振動子および超音波探触子
【課題】より簡易に製造でき得る振動子を提供する。
【解決手段】振動子は、上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体22を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層24が形成された積層体と、前記積層体の上面に配置されたグランド電極30と、前記積層体の下面に配置されたシグナル電極32と、積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体28と、を備える。異方導電体28は、圧電体22をずらして積層することで外部に露出した電極層24の露出部分と、前記グランド電極30、シグナル電極32、他の電極層24の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層24−2,24−2同士および奇数番目の電極層24−1,24−3同士を電気的に一つに接続する。
【解決手段】振動子は、上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体22を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層24が形成された積層体と、前記積層体の上面に配置されたグランド電極30と、前記積層体の下面に配置されたシグナル電極32と、積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体28と、を備える。異方導電体28は、圧電体22をずらして積層することで外部に露出した電極層24の露出部分と、前記グランド電極30、シグナル電極32、他の電極層24の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層24−2,24−2同士および奇数番目の電極層24−1,24−3同士を電気的に一つに接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の圧電体を積層してなる積層体を含む振動子、および、当該振動子を備えた超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野において、超音波画像を利用した医療診断が実用化されている。超音波画像は、被検体の体内にある診察対象部位に超音波振動子を内蔵した超音波探触子から超音波を送信し、その際得られるエコー信号に基づいて形成される。
【0003】
この超音波探触子に内蔵されている振動子は、音と電圧とを相互に変換できる圧電体を有している。近年、この振動子を電気的に低インピーダンスにするために、圧電体を積層した振動子が従来から知られている(例えば特許文献1−11など)。かかる積層型の振動子は、複数の圧電体を積層させてなるものであり、その積層体の上面および底面、および、積層された各圧電体の間には電極が形成される。この複数の電極のうち、奇数番目の電極同士、および、偶数番目の電極同士が、それぞれ一つに電気的に接続されたうえで、グランド電極、および、シグナル電極へと接続される。かかる構成とすることで、複数の圧電体が、電気的には並列接続され、音響的には直列接続されることになり、振動子と伝送線路、送信機、受信機間との電気的マッチングがとりやすくなり、高感度で広帯域の送受信感度特性が得られる。
【0004】
ここで、こうした積層型の振動子を製造するためには、上述したように、奇数番目の電極同士、および、偶数番目の電極同士をそれぞれ電気的に接続する必要がある。この電極の接続を行うための技術が従来から多数提案されている。例えば、図18に示すような従来の振動子においては、圧電体22−1,22−2,22−3を積層した積層体の一側面において、偶数番目の電極24−2を絶縁する絶縁体52を形成した後に、当該一側面にメッキなどで電極50を形成し、奇数番目の電極層24−1,24−3同士を電気的に接続していた。また、同様に、積層体の他側面において、奇数番目の電極層24−3を絶縁する絶縁体を形成した後に、当該他側面にメッキなどで電極50を形成し、偶数番目の電極層24−2,24−4同士を電気的に接続していた。
【0005】
また、図19に示すような従来の振動子においては、各圧電体22−1,22−2,22−3の上面、下面、および両側面に電極層24,54を形成したうえで、上面および下面に電極層24を一部分離するギャップ56を形成している。そして、かかる構成の圧電体22を交互に積層することで、偶数番目の電極層24−2,24−4同士、奇数番目の電極層24−1,24−3同士を電気的に接続していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−80193号公報
【特許文献2】特開昭61−8100号公報
【特許文献3】特開2008−302044号公報
【特許文献4】特開2003−61193号公報
【特許文献5】特開2004−56352号公報
【特許文献6】特開2007−201901号公報
【特許文献7】特開2007−215730号公報
【特許文献8】特開2007−273584号公報
【特許文献9】特開昭63−175761号公報
【特許文献10】特開平8−173416号公報
【特許文献11】特開2007−173309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、こうした従来の技術では、振動子の製造工程が煩雑になりがちで、製造コストも増加しがちという問題があった。例えば、図18に示す振動子では、積層体の側面に絶縁体52および電極50を形成する工程が必要であり、非常に手間であった。また、図19に示す振動子では、各圧電体を所定の寸法に切り出した後、側面にも電極54を形成し、上面および下面の電極を分離するためのギャップ56を形成する必要があった。また、圧電体22それぞれの位置決め精度を、電極分離幅(ギャップ幅)より狭くする必要があり、非常に手間であった。
【0008】
そこで、本発明では、より簡易に製造でき得る振動子および当該振動子を備えた超音波探触子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の振動子は、上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層が形成された積層体と、前記積層体の上面に配置された第一水平電極と、前記積層体の下面に配置された第二水平電極と、積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体であって、ずらして積層されることで外部に露出した電極層と、前記第一水平電極、第二水平電極、他の電極層の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層同士および奇数番目の電極層同士を電気的に一つに接続する複数の異方導電体と、を備えることを特徴とする。
【0010】
他の好適な態様では、前記積層体は、奇数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が第一水平電極または他の奇数番目の電極層の露出部分に対向した状態で露出し、偶数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が第二水平電極または他の偶数番目の電極層の露出部分に対向した状態で露出するように複数の圧電体が積層されている。この場合において、前記積層体は、揃う端部が交互に変わるように、異方導電体の幅分だけ幅が異なる二サイズの圧電体が交互に面方向にずれて積層されており、前記異方導電体は、前記奇数番目の電極層のうちずらして積層することにより外部に露出した露出部分と第一水平電極との間、および、前記偶数番目の電極層のうちずらして積層することにより外部に露出した露出部分と第一水平電極との間に配設される、ことが望ましい。
【0011】
他の好適な態様では、前記複数の圧電体は、奇数個であり、電極層は偶数個形成される。他の好適な態様では、前記複数の電極層のうち少なくとも一つは、他の電極層を介して、第一水平電極または第二水平電極に電気的に接続される。
【0012】
他の本発明である超音波探触子は、バッキング材と、振動子と、整合層と、音響レンズと、がケース内部に収容された超音波探触子であって、前記振動子は、上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層が形成された積層体と、前記積層体の上面に配置された第一水平電極と、前記積層体の下面に配置された第二水平電極と、積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体であって、ずらして積層されることで外部に露出した電極層と、前記第一水平電極、第二水平電極、他の電極層の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層同士および奇数番目の電極層同士を電気的に一つに接続する複数の異方導電体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異方導電体で電極層の電気的接続が図ることができ、別途、電極や絶縁体を形成する必要がないため、より簡易に振動子、ひいては、超音波探触子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態である超音波探触子の概略構成図である。
【図2】振動子の概略斜視図である。
【図3】振動子の概略正面図である。
【図4】異方導電体の構成を示す図である。
【図5】振動子の製造の流れを示す図である。
【図6】振動子の製造の流れを示す図である。
【図7】振動子の製造の流れを示す図である。
【図8】振動子の製造の流れを示す図である。
【図9】振動子の製造の流れを示す図である。
【図10】振動子の製造の流れを示す図である。
【図11】振動子の製造の流れを示す図である。
【図12】振動子の製造の流れを示す図である。
【図13】振動子の製造の流れを示す図である。
【図14】他の振動子の概略正面図である。
【図15】他の振動子の概略正面図である。
【図16】他の振動子の概略正面図である。
【図17】他の振動子の概略正面図である。
【図18】従来の振動子の概略斜視図である。
【図19】他の従来の振動子の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である超音波探触子の内部構造の概略図である。
【0016】
超音波探触子の内部には、図1に示すように、バッキング材10と、短冊状に分割された複数の振動子12と、整合層13,14と、音響レンズ16が配設されている。バッキング材10は、振動子12の背面に設けられ、後方への音を吸収する部材である。かかるバッキング材10を設けることにより、余分な振動をおさえられ、パルス幅を短くすることができる。振動子12は、音を電圧に、電圧を音に変換する。本実施形態では、この振動子12として、複数の圧電体を積層した積層型の振動子12を用いるが、これについては後に詳説する。
【0017】
整合層13,14は、振動子12と生体との中間的な音響インピーダンスを持つ材料からなり、音響インピーダンスの違いによる反射を低減させる部材である。本実施形態では、振動子12側から順に、第一整合層13および第二整合層14が設けられており、第二整合層14は、第一整合層13に比べて、生体に近い音響インピーダンスを持っている。音響レンズ16は、生体よりも遅い音速の材料、例えば、シリコン等からなるレンズで、超音波ビームをスライス方向に収束させる。
【0018】
次に、本実施形態で用いる振動子12について詳説する。図2は、本実施形態で用いる振動子12の概略斜視図であり、図3は概略正面図である。なお、以下の図面では、振動子12の構成を明確にするために、各部材を実際とは異なる尺度で図示している。例えば、図面において、電極を肉厚に図示しているが、実際には、これら電極は薄膜として形成されており、実際にはより肉薄である。
【0019】
本実施形態の振動子12は、複数の圧電体22−1,22−2,22−3(以下、三つの圧電体を区別しない場合は単に「圧電体22」と呼び、ハイフン以下を省略する。以下、他部材でも同じ)を積層した積層体20と、当該積層体20の上面(すなわち、最上段に位置する圧電体22−1の上面)に接続されるグランド電極30、積層体20の下面(すなわち最下層に位置する圧電体22−3の下面)に接続されるシグナル電極32、および、各圧電体22の表面に形成された電極を電気的に接続する異方導電体28などから構成されている。
【0020】
圧電体22は、周知の通り、音を電圧に、電圧を音に変換するものである。本実施形態では、電気的に低インピーダンスとするために、この圧電体22を三つ積層し、積層体20を構成している。
【0021】
圧電体22としては、PZTや、チタン酸バリウムなどの圧電セラミックス、あるいは、PZT(Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−PbTiO3)や、PMNT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3)などの圧電体単結晶が用いられ、それぞれ、図中に矢印で示す方向に完全に分極処理されている。積層する際には、この分極の向きが交互に並ぶように上下に積層される。
【0022】
各圧電体22の上面および下面には電極が形成されており、積層した際、各圧電体22間に電極が介在するようになっている。そして、この電極が、積層体20の最上面に位置する上面電極層24−1、積層体20の下面に位置する下面電極層24−4、隣接する二つの圧電体22の間に位置する内部電極層24−2,24−3を構成する。これら複数の電極層24のうち、グランド電極30から数えて、奇数番目の電極層24−1,24−3は、グランド電極30に電気的に接続され、偶数番目の電極層24−2,24−4はシグナル電極32に電気的に接続される。本実施形態では、この電気的接続を簡易かつ確実に行うために、三つの圧電体22を特殊な態様で積層するとともに、圧電体22の幅を異ならせているが、これについては後に詳説する。
【0023】
積層体20の上面には、グランド電極30が配置されている。このグランド電極30は、積層体20の上面に位置する上面電極層24−1(1番目の電極層)の電極に物理的に接触する水平電極であり、この物理的接触により上面電極層24−1と電気的に接続される。
【0024】
積層体20の下面には、シグナル電極32が配置されている。このシグナル電極32は、積層体20の下面に位置する下面電極層24−4(4番目の電極層)の電極に物理的に接触する水平電極であり、この物理的接触により下面電極層24−4と電気的に接続される。
【0025】
異方導電体28は、奇数層の電極層24−1,24−3をグランド電極30に、偶数層の電極層24−2,24−4をシグナル電極32に、それぞれ電気的に接続するために配置される部材である。異方導電体28は、その名の通り、特定の方向にのみ導電性を発揮する部材である。かかる異方導電体28としては、種々の構成のものを採用できるが、例えば、図4(A)に示すように、絶縁体40の基材に、ファイバー状の導電性フィラー42を配向させ、充填したものを用いてもよい。また、異方導電体28として、図4(B)に示すように、絶縁体40を上下に貫通する溝または穴に導電体42を充填したものや、導電体42の上面および下面を除く周囲を絶縁体40で覆ったものを用いてもよい。さらに、異方導電体28として、図4(C)に示すように絶縁体40の基材の上下および一側面に電極膜42を形成したものや、図4(D)に示すように柔軟性のある絶縁体40の片面に導電膜42を形成したうえで、これを折り曲げたものを用いてもよい。
【0026】
ここで、本実施形態では、この異方導電体28を用いて、各電極層24を簡易に電気的に接続するために、複数の圧電体22の幅を異ならせるとともに、当該複数の圧電体22を面方向にずらして積層している。すなわち、図2、図3に示すように、本実施形態では、1番目の圧電体22−1および3番目の圧電体22−3を同幅にするとともに、2番目の圧電体22−2の幅を、1番目および2番目の圧電体22−1,22−3の幅より、異方導電体28の幅分だけ小さくしている。換言すれば、本実施形態では、異方導電体28の幅分だけ幅が異なる二サイズの圧電体22を、交互に上下に積層している。
【0027】
この積層の際、1番目の圧電体22−1の一端(図面右端)を2番目の圧電体22−2の一端に揃えて配置し、1番目の圧電体22−1の他端(図面左端)が2番目の圧電体22−2の他端からずれるようにしている。また、3番目の圧電体22−3の他端を2番目の圧電体22−2の他端に揃えて配置し、3番目の圧電体22−3の一端が2番目の圧電体22−2の一端からずれるようにする。換言すれば、本実施形態では、揃える端部が、交互に変わるように、二サイズの圧電体22を、交互に積層している。さらに、別の言い方をすれば、本実施形態では、奇数番目の電極層それぞれの少なくとも一部がグランド電極30に対向した状態で露出し、偶数番目の電極層24−2それぞれの少なくとも一部がシグナル電極32に対向した状態で露出するべく、圧電体を面方向ずらして積層している。
【0028】
異方導電体28は、積層方向に導電性を発揮するような姿勢で、この電極層24の露出部分とシグナル電極32またはグランド電極30との間に配置される。より具体的には、本実施形態では、異方導電体28の一つが、二番目の電極層24−2の露出部分とシグナル電極32との間に配置される。また、異方導電体28の他の一つが、三番目の電極層24−3の露出部分とグランド電極30との間に配置される。かかる配置とすることで、この異方導電体28を介して、奇数番目の電極層24−1,24−3はグランド電極30に、偶数番目の電極層24−2はシグナル電極32に電気的に接続されることになる。
【0029】
ここで、これまでの説明で明らかなとおり、本実施形態の振動子12では、積層体20の側面に電極や絶縁部を形成したり、各圧電体22の表面に絶縁部(ギャップ)を形成したりする必要がない。また、圧電体22をずらすことにより形成された隙間に異方導電体28を配置しているだけであるため、微細な位置決めが不要となる。その結果、振動子12、ひいては、超音波探触子の製造工程を大幅に簡易化できる。
【0030】
次に、本実施形態の超音波探触子の製造の流れについて図5〜図13を参照して説明する。図5〜図13は、超音波探触子の製造の過程を示す概略図である。
【0031】
超音波探触子を製造する場合は、まず、図5に示すように、整合層13,14を位置決めする。具体的には、定盤60に、整合層位置決め治具62を設置する。その後、第一整合層13、第二整合層14に接着剤を塗布し、整合層位置決め治具62のポケットに第二整合層14、第一整合層13の順に重ねて入れる。次に、図6に示すように、グランド電極30の両面に接着剤を塗布し、第一整合層13の上にグランド電極30を配置する。
【0032】
グランド電極30が配置出来れば、図7に示すように、積層体位置決め治具64を配置し、圧電体22と異方導電体28を位置決めする。具体的には、グランド電極30の上に、積層体位置決め治具64を設置する。また、圧電体22、異方導電体28に接着剤を塗布する。そして、この圧電体22および異方導電体28を、図7に示すような配置になるように、位置決めポケットに重ねて入れる。
【0033】
すなわち、まず、1番目の圧電体22−1を、位置決めポケットに入れる。このとき、1番目の圧電体22−1の側面を位置決めポケットの内側面に当てて位置決めする。この配置により、1番目の電極層24−1が、グランド電極30に電気的に接続されることになる。続いて、1番目の圧電体22−1と位置決めポケットの内側面との隙間に一つ目の異方導電体28を配置する。この配置により、一つ目の異方導電体28がグランド電極30と電気的に接続されることになる。次に、2番目の圧電体22−2を1番目の圧電体22−1の上に配置する。このとき、2番目の圧電体22−2の側面を異方導電体28の側面に当てて位置決めする。次に、この2番目の圧電体22−2と位置決めポケットの内側面との隙間に二つ目の異方導電体28を配置する。この配置により、2番目の電極層24−2と二つ目の異方導電体28とが電気的に接続されることになる。次に、2番目の圧電体22−2の上に、3番目の圧電体22−3を配置する。このとき、3番目の圧電体22−3の上面(グランド電極30側の面)の電極、すなわち、3番目の電極層24−3は、一つ目の異方導電体28の端面に接触し、当該異方導電体28を介してグランド電極30に電気的に接続されることになる。
【0034】
このように、圧電体22および異方導電体28を積み重ねれば、次に、図8に示すように、シグナル電極32の必要な箇所に接着剤を塗布し、シグナル電極32を積層体20の上に置く。このとき、シグナル電極32は、3番目の圧電体22−3の下面に形成された電極、すなわち、4番目の電極層24−4に接触するため、当該電極層とシグナル電極32とが電気的に接続される。また、二つ目の異方導電体28もシグナル電極32と電気的に接続されることになり、結果として、2番目の電極層24−2とシグナル電極32とが異方導電体28を介して電気的に接続されることになる。つまり、奇数番目の電極層24−1,24−3は、全てグランド電極30に、偶数番目の電極層24−2は、全てシグナル電極32に電気的に接続される。
【0035】
これらの作業が終われば、続いて、図9に示すように、バッキング位置決め治具66を、シグナル電極32の上に設置する。そして、バッキング材10の必要な箇所に接着剤を塗布したうえで、当該バッキング材10を位置決めポケットに入れる。
【0036】
次に、図10に示すように、加圧機68により、各部材を加圧し、密着させる。続いて、図11に示すように、バッキング位置決め治具66を取り外し、シグナル電極32を、バッキング材10に沿って折り曲げる。また、図12に示すように、積層体位置決め治具64も取り外し、グランド電極30をシグナル電極32に沿って折り曲げる。さらに、図13に示すように、整合層位置決め治具62を取り外し、これら構成物を加熱し、接着剤を硬化させる。
【0037】
接着剤の硬化により、各部材が接合されれば、この構成物を治具から取り外し、振動子12を短冊状に分離する。そして、分離した溝に、補強剤を詰めた後、整合層13,14の表面に音響レンズ16を装着することで、図1に示すような超音波探触子が形成される。
【0038】
以上の説明から明らかなとおり、本実施形態によれば、超音波探触子の構成要素を適宜、積み重ねていくことで、電極同士が適切に接続された超音波探触子を得ることができる。換言すれば、従来技術のように、積層体20に絶縁部や電極を形成する工程を別途設ける必要がなく、また、微細な位置決めを図る必要もない。その結果、従来に比して、簡易に超音波探触子を製造することができる。
【0039】
なお、ここで説明した製造工程は一例であり、各圧電体22や異方導電体28を配置していく順番などは、適宜、変更されてもよい。また、本実施形態では、圧電体22が三つの場合を例に挙げて説明しているが、圧電体22の積層数をより多数としてもよい。
【0040】
例えば、図14に示すように五つの圧電体22を積層してもよい。この場合においても、異方導電体28の幅分だけ幅が異なる二サイズの圧電体22を交互に積層する。図示例では、グランド側から順に、1番目、3番目、5番目の圧電体22−1,22−3,22−5の幅を、2番目、4番目の圧電体22−2,22−4の幅より、異方導電体28の幅分だけ、大きくしている。また、圧電体22を積層する際には、揃える端部が、交互に変わるように(換言すれば、ずれる端部が交互に変わるように)、二サイズの圧電体22を、交互に上下に積層している。そして、これにより、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5それぞれの少なくとも一部がグランド電極30に対向した状態で露出し、偶数番目の電極層24−2,24−4それぞれの少なくとも一部がシグナル電極32に対向した状態で露出することにする。そして、この露出した部分と、グランド電極30またはシグナル電極32との間に異方導電体28を配置する。これにより、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5はグランド電極30に、偶数番目の電極層24−2,24−4はシグナル電極32に接続されることになる。
【0041】
また、別の形態として、図15に示すように五つの圧電体22を積層してもよい。この場合には、幅の異なる複数サイズの圧電体22を用いる。図示例では、2番目の圧電体22−2が最も小幅で、1,3,4番目の圧電体22−1,22−3,22−4は、2番目の圧電体22−2より、異方導電体28の幅分だけ幅広となっている。また、5番目の圧電体22−5は、1,3,4番目の圧電体22−1,22−3,22−4より異方導電体28の幅分だけ幅広となっている。
【0042】
積層する際には、上述の例と同様に、各圧電体22を面方向にずらして積層するが、上述の実施形態と異なり、一部の電極層24については、グランド電極30またはシグナル電極32ではなく、他の電極層24の露出部分に対向させた状態で露出させる。
【0043】
すなわち、この形態においては、2番目の電極層24−2を、4番目の電極層24−4の露出部分に対向させた状態で露出させている。そして、この二つの露出部分の間に異方導電体28を配置することで、2番目の電極層24−2と4番目の電極層24−4とを電気的に接続している。また、4番目の電極層24−4は、図面左側端部においても露出部分が設けられており、この露出部分がシグナル電極32と対向している。そして、この露出部分とシグナル電極32との間に異方導電体28を配置することで、4番目の電極層24−4とシグナル電極32とを電気的に接続している。そして、これにより、当該4番目の電極層24−4に電気的に接続された2番目の電極層24−2もシグナル電極32に電気的に接続されることになる。
【0044】
つまり、この形態においては、各偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6それぞれの少なくとも一部が、シグナル電極32または他の偶数層の電極層の露出部分に対向した状態で露出するようにする各圧電体22を積層している。そして、この露出部分に一端が当接する形で、異方導電体28を配置することで、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6の電極層全てを、シグナル電極32に電気的に接続することができる。なお、ここでは、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6同士を対向させているが、当然、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5同士を対向させてもよい。
【0045】
さらに、圧電体を7つ積層する場合の例を図16、図17を参照して説明する。図16の図示例においもて、図2、図14の場合と同様に、異方導電体28の幅分だけ長さの異なる二サイズの圧電体22を、交互に積層している。具体的には、奇数番目の圧電体22−1,22−3,22−5,22−7を、偶数番目の圧電体22−2,22−4,22−6より、異方導電体28の幅分だけ大きくしている。そして、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5,24−7それぞれの少なくとも一部がグランド電極30に、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6,24−8それぞれの少なくとも一部がシグナル電極32に対向した状態で露出するように、各圧電体22を面方向にずらして積層している。そして、露出部分と、グランド電極30またはシグナル電極32と、の間に異方導電体28を配置することで、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5,24−7をグランド電極30に、また、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6,24−8をシグナル電極32に電気的に接続している。
【0046】
図17の図示例においては、様々な幅の圧電体22を、面方向にずらしながら積み重ねている。このとき、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5,24−7は、少なくとも一部がグランド電極30または奇数番目の他の電極層24に対向した状態で露出するようにする。また、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6,24−8は、少なくとも一部が、シグナル電極32または他の偶数番目の電極層24の電極に対向した状態で露出するようにする。そして、各電極層24の露出した部分と、他の露出部分またはシグナル電極32またはグランド電極30と、の間に異方導電体28を配置する。これにより、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5,24−7は、異方導電体28および他の奇数番目の電極層を介してグランド電極30に電気的に接続される。同様に、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6,24−8は、異方導電体28および他の偶数番目の電極層を介してシグナル電極32に電気的に接続される。
【0047】
このように、圧電体22の数を増やした場合であっても、奇数番目の電極層それぞれの少なくとも一部がグランド電極30または他の奇数番目の電極層に対向した状態で露出し、かつ、偶数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が、シグナル電極32または他の偶数番目の電極層に対向した状態で露出するよう圧電体22を面方向にずらして積層し、さらに、各電極間に異方導電体28を配置すればよい。
【符号の説明】
【0048】
10 バッキング材、12 振動子、13 第一整合層、14 第二整合層、16 音響レンズ、20 積層体、22 圧電体、24 電極層、28 異方導電体、30 グランド電極、32 シグナル電極、40 絶縁体、42 導電体、60 定盤、62,64,66 位置決め治具、68 加圧機。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の圧電体を積層してなる積層体を含む振動子、および、当該振動子を備えた超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野において、超音波画像を利用した医療診断が実用化されている。超音波画像は、被検体の体内にある診察対象部位に超音波振動子を内蔵した超音波探触子から超音波を送信し、その際得られるエコー信号に基づいて形成される。
【0003】
この超音波探触子に内蔵されている振動子は、音と電圧とを相互に変換できる圧電体を有している。近年、この振動子を電気的に低インピーダンスにするために、圧電体を積層した振動子が従来から知られている(例えば特許文献1−11など)。かかる積層型の振動子は、複数の圧電体を積層させてなるものであり、その積層体の上面および底面、および、積層された各圧電体の間には電極が形成される。この複数の電極のうち、奇数番目の電極同士、および、偶数番目の電極同士が、それぞれ一つに電気的に接続されたうえで、グランド電極、および、シグナル電極へと接続される。かかる構成とすることで、複数の圧電体が、電気的には並列接続され、音響的には直列接続されることになり、振動子と伝送線路、送信機、受信機間との電気的マッチングがとりやすくなり、高感度で広帯域の送受信感度特性が得られる。
【0004】
ここで、こうした積層型の振動子を製造するためには、上述したように、奇数番目の電極同士、および、偶数番目の電極同士をそれぞれ電気的に接続する必要がある。この電極の接続を行うための技術が従来から多数提案されている。例えば、図18に示すような従来の振動子においては、圧電体22−1,22−2,22−3を積層した積層体の一側面において、偶数番目の電極24−2を絶縁する絶縁体52を形成した後に、当該一側面にメッキなどで電極50を形成し、奇数番目の電極層24−1,24−3同士を電気的に接続していた。また、同様に、積層体の他側面において、奇数番目の電極層24−3を絶縁する絶縁体を形成した後に、当該他側面にメッキなどで電極50を形成し、偶数番目の電極層24−2,24−4同士を電気的に接続していた。
【0005】
また、図19に示すような従来の振動子においては、各圧電体22−1,22−2,22−3の上面、下面、および両側面に電極層24,54を形成したうえで、上面および下面に電極層24を一部分離するギャップ56を形成している。そして、かかる構成の圧電体22を交互に積層することで、偶数番目の電極層24−2,24−4同士、奇数番目の電極層24−1,24−3同士を電気的に接続していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−80193号公報
【特許文献2】特開昭61−8100号公報
【特許文献3】特開2008−302044号公報
【特許文献4】特開2003−61193号公報
【特許文献5】特開2004−56352号公報
【特許文献6】特開2007−201901号公報
【特許文献7】特開2007−215730号公報
【特許文献8】特開2007−273584号公報
【特許文献9】特開昭63−175761号公報
【特許文献10】特開平8−173416号公報
【特許文献11】特開2007−173309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、こうした従来の技術では、振動子の製造工程が煩雑になりがちで、製造コストも増加しがちという問題があった。例えば、図18に示す振動子では、積層体の側面に絶縁体52および電極50を形成する工程が必要であり、非常に手間であった。また、図19に示す振動子では、各圧電体を所定の寸法に切り出した後、側面にも電極54を形成し、上面および下面の電極を分離するためのギャップ56を形成する必要があった。また、圧電体22それぞれの位置決め精度を、電極分離幅(ギャップ幅)より狭くする必要があり、非常に手間であった。
【0008】
そこで、本発明では、より簡易に製造でき得る振動子および当該振動子を備えた超音波探触子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の振動子は、上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層が形成された積層体と、前記積層体の上面に配置された第一水平電極と、前記積層体の下面に配置された第二水平電極と、積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体であって、ずらして積層されることで外部に露出した電極層と、前記第一水平電極、第二水平電極、他の電極層の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層同士および奇数番目の電極層同士を電気的に一つに接続する複数の異方導電体と、を備えることを特徴とする。
【0010】
他の好適な態様では、前記積層体は、奇数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が第一水平電極または他の奇数番目の電極層の露出部分に対向した状態で露出し、偶数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が第二水平電極または他の偶数番目の電極層の露出部分に対向した状態で露出するように複数の圧電体が積層されている。この場合において、前記積層体は、揃う端部が交互に変わるように、異方導電体の幅分だけ幅が異なる二サイズの圧電体が交互に面方向にずれて積層されており、前記異方導電体は、前記奇数番目の電極層のうちずらして積層することにより外部に露出した露出部分と第一水平電極との間、および、前記偶数番目の電極層のうちずらして積層することにより外部に露出した露出部分と第一水平電極との間に配設される、ことが望ましい。
【0011】
他の好適な態様では、前記複数の圧電体は、奇数個であり、電極層は偶数個形成される。他の好適な態様では、前記複数の電極層のうち少なくとも一つは、他の電極層を介して、第一水平電極または第二水平電極に電気的に接続される。
【0012】
他の本発明である超音波探触子は、バッキング材と、振動子と、整合層と、音響レンズと、がケース内部に収容された超音波探触子であって、前記振動子は、上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層が形成された積層体と、前記積層体の上面に配置された第一水平電極と、前記積層体の下面に配置された第二水平電極と、積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体であって、ずらして積層されることで外部に露出した電極層と、前記第一水平電極、第二水平電極、他の電極層の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層同士および奇数番目の電極層同士を電気的に一つに接続する複数の異方導電体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異方導電体で電極層の電気的接続が図ることができ、別途、電極や絶縁体を形成する必要がないため、より簡易に振動子、ひいては、超音波探触子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態である超音波探触子の概略構成図である。
【図2】振動子の概略斜視図である。
【図3】振動子の概略正面図である。
【図4】異方導電体の構成を示す図である。
【図5】振動子の製造の流れを示す図である。
【図6】振動子の製造の流れを示す図である。
【図7】振動子の製造の流れを示す図である。
【図8】振動子の製造の流れを示す図である。
【図9】振動子の製造の流れを示す図である。
【図10】振動子の製造の流れを示す図である。
【図11】振動子の製造の流れを示す図である。
【図12】振動子の製造の流れを示す図である。
【図13】振動子の製造の流れを示す図である。
【図14】他の振動子の概略正面図である。
【図15】他の振動子の概略正面図である。
【図16】他の振動子の概略正面図である。
【図17】他の振動子の概略正面図である。
【図18】従来の振動子の概略斜視図である。
【図19】他の従来の振動子の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である超音波探触子の内部構造の概略図である。
【0016】
超音波探触子の内部には、図1に示すように、バッキング材10と、短冊状に分割された複数の振動子12と、整合層13,14と、音響レンズ16が配設されている。バッキング材10は、振動子12の背面に設けられ、後方への音を吸収する部材である。かかるバッキング材10を設けることにより、余分な振動をおさえられ、パルス幅を短くすることができる。振動子12は、音を電圧に、電圧を音に変換する。本実施形態では、この振動子12として、複数の圧電体を積層した積層型の振動子12を用いるが、これについては後に詳説する。
【0017】
整合層13,14は、振動子12と生体との中間的な音響インピーダンスを持つ材料からなり、音響インピーダンスの違いによる反射を低減させる部材である。本実施形態では、振動子12側から順に、第一整合層13および第二整合層14が設けられており、第二整合層14は、第一整合層13に比べて、生体に近い音響インピーダンスを持っている。音響レンズ16は、生体よりも遅い音速の材料、例えば、シリコン等からなるレンズで、超音波ビームをスライス方向に収束させる。
【0018】
次に、本実施形態で用いる振動子12について詳説する。図2は、本実施形態で用いる振動子12の概略斜視図であり、図3は概略正面図である。なお、以下の図面では、振動子12の構成を明確にするために、各部材を実際とは異なる尺度で図示している。例えば、図面において、電極を肉厚に図示しているが、実際には、これら電極は薄膜として形成されており、実際にはより肉薄である。
【0019】
本実施形態の振動子12は、複数の圧電体22−1,22−2,22−3(以下、三つの圧電体を区別しない場合は単に「圧電体22」と呼び、ハイフン以下を省略する。以下、他部材でも同じ)を積層した積層体20と、当該積層体20の上面(すなわち、最上段に位置する圧電体22−1の上面)に接続されるグランド電極30、積層体20の下面(すなわち最下層に位置する圧電体22−3の下面)に接続されるシグナル電極32、および、各圧電体22の表面に形成された電極を電気的に接続する異方導電体28などから構成されている。
【0020】
圧電体22は、周知の通り、音を電圧に、電圧を音に変換するものである。本実施形態では、電気的に低インピーダンスとするために、この圧電体22を三つ積層し、積層体20を構成している。
【0021】
圧電体22としては、PZTや、チタン酸バリウムなどの圧電セラミックス、あるいは、PZT(Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−PbTiO3)や、PMNT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3)などの圧電体単結晶が用いられ、それぞれ、図中に矢印で示す方向に完全に分極処理されている。積層する際には、この分極の向きが交互に並ぶように上下に積層される。
【0022】
各圧電体22の上面および下面には電極が形成されており、積層した際、各圧電体22間に電極が介在するようになっている。そして、この電極が、積層体20の最上面に位置する上面電極層24−1、積層体20の下面に位置する下面電極層24−4、隣接する二つの圧電体22の間に位置する内部電極層24−2,24−3を構成する。これら複数の電極層24のうち、グランド電極30から数えて、奇数番目の電極層24−1,24−3は、グランド電極30に電気的に接続され、偶数番目の電極層24−2,24−4はシグナル電極32に電気的に接続される。本実施形態では、この電気的接続を簡易かつ確実に行うために、三つの圧電体22を特殊な態様で積層するとともに、圧電体22の幅を異ならせているが、これについては後に詳説する。
【0023】
積層体20の上面には、グランド電極30が配置されている。このグランド電極30は、積層体20の上面に位置する上面電極層24−1(1番目の電極層)の電極に物理的に接触する水平電極であり、この物理的接触により上面電極層24−1と電気的に接続される。
【0024】
積層体20の下面には、シグナル電極32が配置されている。このシグナル電極32は、積層体20の下面に位置する下面電極層24−4(4番目の電極層)の電極に物理的に接触する水平電極であり、この物理的接触により下面電極層24−4と電気的に接続される。
【0025】
異方導電体28は、奇数層の電極層24−1,24−3をグランド電極30に、偶数層の電極層24−2,24−4をシグナル電極32に、それぞれ電気的に接続するために配置される部材である。異方導電体28は、その名の通り、特定の方向にのみ導電性を発揮する部材である。かかる異方導電体28としては、種々の構成のものを採用できるが、例えば、図4(A)に示すように、絶縁体40の基材に、ファイバー状の導電性フィラー42を配向させ、充填したものを用いてもよい。また、異方導電体28として、図4(B)に示すように、絶縁体40を上下に貫通する溝または穴に導電体42を充填したものや、導電体42の上面および下面を除く周囲を絶縁体40で覆ったものを用いてもよい。さらに、異方導電体28として、図4(C)に示すように絶縁体40の基材の上下および一側面に電極膜42を形成したものや、図4(D)に示すように柔軟性のある絶縁体40の片面に導電膜42を形成したうえで、これを折り曲げたものを用いてもよい。
【0026】
ここで、本実施形態では、この異方導電体28を用いて、各電極層24を簡易に電気的に接続するために、複数の圧電体22の幅を異ならせるとともに、当該複数の圧電体22を面方向にずらして積層している。すなわち、図2、図3に示すように、本実施形態では、1番目の圧電体22−1および3番目の圧電体22−3を同幅にするとともに、2番目の圧電体22−2の幅を、1番目および2番目の圧電体22−1,22−3の幅より、異方導電体28の幅分だけ小さくしている。換言すれば、本実施形態では、異方導電体28の幅分だけ幅が異なる二サイズの圧電体22を、交互に上下に積層している。
【0027】
この積層の際、1番目の圧電体22−1の一端(図面右端)を2番目の圧電体22−2の一端に揃えて配置し、1番目の圧電体22−1の他端(図面左端)が2番目の圧電体22−2の他端からずれるようにしている。また、3番目の圧電体22−3の他端を2番目の圧電体22−2の他端に揃えて配置し、3番目の圧電体22−3の一端が2番目の圧電体22−2の一端からずれるようにする。換言すれば、本実施形態では、揃える端部が、交互に変わるように、二サイズの圧電体22を、交互に積層している。さらに、別の言い方をすれば、本実施形態では、奇数番目の電極層それぞれの少なくとも一部がグランド電極30に対向した状態で露出し、偶数番目の電極層24−2それぞれの少なくとも一部がシグナル電極32に対向した状態で露出するべく、圧電体を面方向ずらして積層している。
【0028】
異方導電体28は、積層方向に導電性を発揮するような姿勢で、この電極層24の露出部分とシグナル電極32またはグランド電極30との間に配置される。より具体的には、本実施形態では、異方導電体28の一つが、二番目の電極層24−2の露出部分とシグナル電極32との間に配置される。また、異方導電体28の他の一つが、三番目の電極層24−3の露出部分とグランド電極30との間に配置される。かかる配置とすることで、この異方導電体28を介して、奇数番目の電極層24−1,24−3はグランド電極30に、偶数番目の電極層24−2はシグナル電極32に電気的に接続されることになる。
【0029】
ここで、これまでの説明で明らかなとおり、本実施形態の振動子12では、積層体20の側面に電極や絶縁部を形成したり、各圧電体22の表面に絶縁部(ギャップ)を形成したりする必要がない。また、圧電体22をずらすことにより形成された隙間に異方導電体28を配置しているだけであるため、微細な位置決めが不要となる。その結果、振動子12、ひいては、超音波探触子の製造工程を大幅に簡易化できる。
【0030】
次に、本実施形態の超音波探触子の製造の流れについて図5〜図13を参照して説明する。図5〜図13は、超音波探触子の製造の過程を示す概略図である。
【0031】
超音波探触子を製造する場合は、まず、図5に示すように、整合層13,14を位置決めする。具体的には、定盤60に、整合層位置決め治具62を設置する。その後、第一整合層13、第二整合層14に接着剤を塗布し、整合層位置決め治具62のポケットに第二整合層14、第一整合層13の順に重ねて入れる。次に、図6に示すように、グランド電極30の両面に接着剤を塗布し、第一整合層13の上にグランド電極30を配置する。
【0032】
グランド電極30が配置出来れば、図7に示すように、積層体位置決め治具64を配置し、圧電体22と異方導電体28を位置決めする。具体的には、グランド電極30の上に、積層体位置決め治具64を設置する。また、圧電体22、異方導電体28に接着剤を塗布する。そして、この圧電体22および異方導電体28を、図7に示すような配置になるように、位置決めポケットに重ねて入れる。
【0033】
すなわち、まず、1番目の圧電体22−1を、位置決めポケットに入れる。このとき、1番目の圧電体22−1の側面を位置決めポケットの内側面に当てて位置決めする。この配置により、1番目の電極層24−1が、グランド電極30に電気的に接続されることになる。続いて、1番目の圧電体22−1と位置決めポケットの内側面との隙間に一つ目の異方導電体28を配置する。この配置により、一つ目の異方導電体28がグランド電極30と電気的に接続されることになる。次に、2番目の圧電体22−2を1番目の圧電体22−1の上に配置する。このとき、2番目の圧電体22−2の側面を異方導電体28の側面に当てて位置決めする。次に、この2番目の圧電体22−2と位置決めポケットの内側面との隙間に二つ目の異方導電体28を配置する。この配置により、2番目の電極層24−2と二つ目の異方導電体28とが電気的に接続されることになる。次に、2番目の圧電体22−2の上に、3番目の圧電体22−3を配置する。このとき、3番目の圧電体22−3の上面(グランド電極30側の面)の電極、すなわち、3番目の電極層24−3は、一つ目の異方導電体28の端面に接触し、当該異方導電体28を介してグランド電極30に電気的に接続されることになる。
【0034】
このように、圧電体22および異方導電体28を積み重ねれば、次に、図8に示すように、シグナル電極32の必要な箇所に接着剤を塗布し、シグナル電極32を積層体20の上に置く。このとき、シグナル電極32は、3番目の圧電体22−3の下面に形成された電極、すなわち、4番目の電極層24−4に接触するため、当該電極層とシグナル電極32とが電気的に接続される。また、二つ目の異方導電体28もシグナル電極32と電気的に接続されることになり、結果として、2番目の電極層24−2とシグナル電極32とが異方導電体28を介して電気的に接続されることになる。つまり、奇数番目の電極層24−1,24−3は、全てグランド電極30に、偶数番目の電極層24−2は、全てシグナル電極32に電気的に接続される。
【0035】
これらの作業が終われば、続いて、図9に示すように、バッキング位置決め治具66を、シグナル電極32の上に設置する。そして、バッキング材10の必要な箇所に接着剤を塗布したうえで、当該バッキング材10を位置決めポケットに入れる。
【0036】
次に、図10に示すように、加圧機68により、各部材を加圧し、密着させる。続いて、図11に示すように、バッキング位置決め治具66を取り外し、シグナル電極32を、バッキング材10に沿って折り曲げる。また、図12に示すように、積層体位置決め治具64も取り外し、グランド電極30をシグナル電極32に沿って折り曲げる。さらに、図13に示すように、整合層位置決め治具62を取り外し、これら構成物を加熱し、接着剤を硬化させる。
【0037】
接着剤の硬化により、各部材が接合されれば、この構成物を治具から取り外し、振動子12を短冊状に分離する。そして、分離した溝に、補強剤を詰めた後、整合層13,14の表面に音響レンズ16を装着することで、図1に示すような超音波探触子が形成される。
【0038】
以上の説明から明らかなとおり、本実施形態によれば、超音波探触子の構成要素を適宜、積み重ねていくことで、電極同士が適切に接続された超音波探触子を得ることができる。換言すれば、従来技術のように、積層体20に絶縁部や電極を形成する工程を別途設ける必要がなく、また、微細な位置決めを図る必要もない。その結果、従来に比して、簡易に超音波探触子を製造することができる。
【0039】
なお、ここで説明した製造工程は一例であり、各圧電体22や異方導電体28を配置していく順番などは、適宜、変更されてもよい。また、本実施形態では、圧電体22が三つの場合を例に挙げて説明しているが、圧電体22の積層数をより多数としてもよい。
【0040】
例えば、図14に示すように五つの圧電体22を積層してもよい。この場合においても、異方導電体28の幅分だけ幅が異なる二サイズの圧電体22を交互に積層する。図示例では、グランド側から順に、1番目、3番目、5番目の圧電体22−1,22−3,22−5の幅を、2番目、4番目の圧電体22−2,22−4の幅より、異方導電体28の幅分だけ、大きくしている。また、圧電体22を積層する際には、揃える端部が、交互に変わるように(換言すれば、ずれる端部が交互に変わるように)、二サイズの圧電体22を、交互に上下に積層している。そして、これにより、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5それぞれの少なくとも一部がグランド電極30に対向した状態で露出し、偶数番目の電極層24−2,24−4それぞれの少なくとも一部がシグナル電極32に対向した状態で露出することにする。そして、この露出した部分と、グランド電極30またはシグナル電極32との間に異方導電体28を配置する。これにより、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5はグランド電極30に、偶数番目の電極層24−2,24−4はシグナル電極32に接続されることになる。
【0041】
また、別の形態として、図15に示すように五つの圧電体22を積層してもよい。この場合には、幅の異なる複数サイズの圧電体22を用いる。図示例では、2番目の圧電体22−2が最も小幅で、1,3,4番目の圧電体22−1,22−3,22−4は、2番目の圧電体22−2より、異方導電体28の幅分だけ幅広となっている。また、5番目の圧電体22−5は、1,3,4番目の圧電体22−1,22−3,22−4より異方導電体28の幅分だけ幅広となっている。
【0042】
積層する際には、上述の例と同様に、各圧電体22を面方向にずらして積層するが、上述の実施形態と異なり、一部の電極層24については、グランド電極30またはシグナル電極32ではなく、他の電極層24の露出部分に対向させた状態で露出させる。
【0043】
すなわち、この形態においては、2番目の電極層24−2を、4番目の電極層24−4の露出部分に対向させた状態で露出させている。そして、この二つの露出部分の間に異方導電体28を配置することで、2番目の電極層24−2と4番目の電極層24−4とを電気的に接続している。また、4番目の電極層24−4は、図面左側端部においても露出部分が設けられており、この露出部分がシグナル電極32と対向している。そして、この露出部分とシグナル電極32との間に異方導電体28を配置することで、4番目の電極層24−4とシグナル電極32とを電気的に接続している。そして、これにより、当該4番目の電極層24−4に電気的に接続された2番目の電極層24−2もシグナル電極32に電気的に接続されることになる。
【0044】
つまり、この形態においては、各偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6それぞれの少なくとも一部が、シグナル電極32または他の偶数層の電極層の露出部分に対向した状態で露出するようにする各圧電体22を積層している。そして、この露出部分に一端が当接する形で、異方導電体28を配置することで、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6の電極層全てを、シグナル電極32に電気的に接続することができる。なお、ここでは、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6同士を対向させているが、当然、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5同士を対向させてもよい。
【0045】
さらに、圧電体を7つ積層する場合の例を図16、図17を参照して説明する。図16の図示例においもて、図2、図14の場合と同様に、異方導電体28の幅分だけ長さの異なる二サイズの圧電体22を、交互に積層している。具体的には、奇数番目の圧電体22−1,22−3,22−5,22−7を、偶数番目の圧電体22−2,22−4,22−6より、異方導電体28の幅分だけ大きくしている。そして、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5,24−7それぞれの少なくとも一部がグランド電極30に、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6,24−8それぞれの少なくとも一部がシグナル電極32に対向した状態で露出するように、各圧電体22を面方向にずらして積層している。そして、露出部分と、グランド電極30またはシグナル電極32と、の間に異方導電体28を配置することで、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5,24−7をグランド電極30に、また、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6,24−8をシグナル電極32に電気的に接続している。
【0046】
図17の図示例においては、様々な幅の圧電体22を、面方向にずらしながら積み重ねている。このとき、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5,24−7は、少なくとも一部がグランド電極30または奇数番目の他の電極層24に対向した状態で露出するようにする。また、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6,24−8は、少なくとも一部が、シグナル電極32または他の偶数番目の電極層24の電極に対向した状態で露出するようにする。そして、各電極層24の露出した部分と、他の露出部分またはシグナル電極32またはグランド電極30と、の間に異方導電体28を配置する。これにより、奇数番目の電極層24−1,24−3,24−5,24−7は、異方導電体28および他の奇数番目の電極層を介してグランド電極30に電気的に接続される。同様に、偶数番目の電極層24−2,24−4,24−6,24−8は、異方導電体28および他の偶数番目の電極層を介してシグナル電極32に電気的に接続される。
【0047】
このように、圧電体22の数を増やした場合であっても、奇数番目の電極層それぞれの少なくとも一部がグランド電極30または他の奇数番目の電極層に対向した状態で露出し、かつ、偶数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が、シグナル電極32または他の偶数番目の電極層に対向した状態で露出するよう圧電体22を面方向にずらして積層し、さらに、各電極間に異方導電体28を配置すればよい。
【符号の説明】
【0048】
10 バッキング材、12 振動子、13 第一整合層、14 第二整合層、16 音響レンズ、20 積層体、22 圧電体、24 電極層、28 異方導電体、30 グランド電極、32 シグナル電極、40 絶縁体、42 導電体、60 定盤、62,64,66 位置決め治具、68 加圧機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層が形成された積層体と、
前記積層体の上面に配置された第一水平電極と、
前記積層体の下面に配置された第二水平電極と、
積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体であって、ずらして積層されることで外部に露出した電極層と、前記第一水平電極、第二水平電極、他の電極層の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層同士および奇数番目の電極層同士を電気的に一つに接続する複数の異方導電体と、
を備えることを特徴とする振動子。
【請求項2】
請求項1に記載の振動子であって、
前記積層体は、奇数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が第一水平電極または他の奇数番目の電極層の露出部分に対向した状態で露出し、偶数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が第二水平電極または他の偶数番目の電極層の露出部分に対向した状態で露出するように複数の圧電体が積層されている、ことを特徴とする振動子。
【請求項3】
請求項2に記載の振動子であって、
前記積層体は、揃う端部が交互に変わるように、異方導電体の幅分だけ幅が異なる二サイズの圧電体が交互に面方向にずれて積層されており、
前記異方導電体は、前記奇数番目の電極層のうちずらして積層することにより外部に露出した露出部分と第一水平電極との間、および、前記偶数番目の電極層のうちずらして積層することにより外部に露出した露出部分と第一水平電極との間に配設される、ことを特徴とする振動子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の振動子であって、
前記複数の圧電体は、奇数個であり、電極層は偶数個形成される、ことを特徴とする振動子。
【請求項5】
請求項1または2に記載の振動子であって、
前記複数の電極層のうち少なくとも一つは、他の電極層を介して、第一水平電極または第二水平電極に電気的に接続される、ことを特徴とする振動子。
【請求項6】
バッキング材と、振動子と、整合層と、音響レンズと、がケース内部に収容された超音波探触子であって、
前記振動子は、
上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層が形成された積層体と、
前記積層体の上面に配置された第一水平電極と、
前記積層体の下面に配置された第二水平電極と、
積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体であって、ずらして積層されることで外部に露出した電極層と、前記第一水平電極、第二水平電極、他の電極層の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層同士および奇数番目の電極層同士を電気的に一つに接続する複数の異方導電体と、
を備えることを特徴とする超音波探触子。
【請求項1】
上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層が形成された積層体と、
前記積層体の上面に配置された第一水平電極と、
前記積層体の下面に配置された第二水平電極と、
積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体であって、ずらして積層されることで外部に露出した電極層と、前記第一水平電極、第二水平電極、他の電極層の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層同士および奇数番目の電極層同士を電気的に一つに接続する複数の異方導電体と、
を備えることを特徴とする振動子。
【請求項2】
請求項1に記載の振動子であって、
前記積層体は、奇数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が第一水平電極または他の奇数番目の電極層の露出部分に対向した状態で露出し、偶数番目の電極層それぞれの少なくとも一部が第二水平電極または他の偶数番目の電極層の露出部分に対向した状態で露出するように複数の圧電体が積層されている、ことを特徴とする振動子。
【請求項3】
請求項2に記載の振動子であって、
前記積層体は、揃う端部が交互に変わるように、異方導電体の幅分だけ幅が異なる二サイズの圧電体が交互に面方向にずれて積層されており、
前記異方導電体は、前記奇数番目の電極層のうちずらして積層することにより外部に露出した露出部分と第一水平電極との間、および、前記偶数番目の電極層のうちずらして積層することにより外部に露出した露出部分と第一水平電極との間に配設される、ことを特徴とする振動子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の振動子であって、
前記複数の圧電体は、奇数個であり、電極層は偶数個形成される、ことを特徴とする振動子。
【請求項5】
請求項1または2に記載の振動子であって、
前記複数の電極層のうち少なくとも一つは、他の電極層を介して、第一水平電極または第二水平電極に電気的に接続される、ことを特徴とする振動子。
【請求項6】
バッキング材と、振動子と、整合層と、音響レンズと、がケース内部に収容された超音波探触子であって、
前記振動子は、
上面および下面に電極が設けられた複数の圧電体を面方向にずれた状態で積層した積層体であって、前記電極により当該積層体の上面、下面および圧電体間に電極層が形成された積層体と、
前記積層体の上面に配置された第一水平電極と、
前記積層体の下面に配置された第二水平電極と、
積層方向にのみ導電性を発揮する姿勢で配される複数の異方導電体であって、ずらして積層されることで外部に露出した電極層と、前記第一水平電極、第二水平電極、他の電極層の露出部分のいずれか一つの間に配置されることで、偶数番目の電極層同士および奇数番目の電極層同士を電気的に一つに接続する複数の異方導電体と、
を備えることを特徴とする超音波探触子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−254295(P2011−254295A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126710(P2010−126710)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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