説明

排ガス浄化用触媒

【課題】耐久後のNO浄化性能が高い排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】貴金属層に粒径の異なる第1酸素吸放出材と第2酸素吸放出材とを同一層内に含有し、前記第1酸素吸放出材の粒径(Ra)と前記第2酸素吸放出材の粒径(Rb)とが、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足し、粒径(Ra)が5.7〜22.0nmの範囲であることを特徴とする排ガス浄化用触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化用触媒に関し、さらに詳しくは2種類の酸素吸放出(以下、OSCと略記することもある。)材を特定の組み合わせで用いることにより耐久後にも高いNO浄化性能を与え得る排ガス浄化用触媒に関するものである。
本明細書において、高いNO浄化性能とは、従来公知の排ガス浄化用触媒に比べて同等以上のNO浄化性能を有することをいう。
【背景技術】
【0002】
自動車等の内燃機関から排出される排ガス中には、HC、CO及びNOが含まれており、これらの物質は排ガス浄化用触媒によって浄化されてから大気中に放出されている。ここで用いられる排ガス浄化用触媒の代表的なものとしては、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)などの多孔質酸化物担体に、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)などの貴金属を胆持した三元触媒が広く用いられている。
【0003】
この三元触媒は、排ガス中のHC及びCOを酸化して浄化するとともに、NOを還元して浄化するものであり、理論空燃比近傍で燃焼されたストイキ雰囲気の排ガスにおいて最も高い効果が発現される。
特に、近年は、燃費を向上させることが求められ、高温でFC回数を増やすなど、排ガス浄化用触媒にとっては、高温でA/F変動に基く急激な雰囲気変動に晒される機会が増えている。こうした急激な雰囲気変動は、触媒劣化を大幅に促進する。
【0004】
通常、排ガス浄化用触媒は、触媒入りガスA/Fが加速や減速などの駆動状況により常に大きく変化していて、通常は排ガス浄化用触媒側に置かれた酸素センサーにより触媒内部がストイキになるように制御されている。このため、触媒には過渡的なA/F変化を吸収し得る速いOSC速度が求められる。一方、走行モード中には車速変化が緩慢な走行領域もあり、入りガスA/F変化が緩慢な状況で、長時間OSC能を発現する特性も求められている。
一方、排ガス浄化用触媒に用いられる貴金属は高価であって資源的にも問題があることからその使用量を低減することが必要である。
このため、排ガス浄化用触媒の活性を向上させるために様々な検討がされている。
【0005】
例えば、特許文献1には、材料から高速で吸着放出される第1の量の形態で酸素を貯蔵し、材料から低速で吸着放出される第2の量の形態で酸素を貯蔵する材料を含む触媒と、前記触媒に流入する排気の検出されたA/Fに基づき触媒に貯蔵される酸素の第1の量を演算し、排気中の酸素量が酸素の第1の量を所定の目標値に維持するように供給されるA/Fを演算する排気浄化装置が記載されている。
また、特許文献2には、担体に担持された第1の触媒とそれに隣接して配置された第2の触媒とを含み、第2の触媒は加熱溶融した後に冷却、粉砕した粒径が3mm以下、特に0.5〜1.5μmのセリウム−ジルコニウム系複合酸化物を含有する自動車用排気ガス浄化装置に用いられる触媒系が記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、メタル担体に上流側の触媒部と下流側の触媒部とからなる触媒層が形成され、上流側触媒部の酸素吸蔵材粒子の質量比ZrO/CeOが下流側触媒部の酸素吸蔵材粒子の質量比ZrO/CeOよりも大であって、上流側触媒部の酸素吸蔵材粒子が酸素を吸蔵・放出する応答が良く、従って酸素吸蔵放出速度が大で、下流側触媒部の酸素吸蔵材粒子が酸素の吸蔵・放出する量が多い排気ガス浄化触媒が記載されている。
さらに、特許文献4には、CeO、ZrO、Al、TiO、SiO、MgO、Y、LaOの1種以上を含む2種以上の金属酸化物粒子に貴金属を担持させた触媒材料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2003−524109号公報
【特許文献2】特開2008−68225号公報
【特許文献3】特開2009−19537号公報
【特許文献4】特開2009−247968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、これらの特許文献に記載された排ガス浄化用触媒は、耐久後のNO浄化性能が十分でなく、さらに高いNO浄化性能を有する排ガス浄化用触媒が求められている。
さらに、排ガス浄化用触媒の製造プロセスを簡略化するために、貴金属層に酸素吸放出材を同一層内に含有する排ガス浄化用触媒が求められている。
従って、本発明の目的は、貴金属層に酸素吸放出材を同一層内に含有し、耐久後のNO浄化性能が高い排ガス浄化用触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、貴金属層に粒径の異なる第1酸素吸放出材と第2酸素吸放出材とを同一層内に含有し、前記第1酸素吸放出材の粒径(Ra)と前記第2酸素吸放出材の粒径(Rb)とが、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足し、前記粒径(Ra)が5.7〜22.0nmの範囲であることを特徴とする排ガス浄化用触媒に関する。
本発明において、酸素吸放出材の粒径とは後述の実施例の欄に詳述する測定法によって求められる粒子の平均一次粒子径を意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、貴金属層に酸素吸放出材を同一層内に含有し、耐久後のNO浄化性能が高い排ガス浄化用触媒を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施態様の排ガス浄化用触媒の部分拡大断面模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様の排ガス浄化用触媒および本発明の範囲外の排ガス浄化用触媒の耐久試験後のTHC浄化率、CO浄化率およびNO浄化率を比較して示すグラフである。
【図3】図3は、排ガス浄化用触媒において酸素吸放出材の粒径(Rb)を22.0nmに固定したときのRa/Rbと耐久試験後のNO浄化率との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、排ガス浄化用触媒において酸素吸放出材の粒径(Ra)を9.2nmに固定したときのRa/Rbと耐久試験後のNO浄化率との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、排ガス浄化用触媒において酸素吸放出材のRa/Rbと耐久試験後のNO浄化率との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施態様の排ガス浄化用触媒の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の排ガス浄化用触媒においては、貴金属層に粒径の異なる第1酸素吸放出材と第1酸素吸放出材の粒径以上の粒径を有する第2酸素吸放出材とを同一層内に含有し、前記第1酸素吸放出材の粒径(Ra)と前記第2酸素吸放出材の粒径(Rb)とが、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足し、前記粒径(Ra)が5.7〜22.0nmの範囲であることが必要であり、これによって、後述の実施例の欄に詳述する測定法により求めた耐久試験後のNO浄化率が従来の排ガス浄化用触媒に比べて高くなし得る。
【0013】
特に、本発明の排ガス浄化用触媒において、以下の実施態様を挙げることができる。
1)前記粒径(Rb)が9.2〜157.0nmの範囲である前記排ガス浄化用触媒。
2)前記粒径(Ra)と前記粒径(Rb)とが、9.3≦Rb−Raの範囲である前記排ガス浄化用触媒。
3)前記第1酸素吸放出材および第2酸素吸放出材に貴金属が担持され、前記貴金属がPt又はPdである前記排ガス浄化用触媒。
【0014】
以下、本発明について、図1〜5を参照して説明する。
本発明の実施態様のガス浄化用触媒1は、図1に示すように、基材2上に、貴金属層3に第1酸素吸放出材4と第2酸素吸放出材5とを同一層内に含有し、前記第1酸素吸放出材4の粒径(Ra)と前記第2酸素吸放出材5の粒径(Rb)とが、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足し、前記(Ra)が5.7〜22.0nmの範囲である。
本発明の実施態様のガス浄化用触媒は、図2に示すように、本発明の範囲外の排ガス浄化用触媒に比べて耐久試験後のTHC浄化率が同等以上で、CO浄化率およびNO浄化率が優れている。
【0015】
また、図3に示すように、排ガス浄化用触媒において酸素吸放出材の粒径(Rb)を22.0nmに固定して比較したRa/Rbと耐久試験後のNO浄化率から、Ra/Rb≦0.42を満足することが好適であることが理解される。
また、図4に示すように、排ガス浄化用触媒において酸素吸放出材の粒径(Ra)を9.2nmに固定して比較したRa/Rbと耐久試験後のNO浄化率から、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足することが好適であることが理解される。
また、図3の結果と図4の結果とをまとめた図5に示すように、排ガス浄化用触媒における酸素吸放出材のRaおよびRbとの関係は、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足することが好適であることが理解される。
【0016】
本発明の同一層内に含有される第1酸素吸放出材および第2酸素吸放出材の各々の粒径RaおよびRbが、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足し、前記粒径(Ra)が5.7〜22.0nmの範囲であることによって良好なNO浄化率が達成される理論的な根拠は解明されていないが、速いOSC速度を有する第1酸素吸放出材および遅いOSC速度を有する第2酸素吸放出材の各々のRaおよびRbが前記条件を満足することによって、酸素吸放出速度と酸素吸放出容量のバランスが最適化されることによると考えられる。前記粒径(Ra)が前記下限より小さいとCO浄化率およびNO浄化率が低下し、前記粒径(Ra)が前記の上限より大きいと酸素吸放出速度が低下する。
【0017】
本発明の排ガス浄化用触媒は、例えば、基材上に、貴金属が担持されている第1酸素吸放出材と、貴金属が担持されている前記第2酸素吸放出材と、Rhが担持された担体基材とを含有する触媒層を同一層内に形成することにより得られる。
【0018】
前記基材としては、セラミックス材料、例えばコージェライトなどやメタル基材、例えばステンレス鋼などが挙げられる。
前記基材の形状はストレートフロー型、フィルター型、その他の形状が挙げられ、形状に限定されることなく本発明の効果を発揮し得る。
【0019】
前記貴金属としては、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtの少なくとも1つ、好適にはPt又はPdが挙げられる。
また、前記の第1酸素吸放出材および第2酸素吸放出材としては、粒径として前記の条件を満足するものであれば任意のCeを含む酸化物が挙げられる。このようなCeを含む酸化物として、セリア(CeO)が挙げられる。CeOはセリア複合酸化物、例えばセリア−ジルコニア(CeO−ZrO)複合酸化物(CZ)として好適に用いられ得る。
また、前記のセリア複合酸化物(CZ)としては、Ce、ZrおよびOの3元素からなる固溶体の2次粒子、および前記3元素に加えて希土類元素、例えばY、Ndを加えた4元素以上の元素からなる固溶体の2次粒子が挙げられる。
【0020】
また、前記の担体基材としては、Al、SiO、TiO、ZrOのうち少なくとも1種、好適にはZrOが挙げられる。
また、触媒層を形成する際にバインダーとしてアルミナバインダーを使用し得る。
前記の貴金属は、通常排ガス浄化用触媒に適用されるものと同じ条件で第1酸素吸放出材および第2酸素吸放出材に同時に又は別々に担持され得る。
前記の貴金属の担持量は、0.1〜1.5g/Lであることが好適である。
【0021】
本発明の排ガス浄化用触媒は、第1酸素吸放出材と前記第2酸素吸放出材との各々の粒径RaおよびRbが、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足し、粒径(Ra)が5.7〜22.0nmの範囲であることによって高いNO浄化性能を有し得る。
本発明の排ガス浄化用触媒は、他の機能を有する部材と組み合わせて用いられ得る。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例を比較例とともに示す。
以下の実施例は単に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
以下の各例において排ガス浄化用触媒のTHC浄化率、CO浄化率およびNO浄化率は以下に示す耐久試験および以下に示す触媒評価法によって求めた。なお、排ガス浄化用触媒の耐久試験および触媒評価法は以下に示す方法に限定されず当業者が同等と考える方法によって、同様に行い得ることは当然である。
【0023】
1)触媒耐久試験
一定の走行後にも触媒活性を維持しているか否かを確認するために、実際のエンジンを用いて加速劣化試験(耐久試験)を行った。触媒にセラミックマットをまき、排気管にキャニングしてハニカム中央に熱電対を差込み、さらにこの排気管をエンジンにセットし、熱電対の温度が1000℃±20℃になるようにエンジン回転数/トルクを調整した。このとき、A/Fは14と15が一定時間ずつ繰り返すサイクル試験とした。耐久試験時間は50時間である。
【0024】
2)排ガスを用いた触媒評価
耐久試験を施した触媒を評価用エンジン(2.5L、NA)に取り付け、FTP(Federal Test Procedure)モード(排気ガスの浄化能力を評価する際に用いられる米国環境保護庁が定めた走行テストモード)を模擬したパターンを走行させて、そのときの浄化率を計測した。試験は5回繰り返し評価を行い、その平均値を算出した。
THC浄化率(%)=(触媒の入りと出のTHC量の差)x/(触媒の入りのTHC量)
CO浄化率(%)=(触媒の入りと出のCO量の差)x/(触媒の入りのCO量)
NO浄化率(%)=(触媒の入りと出のNO量の差)x/(触媒の入りのNOX量)
3)粒径測定
XRDを用いた分光法およびSEMを用いた観察法により平均一次粒子径を求めた。
XRD装置:リガク社製、装置名:TTR−3
SEM装置:日立社製、装置名:S4500
【0025】
以下の各例で用いたCZ材の特性を以下に示す。
CZ−1: 粒径9.2nm セリア-ジルコニア固溶体
(CeO/ZrO/La/Y=60/30/5/5wt%)
CZ−2:粒径22.0nm セリア-ジルコニア固溶体
(CeO/ZrO=58/42wt%)
CZ−3: 粒径5.7nm セリア-ジルコニア固溶体
(CeO/ZrO/La/Pr11=30/60/3/7wt%)
CZ−4: 粒径15.0nm セリア-ジルコニア固溶体
(CeO/ZrO/La/Y=60/30/5/5wt%)
CZ−5: 粒径157.0nm セリア-ジルコニア固溶体
(CeO/ZrO/La/Y=58/42/0/0wt%)
以下で用いたアルミナは市販品をそのまま用いた。
【0026】
実施例1
アルミナに硝酸Rh溶液を含浸担持後、乾燥、焼成してRh担持アルミナ粉末(A)を調製した。
上記のCZ(1)、CZ(2)およびアルミナを5:5:1の質量割合で混合し、硝酸Pd水溶液を含浸担持後、乾燥、焼成してPd担持粉末を調製した。
次いで、このPd担持粉末とバインダーとRh担持アルミナ粉末(A)とを20:1:8の質量比率で混合し、水を加えてコート用スラリー(1)とした。
ハニカム基材(600セル、壁厚3mil、φ103xL105)の上部からスラリー(1)を投入し、下部を吸引することでコートし、乾燥し、250℃で2時間焼成した。このとき、触媒の中央部分までコートされるよう、投入スラリー量および固形分量・吸引条件を調整した。同様にして、1回目のコートとは逆の端面からスラリー(1)を投入し、触媒の中央部分までコートし、乾燥、焼成した。コート量は200g/Lとなるように調整した。また、担持量はPd/Rh=1.0/0.2[g/L]とした。
得られた排ガス浄化用触媒について、前記の条件で評価した。
得られた結果を他の結果とまとめて図2、図3、図4および図5に示す。
また、用いたCZの粒径を他の例とまとめて表1に示す。
【0027】
実施例2
CZ(2)、CZ(3)とアルミナを5:5:1の質量割合で混合し、硝酸Pd水溶液を含浸担持後、乾燥、焼成してPd担持粉末を調製した。
次いで、このPd担持粉末とバインダーとRh担持アルミナ粉末(A)とを20:1:8の質量比率で混合し、水を加えてコート用スラリー(2)とした。
次いで、スラリー(1)に代えてスラリー(2)を用いた他は実施例1と同様にして、排ガス浄化用触媒を得た。
得られた排ガス浄化用触媒について、前記の条件で評価した。
得られた結果を他の結果とまとめて図2、図3および図5に示す。
また、用いたCZの粒径を他の例とまとめて表1に示す。
【0028】
実施例3
CZ(2)に代えてCZ(4)を用いた他は実施例2と同様にして、スラリー(3)を調製し、排ガス浄化用触媒を得た。
得られた排ガス浄化用触媒について、前記の条件で評価した。
得られた結果を他の結果とまとめて図2および図5に示す。
また、用いたCZの粒径を他の例とまとめて表1に示す。
【0029】
比較例1
CZ(2)に代えてCZ(4)を用いた他は実施例1と同様にして、スラリー(4)を調製し、排ガス浄化用触媒を得た。
得られた排ガス浄化用触媒について、前記の条件で評価した。
得られた結果を他の結果とまとめて図2、図4および図5に示す。
また、用いたCZの粒径を他の例とまとめて表1に示す。
【0030】
比較例2
CZ(4)とアルミナを10:1の質量割合で混合し、硝酸Pd水溶液を含浸担持後、乾燥、焼成してPd担持粉末を調製した。
次いで、このPd担持粉末とバインダーとRh担持アルミナ粉末(A)とを20:1:8の質量比率で混合し、水を加えてコート用スラリー(5)とした。
次いで、スラリー(1)に代えてスラリー(5)を用いた他は実施例1と同様にして、排ガス浄化用触媒を得た。
得られた排ガス浄化用触媒について、前記の条件で評価した。
得られた結果を他の結果とまとめて図2および図5に示す。
また、用いたCZの粒径を他の例とまとめて表1に示す。
【0031】
比較例3
CZ(4)に代えてCZ(2)を用いた他は比較例2と同様にして、スラリー(6)を調製し、排ガス浄化用触媒を得た。
得られた排ガス浄化用触媒について、前記の条件で評価した。
得られた結果を他の結果とまとめて図2、図3および図5に示す。
また、用いたCZの粒径を他の例とまとめて表1に示す。
【0032】
実施例4
CZ(2)に代えてCZ(5)を用いた他は実施例1と同様にして、スラリー(7)を調製し、排ガス浄化用触媒を得た。
得られた排ガス浄化用触媒について、前記の条件で評価した。
得られた結果を他の結果とまとめて図2、図4および図5に示す。
また、用いたCZの粒径を他の例とまとめて表1に示す。
【0033】
比較例4
CZ(1)に代えてCZ(4)を用いた他は実施例1と同様にして、スラリー(8)を調製し、排ガス浄化用触媒を得た。
得られた排ガス浄化用触媒について、前記の条件で評価した。
得られた結果を他の結果とまとめて図2、図3および図5に示す。
また、用いたCZの粒径を他の例とまとめて表1に示す。
【0034】
比較例5
CZ(1)とアルミナを10:1の質量割合で混合し、硝酸Pd水溶液を含浸担持後、乾燥、焼成してPd担持粉末を調製した。
次いで、このPd担持粉末とバインダーとRh担持アルミナ粉末(A)とを20:1:8の質量比率で混合し、水を加えてコート用スラリー(9)とした。
次いで、スラリー(1)に代えてスラリー(9)を用いた他は実施例1と同様にして、排ガス浄化用触媒を得た。
得られた排ガス浄化用触媒について、前記の条件で評価した。
得られた結果を他の結果とまとめて図2、図4および図5に示す。
また、用いたCZの粒径を他の例とまとめて表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
図2〜図5から、第1酸素吸放出材の粒径(Ra)と第2酸素吸放出材の粒径(Rb)とが、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足し、前記粒径(Ra)が5.7〜22.0nmの範囲である実施例の排ガス浄化用触媒は、耐久後にも良好なTHC浄化率、CO浄化率およびNO浄化率を示すのに対して、前記の範囲外の排ガス浄化用触媒は耐久後のCO浄化率およびNO浄化率が不良である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、耐久後にも高いNO浄化およびCO浄化性能を有し、且つ貴金属層に酸素吸放出材を同一層内に含有し製造プロセスが簡略化された排ガス浄化用触媒を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 排ガス浄化用触媒
2 基材
3 貴金属層
4 第1酸素吸放出材
5 第2酸素吸放出材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貴金属層に粒径の異なる第1酸素吸放出材と第2酸素吸放出材とを同一層内に含有し、前記第1酸素吸放出材の粒径(Ra)と前記第2酸素吸放出材の粒径(Rb)とが、0.06≦Ra/Rb≦0.42を満足し、前記粒径(Ra)が5.7〜22.0nmの範囲であることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項2】
前記粒径(Rb)が9.2〜157.0nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項3】
前記粒径(Ra)と前記粒径(Rb)とが、9.3≦Rb−Raの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項4】
前記第1酸素吸放出材および第2酸素吸放出材に貴金属が担持され、前記貴金属がPt又はPdであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−212641(P2011−212641A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85976(P2010−85976)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】