説明

振動センサ

【課題】寝心地に対する影響が小さく、検出感度の優れた簡素な構造の振動センサを提供する。
【解決手段】振動センサ1は、シート状のベース部材10と、当該ベース部材10の一方の面10Aに、ベース部材10の表面から突出するように載置される凸状部11と、当該凸状部11の頂部11Aの少なくとも一部とベース部材10の一方の面10Aの少なくとも一部とを一体で覆うように凸状部11の頂部11A及びベース部材10の一方の面10Aに密着して載置され、荷重の変化を検出する圧電フィルム12と、ベース部材10に載置された圧電フィルム12の表側に密着して配置される弾性を有するシート部材15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝具上の人の状態を示す人体情報を取得する振動センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寝具上の人の状態を示す人体情報(例えば心拍や呼吸や体動)を検出する振動センサが広く利用されてきた。この種の技術として下記に出典を示す特許文献1−3に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の生体信号検出装置は、ベッド台に載置され、硬質性の材料からなるベース部と、当該ベース部に載置され、マットレスに横になる人に起因する圧力を電気信号に変換する複数のセンサ素子と、各センサ素子の出力端子同士を電気的に接続する接続導体と、各センサ素子及び接続導体全体を覆うように配設され、マットレス上の人に起因する圧力をセンサ素子に伝達する軟質性の材料からなる圧力伝達部とを備えて構成される。
【0004】
また、特許文献2に記載の生体情報取得装置は、圧力計測用マットを備えて構成される。この圧力計測用マットは、圧力伝達媒体が内部に充填される複数の媒体収容体と、圧力変化を検知する検知手段と、当該検知手段が設けられた圧力検知箇所に圧力伝達媒体を導く接続管路と、を有する。
【0005】
また、特許文献3に記載の生体信号検出装置は、可撓性を持つ感圧手段と、当該感圧手段と交差して設けられる紐状部材と、柔軟なフィルム状部材とを備えて構成され、当該フィルム状部材が感圧手段と紐状部材とにより挟まれるように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−284164号公報
【特許文献2】特開2008−209324号公報
【特許文献3】特開2008−284001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の生体信号検出装置は、センサ素子と電極とを一体型で覆った圧力伝達部を有し、10mm程度の厚さで構成される。このような厚さの生体信号検出装置を寝具に適用すると、生態信号検出装置が設けられた領域と設けられていない領域とで段差を生じる。このため、例えば薄い寝具に適用した場合には、当該寝具に横になる人の寝心地に影響を与える可能性がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の生体情報取得装置は、媒体収容体内に充填した空気や水による圧力変化を利用している。したがって、圧力分布の検出は行い得るが、体動が寝返りであるのか否かを容易に判別することができない。また、人が横になっている位置を特定するためには、媒体収容体を更に細かく細分化する必要がある。係る場合、媒体収容体に充填した空気や水が漏れないようにするための処置が増えることから、製造コストが高くなる。
【0009】
また、特許文献3に記載の生体信号検出装置は、感圧手段の表面に紐状部材の形状に応じた凹凸を形成し、感圧手段の検出感度を高めている。しかしながら、互いに隣接する感圧手段の間(すなわち、凹部分)には隙間が形成されるので、当該隙間に対向する感圧手段の一部はフローティング状態となる。このため、この部分に対応する感圧手段が加圧された場合には、適切に検出できるとは言い難い。
【0010】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、寝心地に対する影響が小さく、検出感度の優れた簡素な構造の振動センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る振動センサの特徴構成は、シート状のベース部材と、前記ベース部材の一方の面に、前記ベース部材の表面から突出するように載置される凸状部と、前記凸状部の頂部の少なくとも一部と前記ベース部材の一方の面の少なくとも一部とを一体で覆うように前記凸状部の頂部及び前記ベース部材の一方の面に密着して載置され、荷重の変化を検出する圧電フィルムと、前記ベース部材に載置された圧電フィルムの表側に密着して配置される弾性を有するシート部材と、を備えている点にある。
【0012】
このような特徴構成とすれば、圧電フィルムをベース部材に対して例えば山型となるように突出して配置することができる。したがって、圧電フィルム及びベース部材の一部のみを山型にするだけで良いので、寝心地に対する影響を低減できる。
また、圧電フィルムとベース部材とが密着して配置されるので、山型の頂部に振動を伝達し易くすることができる。したがって、圧電フィルムが振動を検出し易いので、振動センサの検出感度を高めることができる。また、山型以外の部分においても、圧電フィルムがベース部材とシート部材とに挟まれ、互いに密着して配置することができる。したがって、山型以外の部分においても、圧電フィルムが適切に振動を検出することができる。
更には、各部材を単に積層するだけで構成できるので、簡素な構造で実現することができる。
【0013】
また、前記シート部材は、前記ベース部材の一方の面に密着して配置される弾性を有する第1シート部材と、前記第1シート部材の表側に載置され、前記第1シート部材よりも軟らかい弾性体からなる第2シート部材と、を有して構成されると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、シート部材の表面、すなわち振動センサの最表面を平坦にすることができる。したがって、振動センサが適用された寝具に横になる人に違和感を与えることがない。また、弾性体の厚さ及び弾性体の軟らかさを規定する弾性係数を適切に選択することにより、圧電フィルムにより反射される振動を低減することができる。
【0015】
また、前記ベース部材及び前記シート部材の夫々に、前記圧電フィルムからの信号を伝達する信号線と前記圧電フィルムとを接続する接続部を収容可能な凹部が形成されていると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、接続部の近傍においても、ベース部材とシート部材との密着性を高めることができる。このため、圧電フィルムとシート部材との密着性も高めることができるので、振動センサの検出感度を高めることができる。
【0017】
また、前記シート部材は、前記凸状部及び前記圧電フィルムからの距離に応じて規定された領域を除いて、前記ベース部材の一方の面に接着固定されていると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、圧電フィルムの位置ずれを防止できる。したがって、振動の伝達性を確保できるので、検出感度を安定化できる。
【0019】
また、前記ベース部材が弾性体で構成されていると好適である。
【0020】
このような構成とすれば、振動センサが硬い床材に配設されている場合であっても、人3からの振動により加えられた力を反発する力を生じさせることができる。したがって、圧電フィルム12の変形を助長することになり、振動センサの検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】振動センサを寝具に適用した場合の例について示す図である。
【図2】振動センサの概略を模式的に示す展開図である。
【図3】振動センサの概略を模式的に示す側面図である。
【図4】振動センサの出力を示す図である。
【図5】その他の実施形態に係る凸状部について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明に係る振動センサ1は、図1に示すように寝具2に備えられ、当該寝具2上の人3の状態を示す人体情報を取得する機能を備えている。本実施形態では、人体情報とは寝具2上の人3の心拍や呼吸や体動が相当する。本振動センサ1は、図1に示すように寝具2の敷用寝具(例えばマットレス)2Aの下に敷置される。
【0023】
図2は振動センサ1の展開図であり、図3は振動センサ1の側面図である。振動センサ1は、ベース部材10、凸状部11、圧電フィルム12、接続部13、信号線14、シート部材15を備えて構成される。ベース部材10は、シート状に形成される。このようなベース部材10は、図1に示されるように、寝具2に横になる人3の胸の下に体の横方向に設置する形とし、長尺状で構成すると好適である。また、本実施形態では、ベース部材10は、弾性体で構成される。したがって、ベース部材10の鉛直下部に床材がある場合には、人3からの振動により加えられた力を反発する力が生じ、圧電フィルム12の変形を助長することができる。したがって、振動センサ1の検出精度を高めることができる。また、詳細は後述するが、ベース部材10には凹部10Hが設けられる。凹部10Hは、接続部13の数に応じて設けられる。
【0024】
凸状部11は、ベース部材10の一方の面10Aに、ベース部材10の表面から突出するように載置される。ベース部材10の一方の面10Aとは、ベース部材10が有する面のうち、寝具2に適用した際に鉛直上方を向く面である。このような面10Aに、凸状部11が載置される。本実施形態に係る凸状部11は円柱状の形状からなる。このような円柱状の凸状部11は、円柱の軸心がベース部材10の長尺方向に直交するように、ベース部材10上に載置される。したがって、シート状に形成された平坦な面を有するベース部材10から突出するように載置することが可能となる。本実施形態では、このような凸状部11は、ベース部材11上に3つ載置される。
【0025】
圧電フィルム12は、凸状部11の頂部11Aの少なくとも一部とベース部材10の一方の面10Aの少なくとも一部とを一体で覆うように凸状部11の頂部11A及びベース部材10の一方の面10Aに密着して載置される。凸状部11の頂部11Aとは、凸状部11をベース部材10の面10Aに載置した状態で最も高い位置である。圧電フィルム12は、少なくともこのような頂部11Aの一部を覆うように載置される。もちろん、頂部11Aを全て覆うことも可能である。
【0026】
また、ベース部材10の一方の面10Aの少なくとも一部とは、ベース部材10の面10Aが露出した領域である。圧電フィルム12は、このような面10Aにも密着するように配置される。したがって、圧電フィルム12は、ベース部材10の面10Aから凸状部11の頂部11Aを介し、再度ベース部材10の面10Aに亘るように載置される。本実施形態では、凸状部11はベース部材11上に3つ載置されている。したがって、圧電フィルム12は、夫々の凸状部11の頂部11Aを個別に覆うように3つ設けられる。
【0027】
なお、図3においては、圧電フィルム12及びベース部材10、圧電フィルム12及びシート部材15(後述する)の夫々が、隙間を有するように記載されている。これは、図面を見易くするためのものであり、実際には夫々が当接し密着するように構成されている。
【0028】
圧電フィルム12は、荷重の変化を検出する。このため、圧電フィルム12は、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF:PolyVinylidene DiFluoride)等の高分子圧電材料を用いて構成することが可能である。圧電フィルム12は、伸縮方向もしくは曲げの変形を検出する。伸縮方向に力が作用した場合や、曲げ力が作用した場合に出力信号(出力電圧)を出力する。このような出力信号は、圧電フィルム12に力(荷重)が作用した瞬間のみ出力される。すなわち、一定の力が継続して作用している状態では、出力信号は出力されない。また、力が作用した際に出力される出力信号の大きさは、当該力が作用した場合の圧電フィルム12のひずみ率に応じた大きさとなる。ひずみ率とは単位時間当たりのひずみ量に相当するものである。このような圧電フィルム12の特性は、公知であるため詳細な説明は省略する。
【0029】
信号線14は、圧電フィルム12からの信号を外部接続される信号増幅装置30に伝達する。圧電フィルム12からの信号とは、上述の出力信号である。ここで、圧電フィルム12からの出力信号は微弱な電圧からなる。このため、出力信号は、圧電フィルム12の検出結果を各種の演算処理で用いるために信号増幅装置30により増幅される。信号増幅装置30は、例えばオペアンプで構成することが可能である。信号線14は、このような信号増幅装置30に圧電フィルム12の検出結果を伝達可能に導体により形成される。
【0030】
接続部13は、信号線14と圧電フィルム12とを接続する。接続するとは、電気的に接続することを意味する。このような電気的に接続した接続箇所のオープン及びショートを防止すべく、接続箇所を樹脂(モールド)により封入される。
【0031】
シート部材15は、ベース部材10に載置された圧電フィルム12の表側に密着して配置される。このようなシート部材15は弾性を有する材料で構成される。シート部材15は、凸状部11及び圧電フィルム12が載置されたベース部材10の面10A側に載置され、圧電フィルム12と密着した状態とされる。
【0032】
本実施形態では、シート部材15は第1シート部材15A及び第2シート部材15Bから構成される。第1シート部材15Aは、ベース部材10の一方の面10Aに密着して配置される。このような第1シート部材15Aは弾性を有する材料で構成される。第2シート部材15Bは、第1シート部材15Aの表側に載置され、第1シート部材15Aよりも軟らかい弾性体から構成される。したがって、シート部材15は、第1シート部材15A及び第2シート部材15Bの2層構造で構成される。上述のように、シート部材15は圧電フィルム12に密着して配置されるが、第1シート部材15Aはベース部材10の面10aにも密着して配置される。ここで、第1シート部材15は、弾性部材から構成されるが、下方に位置する凸状部11及び圧電フィルム12の形状に応じて図3に示されるように上方に突出する。
【0033】
第1シート部材15Aの表側とは、第1シート部材15Aが有する面のうち、ベース部材10とは反対側の面である。第2シート部材15Bは、第1シート部材15Aよりも軟らかい弾性体から構成される。したがって、上述のように上方に突出する第1シート部材15Aの突出部分を包み込むように配置される。これにより、第2シート部材15Bは、表面、すなわち第2シート部材15Bが有する面のうち、第1シート部材15Aとは反対側の面が平坦となる。したがって、振動センサ1を寝具2に適用した場合でも、振動センサ1の表面は平坦性が確保されるので人3が違和感を覚えることがない。このため、寝具2に横になる人3に快適な状態を提供できる。
【0034】
ここで、弾性体を伝わる振動の伝わり難さは、音響インピーダンスで示される。音響インピーダンスは、弾性体の特性、体積等により定まる。一方、振動センサ1に入力される振動は、シート部材15を介して圧電フィルム12に伝達される。しかしながら、振動は、圧電フィルム12によりシート部材15側にも反射する。したがって、このような反射される振動により、検出すべき振動が乱されるおそれがある。本実施形態では、上述のように、第1シート部材15Aと第2シート部材15Bとは異なる硬さ、すなわち、異なる弾性係数を有して構成されている。このため、第1シート部材15A及び第2シート部材15Bを介して圧電フィルム12に伝達された振動は、反射せず減衰させることができる。係る場合、所定のピークを有する振動のみを振動センサ1で検出するように設定することができる。一方、用途によっては、反射に係る振動も検出したい場合もあり得る。係る場合、第1シート部材15Aと第2シート部材15Bとに係る音響インピーダンスのマッチングを行うために、夫々の弾性係数を用途に応じて設定すると好適である。
【0035】
ここで、上述のようにシート部材15は、ベース部材10に密着して配置される。このシート部材15とベース部材10との間には、接続部13が存在する。接続部13は、凸状部11及び圧電フィルム12に比べて厚いため、接続部13近傍にあってはベース部材10とシート部材15との密着性が悪くなる。そこで、本実施形態では、ベース部材10及びシート部材15の夫々に、接続部13を収容可能な凹部10H、15Hが形成されている。凹部10Hは、ベース部材10における、接続部13が対向する位置に設けられる。また、凹部10Hは、接続部13における圧電フィルム12からの高さに対応する深さを有して形成される。一方、凹部15Hは、第1シート部材15Aにおける、接続部13が対向する位置に設けられる。また、凹部15Hは、接続部13における圧電フィルム12からの深さに対応する深さを有して形成される。
【0036】
ここで、シート部材15は、凸状部11及び圧電フィルム12からの距離に応じて規定された領域を除いて、ベース部材10の一方の面10Aに接着固定される。上述のように、圧電フィルム12はシート部材15を介して伝達される振動を検出する。また、圧電フィルム12の下部には、当該圧電フィルム12を突出させるようにするために凸状部11が設けられる。このため、凸状部11及び圧電フィルム12は、ベース部材10及びシート部材15に対して動きが自由である方が良い。一方、ベース部材10及び圧電フィルム12は、互いに位置ずれを起こすことにより、振動センサ1が誤検出する可能性もある。このため、凸状部11及び圧電フィルム12を中心として所定の距離で規定された領域のみが、接着固定される。例えば、凸状部11及び圧電フィルム12を中心とする半径数cm以外の領域を接着固定する形態とすることも可能であるし、例えばベース部材10及びシート部材15の外周部分のみ接着固定する形態とすることも可能である。
【0037】
ここで、ベース部材10、凸状部11、及びシート部材15は、弾性体からなるとして説明した。凸状部11は、ベース部材10及びシート部材15よりも硬い弾性体で構成すると好適である。このように構成すれば、荷重が加わっていない状態において、凸状部11の変形量を少なくすることができる。したがって、圧電フィルム12の突出状態が保たれるから、振動センサ1の検出感度を高めた状態を維持することができる。
【0038】
また、上記振動センサ1は、袋状のカバー部材20により覆うと好適である。これにより、振動センサ1の劣化や破損を防止できる。また、例えば、カバー部材20は、側面部にファスナーを設け、袋状が開口する構成とすると好適である。これにより、カバー部材20から振動センサ1を適切に取り出すことができる。更に寝具2の厚さに応じて、シート部材10の厚さを変更することも可能である。
【0039】
次に、本振動センサ1による検出について説明する。図4(a)は振動センサ1を敷用寝具2Aの下に敷置し、敷用寝具2A上に何も載せない状態の雑音信号を示し、図4(b)は敷用寝具2A上に人が横になった状態の生体信号(本例では「心拍」)を示す。ここで、比較のために、圧電フィルム12の下に凸状部11を設けない形態の振動センサに基づき取得した雑音信号及び生体信号を夫々図4(c)及び図4(d)に示す。
【0040】
図4(a)及び図4(c)に示されるように、ノイズレベルが15mV程度から22mV程度まで大きくなっている。一方、図4(b)及び図4(d)に示されるように、生体信号も70mVから120mVまで大きくなっている。これより、S/N比が4.7から5.45に上昇し、検出感度が高められていることが明らかである。また、図4(b)に示されるように、心拍に相当する生体信号のピークが大きく得られ、目視によって心拍数をカウントしたり、心拍の間隔も正確に計数することが可能となる。
【0041】
このように、本振動センサ1によれば、圧電フィルム12をベース部材10に対して例えば山型となるように突出して配置することができる。したがって、圧電フィルム12及びベース部材10の一部のみを山型にするだけで良いので、寝心地に対する影響を低減できる。また、圧電フィルム12とベース部材10とが密着して配置されるので、山型の頂部11Aに振動を伝達し易くすることができる。したがって、圧電フィルム12が振動を検出し易いので、振動センサ1の検出感度を高めることができる。また、山型以外の部分においても、圧電フィルム12がベース部材10とシート部材15とに挟まれ、互いに密着して配置することができる。したがって、山型以外の部分においても、圧電フィルム12が適切に振動を検出することができる。更には、各部材を単に積層するだけで構成できるので、簡素な構造で実現することができる。
【0042】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、シート部材15が、第1シート部材15Aと、第2シート部材15Bとを有して構成されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。シート部材15を、単一の部材から構成することも当然に可能である。
【0043】
上記実施形態では、第2シート部材15Bは、第1シート部材15Aよりも軟らかい弾性体からなるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。第2シート部材15Bは、第1シート部材15Aと同じ弾性体から構成しても良いし、第1シート部材15Aよりも硬い弾性体から構成しても良い。
【0044】
上記実施形態では、ベース部材10及びシート部材15の夫々に、接続部13を収容可能な凹部10H、15Hが形成されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。ベース部材10及びシート部材15の一方にのみ、凹部を形成する構成とすることも可能であるし、ベース部材10及びシート部材15の双方に凹部を形成しない構成とすることも可能である。
【0045】
上記実施形態では、シート部材15は、凸状部11及び圧電フィルム12からの距離に応じて規定された領域を除いて、ベース部材10の面10Aに接着固定されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。圧電フィルム12の山型の形状を維持したまま、シート部材15をベース部材10に接着固定することも当然に可能である。
【0046】
上記実施形態では、ベース部材10が弾性体で構成されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。ベース部材10を非弾性体で構成することも当然に可能である。
【0047】
上記実施形態では、凸状部11が、ベース部材10及びシート部材15よりも硬い弾性体で構成されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。凸状部11を、ベース部材10及びシート部材15と同じ弾性体で構成することも可能であるし、凸状部11を非弾性体で構成することも可能である。
【0048】
上記実施形態では、凸状部11が円柱状の形態からなるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。図5(a)に示されるように四角柱にすることも可能であるし、図5(b)に示されるように三角柱にすることも可能であるし、図5(c)に示されるように任意な形状にすることも当然に可能である。なお、図5においても、図3と同様に、圧電フィルム12及びベース部材10、圧電フィルム12及びシート部材15の夫々が、隙間を有するように記載されているが、実際には夫々が当接し密着するように構成されている。
【0049】
上記実施形態では、振動センサ1の検出結果の一例として心拍を示して説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。圧電フィルム12から得られた検出結果を周波数分析して、呼吸数を取得することも可能である。また、単に人3の動き(寝返り等)を検出することも可能である。
【0050】
本発明は、敷用寝具の厚さに拘らず使用可能で、簡素な構造で構成可能な振動センサに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1:振動センサ
10:ベース部材
10A:面
10H:凹部
11:凸状部
11A:頂部
12:圧電フィルム
13:接続部
15:シート部材
15A:第1シート部材
15B:第2シート部材
15H:凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状のベース部材と、
前記ベース部材の一方の面に、前記ベース部材の表面から突出するように載置される凸状部と、
前記凸状部の頂部の少なくとも一部と前記ベース部材の一方の面の少なくとも一部とを一体で覆うように前記凸状部の頂部及び前記ベース部材の一方の面に密着して載置され、荷重の変化を検出する圧電フィルムと、
前記ベース部材に載置された圧電フィルムの表側に密着して配置される弾性を有するシート部材と、
を備えた振動センサ。
【請求項2】
前記シート部材は、前記ベース部材の一方の面に密着して配置される弾性を有する第1シート部材と、前記第1シート部材の表側に載置され、前記第1シート部材よりも軟らかい弾性体からなる第2シート部材と、を有して構成される請求項1に記載の振動センサ。
【請求項3】
前記ベース部材及び前記シート部材の夫々に、前記圧電フィルムからの信号を伝達する信号線と前記圧電フィルムとを接続する接続部を収容可能な凹部が形成されている請求項1又は2に記載の振動センサ。
【請求項4】
前記シート部材は、前記凸状部及び前記圧電フィルムからの距離に応じて規定された領域を除いて、前記ベース部材の一方の面に接着固定されている請求項1から3のいずれか一項に記載の振動センサ。
【請求項5】
前記ベース部材が弾性体で構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の振動センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−170471(P2012−170471A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31999(P2011−31999)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】