説明

拡幅掘削装置及び杭坑拡幅方法

【課題】 掘削ビットの傾斜角度の調整可能な範囲を広げることにより、設計の自由度を広げる。
【解決手段】 回転体に取り付けられて用いられ、場所打ちコンクリート杭の杭坑を拡幅するための杭坑拡幅装置1であって、回転体の回転軸を対称中心として互いに対称に設けられるとともに、回転軸を対称中心として互いに対称な位置を中心として水平方向にそれぞれ揺動可能な一対の掘削ビット8、14と、この一対の掘削ビット8、14を揺動させるアクチュエータ19、24とを備える。アクチュエータ19、24により両掘削ビット8、14の揺動角度を調整し、この揺動角度に応じた拡幅半径及び傾斜角度で両掘削ビット8、14を回転体と共に回転させることにより、杭坑の内壁面を所定の深さ、傾斜角度に拡幅掘削することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡幅掘削装置及び杭坑拡幅方法に関し、特に、杭坑の内壁面を拡幅掘削して所定の角度、深さの壁面を有する節部を形成するのに有効な拡幅掘削装置及び杭坑拡幅方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、場所打ちコンクリート杭の地盤に対する支持力を高めるために、様々なタイプの杭が提案されており、例えば、坑の底部を拡幅した拡底杭や杭の中間部を拡幅した節杭等が提案されている。
【0003】
このような構成の拡底杭や節杭は、掘削機によって地盤に所定の径の杭坑を掘削した後に、拡幅掘削装置を杭坑内に挿入し、拡幅掘削装置を作動させて杭坑の所定の位置を拡幅掘削し、その後に杭坑内にコンクリートを打設することにより、杭坑の形状に合致した形状に形成される。
【0004】
上記のような構成の拡底杭や節杭の形成に用いられる拡幅掘削装置の一例が特許文献1に記載されている。この拡幅掘削装置は、油圧ジャッキの作動により連結ロッドを介して拡幅翼を押し広げながら、ケリーバを介して拡幅掘削装置を回転駆動させることにより、拡幅翼の突出量に応じた深さ、拡幅翼の傾斜角度に応じた角度の節部を杭坑の内壁面に形成するように構成したものである。
【0005】
また、拡幅掘削装置の他の例が特許文献2に記載されている。この拡幅掘削装置は、油圧ジャッキの作動により掘削ビットを押し広げながら、ケリーバを介して拡幅装置を回転駆動させることにより、掘削ビットの突出量に応じた深さ、掘削ビットの傾斜角度に応じた角度の節部を杭坑の内壁面に形成するように構成したものである。
【特許文献1】特開2001−193376号公報
【特許文献2】特許第1628648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような構成の拡幅掘削装置のうち、特許文献1に記載されている拡幅掘削装置は、節部の内壁面の傾斜角度を変更する場合に、その角度に応じた拡幅翼に交換しなければならいため、その交換作業に手間がかかり、拡幅掘削作業の効率が悪くなる。また、傾斜角度を異ならせた複数の拡幅翼を用意しておかなければならないため、設備費が高くついてしまう。さらに、拡幅幅を独立して調整することができない。
【0007】
また、特許文献2記載に記載されている拡幅掘削装置も、特許文献1に記載されているものと同様に、節部の内壁面の傾斜角度を変更する場合に、その角度に応じた掘削ビットに交換しなければならないため、その交換作業に手間がかかり、拡幅掘削作業の効率が悪くなる。また、傾斜角度を異ならせた複数の掘削ビットを用意しておかなければならないため、設備費が高くついてしまう。さらに、拡幅幅を独立して調整することができない。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、節部の壁面の拡幅角度及び拡幅幅を変更する場合に、部品を交換することなく容易にその拡幅角度及び拡幅幅の変更に対応することができるとともに、変更可能な角度及び幅の範囲が広く、設計の自由度を広げることができ、各種の構造物等の杭の杭坑に適用可能な汎用性の高い拡幅掘削装置及び杭坑拡幅方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、回転体に取り付けられて用いられ、場所打ちコンクリート杭の杭坑を拡幅するための杭坑拡幅装置であって、前記回転体の回転軸を対称中心として互いに対称に設けられるとともに、前記回転軸を対称中心として互いに対称な位置を中心として水平方向にそれぞれ揺動可能な一対の掘削ビットと、該一対の掘削ビットを揺動させるアクチュエータとを備え、前記アクチュエータにより前記両掘削ビットの揺動角度を調整し、この揺動角度に応じた拡幅半径及び傾斜角度で前記両掘削ビットを前記回転体と共に回転させることにより、杭坑の内壁面を拡幅掘削することを特徴とする。
本発明による拡幅掘削装置によれば、アクチュエータの作動により一対の掘削ビットの揺動角度を調整し、この状態で両掘削ビットを回転体と共に回転させることにより、その揺動角度に応じた拡幅半径で杭坑の内壁面が拡幅掘削されることになる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の拡幅掘削装置であって、前記一対の掘削ビットのそれぞれに掘削ビットの傾斜角度を調整する傾斜角度調整機構を備え、該傾斜角度調整機構により各々の掘削ビットの傾斜角度を調整し、この傾斜角度に応じた角度で前記杭坑の内壁面を拡幅掘削することを特徴とする。
本発明による拡幅掘削装置によれば、傾斜角度調整機構の作動により一対の掘削ビットの各々掘削ビットの傾斜角度を調整し、この状態で両掘削ビットを回転体と共に回転させることにより、その傾斜角度に応じた角度で杭坑の内壁面が拡幅掘削されることになる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の拡幅掘削装置であって、前記傾斜角度調整機構は、前記一方の掘削ビット及び他方の掘削ビットをそれぞれ垂直方向に揺動可能に支持する連結ピンと、前記一方の掘削ビット及び他方の掘削ビットをそれぞれ垂直方向に揺動させるアクチュエータとからなることを特徴とする。
本発明による拡幅掘削装置によれば、傾斜角度調整機構のアクチュエータの作動により、連結ピンを介して各掘削ビットを垂直方向に揺動させることにより、各掘削ビットの傾斜角度が調整され、この状態で両掘削ビットを回転体と共に回転させることにより、その傾斜角度に応じた角度で杭坑の内壁面が拡幅掘削されることになる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のうち何れか1項に記載の拡幅掘削装置を用いて場所打ちコンクリート杭の杭坑を拡幅するための杭坑拡幅方法であって、前記拡幅掘削装置を前記回転体に取り付け、前記杭坑内の拡幅部掘削位置まで前記拡幅掘削装置を降下させ、前記回転体を回転させながら前記一対の掘削ビットの揺動角度を変化させて拡幅半径及び傾斜角度を増加させていくことにより拡幅掘削を行うことを特徴とする。
本発明による杭坑拡幅方法によれば、回転体を回転させながら、一対の掘削ビットの揺動角度を変化させて拡幅半径及び傾斜角度を増加させていくことにより、杭坑の内壁面が一対の掘削ビットの傾斜角度に応じた角度で拡幅掘削されることになる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、本発明による拡幅掘削装置によれば、アクチュエータの作動により、一対の掘削ビットの揺動角度を調整し、この状態で両掘削ビットを回転体と共に回転させることにより、その揺動角度に応じた拡幅半径で杭坑の内壁面を拡幅掘削することができる。この場合、アクチュエータのストロークを調整することにより各掘削ビットの揺動角度を任意に調整できるので、拡幅幅の調整範囲を広げることができる。
また、傾斜角度調整機構により、一対の掘削ビットの各々の掘削ビットの傾斜角度を調整することができ、この場合、アクチュエータのストロークを調整することにより各掘削ビットの傾斜角度を任意に調整できるので、拡幅掘削角度の調整範囲を広げることができる。
従って、設計の自由度を広げることができ、各種の構造物等の杭の杭坑に適用することができ、汎用性を高めることができる。また、拡幅幅、及び拡幅掘削角度を調整する場合に、その角度に応じた部品に交換する必要がないので、作業効率を高めることができるとともに、設備費を削減することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図3には、本発明による拡幅掘削装置の一実施の形態が示されていて、図1は拡幅掘削装置の全体を示す概略正面図、図2は拡幅調整機構の概略説明図、図3は傾斜角度調整機構の概略説明図である。
【0015】
すなわち、本実施の形態に示す拡幅掘削装置1は、図1に示すように、鉛直方向の軸であるセンターロッド2と、センターロッド2に一体に連結される支持フレーム4と、支持フレーム4に取り付けられる掘削手段7とを備えている。
【0016】
支持フレーム4は、図1及び図2に示すように、上下方向に所定の間隔をおいて対向して設けられる略円板状の上フレーム5と略皿形状の下フレーム6とを有し、上下フレーム5、6の中心部に軸線を一致させた状態でセンターロッド2が一体に設けられ、このセンターロッド2の上端部はケリーバ3に連結されている。
【0017】
センターロッド2は、図1に示すように、上フレーム5及び下フレーム6の中心部を貫通した状態で、上端部が上フレーム5に一体に連結され、下端部が下フレーム6に一体に連結され、これにより、センターロッド2と一体に支持フレーム4及び掘削手段7が回転駆動することになる。
【0018】
掘削手段7は、図1及び図2に示すように、支持フレーム4の上フレーム5と下フレーム6との間に、センターロッド2を中心として互いに平行をなすように設けられる一対の掘削ビット8、14と、両掘削ビット8、14の拡幅長さを調整する拡幅調整機構18と、両掘削ビット8、14の傾斜角度を調整する傾斜角度調整機構23とを備えている。
【0019】
一方の掘削ビット8は、図1及び図3に示すように、支持フレーム4の上フレーム5と下フレーム6の周縁部間に垂直に設けられるとともに、水平方向に回動可能な回動軸9と、下フレーム6の直径とほぼ同一長さに形成されるとともに、下フレーム6の上部に水平に配置された状態で一端部が回動軸9の下端部に一体に連結される水平可動ビット10と、水平可動ビット10の他端部に連結ピン11を介して垂直方向に揺動可能に連結される傾斜可動ビット12と、傾斜可動ビット12の外面側に長手方向に沿って所定の間隔ごとに一体に設けられる複数の掘削刃13とから構成されている。
【0020】
他方の掘削ビット14は、図1及び図3に示すように、一方の掘削ビット8の回動軸9とセンターロッド2を中心として相対する、支持フレーム4の上フレーム5と下フレーム6の周縁部間に垂直に設けられるとともに、水平方向に回動可能な回動軸15と、下フレーム6の直径とほぼ同一長さに形成されるとともに、下フレーム6の上部に水平に配置された状態で一端部が回動軸15の下端部に一体に連結される水平可動ビット16と、水平可動ビット16の他端部に連結ピン11を介して垂直方向に揺動可能に連結される傾斜可動ビット17と、傾斜可動ビット17の外面側に長手方向に沿って所定の間隔ごとに一体に設けられる複数の掘削刃13とから構成されている。
【0021】
拡幅調整機構18は、図2に示すように、一方の掘削ビット8の水平可動ビット10と他方の掘削ビット14の水平可動ビット16との間に設けられる一対のアクチュエータ19、19を備え、この一対のアクチュエータ19、19の作動により、一方の掘削ビット8の傾斜可動ビット12が回動軸9を中心として、水平可動ビット10を半径とする線上を図中矢印の方向に揺動し、他方の掘削ビット14の傾斜可動ビット17が回動軸15を中心として、水平可動ビット16を半径とする線上を図中矢印方向に揺動し、両傾斜可動ビット12、17の揺動角度を調整することにより、拡幅長さ(拡幅幅)を調整することができる。
【0022】
アクチュエータ19としては、油圧、空圧等によって各水平可動ビット10、16及び各傾斜可動ビット12、17を揺動させる動力を得ることができるものであれば特に制限はなく、本実施の形態において、各アクチュエータ19に油圧ジャッキを用いている。
【0023】
アクチュエータ19は、シリンダ20とシリンダ20から出没可能なロッド21とを有し、一方のアクチュエータ19のシリンダ20の後端部が一方の掘削ビット8の水平可動ビット10の一端部に連結ピン22を介して回動自在に連結され、ロッド21の先端部が他方の掘削ビット14の水平可動ビット16の長手方向の中間部に連結ピン22を介して回動自在に連結され、他方のアクチュエータ19のシリンダ20の後端部が他方の掘削ビット14の水平可動ビット16の一端部に連結ピン22を介して回動自在に連結され、ロッド21の先端部が一方の掘削ビット8の水平可動ビット10の長手方向の中間部に連結ピン21を介して回動自在に連結されている。
【0024】
拡幅調整機構18の両アクチュエータ19、19を作動させることにより、一方の掘削ビット8の傾斜可動ビット12が水平可動ビット10を半径とする線上を図中矢印方向に揺動し、他方の掘削ビット14の傾斜可動ビット17が水平可動ビット16を半径とする線上を図中矢印方向に揺動し、このときの両アクチュエータ19、19のロッド21、21のストロークを調整することにより、両傾斜可動ビット12、17の揺動角度、すなわち拡幅長さ(拡幅幅)を調整することができる。
【0025】
傾斜角度調整機構23は、図1及び図3に示すように、一方の掘削ビット8及び他方の掘削ビット14のそれぞれに設けられる一つのアクチュエータ24を備え、このアクチュエータ24の作動により、一方の掘削ビット8の傾斜可動ビット12及び他方の掘削ビット14の傾斜可動ビット17を、各水平可動ビット10、16の他端部の連結ピン11を中心として垂直方向にそれぞれ揺動させることにより、両傾斜可動ビット12、17の傾斜角度を調整することができる。
【0026】
アクチュエータ24としては、拡幅調整機構18のアクチュエータ19と同様に、油圧ジャッキが用いられ、各アクチュエータ24のシリンダ25の後端部が各回動軸9、15の下端部に連結ピン27を介して回動自在に連結され、ロッド26の先端部が各傾斜可動ビット12、17の他端部に連結ピン27を介して回動自在に連結されている。
【0027】
この場合、各アクチュエータ24のロッド26のストロークを調整することにより、それに応じて各傾斜可動ビット12、17の揺動角度が調整され、この揺動角度に応じた傾斜角度に杭坑の内壁面が拡幅掘削される。
【0028】
なお、掘削する拡幅部の傾斜角(杭坑中心軸に対する角度)が小さい場合には、傾斜可動ビット12、17の上端部が杭坑内面よりも外面側に位置することがあり、その場合、拡幅部上部の掘削ができず、掘削される拡幅部が台形状になってしまう。そのような場合には、回動軸9、15の上側に、各回動軸9、15と一体に回動可能な、外面側に掘削刃を備えた三角形板状の補助掘削ビットをそれぞれ取り付け、この補助掘削ビットにより拡幅部の上部を掘削するようにすればよい。
【0029】
支持フレーム4の下フレーム6の下面側には、底浚い用のスクレーパー28が下方に突出した状態で一体に設けられ、このスクレーパー28により杭坑の底部が浚われることになる。
【0030】
そして、上記のように構成した本実施の形態による拡幅掘削装置1をセンターロッド2を介してケリーバ3に取り付け、拡幅掘削装置1を杭坑内に挿入し、節部を掘削する位置まで下降させる。
【0031】
そして、拡幅調整機構18の各アクチュエータ19を作動させて、回動軸9、15を中心として両水平可動ビット10、16を揺動させ、両水平可動ビット10、16を支持フレーム4から外方に押し出す。これと同時に、あるいは水平可動ビット10、16が所定の位置になったら、傾斜角度調整機構23の各アクチュエータ24を作動させて、両傾斜可動ビット12、17を所定の角度に傾斜させる。
【0032】
そして、拡幅掘削機構18のアクチュエータ19及び傾斜角度調整機構23のアクチュエータ24の作動と同時にケリーバ3を回転させ、センターロッド2を介して拡幅掘削装置1を回転駆動させ、各傾斜可動ビット12、17の掘削刃13を杭坑の内壁面に圧接させ、杭坑の内壁面(上壁面)を所定の傾斜角度で拡幅掘削する。
【0033】
そして、この状態でケリーバ3によって拡幅掘削装置1を所定の位置まで回転下降させ、各水平可動ビット10、16の掘削刃13を杭坑の内壁面に圧接させることにより節部を所定の高さに形成する。
【0034】
そして、拡幅調整機構18の各アクチュエータ19を作動させて、回動軸9、15を中心として両水平可動ビット10、16を揺動させ、両水平可動ビット10、16と一体に両傾斜可動ビット12、17を揺動させて、両傾斜可動ビット12、17の揺動角度を調整し、これと同時に、傾斜角度調整機構23の各アクチュエータ24を作動させて、両傾斜可動ビット12、17を所定の角度に傾斜させる。この場合、両傾斜可動ビット12、17の傾斜角度は、上壁面を拡幅掘削した場合の傾斜角度と上下方向に対象となるように逆方向に傾斜させる。
【0035】
そして、この状態でケリーバ3を回転させ、センターロッド2を介して拡幅掘削装置1を回転駆動させ、各傾斜可動ビット12、17の掘削刃13を杭坑の内壁面に圧接させることにより、杭坑の内壁面(下壁面)が所定の傾斜角度で拡幅掘削される。
【0036】
上記のように、拡幅調整機構18の各アクチュエータ19、傾斜角度調整機構23の各アクチュエータ24を作動させて、両傾斜可動ビット12、17の揺動角度及び傾斜角度を調整することにより、杭坑の内壁面に所定の深さ、傾斜角度、所定の拡幅幅、高さの節部を形成することができる。
【0037】
なお、上記の場合、掘削される角度は、一方の掘削ビット8の傾斜可動ビット12の傾斜角度θ、及び他方の掘削ビット14の傾斜可動ビット17の傾斜角度θと、一方の掘削ビット8の回動軸9周りの回転角度φ、他方の掘削ビット14の回動軸15周りの回転角度φに依存する。従って、両掘削ビット8、14の傾斜角度θ及び回転角度φと掘削される角度との関係を経験的に又は理論的に求め、所望の拡幅部の角度に応じた傾斜角度θ、及び回転角度φを求めるようにする。
【0038】
上記のように構成した本実施の形態による拡幅掘削装置1にあっては、一対の掘削ビット8、14の各水平可動ビット10、16の揺動角度を拡幅調整機構18によって調整することにより、その揺動角度に応じた拡幅深さ(拡幅幅)の節部に形成することができるとともに、一対の掘削ビット8、14の各傾斜可動ビット12、17の傾斜角度を傾斜角度調整機構23によって調整することにより、その傾斜角度に応じた傾斜角度に節部の壁面を形成することができる。
【0039】
この場合、拡幅調整機構18の各アクチュエータ19のロッド21のストロークを調整することにより、ロッド21のストロークの範囲内で各水平可動ビット10、16の支持フレーム4からの突出長さ、すなわち節部の深さ(拡幅幅)を任意に調整できるとともに、傾斜角度調整機構23の各アクチュエータ24のロッド26ストロークを調整することにより、ロッド26のストロークの範囲内で各傾斜可動ビット12、17の傾斜角度、すなわち節部の壁面の傾斜角度を任意に調整できることになる。
【0040】
従って、節部の深さ(拡幅幅)、壁面の傾斜角度の調整範囲を広くすることができるので、設計の自由度を広げることができ、各種の構造物等の杭等の杭坑に適用することができ、汎用性を高めることができる。
【0041】
さらに、節部の深さ(拡幅幅)及び壁面の傾斜角度を調整する場合に、部品を交換する必要がないので、作業効率を高めることができるとともに、設備費を大幅に削減することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による拡幅掘削装置の一実施の形態を示した概略正面図である。
【図2】図1の拡幅調整機構の概略説明図である。
【図3】図1の傾斜角度調整機構の概略説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 拡幅掘削装置 2 センターロッド
3 ケリーバ 4 支持フレーム
5 上フレーム 6 下フレーム
7 掘削手段 8 一方の掘削ビット
9、15 回動軸 10 水平可動ビット
11、22、27 連結ピン 12 傾斜可動ビット
13 掘削刃 14 他方の掘削ビット
16 水平可動ビット 17 傾斜可動ビット
18 拡幅調整機構 19、24 アクチュエータ
20、25 シリンダ 21、26 ロッド
23 傾斜角度調整機構 28 スクレーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体に取り付けられて用いられ、場所打ちコンクリート杭の杭坑を拡幅するための杭坑拡幅装置であって、
前記回転体の回転軸を対称中心として互いに対称に設けられるとともに、前記回転軸を対称中心として互いに対称な位置を中心として水平方向にそれぞれ揺動可能な一対の掘削ビットと、
該一対の掘削ビットを揺動させるアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータにより前記両掘削ビットの揺動角度を調整し、この揺動角度に応じた拡幅半径で前記両掘削ビットを前記回転体と共に回転させることにより、杭坑の内壁面を拡幅掘削することを特徴とする拡幅掘削装置。
【請求項2】
前記一対の掘削ビットのそれぞれに掘削ビットの傾斜角度を調整する傾斜角度調整機構を備え、該傾斜角度調整機構により各々の掘削ビットの傾斜角度を調整し、この傾斜角度に応じた角度で前記杭坑の内壁面を拡幅掘削することを特徴とする請求項1記載の拡幅掘削装置。
【請求項3】
前記傾斜角度調整機構は、前記一方の掘削ビット及び他方の掘削ビットをそれぞれ垂直方向に揺動可能に支持する連結ピンと、前記一方の掘削ビット及び他方の掘削ビットをそれぞれ垂直方向に揺動させるアクチュエータとからなることを特徴とする請求項2に記載の拡幅掘削装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうち何れか1項に記載の拡幅掘削装置を用いて場所打ちコンクリート杭の杭坑を拡幅するための杭坑拡幅方法であって、
前記拡幅掘削装置を前記回転体に取り付け、
前記杭坑内の拡幅部掘削位置まで前記拡幅掘削装置を降下させ、
前記回転体を回転させながら前記一対の掘削ビットの揺動角度を変化させて拡幅半径及び傾斜角度を増加させていくことにより拡幅掘削を行うことを特徴とする杭坑拡幅方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−219868(P2006−219868A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33057(P2005−33057)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(504365799)株式会社特殊構工法計画研究所 (26)
【出願人】(000157289)丸五基礎工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】