説明

抗真菌組成物

【課題】 湿潤型の表在性真菌症の症状に合わせた、治療効果の高い製品を提供する。
【解決手段】 ベンジルアミン系抗真菌剤に脂肪酸エステル、粉末成分、アルコール系溶剤および鎮痒成分を配合してなる抗真菌組成物である。好ましいベンジルアミン系抗真菌剤は、ブテナフィンおよびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1つである。ベンジルアミン系抗真菌剤の配合量は組成物中0.05〜5重量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンジルアミン系抗真菌剤に脂肪酸エステル、粉末成分、アルコール系溶剤および鎮痒成分を配合してなる抗真菌組成物に関し、特に白癬菌が皮膚に寄生して発病する表在性真菌症(足白癬、体部白癬、股部白癬など)に対し優れた治療効果を奏する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
表在性真菌症においては真菌は主として皮膚角質層に侵入して増殖するので、抗真菌剤が表在性真菌症に対して優れた薬効を発揮するための条件としては、薬物自体が強い抗真菌活性を有すること、感染部位への高い親和性を有することが必要である。また、表在性真菌症は、患部が比較的乾燥した症状と湿潤した症状とに大きく分けられ、これら患部の状況に適した製剤が必要となっている。近年、このような条件を満たすべく、優れた抗真菌活性と角質親和性を合わせ持つベンジルアミン系抗真菌剤が実用化されている。同抗真菌剤としては、ブテナフィンおよびその塩である塩酸ブテナフィンが知られており、単独使用で優れた作用を示すものであるが、患部の状況に適した製剤の開発は進んでおらず、より症状に合わせた高い治療効果を得ることができ、患者のQOL(生活快適度)改善を達成できる抗真菌剤の開発が望まれている。
【0003】
従来、ベンジルアミン系抗真菌剤に関して、塩酸ブテナフィン、ビフォナゾール、塩酸ネチコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、塩酸テルビナフィン、塩酸アモロルフィンまたはリナフタラートに、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、クロタミトン、ハッカ油およびメントールから選ばれる少なくとも1つを配合した抗真菌組成物(特許文献1参照)や、塩酸ブテナフィンを有効成分とし、水分量を3%以下とした抗真菌性液体外用組成物(特許文献2参照)が知られている。しかしながら、これらの組成物は、抗真菌剤の角質浸透性を高めることを目的としたものであり、湿潤型の表在性真菌症に対する高い治療効果や良好な使用感を得ることを企図したものではない。
【0004】
また、ピロールニトリンと、ラノコナゾール、ブテナフィンまたはその塩およびアリルアミン系抗真菌剤から選ばれる少なくとも1つとを含む抗真菌組成物が提案されている (特許文献3参照)。この組成物は、各単品に比べて強力な抗真菌効果を奏するというものであるが、やはり、湿潤型の表在性真菌症に対する高い治療効果や良好な使用感を得ることを企図したものではない。
【特許文献1】特許第3081766号公報
【特許文献2】特開2001−181182号公報
【特許文献3】特再2000−862776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、湿潤型の表在性真菌症の症状に合わせた高い治療効果を得ることができ、患者のQOL改善を達成できる抗真菌組成物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、角質貯留性、角質親和性、殺菌力に優れたベンジルアミン系抗真菌剤に特定の成分を配合すると、浸出液や湿気により湿潤した患部に対して高い治療効果と好適な使用感を与えることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、ベンジルアミン系坑真菌剤に脂肪酸エステル、粉末成分、アルコール系溶剤および鎮痒成分(脂肪酸エステル、粉末成分、アルコール系溶剤および鎮痒成分を配合成分という)を配合してなる抗真菌組成物である。
【0008】
本発明において、好ましいベンジルアミン系抗真菌剤は、ブテナフィンおよびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1つである。ベンジルアミン系抗真菌剤の配合量は組成物中0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。この配合量が少な過ぎると、十分な抗真菌効果が発揮されず、多過ぎると組成物の安全性が懸念される。
【0009】
本発明で用いる配合成分のうち、脂肪酸エステルは、薬物塗布時の粉末成分の付着性、有効成分の角質への浸透性を向上させる目的で配合され、粉末成分と共に均質な薬剤面を患部に形成して上記目的を達成し、さらに薬剤徐放作用を有する。好ましい脂肪酸エステルは、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、アジピン酸ジイソプロピル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、同45、同55、セバシン酸ジエチル、ソルビタン脂肪酸エステル、パルミチン酸イソプロピル、モノオレイン酸グリセリンおよびモノオレイン酸ソルビタンからなる群より選ばれる少なくとも1つである。脂肪酸エステルの配合量は組成物中2〜40重量%、好ましくは5〜31.96重量%である。この配合量が少な過ぎると、粉末成分の患部への付着が悪く、充分な薬剤浸透性、徐放性が得られない。この配合量が多過ぎると、患部にべた付き感を与え、良好な使用感が得られない。
【0010】
粉末成分は有機物でも無機でもよく、好ましくは、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、カラミン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、カオリン、アエロジル、マイカ、トウモロコシデンプンからなる群より選ばれる少なくとも1つである。粉末成分の配合割合は15〜70重量%、好ましくは20〜50重量%である。この配合量が少な過ぎると、使用感が悪い。この配合量が多すぎると、粉末過多により薬剤の患部への付着、浸透を妨げる。
【0011】
鎮痒成分は、恵部の掻痒感を抑え、掻きむしりによる患部の悪化、薬剤脱落を防ぐ目的で配合される。鎮痒成分の配合量は組成物中0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。この配合量が少な過ぎると、十分な抗真菌効果が発揮されず、多過ぎると組成物の安全性が懸念される。好ましい鎮痒成分は、リドカイン、ジブカイン、プロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエントキシドデカン、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、サリチル酸ジフェンヒドミン、クロタミトンからなる群より選ばれる少なくとも1つである。
【0012】
アルコール系溶剤は、抗真菌剤を溶解し、角質への浸透性、治療効果を高める目的で配合される。アルコール系溶剤の配合量は組成物中15〜80重量%、好ましくは29.94〜74.9重量%である。この配合量が少な過ぎると、抗真菌剤が溶剤に溶解せず、十分な薬効が生じない。この配合量が多過ぎると、溶剤が粉末成分の患部への付着を妨げ、均質な薬剤面の形成を阻害する。好ましいアルコール系溶剤は、メタノール、エタノー ル、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、グリセリン、エチレングリコールおよびこれらの構造異性体(例えば、イソプロパノール、t−ブタノールなど)からなる群より選ばれる少なくとも1つである。
【0013】
本発明による好ましい抗真菌組成物は、抗真菌剤を0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%、脂肪酸エステルを2〜40重量%、より好ましくは5〜31.96重量%、粉末成分を15〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%、アルコール系溶剤を15〜80重量%、より好ましくは29.94〜74.9重量%、および鎮痒成分を0.01〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%含むものである。
【0014】
本発明により、上記構成の抗真菌組成物5〜30重量%と、噴射剤95〜70重量%とからなるエアゾール剤を提供することもできる。好ましい噴射剤は、液化可能な脂肪族炭化水素、例えばプロパン、ブタン類、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の少なくとも1つからなる。
【0015】
本発明による抗真菌組成物には、ベンジルアミン系抗真菌剤および上記配合成分のほかに、保存剤、防腐剤、滑沢剤、キレート剤、香料、溶剤、溶解補助剤、pH調整剤、酸化防止剤、保湿剤、保型剤など(以下、「添加成分」という)や、抗炎症剤、清涼化剤、殺菌剤、収斂剤、血行促進剤、皮膚保護剤、組織修復剤など(以下、「他の有効成分」という)を必要に応じて配合してもよい。
【0016】
抗炎症剤としては、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、アラントイン、l−メントール、dl−メントール、dl−カンフルが例示される。
【0017】
本発明による抗真菌組成物は、皮膚疾患の治療に用いられる通常の剤形で用いられる。剤形の例としては、液剤、軟膏剤(油脂性軟膏、乳剤性軟膏、水溶性軟膏)、リニメント剤、ローション剤、散剤、乳化・懸濁剤、チンキ剤、膣坐剤、エアゾール剤などが挙げられ、好ましくはエアゾール剤である。
【0018】
本発明による抗真菌組成物は、適当な基剤を用いて慣用の方法により上記の剤形に製剤化することができる。
【0019】
基剤としては、アルコール系溶剤、またはこれに、目的とする剤形に応じて、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、マクロゴール等の界面活性剤、カルボキシビニルポリマー、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー ス、カルボキシメチルセルロースなどの高分子、精製水、噴射剤、フェノール類などを添加した基剤を用いる。
【0020】
製剤の代表的なものは下記のように調製される。
【0021】
液剤は、アルコール系溶剤、またはこれに精製水などを加えた基剤に、ベンジルアミン系抗真菌剤、配合成分、必要に応じて加えられる添加成分、および他の有効成分を均一に混合してなる。
【0022】
軟膏剤は、アルコール系溶剤に、ワセリン、白ロウ、パラフィン、植物油、プラスチベース、ポリエチレングリコール、マクロゴールなどを加えた基剤に、ベンジルアミン系抗真菌剤、配合成分、必要に応じて加えられる添加成分、および他の有効成分を均一に混合してなる。
【0023】
ゲル剤は、アルコール系溶剤に、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、精製水などを加えた基剤に、ベンジルアミン系抗真菌剤、配合成分、必要に応じて加えられる添加成分、および他の有効成分を均一に混合してなるゲル状物である。
【0024】
エアゾール剤は、アルコール系溶剤、またはこれに精製水などを加えた基剤に、ベンジルアミン系抗真菌剤、配合成分、必要に応じて加えられる添加成分、および他の有効成分を均一に混合し、得られた混合物をバルブ、アクチュエーターなどを備えた容器に液化可能な炭化水素、例えばプロパン、ブタン穎、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンなどやその混合物などの噴射剤とともに充填してなる。
【0025】
本発明による抗真菌組成物中のベンジルアミン系抗真菌剤の投与量は、剤形、有効成分と配合成分の含有量比率、真菌の種類や症状の程度などに応じて選択されるが、0.01〜10mg/日、好ましくは0.05〜5mg/日の範囲である。投与回数は1日に1回でよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、角質貯留性、角質親和性、殺菌力に優れたベンジルアミン系抗真菌剤に特定の成分を配合することにより、湿潤型の表在性真菌症の症状に合わせた高い治療効果を得ることができ、患者のQOL改善を達成できる抗真菌組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
つぎに、実施例を挙げて本発明の組成物を具体的に説明する。
【0028】
製剤例1(エアゾール剤)
塩酸ブテナフィン 1g
リドカイン 2g
グリチルリチン酸二カリウム 1g
塩酸クロルヘキシジン 0.2g
酸化亜鉛 10g
ステアリン酸マグネシウム 0.5g
タルク 55.3g
ミリスチン酸イソプロピル 15g
イソプロピルアルコール 15g
全量 100g
【0029】
製剤例2(エアゾール剤)
塩酸ブテナフィン 1g
リドカイン 2.5g
グリチルレチン酸 1g
酸化亜鉛 10g
タルク 10g
ミリスチン酸イソプロピル 5g
エタノール 70.5g
全量 100g
【0030】
製剤例3(エアゾール剤)
塩酸ブテナフィン 1g
塩酸ジフェンヒドラミン 2g
グリチルレチン酸 1g
塩酸クロルヘキシジン 1g
酸化亜鉛 10g
タルク 10g
ミリスチン酸イソプロピル 30g
エタノール 45g
全量 100g
【0031】
製剤例4(エアゾール剤)
塩酸ブテナフィン 1g
リドカイン 2.5g
グリチルレチン酸 1g
塩酸クロルヘキシジン 1g
酸化亜鉛 10g
タルク 30g
ミリスチン酸イソプロピル 18.5g
エタノール 36g
全量 100g
【0032】
製剤例5(エアゾール剤)
塩酸ブテナフィン 1g
リドカイン 2.5g
グリチルレチン酸 1g
酸化亜鉛 10g
タルク 20g
ミリスチン酸イソプロピル 20g
エタノール 45.5g
全量 100g
【0033】
製剤例6(エアゾール剤)
塩酸ブテナフィン 1g
塩酸ジフェンヒドラミン 2g
グリチルレチン酸 1g
イソプロピルメチルフェノール 3g
酸化亜鉛 10g
タルク 17g
ミリスチン酸イソプロピル 20g
エタノール 46g
全量 100g
【0034】
上記原液と噴射剤(LPG)を原液:噴射剤=1:9の割合で組み合わせ容器に充填 し、エアゾール剤を製する。
【0035】
性能試験
1)使用感試験
表1に示す配合割合の実施例1、比較例1〜4の抗真菌組成物サンプルについて下記の方法で使用感を評価した。すなわち、7名のパネラーの足指間の同じ箇所に試験サンプルを塗布し、塗布時の塗布し易さ、乾き易さ、塗布後8時間の塗布部分(足指間)のサラサラ感、および、それらを総合的にみた総合的使用感について、下記の評価基準でスコアを付けた。
【0036】
評価基準
良い:5点
やや良い:4点
どちらでもない:3点
やや悪い:2点
悪い:1点
最高スコアは、全評価項目において被験者全員が「良い:5点」と評価した場合のスコアであり、5点×7名×4項目=140点である。
【0037】
最低スコアは、全評価項目において被験者全員が「悪い:1点」と評価した場合のスコアであり、1点×7名×4項目=28点である。
【0038】
得られた結果を表2〜6に示す。これらの表から、実施例1の組成物は良好な使用感を発揮することが分かる。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0039】
2)スクラッチ試験
表1に示す配合割合の実施例1、比較例1〜4の抗真菌組成物サンプルについて、下記の方法でマウスにおける鎮痒効果を評価した。
【0040】
かゆみ惹起物質としてCompound48/80(ICN Biomedicals,Inc製)4.8mgを1mlの生理食塩水(大塚製薬社製)に溶解し、得られた溶液を試験に供した。
【0041】
試験動物として、6週齢ddY系クリーンマウス(雄)を1週間飼い、馴化した後試験に供した。まず、マウスの体重を計測し、後背部をバリカンにて毛剃りし、次いで毛剃り部分に試験サンプルを200mg塗布し、指で20回刷り込んだ。次いで、試験サンプル塗布から30分後にエーテル麻酔を行い、かゆみ惹起物質を体重40gのマウスあたり20μlの割合で皮内投与した(1mlマイクロシリンジ、26G×1/2 0.45×13mm注射針)。皮内投与5分後から20分間、マウスのスクラッチ(マウスが口で皮内投与物質を投与した部分を直接掻く行動)回数をカウントした。試験は各試験サンプル毎に6匹行い、得られた値の平均値を算出した。数値が小さいほど優れている。
【0042】
陽性対象としてかゆみ惹起物質のみを投与したもの、陰性対象として生理食塩水のみを投与したものも、試験した。
【0043】
得られた結果を表7に示す。表7から、実施例1の組成物は良好な鎮痒効果を発揮することが分かる。
【表7】

【0044】
3)有効性試験
表1に示す配合割合の実施例1、比較例1〜4の抗真菌組成物サンプルについて、下記の方法でモルモットにおける抗真菌効果を評価した。
【0045】
<使用動物>
Slc:Haryley系モルモット 6週齢 (雄)
(試験サンプルあたり6匹使用)
<使用菌株>
Trichophyton mentagrophytes
まず、この菌をサブロー寒天斜面培地(栄研化学社製)上で27℃、14日間培養し、次いで滅菌生理食塩水を加えて菌を遊離させ、滅菌済みフィルター(100μm、セルス トレイナー:FALCON社製)で濾過し、2×10/mlの菌液を調製した。
【0046】
<試験法>
モルモットは、1週間飼育し、馴化してから試験に供した。まず、モルモットをペントバルビタールナトリウム麻酔(50mg/ml/kg;ネンブタール注射液(大日本製薬社製)を腹くう内投与)下で、背部を抜毛した。こうして、モルモット1匹に対し、6箇所、被試験物質が交差しないように2cm間隔で2cm×2cmの被験部位を設けた。次いで、抜毛部位(被験部位)を2cm角布粘着テープで3回ストリッピングし、皮膚角質層上部を除去した。酒精綿で皮膚表面を消毒した後、1部位あたり0.1mlの菌液を接種した。接種後、検体動物を湿度60〜68%、温度27℃の条件下で飼育し、接種後5日目から8日間、連続して1日1回、試験サンプルを0.3g塗布し、20回手指で刷り込んだ。感染部位の病変度を1日1回観察し、下記基準に従いスコアを付けた。
【0047】
病変度の評価基準
局所病変が全く認められない状態:0
少数個の小さな紅斑または紅斑性丘疹が島状に散剤して認められる状態、または病変が軽快し新しい被毛が発育してきた状態:1
紅斑が感染部位に広がり、表皮の剥離を伴う状態:2
部分的に強い発赤、腫張などの炎症反応がみられ、豊富に鱗屑が生じる状態:3
肥厚したカ皮の形成、出血性びらんまたは潰瘍が見られる状態:4
試験開始から13日目(薬剤塗布開始から8日目)の被験部位6箇所のスコアの平均値より、試験サンプルの抗真菌活性の有効性を評価した。
【0048】
得られた結果を表8に示す。表8から、実施例1の組成物は有効な抗真菌活性を示すことが分かる。
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンジルアミン系坑真菌剤に脂肪酸エステル、粉末成分、アルコール系溶剤および鎮痒成分を配合してなる抗真菌組成物。
【請求項2】
ベンジルアミン系抗真菌剤がブテナフィンおよびそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1記載の抗真菌組成物。
【請求項3】
脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、アジピン酸ジイソプロピル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、同45、同55、セバシン酸ジエチル、ソルビタン脂肪酸エステル、パルミチン酸イソプロピル、モノオレイン酸グリセリンおよびモノオレイン酸ソルビタンからなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1または2記載の抗真菌組成物。
【請求項4】
粉末成分がタルク、酸化亜鉛、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、カラミン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、カオリン、アエロジル、マイカ、トウモロコシデンプンからなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1〜3のいずれかに記載の抗真菌組成物。
【請求項5】
鎮痒成分がリドカイン、ジブカイン、プロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエントキシドデカン、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、サリチル酸ジフェンヒドミン、クロタミトンからなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1〜4のいずれかに記載の抗真菌組成物。
【請求項6】
アルコール系溶剤がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、グリセリン、エチレングリコールおよびこれらの構造異性体からなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1〜5のいずれかに記載の抗真菌組成物。
【請求項7】
抗真菌剤を0.05〜5重量%、脂肪族エステルを5〜31.96重量%、粉末成分を20〜50重量%、アルコール系溶剤を29.94〜74.9重量%、および鎮痒成分を0.05〜10重量%含む請求項1〜6のいずれかに記載の抗真菌組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の抗真菌組成物5〜30重量%と、噴射剤95〜70重量%とからなるエアゾール剤。


【公開番号】特開2006−232855(P2006−232855A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156419(P2006−156419)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【分割の表示】特願2003−341723(P2003−341723)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】