説明

拡張VoIP(ボイス・オーバ・インターネット・プロトコル)

【課題】定義された組に属する複数の装置がその中で互いに通信するネットワークを介して、時間依存型のパケット・データを送信するための方法を提供すること。
【解決手段】本方法は、音声データを含む少なくとも1つの第1のパケットを受信すること、実時間のパケット対応スタックを用いて、少なくとも1つの第2のパケットを形成するようにその少なくとも1つの第1のパケットを処理すること、およびネットワークを介して送信するために、その少なくとも1つの第2のパケットを同期コントローラに送ることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電気通信システムに関し、より詳細には、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、音声およびデータは、2つの基本的な交換技術を用いて有線および/または無線ネットワークを介して送信することができる。従来の音声電話通話、ならびにモデムによって提供されるデータは、回線交換接続を用いて送信される。あるいは、音声およびデータは、ボイス・オーバ・インターネット・プロトコル(しばしば、VoIPと呼ばれる)を用いて、パケット交換ネットワークを介して伝送することもできる。回線交換ネットワークとパケット交換ネットワークは共に、有線接続および/または無線接続を含むことができる。ボイス・オーバ・インターネット・プロトコルは、ますます一般的なものとなっているが、それは、少なくとも一つには、VoIPが音声通信とデータ通信を同種のものとして処理できるという理由による。さらに、VoIPを用いて音声を送信することは、運用コストを低減するのに役立つ。PDA(personal data assistant、携帯情報端末)やラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータなどの装置に音声通信を組み込むために、従来の陸上回線電話および携帯電話(cellular telephone)に加えて、VoIPを使用することができる。
【0003】
VoIPなどのインターネット・プロトコルは、多種多様のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、およびワールド・ワイド・ウェブ)を実施するために使用されるが、代替の通信プロトコルもまた、他のタイプのネットワークを形成するのに使用することができる。例えば、ブルートゥース(Bluetooth)規格は、メンバー装置の定義された組を有する、時にはピコネットとも呼ばれる近距離無線ネットワークを実施するために一般に使用される。ブルートゥース互換装置は、周波数ホッピング技法を用いて、約2.4GHzの産業科学医療(ISM)バンド中で、データおよび/または音声を送信する。このブルートゥース規格は当業者に周知のものであり、したがって、明確化のため、本発明にとって重要なブルートゥース規格の側面についてのみ本明細書で述べるものとする。
【0004】
ブルートゥース規格に準拠する装置は、音声の実時間的性質を維持するために回線交換プロトコルを使用し、音声通信を無線インターフェースまたは無線通信リンクを介して送信することができる。ブルートゥース規格によると、さらに、準拠する装置はインターネット・プロトコルを用いてデータを送信することもできる。一つにはブルートゥース規格の周波数ホッピング特性によって、ブルートゥース規格に従って形成された通信リンクは、干渉の存在下でリンク品質を維持できる可能性を十分有している。したがって、ブルートゥース規格は、VoIPベースの音声およびデータ通信ソリューションを組み込むための良い候補である。しかし、現在のブルートゥース規格はまた、VoIPベースの音声通信およびデータ通信をその規格内で実施することに干渉する、あるいは妨げるおそれのあるいくつかの欠点を有する。
【0005】
図1は、従来のブルートゥース・スタック100を概念的に示す。当業者であれば、この従来のブルートゥース・スタック100が、見やすくするために図1に示していない追加のエレメントを含み得ることを理解されたい。さらに、当業者であれば、図1に示すエレメントおよび/またはその組合わせを、単一の装置中であるいは複数の装置中で実施可能であることも理解されたい。ブルートゥース・スタック100は、WAE(Wireless Application Environment)ブロック105、TCS Bin(Telephony Control protocol Specification Binary)ブロック110、オーディオ・ブロック115、および/またはブルートゥース仕様で定義された他のブロックで、様々な通信を受信することができる。
【0006】
例えば、パケットは、WAEブロック105によって受信され、WAP(Wireless Application Protocol)ブロック120、UDP(User Datagram Protocol)ブロック122、TCP(Transmission Control Protocol)ブロック124、IP(インターネット・プロトコル)ブロック126、PPP(ポイント・ツー・ポイント・プロトコル)ブロック128を介して、次いで、RFCOMM(Radio Frequency Communication)ブロック130へと渡され、そこで、他のパケット・フローと多重化することもできる。RFCOMMブロック130は、多重化された信号をL2CAP(Logical Link Control and Adaptation Protocol、論理リンク制御および適応プロトコル)ブロック132に送り、そのブロックはまた、TCS Bin(Telephony Control protocol Specification Binary)ブロック110から信号を受信することもできる。L2CAPブロック132は、ホスト・コントローラ・インターフェース134を介して、ベースバンド・ブロック138中の非同期接続コントローラ136に信号を送る。他の実施例では、オーディオ・ブロック115でオーディオ信号を受信することができ、それは、ベースバンド・ブロック138中の同期コントローラ140に信号を送る。同期コントローラ140は、通常、オーディオ信号に対する事前定義の品質および遅延制約を維持するよう試みる。ベースバンド・ブロック138は、LMP(Link Management Protocol)ブロック144の制御下で、無線インターフェースとも呼ばれる通信リンクを介して伝送するためのブルートゥース・ラジオ(Bluetooth radio)142に信号を送る。
【0007】
図2は、汎用アクセス・ブルートゥース・プロファイル200を概念的に示す。当業者であれば、プロファイルは、各プロトコル・レイヤ中の選択肢、ならびにプロトコルごとのパラメータ範囲を定義可能であることを理解されたい。当業者であればさらに、汎用アクセス・ブルートゥース・プロファイル200は、見やすくするために、図2には示していない追加のプロファイルを含み得ることも理解されたい。汎用アクセス・ブルートゥース・プロファイル200は、TCS Binプロファイル205、シリアル・ポート・プロファイル210、およびブルートゥース規格によって定義できる他のプロファイルを含む。
【0008】
現在のブルートゥース規格は、ローカル・エリア・ネットワーク・アクセス・プロファイル215、またはコードレス電話プロファイル220を用いて音声サービスを提供することができる。コードレス電話プロファイル220は、TCS Binプロファイル205に依存しており、またローカル・エリア・ネットワーク・アクセス・プロファイル215は、シリアル・ポート・プロファイル210に依存している。ブルートゥース規格によると、第1のプロファイルが、第2のプロファイルを暗黙的にかつ/または明示的に参照することにより第2のプロファイルの部分を再使用する場合、第1のプロファイルは、第2のプロファイルに依存しているものと見なされる。音声通信にとって重要なローカル・エリア・ネットワーク・アクセス・プロファイル215およびコードレス電話プロファイル220の側面については、以下で検討するものとする。
【0009】
コードレス電話プロファイル220は、2つの役割、すなわち、ゲートウェイおよび端末を定義する。コードレス電話プロファイル220は、通常、1つのゲートウェイと、少数の端末、例えば、1から7の間の数の端末を含むトポロジをサポートする。ゲートウェイは、インターネット・プロトコル・ベースのネットワークなどの外部ネットワークに結合することができる。ゲートウェイは、外部ネットワークから見ると端末の終点として動作し、そのネットワークへのすべての相互作用を処理する。ゲートウェイは、外部のコールに対する中心点と見なされ、それは、ゲートウェイが、外部のネットワークへのかつ/または外部のネットワークからのセットアップ要求をすべて処理することを意味する。例えば、ゲートウェイは、カプセル化解除された元のG.711またはG.732音声パケットである音声パケットを受信することができる。ゲートウェイ装置は、PSTN(公衆電話交換網)のホーム基地局、ISDN(総合サービス・デジタル通信網)のホーム基地局、GSMゲートウェイ、サテライト・ゲートウェイ、H.323ゲートウェイを含むことができる。端末とは無線ユーザ端末のことであり、それは、コードレス電話、デュアルモードの携帯/コードレス電話、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、PDA(personal data assistant、携帯情報端末)などを含むことができる。例えば、端末は、K3コードレス電話プロファイルに従って動作する3イン1電話とすることができる。
【0010】
図3は、図2に示すコードレス電話プロファイル220を用いて実施することが可能なK3コードレス電話プロファイル・スタック300を概念的に示す。当業者であれば、本発明に重要なK3コードレス電話プロファイル・スタック300のエレメントだけを本明細書に示していることを理解されたい。音声パケットは、電話アプリケーション305によって受信され、それは、その音声パケットおよび他の制御信号をTCS Binブロック310および音声同期化コントローラ315に送る。TCS Binブロック310内のコール制御(CC)ブロック320は、音声同期化コントローラ315を有するインターフェース325、およびLMP(link manager protocol)ブロック335を有するインターフェース330を介して音声チャネルを管理する。例えば、コール制御ブロック320は、インターフェース325を介して、信号を音声同期化コントローラ315に送ることにより内部の音声経路を接続および/または接続解除することができ、またインターフェース330を介してLMP(link manager protocol)ブロック335に信号を送ることにより、音声同期化制御リンクを確立し、かつ/または解放すことができる。LMP(link manager protocol)ブロック335は、非同期制御ブロック337に結合されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
インターフェース325、330により、音声同期化コントローラ315が、電話アプリケーション305からベースバンド345中の同期コントローラ340への音声経路を直接制御することができる。したがって、通常、電話アプリケーション305は、保障された品質および/または遅延特性を取得することができる。しかし、音声同期化コントローラ315を含む音声経路がパケット・データを処理するためのプロトコル・レイヤを何も含んでいないため、パケット・データを提供する電話アプリケーション305の能力が危殆化する(compromised)。他の実施例では、GSM(Global System for Mobile Communication)プロトコルに従って動作する電話は、音声アプリケーションを同様な方式で処理する。したがって、その技法によると、電話アプリケーション305からの音声通信はデータ・トラフィック・ストリームと同種のものとして処理されず、システムの柔軟性に望ましくない制限を加えるようになり得る。したがって、その技法は将来の第4世代(4G)システムの多くの機能を利用できないことになる。
【0012】
図2に戻って参照すると、シリアル・ポート・プロファイル210中のローカル・エリア・ネットワーク・アクセス・プロファイル215を用いて、音声通信を行うこともできる。その手法では、VoIPアプリケーションから受信したパケットが、他の任意のローカル・エリア・ネットワーク・アクセスと同様な方式で処理される。すなわち、そのVoIPアプリケーションは、好ましいトランスポート機構としてインターネット・プロトコルを利用する普通のインターネット・アプリケーションと見なされる。しかし、その手法は、VoIPアプリケーションに、優先順位、品質保証、または遅延保証を何ら与えることはない。例えば、そのVoIPアプリケーションは、図1に示すベースバンド138中の非同期接続136など、非同期接続を介してベースバンド・レイヤで接続されている。他の実施例では、VoIPアプリケーションに関連するパケットは、図1に示すRFCOMM130などのRFCOMMシリアル・ポートを用いて、他のアプリケーション146からのパケットとコンテンション(contention)式に多重化される。他のアプリケーション146からのパケットは、VoIPアプリケーションと競争(compete)および/または競合(conflict)を起こす可能性がある。さらに、シリアル・ポート・プロファイル210を用いることは、VoIPアプリケーションによって提供されるパケットに、ブルートゥース・スタック中のさらに多くの制御ブロックを通過させることになる可能性もある。
本発明は、上述の1つまたは複数の問題による結果に対処することを対象としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態では、定義された組に属する複数の装置がその中で互いに通信するネットワークを介して、音声または他の時間依存型のパケット・データを送信するための方法が提供される。本方法は、音声データを含む少なくとも1つの第1のパケットを受信すること、実時間のパケット対応スタックを用いて、少なくとも1つの第2のパケットを形成するように少なくとも1つの第1のパケットを処理すること、およびネットワークを介して送信するために、その少なくとも1つの第2のパケットを同期コントローラに送ることを含む。
【0014】
本発明の他の実施形態では、定義された組に属する複数の装置がその中で互いに通信する第1のネットワークから、音声または他の時間依存型のパケット・データを受信するための方法が提供される。本方法は、第1のネットワークから音声データを含む少なくとも1つのパケットを受信すること、その少なくとも1つのパケットを同期コントローラに送ること、およびその少なくとも1つのパケットを実時間のパケット対応スタックを用いて処理することを含む。
本発明は、添付の図面と共に以下の説明を参照することにより理解することができよう。図中、同様な参照番号は、同様なエレメントを識別する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、様々な変更および代替形態を行うことが可能であるが、例示のために、その特有の諸実施形態を図面で示し、ここで詳細に説明する。しかし、その特有の実施形態の説明は、本発明を開示された特定の形態に限定するものではなく、反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の趣旨および範囲に含まれる変更形態、等価な形態、および代替策をすべて包含することを意図していることを理解されたい。
【0016】
本発明の例示的な諸実施形態を以下に説明する。明確化のために、実際の実装についての機能のすべてを本明細書中に述べてはいない。このような実際の実施形態の開発において、実装形態ごとに変化するシステムおよびビジネスに関係する制約の順守など、開発者特有の目標を達成するために、数多くの実装特有の決定を行わなければならないことも当然理解されよう。さらに、かかる開発努力は複雑で時間のかかることかもしれないが、それは、本開示の利益を受ける当業者によって行われる通常の手順(routine)であることが理解されよう。
【0017】
図4は、定義された組415に属する複数の装置405、410(1〜3)が、その中で互いに通信するネットワーク400を概念的に示している。本明細書では、本発明をブルートゥース規格に即して説明する。したがって、例示の実施形態では、定義された組415は、ブルートゥース規格に準拠したピコネット415である。複数の装置405、410(1〜3)は、ブルートゥース対応装置であり、具体的には、装置405がマスターであり、装置410(1〜3)はスレーブである。しかし、本発明は、ブルートゥース規格に限定するものではない。当業者であれば、ブルートゥース規格は、定義された組415に属する複数の装置405、410(1〜3)相互間で容易に通信するために使用できる規格の一実施例に過ぎないということを理解されたい。代替の実施形態では、いわゆる「ネットワーク内ネットワーク(network−within−a−network)」規格など所望の任意の規格を使用することもできる。
【0018】
図4に示すピコネット415は、1つのマスター405と、3つのスレーブ410(1〜3)を含む。しかし、当業者であれば、本発明は、4つの装置に限定するものではないことを理解されたい。代替の実施形態では、ピコネット415には、410(1〜3)より多くのまたは少数のスレーブを含むことができる。例えば、ブルートゥース規格によると、通常、ピコネット415中に1から7の間の数のスレーブ410(1〜3)を含むことができる。各スレーブ410(1〜3)は、マスター405と通信リンク417(1〜3)を形成することができる。しかし、スレーブ410(1〜3)は、通常、他の各スレーブ410(1〜3)と通信リンクを形成しない。
【0019】
マスター405はまた、第2のネットワーク420と通信リンク418を形成することができる。一実施形態では、第2のネットワーク420はまた、ピコネットなどのブルートゥース対応ネットワークであり、その場合、マスター405は、第2のネットワーク420中の第2のマスター(図示せず)と通信リンクを確立する。しかし、本発明は、ブルートゥース対応ネットワーク相互間の通信に限定しない。代替の実施形態では、第2のネットワーク420は、所望の任意のタイプのネットワークとすることもできる。例えば、第2のネットワーク420は、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、ワールド・ワイド・ウェブ、ISDN(総合サービス・デジタル通信網)ネットワーク、イントラネットなどのインターネット・プロトコルに準拠したネットワークを含むことができる。あるいは、第2のネットワーク420は、公衆電話交換網、POTS(plain old telephone service)ネットワーク、コードレス電話ネットワーク、携帯電話ネットワーク、サテライト・ネットワークなどとすることもできる。当業者であれば、第2のネットワーク420はまた、前述の諸ネットワークの様々な組合わせから形成され得ることを理解されたい。
【0020】
マスター405は、実時間のパケット対応スタック425を含み、各スレーブ410(1〜3)は、実時間のパケット対応スタック430(1〜3)を含む。実時間のパケット対応スタック425、430(1〜3)は、一緒に動作する1組のネットワーク・プロトコル・レイヤであり、以下で詳細に述べる。しかし、当業者であれば、スタックという用語はまた、実時間のパケット対応スタック425、430(1〜3)によって定義されるプロトコルを処理する実際のソフトウェアおよび/またはハードウェアを指すこともできることを理解されたい。したがって、本明細書の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピューティング・システムまたはコンピューティング装置中のメモリ内のデータ・ビットに対する動作の記号表示を含むソフトウェアで実施されるプロセスに関して示される。それらの説明および表示は、当業者が自分の仕事内容を他の当業者に最も効率的に伝えるために用いられる手段である。そのプロセスおよび動作は、物理量の物理的な操作が必要である。通常、必ずしも必要なことではないが、それらの量は、記憶され、転送され、組み合わされ、比較され、また他の方法で操作されることが可能な電気的、磁気的、または光学的な信号の形をとる。主として、一般に使用されているという理由で、その信号を、ビット、値、エレメント、記号、文字、語句、数字などと呼ぶのが便利な場合もあることが分っている。
【0021】
しかし、それらのまた類似の用語はすべて、適切な物理量と関連付けられるべきものであり、またその量に適用される簡易的なラベルに過ぎないことに留意されたい。本開示を通じて、具体的に述べていなければ、あるいは自明でない限り、それらの記述は、何らかの電子装置のストレージ内の物理(電子、磁気、光学)的な量として表されるデータを操作し、かつそのデータを、ストレージ内の、または送信装置もしくは表示装置中の物理量として同様に表される他のデータへと変換する電子装置のアクションおよびプロセスを指すものとする。このような記述を示す用語の実施例としては、限定するものではないが、用語「処理すること(processing)」、「コンピュータ処理すること(computing)」、「計算すること(calculating)」、「判定すること(determining)」、「表示すること(displaying)」などがある。
【0022】
ソフトウェアで実施される本発明の態様は、通常、プログラム記憶媒体の何らかの形態上にエンコードされ、または伝送媒体の何らかのタイプを介して実施されることにも留意されたい。プログラム記憶媒体は、磁気的な物(例えば、フロッピー(登録商標)・ディスクまたはハード・ドライブ)、または光学的な物(例えば、コンパクト・ディスク読出し専用メモリ、すなわち「CD−ROM」)とすることができ、また読出し専用またはランダム・アクセスとすることもできる。同様に、伝送媒体は、ツイストペア線、同軸ケーブル、光ファイバ、無線通信リンク(「無線インターフェース」と呼ばれることもある)、または当技術分野で知られている何らかの他の適切な伝送媒体とすることができる。本発明は、所与の任意の実装形態のその態様によって限定されることはない。
【0023】
実時間のパケット対応スタック425、430(1〜3)は、通信リンク417(1〜3)、418を介して音声データを交換するのに使用される。一実施形態では、その実時間のパケット対応スタック425、430(1〜3)は、VoIP(Voice over Internet Protocol)に従って音声パケット・データを処理する。しかし、本発明は、VoIPに限定するものではなく、代替の実施形態では、音声パケット・データを処理するために、所望の任意のプロトコルをその実時間のパケット対応スタック425、430(1〜3)中で実施することができる。
【0024】
実時間のパケット対応スタック425、430(1〜3)を用いて音声パケット・データを処理することにより、マスター405およびスレーブ410(1〜3)は、マスター405と1つまたは複数のスレーブ410(1〜3)の間で、またはマスター405と第2のネットワーク420の間で音声パケット・データを送信するときに望ましい品質保証および/または遅延保証を提供することができる。さらに、マスター405およびスレーブ410(1〜3)によって処理される音声パケットは、時間依存型ではないデータ・パケットよりも高い優先順位で処理することができる。
【0025】
一実施形態では、ピコネット415は、第2のネットワーク420など既存の電話ネットワークを拡張または増設するのに使用することができる。ピコネット415を用いて、第2のネットワーク420を拡張または増設することは、第2のネットワーク420を直接拡張または増設することよりも大幅に経費を下げることができる。例えば、オフィスビルに専用の追加の携帯電話タワーを設けることによってオフィスビル中の携帯電話ネットワークを拡張または増設するには、膨大な経費がかかる可能性がある。実時間のパケット対応スタック425、430(1〜3)を含むピコネット415によると、非常に低い経費で設置することができる。
【0026】
図5は、実時間のパケット対応スタック505を含むブルートゥース・スタック500を概念的に示す。上記のように、ブルートゥース・スタック500は、WAEブロック508、TCS Binブロック510、オーディオ・ブロック515、WAPブロック520、UDP(User Datagram Protocol)ブロック522、TCP(Transmission Control Protocol)ブロック524、IP(インターネット・プロトコル)ブロック526、PPP(ポイント・ツー・ポイント・プロトコル)ブロック528、RFCOMM(Radio Frequency Communication protocol)ブロック530、L2CAP(Logical Link Control and Adaptation Protocol、論理リンク制御および適応プロトコル)ブロック532、ホスト・コントローラ・インターフェース534、非同期接続コントローラ536、ベースバンド・ブロック538、リンク・マネジメント・プロトコル・ブロック544、および通信リンクを介して無線インターフェース中に記号(symbol)を送信するためのブルートゥース・ラジオ542を含むことができる。
【0027】
ブルートゥース・スタック500が送信モードで使用されたとき、オーディオ・ブロック515は、1つまたは複数の音声パケットを受信し処理する。当業者であれば、1つまたは複数の音声パケットを処理することは、ヘッダの追加もしくは除去すること、1つまたは複数の音声パケットの経路指定をすること、複数の音声パケットを連結すること、音声パケットを分割すること、あるいは他の任意の方式で音声パケットを変更することを含むことができることを理解されたい。次いで、オーディオ・ブロック515は、その1つまたは複数の音声パケットを、実時間のパケット対応スタック505に送る。例示の実施形態では、実時間のパケット対応スタック505は、RTP(Real−Time Transport Protocol)ブロック546、UDP(User Datagram Protocol)ブロック548、IP(インターネット・プロトコル)ブロック550、およびPPP(ポイント・ツー・ポイント・プロトコル)ブロック552を含む。
【0028】
しかし、本発明は、その特定の組のプロトコルに限定されるものではなく、代替の実施形態では、実時間のパケット対応スタック505は、音声パケットの実時間処理を実施するために、プロトコル・レイヤの所望の任意の組合わせを用いることもできる。さらに、代替の一実施形態では、実時間のパケット対応スタック505を分岐することが可能であり、それによって、第1の分岐が元の音声処理を扱い、また第2の分岐を帯域幅区分のために確保することができる。例えば、分岐された実時間のパケット対応スタック505により、多重化された時間依存型のインターネット・プロトコル・データ・フローを処理することができる。
【0029】
実時間のパケット対応スタック505は、処理された音声パケットを同期コントローラ555に送る。同期コントローラ555は、音声パケットに対する事前定義の品質と遅延の制約を維持するよう試みる。同期コントローラ555によって受信された音声パケットは、非同期コントローラ536によって受信されたパケットよりも高い優先順位が与えられる。さらに、実時間のパケット対応スタック505および同期コントローラ555によって処理された音声パケットは、他のアプリケーション560からのパケットと競合/または競争しないはずである。次いで、同期コントローラ555およびベースバンド・ブロック538は、無線インターフェースを介して送信するために、1つまたは複数の音声パケットに基づく信号をブルートゥース・ラジオ542に送る。
【0030】
ブルートゥース・スタック500が受信モードで使用されたとき、ブルートゥース・ラジオ542は、無線インターフェースを介して1つまたは複数の音声パケットを受信し、その受信した1つまたは複数の音声パケットをベースバンド538中の同期コントローラ555に送る。前に検討したように、同期コントローラ555は、受信した音声パケットの優先順位付けを行い、さらに、受信した音声パケットに対して品質保証および/または遅延保証を提供することができる。同期コントローラ555は、受信した音声パケットを処理し、次いで、それを実時間のパケット対応スタック505に送り、それはさらに、受信した音声パケットを処理し、次いで、それをオーディオ・ブロック515に送る。次いで、オーディオ・ブロック515からの1つまたは複数の信号を、図4に示す第2のネットワーク420などの外部ネットワークに送信するために、中継器(図示せず)に送ることができる。
【0031】
音声パケットは、SCO(synchronization control object)ハンドルを含んでいるため、もともと前述のインターフェース・システムへの識別可能なマッピングを有している。したがって、少なくとも一つにはその識別可能なSCOハンドルを有していることにより、追加の制御プロトコルをそのSCOハンドルに結合することによって、音声サービスに追加の拡張を行うことができる。例えば、適切なプロトコル拡張により制御タイプ・フィールドがTCS Binブロック510に公開されることになる追加のプロトコル拡張を、SIPなど追加のVoIPシグナリング・プロトコルと組み合わせることができる。さらに、標準の携帯電話の移動性(mobility)の代わりに、モバイル・インターネット・プロトコルを示すフィールド拡張を含むことにより、同様な方式で移動性を拡張することもできる。
【0032】
図6は、コードレス電話プロファイル・スタック600の例示的な実施形態を概念的に示す。当業者であれば、本明細書に重要なコードレス電話プロファイル600のエレメントだけをここに示していることを理解されたい。明確化のために、コードレス電話プロファイル600の動作を送信モードで動作する装置に関して説明する。しかし、当業者であれば、コードレス電話プロファイル600はまた、上記で詳細に述べたように、受信モードでも動作できることを理解されたい。
【0033】
その動作においては、電話アプリケーション605は、1つまたは複数の音声パケットおよび他の制御信号を形成し、かつ/またはそれをTCS Binブロック610および音声同期化コントローラ615に送る。例えば、電話アプリケーション605は、VoIPに準拠する少なくとも1つのパケットを提供するインターネット電話アプリケーションとすることができる。TCS Binブロック610内のコール制御(CC)ブロック620は、音声同期化コントローラ615を有するインターフェース625を介して音声チャネルを管理する。コール制御(CC)ブロック620はまた、LMP(Link Manager Protocol)ブロック635を有するインターフェース630を介して音声チャネルも管理する。例えば、コール制御ブロック620は、インターフェース625を介して、音声同期化コントローラ615に信号を送ることにより内部の音声経路を接続し、かつ/または接続解除することができる。コール制御ブロック620はまた、インターフェース630を介して、リンク・マネジャ・プロトコル・ブロック635に信号を提供することにより音声同期化制御リンクを確立し、かつ/または解放することもできる。
【0034】
インターフェース625、630により、音声同期化コントローラ615は、電話アプリケーション605から、実時間のパケット対応スタック637およびベースバンド645中の同期コントローラ640への音声経路を直接制御できるようになる。したがって、コードレス電話スタック600によって送信された音声パケットに対して、電話アプリケーション605は、保証された品質および/または保証された遅延を得ることになる。電話アプリケーション605によって提供された音声パケットはまた、より時間に依存しない他のデータ・パケットよりも高い優先順位で処理され得る。したがって、その技法によると、電話アプリケーション605からの音声パケットは、ベースバンド645中の非同期コントローラ650によって処理されたデータ・パケットなどのデータ・トラフィック・ストリームと共に、同種のものとして処理され得る。したがって、実時間のパケット対応スタック637を含むコードレス電話プロファイル600は、将来の第4世代(4G)システムで採用するのに特によく適している可能性がある。
【0035】
上記で開示された特定の諸実施形態は例示的なものに過ぎないが、本明細書の教示の利益を受ける当業者にとって明らかな、異なるが等価な方法で、本発明を変更し実施することが可能である。さらに、以下の特許請求の範囲に記載のもの以外には、本明細書に示した構成または設計の詳細に対して限定することを意図していない。したがって、上記で開示された特定の諸実施形態を改変または変更することが可能であり、そのような変形形態がすべて、本発明の範囲および趣旨に含まれると見なされることは明らかである。したがって、本明細書で求められている保護は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来のブルートゥース・スタックを概念的に示す図である。
【図2】シリアル・ポート・プロファイルおよびコードレス電話プロファイルを含む汎用アクセス・ブルートゥース・プロファイルを概念的に示す図である。
【図3】図2に示すコードレス電話プロファイルとして使用できるK3コードレス電話プロファイルを概念的に示す図である。
【図4】本発明による、定義された組に属する複数の装置が互いにその中で通信するネットワークを概念的に示す図である。
【図5】本発明による、図4に示すネットワークで使用できる実時間のパケット対応スタックを含むブルートゥース・スタックを概念的に示す図である。
【図6】本発明による、図5に示すブルートゥース・スタック中で使用できるコードレス電話プロファイル・スタックの例示的な実施形態を概念的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定義された組に属する複数の装置がその中で互いに通信するネットワークを介して、時間依存型のパケット・データを送信するための方法であって、
音声データを含む少なくとも1つの第1のパケットを受信する工程と、
実時間のパケット対応スタックを用いて、少なくとも1つの第2のパケットを形成するように前記少なくとも1つの第1のパケットを処理する工程と、
前記ネットワークを介して送信するために、前記少なくとも1つの第2のパケットを同期コントローラに送る工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1のパケットを受信する前記工程が、電話アプリケーションから前記少なくとも1つの第1のパケットを受信する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記実時間のパケット対応スタックを用いて、前記少なくとも1つの第1のパケットを処理する前記工程が、少なくとも1つの、RTP(Real−Time Transport Protocol)スタック、UDP(User Datagram Protocol)スタック、IP(インターネット・プロトコル)スタック、およびPPP(ポイント・ツー・ポイント・プロトコル)スタックを用いて、前記少なくとも1つの第1のパケットを処理する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2のパケットを前記同期コントローラに送る前記工程が、前記少なくとも1つの第2のパケットを、ベースバンド・スタック中の同期コントローラに送る工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記同期コントローラに送られた前記少なくとも1つの第2のパケットに基づく信号を、無線ネットワークを介して送信する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
定義された組に属する複数の装置がその中で互いに通信する第1のネットワークから、時間依存型のパケット・データを受信するための方法であって、
前記第1のネットワークから音声データを含む少なくとも1つのパケットを受信する工程と、
前記少なくとも1つのパケットを同期コントローラに送る工程と、
前記少なくとも1つのパケットを実時間のパケット対応スタックを用いて処理する工程と
を含む方法。
【請求項7】
前記第1のネットワークから前記少なくとも1つのパケットを受信する前記工程が、第1の無線ネットワークから前記少なくとも1つのパケットを受信する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の無線ネットワークを介して前記少なくとも1つのパケットを受信する前記工程が、前記少なくとも1つのパケットをブルートゥース・ラジオを用いてブルートゥース・ネットワークから受信する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのパケットを前記同期コントローラに送る前記工程が、前記少なくとも1つのパケットをブルートゥース・スタック中の前記同期コントローラに送る工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのパケットを第2のネットワークに中継する工程を含む、請求項6に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−74761(P2006−74761A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240565(P2005−240565)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(596092698)ルーセント テクノロジーズ インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】