説明

抗癌剤としての6−アリール−7−ハロ−イミダゾ[1,2−a]ピリミジン類

本発明は、ある種の6−アリール−7−ハロ−イミダゾ[1,2−a]ピリミジンまたはその医薬的に許容される塩、および前記化合物またはその医薬的に許容される塩を含有する組成物に関し、ここにおいて、前記化合物は微小管重合の促進により哺乳動物における癌の治療に有用な抗癌剤である。本発明はさらに、哺乳動物における癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法に関し、さらに、それを必要とする哺乳動物において、多剤耐性(MDR)を発現するか、またはMDRのために耐性である癌性腫瘍を治療または予防する方法であって、前記哺乳動物に有効量の前記化合物またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、6−アリール−7−ハロ−イミダゾ[1,2−a]ピリミジン化合物またはその医薬的に許容される塩、および該化合物を含有する組成物に関し、該化合物は哺乳動物における癌の治療に有用な抗癌剤である。本発明の化合物は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である癌性腫瘍の治療または予防に有用である。さらに、本発明の化合物は、微小管重合の促進により、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害するために有用である。
【0002】
(背景技術)
DNAは化学療法用治療薬の開発の第一の標的であることから、今日用いられている細胞増殖抑制剤の大部分は、DNAの生合成に必須の前駆体の形成を阻害するか、またはDNAポリメラーゼを遮断するか、またはDNAのテンプレート機能を妨害する。残念なことに、DNAの生合成に必須の前駆体の形成の阻害またはDNAポリメラーゼの遮断またはDNAのテンプレート機能の妨害は正常な組織にも影響を与える。
微小管阻害剤は抗癌剤の重要な種類である(Rowinsky,E.K.,and Tolcher,A.W.Antimicrotubule agents.In:V.T. Devita,Jr.,S.Hellman,and S.A. Rosenberg(eds.),Cancer Principles and Practice,Ed. 6,pp.431−452.Philadelphia:Lippincott Williams and Wilkins,2001)。これらは、細胞微小管、特に紡錘体の機能を妨害することにより作用する。正常な紡錘体機能の破壊は、アポトーシス細胞死につながる。
【0003】
現在、3つの主な種類の微小管阻害剤が知られている。それぞれβ−チューブリン上に異なる結合領域を有し、微小管機能に対して異なる作用を及ぼす。これらの種類は、1)微小管形成を促進し、微小管を安定化させるタキサン部位剤;2)微小管を不安定化させ、しばしば異常なポリマーの形成を誘発するか、または高濃度で凝集するビンカ/ペプチド部位剤;および3)微小管を不安定化させ、一般に他のポリマーを誘発しないコルヒチン部位剤である(Hamel,E.Antimitotic natural products and their interactions with tubulin.Med.Res.Rev.,16:207−231,1996)。3種の部位全てについてのリガンドのほとんどが天然物であるか、または天然物の半合成誘導体である。
【0004】
パクリタキセルおよびその半合成誘導体のドセタキセル(Taxotere(登録商標))は微小管形成を妨害し、微小管を安定化する。パクリタキセル(Taxol(登録商標))は、ウェスタン(パシフィック)イチイ(Taxus brevifolia)の樹皮から単離されたジテルペンであり、タキサン環系を有する新しい種類の治療薬の代表である。これはさらに、東カナダのガスペシアにおいて見られるカナダのイチイ(Taxus canadensis)およびヨーロッパにおいて見られるヨーロッパイチイ(Taxus baccata)を含むイチイ科の他のメンバー(その針状葉はパクリタキセルおよび類似体を含有し、それゆえパクリタキセルおよび誘導体の再生可能資源を提供する)に見出される。粗抽出物は1960年代に初めて試験され、その有効成分は1971年に単離され、化学構造が同定された(M.C.Wani et al.,J.Am.Chem.Soc.、93、2325(1971))。さらに、黒色腫細胞、白血病、様々な癌腫、肉腫および非ホジキンリンパ腫ならびに動物における多数の充実性腫瘍に対する広範囲な活性がさらなる試験により示された。パクリタキセルおよびその類似体は、イチイの針状葉および小枝から得られる前駆体である10−デアセチルバッカチンIIIから部分合成により、また、全合成(Holton et al.,J.Am.Chem.Soc.,116:1597−1601(1994)およびNicolaou et al.,Nature,367:630−634(1994))により製造されている。パクリタキセルは、抗悪性腫瘍活性を有することが立証されている。つい最近、パクリタキセルの抗腫瘍活性は微小管重合の促進によることが示された(Kumar,N.,J.Biol.Chem.256:10435−10441(1981);Rowinsky et al.,J.Natl.Cancer Inst.,82:1247−1259(1990);およびSchiff et al.,Nature,277:665−667(1979))。パクリタキセルは、現在、臨床試験において数種類のヒト腫瘍において効力が立証されている(McGuire et al.,Ann.Int.Med.,111:273−279(1989);Holmes et al.,J.Natl.Cancer Inst.,83:1797−1805(1991);Kohn et al.,J.Natl.Cancer Inst.,86:18−24(1994);およびA.Bicker et al.,Anti−Cancer Drugs,4,141−148(1993))。
【0005】
2種のタキサン部位剤(パクリタキセルおよびドセタキセル)および3種のビンカ/ペプチド部位剤(ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)は様々なヒトの癌を治療するために臨床的に使用される。タキサンは、充実性腫瘍(例えば、肺、乳房、卵巣)に対してビンカアルカロイドよりも有用であることが証明されており、このことは、微小管形成を促進する薬物は、微小管を不安定化させるものよりも臨床的に優れていることを示す。コルヒチン部位剤は治療的に用いられない。
パクリタキセルおよびドセタキセルは幅広く臨床的に使用されているにもかかわらず、これらの薬物はいくつかの制限を有し、このことにより改善された薬物が必要とされる。まず、多くの腫瘍は本質的に耐性(例えば、直腸腫瘍)であるか、または、少なくとも一部は、薬物を細胞からくみ出し、これによりその有効性を低下させる、癌細胞膜中に位置する薬物トランスポーターの発現のために、複数回の治療サイクル後に耐性になる(Gottesman,M.M.Mechanisms of cancer drug resistance.Annu.Rev.Med.,53:615−627,2002)。これらのトランスポーターのうち最も良く知られているのはP−糖タンパク質である。従って、P−糖タンパク質の基質または他のこのようなポンプでなく、従って患者におけるこのタキサン耐性の原因を克服する、微小管重合に対してタキサン様効果を有する新規薬物が必要とされる。
【0006】
第二に、パクリタキセルおよびドセタキセルは水溶性が低く、パクリタキセルは、重篤な過敏性反応を誘発するビヒクルであるCremophor EL中に配合しなければならない(Li、C.L.、Newman,R.A.、およびWallace,S.Reformulating paclitaxel.Science & Medicine,Jan/Feb:38−47,1999)。患者は典型的には、これらの毒性を最小に抑えるために、パクリタキセルの投与前に、コルチコステロイドおよび抗ヒスタミン薬であらかじめ薬物処置される。従って、水溶性が高く、生理食塩水または他の好適な非毒性ビヒクル中で投与することができる微小管重合に対してタキサン様効果を有する新規薬物が必要とされている。
【0007】
第三に、パクリタキセルは非常に複雑な構造を有する天然物であり、ドセタキセルは密接に関連した半合成誘導体である。従って、合成により容易に入手可能であり、タキサンと構造的に異なり、微小管重合に対してタキサン様効果を有する化合物が必要とされる。
従って、当該分野において癌の治療において用いられる細胞毒性薬が必要とされている。特に、パクリタキセルと同様の作用を有し、かつ微小管形成の過程を妨害する、腫瘍の増殖を阻害または治療する細胞毒性薬が必要とされている。さらに、当該分野では、チューブリン重合を促進し、組み立てられた微小管を安定化する薬物が必要とされる。
【0008】
さらに、パクリタキセル様抗癌活性を有する化合物を投与することにより、哺乳動物において細胞増殖、腫瘍性増殖および悪性腫瘍増殖を治療または阻害する方法を提供する新規化合物を提供することが有益である。
さらに、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である癌性腫瘍の増殖を治療または阻害する方法を提供する新規化合物を提供することは有益である。
さらに、化学療法剤、特に有糸分裂阻害剤に対して先天的または後天的耐性をもつ哺乳動物における癌性腫瘍の増殖を治療または阻害する方法を提供する新規化合物を提供することは有益である。
【0009】
農業における殺真菌剤としての置換トリアゾロピリミジン類の調製および使用は当該分野で記載されており、米国特許:第5,593,996号;第5,756,509号;第5,948,783号;第5,981,534号;第5,612,345号;第5,994,360号;第6,020,338号;第5,985,883号;第5,854,252号;第5,808,066号;第5,817,663号;第5,955,252号;第5,965,561号;第5,986,135号;および第5,750,766号;第6,117,865号;第6,117,876号;第6,124,301号;第6,204,269号;第6,255,309号;第6,268,371号;第6,277,856号;第6,284,762号;第6,297,251号;第6,387,848号;米国特許出願公開番号US2002/0045631A1;US2002/0061882A1;US20030055069A1および国際公開番号:WO98/46607;WO98/46608;WO99/48893;WO99/41255;WO00/18227;WO01/35738A2;WO02/46195A1;WO02/067679A1;WO02/083676A1;EP 0 834513A2;EP 0 782997A2;EP 0 550113B1;FR2784381A1;EP 0 989130A1;WO98/41496;WO94/20501;EP 0 945453A1;EP 0 562615A1;EP 0 562615B1;EP 0 550113A2;EP 0 943241B1;EP 0 988790 B1に開示され、次の一般式:
【化1】

を有する。
【0010】
WO02/02563A2に記載されている構造式:
【化2】

を有する抗癌剤としてのトリアゾロピリミジン類の使用も公知である。
6位にフェニル置換を有さない5,7−ジヒドロキシイミダゾ[1,2−a]ピリミジンは公知である(R.P.Rao et al.,J.Het.Chem.1021(1973))。6位にフェニル置換を有さない5,7−ジクロロイミダゾ[1,2−a]ピリミジンも公知である(G.R.Revankar et al.,J.Med.Chem.18,1253(1975))。
EP 0,770,615は、式:
【化3】


(式中:
は塩素または臭素である;
Rは置換されていてもよいフェニルである;
X、Y、およびZはCRまたはNである)
のジハロアゾロピリミジン類の合成法を提供し、さらに、構造式:
【化4】

を有する5,7−ジヒドロキシ−6−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)ベンゾイミダゾピリジンの合成を記載している。
【0011】
日本特許公開2001−043978に記載されているのは、一般構造式:
【化5】

により表されるジアザインドリジン類であり、ここで、該化合物は電界発光素子として有用である。
WO03/022850A1に記載されているのは、下記一般式:
【化6】

により表されるイミダゾ[1,2−a]ピリミジン類であり、ここで該化合物は抗真菌剤として有用である。
【0012】
本発明の化合物は、前記の必要性を満たし、従来公知の微小管阻害化合物と有意に異なる新種のタキサン様薬物である。本発明の化合物は、β−チューブリンのビンカ部位で結合するが、これらはそれでもタキサンに類似した多くの性質を有し、ビンカ部位剤と異なる。特に、本発明の化合物は、低い化合物:チューブリンモル比でGTPの存在下、パクリタキセルおよびドセタキセルと同様に微小管関連タンパク質(MAP)が豊富なチューブリンの重合を増強させる。本発明の化合物の代表例はまた、GTPの不在下で、適当な実験条件下、高度に精製されたチューブリンの重合、タキサンの顕著な特徴である活性を誘発する。本発明の化合物は、膜トランスポーターMDR(P−糖タンパク質)、MRP、およびMXRを過剰発現する系を含む培養物における多くのヒト癌細胞系について潜在的に細胞毒性であり、かくしてこれらをパクリタキセルおよびビンクリスチンに耐性である細胞系に対して活性にする。
【0013】
(発明の概要)
本発明に従って、式(I):
【化7】

(式中、
は、
【化8】

およびC−Cシクロアルキルから選択される;
は式:
【化9】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はH、またはC−Cアルキルである;
およびRは、所望により一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、C−Cアルキルで置換されていてもよい6〜8員飽和複素環を形成する;
はH、C−CアルキルまたはC−Cフルオロアルキルである;
Yは式:−O(CHQの部分である;
nは2、3または4の整数である;
Qは−OH、または−NRである;
およびRは独立して、HまたはC−Cアルキルである;
およびRは、所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立して、H、F、Cl、BrまたはCFである;
XはClまたはBrである)
により表される化合物またはその医薬的に許容される塩が提供される。
【0014】
本発明の好ましい具体例は、式(Ia):
【化10】

の化合物またはその医薬的に許容される塩である。
本発明の好ましい具体例は、式(Ib):
【化11】

の化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0015】
本発明のさらに好ましい具体例は、Rが式:
【化12】

の部分である式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0016】
医薬的に許容される塩を包含する式(Ia)の本発明の化合物のさらに好ましい群には、Rが:
【化13】

であり;
nが3であり;
XがClまたはBrであり;
Yが式:−O−(CHOの部分であり;
がHまたはメチルであり;
がHであり;
Qが−NRであり;
がCFであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがFであり;
およびLがHであるもの、またはその医薬的に許容される塩が含まれる。
【0017】
医薬的に許容される塩を包含する式(Ib)の本発明のさらに好ましい化合物の群には、以下のサブグループa)およびb)から選択されるものが含まれる:
a)Rが:
【化14】

であり;
nが3であり;
XがClまたはBrであり;
Yが式:−O−(CHOの部分であり;
がHまたはメチルであり;
がHであり;
Qが−NRであり;
がCFであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがFであり;
およびLがHであるもの、またはその医薬的に許容される塩、および
b)Rが:
【化15】

であり;
nが3であり;
XがClであり;
Yが式:−O−(CHOの部分であり;
Qが−NRであり;
がHであり;
がメチルであり;
がHまたはメチルであり;
およびLがFであり;
およびLがHであるもの、またはその医薬的に許容される塩。
【0018】
医薬的に許容される塩を包含する式(I)の本発明の好ましい化合物は、RがC−Cシクロアルキルであるものである。
医薬的に許容される塩を包含する式(I)の本発明の好ましい化合物の群には、以下のサブグループが含まれる:
がC−Cシクロアルキルであり;
が:
【化16】

であり;
nが3であり;
XがClであり;
Yが式:−O−(CHOの部分であり;
Qが−NRであり;
がメチルであり;
がHまたはメチルであり;
およびLがFであり;
およびLがHであるもの、またはその医薬的に許容される塩。
【0019】
医薬的に許容される塩を包含する式(Ia)の本発明の化合物の最も好ましい群には、以下の群のものが含まれる:
が:
【化17】

であり;
XがClであり;
nが3であり;
Yが−O−(CHOであり;
Qが−NRであり;
がHまたはメチルであり;
がHであり;
がCFであり;
がメチルであり;
がHまたはメチルであり;
およびLがFであり;
およびLがHであるもの、またはその医薬的に許容される塩。
【0020】
定義
本明細書において用いられる場合、「アルキル」なる用語は、単独または組み合わせにおいて、1〜3個、好ましくは1〜2個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルキルラジカルを意味する。かかるラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルなどが挙げられる。
フルオロアルキルは、3個までの炭素原子を有するアルキル基であって、各水素が独立してフッ素原子により置換されていてもよいものを意味する。
アルカリ金属水素化物なる用語には、水素化リチウム、カリウムまたはナトリウムが含まれる。
アルカリ金属水酸化物なる用語には、水酸化リチウム、カリウムまたはナトリウムが含まれる。
アルカリ金属炭酸塩なる用語には、炭酸リチウム、カリウムまたはナトリウムが含まれる。
本明細書において用いられるフェニルは、6員芳香族炭素環を包含する。
【0021】
本明細書において用いられるシクロアルキルとは、C−Cアルキルで置換されていてもよい、6〜8個の炭素原子を有する飽和単環式炭素環を意味する。非制限的代表例としては、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
本明細書において用いられる場合、飽和複素環は、C−Cアルキルで置換されていてもよい、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有する4〜6員環である。非制限的代表例としては、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、およびアゼチジンが挙げられる。
本明細書において用いられるt−BOCなる用語は、tert−ブトキシカルボニルを意味する。
キラル中心を有する式(I)の化合物の(R)および(S)異性体およびそのラセミ化合物は本発明の範囲に含まれる。
【0022】
本発明は、式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩の有効量を投与することにより、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法を提供する。
本発明は、微小管重合の促進によりチューブリンおよび微小管と相互作用させることにより、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、該哺乳動物に式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法も提供する。
本発明はさらに、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防するための方法であって、該哺乳動物にかかる化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法も提供する。
【0023】
本発明はさらに、チューブリン含有系においてチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法も提供する。
さらに、本発明はチューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する。
さらに、本発明は、少なくとも1種の化学療法剤に対して耐性である腫瘍の増殖の治療もしくは阻害または該腫瘍の根絶を必要とする哺乳動物において該腫瘍の増殖を治療もしくは阻害するかまたは該腫瘍を根絶する方法であって、該哺乳動物に式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
さらに、本発明は、医薬的に許容される担体と組み合わせるかまたは該担体を付随する式(I)の化合物を提供する。特に、本発明は、式(I)の化合物および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、少なくとも1種の化学療法剤に対して耐性である腫瘍の増殖の治療もしくは阻害または該腫瘍の根絶を必要とする哺乳動物において該腫瘍の増殖を治療もしくは阻害するかまたは該腫瘍を根絶する方法であって、該哺乳動物に式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0024】
本発明の化合物は不斉炭素原子を含有することができ、本発明の化合物には1以上の不斉中心を含むものがあり、したがって立体異性体、例えばエナンチオマーおよびジアステレオマーを生じるものがある。本発明の立体異性体はカーン−インゴールド−プレログ方式に従って命名される。式(I)においては立体化学を考慮せずに示したが、本発明は個々の可能な立体異性体のすべて、ならびにRおよびS立体異性体のラセミ混合物および他の混合物(等しくない量のエナンチオマーの混合物であるスケールミック混合物)およびその医薬的に許容される塩を含む。キラル中心を有する一般式(I)の化合物の(R)および(S)異性体およびそのラセミ化合物は本発明の範囲に含まれる。本発明は、他の立体異性体を含まないか、任意の割合で他の立体異性体と混合されているかに関係なく化合物のすべての立体異性体を包含し、従って、例えばエナンチオマーのラセミ混合物ならびに異性体のジアステレオマー混合物を含む。いずれもの化合物の絶対配置は、慣用のX線結晶学により決定することができる。
光学異性体は標準的分離技術またはエナンチオマー特異的合成法により純粋な形態で得ることができる。
【0025】
特に好ましいのは、(S)配置を有する、Rが:
【化18】

の部分である式(I)の異性体である。
【0026】
特に好ましい式(I)の本発明の化合物は、以下の群から選択される化合物またはその医薬的に許容される塩である:
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘプチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン、
7−クロロ−6−{4−[4−(ジメチルアミノ)ブトキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
N−{3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘキシルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]プロピル}−N,N−ジメチルアミン、
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0027】
特に好ましい式(Ia)の本発明の化合物は、以下の群から選択される化合物またはその医薬的に許容される塩である:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0028】
特に好ましい式(Ib)の本発明の化合物は、以下の群から選択される化合物またはその医薬的に許容される塩である:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0029】
癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、式(II):
【化19】

(式中、

【化20】

およびC−Cシクロアルキルから選択される;
は式:
【化21】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はH、またはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望により一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、C−Cアルキルで置換されていてもよい6〜8員飽和複素環を形成する;
はH、C−CアルキルまたはC−Cフルオロアルキルである;
YはH、F、Clまたは式:−O(CHQの部分である;
nは2、3または4の整数である;
Qは−OH、または−NRである;
およびRは独立して、H、またはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立して、H、F、Cl、BrまたはCFである;
XはClまたはBrである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法もまた提供される。
【0030】
本発明の好ましい実施態様は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、式(IIa):
【化22】

の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
本発明の好ましい具体例は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、式(IIb):
【化23】

の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施態様は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、RがC−Cシクロアルキルである式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
本発明のさらに好ましい実施態様は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、Rが式:
【化24】

の部分である式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施態様は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、医薬的に許容される塩を含む式(II):
(式中、
は:
【化25】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はHである;
はC−Cフルオロアルキルである;
YはF、または−O(CHQの部分である;
nは3である;
Qは−NRである;
およびRはそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になる場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、所望によりRで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
およびLはそれぞれFである;
およびLはそれぞれHである;
XはClである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0033】
本発明のさらに好ましい実施態様は、癌性腫瘍の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、医薬的に許容される塩を含む式(IIa):
(式中、
は:
【化26】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はHである;
はC−Cフルオロアルキルである;
YはF、または−O(CHQの部分である;
nは3である;
Qは−NRである;
およびRはそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
およびLはそれぞれFである;
およびLはそれぞれHである;
XはClである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施態様は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、
がC−Cシクロアルキルであり;
が:
【化27】

の部分であり;
YがF、または−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を含む式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0035】
本発明のさらに好ましい実施態様は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、
が:
【化28】

の部分であり;
がH、またはC−Cアルキルであり;
がHであり;
がC−Cフルオロアルキルであり;
YがF、または−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を含む式(IIb)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0036】
本発明の特定の実施態様は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、次の群から選択される化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する:
5−アゼパン−1−イル−7−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−5−ピペリジン−1−イル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
7−クロロ−5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘプチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン、
7−クロロ−6−{4−[4−(ジメチルアミノ)ブトキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
N−{3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘキシルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]プロピル}−N,N−ジメチルアミン、
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−(−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0037】
本発明の特定の実施態様は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、次の群から選択される式(IIa)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0038】
本発明の特定の実施態様は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、次の群から選択される式(IIb)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0039】
さらに、チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を式(II):
【化29】

(式中:
は:
【化30】

およびC−Cシクロアルキルから選択される;
は式:
【化31】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はH、またはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望により一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、C−Cアルキルで置換されていてもよい6〜8員飽和複素環を形成する;
はH、C−CアルキルまたはC−Cフルオロアルキルである;
YはH、F、Cl、または式:−O(CHQの部分である;
nは2、3または4の整数である;
Qは−OH、または−NRである;
およびRは独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立してH、F、Cl、BrまたはCFである;
XはClまたはBrである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法が提供される。
【0040】
本発明の好ましい実施態様は、チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を式(IIa):
【化32】

の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法を提供する。
本発明の好ましい実施態様は、チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を式(IIb):
【化33】

の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法を提供する。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施態様は、チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を、RがC−Cシクロアルキルである式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法を提供する。
本発明は、チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を、Rが式:
【化34】

の部分である式(IIb)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法を提供する。
【0042】
本発明のさらに好ましい実施態様は、
が:
【化35】

の部分であり;
がH、またはC−Cアルキルであり;
がHであり;
がC−Cフルオロアルキルであり;
YがF、または式:−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を含む式(IIa)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量でチューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法を提供する。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施態様は、チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を、
がC−Cシクロアルキルであり;

【化36】

の部分であり;
YがF、または式:−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を含む式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法を提供する。
【0044】
本発明のさらに好ましい実施態様は、チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を、

【化37】

の部分であり;
がH、またはC−Cアルキルであり;
がHであり;
がC−Cフルオロアルキルであり;
YがF、または式:−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を含む式(IIb)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法を提供する。
【0045】
本発明の特定の実施態様は、チューブリン含有系においてチューブリンを促進する方法であって、該チューブリン含有系を、次の群から選択される式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法を提供する:
5−アゼパン−1−イル−7−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−5−ピペリジン−1−イル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
7−クロロ−5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘプチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン、
7−クロロ−6−{4−[4−(ジメチルアミノ)ブトキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
N−{3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘキシルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]プロピル}−N,N−ジメチルアミン,
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−(−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0046】
本発明の特定の実施態様は、チューブリン含有系においてチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を、次の群から選択される式(IIa)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法を提供する:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0047】
本発明の特定の実施態様は、チューブリン含有系においてチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を、次の群から選択される式(IIb)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることによる方法を提供する:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0048】
本発明はさらに、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を式(II):
【化38】

(式中:
は:
【化39】

およびC−Cシクロアルキルから選択される;
は式:
【化40】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はH、またはC−Cアルキルである;
およびRは所望により一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、C−Cアルキルで置換されていてもよい6〜8員飽和複素環を形成する;
はH、C−CアルキルまたはC−Cフルオロアルキルである;
YはH、F、Cl、または式:−O(CHOの部分である;
nは2、3または4の整数である;
Qは−OH、または−NRである;
およびRは独立して、HまたはC−Cアルキルであるか;あるいは
およびRは、所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立して、H、F、Cl、BrまたはCFである;
XはClまたはBrである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する。
【0049】
本発明の好ましい実施態様は、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を式(IIa):
【化41】

の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する。
【0050】
本発明の好ましい実施態様は、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を式(IIb):
【化42】

の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する。
【0051】
本発明のさらに好ましい実施態様は、微小管の安定化を必要とする哺乳動物において微小管を安定化させる方法であって、RがC−Cシクロアルキルである式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することによる方法を提供する。
本発明のさらに好ましい実施態様は、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を、Rが式:
【化43】

の部分である式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する。
【0052】
本発明のさらに好ましい実施態様は、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を、

【化44】

の部分であり;
がH、またはC−Cアルキルであり;
がHであり;
がC−Cフルオロアルキルであり;
YがF、または−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を含む式(IIa)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する。
【0053】
本発明のさらに好ましい具体例は、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を、
がC−Cシクロアルキルであり;
が:
【化45】

の部分であり;
YがF、または−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を含む式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する。
【0054】
本発明のさらに好ましい実施態様は、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を、
が:
【化46】

の部分であり;
がH、またはC−Cアルキルであり;
がHであり;
がC−Cフルオロアルキルであり;
YがF、または−O(CHQであり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を含む式(IIb)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する。
【0055】
本発明の特定の実施態様は、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を、次の群から選択される式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する:
5−アゼパン−1−イル−7−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−5−ピペリジン−1−イル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
7−クロロ−5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘプチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン、
7−クロロ−6−{4−[4−(ジメチルアミノ)ブトキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
N−{3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘキシルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]プロピル}−N,N−ジメチルアミン、
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−(−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0056】
本発明の特定の実施態様は、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を、次の群から選択される式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0057】
本発明の特定の実施態様は、チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を、次の群から選択される式(IIb)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法を提供する:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0058】
多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、該哺乳動物に式(II):
【化47】

(式中:

【化48】

およびC−Cシクロアルキルから選択される;
は式:
【化49】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はH、またはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望により一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、C−Cアルキルで置換されていてもよい6〜8員飽和複素環を形成する;
はH、C−CアルキルまたはC−Cフルオロアルキルである;
YはH、F、Cl、または式:−O(CHQの部分である;
nは2、3または4の整数である;
Qは−OH、または−NRである;
およびRは独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望によりこれらが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立してH、F、Cl、BrまたはCFである;
XはClまたはBrである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法も提供される。
【0059】
本発明の好ましい実施態様は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、式(IIa):
【化50】

の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0060】
本発明の好ましい実施態様は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、式(IIb):
【化51】

の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0061】
本発明のさらに好ましい実施態様は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、RがC−Cシクロアルキルである式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
本発明のさらに好ましい実施態様は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、Rが式:
【化52】

の部分である式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0062】
本発明のさらに好ましい実施態様は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、

【化53】

の部分であり;
がH、またはC−Cアルキルであり;
がHであり;
がC−Cフルオロアルキルであり;
YがF、または−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を含む式(IIa)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0063】
本発明のさらに好ましい実施態様は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、
がC−Cシクロアルキルであり;

【化54】

の部分であり;
YがF、または−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を包含する式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0064】
本発明のさらに好ましい具体例は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、

【化55】

の部分であり;
がH、またはC−Cアルキルであり;
がHであり;
がC−Cフルオロアルキルであり;
YがF、または−O(CHQであり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRが所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子、および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClである、医薬的に許容される塩を包含する式(IIb)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0065】
本発明の特定の実施態様は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、次の群から選択される式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する:
5−アゼパン−1−イル−7−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−5−ピペリジン−1−イル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
7−クロロ−5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘプチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン、
7−クロロ−6−{4−[4−(ジメチルアミノ)ブトキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
N−{3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘキシルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]プロピル}−N,N−ジメチルアミン,
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−(−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0066】
本発明の特定の実施態様は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、次の群から選択される式(IIa)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
【0067】
本発明の特定の実施態様は、多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、次の群から選択される式(IIb)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する:
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン。
さらに、本発明は、少なくとも1種の化学療法剤に対して耐性である腫瘍の増殖の治療もしくは阻害するかまたは該腫瘍の根絶を必要とする哺乳動物において該腫瘍の増殖を治療もしくは阻害するかまたは該腫瘍を根絶する方法であって、式(II)の化合物およびその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0068】
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物は、(a)商業的に入手可能な出発物質、(b)文献の手順に記載されているようにして調製できる公知出発物質、または(c)本明細書のスキームおよび実験手順に記載される新規中間体から調製することができる。
反応は、用いられる試薬および材料に適切であり、かつ行われる変換に好適な溶媒中で行われる。有機合成の技術分野における当業者らには、分子上に存在する様々な官能基は提案される化学変換と一致すべきであることは理解される。これは合成工程の順序についての判断を必要とする。望ましくない副反応を防止するために、反応性官能基の保護に関して適切な配慮をしなければならない。
出発物質上の置換基は、反応条件のいくつかと不適合であってもよい。反応条件に適合する置換基に対するこのような制限は、当業者には明らかであろう。反応は、必要に応じて不活性雰囲気下で行った。
【0069】
が:
【化56】

である式(I)および(II)の化合物は、スキームI(ここで、R、R、R、R、およびXは前記定義のとおり)に示されるプロセスにより調製することができる。化合物(III、米国特許第6,156,925号)を2−アミノイミダゾール(IV)とアルカリ性条件下、トリブチルアミンのような第3アミンを用いて、190℃までの温度で反応させて、化合物(V)を得る。オキシ塩化リンまたはオキシ臭化リンのようなハロゲン化剤POX(式中、XはClまたはBrである)でのハロゲン化により、5,7−ジハロ化合物(VI)を得る。5,7−ジハロ化合物(VI)の5−クロロまたは5−ブロモを、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドのような適当な溶媒中、過剰のアミン(VII)で置換することにより、R
【化57】

である式(II)の化合物を得る。
【0070】
スキームI
【化58】

【0071】

【化59】

であり;Yが−O(CHQ基を表す式(I)および(II)の化合物は、別法として、スキームIIに示すように、除去可能な脱離基であるL、特にフッ素原子を、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ水素化物、例えば水素化ナトリウムを包含する強塩基の存在下、適当な溶媒中で、式(IX)のアルコールで置換することによる(VIII)の反応により調製することができる。好適な溶媒としては、非プロトン性溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。反応は好適には約0℃から約100℃の範囲の温度で行われ、Yが−O(CHQ基を表す式(I)および(II)の化合物である(X)を得る。
【0072】
スキームII
【化60】

【0073】
がC−Cシクロアルキル基である式(I)および(II)の化合物は、スキームIII〜VIに示すようにして調製することができる。スキームIIIに記載されるように、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)の存在下でエステル(XI)を酸塩化物(XII)(RがC−Cシクロアルキルである対応するカルボン酸から調製)と反応させて、ケトン(XIII)を得、これをさらに、190℃までの温度でトリブチルアミンのような第3アミンを用いてアルカリ性条件下にて2−アミノイミダゾール(IV)と反応させて、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−7−オール(XIV)を得る。
【0074】
スキームIII
【化61】

【0075】
スキームIVに示すように、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどを包含する非プロトン性溶媒中、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)を包含する強塩基の存在下にてイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−7−オール(XIV)をアルコール(XV)と反応させて、エーテル(XVI)を得る。エーテル(XVI)をN,N−ジエチルアニリンの存在下にてオキシ塩化リンまたはオキシ臭化リンのようなハロゲン化剤POX(式中、XはClまたはBrである)と反応させて化合物(XVII)を得、これをさらに2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)と反応させて、RがC−Cシクロアルキル基であり、Yが−O(CHQ基であり、QがOHである式(I)および(II)の化合物であるエーテル(XVIII)を得る。
さらに、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−7−オール(XIV)の、オキシ塩化リンまたはオキシ臭化リンのようなハロゲン化剤POX(式中、XはClまたはBrである)との反応により、RがC−Cシクロアルキル基であり、YがFである式(II)の化合物である(XIX)を得る。
【0076】
スキームIV
【化62】

【0077】
スキームVに関して、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)を包含する強塩基の存在下、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを包含する非プロトン性溶媒の存在下で、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−7−オール(XIV)(式中、RはC−Cシクロアルキル基である)をアミノアルコール(XX)(式中、RおよびRはH以外である)と反応させて、アミン(XXI)を得る。アミン(XXI)を、オキシ塩化リンまたはオキシ臭化リンのようなハロゲン化剤POX(式中、XはClまたはBrである)と反応させて、RがC−Cシクロアルキル基であり、Yが−O(CHQ基であり、QがNRであり、RおよびRがH以外である式(I)および(II)の化合物であるエーテル(XXII)を得る。
【0078】
スキームV:
【化63】

【0079】
スキームVIに示すように、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)を包含する強塩基の存在下、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを包含する非プロトン性溶媒の存在下で、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−7−オール(XIV)(式中、RはC−Cシクロアルキルである)をアミノアルコール(XXIII)(式中、RはHである)と反応させて、アミン(XXIV)を得る。ジ炭酸ジ−tert−ブチル(t−Boc)Oとの反応によりアミン(XXIV)の窒素を保護して、t−Boc保護アミン(XXV)を得、これをさらに、N,N−ジエチルアニリンの存在下でオキシ塩化リンまたはオキシ臭化リンのようなハロゲン化剤POX(式中、XはClまたはBrである)と反応させて、ハロ化合物(XXVI)を得る。ハロ化合物(XXVI)をトリフルオロ酢酸(TFA)とさらに反応させて、RがC−Cシクロアルキル基であり、Yが−O(CHQ基であり、QがNRであり、RがHである式(I)および(II)の化合物であるアミン(XXVII)を得る。
【0080】
スキームVI:
【化64】

【0081】
本発明は、式(I)および(II)の化合物の全ての結晶および水和形態およびその医薬的に許容される塩を包含すると理解される。本発明の化合物の医薬的に許容される塩は、このような有機および無機の医薬的に許容される塩を形成する酸、例えば乳酸、クエン酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、L−アスパラギン酸、RまたはS−マンデル酸、パルミチン酸および類似した公知の許容される酸から誘導されるものである。さらに別の塩は、トリフルオロ酢酸塩(TFA)である。特に、塩酸塩、フマル酸塩およびコハク酸塩が好ましい。
本発明は従って、医薬的に許容される担体と組み合わせるかまたは該担体を付随して本発明の化合物を含む医薬組成物を提供する。特に、本発明は、本発明の化合物の有効量および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、式(I)または式(II)の化合物を含む。
【0082】
本明細書に記載される標準的薬理試験の結果に基づくと、本発明の化合物は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療、阻害または制御を必要とする哺乳動物において、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療、阻害または制御するための薬剤として有用である。本発明の化合物は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療、阻害または制御を必要とする哺乳動物において、チューブリンおよび微小管と相互作用し、微小管重合を促進することにより、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療、阻害または制御するための薬剤として有用である。本発明の化合物は、多剤耐性(MDR)を発現するか、またはMDRのために耐性である癌性腫瘍の治療または予防にも有用である。
【0083】
特に、チューブリン含有系を式(I)または(II)の化合物の有効量と接触させる場合、微小管重合が促進され、微小管がさらに安定化され、また微小管重合を促進し、微小管を安定化させることにより、前記の式(I)または(II)の化合物は癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療、阻害または制御するための医薬として有用である。さらに、式(I)または(II)の化合物は、多剤耐性(MDR)を発現するか、またはMDRのために耐性である癌性腫瘍の治療または予防に有用である。チューブリン含有系は腫瘍細胞中にあり、本発明に記載された化合物の有効量の投与により腫瘍性疾患を阻害する。哺乳動物、特にヒトを治療することができる。さらに、前記チューブリン含有系は患者に存在し得る。癌の治療の場合において、多くの新生組織形成、例えば白血病、肺癌、結腸癌、甲状腺癌、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌および乳癌は、効率的に式(I)または(II)の化合物の有効量を投与することにより治療することができる。本明細書において用いられる場合、癌とはあらゆる種類の癌、または新生物あるいは良性または悪性腫瘍を意味する。本発明において提供される方法を用いた治療に好ましい癌は、癌腫、肉腫、リンパ腫、または白血病である。癌腫とは、良性または悪性上皮腫瘍を意味し、これらに限定されないが、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、結腸癌、黒色腫、卵巣癌、あるいは腎臓癌が挙げられる。好ましい宿主はヒトである。
【0084】
用いられる活性成分の有効用量は、用いられる特定の化合物、投与様式および治療される状態の重篤度に応じて変化し得る。しかしながら、一般に、本発明の化合物が一日につき体重1kgあたり約0.10〜約100mgの範囲の量で投与される場合に満足できる結果が得られる。最適の結果を得るために好ましい用量は、一日につき体重1kgあたり約1mg〜約20mgであり、このような投与単位は、体重約70kgの対象について合計約70mg〜約1400mgの活性化合物が24時間で投与されるように用いられる。
哺乳動物を治療するための用量は、最適の治療応答を提供するように調節することができる。例えば、いくつかの分割用量を毎日投与してもよいし、あるいは治療状況の緊急性により必要とされるのに比例して減少させることもできる。明らかな実用上の利点は、これらの活性化合物を、例えば経口、静脈内、筋肉内または皮下経路によるなど任意の都合良い方法で投与することができることである。
【0085】
本発明の活性化合物は、例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用担体を用いて経口投与してもよいし、あるいはハードまたはソフトシェルゼラチンカプセル中に封入してもよいし、あるいは圧縮して錠剤にしてもよいし、あるいは飲食物の食品に直接配合してもよい。経口治療用投与に関して、これらの活性化合物は賦形剤と混合し、摂取可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェファー剤などの形態で用いられる。かかる組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有するべきである。組成物および製剤の割合は、もちろん、変化し、単位の重量の約2%〜約60%であるのが都合良い。このような治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、適当な用量が得られるようなものである。本発明による好ましい組成物または製剤は、経口投与単位形態が10から1000mgの間の活性化合物を含有するように調製される。
【0086】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは、以下のものを含有していてもよい:トラガカント、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、アルギン酸などのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;シュークロース、ラクトースまたはサッカリンのような甘味剤を添加するか、あるいはペパーミント、ウィンターグリーン油またはチェリーフレーバーのような矯味矯臭剤を含有していてもよい。投与単位形態がカプセルの場合、上記タイプの材料に加えて、液状担体を含有することができる。様々な他の材料がコーティングとして、あるいは、他の方法で投与単位の物理的形態を変更するために存在することができる。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、シェラック、砂糖または両方でコーティングしてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのシュークロース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーまたはオレンジフレーバーのような矯味矯臭剤を含有することができる。もちろん、任意の投与単位形態の調製に用いられる材料は、医薬的に純粋であり、用いられる量においては実質的に非毒性であるべきである。さらに、これらの活性化合物は、徐放性製剤および処方に配合することができる。
【0087】
これらの活性化合物は、非経口または腹腔内投与することもできる。遊離塩基または医薬的に許容される塩としてのこれらの活性化合物の液剤または懸濁剤は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適当に混合された水中で調製することができる。分散剤は、油中のグリセロール、液状ポリエチレングリコールおよびその混合物中で調製することもできる。保存および使用の通常条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。
【0088】
注射剤用途に好適な医薬形態としては、無菌の水性溶液または分散液および無菌の注射可能な液剤または分散剤の即時調製用の無菌散剤が挙げられる。いずれの場合も、その形態は無菌でなければならず、容易に注射可能である程度に流動性でなければならない。これは製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対抗するように調製しなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレングリコール)、その適当な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であり得る。
【0089】
静脈内投与が本発明の化合物の好ましい投与方法である。静脈内投与に関して、非制限的で好適な担体の例としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、ニュージャージー州パーシッパニー)、またはリン酸塩緩衝塩溶液(PBS)が挙げられる。組成物は無菌でなければならず、また容易に注入可能である程度に流動性でなければならない。製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコールなど)、その好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であり得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成できる。多くの場合において、等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に含めるのが好ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、吸収を遅らせる薬物、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含めることによりもたらすことができる。
【0090】
本発明に関して用いられる場合、有効量の化合物を提供するとは、このような化合物を直接投与するか、あるいは体内で有効量の化合物を形成するプロドラッグ、誘導体または類似体を投与するかのいずれかを意味する。
前記の有用性に加えて、本発明の化合物は、本発明の他の化合物の調製にも有用である。
本発明の数例を、いくつかの標準的な薬理学的試験法で評価し、これにより本発明の化合物が微小管重合の促進剤として重要な活性を有し、抗新生物薬であることが示された。標準的薬理学的試験法で示される活性に基づいて、本発明の化合物は抗癌薬として有用である。関連する癌は、乳房、結腸、肺、前立腺、黒色腫、表皮、白血病、腎臓、膀胱、口腔、喉頭、食道、胃、卵巣、膵臓、肝臓、皮膚および脳からなる群から選択される。特に、本発明の化合物は、パクリタキセルに類似した作用を有する。用いた試験法および得られた結果を以下に示す。
【0091】
標準的薬理試験法
材料および方法
細胞培地および試薬
培地は、10%熱不活化ウシ胎児血清、100単位/mlペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシン(Gibco、ニューヨーク州グランドアイランド)を補足した、L−グルタミンを有するRPMI−1640である。約70%のチューブリンおよび30%のMAP(#ML113)を含有する微小管関連タンパク質(MAP)リッチなチューブリン、および高度に精製されたチューブリン(純度>98%、#TL238)(どちらもウシの脳から得る)をCytoskeleton,Inc(コロラド州デンバー)から入手する。PEM緩衝液(80mMピペラジン−N,N’−ビス[2−エタンスルホン酸]、pH6.9、1mMエチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸、1mM塩化マグネシウム)およびグアノシン5’−トリホスフェート(GTP)もCytoskeletonから入手する。[H]パクリタキセル(比活性14.7Ci/ミリモル)をMaravek Biochemicals(カリフォルニア州ブレア)から購入する。[H]ビンブラスチン(比活性9.60Ci/ミリモル)およびMicroSpin G−50カラムをAmersham Biosciences(ニュージャージー州ピスキャタウェイ)から購入する。[H]コルヒチン(比活性76.5Ci/ミリモル)をNew England Nuclear(マサチューセッツ州ボストン)から入手する。他の試薬はSigma(ミズーリ州セントルイス)から入手する。
【0092】
細胞系
ヒト癌細胞系は、特に記載しない限り、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(メリーランド州ロックビル)から入手する。次の薬物感受性親細胞系、およびその誘導される薬物耐性カウンターパートは、記載されたような起点から得る:(a)S1(ヒト結腸癌系LS174Tのサブクローンからの親系)および誘導されるS1−M1−3.2(本明細書においてS1−M1と称する)であって、MXR薬物トランスポータータンパク質を発現するものは、L.Greenberger博士(Wyeth Research)(Rabindran,S.K.、He,H.,Singh、M.、Brown,E., Collins,K.I.,Annable,T.、およびGreenberger,L.M.Reversal of a novel multidrug resistance mechanism in human colon carcinoma cells by fumitremorgin C.Cancer Res.,58:5850−5858、1998)から提供される;(b)親HL−60ヒト前骨髄球性白血病系および誘導されるHL−60/ADRであって、MRP1薬物トランスポータータンパク質を発現するものは、M.Center博士(カンサス大学)(McGrath,T.、およびCenter,M.S.Adriamycin resistance in HL60 cells in the absence of detectable P−glycoprotein.Biochem.Biophys.Res.Commun.,145:1171−1176、1987)からL.Greenberger博士(Wyeth Research)を経て提供される;(c)親KB−3−1(本明細書においてKBと称する、ヒト類表皮癌からクローンされる)および誘導されるKB−8−5およびKB−V1系であって、それぞれ中レベルおよび非常に高レベルのMDR1(P−糖タンパク質)薬物トランスポータータンパク質を発現するものは、M.Gottesman博士(国立癌研究所)(Shen,D.W.,Cardarelli,C.、Hwang、J.,Cornwell,M.、Richert, N., Ishii, S., Pastan,I.、およびGottesman,M.M.Multiple drug−resistant human KB carcinoma cells independently selected for high−level resistance to colchicine, adriamycin, or vinblastine show changes in expression of specific proteins. J. Biol. Chem., 261: 7762−7770, 1986)によりL.Greenberger博士(Wyeth Research)を介して提供される。
【0093】
細胞毒性標準的薬理試験法
2つの異なる標準的細胞毒性検定:「MTS」検定および「SRB」検定を使用する。
MTS検定は、Promega(ウィスコンシン州マディソン;CellTiter96AQueous非放射性細胞増殖検定)によりキット形態で販売されており、死んだ細胞でなく、生存細胞によるMTSのテトラゾリウム塩(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム不活性塩)の、分光測光法により検出される水溶性着色ホルマゾンへの変換に基づく。化合物は、IC50値を決定するために、9種の濃度で試験される。試験法に関しては、細胞をトリプリン処理により(または、非接着性細胞の場合は、単純な再懸濁により)収穫し、洗浄し、計数し、96−ウェル平底マイクロタイタープレートのウェルに各ウェルあたり1000個の細胞で200μLの培地中に分散させる。加さらに、別のプレート上の一列のウェルに前記のような細胞を加える(「0時」プレート)。全てのプレートを37℃、大気中、加湿された5%CO中で約24時間インキュベートする。
【0094】
2日に、試験用化合物を希釈し、ウェルに添加する。化合物をDMS中Oに10mg/mLで溶解させる。各化合物について、9の連続2倍希釈物をDMSO中で調製する。10μLのDMSO中の各希釈物を100μLの培地に移し、よく混合し、次いで5μLのこの希釈物を、細胞を含有するウェルに4つ一組で移す。各化合物の最終高濃度は典型的には1〜5μMである。プレートをインキュベーターに3日間戻す。
薬物を実験プレートに添加するとき、MTS検定を「0時」プレート上で行う。これにより、「0時MTS値」が得られ、これは薬物添加時のウェルごとの生存細胞の数に関連する。
【0095】
試験化合物とともに3日培養した後(全体で5日)、MTS検定を実験プレートのすべてのウェルに関して行う。4とおりのサンプルのウェルを平均し、「0時」値の平均で割る。薬物を含まない対照ウェルの平均を、「0時」値の平均で割ったものにより、培養の最後の3日間での細胞増殖によるMTSカラーイールド(color yield)が相対的に最大に増大する。高濃度の薬物を含む対照ウェルの平均を「0時」値で割ったものにより、完全に死んだ細胞の最小相対的カラーイールドが得られる。各化合物についての9の値を濃度に対してプロットし、最大から最小の間の半分の相対的カラーイールドもたらす濃度をIC50値とする。最大有効化合物は最低IC50値を有する。
【0096】
SBR標準的細胞毒性検定は、既に報告されている方法に従って行う(Discafani,C.M.,Carroll,M.L.,Floyd Jr.,M.B.F.,Hollander,I.J.,Husain,Z.,Johnson,B.D.,Kitchen,D.,May,M.K.,Malo,M.S.,Minnick Jr.,A.A.,Nilakantan,R.,Shen,R.,Wang Y−F.,Wissner,A.,Greenberger,L.M. Irreversible inhibition of epidermal growth factor receptor tyrosine kinase with in vivo activity by N−[4−[3−bromophenyl)amino]−6−quinaxolinyl]−2−butynamide (CL−387,785).Biochem.Pharmacol.,57:917−925,1999)。簡単に言うと、細胞を、第1日の朝に、96−ウェル平底マイクロタイタープレート中100μLの培地中にプレートし、プレートに2〜6時間付着させる。化合物を2Xストックとして培地中に連続して希釈し、これらのストックの100μLを2つ一組で細胞に添加する。化合物を細胞とともに3日間インキュベートする。インキュベーション期間の最後に、細胞生存性の評価としてタンパク質含量を測定するスルホローダミンB(SRB)検定をすでに記載されているようにして、多少の変更を加えて行う(Skehan,P.,Storeng,R.,Scudiero,D.,Monks,A.,McMahon,J.,Vistica,D.,Warren,J.T.,Bokesch,H.,Kenney,S.,Boyd,M.R. New colorimetric cytotoxicity assay for anticancer−drug screening. J.Natl.Cancer Inst.,82:1107−1112,1990)。培地をプレートから静かにデカントし、最終濃度10%のトリクロロ酢酸を含有する200μL/ウェルの無血清培地で置換する。プレートを1時間4℃でインキュベートし、冷蒸留水中で5回洗浄し、一夜空気乾燥する。固定された細胞を10分間、1%氷酢酸中で調製された80μL/ウェルの0.04%SRB溶液で染色する。染色溶液をデカントし、プレートを5回、1%氷酢酸中で洗浄し、次いで完全に乾燥するまで空気乾燥する。染色された細胞産物を150μL/ウェルの10mMトリズマ塩基中に20分間振とうしながら溶解させる。吸光度をVictor Vマルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer、メリーランド州ガイサーズバーグ)で読み取る。
【0097】
チューブリン重合標準的薬理試験法
この方法の2とおりのバリエーション(MAPリッチなチューブリンを用いるものと、純粋なチューブリンを用いるもの)を行う。
MAPリッチなチューブリンを、1.3mg/mlの濃度で1mM GTP(GPEM緩衝液)を含有する氷冷PEM緩衝液中に溶解させる。溶液を使用直前にEppendorf5415C型ミクロ遠心分離器(Brinkmann Instruments、ニューヨーク州ウェストベリー)で最高速度で10分間4℃で遠心分離する。チューブリン溶液を、すでに対照となる化合物の含有する1/2面積96ウェルプレート(Costar No.3696、Corning,Inc.、ニューヨーク州コーニング)のウェルに添加する。各化合物を、110μL/ウェルの体積中0.3μMの最終濃度で2回1組で試験する。全てのウェルにおける最終DMSO濃度は0.3%である。化合物溶媒のみを受容する対照反応は、4回一組で行う。プレートを、24℃に温度調節されたSpectraMax Plusプレートリーダー(Molecular Devices Corp.カリフォルニア州サニーベイル)に入れ、チューブリン重合形成による白濁の出現の尺度である340nmでの各ウェルの吸光度を60分間、毎分測定する。各ウェルについて0時の吸光度を該ウェルのその後の吸光度の読みのそれぞれから差し引き、重複試験値を平均する。
純粋なチューブリンに関する方法は、以下の変更以外は同様である。純粋なチューブリンを、10%グリセロールを含有し、GTPを添加していない冷PEM緩液中に1.5〜1.8mg/mL(15〜18μM)の最終濃度で溶解させる。遠心分離後の上清を、すでに化合物を含有する1/2面積96ウェルプレートに分配する。各化合物を最終濃度24.3μMで2回一組で試験する。プレートリーダーを35℃に温度調節する。
【0098】
競合性結合標準的薬理試験法
本発明の数例の高度に精製されたチューブリンへの結合を、競合的阻害法により研究する。α,β−チューブリンヘテロダイマーは3つの主なクラスの微小管活性薬物:タキサン、ビンカ/ペプチド部位剤およびコルヒチン部位剤の結合部位を含有する。ビンカ/ペプチドおよびコルヒチン部位での可能な競合を研究するために、ビンブラスチンおよびコルヒチンは優先的に未重合ヘテロダイマーと結合するため、重合に好ましくない条件下でインキュベーションを行う。一方、タキサン部位での可能な競合を研究するために、パクリタキセルは優先的に微小管と結合するので、重合したチューブリン(微小管)を使用する。
【0099】
高度に精製されたチューブリンを、GTPを含まないPEM緩衝液中に溶解させ、1.0〜1.3mg/ml(10〜13μM)の最終濃度で使用する。チューブリン溶液のアリコートに、様々な競合剤(4とおり1組で)を100μMの最終濃度で、[H]ビンブラスチンまたは[H]コルヒチンをそれぞれ100nMまたは50nMの最終濃度で添加する。これらの溶液を24℃で1時間インキュベートし、次いでMicroSpinG−50カラムに適用し、これを2分間3000rpmでEppendorf5415C型ミクロ遠心分離器中で遠心分離する。各カラム溶出液のアリコート(チューブリンおよび結合放射性リガンドを含有)をシンチレーション液と混合し、液体シンチレーション分光計で計測する。対照は、競合剤を含まないサンプル、および未標識ビンクリスチン、コルヒチン、またはパクリタキセルを含むサンプルを含む。4回の試験値を平均し、競合剤が放射性リガンドの結合を阻害する能力を任意の競合剤の不在下での対照結合のパーセンテージとして表す。
【0100】
H]パクリタキセルとの競合について、高度に精製されたチューブリンを、0.75Mのグルタメートおよび25μMのジデオキシ−GTPを含有するPEM緩衝液中に溶解させ;最終タンパク質濃度は0.25〜0.35mg/mL(2.5〜3.5μM)である。これらの条件は、短い安定な微小管ポリマーの迅速な形成を促進する(Hamel,E.,del Campo,A.A.,およびLin,C.M. Stability of tubulin polymers formed with dideoxyguanosine nucleotides in the presence and absence of microtubule−associated proteins. J.Biol.Chem.,259:2501−2508,1984)。この溶液を30分間37℃でインキュベートして、微小管を形成させる。次いで、[H]パクリタキセル(最終濃度2.1μM、1.2Ci/ミリモル)および競合剤(最終濃度20μM、5μMの未標識パクリタキセルを除く)を重合したチューブリン溶液のアリコートに添加し、37℃でのインキュベーションをさらに30分間続ける。対照は競合剤を含まないサンプル、および未標識ビンクリスチン、コルヒチン、またはパクリタキセルを有するサンプルを含む。微小管タンパク質をペレット化するために、反応を次いでEppendorf5415C型ミクロ遠心分離器中、最高速度で20分間室温で遠心分離する。各上清の3とおりのアリコートをシンチレーション液と混合し、液体シンチレーション分光計で計測する。上清中の放射活性の量および測定された出発放射活性の合計から、ペレット化された微小管タンパク質と結合した[H]パクリタキセルの量を計算する。各競合剤がペレット化されたタンパク質と結合する放射性リガンドを阻害する能力を任意の競合剤を含まない対照のパーセントとして表す。
【0101】
結果
1 細胞毒性標準薬理試験
1.1 COLO205細胞を用いた試験
COLO205は、本発明の実施例およびいくつかの最高化合物の比較試験に用いられるヒト結腸癌腫系である(表1)。この系はパクリタキセルおよびビンクリスチンに対して感受性である。
表1
COLO205細胞を用いたMTS細胞毒性標準的薬理試験法における本発明の実施例および参考化合物の活性
【表1】

1 IC50値および標準偏差は独立した実験の表示された数から得られる。
【0102】
1.2 KB、KB−8−5、およびKB−V1細胞を用いた試験
KB系は異なる量のP−糖タンパク質(MDR1)膜ポンプ(パクリタキセルおよびビンクリスチンを包含する)を発現し、これは多くの細胞毒性化合物の作用に対して耐性をもたらす。親KB系はP−糖タンパク質を発現せず、KB−8−5は中レベルのタンパク質を発現し、KB−V1は非常に高レベルを発現する。P−糖タンパク質が有効な細胞毒性剤を認識し、輸送する能力は、これらの系に関するIC50値における変化から推測することができる(Loganzo,F.,Discafani,C.M.,Annable,T.,Beyer,C.,Musto,S.,Hari,M.,Tan,X.,Hardy,C.,Hernandez,R.,Baxter,M.,Singanallore,T.,Khafizova,G.,Poruchynsky,M.S.,Fojo,T.,Nieman,J.A.,Ayral−Kaloustian,S.,Zask,A.,Andersen,R.J.,およびGreenberger,L.M.HTI−286, a synthetic analogue of the tripeptide hemiasterlin, is a potent antimicrotubule agent that circumvents P−glycoprotein−mediated resistance in vitro and in vivo. Cancer Res.,63:1838−1845,2003)。化合物がP−糖タンパク質により認識されるならば、そのIC50値は、KBからKB−8−5からKB−V1になる際に実質的に(数百倍)増大するであろう。化合物が認識されないならば、3つの系全てに関して類似したIC50値を有するであろう(3倍またはそれ以下の差)。例えば、表2に示すように、KB−8−5細胞はパクリタキセル(19倍)、ビンクリスチン(11倍)、コルヒチン(3.4倍)およびドキソルビシン(3.0倍)に対して中程度に耐性である。対照的に、本発明の実施例6は、IC50値において1.4倍の変化を示す。加えて、SRB細胞毒性検定法において試験した実施例4(表3)は、パクリタキセルについて16の比と比較して2.5の比を有する。
【0103】
化合物のP−糖タンパク質との若干の相互作用でさえも、様々な腫瘍からの臨床サンプルにおいて典型的に見られるよりも高いレベルのこのタンパク質を発現するKB−V1系を用いて決定することができる(Goldstein,L.J.,Galski,H.,Fojo,T.,Willingham,M.,Lai,S.L.,Gazdar,A.,Pirker,R.,Green,A.,Crist,W.,Brodeur,G.M.,Lieber,M.,Cossman,J.,Gottesman,M.M.,およびPastan,I. Expression of a multidrug resistance gene in human cells. J.Natl.Cancer Inst.(Bethesda),81:116−124,1989)。KB−V1細胞はパクリタキセル(>345倍)、ビンクリスチン(>156倍)、コルヒチン(116倍)、ミトキサントロン(77倍)、およびドキソルビシン(>130倍)に対して非常に耐性である。本発明の実施例6は、親KB系と比較してIC50値において4.6倍の変化を示す(表2)。このことは、実施例6がP−糖タンパク質によりわずかに認識され、従って細胞死に対するP−糖タンパク質により媒介される耐性を克服することを示す。SRB細胞毒性検定法(表3)において試験された実施例4は、同じ検定においてパクリタキセルの>1360の比と比較して99の比を有し、このことは、実施例4は実施例6よりもP−糖タンパク質によりさらによく認識されるが、これもパクリタキセルよりもずっと認識されにくいことを示す。
【0104】
表2
KB、KB−8.5およびKB−VI細胞を用いたMTS細胞毒性標準的薬理試験法における本発明の実施例6および参考化合物の活性
【表2】

1 IC50値は2つの独立した実験の平均である。
2 比は、KB8.5またはKB VI細胞のIC50/KB細胞のIC50である。比が約1であることは、耐性がないことを示す。
【0105】
表3
KB、KB−8.5およびKB−VI細胞を用いたSRB細胞毒性標準的薬理試験法における本発明の実施例4およびパクリタキセルの活性
【表3】

1 IC50値は2つの独立した実験の平均である。
2 比は、KB8.5またはKB VI細胞のIC50/KB細胞のIC50である。比が約1であることは、耐性がないことを示す。
【0106】
1.3 HL−60およびHL−60/ADR細胞を用いた試験
HL−60/ADR細胞は、いくつかの化学療法剤に対する耐性を媒介する多剤耐性タンパク質MRP1を過剰発現する(Gottesman,M.M.,Fojo,T.,およびBates,S.E. Multidrug resistance in cancer: role of ATP−dependent transporters. Nature Rev.Cancer,2:48−58,2002)。HL−60/ADR細胞上での本発明の実施例6ならびに参考化合物のIC50値を、感受性親HL−60系上の値と比較する。表4に示す結果は、HL−60/ADR細胞がビンクリスチン(8.2倍)、コルヒチン(7.4倍)、ミトキサントロン(17倍)、およびドキソルビシン(93倍)に対して耐性を示す一方、これらの細胞は実施例6に対して耐性を示さないことを示す。このことは、実施例6はMRP1により認識されず、従ってこのトランスポーターにより媒介される細胞抵抗性を克服することを示す。
【0107】
表4
HL−60およびHL−60/ADR細胞を用いたMTS細胞毒性標準的薬理試験法における本発明の実施例6および参考化合物の活性
【表4】

1 IC50値は2つの独立した実験の平均である。
2 比は、HL−60/ADR細胞のIC50/HL−60細胞のIC50である。比が約1であることは、耐性がないことを示す。
【0108】
1.4 S1およびS1−M1細胞を用いた試験
S1−M1細胞は、いくつかの化学療法剤に対する耐性を媒介するMXRトランスポーターを過剰発現する(Gottesman,M.M.,Fojo,T.,およびBates,S.E. Miltidrug resistance in cancer: role of ATP−dependent transporters. Nature Rev.Cancer,2:48−58,2002)。本発明の実施例6ならびに参考化合物のS1−M1に関するIC50値を感受性親S1系に関する値と比較する。表5に示す結果は、S1−M1細胞はミトキサントロン(>300倍)およびドキソルビシン(74倍)に耐性を示すが、これらは実施例6に対して耐性を示さないことを示す。これは、実施例6はMXRにより認識されず、従ってこのトランスポーターにより媒介される細胞抵抗性を克服することを示す。
表5
S1およびS1−M1細胞を用いたMTS細胞毒性標準的薬理試験法における本発明の実施例6および参考化合物の活性
【表5】

1 IC50値は2つの独立した実験の平均である。
2 比は、S1−M1細胞のIC50/S1細胞のIC50である。比が約1であることは、耐性がないことを示す。
【0109】
2 インビトロでのMAPリッチおよび純粋なチューブリンの重合に対する化合物の効果
この検定において、MAPリッチなチューブリンを用いた対照反応は、3つの期:第一期、吸光度において変化が起こらない遅滞期、第二期:吸光度が増大する重合期、および第三期:吸光度が最大に達し、さらなる変化がほとんどまたは全く起こらない安定期により特徴づけられるS型吸光特性を示す。パクリタキセルおよびドセタキセルのような重合促進剤は遅滞期を短縮または排除し、重合期の速度を増大させ、しばしば水平域の高さを増大させる。ビンクリスチンおよびコルヒチンのような重合阻害剤は吸光度増大を軽減または防止する。本発明の実施例6は重合反応に対してタキサン様効果を及ぼす。これは、20分での各サンプルの平均A340を20分での対照のA340で割り、対照よりも何倍向上されたかを得ることにより、表6において定量的に表される。パクリタキセルおよびドセタキセルはそれぞれ1.8および5.4の増大因子を示す。本発明の実施例6は1.7の向上因子を有する。対照的に、ビンクリスチンはMAPリッチなチューブリンの重合を部分的に阻害するので0.5の増大因子を有する。
【0110】
表6
MAPリッチなチューブリンを用いたチューブリン重合標準的薬理試験法における本発明の実施例6および参考化合物の活性
【表6】

【0111】
GTPを添加しない純粋なチューブリンは、対照反応において重合を示さない。ドセタキセルおよびパクリタキセルはこれらの条件下で純粋なチューブリンの重合を誘発できる。本発明の実施例6はまた、ドセタキセルと同様にGTPを含まない純粋なチューブリンの重合を誘発する。表7は1つの化合物濃度について反応の開始後の4つの時点での平均吸光度を示す。この濃度(24.3μM)で、ドセタキセルおよび実施例6は水平期までの反応の最初の5分以内の吸光度における急速な増大を引き起こす。微小管デスタビライザービンクリスチンおよびコルヒチンはこの検定において活性を示さない。
表7
純粋なチューブリンを用いたチューブリン重合標準的薬理試験法における本発明の実施例6および参考化合物の活性
【表7】

【0112】
チューブリンに対する化合物の結合
本発明の化合物が結合する高度に純粋なウシ脳チューブリン上の部位を、放射性リガンド[H]ビンブラスチン、[H]コルヒチン、および[H]パクリタキセルを用いた競合的阻害実験により決定する。表8に示される結果から、実施例6は[H]ビンブラスチンのチューブリンヘテロダイマーの結合を阻害するが(対照の17%)、[H]コルヒチンのチューブリンヘテロダイマーに対する結合または[H]パクリタキセルの微小管に対する結合を阻害しないことがわかる。これは、この実施例がチューブリンのビンカ/ペプチド部位で結合し、コルヒチンまたはタキサン部位で結合しないという強力な証拠である。試験した対照化合物のうち、ビンクリスチンは[H]ビンクリスチン結合を阻害したが[H]コルヒチンを阻害せず、コルヒチンは[H]コルヒチン結合を阻害したが[H]ビンブラスチンを阻害しなかった。ビンクリスチンおよびコルヒチンも[H]パクリタキセルの微小管に対する結合を阻害するようであるが;これは結合競合によるのではなく、むしろ[H]パクリタキセルが結合する微小管の脱重合による。本発明の実施例6は微小管に対する[H]パクリタキセル結合を低下させないことは明らかであり、このことは、これが[H]パクリタキセルと結合について競合せず、また[H]パクリタキセルが結合する微小管を脱重合しないことを示す。
【0113】
表8
競合的結合標準的薬理試験における本発明の実施例6および参考化合物の活性
【表8】

1 結果を、競合剤を含まない対照に対する結合のパーセントとして表す。
2 データは1(4重複試験)または2(8重複試験)の独立した実験から得る。
3 データは1〜4の独立した実験(3〜12重複試験)から得る。
【0114】
本発明の化合物は、培養物における複数のヒト癌細胞系(薬物トランスポーター過剰発現のためにパクリタキセルおよびビンクリスチンに対して耐性である系を含む)に対して強力な細胞毒性活性を示す。本発明の化合物はMAPリッチなチューブリン重合の初期速度を、タキサンと類似し、ビンカアルカロイドおよびコルヒチンのような脱重合剤の阻害効果と異なる方法で向上させる。これらはGTPの不在下で純粋なチューブリンの重合も誘発する。本発明の化合物はチューブリンのビンカ/ペプチド部位に結合する。
【0115】
以下の実施例は本発明をさらに説明する。しかしながら、本発明は以下に示す特定の実施例のみに限定されないと理解される。
【実施例1】
【0116】
5−アゼパン−1−イル−7−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジンの調製
【化65】

工程A:5,7−ジクロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン
2−(2,4,6−トリフルオロフェニル)マロン酸ジエチル(米国特許第6,156,925号)(870mg、3.0ミリモル)、2−アミノイミダゾール(Hel.Acta.Chim.76,2066(1993))(274mg、3.3ミリモル)および1.0mLのトリブチルアミンの混合物を窒素雰囲気下、160℃で0.5時間撹拌し、室温に冷却する。混合物を酢酸エチル中に溶解させ、有機層を1.0N塩酸(×3)および飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させる。残留物を酢酸エチル(5mL)中に溶解させ、この溶液にヘキサン(50mL)を添加する。沈殿を濾過により集め、ヘキサンで洗浄して、6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5,7−ジオールを黄褐色固体(180mg)として得る。MS:m/z279.9(M−H)。
【0117】
6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5,7−ジオール(180mg)の1mLのオキシ塩化リン中混合物を還流温度で6時間加熱する。過剰のオキシ塩化リンを真空中で除去し、得られる残留物を塩化メチレン中に溶解させる。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮する。残留物をシリカゲル上クロマトグラフィーにかけ、10%ヘキサン中酢酸エチルから33%ヘキサン中酢酸エチルの勾配で溶出する。濃縮により、白色固体(62mg)として5,7−ジクロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジンを得る。MS:m/z318.0(M+H)。
【0118】
工程B:5−アゼパン−1−イル−7−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン
5,7−ジクロロ−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン(16mg、0.05ミリモル)およびヘキサメチレンイミン(100mg、1.0ミリモル)の1mLの塩化メチレン中溶液を室温で16時間撹拌する。有機溶液を0.1N塩酸および飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮する。残留物をシリカゲル上クロマトグラフィーにかけ、20%ヘキサン中酢酸エチルから50%ヘキサン中酢酸エチルの勾配で溶出する。濃縮により、黄色固体(15mg、融点106〜108℃)で5−アゼパン−1−イル−7−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジンを得る。MS:m/z381.0(M+H)。
【実施例2】
【0119】
実施例2を実施例1と同様にして合成する。
7−クロロ−5−ピペリジン−1−イル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン;MS:m/z367.3(M+H)
【化66】

【実施例3】
【0120】
7−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンの調製
【化67】

5,7−ジクロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン(16mg、0.05ミリモル)および2,2,2−トリフルオロエチルアミン(200mg、2.0ミリモル)の1mLのN,N−ジメチルホルムアミド中溶液を室温で16時間撹拌する。飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、生成物を酢酸エチルで抽出する。有機溶液を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮する。残留物をシリカゲル上クロマトグラフィーにかけ、20%ヘキサン中酢酸エチルから50%ヘキサン中酢酸エチルの勾配で溶出する。濃縮により、白色固体(16mg、融点155〜157℃)として7−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンを得る。MS:m/z381.0(M+H)。
【実施例4】
【0121】
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2.6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンの調製
【化68】

室温の7−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン(19mg、0.05ミリモル)および3−ジメチルアミノ−1−プロパン(51mg、0.5ミリモル)の0.5mLのジメチルスルホキシド中溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、20mg、0.5ミリモル)を添加する。混合物を50℃で30分間加熱し、室温に冷却する。飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、生成物を酢酸エチルで抽出する。有機溶液を飽和塩化ナトリウムで洗浄し(×3)、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮する。残留物をシリカゲル上クロマトグラフィーにかけ、酢酸エチルから30%酢酸エチル中メチルアルコールの勾配で溶出する。濃縮により、黄褐色固体(12mg、融点52〜55℃)として7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンを得る。MS:m/z464.3(M+H)。
【実施例5】
【0122】
7−クロロ−5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン
【化69】

工程A:3−シクロヘプチル−3−オキソ−2−(2,4,6−トリフルオロフェニル)プロパン酸エチル
2,4,6−トリフルオロフェニル酢酸(570mg、3.0ミリモル)、ヨードエタン(1.56g、10ミリモル)、および炭酸カリウム(1.38g、10ミリモル)の5mLのジメチルスルホキシド中溶液を50℃で3時間撹拌し、室温に冷却する。混合物をジエチルエーテルおよび水間で分配する。有機層を水、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、マグネソールを通して濾過する。濾液を濃縮して、淡黄色油状物(581mg、2.66ミリモル)として2,4,6−トリフルオロフェニル酢酸エチルを得る。
シクロヘプタンカルボン酸(5.0g、35.2ミリモル)の25mLの塩化チオニル中混合物を1時間還流し、濃縮する。かくして得られる粗シクロヘプタンカルボン酸クロリドを次の工程で直接使用する。
トリフルオロフェニル酢酸エチル(436mg、2.0ミリモル)の3mLのテトラヒドロフラン中溶液を−78℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミド(ヘプタン/テトラヒドロフラン/エチルベンゼン中2.0M、1.0mL、2.0ミリモル)を撹拌しながら滴下する。混合物を−78℃で1時間撹拌し、シクロヘプタンカルボン酸クロリド(321mg、2.0ミリモル)を滴下する。混合物を室温に温め、2mLの1.0塩酸で酸性化する。生成物を酢酸エチルで抽出する。有機層を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮する。生成物をシリカゲル上クロマトグラフィーにかけ、ヘキサンから10%ヘキサン中酢酸エチルの勾配で溶出する。濃縮により、無色油状物(410mg)として3−シクロヘプチル−3−オキソ−2−(2,4,6−トリフルオロフェニル)プロパン酸エチルを得る。MS:m/z341.2(M−H)。
【0123】
工程B 7−クロロ−5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン
3−シクロヘプチル−3−オキソ−(2,4,6−トリフルオロフェニル)プロパン酸エチル(342mg、1.0ミリモル)、2−アミノイミダゾール(Helv.Acta.Chim.76,2066(1993))(83mg、1.0ミリモル)、および0.5mLのトリブチルアミンの混合物を窒素雰囲気下、160℃で1.5時間撹拌し、室温に冷却する。混合物を酢酸エチル中に溶解させ、有機層を1.0N塩酸(×2)および飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して、暗色油状物(294mg)として粗5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−7−オールを得る。
前記5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−7−オール(294mg)の2mLのオキシ塩化リン中混合物を還流温度で6時間加熱する。過剰のオキシ塩化リンを真空中で除去し、得られた残留物を塩化メチレン中に溶解させる。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮する。残留物をシリカゲル上クロマトグラフィーにかけ、10%ヘキサン中酢酸エチルから33%ヘキサン中酢酸エチルの勾配で溶出する。濃縮して、白色固体(24mg)として7−クロロ−5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジンを得る。MS:m/z380.2(M+H)。
【実施例6】
【0124】
3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘプチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェニル]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン
【化70】

3−シクロヘプチル−3−オキソー2−(2,4,6−トリフルオロフェニル)プロパン酸エチル(342mg、1.0ミリモル)、2−アミノイミダゾール(Hel.Acta.Chim.76,2066(1993))(83mg、1.0ミリモル)、および0.5mLのトリブチルアミンの混合物を窒素雰囲気下、160℃で1.5時間撹拌し、室温に冷却する。混合物を酢酸エチル中に溶解させ、有機層を1.0N塩酸(×2)および飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して、暗色油状物として粗5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−7−オールを得る。
【0125】
室温の前記5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−7−オールおよび3−ジメチルアミノ−1−プロパノール(206mg、2.0ミリモル)の3.0mLのジメチルスルホキシド中溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、80mg、2.0ミリモル)を添加する。混合物を40℃で2時間加熱し、室温に冷却する。飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、生成物を酢酸エチルで抽出する。有機溶液を飽和塩化ナトリウムで洗浄し(×3)、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮する。残留物に5mLのオキシ塩化リンおよび2mLのN,N−ジエチルアニリンを添加し、混合物を110℃で1時間加熱する。過剰のオキシ塩化リンを真空中で除去し、得られる残留物を酢酸エチルと5%炭酸ナトリウム溶液間で分配する。有機層を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮する。残留物をシリカゲル上クロマトグラフィーにかけ、酢酸エチルから20%酢酸エチル中メチルアルコールの勾配で溶出する。濃縮により、褐色油状物(24mg)として、3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘプチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミンを得る。MS:m/z463.3(M+H)。
2−(2,4,6−トリフルオロフェニル)マロン酸ジエチルは、米国特許第6,156,925号に開示されている。2−アミノイミダゾールはHelv.Acta.Chim.76,2066(1993)に記載されているようにして調製する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
は、
【化2】

およびC−Cシクロアルキルから選択される;
は式:
【化3】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はH、またはC−Cアルキルである;
およびRは、所望により一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、C−Cアルキルで置換されていてもよい6〜8員飽和複素環を形成する;
はH、C−CアルキルまたはC−Cフルオロアルキルである;
Yは式:−O(CHQの部分である;
nは2、3または4の整数である;
Qは−OH、または−NRである;
およびRは独立して、HまたはC−Cアルキルである;
およびRは、所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立して、H、F、Cl、BrまたはCFである;
XはClまたはBrである)
により表される化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
が式:
【化4】

の部分である請求項1記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
nが3である請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
Qが−NRである請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
がメチルであり、RがHまたはメチルである請求項4記載の化合物。
【請求項6】
およびLがFである請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
およびLがHである請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
XがClである請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
がHまたはメチルである請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
がHである請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
がCFである請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
式(I)が式(Ia):
【化5】

により表される請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
式(I)が式(Ia):
【化6】

(式中、Rは:
【化7】

である;
nは3である;
XはClまたはBrである;
Yは式:−O−(CHQの部分である;
はHまたはメチルである;
はHである;
Qは−NRである;
はCFである;
およびRはそれぞれ独立して、HまたはC−Cアルキルである;
およびRは、所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
およびLはFである;
およびLはHである)
により表される請求項1記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
が:
【化8】

であり;
XがClであり;
nが3であり;
Yが−O(CHQであり;
Qが−NRであり;
がHまたはメチルであり;
がHであり;
がCFであり;
がメチルであり;
がHまたはメチルであり;
およびLがFであり;
およびLがHである請求項13記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
式(I)が式(Ib):
【化9】

により表される請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
式(I)が式(Ib):
【化10】

(式中、

【化11】

である;
nは3である;
XはClまたはBrである;
Yは−O−(CHQの部分である;
はHまたはメチルである;
はHである;
Qは−NRである;
はCFである;
およびRはそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;あるいは
およびRは所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合に、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
およびLはFである;
およびLがHである)
により表される請求項1記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項17】

【化12】

であり;
nが3であり;
XがClであり;
Yが式:−O(CHQの部分であり;
Qが−NRであり;
がHであり;
がメチルであり;
がHまたはメチルであり;
およびLがFであり;
およびLがHである請求項14記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項18】
がC−Cシクロアルキルである請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項19】
がC−Cシクロアルキルであり;

【化13】

であり;
nが3であり;
XがClであり;
Yが式:−O(CHQの部分であり;
Qが−NRであり;
がメチルであり;
がHまたはメチルであり;
およびLがFであり;
およびLがHである請求項1記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項20】
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘプチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン、
7−クロロ−6−{4−[4−(ジメチルアミノ)ブトキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、
N−{3−[4−(7−クロロ−5−シクロヘキシルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−6−イル)−3,5−ジフルオロフェノキシ]プロピル}−N,N−ジメチルアミン、
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン;
の群から選択される請求項1記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項21】
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンの群から選択される請求項4記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項22】
7−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンおよび
7−クロロ−6−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロポキシ]−2,6−ジフルオロフェニル}−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミンの群から選択される請求項1記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項23】
癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、請求項1〜22のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することによる方法。
【請求項24】
チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を請求項1〜22のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法。
【請求項25】
チューブリン含有系において微小管を安定化させる方法であって、該チューブリン含有系を請求項1〜22のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法。
【請求項26】
多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防する方法であって、該哺乳動物に請求項1〜22のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
【請求項27】
請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される担体とともに含む医薬組成物。
【請求項28】
癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物において癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療または阻害する方法であって、式(II):
【化14】

(式中:

【化15】

およびC−Cシクロアルキルから選択される;
は式:
【化16】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はH、またはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望により一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、C−Cアルキルで置換されていてもよい6〜8員飽和複素環を形成する;
はH、C−CアルキルまたはC−Cフルオロアルキルである;
YはH、F、Cl、または式:−O(CHQの部分である;
nは2、3または4の整数である;
Qは−OH、または−NRである;
およびRは独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは、所望によりこれらが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立してH、F、Cl、BrまたはCFである;
XはClまたはBrである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
【請求項29】
チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を請求項28記載の式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法。
【請求項30】
チューブリン含有系におけるチューブリン重合を促進する方法であって、該チューブリン含有系を請求項28記載の式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法。
【請求項31】
多剤耐性(MDR)を発現するかまたはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防を必要とする哺乳動物において該腫瘍を治療または予防するための方法であって、請求項28記載の式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
【請求項32】
少なくとも1種の化学治療剤に対して耐性である腫瘍の増殖の治療もしくは阻害または該腫瘍の根絶を必要とする哺乳動物において該腫瘍の増殖を治療もしくは阻害するかまたは該腫瘍を根絶するための方法であって、該哺乳動物に請求項28記載の式(II)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を提供することを含む方法。
【請求項33】
が式:
【化17】

の部分であるか、またはその医薬的に許容される塩が投与される請求項28〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
nが3である請求項28〜33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
Qが−NRである請求項28〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
がメチルであり、RがHまたはメチルである請求項28〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
およびLがFである請求項28〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
およびLがHである請求項28〜37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
XがClである請求項28〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
がHまたはメチルである請求項28〜39のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
がHである請求項28〜40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
がCFである請求項28〜41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
式(I)が式(Ia):
【化18】

により表される請求項28〜42のいずれか1項記載の方法。
【請求項44】
式(II)が式(Ia):
【化19】

(式中、

【化20】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はHである;
はC−Cフルオロアルキルである;
YはF、または−O(CHQの部分である;
nは3である;
Qは−NRである;
およびRはそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子、および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
およびLはそれぞれFである;
およびLはそれぞれHである;
XはClである)
により表されるか、またはその医薬的に許容される塩が投与される請求項28〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
がC−Cシクロアルキルであるか、またはその医薬的に許容される塩が投与される請求項28〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
がC−Cシクロアルキルであり;
が:
【化21】

の部分であり;
YがF、または−O(CHQの部分であり;
nが3であり;
Qが−NRであり;
およびRがそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは、所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合に、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成し;
がC−Cアルキルであり;
およびLがそれぞれFであり;
およびLがそれぞれHであり;
XがClであるか、またはその医薬的に許容される塩が投与される請求項45記載の方法。
【請求項47】
式(II)が式(IIb):
【化22】

により表されるか、またはその医薬的に許容される塩が投与される請求項28〜41のいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
式(II)が式(IIb):
【化23】

(式中、

【化24】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はHである;
はC−Cフルオロアルキルである;
YはF、または−O(CHQの部分である;
nは3である;
Qは−NRである;
およびRはそれぞれ独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは、所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合に、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
およびLはそれぞれFである;
およびLはそれぞれHである;
XはClである)
により表されるか、またはその医薬的に許容される塩が投与される請求項28〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項49】
化合物が、
5−アゼパン−1−イル−7−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−5−ピペリジン−1−イル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、
7−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5−アミン、および
7−クロロ−5−シクロヘプチル−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリミジン
の群から選択されるか、またはその医薬的に許容される塩である請求項28〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項50】
式(II):
【化25】

(式中:

【化26】

およびC−Cシクロアルキルから選択される;
は式:
【化27】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はH、またはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望により一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、C−Cアルキルで置換されていてもよい6〜8員飽和複素環を形成する;
はH、C−CアルキルまたはC−Cフルオロアルキルである;
YはH、F、Clである;
nは2、3または4の整数である;
Qは−OH、または−NRである;
およびRは独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になった場合、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立して、H、F、Cl、BrまたはCFである;
XはClまたはBrである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される担体と共に含む医薬組成物。
【請求項51】
式(I):
【化28】

(式中:

【化29】

から選択される;
は式:
【化30】

の部分である;
はH、またはC−Cアルキルである;
はH、またはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望により一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、C−Cアルキルで置換されていてもよい6〜8員飽和複素環を形成する;
はH、C−CアルキルまたはC−Cフルオロアルキルである;
Yは式:−O(CHQの部分である;
nは2、3または4の整数である;
Qは−OH、または−NRである;
およびRは独立して、HまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、所望によりRで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立してH、F、Cl、BrまたはCFである;
XはClまたはBrである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩の調製法であって、
強塩基の存在下で、所望により非プロトン性溶媒の存在下にて、式:
【化31】

(式中、Lは脱離基である)の化合物を式:HY−(CHNR(式中、YはOである)の化合物と反応させて式(I)の化合物を得ることを含む方法。
【請求項52】
脱離基がFである請求項51記載の方法。
【請求項53】
強塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ水素化物から選択される請求項51または52記載の方法。
【請求項54】
非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドから選択される請求項51〜53のいずれか1項記載の方法。
【請求項55】
式(I):
【化32】

(式中:
はC−Cシクロアルキルである;

【化33】

の部分である;
Yは式:−O(CHQの部分である;
nは2、3または4の整数である;
Qは−NRである;
およびRは独立してHまたはC−Cアルキルであるか;または
およびRは所望によりそれぞれが結合している窒素原子と一緒になって、1〜2個の窒素原子、0〜1個の酸素原子および0〜1個の硫黄原子を有し、Rで置換されていてもよい4〜6員飽和複素環を形成する;
はC−Cアルキルである;
、L、L、およびLはそれぞれ独立して、H、F、Cl、BrまたはCFである;XはClまたはBrである)
の化合物またはその医薬的に許容される塩の調製法であって、
a)第3アミンの存在下、非プロトン性溶媒中にて、式:
【化34】

(式中、Lは脱離基である)のエステルを2−アミノイミダゾールと反応させて、式:
【化35】

の化合物を得る工程;
b)化合物(V)を式:HO(CHQのアルコールと強塩基の存在下、溶媒中で反応させて、化合物(VI):
【化36】

を得る工程;
c)化合物(VI)をPOXでハロゲン化して、式(I):
【化37】

(式中:
はC−Cシクロアルキルである;
およびLはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br;またはCFである;
およびLはそれぞれHである;
XはClまたはBrである;
Qは−NRである)の化合物を得る工程
を含む方法。
【請求項56】
塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ水素化物から選択される請求項55記載の方法。
【請求項57】
溶媒が、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドから選択される請求項55または56記載の方法。
【請求項58】
少なくとも1種の化学療法剤に対して耐性である腫瘍の増殖の治療もしくは阻害または該腫瘍の根絶を必要とする哺乳動物において該腫瘍の増殖を治療もしくは阻害するかまたは該腫瘍を根絶するための方法であって、該哺乳動物に請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物の有効量を提供することを含む方法。


【公表番号】特表2007−506745(P2007−506745A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528080(P2006−528080)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/030595
【国際公開番号】WO2005/030218
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(591000791)ワイス・ホールディングズ・コーポレイション (43)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth Holdings Corporation
【Fターム(参考)】