説明

押出機への帯状エラストマの投入方法

【課題】 帯状エラストマを安定して押出機に供給しホッパー詰りを生じさせない押出機への帯状エラストマの投入方法を供する。
【解決手段】 ホッパーを介して投入された帯状エラストマをスクリュー11とフィードロール12の間に咬み込んでスクリュー11の回転で錬りながら押出す押出機10への帯状エラストマEの投入方法において、ホッパー13に投入される前に帯状エラストマEに長手方向と直角の幅方向に指向して幅方向中央に切込みcを所定間隔を存して順次形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荒生地のゴムシート等の帯状エラストマを押出機のホッパーに投入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状エラストマを押出機のホッパーに連続して投入する場合、帯状エラストマが安定して押出機に供給されないと、押出品質を維持することができない。
そこで、ホッパーの大きさと帯状エラストマの幅長を考慮して、帯状エラストマを長手方向に等分割しさらに切断された帯状エラストマに長手方向に切れ目を入れて折り曲げた後にホッパーに投入する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特公昭52−15634号公報 このホッパーに投入される帯状エラストマは、押出機のスクリューとフィードロールの間に咬み込まれて取り込まれ、スクリューの回転で錬りながら押出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
帯状エラストマが取り込まれるときに図7に示すような事態が生じることがある。
押出機のスクリュー01に沿ってフィードロール02が設けられ、その上方にホッパー03が延設されている。
【0005】
ホッパー03に上方から投入される帯状エラストマEは、互いに逆回転するスクリュー01とフィードロール02の間に咬み込まれて取り込まれ、スクリュー01により取り込まれた後旋回してきたエラストマをも巻き込んで(図7(1)参照)、前方へ送られる推進流を形成するが、この推進流を生じさせる押出圧は、一方で旋回してきたエラストマをも巻き込むときに背面流をも生じさせて、図7(2)に示すように、エラストマの一部が反り返えるようにして押し戻されて小さなホッパーバンクEbを形成する。
【0006】
この小さいホッパーバンクEbがいずれスクリュー01とフィードロール02の間に咬み込まれていけばよいが、連続的に投入される帯状エラストマEが壁となって咬み込まれずに残りホッパーバンクEbが徐々に上方に盛り上がるようにして成長して、図7(3)に示すように、帯状エラストマEをホッパー内面に押し付け、最終的にホッパーバンクEbがホッパー03の口を塞ぐようにしてホッパー詰りを生じさせてしまうことがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、帯状エラストマを安定して押出機に供給しホッパー詰りを生じさせない押出機への帯状エラストマの投入方法を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の押出機への帯状エラストマの投入方法は、ホッパーを介して投入された帯状エラストマをスクリューとフィードロールの間に咬み込んでスクリューの回転で錬りながら押出す押出機への帯状エラストマの投入方法において、前記ホッパーに投入される前に帯状エラストマに長手方向と直角の幅方向に指向して幅方向中央に切込みを所定間隔を存して順次形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の押出機への帯状エラストマの投入方法によれば、長手方向と直角の幅方向に指向して幅方向中央に切込みを所定間隔を存して順次形成された帯状エラストマは、スクリューとフィードロールの間に咬み込まれると、長手方向に引っ張力が働き、幅方向に指向して入れられた切込みが開口し、先に取り込まれスクリューにより旋回してきたエラストマがこの切込みの開口を抜けてフィードロール側に至ってフィードロール側から円滑に咬み込まれる。
したがって、投入される連続した帯状エラストマが壁となってホッパーバンクを成長させることがなく、ホッパー詰りを生じさせない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図6に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態に係る帯状エラストマの投入方法を適用した帯状エラストマ供給装置1の概略図である。
【0011】
連続した帯状エラストマEがリール2に巻き取られており、同リール2から巻きほぐされた帯状エラストマEがフィードコンベア3のベルトに載せられて搬送される。
フィードコンベア3により搬送される途中にカッター5により切込みを入れるカッティングユニット4が配設されている。
【0012】
図2に示すように、カッティングユニット4における回転カッター5は、搬送される帯状エラストマEの上方で、基端を軸支されて帯状エラストマEの搬送方向を回転中心軸に先端のカッター刃5aを旋回駆動できる構造のものである。
図2(1)に示すように上方に位置したカッター刃5aを、タイマーまたは距離カウンタの指令により所定のタイミングで下方に旋回して帯状エラストマEの幅方向中央部に切り込んで所定の幅長の切込みcを形成する(図2(2),(3)参照)。
【0013】
切込みcは、帯状エラストマEの両側縁部を残して中央に入れられるので、帯状エラストマEの連続性および切込みcを除いて全体の形状は維持される。
この切込みcの形成は、フィードコンベア3による帯状エラストマEの搬送過程で、所定間隔をおいて実行され、よって図4に図示するように、切込みcは帯状エラストマEに等間隔を存して形成される。
【0014】
こうして切込みcが入れらた帯状エラストマEは、フィードコンベア3によりさらに送られた後、押出機10のホッパー13に上方から投入される。
押出機10は、投入された帯状エラストマEをスクリュー11の回転で錬りながら前進させて口金より押出すものであり、帯状エラストマEが投入されるホッパー13の下にはスクリュー11に沿ってフィードロール12が配設されている(図3参照)。
【0015】
ホッパー13に投入された帯状エラストマEは、押出機10の互いに逆方向に回転するスクリュー11とフィードロール12の間に咬み込まれて取り込まれる。
押出機10の互いに逆方向に回転するスクリュー11とフィードロール12は、帯状エラストマEの先端を挟み咬み込んで引っ張り込むように作用するので、帯状エラストマEの咬み込まれた先端より上流側が下方に引っ張られて、図5に示すように幅方向に指向した切込みcが上下に開いて開口する。
【0016】
切込みcは、スクリュー11とフィードロール12に咬み込まれた先端に近いほど大きく開口する。
しかし、帯状エラストマEは切込みcの両側方が連続しているので、切込みcが開口しても全体形状は概ね維持される。
そのため、引っ張り込まれるときに無理な力が加わっても切断されるようなことはなく、連続供給が途切れることなく安定した供給がなされる。
【0017】
帯状エラストマEの咬み込みの様子を図6に図示する。
図6(1)に示すように、ホッパー13に上方から投入される帯状エラストマEは、互いに逆回転するスクリュー11とフィードロール12の間に咬み込まれて取り込まれ、スクリュー11により取り込まれた後1回ないし数回旋回してきたエラストマをも巻き込んで前方へ送られる推進流が形成される。
【0018】
この推進流を生じさせる押出圧は、一方で旋回してきたエラストマをも巻き込むときに背面流をも生じさせて、ときに図6(2)に示すように、エラストマの一部が反り返えるようにして押し戻されて小さなホッパーバンクEbを形成することがある。
【0019】
このホッパーバンクEbは、連続した帯状エラストマEが壁となって、帯状エラストマEに対して一方のスクリュー11側で形成され、スクリュー11側で旋回してきたエラストマと帯状エラストマEとの間の狭いところに挟まれて咬み込まれていかなければならない。
そのため、咬み込み量が少なくなってホッパーバンクEbは成長し易い。
【0020】
ホッパーバンクEbがある程度成長すると、帯状エラストマEの壁を圧迫するが、図6(3)に示すように、連続した帯状エラストマEの壁に開いた切込みcの開口からホッパーバンクEbが抜けてフィードロール12側に流出する。
【0021】
フィードロール12側は、旋回してくるエラストマが少ないので、フィードロール12側に流出したエラストマは、フィードロール12の回転に案内されて容易に咬み込まれる。
すなわち、ホッパーバンクEbは、連続した帯状エラストマEのスクリュー11側とフィードロール12側の両側で咬み込まれていくことになる。
【0022】
連続した帯状エラストマEの切込みcの開口は、咬み込まれる先端に近いほど大きく、順次ホッパーバンクEbのところへ移動してくるので、スクリュー11側に形成されるホッパーバンクEbは切込みcの開口が来るたびに、同開口を抜けてフィードロール12側に流出し、ホッパーバンクEbの成長は阻止される。
【0023】
したがって、ホッパーバンクEbが大きく成長することにより生じるホッパー詰りを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る帯状エラストマの投入方法を適用した帯状エラストマ供給装置の概略図である。
【図2】カッターによる切込みの形成過程を示す説明図である。
【図3】押出機のホッパー近傍の断面図である。
【図4】切込みを入れた帯状エラストマの部分斜視図である。
【図5】スクリューとフィードロールとの間に咬み込まれる直前の帯状エラストマの状態を示す斜視図である。
【図6】帯状エラストマの咬み込みの様子を示す説明図である。
【図7】従来の帯状エラストマの咬み込みの様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
E…帯状エラストマ、Eb…ホッパーバンク、c…切込み、
1…帯状エラストマ供給装置、2…リール、3…フィードコンベア、4…カッティングユニット、5…回転カッター、
10…押出機、11…スクリュー、12…フィードロール、13…ホッパー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパーを介して投入された帯状エラストマをスクリューとフィードロールの間に咬み込んでスクリューの回転で錬りながら押出す押出機への帯状エラストマの投入方法において、
前記ホッパーに投入される前に帯状エラストマに長手方向と直角の幅方向に指向して幅方向中央に切込みを所定間隔を存して順次形成することを特徴とする押出機への帯状エラストマの投入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−126541(P2008−126541A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314680(P2006−314680)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】