説明

掃引型撮像装置を用いた生体情報検出

充分な画像データサンプルが得られたと決定されるまで,利用者の指紋が細長いセンサ上で走査され,その後,走査動作は完了したとの表示が供される,指紋認識システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して,生体情報を検出するための方法及びシステム,例えば,掃引型の撮像装置を用いた指紋認識の方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体の特徴による人間の自動識別は,安価なコンピュータが入手出来るようになった結果として可能になってきた。例えば指紋センサとも呼ばれる指紋の画像を記録するために用いられる一般的な部品は,三つのグループに分割できる。
1) 光学的な投影を伴うセンサ
2) 平面センサ,又は
3) 細長いセンサ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光学的な投影を伴うセンサの場合,画像は指先が載っているクリアで透明な表面から取られ,光学系によって大きさが減じられた態様にてチップカメラ中に撮像される。当該チップカメラの表面積は指先が載っているエリアの大きさの僅か一部に過ぎない。半導体材料のコストは,これゆえ比較的低いのだが,しかし光学系のコストは高い。更に,この原理に基づくセンサは,数センチメートルの大きさを必要とする。
【0004】
最も広範囲に用いられているのは,指先の大きさの画像レコーダをもつ平面センサであり,当該画像レコーダは半導体基板に基づいて製造されている。大体14x18mmと22x25mmとの間のエリアが必要とされる。用いられた撮像原理(局部的な容量効果の測定,電界の変化,又は光学的な記録)に拘わらず,コストのかなりの部分が,記録要素(ピクセル)の支持部として必要とされるチップの表面の面積によってもっぱら生じる。量産用途で計算すると,これらのコストは例えば今日の,画像評価用のマイクロプロセッサに対して生じるコストよりも非常に高い。
【0005】
第3のグループ,細長いセンサにおいては,指先の画像が連続して線状に記録されるので,非常に小さな記録表面のみが必要とされる。利用者は自らの指を記録用線センサ上で動かし,当該センサは指紋を,動きの経緯として線毎に検知する。これらのセンサは,15x1mmから20x3mmのチップ表面をもつ幅の狭い細長い線,即ち,言わば半導体材料の一部のみを必要とし,従ってコスト効果がより高い。しかしながら実際には細長いセンサは,使用不能な歪んだ画像がしばしば作り出されるという重大な欠点をもっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
国際特許公開公報WO 2005/024706 は利用者の指紋画像を記録するために細長いセンサが用いられた指紋検出システムについて説明しており,動いた指の表面に反射した,変調されたレーザ光の変調ドップラシフトを調べることにより撮像中の指の動きを判定するために,光電速度センサが使われている。判定された指の動きは,一様でない動きの結果として歪んでしまった指画像を訂正するために使われる。
【0007】
十分に高い空間的な解像度をもつ掃引センサが用いられる場合は,当該センサの上での指の1回のスキャンが,指紋画像を正確に再生するのに十分な画像データを与える。しかしながら,多くのタイプのセンサの場合,1回のスキャンは,低い空間的解像度をもつ画像しかもたらさない。
【0008】
画像中の各サンプルの実際の位置は,サンプリングの瞬間のセルの位置である。多くのシステムにおいては,標準的な信号処理アルゴリズムを後工程用に供するため,セルの位置はピクセルの位置の(例えば方形の)格子で量子化される。
【0009】
サンプリング周波数を増すか又は指の動きのスピードを減じるかによって,画像の空間的な解像度を,指の動いた方向に増すことができる。線に沿って小さなピッチで分散された多数のセルを用いることは,指の動きに対して直角な方向の空間的な解像度を増すことができる。これに加え,スキャンの繰り返しもまた,指の動きに対して直角な方向の空間的な解像度を増すことができる。
【0010】
得られた画像の空間的な解像度が低い場合,(例えば量子化の間の)特別な位置での抽出サンプルを得るために,入手可能なサンプルの補間が用いられることができる。しかしながら,一般的には,殆ど又は全くサンプルが入手可能ではないエリアで補間を用いることは意味が無い。サンプル同士は空間的に近接していなければならない,即ち,各位置でデータが入手可能でなければならないことが依然として基本である。言い換えれば,水平解像度と垂直解像度とは充分に高いことが必要である。
【0011】
これゆえ,体の一部の正確な画像を再生するための画像の取得の間に,十分な数のサンプル及びサンプルの分散が得られることが保証されている,体の一部の画像から生体情報を検出するための方法とシステムとを供することが,本発明の目的である。
【0012】
本発明の第1の態様によれば,
‐ 体の一部がセンサの上を通過したときに,利用者の体の一部の構造を表している画像データサンプルを供するために少なくとも1個のセンサを供するステップと,
‐ 測定動作中に前記体の一部に関して得られたデータサンプルの数と位置とを特定するステップと,
‐ 前記測定動作中に充分なデータサンプルが得られたか否かを識別するステップと,
‐ 識別の結果に従って表示を供するステップとを有する,利用者に関する生体情報を検出するための方法が供される。
【0013】
本発明の第1の態様によれば,
‐ 体の一部がセンサの上を通過したときに,利用者の体の一部の構造を表している画像データサンプルを供するための少なくとも1個のセンサと,
‐ 測定動作中に前記体の一部に関して得られたデータサンプルの数と位置とを特定する手段と,
‐ 前記測定動作中に充分なデータサンプルが得られたか否かを識別する手段と,
‐ 識別の結果に従って表示を供する手段とを有する,利用者に関する生体情報を検出するためのシステムも供される。
【0014】
このように本発明の第1の態様は,スキャンが完了し,測定動作の目的のために十分なデータサンプルが集められたか否かの表示が利用者に供される手段を提供する。
【0015】
一つの例示的な実施例においては,当該表示は単に測定動作が完了したときに供される。しかしこれに加え,又は代替的に,測定動作は完了してはいないので,測定動作を行うために,例えば「手を左に動かして」,「ゆっくり動かして」等の利用者によって実行されることが必要とされるアクションの表示が供されることも可能である。
【0016】
好ましくは,前記測定動作の間に十分なデータサンプルが得られたことを,得られたときに示す,臨界値が規定される。一つの例示的な実施例においては,測定動作中に得られた各サンプルの周りにボロノイのセルが規定されており,あるサンプルと前記セルの各頂点との間の最大距離が,事前に決められた臨界値よりも小さいか,又は等しいとき,十分なデータサンプルが測定動作中に得られたと見做される。
【0017】
代替の例示的な実施例においては,スキャンされたエリアに関連する一連の領域が規定され,測定動作のために十分なデータサンプルが得られたかを決めるために,各領域に対して得られたデータサンプルの個数が決められている。この事例では,前記領域は重なり合っていたり,並びに/又は様々な大きさ及び/若しくは形状であることが可能である。
【0018】
さらに別の例示的な実施例においては,前記測定動作中に得られた前記体の一部の画像の全域でピクセルのマップが規定されており,測定動作のために十分なデータサンプルが得られたかを決めるために,前記ピクセルマップの一つ以上の領域の各々に対して得られたデータサンプルの個数が決められている。
【0019】
好ましくは,本方法は更に,前記体の一部を表している画像を生成するために,前記画像データサンプルを信号処理することを含む。当該信号処理は,何らかの欠落している又は不完全なデータサンプルを補うために,前記データサンプルを補間することを含む。
【0020】
一つの例示的な実施例において,生体情報は,指紋認識,ハード認識又は顔認識のような利用者の識別に用いられる。
【0021】
本発明の第2の態様によれば,
‐ 体の一部がセンサの上を通過したときに利用者の体の一部の表面構造を表している画像データサンプルを供するために少なくとも1個のセンサを供するステップと,
‐ 前記体の一部に関する,少なくとも一つの表面下のパラメータを表しているデータを生成するステップと,
‐ 前記画像データサンプルから前記体の一部の前記表面構造を表している画像データを生成するステップと,
‐ 前記体の一部の前記表面構造を表している前記画像データと,前記体の一部に関する少なくとも一つの表面下のパラメータを表している前記画像データとの組合せを用いて,利用者の識別を実行するステップとを有する,利用者に関する生体情報を検出する方法が供される。
【0022】
本発明の第2の態様によれば,また
‐ 体の一部がセンサの上を通過したときに利用者の体の一部の表面構造を表している画像データサンプルを供するための少なくとも1個のセンサと,
‐ 前記体の一部に関する,少なくとも一つの表面下のパラメータを表している画像データを生成する手段と,
‐ 前記画像データサンプルから前記体の一部の前記表面構造を表している画像データを生成する手段と,
‐ 前記体の一部の前記表面構造を表している前記画像データと,前記体の一部に関する少なくとも一つの表面下のパラメータを表している前記画像データとの組合せを用いて,利用者の識別を実行する手段とを有する,利用者に関する生体情報を検出するシステムも供される。
【0023】
好ましい実施例においては,前記画像データは,前記少なくとも一つの表面下のパラメータを表している2次元の画像データを有する。
【0024】
好ましい実施例においては,前記センサに対する前記体の一部の動きを(好ましくは連続して)測定するスピードセンサ,好ましくは光電スピードセンサが供され,前記測定された指の動きが,一様でない動きの結果として歪められた前記少なくとも一つの表面下のパラメータを表している前記画像を訂正するために用いられる。
【0025】
前記少なくとも一つの表面下のパラメータは,血液中に溶解され結合されたガス,静脈構造及び真皮乳頭のうちの一つ以上であることが可能である。
【0026】
本発明のこれらの態様及び他の態様は,ここで説明された実施例から明らかであり,当該実施例を参照して説明されるであろう。
【0027】
ここで,本発明の実施例は,例のみの態様にて,添付の図を参照して説明されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下の極端な状況においては,唯1個のセルをもつ掃引センサが用いられている。この事例から,説明された方法が,どのようにして複数のセルをもつセンサに適用され得るかが明らかであろう。図1は,三つの例を概観的に例示している。図1aは,利用者の指が直線に沿って一定のスピードで垂直に動かされる事例を示している。サンプリングは等間隔で行われている。図1bは,任意の曲線に沿った,変化するスピードでの指の動きを示している。最後に図1cは,指が,いくらかの水平の動きと組み合わされて垂直に行ったり来たり動かされる事例を示している。この事例でのサンプルは,少々任意に分散している。
【0029】
図2は,線状センサ又は細長いセンサ1と,光電スピードセンサ2とを有する実施例の例を示しており,装置のハウジング4から投影されている一部のみがここで観ることができる。ハウジング4の表面に,僅かな押し圧で指3がその先端部と共に置かれ,スピードセンサ2及び線状センサ又は細長いセンサ1の上を掃引される。
【0030】
再現可能な一定のスピードをもつ直線的な動きが,細長いセンサに対して,横断するように生じたときのみ,直交的に等距離の画像点をもった規則正しい画像が生成される。これは指の動きによって,限定的な範囲でのみ近似されることができる。代わりに,変化しているスピードをもつ少々湾曲した一様でない動きの方が一般的である。
【0031】
本発明によれば,十分な画像データが撮られたかを判定するための手段,及び十分な画像データが得られたことを利用者に示すための手段が供され,ここで,この特徴を実行する複数の代替的な方法が説明されよう。
【0032】
1. セル手段
スキャン中の各瞬間において,利用可能なサンプルに対するボロノイのセルを決めることが可能である(図3参照)。時刻nにおいて,サンプルiの周りに規定されるボロノイのセルは,Vn,iと呼ばれる。サンプルiと,セルVn,iの各頂点との間の最大距離はLn,iと呼ばれる。時刻の経過と共により多くのサンプルが測定されるので,ボロノイのセルの数は増加し,従前に計算されたボロノイのセルの長さLn,iは低減するだろう(即ちLn,i ≦ Ln+1,i)。次に,もしも全てのiに対してLn,i ≦ Tすなわち∀i:: Ln,i ≦ Tが維持される場合に臨界値Tが導入されることができ,十分なサンプルが得られ,スキャンは終了する。
【0033】
当該臨界値は,全画像T上で一定であり得るが,しかし領域又はサンプルTiに依存することもあり得る。この事例では,∀i:: Ln,i ≦ Tiが維持される場合,スキャンは完了する。Tは再生されるのに必要とされる画像の品質によって決められる。全てのサンプルが利用可能であることが,最適な処理を可能にすることは明らかである。実際には,多数のサンプルが欠落した事例を除き,サンプルの欠落には補間が大変適しているので,欠落したサンプルは問題ではない。一般に,欠落したサンプルの最大許容数は,画像品質に対する追求,欠落したサンプルの位置,及び適用された補間アルゴリズムに依存し,これゆえ,適切な臨界値の選定は状況に大変依存している。
【0034】
2. 領域内でのサンプルの計数
別のアプローチは,重なり合っている及び/又は大きさと形とが種々異なる一連の領域Rkが画像上に規定されることである。これらのエリアの各々に対して,エリアが含んでいるサンプルの数Nkが計数される。図4参照。
【0035】
充分なエリア(即ちk ≧ kmin)で充分なサンプルが得られた場合(∀k:: Nk ≧ Nmin),スキャンプロセスを終了することができる。
【0036】
3. ピクセルマップ
スキャンが完了したかどうかを決定する同様のアプローチは,画像上にピクセルマップを規定することによる(図5参照)。同じ規準をkとNkとに対して維持する。実際には,各サンプルiの位置は,例えば領域Rkの中央へと量子化される。
【0037】
多数のシステムにおいて,少数のサンプルの欠落が許容され得ることと,この起こり得る問題を克服するために補間が使われ得ることとに留意する。補間が使われる事例では,領域中のサンプルが計数される場合,スキャンは,例えば∀k:: Nk ≧ Nminとなる前に終了されることができる。
【0038】
長さの測定又はサンプルの計数に基づいて十分なデータが取られ,スキャンを終了できることを表している「スキャン完了」信号が生成されることができる。「スキャン完了」信号に加え,追加のサンプルが必要とされる指の部分がセンサに示されるよう,利用者がセンサ上の指を動かすのを補助する制御信号を生成することが可能である。十分ではないサンプルを伴う大き過ぎる長さ又は大き過ぎる領域をもつセルの位置は,「左へ動かす」「右へ動かす」等々のような信号に変換されることができる。これに加え,指の動きが速すぎることを検知することが可能である。結果として,「もっとゆっくり動かせ」という信号が生成されることができる。
【0039】
図6の例は,距離aで3個のセルが用いられた場合に,どのようにサンプルが位置しているのかを示している。
【0040】
ここで説明されたストラテジは,指紋のスキャンばかりでなく,他のモダリティに対しても適用可能であることに留意する。例えば顔認識の場合,十分なデータが取られるまで,カメラの視野内で顔は動き,変化する。実際には,3-Dの情報を撮る為に2-Dのカメラが用いられる。一般に,本発明は,例えば2-Dの代わりに1-D,又は3-Dの代わりに2-Dのような,センサの次元が低過ぎる場合に用いることができる。
【0041】
国際特許公開公報WO 2005/024706では,「指によって反射された光成分の色線スペクトルから化学的特性を決定する。このように,例えば,血液の酸素量又は二酸化炭素量が取上げられ,血液中に溶解され結合されたガスの濃度の測定によって,生きている指とコピーとの間を区別することが可能である」センサが,皮膚下の測定を行うことができることを開示している。
【0042】
上で参照された方法に加え,皮膚の下の2-D画像を作ることが可能である。この画像は,血液中に溶解され結合されたガスの濃度についての情報を含んでいるだけではなく,例えば静脈構造及び真皮乳頭についての情報を含んでいることも可能である。この皮膚下の情報は,利用者の識別用にも適切である。この皮膚下の画像は,識別目的用の従来の指紋を強化するためにも使われることができる。皮膚下の測定は,これまでに説明したような指の不完全なスキャンに起因したのと同様の歪を生じるので,利用可能な動きの情報が,ここでもまた図7中の画像プロセッサを制御するために用いられることができる。
【0043】
原則として,動きの情報は皮膚下に対するセンサの動きを記述していなければならない。しかしながら,皮膚下と実際に測定された表面との間の距離は大変小さいので,生じた誤りは許容できる。更にこのアプローチは,センサシステムの複雑さを顕著に減じる。
【0044】
図8a及び図8bは二つのアプリケーションを示している。本発明による解決策は,携帯電話15で大変好都合に使われることができる。省スペースなユニット中に,スピードセンサ7と線状センサ6とがハウジングの前面又は側面に置かれている。同時にこのユニットは,メニュー制御のため,及び識別システムのための入力部品でもある。
【0045】
別の例は,関連する指紋によって起動される小型の認証装置である。ここでは,USBインタフェイスをもつ所謂トークン16が示されており,これは,アクセス制御のためにPCシステムで使われることが可能である。
【0046】
このように,本発明は従来技術に対して二つの主要な長所を供している,即ち,
‐ 生体データ画像の,改善され調節可能な解像度と,
‐ 皮膚下の2-D画像を用いることによって改善された人間認識とである。
【0047】
第1の態様は,センサによって得られたサンプルの位置の把握を行うことと,「スキャン完了」,「指を右へ動かせ」,「ゆっくり動かせ」等々の信号を与えることにより,取得しているサンプルの経緯について利用者に知らせることとに関している。三つのサンプリングのストラテジが上で説明され,これらのストラテジの全てが臨界値を含んでおり,高解像度な(指の)画像を得るための十分なデータが集められたので,当該臨界値の上又は下で,スキャンは中止されることができる。
【0048】
第2の態様は,指画像を介した人間識別の信頼性に関している。この目的のために,本発明は,血液中の(溶解された及び結合された)ガスの濃度についての情報,静脈構造についての情報,真皮乳頭についての情報等々を有する2-Dの皮膚下の画像を作ることを提案している。
【0049】
上で説明された実施例は,本発明を限定するより以上のものを例示しており,当業者は添付の請求項で規定された本発明の範囲から逸脱することなく,多数の代替の実施例を設計することが可能であることに留意されたい。請求項中で,括弧内のどの参照記号も本請求項を限定するものとして解釈されてはならない。「有している」,「有する」及び同様の記述は,何れかの請求項中又は仕様中で総じて羅列されたもの以外の要素又はステップの存在を排除してはいない。要素の単数の引用は,斯様な要素の複数の引用を排除していないし,逆も同様である。本発明は,様々な個別の要素を有するハードウエアによって,及び適切にプログラムされたコンピュータによって実行されることができる。様々な手段を列挙している装置の請求項において,これらの手段の幾つかはハードウエアの一つ及びハードウエアの同じ品目によって実施されることができる。特定の手段が相互に異なる従属項で繰り返されているという単なる事実は,これらの手段の組合せが長所のために使われることができないとは示していない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1a】直線状で一定のスピードでのスキャンの事例の,指のスキャンと,関連したサンプルの位置一式とを概観的に例示している。
【図1b】任意の曲線に沿って,変化しているスピードでのスキャンの事例の,指のスキャンと,関連したサンプルの位置一式とを概観的に例示している。
【図1c】一連のスキャンの事例の,指のスキャンと,関連したサンプルの位置一式とを概観的に例示している。
【図2】本発明の例示的な実施例による指紋認識システムを例示している概観図を示す。
【図3】時刻nでサンプルiに対して長さLiをもつボロノイのセルViを例示している概観図を示す。
【図4】サンプルの数Nk = 1を含んでいる,事前に規定された領域Rkを例示している概観図を示す。
【図5】サンプルの数Nk = 1を含んでいるピクセルCkをもつピクセルマップを例示している概観図を示す。
【図6】3個のセルが水平距離aで使われている事例の,結果として生じたサンプル位置一式を概観的に例示する。
【図7】本発明の例示的な実施例によるシステムの主要部品を例示している概観的なブロック線図を示し,どのようにレーザセンサのアレイの出力が静脈構造のような表面下の情報を測定するために用いることができるかを示している。
【図8】二つのアプリケーションの例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に関する生体情報を検出する方法であって,
体の一部がセンサの上を通過したときに,前記利用者の体の一部の構造を表している画像データサンプルを供するために少なくとも1個のセンサを供するステップと,
測定動作中に前記体の一部に関して得られたデータサンプルの数と位置とを特定するステップと,
前記測定動作中に十分なデータサンプルが得られたか否かを識別するステップと,
前記識別に従って表示を供するステップとを有する方法。
【請求項2】
十分なサンプルが得られたと判定された場合,前記測定動作は完了したとの表示を供することを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
十分なサンプルが得られていなかったと判定された場合,前記測定動作を行うために利用者によって行われることが必要なアクションの表示を供することを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記測定動作中に十分なデータサンプルが得られたことを,得られたときに表示する臨界値が規定されている,請求項1に記載の方法。
【請求項5】
測定動作中に得られた各サンプルの周りにボロノイのセルが規定されており,あるサンプルと前記セルの各頂点との間の最大距離が,事前に決められた臨界値よりも小さいか,又はひとしい場合,十分なデータサンプルが測定動作中に得られたと見做される,請求項1に記載の方法。
【請求項6】
スキャンされたエリアに関連する一連の領域が規定され,前記測定動作のために十分なデータサンプルが得られたかを判定するために,各領域に対して得られたデータサンプルの個数が決められている,請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記領域は重なり合っていたり,並びに/又は様々な大きさ及び/若しくは形状である,請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記測定動作中に得られた前記体の一部の画像の全域でピクセルマップが規定されており,前記測定動作のために十分なデータサンプルが得られたかを決めるために,前記ピクセルマップの一つ以上の領域の各々に対して得られたデータサンプルの個数が決められている,請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記体の一部を表している画像を生成するために,前記画像データサンプルを信号処理することを含み,当該信号処理は,何らかの欠落している又は不完全なデータサンプルを補うために,前記データサンプルを補間することを含む,請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生体情報が,指紋認識,ハード認識又は顔認識のような利用者の識別に用いられる,請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記体の一部が前記センサの上を通過したときに,前記利用者の体の一部の構造を表している画像データサンプルを供するための少なくとも1個のセンサと,
測定動作中に前記体の一部に関して得られたデータサンプルの数と位置とを特定する手段と,
前記測定動作中に充分なデータサンプルが得られたか否かを識別する手段と,
識別の結果に従って表示を供する手段とを有する,利用者に関する生体情報を検出するためのシステム。
【請求項12】
前記体の一部が前記センサの上を通過したときに利用者の体の一部の表面構造を表している画像データサンプルを供するために少なくとも1個のセンサを供するステップと,
前記体の一部に関する,少なくとも一つの表面下のパラメータを表しているデータを生成するステップと,
前記画像データサンプルから前記体の一部の前記表面構造を表している画像データを生成するステップと,
前記体の一部の前記表面構造を表している前記画像データと,前記体の一部に関する少なくとも一つの表面下のパラメータを表している前記画像データとの組合せを用いて,利用者の識別を実行するステップとを有する,利用者に関する生体情報を検出する方法。
【請求項13】
前記画像データが,前記少なくとも一つの表面下のパラメータを表している2次元の画像データを有する,請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記センサに対する前記体の一部の動きを測定するスピードセンサが供され,前記測定された指の動きが,一様でない動きの結果として歪められた前記少なくとも一つの表面下のパラメータを表している前記画像を訂正するために用いられる,請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも一つの表面下のパラメータは,血液中に溶解され結合されたガス,静脈構造及び真皮乳頭のうちの一つ以上を有する,請求項12に記載の方法。
【請求項16】
体の一部がセンサの上を通過したときに利用者の体の一部の表面構造を表している画像データサンプルを供するための少なくとも1個のセンサと,
前記体の一部に関する,少なくとも一つの表面下のパラメータを表している画像データを生成する手段と,
前記画像データサンプルから前記体の一部の前記表面構造を表している画像データを生成する手段と,
前記体の一部の前記表面構造を表している前記画像データと,前記体の一部に関する少なくとも一つの表面下のパラメータを表している前記画像データとの組合せを用いて,利用者の識別を実行する手段とを有する,利用者に関する生体情報を検出するシステム。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2009−521052(P2009−521052A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546815(P2008−546815)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054983
【国際公開番号】WO2007/072447
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】