説明

拡大観察装置、画像ファイル生成装置、画像ファイル生成プログラム、3次元画像表示プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器

【課題】照明を付した3次元画像を容易に管理、扱うことのできる拡大観察装置等を提供する。
【解決手段】拡大観察装置は、観察対象を撮像して2次元観察画像を取得するための撮像部と、撮像部で取得した複数の2次元観察画像と、撮像時の高さ情報に基づいて、観察対象の3次元の観察画像を生成すると共に、3次元観察画像に対して仮想的に光源を配置し、光源から発する照明光を3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成可能な制御部と、光源によって得られる照明の効果を調整可能な照明設定部と、制御部で生成された3次元画像データ及び照明設定部で設定された照明条件データとを任意の2次元画像データに埋め込んで、一の画像データファイルとして生成可能なファイル生成部と、ファイル生成部で生成された画像データファイルを保存するための画像データ記憶部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大した画像を撮像して表示するマイクロスコープや顕微鏡のような拡大観察装置、画像ファイル生成装置、画像ファイル生成プログラム、3次元画像表示プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、微小物体等を拡大して表示する拡大観察装置として、光学レンズを使った光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープ等が利用されている。マイクロスコープは、光学系を介して入射する観察対象固定部に固定された観察対象からの反射光または透過光を、2次元状に配置された画素毎に電気的に読み取るCCD等の受光素子を備える。CCDを用いて電気的に読み取られた画像をディスプレイ等の表示部に表示する(例えば特許文献1)。
【0003】
拡大観察装置においては、一般に拡大倍率が高くなると焦点深度が浅くなり、ピントの合う領域が狭くなるため、観察対象の試料(ワーク)に凹凸や高低差があると全体を観察することが困難となる。このため、画像全体にピントの合った画像を深度合成によって作成する手法が利用されている。深度合成は、高さ方向にレンズまたは試料を移動させ、光軸方向における相対距離を変化させて複数の画像を撮影し、ピントの合った部分を抽出して合成することで、焦点深度の深い画像を撮像する。また、複数の画像を撮影する際に、レンズまたは観察対象の移動量を同時に記録しておけば、合成画像を作成する際に観察対象の高さ情報も得ることができるので、取得した画像を3次元データとして構築することも可能である。3次元データに基づいて3D画像を拡大観察装置の表示部に再現することで、様々な視点や角度から立体的に画像を観察、評価したり、高さ等表面形状の測定を行うことができる。
【0004】
一方で、拡大観察においては観察対象の試料に照明を行い、陰影の付き方によって表面の凹凸状態を確認することが行われている。このような照明観察においては、照明の位置や角度、光量等を変化させることにより生じる様々な陰影パターンを比較して、表面の凹凸状態をより視覚的に把握し易くできる。しかしながら、実際に照明の位置や角度、強度といった条件を変化させて複数の観察像を撮像することは、非常に手間も時間もかかり面倒である。そこで、得られた3次元画像データに対し、仮想的に照明光を照射して陰影パターンを表現する照明シミュレーションを行うことで、照明パラメータを変化させた反射付3次元観察画像を擬似的に表現することができる(例えば特許文献2)。これにより、実際に照明位置や強度等を変化させて撮像を行うことなく、演算によって照明条件を変化させた観察像を容易に取得することが可能となる。
【0005】
しかしながら、このような反射付3次元観察画像を再利用のために保存することは困難であった。従来、特定の照明条件で表示された反射付3次元観察画像を2次元画像として保存し、一方で3次元画像データを専用のフォーマットで個別に保存しており、照明条件を保存することはできなかった。このため、照明シミュレーションを再現するには、反射付3次元観察画像の2次元画像取得時に予めすべての照明条件をメモしておき、これと同じ条件を指定したり、あるいは反射付3次元観察画像を表示する2次元画像を参照しながら元の3次元画像に対して照明シミュレーションを実行し、2次元画像と同様の見え方となるように照明条件を調整していた。しかしながら前者の方法では照明シミュレーションを実行する毎にすべてのパラメータをメモし、かつ該当するデータとの関連付けを記録しておく必要があり、また照明シミュレーションを再現するにはメモを見ながらすべてのパラメータを同じ値に設定する必要があり、メモの管理も含めて煩雑であった。また後者の方法でも手間や時間がかかる上、完全な再現が困難であった。さらにいずれの方法でも、同じ観察対象に対して2次元と3次元という複数の画像データファイルを管理する必要が生じる。特に、3次元画像データファイルは通常2次元画像データファイルとの間で特別な関連付けがなされていないため、ユーザ側で同じファイル名を付ける、あるいはファイル同士の対応関係をメモしておく等の工夫が必要となり、管理が面倒となる。またファイル数が多くなるとファイルの対応関係の把握が複雑になり、必要なファイルが直ぐに探せ出せなかったり、ファイルが散逸するおそれもある。またファイルの保存、オープンも2次元画像データ、3次元画像データそれぞれで必要となり、操作が煩雑となる。
【0006】
また、2次元画像データのフォーマットは規格化された汎用的なデータ形式が普及しており、例えばjpegやtiffといった2次元画像データを表示可能なアプリケーションソフトが広く普及しているため、多くの環境で容易に扱える。これに対して、3次元データを利用できるアプリケーションソフトは一般的でなく、ファイル形式も独自のフォーマットが多く併存する。このため、多くの環境では3次元データを利用できず、3次元データを扱える専用のアプリケーションソフトを使用していないユーザはこれを扱えないという問題があった。
【特許文献1】特開2000−214790号公報
【特許文献2】特開平9−50706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、照明シミュレーションを容易に再現可能とした拡大観察装置、画像ファイル生成装置、画像ファイル生成プログラム、3次元画像表示プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の拡大観察装置は、観察対象を撮像して2次元観察画像を取得するための撮像部と、撮像部で取得した複数の2次元観察画像と、撮像時の高さ情報に基づいて、観察対象の3次元の観察画像を生成すると共に、3次元観察画像に対して仮想的に光源を配置し、光源から発する照明光を3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成可能な制御部と、光源によって得られる照明の効果を調整可能な照明設定部と、制御部で生成された3次元画像データ及び照明設定部で設定された照明条件データとを任意の2次元画像データに埋め込んで、一の画像データファイルとして生成可能なファイル生成部と、ファイル生成部で生成された画像データファイルを保存するための画像データ記憶部とを備える。これにより、画像データファイル中に3次元画像データのみならず照明条件データをも記録できるので、該データファイルに基づいて照明光の反射状態を擬似的に表現した照明シミュレーションを再現できる。またこれらのデータを一のファイルに統合することで、ユーザが扱うファイルが1つですみ、ファイルの管理や扱いを容易にできる利点も得られる。
【0009】
また、本発明の他の拡大観察装置は、2次元画像データが、所定の照明条件で反射付3次元観察画像を特定の姿勢で表示した反射付2次元観察画像である。これにより、反射付2次元観察画像の観察時と同じ照明条件を保存しておくことで、該データに基づいて照明シミュレーションを実行すれば同一条件で反射付3次元観察画像を再現して観察することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明の他の拡大観察装置は、制御部が生成する反射付3次元観察画像が、観察対象の3次元観察画像の各部位における照明光の反射状態を、他の部位による影響を考慮することなく独立して演算することができる。これにより、3次元観察画像上の各部位において、他の部位によって陰が生じたり、逆に反射光により照明されるといった影響を排除し、本来見難くなるような部位であっても、各部位における照明の結果得られる観察画像のみを演算して表示できるので、陰影がより見易くなり観察に適した反射付3次元観察画像を表示できる。
【0011】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、照明設定部が、光源の位置及び/又は角度を変更可能な光源調整部と、光源から3次元観察画像に仮想的に照射される照明光の反射状態を調整可能な反射調整部とを含む。これにより、光源の位置や角度、光の強度といった光源側のパラメータを調整したり、あるいは3次元観察画像の表面の反射率や拡散といった反射側のパラメータを調整することが可能となり、所望の条件で陰影を付した3次元観察画像を観察することが可能となる。
【0012】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、照明設定部が、照明条件を構成する照明パラメータとして光源の位置、角度、照明光の明るさ、3次元観察画像の表面の反射率、反射する光束の太さ、反射光の拡散、環境光の明るさの少なくともいずれかを調整可能に構成している。これにより、ユーザは各照明パラメータを調整して所望の反射付3次元観察画像を生成することが可能となる。
【0013】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、照明設定部が、予め所定の照明パラメータを設定した複数の照明条件セットに、生成される反射付3次元観察画像のイメージに基づいた名称を付けて選択可能に提示する。これにより、照明条件セットに付与された名称に基づいて、ユーザは感覚的に所望の画像を得るための照明パラメータに容易に設定でき、各パラメータの意味を意識することなく操作しやすい環境が実現される。
【0014】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置はさらに、制御部で生成された3次元観察画像を表示するための表示部を備える。これにより、表示部で3次元観察画像を容易に確認できる。
【0015】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、表示部において表示される3次元観察画像に、光源の位置を表示可能に構成している。これにより、どの位置に光源があるかをイメージ的に確認可能となり、照明の設定を容易に理解でき、また設定作業を容易に行える。
【0016】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、光源の位置が照明を表現するイメージ画像で表示されている。これにより、照明イメージ画像で光源であることを直感的に理解でき、初心者ユーザでも違和感なく感覚的に操作できる。
【0017】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、照明設定部が、照明イメージ画像を操作することで、光源の位置及び/又は角度を調整可能に構成している。これにより、マウスのドラッグ操作等の視覚的な操作により光源の位置を調整可能で、従来のように座標の入力等面倒な作業を経ることなく照明設定部を操作し易い環境が実現される。
【0018】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、光源の位置から仮想的に照射される照明光の照射方向を示す照射線を、表示部上で反射付3次元観察画像に重ねて表示可能に構成している。これにより、光源から照射される照明光が照射線で線状に表示され、照明の状態をより判り易く表示できる。
【0019】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、照射線が反射付3次元観察画像と交差する点まで延長されて表示可能に構成している。これにより、光源から照射される照明光が反射付3次元観察画像上のどの位置に照射されているかを、照射線の端縁の位置で容易に確認できる。
【0020】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、照射線と直交する平面を表現する平面線を、表示部上で反射付3次元観察画像に重ねて表示可能に構成している。これにより、照明光が反射付3次元観察画像に照射される角度を容易に確認できる。
【0021】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、表示部において表示される3次元観察画像において、表面の形状のみを表示可能に構成している。これにより、例えば3次元観察画像表面にテクスチャ等質感を表す情報を排除し、光源による陰影のみを表示できるため、より判り易い表示状態とできる。
【0022】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、出力部で出力される画像データファイルのフォーマットが、汎用の2次元画像データフォーマットである。これにより、3次元画像データを利用可能なアプリケーションソフトを使用していなくても、2次元画像を読み込み可能な汎用のビューワソフト等で少なくとも2次元画像部分を閲覧することが可能となり、ファイルの汎用性を維持する一方で、専用のソフトを使用すれば3次元画像データの操作が可能となり、ファイルの汎用性と操作性を両立できる。
【0023】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、出力部で2次元画像データ中に埋め込まれる3次元画像データに関する情報を、2次元画像データフォーマット中のユーザが利用可能な領域に記録する。これにより、2次元画像データフォーマットの規格に従い汎用の2次元画像データとしてビューワソフトでの扱いを容易にする一方で、専用のソフトを使用すれば3次元画像データの操作が可能となり、ファイルの汎用性と操作性を両立できる。
【0024】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、出力部で2次元画像データ中に埋め込まれる3次元画像データに関する情報として、3次元画像データを結合していることを示すフラグデータ、3次元画像データの結合領域アドレス、3次元画像データのサイズの少なくともいずれかを含む情報を、2次元画像データフォーマット中のユーザが利用可能な領域に記録する。これにより、2次元画像データの利用を維持しつつ、専用ソフトにより3次元画像データを扱いを容易にできる。
【0025】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、出力部で2次元画像データ中に埋め込まれる3次元画像データのデータ領域を圧縮する。これにより、3次元画像データを含む画像データファイルのサイズをコンパクトにできる。
【0026】
さらにまた、本発明の他の拡大観察装置は、出力部で出力される画像データファイルのフォーマットが、jpegまたはtiffのいずれかである。これにより、広く普及した2次元画像データのビューワソフトを利用して2次元画像データを利用できる。
【0027】
また、本発明の画像ファイル生成装置は、3次元観察画像を生成するために必要なデータを取得するための入力部と、入力部で取得したデータに基づいて3次元観察画像を構築し表示するための表示部と、表示部に表示される3次元観察画像に対して仮想的に光源を配置し、光源から発する照明光を3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成可能な制御部と、光源によって得られる照明の効果を調整可能な照明設定部と、照明設定部で設定された照明条件で表示部に表示される反射付3次元観察画像を2次元画像として取得すると共に、該反射付2次元画像データに、元となる反射付3次元観察画像を生成するための3次元画像データ及び照明条件データを埋め込んで、一の画像データファイルとして生成するためのファイル生成部と、ファイル生成部で生成された画像データファイルを保存するための画像データ記憶部とを備える。これにより、画像データファイル中に3次元画像データのみならず照明条件データをも記録できるので、該データファイルに基づいて照明光の反射状態を擬似的に表現した照明シミュレーションを再現できる。またこれらのデータを一のファイルに統合することで、ユーザが扱うファイルが1つですみ、ファイルの管理や扱いを容易にできる利点も得られる。
【0028】
さらに、本発明の画像ファイル生成プログラムは、2次元画像データと、該2次元画像データ撮像時の高さ情報とを取得するための機能と、取得した一の観察対象に関する複数の2次元画像データとその高さ情報に基づいて、3次元の観察画像を生成し、表示部に表示する機能と、表示部に表示される3次元観察画像に対して仮想的に光源を配置し、光源から発する照明光を3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成するための照明機能と、光源による照明の条件または3次元観察画像表面の反射の条件の少なくともいずれかを調整可能な照明条件設定機能と、照明条件設定機能で設定された照明条件で表示部に表示される反射付3次元観察画像を2次元画像として取得すると共に、該反射付2次元画像データに、元となる反射付3次元観察画像を生成するための3次元画像データ及び照明条件データを埋め込んで、一の画像データファイルとして生成するためのファイル生成機能と、ファイル生成機能で生成された画像データファイルを保存するための画像データ記憶機能とをコンピュータに実現させるものである。これにより、画像データファイル中に3次元画像データのみならず照明条件データをも記録できるので、該データファイルに基づいて照明光の反射状態を擬似的に表現した照明シミュレーションを再現できる。またこれらのデータを一のファイルに統合することで、ユーザが扱うファイルが1つですみ、ファイルの管理や扱いを容易にできる利点も得られる。
【0029】
さらにまた、本発明の3次元画像表示プログラムは、2次元画像データフォーマットで構築された画像データファイル中に、2次元観察画像に関する2次元画像データと、3次元観察画像に関する3次元画像データとが記録されており、該画像データファイルに記録された画像データを表示可能な3次元画像表示プログラムであって、画像データファイルを読み込み、該画像データファイルに記録された3次元画像データに基づき、3次元観察画像を表示部に表示すると共に、該3次元観察画像に対して移動、回転、拡大/縮小の少なくともいずれかの操作が可能な表示機能と、画像データファイルが、該画像データファイル中に含まれる3次元画像データに対して仮想的に光源を配置した状態で、光源から発する照明光を該3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成するための照明条件データを含む場合、表示機能で表示される3次元観察画像に対して、照明条件データに基づいて反射付3次元観察画像を生成すると共に、照明条件を構成する照明パラメータを変更可能な調整機能とをコンピュータに実現させるものである。これにより、画像データファイルに記録された3次元画像データを表示させると共に、照明条件を変化させて照明シミュレーションを実行することが可能となる。
【0030】
さらにまた、本発明の他の3次元画像表示プログラムは、画像データファイルがさらに、該画像データファイル中に含まれる2次元画像データが、3次元画像データ及び照明条件データに基づいて生成される反射付3次元観察画像を2次元画像として表示した反射付2次元観察画像である場合、調整機能は、3次元画像データ及び照明条件データに基づいて、反射付2次元観察画像と同じ見え方で反射付3次元観察画像を構築可能である。これにより、画像データファイルに記録された反射付2次元観察画像を3次元画像で正確に再現可能とでき、照明シミュレーションを用いた観察を容易にできる。
【0031】
さらにまた、本発明の他の3次元画像表示プログラムは、2次元画像データフォーマットで構築された画像データファイル中に、2次元観察画像に関する2次元画像データと、3次元観察画像に関する3次元画像データとが記録されており、該画像データファイルに記録された画像データを表示可能な3次元画像表示プログラムであって、画像データファイルを読み込み、該画像データファイルに記録された3次元画像データに基づき、3次元観察画像を表示部に表示すると共に、該3次元観察画像に対して移動、回転、拡大/縮小の少なくともいずれかの操作が可能な表示機能と、画像データファイルが、該画像データファイル中に含まれる3次元画像データに対して仮想的に光源を配置した状態で、光源から発する照明光を該3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成するための照明条件データを含む場合、表示機能で表示される3次元観察画像に対して、照明条件データに基づいて反射付3次元観察画像を生成すると共に、照明条件を構成する照明パラメータを変更可能な調整機能と、調整機能により所望の照明条件に調整された反射付3次元観察画像を2次元画像として取得すると共に、画像データファイルに記録された2次元画像データを、該反射付3次元観察画像を表示する反射付2次元画像で更新する2次元画像更新機能とをコンピュータに実現させるものである。これにより、埋め込まれた3次元画像データを利用して視点、拡大率を変化させながら観察することができ、また画像データファイルに記録された2次元画像データの部分を、所望の照明条件で取得した3次元観察画像を示す2次元画像データに差し替えることができる。
【0032】
また本発明のコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器は、上記プログラムを格納するものである。記録媒体には、CD−ROM、CD−R、CD−RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、Blu−ray、HD DVD(AOD)等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記録した機器には、上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明の拡大観察装置、画像ファイル生成装置、画像ファイル生成プログラム、3次元画像表示プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器によれば、2次元画像データ中に3次元画像データ及び照明条件を記録することができ、3次元画像のみならずこれに照明光を照射した反射付3次元画像をも再現できる。特に、汎用的に表示が容易な2次元画像データ中に、3次元画像データを埋め込んで利用することにより、ユーザは一のファイルのみを保存すればよく、3次元画像データと2次元画像データを個別に保存し管理する必要が無くなり、ファイルの扱いが容易となる。そして3次元画像データに、照明シミュレーションの実行に必要な照明条件データを持たせることで、既に行われた照明シミュレーションの正確な再現が可能となり、照明シミュレーションを使った観察において便利に使用できる。また一のファイル内に2次元画像データと3次元画像データが格納されているため、ユーザが3次元画像データを扱えるアプリケーションソフトを有していなくとも、2次元画像データの閲覧は汎用的な表示ソフトを利用すれば可能となる。また3次元画像データを利用できる専用のアプリケーションソフトがあれば、埋め込まれた3次元画像データを種々の照明条件を加えて利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための拡大観察装置、画像ファイル生成装置、画像ファイル生成プログラム、3次元画像表示プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器を例示するものであって、本発明は拡大観察装置、画像ファイル生成装置、画像ファイル生成プログラム、3次元画像表示プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0035】
本発明の実施例において使用される拡大観察装置とこれに接続される操作、制御、表示、その他の処理等のためのコンピュータ、プリンタ、外部記憶装置その他の周辺機器との接続は、例えばIEEE1394、RS−232xやRS−422、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE−T、100BASE−TX、1000BASE−T等のネットワークを介して電気的、あるいは磁気的、光学的に接続して通信を行う。接続は有線を使った物理的な接続に限られず、IEEE802.1x、OFDM方式等の無線LANやBluetooth等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらにデータの交換や設定の保存等を行うための記録媒体には、メモリカードや磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が利用できる。なお本明細書において拡大観察装置とは、拡大観察装置本体のみならず、これにコンピュータ、外部記憶装置等の周辺機器を組み合わせた撮像システムも含む意味で使用する。
【0036】
また、本明細書において拡大観察装置、画像ファイル生成装置、画像ファイル生成プログラム、3次元画像表示プログラムは、3次元画像データを含む画像ファイル生成を行うシステムそのもの、ならびに画像ファイル生成に関連する入出力、表示、演算、通信その他の処理をハードウェア的に行う装置や方法に限定するものではない。ソフトウェア的に処理を実現する装置や方法も本発明の範囲内に包含する。例えば汎用の回路やコンピュータにソフトウェアやプログラム、プラグイン、オブジェクト、ライブラリ、アプレット、コンパイラ、モジュール、特定のプログラム上で動作するマクロ等を組み込んで画像生成そのものあるいはこれに関連する処理を可能とした装置やシステムも、本発明の拡大観察装置、画像ファイル生成装置、画像ファイル生成プログラム、3次元画像表示プログラムに該当する。また本明細書においてコンピュータには、汎用あるいは専用の電子計算機の他、ワークステーション、端末、携帯型電子機器、PDCやCDMA、W−CDMA、FOMA(登録商標)、GSM、IMT2000や第4世代等の携帯電話、PHS、PDA、ページャ、スマートフォンその他の電子デバイスも包含する。さらに本明細書においてプログラムとは、単体で使用されるものに限られず、特定のコンピュータプログラムやソフトウェア、サービス等の一部として機能する態様や、必要時に呼び出されて機能する態様、OS等の環境においてサービスとして提供される態様、環境に常駐して動作する態様、バックグラウンドで動作する態様やその他の支援プログラムという位置付けで使用することもできる。
【0037】
[第1の実施の形態]
以下、図1から図2を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る拡大観察装置を説明する。拡大観察装置は、図1に示すように観察対象の試料を照明するための照明部60と、照明部60により照明された試料を撮像する撮像部10と、撮像部10で撮像された拡大画像を表示する表示部52を有する情報処理装置50を備える。さらに図1の拡大観察装置は、試料を固定する試料固定部(試料Sを載置するステージ30)と、光学系11を介して入射する試料固定部に固定された試料Sからの反射光または透過光を電気的に読み取る撮像素子(CCD12)と、試料固定部と光学系11の光軸方向における相対距離を変化させ焦点を調整する焦点調整部(ステージ昇降器20)とを備える。さらにまた情報処理装置50は、図2に示すように、焦点調整部によって焦点を調整したときの試料固定部と光学系11の光軸方向における相対距離に関する焦点距離情報を、光軸方向とほぼ垂直な面内における試料の2次元位置情報と共に記憶する焦点距離情報記憶部(メモリ53)と、撮像素子によって読み取られた画像を表示する表示部52と、表示部52によって表示された画像の一部の領域を少なくとも一つ設定可能な領域設定部(操作部55、ポインティングデバイス55A)と、領域設定部によって設定された領域に対応する試料Sの一部または全部に関する焦点距離情報記憶部に記憶された焦点距離情報に基づいて、領域設定部によって設定された領域に対応する試料Sの光軸方向における平均高さを演算する演算部(制御部51)とを備える。この拡大観察装置は、光学系を介して入射する試料固定部に固定された試料からの反射光または透過光を電気的に読み取る撮像素子を用いて、指定された領域に対応する試料の光軸方向における平均高さ(深さ)を演算できる。
【0038】
撮像部10は、図2に示すように、試料Sを載置する試料固定部の一形態であるステージ30と、ステージ30を移動させるステージ昇降器20と、ステージ30に固定された試料に光学系を介して入射される光の反射光または透過光を、2次元状に配置された画素毎に電気的に読み取る撮像素子の一形態としてCCD12と、CCD12を駆動制御するCCD制御回路13とを備える。さらに撮像部10には、拡大観察装置本体である情報処理装置50が接続される。情報処理装置50は、撮像素子によって電気的に読み取られた画像データを記憶する画像データ記憶部の一形態としてメモリ53と、撮像素子によって電気的に読み取られた画像データに基づいて画像を表示するディスプレイやモニタ等の表示部52と、表示部52上に表示される画面に基づいて入力その他の操作を行う操作部55と、操作部55によって入力された情報に基づいて画像処理その他各種の処理を行う制御部51とを備える。表示部52を構成するディスプレイは、高解像度表示が可能なモニタであり、CRTや液晶パネル等が利用される。
【0039】
操作部55はコンピュータと有線もしくは無線で接続され、あるいはコンピュータに固定されている。一般的な操作部55としては、例えばマウスやキーボード、スライドパッド、トラックポイント、タブレット、ジョイスティック、コンソール、ジョグダイヤル、デジタイザ、ライトペン、テンキー、タッチパッド、アキュポイント等の各種ポインティングデバイスが挙げられる。またこれらの操作部55は、拡大観察用操作プログラムの操作の他、拡大観察装置自体やその周辺機器の操作にも利用できる。さらに、インターフェース画面を表示するディスプレイ自体にタッチスクリーンやタッチパネルを利用して、画面上をユーザが手で直接触れることにより入力や操作を可能としたり、または音声入力その他の既存の入力手段を利用、あるいはこれらを併用することもできる。図1の例では、操作部55はマウス55a等のポインティングデバイス55Aで構成される。操作部55は、後述する観察視点や拡大/縮小率等を変更するための変更部として機能する。
【0040】
図1に本発明の実施の形態に係る拡大観察装置の外観図を示す。光学系および撮像素子を有するカメラ10aは、スタンド台41から鉛直方向に延びる支柱42に固定されたカメラ取り付け部43に取り付けられる。スタンド台41には、試料Sを載置するステージ30が上部に取り付けられたステージ昇降器20が配置される。カメラ10aおよびステージ昇降器20は情報処理装置50に接続されて制御される。情報処理装置50は、表示部52、およびマウス55a等の操作部55を備える。表示部52には、観察画像が表示される。
【0041】
また、情報処理装置50である拡大観察装置にはコンピュータ70を接続可能であり、コンピュータ70に別途拡大観察用操作プログラムをインストールして、コンピュータ70側からも拡大観察装置を操作することもできる。本明細書において、コンピュータを使って拡大観察装置を操作する拡大観察用操作プログラムとは、拡大観察装置に外部接続された汎用もしくは専用コンピュータにインストールされる操作プログラムの他、上述した拡大観察装置の制御部である情報処理装置50に内蔵された操作プログラムも含む。拡大観察装置には、予め拡大観察装置を操作する操作機能あるいは操作プログラムが内蔵されている。この操作プログラムは、書き換え可能なソフトウェア、ファームウェア等の形態で拡大観察装置に対してインストール、あるいはアップデートすることも可能である。従って、本明細書において拡大観察用操作プログラムを実行させるコンピュータには、拡大観察装置自体も含まれる。
【0042】
図2に本発明の実施の形態に係る拡大観察装置のブロック図を示す。情報処理装置50は、表示部52と、制御プログラム・焦点距離情報・受光データ・2次元情報等を記憶するメモリ53と、情報処理装置50がカメラ10aおよびステージ昇降器20とデータを通信するためのインターフェイス54と、操作者が拡大観察装置に関する操作を行う操作部55とから構成される。ステージ昇降器20は、例えばステッピングモータ21と、ステッピングモータ21の昇降を制御するモータ制御部22とから構成される。撮像部10は、撮像素子として例えばCCD12等の受光素子と、CCD12を駆動制御するCCD制御回路13と、照明部60からステージ30上に載置された試料Sに対して照射された光の透過光や反射光をCCD12上に結像させる光学系11とを備える。
【0043】
[画素ずらし手段]
さらに撮像部10は、画素ずらしによってCCD12の持つ解像度以上の高解像度を得るための画素ずらし手段を備えることができる。画素ずらしとは、例えば画素ピッチの半分だけ被写体をずらして撮影した画像と、ずらす前の画像とを合成することにより高解像度化を図るものである。代表的な画像ずらしの機構としては、撮像素子を移動させるCCD駆動方式、LPFを傾斜させるLPF傾斜方式、レンズを移動させるレンズ移動方式等がある。図2においては、ステージ30に固定された試料Sから光学系11を介してCCD12に入射される反射光または透過光の入射光路を、少なくとも一の方向に、その方向におけるCCD12の一画素の間隔よりも小さい距離で光学的にシフトさせる光路シフト部14を備える。本発明の一実施形態において画素ずらしを実現するための機構や手法は、上記の構成に限られず、既知の方法や将来開発される方法が適宜利用できる。
【0044】
情報処理装置50は、モータ制御回路22に対してステッピングモータ21の制御に関する制御データを入力することによって、試料固定部であるステージ30と、光学系11および撮像素子であるCCD12を有するカメラ10aとの光軸方向における相対距離、ここではz方向における高さを変化させる。具体的には、情報処理装置50は、ステージ昇降器20の制御に必要な制御データをモータ制御回路22に入力することによってステッピングモータ21の回転を制御し、ステージ30の高さz(z方向の位置)を昇降させる。ステッピングモータ21は、回転に応じた回転信号を生成する。情報処理装置50は、モータ制御回路22を介して入力される回転信号に基づいて、試料固定部と光学系11の光軸方向における相対距離に関する情報としてのステージ30の高さzを記憶する。なお本実施の形態においては、ステージ30の高さを変化させることによって試料固定部と光学系の光軸方向における相対距離を変化させる例を示したが、ステージ30を固定して光学系11の高さ、例えばカメラ10aの高さを変化させてもよい。
【0045】
CCD12は、x方向およびy方向に2次元状に配置された画素毎に受光量を電気的に読み取ることができる。CCD12上に結像された試料Sの像は、CCD12の各画素において受光量に応じて電気信号に変換され、CCD制御回路13においてさらにデジタルデータに変換される。情報処理装置50は、CCD制御回路13において変換されたデジタルデータを受光データDとして、光軸方向(図2中のz方向)とほぼ垂直な面内(図2中のx、y方向)における試料の2次元位置情報としての画素の配置情報(x、y)と共にメモリ53に記憶する。ここで、光軸方向とほぼ垂直な面内とは、厳密に光軸に対して90°をなす面である必要はなく、その光学系および撮像素子における解像度において試料の形状を認識できる程度の傾きの範囲内にある観察面であればよい。
【0046】
また、以上の説明では試料固定部の一例として、試料がステージに載置される例を示したが、例えばステージの代わりにアームを取り付け、その先端に試料を固定する構成とすることもできる。さらにカメラ10aは、カメラ取り付け部43に装着して使用する他、脱着可能として手持ち等の方法により所望の位置、角度に配置することもできる。
【0047】
図1に示す照明部60は、試料に落射光を照射するための落射照明60Aと、透過光を照射するための透過照明60Bを備える。これらの照明は、光ファイバー61を介して情報処理装置50と接続される。情報処理装置50は光ファイバー61を接続するコネクタ62を備えると共に、コネクタ62を介して光ファイバー61に光を送出するための光源(図示せず)を内蔵する。光源にはハロゲンランプ等が用いられる。
【0048】
[制御部51]
制御手段である制御部51は、撮像した観察画像を、表示部52で表示可能な解像度に変換して表示するよう制御する。図1の拡大観察装置においては、撮像部10がCCD12によって試料Sを撮像した観察画像を表示部52に表示する。一般にCCD等の撮像素子の性能は、表示部での表示能力を上回ることが多いので、撮像した観察画像を一画面に表示するためには画像を間引く等して解像度を一画面で表示可能なサイズまで落とし、縮小表示している。撮像部10で読み取ったときの読取解像度を第一の解像度とすると、表示部52においては第一の解像度よりも低い第二の解像度で表示されることとなる。
【0049】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る拡大観察装置を、図3を用いて説明する。第2の実施の形態の拡大観察装置において、撮像部であるカメラは、試料Sに対して照射された第一の光源(レーザ101)からの光の反射光を第一の光学系100を介して第一の受光素子(フォトダイオード112)によって受光する第一の撮像部と、試料Sに対して照射された第二の光源(白色ランプ201)からの光の反射光を第二の光学系200を介して第二の受光素子(CCD212)によって受光する第二の撮像部とを備える。
【0050】
まず、第一の撮像部について説明する。第一の光学系100は、試料Sに単色光(例えばレーザ光)を照射するレーザ101、第一のコリメートレンズ102、偏光ビームスプリッタ103、1/4波長板104、水平偏向装置105、垂直偏向装置106、第一のリレーレンズ107、第二のリレーレンズ108、対物レンズ109、結像レンズ110、ピンホール板111、フォトダイオード112を有する。
【0051】
第一の光源には、例えば赤色レーザ光を発する半導体レーザ101が用いられる。レーザ駆動回路115によって駆動されるレーザ101から出射されたレーザ光は、第一のコリメートレンズ102を通り、偏光ビームスプリッタ103で光路を変えられ、1/4波長板104を通過する。この後、水平偏向装置105および垂直偏向装置106によって水平(横)方向および垂直(縦)方向に偏向された後、第一のリレーレンズ107および第二のリレーレンズ108を通過し、対物レンズ109によってステージ30上に置かれた試料Sの表面に集光される。
【0052】
水平偏向装置105および垂直偏向装置106は、それぞれガルバノミラーで構成され、レーザ光を水平および垂直方向に偏向させることにより、試料Sの表面をレーザ光で走査する。ステージ30は、ステージ昇降器20によりz方向(光軸方向)に駆動される。これにより、対物レンズ109の焦点と試料Sとの光軸方向での相対距離を変化させることができる。
【0053】
試料Sで反射されたレーザ光は、上記の光路を逆に辿る。すなわち、対物レンズ109、第二のリレーレンズ108および第一のリレーレンズ107を通り、水平偏向装置105および垂直偏向装置106を介して1/4波長板104を再び通る。この結果、レーザ光は偏光ビームスプリッタ103を透過し、結像レンズ110によって集光される。集光されたレーザ光は、結像レンズ110の焦点位置に配置されたピンホール板111のピンホールを通過してフォトダイオード112に入射する。フォトダイオード112は受光量を電気信号に変換する。受光量に相当する電気信号は、出力アンプおよびゲイン制御回路(図示せず)を介してA/Dコンバータ113に入力され、デジタルデータに変換される。ここでは、第一の受光素子としてフォトダイオードを用いる例を示したが、フォトマルチプライヤ等を用いてもよい。また、レーザ101は赤色レーザに限定されず、青色、紫外光レーザを用いてもよい。このような短波長レーザを用いることによって高解像度の高さデータが得られる。
【0054】
上記のような構成の第一の撮像部により、試料Sの高さ(深さ)情報を得ることができる。以下に、その原理を簡単に説明する。上述のように、ステージ30がステージ昇降器20のステッピングモータ21およびモータ制御回路22によってz方向(光軸方向)に駆動されると、対物レンズ109の焦点と試料Sとの光軸方向における相対距離が変化する。そして、対物レンズ109の焦点が試料Sの表面(被測定面)に結ばれたときに、試料Sの表面で反射されたレーザ光は上記の光路を経て結像レンズ110で集光され、ほとんどすべてのレーザ光がピンホール板111のピンホールを通過する。したがって、このときにフォトダイオード112の受光量が最大になる。逆に、対物レンズ109の焦点が試料Sの表面(被測定面)からずれている状態では、結像レンズ109によって集光されたレーザ光はピンホール板111からずれた位置に焦点を結ぶので、一部のレーザ光しかピンホールを通過することができない。その結果、フォトダイオード112の受光量は著しく低下する。
【0055】
したがって、試料Sの表面の任意の点について、ステージ30をz方向(光軸方向)に駆動しながらフォトダイオード112の受光量を検出すれば、その受光量が最大になるときのステージ30の高さを求めることができる。
【0056】
実際には、ステージ30を1ステップ移動するたびに水平偏向装置105および垂直偏向装置106によって試料Sの表面を走査してフォトダイオード112の受光量を取得する。図4は、1つの点(画素)におけるステージ30の高さzに対する受光データDの変化を示す。ステージ30を測定範囲の下端から上端までz方向に移動させたとき、走査範囲内の複数の点(画素)について、図4に示したように高さzに応じて変化する受光データDが得られる。この受光データDに基づいて、最大受光量とそのときの焦点距離Zfが各点(画素)ごとに得られる。この受光データDの最大値に対応するステージ30の高さzが焦点距離Zfとなる。したがって、この焦点距離Zfに基づいて試料Sの表面高さのx−y平面での分布が得られる。この処理は、インターフェイス53を介して入力されると共にメモリ53に記憶されたCCD12の受光データDを画素の配置情報(x、y)および高さ情報zに基づいて、制御部51によって行われる。
【0057】
得られた表面高さの分布は、いくつかの方法で表示部52に表示することができる。例えば3次元表示によって試料の高さ分布(表面形状)を立体的に表示することができる。あるいは、高さデータを輝度データに変換することにより、明るさの2次元分布として表示できる。高さデータを色差データに変換することにより、高さの分布を色の分布として表示してもよい。
【0058】
第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、第一の撮像部によって得られた高さデータに基づき、ポインティングデバイス55A等によって表示部52の画像上の2点を指定することによって矩形状に領域の設定を行い、領域内の平均高さや各領域間の相対高さを演算し、表示部52に表示することができる。
【0059】
また、x−y走査範囲内の各点(画素)について得られた受光量を輝度データとする輝度信号から、試料wの表面画像(白黒画像)が得られる。各画素における最大受光量を輝度データとして輝度信号を生成すれば、表面高さの異なる各点でピントの合った被写界深度の非常に深い共焦点画像が得られる。また、任意の注目画素で最大受光量が得られた高さ(z方向位置)に固定した場合は、注目画素の部分と高低差が大きい部分の画素の受光量は著しく小さくなるので、注目画素と同じ高さの部分のみが明るい画像が得られる。
【0060】
次に、第二の撮像部について説明する。第二の光学系200は、試料Sに白色光(カラー画像撮影用の照明光)を照射するための第二の光源201、第二のコリメートレンズ202、第1ハーフミラー203、第2ハーフミラー204、第2受光素子としてのCCD212を有する。また、第二の光学系200は第一の光学系100の対物レンズ109を共用し、両光学系100、200の光軸は一致している。
【0061】
第二の光源201には例えば白色ランプが用いられるが、特に専用の光源を設けず、自然光または室内光を利用してもよい。第二の光源201から出た白色光は、第二のコリメートレンズ202を通り、第一のハーフミラー203で光路を曲げられ、対物レンズ109によってステージ30上に置かれた試料Sの表面に集光される。
【0062】
試料Sで反射された白色光は、対物レンズ109、第一のハーフミラー203、第二のリレーレンズ108を通過し、第二のハーフミラー204で反射されてカラーで受光可能なCCD212に入射して結像する。CCD212は、第一の光学系100のピンホール板111のピンホールと共役または共役に近い位置に設けられている。CCD212で撮像されたカラー画像は、CCD制御回路213によって読み出されると共にデジタルデータに変換される。このようにして得られたカラー画像は、試料Sの観察用の拡大カラー画像として表示部52に表示される。
【0063】
また、第一の撮像部で得られた被写界深度の深い共焦点画像と第二の撮像部で得られた通常のカラー画像とを組み合わせて、すべての画素でピントの合った被写界深度の深いカラー共焦点画像を生成し、表示することもできる。例えば、第二の撮像部で得られたカラー画像を構成する輝度信号を第一の光学系100で得られた共焦点画像の輝度信号で置き換えることにより、簡易的にカラー共焦点画像を生成することができる。
【0064】
ここでは、共焦点光学系である第一の光学系100を有する第一の撮像部と非共焦点光学系である第二の光学系200を有する第二の撮像部を備える拡大観察装置を示したが、第1の撮像部のみを備える構成とすることもできる。
【0065】
また、第1の実施の形態に係る拡大観察装置のように、受光素子は2次元状に配置された画素毎に受光量を読み取る2次元撮像素子(例えばCCD)であり、焦点調整部が領域設定部によって設定された領域に対応する試料の一部または全部に対応する受光量の和に基づいて焦点を調整する構成とした場合、共焦点光学系のような複雑な構成を必要とすることなく、簡単な構成で試料の高さを測定することができる。特に、この拡大観察装置においては、画素単位でなく、操作者によって設定された領域単位、すなわち相当数の画素の相対距離に対する受光データの変化から受光データの最大値を判断すると共に、そのときの平均焦点距離に基づいて平均高さを演算することから、白色光を光源としCCDを受光素子として用いた場合であっても、各画素における受光データの焦点距離に対する変化のばらつきを低減でき、信頼性の高い平均高さの測定を行うことができる。さらに、2次元撮像素子としてカラーCCDを用いる場合は、RGBの受光データに基づいてその画素の受光データを算出してもよく、またRGBのうちの1または2の色調の受光データに基づいてその画素の受光データとしてもよい。
【0066】
また、領域設定部によって設定された領域が、試料の大きさよりも大きく試料の全部を含んでいる場合には、試料以外の部分、すなわちステージの上面は平均高さの演算の対象から除外することが好ましい。より正確な試料の高さを演算することができるからである。この場合ステージの上面であるか否かは、その画素とその画素に隣接する画素との高さの差が所定高さ以上あるか否か等によって判別することができる。もちろん、領域設定部によって設定された領域が、試料の一部であっても、ステージの上面が領域に含まれる場合は、平均高さの演算の対象から除外することが好ましい。
【0067】
また、以上の実施の形態においては、試料固定部に固定された試料からの反射光を電気的に読み取る例を示したが、試料の背面から光を照射してその透過光を電気的に読み取るように構成してもよい。また、以上の説明では、試料固定部の一例として、試料がステージに載置される例を示したが、例えばステージの代わりにアームを取り付けその先端に試料を固定する構成とすることもできる。
【0068】
[3次元画像]
また拡大観察装置は、2次元的な画像のみならず、3次元画像を表示させることもできる。3次元データに基づいて3D画像を拡大観察装置の表示部52に再現することで、様々な視点や角度から立体的に画像を観察、評価したり、高さ等表面形状やプロファイルの測定を行うことができる。3次元画像を生成して表示するには、例えば光軸方向における相対距離、すなわち観察対象の試料とレンズの距離を変化させて、画像を複数枚撮像し、同時に画像撮像時の移動量を記録しておく。これによって合成画像を作成する際に観察対象の高さ情報も得ることができるので、取得した画像を3次元データとして構築できる。
【0069】
一般的な3次元データの撮像方法を図5に基づいて説明する。まずステップS501で撮像部10、ステージ昇降器20および情報処理装置50等を初期化する。そしてステップS502で、レンズの移動量と移動範囲を設定する。レンズの移動範囲はレンズの高さの範囲であり、例えばユーザが大まかな高さを移動開始位置として指定する。またレンズの移動量はレンズの一回当たりの移動距離であり、細かく設定するほど詳細な画像が撮像できる反面、生成に時間がかかるので、観察目的に応じて適切な値に設定する。指定方法としては、ユーザが画像の精細さを指定し、これに応じた移動距離を拡大観察装置側が自動的に設定したり、ユーザが直接移動距離を数値等で指定する、あるいはデフォルトの既定値を利用する等の方法がある。
【0070】
次にステップS503では、上記で指定された移動開始位置にレンズを設定する。そしてステップS504で撮像を開始する。撮像後、ステップS505でレンズをステップS502で設定された移動量だけ移動させ、ステップS506で移動範囲が終了位置に達したか否かを判定を行う。終了位置に達していない場合はステップS504に戻って撮像と移動ステップを繰り返す。移動の結果、ステップS502で設定された移動範囲を終えた時点でステップS507に移行し、2次元の撮像画像を合成する。そしてステップS508で、撮像された2次元データに基づいて3次元画像データを構築し、表示部52に表示させる。3次元データの構築には、レンズの位置とそのときに撮像された画像から、高さ方向に変化するプロファイルが演算できるので、異なる高さ毎に撮像された複数枚の2次元画像データを合成することで、立体的な形状を構築できる。例えば撮像された2次元画像で得られる離散的なプロファイルを補完して、連続的なプロファイルを合成する。この処理はハードウェア的に高速に行うことができる。
【0071】
以上のようにして構築された3次元画像は、自由に視点の変更や画像の回転、反転、変形、拡大/縮小等して表示させることができる。変更操作は、変更部の一形態であるマウス55a等のポインティングデバイス55Aで行われる。画像の回転は、マウス55aを操作し、画像を選択してドラッグしたままマウスポインタを移動させることで、ドラッグされた方向に回転する。また拡大/縮小は、ホイールマウスのスクロールボタン55dに画面の拡大、縮小機能を割り当てることも可能である。これらの方法に限られず、変更部として操作ボタンや操作ツール群をソフトウェア画面上に配置して操作したり、操作機能をキーボードの特定のキーに割り付けたり、操作用の専用ハードウェアを変更部とすることもできる。
【0072】
このような3次元画像の取得方法や、取得された3次元データの表示を変更する手法は、既知の方法や将来開発される方法が適宜利用できる。例えば、オープンGL(Open Graphics Library)等のAPIが利用できる。
[3次元画像表示プログラム]
【0073】
図6に、3次元画像観察のための3次元画像表示プログラムの操作を行うユーザインターフェース画面を示すイメージの一例として、コントローラ部を示す。コントローラ部300は、図6のインターフェース画面によって3次元画像を観察、対比できる。以下、図6に示すコントローラ部300の操作手順を示す。まず、上記の拡大観察装置で作成された3次元画像を表示部(図6に図示せず)に表示させる。なお、既に記録、保存された任意の3次元画像ファイルを開いて使用することもできる。表示部で表示される3次元画像に対して、ユーザは画像の拡大/縮小や回転、移動等を行うことができる。また、複数の3次元画像を同時に表示させて、これらを対比することもできる。図6の例では、基準3次元画像と比較したい比較3次元画像データを指定し、「3Dファイル比較」欄310の「比較モード」ボタン312を押下すると、表示部は複数の表示領域に分割され、既に表示されている基準3次元画像が表示領域Aに表示されると共に、指定した比較3次元画像が表示領域Bに表示される。なお、基準3次元画像を保持したまま、比較3次元画像を入れ替える場合は、同様にして新たに選択したい基準3次元画像を指定し、「サブ切換」ボタン313を押下すると、表示領域Aはそのままで、表示領域Bに、新たに選択した比較3次元画像が並んで表示される。また、図6の「3Dファイル比較」欄310の「連動モード」ボタン314を押下すると、比較3次元画像の表示倍率が変更されて、左側の基準3次元画像と同じ大きさとなるように縮小して表示される。拡大縮小倍率の調整は、3次元データと共に保存された撮像位置に関する基準情報に基づいて行われる。ここでは、各画像の撮像時の倍率を比較して、左側の基準3次元画像の倍率を基準として、右側の比較3次元画像の倍率を一致させるように自動的に拡大縮小率を演算し、演算された値に基づいて表示倍率を変更している。これによって、同じスケールで画像を並べて比較できるので、対比して観察する際に非常に便利となる。なお、倍率調整は、表示の拡大縮小倍率の調整を自動で行うこともできるが、手動で行うようにすることもできる。ユーザが手動で表示倍率を変更するには、例えばマウス55aで対象となる3次元画像を選択後、スクロールボタン55dをクリックしたままマウス55aを下方に動かすと画像が縮小表示され、上方に動かすと拡大表示される。また「同期セット」ボタン316を押下すると、比較3次元画像の姿勢が基準3次元画像と同じ視点となるように変更される。
[2次元画像の保存]
【0074】
またユーザは、表示中の3次元画像を表示状態を、2次元画像として保存することもできる。図6のコントローラ部300画面上部の「高さ調整」スライダ320の下に設けられた「保存」ボタン322を押下すると、2次元画像として保存するダイヤログボックスが開くので、保存先やファイル名、ファイル形式等を指定して、3次元画像を現在表示中の2次元画像として保存する。ここでは、3次元画像ファイルとは個別の2次元画像データファイルとして保存される。
【0075】
また、「保存」ボタン322の下に設けられた「リセット」ボタン324は、3次元画像を回転、移動等させた後初期状態に戻したい場合に押下すると、ファイルを開いた直後の状態での初期状態の姿勢に戻る。さらに「保存」ボタン322の上方に配置された「高さ調整」スライダ320は、3次元画像の立体感を調整するものである。「高さ調整」スライダ320を中間位置から下方に移動させるほど、立体感が強調され、逆に上方に移動させるほど立体感が弱められ平面に近付く。なお、ここで説明したコントローラ部300の機能や操作方法は一例であって、プログラムのユーザインターフェース画面や操作方法等は、適宜変更可能であることはいうまでもない。また、コントローラ部に相当するハードウェアを拡大観察装置に設置することもできる。
[照明シミュレーション]
【0076】
さらに、取得された3次元観察画像に対して、その近傍に仮想的に光源を配置して照明光を3次元観察画像に向けて照射し、3次元観察画像の表面でどのように反射するかをシミュレーションして表示する照明シミュレーションを実行することもできる。3次元観察画像に対して照明シミュレーションを行った例を図7〜図9に示す。これらの図において、図7は照明シミュレーション機能実行前の3次元画像を、図8は照明シミュレーション機能によって拡散反射させた例、図9は正反射成分を強調させた例を、それぞれ示す。このように照明シミュレーション機能によって、表面の陰影から凹凸状態を判別しやすくなり、立体的に画像を評価、観察することができる。さらに、光源の位置や角度、照明光の明るさ等を調整したり、また3次元観察画像自体を回転、移動、拡大/縮小等させることで、様々な視点や角度から観察を行える。このような照明シミュレーション機能を実現するアルゴリズムやハードウェアは、既存の、あるいは将来開発される手法が適宜利用できる。本実施の形態においては、照明シミュレーション機能は制御部51により実行される。制御部51は、3次元観察画像に対して所定の照明条件で照明光を照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を演算して描画、構築する。これにより、ハードウェア的な照明の変更を行うことなく、容易にかつ迅速に照明と同様の結果を得ることができる。
(影情報の省略)
【0077】
また、本実施の形態においては、反射付3次元観察画像の生成において他の部位によって生じる影情報を省略している。すなわち、観察対象の3次元観察画像の各部位における照明光の反射状態は、本来であれば他の部位によって影が投影されたり、逆に反射光による照り返しが加味されて表示されるべきであるが、これらの影響を考慮すると、表面状態の特定の部位のみを観察する際には却って見難くなり、また演算処理も複雑になる。そこで本実施の形態においては、このような他の部位による影響を考慮せず、各部位のみが単独で存在した場合に生じるであろう光の見え方のみを再現している。例えば突出部分によって影が投影される部分であっても、照明光が透過するかのように演算され、各部位毎に独立して照明によるユーザへの見え方を演算している。これにより、現実に照明を照射した場合の見え方とは異なる反射付3次元観察画像が生成されることとなるが、本来であれば見難くなるような部位であっても、明るく見易い状態で表示できるので、より観察に適した3次元観察画像を得ることができる。また、他の影響を考慮しない分、演算処理も軽くなりより高速かつ低負荷で実現できるメリットもある。ただ、この例に限られず他の部位による影響を考慮した反射付3次元観察画像を構築して表示することも可能である。この場合に得られる反射付3次元観察画像は、実際に照明を照射した際に見えるイメージと近い状態に表示できる。ただ、演算量が多くなる分、処理は重くなる。
(光源の位置表示)
【0078】
また、表示部で表示される3次元観察画像に対して光源の位置を表示させ、どの位置に光源があるかの位置関係をユーザに視覚的に把握させることができる。従来、光源の位置は「左上」、「右下」といった大まかな位置を選択したり、あるいは座標を入力する等の方法が採用されていたが、前者では細かな調整ができず、後者では指定が面倒で位置関係を視覚的に把握できないという問題があった。そこで本実施の形態では、表示部上で表示される3次元観察画像近傍に光源の表示位置を示すことにより、位置の指定を容易にすると共に、設定された位置が3次元観察画像に対してどの位置にあるかを容易に把握できるようにしている。位置表示は、「○」、「×」等のマークで表示させてもよいが、好適には図10に示すようにランプや懐中電灯といった照明を想起させるイメージ画像のアイコンIやオブジェクトで表示させる。これによりユーザは視覚的に光源であることを認識し、その位置を把握できる。さらに、このような光源アイコンIをマウス等でドラッグして移動可能とし、これによって光源の位置を調整可能とすることで、さらに直感的な操作により照明条件を設定する照明設定部(後述)を設定することが可能となる。またマウスでクリックした位置に光源アイコンIをジャンプさせるようにして移動させることもできる。光源アイコンIは、移動させた位置から照明光の光軸が3次元観察画像の中心に向かうように自動的に照射角度が調整される。ただ、照射角度をユーザが任意に調整可能に構成してもよい。
(照明シミュレーション設定部400)
【0079】
図11に、3次元画像表示プログラムで照明シミュレーション機能を行うための設定部として、照明シミュレーション設定部400の画面イメージの一例を示す。この照明シミュレーション設定部400は、図6のインターフェース画面において「ライトON」ボタン340を押下すると、図11に示す照明シミュレーション設定部400に移行して照明シミュレーション機能を実行することができる。また図11の照明シミュレーション設定部400から「ライトOFF」ボタン440を押下すると、図6の3次元観察画像のコントローラ部300に戻る。この例においては、3次元画像表示プログラムに3次元画像の表示機能と、照明シミュレーション機能を持たせており、ボタンの切換によってプログラムのインターフェース画面を切り換えている。ただ、これらの機能を別プログラムで実行させ、必要に応じて各プログラムを呼び出す構成とすることもできる。例えば3次元画像表示プログラムでは3次元画像の表示のみを行わせ、照明シミュレーションを実行する際には照明シミュレーションプログラムを呼び出し、また後述する反射付2次元画像データを生成する際には画像ファイル生成プログラムを呼び出すように構成してもよい。
【0080】
図11の照明シミュレーション設定部400は、図7〜図10に例示するように、表示部に表示される3次元観察画像に対して照明シミュレーションを実行する。図11において上段に位置する「移動対象」欄410ではマウスのドラッグで操作する対象をラジオボタンで切り替える。「ワーク」を選択すると3次元観察画像を、「ライト」を選択すると光源アイコンIを、それぞれ独立してマウスで移動、回転、拡大/縮小させることができる。また「ワーク&ライト」を選択すると、表示中の3次元観察画像及び光源アイコンIの位置関係を保ったまま、両方を同時に移動等させることができる。
【0081】
また、「移動対象」欄410の下には、光源によって得られる照明の効果を調整可能な照明設定部が設けられる。照明設定部には、光源側の調整を行う光源調整部と、光源の照明光によって得られる3次元観察画像表面の反射状態を調整する反射調整部が含まれる。光源調整部に対応する「明るさ」欄420のスライダを操作すると、照明光の強度が可変される。また反射調整部に対応する「表面」欄430のスライダを操作すると、表面の反射状態が可変される。この例では、表面の反射率や拡散率を調整して反射の強弱を表現している。
[補助線]
【0082】
一方、3次元観察画像に対して照明シミュレーションを実行する際、図12〜図13に示すように照明の光源の位置関係を表すための各種補助線を付加することもできる。図12は図10の光源アイコンIに対し、光源から仮想的に照射される照明光の照射方向を示す照射線Aを付加して表示部に表示させた例を、図13はさらに照射線Aと直交する平面を表現する平面線Bを表示部に表示させた例を、それぞれ示す。
(照射線A)
【0083】
図12の照射線Aは、光源の位置から反射付3次元観察画像に向けて仮想的に照射される照明光の軸線を示しており、光源アイコンIに照射線Aを付して反射付3次元観察画像に重ねて表示することで、照明の方向がユーザに感覚的に把握しやすくなる。この例では、光源の照明光が3次元観察画像の中心や重心に向かうように光源の配置角度が自動設定されるため、照射線Aは常に反射付3次元観察画像の中心や重心に向かって延長される。また、照射線Aが反射付3次元観察画像と交差する点を照射線Aの端点とし、照射線Aをこの点まで延長することで、レーザビームポインタのように照明光の光軸が反射付3次元観察画像上のどの位置に当たるかを示すことができる。なお、照射線Aの開始点は光源アイコンIとする他、図12に示すように光軸に沿って光源アイコンIの逆方向にも照射線Aを延長することもでき、これによって光軸の角度をより判り易く表示できる。
(平面線B)
【0084】
また、図13の例では、この照射線Aに加えて、照射線Aと直交する平面を表現する平面線Bを表示している。平面線Bが表現する平面は反射付3次元観察画像上の重心または中心を通る。これにより、照明光の入射角度を視覚的に表現してより判り易くできる。なお、平面線Bを反射付3次元観察画像の重心や中心でなく、照射線Aの端縁を通るように構成してもよい。また、照射線を表示せず平面線Bのみを表示させるように構成することもできる。
【0085】
このように光源アイコンIに補助線を付加することで、更に照明の光源の位置関係を見易くできる。図11の照明シミュレーション設定部400では、補助線のON/OFFを行うために照明設定部の下段に「ライト表示」欄450を設けている。ラジオボタンで「線」を選択すると照射線Aが表示され、「平面」を選択すると照射線Aと平面線Bが表示され、「なし」を選択するとこれらの表示がOFFされる。
【0086】
なお、上記の例では光源を一のみ配置しているが、複数の光源を配置することもできる。その際、各光源の光量や位置、角度等は各々独立して変化させることができる。さらに、バックグラウンドの全体光量と光源光量との光量比を調整することもできる。照明シミュレーションは、このような複数の光源に対して3次元観察画像上の各部位での見え方を演算して表示する。さらに、複数の3次元観察画像を一の画面上に並べて表示させたり、切り換えて表示させることもできる。これによって、各3次元画像を対比して観察することができる。また、基準となる一の3次元観察画像を固定して表示させ、他の3次元観察画像を切り換えて表示させることで、良品検査等に利用することも可能である。
(凹凸のみ表示機能)
【0087】
さらに、「ライト表示」欄450の下部には「凹凸のみ表示」欄460のチェックボックスが設けられており、この欄のチェックを入れることにより3次元観察画像の表面の形状のみを表示部に表示させる。本実施の形態では、3次元観察画像は、ワイヤフレームモデルをベースにしたソリッドモデルで形状を表現し、さらに表面状態の質感を擬似的に表現したテクスチャデータをこの上に貼り付けることで、高速な描画処理を可能にしている。「凹凸のみ表示」欄460のチェックがOFFの状態では、このテクスチャを貼り付ける処理を行っているが、チェックをOFFとすることでテクスチャによる表面パターンの表現を省いたソリッドモデルで表示される。これにより、表面パターンを表す情報を排除し、光源による陰影のみを表示できるため、より判り易い表示状態とできる。また下段には「背景色」欄470が設けられ、背景色を白、黒等所望の色に変更できる。さらにその下段で「ライトOFF」ボタン440の上段には「保存」ボタン480が設けられる。
[反射付2次元画像データの保存]
【0088】
さらに、照明条件を含んだ3次元データを2次元データに埋め込んだ形の画像ファイルフォーマットで保存することができる。3次元画像データは、拡大観察装置に内蔵されるメモリに保持されており、「保存」ボタン480が押下されると外部記憶装置等の記録媒体にデータファイルが保存される。3次元画像のみの保存には、3次元画像データを特定の3次元画像ファイルフォーマットとして保存する。さらに、任意の2次元画像に埋め込む形で2次元画像ファイルに従ったファイル形式で保存することができる。この動作は、3次元画像データのみの保存とは別の処理として行われる。ただ、一の保存命令で3次元画像データ専用フォーマットでの保存および2次元画像データへの埋め込み保存を同時に行わせてもよい。例えば、3次元画像を所望の姿勢や倍率、光源や透過等の条件で表示させ、さらに照明条件を設定した反射付3次元観察画像として表示された画像を、2次元画像として取得した上で、この反射付2次元画像データに元の3次元画像データおよび照明条件データを埋め込んで保存する。照明条件データとは、照明シミュレーションの実行に必要なパラメータ等の条件を含むデータである。ユーザは入出力デバイスであるマウス55a等を使って3次元画像の視点や拡大率を調整して所望の姿勢とし、更に所望の照明条件で照明シミュレーションを実行した反射付3次元観察画像を表示部に表示させて、この表示中の3次元画像をキャプチャして、2次元画像として取り込む。
【0089】
2次元画像のデータフォーマットは、汎用的な形式が望ましい。画像フォーマットとしては、JPEG、JPEG2000、TIFF、BMP、PNG、GIF、WMF、EMF等が挙げられる。この内、ユーザが自由に設定可能な領域を持つ形式が望ましく、特にJPEG、TIFFが好適に利用できる。なおここでいうユーザとは、装置の使用者でなく、装置を設計する者を指す。
【0090】
JPEGやTIFF形式のデータファイルには、図14、図15に示すようなユーザが利用可能な領域が存在する。図14はJPEG圧縮データの基本構造を示す。圧縮データファイルはISO/IEC10918−1に規定されるJPEG BaselineDCTフォーマットに準拠して記録し、これにアプリケーションマーカセグメント(APP1)を挿入する。また必要に応じてAPP1の直後に連続してAPP2を複数個記録することもできる。APP1の内部は、APP1マーカ、Exifの識別コード、付属情報本体から構成される。これらをすべて含んだAPP1のサイズは、JPEGの規格により64kバイト以下とする。付属情報はファイルヘッダを含むTIFFの構造をとり、最大2つのIFD(0th IFD、1st IFD)を記録できる。この内、0th IFDには圧縮されている二次元画像に関する付属情報を記録する。また1st IFDにはサムネイル画像を記録することができる。一方、APP2の内部は、APP2マーカ、FPXR(FlashPix Ready)の識別コード、およびFlashPix用拡張データ記録のためのコンテンツリスト、またはストリームデータから構成される。APP2もAPP1と同じく64kバイト以下の制限があり、これ以上のデータを記録する際はAPP2を複数個連続して記録する。また図15は、Exif IFDに記録される付属情報(フィールド名、コード)一覧表である。この図に示すように、タグ情報として様々な情報をユーザは付加することができる。
【0091】
このようにして3次元画像を所望の照明条件で表示させて取得した反射付2次元画像データに、元となる3次元画像データ及び照明条件を埋め込み、一の画像データファイルに統合することで、同一の観察対象に関する2次元データと3次元データを個別に保存することなく、1ファイルで利用できるようになる。また、このファイルを読み込むことで、反射付2次元画像データを取得した際と同一の照明条件で照明シミュレーションを再現できるので、照明を付した観察に好都合である。特に複数の観察対象物において照明条件を共通にすることで、比較が容易となる。
【0092】
上述のとおり、JPEGやTIFF形式のデータにはユーザが利用可能な領域が存在するので、この領域に照明条件データ及び3次元画像データに関する情報を記録する。ここでは、3次元画像データ及び照明条件データを結合していることを示すフラグデータ、3次元画像データ及び照明条件データの結合領域アドレス、3次元画像データ及び照明条件データのサイズを上記の領域に書き込む。さらに、指定された領域に照明条件データ及び3次元画像データを結合した2次元画像データを作成する。このようにして生成されるファイルの構成の一例を図16に示す。この図に示すように、2次元画像データファイルのヘッダ情報に3次元画像データに関する情報を記録し、さらに2次元画像データの後ろに照明条件データ、3次元画像データを追加している。
【0093】
このファイルは、3次元画像データを埋め込んでいるものの、ファイル形式としては汎用的な2次元画像ファイルの形式に従っている。したがって、画像ファイルを表示可能なソフトウェアで読み込み、2次元画像データ部分を表示することが可能である。ソフトウェアとしては、例えばフォトレタッチソフト等の画像加工編集ソフトやインターネットブラウザ、ビューワソフト等が利用できる。なお、3次元データに非対応のソフトウェアでこの2次元画像データを加工すると、通常の2次元画像データ形式に書き換えられてしまうため3次元画像データ及び照明条件データは失われる。ファイルをオープンしても、閲覧のみで書き込みをしない限りは元のファイルのデータ構造は維持されるため、3次元データ及び照明条件データも保持される。
【0094】
また、3次元データの閲覧に対応した3次元画像表示プログラム等の専用ソフトでこのファイルを読み込むと、2次元画像データと共に3次元画像データも表示でき、さらに照明条件データに基づき照明シミュレーションを再現できる。専用ソフトでファイルを読み込む場合は、ヘッダ情報に記録された3次元画像データ及び照明条件データの結合フラグを確認する。これによって3次元画像データ及び照明条件データが取り出され、反射付3次元画像の表示が可能となる。また上述のとおり、3次元画像データの表示視点の変更や拡大率を変化させて表示させることも可能である。さらに、ソフトの同一画面上で2次元画像データと3次元画像データを同時に表示可能としたり、それぞれ加工や編集も可能とすることもできる。さらにまた、3次元画像を所望のアングルに設定し、既に記録されている2次元画像データ部分を新たな2次元画像で書き換えることも可能となる。加えて、3次元画像データの結合を解除し、2次元画像データのみとすることもできるし、また新たな2次元画像データに3次元画像データを埋め込むこともできる。
【0095】
以上のような画像データの生成、編集機能を備える装置やプログラムの他、このような機能を省き閲覧のみを可能とした簡易的な閲覧装置や閲覧プログラムとすることもできる。すなわち、3次元データおよび2次元データの表示や視点、拡大率等の変更は可能であるが、3次元データの生成はできない制限付のソフトウェアとする。例えば、閲覧プログラムを3次元データ付2次元画像データと共に送付あるいは配布することで、専用の画像ファイル生成プログラムが無くても3次元画像データを表示することが可能となる。例えば、閲覧プログラムを特定のホームページからダウンロード可能とする等、無償で配布すれば、作成された3次元画像データを誰でも利用できるようになるので、利用が促進され該画像ファイルフォーマットが普及し易くなる。また3次元画像データの生成は閲覧ソフトではできないため、画像ファイル生成プログラムの需要も高まり、さらに利用の拡大が期待できる。
【0096】
なお、上述した実施形態によって、記録媒体に関する発明の実施行為は狭く限定されない。例えば、通信回線を介して上記プログラムを配送し、相手国先のコンピュータの記録媒体(システムメモリやハードディスク等)に上記プログラムを記録して(させて)もよい。この場合、プログラムの配送元は、相手国内において本発明の記録媒体を製造し、また現に製造された記録媒体を相手国内において配送先に譲渡したこととなる。
[画像ファイル生成装置]
【0097】
以上の画像ファイルフォーマットを作成する処理は、拡大観察装置で行う他、専用の画像ファイル生成装置やプログラムで行うこともできる。本明細書において、2次元画像データと、該2次元画像データ撮像時の高さ情報とを取得するための機能とは、画像ファイル生成装置やプログラム自体が撮像を行う他、他の装置やプログラムで撮像された2次元画像データ及びその高さ情報データを入力する場合も包含する。したがって、画像ファイル生成装置やプログラムは、必ずしも撮像部等の画像撮像のためのハードウェアを持つことを要せず、取得された画像の照明シミュレーションや保存等の処理を行うものであれば足りる。
【0098】
ここで、画像ファイル生成装置の構成を図17のブロック図で説明する。図17に示す画像ファイル生成装置500は、制御部510に入力部530、表示部520、ファイル生成部540、および照明設定部560を接続している。入力部530は、既に取得された画像ファイルを画像ファイル生成装置500に入力するための部材であり、外部メディア読み取り装置や通信インターフェース等が利用できる。また制御部510は、入力部530から入力された画像データファイルに対して、照明シミュレーションを行い、反射付3次元観察画像を演算するものであり、所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエアやソフトウエア、あるいはこれらの混在により実現できる。表示部520は、制御部510で演算された反射付3次元観察画像等を表示するための部材であり、液晶モニタやCRT等が利用できる。
(照明設定部560)
【0099】
照明設定部560は、照明シミュレーションを行うための照明条件を設定する。ユーザは照明設定部560に接続された操作部560により、所望の照明条件を設定する。図17の照明設定部560は、照明光を発する光源側の設定を行う光源調整部562と、照明光により反射して陰影パターンを生じる反射側の設定を行う反射調整部564とを有している。光源調整部562は、光源の位置や角度、光量等を調整する。ここでは、操作部560の一形態であるマウスで図10に示す光源アイコンIをドラッグして光源の位置を調整し、光量を図11に示す「明るさ」欄420のスライダで調整する。また反射調整部564は、光源から3次元観察画像に仮想的に照射される照明光の反射状態を変化させることができる。例えば図11に示す「表面」欄430のスライダを強にすれば、金属のように正反射成分が強められ、弱にすれば石膏のように拡散反射の成分を多くして反射を抑制する。これによって照明による表面の凹凸の様子の観察を容易にすることができる。このように、現実の照明観察であれば対象物表面の反射状態をコントロールすることができないが、本実施の形態のように演算処理によって仮想的に照明を照射する照明シミュレーションにおいては、反射状態を変化させて擬似的に金属のような正反射の強い状態や、石膏のような拡散反射する状態をシミュレーションすることができ、観察目的等に応じた見え方に調整できる利点が得られる。照明条件を構成する照明パラメータとしては、光源の空間的な位置、角度、照明光の明るさ、3次元観察画像の表面の反射率、反射する光束の太さ、反射光の拡散、環境光の明るさ等が挙げられる。この例では、3次元観察画像表面の反射率(スペキュラー)は、どれだけ明るく反射するかを示す指標であり、反射する光束の太さ(パワー)は反射する光の太さを示し、反射光の拡散(ディフューズ)は拡散の度合い、環境光の強さ(アンビエント)は背景光の強度を示す。図11の例では、スライダによって表面の反射率や拡散率を調整して反射の強弱を表現しており、スライダのみの調整とすることでユーザに複雑な照明パラメータを意識させることなく調整を容易にしている。ただ、ユーザが上記照明パラメータを直接指定するように構成してもよく、より自由度の高い反射の調整を可能とできる。また、ユーザの嗜好に応じてこれらスライダによる簡易調整と、各照明パラメータの指定による詳細設定とを切換可能とすることもできる。
【0100】
このようにして指定された照明条件で照明シミュレーションを実行し、反射付3次元観察画像を生成した後、ファイル生成部540によって画像ファイルを保存する。ファイル生成部540は、得られた反射付3次元観察画像を2次元画像データに変換し、反射付2次元画像データとして保存することができ、さらにこの反射付2次元画像データに、元の3次元画像データおよび照明条件データを埋め込んだ2次元画像フォーマットを生成して、一のファイルで照明シミュレーションを再現可能とできる。ファイル生成部540で生成された画像ファイルフォーマットは、ファイル生成部540に接続された画像データ記憶部570に保存される。画像データ記憶部570は、画像データファイルを保存する記録媒体であり、ハードディスク等の外部記憶装置や各種メディア等の記録媒体が利用できる。
【0101】
なお上述した各構成要素が必ずしも図17等に示した構成と同一でなくてもよく、その機能が実質的に同一であるものや、一つの要素が図17に示す構成における複数の要素の機能を備えるもの、逆に図17の一つの部材の機能を複数の要素で実現するものは、本発明に含まれる。以下、画像ファイル生成装置500で3次元画像を2次元画像に埋め込む手順を、図18のフローチャートに基づき説明する。
【0102】
まずステップS1801で装置の初期化を行った後、高さの異なる2次元画像を撮影する(ステップS1802)。ここでは、撮像部と観察対象の相対高さを変更しながら、撮像部で観察対象のスライス画像を複数枚取得する。そしてステップS1803で3D処理と表示を行う。具体的には、複数のスライス画像と相対高さ情報から3次元の立体画像を構築して、作成された3次元画像を表示部520に表示させる。次に、作成された3次元画像に対して照明条件を設定し、照明シミュレーションを実行する(ステップS1804)。照明条件としては光源の位置、明るさ、3次元観察画像の位置、角度、表面の反射率等がある。これらのパラメータは、照明条件データとして記録される。さらに必要に応じて、得られた反射付3次元観察画像を所望の表示状態にて2次元画像として保存する(ステップS1805)。そして、この反射付2次元画像データを保存するか否かを判定する(ステップS1806)。保存しない場合は処理を終了し、保存する場合は、反射付2次元画像データ撮像時の照明条件データと3次元画像データとを、反射付2次元画像データに結合する(ステップS1807)。ここでは、汎用の2次元画像データの画像フォーマットをベースとして、この中に3次元画像データ等を埋め込んだ形の2次元画像データを生成する。具体的には、JPEG、TIFF等のユーザが利用可能な領域に、3次元画像データを結合していることを示すフラグデータ、3次元画像データの結合領域アドレス、3次元画像データのサイズを書き込み、指定された領域に3次元画像データを結合した2次元画像データを作成する。3次元画像データ領域には、照明シミュレーションで使用した3次元画像の位置、角度、反射率、光源の位置、明るさ等の照明条件データも併せて保存する。
【0103】
なお、ステップS1805とステップS1807を同時に行い、表示中の反射付3次元観察画像をそのまま2次元画像として保存すると共に、該2次元画像に照明条件と3次元画像データを埋め込むよう設定してもよい。これにより、ユーザの操作手順を簡略化して表示部520に表示中のイメージを速やかに2次元画像データとして保存できる。
(照明シミュレーションの再現)
【0104】
またこの2次元画像データを3次元画像表示プログラム等の専用ソフトで読み込めば、反射付2次元画像と同一の表示状態で反射付3次元観察画像を再構築できる。次に、構築された画像ファイルフォーマットを3次元画像表示プログラムで読み込み、反射付3次元観察画像を再構築する手順の一例について、図19のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS1901で画像ファイルを読み込む。そしてステップS1902で3次元画像データの結合フラグを確認し、フラグが存在する場合、すなわち3次元画像データが結合されている画像ファイルであれば、ステップS1903に進み、照明条件データが保存されているか否かを確認する。このようにして、照明シミュレーションの実行に必要なデータが揃っていることが確認されると、ステップS1904で照明シミュレーションの実行確認が行われ、YESの場合はステップS1905に進み照明条件データに従って照明シミュレーションが実行される。なおステップS1902〜ステップS1904のいずれにおいてもNOの場合は、照明シミュレーションの実行に必要なデータが揃っていないと判断され、処理が終了する。なお、3次元画像表示プログラムでは、照明シミュレーションを行った反射付3次元観察画像表示、元の3次元画像表示、2次元画像表示を各々切り替えて表示することが可能である。また3次元画像表示プログラムに画像ファイル生成機能を持たせ、任意の2次元画像で2次元画像データを更新させたり、2次元画像データと3次元画像データとの結合を解除することも可能である。
【0105】
上記の2次元画像データに埋め込まれる3次元画像データ及び照明条件データは、圧縮してデータ容量をコンパクトにすることもできる。3次元画像データ及び照明条件データのデータ領域を既知の圧縮アルゴリズムで圧縮し、データサイズを小さくする。特に3次元画像データはデータサイズが大きくなる傾向にあるので、圧縮することで記憶領域を圧迫せず、また配布や転送、保存が容易となる。さらに、3次元画像データや照明条件データを暗号化して記録することもできる。データを暗号化することによってセキュリティを高め、情報漏洩のリスクを低減できる。暗号化のアルゴリズムも既知のアルゴリズムが適宜利用できる。また2次元画像データを含めたデータ領域を暗号化することもできる。
【0106】
なお3次元画像データを埋め込む2次元画像データは、3次元画像データに基づいて取得した照明付2次元観察画像に限られず、任意の画像を利用できることはいうまでもない。例えば、3次元画像データを生成する際の基準となった複数の2次元画像データから任意の一枚を選択して、選択された2次元画像データを3次元画像データの埋め込み先とする。あるいは、3次元画像データと無関係な2次元画像に3次元画像データを埋め込むことも可能である。例えば、機密性の求められる3次元画像データを電子メール等で送信する際に、意図的に無関係な2次元画像に埋め込むことで、万一第三者に盗み見られた場合でも偽装して隠蔽できる。このような既存の2次元画像データに3次元画像データを統合して画像ファイルフォーマットを構築するには、例えば拡大観察装置に保存されている2次元画像をサムネイル等の一覧形式で表示させ、ユーザにファイラー中から3次元画像データを埋め込む先の2次元画像を選択させる等の方法が利用できる。あるいは、照明条件データの記録を省いて、2次元画像データに3次元画像データのみを埋め込むことも可能であることはいうまでもない。
[第3の実施の形態]
【0107】
また操作画面や表示画面等のユーザインターフェース画面は、上記の例に限られず、例えば表示部と照明シミュレーション設定部を一体にした3次元画像表示プログラムとする等、デザインや配置、大きさや形状等を適宜変更することができる。図20〜図31に、本発明の第3の実施の形態に係る3次元画像表示プログラムのユーザインターフェース画面の例を示す。これらの図に示すユーザインターフェース画面600では、画面の左側に表示部620を、右側に照明シミュレーション設定部630を配置している。照明シミュレーション設定部630は、上から操作対象を指定するための「ドラッグ対象」欄631、3次元観察画像の大きさを変更するための「大きさ」欄632、照明設定部560の一形態として照明の光量を調整するための「ライト明るさ」欄634及び3次元観察画像の表面における反射状態を設定するための「見え方」欄636、3次元観察画像の凹凸のみを表示するための「凹凸のみ表示」欄660、3次元観察画像や背景の色を指定、変更するための「色指定」欄638、3次元観察画像の高さを強調するための「高さ調整」欄640、3次元観察画像の高さ毎に等高線状に色分けした画像と実画像とを重ねて表示する比率を変更するための「高さ/SEM像」欄650、高さの目安となるXYZ軸に関する寸法を示したスケールの表示、非表示を選択するための「スケール」欄670、及び印刷、保存、リセット、比較、終了等の各種操作を行うためのボタン類680が設けられている。
【0108】
図20は予め取得した3次元画像ファイルを開いた状態を示す。なお、ファイルのオープンは、「ファイルを開く」ダイヤログから選択する他、ウィンドウズエクスプローラ等のファイラー画面からファイルを選択してプログラムのウィンドウや表示部620にドラッグ&ドロップすることでも可能である。図20の画面では「ドラッグ対象」欄631のラジオボタンを「物」に選択しており、表示部620で表示される3次元観察画像をマウス等の操作部で移動、回転等操作できる。なおこの例では「大きさ」欄632のスライダを調整することで表示部620に表示される3次元観察画像を連続的に拡大/縮小できるが、例えばマウスのスクロールボタンにこの機能を割り当てることもできる。また図21に示すように、「見え方」欄636のドロップダウンリストで「照明なし」から、様々な照明条件に予め設定された照明状態を選択することで、照明シミュレーションを実行した反射付3次元観察画像を表示できる。図22は、「石膏風」の照明条件に設定された反射付3次元観察画像を表示する例を示している。この図に示すように、「ドラッグ対象」欄631で「ライト」を選択することにより、光源アイコンIが表示部620に表示される。そして「ライト明るさ」欄634のスライダを調整することにより、照明光の光量を調整でき、図23のように反射付3次元観察画像を明るく表示させたり、図24のように暗く表示させることもできる。このように、「ドラッグ対象」欄631及び「ライト明るさ」欄634を光源調整部562として機能させることができる。また「凹凸のみ表示」欄660のチェックボックスをONすることにより、図25のように反射付3次元観察画像が表面のテクスチャを非表示とした凹凸のみのソリッドモデルで表示される。さらに図26に示すように、「見え方」欄636のドロップダウンリストで「ワイヤフレーム」を選択すれば、ワイヤフレームで表示することもできる。
【0109】
「見え方」欄636は、反射調整部564の一形態であり、利用頻度が高いと思われる代表的な照明条件に設定するための照明条件セットをユーザに選択させる。ここでは、図21に示すように照明条件セットを「石膏風」、「プラスチック風」、「金属風」、「蛙の肌」等、得られる反射付3次元観察画像のイメージを想起し易い名称とし、ユーザは観察目的等に応じてこれらの照明条件セットの名称を参考にして選択する。各照明条件セットは、各々名称に対応する反射付3次元観察画像が得られるよう、表面の反射係数や拡散係数等の照明パラメータを予め設定している。照明条件セットが選択されると、これに応じて照明パラメータが自動的に設定される。このように、ユーザは得たい反射付3次元観察画像のイメージに近い照明条件セットを選択することで、複雑な照明パラメータを意識することなく、容易に得たい反射付3次元観察画像を取得する。また「見え方」欄636で「カスタム」を選択すると、図27に示すようにスライダ636Bが表示され、図11と同様にスライダの調整によって反射状態を可変できる。
【0110】
以上のようにして反射付3次元観察画像を取得後、ユーザは光源アイコンIを操作して照明の位置を仮想的に変更でき、表面の陰影状態の変化から凹凸の様子を立体的に把握できる。特に、現実に拡大観察装置に配置した照明の光源を移動させる方法に比べて、演算処理により仮想的に光源の移動を実現する本実施の形態によれば、手間もなく遙かに容易に反射付3次元観察画像を得ることができる。また、実際の照明の配置や移動といった手間もかからず、またそのような設備も不要とできるので、装置の小型化、低コスト化にも寄与できる。
(自動回転機能)
【0111】
図28〜図31に示すように、光源アイコンIを反射付3次元観察画像の周囲で反時計回りに回転させると、各々の光源の位置に応じて表面の陰影のパターンが変化する様子が観察できる。また、このように光源アイコンIを反射付3次元観察画像の周囲で自動的に回転させ、陰影パターンの変化を観察することもできる。本実施の形態では、マウスで光源アイコンIをドラッグしたまま一方向に移動させると、反射付3次元観察画像を固定したまま次にボタン操作があるまで該移動方向に光源アイコンIが回転を継続するように設定でき、観察を容易にできる。また、このような自動回転は、光源アイコンIを固定したまま反射付3次元観察画像を回転させたり、あるいは光源アイコンIと3次元観察画像との位置関係を維持したまま、両者を同時に回転させるよう構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の拡大観察装置、画像ファイル生成装置、画像ファイル生成プログラム、3次元画像表示プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器は、顕微鏡やデジタルマイクロスコープ、デジタルカメラに利用して、3次元画像データを含む2次元画像を生成し閲覧できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態に係る拡大観察装置の外観図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る拡大観察装置のブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る拡大観察装置のブロック図である。
【図4】高さzに対する受光データの変化を示すグラフである。
【図5】3次元データの撮像方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】3次元画像表示プログラムの操作を行うユーザインターフェース画面を示すイメージ図である。
【図7】照明シミュレーション機能実行前の3次元観察画像を示すイメージ図である。
【図8】照明シミュレーション機能によって拡散反射させた3次元観察画像を示すイメージ図である。
【図9】照明シミュレーション機能によって正反射成分を強調させた3次元観察画像を示すイメージ図である。
【図10】3次元観察画像に光源アイコンを表示した例を示すイメージ図である。
【図11】照明シミュレーション機能の設定画面を示すイメージ図である。
【図12】光源から照射される照明光の照射方向を示す照射線を表示させたイメージ図である。
【図13】照射線と直交する平面を表現する平面線を表示させたイメージ図である。
【図14】JPEG圧縮データの基本構造を示す概念図である。
【図15】図14のExif IFDに記録される付属情報を示す一覧表である。
【図16】本発明の実施の形態に係る画像ファイル生成装置で生成されるファイル構成の一例を示す概念図である。
【図17】画像ファイル生成装置の構成を示すブロック図である。
【図18】3次元データの保存する手順を示すフローチャートである。
【図19】反射付3次元観察画像を再構築する手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係る3次元画像表示プログラムのユーザインターフェース画面を示すイメージ図である。
【図21】図20に示す画面において、「見え方」欄のドロップダウンリストを展開した状態を示すイメージ図である。
【図22】図21に示す画面において、「石膏風」の照明条件に設定された反射付3次元観察画像を表示するイメージ図である。
【図23】図22に示す画面において、光源を明るく表示させた状態を示すイメージ図である。
【図24】図23に示す画面において、光源を暗く表示させた状態を示すイメージ図である。
【図25】図23に示す画面において、「凹凸のみ表示」機能をONとした状態を示すイメージ図である。
【図26】図22に示す画面において、ワイヤフレーム表示を選択した状態を示すイメージ図である。
【図27】図22に示す画面において、「見え方」欄で「カスタム」を選択した状態を示すイメージ図である。
【図28】図22に示す画面において、光源アイコンを反射付3次元観察画像の周囲で回転させる状態を示すイメージ図である。
【図29】図22に示す画面において、光源アイコンを反射付3次元観察画像の周囲で回転させる状態を示すイメージ図である。
【図30】図22に示す画面において、光源アイコンを反射付3次元観察画像の周囲で回転させる状態を示すイメージ図である。
【図31】図22に示す画面において、光源アイコンを反射付3次元観察画像の周囲で回転させる状態を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0114】
10…撮像部;10a…カメラ;11…光学系
12、212…CCD;13、213…CCD制御回路
14…光路シフト部;20…ステージ昇降器;21…ステッピングモータ
22…モータ制御回路;30…ステージ;
41…スタンド台;42…支柱;43…カメラ取り付け部
50…情報処理装置;51、510…制御部;52、520、620…表示部
53…メモリ;54…インターフェイス
55、550…操作部;55A…ポインティングデバイス
55a…マウス;55b…左ボタン;55c…右ボタン;55d…スクロールボタン
60…照明部;60A…落射照明;60B…透過照明
61…光ファイバー;62…コネクタ;70…コンピュータ
100…第一の光学系;101…レーザ;102…第一のコリメートレンズ
103…偏光ビームスプリッタ;104…1/4波長板
105…水平偏向装置;106…垂直偏向装置
107…第一のリレーレンズ;108…第二のリレーレンズ
109…対物レンズ;110…結像レンズ;111…ピンホール板
112…フォトダイオード;113…A/Dコンバータ;115…レーザ駆動回路
200…第二の光学系;201…白色ランプ;202…第二のコリメートレンズ
203…第1ハーフミラー;204…第2ハーフミラー
300…コントローラ部;310…「3Dファイル比較」欄
312…「比較モード」ボタン;313…「サブ切換」ボタン
314…「連動モード」ボタン;316…「同期セット」ボタン
320…「高さ調整」スライダ;322…「保存」ボタン;324…「リセット」ボタン
340…「ライトON」ボタン;400、630…照明シミュレーション設定部
410…「移動対象」欄;420…「明るさ」欄;430…「表面」欄
440…「ライトOFF」ボタン;450…「ライト表示」欄
460、660…「凹凸のみ表示」欄;470…「背景色」欄;480…「保存」ボタン
500…画像ファイル生成装置;530…入力部;540…ファイル生成部
560…照明設定部;562…光源調整部;564…反射調整部
570…画像データ記憶部;600…ユーザインターフェース画面
631…「ドラッグ対象」欄;632…「大きさ」欄;634…「ライト明るさ」欄
636…「見え方」欄;636B…スライダ;638…「色指定」欄
640…「高さ調整」欄;650…「高さ/SEM像」欄;670…「スケール」欄
680…ボタン類;S…試料;I…光源アイコン;A…照射線;B…平面線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象を撮像して2次元観察画像を取得するための撮像部と、
前記撮像部で取得した複数の2次元観察画像と、撮像時の高さ情報に基づいて、観察対象の3次元の観察画像を生成すると共に、前記3次元観察画像に対して仮想的に光源を配置し、前記光源から発する照明光を3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成可能な制御部と、
前記光源によって得られる照明の効果を調整可能な照明設定部と、
前記制御部で生成された3次元画像データ及び前記照明設定部で設定された照明条件データとを任意の2次元画像データに埋め込んで、一の画像データファイルとして生成可能なファイル生成部と、
前記ファイル生成部で生成された画像データファイルを保存するための画像データ記憶部と、
を備えることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の拡大観察装置であって、
前記2次元画像データが、所定の照明条件で前記反射付3次元観察画像を特定の姿勢で表示した反射付2次元観察画像であることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の拡大観察装置であって、
前記制御部が生成する反射付3次元観察画像が、観察対象の3次元観察画像の各部位における照明光の反射状態を、他の部位による影響を考慮することなく独立して演算してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の拡大観察装置であって、前記照明設定部が、
前記光源の位置及び/又は角度を変更可能な光源調整部と、
前記光源から前記3次元観察画像に仮想的に照射される照明光の反射状態を調整可能な反射調整部とを含むことを特徴とする拡大観察装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記照明設定部が、照明条件を構成する照明パラメータとして光源の位置、角度、照明光の明るさ、3次元観察画像の表面の反射率、反射する光束の太さ、反射光の拡散、環境光の明るさの少なくともいずれかを調整可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記照明設定部が、予め所定の照明パラメータを設定した複数の照明条件セットに、生成される反射付3次元観察画像のイメージに基づいた名称を付けて選択可能に提示してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の拡大観察装置であって、さらに、
前記制御部で生成された3次元観察画像を表示するための表示部を備えることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項8】
請求項7に記載の拡大観察装置であって、
前記表示部において表示される3次元観察画像に、前記光源の位置を表示可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項9】
請求項8に記載の拡大観察装置であって、
前記光源の位置が照明を表現するイメージ画像で表示されてなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項10】
請求項9に記載の拡大観察装置であって、
前記照明設定部が、前記照明イメージ画像を操作することで、光源の位置及び/又は角度を調整可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記光源の位置から仮想的に照射される照明光の照射方向を示す照射線を、前記表示部上で反射付3次元観察画像に重ねて表示可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項12】
請求項11に記載の拡大観察装置であって、
前記照射線が反射付3次元観察画像と交差する点まで延長されて表示可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項13】
請求項12に記載の拡大観察装置であって、
前記照射線と直交する平面を表現する平面線を、前記表示部上で反射付3次元観察画像に重ねて表示可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記表示部において表示される3次元観察画像において、表面の形状のみを表示可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記出力部で出力される画像データファイルのフォーマットが、汎用の2次元画像データフォーマットであることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項16】
請求項15に記載の拡大観察装置であって、
前記出力部で2次元画像データ中に埋め込まれる3次元画像データに関する情報を、2次元画像データフォーマット中のユーザが利用可能な領域に記録することを特徴とする拡大観察装置。
【請求項17】
請求項16に記載の拡大観察装置であって、
前記出力部で2次元画像データ中に埋め込まれる前記3次元画像データに関する情報として、3次元画像データを結合していることを示すフラグデータ、3次元画像データの結合領域アドレス、3次元画像データのサイズの少なくともいずれかを含む情報を、2次元画像データフォーマット中のユーザが利用可能な領域に記録することを特徴とする拡大観察装置。
【請求項18】
請求項15から17のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記出力部で2次元画像データ中に埋め込まれる3次元画像データのデータ領域を圧縮することを特徴とする拡大観察装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記出力部で出力される画像データファイルのフォーマットが、jpegまたはtiffのいずれかであることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項20】
3次元観察画像を生成するために必要なデータを取得するための入力部と、
前記入力部で取得したデータに基づいて3次元観察画像を構築し表示するための表示部と、
前記表示部に表示される3次元観察画像に対して仮想的に光源を配置し、前記光源から発する照明光を3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成可能な制御部と、
前記光源によって得られる照明の効果を調整可能な照明設定部と、
前記照明設定部で設定された照明条件で前記表示部に表示される反射付3次元観察画像を2次元画像として取得すると共に、該反射付2次元画像データに、元となる反射付3次元観察画像を生成するための3次元画像データ及び照明条件データを埋め込んで、一の画像データファイルとして生成するためのファイル生成部と、
前記ファイル生成部で生成された画像データファイルを保存するための画像データ記憶部と、
を備えることを特徴とする画像ファイル生成装置。
【請求項21】
2次元画像データと、該2次元画像データ撮像時の高さ情報とを取得するための機能と、
取得した一の観察対象に関する複数の2次元画像データとその高さ情報に基づいて、3次元の観察画像を生成し、表示部に表示する機能と、
前記表示部に表示される前記3次元観察画像に対して仮想的に光源を配置し、前記光源から発する照明光を3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成するための照明機能と、
前記光源による照明の条件または3次元観察画像表面の反射の条件の少なくともいずれかを調整可能な照明条件設定機能と、
前記照明条件設定機能で設定された照明条件で前記表示部に表示される反射付3次元観察画像を2次元画像として取得すると共に、該反射付2次元画像データに、元となる反射付3次元観察画像を生成するための3次元画像データ及び照明条件データを埋め込んで、一の画像データファイルとして生成するためのファイル生成機能と、
前記ファイル生成機能で生成された画像データファイルを保存するための画像データ記憶機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする画像ファイル生成プログラム。
【請求項22】
2次元画像データフォーマットで構築された画像データファイル中に、2次元観察画像に関する2次元画像データと、3次元観察画像に関する3次元画像データとが記録されており、該画像データファイルに記録された画像データを表示可能な3次元画像表示プログラムであって、
前記画像データファイルを読み込み、該画像データファイルに記録された3次元画像データに基づき、3次元観察画像を表示部に表示すると共に、該3次元観察画像に対して移動、回転、拡大/縮小の少なくともいずれかの操作が可能な表示機能と、
前記画像データファイルが、該画像データファイル中に含まれる3次元画像データに対して仮想的に光源を配置した状態で、前記光源から発する照明光を該3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成するための照明条件データを含む場合、前記表示機能で表示される3次元観察画像に対して、前記照明条件データに基づいて反射付3次元観察画像を生成すると共に、照明条件を構成する照明パラメータを変更可能な調整機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする3次元画像表示プログラム。
【請求項23】
請求項22に記載の画像ファイル生成装置であって、
前記画像データファイルがさらに、該画像データファイル中に含まれる2次元画像データが、前記3次元画像データ及び照明条件データに基づいて生成される反射付3次元観察画像を2次元画像として表示した反射付2次元観察画像である場合、前記調整機能は、前記3次元画像データ及び照明条件データに基づいて、反射付2次元観察画像と同じ見え方で反射付3次元観察画像を構築可能であることを特徴とする3次元画像表示プログラム。
【請求項24】
2次元画像データフォーマットで構築された画像データファイル中に、2次元観察画像に関する2次元画像データと、3次元観察画像に関する3次元画像データとが記録されており、該画像データファイルに記録された画像データを表示可能な3次元画像表示プログラムであって、
前記画像データファイルを読み込み、該画像データファイルに記録された3次元画像データに基づき、3次元観察画像を表示部に表示すると共に、該3次元観察画像に対して移動、回転、拡大/縮小の少なくともいずれかの操作が可能な表示機能と、
前記画像データファイルが、該画像データファイル中に含まれる3次元画像データに対して仮想的に光源を配置した状態で、前記光源から発する照明光を該3次元観察画像に照射して生じる光の反射の状態を表現した反射付3次元観察画像を生成するための照明条件データを含む場合、前記表示機能で表示される3次元観察画像に対して、前記照明条件データに基づいて反射付3次元観察画像を生成すると共に、照明条件を構成する照明パラメータを変更可能な調整機能と、
前記調整機能により所望の照明条件に調整された反射付3次元観察画像を2次元画像として取得すると共に、前記画像データファイルに記録された2次元画像データを、該反射付3次元観察画像を表示する反射付2次元画像で更新する2次元画像更新機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする3次元画像表示プログラム。
【請求項25】
請求項21から24のいずれかに記載されるプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−23820(P2006−23820A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199278(P2004−199278)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ウィンドウズ
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】