説明

排ガス処理装置

【課題】長期間に亘り安定した運転が可能であり、メンテナンス性に優れる排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】燃焼排ガスを処理する排ガス処理装置であって、湿式脱硫装置の上流側に設けられる煙道と、煙道中に液体を噴霧する複数の噴霧手段と、液体を噴霧手段に供給する配管と、煙道内に挿入され、噴霧手段及び配管を内部に収容し、内部をシール空気が流通する保護管150とを備え、保護管150に保護管150の長手方向に長軸を有する開口部155が設けられ、燃焼排ガスが流通していない場合に前記噴霧手段の噴射口141が前記開口部155の中心に対して前記保護管150の先端側に偏在し、前記噴射口141が前記保護管150の外側に突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排ガス中のSOを除去する排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
重質燃料や石炭燃料といった硫黄分を0.5wt%以上含む燃料を燃焼させる燃焼炉からは、SO、SOといった硫黄酸化物を含む燃焼排ガスが排出される。
SOは、SOの一部が高温環境下で酸化されて発生する。したがって、SOの存在量はSOに対して数%程度である。しかしながら、SOは、エアヒータの詰まりや腐食、煙道の腐食の原因となり、かつ、煙突から冷却され排出されると紫煙(blueish smoke)の原因となることから、排出濃度を数ppm以下に抑えることが望ましい。
【0003】
SOを除去する方法として、アンモニアガスを燃焼排ガス中に吹き込むアンモニア注入法が知られている。特許文献1に、アンモニア注入法よりも安価で簡便にSOを除去する方法として、燃焼排ガスが流通する煙道に噴霧手段を設け、燃焼排ガス中にNaSO等の溶解塩を含む脱硫排水を噴霧する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−326575号公報(請求項1、請求項9、段落[0009]、[0025])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される排ガス処理装置では、煙道に溶解塩を含む水溶液(脱硫排水)を供給する配管が挿入され、配管に複数の噴霧手段が接続される。燃焼排ガスは150℃〜200℃程度に達しており、配管に乾燥した溶解塩が付着すると、堆積して煙道の流通面積が減少する。また、配管の腐食が発生して配管が損傷する。これにより、長期にわたり安定して溶解塩を含む脱硫排水を噴霧することができなくなって、SO除去効率が低下する上、装置メンテナンスに多大なコストを要する。
【0006】
本発明は、長期間に亘り安定した運転が可能であり、メンテナンス性に優れる排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、燃焼排ガスを処理する排ガス処理装置であって、湿式脱硫装置の上流側に設けられる煙道と、前記煙道中に液体を噴霧する複数の噴霧手段と、前記噴霧手段に接続され、前記液体を前記噴霧手段に供給する配管と、前記煙道内に挿入され、前記噴霧手段及び前記配管を内部に収容し、内部をシール空気が流通する保護管とを備え、前記保護管に該保護管の長手方向に長軸を有する開口部が設けられ、前記燃焼排ガスが流通していない場合に、前記噴霧手段の噴射口が前記開口部の中心に対して前記保護管の先端側に偏在し、前記噴射口が前記保護管の外側に突出する。
【0008】
煙道に挿入される保護管は、高温の燃焼排ガスに晒されるが、保護管内部に収容される配管は、保護管内部をシール空気が流通するために、保護管外部の温度よりも低温となる。このため、保護管の熱による伸び幅は、保護管内の配管の伸び幅よりも大きくなる。本発明では保護管の長手方向に長軸を有する長細い形状の開口部を設け、燃焼排ガスを流通させる前の段階で、ノズルの噴射口を開口部の中心に対して保護管の先端側にずらして配置している。このような構成にすると、保護管と配管との熱伸び差が生じても保護管と噴射口とが接触することを防止できる。このため、装置の損傷を防止することができる。このため、長期間安定した運転を実施することができる。
【0009】
上記発明において、前記保護管の内側に、前記噴霧手段が貫通するとともに、前記開口部を覆うシール部材が設置されることが好ましい。
複数の噴霧手段を設ける場合、噴霧手段設置数の増加に伴い開口部からのシール空気の漏れ量が増大する。本発明では、開口部を覆うシール部材を設置することにより、複数の噴霧手段を設けた場合でもガスの流通面積を小さくすることができる。これにより、開口部でのシール空気の流速を上げて、保護管内部に燃焼排ガスが流入することを防止する。
【0010】
この場合、前記シール空気が前記保護管と前記シール部材との間を通って前記保護管の外部に流出可能なように、前記シール部材が前記保護管の内壁に接触することが好ましい。
本発明では、シール空気が保護管とシール部材との間を流通可能なように保護管とシール部材とを接触させることにより、開口部から流出するシール空気の流速を高めてシール効果を高めることができる。このため、本発明の排ガス処理装置は、配管の腐食が防止され、長期間安定した運転を実施することができる。
【0011】
この場合、前記シール部材が、前記噴霧手段と一体とされることが好ましい。
本発明のシール部材は保護管と接着されない一方でシール部材と噴霧手段とを一体化すると、装置メンテナンス時に保護管から配管及び噴霧手段を取り出すときに、シール部材ごと取り外すことができる。また、保護管に配管及び噴霧手段を挿入するときに、シール部材の位置決めが容易となる。すなわち、装置のメンテナンス性が向上するという効果を奏する。
【0012】
上記発明において、前記配管が、前記噴霧手段に接続される供給側配管と、該供給側配管の下流で該供給側配管に接続される排出側配管とを備え、前記供給側配管の前記噴霧手段の上流側と前記排出側配管とを接続するバイパス配管が設けられることが好ましい。
【0013】
バイパス配管により、供給側配管を流通する液体の圧力と、排出側配管を流通する液体の圧力とが略同一となる。このため、各噴霧手段に供給される液体の圧力分布が小さくなり、各噴霧手段から煙道に噴霧される液量が均一となる。液体を煙道内に均一に噴霧することにより、SO除去効率が向上するとともに安定したSO除去を実施することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の排ガス処理装置は、保護管と内部に収容される配管との熱伸び差を考慮して開口部の形状及び開口部と噴霧手段との相対位置を決定しているため、排ガス処理時に保護管と噴霧手段との接触を防止して装置の損傷を防止できる。また、保護管内に燃焼排ガスが流入して保護管が腐食することを防止できる。このため、長期間に亘り安定した運転を実施できるとともに、装置メンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る排ガス処理装置の概略図である。
【図2】第一実施形態の排ガス処理装置における煙道の縦断面図である。
【図3】第一実施形態の排ガス処理装置において、燃焼排ガスが流通していないときの保護管の開口部の概略図である。
【図4】第二実施形態に係る排ガス処理装置における保護管断面の拡大概略図である。
【図5】第二実施形態の排ガス処理装置において、燃焼排ガスが流通していないときの保護管の開口部の概略図である。
【図6】第三実施形態に係る排ガス処理装置における保護管断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る排ガス処理装置の概略図である。排ガス処理装置100はボイラ(燃焼炉)110の下流側の煙道に設けられる。排ガス処理装置100は、脱硝装置111と、エアヒータ112と、乾式電気集塵装置113と、湿式脱硫装置114と、湿式電気集塵装置116と、煙突115とを備える。
ボイラ110は、例えば、硫黄分を比較的多く含有する重油や石炭を燃焼させるボイラとされる。
脱硝装置111は、ボイラ110から流入する燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を除去する。
エアヒータ112は、燃焼排ガスと押し込みファン(不図示)によって要求される燃焼用空気とを熱交換させるものである。これにより、燃焼用空気は燃焼排ガスの顕熱によって加熱され、ボイラ110へと供給される。
乾式電気集塵装置113は、燃焼排ガス中の煤塵を静電気力によって捕集するものである。
【0017】
本実施形態において、湿式脱硫装置114は、苛性ソーダ法、水マグ法、石灰石膏法のいずれかを採用したものであっても良い。湿式脱硫装置114は、SOの吸収剤を含む溶液を噴霧する吸収剤噴霧スプレー120と、吸収剤噴霧スプレー120の下方に配置された充填層121と、充填層121の下方に設けられた貯留部122とを備える。
充填層121は、例えば樹脂製の充填材が設けられた構成とされる。
貯留部122には、吸収剤の水溶液が収納される。吸収剤供給手段123からSOの吸収剤が貯留部122に供給される。吸収剤は、苛性ソーダ法の場合NaOH、水マグ法の場合Mg(OH)、石灰石膏法の場合CaO(石灰)とされる。また、貯留部122には、空気供給手段(不図示)から空気が供給される。
【0018】
吸収剤噴霧スプレー120と貯留部122との間には、吸収剤供給ポンプ124が設けられている。吸収剤供給ポンプ124により、貯留部122内の吸収剤を含む水溶液が吸収剤噴霧スプレー120に汲み上げられる。汲み上げられた吸収剤を含む水溶液は、吸収剤噴霧スプレー120から湿式脱硫装置114内に噴霧される。これにより、吸収剤とSOとが反応し、亜硫酸塩及び硫酸塩が生成する。
例えば苛性ソーダ法の場合、NaOHとSOとが反応してNaSOとなり、酸素との反応によりNaSOが生成する。従って、貯留部122内に貯蔵される水溶液には、NaSO及びNaSOが含まれる。
石灰石膏法の場合、CaSO・2HO(石膏)が生成する。反応生成物を含む溶液は貯留部122に貯留される。従って、反応生成物は湿式脱硫装置114内で循環する。なお、貯留部122には、例えばCaSOも溶解しているが、空気供給手段により供給される空気により積極的に酸化される。CaSOは水に対して難溶性であるため、大部分のCaSOは貯留部122内で固体として存在し、ごく一部は貯留部122内の水溶液中に溶解する。一方、石灰中に含まれるMgOからは、MgSOが生成する。従って、貯留部122内に貯蔵される水溶液には、CaSOとMgSOとが含まれる。
【0019】
湿式脱硫装置114の下流側の煙道に、湿式電気集塵装置116が設けられても良い。湿式電気集塵装置116は、捕集部に常時洗浄水を噴霧し、捕集しきれなかった煤塵やSOを静電気力によって除去する。湿式電気集塵装置116には、中和のためにNaOH水溶液やMg(OH)水溶液といったアルカリ溶液が供給される。このアルカリ溶液は、中和後に排液としてNaSOやMgSOといった溶解塩を含む水溶液となる。
【0020】
乾式電気集塵装置113と湿式脱硫装置114との間の煙道130に、噴霧手段140が設けられる。噴霧手段140は、例えば二流体ノズルや一流体ノズルとされる。
【0021】
図2は、煙道130の縦断面図であり、噴霧手段140として二流体ノズルを設置した例である。煙道130に、保護管150が挿入される。保護管150は、煙道130の壁131に固定される。保護管150は、例えばステンレス製とされる。本実施形態において、煙道130に複数の保護管を挿入しても良い。保護管150は、保護管150の下部に設けられた支持体151に拘束されずに載置されている。
【0022】
保護管150内に、溶解塩水溶液が流通する水溶液用配管153と、加圧空気が流通する加圧空気用配管154とが収容される。水溶液用配管153及び加圧空気用配管154は、煙道130の壁131に固定される。水溶液用配管153及び加圧空気用配管154は、例えばステンレス製とされる。
【0023】
水溶液用配管153及び加圧空気用配管154に複数の噴霧手段(ノズル)140が接続される。保護管150下側の噴霧手段140が位置する場所には開口部155が設けられる。
図3は、燃焼排ガスが流通していないときの開口部155の概略図である。開口部155は、保護管150の長手方向に長軸を有する形状とされる。開口部155の形状は、例えば長方形、角丸の長方形などとされる。ノズルの噴射口141は、開口部155の中心に対して保護管150の先端側にずれて位置する。噴射口141は、図2に示すように、開口部155から保護管150の外側(煙道130内)に突出する。
【0024】
煙道130の外側において、保護管150にシール空気供給部152が接続される。シール空気供給部152から保護管150内側にシール空気が供給される。シール空気は、保護管150内部を流通し、開口部155から煙道130に流出する。これにより、開口部155から保護管150の内側に燃焼排ガスが流入することを防止している。
【0025】
噴霧手段140は、溶解塩を含む水溶液(溶解塩水溶液)を加圧空気とともに液滴として噴射口141から煙道130中に噴霧する。溶解塩は、Na,K,Mg,Caのいずれかの塩化物、水酸化物、硫酸塩、または炭酸塩とされる。
ここで、本実施形態における溶解塩水溶液は、図1の排ガス処理装置の系外で別途調整されたものでも良いが、図1のように湿式脱硫装置114の脱硫排水を利用することが好ましい。脱硫排水を噴霧手段140で噴霧する溶解塩水溶液に利用する場合、吸収剤供給ポンプ124は、水溶液用配管153を貯留部122内の溶液を通じて噴霧手段140に供給する。あるいは、貯留部122に吸収剤供給ポンプ124とは別の抜出ポンプが設けられ、抜出ポンプが貯留部122内の反応生成物を含む溶液(脱硫排水)を水溶液用配管153を通じて噴霧手段140に供給しても良い。なお、石灰石膏法による湿式脱硫装置を適用する場合は、貯留部122から噴霧手段140に脱硫排水を供給する流路に、NaSO,MgSOなどの粉体を脱硫排水に供給する溶解塩濃度調整手段が設けられても良い。
【0026】
噴射口141から噴霧される液滴は、直径10〜100μm、好ましくは20〜50μm、より好ましくは25〜35μmとされる。煙道130中には高温の燃焼排ガスが流通するため、噴霧された液滴から水分が蒸発し、微細化され乾燥した溶解塩粒子が生成する。溶解塩粒子に燃焼排ガス中に含まれるSOが吸着・固定化されて、燃焼排ガス中からSOが除去される。また、乾燥した溶解塩粒子に含まれる硫酸塩の一部とSOとが反応する。例えば、NaSOの一部とSOにより式(1)の反応が進行する。
NaSO+SO+2HO→2NaHSO・HO ・・・(1)
【0027】
溶解塩水溶液が噴霧される環境は、噴霧された液滴が飛散している間に水分が蒸発する必要があるので、水の蒸発温度以上とされる。また、SOと反応させるために、SOの露点温度以上とされ、130℃以上、好ましくは140℃以上とされる。具体的に、150℃から200℃程度の温度範囲とされる。
【0028】
上述のような高温環境化で保護管150は加熱される。保護管150は支持体151上に拘束されずに載置されているだけであるので、保護管150は長手方向に膨張する。
保護管150内部に収容される水溶液用配管153及び加圧空気用配管154も加熱され、配管軸方向(すなわち、保護管150の長手方向)に膨張する。保護管150内部に供給されるシール空気は室温程度であるので、水溶液用配管153及び加圧空気用配管154は保護管150よりも低い温度となる。
【0029】
保護管150の温度と水溶液用配管153及び加圧空気用配管154の温度が異なるため、保護管150の伸び幅は、水溶液用配管153及び加圧空気用配管154の伸び幅よりも大きくなる。このため、排ガス処理時において、開口部155に対するノズルの噴射口141の位置は、開口部155に対して保護管150先端と反対方向に移動する。本実施形態では、保護管150の長手方向に長軸を有する長細い形状の開口部155を設け、燃焼排ガスを流通させる前の段階で、ノズルの噴射口141を開口部155の中心に対して保護管150の先端側にずらして配置しているため、熱伸び差により保護管150と噴射口141とが接触することを防止できる。
なお、開口部155の寸法、開口部155中心からの噴射口141の距離は、保護管150、水溶液用配管153、及び加圧空気用配管154の熱膨張、シール空気の流速などを考慮して適宜設計される。
【0030】
<第二実施形態>
図4は、本発明の第二実施形態に係る排ガス処理装置における保護管断面の拡大概略図である。図5は、第二実施形態の排ガス処理装置において、燃焼排ガスが流通していないときの開口部を示す概略図であり、煙道側から開口部を見た場合である。
第二実施形態に係る排ガス処理装置は、第一実施形態の排ガス処理装置において、保護管250の内側に、保護管250の開口部255(図5における破線枠部分)を覆うようにシール部材260(図5における二点破線の枠)が設置される構成となっている。
【0031】
煙道を通過する燃焼排ガスはSOx、NOxなどの酸性腐食性ガス性状であり、150〜200℃程度の高温となっている。シール部材260は上記環境に耐えうる素材とされ、例えばハステロイなどの耐酸性腐食金属、セラミックボードなどのセラミック材、ポリテトラフロオロエチレンからなる。シール部材260は、保護管250の内壁に接触しているが、接着剤などにより接着されていない。
【0032】
シール部材260には孔が開けられる。噴霧手段240は、シール部材260の孔を貫通して設置される。本実施形態において、噴霧手段240は、シール部材260の孔に組み込まれて一体となっていても良い。シール部材260は例えばリング状のプレート261により保護管250内壁に押し付けられる。これにより、シール性が確保されるとともに、シール部材260から噴霧手段240が抜けるのを防止することができる。
【0033】
シール部材260が保護管250内壁に接触したとき、噴霧手段240の噴射口241は保護管250から煙道内に突出する。第一実施形態と同様に、水溶液用配管及び加圧空気用配管と保護管250との熱伸び差を考慮して、図5のように、開口部255を保護管250の長手方向に長軸を有する長細い形状とし、噴射口241は開口部255の中心に対して保護管250の先端側にずれて位置させる。
【0034】
第二実施形態の排ガス処理装置でも、第一実施形態と同様に排ガス処理時の水溶液用配管及び加圧空気用配管と保護管250との熱伸び差を考慮しているため、保護管250と噴射口241とが接触することを防止できる。
【0035】
シール部材260は保護管250に接着されていないため、排ガス処理時に保護管250内に供給されたシール空気は、シール部材260と保護管250との間を流通して開口部255から煙道内に流出する。本実施形態ではシール部材260と保護管250との間隙を小さくすることができるため、開口部255から流出するシール空気の流速を高める。これにより、保護管250内に燃焼排ガスが流入して水溶液用配管及び加圧空気用配管が腐食することを確実に防止できる。
【0036】
シール部材260と噴霧手段240とを一体化されていると、水溶液用配管及び加圧空気用配管を保護管250から取り出すときにシール部材260も取り外すことができる。また、保護管250内に水溶液用配管及び加圧空気用配管を挿入する際、シール部材260が開口部255を確実に被覆するようにシール部材260の位置決めをするのが容易となる。つまり、装置メンテナンスが容易となる。
【0037】
<第三実施形態>
図6は、本発明の第三実施形態に係る排ガス処理装置における保護管断面の概略図である。第三実施形態に係る排ガス処理装置は、水溶液用配管353以外は第一実施形態及び第二実施形態の排ガス処理装置と同じである。図6では、シール部材を設けた例が示されている。
【0038】
第三実施形態の排ガス処理装置では、保護管350に収容させる水溶液用配管353が、供給側配管353aと排出側配管353bとを備える。供給側配管353aに複数の噴霧手段340a〜iが接続される。保護管350の先端に最も近い噴霧手段340iの下流側で、供給側配管353aに排出側配管353bが接続される。図6では、水溶液用配管353が保護管350先端で折り返される構造になっている。バイパス配管356は、煙道130の壁131に最も近い噴霧手段340aの上流側の供給側配管353aと排出側配管353bとを接続する。
【0039】
第三実施形態の排ガス処理装置では、噴霧手段340から噴霧する液量よりも多量の溶解塩水溶液を水溶液用配管353に流通させる。バイパス配管356により、供給側配管353aを流通する溶解塩水溶液の圧力と、排出側配管353bを流通する溶解塩水溶液の圧力とが略同一となる。このため、各噴霧手段340に供給される溶解塩水溶液の圧力分布が小さくなり、各噴霧手段340から煙道130に噴霧される液量が均一となる。溶解塩水溶液を煙道131内に均一に噴霧することにより、SO除去効率が向上するとともに安定したSO除去を実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
100 排ガス処理装置
113 乾式電気集塵装置
114 湿式脱硫装置
130 煙道
131 壁
140,240 噴霧手段
141,241 噴射口
150,250,350 保護管
151,351 支持体
152,352 シール空気供給部
153,353 水溶液用配管
154,354 加圧空気用配管
155,255 開口部
260,360 シール部材
261 プレート
356 バイパス配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスを処理する排ガス処理装置であって、
湿式脱硫装置の上流側に設けられる煙道と、
前記煙道中に液体を噴霧する複数の噴霧手段と、
前記噴霧手段に接続され、前記液体を前記噴霧手段に供給する配管と、
前記煙道内に挿入され、前記噴霧手段及び前記配管を内部に収容し、内部をシール空気が流通する保護管とを備え、
前記保護管に該保護管の長手方向に長軸を有する開口部が設けられ、
前記燃焼排ガスが流通していない場合に、前記噴霧手段の噴射口が前記開口部の中心に対して前記保護管の先端側に偏在し、前記噴射口が前記保護管の外側に突出する排ガス処理装置。
【請求項2】
前記保護管の内側に、前記噴霧手段が貫通するとともに、前記開口部を覆うシール部材が設置される請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記シール空気が前記保護管と前記シール部材との間を通って前記保護管の外部に流出可能なように、前記シール部材が前記保護管の内壁に接触する請求項2に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記シール部材が、前記噴霧手段と一体とされる請求項2または請求項3に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記配管が、前記噴霧手段に接続される供給側配管と、該供給側配管の下流で該供給側配管に接続される排出側配管とを備え、
前記供給側配管の前記噴霧手段の上流側と前記排出側配管とを接続するバイパス配管が設けられる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−187477(P2012−187477A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51845(P2011−51845)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(309036221)三菱重工メカトロシステムズ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】