振動制御装置
【課題】 振動制御手段の出力を低減することができ、小型の振動制御手段で実現できると共に、ピッチやロールに対しても制御することができる振動制御装置を提供する。
【解決手段】 設置部Fに設置された荷重支持部10と、荷重支持部10と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部30と、荷重支持部10の設置部Fに対する振動を制御する振動制御手段21を有する振動制御部20と、荷重支持部10の加速度を検出する加速度検出手段81と、荷重支持部10の第1軸に対する回動を検出する第1軸回動検出手段82と、荷重支持部10を第1軸に対して回動させる第1軸回動手段61と、を備え、振動制御手段21は、加速度検出手段81の検出値に応じて制御され、第1軸回動手段61は、第1軸回動検出手段82の検出値に応じて制御されることを特徴とする。
【解決手段】 設置部Fに設置された荷重支持部10と、荷重支持部10と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部30と、荷重支持部10の設置部Fに対する振動を制御する振動制御手段21を有する振動制御部20と、荷重支持部10の加速度を検出する加速度検出手段81と、荷重支持部10の第1軸に対する回動を検出する第1軸回動検出手段82と、荷重支持部10を第1軸に対して回動させる第1軸回動手段61と、を備え、振動制御手段21は、加速度検出手段81の検出値に応じて制御され、第1軸回動手段61は、第1軸回動検出手段82の検出値に応じて制御されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席等の搭乗部、特に移動体等に設置される座席等の搭乗部に加わる振動を抑制、又は低減する振動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動加速度に応じて 座席下の直動型電動アクチュエータを動作制御して座席に加わる振動を抑制する座席用振動制御装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−180202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図15(a)に示すように、座席Sの支持をアクチュエータ121のみでする場合、停止状態を含め常にアクチュエータ121の出力が必要となる。また、図15(b)に示すように、座席Sの支持をアクチュエータ121とトーションスプリング122でする場合、停止状態ではアクチュエータ121の出力を0とすることができるが、座席Sの振動を制御する場合、トーションスプリング122のバネ力が反力となってしまい、振動制御分の出力の他にバネの反力分の出力がアクチュエータ121に必要となり、大きな出力が要求されていた。また、ピッチやロールに対しては、制御することができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、振動制御手段の出力を低減することができ、小型の振動制御手段で実現できると共に、ピッチやロールに対しても制御することができる振動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために本発明の振動制御装置は、設置部に設置された荷重支持部と、前記荷重支持部と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部と、前記荷重支持部の前記設置部に対する振動を制御する振動制御手段を有する振動制御部と、前記荷重支持部の加速度を検出する加速度検出手段と、前記荷重支持部の第1軸に対する回動を検出する第1軸回動検出手段と、前記荷重支持部を第1軸に対して回動させる第1軸回動手段と、を備え、前記振動制御手段は、前記加速度検出手段の検出値に応じて制御され、前記第1軸回動手段は、前記第1軸回動検出手段の検出値に応じて制御されることを特徴とする。
【0007】
また、前記第1軸と異なる第2軸を有し、前記荷重支持部の第2軸に対する回動を検出する第2軸回動検出手段と、前記荷重支持部を第2軸に対して回動させる第2軸回動手段と、を備え、前記第2軸回動手段は、前記第2軸回動検出手段の検出値に応じて制御されることを特徴とする。
【0008】
また、前記荷重支持部を前記設置部に対して相対移動させる第1案内手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記カウンタバランス部を前記設置部に対して相対移動させる第2案内手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記設置部に一端を支持された付勢手段と、前記設置部に支点を枢支され、一端を前記第1案内手段に連結され、他端を付勢手段の他端に連結された天秤部と、前記天秤部の長さを変更する調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記荷重支持部上の状態を検知する検知手段を備え、前記検知手段で検知した状態に応じて前記調整手段を作動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、設置部に設置された荷重支持部と、前記荷重支持部と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部と、前記荷重支持部の前記設置部に対する振動を制御する振動制御手段を有する振動制御部と、前記荷重支持部の加速度を検出する加速度検出手段と、前記荷重支持部の第1軸に対する回動を検出する第1軸回動検出手段と、前記荷重支持部を第1軸に対して回動させる第1軸回動手段と、を備え、前記振動制御手段は、前記加速度検出手段の検出値に応じて制御され、前記第1軸回動手段は、前記第1軸回動検出手段の検出値に応じて制御されるので、振動制御手段の出力を低減することができ、小型の振動制御手段で実現できると共に、第1軸に対する回動動作に対しても制御することができる振動制御装置を提供することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、前記第1軸と異なる第2軸を有し、前記荷重支持部の第2軸に対する回動を検出する第2軸回動検出手段と、前記荷重支持部を第2軸に対して回動させる第2軸回動手段と、を備え、前記第2軸回動手段は、前記第2軸回動検出手段の検出値に応じて制御されるので、第2軸に対する回動動作に対しても制御することができる
【0014】
請求項3記載の発明によれば、前記荷重支持部を前記設置部に対して相対移動させる第1案内手段を有するので、荷重支持部材が水平方向に移動しないようにすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、前記カウンタバランス部を前記荷重支持部に対して相対移動させる第2案内手段を有するので、カウンタバランス部を移動させる必要がなくなる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、前記設置部に一端を支持された付勢手段と、前記設置部に支点を枢支され、一端を前記第1案内手段に連結され、他端を付勢手段の他端に連結された天秤部と、前記天秤部の長さを変更する調整手段とを備えたので、カウンタウエイト等の重量物を適用する必要がなくなる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、前記荷重支持部上の状態を検知する検知手段を備え、前記検知手段で検知した状態に応じて前記調整手段を作動するので、初期荷重の変化に対して適切に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態における振動制御装置1を示すものであり、図1(a)は、本実施形態における振動制御装置1の側面図、図1(b)は、本実施形態における振動制御装置1の正面図を示す。図2は、振動制御装置1のブロック図を示す。
【0020】
図中、1は振動制御装置、10は荷重支持部の一例としての座席、20は振動制御部、21は振動制御手段の一例としての制振用アクチュエータ、30はカウンタバランス部、31は天秤部、32は調整手段の一例としてのプリロード調整用アクチュエータ、33はコイルバネ、40は第1案内手段の一例としての第1スライダ、50は第2案内手段の一例としての第2スライダ、60は第1軸制御部の一例としてのピッチ制御部、61は第1軸回動手段の一例としてのピッチアクチュエータ、62は第1軸シャフトの一例としてのピッチシャフト、63は第1軸ベアリングの一例としてのピッチベアリング、64は第1軸シャフトホルダの一例としてのピッチシャフトホルダ、67はブラケット、70は第2軸制御部の一例としてのロール制御部、71は第2軸回動手段の一例としてのロールアクチュエータ、72は第2軸シャフトの一例としてのロールシャフト、73は第2軸ベアリングの一例としてのロールベアリング、74は第2軸シャフトホルダの一例としてのロールシャフトホルダ、81は加速度センサ、82は第1軸回動検出手段の一例としてのピッチセンサ、83は第2軸回動検出手段の一例としてのロールセンサ、90は台、Fは設置部である。なお、本実施例においては、コイルバネ33を用いているが、設置することができれば、ねじりバネ等の弾性部材を用いても良い。
【0021】
振動制御装置1は、座席10を、振動制御部20を介して設置部Fに設置し、座席の振動をアクティブに制御すると共に、カウンタバランス部30で荷重に対する力の釣り合いを設定するものである。
【0022】
座席10は、ピッチ制御部60及びロール制御部70を介して、振動制御部20及びカウンタバランス部30に載置されている。
【0023】
振動制御部20は、ボイスコイルモータ等の制振用アクチュエータ21等を有する。制振用アクチュエータ21は、下部を設置部Fに設置、上部を座席10に当接され、加速度センサ81等からの信号により、上下伸縮可能に制御される。加速度センサ81は、座席10の加速度を検出するものであり、座席10に載置される。
【0024】
カウンタバランス部30は、天秤部31、プリロード調整用アクチュエータ32、スプリング33等を有する。
天秤部31は、支柱34と回動可能に連結される支点31aを有し、一端側31bは、ピッチ制御部60のピッチベアリング63に連結され、他端側31cは、プリロード調整用アクチュエータ32を介してスプリング33に回動可能に連結される。なお、支柱34は設置部Fに設置されている。
【0025】
プリロード調整用アクチュエータ32は、長さを可変することができるもので、一端を天秤部31に連結され、他端をスプリング33に固着され、加速度センサ81等の信号により、伸縮可能に制御される。スプリング33は、一端をプリロード調整用アクチュエータ32に固着され、他端を設置部Fに固着されている。
ピッチ制御部60は、ピッチアクチュエータ61により、ピッチシャフト62を回転させ、座席10のピッチを制御するものである。ピッチアクチュエータ61は、ピッチセンサ82からの信号により、ピッチシャフト62に回転運動を与えるもので、第1スライダ41に設けられている。ピッチシャフト62は、ピッチベアリング63を介して、制振用アクチュエータ21及び天秤部31の一端部31bに回動可能に連結されると共に、ピッチシャフトホルダ64を介して、ブラケット67に固定されている。
【0026】
ロール制御部70は、ロールアクチュエータ71により、ロールシャフト72を回転させ、座席10のロールを制御するものである。ロールアクチュエータ71は、ロールセンサ83からの信号により、ロールシャフト72に回転運動を与えるもので、ブラケット67に載置されている。ロールシャフト72は、ロールベアリング73を介して、ブラケット67に回動可能に連結されると共に、ロールシャフトホルダ74を介して、座席10に固定されている。
【0027】
第1スライダ40は、座席10を設置部Fに対して相対移動させるものである。例えば、図1(b)の矢印Aに示すように、第1スライダ40は、設置部Fの壁部F1に対して上下方向に移動可能とする。第1スライダ40には、ピッチアクチュエータ61が設置されており、ピッチ制御部60及びロール制御部70を介して荷重支持部10を上下方向に相対移動させることができる。
【0028】
第2スライダ50は、カウンタバランス部30を載置した台90を設置部Fに対して相対移動させるものである。例えば、第2スライダ50は、図1(a)の矢印Bに示すように、設置部Fの床部F2に対して移動可能とする。第2スライダ50には、台90を介してカウンタバランス部30が載置されており、第2スライダ50は、カウンタバランス部30の天秤部31の回動やプリロード調整用アクチュエータ32の伸縮等により、移動するものである。
【0029】
図2に示すように、このような構造の振動制御装置1は、加速度センサ81、ピッチセンサ82及びロールセンサ83等からの入力信号をコントローラとしてのECU100に入力し、制振用アクチュエータ21、ピッチアクチュエータ61及びロールアクチュエータ71を制御することで、アクティブに振動を制御する。また、加速度センサ81等の入力信号をECU100に入力し、プリロード調整用アクチュエータ32を制御する。
【0030】
次に、プリロード調整制御について説明する。図3は、プリロード調整制御のフローチャートを示す。まず、ステップ1で、振動のない停止時における座席10上の荷重を加速度センサ81により検出する(ST1)。次に、ステップ2で、検出した荷重値の一定時間分をECU100に読み込む(ST2)。続いて、ステップ3で、一定時間分の荷重値から例えば平均値を計算して基準荷重値を算出する(ST3)。次に、ステップ4で、算出した基準荷重値にあわせてプリロード調整用アクチュエータ32作動制御する(ST4)。
【0031】
図4は、プリロード調整制御前後の本実施形態の振動制御装置1の状態を示すもので、図4(a)はプリロード調整制御前、図4(b)はプリロード調整制御後の状態を示すものである。図4(a)に示すプリロード調整制御前の状態から、例えば乗員Pが座席10に座り、初期荷重に乗員Pの荷重が足されると、カウンタバランス部30の天秤部31が反時計方向に回転し、スプリング33に負荷がかかる。そこで、図4(b)に示すように、プリロード調整用アクチュエータ32を作動させ、天秤部31の長さを変えることにより、荷重とスプリング33による負荷とを釣り合わせる。
【0032】
このように、プリロード調整用アクチュエータ32を作動させることにより、荷重がキャンセルされ、その状態から振動制御をすることができるようになる。
【0033】
次に、本実施形態の振動制御について説明する。図5は、振動制御のフローチャートを示す。まず、ステップ11で、振動時の加速度を加速度センサ81により検出する(ST11)。
次に、ステップ12で、ECU100において制振用アクチュエータ21の推力を計算する(ST12)。推力計算は、例えば、加速度×フリクション×ゲイン×(−1)等の計算式やあらかじめ加速度に対応する推力の値を記憶しておくことにより実行する。ここで、計算式におけるゲインは制御の遅れ分、−1は向きの反転を表す。続いて、ステップ13で、ステップ12において計算した推力を制振用アクチュエータ21に指示する(ST13)。
【0034】
図6及び図7は、本実施形態の振動制御の状態を示すものである。図6は制振用アクチュエータ21を収縮した状態、図7は制振用アクチュエータ21を伸張した状態を示すものであり、図6(a)及び図7(a)は側面図、図6(b)及び図7(b)は正面図である。
【0035】
図6は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より大きい場合であり、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を収縮すると、第2スライダ70が後方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が反時計方向に回転する。この時、スプリング33は伸張するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0036】
図7は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より小さい場合であり、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を伸張すると、第2スライダ70が前方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が時計方向に回転する。この時、スプリング33は収縮するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0037】
図8は、本実施形態の振動制御装置1を用いた場合と、図15に示す従来技術の場合とをシミュレーションで比較した結果を示す。シミュレーションは、振幅25mm周期750mmの波状路を速度70km/hで走行する条件で、荷重の振動を0にするために必要な制振用アクチュエータを求めた。
【0038】
図8(a)は、図15(a)に示すように、座席の支持をアクチュエータのみでする場合、図8(b)は、図15(b)に示すように、座席の支持をアクチュエータとスプリングでする場合、図8(c)は、本実施形態の場合である。
【0039】
次に、本実施形態のピッチ制御について説明する。図9は、ピッチ制御のフローチャートを示す。まず、ステップ21で、ピッチセンサ82により、ピッチ方向の角速度を求める(ST21)。なお、ピッチ方向の変位又は角加速度を求めてもよい。次に、ステップ22で、ECU100において、ピッチアクチュエータ61の推力を計算する(ST22)。推力計算は、例えば、角加速度×フリクション×ゲイン×(−1)等の計算式やあらかじめ角加速度に対応する推力の値を記憶しておくことにより実行する。ここで、計算式におけるゲインは制御の遅れ分、−1は向きの反転を表す。続いて、ステップ23で、ステップ22において計算した推力をピッチアクチュエータ61に指示する(ST23)。
【0040】
図10は、本実施形態のピッチ制御の状態を示すものである。図10(a)はピッチアクチュエータ61を紙面に対して反時計方向に回動した状態、図10(b)はピッチアクチュエータ61を紙面に対して時計方向に回動した状態を示すものである。
【0041】
図10(a)に示すように、座席10がピッチ軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ピッチセンサ82が検出した場合、ECU100は、ピッチアクチュエータ61を反時計方向に回転させる。
【0042】
図10(b)に示すように、座席10がピッチ軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ピッチセンサ82が検出した場合、ECU100は、ピッチアクチュエータ61を時計方向に回転させる。
【0043】
次に、本実施形態のロール制御について説明する。図11は、ロール制御のフローチャートを示す。まず、ステップ31で、ロールセンサ83により、ロール方向の角速度を求める(ST31)。なお、ロール方向の変位又は角加速度を求めてもよい。次に、ステップ32で、ECU100において、ロールアクチュエータ71の推力を計算する(ST32)。推力計算は、例えば、角加速度×フリクション×ゲイン×(−1)等の計算式やあらかじめ角加速度に対応する推力の値を記憶しておくことにより実行する。ここで、計算式におけるゲインは制御の遅れ分、−1は向きの反転を表す。続いて、ステップ23で、ステップ22において計算した推力をロールアクチュエータ71に指示する(ST33)。
【0044】
図12は、本実施形態のロール制御の状態を示すものである。図12(a)は、ロールアクチュエータ71を紙面に対して反時計方向に回動した状態、図12(b)は、ロールアクチュエータ71を紙面に対して時計方向に回動した状態を示すものである。
【0045】
図12(a)に示すように、座席10がロール軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ロールセンサ83が検出した場合、ECU100は、ロールアクチュエータ71を反時計方向に回転させる。
【0046】
図12(b)に示すように、座席10がロール軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ロールセンサ83が検出した場合、ECU100は、ロールアクチュエータ71を時計方向に回転させる。
【0047】
図13は、本実施形態の振動制御とピッチ制御を同時に実行した場合を示す図である。図13(a)は、制振用アクチュエータ21を収縮し、且つ、ピッチアクチュエータ61を紙面に対して反時計方向に回動した状態を示すものであり、図13(b)は、制振用アクチュエータ21を伸張し、且つ、ピッチアクチュエータ61を紙面に対して時計方向に回動した状態を示すものである。
【0048】
図13(a)は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より大きい場合、且つ、座席10がピッチ軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ピッチセンサ82が検出した場合であり、ECU100により、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を収縮すると、第2スライダ70が後方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が反時計方向に回転し、且つ、ピッチアクチュエータ61は反時計方向に回転する。この時、スプリング33は伸張するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0049】
図13(b)は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より小さい場合、且つ、座席10がピッチ軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ピッチセンサ82が検出した場合であり、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を伸張すると、第2スライダ70が前方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が時計方向に回転し、且つ、ピッチアクチュエータ61は時計方向に回転する。この時、スプリング33は収縮するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0050】
図14は、本実施形態の振動制御とロール制御を同時に実行した場合を示す図である。図14(a)は、制振用アクチュエータ21を収縮し、且つ、ロールアクチュエータ71を紙面に対して反時計方向に回動した状態を示すものであり、図14(b)は、制振用アクチュエータ21を伸張し、且つ、ロールアクチュエータ71を紙面に対して時計方向に回動した状態を示すものである。
【0051】
図14(a)は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より大きい場合、且つ、座席10がロール軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ロールセンサ83が検出した場合であり、ECU100により、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を収縮すると、第2スライダ70が後方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が反時計方向に回転し、且つ、ロールアクチュエータ71は反時計方向に回転する。この時、スプリング33は伸張するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0052】
図14(b)は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より小さい場合、且つ、座席10がロール軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ロールセンサ83が検出した場合であり、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を伸張すると、第2スライダ70が前方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が時計方向に回転し、且つ、ロールアクチュエータ71は時計方向に回転する。この時、スプリング33は収縮するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0053】
このように、本実施形態によれば、設置部Fに設置された座席10と、座席10と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部30と、座席10の設置部Fに対する振動を制御する制振用アクチュエータ21を有する振動制御部20と、座席10の加速度を検出する加速度センサ81と、座席10のピッチ軸Pに対する回動を検出するピッチセンサ82と、座席10をピッチ軸Pに対して回動させるピッチアクチュエータ61と、を備え、制振用アクチュエータ21は、加速度センサ81の検出値に応じて制御され、ピッチアクチュエータ61は、ピッチセンサ82の検出値に応じて制御されるので、制振用アクチュエータ21の出力を低減することができ、小型の制振用アクチュエータ21で実現できると共に、ピッチ軸Pに対する回動動作に対しても制御することができる振動制御装置1を提供することができる。なお、検出値に応じて制御されるとは、その時々の検出値に対応した制御が関数的に為されることを表す。
【0054】
また、ピッチ軸Pと異なるロール軸Rを有し、座席10のロール軸Rに対する回動を検出するロールセンサ83と、座席10をロール軸Rに対して回動させるロールアクチュエータ71と、を備え、ロールアクチュエータ71は、ロールセンサ83の検出値に応じて制御されるので、ロール軸Rに対する回動動作に対しても制御することができる
【0055】
また、座席10を設置部Fに対して相対移動させる第1スライダ40を有するので、座席10が水平方向に移動しないようにすることができる。
【0056】
また、カウンタバランス部30を座席10に対して相対移動させる第2スライダ50を有するので、座席10の上下移動に対して、カウンタバランス部30を移動させることができる。
【0057】
また、設置部Fに一端を支持されたスプリング33と、設置部Fに支点を枢支され、一端を第1スライダ40に連結され、他端をスプリング33の他端に連結された天秤部31と、天秤部31の長さを変更するプリロード調整用アクチュエータ32とを備えたので、カウンタウエイト等の重量物を適用する必要がなくなる。
【0058】
また、座席10上の状態を検知する加速度センサ81を備え、加速度センサ81で検知した状態に応じてプリロード調整用アクチュエータ32を作動するので、初期荷重の変化に対して適切に対応することができる。
【0059】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、例えば、制御のフローチャートの処理順番なども適宜変更可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1実施形態の振動制御装置を示す図である。
【図2】振動制御装置のシステム構成を示したブロック図である。
【図3】プリロード調整制御のフローチャートを示す図である。
【図4】プリロード調整制御時の振動制御装置の状態を示す図である。
【図5】振動制御のフローチャートを示す図である。
【図6】振動制御時の振動制御手段の収縮した状態を示す図である。
【図7】振動制御時の振動制御手段の伸張した状態を示す図である。
【図8】本実施形態の振動制御装置と従来の技術とを比較したシミュレーションを示す図である。
【図9】ピッチ制御のフローチャートを示す図である。
【図10】ピッチアクチュエータを回動した状態を示す図である。
【図11】ロール制御のフローチャートを示す図である。
【図12】ロールアクチュエータを回動した状態を示す図である。
【図13】制振用アクチュエータ、且つ、ピッチアクチュエータを作動した状態を示す図である。
【図14】制振用アクチュエータ、且つ、ロールアクチュエータを作動した状態を示す図である。
【図15】従来の技術を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1…振動制御装置、10…座席(荷重支持部)、20…振動制御部、21…制振用アクチュエータ(振動制御手段)、30…カウンタバランス部、31…天秤部、32…プリロード調整用アクチュエータ(調整手段)、33…スプリング(付勢手段)、40…第1スライダ(第1案内手段)、50…第2スライダ(第2案内手段)、60…ピッチ制御部(第1軸制御部)、61…ピッチアクチュエータ(第1軸回動手段)、62…ピッチシャフト(第1軸シャフト)、63…ピッチベアリング(第1軸ベアリング)、64…ピッチシャフトホルダ(第1軸シャフトホルダ)、67…ブラケット、70…ロール制御部(第2軸制御部)、71…ロールアクチュエータ(第2軸回動手段)、72…ロールシャフト(第2軸シャフト)、73…ロールベアリング(第2軸ベアリング)、74…ロールシャフトホルダ(第2軸シャフトホルダ)、81…加速度センサ(加速度検出手段)、82…ピッチセンサ(第1軸回動検出手段)、82…ロールセンサ(第2軸回動検出手段)、90…台、100…ECU(コントローラ)、F…設置部
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席等の搭乗部、特に移動体等に設置される座席等の搭乗部に加わる振動を抑制、又は低減する振動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動加速度に応じて 座席下の直動型電動アクチュエータを動作制御して座席に加わる振動を抑制する座席用振動制御装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−180202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図15(a)に示すように、座席Sの支持をアクチュエータ121のみでする場合、停止状態を含め常にアクチュエータ121の出力が必要となる。また、図15(b)に示すように、座席Sの支持をアクチュエータ121とトーションスプリング122でする場合、停止状態ではアクチュエータ121の出力を0とすることができるが、座席Sの振動を制御する場合、トーションスプリング122のバネ力が反力となってしまい、振動制御分の出力の他にバネの反力分の出力がアクチュエータ121に必要となり、大きな出力が要求されていた。また、ピッチやロールに対しては、制御することができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、振動制御手段の出力を低減することができ、小型の振動制御手段で実現できると共に、ピッチやロールに対しても制御することができる振動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために本発明の振動制御装置は、設置部に設置された荷重支持部と、前記荷重支持部と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部と、前記荷重支持部の前記設置部に対する振動を制御する振動制御手段を有する振動制御部と、前記荷重支持部の加速度を検出する加速度検出手段と、前記荷重支持部の第1軸に対する回動を検出する第1軸回動検出手段と、前記荷重支持部を第1軸に対して回動させる第1軸回動手段と、を備え、前記振動制御手段は、前記加速度検出手段の検出値に応じて制御され、前記第1軸回動手段は、前記第1軸回動検出手段の検出値に応じて制御されることを特徴とする。
【0007】
また、前記第1軸と異なる第2軸を有し、前記荷重支持部の第2軸に対する回動を検出する第2軸回動検出手段と、前記荷重支持部を第2軸に対して回動させる第2軸回動手段と、を備え、前記第2軸回動手段は、前記第2軸回動検出手段の検出値に応じて制御されることを特徴とする。
【0008】
また、前記荷重支持部を前記設置部に対して相対移動させる第1案内手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記カウンタバランス部を前記設置部に対して相対移動させる第2案内手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記設置部に一端を支持された付勢手段と、前記設置部に支点を枢支され、一端を前記第1案内手段に連結され、他端を付勢手段の他端に連結された天秤部と、前記天秤部の長さを変更する調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記荷重支持部上の状態を検知する検知手段を備え、前記検知手段で検知した状態に応じて前記調整手段を作動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、設置部に設置された荷重支持部と、前記荷重支持部と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部と、前記荷重支持部の前記設置部に対する振動を制御する振動制御手段を有する振動制御部と、前記荷重支持部の加速度を検出する加速度検出手段と、前記荷重支持部の第1軸に対する回動を検出する第1軸回動検出手段と、前記荷重支持部を第1軸に対して回動させる第1軸回動手段と、を備え、前記振動制御手段は、前記加速度検出手段の検出値に応じて制御され、前記第1軸回動手段は、前記第1軸回動検出手段の検出値に応じて制御されるので、振動制御手段の出力を低減することができ、小型の振動制御手段で実現できると共に、第1軸に対する回動動作に対しても制御することができる振動制御装置を提供することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、前記第1軸と異なる第2軸を有し、前記荷重支持部の第2軸に対する回動を検出する第2軸回動検出手段と、前記荷重支持部を第2軸に対して回動させる第2軸回動手段と、を備え、前記第2軸回動手段は、前記第2軸回動検出手段の検出値に応じて制御されるので、第2軸に対する回動動作に対しても制御することができる
【0014】
請求項3記載の発明によれば、前記荷重支持部を前記設置部に対して相対移動させる第1案内手段を有するので、荷重支持部材が水平方向に移動しないようにすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、前記カウンタバランス部を前記荷重支持部に対して相対移動させる第2案内手段を有するので、カウンタバランス部を移動させる必要がなくなる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、前記設置部に一端を支持された付勢手段と、前記設置部に支点を枢支され、一端を前記第1案内手段に連結され、他端を付勢手段の他端に連結された天秤部と、前記天秤部の長さを変更する調整手段とを備えたので、カウンタウエイト等の重量物を適用する必要がなくなる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、前記荷重支持部上の状態を検知する検知手段を備え、前記検知手段で検知した状態に応じて前記調整手段を作動するので、初期荷重の変化に対して適切に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態における振動制御装置1を示すものであり、図1(a)は、本実施形態における振動制御装置1の側面図、図1(b)は、本実施形態における振動制御装置1の正面図を示す。図2は、振動制御装置1のブロック図を示す。
【0020】
図中、1は振動制御装置、10は荷重支持部の一例としての座席、20は振動制御部、21は振動制御手段の一例としての制振用アクチュエータ、30はカウンタバランス部、31は天秤部、32は調整手段の一例としてのプリロード調整用アクチュエータ、33はコイルバネ、40は第1案内手段の一例としての第1スライダ、50は第2案内手段の一例としての第2スライダ、60は第1軸制御部の一例としてのピッチ制御部、61は第1軸回動手段の一例としてのピッチアクチュエータ、62は第1軸シャフトの一例としてのピッチシャフト、63は第1軸ベアリングの一例としてのピッチベアリング、64は第1軸シャフトホルダの一例としてのピッチシャフトホルダ、67はブラケット、70は第2軸制御部の一例としてのロール制御部、71は第2軸回動手段の一例としてのロールアクチュエータ、72は第2軸シャフトの一例としてのロールシャフト、73は第2軸ベアリングの一例としてのロールベアリング、74は第2軸シャフトホルダの一例としてのロールシャフトホルダ、81は加速度センサ、82は第1軸回動検出手段の一例としてのピッチセンサ、83は第2軸回動検出手段の一例としてのロールセンサ、90は台、Fは設置部である。なお、本実施例においては、コイルバネ33を用いているが、設置することができれば、ねじりバネ等の弾性部材を用いても良い。
【0021】
振動制御装置1は、座席10を、振動制御部20を介して設置部Fに設置し、座席の振動をアクティブに制御すると共に、カウンタバランス部30で荷重に対する力の釣り合いを設定するものである。
【0022】
座席10は、ピッチ制御部60及びロール制御部70を介して、振動制御部20及びカウンタバランス部30に載置されている。
【0023】
振動制御部20は、ボイスコイルモータ等の制振用アクチュエータ21等を有する。制振用アクチュエータ21は、下部を設置部Fに設置、上部を座席10に当接され、加速度センサ81等からの信号により、上下伸縮可能に制御される。加速度センサ81は、座席10の加速度を検出するものであり、座席10に載置される。
【0024】
カウンタバランス部30は、天秤部31、プリロード調整用アクチュエータ32、スプリング33等を有する。
天秤部31は、支柱34と回動可能に連結される支点31aを有し、一端側31bは、ピッチ制御部60のピッチベアリング63に連結され、他端側31cは、プリロード調整用アクチュエータ32を介してスプリング33に回動可能に連結される。なお、支柱34は設置部Fに設置されている。
【0025】
プリロード調整用アクチュエータ32は、長さを可変することができるもので、一端を天秤部31に連結され、他端をスプリング33に固着され、加速度センサ81等の信号により、伸縮可能に制御される。スプリング33は、一端をプリロード調整用アクチュエータ32に固着され、他端を設置部Fに固着されている。
ピッチ制御部60は、ピッチアクチュエータ61により、ピッチシャフト62を回転させ、座席10のピッチを制御するものである。ピッチアクチュエータ61は、ピッチセンサ82からの信号により、ピッチシャフト62に回転運動を与えるもので、第1スライダ41に設けられている。ピッチシャフト62は、ピッチベアリング63を介して、制振用アクチュエータ21及び天秤部31の一端部31bに回動可能に連結されると共に、ピッチシャフトホルダ64を介して、ブラケット67に固定されている。
【0026】
ロール制御部70は、ロールアクチュエータ71により、ロールシャフト72を回転させ、座席10のロールを制御するものである。ロールアクチュエータ71は、ロールセンサ83からの信号により、ロールシャフト72に回転運動を与えるもので、ブラケット67に載置されている。ロールシャフト72は、ロールベアリング73を介して、ブラケット67に回動可能に連結されると共に、ロールシャフトホルダ74を介して、座席10に固定されている。
【0027】
第1スライダ40は、座席10を設置部Fに対して相対移動させるものである。例えば、図1(b)の矢印Aに示すように、第1スライダ40は、設置部Fの壁部F1に対して上下方向に移動可能とする。第1スライダ40には、ピッチアクチュエータ61が設置されており、ピッチ制御部60及びロール制御部70を介して荷重支持部10を上下方向に相対移動させることができる。
【0028】
第2スライダ50は、カウンタバランス部30を載置した台90を設置部Fに対して相対移動させるものである。例えば、第2スライダ50は、図1(a)の矢印Bに示すように、設置部Fの床部F2に対して移動可能とする。第2スライダ50には、台90を介してカウンタバランス部30が載置されており、第2スライダ50は、カウンタバランス部30の天秤部31の回動やプリロード調整用アクチュエータ32の伸縮等により、移動するものである。
【0029】
図2に示すように、このような構造の振動制御装置1は、加速度センサ81、ピッチセンサ82及びロールセンサ83等からの入力信号をコントローラとしてのECU100に入力し、制振用アクチュエータ21、ピッチアクチュエータ61及びロールアクチュエータ71を制御することで、アクティブに振動を制御する。また、加速度センサ81等の入力信号をECU100に入力し、プリロード調整用アクチュエータ32を制御する。
【0030】
次に、プリロード調整制御について説明する。図3は、プリロード調整制御のフローチャートを示す。まず、ステップ1で、振動のない停止時における座席10上の荷重を加速度センサ81により検出する(ST1)。次に、ステップ2で、検出した荷重値の一定時間分をECU100に読み込む(ST2)。続いて、ステップ3で、一定時間分の荷重値から例えば平均値を計算して基準荷重値を算出する(ST3)。次に、ステップ4で、算出した基準荷重値にあわせてプリロード調整用アクチュエータ32作動制御する(ST4)。
【0031】
図4は、プリロード調整制御前後の本実施形態の振動制御装置1の状態を示すもので、図4(a)はプリロード調整制御前、図4(b)はプリロード調整制御後の状態を示すものである。図4(a)に示すプリロード調整制御前の状態から、例えば乗員Pが座席10に座り、初期荷重に乗員Pの荷重が足されると、カウンタバランス部30の天秤部31が反時計方向に回転し、スプリング33に負荷がかかる。そこで、図4(b)に示すように、プリロード調整用アクチュエータ32を作動させ、天秤部31の長さを変えることにより、荷重とスプリング33による負荷とを釣り合わせる。
【0032】
このように、プリロード調整用アクチュエータ32を作動させることにより、荷重がキャンセルされ、その状態から振動制御をすることができるようになる。
【0033】
次に、本実施形態の振動制御について説明する。図5は、振動制御のフローチャートを示す。まず、ステップ11で、振動時の加速度を加速度センサ81により検出する(ST11)。
次に、ステップ12で、ECU100において制振用アクチュエータ21の推力を計算する(ST12)。推力計算は、例えば、加速度×フリクション×ゲイン×(−1)等の計算式やあらかじめ加速度に対応する推力の値を記憶しておくことにより実行する。ここで、計算式におけるゲインは制御の遅れ分、−1は向きの反転を表す。続いて、ステップ13で、ステップ12において計算した推力を制振用アクチュエータ21に指示する(ST13)。
【0034】
図6及び図7は、本実施形態の振動制御の状態を示すものである。図6は制振用アクチュエータ21を収縮した状態、図7は制振用アクチュエータ21を伸張した状態を示すものであり、図6(a)及び図7(a)は側面図、図6(b)及び図7(b)は正面図である。
【0035】
図6は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より大きい場合であり、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を収縮すると、第2スライダ70が後方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が反時計方向に回転する。この時、スプリング33は伸張するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0036】
図7は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より小さい場合であり、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を伸張すると、第2スライダ70が前方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が時計方向に回転する。この時、スプリング33は収縮するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0037】
図8は、本実施形態の振動制御装置1を用いた場合と、図15に示す従来技術の場合とをシミュレーションで比較した結果を示す。シミュレーションは、振幅25mm周期750mmの波状路を速度70km/hで走行する条件で、荷重の振動を0にするために必要な制振用アクチュエータを求めた。
【0038】
図8(a)は、図15(a)に示すように、座席の支持をアクチュエータのみでする場合、図8(b)は、図15(b)に示すように、座席の支持をアクチュエータとスプリングでする場合、図8(c)は、本実施形態の場合である。
【0039】
次に、本実施形態のピッチ制御について説明する。図9は、ピッチ制御のフローチャートを示す。まず、ステップ21で、ピッチセンサ82により、ピッチ方向の角速度を求める(ST21)。なお、ピッチ方向の変位又は角加速度を求めてもよい。次に、ステップ22で、ECU100において、ピッチアクチュエータ61の推力を計算する(ST22)。推力計算は、例えば、角加速度×フリクション×ゲイン×(−1)等の計算式やあらかじめ角加速度に対応する推力の値を記憶しておくことにより実行する。ここで、計算式におけるゲインは制御の遅れ分、−1は向きの反転を表す。続いて、ステップ23で、ステップ22において計算した推力をピッチアクチュエータ61に指示する(ST23)。
【0040】
図10は、本実施形態のピッチ制御の状態を示すものである。図10(a)はピッチアクチュエータ61を紙面に対して反時計方向に回動した状態、図10(b)はピッチアクチュエータ61を紙面に対して時計方向に回動した状態を示すものである。
【0041】
図10(a)に示すように、座席10がピッチ軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ピッチセンサ82が検出した場合、ECU100は、ピッチアクチュエータ61を反時計方向に回転させる。
【0042】
図10(b)に示すように、座席10がピッチ軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ピッチセンサ82が検出した場合、ECU100は、ピッチアクチュエータ61を時計方向に回転させる。
【0043】
次に、本実施形態のロール制御について説明する。図11は、ロール制御のフローチャートを示す。まず、ステップ31で、ロールセンサ83により、ロール方向の角速度を求める(ST31)。なお、ロール方向の変位又は角加速度を求めてもよい。次に、ステップ32で、ECU100において、ロールアクチュエータ71の推力を計算する(ST32)。推力計算は、例えば、角加速度×フリクション×ゲイン×(−1)等の計算式やあらかじめ角加速度に対応する推力の値を記憶しておくことにより実行する。ここで、計算式におけるゲインは制御の遅れ分、−1は向きの反転を表す。続いて、ステップ23で、ステップ22において計算した推力をロールアクチュエータ71に指示する(ST33)。
【0044】
図12は、本実施形態のロール制御の状態を示すものである。図12(a)は、ロールアクチュエータ71を紙面に対して反時計方向に回動した状態、図12(b)は、ロールアクチュエータ71を紙面に対して時計方向に回動した状態を示すものである。
【0045】
図12(a)に示すように、座席10がロール軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ロールセンサ83が検出した場合、ECU100は、ロールアクチュエータ71を反時計方向に回転させる。
【0046】
図12(b)に示すように、座席10がロール軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ロールセンサ83が検出した場合、ECU100は、ロールアクチュエータ71を時計方向に回転させる。
【0047】
図13は、本実施形態の振動制御とピッチ制御を同時に実行した場合を示す図である。図13(a)は、制振用アクチュエータ21を収縮し、且つ、ピッチアクチュエータ61を紙面に対して反時計方向に回動した状態を示すものであり、図13(b)は、制振用アクチュエータ21を伸張し、且つ、ピッチアクチュエータ61を紙面に対して時計方向に回動した状態を示すものである。
【0048】
図13(a)は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より大きい場合、且つ、座席10がピッチ軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ピッチセンサ82が検出した場合であり、ECU100により、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を収縮すると、第2スライダ70が後方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が反時計方向に回転し、且つ、ピッチアクチュエータ61は反時計方向に回転する。この時、スプリング33は伸張するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0049】
図13(b)は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より小さい場合、且つ、座席10がピッチ軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ピッチセンサ82が検出した場合であり、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を伸張すると、第2スライダ70が前方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が時計方向に回転し、且つ、ピッチアクチュエータ61は時計方向に回転する。この時、スプリング33は収縮するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0050】
図14は、本実施形態の振動制御とロール制御を同時に実行した場合を示す図である。図14(a)は、制振用アクチュエータ21を収縮し、且つ、ロールアクチュエータ71を紙面に対して反時計方向に回動した状態を示すものであり、図14(b)は、制振用アクチュエータ21を伸張し、且つ、ロールアクチュエータ71を紙面に対して時計方向に回動した状態を示すものである。
【0051】
図14(a)は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より大きい場合、且つ、座席10がロール軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ロールセンサ83が検出した場合であり、ECU100により、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を収縮すると、第2スライダ70が後方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が反時計方向に回転し、且つ、ロールアクチュエータ71は反時計方向に回転する。この時、スプリング33は伸張するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0052】
図14(b)は、荷重値がプリロード調整制御で求めた基準荷重値より小さい場合、且つ、座席10がロール軸を中心として紙面に対して時計方向へ移動したことを、ロールセンサ83が検出した場合であり、座席10上の振動をほぼ0にするため制振用アクチュエータ21を伸張すると、第2スライダ70が前方に移動すると共に、カウンタバランス部30の天秤部31が時計方向に回転し、且つ、ロールアクチュエータ71は時計方向に回転する。この時、スプリング33は収縮するが、荷重とスプリング33による負荷は、ほぼ釣り合い状態を保つことができる。
【0053】
このように、本実施形態によれば、設置部Fに設置された座席10と、座席10と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部30と、座席10の設置部Fに対する振動を制御する制振用アクチュエータ21を有する振動制御部20と、座席10の加速度を検出する加速度センサ81と、座席10のピッチ軸Pに対する回動を検出するピッチセンサ82と、座席10をピッチ軸Pに対して回動させるピッチアクチュエータ61と、を備え、制振用アクチュエータ21は、加速度センサ81の検出値に応じて制御され、ピッチアクチュエータ61は、ピッチセンサ82の検出値に応じて制御されるので、制振用アクチュエータ21の出力を低減することができ、小型の制振用アクチュエータ21で実現できると共に、ピッチ軸Pに対する回動動作に対しても制御することができる振動制御装置1を提供することができる。なお、検出値に応じて制御されるとは、その時々の検出値に対応した制御が関数的に為されることを表す。
【0054】
また、ピッチ軸Pと異なるロール軸Rを有し、座席10のロール軸Rに対する回動を検出するロールセンサ83と、座席10をロール軸Rに対して回動させるロールアクチュエータ71と、を備え、ロールアクチュエータ71は、ロールセンサ83の検出値に応じて制御されるので、ロール軸Rに対する回動動作に対しても制御することができる
【0055】
また、座席10を設置部Fに対して相対移動させる第1スライダ40を有するので、座席10が水平方向に移動しないようにすることができる。
【0056】
また、カウンタバランス部30を座席10に対して相対移動させる第2スライダ50を有するので、座席10の上下移動に対して、カウンタバランス部30を移動させることができる。
【0057】
また、設置部Fに一端を支持されたスプリング33と、設置部Fに支点を枢支され、一端を第1スライダ40に連結され、他端をスプリング33の他端に連結された天秤部31と、天秤部31の長さを変更するプリロード調整用アクチュエータ32とを備えたので、カウンタウエイト等の重量物を適用する必要がなくなる。
【0058】
また、座席10上の状態を検知する加速度センサ81を備え、加速度センサ81で検知した状態に応じてプリロード調整用アクチュエータ32を作動するので、初期荷重の変化に対して適切に対応することができる。
【0059】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、例えば、制御のフローチャートの処理順番なども適宜変更可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1実施形態の振動制御装置を示す図である。
【図2】振動制御装置のシステム構成を示したブロック図である。
【図3】プリロード調整制御のフローチャートを示す図である。
【図4】プリロード調整制御時の振動制御装置の状態を示す図である。
【図5】振動制御のフローチャートを示す図である。
【図6】振動制御時の振動制御手段の収縮した状態を示す図である。
【図7】振動制御時の振動制御手段の伸張した状態を示す図である。
【図8】本実施形態の振動制御装置と従来の技術とを比較したシミュレーションを示す図である。
【図9】ピッチ制御のフローチャートを示す図である。
【図10】ピッチアクチュエータを回動した状態を示す図である。
【図11】ロール制御のフローチャートを示す図である。
【図12】ロールアクチュエータを回動した状態を示す図である。
【図13】制振用アクチュエータ、且つ、ピッチアクチュエータを作動した状態を示す図である。
【図14】制振用アクチュエータ、且つ、ロールアクチュエータを作動した状態を示す図である。
【図15】従来の技術を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1…振動制御装置、10…座席(荷重支持部)、20…振動制御部、21…制振用アクチュエータ(振動制御手段)、30…カウンタバランス部、31…天秤部、32…プリロード調整用アクチュエータ(調整手段)、33…スプリング(付勢手段)、40…第1スライダ(第1案内手段)、50…第2スライダ(第2案内手段)、60…ピッチ制御部(第1軸制御部)、61…ピッチアクチュエータ(第1軸回動手段)、62…ピッチシャフト(第1軸シャフト)、63…ピッチベアリング(第1軸ベアリング)、64…ピッチシャフトホルダ(第1軸シャフトホルダ)、67…ブラケット、70…ロール制御部(第2軸制御部)、71…ロールアクチュエータ(第2軸回動手段)、72…ロールシャフト(第2軸シャフト)、73…ロールベアリング(第2軸ベアリング)、74…ロールシャフトホルダ(第2軸シャフトホルダ)、81…加速度センサ(加速度検出手段)、82…ピッチセンサ(第1軸回動検出手段)、82…ロールセンサ(第2軸回動検出手段)、90…台、100…ECU(コントローラ)、F…設置部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置部に設置された荷重支持部と、
前記荷重支持部と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部と、
前記荷重支持部の前記設置部に対する振動を制御する振動制御手段を有する振動制御部と、
前記荷重支持部の加速度を検出する加速度検出手段と、
前記荷重支持部の第1軸に対する回動を検出する第1軸回動検出手段と、
前記荷重支持部を第1軸に対して回動させる第1軸回動手段と、
を備え、
前記振動制御手段は、前記加速度検出手段の検出値に応じて制御され、前記第1軸回動手段は、前記第1軸回動検出手段の検出値に応じて制御される
ことを特徴とする振動制御装置。
【請求項2】
前記第1軸と異なる第2軸を有し、
前記荷重支持部の第2軸に対する回動を検出する第2軸回動検出手段と、
前記荷重支持部を第2軸に対して回動させる第2軸回動手段と、
を備え、
前記第2軸回動手段は、前記第2軸回動検出手段の検出値に応じて制御される
ことを特徴とする請求項1に記載の振動制御装置。
【請求項3】
前記荷重支持部を前記設置部に対して相対移動させる第1案内手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の振動制御装置。
【請求項4】
前記カウンタバランス部を前記設置部に対して相対移動させる第2案内手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の振動制御装置。
【請求項5】
前記設置部に一端を支持された付勢手段と、前記設置部に支点を枢支され、一端を前記第1案内手段に連結され、他端を付勢手段の他端に連結された天秤部と、前記天秤部の長さを変更する調整手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の振動制御装置。
【請求項6】
前記荷重支持部上の状態を検知する検知手段を備え、前記検知手段で検知した状態に応じて前記調整手段を作動することを特徴とする請求項5に記載の振動制御装置。
【請求項1】
設置部に設置された荷重支持部と、
前記荷重支持部と連結され荷重と釣り合う負荷を与えるカウンタバランス部と、
前記荷重支持部の前記設置部に対する振動を制御する振動制御手段を有する振動制御部と、
前記荷重支持部の加速度を検出する加速度検出手段と、
前記荷重支持部の第1軸に対する回動を検出する第1軸回動検出手段と、
前記荷重支持部を第1軸に対して回動させる第1軸回動手段と、
を備え、
前記振動制御手段は、前記加速度検出手段の検出値に応じて制御され、前記第1軸回動手段は、前記第1軸回動検出手段の検出値に応じて制御される
ことを特徴とする振動制御装置。
【請求項2】
前記第1軸と異なる第2軸を有し、
前記荷重支持部の第2軸に対する回動を検出する第2軸回動検出手段と、
前記荷重支持部を第2軸に対して回動させる第2軸回動手段と、
を備え、
前記第2軸回動手段は、前記第2軸回動検出手段の検出値に応じて制御される
ことを特徴とする請求項1に記載の振動制御装置。
【請求項3】
前記荷重支持部を前記設置部に対して相対移動させる第1案内手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の振動制御装置。
【請求項4】
前記カウンタバランス部を前記設置部に対して相対移動させる第2案内手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の振動制御装置。
【請求項5】
前記設置部に一端を支持された付勢手段と、前記設置部に支点を枢支され、一端を前記第1案内手段に連結され、他端を付勢手段の他端に連結された天秤部と、前記天秤部の長さを変更する調整手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の振動制御装置。
【請求項6】
前記荷重支持部上の状態を検知する検知手段を備え、前記検知手段で検知した状態に応じて前記調整手段を作動することを特徴とする請求項5に記載の振動制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−154773(P2009−154773A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336874(P2007−336874)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
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