説明

折り畳み容器

【課題】初めて折り畳み容器を取り扱う者であっても、折り畳み方法を容易に把握でき、かつ短時間で簡単に折り畳むことができる折り畳み容器を提供する。
【解決手段】正面10、左側面30、右側面40、背面20及び柔軟素材で形成された矩形状の底面シート50を備えた直方体からなる折り畳み可能な折り畳み容器100において、前記左側面30及び前記右側面40に形成された略横幅中央に高さ方向に形成された内側に折り畳み可能な内側折り畳み部70と、前記正面10又は前記背面20の下端辺11に屈曲自在に連結され、底面シート50の上面側に位置された可倒可能な板状の底面板60と、前記左側面30及び前記右側面40に前記正面10又は前記背面20のうち前記底面板60が連結されている側から収納される前記底面板60の厚さ以上の距離の位置に屈曲可能に形成された側面屈曲部71と、で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み容器に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、折り畳み可能な容器として、矩形状の底面部と、相対向する二つの第1側面部と、相対向する二つの第2側面部とを備え、これら五つの面部の各々が網状又はシート状の矩形部材によって形成されており、使用時には前記五つの面部によって自立状態の箱型容器体を構成することができ、非使用時には前記箱型容器体を折り畳むことができる折り畳み容器であって、前記相対向する二つの第1側面部の各々には、その第1側面部に隣接する第2側面部との境界をなす左右の各辺から間隔を隔てた各位置において、当該各辺に沿って延びる一対の板状補強材が設けられている、ことを特徴とする折り畳み容器について提案している(特許文献1)。
【0003】
しかし、上記折り畳み容器は、折り畳み方法が複雑であるため、折り畳み方法に慣れるのに時間がかかるという課題があった。また、前記折り畳み容器は、各側面部に段ボールやプラスチック板といった硬質な板状の部材を用いた場合には折り畳むことができないという課題があった。さらに、上記折り畳み容器は、立方体でなければ折り畳むことができないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−153403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、こうした課題を鑑みてなされたものであり、初めて折り畳み容器を取り扱う者であっても、折り畳み方法を容易に把握でき、かつ短時間で簡単に折り畳むことができる折り畳み容器を提供することを主たる目的とする。また、側面に板状の部材を用いても折り畳むことのできる折り畳み容器を提供することも目的とする。さらに、立方体のみでなく直方体の折り畳み容器であっても折り畳むことができる折り畳み容器を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するために、以下の手段を採った。
【0007】
本発明の折り畳み容器は、正面、左側面、右側面、背面及び柔軟素材で形成された矩形状の底面シートを備えた直方体からなる折り畳み可能な折り畳み容器において、
前記左側面及び前記右側面に形成された略横幅中央に高さ方向の折り畳み可能な内側折り畳み部と、
前記正面又は前記背面の下端辺に屈曲自在に連結され、底面シートの上面側に位置された板状の底面板と、
折り畳み容器を折り畳んだ状態で前記底面板の収容領域を設けるために、前記左側面及び前記右側面に前記底面板が連結されている前記正面又は前記背面の側辺から前記底面板を収容可能な厚さ以上の距離の位置に屈曲可能に形成された側面屈曲部と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の折り畳み容器によれば、左側面及び右側面がそれぞれ内側折り畳み部で内側に折り畳むことができる。そのため、左側面及び右側面を内側に折り込みながら正面と背面を接近させることで、正面の面積を有する板状に折り畳むことができる。このように、基本的に両側面を内側に折り込み、正面及び背面を近接させるという操作のみで折り畳むことができるので、初めて取り扱う者であっても容易かつ迅速に折り畳むことができる。また、その際に使用状態である略立方体又略直方体の状態になっている容器の領域からはみ出すことなく畳むことができるので、最低限折り畳み容器を設置できるスペースがあれば容易に箱状に開口し、折り畳むことができる。さらに、正面と背面を接近させるだけで折り畳むことができるので、直方体であっても折り畳むことができる。さらに、折り畳み容器の底面に柔軟な素材からなる底面シートを有しているため、折り畳み容器を拡げる際に底面シートによって底面が矩形に拡がるように側面は規制される。そのため、立方体又は直方体の形状を保持することができ、平行四辺形の底面を有する容器状に拡げられるのを防止することができる。さらに、正面又は背面の下端辺に屈曲自在に連結された板状の底面板を備えているので、底面板を倒すことで底面を形成することができる。また、底面板を配置する際には、底面板を倒せば底面シートで位置決めされるので、容易に底面板を配置することができる。また、別途底面板を固定する部材を設ける必要がない。そして、底面板を設置した後は、底面板の側辺が左側面及び右側面を支持して、内側に折り畳まれるのを防止する支持部材としての機能するため、左側面及び右側面が内側に折り畳まれることを防止することができる。さらに、折り畳んだ状態で底面板を収容可能な収容領域を形成することができるので、折り畳む際に底面板が邪魔になることがない。
【0009】
また、本発明にかかる折り畳み容器として、前記底面板は、前記正面又は前記背面の下端辺と平行に折り畳み可能であってもよい。かかる構成を採用することによって、底面板の幅が折り畳み容器の高さより長い場合であっても、折り畳んだ際に底面板が折り畳み容器の上面からはみ出ることがない。
【0010】
さらに、本発明にかかる折り畳み容器として、前記正面又は前記背面のいずれかの上端辺で屈曲自在に連結された板材からなる蓋部材を備えていてもよい。かかる構成を採用することによって、閉鎖された内部空間を有する折り畳み容器とすることができる。
【0011】
さらに、本発明にかかる折り畳み容器として記蓋部材は、上端辺から少なくとも前記正面、前記左側面、前記右側面及び前記背面を折り畳んだ状態の厚さ以上の距離の位置に屈曲可能な蓋部材屈曲部を設けていてもよい。かかる構成を採用することによって、折り畳み容器を折り畳んだ際に、蓋部材を折り畳み容器の開口部を覆うように折り畳むことができ、かつ折り畳んだ状態の折り畳み容器と干渉することなく、蓋部材を折り畳むことができる。そのため蓋部材がかさばることがなく板状に折り畳むことができ、また折り畳んだ状態のときに容器内にゴミ、不要物等が入ることを防止することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる折り畳み容器として、前記蓋部材は、前記蓋部材屈曲部より先端側の前記蓋部材の周囲に、前記正面、前記左側面、前記右側面及び前記背面の少なくともいずれかに固定可能な固定片を備えていてもよい。かかる構成を採用することによって、折り畳み容器を容器状に拡げた状態で蓋部材を容器に固定することができるので、不用意に蓋部材が開くことを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る折り畳み容器によれば、折り畳む際に略立方体又略直方体の状態になっている容器の領域内で容易に折り畳むことができる折り畳み容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態にかかる折り畳み容器100の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態にかかる折り畳み式容器100を折り畳む際の工程の一部を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る折り畳み容器100の図2のD−D断面図である
【図4】第1実施形態にかかる折り畳み式容器100を折り畳む際の工程の一部を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態にかかる折り畳み式容器100を折り畳む際の工程の一部を示す斜視図である。
【図6】第1実施形態にかかる折り畳み式容器100を折り畳む際の工程の一部を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態にかかる折り畳み式容器100を折り畳む際の工程の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に沿って詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。
【0016】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる折り畳み容器100は、図1に示すように、主として、正面10、背面20、左側面30、右側面40、及び柔軟素材で形成された矩形状の底面シート50を備えた直方体をなしている。正面10、背面20、左側面30及び右側面40は、段ボールプラスチックで作製されており、底面シート50は、図3に示すように、柔軟性を有するプラスチックシートで作製されている。折り畳み容器100の高さαは、左側面30及び右側面40の幅βよりも短く設けられている。
【0017】
正面10には、下端辺11に対して屈曲自在に連結された底面板60が底面シート50の上面側に配置するように設けられている。底面板60は、段ボールプラスチックで作製されていて、略中央に下端辺11と平行に設けられた折り畳み部61を有し、この折り畳み部で二つ折り可能に形成されている。これによって、底面板60を起こした場合に、底面板60を折り畳むことによって、折り畳み容器100の上面より上方に底面板60が飛び出ることを防止して、底面板60を折り畳み容器100内に収めることができる。
【0018】
左側面30及び右側面40には、略横幅中央に高さ方向に形成された内側折り畳み部70が設けられており、この内側折り畳み部70を内側に折り込むことによって左側面30及び右側面40は二つ折りにすることができる。また、底面板60を折り畳んだ場合に底面板60を収容する領域を確保するために、左側面30及び右側面40の正面10側の側辺12から一定の距離の位置に、左側面30及び右側面40を屈曲可能に形成された側面屈曲部71が設けられている。側面屈曲部71と正面10の側辺12との距離は、底面板60を折り畳んだ際の厚さγ(図4参照)、すなわち、底面板60を折り畳んだ状態である2枚分の厚さと同一又はそれ以上の長さの距離となる位置に設けられている。
【0019】
背面20には、上端辺21で屈曲自在に連結された蓋部材80が設けられている。蓋部材80は、上端辺21から一定の距離の位置に蓋部材屈曲部81が設けられている。蓋部材屈曲部81と上端辺21との距離は、折り畳み容器100を折り畳んだ際に、正面10、背面20、左側面30及び右側面40で形成される厚さδ(図5参照)より長い距離になる位置に設けられる。蓋部材80のうち、蓋部材屈曲部81より先端側の周囲には、図2に示すように、蓋部材80で閉鎖状態に固定するために、それぞれ正面10、左側面30及び右側面40に固定可能な固定片91、92、93が設けられている。それぞれの固定片91、92、93には、雄又は雌の面ファスナー95が設けられており、他方、正面10、左側面30及び右側面40には、それぞれの固定片91、92,93の雄又は雌の面ファスナー95に対応する雌又は雄の面ファスナー96が設けられている。従って、それぞれ対応する面ファスナー同士を固定することで、蓋部材80で閉鎖状態に固定することができる。
【0020】
底面シート50は、柔軟な素材で作成されていれば、どのような素材であっても構わない。例えば、プラスチック、布又は紙等が使用される。底面シート50は、柔軟ではあるが、伸縮性は低いものを使用することが好ましい。
【0021】
以上のように作製された折り畳み容器100は、以下のようにして使用される。図1に示すように、折り畳み容器100を容器としての使用している状態(開いている状態)から、図2の矢印Aに示すように、底面板60を起こし、折り畳み部61で折り畳みつつ、正面に沿うように立設させる(図4参照)。次に、図4に示すように、左側面30及び右側面40は、内側折り畳み部70で内側に折り畳みつつ、正面10と背面20を近接させていく。このとき、底面シート50は、折り畳み容器100内に配置するように収納させていく。さらに、正面10と背面20を近接させていき、図5に示すように、板状になるまで折り畳む。この状態で、底面板60は、側面屈曲部71と正面の側辺12との間に形成される空間に収容される。さらに、蓋部材80を、矢印Bに示すように、正面側に折り畳んでいく(図6参照)。この状態から、図6に示すように、固定片91、92、93を、矢印Cに示すように、それぞれ左側面30側、底面50側及び右側面40側に折り畳むことによって、略板状に折り畳まれる(図7参照)。
【0022】
一方、折り畳まれた状態から容器としての使用状態にするには、前述と反対の操作を行えばよい。すなわち、正面10と背面20を離間させていく。この際に底面シート50があるので直方体となるように気をつけることなく、単に離間させれば自然と直方体となるように拡がっていく。そして、その状態から底面板60を底面シート50の上面に配置すればよい。必要応じて蓋部材80で上面を覆うことで、閉鎖空間を有する容器とすることができる
【0023】
第1実施形態にかかる折り畳み容器100によれば、正面10、背面20、左側面30、右側面40及び底面板60に比較的硬質の段ボールプラスチックを使用したとしても、正面10及び背面20を近接させるだけで折り畳むことが可能になる。従って、従来の折り畳み容器と比較して迅速に折り畳むことができる。また、折り畳む際には、折り畳み容器の略立方体又略直方体の領域内で折り畳むことができるので、折り畳み容器100が設置可能な場所であれば、必ず折り畳むことが可能になる。折り畳み状態から容器状態へ拡げる場合においても、底面に柔軟な底面シート50が設けられているので、この柔軟な底面シート50によって、必ず折り畳み容器100は、立方体又は直方体の形状に拡げられることになる。よって、平行四辺形のような状態になることはなく、容器領域が狭くなるのを防止することができる。さらに、拡げた状態で底面板60を倒せば、底面シート50が底面板60を支持するので、何ら他の固定手段を用いることなく、底面板60が位置決めされ、板状の底面を形成することができる。底面に設置された底面板60は、底面板60自体が左側面30及び右側面40を側辺で支持するため、底面に設置された状態のときに左側面30及び右側面40が内側に折り畳まれるのを防止することができる。さらに、底面板60を折り畳み可能に設けているので、折り畳み容器100の高さが、左側面30又は右側面40の幅より短い場合であっても、底面板60が突出することなく折り畳むことができる。
【0024】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施しうる。
【0025】
上述の実施形態においては、底面板60を正面側の下端辺で連結したが、背面側の下端辺で連結しても構わない。かかる構成を採用しても同様の効果を得ることができる。この場合には、側面屈曲部71は、側面の背面側に設けるとよい。
【0026】
また、上述の実施形態においては、底面板60を折り畳み可能に設けたが、折り畳み容器100の高さが左側面30又は右側面の幅の長さより高い場合には、必ずしも折り畳み可能に設ける必要はない。この場合には、底面板60を折り畳まなくても折り畳み容器の上面より上方に飛び出すおそれがないからである。
【0027】
さらに、上述した実施形態においては、蓋部材80を設けたが必ずしも、必須の構成ではなく、蓋としての機能を必要としない場合には設ける必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上述した実施の形態で示すように、自立型の折り畳み式の容器として産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
10…正面、11…下端辺、12…側辺、20…背面、21…上端辺、30…左側面、40…右側面、50…底面シート、60…底面板、61…折り畳み部、70…内側折り畳み部、71…側面屈曲部、80…蓋部材、81…蓋部材屈曲部、91、92、93…固定片、95…面ファスナー、96…面ファスナー、100…折り畳み容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面、左側面、右側面、背面及び柔軟素材で形成された矩形状の底面シートを備えた直方体からなる折り畳み可能な折り畳み容器において、
前記左側面及び前記右側面に形成された略横幅中央に高さ方向の折り畳み可能な内側折り畳み部と、
前記正面又は前記背面の下端辺に屈曲自在に連結され、底面シートの上面側に位置された板状の底面板と、
折り畳み容器を折り畳んだ状態で前記底面板の収容領域を設けるために、前記左側面及び前記右側面に前記底面板が連結されている前記正面又は前記背面の側辺から前記底面板を収容可能な厚さ以上の距離の位置に屈曲可能に形成された側面屈曲部と、
を備えていることを特徴とする折り畳み容器。
【請求項2】
前記底面板は、前記正面又は前記背面の下端辺と平行に折り畳み可能であることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み容器。
【請求項3】
前記正面又は前記背面のいずれかの上端辺で屈曲自在に連結された板材からなる蓋部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の折り畳み容器。
【請求項4】
前記蓋部材は、上端辺から少なくとも前記正面、前記左側面、前記右側面及び前記背面を折り畳んだ状態の厚さ以上の距離の位置に屈曲可能な蓋部材屈曲部を設けていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の折り畳み容器。
【請求項5】
前記蓋部材は、前記蓋部材屈曲部より先端側の前記蓋部材の周囲に、前記正面、前記左側面、前記右側面及び前記背面の少なくともいずれかに固定可能な固定片を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の折り畳み容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−176795(P2012−176795A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41955(P2011−41955)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(304022115)株式会社アイベックス (7)
【Fターム(参考)】