説明

振動絶縁装置及び摩擦ダンパ

【課題】摩擦ダンパにおける摩擦力の大きさを相対変位および相対速度に応じて変化させることにより、絶縁効果を損なわずに過大な振動を抑え、位置ずれも生じない振動絶縁装置及び摩擦ダンパを提供する。
【解決手段】外力が作用している場合の過大な共振振動を抑制するとともに作用外力が去った後の振動を速やかに収束させるための減衰機構として、テーブル1又はベース2の一方の対向面に、ブロック形状の摩擦部材(円柱部材7a,7b)を設け、テーブル1又はベース2の他方の対向面には、軸回りに回転可能なレバー(8a〜8d)と該レバーを摩擦部材の外周面に押し付けるためのばね(押し付けばね10a〜10d)からなる押圧装置を設け、テーブル1とベース2に相対変位が生じた場合、摩擦部材とレバーとの間に生じる摩擦力の大きさが変化する摩擦ダンパ101を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ等の精密機器や展示物等の貴重品あるいは建物等の大型構造物を搭載する振動絶縁装置及び該振動絶縁装置の主要部をなす摩擦ダンパに関し、地震等の外乱によって床や地面から受ける力を絶縁するとともに、過大に振動するのを抑制し、外乱がなくなった後の位置ずれを生じない、簡素な構造の受動型振動絶縁装置と、その摩擦ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハなどの半導体検査装置のような精密機器においては、外部から伝達される振動によって所要の性能を発揮できなくなり、逆にプレス機のように振動を発生する装置は、工場内の他の装置や隣接する施設に悪影響を及ぼす。このため、従来から各種の振動絶縁対策が講じられてきている。振動絶縁対策の極端な方法として、構造物を基礎に固定しないで滑らせる、あるいはローラー等に載せることにより基礎の横振動を絶縁する方法がある。例として、鎌倉の大仏の台座は座像の下に取り付けられたステンレス鋼板とその下の御影石の台との間が滑るようにして地震で倒れないようにしてある。しかし、ローラーや滑りといった手法では復元力がないため、地震等があった後、位置がずれたままになるという問題がある。そこで、一般的には自動車のサスペンションやプレス機の防振装置のようにばねで支持する方法が用いられている。また最近では、積層ゴムで支持した免震建築であることを特色にしてマンション販売に宣伝されるなど、一般社会でも関心を持たれている。
【0003】
ばねで制振対象を支持する方法においては、ばね剛性が小さいほど基礎から伝わる振動の絶縁効果は高くなるが、制振対象側に振動発生源がある場合や制振対象に外乱が直接加わった場合などには大きく振動させてしまい、また共振時には過大な振動となる。そこで、運動エネルギーを吸収して共振ピークを小さくし、残留振動を速やかに減衰させる減衰装置(ダンパ)が用いられる。ダンパは種々の特性をもったものがある。流体の粘性抵抗を利用したオイルダンパや磁界中で導電体が移動するときに生じる渦電流によって作用する電磁力を利用した磁気ダンパなどは、速度に比例した抵抗力を発生させる粘性減衰型ダンパに分類される。なお、粘性減衰型ダンパを用いた場合には、減衰比を大きくするほど共振時の振動を低減できるものの、振動の絶縁効果が悪くなるというトレ−ド・オフの関係がある。
【0004】
また、運動エネルギーを物体の弾塑性変形エネルギーに変換することによって振動を減衰させる弾塑性ダンパ等もあるが、滑り摩擦を利用した摩擦ダンパは基本構造がシンプルで、免震建物などの大型構造物にも用いられている。ただし、ばねと摩擦力一定の摩擦ダンパで構成された振動絶縁装置は、一般的に強制振動の共振ピークを抑制することが困難で、また、自由振動を素早く減衰させるためには摩擦力を大きくすれば良いが、摩擦力が大きくなると低振動数域の振動伝達率が大きくなって振動絶縁性が悪化したり、静止釣り合い位置からずれて止まってしまうなどの問題があり、下記先行技術文献に示されるようにいくつかの工夫もなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−301882号広報
【特許文献2】特開2004−138232号広報
【特許文献3】特開2007−177864号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ばねと摩擦ダンパから構成された振動絶縁装置において、絶縁性能を高めるためには、ばね剛性を小さくして長周期化を図る必要があり、発生する振動を抑制し減衰性能を良くするためには摩擦力を大きくする必要がある。
【0007】
ところが、摩擦面に一定の押し付け力を与えて摩擦力を発生させる上記従来型の摩擦ダンパでは、摩擦力がテーブルとベースの相対変位に依らず一定であるため、外力がなくなって静止釣り合い位置に戻る際にばねの復元力が減少し、摩擦力と同じになった時点で復帰動作が停止してしまい、位置がずれたまま止まってしまう問題がある。特に、絶縁効果を高め減衰性能を良くするために、ばね剛性を小さくし摩擦力を大きくすると、位置ずれは益々大きくなる。
【0008】
以上の問題を解決するために、本発明の目的は、摩擦ダンパにおける摩擦力の大きさを相対変位および相対速度に応じて変化させることにより、絶縁効果を損なわずに過大な振動を抑え位置ずれも生じない振動絶縁装置及びその主要部を構成する摩擦ダンパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の本発明は、振動絶縁対象物を搭載するテーブル1が、ベース2に対してガイド部材3a〜3dを介して水平直線方向に相対移動可能になっており、テーブル1に復元力を持たせるため、テーブル1とベース2を復元ばね4a,4bで接続した振動絶縁装置において、外力が作用している場合の過大な共振振動を抑制するとともに作用外力が去った後の振動を速やかに収束させるための減衰機構として、テーブル1又はベース2の一方の対向面に、ブロック形状の摩擦部材(円柱部材7,7a,7b、角柱部材31a〜31d)を設け、テーブル1又はベース2の他方の対向面には、軸回りに回転可能なレバー(8a〜8g、8p〜8s)と該レバーを摩擦部材の外周面に押し付けるためのばね(押し付けばね10a〜10f、連結ばね20a,20b)からなる押圧装置を設けてあり、摩擦部材と接触するレバーの面を前記相対移動方向に対して傾けて配置することにより、テーブル1とベース2に相対変位が生じた場合、相対変位に対応して押圧装置による押し付け力が変化する結果、摩擦部材とレバーとの間に生じる摩擦力の大きさが変化する摩擦ダンパ(101〜106)を用いたことを特徴とする。
【0010】
前記の摩擦ダンパは、その摩擦力の大きさがテーブルとベースの相対変位に比例して変化する機能を備えている。
この場合、前記の比例とは、狭義の意味の線形な正比例を含むが、より広い概念として、相対変位の大きさが増加するに応じて摩擦力の大きさが増加する非線形な特性まで含む。また、摩擦力の方向は相対速度と逆方向になる。
【0011】
請求項2に記載の振動絶縁装置は、上記請求項1に記載の振動絶縁装置が、前記ベースに対する前記テーブルの相対運動の方向が互いに直交するように上下に複数組、例えば2組重ねて配置されることにより、2次元平面運動に対応した振動絶縁作用を行わせるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の振動絶縁装置は、単一方向の直進運動に対応した装置であるが、請求項2では、相対運動の方向が互いに直交するように複数組、例えば2組の機構を重ねて配置することにより、2次元平面運動に対応した振動絶縁装置を実現できる。
【0013】
請求項3では、請求項1又は2に記載の振動絶縁装置に用いる前記摩擦ダンパにおいて、図1及び図2に示すように、前記ブロック形状の摩擦部材を円柱部材7a,7bにより構成し、前記押圧装置を構成するレバーを該円柱部材の対向外周面に略ハ字状に接触する一対のレバー8a〜8dにより構成した摩擦ダンパ101を特徴とする。
摩擦ダンパは、テーブル1とベース2との相対直線移動方向に沿って、距離をおいて配置される複数組、少なくとも2組の摩擦ダンパ101,101により構成される。2組の摩擦ダンパ101,101のそれぞれの略ハ字状一対のレバーの傾斜方向は、略ハ字状及び略逆略ハ字状に、上記相対直線移動方向に沿って対称に配置される。
【0014】
請求項4では、請求項1又は2に記載の振動絶縁装置に用いる前記摩擦ダンパにおいて、図9に示すように、前記ブロック形状の摩擦部材を円柱部材7により構成し、前記押圧装置を構成するレバーを該円柱部材の対向外周面に略平行傾斜状に接触する一対のレバー8e,8fにより構成した摩擦ダンパ102を特徴とする。
【0015】
請求項3又は請求項4のように、円柱部材と接触するレバーの面を相対変位の方向に対して傾けて配置すると、テーブルとベースに相対変位が生じた場合、円柱部材がレバーを回転させながら運動することになるため、レバーを円柱部材に押し付けるばねの力がレバーの回転角に応じて変化する。この結果、レバーと円柱部材の押し付け力が変化すると共に、摩擦力の大きさも変化することになる。
【0016】
ところで、これまで述べてきた摩擦ダンパ101,102の機構において、円柱部材を用いているのは、テーブルとベースの相対変位に伴ってレバーの角度が変化することに対応させるためである。しかしながら、この構造では円柱部材とレバーが線接触しているので、接触部が摩耗しやすい欠点がある。
【0017】
この欠点を改善する策として、円柱部材の代わりに、軸回りに回転可能な角柱部材を設けて同等の作用を行わせることも考えられる。この構造にすると、レバーの角度の変化に応じて角柱部材の接触面の角度も変化し、両者は常に面接触になるので、摩耗しにくくなる。
【0018】
すなわち、請求項5では、請求項1又は2に記載の振動絶縁装置に用いる前記摩擦ダンパにおいて、図13及び図14に示されるように、前記ブロック形状の摩擦部材を軸回りに回転可能な角柱部材31a〜31dにより構成し、前記押圧装置を構成するレバー8a〜8dの面が該角柱部材の回動外面に平行に接触する摩擦ダンパ104を特徴とする。
【0019】
上述した装置では、軸回りに回転可能なレバーをばねで円柱部材あるいは角柱部材に押し付けることによって摩擦力を発生させる機構について述べてきたが、レバーを板ばねで保持する構造にすると、回転軸が不要になって、構造が簡素化される。
【0020】
すなわち、請求項6では、請求項3乃至5のいずれかに記載の摩擦ダンパにおいて、図16に示すように、前記レバーの回転軸とばねを設ける代わりに、該レバーを板ばね41a〜41dで保持し、軸回りに回転可能とするとともに前記摩擦部材の外周面に弾性的に押し付けるようにした摩擦ダンパ106を特徴とする。
【0021】
請求項7では、請求項3乃至6のいずれかに記載の摩擦ダンパにおいて、前記レバーの回転中心軸部を摩擦力作用線から離してオフセットを設けることにより、摩擦力がレバーに回転モーメントを発生させ、押し付け力を増大あるいは減少させる結果、摩擦力の大きさの変化も増幅させる自己倍力効果を利用する摩擦ダンパを特徴とする。
オフセットは、レバー本体の回転基部をL形に折曲することにより形成され、オフセットを構成する折曲片の先端部分に回転軸を設ける。
【0022】
請求項7のように、レバーの回転軸中心を摩擦力作用線から離してオフセットを設けることにより、摩擦力がレバーに回転モーメントを発生させ、押し付け力を増大あるいは減少させる結果、摩擦力自体の大きさの変化も増幅される。このメカニズムは、自動車のドラムブレーキなどの自己倍力効果として知られている作用と同じである。なお、レバーを円柱部材に押し付けるばねは相対変位の方向に対しても働くため、復元力としても作用し、特にレバーの傾斜角が大きい場合には絶縁装置全体としてのばね定数を大きくして絶縁効果を低減させてしまう恐れがあるが、オフセットを設けて自己倍力効果を利用すると、レバーを押し付けるばねを強くする必要がないので、復元力として作用する悪影響を小さくすることができる。
【0023】
また、オフセットを設けて自己倍力効果を利用する場合には、円柱部材が運動する際にレバーを回転させて押し付けばねの力を大きくすることがなくとも、摩擦力が相対変位に比例して変化することになるので、円柱部材と接触するレバーの面を相対変位の方向に対して平行に配置してもよい。ただしこの場合には、相対変位0の静止釣合位置にある場合も微小な押し付け力を与えておく必要がある。このため、相対変位0での摩擦力も0にならず、静止釣合位置がずれるのを完全には押さえることはできなくなるが、摩擦力一定のダンパに比べてずれは微小である。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以上のように構成され機能するので、比例摩擦ダンパと復元用ばねで構成された振動絶縁装置においては、テーブルとベースの相対変位が増加すると摩擦力の大きさも増加し、相対変位の更なる増加を防ぐとともに運動エネルギーを熱エネルギーに変えて過大な共振振動を抑制する。一方、外乱が立ち去った後の静止釣り合い位置に復帰する際、相対変位が小さくなるに従ってばねの復元力は小さくなるが、摩擦力の大きさも減少するため、大きさ一定の摩擦力が作用する場合のようにテーブルとベースが静止釣り合い位置からずれて止まってしまう問題が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1の構成を示す分解斜視図である。
【図2】実施例1の構成において、テーブルを除いた部分の平面図(a)と、ガイド部材の一部を省いた正面図(b)である。
【図3】実施例1において、テーブルがベースに対して相対的に動いた場合の、レバー、円柱部材およびレバー押し付けばねの位置関係の変化を表す平面図である。
【図4】実施例1において、相対変位xおよび相対速度vが正の場合に、レバーに作用するばね力N、押し付け力Pと摩擦力Fを説明する図である。
【図5】実施例1において、相対変位xの場合の、円柱部材とレバーの幾何的関係を説明する図である。
【図6】実施例1において、相対変位xおよび相対速度vが正の場合に、円柱部材に作用する押し付け力P、摩擦力Fおよび合力Qを説明する図である。
【図7】実施例1において、押し付け力Pと相対変位xの関係を示す線図の一例である。
【図8】実施例1において、円柱部材に作用する合力Qのx方向成分Qx と相対変位xの関係を示す線図の一例である。
【図9】実施例2の構成を示す平面図である。
【図10】実施例3において、レバーに作用する力の説明図である。
【図11】実施例3において、押し付け力Pと相対変位xの関係を示す線図の一例である。
【図12】実施例3において、円柱部材に作用する合力Qのx方向成分Qxと相対変位xの関係を示す線図の一例である。
【図13】実施例4の構成を示す分解斜視図である。
【図14】実施例4の構成において、テーブルを除いた部分の平面図と、ガイド部材の一部を省いた正面図である。
【図15】実施例5の構成例を示す平面図である。
【図16】実施例6の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0027】
(全体の構造と基本的動作)
図1は本発明の振動絶縁装置の一実施形態を示す分解斜視図であり、図2(a)は図1においてテーブル1を除いた残りの部分の平面図、図2(b)は図1の組立正面図である。なお、図2(b)においては、ガイド部材3a、3bの記載を省いている。
【0028】
テーブル1は、ガイド部材3a〜3dを介して、ベース2に接続されている。これらのガイド部材は、テーブル1とベース2がx方向のみにスムーズに相対運動し、y方向およびz方向には相対運動が発生しないようにテーブル1とベース2を拘束する目的で設置されている。この場合、ベース2が設置されている床面がx方向に揺れてもテーブル1に力が伝わらずテーブルは動かない。しかし、このままではテーブル1の位置が定まらない上に、テーブル1に力が作用した場合にはガイド部材3a〜3dの可動限度まで移動してしまう。そこで、以下のように復元ばねを設ける。
【0029】
テーブル1の下面に復元ばねのテーブル側支持部材5a、5bを設け、ベース2の上面に復元ばねのベース側支持部材6a、6bを設けてあり、これらは各々復元ばね4a、4bで接続されている。テーブル1に力が作用したりベース2が動いてテーブル1とベース2に相対変位xが生じると、復元ばね4a、4bは相対変位xに比例した復元力を発生して相対変位が0の静止釣り合い位置(原点)に向かう方向にテーブル1を押し戻す。
【0030】
しかしながら、テーブル1が相対変位0の静止釣り合い位置に戻って復元力が0になっても、テーブル1およびこれに載せられた搭載物の質量による慣性力のために運動が継続して逆方向に行き過ぎてしまう。この繰り返しで、復元ばねのみでは振動が長時間継続する問題や共振振幅が過大になる問題がある。そこで、以下に説明するような摩擦ダンパ101を設置して運動エネルギーを熱エネルギーに変えて消散させることにより振動を抑制する。
【0031】
テーブル1の下面に円柱部材7a、7bを設け、ベース2の上面にレバーの回転軸9a〜9dを設ける。回転軸9a〜9dにはレバー8a〜8dを回転軸(z軸方向)回りに自在に回転できるように設ける。これらのレバー8a〜8dは、ベース側支持部材11a〜11dで保持された押し付けばね10a〜10dに接続され、円柱部材7a、7bに接触するように配置されている。この際、テーブル1が静止釣り合い位置にある場合には、レバー8a〜8dと円柱部材7a、7bの接触部における押し付け力が0になるように押し付けばね10a〜10dを調整しておく。
【0032】
なお、図2(a)に示すように、レバー8aと8bは回転軸側の間隔が狭く、円柱部材7aと接触している側の間隔が広くなったV字状(略ハ字状)に、相対変位の方向に対して傾けて配置されている。また、レバー8cと8dは円柱部材7bに対して逆向きのV字状(略逆ハ字状)で同様に配置されている。
【0033】
さて、テーブル1とベース2に相対変位xが生じてテーブル1が図2において右方向に移動した場合、テーブル1の下面に設けられた円柱部材7aも右方向に移動するため、相対変位の方向に対して傾けて配置されたレバー8aは円柱部材7aによって押されて回転軸9aに関し右回りに回転して押し付けばね10aが縮められる。逆に、押し付けばね10aからはレバー8aを円柱部材7aに押し付けるように反力が作用するため、レバー8aと円柱部材7aの接触部に摩擦力が発生する。なお、これらの力は、相対変位xが増加するに従って大きくなる。
【0034】
レバー8bに関しても同様に摩擦力が発生する。これらの摩擦力の合力のx方向成分がテーブル1の運動に対する抵抗力となり運動エネルギーを消散させる働きをする。なお、円柱部材7bも右方向に移動するが、この場合にはレバー8cと8dは円柱部材7bから離れてしまうため、これらの間に摩擦力は生じない。
【0035】
上記と逆に、テーブル1が図2において左方向に移動した場合には、レバー8c、8dと円柱部材7bの接触部に摩擦力が発生する。一方、レバー8aと8bは円柱部材7aから離れてしまうため、これらの間に摩擦力は生じなくなる。これらの作用の繰り返しで、振動が絶縁・抑制されることになる。
【0036】
(動作の詳細な説明)
次に図3、図4、図5および図6により、本装置の動作について詳細に説明する。図3はテーブル1がベース2に対して相対変位xだけ右に移動した場合に、円柱部材7a、レバー8a、押し付けばね10aの位置関係の変化状態を表し、破線は変化前、実線は変化後を示す。変化前の相対変位x=0の状態では、円柱部材7aの中心が点Oの位置にあり、これに押し付け力0で接するように配置されているレバー8aの初期角度をθ0 とする。変化後の相対変位xの状態では、円柱部材7aの中心が点Ox の位置に移動し、レバー8aが回転軸9aを右回りに回転した際の角度変化をθとしている。なお、回転軸9aおよびばね支持部材11aはベース2の上面に取り付けられているので、位置は変化しない。
【0037】
図4は、テーブル1とともに円柱部材7aが右方向の相対変位xの位置にあり、しかも相対速度vが正(v=dx/dt>0)の右方向に運動している状態の、レバー8aに作用する力を示し、Nは押し付けばね10aの力、Pは円柱部材7aとの接触部Cに作用する押し付け力、Fは摩擦力である。回転軸9aからこれらの力の作用線までの距離をそれぞれd、s、e(オフセット)とし、回転軸9aに関するモーメントの釣り合いを考えると
【0038】
【数1】

となる。また、レバー8aの角度変化θが小さい場合、ばね10aの長さ変化はθに比例し、ばね力Nもθに比例するので、比例定数をkとすると
【0039】
【数2】

と表すことができる。さらに、クーロン摩擦を仮定し摩擦係数をμとすると
【0040】
【数3】

となる。ここに、sgn(v)は符号関数であり
【0041】
【数4】

である。これは、前述したように、図4に示す摩擦力Fの方向は相対速度が正(v=dx/dt>0)の右方向に運動している場合であり、相対速度が負(v=dx/dt<0)の左方向に運動している場合には力の方向が逆になるためである。
【0042】
数1式〜数3式を変形して整理すると
【0043】
【数5】

となる。
【0044】
数5式において、相対変位xが増加すると回転軸9aから接触部Cまでの距離sは減少し、レバーの角度変化θは増加するので、相対変位xが増加するに従って押し付け力Pは増加することがわかる。この特性と、数3式を考慮すると、相対変位xが増加するに従って摩擦力Fも増加することがわかる。
【0045】
なお、数5式において、オフセットe =0の場合の押し付け力をP0 とすると
【0046】
【数6】

となり、P0 は相対速度vの正負に関係せず相対変位xのみに依存して決定されることがわかる。
【0047】
一方、e>0の場合には相対速度vの正負によって大きく異なる。具体的には、相対速度v>0の場合の押し付け力をPP 、v<0の場合の押し付け力をPM とすると、数5式は
【0048】
【数7】

となる。数7式の分母に関し、s+μe>s−μeであるため、PP <PM であることがわかる。なお、sがμeの値に近づくに従ってPM の分母は0に近づくため、PM は極端に大きくなり、s=μeではPM は無限大になる。これは、レバーと円柱部材が固着することを意味し、テーブルとベースはロックされることになるため、実用の際にはs>μeの範囲で使用するように留意する必要がある。このような特性は、前述したように、ドラムブレーキで知られている自己倍力作用と同じである。
【0049】
さらに、相対変位xと距離sおよびレバーの角度変化θの関係を数式的に導出すると、図5に示す幾何的関係から、以下のようになる。
【0050】
【数8】

【0051】
【数9】

【0052】
なお、図5、数8式および数9式において、Lは相対変位x=0の場合の円柱部材7aの中心Oから回転軸9aの中心までのx方向距離、Rは円柱部材7aの半径、hは円柱部材7aの中心を通るx座標軸から回転軸9aの中心までの距離であり、また
【0053】
【数10】

である。
【0054】
次に、円柱部材7aに作用する力を図6に示す。図3に示したレバー8aとの作用・反作用の関係から、レバー8aとの接触部Cには、押し付け力Pと摩擦力Fがレバーに作用する場合と逆方向に作用する。これらの合力をQとし、このx方向成分をQx 、y方向成分をQy とすると
【0055】
【数11】

となり、これらの力は円柱部材7aを介してテーブル1に作用する。
【0056】
上記数3式〜数11式を用いて、e=38mm、h=10mm、R=55mm、L=136mm、kd=30000N・mm/rad、μ=0.6の場合について、押し付け力Pと相対変位xの関係を求めると図7のようになり、合力のx方向成分Qx と相対変位xの関係を求めると図8のようになる。なお、これらの数値は、試しに計算するために設定したものであり、実際に作製する場合には、絶縁対象物の質量、絶縁したい振動数範囲、共振振動数や共振ピークの高さなど様々な要因を考慮して最適なパラメータに設定する必要がある。
【0057】
図7、8において、線図50aおよび線図51aは相対速度v>0の場合であり、相対変位xが増加するとともに、押し付け力Pおよび合力のx方向成分Qx は0から増加する。一方、線図50bおよび線図51bは相対速度v<0の場合であり、相対変位xが減少するとともに、押し付け力Pは減少して静止釣り合い位置で0になる。また、合力のx方向成分Qx は負の値であり図6に示す矢印と逆の方向に作用するが、その大きさは減少して0になる。
【0058】
また、相対変位xが0からxM まで増加し、再び0に戻るまでに消散するエネルギーは、図8の線図51a、51bおよびx=xM に囲まれた領域52の面積に相当し、これが大きくなるほど振動が抑制される。
【0059】
さて、これまでは図2に示すようにレバー8a〜8dが相対変位xの方向に対して傾けて配置された場合を考えてきたが、これらが平行に配置された場合を考える。この場合、図3においてレバー8aの初期角度θ0 は0であり、角度変化θも相対変位xに依存せず常に0となる。
【0060】
レバー8aが傾斜している場合には、数2式のように、ばね力Nが角度変化θに比例してθ=0ではN=0になるように設定していたが、レバー8aが平行に配置されている場合には若干ながら一定大きさのばね力N0 が作用するようにばね10aを調整しておき、数5式においてN=N0 とすると
【0061】
【数12】

となる。また、距離sに関する幾何的関係式は、数9式の代わりに
【0062】
【数13】

となる。さらに、円柱部材7aに作用する合力Qのx方向成分Qx およびy方向成分Qy は、数11式でθ=θ0 =0とおいて
【0063】
【数14】

となる。
【0064】
数12式の分子は一定であるが、分母のsが相対変位xによって変化するため、押し付け力Pおよび合力Qのx方向成分Qx も変化し、基本的特徴はレバー8a〜8dが相対変位xの方向に対して傾けて配置された場合と同等になる。
【0065】
以上は、テーブル1が右方向に動いた相対変位x>0の場合について、レバー8aの作用に絞って説明してきたが、円柱部材7aにはレバー8bも接触してレバー8aと同様に作用する。一方この間、円柱部材7bとレバー8cおよび8dは離れて接触していない状態になっているため、摩擦力は発生しない。したがって、テーブル1(円柱部材7a)に実質的に作用する全合力は数11式あるいは数14式で与えられるQx の2倍の大きさになる。なお、レバー8aと8bは、図2のy方向に関して、互いに逆方向にテーブル1(円柱部材7a)を押し付けるため、y方向力Qy の合力は0になり、テーブル1にはx方向の合力のみ作用することになる。このため、ガイド部材3a〜3dには無理な力が作用せずx方向の滑らかな運動となる。
【0066】
また、テーブル1が左方向に相対的に動いて相対変位x<0の場合には、円柱部材7aとレバー8aおよび8bは離れた状態になり、逆に、円柱部材7bとレバー8cおよび8dが接触するようになって、これまで説明してきたことと同様な作用で、逆方向に摩擦力が発生する。
【0067】
なお、これまで説明してきた図1〜6において、円柱部材7a、7bはテーブル1の下面に設置され、レバーの回転軸9a〜9dおよびレバー押し付けばね支持部材11a〜11dはベース2の上面に設置された場合を考えているが、逆に、円柱部材7a、7bはベース2の上面に設置され、レバーの回転軸9a〜9dおよびレバー押し付けばね支持部材11a〜11dはテーブル1の下面に設置された場合でも同様な機能を発揮できる。
【実施例2】
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この形態は図1、2の構成に限られることなく、種々の変形が可能である。図9に示す摩擦ダンパ102は、テーブル1の下面に円柱部材7を設け、ベース2の上面にレバーの回転軸9e、9fを設けて、この回りに自在に回転できるようにレバー8e、8fを設ける。これらのレバー8e、8fはベース側支持部材11e、11fで保持された押し付けばね10e、10fに接続され、円柱部材7に接触するように配置されている。
【0069】
これは、図2においてレバー8b、8dおよびこれらに関係する回転軸とばねを取り除いた構造と等価である。したがって、円柱部材7の設けられたテーブル1が右方向に相対変位xした場合の円柱部材7とレバー8eの作用は、図3〜図6で説明してきた円柱部材7aとレバー8aに作用する力の関係と全く同じである。ただし、図2のレバー8bに相当するレバーがなくなったために、テーブル1に実質的に作用する全合力x方向成分は数11式で与えられるQx だけになり、またy方向成分Qy がキャンセルされずに残るが、ガイド部材3a〜3dがこのy方向成分Qy を充分支えることができ、滑らかな直線運動を保持できる性能を持たせることによって実施例1と同等の目的を達成できる。
【実施例3】
【0070】
次に、本発明の第3の実施例の要点を図10〜図12により説明する。図10において、 摩擦ダンパ103を構成するレバー8gの回転軸9gは摩擦力Fの作用線に関して円柱部材7aと反対側にオフセットして配置されている。これは、図4に示すレバー8aの回転軸9aが摩擦力Fの作用線に関して円柱部材7aと同じ側に配置された第1の実施例と逆側になっている。
【0071】
この実施例の場合、レバーと円柱部材の接触部Cに作用する押し付け力Pや円柱部材に作用する合力のx方向成分Qx と相対変位xとの関係式は、数1式〜数11式においてeを−eに置き換えた式になる。例として、e=15mm、h=60mm、R=55mm、L=136mm、kd=30000N・mm/rad、μ=0.6の場合について、押し付け力Pと相対変位xの関係を求めると図11のようになり、合力のx方向成分Qx と相対変位xの関係を求めると図12のようになる。
【0072】
図11、12において、線図53aおよび線図54aは相対速度v>0の場合であり、相対変位xが増加するとともに、押し付け力Pおよび合力のx方向成分Qx は0から増加する。一方、線図53bおよび線図54bは相対速度v<0の場合であり、相対変位xが減少するとともに、押し付け力Pは減少して静止釣り合い位置で0になる。これらの力の大きさについて比較すると、図7、8の実施例1では相対速度v<0の場合に大きく、逆に図11、12の実施例3では相対速度v>0の場合に大きくなる。これは、オフセットeの位置と相対速度vの兼ね合いにより、摩擦力Fによるモーメントが押し付け力Pを増加あるいは減少させるかの自己倍力効果が逆に作用するためである。
【0073】
なお、振動絶縁性能を重視する装置を作製する場合には実施例1や2のような設定が適しており、振幅と共振ピークを抑えることを重視する場合には実施例3のような設定が適している。
【実施例4】
【0074】
これまでの実施例では、図2に示すように、テーブル1の下面に設けた円柱部材7a、7bにレバー8a〜8dを押し付けることによって摩擦力を発生させる機構であったが、円柱部材を設けた理由は、図3に示したように相対変位xとともにレバーの傾斜角θが変化することに対応させるためである。しかし、円柱部材とレバーは線接触しているため、接触部が摩耗しやすい欠点がある。この欠点を改善した実施例に係る摩擦ダンパ104を図13、図14により説明する。テーブル1の下面に設けた回転軸30a〜30d回りに、自在に回転できる角柱部材31a〜31dが配置されており、これらの角柱部材にレバー8a〜8dが接触する構造になっている。テーブル1の相対変位xと共にレバーの傾斜角θは変化するが、角柱部材の角度もこれに応じて変化して、レバーと角柱部材は常に面接触するため、摩耗を小さくできる。
【0075】
なお、実施例1で説明したように、レバー8a〜8dを相対変位xの方向に平行に配置することも可能である。この場合にはレバーの傾斜角θは常に0になるため、角柱部材31a〜31dのレバーとの接触面を相対変位xの方向に平行になるようにして固定設置することができ、回転軸30a〜30dは不要になる。
【実施例5】
【0076】
これまでの実施例では、図2に示すように、レバー8a〜8dを円柱部材7a、7bに押し付けるために、ベース側支持部材11a〜11dで保持されたばね10a〜10dを用いているが、必ずしもこのような構成にする必要はなく、種々の方法が考えられる。例えば、図15に示す実施例の摩擦ダンパ105では、レバー8a、8bを連結ばね20aで連結し、レバー8c、8dを連結ばね20bで連結して、これらのレバーを円柱部材7a、7bに押し付ける構造となっている。
【0077】
また、回転軸9a〜9dそのものをトーションバー(ねじれ軸)のばねにして、これにレバー8a〜8dを固定すれば、連結ばね20aや20bのようなばねを設ける必要もなくなる。
【実施例6】
【0078】
さらに、図16に示す実施例6の摩擦ダンパ106では、ベース上面に設けた支持部材40a〜40dに板ばね41a〜41dの一端を固定し、これらの板ばねの他端にレバー8p〜8sを固定した構造になっている。この場合には、図2に示すような回転軸9a〜9dが不要になる。
【符号の説明】
【0079】
1 テーブル
2 ベース
3a〜3d ガイド部材
4a、4b 復元ばね
5a、5b 復元ばねのテーブル側支持部材
6a、6b 復元ばねのベース側支持部材
7、7a、7b 円柱部材
8a〜8g、8p〜8s レバー
9a〜9g レバーの回転軸
10a〜10f 押し付けばね
11a〜11f 押し付けばね支持部材
20a、20b 連結ばね
30a〜30d 角柱部材の回転軸
31a〜31d 角柱部材
40a〜40d 板ばね保持部材
41a〜41d 板ばね
50a、50b、53a、53b 押し付け力Pと相対変位xの関係線図
51a、51b、54a、54b 合力のx方向成分Qx と相対変位xの関係線図
52 消散エネルギーに相当する領域
101〜106 摩擦ダンパ
C レバーと円柱部材の接触部
O 相対変位xが0の場合の円柱部材中心の位置
x 相対変位がxの場合の円柱部材中心の位置
P レバーと円柱部材の間に作用する押し付け力
F レバーと円柱部材の間に作用する摩擦力
N 押し付けばねの力
Q 円柱部材に作用する合力
x 円柱部材に作用する合力Qのx方向成分
y 円柱部材に作用する合力Qのy方向成分
v ベースに対するテーブルの相対速度
x ベースに対するテーブルの相対変位、座標軸
y 水平面上でx座標軸に垂直な座標軸
z 垂直方向座標軸
θ0 相対変位xが0の場合のレバーの傾斜角
θ 相対変位xが生じた場合のレバー傾斜角の変化量
d レバーの回転軸から押し付けばねの力の作用線までの距離
s レバーの回転軸からレバーと円柱部材の接触部Cまでの距離
e レバーの回転軸から摩擦力作用線までの距離(オフセット)
h 円柱部材中心を通るx軸からレバーの回転軸までの距離
L 相対変位xが0の場合における、レバーの回転軸から円柱部材中心までの距離
R 円柱部材の半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動絶縁対象物を搭載するテーブルが、ベースに対してガイド部材を介して水平直線方向に相対移動可能になっており、テーブルに復元力を持たせるため、テーブルとベースをばねで接続した振動絶縁装置において、
外力が作用している場合の過大な共振振動を抑制するとともに作用外力が去った後の振動を速やかに収束させるための減衰機構として、テーブル又はベースの一方の対向面に、ブロック形状の摩擦部材を設け、テーブル又はベースの他方の対向面には、軸回りに回転可能なレバーと該レバーを摩擦部材の外周面に押し付けるためのばねからなる押圧装置を設けてあり、摩擦部材と接触するレバーの面を前記相対移動方向に対して傾けて配置することにより、テーブルとベースに相対変位が生じた場合、相対変位に対応して押圧装置による押し付け力が変化する結果、摩擦部材とレバーとの間に生じる摩擦力の大きさが変化する摩擦ダンパを用いたことを特徴とする振動絶縁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動絶縁装置が、前記ベースに対する前記テーブルの相対運動の方向が互いに直交するように上下に複数組重ねて配置されることにより、2次元平面運動に対応した振動絶縁作用を行わせるようにしたことを特徴とする振動絶縁装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振動絶縁装置に用いる前記摩擦ダンパにおいて、前記ブロック形状の摩擦部材を円柱部材により構成し、前記押圧装置を構成するレバーを該円柱部材の対向外周面に略ハ字状に接触する一対のレバーにより構成したことを特徴とする摩擦ダンパ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の振動絶縁装置に用いる前記摩擦ダンパにおいて、前記ブロック形状の摩擦部材を円柱部材により構成し、前記押圧装置を構成するレバーを該円柱部材の対向外周面に略平行傾斜状に接触する一対のレバーにより構成したことを特徴とする摩擦ダンパ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の振動絶縁装置に用いる前記摩擦ダンパにおいて、前記ブロック形状の摩擦部材を軸回りに回転可能な角柱部材により構成し、前記押圧装置を構成するレバーの面が該角柱部材の回動外面に平行に接触することを特徴とする摩擦ダンパ。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかに記載の摩擦ダンパにおいて、前記レバーの回転軸とばねを設ける代わりに、該レバーを板ばねで保持し、軸回りに回転可能とするとともに前記摩擦部材の外周面に弾性的に押し付けるようにしたことを特徴とする摩擦ダンパ。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれかに記載の摩擦ダンパにおいて、前記レバーの回転中心軸部を摩擦力作用線から離してオフセットを設けることにより、摩擦力がレバーに回転モーメントを発生させ、押し付け力を増大あるいは減少させる結果、摩擦力の大きさの変化も増幅させる自己倍力効果を利用することを特徴とする摩擦ダンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−180961(P2010−180961A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25247(P2009−25247)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(390014306)防衛省技術研究本部長 (169)
【Fターム(参考)】