説明

拡散材、導光体ユニット、および面光源装置

【課題】拡散効果を高め、均一な面発光を実現する。
【解決手段】入射した光を拡散させて出射する拡散シート12であって、光を散乱させる複数の拡散層12a、12bが積層されているので、拡散効果を高め、均一な面発光を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を拡散させる拡散材、拡散材を備える導光体ユニット、およびこれを備える面光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの表示装置は、携帯電話機、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、カーナビゲーションシステム、パーソナルコンピュータ、および薄型テレビジョンなどの様々な電子装置に設けられる。液晶表示装置は、自発光機能を持たない表示装置であるので、たとえば背面から光を照らすバックライトシステムなどと一体に用いられることが多い。
【0003】
バックライトシステムとしては、光源を導光体のエッジ部(側部)に設けるエッジライト型バックライトと、光源を表示画面の直下に設ける直下型バックライトとが用いられている。エッジライト型バックライトは、冷陰極管、LEDなどといった光源により導光体のエッジ部から導光体内に入射させた光を導光体の一方の主面(出射面)から出射させる方式を用いて、液晶ディスプレイなどを面照明させるものである。導光体は、エッジ部から導光体内に入射した光を、導光体内部において方向転換させるとともに表示領域内において均一になるように拡散させて、出射面から出射させる。
【0004】
導光体から出射される光を拡散させるための拡散材として、特許文献1に開示された背面照光装置用拡散材は、導光板の上部に拡散層を有しており、この拡散層が、主材としてアクリル系紫外線硬化形塗料を使用し、主材に対して40から60重量%の方解石を添加含有し、さらに主材に対して25から35重量%のビーズを添加含有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−063906号公報(1995年3月10日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された拡散材では、拡散効果が小さいうえ、導光板材料と拡散層との屈折率の差がほとんどないため、輝度分布を均一にすることが困難である。したがって、輝度ムラを生じさせてしまうという問題を有している。
【0007】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、拡散効果を高め、均一な面発光を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る拡散材は、入射した光を拡散させて出射する拡散材であって、光を散乱させる複数の拡散層が積層されていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成であれば、光を散乱させる拡散層を多重に配置するので、拡散層ごとに光を繰り返し散乱させることにより、効率よく散乱させることができる。そのため、光の拡散効果を高めることができるので、面光源装置に使用すれば、均一な面発光を実現できる。
【0010】
また、本発明に係る拡散材では、上記拡散層の少なくとも1つは、微細な凹凸が形成されている拡散面を備え、当該拡散面において光を屈折させるものであることが好ましい。
【0011】
上記の構成であれば、拡散面に形成された微細な凹凸によって、光をより効率よく散乱させることができるので、光の拡散効果をより高めることができる。また、拡散面が多重に構成されれば、それぞれの拡散層における多重反射、多重屈折などが起こらないため、光の内部損失を少なくすることができるので、正面輝度を高めることができる。したがって、高輝度で均一な面発光を実現させることができる。
【0012】
また、本発明に係る拡散材では、上記拡散層の少なくとも2つは、微細な凹凸が形成されている拡散面を備え、当該拡散面において光を屈折させるものであり、上記拡散面の凹凸の大きさまたは密度は、上記拡散層ごとに異なっており、入射した光が出射する方向に段階的に小さくなっていることが好ましい。
【0013】
上記の構成であれば、拡散面の凹凸の大きさまたは密度が、拡散層ごとに異なっており、入射した光が出射する方向に段階的に小さいので、拡散面において光が拡散される度合いが、入射した光が出射する方向に段階的に小さくなる。これにより、屈折率差が比較的小さい拡散層間における拡散効果を高めることができる。また、光が出射される側に近い拡散面での光の散乱の度合いが小さくなるため、光のエネルギー損失を少なくできるので、正面輝度を高めることができる。したがって、より均一で高輝度な面発光を実現できる。
【0014】
また、本発明に係る拡散材では、上記拡散層の少なくとも1つは、光を屈折させる複数の拡散部が内部に分散されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成であれば、拡散層の内部で、複数の拡散部により光が屈折して向きが変更されることによって、光が散乱される。光が拡散層の内部において散乱するため、散乱による光のエネルギー損失を軽減させることができるので、正面輝度を高めることができる。また、高い拡散効果を有する拡散層を簡易に作製することができる。したがって、より均一で高輝度な面発光を容易に実現できる。
【0016】
また、本発明に係る拡散材では、上記拡散層の少なくとも1つは、紫外線により硬化した樹脂により構成されていることが好ましい。
【0017】
上記の構成であれば、樹脂を塗布した後に紫外線を照射することにより、種々の基材等の上に拡散層を容易に作製することができる。
【0018】
本発明に係る導光体ユニットは、上述したいずれかの拡散材と、入射した光を出射させる出射面を有する導光体とを備えた導光体ユニットであって、上記拡散材は、上記出射面から出射した光を拡散させるものであり、上記出射面上に、上記拡散材における複数の拡散層同士が積層されていることを特徴とする。
【0019】
上記の構成であれば、導光体の出射面上に拡散層同士を多重に配置するので、導光体から出射された光を拡散材により効率よく拡散させて出射させることができる。これにより、輝度の面内分布を均一化させることができる。したがって、均一な面発光を実現できる。
【0020】
また、本発明に係る導光体ユニットでは、上記拡散層のうち上記導光体に最も近い拡散層は、樹脂により構成され、上記出射面上に直接塗布されて形成されたものであることが好ましい。
【0021】
上記の構成であれば、導光体上に拡散層が直接形成されるので、導光体と拡散層との間にシート状の基材等を設ける必要がなく、導光体ユニットを薄型化できる。したがって、導光体ユニットが備えられる機器の薄型化にも貢献できる。また、材料が少ないうえ、製造工程を減らすことができるので、製造コストを低減させることができる。
【0022】
また、本発明に係る導光体ユニットでは、上記拡散層の屈折率は、上記拡散層ごとに異なっており、入射した光が出射する方向に段階的に大きいことが好ましい。
【0023】
上記の構成であれば、各拡散層の界面における光の全反射を防止できるので、正面輝度を高めることができる。また、当該界面において光を屈折させることができるので、より拡散効果を高めることができる。これにより、輝度の面内分布をより均一化させることができるとともに、面内全体の輝度を上昇させることで面内均一性をより向上させることができる。したがって、より高輝度で均一な面発光を実現させることができる。
【0024】
また、本発明に係る導光体ユニットでは、上記拡散層のうち上記導光体に最も近い拡散層の屈折率が、上記導光体の屈折率より小さいことが好ましい。
【0025】
上記の構成であれば、導光体の導光機能を損なうことがないため、出射面から出射される光の強度の分布を、より均一にすることができる。
【0026】
また、本発明に係る導光体ユニットでは、上記拡散層のうち上記導光体から最も遠い拡散層の屈折率が、上記導光体の屈折率より大きいことが好ましい。
【0027】
上記の構成であれば、導光体から最も遠い拡散層から外部に光が出射される際に、この拡散層と外部との界面における光の屈折が大きくなるため、より拡散効果を高めることができる。
【0028】
また、本発明に係る導光体ユニットでは、上記導光体内における上記出射面とは反対側の背面には、光の向きを上記出射面の方向に変換させる光路変換部が設けられていることが好ましい。
【0029】
上記の構成であれば、導光体内の光を出射面の方向に効率よく導光させることができるので、出射する光の輝度を高めることができる。
【0030】
また、本発明に係る導光体ユニットでは、上記導光体における上記出射面とは反対側の背面に対向して設けられ、上記導光体内において当該背面に到達した光を反射する、反射材をさらに備えていることが好ましい。
【0031】
上記の構成であれば、導光体内において背面に到達した光を導光体内に戻すことができるため、導光体からの光の損失を少なくすることができ、光の輝度をより高めることができる。
【0032】
本発明に係る面光源装置は、上述したいずれかの導光体ユニットと、光源とを備えることを特徴とする。
【0033】
上記の構成であれば、光強度の分布が均一な面光源装置を実現できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る拡散材は、以上のように、入射した光を拡散させて出射する拡散材であって、光を散乱させる複数の拡散層が積層されているので、拡散効果を高め、均一な面発光を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る面光源装置の一実施形態を模式的に示す側面図である。
【図2】図1に示す面光源装置の拡散シートの一部を示す側面図である。
【図3】第1実施形態の面光源装置が備える拡散シートの変形例を示す側面図である。
【図4】第1実施形態の面光源装置が備える拡散シートの他の変形例を示す側面図である。
【図5】第1実施形態の面光源装置が備える拡散シートの他の変形例を示す側面図である。
【図6】本発明に係る面光源装置の一実施形態における変形例を示す側面図である。
【図7】(a)〜(b)は、本発明に係る面光源装置が備える拡散層の例を示す側面図であり、(a)は、図1に示す面光源装置が備える拡散層の側面図であり、(b)は、図3に示す拡散シートにおける拡散層の側面図である。
【図8】本発明に係る面光源装置が備えるプリズムシートの一例を示す側面図である。
【図9】本発明に係る面光源装置の他の実施形態を模式的に示す側面図である。
【図10】本発明に係る面光源装置の他の実施形態における変形例を示す側面図である。
【図11】本発明に係る面光源装置の他の実施形態を模式的に示す側面図である。
【図12】図11に示す面光源装置の一部を示す側面図である。
【図13】(a)は、入射面近傍の正面輝度を測定する際の実施例または比較例の面光源装置を出射面側から見た図であり、(b)は、実施例および比較例の面光源装置について、入射面近傍の正面輝度を測定した結果を示すグラフである。
【図14】(a)は、正面輝度の面内分布を測定する際の実施例または比較例の面光源装置を出射面側から見た図であり、(b)は、実施例および比較例の面光源装置について、正面輝度の面内分布を測定した結果を示すグラフである。
【図15】(a)は、輝度の角度分布を測定する際の実施例または比較例の面光源装置を、入射面側の斜め上方から見た図であり、(b)は、実施例および比較例の面光源装置について、輝度の角度分布を測定した結果を示すグラフである。
【図16】本発明に係る面光源装置の比較例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、図1および図2を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る面光源装置の一実施形態を模式的に示す側面図である。なお、図1では、理解を容易にするために一部を仮想的に示す。
【0037】
面光源装置1Aは、対象物を照明するための装置である。本実施形態においては、透過型の液晶表示装置における液晶表示パネル(図示せず)を照明するバックライト装置として使用する面光源装置1Aを例にして説明する。面光源装置1Aは、たとえば液晶表示パネルに対向して設けられ、画像等を表示する表示画面側とは反対側から、対象物である液晶表示パネルを照明する。
【0038】
本実施形態における面光源装置1Aは、図1に示すように、反射シート15(反射材)、導光体10、拡散シート12(拡散材)、およびプリズムシート13、14がこの順に積層され、さらに光源17を備えている、エッジライト式(サイドライト式ともいう)の面光源装置1Aである。
【0039】
まず、拡散シート12について説明する。
【0040】
(拡散シート12)
拡散シート12は、面光源装置1Aの導光体10から出射する光を散乱させ、拡散させて出射させるものである。
【0041】
図2は、図1に示す面光源装置の拡散シートの一部を示す側面図である。拡散シート12は、基材11上に、2層の拡散層12a、12b同士を積層させたシートであり、基材11側から光が入射され、拡散層12a、12bを介して当該光を拡散させて出射させるものである。
【0042】
基材11は、シート状の基材であり、薄く、かつ丈夫なフィルム状のものが好ましく、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。
【0043】
拡散層12a、12bは、基材11側から入射する光の向きを変えて散乱させる層であり、光が出射する面には、微細な凹凸が形成された凹凸面12a’、12b’(拡散面)が形成されている。また、拡散層12aと拡散層12bとは異なる屈折率を有している。このように、拡散シート12は、異なる屈折率を有する2層の拡散層12a、12b同士を積層させることにより、微細な凹凸が形成された凹凸面12a’、12b’が2層に構成される。
【0044】
微細な凹凸とは、凹部または凸部の高さ方向(深さ方向)の断面における高さと底辺との比率の平均が1:1(アスペクト比1)である場合、凹部の深さ、または凸部の高さ(凹凸の大きさ)が0.1〜500μm、および凹部または凸部の密度が1,000,000〜100,000,000,000,000個/mの範囲内のランダムな凹凸であることが好ましい。なお、凹部または凸部のアスペクト比は上述したものには限られない。したがってたとえば凹部または凸部のアスペクト比が1よりも小さい場合には、凹部または凸部の密度は、上述した密度よりも小さくてもよい。なお、凹凸とは、上述したものに限らず極めて細かい凹凸であればよく、ランダムな凹凸であることが好ましい。すなわち、同形状の凹凸が並んでいないものであることが好ましい。これにより、凹凸面12a’、12b’に達した光は、凹凸により屈折されてランダムに向きが変更されることによって散乱される。
【0045】
本実施形態では、拡散層12aに基材11側から入射した光は、凹凸面12a’に形成された凹凸により散乱されて拡散層12bに入射する。そして拡散層12bに入射した光は、凹凸面12b’に形成された凹凸によりさらに散乱されて出射する。
【0046】
拡散層12bの屈折率は、拡散層12aの屈折率よりも大きいものである。これにより、拡散層12aと拡散層12bとの間の界面における光の全反射を防止することにより、光の正面輝度を高めるとともに、界面での光の屈折によって拡散効果を高めることができる。
【0047】
拡散層12a、12bとしては、光学的に透明な固体材料などを用いることができる。たとえば樹脂、ガラス(ケイ素化合物)などが挙げられる。たとえば、紫外線により硬化する樹脂(以下、「紫外線硬化型樹脂」と略す。)であれば、基材11上に樹脂を塗布した後に微細な凹凸を有する金型(以下、「微細凹凸金型」と略す。)等を押し当てながら紫外線を照射することにより、凹凸面12a’、12b’が形成された拡散層12a、12bを容易に作製することができるため、好ましい。微細凹凸金型としては、紫外線を透過する石英等の材料からなるものを用いることができる。
【0048】
また、凹凸面12a’、12b’は、たとえばサンドブラスト法等により凹凸の大きさの微調整を行うことができる。
【0049】
なお、凹凸面12a’と凹凸面12b’とにおける凹凸の大きさおよび密度は同一であってもよいが、異なっていてもよい。すなわち、本発明における拡散面に形成される凹凸の大きさおよび密度は、拡散層ごとに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、それぞれの凹凸面において隣り合った凹部同士、または隣り合った凸部同士の大きさは、ランダムなものであってもよい。また、凹凸の密度は、1つの凹凸面内において一様でなくてもよい。また、凹凸は、微細であるほど、光を効率よく散乱させることができる。
【0050】
また、本発明における拡散面は、本実施形態のように凹凸が形成されたものであれば、上述した紫外線硬化型樹脂および微細凹凸金型を用いる方法などにより、低コストで簡易に拡散面を作製することができるため好ましい。また、拡散面は、入射する光を散乱するものであればよく、球状のビーズ等を敷き詰めたものなどであってもよい。
【0051】
また、本発明における拡散面は、光が出射する面に限らず、光が入射する面に形成されていてもよく、これらの両方の面に形成されていてもよい。
【0052】
本実施形態における拡散シート12は、2層の拡散層12a、12b同士を積層させる構成であるため、2層に構成された凹凸面12a’、12b’により光を効率よく散乱させることができ、拡散効果が高まることにより光を均一化させることができる。また、2重に構成された凹凸面12a’、12b’により光を拡散させるので、それぞれの拡散層において多重反射、多重屈折などによる光の内部損失を少なくすることができるため、光の輝度を高めることができる。
【0053】
なお、本発明の拡散材は、上述した実施形態に限定されず、拡散面が形成された、3層以上の拡散層同士を積層させたものでもよい。これにより、拡散面が多重に構成されるので、より光を均一化させることができる。
【0054】
ここで、本実施形態における拡散シート12の変形例について図3〜図5を参照して説明する。
【0055】
(拡散シート12の変形例1)
図3は、第1実施形態の面光源装置が備える拡散シートの変形例を示す側面図である。図3に示す拡散シート42(拡散材)は、基材11上に、2層の拡散層42a、42b同士を積層させたシートである。
【0056】
拡散層42a、42bは、複数のビーズ42a’、42b’(拡散部)が内部に分散された層であり、たとえば樹脂などを用いることができる。また、拡散層42a、42bは、それぞれ異なる屈折率を有する材料からなっていてもよく、拡散層42bの屈折率は、拡散層42aの屈折率より大きいことが好ましい。
【0057】
ビーズ42a’、42b’は、拡散層42a、42bの内部にランダムに分散されており、光を屈折させることによって光の向きをランダムな方向に変更させる構造物である。具体的には、ビーズ42a’、42b’は、拡散層42a、42bを構成する材料とは異なる屈折率を有する材料により構成される構造物である。ビーズ42a’、42b’としては、光学的に透明な固体材料、光を反射する部材などを用いることができる。たとえばガラス(ケイ素化合物)、反射材などが挙げられる。反射材としては、光を吸収しにくいものであることが好ましい。拡散層42a、42bに入射した光は、ビーズ42a’、42b’により屈折されてランダムに向きが変更されることによって散乱される。
【0058】
本変形例においては、基材11側から拡散層42aに入射した光は、ビーズ42a’により散乱されて拡散層42bに入射する。そして拡散層42bに入射した光は、ビーズ42b’によりさらに散乱されて出射する。
【0059】
本変形例では、拡散層42a、42bの内部において光が散乱するので、散乱による光のエネルギー損失を軽減させることができる。また、高い拡散効果を有する拡散層42a、42bを簡易に作製することができる。したがって、より均一で高輝度な面発光を容易に実現できる。
【0060】
(拡散シート12の変形例2)
図4は、第1実施形態の面光源装置が備える拡散シートの他の変形例を示す側面図である。図4に示す拡散シート52(拡散材)は、基材11上に、2層の拡散層52a、52b同士を積層させたシートである。
【0061】
拡散層52aは、複数のビーズ52a’(拡散部)が内部に分散されている。拡散層52a、ビーズ52a’としては、上述した拡散層42a、ビーズ42a’、42b’と同一のものを用いることができる。
【0062】
拡散層52bは、微細な凹凸が形成された凹凸面52b’(拡散面)を備えている。拡散層52b、凹凸面52b’としては、上述した拡散層12a、凹凸面12a’、12b’と同一のものを用いることができる。
【0063】
本変形例においては、基材11側から拡散層52aに入射した光は、ビーズ52a’により散乱されて拡散層52bに入射する。そして、拡散層52bに入射した光は、凹凸面52b’に形成された凹凸によりさらに散乱されて出射する。
【0064】
本変形例では、拡散層52aの内部において光が散乱するので、散乱による光のエネルギー損失を軽減させることができる。また、拡散層52aにおいて散乱された光を、拡散層52bの凹凸面52b’においてさらに散乱させることができるので、光を効率よく散乱させ、拡散させて出射させることができ、均一で高輝度な面発光を容易に実現できる。
【0065】
(拡散シート12の変形例3)
図5は、第1実施形態の面光源装置が備える拡散シートの他の変形例を示す側面図である。図5に示す拡散シート62(拡散材)は、基材11上に、2層の拡散層62a、62b同士を積層させたシートである。
【0066】
拡散層62a、62bは、それぞれ微細な凹凸が形成された凹凸面62a’、62b’(拡散面)を備えている。拡散層62a、62bの材料、凹凸面62a’、62b’の形状としては、上述した拡散層12a、12b、凹凸面12a’、12b’と同一のものを用いることができる。
【0067】
本変形例においては、凹凸面62b’における凹凸の大きさおよび密度は、凹凸面62a’における凹凸の大きさおよび密度よりも小さくなっている。すなわち、凹凸面62b’における凹凸の大きさは、凹凸面62a’における凹凸よりも小さく、凹凸面62b’における凹凸の密度は、凹凸面62a’における凹凸の密度よりも小さい。
【0068】
上述した構成により、屈折率差が比較的小さい拡散層62aと拡散層62bとの間における拡散効果が高まるとともに、拡散層62bと外部との間では、凹凸面62b’での光の散乱の度合いが小さくなるので、光のエネルギー損失を軽減させることができる。したがって、より均一で高輝度な面発光を実現できる。
【0069】
なお、本発明における拡散層が備える拡散面における凹凸の大きさまたは密度は、上述した例のように、拡散層ごとに異なっており、入射した光が出射する方向に、すなわち導光体から離れるにしたがって、段階的に小さくなるように変化していることが好ましい。換言すれば、各拡散面において光が拡散される度合いが拡散層ごとに異なっており、入射した光が出射する方向に、段階的に小さくなっていることが好ましい。このように光の拡散度を調整することにより、屈折率差が比較的小さい拡散層間における拡散効果を高めるとともに、導光体から最も遠い拡散層と外部との間では、拡散面での光の散乱の度合いが小さくなるので、光のエネルギー損失を軽減させることができる。したがって、より均一で高輝度な面発光を実現できる。
【0070】
(拡散層が光を散乱させる仕組み)
ここで、本発明における拡散層が光を散乱させる仕組みについて、図7(a)〜(b)を参照して以下に説明する。図7(a)〜(b)は、本発明に係る面光源装置が備える拡散層の例を示す側面図であり、図7(a)は、図1に示す面光源装置が備える拡散層の側面図であり、図7(b)は、図3に示す拡散シートにおける拡散層の側面図である。
【0071】
図7(a)に示す拡散層12aでは、入射した光は、凹凸面12a’においてその向きが変更される。ここで、凹凸面12a’の凹凸は微細であるため、入射位置がごくわずかに異なる2つの平行な光線A、Bが凹凸面12a’に達すると、多くの場合、その向きが互いに異なる方向に変更されて出射される。これにより、入射した光を散乱させることができる。
【0072】
また、図7(b)に示す拡散層42aでは、入射した光は、内部に分散した球状のビーズ42a’によってその向きが変更される。ここで、入射位置がごくわずかに異なる2つの平行な光線A、Bは、ビーズ42a’により、多くの場合、その向きが互いに異なる方向に変更されて出射される。これにより、入射した光を散乱させることができる。
【0073】
このように、本発明における拡散層は、入射位置が近く、かつ平行な2つの光線の向きを異なった方向に変更させるものであり、この作用によって入射した光を散乱させるものである。
【0074】
(面光源装置1A)
次に、面光源装置1Aの構成について説明する。
【0075】
導光体10は、透光性を備えた平板状の構造物である。導光体10は、厚み方向に垂直な仮想平面(以下、XY平面とする)における断面が略矩形状、すなわち略長方形状であり、厚み方向における両側の表面が主面であり、そのうちの一方は、光を出射させる出射面10bである。また、当該主面の他方を背面10cとする。
【0076】
また、導光体10の一方の端面は、光源17からの光が入射する入光部である入射面10aとなっている。導光体10は、入射面10aから入射する光を拡散させて出射面10bから出射するように導光する。なお、入射面10aは、平坦状であってもよいが、光を拡散させるためのパターンが施されていてもよい。当該パターンにより、光源近傍の輝度ムラを減少させることができる。
【0077】
導光体10としては、少なくとも透光性を有しており、また成形性に優れた材料からなることが好ましく、たとえばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン樹脂、および機能性を有するノルボルネン系樹脂などの透光性樹脂などを用いることができる。また、導光体10の出射面10bおよび背面10cの形状などを選定することによって光が進む方向を調節することができるので、導光体10に用いる材料は、その屈折率により制約を受けることはなく、いかなる屈折率のものでも用いることができる。導光体10の屈折率の例としては、たとえばアクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂を用いた場合には、1.49〜1.59程度である。
【0078】
ここで、導光体10の厚み方向をZ方向、Z方向に垂直であって入射面10aに平行な方向をX方向、Z方向およびX方向に垂直、すなわち入射面10aに垂直な方向をY方向と定義する。各図において、これらX、Y、Z方向を矢符X、Y、Zで表す。
【0079】
導光体10の出射面10bおよび背面10cは、導光体10内部からこれらの面に到達した光を、導光体10内部においてY方向に沿って導くように構成される。
【0080】
導光体10の背面10cには、光路を変換するための光路変換部16が設けられている。光路変換部16は、球の一部を構成する形状、たとえば半球状、を有する構造体であり、Y方向に向かう光をZ方向に変換する。光路変換部16は、導光体10と一体に形成されてもよく、この場合には導光体10と同じ材料により構成されてもよい。また、光路変換部16としては、たとえば樹脂材料、ガラス(ケイ素化合物)、光学的に透明な固体材料などを用いることができる。
【0081】
光路変換部16は、背面10c内に多数設けられており、光源17から遠くなるほど密度が大きくなるように配置されている。これにより、光源17から遠くなるほど、光の向きを効率よくZ方向に変換させることができるので、光源17から導光体10内に入射した光を光源17から遠い位置まで良好に導光させることにより、輝度の面内分布を均一化させることができる。
【0082】
拡散シート12は、導光体10の出射面10b上に設けられ、出射面10b上に拡散層12a、12b同士が積層される。これにより、出射面10bから出射した光は、拡散シート12により拡散して出射される。
【0083】
プリズムシート13、14は、入射する光の向きを一定の向きに変更させて出射する光学部材であり、導光体10の出射面10b上、かつ拡散シート12上に設けられる。プリズムシート13、14の詳細な構造について、図8を参照して説明する。図8は、本発明に係る面光源装置が備えるプリズムシートの一例を示す側面図である。
【0084】
プリズムシート14における、出射面10bに対向する面とは反対側の面には、出射面10b側から入射する光の方向をZ方向に略平行に変換させるプリズム部が設けられている。プリズム部は、一方向に延びる横倒しの三角柱の形状を有する複数のプリズム14’が、当該一方向と直交する方向に等間隔に並んだものである。たとえば、X方向に略平行に延びる複数のプリズム14’が、Y方向に等間隔のピッチにて並んだものである。これにより、入射位置がごくわずかに異なる2つの平行な光線A、Bは、プリズム14’によって同一の方向に光の向きが変更される。これにより、プリズムシートは、入射した光を集め、いわゆる集光させることができる。
【0085】
隣接するプリズム14’間の寸法(プリズム単位ピッチ)は、たとえば10μm以上5mm以下に設定される。また、プリズム14’の頂角は、たとえば50度以上120度以下に設定される。
【0086】
なお、プリズムシート13もプリズムシート14と同一の構成であり、プリズムシート13とプリズムシート14とは、それぞれのプリズム部におけるプリズムが並ぶ方向が互いに直交するように配置されている。これにより、光の方向をZ方向に略平行に効率よく変換させることができる。したがって、プリズムシート13、14により、入射した光をZ方向に沿った光として集めることができるため、正面輝度を高くすることができる。
【0087】
プリズムシート13、14としては、可視光透過率が高く、屈折率が比較的高い材料を用いることが好ましく、たとえば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂などが挙げられる。なかでも、活性エネルギー線硬化型樹脂が、耐擦傷性、取り扱いの容易性、生産性等の観点からより好ましい。
【0088】
反射シート15は、導光体10の背面10cに対向して設けられ、光を反射する性質を有するシートである。反射シート15は、導光体10の背面10cに到達した光を導光体10内部に反射する。なお、反射シート15としては、光の反射性が高いものが好ましく、入射する光に対する反射率が略1.0であるものがより好ましい。反射シート15に用いる材料としては、たとえば銀(Ag)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。また、反射シート15は、たとえば反射率が1.0に近い薄膜などであってもよい。これにより、導光体10内において背面10cに到達した光を導光体10内部に反射して戻すことができ、導光体10からの光の損失を最小限にとどめることができる。
【0089】
光源17は、導光体10の入射面10aに向けて光を出射する光源である。光源17には、少なくとも1つの発光素子(図示せず)と、発光素子を支持する支持部(図示せず)とを備えている。
【0090】
発光素子は、電源(図示せず)により供給される電力により、入射面10aに向けて放射状に光を出射する。発光素子としては、たとえば発光ダイオード(LEDとも略す)などが挙げられる。発光素子は、光を発生する半導体素子と、これを被覆する透光性樹脂とを備えている。
【0091】
半導体素子としては、たとえば窒化物系化合物半導体であって、下記式(I)に示す一般式で表されるものが好適に用いられる。
【0092】
InGaAlN・・・(I)
上記式(I)中、i、j、およびkは、それぞれインジウム(In)、ガリウム(Ga)、およびAlの原子比を表し、それぞれ0以上の数を表し、i+j+k=1を満たす。また、窒化物系化合物半導体としては、InGaN、各種不純物がドープされたGaNなど、種々のものが挙げられる。
【0093】
半導体素子は、たとえばInGaN、GaNなどの半導体をMOCVD法などによって成長させることにより、基板上に形成された発光層である。半導体素子の構造としては、MIS接合、PIN接合、pn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造、ダブルへテロ構造などが挙げられる。このようにして形成された窒化物系化合物半導体の層では、その材料、結晶度などによって発生させる光の波長を種々選択することができる。また、半導体素子として、量子効果を生ずる薄膜により形成させた半導体からなる活性層を用い、単一量子井戸構造、多量子井戸構造などとしたものを用いてもよい。
【0094】
透光性樹脂は、半導体素子から発生した光を吸収して、当該光の波長を変換し、異なる波長の光を発生させる蛍光体を含有してもよい。これにより、外部に出射される光の波長を変換することが可能になる。たとえば、半導体素子が光として紫外線を発生させる場合には、蛍光体は、紫外線によって励起されて紫外線または可視光を発生させるものであってもよい。また、半導体素子が光として可視光を発生させる場合は、蛍光体として、可視光を吸収して当該可視光よりも長波長の可視光を発生させることができる蛍光物質を用いてもよい。半導体素子と蛍光体とを組み合わせることによって、様々な色調を有する混合色の光を発生させることが可能になる。
【0095】
蛍光物質としては、たとえば、半導体素子からの光がエネルギーの高い短波長の可視光の場合、ペリレン形誘導体、ZnCdS:Cu、およびYAG:Ceなどの有機蛍光体、EuおよびCrの少なくともいずれか一方により付活された窒素含有CaO−Al−SiOなどの無機蛍光体、などが種々好適に用いられる。蛍光物質として、特にYAG:Ce蛍光体を用いる場合には、その含有量によって、たとえば発光素子が発生させる青色光と、当該蛍光物質が当該青色光を一部吸収して発生させた補色となる黄色系の光とから、白色系の光を比較的簡単に、信頼性よく発生させることができるため好ましい。同様に、蛍光物質として無機蛍光体を用いる場合には、その含有量によって、発光素子が発生させる青色光と、当該蛍光物質がその光を一部吸収して発生させた補色となる赤色系の光とから、白色系の光を比較的簡単に、信頼性よく発生させることができるため好ましい。
【0096】
支持部は、発光素子を固定させるものであり、発光素子が光を出射する領域を除いて、発光素子の周囲を覆って設けられる。なお、発光素子は、出射する光の方向が入射面10aに向かうように予め定められた位置に固定される。
【0097】
上述した構成により、面光源装置1Aは、拡散シート12により、出射面10bからの光を効率よく散乱させ、かつ光の輝度を高めることができるので、入射面10a近傍における輝度を抑え、輝度の面内分布を均一化させることができる。また、面内全体の輝度を上昇させることができ、さらに面内均一性を向上させることができる。したがって、高輝度で均一な面発光を実現させることができる。
【0098】
(面光源装置1Aの変形例)
ここで、面光源装置1Aの変形例について、以下に説明する。図6は、本発明に係る面光源装置の一実施形態における変形例を示す側面図である。
【0099】
変形例における面光源装置1A’については、説明の便宜上、上述した面光源装置1Aにおける構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。本変形では、主に、面光源装置1Aとの相違点について説明するものとする。
【0100】
面光源装置1A’は、拡散シート12がプリズムシート13、14の上に設けられている点のみが、面光源装置1Aとは異なっている。すなわち、面光源装置1A’は、反射シート15、導光体10、プリズムシート13、14、拡散シート12の順に構成されている。
【0101】
このような構成とすることで、拡散シート12によって、プリズムシート13、14により集光された光の空間分布を緩和させ、空間分布の半値幅を広げることができる。したがって、面光源装置1A’が液晶表示装置等に設けられた場合には、当該液晶表示装置等における視野角を大きくすることができる。
【0102】
〔第2実施形態〕
本発明の他の実施形態について、図9を参照して説明する。図9は、本発明に係る面光源装置の他の実施形態を模式的に示す側面図である。なお、説明の便宜上、第1実施形態における構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、主に、第1実施形態との相違点について説明するものとする。
【0103】
本実施形態では、拡散シート12の代わりに、2層の拡散層22a、22bにより構成され、基材11を含まない拡散材22を備えている点のみが、第1実施形態とは異なっている。
【0104】
拡散層22a、22bは、入射する光の向きを変えて散乱させる層であり、光が出射される面には、微細な凹凸が形成された凹凸面22a’、22b’(拡散面)が形成されている。拡散層22a、22bの材料、凹凸面22a’、22b’の形状としては、第1実施形態における拡散層12a、12b、凹凸面12a’、12b’と同一のものを用いることができる。
【0105】
本実施形態では、拡散層22a、22bは、それぞれ屈折率が異なる樹脂により構成される。拡散層22aは、導光体10の出射面10b上に直接塗布されて形成され、拡散層22bは、拡散層22a上に塗布されて形成される。これにより、拡散材22は、導光体10と一体化されている。なお、拡散層22a、22bが紫外線硬化型樹脂により構成される場合には、上述した方法により、容易に作製することができる。
【0106】
拡散層22aに導光体10側から入射した光は、凹凸面22a’に形成された凹凸により散乱されて拡散層22bに入射する。そして拡散層22bに入射した光は、凹凸面22b’に形成された凹凸によりさらに散乱されて出射する。
【0107】
拡散層22aの屈折率は、導光体10の屈折率よりも小さい。これにより、導光体10内を伝播する光は、導光体10と拡散層22aとの屈折率によって規定される全反射角よりも大きい角度にて出射面10bに入射した場合には全反射する。
【0108】
ここで、導光体に最も近い拡散層が導光体と同一の屈折率、または導光体より高い屈折率を有する場合には、導光体を伝播する光が拡散層に進入し、あらゆる方向に光の向きが変換されて、多くが面光源装置の外へ出射してしまい、輝度の面内分布が不均一になってしまうおそれがある。しかし、本実施形態であれば、上述した構成によりこのようなおそれを防止することができるので、導光体10の導光機能を損なうことを防ぐことができ、出射面10bから出射される光の強度の分布を均一にすることができる。なお、拡散層21aの屈折率は、導光体10の屈折率より0.01%以上小さいことが好ましい。
【0109】
拡散層22bの屈折率は、拡散層22aの屈折率よりも大きいものである。これにより、拡散層22aと拡散層22bとの間の界面における光の全反射を防止するとともに、界面での光の屈折によって拡散効果を高めることができる。
【0110】
上述した構成により、本実施形態では、拡散材22が基材11等を含まないので、面光源装置1Bを薄型化できる。したがって、面光源装置1Bが備えられる機器の薄型化にも貢献できる。また、シート状の基材等に拡散層を形成させた拡散シートなどを導光体に取り付ける場合と比較して、材料が少ないうえ、製造工程を減らすことができるので、製造コストを低減させることができる。
【0111】
また、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、凹凸面22a’、22b’が2層に構成されるので、光を効率よく散乱させることができ、拡散効果が高まることにより光を均一化させることができる。また、2重に構成された凹凸面22a’、22b’により光を拡散させるので、それぞれの拡散層において多重反射、多重屈折などによる光の内部損失を少なくすることができるため、光の輝度を高めることができる。このような拡散材22により、出射面10bからの光を効率よく散乱させ、かつ光の輝度を高めることができるので、入射面10a近傍の輝度を抑え、輝度の面内分布を均一化させるとともに、面内全体の輝度を上昇させることでさらに面内均一性を向上させることができる。したがって、高輝度で均一な面発光を実現させることができる。
【0112】
(面光源装置1Bの変形例)
ここで、面光源装置1Bの変形例について、以下に説明する。図10は、本発明に係る面光源装置の他の実施形態における変形例を示す側面図である。本変形例における面光源装置1B’については、説明の便宜上、上述した面光源装置1Bにおける構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。本変形例では、主に、面光源装置1Bとの相違点について説明するものとする。
【0113】
面光源装置1B’は、面光源装置1Bの構成に加えて、さらに拡散材24がプリズムシート13、14の上に設けられている。
【0114】
拡散材24は、シート状の基材23上に、凹凸面24a’を備えた拡散層24aが設けられたものである。基材23および拡散層24aの材料、ならびに凹凸面24a’の形状としては、上述した基材11および拡散層22aの材料、ならびに凹凸面22a’の形状と同一のものを用いることができる。
【0115】
上記構成であれば、拡散材24により、プリズムシート13、14によって集光された光の空間分布を緩和させ、空間分布の半値幅を広げることができる。したがって、面光源装置1B’が液晶表示装置等に設けられた場合には、当該液晶表示装置等における視野角を大きくすることができる。
【0116】
〔第3実施形態〕
本発明の他の実施形態について、図11および図12を参照して説明する。図11は、本発明に係る面光源装置の他の実施形態を模式的に示す側面図である。なお、説明の便宜上、第1実施形態および第2実施形態における構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、主に、第1実施形態および第2実施形態との相違点について説明するものとする。
【0117】
本実施形態では、面光源装置1Cが、拡散シート12、プリズムシート13、14、反射シート15等の光学シート類を備えておらず、これらの光学シート類の機能が集約された導光体30’と、3層の拡散層32a、32b、32cにより構成される拡散材32とを備えた導光体ユニットを備えている点のみが、第1実施形態および第2実施形態とは異なっている。すなわち、面光源装置1Cは、導光体30’と拡散材32とを備えた導光体ユニットおよび光源17により構成される。
【0118】
(拡散材32)
まず、拡散材32について説明する。図12は、図11に示す面光源装置の一部を示す側面図である。
【0119】
拡散材32における拡散層32a、32b、32cは、入射する光の向きを変えて散乱させる層であり、光が出射される面には、微細な凹凸が形成された凹凸面32a’、32b’、32c’(拡散面)が形成されている。なお、拡散層32a、32b、32cの材料、凹凸面32a’、32b’、32c’の形状としては、第1実施形態および第2実施形態における拡散層、凹凸面と同一のものを用いることができる。
【0120】
本実施形態では、拡散層32a、32b、32cは、それぞれ屈折率が異なる樹脂により構成される。拡散層32aは、導光体30’の出射面30b上に直接塗布されて形成される。また、拡散層32bは、拡散層32a上に塗布されて形成され、さらに拡散層32cは、拡散層32b上に塗布されて形成される。これにより、拡散材32は、導光体30’と一体化されている。なお、拡散層32a、32b、32cが紫外線硬化型樹脂により構成される場合には、上述した方法により、容易に作製することができる。
【0121】
拡散層32aに導光体30’側から入射した光は、凹凸面32a’に形成された凹凸により散乱されて拡散層32bに入射する。そして拡散層32bに入射した光は、凹凸面32b’に形成された凹凸によりさらに散乱されて拡散層32cに入射する。さらに拡散層32cに入射した光は、凹凸面32c’に形成された凹凸によりさらに散乱されて出射する。
【0122】
上述した構成により、本実施形態では、第2実施形態と同様に、拡散材32が基材11等を含まないので、導光体ユニットを薄型化できるため、この導光体ユニットを備える面光源装置1Cの薄型化にも貢献できる。さらに、面光源装置1Cが備えられる機器の薄型化にも寄与することができる。また、製造コストを低減させることができる。
【0123】
また、本実施形態によれば、3層に構成された凹凸面32a’、32b’、32c’により、光をさらに効率よく散乱させることができ、拡散効果が高まることにより光を均一化させることができる。また、多重に構成された凹凸面32a’、32b’、32c’により光を拡散させるので、それぞれの拡散層において多重反射、多重屈折などによる光の内部損失を少なくすることができるため、光の輝度を高めることができる。
【0124】
拡散層32aの屈折率は、導光体30’の屈折率よりも小さいことが好ましい。これにより、導光体30’の導光機能を損なうことがないため、出射面30bから出射される光の強度の分布を、均一にすることができる。なお、拡散層32aの屈折率は、導光体30’の屈折率より0.01%以上小さいことが好ましい。
【0125】
また、拡散層32a、32b、32cの屈折率は、拡散層32aが最も小さく、拡散層32cが最も大きくなるように、すなわち、入射した光が出射する方向に、拡散層ごとに段階的に大きくなるように、設定されることが好ましい。たとえば、導光体30’の屈折率が1.59である場合の例として、拡散層32aの屈折率が1.37、拡散層32bの屈折率が1.53、拡散層32cの屈折率が1.66などのように段階的に設定することができる。このような構成であれば、各拡散層の界面における光の全反射を防止できるとともに、当該界面において光を屈折させることができるので、より拡散効果を高めることができる。これにより、入射面30a近傍の輝度をより効率よく抑えることができ、輝度の面内分布を均一化させることができるとともに、面内全体の輝度をさらに上昇させることで面内均一性をより向上させることができる。したがって、より高輝度で均一な面発光を実現することができる。
【0126】
さらに、拡散層32cの屈折率は、導光体30’の屈折率よりも大きいことが好ましい。これにより、拡散層32cの凹凸面32c’における光の屈折が大きくなるため、より拡散効果を高めることができる。なお、拡散層32cの屈折率は、導光体30’の屈折率より0.01%以上大きいことが好ましい。
【0127】
次に、導光体30’について、以下に説明する。
【0128】
(導光体30’)
導光体30’は、図12に示すように、導光部30、31と、凹凸形成部34と、反射層35(反射材)とにより構成される。
【0129】
導光部30と導光部31とは、凹凸形成部34を挟んで配置された略対称構造となっている。これにより、たとえば、導光体30’を紫外線硬化型樹脂等により作製する場合には、硬化による収縮率差によって発生するソリを大幅に抑制することができる。
【0130】
導光部30、31は、それぞれ直方体、具体的には板状、すなわち平板状に形成されている。導光部30と導光部31とは、互いに平行に、かつ互いに対向して配置される。導光部30および導光部31は、厚み方向(Z方向)に見てそれぞれ長方形に形成される。導光体30’の入射面30aは、導光部30、31にわたって形成される。入射面30aは、導光体30’を厚み方向に見たときにおける長方形の1つの短辺を含み、かつ厚み方向の直線を含む端面である。したがって、本実施形態において入射面30aは、Z方向に平行であり、Y方向に垂直である。入射面30aは、本実施形態においては、平滑な平面状に形成されているが、入射する光の進行方向を変換するために凹凸が形成されていてもよい。また、導光部30における、入射面30aに垂直であり、導光部31とは反対側の面には、出射面30bが形成される。
【0131】
導光部30、31としては、第1実施形態における導光体10について例示したものと同一のものを用いることができる。
【0132】
凹凸形成部34は、導光体30’の厚み方向の内部における予め定める位置に配置され、複数の凹凸体が形成される。凹凸形成部34には、導光部30、31の表面に、Y方向に平行に複数の凹凸体が形成される。凹凸体は、Z方向に突出または陥没するものである。凹凸形成部34については後述する。
【0133】
光源17から出射される光は、導光体30’の厚み方向(Z方向)に角度をなして導光体30’に入射する。光源17から出射される光のうち少なくとも一部の進行方向は、導光部30、31の厚み方向(Z方向)に垂直、かつ出射面30bに平行である。
【0134】
反射層35は、背面側の表面部37に設けられ、導光体30’内において背面に到達した光を反射するものである。反射層35としては、たとえば銀、アルミニウムなどの単体金属を含む反射性の塗料を塗布したものなどを用いることができる。これによって、表面部37は、導光体30’内部から背面に到達する光を反射し、導光体の内部に戻すことができる。
【0135】
ここで、さらに凹凸形成部34、および表面部36、37のそれぞれについて、以下に説明する。
【0136】
(凹凸形成部34)
凹凸形成部34は、高屈折率構造体33および低屈折率構造体34a、34bにより構成される。低屈折率構造体34a、34bの屈折率は、高屈折率構造体33および導光部30、31の屈折率よりも低くなっている。
【0137】
低屈折率構造体34a、34bは、それぞれ凹凸体が形成された構造体であり、Z方向に離れて積層されている。低屈折率構造体34a、34bのそれぞれの凹凸体は、互い違いに対向して形成される。低屈折率構造体34a、34bとしては、光学的に透明な固体材料などを用いることができる。たとえば樹脂、ガラス(ケイ素化合物)等が挙げられる。樹脂としては、たとえばフッ素系樹脂などが低い屈折率を示すため好ましい。また、アクリル系樹脂(例えばRI=1.49のもの)をバインダーとして中空材料を混合することにより見かけの屈折率を低下させたものなどであってもよい。
【0138】
高屈折率構造体33は、2つの低屈折率構造体34a、34bの間に形成され、低屈折率構造体34a、34bよりも屈折率の高い材料からなっている。高屈折率構造体33としては、光学的に透明な固体材料などを用いることができる。たとえば樹脂、ガラス(ケイ素化合物)等が挙げられる。樹脂としては、たとえばベンゼン環を含むもの、臭素を含むもの、硫黄を含むものなどが高い屈折率を示すため好ましい。また、樹脂中に金属フィラーを混合することにより見かけの屈折率を高くしたものなどであってもよい。高屈折率構造体33は、たとえば液体を含む流動的な材料が低屈折率構造体34a、34bの間に充填された後、固化されることによって形成される。これによって、高屈折率構造体33は、2つの低屈折率構造体34a、34bの間に位置する1つの部材として、導光部30側からも導光部31側からも規定され、Z方向における両側から形状が規定される。
【0139】
低屈折率構造体34a、34bには、複数の凹部が形成される。複数の凹部は高屈折率材料の少なくとも一部が配置される位置である。低屈折率構造体34aの凹部と、低屈折率構造体34bの凹部とは、互いにずれて配置される。各凹部の内面の形状は、Z方向に延びる直線のまわりに二次曲線を回転させたときの回転体の一部をなす。
【0140】
これによって、高屈折率構造体33と低屈折率構造体34a、34bとの界面は、二次曲線の回転体の一部をなす形状に形成される。二次曲線とは、放物線、双曲線、楕円および円のいずれでもよいが、Z方向に延びる直線に関して線対称であるものが好ましい。本実施形態では、二次曲線として仮想的な楕円を採用しており、凹部の形状は、楕円の長径をZ方向に配置して、その楕円を長径まわりに回転させたときの回転体の一部をなしている。
【0141】
なお、低屈折率構造体34a、34bは、凹凸形成部34のY方向における端部において互いにつながって形成されてもよい。端部以外の部分において離れて配置され、高屈折率構造体33がその間に配置されればよい。
【0142】
これにより、導光部30と導光部31との間に配置される高屈折率構造体33を、低屈折率構造体34a、34bを含む1つの部材として形成させることができる。
【0143】
ここで、凹凸形成部として、たとえばフィルム状シートと凹凸体とを別部材として形成させ、導光部30と導光部31との間に配置させる構成があるが、本実施形態であれば、この構成を用いるよりも優れた効果を有することを以下に説明する。
【0144】
本実施形態であれば、上記構成に比べて、界面が少ないものとなる。したがって、いわゆるフレネル反射を抑制することができるので、上記構成と比較して、輝度を向上させることができる。また、製造にかかる工程数を低減させることができるので、製造にかかる費用の削減も可能になる。
【0145】
また、上記構成を用いた場合には、凹凸体のZ方向における寸法にバラつきが生じ、フィルム状シートがZ方向にずれて配置されるおそれがある。しかし、本実施形態では、低屈折率構造体34a、34bを形成させ、その間に高屈折率構造体33となる材料を充填して固化させるので、高屈折率構造体33のZ方向における位置のずれを小さくすることができる。
【0146】
したがって、本実施形態では、フレネル反射の抑制と、高屈折率構造体33の位置精度の向上と、工程数、製造費用の削減とを、同時に達成することができる。
【0147】
また高屈折率構造体33のうち、低屈折率構造体34a、34bに向かって突出して形成される部分の表面は、曲面として形成され、この表面のいずれの部分においても低屈折率構造体34a、34b側が凸、高屈折率構造体33側が凹の形状に形成される。すなわち、凸側に位置する材料の屈折率は、凹側に位置する材料の屈折率よりも低く設定される。高屈折率構造体33のうち、導光部30側および導光部31側に突出する部分は、Z方向に見て重なる位置から凹凸のピッチの半分、Y方向にずれて配置される。これによって、高屈折率構造体33における突出する部分は、導光部30側から到達し、導光部30側の低屈折率構造体34aにおいて集光する光に対して、導光部31側の低屈折率構造体34bが阻害になることを防ぐことができる。また、導光部31側から到達し、導光部31側の低屈折率構造体34bにおいて集光する光に対して導光部30側の低屈折率構造体34aが阻害になることを防ぐことができる。
【0148】
高屈折率構造体33の導光部30側に突出して形成される部分のうち、最も導光部30側の端部は、導光部30に接して形成される。また、高屈折率構造体33の導光部31側に突出して形成される部分のうち、最も導光部31側の端部は、導光部31に接して形成される。
【0149】
高屈折率構造体33と低屈折率構造体34a、34bとの界面は、曲面の一部の形状として形成されるので、たとえば低屈折率構造体34a、34bと高屈折率構造体33との界面が多面体の一部の形状として形成される場合に比べて、凹凸形成部34に入射した光に対して、光の進行方向を連続的に変化させることができる。したがって、あらゆる進行方向の光に対して集光効果を発揮することができる。これによって、導光体30’から出射する光の強度を向上させることができる。
【0150】
上述した構成によって、凹凸形成部34に対して出射面30b側から入社する光の進行方向、および、凹凸形成部34に対して出射面30bとは反対側から入射する光の進行方向を、高精度に制御し、出射させることが可能となる。これによって、出射面30bから出射される光の強度を、光源17からの距離に関わらず均一にし、Z方向の光を増やすことができる。凹凸形成部34は、Z方向における導光体30’の内部に設けられるので、導光体30’のZ方向における寸法を、光源17のZ方向における寸法に等しく設定することが可能となる。これによって、導光体30’を薄形化することができる。
【0151】
また、凹凸形成部34を通過する光を低屈折率構造体34a、34bにおける凹凸体によって制御し、凹凸形成部34よりも出射面30b側の導光体30’内で伝播される光を導光部30によって制御し、凹凸形成部34よりも出射面30bとは反対側の導光体30’内で伝播される光を導光部31によって制御することが可能となる。したがって導光体30’は、入射する光の進行方向を、高精度に制御し、出射させることが可能となる。
【0152】
また、凹凸形成部34に垂直に見て、各凹凸体は、円形に形成される。これによって、Z方向に垂直ないずれの向きにも異方性を持たないので、凹凸形成部34の形成を容易にすることができる。また、あらゆる方向からの光を等しく効率的に集光させることができ、光の空間分布を均一にすることができる。
【0153】
また、低屈折率構造体34aにおける凹凸体と、低屈折率構造体34bにおける凹凸体とは、Y方向にずれて形成される。これによって、凹凸形成部34に導光部30側から到達する光、および導光部31側から到達する光を、低屈折率構造体34aにおける凹凸体および低屈折率構造体34bにおける凹凸体のいずれか一方の凹凸体によって進路変更させることができる。これによって、凹凸形成部34に到達する光を高精度で制御することができる。
【0154】
(表面部36、37)
導光部30のうち出射面30b側の表面部36、および導光部31のうち出射面30bからZ方向に最も離れた位置である表面部37のうちの少なくとも一部には、プリズム状の凹凸形状が形成される。具体的には、出射面30bの一部と導光部31の反射層3側、つまり背面側の表面部37の一部とに、凹凸形状が形成される。凹凸形状は、出射面30b側の表面部36および背面側の表面部37のうちいずれか一方に形成されてもよく、両方に形成されてもよい。また凹凸形状は、表面部36および表面部37のそれぞれの一部に形成されてもよく、全面に形成されていてもよい。本実施形態において凹凸形成は、表面部36、37の両方に、全体にわたって複数形成される。
【0155】
表面部36、37に形成される凹凸形状とは、多面体の一部をなす形状であればよい。本実施形態において各凹凸形状は、三角柱の形状の一部をなす形状となっている。三角柱の軸線はX方向に配置される。したがって、各凹凸形状は、X方向に見る場合には三角形の一部をなす。表面部36に形成される凹凸形状は、X方向に延びる稜線を形成し最もZ方向に突出した稜線部と、稜線部からY方向の一方または他方に向かうにつれて背面側に向かう2つの斜面部とを含んで形成される。したがって表面部36は、稜線部を棟とする切妻屋根のような形状に形成される。2つの斜面部の表面が成す角度は、たとえば170度に設定されてもよい。
【0156】
表面部37に形成される凹凸形状は、X方向に延びる稜線を形成し最も背面側に突出した稜線部と、稜線部からY方向の一方または他方に向かうにつれて出射面30b側に向かう2つの斜面部とを含んで形成される。したがって表面部37は、稜線部を棟とする切妻屋根のような形状に形成される。2つの斜面部の表面が成す角度は、たとえば170度に設定されてもよい。
【0157】
表面部36、37に形成される凹凸形状において、各凹凸形状は、Y方向に垂直で稜線を通過する仮想面を基準として面対称に形成される。複数の凹凸形状は、互いに同じ形状および同じ大きさに形成され、Y方向に並ぶ。Y方向に隣接する凹凸形状間は、斜面部の表面が交わることによって谷の形状に形成される。谷の形状に形成される部分と稜線部とのZ方向の距離は、たとえば2μmに設定されてもよく、Y方向に隣接する稜線部間のピッチは、たとえば46μmに設定されてもよい。
【0158】
上述した構成によって、凹凸形状が形成されない場合に比べて、出射面30bから出射される光の向きを、凹凸形状によって変更させ、集光させることができる。したがって、出射面30bから出射される光の輝度を向上させることができる。
【0159】
なお、本実施形態では、出射面30b側の表面部36および背面側の表面部37にプリズム状の凹凸形状を形成させる場合について説明したが、特にこの形状には限定されない。たとえば、表面部36、37の形状は、上述したようなプリズムパターンでなくてもよいし、プリズムパターンを交差させた角錐状パターンなどであってもよい。また、本実施形態では、表面部36、37における凹凸形状について、導光部30、31上に凸状に形成させた場合について説明したが、たとえば凹状に形成させてもよい。
【0160】
光源17は、導光部30、31および凹凸形成部34に対して、Z方向に垂直ないずれかの向きに隣接して設けられる。これによって、導光体30’の厚みを、必要最小限の厚みとすることができる。
【0161】
なお、光源17は、導光部30、導光部31および凹凸形成部34に対して、光が出射する方向、つまりZ方向に平行に予め定める向きに隣接して設けられ、Z方向において、光源17の寸法と、導光部30、31および凹凸形成部34の寸法とが同じに設定されることが好ましい。換言すれば、導光体30’のZ方向の寸法は、光源のZ方向の寸法と同一に設定されることが好ましい。
【0162】
また、本実施形態では、2つの導光部30、31がそれぞれ1つの部材として形成される場合について説明したが、特にこれに限らず、導光部30、31が一体である1つの部材として形成されてもよい。たとえば導光部30、31が光源に対向する端部(入射面30a)において連続した1つの部材であり、その一部が導光部30として出射面30b側に、他の一部が導光部31として背面側に配置される構成とすることも可能である。
【0163】
また本実施形態によれば、面光源装置1Cが導光体30’と拡散材32とにより構成される導光体ユニットを備えることにより、光強度の分布が均一な面光源装置1Cを実現することができる。また、出射面30bから出射される光の進行方向を高い精度で制御することができるので、輝度の高い面光源装置1Cを実現することができる。そのため、入射面30a近傍の輝度を抑え、輝度の面内分布を均一化させるとともに、面内全体の輝度を上昇させることでさらに面内均一性を向上させることができる。したがって、高輝度で均一な面発光を実現させることができる。
【0164】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0165】
たとえば、本発明に係る面光源装置は、さらに他の光学部材として、たとえば偏光反射シートまたは偏光反射層を含んで構成されてもよい。また光源は、個別のLEDを光源として用いる構成に限らず、1つの筐体にチップを複数備えた線状化LEDとした構成、または冷陰極管を使用する構成等であってよく、その種類は限定されない。また導光体の入射面は、平坦状に限らず、光源の出射形態に応じて凹凸の形状が形成されてもよい。これにより、輝度むらを削減させることができる。
【0166】
なお、本発明に係る面光源装置は、液晶表示装置に限らず、たとえば種々の表示パネル、イルミネーション、パネルメーター、表示灯、面発光スイッチなどに適用することができる。表示パネルとしては、携帯電話などのモバイル機器に搭載される液晶表示パネルなどが挙げられる。
【実施例】
【0167】
(実施例)
本実施例においては、図1に示す面光源装置1Aと同じ構成のものを製造した。そこで、本実施例の面光源装置について、図1を参照して説明する。
【0168】
本実施例における面光源装置は、液晶表示パネルを照明するエッジライト式バックライトとして使用できるものであり、たとえば2.4インチの携帯電話に搭載される液晶画面用の面光源装置として好適に用いられるものである。
【0169】
導光体10としては、Y方向の寸法が約55mm、X方向の寸法が約39mm、およびZ方向の寸法が約0.6mmのものを用いた。また、入射面10aを平坦状とした。背面10cには、光路変換部16として、球の一部を構成する形状を有し、直径が約200μm、および高さが約5μmである構造体を多数形成させた。この構造体は、光源17に近いほど密度が小さく、光源17から遠いほど密度が大きくなるように、背面10c内に配置した。
【0170】
導光体10の背面10cに対向する位置には反射シート15として住友3M製の反射シート(ESR)を配置し、出射面10b側には拡散シート12と2枚のプリズムシート13、14とを配置した。
【0171】
拡散シート12としては、基材11として0.05mmの厚さのPETフィルムを用いて、基材11の片方の面に紫外線硬化型樹脂を塗布し、微細な凹凸を有する微細凹凸金型を押し当てながら紫外線を照射することにより、1層目の拡散層12aを形成させたものを用いた。その後、拡散層12aの上に、1層目の拡散層12aを構成する樹脂よりも高い屈折率を有する紫外線硬化型樹脂を塗布し、同様に微細凹凸金型を押し当てながら紫外線を照射することにより、2層目の拡散層12bを形成させた。これにより、拡散層12aの屈折率が拡散層12bの屈折率よりも低いものとなった。
【0172】
プリズムシート13、14には、プリズム単位ピッチが18μmであり、頂角が90度である多数のプリズムが含まれて構成されている、住友3M製のプリズムシート(ThinBEF)を用いた。また、プリズムシート13、14は、プリズム部が出射面10b側とは反対側の面に設けられ、それぞれのプリズム部におけるプリズムの方向が互いに直交するように配置した。
【0173】
光源17としては、1.5cdの発光素子を用いたタイプのLED光源を用い、4つのLEDを9mmのピッチにて並べて配置した。また、LEDは直列接続され、20mAの電流を印加させると、液晶表示パネルを照明するバックライトとして使用できるものである。
【0174】
反射シート15、導光体10、拡散シート12、プリズムシート13、14、および光源17を、樹脂フレーム(図示せず)と遮光テープ(図示せず)とを用いてパッケージし、面光源装置を作製した。遮光テープとしては、日東電工製の遮光反射両面接着テープ(No.5680W)を用いた。
【0175】
(比較例)
次に、比較例の面光源装置100について説明する。図16は、本発明に係る面光源装置の比較例を示す側面図である。
【0176】
図16に示すように、比較例における面光源装置100では、拡散材として、ビーズが内部に混在する樹脂により構成される拡散層112がシート基材111の表面に塗布された、拡散層が1層のみの拡散シートを用いた。また、導光体110、プリズムシート113、114、反射シート115、光路変換部116、および光源117には、実施例における導光体10、プリズムシート13、14、反射シート15、光路変換部16、および光源17と同じものを用いた。
【0177】
(測定結果)
上述した実施例および比較例における面光源装置を用いて、入射面近傍の正面輝度を測定した結果を図13(a)〜(b)に示す。図13の(a)は、入射面近傍の正面輝度を測定する際の実施例または比較例の面光源装置を出射面側から見た図であり、図13の(b)は、実施例および比較例の面光源装置について、入射面近傍の正面輝度を測定した結果を示すグラフである。
【0178】
図13(a)に示すように、各面光源装置について、光源17または117から入射面に垂直な方向に4mm離れた位置において正面輝度を測定した。なお、入射面と平行な方向に0.5mmの間隔ごとの位置において測定した。輝度の測定は、トプコン社製の分光輝度測定器SR−3Aを用いて、測定角0.1°、測定距離500mmの条件にて行った。また、光源17、117としては、LEDを4つ配置し、隣接する光源のピッチを9mmとした。各LEDを直列接続させ、20mA(ミリアンペア、milliamperes)の電流が流れるように調整した電圧を印加した。また、測定の際、遮光テープ71を用いた。
【0179】
図13(b)のグラフの縦軸は、輝度(cd/m(カンデラ/平方メートル、candela per square meters))を表す。また、横軸は、入射面と平行な方向における、入射面の中心を0としたときの位置を表す。
【0180】
図13(b)に示すように、実施例では、比較例よりも光源付近の輝度ムラが減少していた。これにより、実施例における面光源装置は、入射面近傍、および光源間における暗部を良好に小さくすることができることが示された。
【0181】
また、上述した実施例および比較例における面光源装置を用いて、正面輝度の面内分布を測定した結果を図14(a)〜(b)に示す。図14の(a)は、正面輝度の面内分布を測定する際の実施例または比較例の面光源装置を出射面側から見た図であり、図14の(b)は、実施例および比較例の面光源装置について、正面輝度の面内分布を測定した結果を示すグラフである。
【0182】
図14(a)に示すように、各面光源装置について、出射面の中心を基準に、入射面と垂直な方向に8mm、入射面と平行な方向に6mmの間隔において設定した25箇所の各位置において、正面輝度を測定した。測定した場所を、図14(a)に1〜25の位置番号で示す。輝度の測定は、トプコン社製の分光輝度測定器SR−3Aを用いて、測定角1°、測定距離500mmの条件にて行った。また、光源17、117としては、LEDを4つ配置し、隣接する光源のピッチを9mmとした。各LEDを直列接続させ、20mAの電流が流れるように調整した電圧を印加した。
【0183】
図14(b)のグラフの縦軸は、輝度(cd/m)を表す。また、横軸は、測定した場所を示す位置番号1〜25を表す。
【0184】
図14(b)に示すように、実施例では、比較例よりも、光源17、117近傍における輝度が減少した一方、全体の輝度は上昇していた。これにより、実施例における面光源装置は、入射面近傍の輝度を抑え、輝度の面内分布を均一化させることができるとともに、面内全体の輝度を上昇させることができるので、さらに面内均一性を向上させることができることが示された。
【0185】
また、上述した実施例および比較例における面光源装置を用いて、輝度の角度分布を測定した結果を図15(a)〜(b)に示す。図15の(a)は、輝度の角度分布を測定する際の実施例または比較例の面光源装置を、入射面側の斜め上方から見た図であり、図15の(b)は、実施例および比較例の面光源装置について、輝度の角度分布を測定した結果を示すグラフである。
【0186】
図15(a)に示すように、各面光源装置について、出射面の中心を中心とする、入射面と平行な円の円周上に測定位置を設定し、各測定位置における輝度を測定した。測定位置は、出射面の中心を通る垂線と、出射面の中心および各測定位置を結ぶ線とのなす角が5°の間隔になるように設定した。輝度の測定は、トプコン社製の分光輝度測定器SR−3Aを用いて、測定角1°、測定距離500mmの条件にて行った。また、光源17、117としては、LEDを4つ配置し、隣接する光源のピッチを9mmとした。各LEDを直列接続させ、20mAの電流が流れるように調整した電圧を印加した。
【0187】
図15(b)に示すように、実施例では、比較例よりも輝度の半値幅が広がった。これにより、実施例における面光源装置を用いれば、光を良好に拡散させることができることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明は、拡散効果を高め、均一な面発光を実現することができるので、液晶ディスプレイなどを面照明するためのバックライトシステムなどに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0189】
1A、1A’、1B、1B’、1C 面光源装置
10 導光体
10b 出射面
12 拡散シート(拡散材)
12a、12b 拡散層
12a’、12b’ 凹凸面(拡散面)
15 反射シート(反射材)
16 光路変換部
22 拡散材
22a、22b 拡散層
22a’、22b’ 凹凸面(拡散面)
30’ 導光体
31 拡散材
31a、31b、31c 拡散層
32a’、32b’、32c’ 凹凸面(拡散面)
35 反射層(反射材)
42 拡散シート(拡散材)
42a、42b 拡散層
42a’、42b’ ビーズ(拡散部)
52 拡散シート(拡散材)
52a、52b 拡散層
52a’ ビーズ(拡散部)
52b’ 凹凸面(拡散面)
62 拡散シート(拡散材)
62a、62b 拡散層
62a’、62b’ 凹凸面(拡散面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を拡散させて出射する拡散材であって、
光を散乱させる複数の拡散層が積層されていることを特徴とする拡散材。
【請求項2】
上記拡散層の少なくとも1つは、微細な凹凸が形成されている拡散面を備え、当該拡散面において光を屈折させるものであることを特徴とする請求項1に記載の拡散材。
【請求項3】
上記拡散層の少なくとも2つは、微細な凹凸が形成されている拡散面を備え、当該拡散面において光を屈折させるものであり、
上記拡散面の凹凸の大きさまたは密度は、上記拡散層ごとに異なっており、入射した光が出射する方向に段階的に小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の拡散材。
【請求項4】
上記拡散層の少なくとも1つは、光を屈折させる複数の拡散部が内部に分散されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の拡散材。
【請求項5】
上記拡散層の少なくとも1つは、紫外線により硬化した樹脂により構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の拡散材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の拡散材と、入射した光を出射させる出射面を有する導光体とを備えた導光体ユニットであって、
上記拡散材は、上記出射面から出射した光を拡散させるものであり、
上記出射面上に、上記拡散材における複数の拡散層同士が積層されていることを特徴とする導光体ユニット。
【請求項7】
上記拡散層のうち上記導光体に最も近い拡散層は、樹脂により構成され、上記出射面上に直接塗布されて形成されたものであることを特徴とする請求項6に記載の導光体ユニット。
【請求項8】
上記拡散層の屈折率は、上記拡散層ごとに異なっており、入射した光が出射する方向に段階的に大きいことを特徴とする請求項6または7に記載の導光体ユニット。
【請求項9】
上記拡散層のうち上記導光体に最も近い拡散層の屈折率が、上記導光体の屈折率より小さいことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の導光体ユニット。
【請求項10】
上記拡散層のうち上記導光体から最も遠い拡散層の屈折率が、上記導光体の屈折率より大きいことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の導光体ユニット。
【請求項11】
上記導光体内における上記出射面とは反対側の背面には、光の向きを上記出射面の方向に変換させる光路変換部が設けられていることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の導光体ユニット。
【請求項12】
上記導光体における上記出射面とは反対側の背面に対向して設けられ、上記導光体内において当該背面に到達した光を反射する、反射材をさらに備えていることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の導光体ユニット。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれか1項に記載の導光体ユニットと、光源とを備えることを特徴とする面光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−54443(P2011−54443A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202977(P2009−202977)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】