説明

折り畳み自在な台車

【課題】荷台部が合成樹脂製の折り畳み自在な台車の耐久性を改善する。
【解決手段】背パネルに重ねることが出来る起伏自在な荷台部1と、当該荷台部1を背パネルとの間で挟むように水平に折り畳み自在な側パネル4とを備え、荷台部1には、この荷台部1が水平倒伏姿勢にあるときに左右両側パネルの前端部に係合して、当該荷台部1の起立姿勢への回動と前記側パネル4の外側への揺動とを阻止するロック手段11が設けられた折り畳み自在な台車において、ロック手段11の側パネルに対する係合作用時に前記側パネル4の外側への揺動を互いに当接して阻止する、前記側パネル4側の垂直当接面S1と荷台部1側の垂直当接面S2とは別に、これら両垂直当接面S1,S2どうしの当接と同時に互いに当接して前記側パネル4の外側への揺動を阻止する、荷台部1側の第二垂直当接面S3と前記側パネル4側の第二垂直当接面S4とが設けられた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面形状をL字形に折り畳むことが出来る、三側辺に沿って垂直なパネルを備えた折り畳み自在な台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の折り畳み自在な台車は、例えば特許文献1にも記載されるように、矩形の荷台部の後側辺から立ち上がり且つ左右両端下側に車輪ユニットを備えた背パネルと、前記荷台部の左右両側辺から立ち上がり且つ前端下側に車輪ユニットを備えた左右両側パネルを備え、前記荷台部が背パネルの下側辺に起伏自在に連結されると共に、左右両側パネルの内、少なくとも一方の側パネルが背パネルに対して水平に揺動自在に連結され、前記荷台部には、この荷台部が水平倒伏姿勢にあるときに左右両側パネルの前端部に係合して、当該荷台部の起立姿勢への回動と前記一方の側パネルの外側への揺動とを阻止するロック手段が設けられた構成となっている。
【0003】
而して、このような折り畳み自在な台車では、前記ロック手段は、側パネルの下側辺又は当該側パネルの前端下側に固着された車輪ユニットの取付け座から上向きに突設させた金属製の係合片と、この係合片が下から上向きに嵌合するように荷台部側に設けられた貫通孔と、前記係合片に対して係合離脱自在に荷台部側に設けられた操作ロッドとで構成され、荷台部が水平倒伏姿勢から起立姿勢へ回動することは、前記ロック手段の操作ロッドと係合片との係合により阻止し、側パネルが外側へ揺動することは、荷台部側の前記貫通孔と側パネル側の前記係合片との水平方向の当接により阻止するように構成されている。その荷台部が台車全体の軽
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−62725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような折り畳み自在な台車では、荷台部が台車全体の軽量化のために合成樹脂で成型されるのが一般的である。しかも、ロック手段を構成する荷台部側の前記貫通孔は、荷台部の左右両側辺に接近して設けなければならないため、この貫通孔に側パネル側の金属製の係合片が嵌合している荷台部ロック状態において、側パネルを外側へ開く向きに大きな外力が側パネルに作用したとき、例えば、左右両側パネルどうしを連結する連結ロッドの掛け渡しを忘れた状態で作業者が誤って側パネルを強く開くように操作したような場合や、段差のある路面上を繰り返し走行させたことによって側パネルを外側へ開く向きの外力が繰り返し作用したような場合に、その外力を互いの当接により受け止める前記係合片と貫通孔の内、合成樹脂製の荷台部の貫通孔の前記係合片を受け止める外側辺が破損欠落する事故が発生した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる折り畳み自在な台車を提案するものであって、請求項1に記載の本発明に係る折り畳み自在な台車は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、矩形の荷台部(1)の後側辺から立ち上がり且つ左右両端下側に車輪ユニット(5,6)を備えた背パネル(2)と、前記荷台部(1)の左右両側辺から立ち上がり且つ前端下側に車輪ユニット(7,8)を備えた左右両側パネル(3,4)を備え、前記荷台部(1)が背パネル(2)の下側辺に起伏自在に連結されると共に、左右両側パネル(3,4)の内、少なくとも一方の側パネル(4)が背パネル(2)に対して水平に揺動自在に連結され、前記荷台部(1)には、この荷台部(1)が水平倒伏姿勢にあるときに左右両側パネル(3,4)の前端部に係合して、当該荷台部(1)の起立姿勢への回動と前記一方の側パネル(4)の外側への揺動とを阻止するロック手段(11)が設けられた折り畳み自在な台車において、前記ロック手段(11)の左右両側パネル(3,4)に対する係合作用時に前記一方の側パネル(4)の外側への揺動を互いに当接して阻止する、前記一方の側パネル(4)側の垂直当接面(S1)と前記荷台部(1)側の垂直当接面(S2)とは別に、これら両垂直当接面(S1,S2)どうしの当接と同時に互いに当接して前記一方の側パネル(4)の外側への揺動を阻止する、前記荷台部(1)側の第二垂直当接面(S3)と前記一方の側パネル(4)側の第二垂直当接面(S4)とが設けられた構成になっている。
【0007】
上記本発明を実施する場合、具体的には請求項2に記載のように、前記荷台部(1)側の第二垂直当接面(S3)は、当該荷台部(1)の底面から下向きに突設された突起(26)の側面で構成し、前記一方の側パネル(4)側の第二垂直当接面(S4)は、当該一方の側パネルの前端下側に取り付けられた車輪ユニット(8)の取付け座(14)に前記突起(26)が嵌合する位置に設けられた貫通孔(27)の内側面で構成することが出来る。この場合、請求項3に記載のように、前記車輪ユニット(8)の取付け座(14)は、矩形板の前後両側辺から上向きに折曲された立ち上がり両側辺(19a,19b)と、当該立ち上がり両側辺(19a,19b)間の中央位置で前記矩形板の曲げ加工により形成された下側開放の前半門形突条部(20)と、この前半門形突条部(20)の天井板部(20a)を切除した後半両側壁部(21a,21b)を備えた構造とすると共に、前記立ち上がり両側辺(19a,19b)の後半部と前記後半両側壁部(21a,21b)とで前記一方の側パネル(4)の下側辺に溶接固着し、前記一方の側パネル(4)側の第二垂直当接面(S4)を構成する前記貫通孔(27)は、前記車輪ユニット(8)の取付け座(14)の前半門形突条部(20)の天井板部(20a)に形成することが出来る。
【0008】
又、請求項4に記載のように、前記荷台部(1)側の第二垂直当接面(S3)は、前記荷台部(1)に配列形成された少なくとも下側が開放された凹窪部(28)間の前後方向に長い垂直壁部(29)を下方に延長突出させて形成した前後方向に長い突起(26)の一側面で形成することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の本発明の構成によれば、ロック手段の左右両側パネルに対する係合作用状態において、側パネルを外側に広げる方向に外力が作用したとき、この外力を、当該ロック手段における一組の垂直当接面どうしの当接箇所と、当該ロック手段における一組の垂直当接面とは別に設けられた第二の垂直当接面どうしの当接箇所とに分散させて受けさせることが出来るので、前記ロック手段における一組の垂直当接面どうしの当接箇所のみで当該外力を受けさせる構成と比較して、このロック手段における一組の垂直当接面を構成する部分、特に合成樹脂製の荷台部側の垂直当接面を形成する部分の破損の恐れを半減させ、耐久性を増大させることが出来る。しかも、同様の効果を得るために、前記ロック手段における一組の垂直当接面を構成する部分、特に合成樹脂製の荷台部側の垂直当接面を形成する部分に対し、厚さを増大させる、補強部材を埋設成型する、補強板を固着する、などの補強対策を講じる場合と比較して、ロック手段に直接関係しない任意の箇所において、荷台部側と側パネル側とに第二の垂直当接面を形成するだけで良いので、単に実施が容易であるだけでなく、ロック手段に関係する部分の寸法的条件が変わることによる影響も一切受けないで、所期の目的を達成できる。
【0010】
尚、荷台部側と側パネル側とに設ける第二の垂直当接面は、いろいろな実施形態が考えられる。例えば、ロック手段として設けられる荷台部側の貫通孔と側パネル側の係合片とは別に、これらと同様の第二貫通孔と第二係合片とを荷台部側と側パネル側とに設け、この別に設けた第二貫通孔の内側面と当該第二貫通孔に嵌合する第二係合片の側面とを、前記側パネルの外側への揺動を互いに当接して阻止する第二の垂直当接面とすることが出来る。又、ロック手段として、従来周知のように前記側パネル側に設けられる係合片に係合離脱自在な操作ロッドが併用される場合、この操作ロッドは、側パネル側の係合片との係合により荷台部の起立姿勢への回動を阻止する手段となるが、当該操作ロッドの両端にフランジ部を連設し、側パネルが外側へ開動するときに互いに当接する、前記フランジ部の内側面と係合片の外側面とを、前記第二垂直当接面とすることも可能である。
【0011】
しかしながら、請求項2に記載の構成によれば、本発明を極めて簡単な構成を以て安価に実施することができる。特にこの場合、請求項3に記載の構成によれば、貫通孔が設けられる車輪ユニットの取付け座の強度低下を最小限に抑えることが出来ると共に、荷台部側の突起が前記取付け座の前半門形突条部の天井板部に設けられた貫通孔を通じて当該前半門形突条部内に嵌まり込むように構成すれば、前記貫通孔に対する突起の嵌合深さを、当該貫通孔が形成される取付け座の板厚より十分に深くし、外側へ開動しようとする側パネルを前記貫通孔の内側面と突起の側面との当接により阻止させる作用を確実に行わせることが出来る。
【0012】
又、請求項4に記載の構成によれば、荷台部を合成樹脂で成型するときに使用される金型の、軽量化及び材料節減のために配列形成される凹窪部間の垂直壁部を成型する溝部の深さを部分的に深くするだけで、荷台部側に必要な第二の垂直当接面を形成する突条部を簡単容易に形成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】A図は台車全体の左側面図、B図は同正面図、C図は同右側面図である。
【図2】台車全体の平面図である。
【図3】台車を平面形状L形に折り畳んだ状態の平面図である。
【図4】荷台部の要部を示す平面図である。
【図5】同上の正面図である。
【図6】側パネルの要部を示す横断平面図である。
【図7】同上要部を内側から見た側面図である。
【図8】同上要部の縦断正面図である。
【図9】車輪ユニットと係合片を示す斜視図である。
【図10】ロック手段が作用状態にあるときの要部の一部切欠き平面図である。
【図11】同上要部の一部切欠き正面図である。
【図12】同上要部の一部縦断側面図である。
【図13】ロック手段が作用状態にあるときに側パネルが外側に開動したときの状態を示す要部の一部切欠き平面図である。
【図14】同上の要部の一部切欠き正面図である。
【図15】荷台部の要部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2において、1は矩形の荷台部、2は荷台部1の後側辺から立ち上がる背パネル、3,4は荷台部1の左右両側辺から立ち上がる側パネルである。背パネル2は、その両端下側に車輪ユニット5,6が取り付けられ、荷台部1は、その後側辺において、背パネル2の下側辺に起伏自在に軸支されている。左側パネル3は、その垂直後側辺が背パネル2の左側辺に略直角前方向きに連結されると共に、前端下側に車輪ユニット7が取り付けられている。右側パネル4は、その垂直後側辺が背パネル2の右側辺に左右水平方向に揺動自在に連結されると共に、前端下側に車輪ユニット8が取り付けられている。又、左側パネル3の垂直前側辺の中間高さ位置には、連結杆9の一端が上下揺動自在に取り付けられ、右側パネル4の垂直前側辺の中間高さ位置には、連結杆9の他端部が係脱自在な係止金具10が取り付けられ、当該連結杆9により左右両側パネル3,4を必要に応じて連結できるように構成されている。
【0015】
上記構成の折り畳み自在な台車は従来周知のもので、図1及び図2に示す組立て状態では、荷台部1は背パネル2に対し水平姿勢に回倒して、その左右両側辺が左右両側パネル3,4の下側辺及び4つの車輪ユニット5〜8で支持され、この状態から右側パネル4が外側に開動するのを阻止すると共に荷台部1が上方に起立回動するのを阻止するロック手段11が設けられている。従って、このロック手段11をロック解除状態に切り換えることにより、図1C及び図3に示すように、荷台部1を背パネル2の内側に沿って起立する起立姿勢に切り換えると共に、この起立姿勢の荷台部1を背パネル2との間で挟むように、右側パネル4を内側へ略90度水平に揺動させて、台車全体を平面L形に折り畳むことが出来る。このとき右側パネル4の前端下側の車輪ユニット8は、起立姿勢の荷台部1及び背パネル2の下側に入り込む。
【0016】
図示の実施例に使用されているロック手段11は、図4及び図5に示すように、荷台部1の前側辺近傍位置に当該前側辺に沿って内装された操作ロッド12、荷台部1の左右両側辺の前端近傍位置にこれら左右両側辺に沿って形成された前後方向に長い被係合孔13a,13b、及び図6〜図8に示すように、左右両側パネル3,4の前端下側の車輪ユニット7,8の取付け座14からそれぞれ突設された係合片15から構成されている。背パネル2の両端下側の車輪ユニット5,6及び左右両側パネル3,4の前端下側の車輪ユニット7,8は、それぞれの取付け座14の下側に自在車輪16(図1参照)が取り付けられて構成されている。
【0017】
操作ロッド12は、従来周知のように、一定範囲内で前後方向に平行移動自在に荷台部1内に支持されたもので、荷台部1の前側辺の中央位置に設けられた上下揺動自在な操作体17と係合し、当該操作体17が荷台部1と面一の水平姿勢にあるとき、操作ロッド12が、その左右両端が平面視において被係合孔13a,13bの領域内に入り込むロック作用位置に保持され、操作体17を上動させることにより、操作ロッド12が、その左右両端が平面視において被係合孔13a,13bの領域内から前方に離脱するロック解除位置に切り換えられるように構成されている。尚、操作ロッド12は、バネ又は操作体17に作用する重力もしくはその両方によって、ロック作用位置側に付勢されている。又、荷台部1は合成樹脂で成型されるもので、内部には前後方向複数個所に左右方向の補強鋼管が埋設されるが、前記操作体17は、図4に示すように、最前端の補強鋼管18に上下揺動自在に支承されている。
【0018】
左右両側パネル3,4の前端下側に取り付けられた車輪ユニット7,8の取付け座14は、1枚の矩形金属板のプレス加工により構成された左右対称構造のものであって、図9に示すように、矩形金属板の前後両側辺から上向きに折曲された立ち上がり両側辺19a,19bと、当該立ち上がり両側辺19a,19b間の中央位置で前記矩形板の曲げ加工により形成された下側開放の前半門形突条部20と、この前半門形突条部20の天井板部20aを切除した後半両側壁部21a,21bを備えると共に、前記立ち上がり両側辺19a,19bの後半部と前記後半両側壁部21a,21bとで、左右両側パネル3,4の下側辺を構成しているアングル材22の水平板部22aの下側に溶接固着されている。そして、立ち上がり両側辺19a,19bと前半門形突条部20及び後半両側壁部21a,21bとの間の凹溝部23a,23b内の、当該凹溝部23a,23bの長さ方向の両端近傍位置に、それぞれ自在車輪16(図1参照)を取り付けるためのネジ孔を構成するナット24が溶接により固着され、これらナット24を利用して、取付け座14の下側に自在車輪16が4本のボルトにより取り付けられる。
【0019】
尚、取付け座14の左右両側パネル3,4の下側辺から内側へ突出する領域にある立ち上がり両側辺19a,19b及び前半門形突条部20の高さは、左右両側パネル3,4の下側辺(アングル材22の水平板部22a)と重なる領域にある立ち上がり両側辺19a,19b及び後半両側壁部21a,21bの高さより低くなっており、右側パネル4を内側に折り畳んだときに、当該右側パネル4の前端下側に取り付けられている車輪ユニット8の取付け座14が、起立姿勢の荷台部1及び背パネル2の下側に無理なく円滑に入り込むように構成されている。
【0020】
而して、前記ロック手段11の係合片15は、取付け座14の前半門形突条部20と後半両側壁部21a,21bとの境界位置に形成された垂直な溝部25に垂直に差し込まれ、右側パネル4の下側辺を構成するアングル材22の水平板部22aの内側辺に隣接する状態で溶接により固着される、板面が前後方向に沿った金属平板から成り、その上端の前側には、上辺が前下がりに傾斜すると共に下辺が略水平の係合爪部15aが突設されている。
【0021】
上記のように構成されたロック手段11では、図10〜図12に示すように、右側パネル4を背パネル2に対して略直角前方向きに展開すると共に、荷台部1を起立姿勢から前方下方へ回倒させて、当該荷台部1の左右両側辺を左右両側パネル3,4の下側辺(アングル材22の水平板部22a)で支持させたとき、左右両側パネル3,4の前端下側の車輪ユニット7,8の取付け座14から上向きに突設されている前記係合片15が、荷台部1の左右両側辺の前端近傍位置に設けられている前記被係合孔13a,13b内に嵌入する。このとき、係合片15の係合爪部15aの傾斜上辺が前進限のロック作用位置に位置している操作ロッド12を付勢力に抗してロック解除位置側へ押し移動させて、当該係合片15の係合爪部15aが操作ロッド12より上方に移動するので、操作ロッド12は再び付勢力により元の前進限のロック作用位置に復帰し、係合片15の係合爪部15aの下側に入り込むことになる。この状態では、荷台部1が上方に起立運動することは、荷台部1側の操作ロッド12の両端が左右両側パネル3,4側の各係合片15の係合爪部15aに係合することにより阻止される。又、左右両側パネル3,4を互いに離す方向に外力が作用したとき、左右両側パネル3,4側の各係合片15の外向きの垂直当接面S1と荷台部1側の被係合孔13a,13bの内向きの垂直当接面S2との当接により、当該外力が受け止められ、右側パネル4の外側への開動は阻止される。
【0022】
台車を折り畳むときは、操作体17を上動させて操作ロッド12を付勢力に抗して後退限のロック解除位置まで横動させ、当該操作ロッド12の両端を左右両側パネル3,4側の係合片15の係合爪部15a下から退出させることにより、荷台部1の左右両側辺と左右両側パネル3,4との係合が解かれるので、荷台部1を上動させて背パネル2の内側に沿う起立姿勢に切り換えると共に、この起立姿勢の荷台部1の外側に重ねるように、右側パネル4を内側へ略90度、閉動させれば良い。
【0023】
以上のような折り畳み自在な台車において、本発明によれば、前記ロック手段11がロック作用状態にあるとき、左右両側パネル3,4の外側への開動を互いに当接して阻止するロック手段11側の垂直当接面S1,S2とは別に、左右両側パネル3,4の外側への開動を互いに当接して阻止する第二の垂直当接面S3,S4が設けられる。即ち、荷台部1の前側左右両端部の底面には、左右両側パネル3,4の前端下側の車輪ユニット7,8の取付け座14上に重なる位置において、突起26が下向きに突設され、左右両側パネル3,4の前端下側の車輪ユニット7,8の取付け座14には、前記突起26が嵌合する貫通孔27が設けられ、図13及び図14に示すように、前記ロック手段11がロック作用状態にあるとき、左右両側パネル3,4に外向きの外力が作用して前記垂直当接面S1,S2が互いに当接するときに、同時に、前記突起26の内向きの垂直当接面S3と前記貫通孔27の外向きの垂直当接面S4とが当接するように構成している。
【0024】
具体的は、荷台部1は先に説明したように合成樹脂により成型されるものであって、軽量化と材料節減のために、図15に示すように、底面側には数多くの凹窪部28が配列成型されているので、隣り合う凹窪部28間の前後方向に長い垂直壁部の内、車輪ユニット7,8の取付け座14に重なる位置にある各1つの前後方向に長い垂直壁部29を下方に延長突出させて前後方向に長い前記突起26を構成している。一方、車輪ユニット7,8の取付け座14に設けられる貫通孔27は、取付け座14の前半門形突条部20の天井板部20aを前後方向に横断する向きに矩形状に切欠して構成している。従って、図10及び図12に示すように、前後方向に長い突起26と貫通孔27とは、左右方向に関しては貫通孔27の中央位置に突起26が位置することになるが、前後方向に関しては、前後方向に長い突起26と貫通孔27とは前後方向に位置がずれている。勿論、突起26は、凹窪部28の成型位置に関係なく、貫通孔27の略中央部に嵌合する円形断面又は矩形断面の柱状の突起に成型して、前半門形突条部20の両側壁部間で貫通孔27に深く嵌合させることが出来るように構成することも可能である。
【0025】
尚、荷台部1の車輪ユニット7,8の取付け座14に重なる領域にある底面(各凹窪部28間の垂直壁部の底面)1aは、当該取付け座14の表面、即ち、前半門形突条部20の天井板部20aと立ち上がり両側辺19a,19bの前半部の上側辺とで支持されるように、一段低く成型され、この一段低く成型された底面1aから前記突起26が突設されている。而して、合成樹脂製の荷台部1は、季節の変化に伴う外気温の変化によって熱膨張収縮することになり、この荷台部1の熱膨張収縮に伴って前記被係合孔13a,13b間の間隔が変動しても、ロック手段11における係合片15と荷台部1側の被係合孔13a,13bとの嵌合が支障なく行われるように、係合片15の板厚に対して被係合孔13a,13bは十分幅広く成型される。従って、第二垂直当接面S3,S4を構成する突起26と貫通孔27との左右横方向の寸法的関係も、荷台部1の熱膨張収縮を考慮して設定され、荷台部1の熱膨張収縮に伴って前記突起26間の間隔が変動しても、当該突起26と左右両側パネル3,4側の貫通孔27との嵌合が支障なく行われるように構成されている。又、左右両側パネル3,4に外向きの外力が作用して前記垂直当接面S1,S2が互いに当接するときに、同時に、前記突起26の内向きの垂直当接面S3と前記貫通孔27の外向きの垂直当接面S4とが当接するように、左右両側パネル3,4に外向きの外力が作用していないときの前記垂直当接面S1,S2間の間隔と前記垂直当接面S3,S4間の間隔とが略等しくなるように構成している。
【0026】
上記構成によって、組み立てられた台車において、左右両側パネル3,4どうしを連結杆9で繋いでおくことを忘れた状態での作業者の誤った取扱いにより、左右両側パネル3,4間にこれら左右両側パネル3,4を互いに引き離す方向の大きな外力が作用したとき、或いはそのような外力が繰り返し作用したとき、ロック手段11側の垂直当接面S1,S2間の当接と、当該垂直当接面S1,S2とは別に設けられた第二の垂直当接面S3,S4間の当接とで当該外力が受け止められるので、ロック手段11側の垂直当接面S1,S2間の当接だけで当該外力が受け止められる場合のように、荷台部1側の被係合孔13a,13bの外側の薄い厚さの側壁部30が破損欠落する恐れが解消するか又は少なくなる。
【0027】
尚、折り畳まれない左側パネル3が背パネル2に対して完全に90度の挟角を持って十分な強度で固着されているときは、理論的には、左側パネル3の係合片15が荷台部1の左側の被係合孔13aに対して外側に移動して強く当接する恐れはない。従って、このようなときは、折り畳まれる右側パネル4と荷台部1の右側の側辺部とに、前記第二の垂直当接面S3,S4を構成する突起26と貫通孔27とを設ければ良い。しかし実際には、折り畳まれない左側パネル3も、背パネル2との連結部の多少の遊びによって左右に揺動できるので、上記実施例のように構成するのが望ましい。勿論、折り畳まれる右側パネル4も、背パネル2に対する90度の前方向きに対して外側への揺動角度が一定範囲内に制限される構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の折り畳み自在な台車は、特に荷台部が衝撃に対して破損し易い合成樹脂製であるにもかかわらず、十分な耐久性を備えた実用的な搬送用台車として活用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 荷台部
2 背パネル
3,4 左右両側パネル
5〜8 車輪ユニット
9 連結杆
10 係止金具
11 ロック手段
12 操作ロッド
13a,13b 被係合孔
14 車輪ユニットの取付け座
15 係合片
15a 係合爪部
16 自在車輪
17 操作体
18 補強鋼管
19a,19b 取付け座の立ち上がり両側辺
20 取付け座の前半門形突条部
20a 天井板部
21a,21b 取付け座の後半両側壁部21a,21b
22 アングル材
22a 水平板部
23a,23b 凹溝部
24 ナット
25 溝部
26 突起(突条部)
27 貫通孔
28 凹窪部
29 垂直壁部
30 側壁部
S1,S2 ロック手段における垂直当接面
S3,S4 追加された第二の垂直当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の荷台部の後側辺から立ち上がり且つ左右両端下側に車輪ユニットを備えた背パネルと、前記荷台部の左右両側辺から立ち上がり且つ前端下側に車輪ユニットを備えた左右両側パネルを備え、前記荷台部が背パネルの下側辺に起伏自在に連結されると共に、左右両側パネルの内、少なくとも一方の側パネルが背パネルに対して水平に揺動自在に連結され、前記荷台部には、この荷台部が水平倒伏姿勢にあるときに左右両側パネルの前端部に係合して、当該荷台部の起立姿勢への回動と前記一方の側パネルの外側への揺動とを阻止するロック手段が設けられた折り畳み自在な台車において、前記ロック手段の左右両側パネルに対する係合作用時に前記一方の側パネルの外側への揺動を互いに当接して阻止する、前記一方の側パネル側の垂直当接面と前記荷台部側の垂直当接面とは別に、これら両垂直当接面どうしの当接と同時に互いに当接して前記一方の側パネルの外側への揺動を阻止する、前記荷台部側の第二垂直当接面と前記一方の側パネル側の第二垂直当接面とが設けられている、折り畳み自在な台車。
【請求項2】
前記荷台部側の第二垂直当接面は、当該荷台部の底面から下向きに突設され突起の側面で構成され、前記一方の側パネル側の第二垂直当接面は、当該一方の側パネルの前端下側に取り付けられた車輪ユニットの取付け座の前記突起が嵌合する位置に設けられた貫通孔の内側面で構成されている、請求項1に記載の折り畳み自在な台車。
【請求項3】
前記車輪ユニットの取付け座は、矩形板の前後両側辺から上向きに折曲された立ち上がり両側辺と、当該立ち上がり両側辺間の中央位置で前記矩形板の曲げ加工により形成された下側開放の前半門形突条部と、この前半門形突条部の天井板部を切除した後半両側壁部を備えると共に、前記立ち上がり両側辺の後半部と前記後半両側壁部とで前記一方の側パネルの下側辺に溶接固着され、前記一方の側パネル側の第二垂直当接面を構成する前記貫通孔は、前記車輪ユニットの取付け座の前半門形突条部の天井板部に形成されている、請求項2に記載の折り畳み自在な台車。
【請求項4】
前記荷台部側の第二垂直当接面は、前記荷台部に配列形成された少なくとも下側が開放された凹窪部間の前後方向に長い垂直壁部を下方に延長突出させて形成した前後方向に長い突起の一側面で形成されている、請求項2又は3に記載の折り畳み自在な台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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