振動型アクチュエータ
【課題】振動型アクチュエータ作動時の騒音を抑制する。
【解決手段】超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4と、アクチュエータ本体4に設けられて駆動力を出力する駆動子3とを備えている。超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4に設けられて主面40a,40bに交差する方向の両側へ突出するホルダ5と、ホルダ5をそれぞれ支持する2つの支持体6,6と、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触することによってアクチュエータ本体4の変位を制限する接触ゴム66a,66b,66cとをさらに備えている。アクチュエータ本体4は、移動体11側へ付勢されている。支持体6,6には、ホルダ5が嵌ると共にアクチュエータ本体4の付勢方向に延びる長孔64が形成されている。接触ゴム66a,66b,66cは、アクチュエータ本体4の各主面40a,40bにおいて長手方向の異なる位置に少なくとも2つ設けられている。
【解決手段】超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4と、アクチュエータ本体4に設けられて駆動力を出力する駆動子3とを備えている。超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4に設けられて主面40a,40bに交差する方向の両側へ突出するホルダ5と、ホルダ5をそれぞれ支持する2つの支持体6,6と、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触することによってアクチュエータ本体4の変位を制限する接触ゴム66a,66b,66cとをさらに備えている。アクチュエータ本体4は、移動体11側へ付勢されている。支持体6,6には、ホルダ5が嵌ると共にアクチュエータ本体4の付勢方向に延びる長孔64が形成されている。接触ゴム66a,66b,66cは、アクチュエータ本体4の各主面40a,40bにおいて長手方向の異なる位置に少なくとも2つ設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮振動及び屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体を備えた振動型アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、この種類の振動型アクチュエータとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この振動型アクチュエータは、伸縮振動及び屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体を備えている。アクチュエータ本体には、アクチュエータ本体の伸縮振動及び屈曲振動に伴って周回運動する駆動子が設けられている。振動型アクチュエータは、駆動子が相対移動部材に接触するようにして配設される。この状態でアクチュエータ本体を伸縮振動及び屈曲振動させることによって、駆動子を周回運動させて、相対移動部材及び振動型アクチュエータの何れか一方を他方に対して相対的に移動させる。このとき、アクチュエータ本体は、駆動子と相対移動部材との摩擦力を増大させるために、相対移動部材側に付勢されている。
【0003】
ここで、アクチュエータ本体の支持構造についてさらに詳しく説明する。アクチュエータ本体には、アクチュエータ本体の厚み方向に突出する突出部が設けられている。この突出部は、支持体によって支持されている。詳しくは、支持体には、アクチュエータ本体の付勢方向へ延びる長孔が形成されている。突出部は、支持体の該長孔に嵌っていて、該長孔に沿って摺動可能になっている。つまり、アクチュエータ本体は、付勢方向へ摺動可能な状態で支持体に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−346486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように多少の自由度を有する状態でアクチュエータ本体を支持する構成においては、アクチュエータ本体が振動する際に、異音が発生する虞がある。例えば、前記支持体の長孔とアクチュエータ本体の突出部との間には、突出部の摺動を可能とする程度の微小な隙間が存在する。そのため、アクチュエータ本体が振動する際に、突出部が長孔の壁面に衝突して、異音が発生する場合がある。さらには、アクチュエータ本体が振動する際に、該アクチュエータ本体がその周辺に配置された部材、例えば、アクチュエータ本体を収容するケースや支持体と衝突して、異音が発生する虞もある。
【0006】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、振動型アクチュエータ作動時の騒音を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された振動型アクチュエータは、相対向する一対の主面を有して、該主面の長手方向への伸縮振動及び該主面の短手方向への屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体に設けられて該アクチュエータ本体の振動に従って周回運動することによって駆動力を出力する駆動子とを備え、該駆動子が当接する相対移動部材との間で相対移動を発生させる振動型アクチュエータである。そして、この振動型アクチュエータは、前記アクチュエータ本体に設けられて該アクチュエータ本体から該主面に交差する方向の両側へ突出する突出部と、前記突出部をそれぞれ支持する2つの支持体と、前記アクチュエータ本体の両主面に対してそれぞれ設けられ、該主面に接触することによって該主面と交差する方向への該アクチュエータ本体の変位を制限する接触体とをさらに備え、前記アクチュエータ本体は、前記相対移動部材側へ付勢されており、前記支持体には、前記突出部が嵌ると共に、前記アクチュエータ本体の付勢方向に延びる長孔が形成されており、前記支持体は、前記アクチュエータ本体の各主面において前記長手方向の異なる位置に少なくとも2つ設けられているものとする。
【発明の効果】
【0008】
この振動型アクチュエータによれば、振動型アクチュエータ作動時の騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータの分解斜視図である。
【図2】超音波アクチュエータの斜視図である。
【図3】駆動装置の斜視図である。
【図4】圧電素子ユニットの分解斜視図である。
【図5】アクチュエータ本体の概略構成を示す概略正面図である。
【図6】アクチュエータ本体の長手方向への縦振動の1次モードによる変位を示す概念図である。
【図7】アクチュエータ本体の屈曲振動の2次モードによる変位を示す概念図である。
【図8】アクチュエータ本体の動作を示す概念図である。
【図9】超音波アクチュエータによるステージの駆動を説明するための概念図であって、(a)は駆動前の状態、(b)はアクチュエータ本体が長手方向に伸張することで一方の駆動子によってステージを駆動する状態、(c)はアクチュエータ本体が長手方向に収縮することで他方の駆動子によってステージを駆動する状態を示す。
【図10】その他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
【図11】別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
《発明の実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータの斜視図を示し、図2は、超音波アクチュエータの分解斜視図を示し、図3は、超音波アクチュエータを組み込んだ駆動装置の斜視図を示す。駆動装置1は、振動により駆動力を出力する超音波アクチュエータ2と、ガイド12に沿って移動可能な移動体11と、該超音波アクチュエータ2を駆動制御する制御装置(図示省略)とを備え、超音波アクチュエータ2によって移動体11を駆動するためのものである。この超音波アクチュエータ2が振動型アクチュエータを構成し、移動体11が相対移動部材を構成する。
【0012】
移動体11は、固定体としての基台(図示省略)上に固定されたガイド12に摺動可能に取り付けられている。こうして、移動体11は、ガイド12が延びる方向に沿って移動可能に構成されている。これらガイド12の延びる方向が移動体11の可動方向となる。この移動体11の底面にはアルミナで形成された摺動板11aが接着固定されていている。尚、摺動板11aの材質は、アルミナに限られるものではなく、任意の材質を用いて形成することができる。そして、前記超音波アクチュエータ2は、この移動体11に接着された摺動板11aに後述する駆動子3,3が当接する状態で基台に配設されている。
【0013】
超音波アクチュエータ2は、移動体11に駆動力を出力して、該移動体11を超音波アクチュエータ2に対して相対的に移動させるためのものである。超音波アクチュエータ2は、振動を発生させるアクチュエータ本体4と、該アクチュエータ本体4に設けられて該アクチュエータ本体4の駆動力を移動体11に伝達する駆動子3,3と、アクチュエータ本体4を保持するホルダ5と、ホルダ5を支持する支持体6と、アクチュエータ本体4を移動体11へ付勢するための板バネ7とを有している。
【0014】
前記アクチュエータ本体4は、圧電素子で構成されている。アクチュエータ本体4は、図2に示すように、略長方形状の相対向する一対の主面40a,40bと、この主面40a,40bと直交して該主面40a,40bの長手方向に延びる、相対向する一対の長辺側面40c,40dと、これら主面40a,40b及び長辺側面40c,40dの両方と直交して該主面40a,40bの短手方向に延びる、相対向する一対の短辺側面40e,40fとを有する略直方体状をしている。
【0015】
図4に、アクチュエータ本体4の分解斜視図を示す。アクチュエータ本体4は、図4に示すように、圧電体層(圧電素子)41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層して構成される。内部電極層42,44,43,44は、積層方向に圧電体層41を介して交互に配された、第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とを含んでいる。これら第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とを1セットとして、複数セットの内部電極層42,44,43,44が圧電体層41を介在させた状態で繰り返し積層されている。尚、積層方向の両端には、圧電体層41,41が位置するようになっている。これら第1給電電極層42、第2給電電極層43及び共通電極層44のそれぞれは、各圧電体層41の主面上に印刷されている。
【0016】
前記各圧電体層41は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層である。圧電体層41は、前記アクチュエータ本体4と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層41のそれぞれの長辺側面には、長手方向両端部に第1及び第2外部電極46,47が形成され、該第1及び第2外部電極46,47よりも長手方向内側には2つの共通外部電極48,48が形成されている。すなわち、圧電体層41の各長辺側面には、第1外部電極46、共通外部電極48、共通外部電極48、第2外部電極47が、長手方向に沿ってこの順で、互いに間隔を空けて並んでいる。
【0017】
前記各共通電極層44は、圧電体層41の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層44のそれぞれの長辺部からは、圧電体層41の長辺側面に形成された共通外部電極48,48まで延びる引出電極44a,44aが形成されている。
【0018】
前記第1及び第2給電電極層42,43は、図5に示すように、圧電体層41の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極42a,42bと、他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極43a,43bとを有する。これら第1電極42a,42b及び第2電極43a,43bは、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第1電極42a,42bのそれぞれからは、それらに近接する、圧電体層41の長辺側面に形成された第1外部電極46,46まで延びる引出電極42d,42dが形成されている。第2電極43a,43bのそれぞれからは、それらに近接する、圧電体層41の長辺側面に形成された第2外部電極47,47まで延びる引出電極43d,43dが形成されている。そして、第1給電電極層42においては、第1電極42a,42bが第1導通電極42cを介して導通している。また、第2給電電極層43においては、第2電極43a,43bが第2導通電極43cを介して導通している。
【0019】
これら圧電体層41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層することで構成されたアクチュエータ本体4の各長辺側面40c,40dにおいては、各圧電体層41の共通外部電極48,48がそれぞれ積層方向に並んで一まとまりに形成されている。この外部電極48には、前記共通電極層44,44に形成された引出電極44a,44aが電気的に接続されている。こうして、異なる圧電体層41,41,…に設けられた共通電極層44,44,…は、共通外部電極48,48を介して互いに導通している。
【0020】
同様に、アクチュエータ本体4の各長辺側面40c,40dにおいては、各圧電体層41の第1外部電極46が積層方向に並んで一まとまりに形成されていると共に、各圧電体層41の第2外部電極47が積層方向に並んで一まとまりに形成されている。第1外部電極46,46には、前記第1電極42a,42bからの引出電極42d,42dが電気的に接続されている。また、第2外部電極47,47には、前記第2電極43a,43bからの引出電極43d,43dが電気的に接続されている。こうして、第1電極42a,42bは、第1導通電極42c及び第1外部電極46,46を介して、異なる圧電体層41,41,…に設けられた第1電極42a,42bと互いに導通している。また、第2電極43a,43bは、第2導通電極43c及び第2外部電極47,47を介して、異なる圧電体層41,41,…に設けられた第2電極43a,43bと互いに導通している。これら外部電極46,47,48には、制御装置からの信号線が接続される。アクチュエータ本体4は、外部電極46,47,48を介して給電される。
【0021】
そして、アクチュエータ本体4の一方の長辺側面(すなわち、後述する屈曲振動の振動方向を向く一対の面のうちの一方の面。以下、設置面ともいう)40cには、2個の駆動子3,3が設けられている。
【0022】
これら駆動子3,3は、円柱状の部材であって、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等で形成されている。駆動子3,3は、その軸方向がアクチュエータ本体4の厚み方向を向くように配設されている。駆動子3,3は、設置面40cに対して接着剤を介して線接触状に取り付けられている。接着剤としては、アクチュエータ本体4の材料及び駆動子3の材料よりも柔らかいことが望ましい。具体的には、合成樹脂、特にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。このような材料を用いることによりアクチュエータ本体4の後述する振動をできるだけ阻害せずに駆動子3,3と設置面40cとの間の固定を実現することができる。
【0023】
また、駆動子3,3が設けられた位置は、設置面40cにおいて、アクチュエータ本体4の長手方向両端部から該設置面40cの全長の30〜35%距離だけ内側に入った位置であり、即ち、アクチュエータ本体4の後述する屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。
【0024】
このように構成されたアクチュエータ本体4は、前記外部電極48をグランドに接続し、前記第1及び第2外部電極46,47に所定周波数の交流電圧を位相が90°ずれた状態で印加することによって、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極42a,42bと、他方の対の第2電極43a,43bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧が印加され、その長手方向への伸縮振動(いわゆる、縦振動)とその短手方向への屈曲振動(いわゆる、横振動)とが誘起される。
【0025】
伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、アクチュエータ本体4、即ち、アクチュエータ本体4の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、アクチュエータ本体4を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で第1及び第2外部電極46,47のそれぞれに印加する。例えば、伸縮振動の1次モード(図6参照)の共振周波数と屈曲振動の2次モード(図7参照)の共振周波数とが一致するようにアクチュエータ本体4の形状等を設計して、該共振周波数近傍の交流電圧を前述の如く、位相を90°ずらして印加することによって、アクチュエータ本体4には、伸縮振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図8(A)、(B)、(C)、(D)に示す形状の変化を順番に起こす。
【0026】
その結果、アクチュエータ本体4に設けられた各駆動子3が該アクチュエータ本体4の主面と平行な平面(図7における紙面と平行な面)、即ち、長手方向と短手方向とを含む平面(さらに換言すれば、伸縮振動の振動方向と屈曲振動の振動方向とを含む平面)内で略楕円運動、即ち、周回運動を行う。
【0027】
このように構成されたアクチュエータ本体4は、複数の振動の腹を有する。ここで、振動の腹とは振動の変位が極大となる箇所であり、本実施形態においては振動の腹の部分はアクチュエータ本体4の両短辺側面に位置する計2箇所の伸縮振動の腹と、アクチュエータ本体4の一方の長辺側面40c及び他方の長辺側面40dの両端部の4箇所、さらに一方の長辺側面40c及び他方の長辺側面40dにおける両端部からアクチュエータ本体4の長手方向の30〜40%内側の部分の4箇所の計8箇所の屈曲振動の腹とがある。すなわち、この超音波アクチュエータ2は、伸縮振動の腹と屈曲振動の腹とを合わせて10箇所の振動の腹がある。そして、前記駆動子3,3は、一方の長辺側面である設置面40cにおける長手方向両端部から内側へ30〜35%入った腹の部分に設けられている。
【0028】
ホルダ5は、ポリカボネート(ガラス繊維入り)で形成されている。このホルダ5は、図2に示すように、アクチュエータ本体4の、駆動子3,3が設けられていない方の長辺側面40dに取り付けられている。詳しくは、ホルダ5は、アクチュエータ本体4の該長辺側面40dの長手方向中央部において、該アクチュエータ本体4を厚み方向から挟持するように取り付けられている。このアクチュエータ本体4の長辺側面40dの長手方向中央部は、アクチュエータ本体4の伸縮振動の節の部分である。また、ホルダ5は、アクチュエータ本体4よりも、該アクチュエータ本体4の厚み方向の両側に突出している。このホルダ5が、突出部を構成している。
【0029】
支持体6は、板状に形成された支持体本体60と、支持体本体60に設けられたガイド部材63とを有している。この支持体6は、ホルダ5を介してアクチュエータ本体4を支持する。支持体本体60は、基台に固定されたベース部材14に取り付けられている。詳しくは、支持体本体60は、ステンレス又は一般鋼等で構成されている。支持体本体60には、2つの貫通孔61,61が厚み方向に貫通形成されている。支持体本体60は、この貫通孔61,61に挿通されたネジ16,16によってベース部材14に取り付けられる。
【0030】
また、支持体本体60の中央には、開口部62が厚み方向に貫通形成されている。この開口部62に、ホルダ5を支持するためのガイド部材63が設けられる。ガイド部材63は、支持体本体60に接着固定されている。ガイド部材63には、アクチュエータ本体4を移動体11へ付勢する方向(即ち、アクチュエータ本体4の短手方向)に延びる長孔64が貫通形成されている。この長孔64には、ホルダ5の、アクチュエータ本体4の厚み方向に突出する端部が挿入される。ホルダ5の端部は、長孔64内を長孔64の延伸方向に摺動することができる。ガイド部材63は、支持体本体60よりも弾性率が小さく、又硬度が小さい材料で構成されている。また、ガイド部材63は、ホルダ5よりも軟質で、しかも樹脂などに対して摺動性に優れる材料で構成されている。例えば、ガイド部材63は、ポリアセタールで構成されている。尚、ホルダ5の突出量によっては、長孔64はガイド部材63を貫通せず、有底状であってもよい。
【0031】
さらに、支持体本体60の、アクチュエータ本体4と対向する面には、3つの接触ゴム66a,66b,66cを配設するための配設孔65が形成されている。この配設孔65は、有底状であって、アクチュエータ本体4の長手方向に延びるように形成されている。配設孔65は、支持体本体60において、開口部62を挟んで、貫通孔61,61とは反対側の位置に設けられている。各接触ゴム66は、シリコーンゴムで構成されている。接触ゴム66a,66b,66cは、支持体6により支持されるアクチュエータ本体4の主面40a(40b)の短手方向略中央において長手方向に概ね並んで配置されている。1番目と3番目の接触ゴム66a,66cは、アクチュエータ本体4の長手方向の両端から、長手方向の全長の略13%だけ内方に入った位置に配置される。2番目の接触ゴム66bは、アクチュエータ本体4の長手方向における略中央に配置される。これらアクチュエータ本体4の長手方向両端から全長の略13%入った部分及び長手方向中央の部分は、アクチュエータ本体4の2次モードの屈曲振動の節となる部分である。また、アクチュエータ本体4の長手方向中央の部分は、アクチュエータ本体4の1次モードの伸縮振動の節となる部分である。尚、配設孔65は、長孔ではくてもよい。すなわち、配設孔65は、接触ゴム66の個数に応じて設けられ、接触ゴム66が嵌る程度の大きさを有する孔であってもよい。
【0032】
これら接触ゴム66a,66b,66cは、支持体6がアクチュエータ本体4を支持する状態において、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触している。これら接触ゴム66a,66b,66cは、主面40a,40bと交差する方向へのアクチュエータ本体4の変位を制限する機能を有する。
【0033】
板バネ7は、アクチュエータ本体4の、ホルダ5が取り付けられた長辺側面40dと対向する位置に設けられている。詳しくは、板バネ7は、アクチュエータ本体4の、ホルダ5が取り付けられた長辺側面40dと、ベース部材14との間に設けられている。また、板バネ7の長手方向両端部には、ベース部材14に設けられたネジ15,15の先端が嵌る開口部71,71が形成されている。詳しくは、ベース部材14にはアクチュエータ本体4の短手方向と平行にネジ孔が貫通形成されており、このネジ孔にネジ15,15が螺合されている。これらネジ15,15の先端部は、ベース部材14よりもアクチュエータ本体4側に突出するようになっている。そして、ネジ15,15の先端部は、板バネ7の開口部71,71に嵌っている。このように構成された板バネ7は、アクチュエータ本体4に取り付けられたホルダ5に当接している。つまり、ベース部材14のネジ15,15をアクチュエータ本体4側へ突き出すことによって、板バネ7がホルダ5を介してアクチュエータ本体4を移動体11側へ押圧するようになっている。
【0034】
次に、超音波アクチュエータ2の組み立てについて説明する。
【0035】
まず、アクチュエータ本体4の、駆動子3,3が設けられていない方の長辺側面40dの長手方向中央部にホルダ5を接着固定する。また、支持体本体60にガイド部材63を接着固定する。さらに、支持体本体60の配設孔65内に、接触ゴム66a,66b,66cを接着固定する。尚、接触ゴム66a,66b,66cは接着固定ではなく、配設孔65に嵌め込むだけであってもよい。
【0036】
次に、一方の支持体6をベース部材14にネジ16,16により取り付ける。その後、治具等を用いて、アクチュエータ本体4をベース部材14から所定距離だけ離れた位置に配設して、ホルダ5の一端部をベース部材14に取り付けられた支持体6の長孔64に挿入する。さらに、ホルダ5の他端部に他方の支持体6の長孔64を嵌め込み、該支持体6をベース部材14にネジ16,16により取り付ける。このとき、接触ゴム66a,66b,66cは、アクチュエータ本体4の両主面40a,40bと支持体6,6との間で挟持されて、圧縮変形する。例えば、接触ゴム66a,66b,66cは、約20%程度、圧縮される。この圧縮量は、各種環境においてシリコーンゴムが塑性変形したときであっても圧縮性能を発揮する変形量である。前述のように、アクチュエータ本体4の位置を治具等で決めた状態で、他方の支持体6をベース部材14に取り付けるため、アクチュエータ本体4に対する接触ゴム66a,66b,66cの接触位置を正確に位置決めすることができる。
【0037】
続いて、アクチュエータ本体4とベース部材14の間に板バネ7を配設する。そして、ベース部材14のネジ孔にネジ15,15を螺合させ、ネジ15,15の先端部を板バネ7の開口部71,71に嵌め込む。ネジ15,15の、ベース部材14からの突出量を調節することによって、板バネ7をホルダ5に当接させる。
【0038】
尚、超音波アクチュエータ2の外部電極46、47、48には、制御装置からの信号線が接続される。
【0039】
このように組み立てられた超音波アクチュエータ2は、駆動子3,3が移動体11の摺動板11aに当接する状態で、ベース部材14が基台に取り付けられる。その後、ネジ15,15を調節することによって、板バネ7でホルダ5を押圧して、アクチュエータ本体4を移動体11側へ付勢する。その結果、駆動子3,3が移動体11に押し付けられる。
【0040】
尚、以上、説明した超音波アクチュエータ2の組立順序については、一例であり、超音波アクチュエータ2を組み立てることができる限りは、組立順序を入れ替えることができる。例えば、ベース部材14は、超音波アクチュエータ2の組立時に既に基台に取り付けられていてもよい。かかる場合には、超音波アクチュエータ2の組立が完了したときには、駆動子3,3が移動体へ当接した状態となる。
【0041】
以下に、超音波アクチュエータ2の動作について、図9を参照しながら説明する。
【0042】
制御装置は、外部からの動作指令を受けて、その動作指令に応じた周波数の交流電圧を動作指令に応じた位相差で第1及び第2外部電極46,47に印加する。こうして、制御装置は、アクチュエータ本体4に伸縮振動と屈曲振動とを調和的に発生させて、駆動子3,3を図8に示すように周回運動させることで、移動体11を移動させる。さらに詳しくは、制御装置は、アクチュエータ本体4の異常発熱を防止すべく、アクチュエータ本体4の伸縮振動と屈曲振動との共通の共振周波数よりも少し高い周波数の交流電圧を第1及び第2外部電極46,47に印加する。このとき、かかる交流電圧は、互いに位相が90°ずれた状態で第1及び第2外部電極46,47に印加される。
【0043】
アクチュエータ本体4が、伸縮振動と屈曲振動との合成振動を行うと、駆動子3,3はアクチュエータ本体4の長手方向と短手方向とを含む平面内において略楕円運動を行う。こうすることで、駆動子3,3は、移動体11の当接面との摩擦力の増減を周期的に繰り返しながら、アクチュエータ本体4の長手方向への駆動力を摩擦力を介して移動体11に付与しており、移動体11はガイド12に沿って移動する。このアクチュエータ本体4の長手方向(ガイド12が延びる方向と一致する)が、駆動子3,3が駆動力を出力する方向である駆動方向に相当する。
【0044】
さらに詳しくは、アクチュエータ本体4が長手方向(伸縮振動の振動方向)に伸張するとき、一方(例えば、図9の左側)の駆動子3は、図9(B)に示すように、移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態(即ち、単に設置しただけの状態)よりも増大させながら変位するため、この摩擦力によって移動体11を該長手方向における該一方の駆動子3が変位する側(図9の左側)へ移動させる。このとき、他方(図9の右側)の駆動子3は、該長手方向において一方の駆動子3とは逆向きに変位するが、該駆動子3は移動体11から離れた状態で変位するか、又は移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態よりも減少させながら変位するため、移動体11の移動にはほとんど影響を与えない。
【0045】
一方、アクチュエータ本体4が長手方向に収縮するときは、他方(図9の右側)の駆動子3は、図9(C)に示すように、移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態(即ち、単に設置しただけの状態)よりも増大させながら変位するため、この摩擦力によって移動体11を該長手方向における該他方の駆動子3が変位する側(図9の左側)へ移動させる。この移動方向は、前述した、アクチュエータ本体4の伸張時における一方の駆動子3による移動体11の移動方向と同じである。このとき、一方(図9の左側)の駆動子3は、該長手方向において他方の駆動子3とは逆向きに変位するが、該駆動子3は移動体11から離れた状態で変位するか、又は移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態よりも減少させながら変位するため、移動体11の移動にはほとんど影響を与えない。
【0046】
尚、図9においては、移動体11の移動に影響を与えない方の駆動子3は移動体11から離れているが、必ずしも離れている必要はない。すなわち、駆動子3は、移動体11を移動させない程度の摩擦力で該移動体11に当接している状態であってもよい。
【0047】
こうして、一方の駆動子3と他方の駆動子3とは、位相が180°ずれた状態で交互に移動体11を所定の一方向へ移動させる。尚、前記交流電圧を、その位相を−90°ずらした状態で第1及び第2外部電極46,47に印加することによって、駆動子3,3が出力する駆動力を逆向きにすることができ、移動体11を他方向へ移動させることができる。
【0048】
このような超音波アクチュエータ2においては、アクチュエータ本体4を振動させて駆動力を出力させる際に、1次モードの伸縮振動及び2次モードの屈曲振動以外の固有振動が発生することや、アクチュエータ本体4が駆動子3と移動体11との当接部やホルダ5と板バネ7との当接部により拘束されていること等に起因して、アクチュエータ本体4の略短手方向に延びる軸回りに(図3の矢印の方向に)該アクチュエータ本体4を揺動させる振動が生じる場合がある。アクチュエータ本体4に設けられたホルダ5は支持体6の長孔64に嵌っているものの、ホルダ5と長孔64との間には、ホルダ5の摺動を可能とする程度の隙間が設けられている。そのため、アクチュエータ本体4が略短手方向に延びる軸回りに揺動すると、アクチュエータ本体4に設けられたホルダ5がガイド部材63に設けられた長孔64の壁面と衝突を繰り返したり、アクチュエータ本体4が支持体6と衝突を繰り返したりする虞がある。そこで、本実施形態では、接触ゴム66a,66b,66cを設けている。そのため、略短手方向に延びる軸回りのアクチュエータ本体4の揺動は、接触ゴム66a,66b,66cが弾性変形することによって減衰させられる。さらに、前記の揺動だけでなく、主面40a,40bに交差する方向へのアクチュエータ本体4の移動も、接触ゴム66a,66b,66cの弾性変形によって吸収することができる。その結果、ホルダ5と長孔64の壁面との衝突やアクチュエータ本体4と支持体6との衝突に起因する異音の発生を抑制することができる。
【0049】
したがって、本実施形態によれば、アクチュエータ本体4の各主面40a(40b)に対して長手方向の異なる位置で接触する少なくとも2つの接触ゴム66a,…を設けることによって、超音波アクチュエータ2の作動時の騒音を抑制することができる。すなわち、アクチュエータ本体4が支持体6,6に支持された状態において、アクチュエータ本体4の両主面40a,40bには、接触ゴム66a,…が接触しているため、主面40a,40bに交差する方向へのアクチュエータ本体4の変位を抑制することができる。さらに、各主面40a,40bにおいては、長手方向において異なる位置に複数の接触ゴム66a,…が設けられているため、略短手方向に延びる軸回りのアクチュエータ本体4の揺動を抑制することができる。これらの結果、アクチュエータ本体4に設けられたホルダ5が支持体6のガイド部材63と衝突を繰り返したり、アクチュエータ本体4が支持体6と衝突を繰り返したりすることを抑制することができる。こうして、超音波アクチュエータ2作動時の騒音を抑制することができる。
【0050】
また、接触ゴム66a,66b,66cを長手方向中央において短手方向に延びる直線に対して線対称且つ、短手方向中央において長手方向に延びる直線に対して線対称に配置することによって、アクチュエータ本体4の振動の対称性を確保することができる。すなわち、アクチュエータ本体4のうち、接触ゴム66a,66b,66cが接触する部分は、接触ゴム66a,66b,66cにより振動が拘束される。そのため、接触ゴム66a,66b,66cを前述の如く配置することによって、アクチュエータ本体4の振動に対する抵抗をアクチュエータ本体4の重心に対して伸縮振動及び屈曲振動の方向へ線対称に配置することができる。その結果、アクチュエータ本体4の振動の対称性を確保することができる。
【0051】
さらに、接触ゴム66a,66b,66cをアクチュエータ本体4の長手方向両端から全長の13%だけ内方に入った位置及び長手方向中央の位置に配置することによって、接触ゴム66a,66b,66cがアクチュエータ本体4の振動を阻害することを防止することができる。すなわち、アクチュエータ本体4の長手方向両端から全長の13%だけ内方に入った部分は、アクチュエータ本体4の2次モードの屈曲振動の節(即ち、ノード)となる部分である。また、アクチュエータ本体4の長手方向中央の部分は、アクチュエータ本体4の1次モードの伸縮振動の節となる部分である。つまり、これらの部分は、アクチュエータ本体4が伸縮振動及び屈曲振動を行っても、あまり振動しない、そのため、接触ゴム66a,66b,66cをアクチュエータ本体4のこれらの位置に配置しても、アクチュエータ本体4の振動をほとんど阻害しない。その結果、アクチュエータ本体4の振動効率の低下を防止することができる。
【0052】
さらにまた、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触する接触体をゴムで構成することによって、アクチュエータ本体4の振動効率の低下を防止することができると共に、摩耗分の発生を抑制することができる。すなわち、接触ゴム66a,66b,66cは、アクチュエータ本体4が振動するのに伴って弾性変形することができる。そのため、アクチュエータ本体4の変位を高剛性の部材で押さえ付ける構成に比べて、アクチュエータ本体4を自由に振動させることができる。その結果、アクチュエータ本体4の振動効率の低下を防止することができる。また、接触体を高剛性の部材で構成した場合、接触体はほとんど変形しないため、振動するアクチュエータ本体4は接触体と摺接しながら振動する。その結果、アクチュエータ本体4及び接触体の摩耗粉が発生する虞がある。それに対して、接触体をゴムで構成することによって、接触ゴム66a,66b,66cがアクチュエータ本体4の振動に追従して変形するため、接触ゴム66a,66b,66cとアクチュエータ本体4とはほとんど摺動せず、両者の摩耗分はほとんど発生しない。こうして、摩耗粉の発生を抑制することができる。
【0053】
また、接触ゴム66a,66b,66cを支持体6,6とアクチュエータ本体4の主面40a,40bとの間で挟持することによって、部品点数を削減することができる。すなわち、接触ゴム66a,66b,66cを、支持体6とは別の部材に取り付けて、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触させてもよい。それに対して、本実施形態によれば、アクチュエータ本体4を支持する支持体6,6と該アクチュエータ本体4とで接触ゴム66a,66b,66cを挟持することによって、部品点数を削減して、接触ゴム66a,66b,66cをアクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触させる構成を実現することができる。それに加えて、超音波アクチュエータ2の組立性を向上させることもできる。
【0054】
さらに、ガイド部材63を、支持体本体60よりも弾性率が小さい材料で構成することによって、ホルダ5がガイド部材63に衝突するときの衝突音を抑制することができる。すなわち、支持体6は、アクチュエータ本体4を支持する部材であるため、或る程度の強度が要求され、弾性率又は硬度が高い材料で構成する必要がある。そこで、支持体6を支持体本体60とガイド部材63との別体で構成している。こうすることによって、支持体本体60は、弾性率が高い材料で構成して、アクチュエータ本体4を支持する機能を発揮させることができると共に、ガイド部材63は、支持体本体60よりも弾性率が低い材料で構成して、ホルダ5との衝突音を低減させることができる。つまり、支持体6を、支持体本体60とガイド部材63との別体で構成することによって、アクチュエータ本体4の支持と、衝突音の低減とを両立させることができる。さらに、ガイド部材63は、支持体本体60よりも硬度が小さい材料で構成することが好ましい。
【0055】
尚、ホルダ5とガイド部材63との衝突音を抑制するためには、ガイド部材63にホルダ5を固定する構成も考えられる。しかし、駆動子3,3がしだいに摩耗すると、アクチュエータ本体4を板バネ7で付勢しているにもかかわらず、駆動子3,3と移動体11との間の摩擦力を確保できない虞がある。その場合、超音波アクチュエータ2の駆動効率を著しく低下させてしまう。つまり、ガイド部材63に長孔64を形成して、ホルダ5を長孔64内で摺動可能に構成することによって、駆動子3,3と移動体11との間の摩擦力を確保して、超音波アクチュエータ2の駆動効率を維持することができる。そして、そのためにも、ガイド部材63には、ホルダ5の衝撃を吸収するための軟質性と、ホルダ5を摺動させるための高い摺動特性とが要求される。本実施形態では、ホルダ5はガラス繊維入りのポリカーボネートで、ガイド部材63はポリアセタールで構成したが、これに限られるものではない。
【0056】
《その他の実施形態》
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0057】
すなわち、接触ゴム66a,…は、各主面40a(40b)において、3つ設けられているが、これに限られるものではない。略短手方向に延びる軸回りのアクチュエータ本体4の揺動を抑制するためには、少なくとも2つの接触ゴム66,66を長手方向において異なる位置に設ければよい。例えば、前記実施形態において、接触ゴム66a,66b,66cの何れか1つを省略してもよい。また、アクチュエータ本体4の一方の主面40aと他方の主面40bとで、接触ゴム66,…の個数及び/又は接触ゴム66,…を設ける位置が異なっていてもよい。ただし、アクチュエータ本体4の振動効率の観点からは、接触ゴム66,…をアクチュエータ本体4の重心に対して、伸縮振動及び屈曲振動の振動方向へ線対称に配置することが好ましい。例えば、前記実施形態で接触ゴム66を1つ省略する場合には、アクチュエータ本体4の長手方向において2番目の接触ゴム66bを省略することが好ましい。
【0058】
また、接触ゴム66a,66b,66cの位置は、前記実施形態における位置に限られるものではない。例えば、前記実施形態では、アクチュエータ本体4の各主面40a(40b)において、3つの接触ゴム66a,66b,66cは短手方向中央に設けられているが、短手方向中央に限られるものではない。さらには、接触ゴム66a,66b,66cごとに、短手方向位置が異なるように配置してもよい。また、接触ゴム66a,66b,66cは、長手方向に関しても前記実施形態とは異なる位置に設けてもよい。
【0059】
さらに、前記実施形態では、接触体として接触ゴムを採用しているが、これに限られるものではない。例えば、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに鋼球を接触させる構成であってもよい。接触体を鋼球のように高剛性且つ摩擦係数の小さな部材で構成することによって、アクチュエータ本体4の振動の阻害を防止することができる。ただし、摩耗粉を発生させないためにも、接触体はゴムで構成することが好ましい。
【0060】
さらにまた、ホルダ5は、アクチュエータ本体4よりも、該アクチュエータ本体4の厚み方向に突出しているが、これに限られるものではない。例えば、ホルダ5は、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに交差する方向に突出していればよく、厚み方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。また、ホルダ5は、アクチュエータ本体4の長辺側面40dに設けられているが、これに限られるものではない。アクチュエータ本体4を主面40a,40bと交差する方向に貫通するように設けられてもよい。また、ホルダ5は、1本の部材で構成されている必要はなく、2本の部材で構成され、アクチュエータ本体4の一方の主面40aと他方の主面40bとからそれぞれ突出するように設けられていてもよい。
【0061】
また、超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4に1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とを発生させているが、これに限られるものではない。アクチュエータ本体4に伸縮振動と屈曲振動とを発生させる構成であれば、任意の次数の振動を発生させるアクチュエータ本体を採用することができる。
【0062】
さらに、前記実施形態では、超音波アクチュエータ2によって移動体11を移動させているが、これに限られるものではない。例えば、駆動子3,3がベース部材14に当接する状態で超音波アクチュエータ2が移動体11に取り付けられる構成であってもよい。かかる構成の場合、アクチュエータ本体4を振動させて駆動子3,3を周回運動させることによって、超音波アクチュエータ2を取り付けた移動体11がベース部材14に対して移動することになる。つまり、かかる構成においては、移動体11ではなく、ベース部材14が、超音波アクチュエータ2との間で相対移動を発生させる相対移動部材となる。
【0063】
さらに、前記実施形態では、アクチュエータ本体4は、圧電素子で構成されているが、これに限られるものではない。例えば、アクチュエータ本体4は、金属製の弾性体に圧電素子を取り付けて構成された共振器であってもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動される相対移動部材としての移動体11は直方体であるが、これに限られるものではなく、相対移動部材の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図10に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体17であり、超音波アクチュエータの駆動子3,3が該円板体17の側周面17aに当接するように構成された駆動装置201を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子3,3の概略楕円運動によって、該円板体17が所定の軸X回りに回動させられる。また、図11に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体18であり、超音波アクチュエータの駆動子3,3が該円板体18の平面部18aに当接するように構成された駆動装置301を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子3,3の概略楕円運動によって、該円板体18が駆動子3,3と当接部における接線方向に駆動され、結果として該円板体18が所定の軸X回りに回動させられる。
【0065】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明は、伸縮振動及び屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体を備えた振動型アクチュエータについて有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 駆動装置
11 移動体(相対移動部材)
2 超音波アクチュエータ(振動型アクチュエータ)
3 駆動子
4 アクチュエータ本体
40a,40b 主面
5 ホルダ(突出部)
6 支持体
60 支持体本体
63 ガイド部材
64 長孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮振動及び屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体を備えた振動型アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、この種類の振動型アクチュエータとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この振動型アクチュエータは、伸縮振動及び屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体を備えている。アクチュエータ本体には、アクチュエータ本体の伸縮振動及び屈曲振動に伴って周回運動する駆動子が設けられている。振動型アクチュエータは、駆動子が相対移動部材に接触するようにして配設される。この状態でアクチュエータ本体を伸縮振動及び屈曲振動させることによって、駆動子を周回運動させて、相対移動部材及び振動型アクチュエータの何れか一方を他方に対して相対的に移動させる。このとき、アクチュエータ本体は、駆動子と相対移動部材との摩擦力を増大させるために、相対移動部材側に付勢されている。
【0003】
ここで、アクチュエータ本体の支持構造についてさらに詳しく説明する。アクチュエータ本体には、アクチュエータ本体の厚み方向に突出する突出部が設けられている。この突出部は、支持体によって支持されている。詳しくは、支持体には、アクチュエータ本体の付勢方向へ延びる長孔が形成されている。突出部は、支持体の該長孔に嵌っていて、該長孔に沿って摺動可能になっている。つまり、アクチュエータ本体は、付勢方向へ摺動可能な状態で支持体に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−346486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように多少の自由度を有する状態でアクチュエータ本体を支持する構成においては、アクチュエータ本体が振動する際に、異音が発生する虞がある。例えば、前記支持体の長孔とアクチュエータ本体の突出部との間には、突出部の摺動を可能とする程度の微小な隙間が存在する。そのため、アクチュエータ本体が振動する際に、突出部が長孔の壁面に衝突して、異音が発生する場合がある。さらには、アクチュエータ本体が振動する際に、該アクチュエータ本体がその周辺に配置された部材、例えば、アクチュエータ本体を収容するケースや支持体と衝突して、異音が発生する虞もある。
【0006】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、振動型アクチュエータ作動時の騒音を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された振動型アクチュエータは、相対向する一対の主面を有して、該主面の長手方向への伸縮振動及び該主面の短手方向への屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体に設けられて該アクチュエータ本体の振動に従って周回運動することによって駆動力を出力する駆動子とを備え、該駆動子が当接する相対移動部材との間で相対移動を発生させる振動型アクチュエータである。そして、この振動型アクチュエータは、前記アクチュエータ本体に設けられて該アクチュエータ本体から該主面に交差する方向の両側へ突出する突出部と、前記突出部をそれぞれ支持する2つの支持体と、前記アクチュエータ本体の両主面に対してそれぞれ設けられ、該主面に接触することによって該主面と交差する方向への該アクチュエータ本体の変位を制限する接触体とをさらに備え、前記アクチュエータ本体は、前記相対移動部材側へ付勢されており、前記支持体には、前記突出部が嵌ると共に、前記アクチュエータ本体の付勢方向に延びる長孔が形成されており、前記支持体は、前記アクチュエータ本体の各主面において前記長手方向の異なる位置に少なくとも2つ設けられているものとする。
【発明の効果】
【0008】
この振動型アクチュエータによれば、振動型アクチュエータ作動時の騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータの分解斜視図である。
【図2】超音波アクチュエータの斜視図である。
【図3】駆動装置の斜視図である。
【図4】圧電素子ユニットの分解斜視図である。
【図5】アクチュエータ本体の概略構成を示す概略正面図である。
【図6】アクチュエータ本体の長手方向への縦振動の1次モードによる変位を示す概念図である。
【図7】アクチュエータ本体の屈曲振動の2次モードによる変位を示す概念図である。
【図8】アクチュエータ本体の動作を示す概念図である。
【図9】超音波アクチュエータによるステージの駆動を説明するための概念図であって、(a)は駆動前の状態、(b)はアクチュエータ本体が長手方向に伸張することで一方の駆動子によってステージを駆動する状態、(c)はアクチュエータ本体が長手方向に収縮することで他方の駆動子によってステージを駆動する状態を示す。
【図10】その他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
【図11】別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
《発明の実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータの斜視図を示し、図2は、超音波アクチュエータの分解斜視図を示し、図3は、超音波アクチュエータを組み込んだ駆動装置の斜視図を示す。駆動装置1は、振動により駆動力を出力する超音波アクチュエータ2と、ガイド12に沿って移動可能な移動体11と、該超音波アクチュエータ2を駆動制御する制御装置(図示省略)とを備え、超音波アクチュエータ2によって移動体11を駆動するためのものである。この超音波アクチュエータ2が振動型アクチュエータを構成し、移動体11が相対移動部材を構成する。
【0012】
移動体11は、固定体としての基台(図示省略)上に固定されたガイド12に摺動可能に取り付けられている。こうして、移動体11は、ガイド12が延びる方向に沿って移動可能に構成されている。これらガイド12の延びる方向が移動体11の可動方向となる。この移動体11の底面にはアルミナで形成された摺動板11aが接着固定されていている。尚、摺動板11aの材質は、アルミナに限られるものではなく、任意の材質を用いて形成することができる。そして、前記超音波アクチュエータ2は、この移動体11に接着された摺動板11aに後述する駆動子3,3が当接する状態で基台に配設されている。
【0013】
超音波アクチュエータ2は、移動体11に駆動力を出力して、該移動体11を超音波アクチュエータ2に対して相対的に移動させるためのものである。超音波アクチュエータ2は、振動を発生させるアクチュエータ本体4と、該アクチュエータ本体4に設けられて該アクチュエータ本体4の駆動力を移動体11に伝達する駆動子3,3と、アクチュエータ本体4を保持するホルダ5と、ホルダ5を支持する支持体6と、アクチュエータ本体4を移動体11へ付勢するための板バネ7とを有している。
【0014】
前記アクチュエータ本体4は、圧電素子で構成されている。アクチュエータ本体4は、図2に示すように、略長方形状の相対向する一対の主面40a,40bと、この主面40a,40bと直交して該主面40a,40bの長手方向に延びる、相対向する一対の長辺側面40c,40dと、これら主面40a,40b及び長辺側面40c,40dの両方と直交して該主面40a,40bの短手方向に延びる、相対向する一対の短辺側面40e,40fとを有する略直方体状をしている。
【0015】
図4に、アクチュエータ本体4の分解斜視図を示す。アクチュエータ本体4は、図4に示すように、圧電体層(圧電素子)41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層して構成される。内部電極層42,44,43,44は、積層方向に圧電体層41を介して交互に配された、第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とを含んでいる。これら第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とを1セットとして、複数セットの内部電極層42,44,43,44が圧電体層41を介在させた状態で繰り返し積層されている。尚、積層方向の両端には、圧電体層41,41が位置するようになっている。これら第1給電電極層42、第2給電電極層43及び共通電極層44のそれぞれは、各圧電体層41の主面上に印刷されている。
【0016】
前記各圧電体層41は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層である。圧電体層41は、前記アクチュエータ本体4と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層41のそれぞれの長辺側面には、長手方向両端部に第1及び第2外部電極46,47が形成され、該第1及び第2外部電極46,47よりも長手方向内側には2つの共通外部電極48,48が形成されている。すなわち、圧電体層41の各長辺側面には、第1外部電極46、共通外部電極48、共通外部電極48、第2外部電極47が、長手方向に沿ってこの順で、互いに間隔を空けて並んでいる。
【0017】
前記各共通電極層44は、圧電体層41の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層44のそれぞれの長辺部からは、圧電体層41の長辺側面に形成された共通外部電極48,48まで延びる引出電極44a,44aが形成されている。
【0018】
前記第1及び第2給電電極層42,43は、図5に示すように、圧電体層41の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極42a,42bと、他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極43a,43bとを有する。これら第1電極42a,42b及び第2電極43a,43bは、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第1電極42a,42bのそれぞれからは、それらに近接する、圧電体層41の長辺側面に形成された第1外部電極46,46まで延びる引出電極42d,42dが形成されている。第2電極43a,43bのそれぞれからは、それらに近接する、圧電体層41の長辺側面に形成された第2外部電極47,47まで延びる引出電極43d,43dが形成されている。そして、第1給電電極層42においては、第1電極42a,42bが第1導通電極42cを介して導通している。また、第2給電電極層43においては、第2電極43a,43bが第2導通電極43cを介して導通している。
【0019】
これら圧電体層41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層することで構成されたアクチュエータ本体4の各長辺側面40c,40dにおいては、各圧電体層41の共通外部電極48,48がそれぞれ積層方向に並んで一まとまりに形成されている。この外部電極48には、前記共通電極層44,44に形成された引出電極44a,44aが電気的に接続されている。こうして、異なる圧電体層41,41,…に設けられた共通電極層44,44,…は、共通外部電極48,48を介して互いに導通している。
【0020】
同様に、アクチュエータ本体4の各長辺側面40c,40dにおいては、各圧電体層41の第1外部電極46が積層方向に並んで一まとまりに形成されていると共に、各圧電体層41の第2外部電極47が積層方向に並んで一まとまりに形成されている。第1外部電極46,46には、前記第1電極42a,42bからの引出電極42d,42dが電気的に接続されている。また、第2外部電極47,47には、前記第2電極43a,43bからの引出電極43d,43dが電気的に接続されている。こうして、第1電極42a,42bは、第1導通電極42c及び第1外部電極46,46を介して、異なる圧電体層41,41,…に設けられた第1電極42a,42bと互いに導通している。また、第2電極43a,43bは、第2導通電極43c及び第2外部電極47,47を介して、異なる圧電体層41,41,…に設けられた第2電極43a,43bと互いに導通している。これら外部電極46,47,48には、制御装置からの信号線が接続される。アクチュエータ本体4は、外部電極46,47,48を介して給電される。
【0021】
そして、アクチュエータ本体4の一方の長辺側面(すなわち、後述する屈曲振動の振動方向を向く一対の面のうちの一方の面。以下、設置面ともいう)40cには、2個の駆動子3,3が設けられている。
【0022】
これら駆動子3,3は、円柱状の部材であって、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等で形成されている。駆動子3,3は、その軸方向がアクチュエータ本体4の厚み方向を向くように配設されている。駆動子3,3は、設置面40cに対して接着剤を介して線接触状に取り付けられている。接着剤としては、アクチュエータ本体4の材料及び駆動子3の材料よりも柔らかいことが望ましい。具体的には、合成樹脂、特にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。このような材料を用いることによりアクチュエータ本体4の後述する振動をできるだけ阻害せずに駆動子3,3と設置面40cとの間の固定を実現することができる。
【0023】
また、駆動子3,3が設けられた位置は、設置面40cにおいて、アクチュエータ本体4の長手方向両端部から該設置面40cの全長の30〜35%距離だけ内側に入った位置であり、即ち、アクチュエータ本体4の後述する屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。
【0024】
このように構成されたアクチュエータ本体4は、前記外部電極48をグランドに接続し、前記第1及び第2外部電極46,47に所定周波数の交流電圧を位相が90°ずれた状態で印加することによって、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極42a,42bと、他方の対の第2電極43a,43bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧が印加され、その長手方向への伸縮振動(いわゆる、縦振動)とその短手方向への屈曲振動(いわゆる、横振動)とが誘起される。
【0025】
伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、アクチュエータ本体4、即ち、アクチュエータ本体4の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、アクチュエータ本体4を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で第1及び第2外部電極46,47のそれぞれに印加する。例えば、伸縮振動の1次モード(図6参照)の共振周波数と屈曲振動の2次モード(図7参照)の共振周波数とが一致するようにアクチュエータ本体4の形状等を設計して、該共振周波数近傍の交流電圧を前述の如く、位相を90°ずらして印加することによって、アクチュエータ本体4には、伸縮振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図8(A)、(B)、(C)、(D)に示す形状の変化を順番に起こす。
【0026】
その結果、アクチュエータ本体4に設けられた各駆動子3が該アクチュエータ本体4の主面と平行な平面(図7における紙面と平行な面)、即ち、長手方向と短手方向とを含む平面(さらに換言すれば、伸縮振動の振動方向と屈曲振動の振動方向とを含む平面)内で略楕円運動、即ち、周回運動を行う。
【0027】
このように構成されたアクチュエータ本体4は、複数の振動の腹を有する。ここで、振動の腹とは振動の変位が極大となる箇所であり、本実施形態においては振動の腹の部分はアクチュエータ本体4の両短辺側面に位置する計2箇所の伸縮振動の腹と、アクチュエータ本体4の一方の長辺側面40c及び他方の長辺側面40dの両端部の4箇所、さらに一方の長辺側面40c及び他方の長辺側面40dにおける両端部からアクチュエータ本体4の長手方向の30〜40%内側の部分の4箇所の計8箇所の屈曲振動の腹とがある。すなわち、この超音波アクチュエータ2は、伸縮振動の腹と屈曲振動の腹とを合わせて10箇所の振動の腹がある。そして、前記駆動子3,3は、一方の長辺側面である設置面40cにおける長手方向両端部から内側へ30〜35%入った腹の部分に設けられている。
【0028】
ホルダ5は、ポリカボネート(ガラス繊維入り)で形成されている。このホルダ5は、図2に示すように、アクチュエータ本体4の、駆動子3,3が設けられていない方の長辺側面40dに取り付けられている。詳しくは、ホルダ5は、アクチュエータ本体4の該長辺側面40dの長手方向中央部において、該アクチュエータ本体4を厚み方向から挟持するように取り付けられている。このアクチュエータ本体4の長辺側面40dの長手方向中央部は、アクチュエータ本体4の伸縮振動の節の部分である。また、ホルダ5は、アクチュエータ本体4よりも、該アクチュエータ本体4の厚み方向の両側に突出している。このホルダ5が、突出部を構成している。
【0029】
支持体6は、板状に形成された支持体本体60と、支持体本体60に設けられたガイド部材63とを有している。この支持体6は、ホルダ5を介してアクチュエータ本体4を支持する。支持体本体60は、基台に固定されたベース部材14に取り付けられている。詳しくは、支持体本体60は、ステンレス又は一般鋼等で構成されている。支持体本体60には、2つの貫通孔61,61が厚み方向に貫通形成されている。支持体本体60は、この貫通孔61,61に挿通されたネジ16,16によってベース部材14に取り付けられる。
【0030】
また、支持体本体60の中央には、開口部62が厚み方向に貫通形成されている。この開口部62に、ホルダ5を支持するためのガイド部材63が設けられる。ガイド部材63は、支持体本体60に接着固定されている。ガイド部材63には、アクチュエータ本体4を移動体11へ付勢する方向(即ち、アクチュエータ本体4の短手方向)に延びる長孔64が貫通形成されている。この長孔64には、ホルダ5の、アクチュエータ本体4の厚み方向に突出する端部が挿入される。ホルダ5の端部は、長孔64内を長孔64の延伸方向に摺動することができる。ガイド部材63は、支持体本体60よりも弾性率が小さく、又硬度が小さい材料で構成されている。また、ガイド部材63は、ホルダ5よりも軟質で、しかも樹脂などに対して摺動性に優れる材料で構成されている。例えば、ガイド部材63は、ポリアセタールで構成されている。尚、ホルダ5の突出量によっては、長孔64はガイド部材63を貫通せず、有底状であってもよい。
【0031】
さらに、支持体本体60の、アクチュエータ本体4と対向する面には、3つの接触ゴム66a,66b,66cを配設するための配設孔65が形成されている。この配設孔65は、有底状であって、アクチュエータ本体4の長手方向に延びるように形成されている。配設孔65は、支持体本体60において、開口部62を挟んで、貫通孔61,61とは反対側の位置に設けられている。各接触ゴム66は、シリコーンゴムで構成されている。接触ゴム66a,66b,66cは、支持体6により支持されるアクチュエータ本体4の主面40a(40b)の短手方向略中央において長手方向に概ね並んで配置されている。1番目と3番目の接触ゴム66a,66cは、アクチュエータ本体4の長手方向の両端から、長手方向の全長の略13%だけ内方に入った位置に配置される。2番目の接触ゴム66bは、アクチュエータ本体4の長手方向における略中央に配置される。これらアクチュエータ本体4の長手方向両端から全長の略13%入った部分及び長手方向中央の部分は、アクチュエータ本体4の2次モードの屈曲振動の節となる部分である。また、アクチュエータ本体4の長手方向中央の部分は、アクチュエータ本体4の1次モードの伸縮振動の節となる部分である。尚、配設孔65は、長孔ではくてもよい。すなわち、配設孔65は、接触ゴム66の個数に応じて設けられ、接触ゴム66が嵌る程度の大きさを有する孔であってもよい。
【0032】
これら接触ゴム66a,66b,66cは、支持体6がアクチュエータ本体4を支持する状態において、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触している。これら接触ゴム66a,66b,66cは、主面40a,40bと交差する方向へのアクチュエータ本体4の変位を制限する機能を有する。
【0033】
板バネ7は、アクチュエータ本体4の、ホルダ5が取り付けられた長辺側面40dと対向する位置に設けられている。詳しくは、板バネ7は、アクチュエータ本体4の、ホルダ5が取り付けられた長辺側面40dと、ベース部材14との間に設けられている。また、板バネ7の長手方向両端部には、ベース部材14に設けられたネジ15,15の先端が嵌る開口部71,71が形成されている。詳しくは、ベース部材14にはアクチュエータ本体4の短手方向と平行にネジ孔が貫通形成されており、このネジ孔にネジ15,15が螺合されている。これらネジ15,15の先端部は、ベース部材14よりもアクチュエータ本体4側に突出するようになっている。そして、ネジ15,15の先端部は、板バネ7の開口部71,71に嵌っている。このように構成された板バネ7は、アクチュエータ本体4に取り付けられたホルダ5に当接している。つまり、ベース部材14のネジ15,15をアクチュエータ本体4側へ突き出すことによって、板バネ7がホルダ5を介してアクチュエータ本体4を移動体11側へ押圧するようになっている。
【0034】
次に、超音波アクチュエータ2の組み立てについて説明する。
【0035】
まず、アクチュエータ本体4の、駆動子3,3が設けられていない方の長辺側面40dの長手方向中央部にホルダ5を接着固定する。また、支持体本体60にガイド部材63を接着固定する。さらに、支持体本体60の配設孔65内に、接触ゴム66a,66b,66cを接着固定する。尚、接触ゴム66a,66b,66cは接着固定ではなく、配設孔65に嵌め込むだけであってもよい。
【0036】
次に、一方の支持体6をベース部材14にネジ16,16により取り付ける。その後、治具等を用いて、アクチュエータ本体4をベース部材14から所定距離だけ離れた位置に配設して、ホルダ5の一端部をベース部材14に取り付けられた支持体6の長孔64に挿入する。さらに、ホルダ5の他端部に他方の支持体6の長孔64を嵌め込み、該支持体6をベース部材14にネジ16,16により取り付ける。このとき、接触ゴム66a,66b,66cは、アクチュエータ本体4の両主面40a,40bと支持体6,6との間で挟持されて、圧縮変形する。例えば、接触ゴム66a,66b,66cは、約20%程度、圧縮される。この圧縮量は、各種環境においてシリコーンゴムが塑性変形したときであっても圧縮性能を発揮する変形量である。前述のように、アクチュエータ本体4の位置を治具等で決めた状態で、他方の支持体6をベース部材14に取り付けるため、アクチュエータ本体4に対する接触ゴム66a,66b,66cの接触位置を正確に位置決めすることができる。
【0037】
続いて、アクチュエータ本体4とベース部材14の間に板バネ7を配設する。そして、ベース部材14のネジ孔にネジ15,15を螺合させ、ネジ15,15の先端部を板バネ7の開口部71,71に嵌め込む。ネジ15,15の、ベース部材14からの突出量を調節することによって、板バネ7をホルダ5に当接させる。
【0038】
尚、超音波アクチュエータ2の外部電極46、47、48には、制御装置からの信号線が接続される。
【0039】
このように組み立てられた超音波アクチュエータ2は、駆動子3,3が移動体11の摺動板11aに当接する状態で、ベース部材14が基台に取り付けられる。その後、ネジ15,15を調節することによって、板バネ7でホルダ5を押圧して、アクチュエータ本体4を移動体11側へ付勢する。その結果、駆動子3,3が移動体11に押し付けられる。
【0040】
尚、以上、説明した超音波アクチュエータ2の組立順序については、一例であり、超音波アクチュエータ2を組み立てることができる限りは、組立順序を入れ替えることができる。例えば、ベース部材14は、超音波アクチュエータ2の組立時に既に基台に取り付けられていてもよい。かかる場合には、超音波アクチュエータ2の組立が完了したときには、駆動子3,3が移動体へ当接した状態となる。
【0041】
以下に、超音波アクチュエータ2の動作について、図9を参照しながら説明する。
【0042】
制御装置は、外部からの動作指令を受けて、その動作指令に応じた周波数の交流電圧を動作指令に応じた位相差で第1及び第2外部電極46,47に印加する。こうして、制御装置は、アクチュエータ本体4に伸縮振動と屈曲振動とを調和的に発生させて、駆動子3,3を図8に示すように周回運動させることで、移動体11を移動させる。さらに詳しくは、制御装置は、アクチュエータ本体4の異常発熱を防止すべく、アクチュエータ本体4の伸縮振動と屈曲振動との共通の共振周波数よりも少し高い周波数の交流電圧を第1及び第2外部電極46,47に印加する。このとき、かかる交流電圧は、互いに位相が90°ずれた状態で第1及び第2外部電極46,47に印加される。
【0043】
アクチュエータ本体4が、伸縮振動と屈曲振動との合成振動を行うと、駆動子3,3はアクチュエータ本体4の長手方向と短手方向とを含む平面内において略楕円運動を行う。こうすることで、駆動子3,3は、移動体11の当接面との摩擦力の増減を周期的に繰り返しながら、アクチュエータ本体4の長手方向への駆動力を摩擦力を介して移動体11に付与しており、移動体11はガイド12に沿って移動する。このアクチュエータ本体4の長手方向(ガイド12が延びる方向と一致する)が、駆動子3,3が駆動力を出力する方向である駆動方向に相当する。
【0044】
さらに詳しくは、アクチュエータ本体4が長手方向(伸縮振動の振動方向)に伸張するとき、一方(例えば、図9の左側)の駆動子3は、図9(B)に示すように、移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態(即ち、単に設置しただけの状態)よりも増大させながら変位するため、この摩擦力によって移動体11を該長手方向における該一方の駆動子3が変位する側(図9の左側)へ移動させる。このとき、他方(図9の右側)の駆動子3は、該長手方向において一方の駆動子3とは逆向きに変位するが、該駆動子3は移動体11から離れた状態で変位するか、又は移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態よりも減少させながら変位するため、移動体11の移動にはほとんど影響を与えない。
【0045】
一方、アクチュエータ本体4が長手方向に収縮するときは、他方(図9の右側)の駆動子3は、図9(C)に示すように、移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態(即ち、単に設置しただけの状態)よりも増大させながら変位するため、この摩擦力によって移動体11を該長手方向における該他方の駆動子3が変位する側(図9の左側)へ移動させる。この移動方向は、前述した、アクチュエータ本体4の伸張時における一方の駆動子3による移動体11の移動方向と同じである。このとき、一方(図9の左側)の駆動子3は、該長手方向において他方の駆動子3とは逆向きに変位するが、該駆動子3は移動体11から離れた状態で変位するか、又は移動体11との間の摩擦力を駆動前の状態よりも減少させながら変位するため、移動体11の移動にはほとんど影響を与えない。
【0046】
尚、図9においては、移動体11の移動に影響を与えない方の駆動子3は移動体11から離れているが、必ずしも離れている必要はない。すなわち、駆動子3は、移動体11を移動させない程度の摩擦力で該移動体11に当接している状態であってもよい。
【0047】
こうして、一方の駆動子3と他方の駆動子3とは、位相が180°ずれた状態で交互に移動体11を所定の一方向へ移動させる。尚、前記交流電圧を、その位相を−90°ずらした状態で第1及び第2外部電極46,47に印加することによって、駆動子3,3が出力する駆動力を逆向きにすることができ、移動体11を他方向へ移動させることができる。
【0048】
このような超音波アクチュエータ2においては、アクチュエータ本体4を振動させて駆動力を出力させる際に、1次モードの伸縮振動及び2次モードの屈曲振動以外の固有振動が発生することや、アクチュエータ本体4が駆動子3と移動体11との当接部やホルダ5と板バネ7との当接部により拘束されていること等に起因して、アクチュエータ本体4の略短手方向に延びる軸回りに(図3の矢印の方向に)該アクチュエータ本体4を揺動させる振動が生じる場合がある。アクチュエータ本体4に設けられたホルダ5は支持体6の長孔64に嵌っているものの、ホルダ5と長孔64との間には、ホルダ5の摺動を可能とする程度の隙間が設けられている。そのため、アクチュエータ本体4が略短手方向に延びる軸回りに揺動すると、アクチュエータ本体4に設けられたホルダ5がガイド部材63に設けられた長孔64の壁面と衝突を繰り返したり、アクチュエータ本体4が支持体6と衝突を繰り返したりする虞がある。そこで、本実施形態では、接触ゴム66a,66b,66cを設けている。そのため、略短手方向に延びる軸回りのアクチュエータ本体4の揺動は、接触ゴム66a,66b,66cが弾性変形することによって減衰させられる。さらに、前記の揺動だけでなく、主面40a,40bに交差する方向へのアクチュエータ本体4の移動も、接触ゴム66a,66b,66cの弾性変形によって吸収することができる。その結果、ホルダ5と長孔64の壁面との衝突やアクチュエータ本体4と支持体6との衝突に起因する異音の発生を抑制することができる。
【0049】
したがって、本実施形態によれば、アクチュエータ本体4の各主面40a(40b)に対して長手方向の異なる位置で接触する少なくとも2つの接触ゴム66a,…を設けることによって、超音波アクチュエータ2の作動時の騒音を抑制することができる。すなわち、アクチュエータ本体4が支持体6,6に支持された状態において、アクチュエータ本体4の両主面40a,40bには、接触ゴム66a,…が接触しているため、主面40a,40bに交差する方向へのアクチュエータ本体4の変位を抑制することができる。さらに、各主面40a,40bにおいては、長手方向において異なる位置に複数の接触ゴム66a,…が設けられているため、略短手方向に延びる軸回りのアクチュエータ本体4の揺動を抑制することができる。これらの結果、アクチュエータ本体4に設けられたホルダ5が支持体6のガイド部材63と衝突を繰り返したり、アクチュエータ本体4が支持体6と衝突を繰り返したりすることを抑制することができる。こうして、超音波アクチュエータ2作動時の騒音を抑制することができる。
【0050】
また、接触ゴム66a,66b,66cを長手方向中央において短手方向に延びる直線に対して線対称且つ、短手方向中央において長手方向に延びる直線に対して線対称に配置することによって、アクチュエータ本体4の振動の対称性を確保することができる。すなわち、アクチュエータ本体4のうち、接触ゴム66a,66b,66cが接触する部分は、接触ゴム66a,66b,66cにより振動が拘束される。そのため、接触ゴム66a,66b,66cを前述の如く配置することによって、アクチュエータ本体4の振動に対する抵抗をアクチュエータ本体4の重心に対して伸縮振動及び屈曲振動の方向へ線対称に配置することができる。その結果、アクチュエータ本体4の振動の対称性を確保することができる。
【0051】
さらに、接触ゴム66a,66b,66cをアクチュエータ本体4の長手方向両端から全長の13%だけ内方に入った位置及び長手方向中央の位置に配置することによって、接触ゴム66a,66b,66cがアクチュエータ本体4の振動を阻害することを防止することができる。すなわち、アクチュエータ本体4の長手方向両端から全長の13%だけ内方に入った部分は、アクチュエータ本体4の2次モードの屈曲振動の節(即ち、ノード)となる部分である。また、アクチュエータ本体4の長手方向中央の部分は、アクチュエータ本体4の1次モードの伸縮振動の節となる部分である。つまり、これらの部分は、アクチュエータ本体4が伸縮振動及び屈曲振動を行っても、あまり振動しない、そのため、接触ゴム66a,66b,66cをアクチュエータ本体4のこれらの位置に配置しても、アクチュエータ本体4の振動をほとんど阻害しない。その結果、アクチュエータ本体4の振動効率の低下を防止することができる。
【0052】
さらにまた、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触する接触体をゴムで構成することによって、アクチュエータ本体4の振動効率の低下を防止することができると共に、摩耗分の発生を抑制することができる。すなわち、接触ゴム66a,66b,66cは、アクチュエータ本体4が振動するのに伴って弾性変形することができる。そのため、アクチュエータ本体4の変位を高剛性の部材で押さえ付ける構成に比べて、アクチュエータ本体4を自由に振動させることができる。その結果、アクチュエータ本体4の振動効率の低下を防止することができる。また、接触体を高剛性の部材で構成した場合、接触体はほとんど変形しないため、振動するアクチュエータ本体4は接触体と摺接しながら振動する。その結果、アクチュエータ本体4及び接触体の摩耗粉が発生する虞がある。それに対して、接触体をゴムで構成することによって、接触ゴム66a,66b,66cがアクチュエータ本体4の振動に追従して変形するため、接触ゴム66a,66b,66cとアクチュエータ本体4とはほとんど摺動せず、両者の摩耗分はほとんど発生しない。こうして、摩耗粉の発生を抑制することができる。
【0053】
また、接触ゴム66a,66b,66cを支持体6,6とアクチュエータ本体4の主面40a,40bとの間で挟持することによって、部品点数を削減することができる。すなわち、接触ゴム66a,66b,66cを、支持体6とは別の部材に取り付けて、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触させてもよい。それに対して、本実施形態によれば、アクチュエータ本体4を支持する支持体6,6と該アクチュエータ本体4とで接触ゴム66a,66b,66cを挟持することによって、部品点数を削減して、接触ゴム66a,66b,66cをアクチュエータ本体4の主面40a,40bに接触させる構成を実現することができる。それに加えて、超音波アクチュエータ2の組立性を向上させることもできる。
【0054】
さらに、ガイド部材63を、支持体本体60よりも弾性率が小さい材料で構成することによって、ホルダ5がガイド部材63に衝突するときの衝突音を抑制することができる。すなわち、支持体6は、アクチュエータ本体4を支持する部材であるため、或る程度の強度が要求され、弾性率又は硬度が高い材料で構成する必要がある。そこで、支持体6を支持体本体60とガイド部材63との別体で構成している。こうすることによって、支持体本体60は、弾性率が高い材料で構成して、アクチュエータ本体4を支持する機能を発揮させることができると共に、ガイド部材63は、支持体本体60よりも弾性率が低い材料で構成して、ホルダ5との衝突音を低減させることができる。つまり、支持体6を、支持体本体60とガイド部材63との別体で構成することによって、アクチュエータ本体4の支持と、衝突音の低減とを両立させることができる。さらに、ガイド部材63は、支持体本体60よりも硬度が小さい材料で構成することが好ましい。
【0055】
尚、ホルダ5とガイド部材63との衝突音を抑制するためには、ガイド部材63にホルダ5を固定する構成も考えられる。しかし、駆動子3,3がしだいに摩耗すると、アクチュエータ本体4を板バネ7で付勢しているにもかかわらず、駆動子3,3と移動体11との間の摩擦力を確保できない虞がある。その場合、超音波アクチュエータ2の駆動効率を著しく低下させてしまう。つまり、ガイド部材63に長孔64を形成して、ホルダ5を長孔64内で摺動可能に構成することによって、駆動子3,3と移動体11との間の摩擦力を確保して、超音波アクチュエータ2の駆動効率を維持することができる。そして、そのためにも、ガイド部材63には、ホルダ5の衝撃を吸収するための軟質性と、ホルダ5を摺動させるための高い摺動特性とが要求される。本実施形態では、ホルダ5はガラス繊維入りのポリカーボネートで、ガイド部材63はポリアセタールで構成したが、これに限られるものではない。
【0056】
《その他の実施形態》
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0057】
すなわち、接触ゴム66a,…は、各主面40a(40b)において、3つ設けられているが、これに限られるものではない。略短手方向に延びる軸回りのアクチュエータ本体4の揺動を抑制するためには、少なくとも2つの接触ゴム66,66を長手方向において異なる位置に設ければよい。例えば、前記実施形態において、接触ゴム66a,66b,66cの何れか1つを省略してもよい。また、アクチュエータ本体4の一方の主面40aと他方の主面40bとで、接触ゴム66,…の個数及び/又は接触ゴム66,…を設ける位置が異なっていてもよい。ただし、アクチュエータ本体4の振動効率の観点からは、接触ゴム66,…をアクチュエータ本体4の重心に対して、伸縮振動及び屈曲振動の振動方向へ線対称に配置することが好ましい。例えば、前記実施形態で接触ゴム66を1つ省略する場合には、アクチュエータ本体4の長手方向において2番目の接触ゴム66bを省略することが好ましい。
【0058】
また、接触ゴム66a,66b,66cの位置は、前記実施形態における位置に限られるものではない。例えば、前記実施形態では、アクチュエータ本体4の各主面40a(40b)において、3つの接触ゴム66a,66b,66cは短手方向中央に設けられているが、短手方向中央に限られるものではない。さらには、接触ゴム66a,66b,66cごとに、短手方向位置が異なるように配置してもよい。また、接触ゴム66a,66b,66cは、長手方向に関しても前記実施形態とは異なる位置に設けてもよい。
【0059】
さらに、前記実施形態では、接触体として接触ゴムを採用しているが、これに限られるものではない。例えば、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに鋼球を接触させる構成であってもよい。接触体を鋼球のように高剛性且つ摩擦係数の小さな部材で構成することによって、アクチュエータ本体4の振動の阻害を防止することができる。ただし、摩耗粉を発生させないためにも、接触体はゴムで構成することが好ましい。
【0060】
さらにまた、ホルダ5は、アクチュエータ本体4よりも、該アクチュエータ本体4の厚み方向に突出しているが、これに限られるものではない。例えば、ホルダ5は、アクチュエータ本体4の主面40a,40bに交差する方向に突出していればよく、厚み方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。また、ホルダ5は、アクチュエータ本体4の長辺側面40dに設けられているが、これに限られるものではない。アクチュエータ本体4を主面40a,40bと交差する方向に貫通するように設けられてもよい。また、ホルダ5は、1本の部材で構成されている必要はなく、2本の部材で構成され、アクチュエータ本体4の一方の主面40aと他方の主面40bとからそれぞれ突出するように設けられていてもよい。
【0061】
また、超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4に1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とを発生させているが、これに限られるものではない。アクチュエータ本体4に伸縮振動と屈曲振動とを発生させる構成であれば、任意の次数の振動を発生させるアクチュエータ本体を採用することができる。
【0062】
さらに、前記実施形態では、超音波アクチュエータ2によって移動体11を移動させているが、これに限られるものではない。例えば、駆動子3,3がベース部材14に当接する状態で超音波アクチュエータ2が移動体11に取り付けられる構成であってもよい。かかる構成の場合、アクチュエータ本体4を振動させて駆動子3,3を周回運動させることによって、超音波アクチュエータ2を取り付けた移動体11がベース部材14に対して移動することになる。つまり、かかる構成においては、移動体11ではなく、ベース部材14が、超音波アクチュエータ2との間で相対移動を発生させる相対移動部材となる。
【0063】
さらに、前記実施形態では、アクチュエータ本体4は、圧電素子で構成されているが、これに限られるものではない。例えば、アクチュエータ本体4は、金属製の弾性体に圧電素子を取り付けて構成された共振器であってもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動される相対移動部材としての移動体11は直方体であるが、これに限られるものではなく、相対移動部材の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図10に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体17であり、超音波アクチュエータの駆動子3,3が該円板体17の側周面17aに当接するように構成された駆動装置201を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子3,3の概略楕円運動によって、該円板体17が所定の軸X回りに回動させられる。また、図11に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体18であり、超音波アクチュエータの駆動子3,3が該円板体18の平面部18aに当接するように構成された駆動装置301を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子3,3の概略楕円運動によって、該円板体18が駆動子3,3と当接部における接線方向に駆動され、結果として該円板体18が所定の軸X回りに回動させられる。
【0065】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明は、伸縮振動及び屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体を備えた振動型アクチュエータについて有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 駆動装置
11 移動体(相対移動部材)
2 超音波アクチュエータ(振動型アクチュエータ)
3 駆動子
4 アクチュエータ本体
40a,40b 主面
5 ホルダ(突出部)
6 支持体
60 支持体本体
63 ガイド部材
64 長孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する一対の主面を有して、該主面の長手方向への伸縮振動及び該主面の短手方向への屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体に設けられて該アクチュエータ本体の振動に従って周回運動することによって駆動力を出力する駆動子とを備え、該駆動子が当接する相対移動部材との間で相対移動を発生させる振動型アクチュエータであって、
前記アクチュエータ本体に設けられて該アクチュエータ本体から該主面に交差する方向の両側へ突出する突出部と、
前記突出部をそれぞれ支持する2つの支持体と、
前記アクチュエータ本体の両主面に対してそれぞれ設けられ、該主面に接触することによって該主面と交差する方向への該アクチュエータ本体の変位を制限する接触体とをさらに備え、
前記アクチュエータ本体は、前記相対移動部材側へ付勢されており、
前記支持体には、前記突出部が嵌ると共に、前記アクチュエータ本体の付勢方向に延びる長孔が形成されており、
前記接触体は、前記アクチュエータ本体の各主面において前記長手方向の異なる位置に少なくとも2つ設けられている振動型アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載の振動型アクチュエータにおいて、
前記接触体は、少なくとも前記アクチュエータ本体の前記屈曲振動の節の部分に接触する振動型アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振動型アクチュエータにおいて、
前記接触体は、弾性体である振動型アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の振動型アクチュエータにおいて、
前記接触体は、前記支持体と前記アクチュエータ本体との間に挟持されている振動型アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の振動型アクチュエータにおいて、
前記支持体は、支持体本体と、該支持体本体に設けられ、前記長孔が形成されたガイド部材とを有し、
前記ガイド部材は、前記支持体本体よりも弾性率が小さい振動型アクチュエータ。
【請求項1】
相対向する一対の主面を有して、該主面の長手方向への伸縮振動及び該主面の短手方向への屈曲振動を発生させるアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体に設けられて該アクチュエータ本体の振動に従って周回運動することによって駆動力を出力する駆動子とを備え、該駆動子が当接する相対移動部材との間で相対移動を発生させる振動型アクチュエータであって、
前記アクチュエータ本体に設けられて該アクチュエータ本体から該主面に交差する方向の両側へ突出する突出部と、
前記突出部をそれぞれ支持する2つの支持体と、
前記アクチュエータ本体の両主面に対してそれぞれ設けられ、該主面に接触することによって該主面と交差する方向への該アクチュエータ本体の変位を制限する接触体とをさらに備え、
前記アクチュエータ本体は、前記相対移動部材側へ付勢されており、
前記支持体には、前記突出部が嵌ると共に、前記アクチュエータ本体の付勢方向に延びる長孔が形成されており、
前記接触体は、前記アクチュエータ本体の各主面において前記長手方向の異なる位置に少なくとも2つ設けられている振動型アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載の振動型アクチュエータにおいて、
前記接触体は、少なくとも前記アクチュエータ本体の前記屈曲振動の節の部分に接触する振動型アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振動型アクチュエータにおいて、
前記接触体は、弾性体である振動型アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の振動型アクチュエータにおいて、
前記接触体は、前記支持体と前記アクチュエータ本体との間に挟持されている振動型アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の振動型アクチュエータにおいて、
前記支持体は、支持体本体と、該支持体本体に設けられ、前記長孔が形成されたガイド部材とを有し、
前記ガイド部材は、前記支持体本体よりも弾性率が小さい振動型アクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−30375(P2011−30375A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174217(P2009−174217)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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