振動検知装置
【課題】XYZ軸方向の振動検知を一つのセンサ及び一つの系統の回路で行うことで、簡易な構成により容易に待機状態の機器の消費電力の抑制を行い、コスト低減が可能な振動検知装置を提供する。
【解決手段】可撓性及び導電性を有し十字形状の起歪体部、起歪体部の梁部の表面上に2個ずつ非接触でそれぞれの自発分極方向が予め定められた所定方向となるように形成され、圧縮、引張が印加されると電荷を発生する圧電体部、導電性を有し梁部のそれぞれの先端部が電気的に絶縁されて固定される固定枠、起歪体部の中央領域の他方の表面上に設けられた重錘体部を有する加速度センサ11、電荷伝送手段21、増幅器12、振動を検知したことを示す振動検知信号を出力する基準電圧比較器13、振動検知信号を与えられ、出力端子に接続された機器15の待機状態を動作状態に切り替える状態切替信号を出力する状態切替装置14とを備える。
【解決手段】可撓性及び導電性を有し十字形状の起歪体部、起歪体部の梁部の表面上に2個ずつ非接触でそれぞれの自発分極方向が予め定められた所定方向となるように形成され、圧縮、引張が印加されると電荷を発生する圧電体部、導電性を有し梁部のそれぞれの先端部が電気的に絶縁されて固定される固定枠、起歪体部の中央領域の他方の表面上に設けられた重錘体部を有する加速度センサ11、電荷伝送手段21、増幅器12、振動を検知したことを示す振動検知信号を出力する基準電圧比較器13、振動検知信号を与えられ、出力端子に接続された機器15の待機状態を動作状態に切り替える状態切替信号を出力する状態切替装置14とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所等において、地震計等の機器を用いてシステムの安全性を管理する必要がある。しかし、地震計等の機器では電池等の電源が必要である。このため、このような機器を常に動作状態にしておくと消費電力がかさむこととなる。よって、動作していない間は可能な限り省電力で待機状態とし、必要な時にのみ動作を開始させる必要がある。
【0003】
そこで、待機時には機器をスリープ状態にして消費電力を抑制し、地震発生と同時に地震動を収録できる状態に起動させることが求められている。
【0004】
地震計等の機器を待機状態から収録状態に復帰動作させる手法としては、特許文献1に記載された技術があった。これは、外部からの衝撃に反応して交流電荷を発生するバイモルフ型の圧電体と、発生した電荷に整流及び充電を行う蓄電回路と、蓄電した電力で動作し蓄電電圧が予め設定した電圧になると外部信号を出力する電圧検知回路とを有する衝撃検知センサと、外部信号により待機状態から復帰し動作する待機制御の対象部と、待機制御の対象部に電力を供給する電源とを備え、待機制御の対象部は圧電素子ユニットにより検知した衝撃の信号をトリガーとして待機状態から復帰するというものである。
【0005】
また、振動を検知する技術として、特許文献2に記載されたものがあった。これは、固定枠にその周辺部が固定された可撓性を持った円盤状の起歪体と、この起歪体の上表面に設けられた下部電極とこの電極の上に積層された圧電セラミックとこの表面に取り付けられた上部電極からなる圧電素子と、起歪体の下面中央部に取り付けられた重錘体とを備え、起歪体にはX軸方向の歪を検出する1対の素子と、Y軸方向の歪を検出する1対の素子とZ軸方向の歪を検出する2対の素子の4組の圧電素子とを設けて、XYZ軸方向の加速度を検出するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4272177号公報
【特許文献2】特開平8−129071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された技術は、一方向からの衝撃を検知して待機状態の機器を収録状態に復帰させるものである。よって、XYZ軸の三方向からの衝撃を検知するには3つの衝撃検知センサが必要になり、構成が複雑化しコスト増加を招いていた。
【0008】
また特許文献2に記載された技術では、XYZ軸方向の地震動を検知することが可能ではあるが3つの検知回路が必要であり、コスト増加は避けられなかった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、XYZ軸方向の振動検知を一つのセンサ及び一つの系統の回路で行うことで、簡易な構成により容易に待機状態の機器の消費電力の抑制を行い、コスト低減が可能な振動検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による振動検知装置は、
可撓性及び導電性を有し、4本の平坦な梁部を含む十字形状を有する起歪体部と、
前記起歪体部の前記梁部のそれぞれの一方の表面上に2個ずつ相互に非接触の状態で、それぞれの自発分極方向が予め定められた所定方向となるように形成され、圧縮、引張が印加されると電荷を発生する圧電体部と、
導電性を有し、前記起歪体部の前記梁部のそれぞれの先端部が電気的に絶縁された状態で固定される固定枠と、
前記起歪体部における4本の前記梁部が接続する中央領域の他方の表面上に設けられた重錘体部とを有する加速度センサと、
前記圧電体部が発生した電荷を伝送する電荷伝送手段と、
前記電荷伝送手段により伝送された電荷を与えられて増幅して電圧信号を出力する増幅器と、
前記増幅器から出力された前記電圧信号と基準電圧とを与えられて比較し、前記電圧信号が前記基準電圧以上あるいは前記基準電圧より高い場合に振動を検知したことを示す振動検知信号を出力する基準電圧比較器と、
前記基準電圧比較器から出力された前記振動検知信号を与えられ、出力端子に接続された機器の待機状態を動作状態に切り替える状態切替信号を出力する状態切替装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の振動検知装置によれば、XYZ軸方向の振動検知を一つの加速度センサ及び一つの系統の回路で行うことで、簡易な構成により容易に待機状態の機器の消費電力の抑制を行い、コストの低減が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1〜第3の実施の形態による振動検知装置の構成を示すブロック図。
【図2】同振動検知装置における加速度センサの構成を示す平面図。
【図3】同振動検知装置における加速度センサの構成を示す側面図。
【図4】同振動検知装置の加速度センサにおいてZ軸方向加速度を検知するときの動作を示す側面図。
【図5】同振動検知装置の加速度センサにおいてX軸又はY軸方向加速度を検知するときの動作を示す側面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成を示す平面図。
【図7】同第1の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成により得られる電気信号出力比を示す説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成を示す平面図。
【図9】同第2の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成により得られる電気信号出力比を示す説明図。
【図10】本発明の第3の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成を示す平面図。
【図11】同第3の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成により得られる電気信号出力比を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態による振動検知装置について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1に、後述する第1〜第3の実施の形態による振動検知装置10の構成、並びにこの振動検知装置10に接続された地震計等の機器15を示す。
【0015】
この振動検知装置10は、加速度センサ11、増幅器12、基準電圧比較器13、状態切替装置14を備えている。
【0016】
加速度センサ11は後述する構成を備え、地震等による振動が加えられて加速度が印加されると電荷を発生する。この電荷は、電荷伝送手段21を介して電流信号として増幅器12に与えられる。増幅器12は、与えられた電流信号を増幅して電圧信号を基準電圧比較器13に出力する。
【0017】
基準電圧比較器13は、増幅器12から出力された電圧信号と、予め設定された基準電圧とを与えられて両者を比較し、電圧信号が基準電圧以上、あるいは基準電圧を超えた時に振動検知信号を出力する。即ち、加速度センサ11に印加された加速度の大きさが予め設定された閾値以上あるいは閾値を超えた時に、所定レベルの振動を検知したことを示す振動検知信号を状態切替装置14に出力する。ここで、加速度センサ11からの出力において、最大値と最少値の出力比は例えば約4〜5倍の相違が存在する。そこで、出力の最少値に対応して閾値を設定してもよい。
【0018】
状態切替装置14は機器15に接続されており、基準電圧比較器13から振動検知信号を与えられると、待機状態の機器15を例えば地震収録が可能な動作状態に切り替える。
【0019】
具体的な一例として、増幅器12として例えばBU7265G(ローム社:登録商標)等、基準電圧比較器6として例えばLTC1540(リニアテクノロジー社:登録商標)等を使用してもよく、この場合には消費電流を1μA以下というように低減することができる。状態切替装置14として、例えばMSP430シリーズ(Texas Instruments社:登録商標)やnanoWatt XLP(Microchip Technology社:登録商標)等のマイクロコンピュータを用いてもよい。
【0020】
このような構成を備えたことにより、第1〜第3の実施の形態による振動検知装置によれば、地震等による振動を検知し、予め振動強度を勘案して設定した大きさの振動値に到達したときに、消費電力低減のため待機状態にある装置を収録状態等の動作状態に復帰動作させることができる。
【0021】
以下に、第1〜第3の実施の形態による振動検知装置10におけるそれぞれの加速度センサ11の具体的な構成について説明する。
【0022】
(1)第1の実施の形態
本発明の第1の実施形態による振動検知装置10の加速度センサ11の構成について、図2〜図7を参照して説明する。
【0023】
図2に加速度センサ11の平面構成を示し、図3に側面から見た構成を示す。
【0024】
この加速度センサ11は、導電性材料から成り中央部に図示されたような矩形の空間を有する固定枠1と、可撓性を有する導電性材料から成り、4本の平坦な梁部を含む十字形状の起歪体部2と、起歪体部2の一方の表面上(図中、上面)の所定領域に形成された圧電体部3a〜3hと、起歪体部2における4本の梁部が交差する中央領域の他方の表面上(図中、下面)に設けられた重錘体部4とを備えている。
【0025】
起歪体部2は、例えば線膨張係数がセラミックスに近い42アロイ材等により形成されている。圧電体部3a〜3hは、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)材、チタン酸バリウム材等の圧電セラミックス材料により形成されている。
【0026】
起歪体部2のX軸方向に沿う梁部上に、図中左側から中央領域へ向かって圧電体部3a、3b、中央領域から右側へ向かって圧電体部3c、3dが形成され、起歪体部2のY軸方向に沿う梁部上に、図中上側から中央領域へ向かって圧電体部3e、3f、中央領域から下側へ向かって圧電体部3g、3hが形成されている。
【0027】
起歪体部2の一方の表面上に圧電体部3a〜3hを形成する手法としては、例えば線膨張係数がセラミックスに近いアルミナやシリカ等を主成分とする接着剤を用いて接着してもよい。
【0028】
図4に、加速度センサ11にZ軸方向に下向きに加速度が加わったときの状態を示す。起歪体部2にひずみが生じて、X軸方向に配列された圧電体部3a、3b、3c、3dに引張又は圧縮が加わって電荷が生じる。Y軸方向に配列された圧電体部3e、3f、3g、3hにも同様に引張又は圧縮が加わって電荷が生じる。Z軸方向に上向きに加速度が加わるとそれぞれの圧電体部3a〜3hに生じる引張、圧縮が入れ替わり、電荷の極性が反転する。
【0029】
図5に、加速度センサ11にX軸方向に図中右向きに加速度が加わったときの状態を示す。起歪体部2にひずみが生じて、X軸方向に配列された圧電体部3a、3b、3c、3dに引張又は圧縮が加わって電荷が生じる。X軸方向に図中左向きに加速度が加わると引張、圧縮が入れ替わり、電荷の極性が反転する。しかし、Y軸方向に配列された圧電体部3e、3f、3g、3hには引張、圧縮が加わらず電荷は生じない。
【0030】
図6に、第1の実施の形態による加速度センサ11において、電荷伝送手段21により圧電体部3a〜3hが接続された構成を示す。起歪体部2が、接地端子GNDに接続され接地されている。圧電体部3a〜3hのうち、圧電体部3a及び3bが並列に相互接続され、圧電体部3c及び3dが並列に相互接続され、圧電体部3g及び3hが並列に相互接続されている。圧電体部3eと出力端子OUTとが接続され、これとそれぞれ並列に、圧電体部3a及び3b、圧電体部3c及び3d、圧電体部3g及び3hが出力端子OUTに接続されている。
【0031】
圧電体部3fは接続されておらず、この第1の実施の形態ではダミー圧電体部に相当する。このように、起歪体部2上の圧電体部3a〜3hを全て形成しておき、電荷伝送手段21による接続構成のみを変えることで、コストを低減することができる。
【0032】
ここで、圧電体部3a〜3hは、それぞれ圧電極性(自発分極方向)を有している。第1の実施の形態では、圧電体部3a及び3hの圧電極性と、他の圧電体部3b、3c、3d、3e、3f、3gの圧電極性とが反転されている。
【0033】
即ち、第1の実施の形態では、圧電体部3a及び3h、又は圧電体部3d及び3h、又は圧電体部3d及び3e、又は圧電体部3a及び3eのいずれかの圧電極性が、他の圧電体部と異なるように配置されており、さらに圧電体部3b、3c、3f、3gのいずれか一つを除く他の圧電体部が出力端子Oにそれぞれ並列に接続され、起歪体部2が接地されている。
【0034】
このように圧電体部3a〜3hが接続された加速度センサ11に、XYZ軸方向に同じ大きさの加速度をそれぞれ印加すると、図7に示された極性を有する出力比が得られる。この極性は、一方を引張とすると他方は圧縮に相当する。振動の向きが変わり引張と圧縮とが入れ替わると、出力の極性が反転する。
【0035】
X軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3dに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3cに圧縮又は引張が加わって電荷が生じ、圧電体部3e、3g、3hには電荷が生じない。ここで、圧電体部3aは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は−2となる。
【0036】
Y軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3e、3gに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3hに圧縮又は引張が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3b、3c、3dには電荷が生じない。ここで、圧電体部3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は3となる。
【0037】
Z軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3c、3gに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3d、3e、3hに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は3となる。
【0038】
XY軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3c、3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3d、3e、3gに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。XY軸方向に加速度が印加された時は、X軸方向のみ、Y軸方向のみ、Z軸方向のみに加速度がそれぞれ印加された時と比較し、歪が抑制されることを考慮し、この場合の出力係数は0.7とし、合計した値に0.7を乗算した出力比は−3.5となる。
【0039】
YX軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3d、3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3c、3e、3gに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合もXY軸方向に加速度が印加された時と同様に、出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は−0.7となる。
【0040】
上述のように第1の実施の形態によれば、XYZ軸の3方向の振動検知を、一つの加速度センサ11、並びに増幅器12、基準電圧比較器13、状態切替装置14を有する一系統の回路及び一つの系統の回路で実現することで、簡易な構成により容易に待機状態の機器15を動作状態に切り替えることが可能であり、機器の消費電力を抑制しコスト低減を実現することができる。
【0041】
(2)第2の実施の形態
本発明の第2の実施形態による振動検知装置10の加速度センサ11の構成について、図8〜図9を参照して説明する。
【0042】
加速度センサ11の構成は上記第2の実施の形態と同様であり、説明を省略する。第2の実施の形態は、加速度センサ11における圧電体部3a〜3hの接続構成が上記第1の実施の形態と異なっており、図8に示される通りである。
【0043】
起歪体部2が、接地端子GNDに接続され接地されている。圧電体部3a〜3hのうち、圧電体部3a及び3bが並列に相互接続され、圧電体部3c及び3dが並列に相互接続されている。圧電体部3hと出力端子OUTとが接続され、これとそれぞれ並列に、圧電体部3a及び3b、圧電体部3c及び3dが接続されて、出力端子OUTに接続されている。圧電体部3e、3f、3gは接続されておらず、ダミー圧電体部に相当する。第2の実施の形態では、圧電体部3a及び3hの圧電極性と、他の圧電体部3b、3c、3d、3e、3f、3gの圧電極性とが反転されている。
【0044】
即ち、第2の実施の形態では、圧電体部3a及び3h、又は圧電体部3d及び3h、又は圧電体部3d及び3e、又は圧電体部3a及び3eのいずれかの圧電極性が、他の圧電体部と異なるように配置されており、さらに、圧電体部3a、3b及び3cから成る第1群、あるいは圧電体部3b、3c及び3dから成る第2群、あるいは圧電体部3e、3f及び3gから成る第3群、あるいは圧電体部3f、3g及び3hから成る第4群のいずれか一つの群であって、かつ圧電極性が他の圧電体部と異なるように配置されたものを含まない群を除く他の圧電体部が出力端子Oにそれぞれ並列に接続され、起歪体部2が接地されている。
【0045】
このように圧電体部3a〜3hが接続された加速度センサ11に、XYZ軸方向に同じ大きさの加速度を印加すると、図9に示された極性を有する出力比が得られる。この極性は、一方を引張とすると他方は圧縮に相当する。
【0046】
X軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3dに圧縮又は引張が加わって電荷が生じ、圧電体部3hには電荷が生じない。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は−2となる。
【0047】
Y軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3b、3c、3dには電荷が生じない。ここで、圧電体部3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は1となる。
【0048】
Z軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3d、3hに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は3となる。
【0049】
XY軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3c、3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3dに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は−2.1となる。
【0050】
YX軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3d、3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3cに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は0.7となる。
【0051】
以上のように第2の実施の形態によれば、XYZ軸の3方向の振動検知を、一つの加速度センサ11、並びに増幅器12、基準電圧比較器13、状態切替装置14を有する一系統の回路及び一つの系統の回路で実現することで、簡易な構成により容易に待機状態の機器15を動作状態に切り替えることが可能であり、機器の消費電力を抑制しコスト低減を実現することができる。
【0052】
(3)第3の実施の形態
本発明の第3の実施形態による振動検知装置10の加速度センサ11の構成について、図10〜図11を参照して説明する。
【0053】
加速度センサ11の構成は、後述するように上記第1、第2の実施の形態と圧電極性の配置が異なるが他は同様であり、説明を省略する。第3の実施の形態における加速度センサ11における圧電体部3a〜3hの接続構成は、図10に示される通りである。
【0054】
起歪体部2が、接地端子GNDに接続され接地されている。圧電体部3a〜3hのうち、圧電体部3a及び3bが並列に相互接続され、圧電体部3c及び3dが並列に相互接続されている。圧電体部3eと出力端子OUTとが接続され、これとそれぞれ並列に、圧電体部3a及び3b、圧電体部3c及び3dが接続されて、出力端子OUTに接続されている。圧電体部3f、3g、3hは接続されておらず、ダミー圧電体部に相当する。第3の実施の形態では、圧電体部3aの圧電極性と、他の圧電体部3b、3c、3d、3e、3f、3g、3hの圧電極性とが反転されている。
【0055】
即ち、第3の実施の形態では、圧電体部3a、3h、3d、又は3eのいずれか一つの圧電極性が、他の圧電体部と異なるように配置されており、さらに、圧電体部3a、3b及び3cから成る第1群、あるいは圧電体部3b、3c及び3dから成る第2群、あるいは圧電体部3e、3f及び3gから成る第3群、あるいは圧電体部3f、3g及び3hから成る第4群のいずれか一つの群であって、かつ圧電極性が他の圧電体部と異なるように配置されたものを含まない群を除く他の圧電体部が出力端子Oにそれぞれ並列に接続され、起歪体部2が接地されている。
【0056】
このように圧電体部3a〜3hが接続された加速度センサ11に、XYZ軸方向に同じ大きさの加速度を印加すると、図11に示された極性を有する出力比が得られる。この極性は、一方を引張とすると他方は圧縮に相当する。
【0057】
X軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3dに圧縮又は引張が加わって電荷が生じ、圧電体部3eには電荷が生じない。ここで、圧電体部3aの圧電極性が反転されており出力が反転される。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は−2となる。
【0058】
Y軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3eに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3b、3c、3dには電荷が生じない。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は1となる。
【0059】
Z軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3d、3eに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3aの圧電極性が反転されており出力が反転される。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は1となる。
【0060】
XY軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3d、3eに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3aの圧電極性が反転されており出力が反転される。この場合の出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は−2.1となる。
【0061】
YX軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3dに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3c、3eに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3aの圧電極性が反転されており出力が反転される。この場合の出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は0.7となる。
【0062】
上述したように第3の実施の形態によれば、XYZ軸の3方向の振動検知を、一つの加速度センサ11、並びに増幅器12、基準電圧比較器13、状態切替装置14を有する一系統の回路及び一つの系統の回路で実現することで、簡易な構成により容易に待機状態の機器15を動作状態に切り替えることが可能であり、機器の消費電力を抑制しコスト低減を実現することができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の技術的範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の技術的範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0064】
例えば、加速度センサ11における圧電体部の接続構成は図6、図8、図10に記載されたものには限定されず、第1の方向に配置された圧電体部3a、3b、3c、3dのうち少なくともいずれか一つ、第1の方向と直交する第2の方向に配置された圧電体部3e、3f、3g、3hのうち少なくともいずれか一つが出力端子OUTに並列に接続されたものであればよい。
【符号の説明】
【0065】
1 固定枠
2 起歪体部
3 圧電体部
4 重錘体部
10 振動検知装置
11 加速度センサ
12 増幅器
13 基準電圧比較器
14 状態切替装置
15 機器
21 電荷伝送手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所等において、地震計等の機器を用いてシステムの安全性を管理する必要がある。しかし、地震計等の機器では電池等の電源が必要である。このため、このような機器を常に動作状態にしておくと消費電力がかさむこととなる。よって、動作していない間は可能な限り省電力で待機状態とし、必要な時にのみ動作を開始させる必要がある。
【0003】
そこで、待機時には機器をスリープ状態にして消費電力を抑制し、地震発生と同時に地震動を収録できる状態に起動させることが求められている。
【0004】
地震計等の機器を待機状態から収録状態に復帰動作させる手法としては、特許文献1に記載された技術があった。これは、外部からの衝撃に反応して交流電荷を発生するバイモルフ型の圧電体と、発生した電荷に整流及び充電を行う蓄電回路と、蓄電した電力で動作し蓄電電圧が予め設定した電圧になると外部信号を出力する電圧検知回路とを有する衝撃検知センサと、外部信号により待機状態から復帰し動作する待機制御の対象部と、待機制御の対象部に電力を供給する電源とを備え、待機制御の対象部は圧電素子ユニットにより検知した衝撃の信号をトリガーとして待機状態から復帰するというものである。
【0005】
また、振動を検知する技術として、特許文献2に記載されたものがあった。これは、固定枠にその周辺部が固定された可撓性を持った円盤状の起歪体と、この起歪体の上表面に設けられた下部電極とこの電極の上に積層された圧電セラミックとこの表面に取り付けられた上部電極からなる圧電素子と、起歪体の下面中央部に取り付けられた重錘体とを備え、起歪体にはX軸方向の歪を検出する1対の素子と、Y軸方向の歪を検出する1対の素子とZ軸方向の歪を検出する2対の素子の4組の圧電素子とを設けて、XYZ軸方向の加速度を検出するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4272177号公報
【特許文献2】特開平8−129071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された技術は、一方向からの衝撃を検知して待機状態の機器を収録状態に復帰させるものである。よって、XYZ軸の三方向からの衝撃を検知するには3つの衝撃検知センサが必要になり、構成が複雑化しコスト増加を招いていた。
【0008】
また特許文献2に記載された技術では、XYZ軸方向の地震動を検知することが可能ではあるが3つの検知回路が必要であり、コスト増加は避けられなかった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、XYZ軸方向の振動検知を一つのセンサ及び一つの系統の回路で行うことで、簡易な構成により容易に待機状態の機器の消費電力の抑制を行い、コスト低減が可能な振動検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による振動検知装置は、
可撓性及び導電性を有し、4本の平坦な梁部を含む十字形状を有する起歪体部と、
前記起歪体部の前記梁部のそれぞれの一方の表面上に2個ずつ相互に非接触の状態で、それぞれの自発分極方向が予め定められた所定方向となるように形成され、圧縮、引張が印加されると電荷を発生する圧電体部と、
導電性を有し、前記起歪体部の前記梁部のそれぞれの先端部が電気的に絶縁された状態で固定される固定枠と、
前記起歪体部における4本の前記梁部が接続する中央領域の他方の表面上に設けられた重錘体部とを有する加速度センサと、
前記圧電体部が発生した電荷を伝送する電荷伝送手段と、
前記電荷伝送手段により伝送された電荷を与えられて増幅して電圧信号を出力する増幅器と、
前記増幅器から出力された前記電圧信号と基準電圧とを与えられて比較し、前記電圧信号が前記基準電圧以上あるいは前記基準電圧より高い場合に振動を検知したことを示す振動検知信号を出力する基準電圧比較器と、
前記基準電圧比較器から出力された前記振動検知信号を与えられ、出力端子に接続された機器の待機状態を動作状態に切り替える状態切替信号を出力する状態切替装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の振動検知装置によれば、XYZ軸方向の振動検知を一つの加速度センサ及び一つの系統の回路で行うことで、簡易な構成により容易に待機状態の機器の消費電力の抑制を行い、コストの低減が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1〜第3の実施の形態による振動検知装置の構成を示すブロック図。
【図2】同振動検知装置における加速度センサの構成を示す平面図。
【図3】同振動検知装置における加速度センサの構成を示す側面図。
【図4】同振動検知装置の加速度センサにおいてZ軸方向加速度を検知するときの動作を示す側面図。
【図5】同振動検知装置の加速度センサにおいてX軸又はY軸方向加速度を検知するときの動作を示す側面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成を示す平面図。
【図7】同第1の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成により得られる電気信号出力比を示す説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成を示す平面図。
【図9】同第2の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成により得られる電気信号出力比を示す説明図。
【図10】本発明の第3の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成を示す平面図。
【図11】同第3の実施の形態による振動検知装置の加速度センサにおける接続構成により得られる電気信号出力比を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態による振動検知装置について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1に、後述する第1〜第3の実施の形態による振動検知装置10の構成、並びにこの振動検知装置10に接続された地震計等の機器15を示す。
【0015】
この振動検知装置10は、加速度センサ11、増幅器12、基準電圧比較器13、状態切替装置14を備えている。
【0016】
加速度センサ11は後述する構成を備え、地震等による振動が加えられて加速度が印加されると電荷を発生する。この電荷は、電荷伝送手段21を介して電流信号として増幅器12に与えられる。増幅器12は、与えられた電流信号を増幅して電圧信号を基準電圧比較器13に出力する。
【0017】
基準電圧比較器13は、増幅器12から出力された電圧信号と、予め設定された基準電圧とを与えられて両者を比較し、電圧信号が基準電圧以上、あるいは基準電圧を超えた時に振動検知信号を出力する。即ち、加速度センサ11に印加された加速度の大きさが予め設定された閾値以上あるいは閾値を超えた時に、所定レベルの振動を検知したことを示す振動検知信号を状態切替装置14に出力する。ここで、加速度センサ11からの出力において、最大値と最少値の出力比は例えば約4〜5倍の相違が存在する。そこで、出力の最少値に対応して閾値を設定してもよい。
【0018】
状態切替装置14は機器15に接続されており、基準電圧比較器13から振動検知信号を与えられると、待機状態の機器15を例えば地震収録が可能な動作状態に切り替える。
【0019】
具体的な一例として、増幅器12として例えばBU7265G(ローム社:登録商標)等、基準電圧比較器6として例えばLTC1540(リニアテクノロジー社:登録商標)等を使用してもよく、この場合には消費電流を1μA以下というように低減することができる。状態切替装置14として、例えばMSP430シリーズ(Texas Instruments社:登録商標)やnanoWatt XLP(Microchip Technology社:登録商標)等のマイクロコンピュータを用いてもよい。
【0020】
このような構成を備えたことにより、第1〜第3の実施の形態による振動検知装置によれば、地震等による振動を検知し、予め振動強度を勘案して設定した大きさの振動値に到達したときに、消費電力低減のため待機状態にある装置を収録状態等の動作状態に復帰動作させることができる。
【0021】
以下に、第1〜第3の実施の形態による振動検知装置10におけるそれぞれの加速度センサ11の具体的な構成について説明する。
【0022】
(1)第1の実施の形態
本発明の第1の実施形態による振動検知装置10の加速度センサ11の構成について、図2〜図7を参照して説明する。
【0023】
図2に加速度センサ11の平面構成を示し、図3に側面から見た構成を示す。
【0024】
この加速度センサ11は、導電性材料から成り中央部に図示されたような矩形の空間を有する固定枠1と、可撓性を有する導電性材料から成り、4本の平坦な梁部を含む十字形状の起歪体部2と、起歪体部2の一方の表面上(図中、上面)の所定領域に形成された圧電体部3a〜3hと、起歪体部2における4本の梁部が交差する中央領域の他方の表面上(図中、下面)に設けられた重錘体部4とを備えている。
【0025】
起歪体部2は、例えば線膨張係数がセラミックスに近い42アロイ材等により形成されている。圧電体部3a〜3hは、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)材、チタン酸バリウム材等の圧電セラミックス材料により形成されている。
【0026】
起歪体部2のX軸方向に沿う梁部上に、図中左側から中央領域へ向かって圧電体部3a、3b、中央領域から右側へ向かって圧電体部3c、3dが形成され、起歪体部2のY軸方向に沿う梁部上に、図中上側から中央領域へ向かって圧電体部3e、3f、中央領域から下側へ向かって圧電体部3g、3hが形成されている。
【0027】
起歪体部2の一方の表面上に圧電体部3a〜3hを形成する手法としては、例えば線膨張係数がセラミックスに近いアルミナやシリカ等を主成分とする接着剤を用いて接着してもよい。
【0028】
図4に、加速度センサ11にZ軸方向に下向きに加速度が加わったときの状態を示す。起歪体部2にひずみが生じて、X軸方向に配列された圧電体部3a、3b、3c、3dに引張又は圧縮が加わって電荷が生じる。Y軸方向に配列された圧電体部3e、3f、3g、3hにも同様に引張又は圧縮が加わって電荷が生じる。Z軸方向に上向きに加速度が加わるとそれぞれの圧電体部3a〜3hに生じる引張、圧縮が入れ替わり、電荷の極性が反転する。
【0029】
図5に、加速度センサ11にX軸方向に図中右向きに加速度が加わったときの状態を示す。起歪体部2にひずみが生じて、X軸方向に配列された圧電体部3a、3b、3c、3dに引張又は圧縮が加わって電荷が生じる。X軸方向に図中左向きに加速度が加わると引張、圧縮が入れ替わり、電荷の極性が反転する。しかし、Y軸方向に配列された圧電体部3e、3f、3g、3hには引張、圧縮が加わらず電荷は生じない。
【0030】
図6に、第1の実施の形態による加速度センサ11において、電荷伝送手段21により圧電体部3a〜3hが接続された構成を示す。起歪体部2が、接地端子GNDに接続され接地されている。圧電体部3a〜3hのうち、圧電体部3a及び3bが並列に相互接続され、圧電体部3c及び3dが並列に相互接続され、圧電体部3g及び3hが並列に相互接続されている。圧電体部3eと出力端子OUTとが接続され、これとそれぞれ並列に、圧電体部3a及び3b、圧電体部3c及び3d、圧電体部3g及び3hが出力端子OUTに接続されている。
【0031】
圧電体部3fは接続されておらず、この第1の実施の形態ではダミー圧電体部に相当する。このように、起歪体部2上の圧電体部3a〜3hを全て形成しておき、電荷伝送手段21による接続構成のみを変えることで、コストを低減することができる。
【0032】
ここで、圧電体部3a〜3hは、それぞれ圧電極性(自発分極方向)を有している。第1の実施の形態では、圧電体部3a及び3hの圧電極性と、他の圧電体部3b、3c、3d、3e、3f、3gの圧電極性とが反転されている。
【0033】
即ち、第1の実施の形態では、圧電体部3a及び3h、又は圧電体部3d及び3h、又は圧電体部3d及び3e、又は圧電体部3a及び3eのいずれかの圧電極性が、他の圧電体部と異なるように配置されており、さらに圧電体部3b、3c、3f、3gのいずれか一つを除く他の圧電体部が出力端子Oにそれぞれ並列に接続され、起歪体部2が接地されている。
【0034】
このように圧電体部3a〜3hが接続された加速度センサ11に、XYZ軸方向に同じ大きさの加速度をそれぞれ印加すると、図7に示された極性を有する出力比が得られる。この極性は、一方を引張とすると他方は圧縮に相当する。振動の向きが変わり引張と圧縮とが入れ替わると、出力の極性が反転する。
【0035】
X軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3dに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3cに圧縮又は引張が加わって電荷が生じ、圧電体部3e、3g、3hには電荷が生じない。ここで、圧電体部3aは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は−2となる。
【0036】
Y軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3e、3gに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3hに圧縮又は引張が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3b、3c、3dには電荷が生じない。ここで、圧電体部3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は3となる。
【0037】
Z軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3c、3gに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3d、3e、3hに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は3となる。
【0038】
XY軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3c、3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3d、3e、3gに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。XY軸方向に加速度が印加された時は、X軸方向のみ、Y軸方向のみ、Z軸方向のみに加速度がそれぞれ印加された時と比較し、歪が抑制されることを考慮し、この場合の出力係数は0.7とし、合計した値に0.7を乗算した出力比は−3.5となる。
【0039】
YX軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3d、3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3c、3e、3gに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合もXY軸方向に加速度が印加された時と同様に、出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は−0.7となる。
【0040】
上述のように第1の実施の形態によれば、XYZ軸の3方向の振動検知を、一つの加速度センサ11、並びに増幅器12、基準電圧比較器13、状態切替装置14を有する一系統の回路及び一つの系統の回路で実現することで、簡易な構成により容易に待機状態の機器15を動作状態に切り替えることが可能であり、機器の消費電力を抑制しコスト低減を実現することができる。
【0041】
(2)第2の実施の形態
本発明の第2の実施形態による振動検知装置10の加速度センサ11の構成について、図8〜図9を参照して説明する。
【0042】
加速度センサ11の構成は上記第2の実施の形態と同様であり、説明を省略する。第2の実施の形態は、加速度センサ11における圧電体部3a〜3hの接続構成が上記第1の実施の形態と異なっており、図8に示される通りである。
【0043】
起歪体部2が、接地端子GNDに接続され接地されている。圧電体部3a〜3hのうち、圧電体部3a及び3bが並列に相互接続され、圧電体部3c及び3dが並列に相互接続されている。圧電体部3hと出力端子OUTとが接続され、これとそれぞれ並列に、圧電体部3a及び3b、圧電体部3c及び3dが接続されて、出力端子OUTに接続されている。圧電体部3e、3f、3gは接続されておらず、ダミー圧電体部に相当する。第2の実施の形態では、圧電体部3a及び3hの圧電極性と、他の圧電体部3b、3c、3d、3e、3f、3gの圧電極性とが反転されている。
【0044】
即ち、第2の実施の形態では、圧電体部3a及び3h、又は圧電体部3d及び3h、又は圧電体部3d及び3e、又は圧電体部3a及び3eのいずれかの圧電極性が、他の圧電体部と異なるように配置されており、さらに、圧電体部3a、3b及び3cから成る第1群、あるいは圧電体部3b、3c及び3dから成る第2群、あるいは圧電体部3e、3f及び3gから成る第3群、あるいは圧電体部3f、3g及び3hから成る第4群のいずれか一つの群であって、かつ圧電極性が他の圧電体部と異なるように配置されたものを含まない群を除く他の圧電体部が出力端子Oにそれぞれ並列に接続され、起歪体部2が接地されている。
【0045】
このように圧電体部3a〜3hが接続された加速度センサ11に、XYZ軸方向に同じ大きさの加速度を印加すると、図9に示された極性を有する出力比が得られる。この極性は、一方を引張とすると他方は圧縮に相当する。
【0046】
X軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3dに圧縮又は引張が加わって電荷が生じ、圧電体部3hには電荷が生じない。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は−2となる。
【0047】
Y軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3b、3c、3dには電荷が生じない。ここで、圧電体部3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は1となる。
【0048】
Z軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3d、3hに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は3となる。
【0049】
XY軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3c、3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3dに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は−2.1となる。
【0050】
YX軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3d、3hに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3cに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3a、3hは圧電極性が反転されており出力が反転する。この場合の出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は0.7となる。
【0051】
以上のように第2の実施の形態によれば、XYZ軸の3方向の振動検知を、一つの加速度センサ11、並びに増幅器12、基準電圧比較器13、状態切替装置14を有する一系統の回路及び一つの系統の回路で実現することで、簡易な構成により容易に待機状態の機器15を動作状態に切り替えることが可能であり、機器の消費電力を抑制しコスト低減を実現することができる。
【0052】
(3)第3の実施の形態
本発明の第3の実施形態による振動検知装置10の加速度センサ11の構成について、図10〜図11を参照して説明する。
【0053】
加速度センサ11の構成は、後述するように上記第1、第2の実施の形態と圧電極性の配置が異なるが他は同様であり、説明を省略する。第3の実施の形態における加速度センサ11における圧電体部3a〜3hの接続構成は、図10に示される通りである。
【0054】
起歪体部2が、接地端子GNDに接続され接地されている。圧電体部3a〜3hのうち、圧電体部3a及び3bが並列に相互接続され、圧電体部3c及び3dが並列に相互接続されている。圧電体部3eと出力端子OUTとが接続され、これとそれぞれ並列に、圧電体部3a及び3b、圧電体部3c及び3dが接続されて、出力端子OUTに接続されている。圧電体部3f、3g、3hは接続されておらず、ダミー圧電体部に相当する。第3の実施の形態では、圧電体部3aの圧電極性と、他の圧電体部3b、3c、3d、3e、3f、3g、3hの圧電極性とが反転されている。
【0055】
即ち、第3の実施の形態では、圧電体部3a、3h、3d、又は3eのいずれか一つの圧電極性が、他の圧電体部と異なるように配置されており、さらに、圧電体部3a、3b及び3cから成る第1群、あるいは圧電体部3b、3c及び3dから成る第2群、あるいは圧電体部3e、3f及び3gから成る第3群、あるいは圧電体部3f、3g及び3hから成る第4群のいずれか一つの群であって、かつ圧電極性が他の圧電体部と異なるように配置されたものを含まない群を除く他の圧電体部が出力端子Oにそれぞれ並列に接続され、起歪体部2が接地されている。
【0056】
このように圧電体部3a〜3hが接続された加速度センサ11に、XYZ軸方向に同じ大きさの加速度を印加すると、図11に示された極性を有する出力比が得られる。この極性は、一方を引張とすると他方は圧縮に相当する。
【0057】
X軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3dに圧縮又は引張が加わって電荷が生じ、圧電体部3eには電荷が生じない。ここで、圧電体部3aの圧電極性が反転されており出力が反転される。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は−2となる。
【0058】
Y軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3eに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3b、3c、3dには電荷が生じない。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は1となる。
【0059】
Z軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3d、3eに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3aの圧電極性が反転されており出力が反転される。この場合の出力係数は1であり、合計した出力比は1となる。
【0060】
XY軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3a、3cに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3b、3d、3eに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3aの圧電極性が反転されており出力が反転される。この場合の出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は−2.1となる。
【0061】
YX軸方向に加速度が印加された時は、圧電体部3b、3dに引張又は圧縮が加わって電荷が生じ、圧電体部3a、3c、3eに圧縮又は引張が加わって電荷が生じる。ここで、圧電体部3aの圧電極性が反転されており出力が反転される。この場合の出力係数は0.7であり、合計した値に0.7を乗算した出力比は0.7となる。
【0062】
上述したように第3の実施の形態によれば、XYZ軸の3方向の振動検知を、一つの加速度センサ11、並びに増幅器12、基準電圧比較器13、状態切替装置14を有する一系統の回路及び一つの系統の回路で実現することで、簡易な構成により容易に待機状態の機器15を動作状態に切り替えることが可能であり、機器の消費電力を抑制しコスト低減を実現することができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の技術的範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の技術的範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0064】
例えば、加速度センサ11における圧電体部の接続構成は図6、図8、図10に記載されたものには限定されず、第1の方向に配置された圧電体部3a、3b、3c、3dのうち少なくともいずれか一つ、第1の方向と直交する第2の方向に配置された圧電体部3e、3f、3g、3hのうち少なくともいずれか一つが出力端子OUTに並列に接続されたものであればよい。
【符号の説明】
【0065】
1 固定枠
2 起歪体部
3 圧電体部
4 重錘体部
10 振動検知装置
11 加速度センサ
12 増幅器
13 基準電圧比較器
14 状態切替装置
15 機器
21 電荷伝送手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性及び導電性を有し、4本の平坦な梁部を含む十字形状を有する起歪体部と、
前記起歪体部の前記梁部のそれぞれの一方の表面上に2個ずつ相互に非接触の状態で、それぞれの自発分極方向が予め定められた所定方向となるように形成され、圧縮、引張が印加されると電荷を発生する圧電体部と、
導電性を有し、前記起歪体部の前記梁部のそれぞれの先端部が電気的に絶縁された状態で固定される固定枠と、
前記起歪体部における4本の前記梁部が接続する中央領域の他方の表面上に設けられた重錘体部とを有する加速度センサと、
前記圧電体部が発生した電荷を伝送する電荷伝送手段と、
前記電荷伝送手段により伝送された電荷を与えられて増幅して電圧信号を出力する増幅器と、
前記増幅器から出力された前記電圧信号と基準電圧とを与えられて比較し、前記電圧信号が前記基準電圧以上あるいは前記基準電圧より高い場合に振動を検知したことを示す振動検知信号を出力する基準電圧比較器と、
前記基準電圧比較器から出力された前記振動検知信号を与えられ、出力端子に接続された機器の待機状態を動作状態に切り替える状態切替信号を出力する状態切替装置と、
を備えたことを特徴とする振動検知装置。
【請求項2】
前記起歪体部は、42アロイ材を用いて形成されたことを特徴とする請求項1記載の振動検知装置。
【請求項3】
前記圧電体部は、チタン酸ジルコン酸鉛材を用いて形成されたことを特徴とする請求項1記載の振動検知装置。
【請求項4】
4本の前記梁部として、第1の方向に沿って前記中央領域の両端に、第1の梁部と第2の梁部とを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って前記中央領域の両端に、第3の梁部と第4の梁部とを有し、
前記圧電体部として、前記第1の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第1の圧電体部、第2の圧電体部を有し、前記第2の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第3の圧電体部、第4の圧電体部を有し、前記第3の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第5の圧電体部、第6の圧電体部を有し、前記第4の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第7の圧電体部、第8の圧電体部を有し、
前記電荷伝送手段は、前記第1の圧電体部、前記第2の圧電体部、前記第3の圧電体部及び前記第4の圧電体部のうち少なくともいずれか一つと、前記第5の圧電体部、前記第6の圧電体部、前記第7の圧電体部及び前記第8の圧電体部のうち少なくともいずれか一つとを前記増幅器の入力端子にそれぞれ並列に接続したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動検知装置。
【請求項5】
4本の前記梁部として、第1の方向に沿って前記中央領域の両端に、第1の梁部と第2の梁部とを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って前記中央領域の両端に、第3の梁部と第4の梁部とを有し、
前記圧電体部として、前記第1の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第1の圧電体部、第2の圧電体部を有し、前記第2の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第3の圧電体部、第4の圧電体部を有し、前記第3の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第5の圧電体部、第6の圧電体部を有し、前記第4の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第7の圧電体部、第8の圧電体部を有し、
前記第1の圧電体部及び前記第8の圧電体部、又は前記第4の圧電体部及び前記第8の圧電体部、又は前記第4の圧電体部及び第5の圧電体部、又は前記第1の圧電体部及び前記第5の圧電体部のいずれかの圧電極性が、他の前記圧電体部と異なるように配置され、
前記電荷伝送手段は、前記第2の圧電体部、前記第3の圧電体部、前記第6の圧電体部、前記第7の圧電圧部のいずれか一つを除く他の前記圧電体部を前記増幅器の入力端子にそれぞれ並列に接続し、前記起歪体部を接地したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動検知装置。
【請求項6】
4本の前記梁部として、第1の方向に沿って前記中央領域の両端に、第1の梁部と第2の梁部とを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って前記中央領域の両端に、第3の梁部と第4の梁部とを有し、
前記圧電体部として、前記第1の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第1の圧電体部、第2の圧電体部を有し、前記第2の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第3の圧電体部、第4の圧電体部を有し、前記第3の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第5の圧電体部、第6の圧電体部を有し、前記第4の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第7の圧電体部、第8の圧電体部を有し、
前記第1の圧電体部及び前記第8の圧電体部、又は前記第4の圧電体部及び前記第8の圧電体部、又は前記第4の圧電体部及び第5の圧電体部、又は前記第1の圧電体部及び前記第5の圧電体部のいずれかの圧電極性が、他の前記圧電体部と異なるように配置され、
前記電荷伝送手段は、前記第1の圧電体部、前記第2の圧電体部及び前記第3の圧電体部から成る第1群、あるいは前記第2の圧電体部、前記第3の圧電体部及び前記第4の圧電体部から成る第2群、あるいは前記第5の圧電体部、前記第6の圧電体部及び前記第7の圧電体部から成る第3群、あるいは前記第6の圧電体部、前記第7の圧電体部及び前記第8の圧電体部から成る第4群のいずれか一つの群であって、かつ圧電極性が他の前記圧電体部と異なるように配置されたものを含まない群を除く他の前記圧電体部を前記増幅器の入力端子にそれぞれ並列に接続し、前記起歪体部を接地したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動検知装置。
【請求項7】
4本の前記梁部として、第1の方向に沿って前記中央領域の両端に、第1の梁部と第2の梁部とを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って前記中央領域の両端に、第3の梁部と第4の梁部とを有し、
前記圧電体部として、前記第1の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第1の圧電体部、第2の圧電体部を有し、前記第2の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第3の圧電体部、第4の圧電体部を有し、前記第3の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第5の圧電体部、第6の圧電体部を有し、前記第4の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第7の圧電体部、第8の圧電体部を有し、
前記第1の圧電体部、前記第4の圧電体部、前記第5の圧電体部又は前記第8の圧電体部のいずれか一つの圧電極性が、他の前記圧電体部と異なるように配置され、
前記電荷伝送手段は、前記第1の圧電体部、前記第2の圧電体部及び前記第3の圧電体部から成る第1群、あるいは前記第2の圧電体部、前記第3の圧電体部及び前記第4の圧電体部から成る第2群、あるいは前記第5の圧電体部、前記第6の圧電体部及び前記第7の圧電体部から成る第3群、あるいは前記第6の圧電体部、前記第7の圧電体部及び前記第8の圧電体部から成る第4群のいずれか一つの群であって、かつ圧電極性が他の前記圧電体部と異なるように配置されたものを含まない群を除く他の前記圧電体部を前記増幅器の入力端子にそれぞれ並列に接続し、前記起歪体部を接地したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動検知装置。
【請求項1】
可撓性及び導電性を有し、4本の平坦な梁部を含む十字形状を有する起歪体部と、
前記起歪体部の前記梁部のそれぞれの一方の表面上に2個ずつ相互に非接触の状態で、それぞれの自発分極方向が予め定められた所定方向となるように形成され、圧縮、引張が印加されると電荷を発生する圧電体部と、
導電性を有し、前記起歪体部の前記梁部のそれぞれの先端部が電気的に絶縁された状態で固定される固定枠と、
前記起歪体部における4本の前記梁部が接続する中央領域の他方の表面上に設けられた重錘体部とを有する加速度センサと、
前記圧電体部が発生した電荷を伝送する電荷伝送手段と、
前記電荷伝送手段により伝送された電荷を与えられて増幅して電圧信号を出力する増幅器と、
前記増幅器から出力された前記電圧信号と基準電圧とを与えられて比較し、前記電圧信号が前記基準電圧以上あるいは前記基準電圧より高い場合に振動を検知したことを示す振動検知信号を出力する基準電圧比較器と、
前記基準電圧比較器から出力された前記振動検知信号を与えられ、出力端子に接続された機器の待機状態を動作状態に切り替える状態切替信号を出力する状態切替装置と、
を備えたことを特徴とする振動検知装置。
【請求項2】
前記起歪体部は、42アロイ材を用いて形成されたことを特徴とする請求項1記載の振動検知装置。
【請求項3】
前記圧電体部は、チタン酸ジルコン酸鉛材を用いて形成されたことを特徴とする請求項1記載の振動検知装置。
【請求項4】
4本の前記梁部として、第1の方向に沿って前記中央領域の両端に、第1の梁部と第2の梁部とを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って前記中央領域の両端に、第3の梁部と第4の梁部とを有し、
前記圧電体部として、前記第1の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第1の圧電体部、第2の圧電体部を有し、前記第2の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第3の圧電体部、第4の圧電体部を有し、前記第3の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第5の圧電体部、第6の圧電体部を有し、前記第4の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第7の圧電体部、第8の圧電体部を有し、
前記電荷伝送手段は、前記第1の圧電体部、前記第2の圧電体部、前記第3の圧電体部及び前記第4の圧電体部のうち少なくともいずれか一つと、前記第5の圧電体部、前記第6の圧電体部、前記第7の圧電体部及び前記第8の圧電体部のうち少なくともいずれか一つとを前記増幅器の入力端子にそれぞれ並列に接続したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動検知装置。
【請求項5】
4本の前記梁部として、第1の方向に沿って前記中央領域の両端に、第1の梁部と第2の梁部とを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って前記中央領域の両端に、第3の梁部と第4の梁部とを有し、
前記圧電体部として、前記第1の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第1の圧電体部、第2の圧電体部を有し、前記第2の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第3の圧電体部、第4の圧電体部を有し、前記第3の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第5の圧電体部、第6の圧電体部を有し、前記第4の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第7の圧電体部、第8の圧電体部を有し、
前記第1の圧電体部及び前記第8の圧電体部、又は前記第4の圧電体部及び前記第8の圧電体部、又は前記第4の圧電体部及び第5の圧電体部、又は前記第1の圧電体部及び前記第5の圧電体部のいずれかの圧電極性が、他の前記圧電体部と異なるように配置され、
前記電荷伝送手段は、前記第2の圧電体部、前記第3の圧電体部、前記第6の圧電体部、前記第7の圧電圧部のいずれか一つを除く他の前記圧電体部を前記増幅器の入力端子にそれぞれ並列に接続し、前記起歪体部を接地したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動検知装置。
【請求項6】
4本の前記梁部として、第1の方向に沿って前記中央領域の両端に、第1の梁部と第2の梁部とを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って前記中央領域の両端に、第3の梁部と第4の梁部とを有し、
前記圧電体部として、前記第1の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第1の圧電体部、第2の圧電体部を有し、前記第2の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第3の圧電体部、第4の圧電体部を有し、前記第3の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第5の圧電体部、第6の圧電体部を有し、前記第4の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第7の圧電体部、第8の圧電体部を有し、
前記第1の圧電体部及び前記第8の圧電体部、又は前記第4の圧電体部及び前記第8の圧電体部、又は前記第4の圧電体部及び第5の圧電体部、又は前記第1の圧電体部及び前記第5の圧電体部のいずれかの圧電極性が、他の前記圧電体部と異なるように配置され、
前記電荷伝送手段は、前記第1の圧電体部、前記第2の圧電体部及び前記第3の圧電体部から成る第1群、あるいは前記第2の圧電体部、前記第3の圧電体部及び前記第4の圧電体部から成る第2群、あるいは前記第5の圧電体部、前記第6の圧電体部及び前記第7の圧電体部から成る第3群、あるいは前記第6の圧電体部、前記第7の圧電体部及び前記第8の圧電体部から成る第4群のいずれか一つの群であって、かつ圧電極性が他の前記圧電体部と異なるように配置されたものを含まない群を除く他の前記圧電体部を前記増幅器の入力端子にそれぞれ並列に接続し、前記起歪体部を接地したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動検知装置。
【請求項7】
4本の前記梁部として、第1の方向に沿って前記中央領域の両端に、第1の梁部と第2の梁部とを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って前記中央領域の両端に、第3の梁部と第4の梁部とを有し、
前記圧電体部として、前記第1の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第1の圧電体部、第2の圧電体部を有し、前記第2の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第3の圧電体部、第4の圧電体部を有し、前記第3の梁部の一方の表面上に、前記固定枠から前記中央領域に向かって、第5の圧電体部、第6の圧電体部を有し、前記第4の梁部の一方の表面上に、前記中央領域から前記固定枠に向かって、第7の圧電体部、第8の圧電体部を有し、
前記第1の圧電体部、前記第4の圧電体部、前記第5の圧電体部又は前記第8の圧電体部のいずれか一つの圧電極性が、他の前記圧電体部と異なるように配置され、
前記電荷伝送手段は、前記第1の圧電体部、前記第2の圧電体部及び前記第3の圧電体部から成る第1群、あるいは前記第2の圧電体部、前記第3の圧電体部及び前記第4の圧電体部から成る第2群、あるいは前記第5の圧電体部、前記第6の圧電体部及び前記第7の圧電体部から成る第3群、あるいは前記第6の圧電体部、前記第7の圧電体部及び前記第8の圧電体部から成る第4群のいずれか一つの群であって、かつ圧電極性が他の前記圧電体部と異なるように配置されたものを含まない群を除く他の前記圧電体部を前記増幅器の入力端子にそれぞれ並列に接続し、前記起歪体部を接地したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−44610(P2013−44610A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181874(P2011−181874)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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