説明

抗糖尿病化合物

本発明は、主にグルコース依存性のインスリン分泌促進薬として作用する、式(I):A-Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-Z7-Z8-Z9-Z10-Z11-Bの新規なペプチドミメティックを提供する。さらに、これらのペプチドミメティックは、GLP-1受容体アゴニスト活性とともにグルカゴン受容体アンタゴニスト活性を示すことが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)の新規な化合物、それらの互変異性体型、それらの薬学的に許容できる塩、およびそれらを含む薬剤組成物に関する:
A-Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-Z7-Z8-Z9-Z10-Z11-B (I)
【0002】
本発明は、一般式(I)の化合物、それらの互変異性体型、それらの薬学的に許容できる塩、およびそれらを含む薬剤組成物を調製するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、膵臓β細胞からのインスリン分泌の障害、インスリン耐性、または両方によって特徴付けられる(Cavaghan,M.K.ら、J.Clin.Invest.、2000年、106巻、329頁)。2型糖尿病患者の大多数は、肝臓のグルコース生成を低減する薬剤(グルカゴンアンタゴニスト)、GITからのグルコースの吸収を低減する薬剤、β細胞の機能を刺激する薬剤(インスリン分泌促進薬)、または患者のインスリンに対する組織感受性を増強する薬剤(インスリン増感薬)で治療することができる。2型糖尿病を治療するために現在用いられている薬物には、α-グルコシダーゼ阻害薬、インスリン増感薬、インスリン分泌促進薬、およびKATPチャンネルブロッカーが含まれる(Chehade,J.M.ら、Drugs、2000年、60巻、95頁)。しかし、殆ど半数の2型糖尿病対象は、ある期間にわたってこれらの薬剤に対するその反応性を失っており、その結果インスリン療法を必要としている。インスリン治療には欠点がいくつかあり、注射剤であり、低血糖をもたらし、体重増加を引き起こす(Burge,M.R.、Diabates Obes.Metab、1999年、1巻、199頁)。
【0004】
現在の治療には問題点があるため、2型糖尿病を治療する新しい療法が必要とされている。この点に関して、膵臓におけるグルコース依存性のインスリン分泌を促進するグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アゴニスト、ならびにグリコーゲン分解および糖新生を阻害することによって肝臓のグルコース生成を阻害するグルカゴン受容体アンタゴニストが、治療的に可能性があることが見出された。このようにGLP-1アゴニスト、およびグルカゴンアンタゴニストはともに、循環グルコースレベルを低減し、2型糖尿病の治療および予防に有用な治療物質を代表することが見出された(Perry,T.A.、Trends Pharmacol.Sci.、2003年、24巻、377頁)。
【0005】
グルカゴンおよびGLP-1は、構造的に関連するペプチドホルモンファミリー(セクレチンファミリー)のメンバーである。グルカゴンおよびGLP-1は高度に相同なセットのペプチドを構成している、というのはこれら2つのホルモンとも、組織特異的プロセシング時に、腸では優勢にGLP-1、および膵臓では優勢にグルカゴンの生成をもたらす共通の前駆物質であるプレプログルカゴンから生じるからである(Jiang,G.ら、Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.、2003年、284巻、E671〜678頁)。これら2つのペプチドに対する受容体は相同であり(相同性58%)、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のクラスBファミリーに属している。クラスBのGPCRはセクレチン受容体ファミリーとも呼ばれており、ヒトでは15のペプチド結合性受容体を構成している。GPCR受容体は、介在ループおよびC末端テールで7回膜貫通型αへリックスの膜近傍ドメイン(J-ドメイン)に接続している、100〜160残基の細胞外N末端ドメインを含んでいる(Brubaker,P.L.ら、Receptors Channels、2002年、8巻、179頁)。クラスBのGPCRは、典型的にはアミノ酸30〜40個の中程度のサイズの内在性ペプチドリガンドによって活性化される(Hoare,S.R.J.、Drug.Discovery Today、2005年、10巻、423頁;Gether,U.、Endocrine Reviews、2000年、21巻、90頁)。
【0006】
グルカゴンは、膵臓α細胞でPC2によってプログルカゴンからプロセシングされるアミノ酸29個のペプチドホルモンである。グルカゴンは、アミノ酸485個からなる7回膜貫通型GPCRによって作用する。グルカゴンは、循環するグルコースが低い場合に血中に放出される。グルカゴンの主な生理学的役割は、肝臓のグルコース排出を刺激し、それによって血糖症における増大をもたらすことである(Tan,K.ら、Diabetologia、1985年、28巻、435頁)。グルカゴンは、in vivoでグルコースの恒常性を維持する点で、インスリンに対する主要な対抗制御的な機序をもたらす。グルカゴンおよびその受容体は、糖尿病の治療に対する潜在的な標的を代表する。グルカゴン受容体において分泌されたグルカゴンの作用をブロックすることによって(グルカゴンアンタゴニスト)、またはグルカゴンの生成自体を阻害する(抑制する)ことによってグルカゴンの作用に拮抗することは、糖尿病および代謝障害の介入への新たな手段を代表するものである(Unson,C.G.ら、Peptides、1989年、10巻、1171頁;Parker,J.C.ら、Diabetes、2000年、49巻、2079頁;Johnson,D.G.、Science、1982年、215巻、1115頁)。
【0007】
GLP-1(7〜36)アミドは、食物の摂取に反応して腸のL細胞から分泌される、プレプログルカゴン遺伝子の産物である。GLP-1の生理学的作用は、かなりの関心を集めている。GLP-1は、グルコース依存性の様式で(インスリン分泌性作用)、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を刺激することによって多数の作用を発揮する。GLP-1は、α細胞からのその分泌(生成)を阻害することによって循環する血漿グルカゴン濃度を低下させる(Drucker D.J.、Endocrinology、2001年、142巻、521〜527頁)。GLP-1は、β細胞の増殖の刺激、食欲抑制、胃排出の遅延、およびインスリン感受性の刺激などの性質も表す(Nauck,M.A.、Horm.Metab.Res.、2004年、36巻、852頁)。現在、Liraglutide/NN2211(Novo Nordisk;III相;WO1998/008871)、BIM51077(Ipsen;II相;WO2000/034331)、CJC-1131(ConjuChem;II相;WO2000/069911)、およびZP-10(Zealand&Aventis;II相;WO2001/004156)などの様々なGLP-1およびEX-4の類似体が、臨床開発の様々な段階上にある(Nauck M.A.、Regulatory Peptides、2004年、115巻、13頁)。最近では、BYETTA(登録商標)(エキセンジン-4、AC2933;US5424286)が米国市場に乗り出している(Amylin&Lilly)。しかし、存在する全てのGLP-1アゴニストは、非経口の投与経路によって送達され、そのため現存するGLP-1ベースの療法では、患者の不承諾が主な問題点である。
【0008】
グルカゴンおよびGLP-1受容体のエフェクター系は、アデニル酸シクラーゼ(AC)酵素である。グルカゴンまたはGLP-1のアゴニストの、それぞれグルカゴンまたはGLP-1受容体(GLP-1 R)との相互作用は、ATPをcAMPに変換するACの活性化を引き起こす。細胞内cAMPレベルが増大するとADP/ATP比が増大し、その結果細胞の脱分極が開始する(KATPチャンネルの閉鎖により)。細胞内cAMPレベルの増大によりプロテインキナーゼ(PK-AおよびPK-C)も活性化し、これらキナーゼはL型のCa2+チャンネルを開くことによって細胞質Ca2+濃度を増大させる。細胞内Ca2+の増大により、膵臓β細胞におけるインスリンの、およびα細胞におけるグルカゴンペプチドのエクソサイトーシスがもたらされる(Fehmann,H.C.、Endocr.Rev.、1995年、16巻、390頁)。
【0009】
以下に示すGLP-1およびグルカゴン配列のアラインメントは、一次構造の関係を表している:
グルカゴン:NH2-1RSQGTFTSD9YSKYLDSRRAQDFVQWLMNT-CONH2 (配列番号1)
GLP-l (7〜36):NH2-1HAEGTFTSD9VSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR-CONH2 (配列番号2)
C末端アミドを有するGLP-1ペプチドのN末端の最初の1〜9残基:NH3(+)-1HAE(-)GTFTSD9(-)-CONH2 (配列番号3):正味荷電ネガティブ
C末端アミドを有するグルカゴンペプチドのN末端の最初の1〜9残基:NH3(+)-1HSQGTFTSD9(-)-CONH2 (配列番号4):正味荷電ニュートラル
アミノ酸に対する1文字略記は、Zubay, G.、Biochemistry第2版、1988年、MacMillan Publishing、New York、33頁に見ることができる。
【0010】
天然または合成のGLP-1ペプチドは、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)などのタンパク質分解酵素によって不活性の代謝物に速やかに分解され、その結果GLP-1の薬物としての使用は制限される(Deacon,C.F.、Regulatory Peptides、2005年、128巻、117頁)。同様に、多様な構造の、いくつかの非ペプチジルおよびペプチジルのグルカゴン受容体アンタゴニストが近年にわたって報告されているが、そのどれも積極的に開発されておらず、または臨床試験中ではない(Kurukulasuriya, R.、Expert Opinion Therapeutic Patents、2005年、15巻、1739頁;Lau, J., J.、Med. Chem.、2007年、50巻、113頁;Petersen, K.、F. Diabetologia、2001年、44巻、2018頁;Cascieri, M. A.、JBC、1999年、274巻、8694頁)。クラスBのGPCRに対する非ペプチドのリガンド(特にアゴニスト)を同定することは、薬物の発見における大きなボトルネックであると考えられている。HTSは見たところ少数のヒットを生じているが(US 2005/6927214; WO 2000/042026; US 2007/0043093)、対応する受容体に対するこれらのヒットのスクリーニングは、特にin vivoの条件下(動物モデル)では偽陰性を生じやすい(Murphy,K.G.、PNAS、2007年、104巻、689頁)。
【0011】
グルカゴンもGLP-1も、全身のグルコースの恒常性において主要な役割を果たしている(Drucker,D.J.、Clin.Investl、2007年、117巻、24頁;Bollyky,J.、J.Clin.Endocrinol.Metab.、2007年、92巻、2879頁)。グルカゴンは肝臓において糖新生およびグリコーゲン分解を刺激することによって血漿グルコース濃度を増大し、GLP-1はグルコース依存性のインスリン分泌によって媒介されて血漿グルコース濃度を低減する(Mojsov,S.ら、JBC.、1990年、265巻、8001頁)。近年、正常な血中グルコース濃度を維持する上でグルカゴンペプチドおよびGLP-1両方の重要性を知ることによって、グルカゴン受容体アンタゴニストおよびGLP-1受容体アゴニストとして作用する単一のリガンドを同定することにかなりの関心が寄せられている(Claus,T.H.、J.Endocrinology、2007年、192巻、371頁;Pan C.Q.、JBC、2006年、281巻、12506頁)。
【0012】
強力な非ペプチドGLP-1アゴニストの同定は困難なことがあるが(Chen,D.、PNAS、2007年、104巻、943頁;Knudsen,L.B.、PNAS、2007年、104巻、937頁)、グルカゴンアンタゴニストおよびGLP-1受容体アゴニストの両方として作用するハイブリッドのペプチドミメティックを設計することで、2型糖尿病の治療に新規なアプローチを提供する可能性がある(Claus,T.H.、J.Endocrinology、2007年、192巻、371頁)。グルカゴンおよびGLP-1配列の両方における個々のアミノ酸の役割を決定するために、構造活性相関(SAR)の研究が文献に報告されている(Runge,S.、JBC、2003年、278巻、28005頁;Mann,R,、Biochem.Soc.Trans.、2007年、35巻、713頁)。グルカゴンおよびGLP-1は水溶液では定義された構造をもたないが、ミセルの存在下または膜を擬した環境下では、中央部分にαヘリックス構造を採用し、柔軟なNおよびC末端領域を有する(Thornton,K.、Biochemistry、1994年、33巻、3532頁;Neidigh,J.W.、Biochemistry、2001年、40巻、13188頁)。これは、ヘリックス構造が、ペプチドのリガンドがそれぞれの受容体に結合するのに必要とされることを示唆している。両方のペプチドのN末端領域におけるアミノ酸が変異または欠失すると受容体のアンタゴニストまたは不活性な化合物がもたらされ、グルカゴンおよびGLP-1ペプチド両方による受容体の活性化にはN末端が重要であることを示唆している(Hjorth,S.A.、JBC.、1994年、269巻、30121頁;Green,B.D.、J.Mol.Endocrinology、2003年、31巻、529頁)。in vivoでは、GLP-1は、N末端ポジションの最後から2番目にプロリンまたはアラニン残基を含むペプチドの切断を担い不活性の代謝物をもたらすプロテアーゼであるジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)によって速やかに分解される。DPP-IVの感受性部位の置換、例えばGLP-1ペプチドの2番目のポジションにおけるAlaをD-Ala、Aibで置換することで、血漿の安定性が大幅に改善される(Deacon,C.F.、Diabetes、1998年、47巻、764頁)。
【0013】
本調査において、本発明者らは、グルカゴンペプチドのN末端配列(最初の1〜9残基、配列番号4)を2つの非天然アミノ酸のジペプチドと連結すると、様々な程度の選択性で、グルカゴンアンタゴニスト作用およびGLP-1アゴニスト作用の両方を有する新規なクラスのペプチドミメティックの同定がもたらされることを見出した。DPP-IV酵素に対する作用および安定性の持続時間を増強するために、本発明者らは、ハイブリッドのペプチドミメティックのZ2ポジションを選択的に、D-Ala、Aib、および1-アミノシクロプロパンカルボン酸(ACP)などの非天然アミノ酸で部位特異的に修飾し、短いペプチドミメティックを同定するのに成功した。ペプチドミメティックのいくつかは経口の投与経路によっても有効性を示し、グルカゴンのアンタゴニスト活性およびGLP-1のアゴニスト活性の両方を保持していた。
【0014】
先行技術
一般式Xaa1〜Xaa11を有する一連のヒトGLP-1模倣物が報告されており、この場合Xaa1〜Xaa9はGLP-1ペプチドの最初の1〜9残基を表し(HAEGTFTSD;配列番号3)、いくつかの類似体ではXaa2はAlaを表し、または場合によりAibで置換されており、Xaa3はグルタミン酸、アスパラギン酸などではあるがGln(Q)ではないカルボン酸側鎖を有するアミノ酸を表し、グルカゴンペプチドのN末端配列に保存されている(HSQGTFTSD、配列番号4)。Xaa6はPheを表し、または-α-Me-2F-Phe-で場合により置換されており、Xaa9はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンなどのカルボン酸またはアミド側鎖を有するアミノ酸を表し、Xaa10およびXaa11は置換または非置換のビフェニルアラニン(Bip)誘導体の組合せを表す(WO2003/033671 A2、US2004/0127423 A1、WO2004/094461 A2、US2006/0004222 A1、WO2006/014287 A1、WO2006/127948 A2、WO2007/082264 A2、US2007/0021346 A1、US2007/0099835)。
【0015】
本発明は、主にグルカゴン受容体アンタゴニストとして作用し、GLP-1Rアゴニスト作用も表す、式(I)の新規なペプチドミメティック(以下、ペプチドミメティックと呼ぶ)を提供する。本発明において報告する様々なペプチドミメティックは、著しいグルコース依存性インスリン分泌を示し(in vitro)、循環グルコースレベルを低減し(in vivo)、グルカゴンおよびGLP-1受容体に対して様々なレベルの親和性/選択性を有した。さらに、これらのペプチドミメティックはタンパク質分解性の切断に対して安定性の増大を示し、特にDPP-IV酵素に対して半減期の改善を示した。ペプチドミメティックのいくつかは、GIT酵素および胃の酸性のpHに対して安定であることが見出され、経口のバイオアベイラビリティを有し、1型および2型両方の糖尿病、代謝障害、および関連の障害の治療/緩和/予防に適する候補薬剤となった。
【0016】
二重作用のペプチドミメティックに対する設計戦略(グルカゴンアンタゴニストおよびGLP-1アゴニスト)
グルカゴンとGLP-1ペプチドとの間の類似性、およびそれぞれの受容体間の類似性は、両方の受容体に結合することができるが、グルカゴン受容体ではアンタゴニスト活性を、GLP-1受容体ではアゴニスト活性を選択的に表すハイブリッドのペプチドミメティックを生成する可能性が生じる。さらに、経口のバイオアベイラビリティを有し、代謝上の安定性を増大するために、アミノ酸配列のより短いペプチドミメティックを開発することも不可欠である。
【0017】
ペプチドリガンドの、クラスBのGPCRとの相互作用の一般的な機序は出現しており、「2ドメイン」モデルと呼ばれている。ペプチドのC末端部分は受容体のNドメインに結合し、リガンドの受容体との結合を確実にし、N末端のリガンド領域はJドメインに結合し、これは受容体を活性化し細胞内シグナリングを刺激する相互作用である(図1)(Ji,T.H.、JBC、1988年、273巻、17299頁;Hjorth,S.A.ら、Regulatory Peptides、1996年、64巻、70頁)。このように、GLP-1およびグルカゴン受容体のNドメインは、それぞれGLP-1およびグルカゴンペプチドのC末端部分の選択性を決定する(Hoare,S.R.J.、Drug Discovery Today、2005年、10巻、423頁)。
【0018】
両方の受容体と結合し、GLP-1受容体上でアゴニスト活性を表すが、グルカゴン受容体上ではアンタゴニスト活性を表す短鎖のペプチド/ペプチドミメティックを設計するために、本発明者らは、内因性のペプチドリガンドの成分を活性化し、結合する両方の重要性を示す2ドメインモデル概念を調査することに決定した(クラスB、GPCRに関する文献に報告した)。
【0019】
最近では、主にグルカゴンペプチドのN末端残基(残基1〜26)をGLP-1ペプチドのC末端の最後の4残基(VKGR)と組み合わせることによって構築される、GLP-1受容体アゴニストおよびグルカゴン受容体アンタゴニストの両方として作用する一連のキメラのペプチド(組換えで調製されたもの)が報告されている(Pan C.Q.ら、US6864069、PanC.Q.、JBC、2006年、281巻、12506頁)。しかし、これらの報告にはGLP-1受容体アゴニストおよびグルカゴン受容体アンタゴニストの性質を表す全長のキメラペプチドは記載されているが、短鎖のペプチド/ペプチドミメティックは記載されていない。広義には、この概念はGLP-1のC末端配列(特に最後の4残基、VKGR)をグルカゴン配列中に組み入れることによって、GLP-1受容体アゴニストおよびグルカゴン受容体アンタゴニストの両方として作用する新規なペプチドの形成がもたらされることを指摘している。
【0020】
このように二重のGLP-1アゴニスト活性およびグルカゴンアンタゴニスト活性に対して、GLP-1ペプチド配列の結合成分は不可欠であり(少なくとも最後の4残基)、GLP-1受容体の活性化およびグルカゴン受容体の阻害にはグルカゴンペプチドのN末端配列が必要とされる。しかし、このように二重に作用するペプチドミメティックを設計する一方で、新規なペプチドミメティックが経口で生物学的に利用可能であり得るように最短のペプチド配列を保つことも不可欠である。さらに、N末端ポジションの最後から2番目のN末端ジペプチドを選択的に切断するDPP-IV酵素に対する代謝上の安定性を改善するために、DPP-IVに安定なアミノ酸を、特に2番目のポジションに組み入れることが不可欠である。
【0021】
長さの短い結合成分を探す上で、本発明者らは、置換または非置換の非天然ジペプチドアミノ酸(Bip-Bip)の、GLP-1およびグルカゴン受容体結合親和性を調査した。このような非天然ジペプチドアミノ酸は、GLP-1アゴニスト活性を有する潜在的なペプチドミメティックとして、GLP-1ペプチド配列のN末端の最初の1〜9残基の組合せで報告されている(WO2003/033671 A2、US2004/0127423 A1、WO2004/094461 A2、US2006/0004222 A1、WO2006/014287 A1、WO2006/127948 A2、WO2007/082264 A2、US2007/0021346 A1、US2007/0099835)。驚くべきことに、本発明者らのin vitroのヒトGLP-1およびグルカゴンの受容体のアッセイでは、ジペプチドである(Bip(OMe)-Bip(2Me)/Bip(OMe)-Bip(Pyr)/Bip(OMe)-Bip(2F)/Bip(OMe)-Bip(2CF3))[図2]は、ヒトGLP-1およびグルカゴンの受容体のアッセイの両方でアンタゴニスト活性を示した[図3]。
【0022】
GLP-1およびグルカゴンの受容体両方に対するジペプチドの結合親和性を知ることにより、本発明者らはこれらの結合成分を活性化単位と連結することに決定した。驚くべきことに、GLP-1ペプチドのN末端配列の最初の9残基の代わりに(HAEGTFTSD、配列番号3)、本発明者らがこのジペプチドをグルカゴンペプチドのN末端配列の最初の9残基に結合させた場合(1HSQGTFTSD9;配列番号4)、このペプチドミメティック(NH3+-HSQGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me)-CONH2;配列番号5)が、GLP-1受容体アゴニスト活性とともにグルカゴン受容体アンタゴニスト活性を主に示すことを本発明者らは見出した[図4]。
【0023】
さらに、タンパク質分解性の切断、特にDPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼ-IV)酵素に対して、この二重作用のペプチドミメティックの安定性を増大するために、本発明者らはGLP-1アゴニスト活性およびグルカゴンアンタゴニスト活性の両方を保持しながら、ハイブリッドのペプチドミメティックを、選択的にポジション2においてD-Ala、Aib、またはACPなどの非天然アミノ酸で部位特異的に修飾し、代謝上安定な短いペプチドミメティックを同定するのに成功した。
【0024】
経口経路の薬物投与は投与が容易であるため一般的に患者に受け入れられているが、初回通過効果とともに吸収および酵素のバリアに遭遇する。経口経路の薬物投与は一般に好まれる経路であるが、ペプチドおよびタンパク質の薬物のこの経路による送達は、透過性が劣り、胃腸管における分解が速やかであるため現在限られている。したがって、殆どの市販のペプチドおよびタンパク質の薬物は非経口の経路によって投与される。しかし、患者の不承諾により、またペプチドおよびタンパク質の薬物の半減期が短いため、非経口経路の投与はこれらの薬物の送達には適さない。このように、殆どのペプチドおよびタンパク質の薬物の臨床上の有用性は、これらの物理化学的性質が好ましくない(例えば、分子量、代謝的感受性、および親水性が高い)ため、現在限られている(Morishita,M.、Drug Discovery Today、2006年、11巻、905頁)。
【0025】
上皮は、バイオ医薬品を送達するための良好な標的を代表する。しかし、上皮の性質は半透性であるため、ペプチドおよびタンパク質の薬物の表面を通した通過は制限され、その結果主な吸収バリアとして作用する(Morishita,M.、Drug Discovery Today、2006年、11巻、905頁)。上皮細胞の細胞膜は、膜の脂質およびタンパク質の連続的な二重層でできている。膜の脂質は、糖脂質およびコレステロール分子とともにホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルエタノールアミンなどの両親媒性のリン脂質からなる[図5]。
【0026】
ホスファチジルコリンおよびスフィンゴミエリンはニュートラルのリン脂質であり、ホスファチジルセリンはネガティブに荷電しているリン脂質である。生理学的pHでは、殆どの上皮はホスファチジルセリンの存在によりネガティブの正味荷電を表す。このように、本発明者らはペプチドミメティックを設計する一方で、ネガティブの正味荷電を避ける試みを行った。概して本発明において設計した配列の全てにおいてニュートラルの正味荷電が維持されたが、これはGLP-1ペプチドのN末端配列の最初の1〜9残基(配列番号4)ではなく、グルカゴンペプチドのN末端配列の最初の1〜9残基(配列番号4)を組み入れることによって可能であり得るものであり、ポジション3のグルタミン(Q;グルカゴン配列において保存されている)対グルタミン酸(E;GLP-1配列において保存されている)のためにその正味荷電が主に異なる(ニュートラル対正味のネガティブ)。全体的に単一の治療用化合物にはかなりのポテンシャルが存在し、GLP-1Rアゴニストおよびグルカゴン受容体アンタゴニストの両方として機能し、好ましくはペプチド鎖の長さが短いために、このようなペプチドミメティックは糖尿病および関連する代謝障害の治療または予防に経口でバイオアベイラブルであり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】WO1998/008871
【特許文献2】WO2000/034331
【特許文献3】WO2000/069911
【特許文献4】WO2001/004156
【特許文献5】US5424286
【特許文献6】US2005/6927214
【特許文献7】WO2000/042026
【特許文献8】US2007/0043093
【特許文献9】WO2003/033671 A2
【特許文献10】US2004/0127423 A1
【特許文献11】WO2004/094461 A2
【特許文献12】US2006/0004222 A1
【特許文献13】WO2006/014287 A1
【特許文献14】WO2006/127948 A2
【特許文献15】WO2007/082264 A2
【特許文献16】US2007/0021346 A1
【特許文献17】US2007/0099835
【特許文献18】US6864069
【非特許文献】
【0028】
【非特許文献1】Cavaghan,M.K.ら、J.Clin.Invest.、2000年、106巻、329頁
【非特許文献2】Chehade,J.M.ら、Drugs、2000年、60巻、95頁
【非特許文献3】Burge,M.R.、Diabates Obes.Metab、1999年、1巻、199頁
【非特許文献4】Perry,T.A.、Trends Pharmacol.Sci.、2003年、24巻、377頁
【非特許文献5】Jiang,G.ら、Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.、2003年、284巻、E671〜678頁
【非特許文献6】Brubaker,P.L.ら、Receptors Channels、2002年、8巻、179頁
【非特許文献7】Hoare,S.R.J.、Drug.Discovery Today、2005年、10巻、423頁
【非特許文献8】Gether,U.、Endocrine Reviews、2000年、21巻、90頁
【非特許文献9】Tan,K.ら、Diabetologia、1985年、28巻、435頁
【非特許文献10】Unson,C.G.ら、Peptides、1989年、10巻、1171頁
【非特許文献11】Parker,J.C.ら、Diabetes、2000年、49巻、2079頁
【非特許文献12】Johnson,D.G.、Science、1982年、215巻、1115頁
【非特許文献13】Drucker D.J.、Endocrinology、2001年、142巻、521〜527頁
【非特許文献14】Nauck,M.A.、Horm.Metab.Res.、2004年、36巻、852頁
【非特許文献15】Nauck M.A.、Regulatory Peptides、2004年、115巻、13頁
【非特許文献16】Fehmann,H.C.、Endocr.Rev.、1995年、16巻、390頁
【非特許文献17】Zubay, G.、Biochemistry第2版、1988年、MacMillan Publishing、New York、33頁
【非特許文献18】Deacon,C.F.、Regulatory Peptides、2005年、128巻、117頁
【非特許文献19】Kurukulasuriya, R.、Expert Opinion Therapeutic Patents、2005年、15巻、1739頁
【非特許文献20】Lau, J., J.、Med. Chem.、2007年、50巻、113頁
【非特許文献21】Petersen, K.、F. Diabetologia、2001年、44巻、2018頁
【非特許文献22】Cascieri, M. A.、JBC、1999年、274巻、8694頁
【非特許文献23】Murphy,K.G.、PNAS、2007年、104巻、689頁
【非特許文献24】Drucker,D.J.、Clin.Investl、2007年、117巻、24頁
【非特許文献25】Bollyky,J.、J.Clin.Endocrinol.Metab.、2007年、92巻、2879頁
【非特許文献26】Mojsov,S.ら、JBC.、1990年、265巻、8001頁
【非特許文献27】Claus,T.H.、J.Endocrinology、2007年、192巻、371頁
【非特許文献28】Pan C.Q.、JBC、2006年、281巻、12506頁
【非特許文献29】Chen,D.、PNAS、2007年、104巻、943頁
【非特許文献30】Knudsen,L.B.、PNAS、2007年、104巻、937頁
【非特許文献31】Runge,S.、JBC、2003年、278巻、28005頁
【非特許文献32】Mann,R,、Biochem.Soc.Trans.、2007年、35巻、713頁
【非特許文献33】Thornton,K.、Biochemistry、1994年、33巻、3532頁
【非特許文献34】Neidigh,J.W.、Biochemistry、2001年、40巻、13188頁
【非特許文献35】Hjorth,S.A.、JBC.、1994年、269巻、30121頁
【非特許文献36】Green,B.D.、J.Mol.Endocrinology、2003年、31巻、529頁
【非特許文献37】Deacon,C.F.、Diabetes、1998年、47巻、764頁
【非特許文献38】Ji,T.H.、JBC、1988年、273巻、17299頁
【非特許文献39】Hjorth,S.A.ら、Regulatory Peptides、1996年、64巻、70頁
【非特許文献40】Hoare,S.R.J.、Drug Discovery Today、2005年、10巻、423頁
【非特許文献41】Morishita,M.、Drug Discovery Today、2006年、11巻、905頁
【非特許文献42】G. BaranyおよびR. B. Merrifield、「Special methods in peptide synthesis, Part A、第2巻」3〜284頁の「The peptides: Analysis, synthesis, Biology」E. GrossおよびJ. Meienhofer編、Academic Press、New York、1980年
【非特許文献43】J. M.Stewart and J. D. Young、「Solid-phase peptide synthesis」第2版、Pierce chemical Co.、Rockford、Il、1984年
【非特許文献44】E. AthertonおよびR.C. Sheppard、「The peptides: Analysis, synthesis, Biology」第9巻、「Special methods in peptide synthesis, Part C」における、「The Fluorenylmethoxycarbonyl amino protecting group」、1〜38頁S、UndenfriendおよびJ. Meienhofer編、Academic Press、San Diego、1987年
【非特許文献45】Kotha,S.ら、Tetrahedron、2002年、58巻、9633頁
【非特許文献46】Boesten,W.H.J.ら、Org.Lett.、2001年、3巻(8)、1121頁
【非特許文献47】King,D.S.ら、Int.J.Peptide Protein Res.、1990年、36巻、255頁
【非特許文献48】Montrose-Rafizadeh C.ら、Mol. Cell. Endo.、1997年、130巻、109頁
【非特許文献49】Wang, X.ら、Endocrinology、2001年、5巻、1820頁
【非特許文献50】Wheeler,M.B.ら、Endocrinology、1993年、133巻、57頁
【非特許文献51】Fermann,H.C.ら、Peptides、1994年、15巻、453頁
【非特許文献52】Chen,D.ら、Diabetes Obesity Metabolism、2005年、7巻、307頁
【非特許文献53】Kim,J.G.ら、Diabetes、2003年、52巻、751頁
【非特許文献54】Johannson G.、J.,Clin.Endocrinol.Metab.、1997年、82巻、727頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、グルカゴン受容体のアンタゴニストおよびGLP-1受容体アゴニストの両方として機能し、両方の受容体に対して様々な程度の親和性/選択性を有し、循環グルコースレベルを低減し糖尿病を治療するのに有用な、新規なペプチドミメティックのグループを記載する。これらのペプチドミメティックは、下記に示す一般式(I)によって定義される。本発明のペプチドミメティックは、インスリンおよびグルカゴン作用を制御することによって、ヒトまたは動物の身体の治療に有用である。したがって、本発明のペプチドミメティックは、1型および2型糖尿病、ならびに関連の代謝障害の治療/緩和/制御または予防に適する。
【0030】
好ましい実施形態
本発明の好ましい一実施形態は、糖尿病の治療/緩和/制御に適する、一般式(I)の新規なペプチドミメティック、これらの互変異性体型、これらの合成に関与する新規な中間物質、これらの薬学的に許容できる塩、これらの薬学的に許容できる溶媒和物、およびこれらまたはこれらの混合物を含む薬剤組成物を提供することである。
【0031】
別の好ましい一実施形態では、一般式(I)の新規なペプチドミメティック、これらの互変異性体型、これらの薬学的に許容できる塩、薬学的に許容できる溶媒和物、およびこれらを含む薬剤組成物を調製するための方法を提供する。
【0032】
さらに好ましい一実施形態では、薬学的に許容できる担体、溶媒、希釈剤、賦形剤、およびこれらの製造で通常使用される他の媒体を有する、一般式(I)の新規なペプチドミメティック、これらの互変異性体型、これらの薬学的に許容できる塩、溶媒和物、およびこれらの混合物を含む薬剤組成物を提供する。
【0033】
なおさらに好ましい一実施形態では、式(I)のペプチドミメティックまたはその薬学的に許容できる組成物の治療上有効な非毒性の量を、そのような治療を必要とする哺乳動物に投与することによる、抗糖尿病薬としての本発明の新規なペプチドミメティックの使用を提供する。
【0034】
用いた略語
以下の略語を、実施例および本明細書の他所で使用する:
Aib=α-アミノイソ酪酸、
ACN=アセトニトリル、
Bip=ビフェニルアラニン残基、
Bn=ベンジル、
Boc=tert-ブトキシカルボニル、
But=O-tert-ブチル基,
cAMP=環状アデノシン3',5'-一リン酸、
DCM=ジクロロメタン、
DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、
DIPCDI=ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
Et=エチル、
Et2O=ジエチルエーテル、
Fmoc=フルオレニルメトキシカルボニル、
g=グラム、
GLP-1R=グルカゴン様ペプチド-1受容体
グルカゴンR=グルカゴン受容体、
h=時間、
HOBt=ヒドロキシベンゾトリアゾール、
HOAt=7-アザヒドロキシベンゾトリアゾール、
HBTU=2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸、
HPLC=高速液体クロマトグラフィー、
i.p.=経口、
L=リットル、
LC/MS=液体クロマトグラフィー/質量分析法、
Me=メチル、
Min=分、
mL=ミリリットル、
μl=マイクロリットル、
mg=ミリグラム、
mmol=ミリモル、
MS=質量分析法、
PyBOP=ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸、
SPPS=固相ペプチド合成、
sc=皮下、
TMS=トリメチルシリル、
TIPS=トリイソプロピルシラン、
TFA=トリフルオロ酢酸、
TBTU=2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、
Trt=トリチル基。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】ペプチドリガンドのクラスBのGPCRとの相互作用に関する2ドメインモデルを示す図である。
【図2】in vitroでグルカゴン/GLP-1アンタゴニスト活性を示したジペプチドの構造を示す図である。
【図3】ジペプチド(Bip(OMe)-Bip(2Me))のin vitroのヒトグルカゴンおよびGLP-1受容体のアンタゴニスト活性を示す図である。
【図4】配列番号5のin vitroのヒトグルカゴン受容体のアンタゴニスト活性およびGLP-1受容体のアゴニスト活性を示す図である。
【図5】上皮膜のいくつかの構造上の成分を示す図である。
【図6】ペプチドミメティックのFmocベースの固相ペプチド合成(SPPS)で用いられる直角に保護されているアミノ酸の例を示す図である。
【図7】HGLP-1Rアッセイ(放出されたcAMPの量によって測定するアゴニスト活性)における、エキセンジン(図A)および配列番号32(図B)のin vitroのDRCおよびEC50定量を示す図である。
【図8】配列番号32を腹腔内(i.p.)投与後のC57マウスにおけるin vivoのグルコース低減を示す図である(用量反応曲線(DRC))。
【図9】配列番号32を経口(p.o.)投与後のC57マウスにおけるin vivoのグルコース低減を示す図である(用量反応曲線(DRC))。
【図10】配列番号32を経口(p.o.)投与後のdb/dbマウスにおけるin vivoのグルコース低減を示す図である。
【図11】C57BL/6Jマウスにおけるビヒクル/試験ペプチドミメティック(配列番号30、31、および32)の単回経口投与後の血清インスリンレベル(in vivo)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明によれば、構造式(I)を有する合成のペプチドミメティックはグルコース依存性のインスリン分泌を示す。さらにこれらのペプチドミメティックは、GLP-1受容体アゴニスト活性とともに、グルカゴン受容体アンタゴニスト活性を示すことが見出された。これらの二重作用のペプチドミメティックは、特にDPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼ-IV)酵素に対して、タンパク質分解性の切断に対する安定性の増大を表す。ペプチドミメティックの殆どは、最高24時間、ラット血漿において安定であることが見出され(in vitro)、ペプシンなどのGIT酵素および胃の酸性のpHに対して、ならびに肝ミクロソームに対しても安定性の増大を示した(in vitro)。代謝上の安定性が増大するため、および正味荷電のプロファイルが望ましいため、これらのペプチドミメティックのいくつかは糖尿病および関連の代謝障害を治療または予防するために経口の投与経路によって送達することもできる。
A-Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-Z7-Z8-Z9-Z10-Z11-B
(I)
式中、Aは、-NH-R1、R3-CO-、またはR3-SO2-基を表し、R1は、水素、または場合により置換されている直鎖もしくは分枝(C1〜C10)アルキル鎖を表し、R3は、直鎖、または分枝(C1〜C10)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくはアリールアルキル基から選択される。
【0037】
好ましい一実施形態では、アリール基は、フェニル、ナフチル、インダニル、フルオレニル、またはビフェニル基から選択され、ヘテロアリール基は、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル基から選択され、
Bは、-COOR2、-CONHR2、もしくはCH2OR2、またはテトラゾールを表し、R2は、H、直鎖または分枝(C1〜C10)アルキル基、先に定義したアリールもしくはアラルキル基から選択される場合により置換されている基を表し、
Z1はヒスチジン(H)を表し、
Z2は、L-セリン、D-セリン、L-アラニン、D-アラニン、α-アミノイソ酪酸(Aib)、1-アミノシクロプロパンカルボン酸(ACP)からなる群から選択される、天然または非天然アミノ酸を表し、
【0038】
【化1】

【0039】
Z3は、グルタミン(Gln;Q)または式IIの化合物を表し、
【0040】
【化2】

【0041】
Z4は、グリシン(G)、または1-アミノシクロプロパンカルボン酸(ACP)基を表し、
Z5は、ヒドロキシル側鎖を含む天然または非天然アミノ酸を表し、好ましいZ5はスレオニンまたは式IIIの化合物であり、
【0042】
【化3】

【0043】
Z6は、側鎖2個を有する二置換されているα炭素を有する天然または非天然アミノ酸を表し、これらの各々は、独立に、場合により置換されているアルキル、またはアリール、またはアラルキル基であり、この場合、置換基は、1つもしくは複数のアルキル基、または1つもしくは複数のハロ基から選択することができる。好ましいZ6は、以下に示す、フェニルアラニン(Phe;F)、α-メチルフェニルアラニン(-α-Me-Phe-)、α-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、またはα-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)、または2-フルオロフェニルアラニン(-2F-Phe)を表す。
【0044】
【化4】

【0045】
Z7およびZ8は、各々独立に、ヒドロキシル側鎖を含む天然または非天然アミノ酸を独立に表し、好ましいZ7およびZ8は、独立に、スレオニン、セリン、1-アミノシクロプロパンカルボン酸(ACP)、または先に定義した式IIIの化合物から選択される。
【0046】
Z9は、酸性基を含むアミノ酸側鎖を有する天然または非天然アミノ酸を独立に表す。好ましいZ9は、アスパラギン酸または先に定義した式IIの化合物から選択される。
【0047】
Z10は、式IVの天然または非天然アミノ酸を表す。
【0048】
【化5】

【0049】
Z11は、式V(a〜d)の天然または非天然アミノ酸を表す。
【0050】
【化6】

【0051】
定義
「天然アミノ酸」という語は、天然に存在する20個のアミノ酸全てを示す。
【0052】
「非天然アミノ酸」または「天然ではないアミノ酸」という語は、L-アミノ酸の、対応するD-アミノ酸での置換(例えば、L-AlaのD-Alaでの置換など)、あるいは
α-アルキル化(例えば、Alaのα-メチルAla(Aib)での置換、またはPheのα-メチルPheでの置換え)、
アミノ酸の側鎖上の置換(例えば、芳香族アミノ酸側鎖の、ハロゲン、(C13)アルキル、アリール基での置換、より詳しくはPheの2および4-ハロPheでの置換)
による、LもしくはDアミノ酸、アミノアルキル酸の適切な修飾のいずれかを意味する。
【0053】
本明細書において随所で用いられる、様々な基(group)、基(radical)、および置換基を、以下の段落に記載する。
【0054】
本明細書において、単独または他の基と組み合わせて用いられる「アルキル」という語は、1個から10個の炭素を含む直鎖または分枝の基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、アミル、t-アミル、n-ペンチル、n-ヘキシル、iso-ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシルなどを意味する。
【0055】
本明細書において、単独または他の基と組み合わせて用いられる「シクロアルキル」という語は、3個から7個の炭素を含む基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを意味する。
【0056】
本明細書において、単独または他の基と組み合わせて用いられる「アリール」または「芳香族」という語は、1個、2個、または3個の環を含む芳香族系を意味し、この場合、このような環はペンダントの様式で相互に結合していてもよく、または縮合していてもよい(例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン、ビフェニルなど)。
【0057】
「アリールアルキル」という語は、先に定義したようにアリールに結合しているアルキル基を意味する(例えば、ベンジル、フェニルエチル、ナフチルメチルなど)。「アリールオキシ」という語は、先に定義したようにアルコキシ基に結合しているアリール基を意味し(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシなど)、これらは置換されていてよい。
【0058】
「アリールオキシ」という語は、先に記載したようにアリールアルキル部分を意味し(例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、ナフチルメチルオキシ、フェニルプロピルオキシなど)、これらは置換されていてよい。
【0059】
本明細書において、単独または他の基と組み合わせて用いられる「ヘテロアリール」または「芳香族複素環」という語は、1個、2個、または3個の環を含む芳香族系を意味し、この場合、このような環はペンダントの様式で相互に結合していてもよく、または縮合していてもよく、O、N、またはSから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む(例えば、ピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリニル、インドリル、アザインドリル、アザインドリニル、ベンゾジヒドロフラニル、ベンゾジヒドロチエニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾロピリミドニル、アザキナゾリニル、アザキナゾリノイル、ピリドフラニル、ピリドチエニル、チエノピリミジル、チエノピリミドニル、キノリニル、ピリミジニル、ピラゾリル、キナゾリニル、キナゾロニル、ピリミドニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾキサジニル、ベンゾキサジノニル、ベンゾチアジニル、ベンゾチアジノニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、カルバゾリル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなど)。
【0060】
本明細書において、単独または他の基と組み合わせて用いられる「ヘテロアラルキル」という語は、1個から6個の炭素を含む直鎖または分枝の飽和炭素鎖に結合している、先に定義したヘテロアリール基を意味する(例えば、(2-フリル)メチル、(3-フリル)メチル、(2-チエニル)メチル、(3-チエニル)メチル、(2-ピリジル)メチル、1-メチル-1-(2-ピリミジル)エチルなど)。「ヘテロアリールオキシ」、「ヘテロアラルコキシ」、「ヘテロシクロキシ」という語は、酸素原子に結合している、先に定義した、それぞれヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル基を意味する。
【0061】
本明細書において、単独または他の基と組み合わせて用いられる「アシル」という語は、1個から8個の炭素を含む基を意味し(例えばホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、iso-ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、ベンゾイルなど)、これらは置換されていてもよい。
【0062】
本明細書において、単独または他の基と組み合わせて用いられる「カルボン酸」という語は-COOH基を意味し、エステルおよびアミドなどのカルボン酸の誘導体を含む。本明細書において、単独または他の基と組み合わせて用いられる「エステル」という語は-COO基を意味し、カルボン酸誘導体を含み、この場合エステル部分は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニルなどであり、これらは置換されていてもよい。
【0063】
別段の指摘がなければ、本明細書において単独または別の基の部分として用いられる「アミノ酸」という語は、制限なく、「α」炭素と呼ばれる同じ炭素に連結しているアミノ基およびカルボキシル基を含む。
【0064】
「α」炭素の絶対的な「S」立体配座は、「L」または天然の立体配座と通常呼ばれる。「α」炭素の「R」立体配座は「D」アミノ酸と通常呼ばれる。水素またはメチルなど、両方の「α-置換基」が等しい場合、アミノ酸はGlyまたはAibであり、キラルではない。
【0065】
「受容体アンタゴニスト」という語は、競合性または非競合性の結合によって、受容体の活性化、およびサイクリックAMPなどの二次伝達物質の産生を阻害する化合物を意味する。
【0066】
「グルカゴン受容体アンタゴニスト」という語は、グルカゴン受容体の活性化を阻害する化合物を意味する。
【0067】
「GLP-1受容体モジュレーターまたはアゴニスト」という語は、GLP-1受容体で作用して、cAMP生成およびインスリン放出などの下流のシグナリング事象を制御するその能力を変える化合物を意味する。受容体モジュレーターの例には、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、およびアロステリックポテンシエーター(allosteric potentiator)が含まれる。
【0068】
本発明によると、本明細書に記載する合成の単離されたペプチドミメティックは、グルカゴン受容体アンタゴニストとして主に作用する。さらに、これらのペプチドミメティックはGLP-1受容体アゴニストとしても作用することが見出された。これら合成のペプチドミメティックは、ヒトグルカゴンまたはGLP-1受容体(HグルカゴンRまたはHGLP-1R)をトランスフェクトしたCHO細胞において、1〜100nMの濃度範囲で、望ましいin vitroのグルカゴン受容体アンタゴニストの性質、およびGLP-1受容体アゴニスト活性を表す。HGLP-1Rアゴニスト活性は、放出されたcAMPの量を推定することによって評価し、グルカゴンのアンタゴニスト活性は、グルカゴンペプチドの存在下、試験ペプチドミメティックによって阻害されるcAMP生成の量を測定することによって評価した。新規なペプチドミメティックは、ヒトグルカゴン受容体をトランスフェクトしたCHO細胞において、1〜100nMの濃度範囲で、望ましいin vitroのグルカゴン受容体アンタゴニスト活性を表す。調製した試験ペプチドミメティックのいくつかは、高血糖C57マウスおよびdb/dbマウスなどの様々な糖尿病動物モデルにおいてin vivoで試験した場合、グルコース依存性のインスリン放出を示し、低血糖を引き起こさずに空腹時高血糖を低減し、したがって2型糖尿病の治療および予防に理想的な治療薬候補となっている。これらの新規なクラスのペプチドミメティックは、経口または非経口の投与経路によって投与することができる。
【0069】
本発明は、このようなペプチドミメティックを単独または組み合わせて使用する式(I)のペプチドミメティックの薬剤組成物を提供し、このようなペプチドミメティックを用いる方法を提供する。詳しくは、本発明は、治療上有効な量の式(I)のペプチドミメティックを、単独、または薬学的に許容できる担体と組み合わせて含む、薬剤組成物を提供する。
【0070】
さらに、網膜症、神経障害、腎症、および創傷治癒の遅延、ならびに関連の疾患(例えば、インスリン耐性(グルコース恒常性の障害)、高血糖症、低インスリン血症、脂肪酸もしくはグリセロールの血中レベルの増大、高トリグリセリド血症を含む高脂血症、X症候群、アテローム性動脈硬化、および高血圧)を含めた糖尿病の合併症を含む、糖尿病、特に2型糖尿病を治療し、またはその進行もしくは発症を遅らせるための方法を提供し、この場合、治療上有効な量の式(I)のペプチドミメティックまたはそれらの組合せを、哺乳動物、例えばヒト、治療を必要とする患者に投与する。
【0071】
ペプチドミメティックの調製
ペプチド合成の技術分野の技術者にはよく知られているいくつかの合成経路を用いて、本発明のペプチドミメティックを調製することができる。全ての記号が先に定義した通りである、式(I)のペプチドミメティックは、ペプチド合成の技術分野の技術者には知られている従来の技術、または当業者には理解されるその変形とともに、以下に記載する方法を用いて合成することができる。言及する方法は、以下に記載するものを含むが、それだけには限定されない。
【0072】
本明細書に記載するそのペプチドミメティックは、G. BaranyおよびR. B. Merrifield、「Special methods in peptide synthesis, Part A、第2巻」3〜284頁の「The peptides: Analysis, synthesis, Biology」E. GrossおよびJ. Meienhofer編、Academic Press、New York、1980年;ならびにJ. M.Stewart and J. D. Young、「Solid-phase peptide synthesis」第2版、Pierce chemical Co.、Rockford、Il、1984年に記載されているものなど、一般的に知られている様々な固相技術の適切な変形を用いて化学合成によって生成することができる。
【0073】
本発明のペプチドミメティックを調製するための好ましい戦略は、FmocベースのSPPSアプローチの使用に基づき、この場合、α-アミノ基を一時的に保護するためにFmoc(9-フルオレニル-メチル-メチルオキシカルボニル)基を、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、tert-ブチル(Bu')、トリチル(Trt)基(図6)などの酸に不安定な保護基と組み合わせて、アミノ酸側鎖を一時的に保護するのに用いる(例えば、E. AthertonおよびR.C. Sheppard、「The peptides: Analysis, synthesis, Biology」第9巻、「Special methods in peptide synthesis, Part C」における、「The Fluorenylmethoxycarbonyl amino protecting group」、1〜38頁S、UndenfriendおよびJ. Meienhofer編、Academic Press、San Diego、1987年を参照されたい)。
【0074】
ペプチドミメティックは、ペプチドのC末端から開始して、不溶性のポリマー支持体(樹脂)上で段階的な様式で合成することができる。一実施形態では、ペプチドのC末端アミノ酸を、アミド、エステル、またはエーテル連結の形成によって樹脂に付加することによって合成を開始する。これにより、それぞれ、C末端アミド、カルボン酸、またはアルコールとして得られたペプチドが最終的に放出可能になる。
【0075】
FmocベースのSPPSでは、C末端アミノ酸および合成で用いられる全ての他のアミノ酸は、20%ピペリジン溶液などの適切な塩基を用いて、樹脂からのペプチドのあらゆる時期尚早の切断、または酸に不安定な保護基で通常保護されている側鎖保護基の脱保護なしに、α-アミノ保護基を合成の間に選択的に除去することができるように、特異的に保護されている(直角の保護)α-アミノ基および側鎖官能基(存在する場合には)を有することが必要とされる。
【0076】
アミノ酸のカップリングは、活性エステルとしてのカルボキシル基の活性化、および樹脂に付加しているN末端アミノ酸の非ブロックのα-アミノ基とのその反応によって行う。全てのカップリングおよび脱保護の後、ペプチジル-樹脂を、DMF、DCM、およびジエチルエーテルなどの過剰の溶媒で洗浄する。一連のα-アミノ基の脱保護およびカップリングを、所望のペプチド配列が構築されるまで繰り返す(スキーム1)。次いで、好適な切断混合物を用いて、通常は副反応を制限するのに好適な捕捉剤の存在下で、ペプチドを樹脂から切断し、同時に側鎖官能基を脱保護する。得られたペプチドを、逆相HPLCによって最終的に精製する。
【0077】
最終のペプチドに対する前駆物質として必要とされるペプチジル-樹脂の合成は、市販の架橋されているポリスチレンポリマー樹脂を利用する(Novabiochem、San Diego、CA)。本発明で使用するのに好ましいものは、それに対してC末端のアミノ酸がすでに結合していてもよく、または結合していなくてもよい、Fmoc-PAL-PEG-PS樹脂、4-(2',4'-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)-フェノキシアセチル-p-メチルベンズヒドリルアミン樹脂(Fmoc-RinkアミドMBHA樹脂)、2-クロロトリチルクロリド樹脂、またはp-ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂(HMP樹脂)である。C末端アミノ酸が結合していない場合は、その結合を、DIPCDIとの反応によって形成されたFmoc保護されているアミノ酸のHOBt活性エステルによって実現してもよい。2-クロロトリチル樹脂の場合は、最初のFmoc保護されているアミノ酸のカップリングを、DIPEAを用いて実現した。次のアミノ酸を構築するために、ペプチジル樹脂のN末端保護を、10〜20%ピペリジン溶液の溶液を用いて選択的に脱保護した。全てのカップリングおよび脱保護の後、過剰のアミノ酸およびカップリング試薬を、DMF、DCM、およびエーテルで洗浄することによって除去した。次のアミノ酸のカップリングは、DIPCDI/HOBtまたはDIPCDI/HOATから生成した、それぞれHOBtまたはHOAT活性エステルを用いて遂行することができる。いくつかの困難なカップリング、特に疎水性のアミノ酸または大型の側鎖の保護を有するアミノ酸のカップリングの場合は、完全なカップリングを、HBTU、PyBOP、またはTBTUなどの高度に効率的なカップリング剤の、DIPEAなどの添加剤との組合せを用いて実現することができる。
【0078】
本明細書に記載するペプチドミメティックの合成は、Fmoc/t-ブチル保護の戦略を利用して、CS-BioまたはAAPPTECペプチド合成機などのバッチ式または連続フロー型のペプチド合成装置を用いて行うことができる。様々なポジションに存在する非天然の市販されていないアミノ酸を、当技術分野では知られている1つまたは複数の方法を用いてペプチド鎖中に組み入れた。一取組みでは、Fmoc保護されている非天然アミノ酸を、好適な文献の手順を用いて溶液に調製した。例えば、先に記載したFmoc保護されているBip類似体を、文献で知られている、修飾したSuzukiのクロスカップリング法を用いて調製した(Kotha,S.ら、Tetrahedron、2002年、58巻、9633頁)。Fmoc保護されているα-メチル化したアミノ酸を、Streckerの不斉合成を用いて調製した(Boesten,W.H.J.ら、Org.Lett.、2001年、3巻(8)、1121頁)。次いで、得られた誘導体を、段階的なペプチドの合成で用いた。あるいは、必要とされる非天然アミノ酸を、有機化学の合成手順を用いて直接樹脂上に構築し、直鎖のペプチド鎖を構築した。
【0079】
【化7】

【0080】
これらそれぞれのペプチドミメティックに対するペプチド-樹脂前駆体を、文献に記載されているあらゆる標準の切断手順の適切な変形を用いて、切断および脱保護してもよい(King,D.S.ら、Int.J.Peptide Protein Res.、1990年、36巻、255頁)。本発明で用いるための好ましい方法は、捕捉剤としての水およびTIPSの存在下でのTFA切断混合物の使用である。典型的には、ペプチジル-樹脂を、室温で1.5〜2時間、TFA/水/TIPS(94:3:3;V:V:V;10ml/ペプチジル樹脂100mg)でインキュベートした。次いで、切断した樹脂をろ過して除き、TFA溶液を減圧下で濃縮または乾燥する。調製用HPLCによって精製するために、得られた粗製のペプチドを沈澱させ、もしくはEt2Oで洗浄し、またはDMFもしくは50%酢酸水溶液中に直接再溶解する。
【0081】
所望の純度のペプチドミメティックを、調製用HPLCを用いて精製することによって得ることができる。粗製ペプチドの溶液を、寸法250×50mmの半分取カラム(Luna10μ;C18;100Å)中に注入し、流速15〜50ml/分を用いて、220nmのPDA検出器によって流出液をモニターしながら、両方とも0.1%TFAで緩衝した水中ACNのリニアグラジエントで溶出する。精製したペプチドミメティックの構造は、エレクトロスプレー質量分析(ES-MS)分析によって確認することができる。
【0082】
調製したペプチドを全て、Prep-HPLC精製後、対イオンとしてTFAで、トリフルオロ酢酸塩として単離した。しかし、いくつかのペプチドは、適切なイオン交換樹脂ベッドを通過させることによって、好ましくは陰イオン交換樹脂Dowex SBR P(Cl)または等価の塩基性陰イオン交換樹脂を通すことによって脱塩にかけた。いくつかの場合では、TFA対イオンを、適切なイオン交換樹脂を通過させ、希酢酸溶液で溶出することによって酢酸イオンで置き換えた。製造の最終段階でペプチドの塩酸塩を調製するには、酢酸塩とともに選択されたペプチドを4M HClで処理した。得られた溶液を、メンブランフィルター(0.2μm)を通してろ過し、引き続き凍結乾燥して白色からオフホワイトの塩酸塩を得た。当業者の範囲内に十分ある、同様の技術および/またはこのような適切な修飾にしたがって、本発明のペプチドミメティックの他の適切な薬学的に許容できる塩を調製した。
【0083】
SPPSの取組みを用いたペプチドミメティックの一般的な調製方法
ペプチドミメティックの樹脂上の構築
十分量(50〜100mg)のFmoc-PAL-PEG-PS樹脂またはFmoc-RinkアミドMBHA樹脂、ローディング:0.5〜0.6mmol/gを、2〜10分間、DMF(1〜10ml/樹脂100mg)中で膨張させた。次いで、樹脂上のFmoc基を、樹脂をDMF中10〜30%ピペリジン(10〜30ml/樹脂100mg)と、10〜30分間インキュベートすることによって除去した。脱保護した樹脂をろ過し、過剰のDMF、DCM、およびエーテルで洗浄した(50ml×4)。洗浄した樹脂を、窒素雰囲気下で5分間、新たに蒸留したDMF(1ml/樹脂100mg)中でインキュベートした。最初にFmoc保護したアミノ酸(1〜3eq.)、予めHOBtと活性化したもの(1〜3eq.)、およびDMF中DIPCDI(1〜2eq.)の0.5M溶液を樹脂に加え、次いで、樹脂を窒素雰囲気下で1〜3時間振盪した。カップリングの完了を、ニンヒドリン定性試験を用いてモニターした。最初のアミノ酸のカップリング後、樹脂をDMF、DCM、およびジエチルエーテルで洗浄した(50ml×4)。次のアミノ酸をカップリングするために、最初に、樹脂とカップリングした最初のアミノ酸上のFmoc保護を、10〜20%ピペリジン溶液を用いて脱保護し、その後、先に記載したような適切なカップリング剤を用いてFmoc保護した第2のアミノ酸をカップリングした。脱保護、洗浄、カップリング、および洗浄のサイクルの繰返しを、上記の一般スキーム1の通り、樹脂上に所望のペプチド鎖が構築されるまで行った。
【0084】
最後に、上記で調製したFmoc保護したペプチジル-樹脂を、先に記載したように20%ピペリジン処理によって脱保護し、ペプチジル樹脂を、DMF、DCM、およびジエチルエーテルで洗浄した(50ml×4)。所望のペプチドを含む樹脂を、10〜15分間窒素圧力下で乾燥し、切断/脱保護にかけた。
【0085】
配列番号32のペプチド(H2N-H-Aib-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3)-CONH2)の自動化固相合成の代表例
直鎖のペプチド鎖であるH2N-H-Aib-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3)- PAL-PEG-PSを、Fmoc固相ペプチド合成(SPPS)アプローチを用いて、自動化CS-Bio 536 PepSynthesiser(商標)上で構築した(スキーム2)。Fmocアミノ酸および2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TBTU)を一緒にバイアルに充填し、合成機のアミノ酸モジュールに配置した。ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA;0.9M)およびDMFの保存液を、乾燥窒素雰囲気下、試薬ビンに貯蔵した。樹脂、Fmoc-PAL-PEG-PS(0.38mmol/g;1g)を、真空中(1時間)P2O5上で乾燥し、新たに蒸留したDMF(5mL)中、膨張させた。膨張した樹脂をガラスカラム中にスラリー充填し、合成機に配置した。合成サイクルは全て、流速5mL分-1で行った、表1。樹脂を、新たに蒸留したDMFで10分間洗浄した。Fmoc基の脱保護を、DMF中20%ピペリジンで10分間行い、脱保護を、カラム流出物を304nmのUV検出によってモニターした。
【0086】
【化8】

【0087】
過剰のピペリジンを、各々のサイクルが15分である、3回の補助的な洗浄サイクルおよび蒸留DMFの洗浄サイクルによって除去した。アミノ基をFmocアミノ酸(4等量)で処理し、DIPEA(8等量)の存在下TBTU(3.9等量)で予め活性化し、120分間再循環した。過剰のアミノ酸および可溶性の副生成物を、各々のサイクルが10分である4つの補助的な洗浄サイクルおよび蒸留DMFの洗浄サイクルによってカラムおよびループから除去した。さらに、直鎖のペプチドを完全に構築するために、合成サイクル(脱保護、洗浄、アシル化、および洗浄)を繰り返した。最終の脱保護サイクルをDMF中20%ピペリジンで15分間行って末端のFmoc基を除去し、その後洗浄サイクル(10×4分)を行った。最終の完成したペプチド-樹脂を、焼結ガラスフィルターを通してろ過し、DMF、DCM、メタノール、DMF、およびジエチルエーテル(各100mL)で3回連続して洗浄した。ペプチド-樹脂を真空下、P2O5上(2時間)乾燥し、-20℃で貯蔵した。ニンヒドリン樹脂試験を行って、樹脂に結合したN末端遊離アミノ基を調べた。溶液および樹脂ビーズの外観が青紫に呈色すれば、樹脂に結合したペプチドに遊離アミノ基が存在することを示しており、試験陽性であるとみなされた。
【0088】
【表1】

【0089】
小規模の切断を行って、樹脂に結合したペプチドの純度を評価した。乾燥したペプチド-樹脂(約10mg)を、室温で90分間、TFA、水、トリイソプロピルシラン(95:2.5:2.5v/v)の混合液(1ml)で時々穏やかに撹拌して処理した。樹脂をろ過し、ニートのTFA(1mL)で完全に洗浄し、ろ液全てを減圧下で蒸発させた。残留のTFAを、ジエチルエーテル(2mL)で3回共沸した。得られた残渣を蒸留水(2mL)に懸濁し、水層をジエチルエーテル(3mL)で3回抽出した。水層を分離し、凍結乾燥して粗製のペプチドH2N-H-Aib-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3)-CONH2を得た。凍結乾燥したペプチドH2N-H-Aib-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3)-CONH2を0.1% TFA水溶液(約1mg/1mL)に溶解し、その純度を分析用RP-HPLCによって分析し、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)によって特徴付けた。純度パーセント:90%(粗製ペプチド)。ESI-MS;H2N-H-Aib-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3)-CONH2に対する計算値:1580(M+)、1602 (M+Na+)および1618 (M+K+);検出された(m/z):1580(M+)、1602 (M+Na+)および1618 (M+K+)。
【0090】
当業者の範囲内である上記のプロトコールおよび適切なその変形を用いて、本発明で設計したペプチドミメティックをFmoc-SPPSアプローチを用いて調製した。さらに、樹脂に結合したペプチドミメティックを切断および脱保護し、以下のプロトコールを用いて精製および特徴付けした。
【0091】
切断および脱保護
所望のペプチドミメティックを、以下のようにTFA切断混合物で処理することによって、それぞれのペプチジル-樹脂から切断および脱保護した。TFA/水/トリイソプロピルシラン(95:2.5:2.5)(10ml/ペプチジル樹脂100mg)の溶液をペプチジル樹脂に加え、混合物を時々撹拌して室温に保った。樹脂をろ過し、切断混合物で洗浄し、ろ液を併せて蒸発乾燥した。得られた残渣を水10mlに溶解し、水層をエーテル(各20ml)で3回抽出し、最後に水層を凍結乾燥した。凍結乾燥後に得られた粗製ペプチドを、以下の通り、調製用HPLCによって精製した。
【0092】
粗製ペプチドミメティックの調製用HPLC精製
ShimadzuLC-8A液体クロマトグラフ上で、調製用HPLCを行った。DMFまたは水に溶解した粗製ペプチドの溶液を、寸法250×50mmのsemi-Prepカラム(Luna10μ;C18;100Å)中に注入し、溶出物を220nmのPDA検出器でモニターしながら、両方とも0.1%TFAで緩衝した水中ACNのリニアグラジエントで、流速15〜50ml/分を用いて溶出した。50分の期間にわたって、1分あたり1%のグラジエント変化で、0.1%TFAで緩衝した20%から70%の水-ACN混合液の典型的なグラジエントを用いた。溶出した所望の生成物を単一の10〜20ml分画に収集し、各HPLC分画を凍結乾燥することによって、非結晶性の白色粉末の純粋なペプチドミメティックを得た。
【0093】
精製ペプチドミメティックのHPLC分析
先に記載したように調製用HPLCによって精製した後、各ペプチドを、ShimadzuLC-10AD分析用HPLCシステム上で分析用RP-HPLCによって分析した。ペプチドミメティックをHPLC分析するために、0.1%TFAおよびACNバッファーのリニアグラジエントで、寸法250×4.6mmカラム、Luna5μ;C18;100Åを用い、PDA検出器を用いて220nmでクロマトグラムの獲得を行った。
【0094】
質量分析によるキャラクタリゼーション
各ペプチドを、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)によって、フローインジェクションまたはLC/MSモードのいずれかでキャラクタリゼーションした。ポジティブおよびネガティブのイオンエレクトロスプレーモードにおける全ての分析で、3重の四重極型質量分析器(API-3000(MDS-SCIES、カナダ))を用いた。ユニット分解で操作した、四重極の質量範囲にわたって、フルスキャンデータを獲得した。全ての場合において、実験的に測定した分子量は0.5以内であった。
【0095】
計算したモノアイソトピック分子量のダルトン。マスクロマトグラムの定量化を、Analyst1.4.1ソフトウエアを用いて行った。
【0096】
一般に知られている他の技術およびその適切な変形とともに、本明細書に記載する合成方法を利用して、以下の新規なペプチドミメティックを調製した。このリストは、本発明にしたがって調製することができるペプチドミメティックの様々なグループを示すものであり、これらペプチドミメティックの明らかな変形を少なくとも含むと考えられる。しかし、このような開示を、本発明の範囲を限定するものと決して解釈してはならない。表2(i〜vi)に、本発明の新規なペプチドミメティックを、それらの対応する配列番号とともに列挙する。
【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
【表5A】

【0101】
【表5B】

【0102】
【表6A】

【0103】
【表6B】

【0104】
【表7A】

【0105】
【表7B】

【0106】
新規なペプチドミメティックのin vitroおよびin vivo試験
先に記載した通りに調製したペプチドミメティックを以下に関して試験した。
a)in vitroのグルコース依存性インスリン分泌(RIN5F細胞アッセイスクリーニングプロトコール)
b)in vitroのヒトGLP-1Rアゴニスト活性(サイクリックAMP定量)
c)in vitroのヒトグルカゴンアンタゴニスト活性(サイクリックAMP定量)
d)DPP IV酵素、ヒト血漿、擬似胃液、腸液、および肝ミクロソームに対するペプチドミメティックの安定性
e)以下に記載するような様々なin vitroおよびin vivoのアッセイを用いたC57BL/6Jマウス(in vivo)における試験化合物(ペプチドミメティック)のin vivo有効性の実証
【0107】
in vitro試験:
in vitroのグルコース依存性インスリン分泌(RIN5F細胞アッセイスクリーニングのプロトコール)
RIN5F(ラットインスリノーマ)細胞を、37℃の加湿したインキュベーター(CO25%)中、ピルビン酸ナトリウム(1mM)HEPESおよびグルコース(4.5g/L)を補ったRPMI1640培地で培養した。トリプシン処理後、RIN5F細胞を、12ウェルプレートに、1ウェルあたり0.2×106細胞の濃度で接種した。細胞を、一夜、80%のコンフルエントに増殖させ、以下の通りにインスリン分泌実験を行った(Montrose-Rafizadeh C.ら、Mol. Cell. Endo.、1997年、130巻、109頁;Wang, X.ら、Endocrinology、2001年、5巻、1820頁)。
【0108】
細胞をPBS溶液で1回洗浄し、その後、NaCl(115mmol/L)、KCl(4.7mmol/L)、CaCl2(1.28mmol/L)、MgSO47H20(1.2mmol/L)、KH2PO4(1.2mmol/L)、NaHCO3(10mmol/L)を含む、新鮮なクレブスリンガー平衡バッファー、ならびにグルコース(1.1mM)およびB.S.A(0.5%)を含むHEPES(25mmol/L)pH7.4で40分間インキュベートした。40分後にバッファーを交換し、グルコース負荷の存在下(16.7mM)および非存在下(0mM)の両方で、細胞を30分間、様々な濃度の試験ペプチドミメティックとインキュベートした(37℃)。上清を収集し、インスリンの量を超高感度ラットインスリンELISAキット(Crystal Chem、IL)によって測定した。上清におけるタンパク質を、Bicinchoninic Acid Kitを用いて製造元のプロトコールにしたがって(Sigma Aldrich、MO)推定した。ウェル間の細胞密度における差に対して標準化するために、ピコグラム(pg)で得られた全インスリン含量を全タンパク質(μg)で割った。in vitroの、代表的なペプチドミメティックのグルコース依存性インスリン分泌活性を[表3]に列挙する。
【0109】
【表8A】

【0110】
【表8B】

【0111】
in vitroのヒトGLP-1アゴニスト活性(サイクリックAMP定量)
新規なペプチドミメティックを、安定にトランスフェクトしたCHO/ヒトGLP-1R細胞で、cAMP細胞ベースのアッセイを用いて、ヒトGLP-1受容体(HGLP-1R)アゴニスト活性に対してスクリーニングした(in vitro)。CHO-K1細胞(CRL9618)を、アメリカ培養細胞系統保存機関(Rockville、MD)から得た。CHO細胞をL-グルタミン(2mM)、HEPES(25mM)、NaHCO3(1.1 g/L)を含み、ウシ新生児血清(NBCS;10%)、ペニシリン(50U/ml(v/v))、およびストレプトマイシン(50ug/ml(v/v))を補ったハムF12培地で増殖させた。細胞を3日毎に1:8に分割した。
【0112】
ヒトGLP-1受容体を発現する安定なCHO細胞系の生成
ヒトGLP-1受容体をコードするcDNAを、標準のプロトコールにしたがってRT-PCRによって単離した。全長のcDNAをpcDNA3.1(+)にクローニングした。GLP-1受容体を発現するCHO細胞系を生成するために、CaPO4を用い、標準のプロトコールにしたがって、CHO細胞を発現プラスミドpcDNA/hGLP-1R 10μgにトランスフェクトした(Wheeler,M.B.ら、Endocrinology、1993年、133巻、57頁)。受容体を発現するクローンを、G418(800μg/ml活性、Sigma)選択によって産生した。安定なクローンを、以後、500ug/ml(G418)に維持した。選択されたクローンを、cAMPアッセイ用に9〜25継代の間で用いた。
【0113】
CAMP生産の定量
ヒトGLP-1Rを安定にトランスフェクトしたCHO細胞を、70〜75%のコンフルエントまでハムF12+10%NBCS+500ug/mlG418に維持した。細胞を、TPVG(0.25%トリプシン、EDTA0.53mM、グルコース1.38mM)2mlを用いてトリプシン化した。トリプシンを、10%NBCSを含むハムF12培地を用いて不活性化し、細胞を完全培地2mlに懸濁した。次いで、2×105細胞/ウェルを12ウェルプレートに接種し、プレートを16〜18時間、37℃の加湿した雰囲気でインキュベートした(Fermann,H.C.ら、Peptides、1994年、15巻、453頁)。翌日、細胞が90〜95%のコンフルエントを示した場合にアッセイを進めた。培地を12ウェルプレートから吸引し出し、細胞をハムF12(プレーン)を用いて1回洗浄した。細胞を、37℃で30分間、ハムF12+1%BSA+0.125mMRO-20 500ulでインキュベートした。インキュベート後、培地を吸引し出し、新鮮な培地(プレーンハムF12+1%BSA+0.25mMRO-20)を、水(MilliQ)に溶解してある試験化合物(ペプチドミメティック)5μlとともに加えた。細胞を30分間、加湿雰囲気下37℃で、試験化合物とインキュベートした。インキュベート後、培地を除去し、細胞をプレーンハムF12で1回洗浄した。引き続き、各ウェルに氷冷した0.1NHCl500ulを加えることによって細胞を溶解し、200rpmで30分間振盪した。次いで細胞をスクラップし、可溶化液をミクロ遠心管に収集し12000rpmで10分間遠心して残骸片を除去した。次いで、各ミクロ遠心管からの上清300ulをガラス試験管中に移し、cAMP推定用に30分間N2下で乾燥した。全cAMPを、Cyclic AMPイムノアッセイキット(R&D systems、Minneapolis、MN)を用いて製造元のプロトコールにしたがってサンプルから推定した。残渣の上清を用いて、ミクロBCA(Sigma)を用いてタンパク質濃度を定量した。データを対照のパーセントとして計算し(ビヒクル:水)、平均値±SDとして表してある。代表的なペプチドミメティックのin vitroのヒトGLP-1受容体アゴニスト活性を表4に列挙する。
【0114】
【表9A】

【0115】
【表9B】

【0116】
in vitroのヒトGLP-1受容体アゴニスト活性をもとに、新規なペプチドミメティックに対するEC50値を決定し、エキセンジンおよび配列番号32の比較上の用量反応曲線(DRC)を代表例として図7に示す。
【0117】
in vitroのヒトグルカゴンアンタゴニスト活性(試験のペプチドミメティックでの、サイクリックAMP生成の量の阻害の測定)
安定にトランスフェクトしたCHO/ヒトグルカゴンR細胞で、cAMP細胞ベースのアッセイを用いて、新規なペプチドミメティックをヒトグルカゴン受容体(H-グルカゴン-R)アンタゴニスト活性に対してスクリーニングした(in vitro)。CHO-K1細胞(CRL9618)を、アメリカ培養細胞系統保存機関(Rockville、MD)から得た。CHO細胞を、L-グルタミン(2mM)、HEPES(25mM)、NaHCO3(1.1g/L)を含み、ウシ新生児血清(NBCS;10%)、ペニシリン(50U/ml(v/v))、およびストレプトマイシン(50ug/ml(v/v))を補ったハム F12培地で増殖させた。細胞を3日毎に1:8分割した。
【0118】
ヒトグルカゴン受容体を発現する安定なCHO細胞系の生成
ヒトグルカゴン受容体をコードするcDNAを、標準のプロトコールにしたがってRT-PCRによって単離した。全長のcDNAをpcDNA3.1(Invitrogen)にクローニングした。グルカゴン受容体を発現するCHO細胞系を生成するために、CHO細胞に、CaPO4を用いて標準のプロトコールにしたがって発現プラスミドpcDNA/H-グルカゴン-R10μgをトランスフェクトした。受容体を発現するクローンを、G418(800μg/ml活性、Sigma)選択によって産生した。安定なクローンを、以降、500ug/ml(G418)に維持した。cAMPアッセイには9〜25継代の間の選択されたクローンを用いた。
【0119】
グルカゴンペプチドと一緒に試験ペプチドミメティックを添加した後に阻害されたcAMP生成の量を測定することによるグルカゴンのアンタゴニスト活性の定量
ヒトグルカゴンRを安定にトランスフェクトしたCHO細胞を、70〜75%のコンフルエントまでハムF12+10%NBCS+500ug/ml G418に維持した。細胞を、TPVG(0.25%トリプシン、EDTA0.53mM、グルコース1.38mM) 2mlを用いてトリプシン化した。トリプシンを、10%NBCSを含むハムF12培地を用いて不活性化し、細胞を完全培地2mlに懸濁させた。次いで、2×105細胞/ウェルを12ウェルプレートに接種し、プレートを16〜18時間、37℃の加湿した雰囲気下でインキュベートした。翌日、細胞が90〜95%のコンフルエントを示した場合にアッセイを進めた。培地を12ウェルプレートから吸引し出し、細胞をハムF12(プレーン)を用いて1回洗浄した。細胞を、37℃で30分間、ハムF12+1%BSA+0.125mMRO-20 500ulでインキュベートした。インキュベート後、培地を吸引し出し、新鮮な培地(プレーンハムF12+1%BSA+0.25mMRO-20)を、水(MilliQ)に溶解してある試験化合物(ペプチドミメティック)5μlとともに加え、その後グルカゴンペプチドを(アゴニストとして)加えた。細胞を30分間、37℃の加湿した雰囲気下で、ペプチドミメティックおよびグルカゴンペプチドとインキュベートした。インキュベート後、培地を除去し、細胞をプレーンハムF12で1回洗浄した。引き続き、各ウェルに氷冷した0.1NHCl500ulを加えることによって細胞を溶解し、200rpmで30分間振盪した。次いで細胞をスクラップし、可溶化液をミクロ遠心管に収集し12000rpmで10分間遠心して残骸片を除去した。次いで、各ミクロ遠心管からの上清300ulをガラス試験管中に移し、cAMP推定用に30分間N2下で乾燥した。全cAMPを、Cyclic AMPイムノアッセイキット(R&Dシステムズ、Minneapolis、MN)を用いて製造元のプロトコールにしたがってサンプルから推定した。残渣の上清を用いて、ミクロBCA(Sigma)を用いてタンパク質濃度を定量した。データを対照のパーセントとして計算し(ビヒクル:水)、平均値±SDとして表してある。代表的なペプチドミメティックのin vitroのヒトグルカゴン受容体アンタゴニスト活性を表5に列挙する。
【0120】
【表10A】

【0121】
【表10B】

【0122】
DPP IV酵素、ヒト血漿、擬似胃液、腸液、および肝ミクロソームに対するペプチドミメティックの安定性
様々なペプチドミメティック(最終濃度2μM)を、DPP IV(1:25mU)、またはプールヒト血漿(7.5μL)、または擬似胃液(pH1.5;組成HCl、NaCl、およびペプシン)、または擬似腸液(pH7.5)、またはヒト肝ミクロソームのいずれかと、0、2、4、6、12、および24時間(37℃;50mMトリエタノールアミン-HClバッファー;pH7.8)インキュベートした。DPP IV酵素/ヒト血漿/擬似胃液/擬似腸液/ヒト肝ミクロソームの濃度を、2〜4時間以内に約50%のエキセンジンの分解をもたらし、したがって24時間にわたって観察するのに時間依存性の分解可能であるように予備実験において選択した。TFA/H2O(15mL、10%(v/v))を加えることによって反応を終結させた。次いで、反応生成物をVydac C18分析カラム(4.6×250mm)に適用し、主要な分解フラグメントを完全なペプチドミメティックから分離した。カラムを、流速1mL/分でTFA/H2Oと平衡にした。70%アセトニトリル/H2O中0.1%(v/v)TFAを用いて、溶離溶媒中のアセトニトリル濃度を10分かけて0%から28%に、30分かけて28%から42%に上げた。UV検出器を用いて206nmの吸光度をモニターし、ピークを手操作で収集した後、ESI-MS分析した。曲線下面積を試験ペプチドミメティックおよびその代謝物に対して測定し、24時間の期間にわたって各時間点の分解パーセント値を計算した。DPP IV酵素、ヒト血漿、擬似胃液、腸液、および肝ミクロソームに対する選択されたペプチドミメティックの安定性試験の結果(in vitro)を、表6に列挙する。
【0123】
【表11A】

【0124】
【表11B】

【0125】
in vivoの有効性試験
非経口(i.p.)および経口両方の投与経路による、C57BL/6Jまたはdb/dbマウスにおける試験化合物(ペプチドミメティック)のin vivoの有効性(抗高血糖/抗糖尿病活性)の実証
急性の単回投与量の120分の時間経過実験を、自家繁殖させた8〜12週齢のC57BL/6Jまたはdb/dbオスマウスで行った。動物を飼育器の条件(25±4℃、相対湿度60〜65%、午前7:30に光を当て、12:12時間の明:暗サイクル)に慣らすために、1ケージあたり6匹のグループで1週間飼育した。動物実験は全て、「Zydus Research Center動物倫理委員会」による認可にしたがって、世界的に有効なガイドラインにしたがって行った。
【0126】
手順
いくつかの試験化合物(ペプチドミメティック)およびエキセンジン-4のin vivoのグルコース低下の性質を、以下に記載するようにC57BL/6J(中程度の高血糖)またはdb/db動物モデルで評価した。試験2日前に、動物を、食後グルコースレベルに基づいて無作為化し、5グループ(n=6)に分割した。実験日、食餌を全てのケージから引き上げ、水を自由に摂取させ、一夜絶食させた。ビヒクル(通常の食塩水)/試験/標準化合物を、体重ベースで非経口的に(i.p.)または経口的に投与した。0分直後、エーテルでの軽度の麻酔下で後眼窩の経路により、各動物から血液を採取し、引き続き30、60、および120分、または最高240分に血液を採取した(Chen,D.ら、Diabetes Obesity Metabolism、2005年、7巻、307頁;Kim,J.G.ら、Diabetes、2003年、52巻、751頁)。
【0127】
血液サンプルを遠心し、分離した血清を直ちにグルコース推定にかけた。インスリン推定用の血清を、インスリン推定に用いるまで-70℃で貯蔵した。グルコース推定は、DPEC-GOD/POD法(Ranbaxy Fine Chemicals Limited、Diagnostic division、インド)で、Spectramax-190を用いて96マイクロウェルプレートリーダー(Molecular devices Corporation、Sunnyvale、California)を用いて行った。MicrosoftのエクセルおよびGraph Pad Prismソフトウエア(バージョン4.0)を用いて、0分ベースライン補正折れ線グラフ、曲線下面積(0〜120分AUC)、およびベースライン補正曲線下面積(0分BCAUC)をプロットした。グラフから得られたAUCおよびBCAUCを一元配置ANOVAに関して分析し、その後Graph Pad prismソフトウエアを用いてDunnettの事後検定を行った。さらに、インスリン推定を、ラット/マウスインスリンELISAキット(Linco research、Missouri、米国)を用いて行った。選択されたペプチドミメティックでの0、30、60、および120分における血中グルコースレベルにおける変化を、表7(ipの投与経路による)、および表8(経口の投与経路による)にそれぞれ示す。
【0128】
【表12A】

【0129】
【表12B】

【0130】
【表13】

【0131】
代表的な数字として、いくつかのベースライン補正血清グルコースレベルを、様々な投与量の(DRC)配列番号32での単回投与量の治療後、C57におけるip(図8)、経口(図9)、またはdb/dbの経口のいずれかの投与経路による(図10)ものを示し、一方、図11はC57/BL/6Jマウスにおけるビヒクル/試験化合物(配列番号30、31、および32)の単回経口投与後の血清インスリンレベルにおける変化を表している(in vivo)。
【0132】
ペプチドミメティックのin vitroおよびin vivoの結果の概要
先に記載したように、本発明で調製したペプチドミメティック全てを、in vitroおよびin vivoで評価し、選択したペプチドミメティックのデータを、代表的なペプチドミメティックの例として上記セクションに表した。RIN 5F(ラットインスリノーマ)の細胞ベースのアッセイでは、ペプチドミメティックは全て、1〜10nMの濃度の範囲においてグルコース依存性のインスリン分泌のみを示し(表3)、それによって、これらのクラスのペプチドミメティックは、スルホニル尿素などの他のクラスのインスリン分泌促進物質に通常観察される高血糖の発症がない可能性がある。ヒトのグルカゴン受容体アッセイにおいて、試験ペプチドミメティックをグルカゴンペプチドと一緒にインキュベートした場合に、ペプチドミメティックのin vitroのアンタゴニスト活性を、cAMP生成量の阻害を測定することによって推定した。表5に示すように、概して、ペプチドは全て1nMから1000nMの範囲で著しいグルカゴン受容体アンタゴニスト活性を示した。HGLP-1Rアッセイでは、新規なペプチドミメティックは、1〜100nMの濃度範囲で濃度依存性のcAMP生成(in vitroのGLP-1アゴニスト活性)を示した(表4)。ペプチドミメティックにはこの二重の性質(グルカゴン受容体のアンタゴニスト、およびGLP-1受容体のアゴニスト)があるため、2型糖尿病および関連の代謝障害の安全かつ有効な治療の理想的な候補となっている。
【0133】
DPP-IV酵素、ヒト血漿、擬似胃液および腸液、ならびに肝ミクロソームに対する選択されたペプチドミメティックの安定性試験の結果は、殆どのペプチドミメティックは最高24時間インキュベートした場合にDPP-IV酵素に対して安定であることを指摘している。同様に、ヒト血漿、擬似胃液、および腸液では、殆どのペプチドミメティックは、最高24時間インキュベートした場合に安定であることが見出された。ペプチドミメティックの肝ミクロソームとのインキュベートでは著しい安定性が示され、24時間では26〜35%のみの分解が観察され、いくつかのペプチドミメティックは経口の投与経路によって送達され得ることを指摘していた。
【0134】
非経口および経口の投与経路両方による、ペプチドミメティックのin vivoの抗高血糖/抗糖尿病活性を、急性単回投与量の120/240分の時間経過実験を用いて、C57またはdb/dbマウスで定量した。表7に示すように、殆どのペプチドミメティックは10〜50nMの投与量範囲ではi.p.の投与経路によって活性であり、経口ではいくつかの選択されたペプチドミメティック(表8)は1〜2μM/kgの投与量の範囲で活性である。このように新規なペプチドミメティックはグルカゴンアンタゴニスト活性およびGLP-1アゴニスト活性を表し、経口でバイオアベイラブルであり、このため2型糖尿病および関連の代謝障害の安全かつ有効な治療の理想的な候補となっている。
【0135】
有用性
好ましい一実施形態では、本発明は、グルカゴン受容体のアンタゴニストおよびGLP-1受容体のアゴニストの両方として機能し、両方の受容体に対して異なる程度の親和性/選択性を有し、循環グルコースレベルを低減し、糖尿病を治療するのに有用なペプチドミメティックを作成する方法を提供する。
【0136】
本実施形態に記載する合成のペプチドミメティックは、ヒトグルカゴンまたはHGLP-1RをトランスフェクトしたCHO細胞において、nM濃度において望ましいin vitroのグルカゴンアンタゴニスト活性およびGLP-1アゴニスト活性を表し、in vivoではいくつかのペプチドミメティックは、高血糖C57マウスおよびdb/dbマウスなどの様々な糖尿病動物モデルで試験した場合に低血糖を引き起こさずに、グルコース依存性のインスリン放出を示し、空腹時高血糖を低減する。
【0137】
本発明の新規なペプチドミメティックは、様々なタンパク質分解性の酵素に対して安定性の増大を示し、安定性が増大し鎖の長さが短いために、このようなペプチドミメティックは、他の侵襲性および非侵襲性な投与経路とともに、経口の投与経路によっても送達することができる。
【0138】
本発明の新規なペプチドミメティックを、よく知られているような適切な賦形剤と組み合わせることによって適切な薬学的に許容できる組成物中に調合することができる。
【0139】
薬剤組成物は、従来の技術を使用することによって提供される。組成物は、有効な量の有効成分、すなわち本発明による式(I)のペプチドミメティックを単独または組み合わせて含む単位剤形におけるのが好ましい。
【0140】
有効成分、すなわち本発明による式(I)のペプチドミメティックの薬剤組成物およびその単位剤形における量は、特定の適用方法、特定のペプチドミメティックの効力、および所望の濃度に応じて変化してよく、または広範に調節してもよい。一般に、有効成分の量は、組成物の重量で0.5%から90%の間の範囲である。
【0141】
したがって、本発明のペプチドミメティックを、それだけには限定されないが、糖尿病(好ましくはII型、耐糖能障害、インスリン耐性、ならびに腎症、網膜症、神経障害、および白内障などの糖尿病合併症)の進行または発症の治療または遅延、高血糖症、高インスリン血症、高コレステロール血症、遊離脂肪酸もしくはグリセロールの血中レベルの増大、高脂血症、高トリグリセリド血症、創傷治癒、組織虚血、アテローム性動脈硬化、高血圧、腸疾患(例えば、壊死性腸炎、微絨毛封入体病、またはセリアック病)を含む様々な病状および障害を治療するために、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。本発明のペプチドミメティックを、高比重リポタンパク質(HDL)の血中レベルを増大するために利用してもよい。
【0142】
さらに、Johannson G.、J.,Clin.Endocrinol.Metab.、1997年、82巻、727頁に詳しく述べられている、集合的に「X症候群」または代謝症候群と呼ばれる病状、疾患を、本発明のペプチドミメティックを使用して治療してもよい。本発明のペプチドミメティックを、逐次的に、または適切なDPP-IV阻害薬とともに本発明のペプチドミメティックを含む製剤として、化合物を投与することにより、上記の疾患状態のいくつかを治療するために、任意選択で適切なDPP-IV阻害薬と組み合わせて用いてもよい。
【0143】
本発明のあらゆる言及するペプチドミメティックには有害作用は観察されなかった。本発明の化合物は、用いた実験動物において良好な血清グルコース低下活性を示した。これらのペプチドミメティックは、NIDDM、代謝障害など、高インスリン血症、高血糖症によって引き起こされる疾患の試験/予防に用いられる、というのはこのような疾患は相互に連結しているからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その互変異性体、溶媒和物を含む、式(I)の配列を有する単離されたペプチドミメティック:
A-Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-Z7-Z8-Z9-Z10-Z11-B
(I)
[式中、
Aは、-NH-R1、R3-CO-、またはR3-SO2-基を表し、ここで、R1は、水素、または場合により置換されている直鎖もしくは分枝(C1〜C10)アルキル鎖を表し、R3は、直鎖もしくは分枝(C1〜C10)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキル基から選択され、Bは、-COOR2、-CONHR2、もしくはCH2OR 2基、またはテトラゾールを表し、ここで、R2は、H、直鎖もしくは分枝(C1〜C10)アルキル、アリール、またはアラルキル基から選択される場合により置換されている基を表し、Z1はヒスチジンを表し、Z2は、L-セリン、D-セリン、L-アラニン、D-アラニン、α-アミノイソ酪酸、1-アミノシクロプロパンカルボン酸からなる群から選択される、天然または非天然アミノ酸を表し、Z3は、グルタミン(Gln;Q)または式IIの化合物を表し、
【化1】

Z4は、グリシン、または1-アミノシクロプロパンカルボン酸基を表し、Z5は、ヒドロキシル側鎖を含む天然または非天然アミノ酸を表し、Z6は、側鎖2個を有する二置換されているα炭素を有する天然または非天然アミノ酸を表し、これらの各々は、場合により置換されているアルキル、アリール、またはアラルキル基から独立に選択され、置換基は、1つもしくは複数のアルキル基、または1つもしくは複数のハロ基から選択され、
Z7およびZ8は、独立に、ヒドロキシル側鎖を含む天然または非天然アミノ酸を表し、Z9は、独立に、酸性基を含むアミノ酸側鎖を有する天然または非天然アミノ酸を表し、
Z10は、式IVの天然または非天然アミノ酸を表し、
【化2】

Z11は、式V(a〜d)
【化3】

の天然または非天然アミノ酸を表す]。
【請求項2】
Z5がスレオニンである、請求項1に記載の式1の化合物。
【請求項3】
Z5が式IIIの化合物を表す、請求項1に記載の式1の化合物。
【化4】

【請求項4】
Z6が、Phe(F)、α-メチル-フェニルアラニン(-α-Me-Phe-)、α-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、またはα-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)、または2-フルオロフェニルアラニン(-2F-Phe)基を表す、請求項1に記載の式1の化合物。
【請求項5】
Z7およびZ8の各々が、独立に、スレオニン、セリン、1-アミノシクロプロパンカルボン酸、または式IIIの化合物から選択される、請求項1に記載の式1の化合物。
【化5】

【請求項6】
Z9が、アスパラギン酸または式IIの化合物から選択される、請求項1に記載の式1の化合物。
【化6】

【請求項7】
式1の化合物
A-Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-Z7-Z8-Z9-Z10-Z11-B
(I)
[式中、
Aは、-NH-R1、R3-CO-、またはR3-SO2-基を表し、ここで、R1は、水素、または場合により置換されている直鎖もしくは分枝(C1〜C10)アルキル鎖を表し、R3は、直鎖もしくは分枝(C1〜C10)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキル基から選択され、Bは、-COOR2、-CONHR2、もしくはCH2OR2、またはテトラゾールを表し、ここで、R2は、H、直鎖もしくは分枝(C1〜C10)アルキル基、アリール、またはアラルキル基から選択される場合により置換されている基を表し、Z1はヒスチジン(H)を表し、Z2は、L-セリン、D-セリン、L-アラニン、D-アラニン、α-アミノイソ酪酸、1-アミノシクロプロパンカルボン酸から選択され、Z3は、グルタミン(Gln;Q)または式IIの化合物を表し、
【化7】

Z4は、グリシン、または1-アミノシクロプロパンカルボン酸基を表し、Z5は、スレオニン、または式IIIの化合物から選択され、
【化8】

Z6は、Phe(F)、α-メチル-フェニルアラニン(-α-Me-Phe)、α-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、またはα-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe)、または2-フルオロフェニルアラニン(-2F-Phe)から選択され、Z7およびZ8は、各々独立に、スレオニン、セリン、1-アミノシクロプロパンカルボン酸、または先に定義した式IIIの化合物から選択され、Z9は、アスパラギン酸、または先に定義した式IIの化合物から選択され、Z10は、式IVの天然または非天然アミノ酸を表し、
【化9】

Z11は、式V(a〜d)
【化10】

のアミノ酸から選択される]。
【請求項8】
アリール基が、フェニル、ナフチル、インダニル、フルオレニル、またはビフェニル基から選択される、請求項1に記載の式1の化合物。
【請求項9】
ヘテロアリール基が、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル基から選択される、請求項1に記載の式1の化合物。
【請求項10】
HSQGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HSQGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HSQGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HSQGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HAQGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HAQGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HAQGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HAQGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-QGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-QGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-QGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-QGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-QGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-QGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-QGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-QGTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HSQGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HSQGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HSQGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HSQGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HAQGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HAQGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HAQGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HAQGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-QGT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HSQGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HSQGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HSQGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HSQGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HAQGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HAQGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HAQGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HAQGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-QGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-QGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-QGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-QGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-QGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-QGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-QGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-QGT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HS-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HS-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HS-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HS-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HA-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HA-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HA-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HA-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-(CNB)-GTFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HS-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HS-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HS-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HS-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HA-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HA-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HA-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HA-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-(CNB)-GT-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HS-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HS-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HS-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HS-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HA-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HA-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HA-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HA-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
II-(ACP)-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-(CNB)-GT-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HSQ-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HSQ-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HSQ-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HSQ-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HAQ-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HAQ-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HAQ-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HAQ-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-Q-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-Q-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-Q-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-Q-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-Q-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-Q-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyrr);
H-(ACP)-Q-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-Q-(ACP)-TFTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HSQ-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HSQ-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HSQ-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HSQ-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HAQ-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HAQ-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HAQ-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HAQ-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-Q-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-Q-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-Q-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-Q-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-Q-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-Q-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-Q-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-Q-(ACP)-T-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HSQ-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HSQ-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HSQ-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HSQ-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HAQ-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HAQ-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HAQ-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HAQ-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-Q-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-Q-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-Q-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-Q-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-Q-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-Q-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-Q-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-Q-(ACP)-T-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HSQG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HSQG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HSQG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HSQG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HAQG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HAQG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HAQG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HAQG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-QG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-QG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-QG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-QG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-QG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-QG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-QG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-QG-(PCA)-FTSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HSQG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HSQG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HSQG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HSQG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HAQG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HAQG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HAQG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HAQG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-QG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-QG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-QG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-QG-(PGA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-QG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-QG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-QG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-QG-(PCA)-(α-Me-2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HSQG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HSQG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HSQG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HSQG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
HAQG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
HAQG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
HAQG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
HAQG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-Aib-QG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-Aib-QG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-Aib-QG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-Aib-QG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
H-(ACP)-QG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2Me);
H-(ACP)-QG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(Pyr);
H-(ACP)-QG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2F);
H-(ACP)-QG-(PCA)-(2F-Phe)-TSD-Bip(OMe)-Bip(2CF3);
から選択される式1の化合物。
【請求項11】
本明細書に記載の方法にしたがって調製される、請求項1に記載の式(I)の化合物および薬学的に許容できる適切な担体を含む薬剤組成物。
【請求項12】
グルカゴン受容体のアンタゴニストとして作用する、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬剤組成物。
【請求項13】
GLP-1受容体のアゴニストとしてさらに作用する、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬剤組成物。
【請求項14】
高脂血症、高コレステロール血症、高血糖症、高インスリン血症、遊離脂肪酸もしくはグリセロールの血中レベルの増大、高トリグリセリド血症、創傷治癒、耐糖能障害、レプチン耐性、インスリン耐性、または他の糖尿病合併症によって引き起こされる疾患の治療または予防に有用な、請求項11に記載の化合物またはその薬剤組成物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に定義した式(I)の化合物の有効な、非毒性の量を、それを必要とする患者に投与することを含む、高脂血症、高コレステロール血症、高血糖症、高インスリン血症、遊離脂肪酸もしくはグリセロールの血中レベルの増大、高トリグリセリド血症、創傷治癒、耐糖能障害、レプチン耐性、インスリン耐性、または他の糖尿病合併症によって引き起こされる疾患を予防または治療する方法。
【請求項16】
疾患が、インスリン耐性が病態生理学的機序の根底にある2型糖尿病、耐糖能障害、異脂肪血症、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈疾患、心血管障害、および他の疾患である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の式(I)の化合物、および薬学的に許容できる担体、希釈剤、賦形剤、または溶媒を、それを必要とする患者に投与することを含む、請求項14から16のいずれか一項に規定される疾患状態のいずれかを治療/軽減するための医薬品。
【請求項18】
請求項1に記載の式(I)の化合物、請求項11に記載のその薬剤組成物、および請求項17に記載のそれらを含む医薬品の、請求項14から16のいずれか一項に規定される疾患の治療に適する薬物としての使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−505820(P2010−505820A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531015(P2009−531015)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/IN2007/000457
【国際公開番号】WO2008/062457
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(507365927)カディラ・ヘルスケア・リミテッド (26)
【Fターム(参考)】