説明

挟持用ねじ

【課題】挟持用ねじは、経年変化によりメスボルトとオスボルトとの間に緩みが生じることがあり、被挟持体の押圧が緩んだり脱落を生じる懸念がある。
【解決手段】本発明は、一端にロックボルト挿通孔を貫通したつば状挟持部を形成し、内周に内ねじを形成したメスボルトと、一端につば状挟持部を形成し、棒状部外周にメスボルトの内ねじに螺合する外ねじを形成するとともに棒状部外周に形成した外ねじと反対回りの内ねじを内周に形成したオスボルトと、オスボルトの棒状部に形成した内ねじに螺合する外ねじを形成したロックボルトとからなることを特徴とする挟持用ねじを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被挟持体を貫通してその両側から被挟持体を挟持する挟持用ねじに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な挟持用ねじ11は、図8に示すように、一端につば状部12bを形成するととに内周に内ねじ12aを形成したメスボルト12と、一端につば状部13bを形成するとともに外周に外ねじ13aを形成したオスボルト13とからなる。
【0003】
挟持用ねじ11と挟持されるべき一対の被挟持体16、17とは、被挟持体16、17に開孔した挿通孔16a、17aにメスボルト12とオスボルト13とを挿通し、メスボルト12の内ねじ12aとオスボルト13の外ねじ13aと螺着して締結される。
【0004】
このようにして締結された挟持用ねじ11と被挟持体16、17とは、経時的変化によりメスボルト12とオスボルト13のねじ12a、13aの緩みが生じ、締結が弱まったり抜け落ちたりすることがある。また、締結が弱まると被挟持体16、17へのつば状部12b、13bからの押圧が弱まったり、時には被挟持体16、17の脱落という事態も生じかねない。
【0005】
この問題を解決するための方法として、オスボルトの外ねじ部分にスベリ防止剤を塗布したり、締結対象商品が見掛け上問題のない部分であれば、締結後にオスボルトの頭を溶接して固定することなどが周知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者の場合は、スベリ防止剤の経年変化により絶対的な緩み止めとはいえず、また後者の場合は、外観的に見える部分、またはアルミ材への締結の場合には溶接は採用できず条件が限られてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような課題を以下述べるところにより解決しようとするものである。
【0008】
まず、基本的には、一端にロックボルト挿通孔を貫通したつば状挟持部を形成し、内周に内ねじを形成したメスボルトと、一端につば状挟持部を形成し、棒状部外周にメスボルトの内ねじに螺合する外ねじを形成するとともに棒状部外周に形成した外ねじと反対回りの内ねじを内周に形成したオスボルトと、オスボルトの棒状部に形成した内ねじに螺合する外ねじを形成したロックボルトとからなることを特徴とする挟持用ねじを提供する。
【0009】
詳しくは、一端にロックボルト挿通孔を貫通したつば状挟持部を形成し、内周に内ねじを形成したメスボルトと、一端につば状挟持部を形成し、棒状部外周にメスボルトの内ねじに螺合する外ねじを形成するとともに棒状部外周に形成した外ねじと反対回りの内ねじを内周に形成したオスボルトと、オスボルトの棒状部に形成した内ねじに螺合する外ねじを形成したロックボルトからなり、メスボルトとオスボルトとは、被挟持体に開孔した挿通孔に挿通されてメスボルトの内ねじとオスボルトの外ねじを螺合することにより被挟持体を挟持するとともにメスボルトに形成されたロックボルト挿通孔よりロックボルトを挿通し、オスボルトに形成された内ねじにロックボルトの外ねじを螺着してメスボルトとオスボルトの緩みを防止することを特徴とする挟持用ねじを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、つぎの効果を有する。
【0011】
本発明に係る挟持用ねじは、一端にロックボルト挿通孔を貫通したつば状挟持部を形成し、内周に内ねじを形成したメスボルトと、一端につば状挟持部を形成し、棒状部外周にメスボルトの内ねじに螺合する外ねじを形成するとともに棒状部外周に形成した外ねじと反対回りの内ねじを内周に形成したオスボルトと、オスボルトの棒状部に形成した内ねじに螺合する外ねじを形成したロックボルトとからなるので、メスボルトとオスボルトを螺着して締結した後、メスボルトのつば状挟持部に形成した挿通孔からロックボルトを挿通し、オスボルトの内ねじにロックボルトを螺着して締結すると、オスボルトの内ねじとロックボルトの外ねじは、メスボルトの内ねじとオスボルトの外ねじとはねじ切り方向が反対回りのためメスボルトとオスボルトとの間に緩みが生じにくくなる。
【0012】
したがって、スベリ防止剤の塗布による経年変化を心配する必要はなく、また外観的にも美感を損うことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る挟持用ねじを分解して示した説明図、図2乃至図7は、本発明に係る挟持用ねじによる被挟持体の挟持の施工手順を示す説明図である。
【0015】
図1は、本発明に係る挟持用ねじを分解して示した断面図で、挟持用ねじ1は、メスボルト2、オスボルト3、ロックボルト4とからなる。
【0016】
メスボルト2は円筒状にしてなり、一端につば状挟持部2bが形成され、円筒部内周に内ねじ2aが形成されてなる。つば状挟持部2bには外側より円筒中空部に貫通する後述するロックボルト4を挿通する挿通孔2cが形成されている。
【0017】
オスボルト3は棒状にしてなり、一端につば状挟持部3bが形成され、棒状部外周に外ねじ3aが形成されるとともに、他端から任意の個所まで中空にして内周に後述するロックボルト4の外ねじ4aを螺合する内ねじ3cが形成されてなる。この内ねじ3cはメスボルト2の内ねじ2a及びオスボルト3の外ねじ3aが、順ねじのときは逆ねじ、逆ねじのときは順ねじというように反対回りに螺設する。
【0018】
ロックボルト4は、棒状部外周にオスボルト3の内ねじ3cに螺着する外ねじ4aが形成されている。頭部には必要に応じてスパナ用六角穴4bが形成されている。
【0019】
この実施の態様では、各ねじは、メスボルト2の内ねじ2aとオスボルト3の外ねじ3aは逆ねじに、オスボルト3の内ねじ3cとロックボルト4の外ねじ4aは順ねじに螺設されている。
【0020】
メスボルト2、オスボルト3、ロックボルト4とからなる挟持用ねじは、図2以下に示すようにして被挟持体を挟持する。
【0021】
図2は、挟持用ねじの各部と挟持されるべき一対の被挟持体を示す。挟持用ねじは上述したようにメスボルト2、オスボルト3、ロックボルト4とからなる。この実施の態様にあって、被挟持体はビルディング等に窓ガラスを取付けるときの公知の鉄骨製梁材6とカーテンウォールアルミ製枠材7である。本旨は挟持用ねじと被挟持体の挟持にあるので、窓ガラスの嵌め込みについては説明を省略する。
【0022】
被挟持体である梁材6と枠材7は、それぞれ挟持用ねじを挿通するための挿通孔6a、7aが開孔されている。
【0023】
図3、図4、図5は梁材6、枠材7を挟持用ねじによって挟持する手順を示す。
【0024】
挟持手順は、まず図3に示すように梁材6を枠材7で挟み、それぞれの挿通孔6a、7aを合致させて、図4に示すように上方からメスボルト2を、下方からオスボルト3を挿通するとともにメスボルト2の内ねじ2aとオスボルト3の外ねじ3aを螺合する。この実施の形態において、ねじはいずれも逆ねじで切ってあるので左回しで締結していく。
【0025】
メスボルト2とオスボルト3とを締結し、梁材6と枠材7を挟持した後、図5に示すように上方からロックボルト4をメスボルト2のつば状挟持部2bの表面から開孔されているロックボルト挿通孔2cに挿通し、ロックボルトの外ねじ4aをオスボルト3のロックボルトの外ねじ用の内ねじ3cに螺合する。この実施の形態において、オスボルト3のロックボルトの外ねじ用の内ねじ3cとロックボルトの外ねじ4aは、順ねじで切ってあるので右回しで締結する。
【0026】
かくして、被挟持体である梁材6と枠材7とは、図6、図7に示すようにしてメスボルト2のつば状挟持部2b、オスボルト3のつば状挟持部3bに押圧されて挟持される。
【0027】
このようにして挟持された被挟持体は、螺設されたねじ切りが逆な2つのねじによる挟持用ねじに挟持されるので、しっかりと固定される。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施の態様に限定されるものでないことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る挟持用ねじを分解して示した斜視図である。
【図2】本発明に係る挟持用ねじの各部と被挟持部材のそれぞれを示す断面図である。
【図3】被挟持体を挟持用ねじで挟持する手順を示す断面図である。
【図4】被挟持体を挟持用ねじで挟持する手順を示す断面図である。
【図5】被挟持体を挟持用ねじで挟持する手順を示す断面図である。
【図6】被挟持体を挟持用ねじで挟持した状態を示す完成断面図である。
【図7】同平面図である。
【図8】従来の挟持用ねじを分解して示した断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 挟持用ねじ
2 メスボルト
2a メスボルトの内ねじ
2b メスボルトのつば状挟持部
2c ロックボルト挿通孔
3 オスボルト
3a オスボルトの外ねじ
3b オスボルトのつば状挟持部
3c ロックボルトの外ねじ用の内ねじ
4 ロックボルト
4a ロックボルトの外ねじ
4b スパナ用六角穴
6 被挟持体(梁材)
6a 挟持用ボルト挿通孔
7 被挟持体(枠材)
7a 挟持用ボルト挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にロックボルト挿通孔を貫通したつば状挟持部を形成し、内周に内ねじを形成したメスボルトと、一端につば状挟持部を形成し、棒状部外周にメスボルトの内ねじに螺合する外ねじを形成するとともに棒状部外周に形成した外ねじと反対回りの内ねじを内周に形成したオスボルトと、オスボルトの棒状部に形成した内ねじに螺合する外ねじを形成したロックボルトとからなることを特徴とする挟持用ねじ。
【請求項2】
一端にロックボルト挿通孔を貫通したつば状挟持部を形成し、内周に内ねじを形成したメスボルトと、一端につば状挟持部を形成し、棒状部外周にメスボルトの内ねじに螺合する外ねじを形成するとともに棒状部外周に形成した外ねじと反対回りの内ねじを内周に形成したオスボルトと、オスボルトの棒状部に形成した内ねじに螺合する外ねじを形成したロックボルトからなり、メスボルトとオスボルトとは、被挟持体に開孔した挿通孔に挿通されてメスボルトの内ねじとオスボルトの外ねじを螺合することにより被挟持体を挟持するとともにメスボルトに形成されたロックボルト挿通孔よりロックボルトを挿通し、オスボルトに形成された内ねじにロックボルトの外ねじを螺着してメスボルトとオスボルトの緩みを防止することを特徴とする挟持用ねじ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−12693(P2011−12693A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154873(P2009−154873)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(392000811)株式会社シラヤマ (4)
【Fターム(参考)】