説明

捜索システムおよび携帯通信端末

【課題】省電力で、かつ、屋内でも高い精度で子端末の位置を検出できる捜索システムおよび携帯通信端末を提供すること。
【解決手段】迷子捜索システム100において、BCMCS配信サーバ120は、所定周期で番組配信に係る報知情報を、複数の基地局110を介して配信し、携帯電話機1aおよび携帯電話機1bは、BCMCS配信サーバ120により配信される報知情報に含まれるいずれかのフローIDを共通して記憶する記憶部60と、所定周期で報知情報を受信したことに応じて、端末情報およびフローIDを含む登録メッセージを、当該報知情報を受信した基地局110へ送信する端末情報送信部31と、を備え、迷子捜索サーバ130は、基地局110を介して受信する登録メッセージに関して、所定の条件を満たした場合に、携帯電話機1aへ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捜索システムおよび携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯通信端末を用いて迷子の捜索を行うシステムが提案されている。例えば、特許文献1では、GPS(Global Positioning System)を用いて迷子の捜索を行うシステムが提案されている。また、特許文献2では、親端末と子端末のそれぞれが近距離無線通信で位置情報を送出しあうことで位置関係を把握するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−164663号公報
【特許文献2】特開2009−003852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、屋内でのGPS電波が不安定であるため、位置測定精度が十分に得られない場合がある。また、特許文献2のシステムでは、親端末と子端末は、それぞれ位置情報を定期的に送出する必要があるため、電力消費が増大する。
【0005】
本発明は、省電力で、かつ、屋内でも高い精度で子端末の位置を検出できる迷子捜索システムおよび携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る迷子捜索システムは、捜索サーバ、配信サーバ、複数の基地局、親携帯通信端末および子携帯通信端末を備えたシステムであって、前記配信サーバは、所定周期で番組配信に係る報知情報を、前記複数の基地局を介して配信する配信部を備え、前記親携帯通信端末および子携帯通信端末は、前記配信サーバにより配信される報知情報に含まれるいずれかの番組識別データを共通して記憶する記憶部と、前記所定周期で前記報知情報を受信したことに応じて、端末情報および前記番組識別データを含む登録メッセージを、当該報知情報を受信した基地局へ送信する端末情報送信部と、を備え、前記捜索サーバは、前記基地局を介して受信する前記登録メッセージに関して、所定の条件を満たした場合に、前記親携帯通信端末へ通知する通知部を備える。
【0007】
また、前記通知部は、前記所定の条件として、前記登録メッセージを受信した基地局間の距離が所定以上である場合に、前記親携帯通信端末へ通知することが好ましい。
【0008】
また、前記通知部は、前記所定の条件として、前記子携帯通信端末からの登録メッセージを受信できなかった場合に、前記親携帯通信端末へ通知することが好ましい。
【0009】
また、前記配信部は、前記番組識別データが異なる複数の報知情報を、時間をずらして同一の周期で配信することが好ましい。
【0010】
また、前記番組配信は、CDMA2000_1x_EVDOにおけるBCMCSにより提供され、前記登録メッセージは、前記報知情報(Broadcast Overhead Message)において、所定のパラメータ(Register For Paging)が設定されていることに応じて送信されるメッセージ(BCMCS Flow Registration Message)であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る携帯通信端末は、所定周期で複数の基地局それぞれを介して配信報知されるいずれかの番組の番組識別データを、子携帯通信端末と共通して記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている番組識別データを含む報知情報を受信したことに応じて、端末情報および前記番組識別データを含む登録メッセージを、当該報知情報を受信した基地局へ送信する端末情報送信部と、前記端末情報送信部により送信された登録メッセージおよび、前記子携帯通信端末から送信される登録メッセージを受信する捜索サーバにおいて、所定の条件を満たした場合に通知されるデータを受信する受信部と、前記受信部により受信されたデータに基づいて、前記子携帯通信端末の所在に関する情報を報知する報知部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、省電力で、かつ、屋内でも高い精度で子端末の位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る迷子捜索システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る迷子捜索システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【図5】本発明の実施形態に係る報知情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本実施形態では、携帯通信端末の一例として、携帯電話機1を説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る迷子捜索システム100の構成を示す図である。
基地局110(110aおよび110b)、BCMCS配信サーバ120(配信サーバ)および迷子捜索サーバ130(捜索サーバ)は、ネットワークを介して互いに接続されている。
【0016】
また、基地局110は、自身の通信エリア内の携帯電話機1(1a、1b、1cおよび1d)と無線通信を行う。具体的には、携帯電話機1は、所定以上の電界強度が得られる基地局110に対して自端末の位置登録を行い、基地局110は、位置登録が行われた携帯電話機1を通信対象とする。
【0017】
ここで、基地局110は、通信可能エリアが通常の基地局より狭い(例えば、半径数十mまで)Femto(フェムト)セルを実現する小型の基地局である。このFemtoセルを用いたFemtoシステムは、高層マンションやショッピングセンタ等における電波の不感地対策として、複数の小型基地局を設置し、ブロードバンド回線等を使用して音声またはデータ通信を行うシステムある。
【0018】
基地局110は、電話回線、光ファイバーまたはCATV用ケーブル等と接続し、エリア内の携帯電話機1が捕捉できる電波を発する。発する電波は、出力強度以外は通常のセル(半径数百mから十数km)を構成する基地局と同様であるため、携帯電話機1は、通常の基地局と同様に、この小型の基地局110と通信することができる。
【0019】
BCMCS配信サーバ120は、BCMCS(Broadcast Multicast Service)の番組配信を管理するサーバである。BCMCSとは、CDMA2000_1x_EVDOの通信プロトコルにおいて、基地局110を介して通信エリア内の全ユーザに向けてデータを一斉配信するサービスである。このサービスでは、ユーザは、予め受信したいBCMCS番組の情報を携帯電話機1に登録しておく。携帯電話機1は、登録した番組の配信開始時刻になると、通信エリア(Femtoセルaまたはb)内で送信されている報知情報(Broadcast Overhead Message、BOM)を受信し、登録した番組が配信されていることを確認できたらデータ受信を開始する。
【0020】
基地局110は、BCMCS配信サーバ120(配信部)からの番組配信要求に応じて、通信エリア内へ報知情報を送信する。報知情報には、所定のパラメータ(Register For Paging)があり、このパラメータに「1」が設定されている場合には、番組を受信する携帯電話機1に対して、登録メッセージ(BCMCS Flow Registration Message)の送信を要求する。すなわち、報知情報を受信した携帯電話機1は、パラメータを参照し、「Register For Paging」が「1」の場合は、自動的に登録メッセージを基地局110へ送信する。
【0021】
ここで、報知情報には、フロー(Flow)IDと呼ばれる番組識別データが含まれている。BCMCS番組の情報として携帯電話機1に予め登録されているフローIDが報知情報に含まれている場合に、携帯電話機1は、登録した番組が配信されていると判断し、このフローIDを含んだ登録メッセージを基地局110へ送信する。
【0022】
そして、基地局110は、携帯電話機1から登録メッセージを受信したことに応じて、配信しようとしているBCMCS番組を受信する携帯電話機1の情報を知る。この登録メッセージをいずれの携帯電話機1からも受信しなかった場合には、BCMCS番組の受信を待機している携帯電話機1が存在しないと判断し、基地局110は、BCMCS番組の送信を停止することができる。
【0023】
また、携帯電話機1は、BCMCS番組の受信中に、定期的に基地局110に対して登録メッセージを送信することにより、現在BCMCS番組を受信中であることを基地局110へ通知することができる。基地局110は、一定時間、携帯電話機1からの登録メッセージを受信しなかった場合、配信中のBCMCS番組を受信している携帯電話機1が存在しないと判断し、BCMCS番組の送信を停止することができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、必ずしもBCMCS番組本体の送信は必要とせず、報知情報と登録メッセージの送受信により本発明を実施できる。
【0025】
迷子捜索サーバ130は、BCMCSの報知情報に応じて携帯電話機1から自動的に送信された登録メッセージに基づいて、携帯電話機1の位置情報を取得する。
【0026】
ここで、携帯電話機1の位置情報は、GPSを用いて取得することもできるが、Femtoセルの通信可能エリアが狭いことを利用し、携帯電話機1が複数のFemtoセルのいずれに位置しているかを検知することにより、基地局110の位置情報を携帯電話機1の位置情報として近似的に用いることができる。したがって、迷子捜索サーバ130は、携帯電話機1がGPSに対応していない場合でも位置情報を取得できる。なお、携帯電話機1の位置情報は、基地局110の位置情報に加えて、基地局110からの距離に応じて減衰する受信電界強度を加味して算出されてもよい。
【0027】
迷子捜索システム100においては、予め保護者が携帯する親端末(例えば、携帯電話機1aまたは1c)と、子供が携帯する子端末(例えば、携帯電話機1bまたは1d)とで、同一のフローIDを登録しておく。ここで、フローIDは、迷子捜索システム100のサービス提供エリア内において、親端末と子端末の組み合わせ毎に重複しないように設定される。例えば、親A(携帯電話機1a)と子A(携帯電話機1b)の組み合わせは「フローID=100」であり、親B(携帯電話機1c)と子B(携帯電話機1d)の組み合わせは「フローID=200」である。すると、迷子捜索サーバ130は、携帯電話機1から送信される登録メッセージに基づいて、同一のフローIDを含む登録メッセージ同士を対応付けて、これらの端末の位置関係を取得できる。
【0028】
このことにより、迷子捜索サーバ130(通知部)は、例えば、同一のフローIDが登録されている親端末(携帯電話機1a)と子端末(携帯電話機1b)との距離が所定以上である場合に、親端末へ子供の居場所として子端末の位置情報を通知したり、子端末からの登録メッセージを取得できない場合に、子端末が通信エリア外へ移動した可能性を親端末へ通知したりできる。なお、親端末への通知は、SMS(Short Message Service)により行われることとしてよい。
【0029】
図2は、本実施形態に係る携帯電話機1(携帯通信端末)の外観斜視図である。
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備えて構成される。操作部側筐体2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時や音声認識アプリケーションを利用時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定機能や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメールの文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。
【0030】
また、表示部側筐体3は、表面部20に、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバ22と、を備えて構成されている。
【0031】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0032】
図3は、本実施形態に係る携帯電話機1の機能を示すブロック図である。携帯電話機1は、操作部11と、表示部21(報知部)と、制御部30と、通信部40と、アンテナ41と、音声制御部50(報知部)と、記憶部60と、を備える。
【0033】
制御部30は、携帯電話機1の全体を制御しており、例えば、表示部21、通信部40、音声制御部50等に対して所定の制御を行う。また、制御部30は、操作部11等から入力を受け付けて、各種処理を実行する。そして、制御部30は、処理実行の際には、記憶部60を制御し、各種プログラムおよびデータの読み出し、およびデータの書き込みを行う。なお、本実施形態に係る制御部30の各機能は後述する。
【0034】
通信部40は、所定の使用周波数帯(例えば、2GHz帯や800MHz帯等)で外部装置(基地局110)と通信を行う。そして、通信部40は、アンテナ41より受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給し、また、制御部30から供給された信号を変調処理し、アンテナ41から外部装置に送信する。
【0035】
ここで、通信部40は、データ通信専用の通信プロトコルであるCDMA2000_1x_EVDOに対応している。通信部40は、制御部30からの指令に基づいて、このプロトコルにより、BCMCSの報知情報(BOM)を受信する。
【0036】
なお、大容量の情報配信サービスの例として、CDMA2000_1xのEVDOにおけるBCMCSを例に説明を行うが、これに限定されるものではない。例えば、3GPP仕様においてUMTS用として最初にRelease6で登場したMBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)、LTE(Long Term Evolution)用にRelease9で定義される予定のeMBMSであってもよい。以降、説明の簡略化のため、CDMA2000_1xのEVDOにおけるBCMCSを例に用いて説明を行う。
【0037】
音声制御部50は、制御部30の制御に従って、通信部40から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をレシーバ22に出力する。レシーバ22は、音声制御部50から供給された信号を外部に出力する。なお、この信号は、レシーバ22に代えて、または、レシーバ22と共に、スピーカ(図示せず)から出力されるとしてもよい。
【0038】
また、音声制御部50は、制御部30の制御に従って、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号を通信部40に出力する。通信部40は、音声制御部50から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をアンテナ41より出力する。
【0039】
さらに、音声制御部50は、報知部としても機能する。具体的には、音声制御部50は、迷子捜索サーバ130から子端末の位置情報が通知された場合に、所定の音声を出力することにより、親端末のユーザへ通知があったことを報知する。なお、報知部は、バイブレーションやLEDの発光等、種々のものであってもよい。これらの報知部により、表示部21に通知情報が表示された際に、通知内容をユーザへ速やかに知らせることができる。
【0040】
記憶部60は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部30による演算処理に利用される。また、本実施形態に係る各種プログラム等を記憶する。さらに、記憶部60は、迷子捜索システム100のサービス提供エリアに設置されている複数の基地局110の識別情報リスト(例えば、周波数、チャネル等)と、迷子捜索用のBCMCS番組の番組識別データ(フローID)とを記憶する。なお、記憶部60は、着脱可能な外部メモリを兼ねていてもよい。
【0041】
次に、制御部30の機能を詳述する。制御部30は、端末情報送信部31と、迷子情報受信部32(受信部)と、を備える。
【0042】
端末情報送信部31は、基地局110から所定周期で送信される報知情報を受信したことに応じて、所定のパラメータ(Register For Paging)を参照し、このパラメータが「1」であることを確認すると、携帯電話機1の端末情報およびフローIDを含む登録メッセージを、この報知情報を受信した基地局110へ送信する。
【0043】
迷子情報受信部32は、親端末と子端末との距離が離れている、または子端末の位置情報が得られない場合に、迷子捜索サーバ130から通知される迷子情報(子端末の位置情報)を受信する。また、受信した迷子情報は、表示部21により表示される。
【0044】
図4は、本実施形態に係る迷子捜索システム100における処理の流れを示すシーケンス図である。なお、親端末(携帯電話機1a)はFemtoセルaに、子端末(携帯電話機1b)はFemtoセルbにあるものとする。
【0045】
ステップS1では、親端末は、サービス提供エリア内の基地局110の電波を捕捉するための基地局情報リストの設定を行うと共に、迷子捜索BCMCS番組を登録する。このとき、番組識別データとしてのフローIDは「100」が設定されたとする。
【0046】
ステップS2では、子端末は、親端末と同様に、基地局情報リストの設定を行うと共に、迷子捜索BCMCS番組を登録する。このとき、番組識別データとしてのフローIDは、親端末と共通の「100」が設定される。
【0047】
ステップS3では、BCMCS配信サーバ120は、迷子捜索BCMCS番組の配信データを生成し、配信準備を開始する。
【0048】
ステップS4およびステップS5では、BCMCS配信サーバ120は、定期的に(例えば、5分毎に)報知情報を送信するため、サービスエリア内(例えば、Femtoセルaおよびb)の基地局110(例えば、基地局110aおよび110b)へ配信の準備を要求する。
【0049】
ステップS6では、Femtoセルbの基地局110bは、セル内の携帯電話機1へ、パラメータ(Register For Paging)を「1」に設定した上で、フローID(=100)を含んだ報知情報(BOM)を送信する。
【0050】
ステップS7では、Femtoセルbにある子端末は、ステップS6の報知情報を受信すると、自動的に、自端末の端末情報およびフローID(=100)を含んだ登録メッセージを、基地局110bへ送信する。
【0051】
ステップS8では、基地局110bは、ステップS7で受信した登録メッセージから子端末の端末情報を抽出し、この端末情報を迷子捜索サーバ130へ通知する。
【0052】
ステップS9では、Femtoセルaの基地局110aは、セル内の携帯電話機1へ、パラメータ(Register For Paging)を「1」に設定した上で、フローID(=100)を含んだ報知情報(BOM)を送信する。
【0053】
ステップS10では、Femtoセルaにある親端末は、ステップS9の報知情報を受信すると、自動的に、自端末の端末情報およびフローID(=100)を含んだ登録メッセージを、基地局110aへ送信する。
【0054】
ステップS11では、基地局110aは、ステップS10で受信した登録メッセージから親端末の端末情報を抽出し、この端末情報を迷子捜索サーバ130へ通知する。
【0055】
ステップS12では、迷子捜索サーバ130は、子端末からの登録メッセージを受信したか否かを判定する。この判定がYESの場合は、処理をステップS14に移し、判定がNOの場合は、処理をステップS13に移す。
【0056】
ステップS13では、迷子捜索サーバ130は、子端末の位置情報が取得できなかったので、子端末がサービスエリア内にないことを、SMSにより親端末へ通知する。
【0057】
ステップS14では、迷子捜索サーバ130は、親端末と子端末の距離を算出する。具体的には、登録メッセージを受信した基地局110aと基地局110bとの距離であってもよい。
【0058】
ステップS15では、迷子捜索サーバ130は、ステップS14で算出した距離が一定以上(例えば、30m以上)であるか否かを判定する。この判定がYESの場合は、処理をステップS16に移し、判定がNOの場合は、迷子情報の通知は不要なので、次回の登録メッセージの受信まで待機する。
【0059】
ステップS16では、迷子捜索サーバ130は、子端末が親端末から所定以上離れているので、子端末の位置情報を、SMSにより親端末へ通知する。
【0060】
本実施形態によれば、既存の携帯通信端末に対して基地局110の情報および迷子捜索BCMCS番組の登録を行うことにより、携帯電話機1として機能させることができる。したがって、ユーザは、迷子捜索のサービス提供エリアにおいて、特別な端末を用いることなく、ユーザ自身の所有する携帯通信端末を用いてサービスの提供を受けることができる。
【0061】
また、親端末と子端末とがそれぞれ、報知情報に応答して自動で登録メッセージを送信するので、迷子捜索サーバ130は、各端末のユーザ(例えば、保護者と子供)に操作入力をさせることなく、位置情報を取得することができる。さらに、通信エリアの狭いFemtoセルを用いることで、屋内であっても、基地局110の位置情報を用いて、親端末および子端末の位置情報を高精度に取得することができる。
【0062】
また、迷子捜索サーバ130は、定期的に取得する位置情報に基づいて、親端末と子端末とが所定以上離れた場合や、子端末の位置情報を取得できない場合に、親端末へ通知する。したがって、親端末のユーザ(保護者)は、子供が離れたことを適時に把握することができる。さらに、サービス提供エリア外へ子端末が移動した場合には、この子端末が最後に登録メッセージを送信した基地局110が分かるので、どこから外へ移動したかを把握することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、迷子捜索のために携帯電話機1が送信するデータは登録メッセージのみであり、特許文献2のように近距離無線通信で位置情報を送出しあうのに比べて、電力消費が低減される。さらに、BCMCSの番組本体の配信を行わないため、携帯電話機1の受信パケット量を抑制できる。したがって、携帯電話機1の電力消費は低減され、かつ、ネットワークの負荷も低減される。
【0064】
また、迷子捜索システム100では、親端末と子端末の組み合わせ(例えば、保護者と子供)毎に異なるフローIDを登録するので、それぞれの組み合わせ毎の位置関係を把握できる。なお、これら異なるフローIDは、1つの報知情報に含めて配信される。
【0065】
図5は、本実施形態に係る報知情報の一例を示す図である。
この例では、報知情報にフローIDが100個含まれており(bcmcs_flow_count=100)、この中には、例えば、「100」、「200」および「300」があることが示されている。
【0066】
ここで、1つの報知情報には、フローIDを最大127個まで含められることが規定されている。したがって、サービスの利用者が多く、127個よりも多いフローIDを報知する必要がある場合には、複数の異なる報知情報を送信することとしてよい。この場合、異なる報知情報のそれぞれを、時間をずらして同一の周期で送信する。
【0067】
また、迷子捜索BCMCS番組の識別データや配信時刻の情報は、サービスの提供を終了(登録解除)する際、特にユーザが端末を借りていた場合には、この端末をサービス提供者(例えば、ショッピングセンタ)に返却する際に、サービス提供者側にて登録を解除するのに伴って消去される。ところで、迷子捜索のための配信情報(報知情報)の監視は定期的に行うため、サービス提供エリア外に出ても、配信されもしない配信情報を監視してしまい、無駄な電力消費が生じてしまう。登録解除時に配信に関する情報を削除することにより、この無駄な電力消費を防止することができる。なお、サービス提供者側ではユーザの情報を保持しているので、所定の時刻までに登録解除が行われていなければ、呼び出して登録解除や端末の返却をさせることができ、このときにも配信に関する情報を削除できる。
【0068】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。また、前述の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、前述のものに限定されない。
【0069】
例えば、徘徊の多い人やペットに携帯させている端末に本発明を適用することにより、この人やペットの居場所を容易に把握することができる。また、財布等の持ち物に取り付けられた通信モジュールに本発明を適用し、持ち物が紛失や盗難等にあった場合の捜索に役立てることができる。
【0070】
また、前述の実施形態において、携帯通信端末として携帯電話機1について説明しているが、携帯通信端末はこれに限定されず、本発明は、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等の様々な携帯通信端末に適用可能である。
【0071】
また、前述の実施形態において、携帯電話機1は、ヒンジ機構4により折り畳み可能な型式としたが、これには限られない。携帯電話機1は、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが1つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。また、携帯電話機1は、開閉および回転可能ないわゆる2軸ヒンジタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 携帯電話機(携帯通信端末)
1a、1c 親端末(親携帯通信端末)
1b、1d 子端末(子携帯通信端末)
11 操作部
21 表示部(報知部)
30 制御部
31 端末情報送信部
32 迷子情報受信部(受信部)
40 通信部
41 アンテナ
50 音声制御部(報知部)
60 記憶部
100 迷子捜索システム(捜索システム)
110、110a、110b 基地局
120 BCMCS配信サーバ(配信サーバ、配信部)
130 迷子捜索サーバ(捜索サーバ、通知部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捜索サーバ、配信サーバ、複数の基地局、親携帯通信端末および子携帯通信端末を備えた捜索システムであって、
前記配信サーバは、
所定周期で番組配信に係る報知情報を、前記複数の基地局を介して配信する配信部を備え、
前記親携帯通信端末および子携帯通信端末は、
前記配信サーバにより配信される報知情報に含まれるいずれかの番組識別データを共通して記憶する記憶部と、
前記所定周期で前記報知情報を受信したことに応じて、端末情報および前記番組識別データを含む登録メッセージを、当該報知情報を受信した基地局へ送信する端末情報送信部と、を備え、
前記捜索サーバは、
前記基地局を介して受信する前記登録メッセージに関して、所定の条件を満たした場合に、前記親携帯通信端末へ通知する通知部を備える捜索システム。
【請求項2】
前記通知部は、前記所定の条件として、前記登録メッセージを受信した基地局間の距離が所定以上である場合に、前記親携帯通信端末へ通知することを特徴とする請求項1に記載の捜索システム。
【請求項3】
前記通知部は、前記所定の条件として、前記子携帯通信端末からの登録メッセージを受信できなかった場合に、前記親携帯通信端末へ通知することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の捜索システム。
【請求項4】
前記配信部は、前記番組識別データが異なる複数の報知情報を、時間をずらして同一の周期で配信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の捜索システム。
【請求項5】
前記番組配信は、CDMA2000_1x_EVDOにおけるBCMCSにより提供され、
前記登録メッセージは、前記報知情報(Broadcast Overhead Message)において、所定のパラメータ(Register For Paging)が設定されていることに応じて送信されるメッセージ(BCMCS Flow Registration Message)であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の捜索システム。
【請求項6】
所定周期で複数の基地局それぞれを介して配信報知されるいずれかの番組の番組識別データを、子携帯通信端末と共通して記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている番組識別データを含む報知情報を受信したことに応じて、端末情報および前記番組識別データを含む登録メッセージを、当該報知情報を受信した基地局へ送信する端末情報送信部と、
前記端末情報送信部により送信された登録メッセージおよび、前記子携帯通信端末から送信される登録メッセージを受信する捜索サーバにおいて、所定の条件を満たした場合に通知されるデータを受信する受信部と、
前記受信部により受信されたデータに基づいて、前記子携帯通信端末の所在に関する情報を報知する報知部と、を備える携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−71940(P2011−71940A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223546(P2009−223546)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】