説明

振動式部品供給装置用制御装置

【課題】振動式部品供給装置(パーツフィーダ)の振幅制御において、入力されるノイズ成分を精度よく取り除いて制御の安定性を向上させる。
【解決手段】制御回路11内に、振動センサ12の出力信号が入力されるフィルタ15に対してその通過周波数帯域の切替信号を出力する通過帯域切替器20を設け、作業者がパーツフィーダの運転条件に応じて設定器17内の複数の駆動電圧パターンのうちの一つを選択すると、選択された駆動電圧パターンに基づく切替信号が通過帯域切替器20からフィルタ15に出力され、その切替信号によってフィルタ15内の複数の通過周波数帯域のうちの一つが選択されることにより、通過周波数帯域が適切に狭い幅で設定されるようにした。これにより、入力されるノイズ成分が従来よりも精度よく取り除かれ、安定した制御を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動式部品供給装置の振幅制御を行う制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動式部品供給装置(パーツフィーダ)は、駆動部から部品搬送部材に付与される振動により、部品搬送部材上の部品を搬送しながら整列させて次工程に供給するものである。その一例としてのボウルフィーダを図9に示す。このボウルフィーダは、内面に螺旋状の搬送路(図示省略)が形成されたボウル(部品搬送部材)1と、ボウル1が取り付けられる上部振動体2と、床上に設置される基台5と、上部振動体2のカウンタウェイトとなる下部振動体3と、上部振動体2と下部振動体3とを連結する複数の板ばね4と、下部振動体3と基台5とを連結する防振部材6と、上部振動体2を振動させる駆動部(図示省略)とからなる。そして、板ばね4を利用した共振現象によって駆動部で発生させた振動の振幅を増幅し、この増幅された振動を上部振動体2を介してボウル1に付与することにより、ボウル1上の部品を搬送しながら整列させるようになっている。
【0003】
上記のようなパーツフィーダには、通常、その振幅の制御を行う制御装置が付設されている。このようなパーツフィーダ用制御装置の制御回路の一例を図8に示す。この制御回路51は、パーツフィーダに取り付けられた振動センサ(振動検出器)52の出力信号が信号増幅回路53とフィルタ54を通って入力され、この入力信号をA/D変換回路55で振幅の大きさ信号に変換し、設定器56で設定された目標振幅の大きさとの誤差を検出して、その誤差をなくすように出力設定回路57で出力電圧の設定値を決定し、決定した出力電圧の信号をパーツフィーダの駆動部58に送るようになっている。また、パーツフィーダの振動の周波数がその共振周波数となるように出力電圧の周波数を補正する共振点追尾回路59を設けて、少ない電流で効率よく振幅制御が行えるようにしている。
【0004】
ところで、上記のようなフィードバック型の振幅制御を行う場合、そのフィードバック回路を簡略化して考えると、振幅の大きさの誤差を増幅する制御ゲイン(図8の例では出力設定回路57に含まれる)を大きくするほど、実際の振幅が目標振幅に近づくことになるので、制御ゲインは大きくすることが望ましい。そして、そのためには、振動センサの出力信号から、増幅されると制御の安定性にとって好ましくないノイズ成分をフィルタで取り除くことが重要となる。
【0005】
しかしながら、従来の制御装置のフィルタは、振動センサの出力信号から予め設定された通過周波数帯域に入る信号成分を取り出すものであり(例えば、特許文献1参照。)、その通過周波数帯域が固定であるため、実際にはノイズ成分を十分に取り除くことができず、これがパーツフィーダの振幅制御の安定性を低下させる要因の一つとなっている場合が多かった。
【0006】
例えば、このような制御装置は、コスト削減のために共振周波数の異なる各種のパーツフィーダに共通して使用できるように設計する場合が多く、その場合には、フィルタの通過周波数帯域も広く設定されるので、振動センサの出力信号に含まれる種々のノイズ成分のうち、その周波数がフィルタの通過周波数帯域に入り、フィルタを通過してしまうものが多くなりやすい。
【0007】
具体的な例として、共振周波数が120Hz近辺のパーツフィーダAと、共振周波数が60Hz近辺のパーツフィーダBに共通して使用できる制御装置を設計する場合を考えると、通常、その制御装置のフィルタの通過周波数帯域は30〜160Hz程度とされる。ところが、図10に示すように、これらのパーツフィーダA、Bを共通の架台上に並べて設置して運転した場合、防振部材が入っていてもパーツフィーダAの振動が架台を通してパーツフィーダBに伝わってしまう。また逆にパーツフィーダBの振動がパーツフィーダAに伝わってしまう。このような状態で、各パーツフィーダA、Bに振動センサと制御装置を付設した場合、パーツフィーダAの制御装置にとって、パーツフィーダBからパーツフィーダAに伝わる60Hz近辺の振動はノイズであり、またパーツフィーダBの制御装置にとって、パーツフィーダAからパーツフィーダBに伝わる120Hz近辺の振動はノイズであるが、いずれの制御装置でも制御対象でない方のパーツフィーダの振動をフィルタで取り除くことができず、各パーツフィーダA、Bの振幅制御が不安定になるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3186129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、振動式部品供給装置の振幅制御において、入力されるノイズ成分を精度よく取り除いて制御の安定性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、振動式部品供給装置に取り付けた振動検出器の出力信号から、予め設定された通過周波数帯域に入る信号成分を取り出すフィルタを備え、このフィルタを通過した信号成分に基づいて前記部品供給装置の振幅制御を行う振動式部品供給装置用制御装置において、前記フィルタの通過周波数帯域を、前記部品供給装置の運転条件に応じて切り替えるようにした。
【0011】
上記の構成とすることにより、フィルタの通過周波数帯域を部品供給装置の運転条件に応じて適切に狭い幅で設定して、入力されるノイズ成分を精度よく取り除くことができる。
【0012】
前記フィルタの通過周波数帯域を切り替えるための具体的な手段としては、前記フィルタの通過周波数帯域を複数用意しておき、前記部品供給装置の運転条件に応じて前記複数の通過周波数帯域のうちのいずれか一つを選択するようにするとよい。このとき、運転条件の一つとして複数用意された駆動電圧パターン(出力周波数に対して出力電圧の可変範囲を規定するもの、例えば、特許第3494266号公報参照。)のうちから、制御装置が接続された部品供給装置に応じて設定される駆動電圧パターンに基づいて、通過周波数帯域の選択を行うようにしてもよい。
【0013】
また、前記部品供給装置の運転開始後に部品供給装置の共振周波数を求める回路を設け、前記共振周波数が求められた後、前記フィルタの通過周波数帯域を、求められた共振周波数を中心とする狭い周波数帯域に変更するようにしてもよい。
【0014】
上記のように部品供給装置の共振周波数を求めてフィルタの通過周波数帯域を切り替える場合は、前記フィルタとして、前記部品供給装置の運転中、常に前記振動検出器の出力信号が入力され、変更前の通過周波数帯域に入る信号成分を取り出す第1フィルタ部と、前記共振周波数が求められた後、前記第1フィルタ部を通過した信号成分が入力され、変更後の通過周波数帯域に入る信号成分を取り出す第2フィルタ部とからなるものを採用することができる。
【0015】
あるいは、前記フィルタの通過周波数帯域を複数用意しておき、そのうちのいずれか一つを前記部品供給装置の運転開始前に選択し、前記共振周波数が求められた後、求められた共振周波数に応じて、前記複数の通過周波数帯域のうちから運転開始前に選択した通過周波数帯域よりも狭い通過周波数帯域を選択するようにすることもできる。
【0016】
ここで、前記変更後の通過周波数帯域の幅は、無負荷状態で求められた前記共振周波数に応じて変えることが望ましく、例えば、前記共振周波数に一定の比率を乗じたものとすることができる。
【0017】
また、前記フィルタは、ローパスフィルタまたはハイパスフィルタのみで構成することにより、一般的なバンドパスフィルタで構成する場合に比べてコストの低減を図ることができる。一方、前記フィルタをローパスフィルタとハイパスフィルタの組み合わせによって構成すれば、バンドパスフィルタで構成する場合と同等の効果が得られ、かつバンドパスフィルタよりも回路構成を簡単にすることができる。
【0018】
さらに、前記部品供給装置の運転中、前記フィルタを通過する信号成分がなくなったときに異常信号を出力するようにすれば、部品供給装置のトラブル発生時に早急に対応できるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の振動式部品供給装置用制御装置は、上述したように、振動検出器の出力信号が入力されるフィルタの通過周波数帯域を、部品供給装置の運転条件に応じて切り替えるようにしたものであるから、フィルタの通過周波数帯域を従来よりも適切に狭い幅で設定して、入力されるノイズ成分を精度よく取り除くことができ、安定した制御を行うことができる。特に、フィードバック型の振幅制御を行う場合は、そのフィードバック回路中の制御ゲインを大きくしてもノイズ成分の影響が少ないので、高精度の制御を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の制御装置の制御回路のブロック線図
【図2】aは振動センサの出力信号波形の概略図、b、cはそれぞれフィルタ通過後の信号波形の概略図
【図3】a〜bは、それぞれ図1の回路の変形例のフィルタの挙動を説明するグラフ
【図4】a〜cは、それぞれ図1の回路の別の変形例のフィルタの挙動を説明するグラフ
【図5】a〜cは、それぞれ図1の回路のさらに別の変形例のフィルタの挙動を説明するグラフ
【図6】第2実施形態の制御装置の制御回路のブロック線図
【図7】第3実施形態の制御装置の制御回路のブロック線図
【図8】従来の制御装置の制御回路のブロック線図
【図9】一般的なパーツフィーダ(ボウルフィーダ)の正面図
【図10】2台のパーツフィーダを並設した状態を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。第1の実施形態の振動式部品供給装置用制御装置は、図9に示した振動式部品供給装置(パーツフィーダ)としてのボウルフィーダに組み込まれ、図1に示す制御回路11により、ボウルフィーダに取り付けた振動センサ(振動検出器)12から送られる出力信号に基づいてボウルフィーダの駆動部13への印加電圧を制御するものである。ここで、ボウルフィーダの構成は前述の通りであるので、説明を省略する。
【0022】
前記制御回路11の基本的な構成は、図8に示した従来の制御回路51と同じである。すなわち、この制御回路11は、図1に示すように、振動センサ12の出力信号が、信号増幅回路14とフィルタ15を通って入力され、この入力信号をA/D変換回路16で振幅の大きさ信号に変換し、設定器17で設定された目標振幅の大きさとの誤差を検出して、その誤差をなくすように出力設定回路18で出力電圧の設定値を決定し、決定した出力電圧の信号をパーツフィーダの駆動部13に送ることにより、フィードバック型の振幅制御を行っている。また、従来と同様に、共振点追尾回路19が設けられている。
【0023】
この制御回路11の従来と異なる点は、フィルタ15に対してその通過周波数帯域の切替信号を出力する通過帯域切替器20を設けて、フィルタ15の通過周波数帯域をパーツフィーダの運転条件に応じて切り替えるようにしていることである。
【0024】
具体的には、制御装置が接続されるパーツフィーダに応じて複数の駆動電圧パターンを用意している場合は、設定器17に複数の駆動電圧パターンを、フィルタ15に複数の通過周波数帯域をそれぞれ用意しておき、作業者がパーツフィーダの運転条件に応じて設定器17内の複数の駆動電圧パターンのうちの一つを選択すると、選択された駆動電圧パターンに基づく切替信号が通過帯域切替器20からフィルタ15に出力され、その切替信号によってフィルタ15内の複数の通過周波数帯域のうちの一つが選択されるようにしている。このフィルタ15の実際の構成は、前記切替信号により選択されたコンデンサと固定の抵抗との積に反比例して通過周波数帯域が変わるようにしたパッシブフィルタである。
【0025】
一方、駆動電圧パターンを用意していない制御装置の場合は、接続されるパーツフィーダに応じて切り替えられる周波数設定領域の切替信号や、パーツフィーダの機種の選択信号を、駆動電圧パターンの信号の代わりに利用することができる。
【0026】
図2は、前記フィルタ15の通過周波数帯域の広さがフィルタ15通過後の信号波形に及ぼす影響を示したものである。図2(a)に示す振動センサ12の出力信号波形に対して、通過周波数帯域を広く設定した場合(図2(b))よりも、通過周波数帯域を狭く設定した場合(図2(c))の方が、ノイズが少なくなることがわかる。
【0027】
そして、前記駆動電圧パターンの選択基準となるパーツフィーダの運転条件には、パーツフィーダの駆動方式を用いている。すなわち、一般的なパーツフィーダは、「半波」と呼ばれる駆動方式では振動数表示であらわすと40〜70Hzで駆動され、「全波」と呼ばれる駆動方式では90〜140Hzで駆動される。また、「高周波」と呼ばれる駆動方式では、200〜400Hzで駆動される。従って、すべての駆動方式の駆動周波数を含むように通過周波数帯域を固定した場合に比べて、駆動方式に応じて通過周波数帯域を狭く設定することにより、ノイズ成分を精度よく取り除くことができる。
【0028】
この制御装置は、上述したように、フィルタ15の通過周波数帯域をパーツフィーダの運転条件に応じて切り替えるようにしたので、通過周波数帯域を従来よりも適切に狭い幅で設定して、入力されるノイズ成分を精度よく取り除くことができる。従って、図10の例のように共振周波数が異なる複数のパーツフィーダを共通の架台上に並べて設置した場合でも、各パーツフィーダに付設された制御装置では、その制御対象以外のパーツフィーダの振動を取り除いて安定した制御を行うことができる。もちろん、パーツフィーダを単独で設置する場合の制御の安定性も向上するし、ノイズ成分が制御を不安定にするおそれが少ないので、出力設定回路18に含まれる制御ゲインを大きくして、より高精度の制御を実現することも可能となる。
【0029】
なお、上述した実施形態では、フィルタ15の通過周波数帯域を決定する方法として、フィルタ15を基本的なパッシブフィルタとし、そのコンデンサ側を通過帯域切替器20の切替信号により切り替えるようにしたが、抵抗側を切り替えるようにしてもよいし、パッシブフィルタよりも高性能なアクティブフィルタを用いてもよい。あるいは、その切り替えを半導体スイッチ等で行うこともできる。また、IC等を用いてデジタルフィルタを組んで、通過周波数帯域を切り替えるようにしてもよい。
【0030】
また、この制御装置では、制御回路11内に共振点追尾回路19が設けられ、パーツフィーダの運転開始後にその共振周波数を求めるようになっているので、以下に述べる変形例のように、求められた共振周波数を利用して通過周波数帯域を変更する回路(図示省略)を加えることにより、制御の安定性をさらに向上させることができる。
【0031】
まず、パーツフィーダの運転開始時にはまだ共振周波数が不明なので、共振周波数を探している間は、図3(a)に示すように、フィルタ15の通過周波数帯域をある程度広く設定しておき、共振周波数が求められた後は、図3(b)に示すように、フィルタ15の通過周波数帯域を求められた共振周波数を中心とする狭い周波数帯域に変更する。このようにすれば、通過周波数帯域をより効果的にノイズ成分が除去される領域に設定することができる。
【0032】
上記のような変形例の場合、そのフィルタ15は、パーツフィーダの運転中、常に振動センサ12の出力信号が入力され、変更前の通過周波数帯域に入る信号成分を取り出す第1フィルタ部と、共振周波数が求められた後、前記第1フィルタ部を通過した信号成分が入力され、変更後の通過周波数帯域に入る信号成分を取り出す第2フィルタ部とからなるものとするとよい。
【0033】
あるいは、共振周波数が求められた後、求められた共振周波数に応じて、フィルタ15に用意された複数の通過周波数帯域のうちから、運転開始前に選択した通過周波数帯域よりも狭い通過周波数帯域を選択するようにしてもよい。
【0034】
ここで、パーツフィーダにおいては、無負荷の場合の共振周波数が高いほど、部品の重量変動等の外乱による共振周波数の変動幅が広くなることが経験的に分かっている。従って、変更後の通過周波数帯域の幅は、無負荷時の共振周波数に応じて設定することが望ましい。
【0035】
例えば、無負荷状態で求められた共振周波数に一定の比率を乗じたものを通過周波数帯域の幅としてもよい。その場合、無負荷時の共振周波数が62.5Hzのときに、これに乗じる比率を0.2とすれば、50〜75Hzが通過周波数帯域となる。あるいは、求められた共振周波数を用いる代わりに、図4(a)〜(c)に示すように、簡易的にパーツフィーダの駆動方式によって通過周波数帯域の幅を設定するようにしてもよい。すなわち、通過周波数帯域の幅を、共振周波数の低い「半波」の場合は狭く、「高周波」の場合は広く、「全波」の場合は「半波」と「高周波」の中間の幅とする。
【0036】
また、図1の例および上記の各変形例において、除去したいノイズ成分がパーツフィーダの振動成分よりも高周波側に偏っている場合は、フィルタ15を図5(a)に示すようなローパスフィルタのみで構成してもよく、ノイズ成分が低周波側に偏っている場合は図5(b)に示すようなハイパスフィルタのみで構成してもよい。このようにフィルタ15をローパスフィルタまたはハイパスフィルタのみで構成すれば、一定幅の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタで構成する場合に比べて、コストの低減を図ることができる。一方、図5(c)に示すように、ローパスフィルタとハイパスフィルタを組み合わせてフィルタ15を構成すれば、バンドパスフィルタで構成する場合と同等の効果が得られ、かつバンドパスフィルタよりも回路構成を簡単にすることができる。
【0037】
図6は、第1実施形態の図1に示した制御回路11の主要部をCPU化した第2の実施形態を示す。この実施形態の制御回路21では、振動センサ12の出力信号が信号増幅回路14で増幅されてCPU22に入り、A/D変換により振幅の大きさ信号に変換されてからフィルタ23にかけられる。そして、CPU22内でフィルタ23を通過した信号と設定器17から送られる目標振幅とから出力電圧の設定値を演算し、決定した出力電圧の信号をパーツフィーダ駆動部13に送るようになっている。また、図1の共振点追尾回路19の代わりに、波型整形回路24とCPU22内のPLL(Phase-Locked Loop)25とにより共振点追尾制御が行われる。
【0038】
この第2実施形態では、フィルタ23がCPU22内のデジタルフィルタ(ソフトウェア)で構成されるので、設定器17から送られるパーツフィーダの駆動方式等の信号に基づいてフィルタ23の通過周波数帯域を切り替えるのにI/O回路や切り替え用の部品を必要とせず、第1実施形態に比べて回路構成が簡単でコスト面で有利である。また、デジタルフィルタの場合は、あらかじめ通過周波数帯域を設定しておかなくても、求められた共振周波数に応じて一定の比率を乗じる等の演算から通過周波数帯域を設定できるので、選択の自由度を上げることもできる。
【0039】
図7は第3の実施形態を示す。この実施形態の制御回路26は、第1実施形態の図1に示した制御回路11に、出力電圧の信号を検出する電圧検出器27と、電圧検出器27で検出された出力電圧信号とフィルタ15を通過した信号とからパーツフィーダの異常を検出する異常検出回路28を追加したものである。その異常検出回路28は、制御回路26が出力電圧信号を出している(パーツフィーダが運転中である)にもかかわらず、フィルタ15を通過する信号成分がなくなったときに異常信号を出力するようになっている。
【0040】
例えば、パーツフィーダに板ばね4の折損等のトラブルが発生してパーツフィーダの振動の周波数が共振周波数から大きく離れてしまったときには、振動センサ12からの信号がフィルタ15の通過周波数帯域から外れるのでフィルタ15によって減衰してしまい、振幅信号が検知できなくなる。このような場合に、この第3実施形態では、異常状態の発見が早くでき、すぐに作業者に異常を知らせることができるので、作業者がトラブルに早急に対応でき、復旧までの時間を短縮することが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1 ボウル
2 上部振動体
3 下部振動体
4 板ばね
5 基台
6 防振部材
11、21、26 制御回路
15、23 フィルタ
22 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動式部品供給装置に取り付けた振動検出器の出力信号から、予め設定された通過周波数帯域に入る信号成分を取り出すフィルタを備え、このフィルタを通過した信号成分に基づいて前記部品供給装置の振幅制御を行う振動式部品供給装置用制御装置において、前記フィルタの通過周波数帯域を、前記部品供給装置の運転条件に応じて切り替えるようにしたことを特徴とする振動式部品供給装置用制御装置。
【請求項2】
前記フィルタの通過周波数帯域と、前記部品供給装置の運転条件に応じて設定される駆動電圧パターンをそれぞれ複数用意しておき、設定された駆動電圧パターンに基づいて前記複数の通過周波数帯域のうちのいずれか一つを選択するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品供給装置用制御装置。
【請求項3】
前記部品供給装置の運転開始後に部品供給装置の共振周波数を求める回路を設け、前記共振周波数が求められた後、前記フィルタの通過周波数帯域を、求められた共振周波数を中心とする狭い周波数帯域に変更するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の振動式部品供給装置用制御装置。
【請求項4】
前記フィルタが、前記部品供給装置の運転中、常に前記振動検出器の出力信号が入力され、変更前の通過周波数帯域に入る信号成分を取り出す第1フィルタ部と、前記共振周波数が求められた後、前記第1フィルタ部を通過した信号成分が入力され、変更後の通過周波数帯域に入る信号成分を取り出す第2フィルタ部とからなるものであることを特徴とする請求項3に記載の振動式部品供給装置用制御装置。
【請求項5】
前記フィルタの通過周波数帯域を複数用意しておき、そのうちのいずれか一つを前記部品供給装置の運転開始前に選択し、前記共振周波数が求められた後、求められた共振周波数に応じて、前記複数の通過周波数帯域のうちから運転開始前に選択した通過周波数帯域よりも狭い通過周波数帯域を選択するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の振動式部品供給装置用制御装置。
【請求項6】
前記変更後の通過周波数帯域の幅を、無負荷状態で求められた前記共振周波数に応じて変えるようにしたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の振動式部品供給装置用制御装置。
【請求項7】
前記変更後の通過周波数帯域の幅を、前記共振周波数に一定の比率を乗じたものとしたことを特徴とする請求項6に記載の振動式部品供給装置用制御装置。
【請求項8】
前記フィルタをローパスフィルタまたはハイパスフィルタのみで構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の振動式部品供給装置用制御装置。
【請求項9】
前記フィルタをローパスフィルタとハイパスフィルタの組み合わせによって構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の振動式部品供給装置用制御装置。
【請求項10】
前記部品供給装置の運転中、前記フィルタを通過する信号成分がなくなったときに異常信号を出力するようにしたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の振動式部品供給装置用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−193016(P2012−193016A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57928(P2011−57928)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】