押出用工具鋼
本発明は、従来のH13鋼と比較してコストが低く、高い焼戻し耐性を有し、化学組成が(重量パーセントで)、0.4〜0.6の炭素、1未満のケイ素、0.03未満のリン、2.5〜4.5のクロム、タングステンによって2W対1Moの比で置換されていてもよい0.5〜0.7のモリブデン、0.1〜1のバナジウム、1未満のマンガン、残部が実質的にFe及び不可避の不純物である押出工具用鋼に関する。窒化後の高い表面硬さを促進する選択肢として、本発明の鋼は、最大1.0のアルミニウム量を有することができるが、高い靭性のためにはアルミニウム量は0.10未満に保たれなければならない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さまざまな熱間成形工具及びダイ、とりわけアルミニウム合金又はその他の非鉄金属の押出用の熱間成形工具及びダイへの使用を意図する鋼に関するものである。この材料は、押出プロセスのために当初設計されているが、成形されるべき金属が600℃を超える温度に耐えるその他の熱間成形プロセスにおいても採用することができる。もっとも、この鋼は、より低い温度で或いは周囲温度でのプロセスにおいても採用することができる。問題の鋼の組成は、鋼が熱間加工工具鋼として分類されることができ、主な特徴は、モリブデン及びバナジウム等の高コストの合金元素が低いが、焼戻抵抗(又は硬さ低下に対する抵抗性)が従来技術概念の従来鋼よりも大きいことである。本発明の鋼の代替例は、窒化後の硬さを増大させるために提供されており、従来鋼のものよりもさらに高い性能レベルをもたらすことができると同時に、より単純な化学組成によってコストを低く保つことができる。この効果は、合金を注意深く設計すること、並びに元素、即ち、炭素、クロム、モリブデン及びアルミニウムの最適範囲を設定することによって可能である。
【背景技術】
【0002】
熱間加工工具という用語は、多数の熱間成形工程に適用されるものであり、産業界で採用され、その焦点は機械用途の部品、とりわけ自動車部品の製造に置かれている。最もよく知られている熱間成形プロセスは鋼の鍛造及び非鉄合金の押出又は鋳造である。高温、典型的には500/600℃超で実施されるその他の用途も熱間加工として分類できる。これらの用途において、鋳型、金型、穴あけ器、インサート及びその他の成形デバイスは、熱間加工工具という総称によって分類される。これらの工具は、通常、採用されるプロセスの高温に及び機械的応力に耐える特別な特性を必要とする鋼からできている。
【0003】
熱間加工鋼のそれらの主要な特性のうちで、以下のもの、即ち、高温焼戻し後の耐性、焼戻し耐性と呼ばれる硬さ低下に対する耐性、靭性、焼入性並びに熱伝導性及び比熱等の物理的特性が際立っている。
【0004】
非鉄合金、とりわけアルミニウム合金に使用される押出ダイは、本発明の鋼を適用するための主な熱間加工の対象である。これらの典型的なダイは、ブラジル及び外国の両方における工具鋼市場の重要な位置を占めている。この用途において、鋼は、ABNT H13(表1参照)のような鋼に基づいて、その他の用途、例えばダイキャスト鋳造法のものよりも厳しくない品質要件によってであるが製造コストの低さに重点を置いて十分に標準化されている。
【0005】
合金、とりわけMo及びVのコスト増により、この部門は著しく損なわれたために、低コストの代替品を切望している。低合金鋼、例えばDIN 1.2714(表1に示されている化学組成)などが採用されている。然しながら、熱間強度の低減及び窒化後の硬さの低さによる耐磨耗性が低いことによって、それらの使用が妨げられている。
【0006】
米国特許出願公開第2009/0191086号等の最近の開発の焦点は、Cr量、Mo量及びV量低減による合金元素の低減に置かれた。然しながら、Cr量を低減させることにより負の効果が生じる。第1に、合金組成は、焼戻し後に高い硬さ(600℃での焼戻し後少なくとも45HRC)を達成するのに十分ではない。第2に、低減されたCr量は、窒化後の硬さがより低くなることもあり、これは押出用途における窒化(実質的に全ての押出ダイが現在は窒化される)によって生じる明らかな利得を考慮するとこれらの用途には適切でない。
【0007】
表1 従来技術概念の鋼の典型的な化学組成。Mo、V、Coは最もコストが高く、工具鋼の最終コストに密接に関係しているので、Mo+V+Coの合計を示している。成分は質量百分率であり残部はFeである。全ての押出用途についてW量は低く、通常は0.1%未満である。
【表1】
【0008】
米国特許出願公開第2009/0191086号の発明の第3の問題は、Cr量及びMo量の低減の結果として焼入性が低下するために金型コアの硬さがより低くなる可能性に関係している。これを避けるため、米国特許出願公開第2009/0191086号の発明合金はMn量をより高くするが、これにより、焼入性が高くなり、偏析の問題(帯形成)の発生する可能性及び過剰なオーステナイト残留がもたらされる。両方の効果とも、最終的な硬さ及び靭性、したがって工具の寿命を損なう可能性がある。最後の側面についても高Mn量に関して述べることができる。即ち、この鋼からのスクラップは、従来の低Mn量の熱間加工鋼の製造にほとんど組み込むことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0191086号明細書
【0010】
全てのこれら欠点を考えると、米国特許出願公開第2009/0191086号は、コスト削減解決策ではあるが特性が劣ると著者らは考える。この特許文献中で、著者らは予想される効率損失が、鋼H13のものよりも約20〜30%低いと定量している。ダイに関連する機械加工及び熱処理コストを考慮すると、この効率損失は極めて重大であると考えられる。したがって、取替えを補償するために材料のコストを30%超削減する必要がある。例えば、最終のダイコストの60%のみが使用される工具鋼と関連していることを考えると、新しい材料のコストが従来の材料コストの半分である場合に30%低い寿命のみが可能である。原料のコストがピークであった2005年から2008年までは、これは当てはまる(しかし、必要なコストの差が高すぎるので、これが起こるのは依然として困難である)。然しながら、現在のシナリオにおいては、このコスト削減は鋼H13に対して、Mo量及びCr量の低減だけを考えると、ほとんど達成することができない。こうして、米国特許出願公開第2009/0191086号の発明合金の効率損失に関連するコストの削減は、この用途に対しては非現実的と今や思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このシナリオを考えると、鋼H13の性能と同等の性能を有し、鋼H13のコストよりもコストが低く、工具寿命に対して正の効果を効率的に有する工具鋼の必要性が明らかである。これは、問題の鋼が、鋼H13と同等の焼戻し耐性及び600℃での焼戻し(典型的な熱処理条件)後の硬さを有するが、合金元素の含有量がより低く、窒化後の適切な硬さを有する場合にのみ可能である。さらに、使用される材料は、高い焼入性を有するが、高Mn量に関連する問題があってはならない。こうすれば押出ダイよりも大きい工具に適用することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明の鋼は全てのこれらの必要性を満たす。
【0013】
コスト削減/品質損失ゼロの目標を達成するため、熱間強度に関係する主要な元素Cr及びMoの効果を別々に検討した。重要な発見とは別に、この検討は、これらの元素の含有量の変化が必要な熱間強度を促進するのに十分でないことも示した。このようにして、C量を、靭性に影響を与えないレベルに至るまで、特にP量及びSi量を低減させながら増大させることができた。最後に、Crの低減、したがって窒化後の硬さの低下の可能性を補償するために、Alの効果を使用した。この研究は、窒化層がさまざまな熱間成形工具、特に押出及び熱間鍛造工具に耐摩耗性を付与するために不可欠であるので、この点にも注目した。
【0014】
したがって、上記の条件を満足させるため、本発明の鋼は、質量百分率で、以下の合金組成を有する。
0.40〜0.60のC、好ましくは0.45〜0.55のC、典型的には0.50のC
2.5〜4.5のCr、好ましくは3.0〜4.2のCr、典型的には3.8のCr
0.30〜0.90のMo、好ましくは0.50〜0.70のMo、典型的には0.60のMo。Wとのその化学的類似性を考えて、Moは2W:1Moの質量比でWと置き換えられていてもよい。
0.1〜1.0のV、好ましくは0.3〜0.8のV、典型的には0.4のV。Vは1Nb:0.5Vの質量比に従ってNbと部分的又は完全に置き換えられていてもよい。
最大1.0のSi、好ましくは最大0.50のSi、典型的には0.30のSi、
最大1.0のMn、好ましくは最大0.80のMn、典型的には最大0.50のMn。
【0015】
下記のように、Alは、窒化後の硬さに関して有利であるために本発明の合金中に同時に添加することができるが、靭性及び鋼製造プロセスの複雑さに関して負の効果も与える。したがって、Al量は、質量百分率で以下のように添加されなければならない。
最大1.0のAl、好ましくは最大0.80のAl、典型的には最大0.60のAl。Alの効果が対象とされない組成物に対しては、この元素は0.10に、典型的は0.05未満に制限される残留不純物として処理されるべきである。
【0016】
この組成は、Fe(鉄)及び鋼製造プロセスに不可避の金属又は非金属の有害物からなる残部を特徴とすべきである。ここで非金属の有害物としては、質量百分率で次の元素が挙げられるが、それらに限定されない。
最大0.030のP、好ましくは最大0.015のP、典型的には最大0.010のP。
最大0.10のS、好ましくは最大0.030のS、典型的には最大0.008のS。
最大1.5のNi又はCo、好ましくは1.0までのNi又はCo、典型的には0.5未満のNi及びCo。
【0017】
次に出願人は、新しい材料の組成物の仕様の比について説明する。掲げられている百分率は、質量パーセントを指す。
【0018】
C:炭素は、低温条件下でのマルテンサイト焼入れに主として関与する。然しながら、合金元素と共に、炭素は、高温焼入れに対しても重要な二次焼入れにおいても役割を果たす。これらの場合、C量は600℃未満の温度での硬さにとってより重要である。このとき、硬さがマルテンサイト硬さ又はセメンタイト若しくはCr炭化物の形成に依然として依存する。その上、炭素は、重要な焼入性促進元素であり、コストを増大させない。硬さを45HRC以上まで増大させることが同様に重要と考えられ、少なくとも0.40%、好ましくは0.45%を超える炭素含有量が推奨される。他方で、C量が非常に多いと、急冷の際に粒形の炭化物が過剰に析出(特にMo量及びV量が高いとき)する。その上、二次炭化物の硬さ及び量が増大する。したがって靭性が通常損なわれる。C量は、最大0.60%、好ましくは0.55%未満に制限されるべきである。この制限は、残留オーステナイト量を低減させる役割も果たして、寸法不安定性及び脆化と関連する問題を防ぐ。
【0019】
Cr:クロムは、大きな工具での用途にとって重要である焼入性に有利に働くので、クロム量は2.5%よりも多く、好ましくは3.0%を超えるべきである。然しながら、クロム量は制限されるべきである。本発明は、焼戻し耐性を改善するためにCr量を低減させる概念を組み込んでいる。この効果の機構は十分には理解されていないが、Mo及びVを溶解させ最初に形成される炭化物であるM7C3タイプである二次Cr炭化物の形成に関係する可能性がある。そのため、Cr量が低いほど、M7C3炭化物量は少なくなる。したがって、二次焼入れにとっても重要である微細炭化物M2C及びMCの形成に利用可能なMo及びVの量が多くなる。その最終結果は、Cr量がより低い鋼において焼戻し耐性が著しくより高くなることであり、したがって、従来技術概念の鋼と比較したとき、Mo量の低減を可能にする。
【0020】
Mo及びW:低濃度のMoは本発明において、コスト削減のためばかりでなく、Cr量及びC量と関連して、最高の二次硬さ及び鋼H13のものと同等或いはこれよりも大きい焼戻し耐性も促進するために採用される。そのために、本発明合金は、少なくとも0.30%、好ましくは0.50%を超えて含有しなければならない。一方で、Mo量が著しく高いと、急冷段階中の初晶炭化物の析出により靭性を害する可能性があり、本発明のコスト削減の目標と反対方向で合金コストを著しく増大させる可能性がある。そのために、Mo量は0.90%、好ましくは0.70%未満に制限されるべきである。タングステン及びモリブデンは、本発明の工具鋼において類似した効果を生じさせて、M2C又はM6Cの二次炭化物を形成する。したがって、それらは2つの元素間の原子量の差を正規化するW+2Moの和によって与えられるタングステン当量関係(Weq)により両方一緒に特定することができる。
【0021】
V:バナジウムは、MC二次炭化物の形成にとって主として重要である。それらは非常に薄いので、これらの炭化物は転位線の移動を阻止して、機械的強度を増大させる。Vは、粒の成長を改善して、オーステナイト化温度(1000℃を超える)を高くすることをも可能にする。そのような効果のために、Vは、0.1%超、好ましくは0.3%超でなければならない。しかし、Vの度合いが過度に高いと、可溶化が困難な一次炭化物を発生させ、したがって靭性を低減させ、さらには、コストの著しい増大を促進する可能性がある。そのため、V量は、1.0%未満、好ましくは0.6%未満であるべきである。
【0022】
Si:ケイ素は、二次焼入れ及び靭性に対して強い効果を及ぼす。Si濃度が低いと、二次炭化物がより良好に分布するので靭性が改善する。そのため、本発明の材料のSi量は、1.0%未満、典型的には0.5%未満でなければならない。
【0023】
Mn:Mn量が高いと、さまざまな度合いの硬さの縞を発生させる激しいミクロ偏析が促進されるために、さらに残留オーステナイト量を増大させるために望ましくないと考えられる。そのため、Mnは本発明においては有害な元素とみなされる。したがって、Mn量は、1.0%に制限され、好ましくは0.8%未満、典型的には0.50%未満に制限されるべきである。
【0024】
Al:窒化層のより大きい硬さを促進するために、合金のAl量は高くできる。しかしながら、Al量はこれらの条件下で靭性の低下をもたらすので1.0%に制限されるべきである。したがって、0.40%〜0.60%のAl量が、この目的にとって興味のある含有量であり得る。しかしながら、窒化層の硬ささが鋼H13のものよりわずかに低いが、高い靭性が要求される用途に対して、本発明の合金のAl量は、0.1%未満、典型的には0.05%未満であることができる。
【0025】
残留元素:Ni及びCo等の他の元素は、鋼製造の脱酸素プロセスと関連するか又は製造プロセスに特有の有害物とみなされるべきである。そのため、Ni量及びCo量は、1.5%、好ましくは1.0%未満に制限されるべきである。介在物の形成に関して、硫黄は、介在物が作業中に割れを引き起こし得るので制御されるべきである。そのため、S量は、0.050%未満、好ましくは0.020%未満に留まるべきである。さらに、靭性が高くなるために、Pのような脆化元素は避けるべきであり、P<0.030%、好ましくはP<0.015%、典型的にはP<0.010%であることが望ましい。実際に、Cr量が低いと、電気アーク炉鋼製造プロセスにおけるP量を低減させるためにも役立ち、こうして所望されるコスト削減理念に矛盾しない結論に導く。
【0026】
上記の合金は、粉末冶金、溶射成形又は連続鋳造法等の従来の又は特別なプロセスにより、線材、棒材、鋼線、薄板及び鋼帯等の圧延製品又は鍛造製品として製造することができる。
【0027】
実施された実験は以下に説明されており、次の添付図が参照されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】Mo量の600℃での焼戻し後の硬さに対する効果を示す図。
【図1B】0.60%のMo、通常のC量におけるCr量の効果を示す図。
【図1C】0.60%のMo、より高いC量におけるCr量の効果を示す図。図1A、1B及び1Cの水平の破線は、用途にとって望ましい最小硬さを示している。
【図2A】図1と同様に、モリブデンの焼戻し耐性に対する効果を示す図。
【図2B】クロムの焼戻し耐性に対する効果を示す図。
【図2C】クロムの焼戻し耐性に対する効果を示す図。高温における硬さが高ければ高いほど合金の焼戻し耐性は大きい。全ての場合(図2A〜2C)に、合金は最初に600℃で焼き鈍しされた。
【図3A】0.50%のC、3.00%のCr組成に対するCCT曲線。定量的焼入性の結果は、形成された相(パーライト及びベイナイト)の数から、最も重要には速度に対して得られた最終硬さから得ることができる。組成物は、比較のために3%及び4%のCr量を踏まえて、表1、ベース3にまとめられている
【図3B】0.50%のC、4.00%のCr組成に対するCCT曲線。
【図4】従来技術概念のH13鋼のCCT曲線を示す図。データは、本発明の鋼の結果と比較することができる。図3に示されている相の数及び硬さに関する同じデータは、さまざまな冷却速度について評価され得る。
【図5A】本発明の最終組成を有する合金PI1〜PI3の焼戻し後の硬さの比較。
【図5B】本発明の最終組成を有する合金PI1〜PI3の600℃での硬さの損失対時間(焼戻し耐性の文章に言及されている)の比較。
【図6】2つのタイプの横折り試験片:ノッチなし(NADCAによる7mm×100mmの断面)又は10mm×10mmの断面及びVノッチを有するシャルピーVについて行なった衝撃靭性試験の結果を比較している図。図5aのパラメーターに従って硬さ45HRCまで処理された全ての材料。
【図7】合金PI1、PI2及びPI3対鋼H13の窒化層の硬さプロファイルを示す図。プラズマ窒化プロセスを鋼H13に対して行なった。窒化前に、全ての試料合金は、45HRCに達するように急冷及び焼戻しされた。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施例1 モリブデン、クロム及び炭素の効果
この研究のために、実験用VIM炉で同じ溶解で異なる組成の約200gの試料を集めた。下の表1に示されているようにCr量、Mo量及びC量を変化させて3つの鋼を製造した(詳細:付属書類1)。鋼H11は、既にV量の半分を有するので、これらの合金のベースとなった。材料は、特別な熱処理(1010℃でのオーステナイト化、油溶体化および810℃での過剰焼き鈍し)の後に常に特性評価した。このプロセスにおいて、出願人は、1020℃での焼き鈍し及び400〜650℃の焼戻しを使用した。典型的な工業用組成物の鋼H13をベースとして使用した。
【0030】
600℃での焼戻し後の硬さが図1に示されている。Mo量及びCr量の低減の効果が示され、C量を高くした効果も示されている。Mo量に関しては、Mo濃度が低いと、焼戻し後の硬さはより低くなる。しかしながら、Cr量が低下すると、焼戻し後の硬さは上昇する。Cr量が低いと、M7C3の量が低減し、これが次いでMoを溶解させる可能性がある。したがって、高含有量の遊離Moが、低Cr含有量の合金中には存在すべきであり、このことは焼戻しに対するより強い応答を説明している。
【0031】
この重要なCrの効果にもかかわらず、その量を低減させるだけでは必要な硬さ(約45HRC)を促進するためには十分でない。場合によると、必要な硬さは、より低い温度で焼戻しすることによって得ることができる。しかしながら、この実践は、理想的な焼戻し温度は適切な焼戻し耐性を提供するために作業温度よりも50〜80℃高くあるべきであるので、熱間加工に対して実現可能でないことがある。したがって、押出及び鋳造アルミニウムを含む熱間加工に対して、典型的な焼戻し温度は600℃であるべきである。
【0032】
表1 一つの元素が変化する同じ溶解からの試料に用いた化学組成。下の表のCr及びMoの欄の星印は、このベースを使用するいくつかの組成物が、その溶鋼のベース組成を保ったまま、この元素の含有量を増大させて、同じ溶解から製造されたことを示している。
【表2】
【0033】
600℃での焼戻し後の硬さを増大させるために、出願人はC量を増大させた。図1に示されているようにその結果は効果的であり、H13よりもさらに大きな硬さが得られた。この場合、Cの効果は、二次炭化物の形成の増大に関係し、これはより低いCr量と関連したとき、より低いMo量(鋼H13の半分)の合金においてさえ、この研究を開始するために必要な硬さを提供する。より高いC量の合金において、類似のCrの効果を観察することができる。
【0034】
焼戻し後の硬さ以外に、硬さの損失も、問題の合金が受ける高温に対する適切な応答を促進するための主要な要因である。図2に示されている結果は、これに関する重要なMoの効果(図2A)を実証しており、Cr量の低減も、硬さの損失を低減させる興味深い選択肢である(これは曲線をより高い硬さレベルに再プロットすることを意味する(図2B参照))ことも実証している。C量がより高い合金(図2C)においてはこの効果はさらに大きい。したがって、低Cr/高Cの組合せが興味深く思われる。
【0035】
他方で、Cr量は、焼入性が低減しないように過度に低くすることはできない。この効果は、図3の曲線で検討され、図4で鋼H13と比較された。定量的に、0.3及び0.1℃/秒後に達した硬さは、635HV及び521HVを有する鋼H13に相当する(図4)。それに対して、3%Crの合金は、同じ条件下で595HV及び464HVに相当する(図3A)。4%Crの合金に対しては、これはH13以上の硬さ、即ち、0.3及び0.1℃/秒の速度に対して696HV及び523HVに達する(図3B)。そのため、4%Crに近いCr量は、より興味深いように思われる。この値よりも著しく低い、即ち、3%以下のCrでは、ベイナイト量及び焼戻し後の硬さが用途を妨げる可能性がある。したがって、3.8%のCr量が、全てのその他の試験、パイロット規模のビレットの製造及び機械的特性の評価のために選択された。
【0036】
実施例2 Al量の効果
合金の対象を確定した後、4つの鋼材(50kgの鋳造ビレット、140mmの平均断面)を製造し、65mm×165mmの寸法の鋼板(表2)に鍛造した。次に材料を実施例1に記載したのと同じプロセスに従って焼き鈍し、それらの特性を以下に論じるようにして評価した。
【0037】
この結果は、図1及び図2に示されている最初の結果を図5に示されているように裏付けた。したがって、新しい合金は、鋼H13と比較した場合、600℃での硬さに関しては類似の結果に達することができ(図5A)、又は、焼戻し耐性に関してはさらに良好な結果に達することができる(図5B)。
【0038】
表2 本発明の合金に対して製造された実験用の50kgビレット(PI)及び鋼H13
【表3】
【0039】
もう1つの重要な点が、靭性に関して図6において比較することができる。本発明合金の靭性は、Al量が低い場合、鋼H13のものと同等である。これは、合金PI1の低いSi量及びP量が、鋼H13に関係してC量が増大する際に起こる可能性が高い靭性の損失を補償することを実証している。図6は、靭性がAl量に反比例することも示している。
【0040】
Al量は、図7に示されているように、窒化後の硬さの著しい増大に関与している。したがって、窒化層の高い硬さが靭性よりも関係性があると考えられる用途(例えば、固体形状の押出し)に対して、合金PI2は、200Jを超える靭性及び窒化層の著しく高い硬さ(殆んど1400HV)を有するため興味深いものになる。合金PI3は、窒化層に関して増大を示していないが、靭性ははるかに低い。
【0041】
一方で、パイプ押出ダイ等の高度に割れの影響を受け易い用途において、靭性は主要な特性と考えられ得る。これらの場合に対して、合金PI1は、より適切であると思われ、押出工具に対する典型的な仕様である表面で1000HV超に達する鋼H13のものと類似の窒化後の硬さも示す。その上、図5で既に示したように、合金PI1は、改善された熱間強度特性も示す。
【0042】
このように、熱間加工用途に必要な特性を踏まえて、本発明の合金は、鋼H13のものと同等又はこれより良好な結果を示している。そのような結果は、非鉄合金、例えばAl合金の押出ダイ、又は熱間鍛造ダイに対してかなりの関連性がある。合金PI1は、改善された焼戻し耐性を有するが、鋼H13と同等の窒化後の硬さ及び靭性を有し、一方合金PI2は、より低い靭性を有するが、鋼H13よりも著しく高い焼戻し耐性及び窒化後の硬さを有する。合金は、用途に対して必要な最も決定的特性に基づいて選択されるべきである。然しながら、全ての場合において、著しいコスト削減を本発明の合金の低いMo量及びV量により得ることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、さまざまな熱間成形工具及びダイ、とりわけアルミニウム合金又はその他の非鉄金属の押出用の熱間成形工具及びダイへの使用を意図する鋼に関するものである。この材料は、押出プロセスのために当初設計されているが、成形されるべき金属が600℃を超える温度に耐えるその他の熱間成形プロセスにおいても採用することができる。もっとも、この鋼は、より低い温度で或いは周囲温度でのプロセスにおいても採用することができる。問題の鋼の組成は、鋼が熱間加工工具鋼として分類されることができ、主な特徴は、モリブデン及びバナジウム等の高コストの合金元素が低いが、焼戻抵抗(又は硬さ低下に対する抵抗性)が従来技術概念の従来鋼よりも大きいことである。本発明の鋼の代替例は、窒化後の硬さを増大させるために提供されており、従来鋼のものよりもさらに高い性能レベルをもたらすことができると同時に、より単純な化学組成によってコストを低く保つことができる。この効果は、合金を注意深く設計すること、並びに元素、即ち、炭素、クロム、モリブデン及びアルミニウムの最適範囲を設定することによって可能である。
【背景技術】
【0002】
熱間加工工具という用語は、多数の熱間成形工程に適用されるものであり、産業界で採用され、その焦点は機械用途の部品、とりわけ自動車部品の製造に置かれている。最もよく知られている熱間成形プロセスは鋼の鍛造及び非鉄合金の押出又は鋳造である。高温、典型的には500/600℃超で実施されるその他の用途も熱間加工として分類できる。これらの用途において、鋳型、金型、穴あけ器、インサート及びその他の成形デバイスは、熱間加工工具という総称によって分類される。これらの工具は、通常、採用されるプロセスの高温に及び機械的応力に耐える特別な特性を必要とする鋼からできている。
【0003】
熱間加工鋼のそれらの主要な特性のうちで、以下のもの、即ち、高温焼戻し後の耐性、焼戻し耐性と呼ばれる硬さ低下に対する耐性、靭性、焼入性並びに熱伝導性及び比熱等の物理的特性が際立っている。
【0004】
非鉄合金、とりわけアルミニウム合金に使用される押出ダイは、本発明の鋼を適用するための主な熱間加工の対象である。これらの典型的なダイは、ブラジル及び外国の両方における工具鋼市場の重要な位置を占めている。この用途において、鋼は、ABNT H13(表1参照)のような鋼に基づいて、その他の用途、例えばダイキャスト鋳造法のものよりも厳しくない品質要件によってであるが製造コストの低さに重点を置いて十分に標準化されている。
【0005】
合金、とりわけMo及びVのコスト増により、この部門は著しく損なわれたために、低コストの代替品を切望している。低合金鋼、例えばDIN 1.2714(表1に示されている化学組成)などが採用されている。然しながら、熱間強度の低減及び窒化後の硬さの低さによる耐磨耗性が低いことによって、それらの使用が妨げられている。
【0006】
米国特許出願公開第2009/0191086号等の最近の開発の焦点は、Cr量、Mo量及びV量低減による合金元素の低減に置かれた。然しながら、Cr量を低減させることにより負の効果が生じる。第1に、合金組成は、焼戻し後に高い硬さ(600℃での焼戻し後少なくとも45HRC)を達成するのに十分ではない。第2に、低減されたCr量は、窒化後の硬さがより低くなることもあり、これは押出用途における窒化(実質的に全ての押出ダイが現在は窒化される)によって生じる明らかな利得を考慮するとこれらの用途には適切でない。
【0007】
表1 従来技術概念の鋼の典型的な化学組成。Mo、V、Coは最もコストが高く、工具鋼の最終コストに密接に関係しているので、Mo+V+Coの合計を示している。成分は質量百分率であり残部はFeである。全ての押出用途についてW量は低く、通常は0.1%未満である。
【表1】
【0008】
米国特許出願公開第2009/0191086号の発明の第3の問題は、Cr量及びMo量の低減の結果として焼入性が低下するために金型コアの硬さがより低くなる可能性に関係している。これを避けるため、米国特許出願公開第2009/0191086号の発明合金はMn量をより高くするが、これにより、焼入性が高くなり、偏析の問題(帯形成)の発生する可能性及び過剰なオーステナイト残留がもたらされる。両方の効果とも、最終的な硬さ及び靭性、したがって工具の寿命を損なう可能性がある。最後の側面についても高Mn量に関して述べることができる。即ち、この鋼からのスクラップは、従来の低Mn量の熱間加工鋼の製造にほとんど組み込むことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0191086号明細書
【0010】
全てのこれら欠点を考えると、米国特許出願公開第2009/0191086号は、コスト削減解決策ではあるが特性が劣ると著者らは考える。この特許文献中で、著者らは予想される効率損失が、鋼H13のものよりも約20〜30%低いと定量している。ダイに関連する機械加工及び熱処理コストを考慮すると、この効率損失は極めて重大であると考えられる。したがって、取替えを補償するために材料のコストを30%超削減する必要がある。例えば、最終のダイコストの60%のみが使用される工具鋼と関連していることを考えると、新しい材料のコストが従来の材料コストの半分である場合に30%低い寿命のみが可能である。原料のコストがピークであった2005年から2008年までは、これは当てはまる(しかし、必要なコストの差が高すぎるので、これが起こるのは依然として困難である)。然しながら、現在のシナリオにおいては、このコスト削減は鋼H13に対して、Mo量及びCr量の低減だけを考えると、ほとんど達成することができない。こうして、米国特許出願公開第2009/0191086号の発明合金の効率損失に関連するコストの削減は、この用途に対しては非現実的と今や思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このシナリオを考えると、鋼H13の性能と同等の性能を有し、鋼H13のコストよりもコストが低く、工具寿命に対して正の効果を効率的に有する工具鋼の必要性が明らかである。これは、問題の鋼が、鋼H13と同等の焼戻し耐性及び600℃での焼戻し(典型的な熱処理条件)後の硬さを有するが、合金元素の含有量がより低く、窒化後の適切な硬さを有する場合にのみ可能である。さらに、使用される材料は、高い焼入性を有するが、高Mn量に関連する問題があってはならない。こうすれば押出ダイよりも大きい工具に適用することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明の鋼は全てのこれらの必要性を満たす。
【0013】
コスト削減/品質損失ゼロの目標を達成するため、熱間強度に関係する主要な元素Cr及びMoの効果を別々に検討した。重要な発見とは別に、この検討は、これらの元素の含有量の変化が必要な熱間強度を促進するのに十分でないことも示した。このようにして、C量を、靭性に影響を与えないレベルに至るまで、特にP量及びSi量を低減させながら増大させることができた。最後に、Crの低減、したがって窒化後の硬さの低下の可能性を補償するために、Alの効果を使用した。この研究は、窒化層がさまざまな熱間成形工具、特に押出及び熱間鍛造工具に耐摩耗性を付与するために不可欠であるので、この点にも注目した。
【0014】
したがって、上記の条件を満足させるため、本発明の鋼は、質量百分率で、以下の合金組成を有する。
0.40〜0.60のC、好ましくは0.45〜0.55のC、典型的には0.50のC
2.5〜4.5のCr、好ましくは3.0〜4.2のCr、典型的には3.8のCr
0.30〜0.90のMo、好ましくは0.50〜0.70のMo、典型的には0.60のMo。Wとのその化学的類似性を考えて、Moは2W:1Moの質量比でWと置き換えられていてもよい。
0.1〜1.0のV、好ましくは0.3〜0.8のV、典型的には0.4のV。Vは1Nb:0.5Vの質量比に従ってNbと部分的又は完全に置き換えられていてもよい。
最大1.0のSi、好ましくは最大0.50のSi、典型的には0.30のSi、
最大1.0のMn、好ましくは最大0.80のMn、典型的には最大0.50のMn。
【0015】
下記のように、Alは、窒化後の硬さに関して有利であるために本発明の合金中に同時に添加することができるが、靭性及び鋼製造プロセスの複雑さに関して負の効果も与える。したがって、Al量は、質量百分率で以下のように添加されなければならない。
最大1.0のAl、好ましくは最大0.80のAl、典型的には最大0.60のAl。Alの効果が対象とされない組成物に対しては、この元素は0.10に、典型的は0.05未満に制限される残留不純物として処理されるべきである。
【0016】
この組成は、Fe(鉄)及び鋼製造プロセスに不可避の金属又は非金属の有害物からなる残部を特徴とすべきである。ここで非金属の有害物としては、質量百分率で次の元素が挙げられるが、それらに限定されない。
最大0.030のP、好ましくは最大0.015のP、典型的には最大0.010のP。
最大0.10のS、好ましくは最大0.030のS、典型的には最大0.008のS。
最大1.5のNi又はCo、好ましくは1.0までのNi又はCo、典型的には0.5未満のNi及びCo。
【0017】
次に出願人は、新しい材料の組成物の仕様の比について説明する。掲げられている百分率は、質量パーセントを指す。
【0018】
C:炭素は、低温条件下でのマルテンサイト焼入れに主として関与する。然しながら、合金元素と共に、炭素は、高温焼入れに対しても重要な二次焼入れにおいても役割を果たす。これらの場合、C量は600℃未満の温度での硬さにとってより重要である。このとき、硬さがマルテンサイト硬さ又はセメンタイト若しくはCr炭化物の形成に依然として依存する。その上、炭素は、重要な焼入性促進元素であり、コストを増大させない。硬さを45HRC以上まで増大させることが同様に重要と考えられ、少なくとも0.40%、好ましくは0.45%を超える炭素含有量が推奨される。他方で、C量が非常に多いと、急冷の際に粒形の炭化物が過剰に析出(特にMo量及びV量が高いとき)する。その上、二次炭化物の硬さ及び量が増大する。したがって靭性が通常損なわれる。C量は、最大0.60%、好ましくは0.55%未満に制限されるべきである。この制限は、残留オーステナイト量を低減させる役割も果たして、寸法不安定性及び脆化と関連する問題を防ぐ。
【0019】
Cr:クロムは、大きな工具での用途にとって重要である焼入性に有利に働くので、クロム量は2.5%よりも多く、好ましくは3.0%を超えるべきである。然しながら、クロム量は制限されるべきである。本発明は、焼戻し耐性を改善するためにCr量を低減させる概念を組み込んでいる。この効果の機構は十分には理解されていないが、Mo及びVを溶解させ最初に形成される炭化物であるM7C3タイプである二次Cr炭化物の形成に関係する可能性がある。そのため、Cr量が低いほど、M7C3炭化物量は少なくなる。したがって、二次焼入れにとっても重要である微細炭化物M2C及びMCの形成に利用可能なMo及びVの量が多くなる。その最終結果は、Cr量がより低い鋼において焼戻し耐性が著しくより高くなることであり、したがって、従来技術概念の鋼と比較したとき、Mo量の低減を可能にする。
【0020】
Mo及びW:低濃度のMoは本発明において、コスト削減のためばかりでなく、Cr量及びC量と関連して、最高の二次硬さ及び鋼H13のものと同等或いはこれよりも大きい焼戻し耐性も促進するために採用される。そのために、本発明合金は、少なくとも0.30%、好ましくは0.50%を超えて含有しなければならない。一方で、Mo量が著しく高いと、急冷段階中の初晶炭化物の析出により靭性を害する可能性があり、本発明のコスト削減の目標と反対方向で合金コストを著しく増大させる可能性がある。そのために、Mo量は0.90%、好ましくは0.70%未満に制限されるべきである。タングステン及びモリブデンは、本発明の工具鋼において類似した効果を生じさせて、M2C又はM6Cの二次炭化物を形成する。したがって、それらは2つの元素間の原子量の差を正規化するW+2Moの和によって与えられるタングステン当量関係(Weq)により両方一緒に特定することができる。
【0021】
V:バナジウムは、MC二次炭化物の形成にとって主として重要である。それらは非常に薄いので、これらの炭化物は転位線の移動を阻止して、機械的強度を増大させる。Vは、粒の成長を改善して、オーステナイト化温度(1000℃を超える)を高くすることをも可能にする。そのような効果のために、Vは、0.1%超、好ましくは0.3%超でなければならない。しかし、Vの度合いが過度に高いと、可溶化が困難な一次炭化物を発生させ、したがって靭性を低減させ、さらには、コストの著しい増大を促進する可能性がある。そのため、V量は、1.0%未満、好ましくは0.6%未満であるべきである。
【0022】
Si:ケイ素は、二次焼入れ及び靭性に対して強い効果を及ぼす。Si濃度が低いと、二次炭化物がより良好に分布するので靭性が改善する。そのため、本発明の材料のSi量は、1.0%未満、典型的には0.5%未満でなければならない。
【0023】
Mn:Mn量が高いと、さまざまな度合いの硬さの縞を発生させる激しいミクロ偏析が促進されるために、さらに残留オーステナイト量を増大させるために望ましくないと考えられる。そのため、Mnは本発明においては有害な元素とみなされる。したがって、Mn量は、1.0%に制限され、好ましくは0.8%未満、典型的には0.50%未満に制限されるべきである。
【0024】
Al:窒化層のより大きい硬さを促進するために、合金のAl量は高くできる。しかしながら、Al量はこれらの条件下で靭性の低下をもたらすので1.0%に制限されるべきである。したがって、0.40%〜0.60%のAl量が、この目的にとって興味のある含有量であり得る。しかしながら、窒化層の硬ささが鋼H13のものよりわずかに低いが、高い靭性が要求される用途に対して、本発明の合金のAl量は、0.1%未満、典型的には0.05%未満であることができる。
【0025】
残留元素:Ni及びCo等の他の元素は、鋼製造の脱酸素プロセスと関連するか又は製造プロセスに特有の有害物とみなされるべきである。そのため、Ni量及びCo量は、1.5%、好ましくは1.0%未満に制限されるべきである。介在物の形成に関して、硫黄は、介在物が作業中に割れを引き起こし得るので制御されるべきである。そのため、S量は、0.050%未満、好ましくは0.020%未満に留まるべきである。さらに、靭性が高くなるために、Pのような脆化元素は避けるべきであり、P<0.030%、好ましくはP<0.015%、典型的にはP<0.010%であることが望ましい。実際に、Cr量が低いと、電気アーク炉鋼製造プロセスにおけるP量を低減させるためにも役立ち、こうして所望されるコスト削減理念に矛盾しない結論に導く。
【0026】
上記の合金は、粉末冶金、溶射成形又は連続鋳造法等の従来の又は特別なプロセスにより、線材、棒材、鋼線、薄板及び鋼帯等の圧延製品又は鍛造製品として製造することができる。
【0027】
実施された実験は以下に説明されており、次の添付図が参照されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】Mo量の600℃での焼戻し後の硬さに対する効果を示す図。
【図1B】0.60%のMo、通常のC量におけるCr量の効果を示す図。
【図1C】0.60%のMo、より高いC量におけるCr量の効果を示す図。図1A、1B及び1Cの水平の破線は、用途にとって望ましい最小硬さを示している。
【図2A】図1と同様に、モリブデンの焼戻し耐性に対する効果を示す図。
【図2B】クロムの焼戻し耐性に対する効果を示す図。
【図2C】クロムの焼戻し耐性に対する効果を示す図。高温における硬さが高ければ高いほど合金の焼戻し耐性は大きい。全ての場合(図2A〜2C)に、合金は最初に600℃で焼き鈍しされた。
【図3A】0.50%のC、3.00%のCr組成に対するCCT曲線。定量的焼入性の結果は、形成された相(パーライト及びベイナイト)の数から、最も重要には速度に対して得られた最終硬さから得ることができる。組成物は、比較のために3%及び4%のCr量を踏まえて、表1、ベース3にまとめられている
【図3B】0.50%のC、4.00%のCr組成に対するCCT曲線。
【図4】従来技術概念のH13鋼のCCT曲線を示す図。データは、本発明の鋼の結果と比較することができる。図3に示されている相の数及び硬さに関する同じデータは、さまざまな冷却速度について評価され得る。
【図5A】本発明の最終組成を有する合金PI1〜PI3の焼戻し後の硬さの比較。
【図5B】本発明の最終組成を有する合金PI1〜PI3の600℃での硬さの損失対時間(焼戻し耐性の文章に言及されている)の比較。
【図6】2つのタイプの横折り試験片:ノッチなし(NADCAによる7mm×100mmの断面)又は10mm×10mmの断面及びVノッチを有するシャルピーVについて行なった衝撃靭性試験の結果を比較している図。図5aのパラメーターに従って硬さ45HRCまで処理された全ての材料。
【図7】合金PI1、PI2及びPI3対鋼H13の窒化層の硬さプロファイルを示す図。プラズマ窒化プロセスを鋼H13に対して行なった。窒化前に、全ての試料合金は、45HRCに達するように急冷及び焼戻しされた。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施例1 モリブデン、クロム及び炭素の効果
この研究のために、実験用VIM炉で同じ溶解で異なる組成の約200gの試料を集めた。下の表1に示されているようにCr量、Mo量及びC量を変化させて3つの鋼を製造した(詳細:付属書類1)。鋼H11は、既にV量の半分を有するので、これらの合金のベースとなった。材料は、特別な熱処理(1010℃でのオーステナイト化、油溶体化および810℃での過剰焼き鈍し)の後に常に特性評価した。このプロセスにおいて、出願人は、1020℃での焼き鈍し及び400〜650℃の焼戻しを使用した。典型的な工業用組成物の鋼H13をベースとして使用した。
【0030】
600℃での焼戻し後の硬さが図1に示されている。Mo量及びCr量の低減の効果が示され、C量を高くした効果も示されている。Mo量に関しては、Mo濃度が低いと、焼戻し後の硬さはより低くなる。しかしながら、Cr量が低下すると、焼戻し後の硬さは上昇する。Cr量が低いと、M7C3の量が低減し、これが次いでMoを溶解させる可能性がある。したがって、高含有量の遊離Moが、低Cr含有量の合金中には存在すべきであり、このことは焼戻しに対するより強い応答を説明している。
【0031】
この重要なCrの効果にもかかわらず、その量を低減させるだけでは必要な硬さ(約45HRC)を促進するためには十分でない。場合によると、必要な硬さは、より低い温度で焼戻しすることによって得ることができる。しかしながら、この実践は、理想的な焼戻し温度は適切な焼戻し耐性を提供するために作業温度よりも50〜80℃高くあるべきであるので、熱間加工に対して実現可能でないことがある。したがって、押出及び鋳造アルミニウムを含む熱間加工に対して、典型的な焼戻し温度は600℃であるべきである。
【0032】
表1 一つの元素が変化する同じ溶解からの試料に用いた化学組成。下の表のCr及びMoの欄の星印は、このベースを使用するいくつかの組成物が、その溶鋼のベース組成を保ったまま、この元素の含有量を増大させて、同じ溶解から製造されたことを示している。
【表2】
【0033】
600℃での焼戻し後の硬さを増大させるために、出願人はC量を増大させた。図1に示されているようにその結果は効果的であり、H13よりもさらに大きな硬さが得られた。この場合、Cの効果は、二次炭化物の形成の増大に関係し、これはより低いCr量と関連したとき、より低いMo量(鋼H13の半分)の合金においてさえ、この研究を開始するために必要な硬さを提供する。より高いC量の合金において、類似のCrの効果を観察することができる。
【0034】
焼戻し後の硬さ以外に、硬さの損失も、問題の合金が受ける高温に対する適切な応答を促進するための主要な要因である。図2に示されている結果は、これに関する重要なMoの効果(図2A)を実証しており、Cr量の低減も、硬さの損失を低減させる興味深い選択肢である(これは曲線をより高い硬さレベルに再プロットすることを意味する(図2B参照))ことも実証している。C量がより高い合金(図2C)においてはこの効果はさらに大きい。したがって、低Cr/高Cの組合せが興味深く思われる。
【0035】
他方で、Cr量は、焼入性が低減しないように過度に低くすることはできない。この効果は、図3の曲線で検討され、図4で鋼H13と比較された。定量的に、0.3及び0.1℃/秒後に達した硬さは、635HV及び521HVを有する鋼H13に相当する(図4)。それに対して、3%Crの合金は、同じ条件下で595HV及び464HVに相当する(図3A)。4%Crの合金に対しては、これはH13以上の硬さ、即ち、0.3及び0.1℃/秒の速度に対して696HV及び523HVに達する(図3B)。そのため、4%Crに近いCr量は、より興味深いように思われる。この値よりも著しく低い、即ち、3%以下のCrでは、ベイナイト量及び焼戻し後の硬さが用途を妨げる可能性がある。したがって、3.8%のCr量が、全てのその他の試験、パイロット規模のビレットの製造及び機械的特性の評価のために選択された。
【0036】
実施例2 Al量の効果
合金の対象を確定した後、4つの鋼材(50kgの鋳造ビレット、140mmの平均断面)を製造し、65mm×165mmの寸法の鋼板(表2)に鍛造した。次に材料を実施例1に記載したのと同じプロセスに従って焼き鈍し、それらの特性を以下に論じるようにして評価した。
【0037】
この結果は、図1及び図2に示されている最初の結果を図5に示されているように裏付けた。したがって、新しい合金は、鋼H13と比較した場合、600℃での硬さに関しては類似の結果に達することができ(図5A)、又は、焼戻し耐性に関してはさらに良好な結果に達することができる(図5B)。
【0038】
表2 本発明の合金に対して製造された実験用の50kgビレット(PI)及び鋼H13
【表3】
【0039】
もう1つの重要な点が、靭性に関して図6において比較することができる。本発明合金の靭性は、Al量が低い場合、鋼H13のものと同等である。これは、合金PI1の低いSi量及びP量が、鋼H13に関係してC量が増大する際に起こる可能性が高い靭性の損失を補償することを実証している。図6は、靭性がAl量に反比例することも示している。
【0040】
Al量は、図7に示されているように、窒化後の硬さの著しい増大に関与している。したがって、窒化層の高い硬さが靭性よりも関係性があると考えられる用途(例えば、固体形状の押出し)に対して、合金PI2は、200Jを超える靭性及び窒化層の著しく高い硬さ(殆んど1400HV)を有するため興味深いものになる。合金PI3は、窒化層に関して増大を示していないが、靭性ははるかに低い。
【0041】
一方で、パイプ押出ダイ等の高度に割れの影響を受け易い用途において、靭性は主要な特性と考えられ得る。これらの場合に対して、合金PI1は、より適切であると思われ、押出工具に対する典型的な仕様である表面で1000HV超に達する鋼H13のものと類似の窒化後の硬さも示す。その上、図5で既に示したように、合金PI1は、改善された熱間強度特性も示す。
【0042】
このように、熱間加工用途に必要な特性を踏まえて、本発明の合金は、鋼H13のものと同等又はこれより良好な結果を示している。そのような結果は、非鉄合金、例えばAl合金の押出ダイ、又は熱間鍛造ダイに対してかなりの関連性がある。合金PI1は、改善された焼戻し耐性を有するが、鋼H13と同等の窒化後の硬さ及び靭性を有し、一方合金PI2は、より低い靭性を有するが、鋼H13よりも著しく高い焼戻し耐性及び窒化後の硬さを有する。合金は、用途に対して必要な最も決定的特性に基づいて選択されるべきである。然しながら、全ての場合において、著しいコスト削減を本発明の合金の低いMo量及びV量により得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量パーセントで、0.40〜0.60のC、1.0未満のSi、0.030未満のP、2.5〜4.5のCr、0.5〜0.7のMo、0.10〜1.0のV、1.0未満のMn、最大1.0のAl、残部がFe及び不可避の有害物からから本質的になる合金組成を特徴とする押出工具用鋼。
【請求項2】
質量パーセントで、0.40〜0.60のC、0.50未満のSi、0.030未満のP、3.0〜4.2のCr、0.55〜0.65のMo、0.30〜0.8のV、0.8未満のMn、最大0.80のAl、残部がFe及び不可避の有害物から本質的になる合金組成を特徴とする押出工具用鋼。
【請求項3】
質量パーセントで、0.45〜0.55のC、0.5未満のSi、0.030未満のP、3.5〜4.2のCr、0.55〜0.65のMo、0.30〜0.50のV、0.50未満のMn、最大0.60のAl、残部がFe及び不可避の有害物から本質的になる合金組成を特徴とする押出工具用鋼。
【請求項4】
Al量が0.10質量パーセントに制限されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項5】
アルミニウム量が0.05質量パーセント以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項6】
コバルト量及びニッケル量が1.0質量パーセント未満であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項7】
リン量及び硫黄量が、0.030質量パーセント未満であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項8】
リン量が0.010質量パーセント未満であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項9】
Moが、1Mo=2Wの比でWと置換されていることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項10】
Vが、
1V=2Nb又は1Ti
の比でNb又はTiに置換されていることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項11】
30〜60HRCの硬さを得るために急冷及び焼戻しを行ない、その後窒化熱処理を施して0.50mmの最大厚さに対して800〜1500HVの表面硬さを得た後に使用するための鋼であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項12】
固体材料及び液体材料を室温又は最大1300℃の温度で成形するための鋳型、ダイ及び一般的な使用工具に適用されることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項13】
鉄合金又は非鉄合金の鍛造、押出又は鋳造の用途において金属を300〜1300℃の温度で成形するための工具に適用されることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項14】
非鉄合金、とりわけアルミニウム合金の熱間押出工具、及び固体形状又はパイプの押出ダイに適用されることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項15】
ビレットの鋳造並びに熱間成形及び冷間成形を含むプロセスのために製造されること、又は融解の総体的構成とともに使用されもすることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項16】
粉末冶金、粉体射出又は溶射による成形のプロセス等の液体金属の断片化を含むプロセスのために製造されることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項1】
質量パーセントで、0.40〜0.60のC、1.0未満のSi、0.030未満のP、2.5〜4.5のCr、0.5〜0.7のMo、0.10〜1.0のV、1.0未満のMn、最大1.0のAl、残部がFe及び不可避の有害物からから本質的になる合金組成を特徴とする押出工具用鋼。
【請求項2】
質量パーセントで、0.40〜0.60のC、0.50未満のSi、0.030未満のP、3.0〜4.2のCr、0.55〜0.65のMo、0.30〜0.8のV、0.8未満のMn、最大0.80のAl、残部がFe及び不可避の有害物から本質的になる合金組成を特徴とする押出工具用鋼。
【請求項3】
質量パーセントで、0.45〜0.55のC、0.5未満のSi、0.030未満のP、3.5〜4.2のCr、0.55〜0.65のMo、0.30〜0.50のV、0.50未満のMn、最大0.60のAl、残部がFe及び不可避の有害物から本質的になる合金組成を特徴とする押出工具用鋼。
【請求項4】
Al量が0.10質量パーセントに制限されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項5】
アルミニウム量が0.05質量パーセント以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項6】
コバルト量及びニッケル量が1.0質量パーセント未満であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項7】
リン量及び硫黄量が、0.030質量パーセント未満であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項8】
リン量が0.010質量パーセント未満であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項9】
Moが、1Mo=2Wの比でWと置換されていることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項10】
Vが、
1V=2Nb又は1Ti
の比でNb又はTiに置換されていることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項11】
30〜60HRCの硬さを得るために急冷及び焼戻しを行ない、その後窒化熱処理を施して0.50mmの最大厚さに対して800〜1500HVの表面硬さを得た後に使用するための鋼であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項12】
固体材料及び液体材料を室温又は最大1300℃の温度で成形するための鋳型、ダイ及び一般的な使用工具に適用されることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項13】
鉄合金又は非鉄合金の鍛造、押出又は鋳造の用途において金属を300〜1300℃の温度で成形するための工具に適用されることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項14】
非鉄合金、とりわけアルミニウム合金の熱間押出工具、及び固体形状又はパイプの押出ダイに適用されることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項15】
ビレットの鋳造並びに熱間成形及び冷間成形を含むプロセスのために製造されること、又は融解の総体的構成とともに使用されもすることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【請求項16】
粉末冶金、粉体射出又は溶射による成形のプロセス等の液体金属の断片化を含むプロセスのために製造されることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載された押出工具用鋼。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2013−521411(P2013−521411A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556347(P2012−556347)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/BR2011/000059
【国際公開番号】WO2011/109881
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(508317826)ビラレス メタルズ ソシエダッド アノニマ (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/BR2011/000059
【国際公開番号】WO2011/109881
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(508317826)ビラレス メタルズ ソシエダッド アノニマ (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]