説明

抽出用容器

【課題】検体採取棒によって採取された検体を確実に検体抽出液に抽出すること。
【解決手段】検体を採取した検体採取棒4を挿抜するための開口端部20と、開口端部20から導入された検体採取棒4から検体を抽出する検体抽出液を収容する底部22とを一体に有する筒状の容器本体2を備えた抽出用容器において、容器本体2は、開口端部20と底部22との間に延設され、互いに平行に窪んだ一対の平板状部分23aを有する扁平部23と、扁平部23の各平板状部分23aの両側を開放した状態で容器本体2の内部に挿入された検体採取棒と摺接可能に各平板状部分23aの内面に突設された突状部28とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抽出用容器に関し、特に、鼻腔内等から検体採取棒で採取された検体を前処理するための抽出用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
抗原抗体反応を用いる免疫学的な検査方法は、各種の臨床検査に広く応用されている。その一般的な方法は、血液、尿、痰、唾液、鼻汁等の検体を綿棒等の検体採取棒で採取し、採取された検体を容器に収容された検体抽出液に抽出して希釈し、検体が希釈された検体液を、酵素、貴金属コロイド、着色ラテックス、色素等の呈色識別物質で抗体を標識した標識抗体液と接触させ、検体中の抗原と標識抗体とを特異的に反応させて抗原抗体の免疫複合体を形成させ、免疫複合体の量を目視により又は光学的な変化として測定し、検体中の抗原の定性測定又は定量測定を行う手順を含んでいる。
【0003】
上述のような免疫学的検査方法において、検体液を得るための容器は、例えば、特許文献1、2に開示されているように、検体抽出液を収容する有底の容器本体を含んでいる。
【特許文献1】特開2007−46959号公報
【特許文献2】WO2004/081568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、検体採取棒で検体を採取する場合、採取された検体を確実に検体採取棒から検体抽出液に抽出する必要がある。
【0005】
しかしながら、従来の容器に採用されている本体では、検体抽出液に検体採取棒を浸漬し、検体採取棒を検体抽出液中で攪拌するときの力で検体を抽出させているに過ぎなかった。そのため、短時間で検体が充分に検体抽出液の中に抽出しない、或いは検体採取棒が検体抽出液に充分浸漬しないといった場合があり、検査の正確性を期する点で充分とはいえなかった。また、一方で、抽出用容器の形状によっては、操作性が劣るものもあった。
【0006】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、検体採取棒によって採取された検体を確実に優れた操作性で検体抽出液に抽出することのできる抽出用容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、検体を採取した検体採取棒を挿抜するための開口端部と、前記開口端部から導入された検体採取棒から前記検体を抽出する検体抽出液を収容する底部とを一体に有する筒状の容器本体を備えた抽出用容器において、前記容器本体は、前記開口端部と前記底部との間に延設され、互いに平行に窪んだ一対の平板状部分を有する扁平部と、前記扁平部の各平板状部分の両側を開放した状態で前記容器本体の内部に挿入された検体採取棒と摺接可能に各平板状部分の内面に突設された突状部とを含んでいることを特徴とする抽出用容器である。この態様では、検体を採取した検体採取棒を開口端部から容器本体に導入し、容器本体に予め収容された検体抽出液に検体採取棒を浸漬して、検体を検体抽出液に抽出することができる。この際、容器本体の内面では、検体採取棒に対して突状部が摺接することにより、検体は、突状部によって、いわばしごき落されることになり、検体の検体抽出液への抽出が促進される。また、平板状部分が設けられている分だけ、扁平部の内部における対向間隔が狭くなっているとともに、この狭くなった内壁部分に突状部が設けられることになるので、より容器本体内に導入された検体採取棒の採取部と突状部との摺接を確実なものにすることができる。さらに、突状部は、扁平部の各平板状部分の両側を開放しているので、扁平部の各平板状部分の両側における可撓性を確保することができる。従って、例えば、容器本体を把持した際、そのときの指圧で両平板状部分を近接させ、優れた操作性で検体採取棒の採取部と突状部との摺接を一層確実なものとすることができる。突状部の態様としては、粒状に突出する多数の起伏を形成してもよい。
【0008】
好ましい態様において、前記突状部は、開口端部の径方向に平行に延び、頂部に前記平板状部分の横断方向に沿う直線状のエッジを有する複数の突起である。この態様では、突状部のエッジによって検体採取棒に採取された検体をより効率よく採取部からリリースさせることができる。このように抽出効率が向上することで、例えば各種ウィルスの感染初期等において、採取された検体中のウィルスの量が少ない場合においても、精度良く検査することが可能となる。
【0009】
好ましい態様において、前記容器本体は、各平板状部分の当該突状部よりも僅かに開口端部側にずれた位置に形成されて当該容器本体の径方向に窪んで対をなす一対の窪み部を有するとともに、前記窪み部を把持したときの指圧で前記容器本体内に導入された検体採取棒の採取部を前記突状部で囲繞するように撓む弾性変形可能な素材で形成されている。この態様では、容器本体の窪み部を指で摘んで撓ませることにより、容器本体内に導入された検体採取棒の採取部を突状部で囲繞することができる。そのため、検体採取棒に採取された検体を容器本体内の検体抽出液に抽出する際に、検体採取棒自身が変位しやすい空間を確保しつつ、採取部に突状部を近接させて摺接させることが可能になり、より確実に採取部から検体を抽出することができる。また、一対の窪み部を設けることにより、この窪み部を容器本体の把持部として使用し、滑り止め効果を持たせることができるので、操作性も一層向上する。
【0010】
なお、容器本体に窪み部を設けることにより、この容器本体にノズル付蓋を設け、ノズル付蓋から検体液を滴下する際も、窪み部を繰り返しつまむスクイズ動作で検体液の搾り出し動作が容易になるという利点もある。特に、医療現場等で多数の検体を処理する際に有用である。
【0011】
好ましい態様において、前記容器本体は、当該窪み部に対応して内周側に突出する突出部を有している。この態様では、突出部によって、検体採取棒の可動範囲を調整することができ、一層、検体採取棒から採取された検体を抽出する際の操作性を向上することができる。
【0012】
好ましい態様において、前記容器本体の開口端部に着脱自在に嵌合する蓋を設け、前記容器本体の開口端部は、前記扁平部に比べて高い剛性になっているとともに、前記蓋には、前記開口端部の内周面に圧入されるスリーブが一体形成されている。この態様では、剛性の高い開口端部にスリーブが圧入されることによって、容器本体と蓋との液密性を長期間にわたって維持することができる。蓋の態様としては、容器本体に検体抽出液を封止するための蓋である他、検体が抽出された後の検体液を容器本体から滴下させるノズル付蓋であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明は、検体採取棒から検体を容器本体内の検体抽出液に抽出するに際し、検体採取棒を突状部に摺接することにより、検体を検体抽出液内にそぎ落すことができ、検体の検体抽出液への抽出が促進されるので、検体採取棒によって採取された検体を確実に検体抽出液に抽出することができるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の一形態に係る抽出用容器の概略図であり、図2は、図1の抽出用容器の分解斜視図、図3は図1の抽出用容器のA−A矢視縦断面図である。
【0016】
各図を参照して、図示の抽出用容器1は、筒状の容器本体2と、この容器本体2の開口端部20に着脱自在に嵌合する蓋3とを備えている。
【0017】
容器本体2は、樹脂成型品であり、上記開口端部20と、この開口端部20に連続し、検体を抽出する検体抽出液を収容する底部22と、開口端部20および底部22との間に連続する扁平部23とを一体に有する筒状に形成されている。容器本体2の全長は、例えば40mm〜45mm程度、開口端部20の内径は、例えば12mm程度のものである。
【0018】
開口端部20は、断面が略真円形に形成された円筒形状を呈している。開口端部20の外周部には、フランジ24が一体に形成されている。開口端部20は、フランジ24を境に底部22側よりも僅かに小径に設定されたスリーブ25を構成しており、このスリーブ25が蓋3の嵌合代を規定する当接部材として機能するようになっている。
【0019】
扁平部23は、一対の平板状部分23aを有している。平板状部分23aは、容器本体2の表裏にて互いに平行に窪んでいる。これら平板状部分23aによって、扁平部23は、横断面が略長方形に絞り込まれた外径を呈している。各平板状部分23aの長辺部分略中央部には、窪み部27が形成されている。窪み部27は、容器本体2を人差し指と親指で把持するのに好適な諸元に設定されている。また、窪み部27を設けることにより、図3に示すように、扁平部23の内壁には、互いに容器本体2の径方向に対向して突出する突出部27aが形成されている。
【0020】
窪み部27と底部22の間の内側壁には、突状部28が形成されている。突状部28は、例えば、3段の階段状、或いは洗濯板状の起伏で構成されており、その頂部には、平板状部分23aの横断面に沿う直線状のエッジ28aが水平に延びている。
【0021】
容器本体2は、全体としては、樹脂製の一体成型品であるが、開口端部20と扁平部23とは、肉厚等を変更することにより、硬さが大きく異なっている。本実施形態では、開口端部20が比較的硬質に仕上げられているのに対し、扁平部23は、弾性変形可能な可撓性の高い材質に仕上げられている。
【0022】
弾性変形可能な素材としては、弾力性と可撓性とを有する素材であって、耐薬性、成形性を有するものであればよく、臭気を伴わないものがより好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂、シリコン樹脂、熱可塑性エラストマー等が例示される。これらの樹脂を組み合わせてもよい。
【0023】
熱可塑性樹脂の場合、例えば、オレフィン系樹脂の場合、熱可塑性樹脂エラストマー水素添加スチレン系熱可塑性樹脂エラストマーと組み合わせることで成形性が向上することが知られている。熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等のポリエチレンや、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、EVA等が挙げられる。これらは、2種類以上を組み合わせたポリマーブレンド、ポリマーアロイでもよい。
【0024】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、塩化ビニル系等の中から適宜成形性、耐薬品性、環境性、コスト等を考慮して選択されるが、中でもスチレン系、オレフィン系が好ましい。またこれらは、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて、例えば積層する等して用いてもよい。
【0025】
図2および図3を参照して、蓋3は、開口端部20の開口21に圧入されるスリーブ30と、このスリーブ30の圧入代を規定するフランジ部31とを同心且つ一体に有する樹脂成型品である。図3に示すように、容器本体2のスリーブ25の上端が蓋3のフランジ部31の下面に当接するまで、スリーブ30を開口端部20の開口21内に圧入することにより、検体が抽出した検体液を容器本体2内に封緘できるようになっている。
【0026】
次に、図4以下を参照しながら、本実施形態の使用例について説明する。
【0027】
図4は、検体を採取する例を示す説明図である。また、図5は、検体を採取した検体採取棒から検体を抽出する状態を示す説明図、図6は検体を採取した検体採取棒から検体を抽出する状態を説明するための要部を拡大して示す断面部分略図である。
【0028】
図4の例では、インフルエンザの検体を採取するために、検体採取棒4の先端に付けられた採取部4aを被験者の鼻腔から挿入し、鼻甲介を数回擦るようにして、粘膜表皮を採取する。
【0029】
次いで、図5に示すように、予め検体抽出液が容れてある容器本体2の蓋3を外し、検体を採取した検体採取棒4の先端を開口21から挿入する。このとき、容器本体2を把持している人差し指と親指とで容器本体2の窪み部27を挟み込むことで、図6に示すように容器本体2内に導入された検体採取棒4の採取部4aを突状部28で囲繞し、採取部4aを検体抽出液内でいわば揉みほぐすことにより、操作しやすい状態で検体採取棒4の採取部4aを充分に検体抽出液に浸漬し、検体をより効率よく検体抽出液に抽出することができる。しかも、検体採取棒4に採取された検体を容器本体2内の検体抽出液に抽出する際に、検体採取棒4自身が変位しやすい空間を確保しつつ、採取部4aに突状部28のエッジ28aを近接させて摺接させることが可能になり、より確実に優れた操作性で採取部4aから検体を抽出することができる。
【0030】
検体の抽出作業が終了すると、作業者は、検体液の入った容器本体2にノズル付蓋5を図7および図8のように圧入して検体液を封緘する。
【0031】
図7は、本実施形態に係る容器本体2にノズル付蓋5を装着した状態を示す斜視図であり、図8は同断面図である。
【0032】
図7および図8を参照して、ノズル付蓋5は、蓋3と同様な本体51に滴下用のノズル部52を有する部材である。ノズル付蓋5のノズル部52には、フィルタ53が圧入されており、蓋3と同様に容器本体2に装着されることにより、容器本体2内の検体液をフィルタ53で濾過した状態でノズル部52から外部に滴下し、検査に供することができるようになっている。
【0033】
検体液の入った容器本体2にノズル付蓋5を装着した後、作業者は、容器本体2の開口端部20にノズル付蓋のノズル部52を下向きに向けて、図略のテストプレートに滴下し、検体を検査する。この滴下作業に際しても、作業者は、人差し指と親指とで窪み部27を挟み込み、スクイズ動作を繰り返して検体液を滴下することができるので、滴下時の操作性が向上する。
【0034】
以上説明したように本実施形態では、検体を採取した検体採取棒4を開口端部20から容器本体2に導入し、容器本体2に予め収容された検体抽出液に検体採取棒4を浸漬して、検体を検体抽出液に抽出することができる。この際、容器本体2の内面では、検体採取棒4に対して突状部28が摺接することにより、検体は、突状部28によって、いわばしごき落されることになり、検体の検体抽出液への抽出が促進される。
【0035】
また、平板状部分23aが設けられている分だけ、扁平部23の内部における対向間隔が狭くなっているとともに、この狭くなった内壁部分に突状部28が設けられることになるので、より容器本体2内に導入された検体採取棒4の採取部4aと突状部28との摺接を確実なものにすることができる。さらに、突状部28は、扁平部23の各平板状部分23aの両側を開放している(換言すれば、平板状部分23aの両側には、突状部28が設けられていない)ので、扁平部23の各平板状部分23aの両側における可撓性を確保することができる。従って、例えば、容器本体2を把持した際、そのときの指圧で両平板状部分23aを近接させ、優れた操作性で検体採取棒4の採取部4aと突状部28との摺接を一層確実なものとすることができる。
【0036】
特に本実施形態では、突状部28が窪み部27よりも底部22側にずれて形成されているので、検体を検体採取棒4から抽出するために、検体採取棒4を容器本体2内で摺動させると、ちょうど、検体採取棒4の採取部4aが被験者の鼻甲介を擦った部位を突状部28に摺接させることができる結果、一層、検体の検体抽出液への抽出が促進される。
【0037】
また本実施形態では、突状部28は、開口端部20の径方向に平行に延び、頂部にエッジ28aを有する複数の突起である。このため本実施形態では、突状部28のエッジ28aによって検体採取棒4に採取された検体をより効率よく採取部4aからリリースさせることができる。
【0038】
また本実施形態では、容器本体2は、各平板状部分23aの当該突状部28よりも僅かに開口端部20側にずれた位置に形成されて当該容器本体2の径方向に窪んで対をなす一対の窪み部27を有するとともに、窪み部27を把持したときの指圧で容器本体2内に導入された検体採取棒4の採取部4aを突状部28で囲繞するように撓む弾性変形可能な素材で形成されている。このため本実施形態では、容器本体2の窪み部27を指で摘んで撓ませることにより、容器本体2内に導入された検体採取棒4の採取部4aを突状部28で囲繞することができる。そのため、検体採取棒4に採取された検体を容器本体2内の検体抽出液に抽出する際に、検体採取棒4自身が変位しやすい空間を確保しつつ、採取部4aに突状部28を近接させて摺接させることが可能になり、より確実に採取部4aから検体を抽出することができる。また、一対の窪み部27を設けることにより、この窪み部27を容器本体2の把持部として使用し、滑り止め効果を持たせることができるので、操作性も一層向上する。
【0039】
なお、容器本体2に窪み部27を設けることにより、蓋3から検体液を抽出する際も、窪み部27を繰り返しつまむスクイズ動作で検体液の搾り出し動作が容易になるという利点もある。
【0040】
また本実施形態では、容器本体2は、当該窪み部27に対応して内周側に突出する突出部27aを有している。このため本実施形態では、突出部27aによって、検体採取棒4の可動範囲を調整することができ、一層、検体採取棒4から採取された検体を抽出する際の操作性を向上することができる。
【0041】
また本実施形態では、容器本体2の開口端部20は、扁平部23に比べて高い剛性になっているとともに、蓋3には、開口端部20の内周面に圧入されるスリーブ30が一体形成されている。このため本実施形態では、剛性の高い開口端部20にスリーブ30が圧入されることによって、容器本体2と蓋3との液密性を長期間にわたって維持することができる。
【0042】
上述した実施形態は、本発明の好ましい具体例を示したものに過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【0043】
例えば、突状部28の態様としては、粒状に突出する多数の起伏を形成してもよい。
【0044】
また、突状部28の高さは、上述のようなスクイズ操作に支障がない範囲で高い方が好ましい。
【0045】
また、蓋の態様としては、図1〜図3に示したような容器本体2に検体抽出液を封止するための蓋3である他、図7、図8に示したように検体が抽出された後の検体液を容器本体2から滴下させるノズル付蓋5であってもよい。或いは、開口端部の外周にねじを螺設し、このねじに螺合する雌ねじを有する蓋を採用してもよい。
【0046】
さらに、検体抽出液を収容した容器本体2を封緘する手段としては、蓋に限らず、樹脂シール等を容器本体2の開口端面に剥離可能に貼着した構成を採用してもよい。
【0047】
また、上述した実施形態における検体採取棒4は、いわゆる綿体を採取部4aとして先端に有する綿棒であるが、これに限らず、例えば、繊維状の素材を採取部として先端に包着、巻着、植毛等した軸体を検体採取棒として採用してもよい。その場合、軸体部分は合成樹脂(ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂等)、綿等であり、採取部分は植物性繊維(綿等)、動物性繊維、合成高分子(レーヨン、ナイロン、アクリル、ポリエチレン等)などで形成したものを採用することができる。
【0048】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の一形態に係る抽出用容器の概略図である。
【図2】図1の抽出用容器の分解斜視図である。
【図3】図1の抽出用容器のA−A矢視縦断面図である。
【図4】検体を採取する例を示す説明図である。
【図5】検体を採取した検体採取棒から検体を抽出する状態を示す説明図である。
【図6】検体を採取した検体採取棒から検体を抽出する状態を説明するための要部を拡大して示す断面部分略図である。
【図7】本実施形態に係る容器本体にノズル付蓋を装着した状態を示す斜視図である。
【図8】同断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 抽出用容器
2 容器本体
3 蓋
4 検体採取棒
4a 採取部
5 ノズル付蓋(蓋の一例)
20 開口端部
21 開口
22 底部
23 扁平部
23a 平板状部分
24 フランジ
25 スリーブ
27 窪み部
27a 突出部
28 突状部
28a エッジ
30 スリーブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を採取した検体採取棒を挿抜するための開口端部と、前記開口端部から導入された検体採取棒から前記検体を抽出する検体抽出液を収容する底部とを一体に有する筒状の容器本体を備えた抽出用容器において、
前記容器本体は、前記開口端部と前記底部との間に延設され、互いに平行に窪んだ一対の平板状部分を有する扁平部と、前記扁平部の各平板状部分の両側を開放した状態で前記容器本体の内部に挿入された検体採取棒と摺接可能に各平板状部分の内面に突設された突状部とを含んでいる
ことを特徴とする抽出用容器。
【請求項2】
請求項1記載の抽出用容器において、
前記突状部は、開口端部の径方向に平行に延び、頂部に前記平板状部分の横断方向に沿う直線状のエッジを有する複数条の突起である
ことを特徴とする抽出用容器。
【請求項3】
請求項1または2記載の抽出用容器において、
前記容器本体は、各平板状部分の当該突状部よりも僅かに開口端部側にずれた位置に形成されて当該容器本体の径方向に窪んで対をなす一対の窪み部を有するとともに、前記窪み部を把持したときの指圧で前記容器本体内に導入された検体採取棒の採取部を前記突状部で囲繞するように撓む弾性変形可能な素材で形成されている
ことを特徴とする抽出用容器。
【請求項4】
請求項3記載の抽出用容器において、
前記容器本体は、当該窪み部に対応して内周側に突出する突出部を有している
ことを特徴とする抽出用容器。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の抽出用容器において、
前記容器本体の開口端部に着脱自在に嵌合する蓋を設け、
前記容器本体の開口端部は、前記扁平部に比べて高い剛性になっているとともに、前記蓋には、前記開口端部の内周面に圧入されるスリーブが一体形成されている
ことを特徴とする抽出用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−36732(P2009−36732A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203544(P2007−203544)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】