説明

捩り疲労試験機

【課題】捩り剛性の低いものであっても負荷すべきトルクを負荷でき、また省スペース化および低騒音化等が図れ、さらにはメンテナンス性に優れるととともに、低コスト化も達成できる捩り疲労試験機を提供する。
【解決手段】被試験体Wの一端部を回転自在に保持する回転側保持体1と、被試験体Wの他端部を回転不能に保持する固定側保持体2と、回転側保持体1を介して被試験体Wに捩りトルクを負荷するトルク負荷手段3と、トルク負荷手段3にてトルク負荷された状態での被試験体Wの捩りトルクを検出するトルク検出器4とを備えた捩り疲労試験機である。トルク負荷手段3は、被試験体Wに捩りトルクを負荷する電気サーボモータ7と、電気サーボモータ7の出力を制御するサーボコントローラ9と、設定したトルクをサーボコントローラ9に入力する入力手段13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種部品や材料の捩り耐久試験を行うための捩り疲労試験に関し、特に、等速自在継手または等速自在継手に連結される駆動軸用に最適となる捩り疲労試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のプロペラシャフト(推進軸)やドライブシャフト(駆動軸)等には、使用時において捩りトルクが負荷されるので、このようなシャフト(被試験体)には捩り疲労試験が行われ、被試験体の捩り強度(捩り疲労)が検査される。
【0003】
従来の捩り疲労試験機としては、被試験体の一端部を回転(回動)自在に保持する保持具を有するトルク負荷部と、被試験体の他端部を回転(回動)不能に保持する保持具を有する反力部とを備たものがある(例えば、特許文献1参照)。すなわち、被試験体の一端部をトルク負荷部にて保持(支持)すると共に、被試験体の他端部を反力部にて保持(支持)する。この状態で、トルク負荷部の油圧アクチュエータにて、トルク負荷部の保持具に対して捩りトルクを負荷する。この場合のトルク負荷部は、前記したように油圧アクチュエータを使用しており、電磁式油圧サーボ機構を採用している。
【0004】
試験中は、トルク検出器によって被試験体のトルクを検出し、その検出値によりアクチュエータをフィードバック制御することによって、被試験体に繰り返しトルクが作用するように制御している。
【0005】
すなわち、油圧サーボ機構は、任意の波形を入力すると波形信号との偏差がゼロとなるように作動し、入力した波形に追従した動きをする。具体的には、油圧アクチュエータ(油圧ロータリーアクチュエータ)は、油圧ユニットからの圧力エネルギーに応じた流量、方向に油圧ベーンを回転させ、そのベーンに結合されたシャフトを回転させることで、シャフトに結合された被試験体にトルクを負荷する。そして、ベーンの位置は角度検出器で検出され、制御装置にその検出信号(電圧信号)を送り、目標位置の電圧信号と比較する。その時の偏差値を補正する命令信号を制御装置からサーボポンプに送り、サーボ弁(電磁サーボ弁)がその信号に比例して作動し、偏差信号がゼロ(零)になるように制御する。
【特許文献1】特開2001−27593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、油圧ロータリーアクチュエータは、その構造上捩り角度に限度がある。そのため捩り剛性の低い細長い被試験体の捩り疲労試験を行う場合、負荷すべき捩りトルクを得られないことがある。特に、前記特許文献1に記載のように、複数本の被試験体を直列に接続したものでは、被試験体への捩り量が不足することになる。
【0007】
すなわち、前記特許文献1に記載のものでは、前記トルク負荷部と反力部との間に中間軸受を設ける。被試験体を2本直列に配設する場合には、中間軸受を1つ設け、トルク負荷部の保持具と、中間軸受とで1本の被試験体を保持させると共に、中間軸受と、反力部の保持具とで1本の被試験体を保持させる。そして、1つの油圧ロータリーアクチュエータで発生したトルクを、トルク負荷部側の保持具、中間軸受、反力部側の保持具に伝達させる。中間軸受を増やすことによって、直列に配設できる被試験体の数を増加することができる。
【0008】
1つの油圧ロータリーアクチュエータで発生したトルクを、直列に接続した被試験体に負荷するものであるので、1本の被試験体に対して捩り量が不足しなくても全被試験体では捩り量が不足することになる。
【0009】
このように、油圧ロータリーアクチュエータを用いれば、低剛性の被試験体では、負荷すべき捩りトルクを得られないことがある。たとえ1本の被試験体に対して負荷すべき捩りトルクを得られたとしても、複数本の被試験体を直列に連結したものでは、各被試験体への捩り量が不足することになる。
【0010】
なお、複数本の被試験体を同時に捩り疲労試験を行うために、各被試験体に捩りトルクを負荷できるように、試験体毎に油圧アクチュエータを配設する並列式とすることも可能である。
【0011】
並列式にすると、油圧ユニット(油圧装置)が大きくなると共に、多数の油圧用配管および配線が必要となる。すなわち、装置全体が大型化して、設置場所の確保が困難である共に、騒音、熱の放射等の作業環境上好ましくない。また、油交換等の作業が多くなり、作業性が悪くなる。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するものであり、捩り剛性の低いものであっても負荷すべきトルクを負荷でき、また省スペース化および低騒音化等が図れ、さらにはメンテナンス性に優れるとともに、低コスト化も達成できる捩り疲労試験機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の捩り疲労試験機は、被試験体の一端部を回転自在に保持する回転側保持体と、被試験体の他端部を回転不能に保持する固定側保持体と、前記回転側保持体を介して被試験体に捩りトルクを負荷するトルク負荷手段と、前記トルク負荷手段にてトルク負荷された状態での被試験体の捩りトルクを検出するトルク検出器とを備えた捩り疲労試験機において、トルク負荷手段は、被試験体に捩りトルクを負荷する電気サーボモータと、この電気サーボモータの出力を制御するサーボコントローラと、設定したトルクを前記サーボコントローラに入力する入力手段とを備えるものである。
【0014】
設定したトルクをサーボコントローラに入力することによって、サーボコントローラから電気サーボモータに回転信号を送り、被試験体に負荷する捩りトルク量を出力することができる。そのため、被試験体に捩りトルクを負荷することができる。そして、トルク検出器によって、被試験体に発生している捩りトルクを検出することができ、被試験体の捩り強度(捩り疲労)を検査することができる。
【0015】
前記トルク検出器にて検出した出力トルクのピーク値と、前記トルク負荷手段にて設定されたトルクの設定値との偏差をゼロに近づけるように電気サーボモータの回転角度量を調整するフィードバック制御を行うことになる。すなわち、設定した任意の捩りトルクに対して、負荷波形のピーク値が合うよう電気サーボモータの回転角度を制御する。
【0016】
回転側保持体と固定側保持体とトルク負荷手段とトルク検出器とで1つの試験ユニットを構成し、前記試験ユニットを複数個備える。これにより、同時に複数の被試験体の捩り強度試験を行うことができる。
【0017】
入力手段を、サーボコントローラに入力する入力値の設定および試験中の検出トルクを含む試験データの表示が可能なパソコンにて構成する。これによって、パソコンにサーボコントローラに入力値を入力することができ、また、試験中においては、このパソコンのモニターに検出トルク等の試験データ等は表示される。
【0018】
前記被試験体として、等速自在継手に連結される駆動軸とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
電気サーボモータからの出力によって、被試験体に捩りトルクを負荷することができ、トルク検出器によって、被試験体に発生している捩りトルクを検出することができる。このため、被試験体の捩り強度(捩り疲労)を検査することができる。しかも、電気サーボモータ等を使用した電気サーボモータ機構を用いたので、油圧ロータリーアクチュエータを用いる場合と相違して、捩り角度の限度がなく、捩り剛性が低い被試験体であっても、負荷すべき捩りトルクが得られないということがない。このため、使用範囲が広く、種々の剛性の被試験体に捩り疲労強度試験を行うことができる。
【0020】
油圧機器を使用しないので、装置の大型化を防止でき、省スペース化を図ることができる。また、電気サーボモータ等を使用するので、低騒音化および低コスト化を図ることができる。さらに、配管・配線が少なく、メンテナンス性に優れる。
【0021】
出力トルク(検出器にて検出されたトルク)と設定値(設定トルク)が同じ値になるように、電気サーボモータの回転角度量を調整し、この差(出力トルクと設定トルクとの差)が生じないように、自動補正することになる。このため、出力トルクと設定トルクとの差がなく、設定した任意の捩りトルクが被試験体に発生し、安定した捩り疲労強度試験を行うことができる。特に、出力トルクのピーク値を使用するので、制御の精度が向上する。
【0022】
回転側保持体と固定側保持体とトルク負荷手段とトルク検出器とで1つの試験ユニットを構成し、前記試験ユニットを複数個備えるので、同時に複数の被試験体の捩り強度試験を行うことができる。すなわち、1度(1回)の試験で複数の被試験体の捩り強度試験を行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0023】
しかも、電気サーボモータ等を使用した電気サーボモータ機構は、設置スペースが小さくて済み、さらには制御も簡単であるので、前記のように、試験ユニットを複数個備えていても、装置全体としてコンパクトであって、大きな設置スペースを必要とせず、設置場所に困らない。また、試験ユニットを複数個備えていても、複雑な配線や配管等を必要とせず、メンテナンスが容易である。
【0024】
パソコンにサーボコントローラへの入力値を入力することができ、また、試験中においては、このパソコンのモニターに検出トルク等の試験データ等は表示される。このため、操作性に優れ、しかも、1台のパソコンをオペレータパソコンとして使用することができる。このため、試験ユニットを複数個備えるものでは、1台のオペレータパソコンで多軸試験(複数の被試験体に対する試験)のコントロールが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図1と図2に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態を示したものである。捩り疲労試験機は、例えば、自動車のドライブシャフト(駆動軸)等の被試験体Wに、捩りトルクを負荷して捩り疲労試験を行うものである。捩り疲労試験機は、被試験体Wの一端部を回転自在に保持する回転側保持体1と、被試験体Wの他端部を回転不能に保持する固定側保持体2と、前記回転側保持体1を介して被試験体に捩りトルクを負荷するトルク負荷手段3と、前記トルク負荷手段3にてトルク負荷された状態での被試験体Wのトルクを検出するトルク検出器4とを備える。なお、この実施形態においては、被試験体Wは、シャフト15と、シャフト15の両端部に連結される等速自在継手16、17とを有している。
【0026】
回転側保持体1は、被試験体Wを着脱可能に保持する治具(フランジ)5を有し、このフランジ5が減速機6を介して電気サーボモータ7に連結されている。減速機6は基台(ステージ)8上に設置され、減速機6に電気サーボモータ7が連結されている。また、電気サーボモータ7には、サーボコントローラ9を有するコントローラユニット10が接続されている。
【0027】
フランジ5には被試験体Wに合わせた取付け部5aが設けられ、この取付け部5aに、被試験体Wの等速自在継手16に設けられた嵌合部18を嵌合させることによって、被試験体Wの一端部がフランジ5に連結される。また、フランジ5は、減速機6側に設けられたボルト孔にボルトを螺合することによって、回転側に固定される。減速機6の出力軸6aが回転することによって、フランジ5を介して被試験体Wがその軸心廻りに回転する。
【0028】
コントローラユニット10には、オペレータパソコンとなる入力手段13としてのパソコン11が接続されている。すなわち、減速機6と、電気サーボモータ7と、サーボコントローラ9、入力手段13としてのパソコン11等で前記トルク負荷手段3を構成することになる。
【0029】
固定側保持体2は、被試験体Wの他端部を着脱可能に保持する治具(フランジ)12を有し、この治具12がトルク検出器(トルク計)4を介して支持台14に支持されている。そして、支持台14が前記基台8に設置されている。トルク検出器4は前記コントローラユニット10に接続され、検出したトルク(出力トルク)がコントローラユニット10に入力される。フランジ12には被試験体Wに合わせた取付け部12aが設けられ、この取付け部12aに、被試験体Wの等速自在継手17に設けられた嵌合部19を嵌合させることによって、被試験体Wの他端部がフランジ12に連結される。また、フランジ12は、トルク計4側に設けられたボルト孔にボルトを螺合することによって、固定側に固定される。トルク検出器4は、ひずみゲージ、光センサ等を使用した種々のトルク検出器を用いることができる。
【0030】
前記パソコン11は被試験体Wに負荷すべき捩りトルクの設定値が入力され、この設定値がこのコントローラユニット10のサーボコントローラ9に入力される。このため、サーボコントローラ9から前記設定値に基づく角度信号が電気サーボモータ7に入力され、この角度信号に基づいて電気サーボモータ7が駆動して、減速機6および治具5を介して被試験体Wに捩りトルクが負荷される。このように、入力手段13を、サーボコントローラに入力する入力値の設定および試験中の検出トルク等の試験データ表示が可能なパソコン11にて構成することができる。
【0031】
次に、前記のように構成した捩り疲労強度試験機を使用した試験方法を説明する。まず、駆動軸である被試験体Wの一端部を回転側保持体1の治具5にて保持させるとともに、この被試験体Wの他端部を固定側保持体2の治具12にて保持させる。
【0032】
そして、パソコン11に入力された設定値がコントローラユニット10のサーボコントローラ9に入力されて、サーボコントローラ9から設定値に基づく角度信号が電気サーボモータ7に入力され、この角度信号に基づいて電気サーボモータ7が駆動する。この際、電気サーボモータ7が正転と逆転とを繰り返し、この回転が減速機6および治具5を介して被試験体Wに捩りトルクが負荷される。すなわち、サーボコントローラ9で電気サーボモータ7の回転量を制御している。
【0033】
この場合、トルク負荷手段が負荷する設定トルクと、前記トルク検出器にて検出した検出トルクとを比較して、こられのトルクの差をゼロに近づけるフィードバック制御を行うことになる。
【0034】
すなわち、被試験体Wに発生する捩りトルクはトルク検出器4にて検出され、この検出された出力トルクをコントローラユニット10に入力して、この出力トルクのピーク値と設定トルク(設定値)とをパソコン11にて比較する。そして、出力トルクのピーク値と設定値とが異なっていれば、パソコン11からのサーボコントローラ9の角度指令値(角度信号)を変更して、出力トルクと設定トルクとの差がゼロに近づけるように、電気サーボモータ7の回転角度量を調整(補正)するフィードバック制御を行う。この際、回転側保持体1側の検出角度がサーボコントローラ9に入力され、この検出角度も修正に考慮される。
【0035】
このように、設定した任意の捩りトルクに対して、負荷波形のピーク値(出力トルクのピーク値)と設定値との偏差がゼロとなるように電気サーボモータ7の回転角度量を自動補正することになる。
【0036】
これによって、設定した任意の捩りトルクが被試験体Wに発生し、安定した捩り疲労強度試験を行うことができる。この試験中においては、前記設定値や試験データ(出力トルク)等がモニターに表示される。
【0037】
図1に示す捩り疲労強度試験機では、電気サーボモータ7からの出力によって、被試験体Wに捩りトルクを負荷することができ、トルク検出器4によって、被試験体Wに発生している捩りトルクを検出することができる。このため、被試験体Wの捩り強度(捩り疲労)を検査することができる。しかも、電気サーボモータ7等を使用した電気サーボモータ機構を用いたので、油圧ロータリーアクチュエータを用いる場合と相違して、捩り角度の限度がなく、捩り剛性が低い被試験体であっても、負荷すべき捩りトルクが得られないということがない。このため、使用範囲が広く、種々の剛性の被試験体に捩り疲労強度試験を行うことができる。
【0038】
油圧機器を使用しないので、装置の大型化を防止でき、省スペース化を図ることができる。また、電気サーボモータ7等を使用するので、低騒音化および低コスト化を図ることができる。さらに、配管・配線が少なく、メンテナンス性に優れる。
【0039】
出力トルク(検出器にて検出されたトルク)と設定値(設定トルク)が同じ値になるように、電気サーボモータ7の回転角度量を調整し、この差(出力トルクと設定トルクとの差)が生じないように、自動補正することになる。このため、出力トルクと設定トルクとの差がなく、設定した任意の捩りトルクが被試験体Wに発生し、安定した捩り疲労強度試験を行うことができる。特に、出力トルクのピーク値を使用するので、制御の精度が向上する。
【0040】
パソコン11はサーボコントローラ9に入力される試験条件の値を入力することができ、また、試験中においては、このパソコン11のモニター11aに検出トルク等の試験データ等は表示される。このため、操作性に優れ、しかも、1台のパソコン11をオペレータパソコンとして使用することができる。
【0041】
次に図2は第2実施形態を示し、この場合、回転側保持体1と固定側保持体2とトルク負荷手段3とトルク検出器4とで1つの試験ユニットUを構成し、前記試験ユニットUを複数個備えている。
【0042】
すなわち、各試験ユニットU毎に、サーボコントローラ9にて制御された電気サーボモータ7の駆動によって、被試験体Wに捩りトルクを負荷することができ、トルク検出器4によって、被試験体Wに発生している捩りトルクを検出することができる。このため、一度に、複数の被試験体Wの捩り強度(捩り疲労)を検査することができる。
【0043】
この場合、設定値が入力されるパソコン11は、1台にて構成することになる。また、各トルク検出器4からの出力トルクは、図例では、1個のみ記載されているが、各試験ユニットU毎に出力トルクが検出され、各出力トルクがコントローラユニット10に入力される。このため、各試験ユニットU毎に、出力トルク(検出器にて検出されたトルク)のピーク値と設定値(設定トルク)が同じ値になるように、電気サーボモータ7の回転角度量を調整し、この差(出力トルクと設定トルクとの差)が生じないように、自動補正することになる。
【0044】
回転側保持体1と固定側保持体2とトルク負荷手段3とトルク検出器4とで1つの試験ユニットUを構成し、前記試験ユニットUを複数個備えるので、同時に複数の被試験体Wの捩り強度試験を行うことができる。すなわち、1度(1回)の試験で複数の被試験体Wの捩り強度試験を行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0045】
しかも、電気サーボモータ7等を使用した電気サーボモータ機構は、設置スペースが小さくて済み、さらには制御も簡単であるので、前記のように、試験ユニットUを複数個備えていても、装置全体としてコンパクトであって、大きな設置スペースを必要とせず、設置場所に困らない。また、試験ユニットUを複数個備えていても、複雑な配線や配管等を必要とせず、メンテナンスが容易である。
【0046】
パソコン11はサーボコントローラ9に入力される試験条件の値を入力することができ、また、試験中においては、このパソコン11のモニター11aに検出トルク等の試験データ等は表示される。このため、試験ユニットUを複数個備えるものであっても、1台のオペレータパソコンで多軸試験(複数の被試験体に対する試験)のコントロールが可能となる。
【0047】
このように、本発明の捩り疲労強度試験機では、電気サーボモータを使用するので、前記したように捩り角度に制限がないため、使用範囲が広く、等速自在継手に連結される駆動軸が最適の被試験体となるが、他の種々のシャフト等の棒状体も被試験体Wとすることができる。さらに、固定式や摺動式の種々の等速自在継手のみを被試験体Wとしてもよい。また、被試験体Wがシャフト15と等速自在継手16、17とを有する場合、等速自在継手16、17は固定式や摺動式であってもよい。
【0048】
捩り疲労強度試験機における設定する捩りトルク値としては、被試験体Wの材質、径寸法(シャフトが中実であれば外径、シャフト中空であれば外径および内径)、及び長さ寸法等の基づいて種々変更することができる。
【0049】
図2のように、複数の試験ユニットUを備える場合、ユニット数として、4つに限るものではなく、その増減は任意である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態を示す捩り疲労試験機の簡略ブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す捩り疲労試験機の簡略ブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1 回転側保持体
2 固定側保持体
3 トルク負荷手段
4 トルク検出器
7 電気サーボモータ
9 サーボコントローラ
11 パソコン
13 入力手段
U 試験ユニット
W 被試験体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験体の一端部を回転自在に保持する回転側保持体と、被試験体の他端部を回転不能に保持する固定側保持体と、前記回転側保持体を介して被試験体に捩りトルクを負荷するトルク負荷手段と、前記トルク負荷手段にてトルク負荷された状態での被試験体の捩りトルクを検出するトルク検出器とを備えた捩り疲労試験機において、トルク負荷手段は、被試験体に捩りトルクを負荷する電気サーボモータと、この電気サーボモータの出力を制御するサーボコントローラと、設定したトルクを前記サーボコントローラに入力する入力手段とを備えたことを特徴とする捩り疲労試験機。
【請求項2】
前記サーボコントローラは、前記トルク検出器にて検出した出力トルクのピーク値と、前記トルク負荷手段にて設定されたトルクの設定値との偏差をゼロに近づけるように電気サーボモータの回転角度量を調整するフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の捩り疲労試験機。
【請求項3】
回転側保持体と固定側保持体とトルク負荷手段とトルク検出器とで1つの試験ユニットを構成し、前記試験ユニットを複数個備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の捩り疲労試験機。
【請求項4】
入力手段を、サーボコントローラに入力する入力値の設定および試験中の検出トルクを含む試験データの表示が可能なパソコンにて構成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の捩り疲労試験機
【請求項5】
前記被試験体が、等速自在継手または等速自在継手に連結される駆動軸であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の捩り疲労試験機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−107955(P2007−107955A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297647(P2005−297647)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】