順でエッペンチューブ(1.5ml容)に溶液を加えた。濃度は終濃度を示す。
(i) 200μM DATAPAC/PBS 100μL (終濃度 100μM)
(ii) 500μM 硫酸鉄/大塚蒸留水 20μL (終濃度 50μM)
(iii)100mM DMPO/大塚蒸留水 20μL (終濃度 10mM)
(iv)Dfcy溶液・Fcy溶液/大塚蒸留水 40μL
(v)10mM H2O2/大塚蒸留水 20μL (終濃度 1mM)
全量200μLをESR測定用扁平セルに移し、(v)の溶液添加後、5分間以内に測定した。
【0051】
なお、DETAPAC(di-ethylene triamine penta acetic acid:ジエチレントリアミン5酢酸)は金属キレート剤であり、水溶液中の微量な遷移金属の影響を除去するために添加した。上記反応系では大塚蒸留水を使用しているが、pH調整のためにリン酸緩衝液を用いるため、微量な遷移金属が必ず混入する。混入した微量の遷移金属が活性酸素と直接反応したり、ヒドロキシラジカル系の過酸化水素やスーパーオキシド系の酵素と非特異的な反応を引き起こしたりする危険を回避するために100μM程度で存在させている。
また、DMPO(5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキサイド)は発生したラジカルをトラップするために使用される。活性酸素は極めて短寿命であることから、スピントラップ剤であるDMPOで補足する。
また、硫酸鉄は酸化促進剤として添加した。Dfcyは2価鉄イオンをキレートできないため、添加した硫酸鉄によりDfcyがFcyに変化することはない。
ESRの測定値に基づき、以下の式(A)によりDfcy又はFcyによるヒドロキシラジカル消去率を算出した。式(A)においてコントロールは、Dfcy溶液もFcy溶液も添加しない場合を指す。
ラジカル消去率=
テストサンプルのラジカル発生量/コントロールのラジカル発生量
・・・・・式(A)
【0052】
Fをラジカル消去率(%)とした時、横軸をDfcy又はFcy濃度とし、縦軸をF/(F-1)としたグラフを作成すると、一次曲線の関係が得られた(図示せず)。このことからDfcy及びFcyが濃度依存的にラジカル消去反応をしていることが分かった。この検量線から得られたIC50(ラジカルを50%消去する濃度(F=50%となる濃度))を以下の表7に示す。
【表7】

IC50は、Dfcyが0.0507%(w/v)であり、Fcyが0.1041%(w/v)であることから、FcyよりDfcyの方がラジカル消去能が高いことが分かる。
【0053】
(3-2)スーパーオキサイドアニオンラジカル(・O2-)消去能
(i)→(v)の順でエッペンチューブ(1.5ml容)に溶液を加えた。濃度は終濃度を示す。
(i)ヒポキサンチン/Delbecco’s PBS 2mM 50μL (終濃度500μM)
(ii) DETAPAC /Delbecco’s PBS 1.33mM 15μL (終濃度100μM)
(iii) DMPO/大塚蒸留水 原液(8.9M) 15μL (終濃度 667.5mM)
(iv)Dfcy溶液・Fcy溶液/2%DMF水溶液 各濃度(終濃度x2) 100μL
(v)XOD/Delbecco’s PBS 200U/ml 20μL (終濃度 20U/ml)
【0054】
活性酸素種を生産するキサンチンオキシダーゼ(XOD)添加後全量200μLをESR測定用扁平セルに移し、1分間後に測定開始した。
ESRの測定値から、式(A)に従い、Dfcy又はFcyによるスーパーオキサイドアニオンラジカル消去率を算出した。
Fをラジカル消去率(%)とした時、横軸をDfcy又はFcy濃度とし、縦軸をF/(F-1)としたグラフを作成すると、一次曲線の関係が得られた(図示せず)。このことからDfcy及びFcyが濃度依存的にラジカル消去反応をしていることが分かった。この検量線から得られたIC50(ラジカルを50%消去する濃度(F=50%となる濃度))を以下の表8に示す。
【0055】
【表8】

IC50は、Dfcyが0.3884%(w/v)であり、Fcyが0.6161%(w/v)であることから、FcyよりDfcyの方がラジカル消去能が高いことが分かる。
(3-3) DATAPAC非存在下でのヒドロキシラジカル(・OH)消去能
(i)→(v)の順でエッペンチューブ(1.5ml容)に溶液を加えた。濃度は終濃度を示す。
(i) Dfcy溶液・Fcy溶液/PBS 100μL (終濃度0.5%又は1%で評価)
(ii)500μM 硫酸鉄/大塚蒸留水 20μL (終濃度 50μM)
(iii)100mM DMPO/大塚蒸留水 20μL (終濃度 10mM)
(iv)大塚蒸留水 40μL
(v)10mM H2O2/大塚蒸留水 20μL (終濃度 1mM)
【0056】
全量200μLをESR測定用扁平セルに移し、(v)の溶液添加後、5分間以内に測定した。
測定されたシグナルの最大強度を表9に示す。DfcyもFcyも添加しなかったコントロールのシグナルの最大強度は約13であった。Dfcy及びFcyはESRのシグナルをコントロールに比べて減少させた。このことから、Dfcy及びFcyはヒドロキシラジカル消去能を有することが分かる。また、シグナル強度の減少の大きさより、Dfcyの方がFcyよりもヒドロキシラジカル消去能が高いことが分かった。
【0057】
【表9】

【実施例4】
【0058】
Dfcyの過酸化脂質生成抑制作用の評価
(i)→(vi)の順でエッペンチューブ(1.5ml容)に溶液を加えた。
(i)蒸留水 0.22ml
(ii) 0.5M リン酸バッファー(pH7.0)0.5ml
(iii) 7% リノール酸(V/V)メタノール溶液 0.01ml
(iv)テストサンプル メタノール溶液0.01ml
(v) 10mM 硫酸鉄水溶液 0.01ml
(vi) 70mM アスコルビン酸水溶液 0.01ml
よく混和し、60℃で24時間保温する。
これに以下の溶液を加えた。
(vii) 25%TCA 1ml
(viii) 0.67% チオバルビルツール酸 2 ml
沸騰水浴中で15分加熱
(ix)n-ブタノール2 ml
【0059】
よく攪拌した後、3500rpmで15分間遠心分離を行い、上清の532nmの吸光度を測定した。テストサンプルはDfcy 5mM、10mMおよび20mMのメタノール溶液を作成し、添加した。
過酸化脂質の生成の抑制率は、下記の式(B)により算出した。式(B)において、ブランク1は(リノール酸を添加しないときの値)を指し、ブランク2は(硫酸鉄およびアスコルビン酸を添加しないときの値)を指す。

過酸化脂質生成抑制率=(100-A532テストサンプル)/
(A532コントロール−A532ブランク1−A532ブランク2)
・・・・・式(B)
結果を図1に示す。Dfcyは非常に強い過酸化脂質生成抑制作用を示し、その作用は濃度依存的であった。
【実施例5】
【0060】
Dfcyの過酸化脂質生成抑制作用の評価
Dfcyの過酸化脂質生成抑制作用を抗酸化作用を有する既知の物質と比較した。具体的には、実施例4において、(i)〜(vi)に加えて被験物質の各15mg/mlのメタノール溶液を添加した他は、実施例4と同様の操作を行った。被験物質としては、ラクトフェリン、α-トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、及びDfcyを用いた。過酸化脂質の生成の抑制率は、実施例4と同様にして算出した。結果を図2に示す。Dfcyの過酸化脂質生成抑制作用は、食品用抗酸化剤として汎用されているαトコフェロールやブチルヒドロキシトルエンと同程度であり、同じ鉄キレートタンパク質であるラクトフェリンより強かった。
【0061】
処方例
以下に、本発明の抗炎症剤、抗酸化剤の処方例を示す。
食品組成物
<処方例1 クッキー>
小麦粉(薄力粉)100g、ベーキングパウダー2.5g、食塩1.5g、デフェリフェリクリシン200mgを混合し、これにバター40gとミルク50gを加え、これをオーブンで180℃、10分間焼き上げ、シデロフォア強化クッキーを得た。得られたクッキーには、デフェリフェリクリシンが1.5mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0062】
<処方例2 ゼリー>
ゼラチン5g、ショ糖20g、水50gから膨潤ゼラチンを作る。プレーンヨーグルト140gにデフェリフェリクリシン160mgを加え、上記膨潤ゼラチンを加えて冷やす。これを固めてシデロフォア強化ゼリーを得た。得られたゼリーには、デフェリフェリクリシンが0.75mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0063】
<処方例3 飴>
上白糖500g、水飴440gを少量の水に溶解し、さらにデフェリフェリクリシン4gを添加して減圧下130℃で煮詰めた。その後、クエン酸3.5g、酒石酸1.5g、脱脂卵黄蛋白分解物1gを添加した。これを冷却してシデロフォア強化飴を得た。得られた飴には、デフェリフェリクリシンが5mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0064】
<処方例4 アイスクリーム>
牛乳1200g、生クリーム310g、上白糖300g、脱脂粉乳60g、脱脂卵黄蛋白分解物1g、増粘安定剤6g、デフェリフェリクリシン800mgに水を加えて全量2000mlにして溶解した。これを80℃まで加熱した後、ホモミキサーで予備乳化し、引き続きホモゲナイズした。冷却し熟成させた後バニラエッセンス2gを加えフリージングを行った。その後−40℃まで急冷してシデロフォア強化アイスクリームを得た。得られたアイスクリームには、デフェリフェリクリシンが0.4mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0065】
<処方例5 羊羹>
糸寒天7.5gを溶かし、これに小豆漉し餡660g、グラニュー糖300g、水550ml、デフェリフェリクリシン2gを混ぜて溶かして煮詰め、冷やしてシデロフォア強化羊羹を得た。得られた羊羹には、デフェリフェリクリシンが2mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0066】
<処方例6 ヨーグルト>
20%脱脂乳を120℃で、3秒間殺菌した後、ストレプトコッカス・サーモフィルス及びラクトバチルス・カゼイの種菌を培養してヨーグルトベース400gを得た。さらに、砂糖70g、ペクチン3g、デフェリフェリクリシン800mgを水に溶解させ、水を加え全量を600gとした。この溶液を120℃で、3秒間殺菌してシロップを得た。上記のヨーグルトベースとシロップを混合し、香料を1g添加した後、均質化して、シデロフォア強化ヨーグルトを得た。得られたヨーグルトには、デフェリフェリクリシンが0.8mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0067】
<処方例7 牛乳>
牛乳100mlにデフェリフェリクリシン40mgを入れてよく撹拌し、シデロフォア強化牛乳を得た。得られた牛乳には、デフェリフェリクリシンが0.4mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0068】
<処方例8 チョコレート>
カカオマス25g、カカオバター15g、全脂粉乳15g、粉砂糖30g、粉ミルク15gとデフェリフェリクリシン250mgを混和し、45℃で暖めた後に冷却し、シデロフォア強化チョコレートを得た。得られたチョコレートには、デフェリフェリクリシンが2.5mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0069】
<処方例9 マヨネーズ>
卵黄20gに食塩2.5g、蔗糖1.5g、マスタード1.5g、胡椒0.1g、レモン汁5g、デフェリフェリクリシン3.2gを加え、これに酢10gとサラダ油160gとを加えてよく攪拌してシデロフォア強化マヨネーズを得た。得られたマヨネーズには、デフェリフェリクリシンが16mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0070】
<処方例10 ケチャップ>
トマト1kgを皮をむいてミキサーにかけ、加熱して煮詰めた後、すりおろしたタマネギ10g、ニンニク3gを加え、さらに砂糖10g、塩2g、デフェリフェリクリシン4.8gを加える。弱火にして香辛料(シナモンスティック、クローブ、胡椒、唐辛子)1g、酢を30g加え、一度加熱した後、冷ましてシデロフォア強化ケチャップを得た。得られたケチャップには、デフェリフェリクリシンが16mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0071】
<処方例11 カレールウ>
小麦粉(薄力粉)125g、バター100g、カレー粉20gとデフェリフェリクリシン1.0gに、少量の水を加えて混和し、固めてシデロフォア強化カレールウを得た。得られたカレールウには、デフェリフェリクリシンが4mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0072】
<処方例12 蒲鉾>
魚のすり身100g、粉末マッシュポテト10g、小麦粉5g、卵白50g、塩2g、砂糖0.2g、みりん10g、デフェリフェリクリシン1.3gを加え、これらを混ぜてペースト状にし、蒸し器で蒸してシデロフォア強化蒲鉾を得た。得られた蒲鉾には、デフェリフェリクリシンが7mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0073】
<処方例13 佃煮>
戻した昆布25g、かつおだし150ml、砂糖15g、醤油15g、酢10g、デフェリフェリクリシン400mgを混合し、沸騰させてから中火で煮詰めてシデロフォア強化佃煮を得た。得られた佃煮には、デフェリフェリクリシンが5mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0074】
<処方例14 ふりかけ>
いりごま15g、味付けごま20g、味付け削り節10g、味付けかつお塩顆粒10g、味付けのり顆粒10g、デフェリフェリクリシン1.6gをよく混合して、シデロフォア強化ふりかけを得た。得られたふりかけには、デフェリフェリクリシンが25mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0075】
<処方例15 米飯>
白米150g、水220gとデフェリフェリクリシン160mgを混合し、炊飯器で炊き上げ、シデロフォア強化米飯を得た。得られた米飯には、デフェリフェリクリシンが0.5mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0076】
<処方例16 うどん麺>
水400g、塩50gを混合して塩を溶かし、これに小麦粉(中力粉)1000g、デフェリフェリクリシン1.6gを混ぜ、よくこねる。固まったらこれをよく伸ばし、5mm幅に切る。これを10分茹でて、その後冷やしてシデロフォア強化うどん麺を得た。得られたうどん麺には、デフェリフェリクリシンが3mg/g含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0077】
<処方例17 清酒>
清酒100mlにデフェリフェリクリシン20mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化清酒を得た。得られた清酒には、デフェリフェリクリシンが0.2mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0078】
<処方例18 焼酎>
焼酎100mlにデフェリフェリクリシン40mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化焼酎を得た。得られた焼酎には、デフェリフェリクリシンが0.4mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0079】
<処方例19 ワイン>
ワイン100mlにデフェリフェリクリシン20mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化ワインを得た。得られたワインには、デフェリフェリクリシンが0.2mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0080】
<処方例20 ビール>
ビール100mlにデフェリフェリクリシン12mgを加え、撹拌してシデロフォア強化ビールを得た。得られたビールには、デフェリフェリクリシンが0.12mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0081】
<処方例21 ウィスキー>
ウィスキー100mlにデフェリフェリクリシン100mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化ウィスキーを得た。得られたウィスキーには、デフェリフェリクリシンが1mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0082】
<処方例22 ブランデー>
ブランデー100mlにデフェリフェリクリシン100mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化ブランデーを得た。得られたブランデーには、デフェリフェリクリシンが1mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0083】
<処方例23 スピリッツ>
スピリッツ100mlにデフェリフェリクリシン100mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化スピリッツを得た。得られたスピリッツには、デフェリフェリクリシンが1mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0084】
<処方例24 リキュール>
リキュ−ル100mlにデフェリフェリクリシン100mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化リキュールを得た。得られたリキュールには、デフェリフェリクリシンが1mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0085】
<処方例25 みりん>
みりん100mlにデフェリフェリクリシン400mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化みりんを得た。得られたみりんには、デフェリフェリクリシンが4mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0086】
<処方例26 茶>
お茶100mlにデフェリフェリクリシン40mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化茶を得た。得られた茶には、デフェリフェリクリシンが0.4mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0087】
<処方例27 コーヒー>
コーヒー100mlにデフェリフェリクリシン40mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化コーヒーを得た。得られたコーヒーには、デフェリフェリクリシンが0.4mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0088】
<処方例28 スポーツドリンク>
水100ml、果糖5g、ショ糖2g、クエン酸0.3g、ナトリウム20mg、カルシウム2mg、カリウム20mg、アルギニン20mg、イソロイシン10mg、バリン10mg、ロイシン10mg、ビタミンC100mg、β-カロチン1mgにデフェリフェリクリシン15mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化スポーツドリンクを得た。得られたスポーツドリンクには、デフェリフェリクリシンが0.15mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0089】
<処方例29 清涼飲料水>
バレンシアオレンジ果汁30ml、レモン果汁3ml、果糖1.5g、クエン酸0.5g、ビタミンC0.1g、デフェリフェリクリシン15mgを加え、これに水を加えて100mlとし、よく撹拌した後に炭酸ガスを封入し、シデロフォア強化清涼飲料水を得た。得られた清涼飲料水には、デフェリフェリクリシンが0.15mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0090】
<処方例30 スープ>
ポタージュスープ100mlにデフェリフェリクリシン40mgを加え、よく撹拌してシデロフォア強化スープを得た。得られたスープには、デフェリフェリクリシンが0.4mg/ml含まれていた。これは抗炎症剤、抗酸化剤として用いることができる。
【0091】
医薬組成物
<処方例31 錠剤>
デフェリフェリクリシン20gとバレイショデンプン50g、アルギン酸ナトリウム10g、カルボキシメチルセルロース10gを混合し、100錠を造粒し、10gのステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、打錠して、抗炎症剤、抗酸化剤の錠剤を得た。
【0092】
<処方例32 散剤>
デフェリフェリクリシン20gとバレイショデンプン100gを混合して、これにアルギン酸ナトリウム10gを加え、造粒してほぼ均一な大きさの小粒とした後にこれを乾燥させ、抗炎症剤、抗酸化剤の散剤を得た。
【0093】
<処方例33 シロップ剤>
安息香酸ナトリウム0.7gに精製水1000mlを加えて安息香酸ナトリウムを溶解させ、白糖700gを加えて溶解させた。これにデフェリフェリクリシン20gを加えて混合し、さらに酒石酸20gを加えて混合して抗炎症剤、抗酸化剤のシロップ剤を得た。
【0094】
<処方例34 注射剤>
デフェリフェリクリシン1000mgとプロピレングリコール0.1ml、ポリエチレングリコール0.1ml、ベンジルアルコール0.1mlを日本薬局方に規定された注射用水50mlに溶解させ、濾過後、アンプルに充填して密封し、滅菌して抗炎症剤、抗酸化剤の注射剤を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分がデフェリフェリクリシンである抗酸化剤。
【請求項2】
デフェリフェリクリシンを飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬からなる群より選ばれる物質に添加する工程を含む、酸化が抑制された物質の製造方法。
【請求項3】
デフェリフェリクリシンを、飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬からなる群より選ばれる物質に対して、0.02〜0.2重量%添加する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
デフェリフェリクリシンを飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬からなる群より選ばれる物質に添加する工程を含む、物質の酸化抑制方法。
【請求項5】
デフェリフェリクリシンを、飲食品、化粧品、医薬品、及び試薬からなる群より選ばれる物質に対して、0.02〜0.2重量%添加する、請求項4に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−162566(P2012−162566A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113942(P2012−113942)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【分割の表示】特願2007−35974(P2007−35974)の分割
【原出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000165251)月桂冠株式会社 (88)
【Fターム(参考)】