折り畳み携帯端末
【課題】十分な強度を有しつつ、折り畳み機構とスライド機構を備えて、様々な利用シーンに対応したスタイルをとることのできる折り畳み携帯端末を提供する。
【解決手段】第1の筐体と第2の筐体および第2の筐体と第3の筐体が回転可能に連結される回転機構を備え、第1の筐体が第2の筐体に対してスライドすることが可能なスライド機構を備え、第1の筐体と第2の筐体とを繋留する係止手段を備える。
【解決手段】第1の筐体と第2の筐体および第2の筐体と第3の筐体が回転可能に連結される回転機構を備え、第1の筐体が第2の筐体に対してスライドすることが可能なスライド機構を備え、第1の筐体と第2の筐体とを繋留する係止手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末に係り、より詳細には、使用状況によって様々な形状、使用スタイルをとることを可能にしたスライド可能な折り畳み携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の普及に併せて、折り畳み式携帯端末、スライド式携帯端末など、様々な構造の携帯端末が提案されている。近年では、写真や動画の撮影に利用されるカメラやテレビチューナを備えた端末が主流となり、携帯電話の使用シーンが広がっている。
【0003】
折り畳み式携帯端末の先行技術文献として特許文献1、特許文献2がある。図22(a)(b)は特許文献1の図2と図4である。図22(a)(b)に示すように特許文献1は、上筐体部を180度以上捻り回転可能な構成(図22(a))とすることにより、画像表示部が外側となる状態で折り畳みできる(図22(b))ようにしている。このような携帯端末においては、閉状態では隠れてしまう下筐体部のキー操作部とは別に操作部が設けられており、端末を開かなくとも画面表示部の確認や操作を行うことができる。図22(c)(d)(e)はそれぞれ特許文献2の図8、図2、図12である。特許文献2は、上筐体の長手方向の開閉機能(図22(c))および短手方向の開閉機能(図22(d))と、上筐体の表裏を反転した状態で折り畳む機能(図22(e))とを備えた折り畳み式携帯電話装置を提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−118633号公報
【特許文献2】特開2005−198062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、様々な利用シーンや使用スタイルに対応した形態をとることのできる携帯端末が種々開発されているが、これら従来の携帯端末には、以下に示すような課題が残っている。
特許文献1、特許文献2で提案されている携帯電話装置は、上筐体を反転した状態で折り畳む機能を備えているが、上筐体を下筺体に対しスライドさせる構成や、上筐体の表裏を反転した状態で上筺体を下筺体に対しでスライドさせる構成を有していないため、スライド式携帯端末の使用スタイルを実現させることはできない。また、使用スタイルを変更するために手間が掛かるという課題がある。例えば、図22(d)から図22(e)へ使用スタイルを変更する場合、3つの回転軸の回転を行う必要がある。
【0006】
更に、複数の使用スタイルをとることの可能な携帯端末においては、各筐体の連結部の強度が大きな課題となる。また、外部から意図せぬ力が加えられた場合でも、現在利用しているスタイルを保持することのできる安定した構造も求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するために本発明の折り畳み携帯端末は以下に示す特徴を備える。
本発明の折り畳み携帯端末は、第1の筐体と第2の筐体と第3の筐体とからなり、前記第1の筐体と前記第2の筐体を回転可能に連結する第1のヒンジと、前記第2の筐体と前記第3の筐体を回転可能に連結する第2のヒンジと、前記第1の筐体を前記第2の筐体に対してスライドさせるスライド機構とを備えることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末の前記スライド機構は、前記第1の筐体を前記第2の筐体に対して直線状にスライドさせることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末は、前記第1のヒンジの回転軸と前記第2のヒンジの回転軸とが直交し、前記第1の筐体が前記第2のヒンジの回転軸に対して直線状にスライドすることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末は、前記第1の筐体と前記第2の筐体が上筐体を構成し、前記第3の筐体が下筐体を構成し、前記上筐体と前記下筐体とが折り畳み可能であることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間には、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを選択的に繋留する少なくともひとつの係止手段を備えることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末の前記スライド機構は、少なくともスライダー部と前記第1の筐体の空間部によって構成され、前記スライダー部は、前記第1のヒンジに固定され前記空間部内をスライドすることを特徴とする。また、本発明の折り畳み携帯端末の前記第1の筐体の少なくとも一方の端部は、半径rの丸い形状をしており、この半径rは、前記第1の筐体の厚さの略2分の1であることを特徴とする。また、本発明の折り畳み携帯端末の前記第2の筐体が前記第3の筐体に対して回転せず静止した状態(B0)で、前記第1の筐体が前記第2の筐体に対してスライド後に前記第1のヒンジの回転軸を中心に回転できる位置までスライドすることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末は、前記第1の筐体および/または前記第3の筐体には、カメラ、画面表示部およびキー操作部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の折り畳み携帯端末によれば、2つの直交した回転軸と1つのスライド軸を用いることにより、従来の携帯端末に比べ簡単な操作により、多様な使用スタイルを実現することが可能になる。
更に、係止手段を設けることによって、外部から意図せぬ力をかけられても現在の使用スタイルを維持することが可能となり、安定性をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図2】実施形態1における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図3】実施形態1における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図4】実施形態1における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図5】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図6】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図7】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図8】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図9】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図10】実施形態1における折り畳み携帯端末のスライド機構の概要図。
【図11】実施形態1における折り畳み携帯端末のスライド機構の概要図。
【図12】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図13】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図14】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図15】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図16】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図17】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図18】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図19】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図20】実施形態1における折り畳み携帯端末の構造とスライド機構を説明する図。
【図21】実施形態2における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図22】従来技術の折り畳み式携帯端末を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施可能である。
[実施形態1]
実施形態1による折り畳み携帯端末(以下携帯端末500とする)について図1から図19を参照して説明する。なお、図1から図4は、携帯端末500の構成、構造の概要を示す図であり、図5から図11は携帯端末500の回転機構とスライド機構を示す図であり、図12から図19は、この回転機構とスライド機構によって実現される携帯端末500の使用スタイルの例を示す図である。以下に図に従い説明する。
【0011】
図1は、携帯端末500の基本的な構成を示す構成図である。図1に示すように、携帯端末500は上筐体(第1の筐体100と第2の筐体200により構成)と下筐体(第3の筐体300)により構成される。ここで第1の筐体100と第2の筐体200はヒンジ10(第1のヒンジ)により回転可能に連結され、第2の筐体200と第3の筐体300は、ヒンジ20(第2のヒンジ)により上筐体と下筐体を開閉可能に連結される。また、第1の筐体100は表示部410を備え、第3の筐体300はキー操作部420とその裏面にカメラ430を備える。ただし、どのような機能をいずれの筐体にどのように具備するかは適宜変更可能であり、例えば、カメラ430の横に赤外線送信部を構成するなど、図1に示す表示部410、キー操作部420、カメラ430の構成に限定されない。また、表示部410等を、折り畳まれた携帯端末の内側または外側のいずれの面に配置するかについても、任意に変更することが可能である。
【0012】
図2、図3は、携帯端末500の内部構造を図1よりも詳細に説明した図である。なお、図3は携帯端末500の正面と上面と側面を図示し、配線440も図示している。図2、図3に示すヒンジ10は、第1の筐体100の内部に構成されるスライダー130を介して、第2の筐体200に対して、第1の筐体100を図2、図3に記載の状態から−180度から180度まで回転することが可能である。この回転軸を回転軸A(第1のヒンジの回転軸)とする。また、ヒンジ20は、第2の筐体200を第3の筐体300に対して、図2、図3に記載の状態から180度回転することが可能である。この回転軸を回転軸B(第2のヒンジの回転軸)とする。ここで、回転軸Aと回転軸Bは直交する。また、第1の筐体100は、第2の筐体200寄りに空間部110を有し、空間部110内に形成されるレール120に沿ってスライドするスライダー130を有する。ここで、スライダー130がスライドする軸(スライド軸)をスライド軸Cとする。なお、スライダー130は、ヒンジ10が第2の筐体200に対して回転する作用によって、第2の筐体200に対して回転する。また、スライダー130が第2の筐体200に対して回転する作用によって、第1の筐体100を回転させる。なお図2ではレール120をスライダー130の下部に構成するように図示し、図3には上部と下部の両方に構成するように図示したが、どちらでもよい。第1の筐体100の空間部110と、レール120と、スライダー130とによりスライダー機構が構成されている。
【0013】
図3に示したストッパ140を説明する。ストッパ140は、第1の筐体100と第2の筐体200を一体化する。またストッパ140は、ある程度の力が加わった場合のみ解除状態となる係止手段を有するものとする。このような係止手段のものとしては、例えばクリック機構や磁石などがあるが特に限定しない。また、係止手段の変形例としては、スイッチ式に固定状態と解除状態との切り替えが可能なスイッチを有してもよい。これら係止手段またはスイッチを備えることにより、第1の筐体100および第2の筐体200を、回転軸Aに沿った回転方向にある程度以上の力が係止手段に加わらない状態で、または、スイッチが固定状態で、第3の筐体300に対して、回転軸Bに沿った回転方向に力を加え回転させた場合、第1の筐体100および第2の筐体200を一体的に回転することができるので、第1の筐体100の第2の筐体200に対する意図せぬ回転を防止することが可能である。また、回転軸Aに沿った回転方向にある程度の力が係止手段に加わった場合、または、スイッチが解除状態にされた場合は、ストッパ140ははずれるので、第1の筐体100を第2の筐体200に対して回転させることが可能になる。
また、ストッパ140は、回転軸Bを軸として携帯端末500を長手方向に開閉させる際に掛かる力を分散させる働きも持つ。すなわち、ストッパ140が無ければ、上筐体(第1の筐体100と第2の筐体200により構成)を長手方向に開閉させる際に、ヒンジ10に力が偏ってしまい、端末の破損につながる恐れがあるが、ストッパ140を設けることで、この力を分散させることができる。なお、ストッパ140の配置は、図3に示す位置、方向に限定されず、またストッパの個数も幾つでもよい。
携帯端末500はこのようなストッパ140を備えることにより、各筐体の連結部の強度を上昇させることができ、また、外部から意図せぬ力が加えられた場合でも、使用しているスタイルを保持することのできる安定した構造を有することが可能になる。
【0014】
図4は、回転軸Aによる回転構造とスライド軸Cによるスライド構造を説明する図である。図4に示すように、スライダー130は、ヒンジ10により、第2の筐体200(図示していない)に対し回転軸Aを軸として回転する。スライダー130は第1の筐体100の空間部110内にあり、スライダー130が回転軸Aを軸として回転することで第1の筐体100も同時に回転する構造となっている。また、スライダー130は、第1の筐体100の空間部110とレール120により、第1の筐体100に対してスライドする。第2の筐体200とヒンジ10を介して連結されたスライダー130が第1の筐体100に対してスライドすることで、第1の筐体100は第2の筐体200に対して、スライドする構造となっている。また、配線440は、電気的接続を行うために、第3の筐体300から第2の筐体200とスライダー130を介して、第1の筐体100に接続される。配線440は、スライダー130がスライドするために、配線長に冗長を有して第1の筐体100の内部に構成される。なお、配線の冗長部分が弛んで空間部110にはみ出さないように、ばね150などを備えて配線が第1の筐体100内に収まるようにすることが望ましい。また、空間部110と第1の筐体100の間に配線のための隙間が生じるが、ほこりなどが第1の筐体100へ侵入することを防ぐために、隙間部分にフィルタや幕を設けることが望ましい。
【0015】
図1から図4に示した携帯端末500は、第2の筐体200を、第3の筐体300に対し長手方向に対して回転可能なように連結している。この場合、第1の筐体100の第2の筐体200に対するスライドは、短手方向のスライドとなる。一方、第2の筐体200を、第3の筐体300に対し短手方向に回転可能な連結することも可能であり、この場合、第1の筐体100の第2の筐体200に対するスライドは、長手方向のスライドとなる。
【0016】
図5から図11は、携帯端末500の回転機構とスライド機構が作用する様子を例示する概要図である。図5、図6、図7は、第1の筐体100が回転軸Aにより、第2の筐体200に対して回転する様子を示している。ここで、図7(a)のように第1の筐体100が第2の筐体200に対して静止している状態を“A0”、図7(b)のように90度程度回転している状態を“A1”、図7(c)のように180度程度(または、“A1”とは反対の方向に180度程度(すなわち−180度程度))回転している状態を“A2”とする。
図8と図9は、第2の筐体200が回転軸Bにより、第3の筐体300に対して回転する様子を示している。図9(a)のように第2の筐体200が第3の筐体300に対して静止している状態を“B0”、図9(b)のように90度程度回転している状態を“B1”、図9(c)のように180度程度回転している状態を“B2”とする。
【0017】
図10と図11は、第1の筐体100がスライド軸Cにより、第2の筐体200に対してスライドする様子を示している。図11(a)のように第1の筐体100が第2の筐体200に対して静止している状態(スライダー130が空間部110の一端部に位置している状態)を“C0”、図11(b)のように“C0”の状態からスライダー130が空間部110の他端部にスライドしている状態を“C1”とする。
なお図5から図9では、回転軸Aの回転角が−180度から180度、回転軸Bの回転角が0度から180度である場合を例示したが、これ以外の角度を利用した端末の利用シーンを考えることも可能である。
【0018】
実施形態1による携帯端末500の使用スタイルを図12から図19に示して説明する。図12から図19は、上述した図5から図11の説明で示した携帯端末500の回転機構とスライド機構の作用によって実現するものであり、第1の筐体100の回転(A0、A1、A2)、第2の筐体200の回転(B0、B1、B2)、第1の筐体100のスライド(C0、C1)を組み合わせることで、様々な利用シーンに対応した端末スタイルを提案するものである。以下に図12から図19の端末スタイルを説明する。
【0019】
(1)基本スタイル(折り畳みスタイル)(図12)
A0−B0−C0
上筐体を下筐体に対して折り畳んだスタイル。キー操作部420、表示部410が内側に折り畳まれ、2つの回転軸A、Bが回転しておらず、スライダー130がスライド軸に沿ってスライドもしていないスタイルである。
【0020】
(2)縦開き置きスタイル(縦置きAV通話スタイル)(図13)
A0−B1−C0
第3の筐体300に対して、上筺体(第1の筐体100と第2の筐体200構成)を長手方向に開いたスタイルである。
【0021】
(3)縦開きスタイル(通話・AV通話スタイル)(図14)
A0−B2−C0
一般的な折り畳み式携帯電話端末で通話する時のスタイルである。キー操作部420の裏面のカメラ430を利用して風景等を写しながらのAV通信や、AV通信中のキー操作も可能である。カメラ430と表示部410の向きが逆向きになっているので、第3の筐体300のキー操作部420と表示部410が使用者の方を向いて撮影するスタイルである。画面、撮影される写真、ビデオの基本サイズは縦長となる。
【0022】
(4)横開き置きスタイル(置き型TVスタイル)(図15)
A1−B0−C0
上筐体を下筐体に対して短手方向に回転させたスタイル。第3の筐体300を平面に置き、表示部410が設置された第1の筐体100を傾けることで、机の上などに置いてテレビを視聴できるようにしたスタイルである。
【0023】
(5)横開きスタイル(インターネットスタイル)(図16)
A2−B0−C0
テレビの利用、インターネットの利用、PC関連機能の利用に適したスタイルである。カメラ430と表示部410の向きが逆向きになっているので、相手撮りに適したスタイルである。画面、撮影される写真、ビデオの基本サイズは横長となる。
【0024】
(6)自分撮りスタイル(横画面)(図17)
A0−B0−C1
図12の基本スタイルから第1の筐体100を短手方向にスライドさせたスタイル。カメラ430と表示部410の向きを同方向にし(図17の下方向)、自分撮りに適したスタイルである。画面、撮影される写真、ビデオの基本サイズは横長となる。
【0025】
(7)自分撮りスタイル(縦画面)(図18)
A2−B2−C1
カメラ430と表示部410の向きを同方向にし、自分撮りに適したスタイルである。画面、撮影される写真、ビデオの基本サイズは縦長となる。
【0026】
(8)基本スタイル(画面表示部外向きの折り畳みスタイル・デジカメスタイル)(図19)
A2−B0−C1
第1の筐体100の表裏を反転させた状態で折り畳んだスタイルである。端末を閉じた状態で表示部410の確認や操作ができる。また、カメラ430と表示部410とを180度の向きに配置され、デジタルカメラの様に利用できるスタイルである。なお、(1)基本スタイル(折り畳みスタイル)(図12)から(8)基本スタイル(画面表示部外向きの折り畳みスタイル・デジカメスタイル)(図19)へスタイル変更を行う方法として、例えば以下が挙げられる。
ひとつの方法は、A0−B0−C0からA2−B0−C0である(5)横開きスタイル(インターネットスタイル)(図16)を行い、A2−B0−C1へ移行する方法である。もしくはA0−B0−C0からA0−B0−C1である(6)自分撮りスタイル(横画面)(図17)を行い、A2−B0−C1へ移行する方法である
【0027】
上述した様々な使用スタイルを行うための携帯端末500の構造とスライド機構について図20を説明する。図20(a)は、図2を短手側から見た図であり、携帯端末500の第1の筐体100が、図2の状態から図15の状態へ回転する様子を示している。このように携帯端末500の第1の筐体100が回転軸Aで回転可能であるために、特に図9(a)のように携帯端末500の第2筐体200が第3の筐体300に対して静止している状態(B0)で、第1の筐体100が図7のA0、A1、A2のそれぞれに示すように回転可能であるために、第1の筐体100の図面中左側の端部は、図20(a)のように半径rの丸い形状であることが望ましい。この半径rは、第1の筐体100の厚さの略2分の1で、この略とは筐体の内壁とヒンジ10の外周との間に、摩擦防止のために設ける僅かに隙間を含めることを意味している。
【0028】
図20(b)は、図20(a)と同じように図2を短手側から見た図であり、携帯端末500の第1の筐体100が、第2筐体200が第3の筐体300に対して静止している状態(B0)で、スライドする様子を示している。また、別の図を参照すれば、図20(b)は、図2の状態から図17の状態へスライドする様子を示している。
【0029】
図20(b)に示すように、実施形態1による携帯端末500では、第1の筐体100の図面中右側の端部も、図のように半径rの丸い形状であることが望ましい。そして、第1の筐体100の図面中右側の端部は、図面中実線の状態から破線の状態まで、図面中左側にスライド可能である。そして、スライド後に、第1の筐体100の図面中右側の端部が回転軸Aで回転できるように、第1の筐体100の図面中右側の端部は、回転軸Aの中心から少なくとも半径rだけ図面中右側にずれた位置まで(図面中実線の状態から破線の状態まで)スライド可能であるとも表現できる。また、このことは、前記第2の筐体200が前記第3の筐体300に対して回転せず静止した状態(B0)で、前記第1の筐体100が前記第2の筐体200に対して、スライド後に前記第1のヒンジ10の回転軸Aを中心に回転できる位置までスライドすることを意味する。以上、実施形態1による携帯端末500の端末スタイルの例を挙げたが、(A0、A1、A2)、(B0、B1、B2)の回転、(C0、C1)のスライドを組み合わせることで、他にも様々な利用シーンに対応した端末スタイルを提案することができる。
【0030】
なお、上述した説明では、携帯端末500は、第1の筐体100内に空間部110とスライダー130を構成し、このスライダー130が、第2の筐体200と連結する第1のヒンジに固定された状態で空間部110内をスライドすることで、第1の筐体100は第2の筐体200に対してスライドする構造を例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、第2の筐体200内に空間部110とスライダー130を構成し、このスライダー130が、第1の筐体100と連結する第1のヒンジに固定された状態で空間部110内をスライドすることで、第2の筐体200が第1の筐体100に対してスライドするようにしてもよい。
【0031】
以上、説明したように実施形態1による折り畳み携帯端末は、第1の筐体と第2の筐体を回転可能に連結する第1のヒンジと、第2の筐体と第3の筐体を回転可能に第2のヒンジと、第1の筐体と第2の筐体をスライドさせるスライド機構を備えることによって、様々な折り畳み携帯端末の使用スタイルを実現することを可能にするものである。
また、スライド機構を備えることによって、折り畳み携帯端末の使用スタイルの変更を簡単に実行できる効果もある。例えば、図22に示した特許文献2による折り畳み式携帯電話装置では、図22(d)の状態で使用者が表示部を見ながらキー操作を行ってから、図22(e)のように表示部を表に向けて折り畳むためには、まず回転軸5による回転を行い、次に回転軸6による回転を行い、更に回転軸4による回転を行う必要があり手間が掛かる。これに対して実施形態1による折り畳み携帯端末であれば、例えば図15の状態から、回転軸Aによる回転を行って図16の状態に変更し、次にスライド機構によるスライドを行って図19の状態へ移行すればよく、簡単に使用スタイルの変更を実施できる。
【0032】
[実施形態2]
実施形態2による折り畳み携帯端末(以下携帯端末501とする)を図21に示す。図21に示すように携帯端末501は、第1の筐体101と第2の筐体201と第3の筐体301とが、ヒンジ11とヒンジ21によって連結され、第2の筐体201を、第3の筐体301に対し第3の筐体301の短手方向へ回転可能に構成される。実施形態1による携帯端末500は、第2の筐体200が第3の筐体300に対し、第3の筐体300の長手方向へ回転可能に連結されたが、携帯端末501は、第2の筐体201を、第3の筐体301に対し第3の筐体301の短手方向へ回転可能に連結される点が異なっている。このため、スライド軸C´による第1の筐体101の第2の筐体201に対するスライドも実施形態1とは異なり、長手方向へのスライドとなる。また、図21に示す携帯端末501では、第2の筐体201と第3の筐体301とを連結するヒンジ21は1部で構成しているが、これに限定せず、第1の筐101と第2の筐体201の構造を実施形態1の携帯端末500のようにし、ヒンジ21を実施形態1の携帯端末500のように2部(左右2つのヒンジで回転軸Bを構成)で構成することも可能である。このように、ヒンジ、レール、ストッパ、および各部の形状、大きさは本実施形態に限らずさまざまな形態を行うとることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末などに広く用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
10、11、20、21・・・ヒンジ、
100、101・・・第1の筐体、
110、111・・・空間部、
120、121・・・レール、
130、131・・・スライダー、
140・・・ストッパー
150・・・ばね
160・・・端部
200、201・・・第2の筐体、
300、301・・・第3の筐体、
410、411・・・表示部、
420、421・・・キー操作部、
430、431・・・カメラ、
440・・・配線、
500、510・・・携帯端末
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末に係り、より詳細には、使用状況によって様々な形状、使用スタイルをとることを可能にしたスライド可能な折り畳み携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の普及に併せて、折り畳み式携帯端末、スライド式携帯端末など、様々な構造の携帯端末が提案されている。近年では、写真や動画の撮影に利用されるカメラやテレビチューナを備えた端末が主流となり、携帯電話の使用シーンが広がっている。
【0003】
折り畳み式携帯端末の先行技術文献として特許文献1、特許文献2がある。図22(a)(b)は特許文献1の図2と図4である。図22(a)(b)に示すように特許文献1は、上筐体部を180度以上捻り回転可能な構成(図22(a))とすることにより、画像表示部が外側となる状態で折り畳みできる(図22(b))ようにしている。このような携帯端末においては、閉状態では隠れてしまう下筐体部のキー操作部とは別に操作部が設けられており、端末を開かなくとも画面表示部の確認や操作を行うことができる。図22(c)(d)(e)はそれぞれ特許文献2の図8、図2、図12である。特許文献2は、上筐体の長手方向の開閉機能(図22(c))および短手方向の開閉機能(図22(d))と、上筐体の表裏を反転した状態で折り畳む機能(図22(e))とを備えた折り畳み式携帯電話装置を提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−118633号公報
【特許文献2】特開2005−198062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、様々な利用シーンや使用スタイルに対応した形態をとることのできる携帯端末が種々開発されているが、これら従来の携帯端末には、以下に示すような課題が残っている。
特許文献1、特許文献2で提案されている携帯電話装置は、上筐体を反転した状態で折り畳む機能を備えているが、上筐体を下筺体に対しスライドさせる構成や、上筐体の表裏を反転した状態で上筺体を下筺体に対しでスライドさせる構成を有していないため、スライド式携帯端末の使用スタイルを実現させることはできない。また、使用スタイルを変更するために手間が掛かるという課題がある。例えば、図22(d)から図22(e)へ使用スタイルを変更する場合、3つの回転軸の回転を行う必要がある。
【0006】
更に、複数の使用スタイルをとることの可能な携帯端末においては、各筐体の連結部の強度が大きな課題となる。また、外部から意図せぬ力が加えられた場合でも、現在利用しているスタイルを保持することのできる安定した構造も求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するために本発明の折り畳み携帯端末は以下に示す特徴を備える。
本発明の折り畳み携帯端末は、第1の筐体と第2の筐体と第3の筐体とからなり、前記第1の筐体と前記第2の筐体を回転可能に連結する第1のヒンジと、前記第2の筐体と前記第3の筐体を回転可能に連結する第2のヒンジと、前記第1の筐体を前記第2の筐体に対してスライドさせるスライド機構とを備えることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末の前記スライド機構は、前記第1の筐体を前記第2の筐体に対して直線状にスライドさせることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末は、前記第1のヒンジの回転軸と前記第2のヒンジの回転軸とが直交し、前記第1の筐体が前記第2のヒンジの回転軸に対して直線状にスライドすることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末は、前記第1の筐体と前記第2の筐体が上筐体を構成し、前記第3の筐体が下筐体を構成し、前記上筐体と前記下筐体とが折り畳み可能であることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間には、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを選択的に繋留する少なくともひとつの係止手段を備えることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末の前記スライド機構は、少なくともスライダー部と前記第1の筐体の空間部によって構成され、前記スライダー部は、前記第1のヒンジに固定され前記空間部内をスライドすることを特徴とする。また、本発明の折り畳み携帯端末の前記第1の筐体の少なくとも一方の端部は、半径rの丸い形状をしており、この半径rは、前記第1の筐体の厚さの略2分の1であることを特徴とする。また、本発明の折り畳み携帯端末の前記第2の筐体が前記第3の筐体に対して回転せず静止した状態(B0)で、前記第1の筐体が前記第2の筐体に対してスライド後に前記第1のヒンジの回転軸を中心に回転できる位置までスライドすることを特徴とする。
また、本発明の折り畳み携帯端末は、前記第1の筐体および/または前記第3の筐体には、カメラ、画面表示部およびキー操作部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の折り畳み携帯端末によれば、2つの直交した回転軸と1つのスライド軸を用いることにより、従来の携帯端末に比べ簡単な操作により、多様な使用スタイルを実現することが可能になる。
更に、係止手段を設けることによって、外部から意図せぬ力をかけられても現在の使用スタイルを維持することが可能となり、安定性をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図2】実施形態1における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図3】実施形態1における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図4】実施形態1における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図5】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図6】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図7】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図8】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図9】実施形態1における折り畳み携帯端末の回転機構の概要図。
【図10】実施形態1における折り畳み携帯端末のスライド機構の概要図。
【図11】実施形態1における折り畳み携帯端末のスライド機構の概要図。
【図12】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図13】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図14】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図15】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図16】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図17】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図18】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図19】実施形態1における折り畳み携帯端末の端末使用スタイルを示す図。
【図20】実施形態1における折り畳み携帯端末の構造とスライド機構を説明する図。
【図21】実施形態2における折り畳み携帯端末の構成、構造の概要図。
【図22】従来技術の折り畳み式携帯端末を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施可能である。
[実施形態1]
実施形態1による折り畳み携帯端末(以下携帯端末500とする)について図1から図19を参照して説明する。なお、図1から図4は、携帯端末500の構成、構造の概要を示す図であり、図5から図11は携帯端末500の回転機構とスライド機構を示す図であり、図12から図19は、この回転機構とスライド機構によって実現される携帯端末500の使用スタイルの例を示す図である。以下に図に従い説明する。
【0011】
図1は、携帯端末500の基本的な構成を示す構成図である。図1に示すように、携帯端末500は上筐体(第1の筐体100と第2の筐体200により構成)と下筐体(第3の筐体300)により構成される。ここで第1の筐体100と第2の筐体200はヒンジ10(第1のヒンジ)により回転可能に連結され、第2の筐体200と第3の筐体300は、ヒンジ20(第2のヒンジ)により上筐体と下筐体を開閉可能に連結される。また、第1の筐体100は表示部410を備え、第3の筐体300はキー操作部420とその裏面にカメラ430を備える。ただし、どのような機能をいずれの筐体にどのように具備するかは適宜変更可能であり、例えば、カメラ430の横に赤外線送信部を構成するなど、図1に示す表示部410、キー操作部420、カメラ430の構成に限定されない。また、表示部410等を、折り畳まれた携帯端末の内側または外側のいずれの面に配置するかについても、任意に変更することが可能である。
【0012】
図2、図3は、携帯端末500の内部構造を図1よりも詳細に説明した図である。なお、図3は携帯端末500の正面と上面と側面を図示し、配線440も図示している。図2、図3に示すヒンジ10は、第1の筐体100の内部に構成されるスライダー130を介して、第2の筐体200に対して、第1の筐体100を図2、図3に記載の状態から−180度から180度まで回転することが可能である。この回転軸を回転軸A(第1のヒンジの回転軸)とする。また、ヒンジ20は、第2の筐体200を第3の筐体300に対して、図2、図3に記載の状態から180度回転することが可能である。この回転軸を回転軸B(第2のヒンジの回転軸)とする。ここで、回転軸Aと回転軸Bは直交する。また、第1の筐体100は、第2の筐体200寄りに空間部110を有し、空間部110内に形成されるレール120に沿ってスライドするスライダー130を有する。ここで、スライダー130がスライドする軸(スライド軸)をスライド軸Cとする。なお、スライダー130は、ヒンジ10が第2の筐体200に対して回転する作用によって、第2の筐体200に対して回転する。また、スライダー130が第2の筐体200に対して回転する作用によって、第1の筐体100を回転させる。なお図2ではレール120をスライダー130の下部に構成するように図示し、図3には上部と下部の両方に構成するように図示したが、どちらでもよい。第1の筐体100の空間部110と、レール120と、スライダー130とによりスライダー機構が構成されている。
【0013】
図3に示したストッパ140を説明する。ストッパ140は、第1の筐体100と第2の筐体200を一体化する。またストッパ140は、ある程度の力が加わった場合のみ解除状態となる係止手段を有するものとする。このような係止手段のものとしては、例えばクリック機構や磁石などがあるが特に限定しない。また、係止手段の変形例としては、スイッチ式に固定状態と解除状態との切り替えが可能なスイッチを有してもよい。これら係止手段またはスイッチを備えることにより、第1の筐体100および第2の筐体200を、回転軸Aに沿った回転方向にある程度以上の力が係止手段に加わらない状態で、または、スイッチが固定状態で、第3の筐体300に対して、回転軸Bに沿った回転方向に力を加え回転させた場合、第1の筐体100および第2の筐体200を一体的に回転することができるので、第1の筐体100の第2の筐体200に対する意図せぬ回転を防止することが可能である。また、回転軸Aに沿った回転方向にある程度の力が係止手段に加わった場合、または、スイッチが解除状態にされた場合は、ストッパ140ははずれるので、第1の筐体100を第2の筐体200に対して回転させることが可能になる。
また、ストッパ140は、回転軸Bを軸として携帯端末500を長手方向に開閉させる際に掛かる力を分散させる働きも持つ。すなわち、ストッパ140が無ければ、上筐体(第1の筐体100と第2の筐体200により構成)を長手方向に開閉させる際に、ヒンジ10に力が偏ってしまい、端末の破損につながる恐れがあるが、ストッパ140を設けることで、この力を分散させることができる。なお、ストッパ140の配置は、図3に示す位置、方向に限定されず、またストッパの個数も幾つでもよい。
携帯端末500はこのようなストッパ140を備えることにより、各筐体の連結部の強度を上昇させることができ、また、外部から意図せぬ力が加えられた場合でも、使用しているスタイルを保持することのできる安定した構造を有することが可能になる。
【0014】
図4は、回転軸Aによる回転構造とスライド軸Cによるスライド構造を説明する図である。図4に示すように、スライダー130は、ヒンジ10により、第2の筐体200(図示していない)に対し回転軸Aを軸として回転する。スライダー130は第1の筐体100の空間部110内にあり、スライダー130が回転軸Aを軸として回転することで第1の筐体100も同時に回転する構造となっている。また、スライダー130は、第1の筐体100の空間部110とレール120により、第1の筐体100に対してスライドする。第2の筐体200とヒンジ10を介して連結されたスライダー130が第1の筐体100に対してスライドすることで、第1の筐体100は第2の筐体200に対して、スライドする構造となっている。また、配線440は、電気的接続を行うために、第3の筐体300から第2の筐体200とスライダー130を介して、第1の筐体100に接続される。配線440は、スライダー130がスライドするために、配線長に冗長を有して第1の筐体100の内部に構成される。なお、配線の冗長部分が弛んで空間部110にはみ出さないように、ばね150などを備えて配線が第1の筐体100内に収まるようにすることが望ましい。また、空間部110と第1の筐体100の間に配線のための隙間が生じるが、ほこりなどが第1の筐体100へ侵入することを防ぐために、隙間部分にフィルタや幕を設けることが望ましい。
【0015】
図1から図4に示した携帯端末500は、第2の筐体200を、第3の筐体300に対し長手方向に対して回転可能なように連結している。この場合、第1の筐体100の第2の筐体200に対するスライドは、短手方向のスライドとなる。一方、第2の筐体200を、第3の筐体300に対し短手方向に回転可能な連結することも可能であり、この場合、第1の筐体100の第2の筐体200に対するスライドは、長手方向のスライドとなる。
【0016】
図5から図11は、携帯端末500の回転機構とスライド機構が作用する様子を例示する概要図である。図5、図6、図7は、第1の筐体100が回転軸Aにより、第2の筐体200に対して回転する様子を示している。ここで、図7(a)のように第1の筐体100が第2の筐体200に対して静止している状態を“A0”、図7(b)のように90度程度回転している状態を“A1”、図7(c)のように180度程度(または、“A1”とは反対の方向に180度程度(すなわち−180度程度))回転している状態を“A2”とする。
図8と図9は、第2の筐体200が回転軸Bにより、第3の筐体300に対して回転する様子を示している。図9(a)のように第2の筐体200が第3の筐体300に対して静止している状態を“B0”、図9(b)のように90度程度回転している状態を“B1”、図9(c)のように180度程度回転している状態を“B2”とする。
【0017】
図10と図11は、第1の筐体100がスライド軸Cにより、第2の筐体200に対してスライドする様子を示している。図11(a)のように第1の筐体100が第2の筐体200に対して静止している状態(スライダー130が空間部110の一端部に位置している状態)を“C0”、図11(b)のように“C0”の状態からスライダー130が空間部110の他端部にスライドしている状態を“C1”とする。
なお図5から図9では、回転軸Aの回転角が−180度から180度、回転軸Bの回転角が0度から180度である場合を例示したが、これ以外の角度を利用した端末の利用シーンを考えることも可能である。
【0018】
実施形態1による携帯端末500の使用スタイルを図12から図19に示して説明する。図12から図19は、上述した図5から図11の説明で示した携帯端末500の回転機構とスライド機構の作用によって実現するものであり、第1の筐体100の回転(A0、A1、A2)、第2の筐体200の回転(B0、B1、B2)、第1の筐体100のスライド(C0、C1)を組み合わせることで、様々な利用シーンに対応した端末スタイルを提案するものである。以下に図12から図19の端末スタイルを説明する。
【0019】
(1)基本スタイル(折り畳みスタイル)(図12)
A0−B0−C0
上筐体を下筐体に対して折り畳んだスタイル。キー操作部420、表示部410が内側に折り畳まれ、2つの回転軸A、Bが回転しておらず、スライダー130がスライド軸に沿ってスライドもしていないスタイルである。
【0020】
(2)縦開き置きスタイル(縦置きAV通話スタイル)(図13)
A0−B1−C0
第3の筐体300に対して、上筺体(第1の筐体100と第2の筐体200構成)を長手方向に開いたスタイルである。
【0021】
(3)縦開きスタイル(通話・AV通話スタイル)(図14)
A0−B2−C0
一般的な折り畳み式携帯電話端末で通話する時のスタイルである。キー操作部420の裏面のカメラ430を利用して風景等を写しながらのAV通信や、AV通信中のキー操作も可能である。カメラ430と表示部410の向きが逆向きになっているので、第3の筐体300のキー操作部420と表示部410が使用者の方を向いて撮影するスタイルである。画面、撮影される写真、ビデオの基本サイズは縦長となる。
【0022】
(4)横開き置きスタイル(置き型TVスタイル)(図15)
A1−B0−C0
上筐体を下筐体に対して短手方向に回転させたスタイル。第3の筐体300を平面に置き、表示部410が設置された第1の筐体100を傾けることで、机の上などに置いてテレビを視聴できるようにしたスタイルである。
【0023】
(5)横開きスタイル(インターネットスタイル)(図16)
A2−B0−C0
テレビの利用、インターネットの利用、PC関連機能の利用に適したスタイルである。カメラ430と表示部410の向きが逆向きになっているので、相手撮りに適したスタイルである。画面、撮影される写真、ビデオの基本サイズは横長となる。
【0024】
(6)自分撮りスタイル(横画面)(図17)
A0−B0−C1
図12の基本スタイルから第1の筐体100を短手方向にスライドさせたスタイル。カメラ430と表示部410の向きを同方向にし(図17の下方向)、自分撮りに適したスタイルである。画面、撮影される写真、ビデオの基本サイズは横長となる。
【0025】
(7)自分撮りスタイル(縦画面)(図18)
A2−B2−C1
カメラ430と表示部410の向きを同方向にし、自分撮りに適したスタイルである。画面、撮影される写真、ビデオの基本サイズは縦長となる。
【0026】
(8)基本スタイル(画面表示部外向きの折り畳みスタイル・デジカメスタイル)(図19)
A2−B0−C1
第1の筐体100の表裏を反転させた状態で折り畳んだスタイルである。端末を閉じた状態で表示部410の確認や操作ができる。また、カメラ430と表示部410とを180度の向きに配置され、デジタルカメラの様に利用できるスタイルである。なお、(1)基本スタイル(折り畳みスタイル)(図12)から(8)基本スタイル(画面表示部外向きの折り畳みスタイル・デジカメスタイル)(図19)へスタイル変更を行う方法として、例えば以下が挙げられる。
ひとつの方法は、A0−B0−C0からA2−B0−C0である(5)横開きスタイル(インターネットスタイル)(図16)を行い、A2−B0−C1へ移行する方法である。もしくはA0−B0−C0からA0−B0−C1である(6)自分撮りスタイル(横画面)(図17)を行い、A2−B0−C1へ移行する方法である
【0027】
上述した様々な使用スタイルを行うための携帯端末500の構造とスライド機構について図20を説明する。図20(a)は、図2を短手側から見た図であり、携帯端末500の第1の筐体100が、図2の状態から図15の状態へ回転する様子を示している。このように携帯端末500の第1の筐体100が回転軸Aで回転可能であるために、特に図9(a)のように携帯端末500の第2筐体200が第3の筐体300に対して静止している状態(B0)で、第1の筐体100が図7のA0、A1、A2のそれぞれに示すように回転可能であるために、第1の筐体100の図面中左側の端部は、図20(a)のように半径rの丸い形状であることが望ましい。この半径rは、第1の筐体100の厚さの略2分の1で、この略とは筐体の内壁とヒンジ10の外周との間に、摩擦防止のために設ける僅かに隙間を含めることを意味している。
【0028】
図20(b)は、図20(a)と同じように図2を短手側から見た図であり、携帯端末500の第1の筐体100が、第2筐体200が第3の筐体300に対して静止している状態(B0)で、スライドする様子を示している。また、別の図を参照すれば、図20(b)は、図2の状態から図17の状態へスライドする様子を示している。
【0029】
図20(b)に示すように、実施形態1による携帯端末500では、第1の筐体100の図面中右側の端部も、図のように半径rの丸い形状であることが望ましい。そして、第1の筐体100の図面中右側の端部は、図面中実線の状態から破線の状態まで、図面中左側にスライド可能である。そして、スライド後に、第1の筐体100の図面中右側の端部が回転軸Aで回転できるように、第1の筐体100の図面中右側の端部は、回転軸Aの中心から少なくとも半径rだけ図面中右側にずれた位置まで(図面中実線の状態から破線の状態まで)スライド可能であるとも表現できる。また、このことは、前記第2の筐体200が前記第3の筐体300に対して回転せず静止した状態(B0)で、前記第1の筐体100が前記第2の筐体200に対して、スライド後に前記第1のヒンジ10の回転軸Aを中心に回転できる位置までスライドすることを意味する。以上、実施形態1による携帯端末500の端末スタイルの例を挙げたが、(A0、A1、A2)、(B0、B1、B2)の回転、(C0、C1)のスライドを組み合わせることで、他にも様々な利用シーンに対応した端末スタイルを提案することができる。
【0030】
なお、上述した説明では、携帯端末500は、第1の筐体100内に空間部110とスライダー130を構成し、このスライダー130が、第2の筐体200と連結する第1のヒンジに固定された状態で空間部110内をスライドすることで、第1の筐体100は第2の筐体200に対してスライドする構造を例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、第2の筐体200内に空間部110とスライダー130を構成し、このスライダー130が、第1の筐体100と連結する第1のヒンジに固定された状態で空間部110内をスライドすることで、第2の筐体200が第1の筐体100に対してスライドするようにしてもよい。
【0031】
以上、説明したように実施形態1による折り畳み携帯端末は、第1の筐体と第2の筐体を回転可能に連結する第1のヒンジと、第2の筐体と第3の筐体を回転可能に第2のヒンジと、第1の筐体と第2の筐体をスライドさせるスライド機構を備えることによって、様々な折り畳み携帯端末の使用スタイルを実現することを可能にするものである。
また、スライド機構を備えることによって、折り畳み携帯端末の使用スタイルの変更を簡単に実行できる効果もある。例えば、図22に示した特許文献2による折り畳み式携帯電話装置では、図22(d)の状態で使用者が表示部を見ながらキー操作を行ってから、図22(e)のように表示部を表に向けて折り畳むためには、まず回転軸5による回転を行い、次に回転軸6による回転を行い、更に回転軸4による回転を行う必要があり手間が掛かる。これに対して実施形態1による折り畳み携帯端末であれば、例えば図15の状態から、回転軸Aによる回転を行って図16の状態に変更し、次にスライド機構によるスライドを行って図19の状態へ移行すればよく、簡単に使用スタイルの変更を実施できる。
【0032】
[実施形態2]
実施形態2による折り畳み携帯端末(以下携帯端末501とする)を図21に示す。図21に示すように携帯端末501は、第1の筐体101と第2の筐体201と第3の筐体301とが、ヒンジ11とヒンジ21によって連結され、第2の筐体201を、第3の筐体301に対し第3の筐体301の短手方向へ回転可能に構成される。実施形態1による携帯端末500は、第2の筐体200が第3の筐体300に対し、第3の筐体300の長手方向へ回転可能に連結されたが、携帯端末501は、第2の筐体201を、第3の筐体301に対し第3の筐体301の短手方向へ回転可能に連結される点が異なっている。このため、スライド軸C´による第1の筐体101の第2の筐体201に対するスライドも実施形態1とは異なり、長手方向へのスライドとなる。また、図21に示す携帯端末501では、第2の筐体201と第3の筐体301とを連結するヒンジ21は1部で構成しているが、これに限定せず、第1の筐101と第2の筐体201の構造を実施形態1の携帯端末500のようにし、ヒンジ21を実施形態1の携帯端末500のように2部(左右2つのヒンジで回転軸Bを構成)で構成することも可能である。このように、ヒンジ、レール、ストッパ、および各部の形状、大きさは本実施形態に限らずさまざまな形態を行うとることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末などに広く用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
10、11、20、21・・・ヒンジ、
100、101・・・第1の筐体、
110、111・・・空間部、
120、121・・・レール、
130、131・・・スライダー、
140・・・ストッパー
150・・・ばね
160・・・端部
200、201・・・第2の筐体、
300、301・・・第3の筐体、
410、411・・・表示部、
420、421・・・キー操作部、
430、431・・・カメラ、
440・・・配線、
500、510・・・携帯端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体と第3の筐体とからなる折り畳み携帯端末において、
前記折り畳み携帯端末は、
前記第1の筐体と前記第2の筐体を回転可能に連結する第1のヒンジと、
前記第2の筐体と前記第3の筐体を回転可能に連結する第2のヒンジと、
前記第1の筐体を前記第2の筐体に対してスライドさせるスライド機構と、
を備えることを特徴とする折り畳み携帯端末。
【請求項2】
前記スライド機構は、前記第1の筐体を前記第2の筐体に対して直線状にスライドさせることを特徴とする請求項1記載の折り畳み携帯端末。
【請求項3】
前記第1のヒンジの回転軸と前記第2のヒンジの回転軸とが直交し、前記第1の筐体が前記第2のヒンジの回転軸に対して直線状にスライドすることを特徴とする請求項1又は2記載の折り畳み携帯端末。
【請求項4】
前記第1の筐体と前記第2の筐体が上筐体を構成し、前記第3の筐体が下筐体を構成し、前記上筐体と前記下筐体とが折り畳み可能であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の折り畳み携帯端末。
【請求項5】
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間には、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを選択的に繋留する少なくともひとつの係止手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の折り畳み携帯端末。
【請求項6】
前記スライド機構は、少なくともスライダー部と前記第1の筐体の空間部によって構成され、前記スライダー部は、前記第1のヒンジに固定され前記空間部内をスライドすることを特徴とする請求項3記載の折り畳み携帯端末。
【請求項7】
前記第1の筐体の少なくとも一方の端部は、半径rの丸い形状をしており、この半径rは、前記第1の筐体の厚さの略2分の1であることを特徴とする請求項6記載の折り畳み携帯端末。
【請求項8】
前記第2の筐体が前記第3の筐体に対して回転せず静止した状態(B0)で、前記第1の筐体が前記第2の筐体に対してスライド後に前記第1のヒンジの回転軸を中心に回転できる位置までスライドすることを特徴とする請求項7記載の折り畳み携帯端末。
【請求項9】
前記第1の筐体および/または前記第3の筐体には、カメラ、画面表示部およびキー操作部が設けられることを特徴とする請求項1から請求項8に記載の折り畳み携帯端末。
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体と第3の筐体とからなる折り畳み携帯端末において、
前記折り畳み携帯端末は、
前記第1の筐体と前記第2の筐体を回転可能に連結する第1のヒンジと、
前記第2の筐体と前記第3の筐体を回転可能に連結する第2のヒンジと、
前記第1の筐体を前記第2の筐体に対してスライドさせるスライド機構と、
を備えることを特徴とする折り畳み携帯端末。
【請求項2】
前記スライド機構は、前記第1の筐体を前記第2の筐体に対して直線状にスライドさせることを特徴とする請求項1記載の折り畳み携帯端末。
【請求項3】
前記第1のヒンジの回転軸と前記第2のヒンジの回転軸とが直交し、前記第1の筐体が前記第2のヒンジの回転軸に対して直線状にスライドすることを特徴とする請求項1又は2記載の折り畳み携帯端末。
【請求項4】
前記第1の筐体と前記第2の筐体が上筐体を構成し、前記第3の筐体が下筐体を構成し、前記上筐体と前記下筐体とが折り畳み可能であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の折り畳み携帯端末。
【請求項5】
前記第1の筐体と前記第2の筐体との間には、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを選択的に繋留する少なくともひとつの係止手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の折り畳み携帯端末。
【請求項6】
前記スライド機構は、少なくともスライダー部と前記第1の筐体の空間部によって構成され、前記スライダー部は、前記第1のヒンジに固定され前記空間部内をスライドすることを特徴とする請求項3記載の折り畳み携帯端末。
【請求項7】
前記第1の筐体の少なくとも一方の端部は、半径rの丸い形状をしており、この半径rは、前記第1の筐体の厚さの略2分の1であることを特徴とする請求項6記載の折り畳み携帯端末。
【請求項8】
前記第2の筐体が前記第3の筐体に対して回転せず静止した状態(B0)で、前記第1の筐体が前記第2の筐体に対してスライド後に前記第1のヒンジの回転軸を中心に回転できる位置までスライドすることを特徴とする請求項7記載の折り畳み携帯端末。
【請求項9】
前記第1の筐体および/または前記第3の筐体には、カメラ、画面表示部およびキー操作部が設けられることを特徴とする請求項1から請求項8に記載の折り畳み携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−109765(P2012−109765A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256579(P2010−256579)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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