説明

抗癌剤としてのC12−C13位で修飾されたエポチロン類似体

本発明は、式(A)、(B)、(I)および(II):


で示されるエポチロン類似体、その使用および製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポチロンAの類似体に関する。
【0002】
より特には、本発明は、エポチロンのC13/C14でのエポキシド環が、2-置換-2,5-ジヒドロ-オキサゾールまたは2-置換チアゾリジンのうちの1個で置換された類似体に向けられる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
エポチロンは、医薬分野で有用性が見出されたマクロライド化合物である。例えば、下記の構造を有するエポチロンAおよびBは、微小管安定化作用を有し、したがって、素早く増殖する細胞、例えば、腫瘍細胞または他の過増殖性細胞疾患に対する細胞毒性活性を示すことが見出されている。
【化1】

エポチロンA Ra = H
エポチロンB Ra = Me
【発明の概要】
【0004】
発明の詳細な説明
本発明の1つの局面は、下記の式:
【化2】

[式中、
Qは、OまたはSから選択される基であり; そして
Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミジノ、-B(OH)2、=NR2、-OR2、-SR2、-C(O)R2、-C(O)OR2、-OC(O)R2、-N(R2)R3、-C(O)KN(R2)R3、(CR5R6)j-S(O)lR2、-C(R2)3およびR4から選択されていてもよく;
R2およびR3は、互いに独立して、水素であるか、またはC1-6 アルキル、-(CR5R6)j-カルボシクリルおよび-(CR5R6)j-ヘテロシクリルから選択され、そのいずれかは、所望により、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6 アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミノおよびアミジノから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよく;
各R4およびXは、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシ、-(CR5R6)j-カルボシクリルおよび-(CR5R6)j-ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アミノから選択され、そのいずれかは、所望により、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6 アルキルおよびC1-6 アルコキシから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよく;
各R5およびR6は、同じであるか、または異なっていてもよく、両者は、独立して、一重結合、水素、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノから選択され;
jは、0、1、2、3、4、5、6または7であり;
Kは、0または1であり;
lは、0、1または2である]
のうちの1つにより示される化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、溶媒和物、N-オキシドもしくはプロドラッグに向けられる。
【0005】
定義
ヒドロカルビル
本明細書で使用する“ヒドロカルビル”なる用語は、もっぱら水素および炭素原子からなる部分を含み; そのような部分は、脂肪族および/または芳香族性部分を含み得る。該部分は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子を含んでいてもよい。ヒドロカルビル基の例は、C1-6 アルキル(例えば、C1、C2、C3またはC4 アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチル); C2-6 アルケニル; C2-6 アルキニル; C1-6 アルコキシ; その各々は、アリール(例えば、ベンジル)で、またはシクロアルキル(例えば、シクロプロピルメチル)で、置換されていてもよい; シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル); アリール(例えば、フェニル、ナフチルまたはフルオレニル)などを含む。
【0006】
アルキル
本明細書で使用する“アルキル”および“C1-6 アルキル”なる用語は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖アルキル部分を含む。この用語は、基、例えば、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルまたはイソプロピル)、ブチル(n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチル)、ペンチル、ヘキシルなどを含む。特に、アルキルは、1、2、3または4個の炭素原子を有し得る。
【0007】
アルケニル
本明細書で使用する“アルケニル”および“C2-6 アルケニル”なる用語は、2、3、4、5または6個の炭素原子を有し、さらに、少なくとも1個の二重結合を有する、所望により、EまたはZ立体化学の直鎖もしくは分岐鎖アルキル部分を含む。この用語は、基、例えば、エテニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニルおよび3-ヘキセニルなどを含む。
【0008】
アルキニル
本明細書で使用する“アルキニル”および“C2-6 アルキニル”なる用語は、2、3、4、5または6個の炭素原子を有し、さらに、少なくとも1個の三重結合を有する、直鎖もしくは分岐鎖アルキル部分を含む。この用語は、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニルおよび3-ヘキシニルなどのような基を含む。
【0009】
アルコキシ
本明細書で使用する“アルコキシ”および“C1-6 アルコキシ”なる用語は、-O-アルキルを含み、ここで、アルキルは、直鎖もしくは分岐鎖であり、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含む。1つのクラスの態様では、アルコキシは、1、2、3または4個の炭素原子を有する。この用語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどのような基を含む。
【0010】
アリール
本明細で使用する“アリール”なる用語は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個の環炭素原子を含む芳香環系を含む。アリールは、しばしば、フェニルであるが、少なくとも1個が芳香族性である2またはそれ以上の環を有する多環系であってもよい。この用語は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、インデニル、アントリルなどのような基を含む。
【0011】
カルボシクリル
本明細書で使用する“カルボシクリル”なる用語は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個の炭素環原子を有する、飽和(例えば、シクロアルキル)もしくは不飽和(例えば、アリール)環部分を含む。特に、カルボシクリルは、3から10員非芳香環もしくは環系、および特には、5もしくは6員非芳香環を含み、それは、完全もしくは部分飽和であり得る。炭素環式部分は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、インデニル、アントリルなどから選択される。
【0012】
シクロアルキル
本明細書で使用する“シクロアルキル”なる用語は、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有する脂環式部分を含む。基は、架橋であるか、または多環系であり得る。より頻繁に、シクロアルキル基は、単環式である。この用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチルなどのような基を含む。
【0013】
ヘテロシクリル
本明細書で使用する“ヘテロシクリル”なる用語は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個の環原子を有し、そのうちの少なくとも1個が窒素、酸素、リン、ケイ素および硫黄から選択される、飽和(例えば、ヘテロシクロアルキル)もしくは不飽和(例えば、ヘテロアリール)ヘテロ環式環部分を含む。特に、ヘテロシクリルは、3から10員非芳香環もしくは環系、およびより特には、5もしくは6員環を含み、それは、完全もしくは部分飽和であり得る。
【0014】
ヘテロ環式部分は、例えば、オキシラニル、アジリニル、1,2-オキサチオラニル、イミダゾリル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、チオピラニル、チアントレニル、イソベンゾフラニル、ベンゾフラニル、クロメニル、2H-ピロリル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ジチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリダジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、とりわけ、チオモルホリノ、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、クマリル(cumaryl)、インダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロキノリル、オクタヒドロイソキノリル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリル、キナゾリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フラザニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、クロメニル、イソクロマニル、クロマニルなどから選択される。
【0015】
ヘテロシクロアルキル
本明細書で使用する“ヘテロシクロアルキル”なる用語は、3、4、5、6または7個の環炭素原子および窒素、酸素、リンおよび硫黄から選択される1、2、3、4または5個の環ヘテロ原子を有する飽和ヘテロ環式部分を含む。該基は、多環系であってもよいが、より頻繁に、単環式である。この用語は、アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、オキシラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、インドリジニル、ピペラジニル、チアゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、キノリジニルなどのような基を含む。
【0016】
ヘテロアリール
本明細書で使用する“ヘテロアリール”なる用語は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16個の環原子を有し、そのうちの少なくとも1個は、窒素、酸素および硫黄から選択される芳香環系を含む。該基は、2またはそれ以上の環を有し、そのうちの少なくとも1個が芳香族性である多環系であってもよいが、より頻繁に、単環式である。この用語は、ピリミジニル、フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピリジニル、ベンゾ[b]フラニル、ピラジニル、プリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、フェノチアジニル、トリアジニル、フタラジニル、2H-クロメニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、プテリジニルなどのような基を含む。
【0017】
ハロゲン
本明細書で使用する“ハロゲン”なる用語は、F、Cl、BrまたはIを含む。特定のクラスの態様では、ハロゲンは、FまたはClであり、Fがより通常である。
【0018】
アミノ
本明細書で使用する“アミノ”なる用語は、一般構造--N(R2)R3の部分を含み、特に、-NH2および-NHR2を含み、ここで、R2およびR3は、上記したとおりである。
【0019】
アミジノ
本明細書で使用する“アミジノ”なる用語は、一般構造-C(NH)NH2の部分およびその誘導体、特に、水素が、アルキル(例えば、メチルもしくはエチル)またはヒドロキシで置換されているものを含む。
【0020】
ハロゲン
本明細書で使用するハロゲンなる用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。フルオロが、特に、言及され得る。
【0021】
置換
部分に対して本明細書で使用する“置換されていてもよい”なる用語は、該部分における水素原子の1個またはそれ以上、特に、5個まで、より特には、1、2または3個が、互いに独立して、相当する数の記載した置換基で置換されていることを意味する。
【0022】
置換基が、それらが化学的に可能である位置にのみ存在し、当業者が、不適当な負担なしに、特定の置換が可能であるか否かを決定することができる(実験的にまたは理論的に)ことは、当然に理解される。例えば、遊離水素を有するアミノもしくはヒドロキシ基は、不飽和(例えば、オレフィン)結合を有する炭素原子と結合するとき、不安定であり得る。さらに、本明細書に記載した置換基が、それ自身、当業者に認識される適当な置換基に上記の通り限定されることを条件として、任意の置換基で置換され得ることは、当然に理解されることである。
【0023】
立体障害問題(steric issues)が基上の置換基の置換を決定するとき、最も低い配座エネルギーを有する異性体が、好ましくあり得る。
【0024】
独立して
2個またはそれ以上の部分が、“互いに独立して”原子または基の一覧から選択されると記載されているとき、これは、該部分が同じであるか、または異なっていてもよいことを意味する。各部分の同一性は、したがって、1個またはそれ以上の他の部分の同一性から独立している。
【0025】
薬学的に許容される
本明細書で使用する“薬学的に許容される”なる用語は、化合物、物質、組成物、および/または用量形を含み、それは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、または他の問題または合併症なしに、合理的な利点/リスク率に見合った、ヒトもしくは動物の組織との接触での使用のために適当である。この用語は、ヒトおよび動物用目的のための許容性を含む。
【0026】
保護の内容は、それらが、実際に、そのような化合物を含んでいるかどうかに関わらず、そしてすべてのそのような化合物が、治療上有効量で含まれているかどうかに関わらず、本発明の化合物を含むか、または含むことを意図する見せかけのもしくは偽装の(counterfeit or fraudulent)商品である場合を含む。
【0027】
保護の範囲内には、パッケージが、本発明の一部(species)もしくは医薬製剤を含むことを示す記載または指示書を含むパッケージであるか、および、そのような製剤もしくは部分であるか、もしくはこれを含むか、または含ませることを意図するか、もしくは含む商品が含まれる。そのようなパッケージは、見せかけのもしくは偽装のものであり得るが、必ずそうであるとは限らない。
【0028】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、単数形は、他の内容を必要としなければ、複数形を包含する。特に、不定冠詞を使用するとき、他の内容を必要としなければ、本明細書は、複数および単数を意図するものと理解されるべきである。
【0029】
本発明の特定の局面、態様または実施例と結合させて記載した特徴、整数、特性、化合物、化学部分または基は、そこに不適合がなければ、本明細書に記載したあらゆる他の局面、態様または実施例に適用可能であるものと理解されるべきである。
【0030】
塩は、とりわけ、それらが塩基性基を形成するとき、とりわけ、式(I) (またはその典型的な式)の化合物の薬学的に許容される塩である。
【0031】
塩形成基は、塩基性もしくは酸性特性を有する基またはラジカルである。少なくとも1個の塩基性基または少なくとも1個の塩基性ラジカルを有する化合物、例えば、アミノ、ペプチド結合を形成しない第2級アミノ基またはピリジル基は、例えば、無機酸、例えば、塩酸、硫酸もしくはリン酸と共に、または適当な有機カルボン酸またはスルホン酸、例えば、脂肪族モノもしくはジカルボン酸、例えば、トリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸もしくはシュウ酸、またはアミノ酸、例えば、アルギニンもしくはリジン、芳香族性カルボン酸、例えば、安息香酸、2-フェノキシ-安息香酸、2-アセトキシ-安息香酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、芳香族性-脂肪族カルボン酸、例えば、マンデル酸もしくはケイ皮酸、ヘテロ芳香族性カルボン酸、例えば、ニコチン酸もしくはイソニコチン酸、脂肪族スルホン酸、例えば、メタン-、エタン-もしくは2-ヒドロキシエタンスルホン酸、または芳香族性スルホン酸、例えば、ベンゼン-、p-トルエン-もしくはナフタレン-2-スルホン酸と共に、酸付加塩を形成し得る。いくつかの塩基性基が存在するとき、モノもしくはポリ酸付加塩を形成し得る。
【0032】
酸性基、カルボキシ基またはフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物は、金属もしくはアンモニウム塩、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムもしくはカルシウム塩、またはアンモニアを有するアンモニウム塩または適当な有機アミン、例えば、第3級モノアミン、例えば、トリエチルアミンもしくはトリ(2-ヒドロキシエチル)アミン、またはヘテロ環式塩基、例えば、N-エチル-ピペリジンもしくはN,N'-ジメチルピペラジンを形成し得る。塩の混合物は、可能である。
【0033】
酸性基および塩基性基を有する化合物は、内部塩を形成し得る。
【0034】
単離または精製の目的のために、およびさらに中間体として使用される化合物の場合には、また、薬学的に許容されない塩、例えば、ピクリン酸塩を使用することが可能である。薬学的に許容され、非毒性である塩のみが、治療目的のために使用され得て、したがって、それらの塩が好ましい。
【0035】
負に荷電したラジカル、例えば、カルボキシまたはスルホの存在下で、塩はまた、塩基、例えば、金属もしくはアンモニウム塩、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムもしくはカルシウム塩、またはアンモニアを有するアンモニウム塩または適当な有機アミン、例えば、第3級モノアミン、例えば、トリエチルアミンもしくはトリ(2-ヒドロキシエチル)アミン、またはヘテロ環式塩基、例えば、N-エチル-ピペリジンもしくはN,N'-ジメチルピペラジンと共に塩を形成し得る。
【0036】
単離もしくは精製目的のために、また、薬学的に許容されない塩、例えば、ピクリン酸塩または過塩素酸塩を使用することが可能である。治療的使用のために、薬学的に許容される塩または遊離化合物のみが使用され(所望により、医薬製剤の形態で)、したがって、これらが好ましい。
【0037】
遊離形の新規化合物と、例えば、新規化合物の精製または同定において中間体として使用し得る塩を含むそれらの塩形の化合物の間の密接な関係の観点で、本明細書に記載した遊離化合物に関するすべての言及は、また、適当におよび好都合には、相当する塩について言及しているものと理解されるべきである。
【0038】
本発明の好ましい態様では、R1は、式:
【化3】

[式中、
各R5およびR6が、同じであるか、または異なっていてもよく、両者は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシから選択され;
jが、0、1、2、3、4、5、6または7であり; そして
Arが、所望により、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6 アルキル、C1-6 アルケニル、C1-6 アルキニル、C1-6 アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロアミノおよびアミジノから選択される置換基で置換されていてもよい芳香族性部分である]
を有する。
【0039】
部分CR5R6は、飽和または不飽和であってもよい。該部分が不飽和である場合には、部分R5またはR6の1つが、一重結合である。
【0040】
化合物の1つのクラスでは、Arは、所望により、置換芳香族性またはヘテロ芳香族性5もしくは6員環である。
【0041】
Arは、例えば、フェニル、ピリジルおよびチオフェニルであり得る。
【0042】
化合物のさらなるクラスでは、R1は、式:
【化4】

[式中、
R5、R6、jおよびR4が、上記したとおりであり; そして
Wが、NまたはCであり; そして
mが、0、1、2、3または4である]
を有する。
【0043】
式IVの化合物の好ましいクラスでは、置換基は、下記の式:
【化5】

[式中、
R5、R6、jおよびR4が、上記したとおりであり; そして
Wが、NまたはCであり; そして
mが、0、1、2、3または4である]
で示したとおり、互いにパラである。
【0044】
化合物のさらなるクラスでは、R1は、式:
【化6】

[式中、
nが、0、1、2または3であり、そして
Tが、NH、OまたはSである]
を有する。
【0045】
化合物の1つの特定のクラスは、R5およびR6の両方が、水素である。
【0046】
化合物の他のクラスでは、jは、好ましくは、0、1または2である。
【0047】
化合物のさらなるサブクラスでは、jは、0である。
【0048】
R4は、好ましくは、ハロゲンおよびC1-6 アルキルから選択され、その中で、メチル、エチル、イソプロピルおよびtert.ブチルは、特に、言及し得る。
【0049】
本発明の化合物は、好ましくは、C12/C13位でのトランス配置であり、下記の式:
【化7】

[式中、
R1およびQは、上記したとおりである]
のうちの1つを有する。
【0050】
化合物の1つのクラスでは、Qは、Oであり、式:
【化8】

[式中、
R1は、上記したとおりである]
で示される化合物を提供する。
【0051】
本発明の1つの局面では、化合物は、エポチロンAよりも代謝的により安定している。さらなる局面では、本発明の化合物は、天然の同族体に匹敵する抗増殖性活性を示す。
【0052】
C12/C13でのエポキシド官能基のために、エポチロンは、酸性条件下で転移反応を受け、生物学的に不活性な化合物を生じる。また、エポキシド部分は、代謝的な弱点を示すと考えられ得て、それは、インビボで加水分解され、生物学的に不活性なジオールを産生する。
【0053】
したがって、本発明は、エポキシド官能基を5員オキサゾール環で置換することにより、この問題を克服しようとする。
【0054】
もはやエポキシド官能基を有さない本発明の化合物は、代謝的により安定なエポチロン誘導体の起源を提供する。
【0055】
したがって、本発明の化合物は、経口投与可能な抗癌剤の開発のためにより適当であり得る。
【0056】
本発明の化合物は、好ましくは、エポチロンAに匹敵する生物学的活性を有する。
【0057】
化合物の1つの好ましいクラスでは、エポチロンAのエポキシド部分は、2-置換2,5-ジヒドロ-オキサゾール環、例えば、下記の例:
【化9】

で置換される。
【0058】
このクラスの化合物の特定の例は、2,5-ジヒドロ-オキサゾール環が、C2で、5または6員芳香族性もしくはヘテロ芳香族性部分で置換されている。
【0059】
【化10】

[式中、
R5、R6、j、R4、Wおよびmは、上記したとおりである]。
【0060】
【化11】

[式中、
R5、R6、j、R4、Tおよびnは、上記したとおりである]。
【0061】
本発明のこれらの化合物は、天然の同族体よりも酸性条件に対してより安定的であり; さらに、2,5-ジヒドロ-オキサゾール環のC2での置換基を変えることにより、例えば、これらの型の化合物の物理化学的および薬理学的特性を調節し得る。
【0062】
本明細書に記載した化合物のヒドロキシ基は、ヒドロキシ基のための保護基により保護され得る。
【0063】
本明細書で使用する“ヒドロキシ基のための保護基”なる用語は、ヒドロキシ基のための酸不安定な保護基を意味し、該基は、それ自体既知である。保護基の特徴は、保護基が、それ自身を容易に、すなわち、望まない二次反応なしに、典型的には、加溶媒分解、還元、光分解によるか、または、例えば、生理学的条件と同様の条件下で酵素活性により除去され、それらが、最終生成物には存在しないことである。当業者は、どの保護基が本明細書に記載した反応で適当であるかを既知であるか、またはそれを容易に確立し得る。
【0064】
保護基によるヒドロキシ基の保護、保護基自身、およびそれらの切断反応は、例えば、標準的な文献、例えば、J. F. W. McOmieの“Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973, T. W. Greeneの“Protective Groups in Organic Synthesis”, Wiley, New York 1981, “The Peptides”の; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981, “Methoden der organischen Chemie” (Methods of organic chemistry)のHoubenWeyl, 4th edition, Volume15/l, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974, H. -D. Jakubke and H.Jescheitの“Aminosauren, Peptide, Proteine” (Amino acids, peptides, proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982, およびJochen Lehmannの“Chemie der Kohlenhydrate : Monosaccharide und Derivate” (Chemistry of carbohydrates : monosaccharides and derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に記載されている。
【0065】
好ましい保護基は、tert-ブチル-ジメチル-シリル(TBS)エーテル、トリエチルシリル(TES)エーテル、トリイソプロピルシリル(TIPS)エーテル、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)エーテル、イソプロピルジメチルシリル(IPDMS)エーテルまたはテキシルジメチルシリル(TDS)エーテルのように酸不安的なシリルエーテルである。
【0066】
本発明の他の局面は、患者への投与のために適当な生理学的溶媒に溶解するか、または懸濁した上記化合物のいずれかを含む、抗癌剤に向けられる。化合物は、癌細胞に対して細胞毒性を示すのに十分な生理学的溶媒内の濃度を有する。
【0067】
本発明の他の局面は、癌細胞を上記のいずれかの化合物の細胞毒性濃度を含む溶液と接触させる工程を含む、癌細胞を殺す方法に向けられる。
【0068】
さらに、本発明は、ヒトもしくは動物身体の処置のための方法で、本明細書に開示された化合物、またはそのような化合物の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物もしくは水和物の使用に関する。
【0069】
さらに、本発明は、腫瘍性疾患の処置用医薬の製造のための、本明細書に開示された化合物、またはそのような化合物の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物もしくは水和物の使用に関する。
【0070】
“腫瘍性疾患”なる用語は、特に、白血病のような液性腫瘍疾患および固形腫瘍疾患に関する。
【0071】
“固形腫瘍疾患”なる用語は、とりわけ、乳癌、卵巣癌、大腸癌および胃癌を含む一般的な消化管の癌、頸癌、肺癌、例えば、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、膵臓癌、腎臓癌、神経膠腫、黒色腫、頭頸部癌、膀胱癌、甲状腺癌、肝細胞癌、前立腺癌およびカポジ肉腫を意味する。
【0072】
さらに、本発明は、腫瘍性疾患の処置のための方法を提供し、それは、本発明の化合物または薬学的に許容される塩またはそのような化合物の溶媒和物もしくは水和物を、該疾患に対する有効量で、該処置を必要とする温血動物に投与することを含む。
【0073】
さらに、本発明は、本明細書に開示した化合物、またはそのような化合物の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物もしくは水和物、および局所、経腸、例えば、経口もしくは直腸、または非経腸投与のために適当であり、無機または有機の固体もしくは液体であり得る、少なくとも1個の薬学的に許容される担体を含む医薬製剤に関する。経口投与のために、とりわけ、有効成分を希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、マンニトールおよび/またはグリセロール、ならびに/または滑剤および/またはポリエチレングリコールと共に含む、錠剤またはゼラチンカプセルが使用される。錠剤はまた、結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン、例えば、トウモロコシ、小麦もしくはコメデンプン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン、および、所望により、崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウム、ならびに/または発泡性混合物、または吸着剤、着色剤、香味剤および甘味剤を含み得る。また、非経腸的に投与可能な組成物の形態で、または輸液の形態で、本発明の薬理学的に活性な化合物を使用することが可能である。医薬組成物は、滅菌されていてもよく、および/または賦形剤、例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧および/またはバッファーを制御するための塩を含み得る。所望により、他の薬理学的に活性な物質を含み得る本発明の医薬組成物は、それ自体既知の方法で、例えば、慣用的な混合、造粒、調合(confectioning)、溶解または凍結乾燥工程により製造され、約1%から95%、とりわけ、約1%から約20%の有効成分を含む。
【0074】
有効成分の容量は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および病状; 処置される状態の重篤度; 投与経路; 患者の腎臓および肝機能; ならびに使用される特定の化合物を含む、さまざまな因子に依存する。当分野の医師、臨床医または獣医師は、状態の進行を予防するか、対抗するか、または停止するために必要とされる有効量の薬剤を、容易に決定し、処方することができる。毒性なしに有効性を生む範囲の薬剤の濃度を達成する最適な精度は、標的部位への薬剤アベイラビリティの動態に基づくレジメンを必要とする。これは、薬剤の分布、平衡、および除去の考慮を含む。
【0075】
本発明の化合物は、好ましくは、微小管安定化剤である。
【0076】
したがって、それらは、下記を含む(が、これらに限定されない)さまざまな癌の処置において有用である; 膀胱、乳房、大腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、頸、甲状腺および皮膚癌を含む、癌; (扁平上皮細胞癌を含む); 白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含む、リンパ系造血性腫瘍; 急性および慢性骨髄性白血病ならびに前骨髄球性白血病を含む、骨髄系造血性腫瘍; 線維肉腫および横紋筋肉腫を含む、間葉性起源の腫瘍; 黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、神経芽腫および神経膠腫を含む、他の腫瘍; 星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫、およびシュワン鞘腫を含む、中枢および末梢神経系の腫瘍; 線維肉腫、横紋筋肉腫、および骨肉腫を含む、間葉性起源の腫瘍; ならびに黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞性癌および奇形癌を含む、他の腫瘍。
【0077】
本発明の化合物はまた、腫瘍血管形成を阻害し得て、それにより、腫瘍の成長に影響を与え得る。そのような抗血管形成特性はまた、網膜血管化、関節炎、とりわけ、炎症性関節炎、多発性硬化症、再狭窄および乾癬に関連する失明の特定の形態の処置において有用であり得る。
【0078】
本発明の化合物は、正常な発生および恒常性のために重要な、生理学的な細胞死過程であるアポトーシスを誘導するか、または阻害し得る。
【0079】
アポトーシス経路の変更は、さまざまなヒト疾患の病因に関与する。アポトーシスモジュレーターとしての本発明の化合物は、アポトーシスの異常を有するさまざまなヒト疾患の処置において有用であり、該疾患は、癌、(特に、濾胞リンパ腫、p53突然変異を有する癌、乳癌、前立腺癌および卵巣癌のホルモン依存性腫瘍、ならびに、前癌病変、例えば、家族性腺腫様ポリープを含むが、これらに限定されない)、ウイルス感染(ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン−バールウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルスを含むが、これらに限定されない)、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、免疫介在性糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患および自己免疫性糖尿病を含むが、これらに限定されない)、神経変性疾患(アルツハイマー病、AIDS関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮症および小脳変性を含むが、これらに限定されない)、AIDS、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、虚血性損傷に付随する心筋梗塞、卒中および再かん流損傷、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘導性もしくはアルコール誘導性肝臓疾患、血液病(慢性貧血および再生不良性貧血を含むが、これらに限定されない)、筋骨格系の変性疾患(骨粗鬆症および関節炎を含むが、これらに限定されない)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患、ならびに癌の痛みを含む。
【0080】
本発明の化合物はまた、抗癌剤および細胞毒性剤ならびに放射線を含む処置との組合わせで有用である。
【0081】
本発明の化合物は、単独で、または1個またはそれ以上の他の治療剤と組合わせて投与することができ、考え得る組合わせ治療は、本発明の化合物および交互にまたは互いに独立して提供される1個またはそれ以上の他の治療剤の投与、または固定した組合わせおよび1個またはそれ以上の他の治療剤の組合わせ投与の固定組合わせ剤の形態を取り得る。特に、本発明の化合物は、例えば、腫瘍治療の場合に、化学療法、放射線療法、免疫療法、外科的介入、もしくはこれらの結合と組合わせて投与し得る。長期間の治療は、上記したとおり、他の処置戦略の内容でのアジュバント治療と同様に、等しく可能である。他の考え得る処置は、腫瘍退行後の患者の状態を維持する治療、または、例えば、リスクのある患者における化学的予防治療でさえある。
【0082】
考え得る組合わせのための治療剤は、とりわけ、1個またはそれ以上の抗増殖性、細胞増殖抑制もしくは細胞毒性化合物、例えば、化学療法剤またはポリアミン生合成の阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、とりわけ、セリン/スレオニンプロテインキナーゼ、例えば、プロテインキナーゼCの阻害剤、またはチロシンプロテインキナーゼ、例えば、EGF受容体チロシンキナーゼの阻害剤、例えば、PKI166、VEGF受容体チロシンキナーゼの阻害剤、例えば、PTK787、またはPDGF受容体チロシンキナーゼの阻害剤、例えば、STI571、サイトカイン、負の増殖制御因子、例えば、TGF-もしくはIFN-B、アロマターゼ阻害剤、例えば、レトロゾール、アナストロゾール、リン酸化タンパク質とSH2ドメインの相互作用の阻害剤、抗エストロゲン、トポイソメラーゼI阻害剤、例えば、イリノテカン、トポイソメラーゼ11阻害剤、微小管活性化剤、例えば、パクリタキセル、ディスコデルモライドもしくはエポチロン、アルキル化剤、抗新生物代謝拮抗剤、例えば、ゲムシタビンもしくはカペシタビン、プラチン化合物、例えば、カルボプラチンもしくはシスプラチン、抗血管新生化合物、ゴナドレリンアゴニスト、抗アンドロゲン、ビスホスホネート、例えば、AREDIAもしくはZOMETA、およびトラスツマブを含むが、これらに限定されない群から選択されるいくつかの薬剤、コード番号、一般名または商標名により同定された有効成分の構造は、標準的な概論“The Merck Index”の実際版(actual edition)から、またはデータベース、例えば、Patents International (例えば、IMS World Publications)から取得し得る。その相当する内容は、引用により本明細書の一部とする。
【0083】
本発明の化合物はまた、プロドラッグ形を有し得る。生物活性剤を提供するためにインビボで変換されるすべての化合物は、本発明の範囲および精神の範囲内にあるプロドラッグである。例えば、本発明の化合物は、カルボン酸エステル部分を形成し得る。カルボン酸エステルは、開示された環構造上に見出されるカルボン酸官能基のいずれかをエステル化することにより、慣用的に形成される。
【0084】
プロドラッグのさまざまな形態は、当業者に既知である。そのようなプロドラッグ誘導体の例は、下記を参照のこと: a) Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985) and Methods inEnzvmologY, Vol. 42, p. 309-396, edited by K. Widder, et al. (Acamedic Press, 1985); b) A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5,“Design and Application of Prodrugs,”by H. Bundgaard, p.113-191 (1991); c) H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8,1-38 (1992); d) H. Bundgaard, etal., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77,285(1988) ; およびe) N.Kakeya, et al., Chem Phar Bull, 32,692 (1984)。
【0085】
さらに、本発明の化合物の溶媒和物(例えば、水和物)が、また、本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。溶媒化の方法は、一般に、当業者に既知である。
【実施例】
【0086】
製造法
本発明の他の局面は、特に、本明細書に記載したとおり、上記の化合物またはその中間体のすべてを合成するための方法である。
【0087】
すべての場合におけるエポチロンA誘導オキサゾリン4 - 6の合成は、中心的な中間体としてのアミノアルコール3に基づく。スキーム1で示したとおり、3は、アジドアニオンでのエポチロンA (1a)におけるエポキシド部分の求核的開環(2を得るために)、および、次の、Staudinger条件(Ph3P/H2O)下、アジド基の還元を通して得られる。
【0088】
スキーム1
【化12】

スキーム1: a) LiN3, NH4Cl, DMF, 85 ℃, 24h, 38%; b) Ph3P, THF/H2O 15/1, 室温, 88h, 50%; c) テキストおよびスキーム2, 3を参照のこと。
【0089】
NH4Clの存在下(この実験で使用される条件)、DMF中、エポチロンAおよびLiN3間の反応の主要な生成物として、アジドアルコール2 (12-アジド基を有する)の構造は、NMRスペクトル法により十分に確立されており; この構造配置のさらなる証拠は、次の、アミン3 (そのヒドロアセテートとして)のX線結晶構造から生じ、それは、アミノ基がC-12 (C-13ではない)に結合していることを示した。したがって、エポキシド開環反応の位置化学は、EtOH中、12,13-ビス-エピ-エポチロンAとNaN3の反応に関して報告されたものと同一である[1]。
【0090】
アミノアルコール3を望むオキサゾリンに変換する我々の最初の方法は、還流EtOH中、この中間体と適当なオルトエステルの反応を含んだ。したがって、市販で入手可能な酢酸、プロピオン酸、バレリアン酸、3-フェニルスルホニル-プロピオン酸、および安息香酸のトリエチルオルトエステルと共に、またはテトラエチルオルトカルボネートと共に3を加熱することにより、21% - 74%の収量で、それぞれ、類似体4a4b4c4g5a、および4eを産生する(構造に関しては、表1を参照のこと)。一般に、4aの合成を除いては、3を、ヒドロアセテート(直接、クロマトグラフィー精製工程で得られる)としてこれらの反応で使用し、そこで、反応は、触媒量のTFAの存在下、遊離アミンと共に行う。意図したオキサゾリン4eに加えて、3のヒドロアセテートとテトラエチルカルボネートの反応は、また、4eの型どおりの加水分解産物である、少量の(8%)オキサゾリジノン4hを提供する。
【化13】

【0091】
調べられた標的構造の多くに関して、必要とされるオルトエステルは、市販で入手不可能であり、HCl触媒イミノエステル形成および次のエタノール分解を通して、相当するニトリルから製造されることを意図する。この方法は、出発オルトエステルが不純な形態で取得され得るのみであるという事実にも関わらず、4fの合成を行う(55%の収量で3から得られる)。次の実験は、実際のエポチロンA誘導オキサゾリンの形成が、また、触媒量のエタノールの存在下、還流DCE中、3 (ヒドロアセテートとして)と粗イミノエステルヒドロクロライドの直接的な反応を通して達成され得ることを証明する(スキーム2; 構造に関しては、表を参照のこと)。
【0092】
スキーム2
【化14】

スキーム2: a) DCE, EtOH (cat.), 90 ℃, 2 - 24 h, 16 - 68%。
【0093】
この手順を用いて、アリール-オキサゾリン5b-jならびにtert-ブチル置換誘導体4dおよびピリジンに基づく類似体6dおよび6eは、先のオルトエステル製造の必要なしに、適度に許容される収量(16% - 68%)で得られる。しかしながら、探求されていない理由のために、この工程は、一般に、ピリジン含有オキサゾリン6の製造においてあまり有効ではないことが分かっている。これらの類似体は、主に、室温で、EtOH中、Et3Nを用いた適当なイミノエステルの処理、この混合物へのジエチルエーテルの添加および還流DCE中、沈殿形と3のヒドロアセテートの直接反応を通して製造される。この工程は、2,5置換ピリジン誘導体6f - jに関して、スキーム3に要約する。化合物6a - cは、同様の方法で得られる。
【0094】
スキーム3
【化15】

a) HCl (ガス), EtOH, 0 ℃ → 室温, 16 h; b) Et3N, EtOH, 室温, 30分 - 64h; c) DCE, 90 ℃, 1 - 24h, 21 - 57% (3に基づく)。HBrガスは、6fの製造において、工程a)で使用される。
【0095】
EtOH中、飽和HClを用いて、シアノ-ピリジンから得たイミノエステルが、きれいなNMRスペクトル法を産生せず(それは、異なるプロトン化種(protonated species)の存在に関与し得る)、これらのイミノエステルのトリエチルアミンでの処理における生成物形(それは、おそらく、遊離イミノエステルおよびオルトエステルの混合物である)が特徴づけられていないのは注目すべきである。しかしながら、これらの前駆体の純度および正確な性質は不確かであったが、望むオキサゾリンは、許容される収量および高純度で得ることができる。6-エチル-および6-イソ-プロピル-ニコニチルは、市販で入手できないので、これらの化合物は、相当するグリニャール試薬とのFe(II)触媒カップリングにより、6-クロロ-3-シアノ-ピリジンから製造する[2]。6-tert-ブチル-3-シアノ-ピリジンは、[3]にしたがって、3-シアノ-ピリジンおよびピバル酸から得る。
【0096】
[1] A. Regueiro-Ren, R. M. Borzilleri, X. Zheng, S.-H. Kim, J. A. Johnson, C. R. Fairchild, F. Y. F. Lee, B. H. Long, G. D. Vite, Org. Lett. 2001, 3, 2693-2696.
【0097】
[2] A. Fuerstner, A. Leitner, M. Mendez, H. Krause, J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 13856-13863.
【0098】
[3] A. Clerici, F. Minisci, O. Porta, Tetrahedron 1974, 30, 4201-4203.
【0099】
略称:
ACN: アセトニトリル
DCE: ジクロロエタン(モレキュラー・シーブで乾燥させた)
DCM: ジクロロメタン
DEE: ジエチルエーテル
FC: フラッシュクロマトグラフィー
NMP: N-メチル-ピロリドン
RT: 室温
TFA: トリフルオロ酢酸
【0100】
HPLC精製
解析HPLCを、Waters Symmetry Shield(登録商標)C18 カラムを用いたWaters Allianceシステムで行う。水中、ACNの勾配を、特定の分離課題(separation problem)によって、異なる時間で使用する。溶媒は、TFAを含まなかった。分取HPLCによる精製は、Waters Symmetry C18カラム(5 mm)を用いたGilson 分取HPLCシステムおよび解析適用のために使用したものと同じ溶媒系を用いて行う。
【0101】
個々の化合物の製造のための手順
アジドアルコール2: 8 mlのDMF中、エポチロンA (3.0 g; 6.08 mmole)、LiN3 (1.38 mg, 28.2 mmole)、およびNH4Cl (354 mg, 6.6 mmole)の溶液を、85℃で24時間、加熱する。次いで、反応混合物を濃縮し、DCM (200 ml)を加え、溶液を、飽和水性NaHCO3および水(各々、100 ml)で、順次抽出する。次いで、MgSO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、3.04 gの粗生成物を得る。DCM/アセトン/MeOH 87/10/3でのFCを用いたこの物質の精製により、1.25 g (38%)の標的化合物を油状物として得る。
【0102】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.36 (s, 1H, H-19), 6.45 (s, 1H, H-17), 5.37 (d, 1H, H-15); 5.18 (d, 1H, 13-OH), 5.17 (d, 1H, 3-OH), 4.42 (m, 1H, H-3), 4.41 (d, 1H, 7-OH), 3.72 (m, 1H, H-13), 3.46 (m, t (br), 1H, H-7), 3.26 (m, 1H, H-12), 3.20 (q, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.50 (m. 2H, H-2), 2.07 (s, 3H, H-27), 1.90 (m, 1H, H-14), 1.87 (m, 1H, H-11), 1.76 (m, 1H, H-11), 1.54 (m, 1H, H-11), 1.41 (m, 2H, H-10/H-9), 1.21 (m, 1H, H-10), 1.10 (m, 1H, H-8), 0.99 (m, 1H, H-9), 1.06 (s, 3H, H-22またはH-23), 1.05 (d, 3H, H-24), 0.87 (d, 3H, H-25), 0.85 (s, 3H, H-22またはH-23)。
【0103】
ESI-MS: 537.2 [M+H]+。HRMS: m/z 462.2259 [M+Na]+ [C26H33NO5+Na]の計算値 462.2256。
【0104】
アミノアルコール3: 38 mlのTHFおよび2.4 mlの水の混合物中、1.16 g (2.16 mmole)のアジドアルコールの溶液に、1.132 g Ph3P (4.32 mmole)を加える。室温で88時間、撹拌後、混合物を濃縮し、直接、CHCl3/MeOH/H2O/AcOH 75/27/3/0.5でのFCにかけ、標的生成物を、油状形の相当するヒドロアセテート(546 mg, 50%)として得る。水/CH3CN 3/1からの物質の凍結乾燥により、3のヒドロアセテートを綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0105】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d3): δ = 7.35 (s, 1H, H-19), 6.43 (s, 1H, H-17), 5.36 (m, 1H, H-15), 4.47 (t, 1H, H-3), 約3.5 (H-6、H-7、H-12、およびH-13のためのシグナルと重複するブロードシグナル), 3.20 (m, 1H), 2.70 (m, 1H), 2.61 (s, 3H, H-21), 2.04 (s, 3H, H-27), 1.80 (s, 3H, AcOH), 1.75 (m, 2H, H-11/H-14), 1.55 (m, 1H, H-14), 1.35 (m, 3H, H-11/H-10/H-9), 1.10 (m, 2H, H-10/H-8), 1.08 (d, 3H), 1.05 (s, 3H, H-22またはH-23), 0.90 (m, 1H, H-9), 0.85 (d, 3H), 0.82 (s, 3H, H-22またはH-23)。
【0106】
HPLC精製 > 98%。ESI-MS: 511.0 [M+H]+
【0107】
他の実験では、3は、先のFCなしの分取HPLCにより精製される(TFAを含まないH2O/CH3CN)。この手順を通して、化合物を遊離アミンとして取得し、オキサゾリン4aの製造で使用する。
【0108】
4a: アミノアルコール3 (遊離塩基; 10.2 mg, 0.02 mmole)を、200 μLのDCE (5 mlのDCM中、275 μLのトリエチルオルトアセテートおよび34.5 μLのTFAのストック溶液から得た)中、9.7 mg (0.06 mmole)のトリエチルオルトアセテートおよび1.37 mg (0.012 mmole)のTFAの溶液に溶解し、混合物を、90℃で3時間、加熱する。次いで、それを、1 mlのACNで希釈し、直接、分取HPLC (5% → 100% ACN、100分)で精製し、6.1 mgの物質を得て、5% MeOH/DCM → 10% MeOH/DCMでのFCにより再精製する。この手順により、2.45 mgの標的化合物4a (23%) + 0.35 mg (3%)の加水分解物質(N-アセチル-3; ESI-MS: 553.3 [M+H]+)を得る。
【0109】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.36 (s, 1H, H-19), 6.51 (s, 1H, H-17), 5.30 (d, 1H, H-15), 5.12 (d, 1H, 3-OH), 4.28 (m, 2H, H-3 + 7-OH), 4.15 (m, 1H, H-13), 3.54 (m, 1H, H-12), 3.47 (m, 1H, H-7), 3.17 (m, 1H, H-6), 2.65 (s, 3H, H-21), 2.41 (dd, 1H, H-2), 2.29 (dd, 1H, H-2), 2.09 (s, 3H, H-27), 2.08 (m, 1H), 1.90 (m, 2H), 1.85 (s, 3H, CH3 オキサゾリン), 1.65 (m, 1H), 1.55 (m, 1H), 1.35 (m, 2H), 1.23 (s, 3H), 1.15 (m, 1H), 1.05 (m, 1H), 0.94 (d, 3H), 0.88 (s, 3H), 0.84 (d, 3H)。
【0110】
ESI-MS: 535.3 [M+H]+
【0111】
4b: アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 51 mg, 0.1 mmole)および40.2 mg (0.3 mmole)のトリエチルオルトプロピオネートを、600 μLの乾燥DCEに溶解し、混合物を、90℃で2時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、4% MeOH/DCMでのFCにかけ、33.6 mgの表題化合物(61%)を得る。ACN/水 2/1での溶解および凍結乾燥により、生成物を綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0112】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.36 (s, 1H, H-19), 6.51 (s, 1H, H-17), 5.27 (d, 1H, H-15), 5.11 (d, 1H, 3-OH), 4.29 (m, 2H, H-13 + 7-OH), 4.17 (m, 1H, H-3), 3.54 (m, 1H, H-12), 3.49 (m, 1H, H-7), 3.19 (m, 1H, H-6), 2.65 (s, 3H, H-21), 2.42 (dd, 1H, H-2), 2.29 (dd, 1H, H-2), 2.18 (m, 2H, Etオキサゾリン), 2.08 (s, 3H, H-27), 1.88 (d, 1H, H-14), 1.83 (d, 1H, H-14), 1.68 (m, 1H, H-11), 1.55 (m, 1H), 1.35 (m, 2H, H-9), 1.23 (s, 3H, H22またはH-23, + m, 1H), 1.15 (m, 1H), 1.14 (m, 1H, H-11), 1.05 (t, 3H, Etオキサゾリン, + m, 1H), 0.94 (d, 3H, H-24), 0.88 (s, 3H, H-22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25).
【0113】
ESI-MS: 549 [M+H]+; 571.4 [M+Na]+。HRMS: m/z 571.2814 [M+Na]+ [C29H44N2O6S+Na]の計算値 571.2818。
【0114】
4c: 600 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 51 mg, 0.1 mmole)の溶液に、48.6 mg (0.3 mmole)のトリメチルオルトバレラートを加えて、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCMでのFCにかけ、36.3 mg (63%)の表題化合物を得る。ACN/水 2/1での物質の溶解および凍結乾燥により、生成物を綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0115】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.36 (s, 1H, H-19), 6.50 (s, 1H, H-17), 5.26 (d, 1H, H-15), 5.12 (d, 1H, 3-OH), 4.29 (m, 2H, H-13 + 7-OH), 4.16 (m, 1H, H-3), 3.55 (m, 1H, H-12), 3.48 (m, 1H, H-7), 3.19 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.43 (dd, 1H, H-2), 2.30 (dd, 1H, H-2), 2.17 (t, 2H, Buオキサゾリン), 2.08 (s, 3H, H-27), 1.87 (dd, 1H, H-14), 1.81 (dd, 1H, H-14), 1.65 (m, 1H), 1.50 (m, 3H), 1.40 - 1.20 (m, 5H), 1.23 (s, 3H, H22またはH-23, + m, 1H), 1.15 (m, 1H), 1.05 (m, 1H,), 1.05 (m, 1H), 0.93 (d, 3H, H-24), 0.88 (s, 3H, H22またはH-23), 0.86 (t, 3H, Bu オキサゾリン), 0.83 (d, 3H, H-25)。
【0116】
ESI-MS: 577.4 [M+H]+; 599.5 [M+Na]+。HRMS: m/z 577.3311 [M+H]+ [C31H48N2O6S+H]の計算値 577.3309。
【0117】
4d: A. イミノエステルの製造: 8.3 g (0.1 mole)のトリメチルアセトニトリルおよび5.05 gのEtOH (0.11 mole)の混合物を、HClを用いて、飽和まで5℃で、処理する。次いで、混合物を、同じ温度で18時間、貯蔵し、20 mlのDEEを加える。生じた沈殿を、ろ過により集め、DEEで洗浄(ished)し、乾燥させ、3.9 g (24%)の粗イミノエステルヒドロクロライドを白色固体として得る。(1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 4.42 (q, 2H), 1.35 (t, 3H), 1.25 (s, 9H))。
【0118】
B. オキサゾリン形成: 300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.05 mmole)の溶液に、18 mg (0.11 mmole)の上記イミノエステルヒドロクロライドを加えて、混合物を、90℃で2時間、加熱する。その後、20 μLのEtOHを加え、90℃での加熱を4時間継続し、そのとき、追加の50 μLのEtOHを加える。加熱をさらに18時間継続し、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCMでのFCにかけ、4.5 mg (16%)の表題化合物4dを得る。ACN/水 2/1での物質の溶解および凍結乾燥により、生成物を綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0119】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.35 (s, 1H, H-19), 6.51 (s, 1H, H-17), 5.26 (d, 1H, H-15), 5.15 (d, 1H, 3-OH), 4.32 (m, 2H, H-13 + 7-OH), 4.24 (m, 1H, H-3), 3.51 (m, 2H, H-12 + H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.44 (dd, 1H, H-2, 溶媒シグナルと重複する), 2.31 (dd, 1H, H-2), 2.07 (s, 3H, H-27), 1.88 (dd, 1H, H-14), 1.77 (dd, 1H, H-14), 1.70 (m, 1H), 1.51 (m, 1H), 1.36 (m, 2H), 1.22 (s, 3H, H22またはH-23), 1.13 (s, 9H), 1.22および1.13でのシグナル重複 m, 3H, 0.94 (d, 3H, H-24), 0.88 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0120】
ESI-MS: 577.0 [M+H]+
【0121】
4eおよび4h: 600 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 51 mg, 0.1 mmole)の溶液に、40.8 mg (0.3 mmole)のテトラメチルオルトカーボネートを加えて、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、4% MeOH/DCMでのFCにかけ、11.5 mgの4e (21%)および4.3 mg (8%)の4hを得る。ACN/水 2/1でのこれらの物質の溶解および凍結乾燥により、生成物を綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0122】
4e: 1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.36 (s, 1H, H-19), 6.51 (s, 1H, H-17), 5.26 (d, 1H, H-15), 5.12 (d, 1H, 3-OH), 4.50 (t, 1H, H-13), 4.28 (d, 1H, 7-OH), 4.13 (m, 1H, H-3), 3.47 (m, 1H, H-7), 3.41 (m, 1H, H-12), 3.16 (m, 1H, H-6), 2.65 (s, 3H, H-21), 2.44 (dd, 1H, H-2), 2.30 (dd, 1H, H-2), 2.10 (s, 3H, H-27), 1.97 (dd, 2H, H-14), 1.55 (m, 2H), 1.50 (m, 3H), 1.40 (m, 1H), 1.32 (m, 2H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23, + m, 1H), 1.15 (m, 1H), 1.05 (m, 1H,), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.88 (s, 3H, H22またはH-23), 0.85 (d, 3H, H-25)。
【0123】
ESI-MS: 551.3 [M+H]+; 573.3 [M+Na]+。HRMS: m/z 573.2610 [M+Na]+ [C27H40N2O7S+Na]の計算値 573.2613。
【0124】
4h: 1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.63 (s, 1H, NH), 7.37 (s, 1H, H-19), 6.51 (s, 1H, H-17), 5.29 (dd, 1H, H-15), 5.12 (d, 1H, 3-OH), 4.37 (q, 1H, H-13), 4.31 (d, 1H, 7-OH), 4.09 (t (br), 1H, H-3), 3.75 (s, 3H, OCH3), 3.54 (m, 1H, H-13), 3.49 (m, 1H, H-7), 3.16 (m, 1H, H-6), 2.65 (s, 3H, H-21), 2.42 (dd, 1H, H-2), 2.29 (dd, 1H, H-2), 2.09 (s, 3H, H-27), 1.94 (m, 2H, H-14), 1.62 (m, 1H), 1.53 (m, 1H), 1.35 (m, 3H), 1.24 (s, 3H, H22またはH-23, + m, 1H), 1.15 (m, 1H), 1.05 (m, 1H,), 0.94 (d, 3H, H-24), 0.88 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0125】
ESI-MS: 537.3 [M+H]+; 559.3 [M+Na]+。HRMS: m/z 559.2454 [M+Na]+ [C27H40N2O7S+Na]の計算値 559.2463。
【0126】
4f: A. オルトエステルの製造: 23.4のベンジルシアニド(0.2 mole)および10.1 gの乾燥EtOH (0.22 mole)の混合物を、飽和まで5℃で、HClガスを用いて処理する。次いで、混合物を、同じ温度で18時間、貯蔵し、40 mlのDEEを加える。生じた沈殿を、ろ過により集め、DEEで洗浄し、乾燥させ、31.3 g (79%)の粗イミノエステルヒドロクロライドを白色固体として得る。この物質を、50 mlのEtOHに溶解し、混合物を、室温で2日間、維持する。次いで、DEE (25 ml)を加え、NH4Clを、ろ過により除去する。ろ液を、真空、室温で、蒸発させ、フェニルアセトアミドの沈殿を含む黄色油状物を得る。固体物質を、ろ過により除去し、ろ液を、球管蒸留(Kugelrohr distillation)にかけ、23.9 g (64%)のトリエチル-オルトフェニルアセテートを、無色油状物として得る(3回実施, bp. 90 ℃/0.1 mbar)。NMRにしたがって、この物質は、なお、不純であるが、さらなる精製なしに、次の工程で使用される。
【0127】
B. オキサゾリン形成: 600 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 51 mg, 0.1 mmole)の溶液に、71.4 mg (0.3 mmole)の上記粗オルトエステルを加え、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、3% MeOH/DCMでのFCにかけ、48 mgの不純な生成物を得る。この物質は、2% MeOH/DCMでのクロマトグラフに再びかけられ、33.6 mg (55%)の表題化合物4fを得る。ACN/水 2/1での物質の溶解および凍結乾燥により、生成物を綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0128】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.34 (s, 1H, H-19), 7.32 - 7.20 (m, 5H), 6.47 (s, 1H, H-17), 5.19 (d, 1H, H-15), 5.12 (d, 1H, 3-OH), 4.34 (t, 1H, H-13), 4.30 (d, 1H, 7-OH), 4.15 (m, 1H, H-3), 3.59 (m, 1H, H-12), 3.56 (d, 2H, Bnオキサゾリン), 3.48 (m, 1H, H-7), 3.16 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.41 (dd, 1H, H-2), 2.28 (dd, 1H, H-2), 2.03 (s, 3H, H-27), 1.87 (dd, 1H, H-14), 1.78 (dd, 1H, H-14), 1.68 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.33 (m, 2H), 1.23 (s, 3H, H22またはH-23, + m, 1H), 1.15 (m, 1H), 1.05 (m, 1H,), 0.93 (d, 3H, H-24), 0.86 (s, 3H, H22またはH-23), 0.83 (d, 3H, H-25)。
【0129】
ESI-MS: 610.9.3 [M+H]+
【0130】
4g: 600 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 51 mg, 0.1 mmole)の溶液に、60 mg (0.3 mmole)のトリエチル-3-フェニルスルホニル-オルトプロピオネートの溶液を加えて、混合物を、80℃で1時間、次いで、90℃で3時間、加熱する。反応混合物を、直接、4% MeOH/DCMでのFCにかけ、34.5 mg (50%)の表題化合物4gを得る。ACN/水 2/1での溶解および凍結乾燥により、生成物を綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0131】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.90 (d, 2H), 7.76 (m, 1H), 7.65 (m, 2H), 7.32 (s, 1H, H-19), 6.50 (s, 1H, H-17), 5.23 (d, 1H, H-15), 5.10 (d, 1H, 3-OH), 4.27 (d, 1H, 7-OH), 4.23 (t, 1H, H-13), 4.14 (m, 1H, H-3), 3.57 (t, 2H, -CH2SO2-), 3.47 (m, 2H, H-12 + H-7), 3.18 (m, 1H, H-6), 2.65 (s, 3H, H-21), 2.41 (dd, 1H, H-2), 2.29 (dd, 1H, H-2), 2.07 (s, 3H, H-27), 1.79 (m, 2H, H-14), 1.60 (m, 1H, H-11), 1.52 (m, 1H, H-8), 1.36 (m, 2H, H-9), 1.23 (s, 3H, H22またはH-23, + m (1.20 - 1.00), 1H, H-11), 0.92 (d, 3H, H-24), 0.87 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0132】
ESI-MS: 688.8 [M+H]+。HRMS: m/z 711.2750 [M+Na]+ [C35H48N2O8S3+Na]の計算値 711.2750。
【0133】
5a: アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 51 mg, 0.100 mmole)を、600 μLの乾燥DCE中、68 μL (0.300 mmole)のトリエチルオルトベンゾエートの溶液に溶解し、混合物を、90℃で2時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCMでのFCにかけ、44.0 mg (74%)の表題化合物5aを得る。ACN/水 2/1での溶解および凍結乾燥により、生成物を綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0134】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.85 (d, 2H), 7.54 (m, 1H), 7.47 (m, 2H), 7.36 (s, 1H, H-19), 6.56 (s, 1H, H-17), 5.43 (dd, 1H, H-15), 5.17 (d, 1H, 3-OH), 4.57 (t, 1H, H-13), 4.33 (d, 1H, 7-OH), 4.20 (m, 1H, H-3), 3.83 (m, 1H, H-12), 3.52 (m, 1H, H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.46 (dd, 1H, H-2), 2.33 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 1.99 (m, 2H, H-14), 1.80 (m, 1H, H-11), 1.53 (m, 1H, H-8), 1.38 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23), 1.22 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0135】
ESI-MS: 597.3 [M+H]+。HRMS: m/z 619.2812 [M+Na]+ [C33H44N2O6S+Na]の計算値 619.2818。
【0136】
5b: A.イミノエステルヒドロクロライドの製造: 8 ml EtOH/10 ml DEE中、1.0 g (7.5 mmole)の4-フルオロベンゾニトリルの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理し、溶液を、室温で一晩中、維持する。次いで、それを蒸発乾固させ、残渣を真空で乾燥させ、1.60 gの粗イミノエステルヒドロクロライドを得る。(1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.90 (s (br), 1H), 8.23 (m, 2H), 7.50 (t, 2H), 4.60 (q, 2H), 1.48 (t, 3H))。
【0137】
B. オキサゾリン形成: 30.5 mg (0.150 mmole)の上記したイミノエステルヒドロクロライドを、20 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に加え、混合物を、90℃で5時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、4% MeOH/DCMでのFCにかけ、19.1 mg (62%)の純粋表題化合物5bを得る。
【0138】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.91 (m, 2H), 7.36 (s, 1H, H-19), 7.30 (t, 2H), 6.56 (s, 1H, H-17), 5.44 (dd, 1H, H-15), 5.16 (d, 1H, 3-OH), 4.58 (m, 1H, H-13), 4.29 (d, 1H, 7-OH), 4.20 (m, 1H, H-3), 3.83 (m, 1H, H-12), 3.51 (m, 1H, H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.46 (dd, 1H, H-2), 2.33 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 1.99 (m, 2H, H-14), 1.68 (m, 1H), 1.52 (m, 1H), 1.38 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.11 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0139】
ESI-MS: 614.9 [M+H]+。HRMS: m/z 637.2724 [M+Na]+ [C33H43FN2O6S+Na]の計算値 637.2728。
【0140】
5c: 300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に、33.0 mg (0.150 mmole)のエチル p-クロロベンズイミデートヒドロクロライドおよび20 μLのEtOHを加えて、混合物を、90℃で5時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、次いで、直接、4% MeOH/DCMでのFCにかけ、10.6 mg (34%)の表題化合物5cを得る。
【0141】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.85 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.36 (s, 1H, H-19), 6.56 (s, 1H, H-17), 5.43 (t (br), 1H, H-15), 5.16 (d, 1H, 3-OH), 4.59 (m, 1H, H-13), 4.31 (d, 1H, 7-OH), 4.19 (m, 1H, H-3), 3.85 (m, 1H, H-12), 3.50 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.45 (dd, 1H, H-2), 2.33 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 1.99 (m, 2H, H-14), 1.80 (m, 1H), 1.54 (m, 1H), 1.40 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.13 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0142】
ESI-MS: 630.8, 100%, 632.8, 45% [M+H]+。HRMS (モノアイソトピック): m/z 653.2424 [M+Na]+ [C33H43ClN2O6S+Na]の計算値 637.2728。
【0143】
5d: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 8 mlのEtOHおよび10 mlのDEEの混合物中、1.0 g (5.5 mmole)の4-ブロモベンゾニトリルの溶液を、0℃で、HClガスを用いて飽和させる。室温で一晩、混合物を貯蔵した後、溶媒の蒸発により、1.40 gのイミノエステルヒドロクロライドを白色固体として得る。(ESI-MS: 228, 100%, 230, 80% [M+H]+1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.05 (d, 2H), 7.85 (d, 2H), 4.60 (q, 2H), 1.45 (t, 3H))。
【0144】
B. オキサゾリン形成: 300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 20.4 mg, 0.04 mmole)の溶液に、32.0 mg (0.150 mmole)のKH-2495および20 μLのEtOHを加え、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCMでのFCにかけ、8.1 mgのわずかに不純な生成物を得て、分取HPLC(30% → 100% ACN、100分)により精製し、6.33 mg (24%)の表題化合物5dを得る。
【0145】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.78 (d, 2H), 7.69 (d, 2H), 7.36 (s, 1H, H-19), 6.56 (s, 1H, H-17), 5.43 (m, 1H, H-15), 5.17 (s (br), 1H, 3-OH), 4.58 (m, 1H, H-13), 4.33 (d, 1H, 7-OH), 4.19 (d (br), 1H, H-3), 3.83 (m, 1H, H-12), 3.50 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.45 (dd, 1H, H-2), 2.32 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 1.99 (m, 2H, H-14), 1.78 (m, 1H), 1.51 (m, 1H), 1.38 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.10 (m, 1H), 0.94 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0146】
ESI-MS: 674.9, 100%, 676.9, 95% [M+H]+。HRMS (モノアイソトピック): m/z 675.2104 [M+Na]+ [C33H43BrN2O6S+Na]の計算値 675.2104。
【0147】
5e: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 40 mlのEtOH/50 ml DEE中、5.0 g (42.7 mmole)のp-トルニトリルの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理する。次いで、溶液を、室温で一晩維持し、溶媒を蒸発により除去し、残渣を真空で乾燥させ、8.81 gの粗イミノエステルヒドロクロライドを白色固体として得る。(1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.04 (d, 2H), 7.44 (d, 2H), 4.62 (q, 2H), 2.40 (s, 3H), 1.47 (t, 3H))。
【0148】
B. オキサゾリン形成: 30.0 mg (0.150 mmole)の上記したイミノエステルヒドロクロライドを、20 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に加え、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、2% MeOH/DCMでのFCにかけ、12.4 mg (41%)の表題化合物5eを得る。ACN/水 2/1での物質の溶解および凍結乾燥により、生成物を綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0149】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.74 (d, 2H), 7.36 (s, 1H, H-19), 7.28 (d, 2H), 6.56 (s, 1H, H-17), 5.41 (dd (br), 1H, H-15), 5.16 (d, 1H, 3-OH), 4.54 (m, 1H, H-13), 4.32 (d, 1H, 7-OH), 4.21 (m (br), 1H, H-3), 3.81 (m, 1H, H-12), 3.52 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.46 (dd, 1H, H-2), 2.32 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 1.98 (m, 2H, H-14), 1.70 (m, 1H), 1.53 (m, 1H), 1.37 (m, 3H), 1.24 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.12 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0150】
ESI-MS: 611.2, 100% [M+H]+; 633.2, 23% [M+Na]+。HRMS: m/z 611.3155 [M+H]+ [C34H46N2O6S+H]の計算値 611.3161。
【0151】
5f: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 8 ml EtOH/10 ml DEE中、1.0 g (5.85 mmole)のトリフルオロ-p-トルニトリルの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理する。次いで、溶液を、室温で一晩維持し、溶媒を蒸発により除去し、残渣を真空で乾燥させ、1.44 gのイミノエステルを得る。(1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.29 (d, 2H), 8.04 (d, 2H), 4.65 (q, 2H), 1.48 (t, 3H))。
【0152】
B. オキサゾリン形成: 38.0 mg (0.15 mmole)の上記したイミノエステルヒドロクロライドを、20 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.05 mmole)の溶液に加え、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCMでのFCにかけ、16.8 mgの不純物質を得る。3% MeOH/DCMでの再クロマトグラフィーにより、5.6 mgの純粋表題化合物を得る。不純なフラクションを合わせ(11.2 mg)、分取HPLC (30% → 100% ACN、100分)により精製し、さらなる8.55 mgの純粋凍結乾燥5fを得る。総収量: 14.15 mg (43 %)。
【0153】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.08 (d, 2H), 7.88 (d, 2H), 7.36 (s, 1H, H-19), 6.59 (s, 1H, H-17), 5.47 (t (br), 1H, H-15), 5.17 (d, 1H, 3-OH), 4.66 (m, 1H, H-13), 4.31 (d, 1H, 7-OH), 4.21 (m, 1H, H-3), 3.92 (m, 1H, H-12), 3.53 (m, 1H, H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.67 (s, 3H, H-21), 2.48 (dd, 1H, H-2), 2.36 (dd, 1H, H-2), 2.13 (s, 3H, H-27), 2.04 (m, 2H, H-14), 1.70 (m, 1H), 1.53 (m, 1H), 1.43 (m, 3H), 1.24 (s, 3H, H22またはH-23), 1.15 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24 + m, 1H), 0.92 (s, 3H, H22またはH-23), 0.86 (d, 3H, H-25)。
【0154】
ESI-MS: 665.1 [M+H]+。HRMS: m/z 687.2692 [M+Na]+ [C34H43F3N2O6S+Na]の計算値 687.2689。
【0155】
5g: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 8 mlのEtOHおよび10 mlのDEEの混合物中、1.0 g (8.4 mmole)の4-ヒドロキシベンゾニトリルの溶液を、0℃で、HClガスを用いて飽和させる。室温で一晩貯蔵後、50 mlのDEEを加え、粗イミノエステルヒドロクロライドを、濾過により単離する(1.72 g; 1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.05 (d, 2H), 7.00 (d, 2H), 4.56 (q, 2H), 1.45 (t, 3H))。
【0156】
B. オキサゾリン形成: 300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に、33.0 mg (0.150 mmole)の上記したイミノエステルヒドロクロライドおよび20 μLのEtOHを加えて、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後 、反応混合物を、直接、5% MeOH/DCMでのFCにかけ、12.54 mg (41%)の表題化合物5gを得る。
【0157】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 10.08 (s (br), 1H, Ar-OH); 7.70 (d, 2H), 7.38 (s, 1H, H-19), 6.83 (d, 2H), 6.57 (s, 1H, H-17), 5.43 (d (br), 1H, H-15), 5.18 (d, 1H, 3-OH), 4.52 (t (br), 1H, H-13), 4.33 (d, 1H, 7-OH), 4.24 (m, 1H, H-3), 3.78 (m, 1H, H-12), 3.54 (m, 1H, H-7), 3.23 (m, 1H, H-6), 2.67 (s, 3H, H-21), 2.50 (dd, 1H, H-2), 2.34 (dd, 1H, H-2), 2.13 (s, 3H, H-27), 1.99 (m, 2H, H-14), 1.80 (m, 1H), 1.56 (m, 1H), 1.39 (m, 3H), 1.27 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.15 (m, 1H), 0.96 (d, 3H, H-24), 0.92 (s, 3H, H22またはH-23), 0.87 (d, 3H, H-25)。
【0158】
ESI-MS: 613.2 [M+H]+。HRMS: m/z 613.2947 [M+H]+ [C33H44N2O6S+H]の計算値 613.2948。
【0159】
5h: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 8 ml EtOH/10 ml DEE中、1.0 g (7.5 mmole)の4-メトキシベンゾニトリルの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理する。次いで、溶液を、室温で一晩維持し、溶媒を蒸発により除去し、残渣を真空で乾燥さえ、1.65 gの粗イミノエステルヒドロクロライドを得る。(1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.15 (d, 2H), 7.17 (d, 2H), 4.58 (q, 2H), 3.90 (s, 3H), 1.45 (t, 3H))。
【0160】
B. オキサゾリン形成: 300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に、32.0 mg (0.150 mmole)の上記したイミノエステルヒドロクロライドおよび20 μLのEtOHを加え、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、5% MeOH/DCMでのFCにかけ、16.5 mgのわずかな不純物質を得て、それを、さらに、分取HPLC (30% → 100% ACN、100分)により精製し、11.85 mg (38%)の純粋表題化合物5hを得る。
【0161】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.78 (d, 2H), 7.36 (s, 1H, H-19), 7.01 (d, 2H), 6.56 (s, 1H, H-17), 5.43 (d (br), 1H, H-15), 5.16 (d, 1H, 3-OH), 4.52 (t (br), 1H, H-13), 4.30 (d, 1H, 7-OH), 4.21 (m, 1H, H-3), 3.80 (s, 3H), 3.78 (m, 1H, H-12), 3.51 (m, 1H, H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.67 (s, 3H, H-21), 2.45 (dd, 1H, H-2), 2.33 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 1.97 (m, 2H, H-14), 1.70 (m, 1H), 1.55 (m, 1H), 1.40 (m, 3H), 1.24 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.15 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0162】
ESI-MS: 627.3 [M+H]+。HRMS: m/z 627.3104 [M+Na]+ [C34H46N2O7S+Na]の計算値 627.3102。
【0163】
5i: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 40 ml EtOH/50 ml DEE中、5.0 g (36.3 mmole)の3-クロロ-ベンゾニトリルの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理する。次いで、溶液を、室温で一晩維持し、溶媒を蒸発により除去し、残渣を真空で乾燥させ、7.70 gの粗イミノエステルヒドロクロライドを得る。(1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.18 (d, 2H), 8.05 (dd, 1H), 7.86 (t, 1H), 4.60 (q, 2H), 1.49 (t, 3H))。
【0164】
B. オキサゾリン形成: 300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に、33.0 mg (0.150 mmole)の上記したイミノエステルヒドロクロライドおよび20 μLのEtOHを加えて、混合物を、90℃で2時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCMでのFCにかけ、18.5 mg (59%)の表題化合物5iを得る。ACN/水2/1での物質の溶解および凍結乾燥により、生成物を綿毛様(fluffy)白色粉末として得る。
【0165】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.82 (m, 2H), 7.61 (dd, 1H), 7.51 (t, 1H), 7.36 (s, 1H, H-19), 6.57 (s, 1H, H-17), 5.45 (t, 1H, H-15), 5.15 (d, 1H, 3-OH), 4.60 (m, 1H, H-13), 4.28 (d, 1H, 7-OH), 4.19 (m, 1H, H-3), 3.86 (m, 1H, H-12), 3.51 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 2.65 (s, 3H, H-21), 2.45 (dd, 1H, H-2), 2.34 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 2.00 (m, 2H, H-14), 1.78 (m, 1H), 1.53 (m, 1H), 1.38 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.10 (m, 1H), 0.96 (d, 3H, H-24), 0.90 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0166】
ESI-MS: 631.2, 80%; 633.2, 30% [M+H]+; 653.1, 100%; 655.1, 42% [M+Na]+。HRMS (モノアイソトピック): m/z 653.2423 [M+Na]+ [C33H43ClN2O6S+Na]の計算値 653.2428。
【0167】
5j: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 40 ml EtOH/50 ml DEE中、5 g (42.7 mmole) m-トルニトリルの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理する。次いで、溶液を、室温で一晩維持し、溶媒を蒸発により除去し、残渣を真空で乾燥させ、8.60 gの粗イミノエステルヒドロクロライドを得る。(1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.92 (m, 2H), 7.60 (d, 1H), 7.50 (t, 1H), 4.60 (q, 2H), 2.37 (s, 3H), 1.47 (t, 3H))。
【0168】
B. オキサゾリン形成: 300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.05 mmole)の溶液に、30.0 mg (0.15 mmole)の上記したイミノエステルヒドロクロライドおよび20 μLのEtOHを加えて、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCMでのFCにかけ、23.2 mgのわずかな不純生成物を得て、2% MeOH/DCMでのFCにより再精製し、20.8 mg (68%)の表題化合物5jを得る。
【0169】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.68 (s, 1H), 7.66 (t, 1H), 7.34 (m, 3H), 6.57 (s, 1H, H-17), 5.43 (dd, 1H, H-15), 5.16 (d, 1H, 3-OH), 4.55 (t (br), 1H, H-13), 4.31 (d, 1H, 7-OH), 4.20 (m, 1H, H-3), 3.82 (m, 1H, H-12), 3.51 (m, 1H, H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.45 (dd, 1H, H-2), 2.35 (s, 3H), 2.32 (m, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 1.99 (m, 2H, H-14), 1.70 (m, 1H), 1.55 (m, 1H), 1.40 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.15 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.86 (d, 3H, H-25)。
【0170】
ESI-MS: 610.9 [M+H]+。HRMS: m/z 633.2978 [M+Na]+ [C34H46N2O6S+Na]の計算値 633.2974。
【0171】
5k: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 8 ml EtOH/10 ml DEE中、1.0 g (7.3 mmole)の2-クロロベンゾニトリルの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理する。次いで、溶液を、室温で一晩維持し、溶媒を蒸発により除去し、残渣を真空で乾燥させ、0.089 gの不純なイミノエステルヒドロクロライドを得る。この物質を精製する試みは為されず、それを、次の工程で、直接使用する。(1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.78 (d, 1H), 7.71 (d, 2H), 7.56 (m, 1H), 4.63 (q, 2H), 1.44 (t, 3H); スペクトルの芳香族性領域におけるさらなるピーク)。
【0172】
B. オキサゾリン形成: 33.0 mg (0.15 mmole)の上記したイミノエステルヒドロクロライドを、20 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に加えて、混合物を、90℃で21時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、2% MeOH/DCMでのFCにかけ、20.97 mgの不純な物質を得て、それを、さらに、分取HPLC (30% → 100% ACN 、100分)により精製し、6.08 mg (19%)の純粋表題化合物5kを得る。
【0173】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.68 (d, 1H), 7.55 (m, 1H), 7.43 (t, 1H), 7.36 (s, 1H, H-19), 6.53 (s, 1H, H-17), 5.39 (d, 1H, H-15), 5.17 (d, 1H, 3-OH), 4.62 (t, 1H, H-13), 4.32 (d, 1H, 7-OH), 4.15 (m, 1H, H-3), 3.88 (m, 1H, H-12), 3.52 (m, 1H, H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.65 (s, 3H, H-21), 2.45 (dd, 1H, H-2), 2.34 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 2.01 (m, 2H, H-14), 1.72 (t (br), 1H), 1.50 (m, 2H), 1.40 (m, 2H), 1.26 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.13 (m, 1H), 0.96 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.87 (d, 3H, H-25)。
【0174】
ESI-MS: 631, 100%; 633, 50% [M+H]+; 653, 75%; 655, 33% [M+Na]+。HRMS (モノアイソトピック): m/z 653.2430 [M+Na]+ [C33H43ClN2O6S+Na]の計算値 653.2428。
【0175】
5l: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 8 ml EtOH/10 ml DEE中、1.2 g (11.0 mmole)のチオフェン-3-カルボニトリルの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理する。次いで、溶液を、室温で一晩維持し、蒸発乾固し、残渣を真空で乾燥させ、2.01 gの粗イミノエステルヒドロクロライドを得る。(1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.92 (m, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.82 (dd, 1H), 4.57 (q, 2H), 1.46 (t, 3H))。
【0176】
B. オキサゾリン形成: 29.0 mg (0.15 mmole)の上記したイミノエステルヒドロクロライドを、20 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.05 mmole)の溶液に加え、混合物を、90℃で4時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、2% MeOH/DCMでのFCにかけ、17.7 mg (59%)の純粋表題化合物5lを得る。
【0177】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.04 (s, 1H), 7.62 (m, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.35 (s, 1H, H-19), 6.55 (s, 1H, H-17), 5.41 (dd, 1H, H-15), 5.15 (d, 1H, 3-OH), 4.51 (t, 1H, H-13), 4.30 (d, 1H, 7-OH), 4.21 (m, 1H, H-3), 3.78 (m, 1H, H-12), 3.51 (m, 1H, H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.65 (s, 3H, H-21), 2.46 (dd, 1H, H-2), 2.32 (dd, 1H, H-2), 2.10 (s, 3H, H-27), 1.97 (m, 2H, H-14), 1.70 (m, 1H), 1.52 (m, 1H), 1.40 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.12 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.85 (d, 3H, H-25)。
【0178】
ESI-MS: 602.8 [M+H]+。HRMS: m/z 625.2381 [M+Na]+ [C33H42N2O6S2+Na]の計算値 625.2382。
【0179】
6a: 40 ml EtOH/50 ml DEE中、5 gの4-シアノ-ピリジン(48 mmole)の溶液を、0℃で、HClガスを用いて飽和させる(懸濁液の形成)。室温で一晩、混合物の貯蔵後、沈殿を、ろ過により集める(9.34 g)。2 gのこの物質(10 mmole,イミノエステルモノヒドロクロライドの分子量に基づく)を、20 mlのEtOHに溶解し、Et3N (1 ml)で18時間、処理する。次いで、混合物をDEE (60 ml)で希釈し、不溶性物質をろ過により除去し、DEEで洗浄する。合わせたろ液を、蒸発乾固し、1.4 gの固体を得て、それは、NMRにより、約60%の望むオルトエステルを含んでいた。この物質を、さらなる精製なしに、次の工程で使用する。
【0180】
オキサゾリン形成: 300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.05 mmole)の溶液に、28.0 mgの不純なオルトエステル(0.15 mmole,オルトエステルの分子量に基づく)および20 μLのEtOHを加えて、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、4% MeOH/DCMでのFCにかけ、10.5 mg (35%)の表題化合物6aを得る。
【0181】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.72 (d, 2H), 7.77 (d, 2H), 7.36 (s, 1H, H-19), 6.57 (s, 1H, H-17), 5.54 (m, 1H, H-15), 5.16 (d, 1H, 3-OH), 4.64 (m, 1H, H-13), 4.29 (d, 1H, 7-OH), 4.19 (m, 1H, H-3), 3.90 (m, 1H, H-12), 3.52 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.46 (dd, 1H, H-2), 2.34 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 2.02 (m, 2H, H-14), 1.81 (m, 1H), 1.53 (m, 1H), 1.40 (m, 3H), 1.26 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.13 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.90 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0182】
ESI-MS: 597.8 [M+H]+。HRMS: m/z 620.2765 [M+Na]+ [C34H46N2O6S+Na]の計算値 620.2770。
【0183】
6b: 40 ml EtOH/50 ml DEE中、5 gの3-シアノ-ピリジン(48 mmole)の溶液を、0℃で、HClガスを用いて飽和させる(懸濁液の形成)。室温で一晩、混合物の貯蔵後、沈殿を、ろ過により集める(10.37 g)。2 gのこの物質(10 mmole,イミノエステルモノヒドロクロライドの分子量に基づく)を、20 mlのEtOHに再溶解し、64時間、Et3N (0.7 ml, 5 mmole)で処理する。次いで、混合物をDEE (60 ml)で希釈し、不溶性物質をろ過により除去し、DEEで洗浄する。合わせたろ液を蒸発乾固し、1.18 gの固体を得て、それを、さらなる精製なしに、次の工程で使用する。
【0184】
オキサゾリン形成: 300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に、上記反応順序(0.150 mmole,オルトエステルの分子量に基づく)および20 μLのEtOHで得られた45.0 mgの物質を加えて、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、4% MeOH/DCMでのFCにかけ、13.4 mgの不純な物質を得て、それを、さらに、分取HPLC (30% → 100% ACN、100分)で精製し、9.93 mg (33%)の純粋表題化合物6bを得る。
【0185】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 9.01 (d, 1H), 8.71 (d, 1H), 8.19 (dt, 1H), 7.52 (dd, 1H), 7.36 (s, 1H, H-19), 6.57 (s, 1H, H-17), 5.44 (t (br), 1H, H-15), 5.15 (d, 1H, 3-OH), 4.61 (m, 1H, H-13), 4.29 (d, 1H, 7-OH), 4.20 (m, 1H, H-3), 3.87 (m, 1H, H-12), 3.52 (m, 1H, H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.46 (dd, 1H, H-2), 2.33 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 2.01 (m, 2H, H-14), 1.82 (m, 1H), 1.55 (m, 1H), 1.42 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.17 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.86 (d, 3H, H-25)。
【0186】
ESI-MS: 598.2 [M+H]+。HRMS: m/z 620.2766 [M+Na]+ [C34H46N2O6S+Na]の計算値 620.2770。
【0187】
6c: 5.5 g (53 mmole)の2-シアノピリジンおよび2.67 g (58 mmole)のEtOHの混合物を、HClガスで処理し、反応混合物のほとんど即座の固化を生じる。12 mlのEtOHの添加後、HClガスでの処理を、飽和まで継続し、懸濁液を、5℃で18時間、維持する。次いで、沈殿を、ろ過により単離し; この物質は、化合物の混合物であることが証明され、その中で、望むイミノエステルは、わずかな微量成分である(エチルエステル基のためのシグナルに基づく)。10 mlのEtOH中、3 gのこの混合物の懸濁液を、室温で18時間、0.2 mlのEt3Nを用いて処理する。次いで、混合物をろ過し、ろ液を蒸発乾固する。
【0188】
オキサゾリン形成: したがって、得られた33.8 mgの残渣を、10 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に加えて、混合物を、90℃で3時間、加熱する。この時点で、上記工程で得られたさらなる物質(50 mg)を、50 μLのEtOHと共に加えて、90℃での加熱を、さらに21時間、継続する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCM → 5% MeOH/DCMでのFCにかけて、2.26 mgの6cおよび相当する加水分解産物の約7/1混合物(+18の分子量)を得る。分取HPLC (30% → 100% ACN、100分)でのこの物質の精製により、1.02 mgの表題化合物6cを得る。ESI-MS: 598.2 [M+H]+。解析HPLC上での単一ピーク(30% → 100% ACN、100分; Rt = 6.94分)。
【0189】
6d: A. イミノエステルヒドロクロライドの製造: 8 ml EtOH/10 ml DEE中、1.0 g (11.0 mmole)の2-クロロ-4-シアノピリジンの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理し、生じた懸濁液を、室温で一晩、撹拌する。次いで、混合物を蒸発乾固し、残渣を真空で乾燥させ、1.39 gの粗イミノエステルヒドロクロライドを得て、さらなる精製なしに、次の工程で使用する。(1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.69 (d, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.97 (d, 1H), 4.55 (q, 2H), 1.45 (t, 3H)。
【0190】
B. オキサゾリン形成: 33.0 mg (0.15 mmole)の上記イミノエステルヒドロクロライドを、20 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に加えて、混合物を、90℃で8時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCMでのFCにかけて、15.91 mg (50%)の表題化合物6dを得る。
【0191】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.57 (d, 1H), 7.82 (s (br), 1H), 7.81 (s (br), 1H), 7.38 (s, 1H, H-19), 6.60 (s, 1H, H-17), 5.48 (m, 1H, H-15), 5.18 (d (br), 1H, 3-OH), 4.69 (m, 1H, H-13), 4.31 (d (br), 1H, 7-OH), 4.19 (m, 1H, H-3), 3.95 (m, 1H, H-12), 3.52 (m, 1H, H-7), 3.22 (m, 1H, H-6), 2.67 (s, 3H, H-21), 2.47 (dd, 1H, H-2), 2.35 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 2.05 (m, 2H, H-14), 1.71 (m, 1H), 1.57 - 1.10 (m, 6H), 1.28 (s, 3H, H22またはH-23), 0.98 (d, 3H, H-24), 0.92 (s, 3H, H22またはH-23), 0.86 (d, 3H, H-25)。
【0192】
ESI-MS: 631.8, 100% [M+H]+; 633.8, 39% [M+H]+。HRMS (モノアイソトピック): m/z 654.2381 [M+Na]+ [C32H42ClN3O6S+Na]の計算値 654.2381。
【0193】
6e: 10 ml EtOH/12 ml DEE中、1.25 g (9.03 mmole)の6-クロロ-3-シアノ-ピリジンの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理し、生じた懸濁液を、室温で一晩、貯蔵する。沈殿を、ろ過により単離し、10 ml EtOH/30 ml DEEでトリチュレートし、1.23 gの粗イミノエステルヒドロクロライドを得る(それは、さらに精製しない)。
【0194】
オキサゾリン形成: 33.0 mgのこの物質(0.15 mmole,イミノエステルモノヒドロクロライドの分子量に基づく)を、20 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に加えて、混合物を、90℃で8時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、4% MeOH/DCMでのFCにかけて、14.27 mgのわずかに不純な生成物を得て、それを、さらに、分取HPLC (30% → 100% ACN、100分)で精製し、11.8 mg (37%)の表題化合物6eを得る。
【0195】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.83 (d, 1H), 8.25 (dd, 1H), 7.65 (dd, 1H), 7.35 (s, 1H, H-19), 6.57 (s, 1H, H-17), 5.44 (t (br), 1H, H-15), 5.16 (d (br), 1H, 3-OH), 4.64 (m, 1H, H-13), 4.30 (d (br), 1H, 7-OH), 4.18 (m, 1H, H-3), 3.89 (m, 1H, H-12), 3.50 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.45 (dd, 1H, H-2), 2.32 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 2.02 (m, 2H, H-14), 1.80 (m, 1H), 1.55 (m, 1H), 1.43 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.16 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.86 (d, 3H, H-25)。
【0196】
ESI-MS: 631.8, 100% [M+H]+; 633.8, 39% [M+H]+。HRMS (モノアイソトピック): m/z 654.2380 [M+Na]+ [C32H42ClN3O6S+Na]の計算値 654.2381。
【0197】
6f: 4 ml EtOH/5 ml DEE中、500 mgの6-ブロモ-3-シアノ-ピリジン(参照にしたがって、PBr3での処理により、6-クロロ-3-シアノ-ピリジンから製造する)の溶液を、0℃で30分間、HBrガスで処理する。(HClの使用により、Br/Cl交換を生じる)。次いで、混合物を、室温まで温め、溶媒を蒸発させ、895 mgの粗イミノエステルヒドロブロマイドを得る。この物質を、10 mlのEtOHに懸濁し、18時間、0.82 mlのEt3Nで処理する。次いで、15 mlのDEEを溶液に加えて、生じた沈殿をろ過により集め、乾燥させる(418 mg)。
【0198】
オキサゾリン形成: 40.0 mgの上記物質(0.15 mmole, イミノエステル遊離塩基の分子量に基づく)を、30 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に加えて、混合物を、90℃まで加熱する。3時間後、追加のイミノエステルを加えて(18 mg)、加熱を、2時間以上、継続する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、3% MeOH/DCMでのFCにかけて、20.7 mgのわずかに不純な物質( > 95%)を得て、それを、さらに、分取HPLC (5% → 100% ACN、100分)で精製し、凍結乾燥後、16.22 mg (48%)の純粋な表題化合物6fを白色粉末として得る。
【0199】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.79 (d, 1H), 8.11 (dd, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.35 (s, 1H, H-19), 6.57 (s, 1H, H-17), 5.44 (m, 1H, H-15), 5.16 (d, 1H, 3-OH), 4.64 (m, 1H, H-13), 4.29 (d (br), 1H, 7-OH), 4.18 (m, 1H, H-3), 3.88 (m, 1H, H-12), 3.50 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.45 (dd, 1H, H-2), 2.33 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 2.02 (m, 2H, H-14), 1.81 (m, 1H), 1.55 (m, 1H), 1.38 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.15 (m, 1H), 0.95 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0200】
ESI-MS: 676.1, 95% [M+H]+; 678.1, 100% [M+H]+。HRMS: m/z 676.20541 [M+H]+ [C32H42BrN3O6S+H]の計算値 676.20561; 698.18691 [M+Na]+ [C32H42BrN3O6S+Na]の計算値 698.18755。
【0201】
6g: 8 ml EtOH/10 ml DEE中、1 gの6-メチル-3-シアノ-ピリジンの溶液を、飽和まで0℃で、HClガスを用いて処理し、生じた懸濁液を、室温で一晩、貯蔵する。混合物を蒸発乾固し、簡単に乾燥させ、1.89 gの粗イミノエステルヒドロクロライドを得る。1.86 gのこの物質を、20 mlのEtOHに懸濁し、Et3N (2 ml)を加え、混合物を、室温で16時間、撹拌する(Et3N添加後、10分以内に、透明な溶液の形成)。次いで、DEE (30 ml)を加え、生じた沈殿をろ過により除去し、DEEで洗浄する。合わせたろ液を蒸発乾固し、1.52 gの物質を得て、それは、NMRによると、イミノエステル遊離塩基および相当するオルトエステルを含んでいた。
【0202】
オキサゾリン形成: 次いで、30.0 mgの上記物質(0.15 mmole, イミノエステル遊離塩基の分子量に基づく)を、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.05 mmole)の溶液に加えて、混合物を、90℃で3時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、4% MeOH/DCMでのFCにかけて、22.3 mgのわずかに不純な(> 90% 純度)物質を得て、それを、さらに、分取HPLC (5% → 100% ACN、100分)で精製し、凍結乾燥後、16.2 mg (53%)の純粋な表題化合物6gを白色粉末として得る。
【0203】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.87 (s, 1H), 8.06 (dd, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.37 (s, 1H, H-19), 6.57 (s, 1H, H-17), 5.43 (m, 1H, H-15), 5.17 (d, 1H, 3-OH), 4.59 (m, 1H, H-13), 4.33 (d, 1H, 7-OH), 4.20 (m, 1H, H-3), 3.84 (m, 1H, H-12), 3.50 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.45 (dd, 1H, H-2), 2.32 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 2.00 (m, 2H, H-14), 1.81 (t (br), 1H), 1.52 (m, 1H), 1.40 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.13 (m, 1H), 0.94 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.84 (d, 3H, H-25)。
【0204】
ESI-MS: 611.9 [M+H]+。HRMS: m/z 612.3102 [M+H]+ [C33H45N3O6S+H]の計算値 612.3107。
【0205】
6h: A. 6-エチル-3-シアノ-ピリジンの製造: 12 mlのTHFおよび1.13 mlのNMP中、6-クロロ-3-シアノ-ピリジン(277 mg, 2.0 mmole)および35.3 mg Fe(acac)2 (0.1 mmole)の溶液に、DEE (3 M; 2.4 mmole)中、0.8 mlのEtMgBrの溶液を加える。混合物を、室温で30分間、撹拌し、その時点で、さらなるDEE (30 ml)を加え、その後、水(10 ml)を加える。有機層を分離し、水性溶液を、DEEで完全に抽出する。合わせた有機抽出物を、水(2 x 10 ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させる。残渣を、ヘキサン/AcOEt 4/1でのFCで精製し、142 mg (54%)の6-エチル-3-シアノ-ピリジンを得る。(ESI-MS: 133 [M+H]+1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.80 (s, 1H), 7.85 (dd, 1H), 7.29 (d. 1H), 2.90 (q, 2H), 1.25 (t, 3H))。
【0206】
B. 4 ml EtOH/5 ml DEE中、140 mgの6-エチル-3-シアノ-ピリジン(1.06 mmole)の溶液を、飽和まで、HClガスを用いて処理する(懸濁液が一時的に形成されるが、飽和後、透明な溶液が形成された)。混合物を、室温で一晩、維持し、溶媒を蒸発させ、残渣を簡単に真空で乾燥させる(228 mg)。次いで、この物質を、5 mlのEtOHに再溶解し、Et3N (0.4 mL)を加える。30分後、DEE (25 ml)を加えて、生じた沈殿をろ過により除去し、DEEで洗浄し、合わせたろ液を蒸発乾固し、133 mgの粗物質を得て、それを、さらなる精製なしに、次の工程で使用する。26.7 mgの物質(0.15 mmole,イミノエステル遊離塩基の分子量に基づく)を、30 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に加えて、混合物を、90℃で6時間、加熱する。追加のイミノエステル/オルトエステルを、6時間後(15 mg)、および9時間後(20 mg)に加える。全90℃で19時間の後、反応混合物を、直接、5% MeOH/DCMでのFCにかけ、6.6 mg (21%)の本質的に純粋な生成物を得る。生物学的研究のために、該物質を、さらに、分取HPLC (5% → 100% ACN、100分)で精製し、凍結乾燥後、2.8 mgの純粋表題化合物6hを白色粉末として得る。
【0207】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.88 (d, 1H), 8.06 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.33 (d, 1H, H-19), 6.55 (s, 1H, H-17), 5.42 (m, 1H, H-15), 5.15 (d, 1H, 3-OH), 4.58 (m, 1H, H-13), 4.29 (d, 1H, 7-OH), 4.20 (m, 1H, H-3), 3.84 (m, 1H, H-12), 3.50 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 2.79 (q, 2H, Etオキサゾリン), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.47 (dd, 1H, H-2), 2.32 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 2.00 (m, 2H, H-14), 1.70 (t (br), 1H), 1.53 (m, 1H), 1.40 (m, 3H), 1.25 (s, 3H, H22またはH-23 + m, 1H), 1.23 (t, 3H, Etオキサゾリン), 1.15 (m, 1H), 0.96 (d, 3H, H-24), 0.90 (s, 3H, H22またはH-23), 0.86 (d, 3H, H-25)。
【0208】
ESI-MS: 625.9 [M+H]+。HRMS: m/z 626.3259 [M+ H]+ [C34H47N3O6S + H]の計算値 626.3264。
【0209】
6i: A. 6-イソ-プロピル-3-シアノ-ピリジンの製造: 12 mlのTHFおよび1.13 mlのNMP中、6-クロロ-3-シアノ-ピリジン(277 mg, 2.0 mmole)および35.3 mg Fe(acac)2 (0.1 mmole)の溶液に、DEE中、2.4 mlのイソ-C3H7MgBrの溶液を加える(1 M; 2.4 mmole)。混合物を、室温で30分間、撹拌し、その時点で、追加のDEE (30 ml)を加え、その後、水(10 ml)を加える。有機層を分離し、水性溶液を、DEEで完全に抽出する。合わせた有機抽出物を、水(2 x 10 ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させる。残渣を、ヘキサン/AcOEt 4/1でのFCにより精製し、224 mg (76%)の6-イソ-プロピル-3-シアノ-ピリジンを得る。(ESI-MS: 146.9 [M+H]+1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.80 (s, 1H), 7.85 (dd, 1H), 7.29 (d. 1H), 3.13 (quin, 1H), 1.33 (d, 6H))。
【0210】
B. 200 mg (1.36 mmole)の6-イソ-プロピル-3-シアノ-ピリジンを、記載したとおり、6時間、相当するイミノエステル遊離塩基およびオルトエステルの274 mgの粗混合物に変換する。30.0 mgのこの物質(0.15 mmole,イミノエステル遊離塩基の分子量に基づく)を、30 μLのEtOHと共に、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.05 mmole)の溶液に加えて、混合物を、90℃で19時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、5% MeOH/DCMでのFCにかけて、6.2 mg (19%)の本質的に純粋な生成物を得る。生物学的研究のために、該物質をさらに、分取HPLC (5% → 100% ACN、100分)で精製し、凍結乾燥後、4.3 mgの純粋な表題化合物6iを白色粉末として得る。
【0211】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.92 (s, 1H), 8.09 (d, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.35 (d, 1H, H-19), 6.55 (s, 1H, H-17), 5.42 (m, 1H, H-15), 5.17 (d, 1H, 3-OH), 4.61 (m, 1H, H-13), 4.34 (d, 1H, 7-OH), 4.20 (m, 1H, H-3), 3.83 (m, 1H, H-12), 3.51 (m, 1H, H-7), 3.20 (m, 1H, H-6), 3.13 (quin, 1H, i-プロピル オキサゾリン), 2.66 (s, 3H, H-21), 2.48 (dd, 1H, H-2), 2.34 (dd, 1H, H-2), 2.10 (s, 3H, H-27), 1.99 (m, 2H, H-14), 1.79 (m, 1H), 1.52 (m, 1H), 1.38 (m, 3H), 1.25 (s, H22またはH-23 + 2 x d + m, 10H), 1.12 (m, 1H), 0.94 (d, 3H, H-24), 0.89 (s, 3H, H22またはH-23), 0.86 (d, 3H, H-25)。
【0212】
ESI-MS: 639.9 [M+H]+。HRMS: m/z 640.3424 [M+ H]+ [C35H49N3O6S + H]の計算値 640.3420。
【0213】
6j: 1.16 gの(7.25 mmole)の6-tert.-ブチル-3-シアノ-ピリジン(参照3にしたがい、3-シアノ-ピリジンおよびピバル酸から製造される)を、上記したとおり、6時間、イミノエステル遊離塩基および相当するオルトエステルの1.26 gの粗混合物に変換する。33.0 mgのこの物質(0.15 mmole,イミノエステルモノヒドロクロライドの分子量に基づく)を、300 μLのDCE中、アミノアルコール3 (ヒドロアセテート; 25.5 mg, 0.050 mmole)の溶液に加えて、混合物を、90℃で1時間、加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、直接、5% MeOH/DCMでのFCにかけて、33.2 mgの不純な物質を得て、それを、さらに、分取HPLC (5% → 100% ACN、100分)で精製し、凍結乾燥後、18.5 mg (57%)の純粋表題化合物6jを白色粉末として得る。
【0214】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.92 (d, 1H), 8.09 (d, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.33 (d, 1H, H-19), 6.55 (s, 1H, H-17), 5.42 (m, 1H, H-15), 5.14 (d, 1H, 3-OH), 4.59 (m, 1H, H-13), 4.30 (d, 1H, 7-OH), 4.20 (m, 1H, H-3), 3.85 (m, 1H, H-12), 3.51 (m, 1H, H-7), 3.21 (m, 1H, H-6), 2.64 (s, 3H, H-21), 2.46 (dd, 1H, H-2), 2.34 (dd, 1H, H-2), 2.11 (s, 3H, H-27), 1.99 (m, 2H, H-14), 1.77 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.37 (m, 3H), 1.33 (s, 9H, tert.-ブチルオキサゾリン), 1.26 (s, 3H22またはH-23 + m, 1H), 1.11 (m, 1H), 0.96 (d, 3H, H-24), 0.90 (s, 3H, H22またはH-23), 0.85 (d, 3H, H-25)。ESI-MS: 654.0 [M+H]+
【0215】
表1
【表1】

【0216】
【表2】

【0217】
【表3】

【0218】
【表4】

【0219】
【表5】

【0220】
【表6】

【0221】
生化学
合成エポチロンの生物学的活性は、チューブリン重合アッセイを介して評価する。
【0222】
1つのアッセイでは、各々の化合物の特定の濃度に曝したとき、微小管に重合化されるチューブリン断片を決定する。
【0223】
重合の誘導
25 μMのエポチロンB(それは、最大の重合化を生じる(100%値))の効果と比較した、5 μM (2 μM)の試験化合物での純粋なウシ脳チューブリンの重合化の誘導。チューブリン重合化は、遠心分離に基づくアッセイを用いて決定する。
【0224】
結果
【化16】

【0225】
【表7】

【0226】
ヒト類表皮癌細胞株KB-31に対するIC50値の決定
ヒト類表皮癌細胞株KB-31およびKB-8511それぞれの増殖阻害のためのIC50値。KB-8511は、KB-31親株のP-糖タンパク質170 (P-gp170)過剰発現多剤耐性サブラインである。細胞を、72時間、化合物に曝す。細胞数を、メチレンブルー染色により、固定した細胞のタンパク質量の定量により概算する。
【0227】
【化17】

【0228】
結果
【表8】

【0229】
【表9】

【0230】
【表10】

【0231】
【表11】

【0232】
ここで:
+ >1000nm
++ 1000-750nm
+++ 750-500nm
++++ 500-250nm
+++++ 250-100nm
++++++ <100nm

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A、B、IまたはII:
【化1】

[式中、
Qは、OまたはSから選択される基であり; そして
Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、オキソ、アミジノ、-B(OH)2、=NR2、-OR2、-SR2、-C(O)R2、-C(O)OR2、-OC(O)R2、-N(R2)R3、-C(O)KN(R2)R3、(CR5R6)j-S(O)lR2、-C(R2)3およびR4から選択されていてもよく;
R2およびR3は、互いに独立して、水素であるか、またはC1-6 アルキル、-(CR5R6)j-カルボシクリルおよび-(CR5R6)j-ヘテロシクリルから選択され、そのいずれかは、所望により、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6 アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミノおよびアミジノから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよく;
R4およびXは、互いに独立して、C1-6 アルキル、C1-6 アルケニル、C1-6 アルキニル、C1-6 アルコキシ、-(CR5R6)j-カルボシクリルおよび-(CR5R6)j-ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アミノから選択され、そのいずれかは、所望により、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6 アルキルおよびC1-6 アルコキシから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよく;
各R5およびR6は、同じであるか、または異なっていてもよく、両者は、独立して、一重結合、水素、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノから選択され;
jは、0、1、2、3、4、5、6または7であり;
Kは、0または1であり;
lは、0、1または2である]
からなる群から選択される化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、N-オキシドもしくはプロドラッグ。
【請求項2】
Qが、Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、式
【化2】

[式中、
R5、R6、jおよびR4が、上記したとおりであり; そして
Wが、NまたはCであり; そして
mが、0、1、2、3または4である]
を有する、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R1が、式
【化3】

[式中、
R5、R6、jおよびR4が、上記したとおりであり; そして
Wが、NまたはCであり; そして
mが、0、1、2、3または4である]
を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、式
【化4】

[式中、
nが、0、1、2または3であり、Tが、NH、OまたはSである]
を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
nが、1である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
mが、1である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R5およびR6が、両方とも水素である、請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
jが、0である、請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R4が、ハロゲンおよびC1-6 アルキルから選択される、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R1が、下記:
H、CH3、C2H5、n-C4H9、tert.-ブチル、OCH3
【化5】

のうちの1個から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の化合物および少なくとも1個の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
医薬としての使用のための、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
癌の処置用医薬の製造における、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物を、疾患を処置するのに有効な量で温血動物に投与することを含む、癌を処置する方法。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物を含む細胞毒性溶液を癌細胞と接触させることを含む、癌細胞を殺す方法。
【請求項17】
式3の化合物を、a) オルトエステルまたはb) イミノエステルで処理することを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物の製造法。
【請求項18】
Xが、アリールまたはヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−512359(P2010−512359A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540655(P2009−540655)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010846
【国際公開番号】WO2008/071404
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】