説明

押圧スイッチ及び電子機器

【課題】使用者に適度なクリック感を付与することができる押圧スイッチを提供する。
【解決手段】押圧スイッチ1は機器本体3に設けられて押圧操作される押圧部材11と機器本体3内に設けられかつ押圧部材11の両端部が重なる位置に設けられた一対のスイッチ12と押圧部材11を変位自在に当該押圧部材11の中央を支持する支持部13とを備えている。支持部13は押圧部材11の中央から突出したガイド突起29と機器本体3に設けられかつガイド突起29が遊挿されるガイド孔30とを備えている。機器本体3に設けられかつ押圧部材11の両端部をスイッチ12との間に挟む一対の挟持部14を更に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、オーディオ装置などの電子機器に設けられて押圧操作される押圧スイッチ及び当該押圧スイッチを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、移動体としての自動車のインストルメントパネル(以下インパネと呼ぶ)には、例えば、Compact Disc(以下CDと呼ぶ)プレーヤ、MD(Mini disc)プレーヤやAM/FMチューナなどを備えたカーオーディオ装置が搭載される。この種のカーオーディオ装置は、扁平な箱状に形成されかつ前述したプレーヤやチューナを収容する機器本体と、この機器本体の前面に設けられた操作部とを備えている。
【0003】
操作部は、前述したプレーヤやチューナを動作させるためや動作状況を変更するために用いられる。操作部は、押圧スイッチを複数備えている。押圧スイッチは、機器本体の前面に設けられて押圧操作される押圧部材と、前記押圧部材の長手方向の中央を中心として当該押圧部材を回転自在に支持する支持部と、前記押圧部材の長手方向の両端部が重ねられるとともに印刷配線板に実装されたスイッチと、を備えている。
【0004】
スイッチは、印刷配線板上に形成された一対の接点と、前記接点と相対する導電部と、ゴムなどの弾性体で構成されかつ前記導電部が取り付けられているとともに前記導電部を前記一対の接点から間隔をあけた状態に保つゴム部材と、を備えている。ゴム部材は、円筒状に形成され印刷配線板から立設した筒部と、前記筒部の先端に取り付けられて前記導電部が設けられた円板状の板部とを一体に備えている。
【0005】
前記スイッチは、ゴム部材の弾性復元力に抗して、円板状の板部が前記一対の接点に向かって押圧されて、導電部が一対の接点の双方に重なって、当該一対の接点同士を電気的に接続する。そして、スイッチは、円板状の板部が押圧されなくなると、前記筒部の弾性復元力により、導電部が一対の接点から離れてこれら一対の接点を互いに電気的に絶縁する。こうして、スイッチは、オンオフされる。
【0006】
前述した押圧スイッチは、押圧部材の長手方向のいずれかの端部が押圧されると、支持部により押圧部材がその中央を中心として回転して、押圧された端部がスイッチの円板状の板部を押圧して、当該スイッチをオンする。また、押圧スイッチは、押圧部材の長手方向のいずれもの端部も押圧されないと、ゴム部材の弾性復元力により、いずれのスイッチの導電部も一対の接点から離れて、一対のスイッチの双方をオフにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来の押圧スイッチでは、押圧部材が、その中央を中心として回転して、その端部がスイッチの押圧することで、当該スイッチをオンオフする。スイッチは、前述した円筒状の筒部を有したゴム部材を備えているため、円筒状の筒部の中心軸方向に沿って当該筒部の全周がつぶれるように弾性変形するときには適度なクリック感を奏する。
【0008】
しかしながら、押圧部材が前述したように回転してスイッチを端部で押圧するために、当該端部が押圧部材の長手方向の中央に向かって(斜め方向に)スイッチの円筒状の板部を押圧することとなる。このため、筒部の全周が均一につぶれることなく偏った弾性変形をした状態で、導電部が一対の接点に重なってスイッチをオンにしてしまう。このように、従来の押圧スイッチでは、スイッチの筒部が偏った弾性変形してオンされてしまうために、適度なクリック感を使用者に付与することがなく、操作上望ましくない。即ち、使用者が、スイッチをオンしたことを認識しにくい状態のまま、当該スイッチがオンされてしまう。
【0009】
上記した問題点を鑑みてなされた本発明の目的の一例は、使用者に適度なクリック感を付与することができる押圧スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の押圧スイッチは、機器本体に設けられて押圧操作される押圧部材と、前記機器本体内に設けられかつ前記押圧部材の両端部が重なる位置に設けられた一対のスイッチと、前記押圧部材を変位自在に当該押圧部材の中央を支持する支持部と、を備えて、前記押圧部材のいずれかの端部が押圧されると前記一対のスイッチのいずれかの接点が閉じる押圧スイッチにおいて、前記支持部は、前記押圧部材の中央と前記機器本体のうちのいずれか一方から突出したガイド突起と、前記押圧部材の中央と前記機器本体のうちのいずれか他方に設けられかつ前記ガイド突起が遊挿されるガイド凹部と、を備え、そして、前記機器本体に設けられかつ前記押圧部材の両端部を前記スイッチとの間に挟む一対の挟持部を更に備えたことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の押圧スイッチは、押圧部材の中央を支持する支持部が、押圧部材と機器本体のうちいずれか一方に設けられたガイド突起と、押圧部材と機器本体のうちいずれか他方に設けられてガイド突起を遊挿するガイド凹部とを備え、更に、機器本体にスイッチとの間に押圧部材の端部を挟む挟持部を設けている。こうすることで、押圧部材のいずれかの端部を押圧すると、中央ではなく押圧されていない端部を中心として、押圧部材が回転する。このため、スイッチを押圧する際の押圧部材の回転半径が当該押圧部材の全長と略等しくなるまでに大きくすることができ、押圧部材の端部がスイッチを当該押圧部材の中央に向かって(斜め方向に)押圧することを抑制できる。したがって、スイッチがオンされる際に、当該スイッチが偏った弾性変形することを抑制して、スイッチをオンする際に適度なクリック感を付与することができる。
【0012】
また、この発明の押圧スイッチは、押圧部材の端部と挟持部とのうちの少なくとも一方に、他方に向かって凸で断面円弧状の支点凸部を設けても良い。この場合、支点凸部によりスムーズに端部を中心として押圧部材を回転することができる。
【0013】
さらに、この発明の押圧スイッチは、ガイド凹部とガイド突起との幅が、機器本体に対して押圧部材が両端部同士を結ぶ方向に沿って移動することを規制する幅としても良い。この場合、押圧部材の端部を押圧する際に、押圧部材の端部がスイッチを当該押圧部材の中央に向かって押圧することを確実に抑制できる。また、ガイド凹部とガイド突起との幅が、端部を中心として押圧部材を回転できる幅であるので、端部を中心として押圧部材を確実に回転させることができる。
【0014】
また、この発明の押圧スイッチは、ガイド凹部とガイド突起との長さが、押圧部材の両端部の双方を押圧しても、一対のスイッチの双方をオンすることができない長さに形成されていても良い。この場合、一対のスイッチのうちいずれかのみを確実に操作することができる。
【0015】
前述した押圧スイッチを備えた電子機器としても良い。この場合、スイッチをオンする際に適度なクリック感を付与することができる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の一実施例にかかる押圧スイッチを、図1ないし図8を参照して説明する。押圧スイッチ1は、例えば、図1及び図2に示す電子機器としてのカーオーディオ2に用いられる。カーオーディオ2は、例えば、移動体としての自動車のインストルメントパネル(以下インパネと呼ぶ)に装着される。なお、以下、後述する前面5aに対して直交する方向を奥行き方向Yといい、前面5aと後述する機器本体3に出し入れされるMDの表面との双方と平行な方向を幅方向Xといい、これら奥行き方向Yと幅方向Xとの双方と直交する方向を厚み方向Zという。
【0017】
カーオーディオ2は、記録媒体としてのMD(Mini disc)を収容して、該MDに記憶された情報を再生して音声として出力するMDプレーヤや、AM/FM放送電波を受信して、その受信した情報を音声として出力するAM/FMチューナなどを備えている。
【0018】
カーオーディオ2は、図1に示すように、機器本体3と、この機器本体内に収容されたMDプレーヤやAM/FMチューナなどを備えている。機器本体3は、扁平な箱状に形成されたケース部4と、ケース部4の図1中手前側に取り付けられる前面パネル5とを備えている。
【0019】
前面パネル5の表面(以下、前面5aと記す)には、図1に示すように、前記ケース部4即ち機器本体3の内側にMDを挿入したり、機器本体3内に収容されたMDを排出するための挿入口6が開口している。挿入口6の平面形状は、矩形状に形成されている。挿入口6の長手方向は、カーオーディオ2の幅方向Xに沿っている。挿入口6は、カーオーディオ2の厚み方向Zに沿った幅がMDの厚みより大きくかつカーオーディオ2の幅方向Xに沿った幅がMDの幅より大きく形成されている。なお、前面パネル5の前面5aは、機器本体3の表面をなしている。
【0020】
前面パネル5の前面5aには、前述した押圧スイッチ1と、ダイヤルスイッチ8とが複数取り付けられている。これらのスイッチ1,8は、MDプレーヤやAM/FMチューナなどを操作するために用いられる。
【0021】
押圧スイッチ1は、図2及び図3に示すように、カーオーディオ2の機器本体3の前面パネル5を貫通した平面形が矩形状の貫通孔10内に収容されて設けられるとともに使用者などに押圧操作される押圧部材11と、一対のスイッチ12と、押圧部材11を前面パネル5に対して変位自在に当該押圧部材11の長手方向の中央を支持する支持部13と、一対の挟持部14とを備えている。
【0022】
前記貫通孔10は、その長手方向が機器本体3即ちカーオーディオ2の幅方向Xと平行に配置されている。また、貫通孔10の内縁のうちの機器本体3の厚み方向Zに沿って互いに離間する内縁の機器本体3の幅方向Xの中央には、図2に示すように、支持片15が立設している。即ち、貫通孔10一つあたり、支持片15は、一対設けられている。支持片15は、平板状に形成され、かつ貫通孔10の内縁の前述した中央から機器本体3の内側に向かって立設している。
【0023】
押圧部材11は、表面16aが前面パネル5の前面5a即ち機器本体3の表面と平行な平行壁16と、この平行壁16の外縁から立設した複数の周壁17とを備えている。平行壁16は、平面形状が貫通孔10の平面形状と略等しい矩形状に形成されている。平行壁16の長手方向は、機器本体3の幅方向Xに沿っている。平行壁16の表面16aには、押圧スイッチ1の機能などを示す印が形成されている。周壁17は、平行壁16の外縁から機器本体3の内側に向かって立設している。
【0024】
また、押圧部材11の長手方向の両端部には、それぞれ、突出片18と、支点凸部19とが設けられている。なお、この押圧部材11の長手方向は、特許請求の範囲に記載された当該押圧部材11の両端部同士を結ぶ方向をなしている。突出片18は、周壁17のうち押圧部材11の長手方向即ち機器本体3の幅方向Xに沿って互いに相対する周壁17の平行壁16から離れた側の縁から当該押圧部材11の長手方向即ち機器本体3の幅方向Xに沿って、押圧部材11の外側に突出している。突出片18は、勿論、平板状に形成されている。
【0025】
支点凸部19は、突出片18の前面5a寄りの表面から凸に形成されている。即ち支点凸部19は、突出片18から挟持部14に向かって凸に形成されている。また、支点凸部19は、押圧部材11の幅方向即ち機器本体3の厚み方向Zに沿って直線状に延在している。支点凸部19は、その断面形状が押圧部材11の幅方向の全長に亘って同形状の円弧状に形成されている。
【0026】
一対のスイッチ12は、貫通孔10内に収容された押圧部材11の突出片18即ち当該押圧部材11の両端部が重ねられている。即ち、一対のスイッチ12は、押圧部材11の突出片18即ち当該押圧部材11の両端部が重なる位置に設けられている。一対のスイッチ12は、それぞれ、機器本体3内に収容された印刷配線板20の一対の接点21a,21bと、当該印刷配線板20上に重ねられたゴム板22の接点部23とを備えている。
【0027】
印刷配線板20は、前面パネル5の前面5aと間隔をあけて平行となる位置に設けられている。印刷配線板20は、図3に示すように、絶縁性の基板24と、この基板24の表面に形成された導電性の導体パターン21とを備えている。前述した接点21a,21bは、導体パターン21の一部である。これら一対の接点21a,21bは、互いに間隔をあけて即ち互いに電気的に絶縁されて基板24上に設けられている。
【0028】
ゴム板22は、絶縁性と弾性との双方を有する合成樹脂で構成されている。ゴム板22は、図3に示すように、印刷配線板20の基板24の導体パターン21が設けられた側の表面に重ねられている。ゴム板22は、平板部25と、前述した接点部23とを一体に備えている。平板部25は、平板状に形成され、印刷配線板20の基板24の表面に重ねられて、該印刷配線板20と密に接触する。
【0029】
接点部23は、平板部25が印刷配線板20に重ねられた際に、接点21a,21bと重なる位置に配置されている。接点部23は、図3に示すように、平板部25に設けられて接点21a,21bを露出させる穴26と、穴26の周りから立設しかつ平板部25から離れるのにしたがって徐々に小径に形成された筒部27と、前記筒部27の平板部25から離れた側の縁を塞いで平板部25と平行に設けられた導電部28とを備えている。
【0030】
即ち、接点部23は、平板部25よりも押圧部材11即ち前面5aに向かって突出しているとともに、接点21a,21bとの間に空間を設けている。導電部28は、主に筒部27が弾性変形していない中立状態において、一対の接点21a,21bと間隔をあけている。また、導電部28は、一対の接点21a,21bに相対する表面に導電性の導体膜28aが設けられている。
【0031】
接点部23即ちスイッチ12は、押圧部材11の突出片18即ち端部によって押圧されたことで、導電部28に設けられた導体膜28aが接点21a,21bの双方に密に重なって、これらの接点21a,21b同士を導通させる。この接点21a,21b同士が導通することを、本発明では、接点21a,21bが閉じるという。
【0032】
支持部13は、一対のガイド突起29と、一対のガイド凹部としてのガイド孔30とを備えている。ガイド突起29は、それぞれ、押圧部材11の幅方向に沿って互いに間隔をあけて相対する周壁17の当該押圧部材11の長手方向の中央からこの押圧部材11の外側に突出している。ガイド突起29は、円柱状に形成されている。
【0033】
ガイド孔30は、それぞれ、支持片15即ち機器本体3に設けられている。ガイド孔30は、勿論、支持片15を貫通している。ガイド孔30内には、ガイド突起29が侵入する。ガイド孔30は、その長手方向が奥行き方向Y即ち前面5aに対して直交する方向と平行な小判状(長孔形状)に形成されている。図6に示すように、ガイド孔30の押圧部材11の長手方向の幅H1が、ガイド突起29の押圧部材11の長手方向の幅H2よりも若干大きく形成されている。本実施例では、ガイド孔30の幅H1が3.1mmであり、ガイド突起29の幅H2が3.0mmに形成されている。
【0034】
また、図6に示すように、ガイド孔30の押圧部材11の長手方向に対して直交する奥行き方向Yと平行な方向の長さL1は、ガイド突起29の押圧部材11の長手方向に対して直交する奥行き方向Yと平行な方向の長さL2よりも長く形成されている。
【0035】
前述したように、ガイド孔30の幅H1及び長さL1が、それぞれ、ガイド突起29の幅H2及び長さL2よりも大きく(又は長く)形成されているので、ガイド孔30の内周面とガイド突起29の外周面とが間隔をあけた状態で、ガイド孔30内にガイド突起29が挿入される。即ち、ガイド突起29は、ガイド孔30内に遊挿される。ガイド孔30内にガイド突起29が遊挿されるので、支持片15即ち機器本体3に対して押圧部材11が変位自在となる。
【0036】
前述した構成の支持部13は、ガイド孔30内にガイド突起29が遊挿されることで、押圧部材11を機器本体3に変位自在に支持することとなる。
【0037】
また、前述したガイド孔30及びガイド突起29の幅H1,H2及び長さL1,L2は、押圧部材11のいずれかの突出片18即ちいずれかの端部を中心として当該押圧部材11が回転することを許容する幅及び長さに形成されている。さらに、前述したガイド孔30及びガイド突起29の幅H1,H2は、前述した押圧部材11の突出片18即ち端部を中心とした回転を許容しながらも、押圧部材11が機器本体3に対して前述した幅方向X即ち押圧部材11の長手方向に沿って実質的に変位することを規制する幅に形成されている(殆ど、幅方向Xに押圧部材11が変位できない幅又は押圧部材11の幅方向Xの変位が非常に小さい幅)とされている。
【0038】
さらに、前述したガイド孔30及びガイド突起29の長さL1,L2は、押圧部材11の双方の突出片18即ち両端部を同時に押圧しても、当該両端部が一対のスイッチ12の双方の接点21a,21bを閉じることを規制する長さに形成されている。即ち、前述した長さL1,L2は、一対のスイッチ12の接点21a,21bが同時に閉じることがない長さとされている。
【0039】
挟持部14は、それぞれ、図2に示すように、貫通孔10の内縁のうちの機器本体3の幅方向Xに沿って互いに離間する内縁から立設している。即ち、貫通孔10一つあたり、挟持部14は、一対設けられている。挟持部14は、平板状に形成され、かつ貫通孔10の内縁の前述した位置から機器本体3の内側に向かって立設している。挟持部14は、スイッチ12との間に突出片18に設けられた支点凸部19即ち押圧部材11の両端部を挟む。
【0040】
前述した構成の押圧スイッチ1は、ガイド孔30内にガイド突起29が遊挿されて、平行壁16が前面5aと平行に貫通孔10外から露出した状態で、押圧部材11が機器本体3の前面パネル5に取り付けられる。このとき、突出片18即ち押圧部材11の両端部がスイッチ12に重ねられている。スイッチ12の接点部23の主に筒部27が弾性変形していない中立状態に位置付けられているので、図3に示すように、一対のスイッチ12双方の導電部28が接点21a,21bから間隔をあけ、図6に示すように、ガイド孔30の前面5a寄りにガイド突起29が位置付けられている。
【0041】
そして、押圧スイッチ1は、押圧部材11の長手方向の一方の端部が押圧されると、ガイド孔30内にガイド突起29が遊挿されているので、押圧部材11の他方の端部が重ねられたスイッチ12の筒部27の弾性復元力によって、他方の端部の支点凸部19を中心として、一方の端部が機器本体3の奥に向かうように、当該押圧部材11が回転する。そして、図4に示すように、押圧部材11の一方の端部に設けられた突出片18がスイッチ12の導電部28を押圧して、当該スイッチ12の接点21a,21bが閉じる。このとき、図8に示すように、ガイド孔30の前面5aから離れた側でかつ一方の端部寄りにガイド突起29が位置付けられている。
【0042】
また、前述した構成の押圧スイッチ1は、押圧部材11の長手方向の両端部が同時に押圧されると、当該両端部が一対のスイッチ12の筒部27を印刷配線板20に向かって押圧する。すると、勿論、押圧部材11の両端部に設けられた突出片18がスイッチ12の導電部28を押圧して、当該導電部28が接点21a,21bに近づく。このとき、前述した長さL1,L2が前述した寸法に形成されているので、図5に示すように、押圧部材11の両端部に設けられた突出片18がスイッチ12の導電部28を押圧しても、これら一対のスイッチ12の双方の接点21a,21bは同時に閉じない。このとき、勿論、図7に示すように、ガイド孔30の前面5aから離れた側にガイド突起29が位置付けられている。
【0043】
こうして、前述した構成の押圧スイッチ1は、一対のスイッチ12のうちのいずれか一方の接点21a,21bを閉じることで、前述したMDプレーヤやAM/FMチューナなどを操作するための各種の信号を接点から出力する。
【0044】
本実施例によれば、押圧部材11の中央を支持する支持部13が、押圧部材11の中央に設けられたガイド突起29と、当該ガイド突起29を遊挿するガイド凹部としてのガイド孔30を備え、更に、機器本体3にスイッチ12との間に押圧部材11の端部を挟む挟持部14を設けている。このため、押圧部材11のいずれかの端部を押圧すると、中央ではなく押圧されていない端部を中心として、押圧部材11が回転する。
【0045】
そのために、スイッチ12を押圧する際の押圧部材11の回転半径が当該押圧部材11の全長と略等しくなるまでに大きくすることができ、押圧部材11の端部がスイッチ12を当該押圧部材11の中央に向かって(斜め方向に)押圧することを抑制できる。したがって、スイッチ12がオンされる際に、当該スイッチ12の筒部27が偏った弾性変形することを抑制して、スイッチ12をオンする際に適度なクリック感を付与することができる。即ち、スイッチ12をオンする際に、使用者がオンしたことを認識できる程度の適度な弾性復元力を生じて、使用者がスイッチ12をオンしたことを確実に認識することができる。
【0046】
また、押圧スイッチ1は、押圧部材11の端部から挟持部14に向かって凸で断面円弧状の支点凸部19を設けている。このため、支点凸部19によりスムーズに端部を中心として押圧部材11を回転することができる。
【0047】
さらに、押圧スイッチ1は、ガイド孔30とガイド突起29との幅H1,H2が、機器本体3に対して押圧部材11が両端部同士を結ぶ方向に沿って移動することを規制する幅としている。このため、押圧部材11の端部を押圧する際に、押圧部材11の端部がスイッチ12を当該押圧部材11の中央に向かって押圧することを確実に抑制できる。
【0048】
また、ガイド孔30とガイド突起29との幅H1,H2が、端部を中心として押圧部材11が回転できる幅であるので、端部を中心として押圧部材11を確実に回転させることができる。
【0049】
また、押圧スイッチ1は、ガイド孔30とガイド突起29との長さL1,L2が、押圧部材11の両端部の双方を押圧しても、一対のスイッチ12の双方をオンすることができない長さに形成されている。このため、一対のスイッチ12のうちいずれかのみを確実に操作することができる。
【0050】
カーオーディオ2は、前述した押圧スイッチ1を備えている。このため、スイッチ12をオンする際に適度なクリック感を付与することができる。
【0051】
なお、前述した実施例では、ガイド突起29を押圧部材11の中央に設け、ガイド凹部としてのガイド孔30を機器本体3の支持片15に設けているが、本発明では、ガイド凹部としてのガイド孔30を押圧部材11の中央に設け、ガイド突起29を機器本体3の支持片15に設けても良い。さらに、本発明では、ガイド凹部を孔に形成せずに凹みに形成しても良い。
【0052】
さらに、前述した実施例では、支点凸部19を突出片18に設けたが、本発明では、挟持部14の端面に設けても良い。また、支点凸部19を突出片18と挟持部14との双方に設けても良い。
【0053】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0054】
前述した実施例によれば、以下の押圧スイッチ1が得られる。
【0055】
(付記) 機器本体3に設けられて押圧操作される押圧部材11と、
前記機器本体3内に設けられかつ前記押圧部材11の両端部が重なる位置に設けられた一対のスイッチ12と、
前記押圧部材11を変位自在に当該押圧部材11の中央を支持する支持部13と、を備えて、前記押圧部材11のいずれかの端部が押圧されると前記一対のスイッチ12のいずれかの接点が閉じる押圧スイッチ1において、
前記支持部13は、前記押圧部材11の中央と前記機器本体3のうちのいずれか一方から突出したガイド突起29と、前記押圧部材11の中央と前記機器本体3のうちのいずれか他方に設けられかつ前記ガイド突起29が遊挿されるガイド孔30と、を備え、そして、
前記機器本体3に設けられかつ前記押圧部材11の両端部を前記スイッチ12との間に挟む一対の挟持部14を更に備えたことを特徴とする押圧スイッチ1。
【0056】
付記に記載の押圧スイッチ1によれば、押圧部材11の中央を支持する支持部13が、押圧部材11の中央に設けられたガイド突起29と、当該ガイド突起29を遊挿するガイド凹部としてのガイド孔30を備え、更に、機器本体3にスイッチ12との間に押圧部材11の端部を挟む挟持部14を設けている。このため、押圧部材11のいずれかの端部を押圧すると、中央ではなく押圧されていない端部を中心として、押圧部材11が回転する。
【0057】
そのために、スイッチ12を押圧する際の押圧部材11の回転半径が当該押圧部材11の全長と略等しくなるまでに大きくすることができ、押圧部材11の端部がスイッチ12を当該押圧部材11の中央に向かって(斜め方向に)押圧することを抑制できる。したがって、スイッチ12がオンされる際に、当該スイッチ12が偏った弾性変形することを抑制して、スイッチ12をオンする際に適度なクリック感を付与することができる。即ち、スイッチ12をオンする際に、使用者がオンしたことを認識できる程度の適度な弾性復元力を生じて、使用者がスイッチ12をオンしたことを確実に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施例にかかる押圧スイッチを備えたカーオーディオの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示された押圧スイッチの斜視図である。
【図3】図1に示された押圧スイッチの断面図である。
【図4】図3に示された押圧スイッチの押圧部材の一方の端部が押圧された状態を示す断面図である。
【図5】図3に示された押圧スイッチの押圧部材の両端部が押圧された状態を示す断面図である。
【図6】図3に示された押圧スイッチの支持部を示す説明図である。
【図7】図5に示された押圧スイッチの支持部を示す説明図である。
【図8】図4に示された押圧スイッチの支持部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 押圧スイッチ
2 カーオーディオ(電子機器)
3 機器本体
11 押圧部材
12 スイッチ
13 支持部
14 挟持部
18 突出片
19 支点凸部
29 ガイド突起
30 ガイド孔(ガイド凹部)
H1 ガイド孔の幅
H2 ガイド突起の幅
L1 ガイド孔の長さ
L2 ガイド突起の長さ
Y 幅方向(押圧部材の両端部同士を結ぶ方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体に設けられて押圧操作される押圧部材と、
前記機器本体内に設けられかつ前記押圧部材の両端部が重なる位置に設けられた一対のスイッチと、
前記押圧部材を変位自在に当該押圧部材の中央を支持する支持部と、を備えて、前記押圧部材のいずれかの端部が押圧されると前記一対のスイッチのいずれかの接点が閉じる押圧スイッチにおいて、
前記支持部は、前記押圧部材の中央と前記機器本体のうちのいずれか一方から突出したガイド突起と、前記押圧部材の中央と前記機器本体のうちのいずれか他方に設けられかつ前記ガイド突起が遊挿されるガイド凹部と、を備え、そして、
前記機器本体に設けられかつ前記押圧部材の両端部を前記スイッチとの間に挟む一対の挟持部を更に備えたことを特徴とする押圧スイッチ。
【請求項2】
前記押圧部材の両端部には、それぞれ、平板状の突出片が設けられ、
前記突出片と前記挟持部とのうち少なくともいずれか一方から他方に向かって凸でかつ断面円弧状の支点凸部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の押圧スイッチ。
【請求項3】
前記押圧部材の両端部同士を結ぶ方向の前記ガイド凹部及び前記ガイド突起の幅は、それぞれ、前記押圧部材の両端部同士を結ぶ方向に沿って、前記押圧部材が前記機器本体に対して移動することを規制しかつ前記押圧部材の両端部それぞれを中心として当該押圧部材が回転することを許容する幅に形成されていることを特徴とする請求項2記載の押圧スイッチ。
【請求項4】
前記結ぶ方向に対して直交する方向の前記ガイド凹部及び前記ガイド突起の長さは、前記押圧部材の両端部の双方が押圧された際に、前記一対のスイッチの双方の接点が閉じることを規制する長さに形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の押圧スイッチ。
【請求項5】
機器本体と、
前記機器本体に設けられて押圧操作される押圧部材を有した押圧スイッチと、を備えた電子機器において、
前記押圧スイッチとして、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の押圧スイッチを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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